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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/68 20060101AFI20250226BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022530552
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2021021562
(87)【国際公開番号】W WO2021251336
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020102278
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】品川 真英
(72)【発明者】
【氏名】今坂 幸介
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実公平06-050149(JP,Y2)
【文献】実開昭49-056669(JP,U)
【文献】特開2015-229517(JP,A)
【文献】特開2014-240292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットを梱包する梱包材であって、
前記多関節ロボットは、基部と、前記基部上に設けられたマニピュレータとを有し、
前記梱包材は、前記多関節ロボットの前記マニピュレータの全体を覆うとともに、前記多関節ロボットの前記基部を露出させた状態で、前記多関節ロボットを支持する第1支持部材を有し、
前記第1支持部材は、吊り上げ装置が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに吊り上げるために前記吊り上げ装置の取付部材が取り付けられる取付部、又は、作業員が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに持ち上げるために前記作業員によって把持される把持部を備え、
前記第1支持部材が前記多関節ロボットに取り付けられた状態で、前記基部は、前記第1支持部材から突出する、梱包材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包材であって、
前記基部を覆った状態で前記多関節ロボットを支持する第2支持部材を有し、
前記第2支持部材は、前記基部の形状に沿って窪んで形成された収容部を有し、
前記第1支持部材から突出した前記基部が前記収容部に挿入された状態で前記多関節ロボットが前記第2支持部材に支持される、梱包材。
【請求項3】
多関節ロボットを梱包する梱包材であって、
前記多関節ロボットの基部を露出させた状態で、前記多関節ロボットを支持する第1支持部材を有し、
前記第1支持部材は、吊り上げ装置が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに吊り上げるために前記吊り上げ装置の取付部材が取り付けられる取付部、又は、作業員が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに持ち上げるために前記作業員によって把持される把持部を備え、
前記梱包材は、前記多関節ロボットのマニピュレータの複数のリンクの内、一のリンクが前記基部の上方に位置し、前記一のリンクの軸方向が重力方向に対して直交する方向に略一致する梱包姿勢を取っている状態で、前記多関節ロボットを梱包し、
前記第1支持部材は、前記一のリンクと、前記基部との間に挿入される、梱包材。
【請求項4】
請求項3に記載の梱包材であって、
前記第1支持部材は、上面が窪んで形成され、前記一のリンクが挿入される挿入部を有する、梱包材。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包材であって、
前記一のリンクの軸方向から見たときに、前記第1支持部材は、側面から下面にわたって、重力方向に対して傾斜して形成される傾斜部を有する、梱包材。
【請求項6】
請求項1に記載の梱包材であって、
前記第1支持部材は、前記多関節ロボットを内部に収容する収容部を有する、梱包材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の梱包材であって、
前記基部を覆った状態で前記多関節ロボットを支持する第2支持部材を有し、
前記第2支持部材は、前記第1支持部材が前記多関節ロボットとともに吊り上げられた場合、又は、前記第1支持部材が前記多関節ロボットとともに持ち上げられた場合に、前記第2支持部材が前記基部から外れる形状に形成される、梱包材。
【請求項8】
請求項7に記載の梱包材であって、
前記第2支持部材は、前記多関節ロボットを自立可能に支持する形状に形成される、梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを梱包する梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業員が把持可能な把持部が設けられた梱包材が知られている(例えば、特開2015-229517号公報)。この梱包材によって例えばロボットが梱包される。
【発明の概要】
【0003】
ロボットが架台に設置されるときには、ロボットの梱包が解かれた状態とする必要がある。そのため、ロボットを吊り上げる吊り上げ装置の吊り上げ部材が取り付けられる取付部、又は、作業員がロボットを持ち上げるための把持部が、ロボットに設けられる必要がある。そのため、ロボットの部品点数が増大する問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ロボットを架台に設置するための専用の部品を省略し、ロボットの部品点数を低減できる梱包材を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の態様は、多関節ロボットを梱包する梱包材であって、前記多関節ロボットの基部を露出させた状態で、前記多関節ロボットを支持する第1支持部材を有し、前記第1支持部材は、吊り上げ装置が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに吊り上げるために前記吊り上げ装置の取付部材が取り付けられる取付部、又は、作業員が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに持ち上げるために前記作業員によって把持される把持部を備える。
【0006】
本発明により、ロボットの部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、梱包材を示す斜視図である。
図2図2は、第1梱包部材をY軸方向負側から見た図である。
図3図3は、第1梱包部材をY軸方向正側から見た図である。
図4図4は、第2梱包部材をY軸方向正側から見た図である。
図5図5は、第2梱包部材をY軸方向負側から見た図である。
図6図6は、第3梱包部材をZ軸方向正側から見た図である。
図7図7は、ロボットに第3梱包部材が取り付けられた状態を示す図である。
図8図8A図8Dは、ロボットが架台に設置される手順を示す図である。
図9図9は、架台にロボットが設置されたときの基部付近の拡大図である。
図10図10A図10Dは、ロボットが架台に設置される手順を示す図である。
図11図11は、梱包材を示す斜視図である。
図12図12は、梱包材の外箱を取り外した状態の斜視図である。
図13図13は、梱包材の外箱及び第4梱包部材を取り外した状態の斜視図である。
図14図14A及び図14Bは、第5梱包部材の斜視図である。
図15図15は、ロボットに第5梱包部材を取り付ける様子を示す図である。
図16図16は、作業員によりロボットが持ち上げられた状態を示す図である。
図17図17A図17Dは、ロボットが架台に設置される手順を示す図である。
図18図18A図18Dは、ロボットが架台に設置される手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
図1は、梱包材10を示す斜視図である。梱包材10は、ロボット12を梱包する。図1では、梱包材10に梱包されているロボット12を点線で示している。ロボット12は多関節ロボットであり、基部14及びマニピュレータ16を有している。ロボット12が梱包材10に梱包されるときには、ロボット12は所定の梱包姿勢を取る。以下、本実施形態では、図1に示すX、Y及びZの座標軸を用いて方向を記載する。図1以外の図にも、図1の座標軸に対応する座標軸を記載することがある。
【0009】
梱包材10は、段ボール又は発泡剤により形成されている。梱包材10は、ロボット12の荷重を十分に受けることができる程度の強度を有する。梱包材10は、第1梱包部材20、第2梱包部材22及び第3梱包部材24を有している。第1梱包部材20は、ロボット12のY軸方向負側からロボット12に取り付けられる。第2梱包部材22は、ロボット12のY軸方向正側からロボット12に取り付けられる。第1梱包部材20と第2梱包部材22とがロボット12に取り付けられた状態で、ロボット12の基部14が外部に露出する。第3梱包部材24は、Z軸方向負側からロボット12に取り付けられて、ロボット12の基部14を覆う。第1梱包部材20及び第2梱包部材22は本発明の第1支持部材に相当し、第3梱包部材24は本発明の第2支持部材に相当する。
【0010】
図2は、第1梱包部材20をY軸方向負側から見た図である。図3は、第1梱包部材20をY軸方向正側から見た図である。第1梱包部材20は、取付部26を有している。取付部26は、Y軸方向に貫通する貫通孔により形成される。第1梱包部材20のY軸方向負側の面には、窪んで形成された把持部28が設けられている。第1梱包部材20のY軸方向正側の面には、窪んで形成された収容部30が設けられている。収容部30は、梱包姿勢を取るロボット12をY軸方向負側から見た外形形状に沿って形成されている。
【0011】
図4は、第2梱包部材22をY軸方向正側から見た図である。図5は、第2梱包部材22をY軸方向負側から見た図である。第2梱包部材22は、取付部32を有する。取付部32は、Y軸方向に貫通する貫通孔により形成される。第1梱包部材20と第2梱包部材22とがロボット12に取り付けられた状態で、第1梱包部材20の取付部26と第2梱包部材22の取付部32とは連通する。第2梱包部材22のY軸方向正側の面には、窪んで形成された把持部34が設けられている。第2梱包部材22のY軸方向負側の面には、窪んで形成された収容部36が設けられている。収容部36は、梱包姿勢を取るロボット12をY軸方向正側から見た外形形状に沿って形成されている。
【0012】
ロボット12に第1梱包部材20及び第2梱包部材22が取り付けられた状態で、第1梱包部材20の収容部30が形成された面と、第2梱包部材22の収容部36が形成された面とが接合される。第1梱包部材20と第2梱包部材22とのそれぞれの接合面には、接着剤が塗布され、互いの接合面が強固に接合されてもよい。また、第1梱包部材20と第2梱包部材22とのそれぞれの接合面に、第1梱包部材20と第2梱包部材22とを互いに係合する係合部が設けられてもよい。また、第1梱包部材20と第2梱包部材22ととが粘着テープにより固定されてもよい。
【0013】
第1梱包部材20と第2梱包部材22とが接合された状態で、収容部30及び収容部36により形成される空間は、梱包姿勢を取るロボット12のマニピュレータ16の形状と略等しい形状となる。すなわち、ロボット12は、第1梱包部材20及び第2梱包部材22によって挟持された状態となる。これにより、ロボット12を、第1梱包部材20及び第2梱包部材22とともに移動させることができる。
【0014】
図6は、第3梱包部材24をZ軸方向正側から見た図である。図7は、ロボット12に第3梱包部材24が取り付けられた状態を示す図である。第3梱包部材24のZ軸方向正側の面には、基部14のZ軸方向負側の形状に沿って窪んで形成された収容部38が設けられている。収容部38は、Z軸方向正側からロボット12の基部14が載置された状態で、収容部38上でロボット12が自立可能な形状に形成されている。これにより、図7に示すように、基部14が収容部38に載置された状態で、ロボット12は自立することができる。
【0015】
図8A図8Dは、ロボット12が架台40に設置される手順を示す図である。図9は、架台40にロボット12が設置されたときの基部14付近の拡大図である。
【0016】
図8Aに示すように、梱包材10の開封作業は、ロボット12が設置される架台40の近くで行われる。図8Bに示すように、スリング42が、取付部26、32に通され、クレーン44の吊り具46に吊られる。その後、クレーン44によって、第1梱包部材20と第2梱包部材22とともにロボット12が吊り上げられる。このとき、第3梱包部材24は、ロボット12の基部14から外れて地面に残る。ロボット12は第1梱包部材20の収容部30及び第2梱包部材22の収容部36に支持されているため、第3梱包部材24が基部14から外れてもロボット12が落下することはない。クレーン44は本発明の吊り上げ装置に相当し、スリング42は本発明の取付部材に相当する。
【0017】
図8Cに示すように、クレーン44によって、第1梱包部材20と第2梱包部材22とが取り付けられたままロボット12は架台40に設置される。図9に示すように、ロボット12に第1梱包部材20と第2梱包部材22が取り付けられた状態で、基部14は外部に露出している。そのため、作業員50は、この状態でボルト48により基部14を架台40に固定することができる。少なくとも1本のボルト48により基部14が架台40に固定されていれば、ロボット12の倒れを防止できる。図8Dに示すように、作業員50が第1梱包部材20と第2梱包部材22とをロボット12から取り外す。これにより、ロボット12の架台40への設置が完了する。ボルト48により基部14が架台40に固定されているため、作業員50が第1梱包部材20と第2梱包部材22とをロボット12から取り外すときに、ロボット12が倒れることが防止される。
【0018】
上記では、クレーン44によりロボット12が吊り上げられて、ロボット12が架台40に設置される手順について説明した。しかし、作業員50によりロボット12が持ち上げられて、ロボット12が架台40に設置されてもよい。図10A図10Dは、ロボット12が架台40に設置される手順を示す図である。
【0019】
図10Aに示すように、梱包材10の開封作業は、ロボット12が設置される架台40の近くで行われる。図10Bに示すように、2人の作業員50により把持部28、34が把持されて、第1梱包部材20と第2梱包部材22とともにロボット12が持ち上げられる。このとき、第3梱包部材24はロボット12の基部14から外れて地面に残る。
【0020】
図10Cに示すように、作業員50によって、第1梱包部材20と第2梱包部材22とが取り付けられたままロボット12は架台40に設置される。ロボット12に第1梱包部材20と第2梱包部材22とが取り付けられた状態で基部14は外部に露出している。そのため、作業員50は、この状態で基部14を架台40にボルト48により固定することができる。図10Dに示すように、作業員50が第1梱包部材20と第2梱包部材22とをロボット12から取り外す。これにより、ロボット12の架台40への設置が完了する。
【0021】
[作用効果]
従来、ロボット12の梱包が解かれてからロボット12が架台40に設置されていた。そのため、ロボット12に、クレーン44のスリング42が取り付けられる取付部、又は、作業員50が把持する把持部を設ける必要がある。取付部又は把持部は、ロボット12を移動させるとき以外には必要ないものである。そのため、使用頻度が低い部品をロボット12に設けた場合は、ロボット12の部品点数が増加し、ロボット12の組立工数が増大する。
【0022】
そこで、本実施形態の梱包材10は、内部にロボット12を収容する収容部30を有する第1梱包部材20、及び、内部にロボット12を収容する収容部36を有する第2梱包部材22を備える。ロボット12は、第1梱包部材20と第2梱包部材22とに収容された状態で、ロボット12の基部14が外部に露出する。第1梱包部材20は、取付部26と把持部28とを備える。同様に、第2梱包部材22は、取付部32と把持部34とを備える。
【0023】
これにより、取付部26及び把持部28が第1梱包部材20に設けられ、取付部32及び把持部34が第2梱包部材22に設けられるため、ロボット12に取付部又は把持部が設けられる必要がない。よって、ロボット12の部品点数が減少し、ロボット12の組立工数を低減できる。
【0024】
また、本実施形態の梱包材10は、ロボット12の基部14を覆う第3梱包部材24を有する。ロボット12を収容した第1梱包部材20及び第2梱包部材22が、クレーン44により吊り上げられたとき又は作業員50により持ち上げられたときに、第3梱包部材24は基部14から外れるように形成されている。
【0025】
これにより、ロボット12の輸送時には第3梱包部材24によって基部14を保護することができる。また、ロボット12の架台40への設置時には、第3梱包部材24が基部14から外れて、基部14が外部に露出する。そのため、第1梱包部材20及び第2梱包部材22がロボット12に取り付けられた状態で、ロボット12を架台40に設置することができる。
【0026】
また、本実施形態の梱包材10では、第3梱包部材24は、第3梱包部材24上に載置されたロボット12が自立可能な形状に形成される。これにより、ロボット12が梱包材10に梱包された状態で、ロボット12は安定して自立することができる。
【0027】
上記では、クレーン44により、第1梱包部材20及び第2梱包部材22が吊り上げられるが、ロボット12とは別のロボットにより吊り上げられてもよい。
【0028】
〔第2実施形態〕
図11は、梱包材52を示す斜視図である。図12は、梱包材52の外箱54を取り外した状態の斜視図である。図13は、梱包材52の外箱54及び第4梱包部材56を取り外した状態の斜視図である。本実施形態の梱包材52は、第1実施形態の梱包材10と同様にロボット12を梱包する。
【0029】
梱包材52は、段ボールにより形成されている。梱包材52は、ロボット12の荷重を十分に受けることができる程度の強度を有する。梱包材52は、外箱54、第4梱包部材56、第5梱包部材58及び第6梱包部材60を有している。
【0030】
図11に示すように、ロボット12は、外箱54及び第6梱包部材60によって全体が覆われている。以下、本実施形態では、第6梱包部材60が地面に接地するように梱包材52を置いた状態に基づいて、梱包材52の構造について説明する。本実施形態では、図11に示すX、Y及びZの座標軸を用いて方向を記載する。図11以外の図にも、図11の座標軸に対応する座標軸を記載することがある。なお、X軸方向、及び、Y軸方向は水平方向(重力方向と直交する方向)と平行する方向である。また、Z軸方向は上下方向(重力方向と平行する方向)であって、Z軸方向正側が上側、Z軸方向負側が下側を示す。
【0031】
ロボット12は多関節ロボットであり、基部14及びマニピュレータ16を有している。ロボット12が梱包材52に梱包されるときには、ロボット12は、図12及び図13に示すような梱包姿勢を取る。マニピュレータ16は複数のリンクを有する。ロボット12が梱包姿勢を取った状態において、複数のリンクのうち最も上に位置する1つのリンク62の軸方向は、Y軸方向に略一致する。リンク62は、本発明の一のリンクに相当する。
【0032】
外箱54は、Z軸方向負側に開口を有する箱形状に形成されており、ロボット12にZ軸方向正側から被せられて、内部にロボット12を収容する。第4梱包部材56は、Z軸方向負側に開口を有する箱形状に形成されており、リンク62をZ軸方向正側から覆って、ロボット12に取り付けられる。第5梱包部材58は、リンク62と基部14との間に挿入されて、ロボット12に取り付けられる。Z軸方向正側から見ると、第4梱包部材56はY軸方向に延びて配置され、第5梱包部材58はX軸方向に延びて配置されている。第4梱包部材56及び第5梱包部材58は、ロボット12に取り付けられた状態で、ロボット12とともに外箱54内に収容される。第5梱包部材58は、本発明の第1支持部材に相当する。
【0033】
第4梱包部材56は、外箱54内に収容された状態で、外箱54の内周面と当接、又は、僅かな隙間を介して外箱54の内周面に向いている。これにより、ロボット12のY軸方向の倒れが抑制される。また、第5梱包部材58は、外箱54内に収容された状態で、外箱54の内周面と当接、又は、僅かな隙間を介して外箱54の内周面に向いている。これにより、ロボット12のX軸方向の倒れが抑制される。第6梱包部材60は、Z軸方向負側からロボット12に取り付けられて、ロボット12の基部14を覆う。第6梱包部材60の形状は、第1実施形態の第3梱包部材24の形状と同一である。
【0034】
図14A及び図14Bは、第5梱包部材58の斜視図である。図15は、ロボット12に第5梱包部材58を取り付ける様子をY軸方向正側から見た図である。このとき、ロボット12は梱包姿勢を取っており、リンク62の軸方向はY軸方向と略一致する。
【0035】
第5梱包部材58は、図14A及び図14Bに示すように、内部に中空部を有するように、1枚の板状の段ボールが折り曲げられて形成されている。折り曲げられた段ボールの両端部は、互いに留め具61により2か所で固定されている。留め具61は、第5梱包部材58の上面(Z軸方向正側の面)において外部に露出している。第5梱包部材58の上面は、第5梱包部材58がロボット12に取り付けられた状態で、ロボット12に接触することがない。留め具61を第5梱包部材58の上面に配置することによって、ロボット12の損傷を抑制することができる。
【0036】
第5梱包部材58のY軸方向正側の面、及び、Y軸方向負側の面にそれぞれ段ボールを貫通する把持部64、66が形成されている。
【0037】
第5梱包部材58には、Z軸方向正側の面から窪んで形成された挿入部68が形成されている。第5梱包部材58がロボット12に取り付けられる際に、挿入部68にリンク62が挿入される。挿入部68は、Z軸方向の長さ(深さ)がリンク62の径の長さよりも十分長く形成されている。これにより、ロボット12に第5梱包部材58が取り付けられた状態で、挿入部68に挿入されたリンク62は、第5梱包部材58のZ軸方向正側の面よりもZ軸方向負側に位置する。また、挿入部68は、X軸方向の長さ(幅)がリンク62の径の長さよりも若干長く形成されている。これにより、ロボット12に第5梱包部材58が取り付けられるときに、リンク62を挿入部68に容易に挿入できる。さらに、第5梱包部材58がロボット12とともに外箱54に収容された状態で、ロボット12のX軸方向のがたつきを抑制することができる。
【0038】
図15に示すように、第5梱包部材58は、第5梱包部材58の側面から下面にわたって、重力方向(Z軸方向)に対して傾斜する傾斜部70を有する。第5梱包部材58がロボット12に取り付けられるときには、図15に点線で示すように、Z軸方向に対して斜め方向から挿入部68にリンク62が挿入される。その後、リンク62を軸として第5梱包部材58を回転させて、第5梱包部材58がロボット12に取り付けられる。第5梱包部材58がリンク62を軸として回転するときに、傾斜部70が基部14のZ軸方向正側の面をかわすことができる。そのため、挿入部68の底面(Z軸方向負側の面)と第5梱包部材58の下面(Z軸方向負側の面)との間の距離を確保することが可能となる。これにより、ロボット12に対する第5梱包部材58のZ軸方向のがたつきを抑制することができる。
【0039】
図15に示すように、第5梱包部材58のX軸方向の長さ(幅)は、梱包姿勢を取っているロボット12のX軸方向の長さ(幅)よりも長い。これにより、梱包材52にX軸方向の力が作用したときには、ロボット12よりも先に第5梱包部材58がその力を受けるので、ロボット12の損傷を抑制することができる。
【0040】
図16は、作業員50によりロボット12が持ち上げられた状態を示す図である。ロボット12は2人の作業員50によって持ち上げられる。作業員50は、第5梱包部材58の把持部64、66を把持して、第5梱包部材58を持ち上げる。このとき、挿入部68の底面(Z軸方向負側の面)がリンク62を下から支持し、ロボット12が第5梱包部材58とともに持ち上げられる。
【0041】
図17A図17D、及び、図18A図18Dは、ロボット12が架台40に設置される手順を示す図である。
【0042】
図17Aに示すように、梱包材52は、横倒しの状態で、ロボット12が設置される架台40の近くに置かれる。まず、図17Bに示すように、梱包材52を外箱54が上になるように起こして、外箱54及び第6梱包部材60に巻回されている梱包用バンド63を取り外す。
【0043】
その後、図17Cに示すように外箱54を上に持ち上げ、外箱54からロボット12を出す。その後、図17Dに示すように、ロボット12のリンク62に取り付けられている第4梱包部材56を取り外す。
【0044】
図18Aに示すように、作業員50により第5梱包部材58の把持部64、66が把持されて、第5梱包部材58とともにロボット12が持ち上げられる。このとき、第6梱包部材60はロボット12の基部14から外れて地面に残る。
【0045】
図18Bに示すように、第5梱包部材58が取り付けられたままロボット12は、作業員50によって架台40に設置される。ロボット12に第5梱包部材58が取り付けられた状態で基部14は外部に露出しているため、この状態で基部14を架台40にボルト48により固定することができる。
【0046】
図18Cに示すように、作業員50が第5梱包部材58をロボット12から取り外す。これにより、図18Dに示すように、ロボット12の架台40への設置が完了する。
【0047】
[作用効果]
本実施形態の梱包材52では、第5梱包部材58は、ロボット12のリンク62と基部14との間に挿入される。これにより、作業員50が第5梱包部材58の把持部64、66を把持して第5梱包部材58を持ち上げたときに、第5梱包部材58がリンク62を下から支持した状態で、ロボット12が持ち上げられる。
【0048】
また、本実施形態の梱包材52では、第5梱包部材58が取り付けられたロボット12をリンク62の軸方向から見たときに、第5梱包部材58の幅は、梱包姿勢を取っているロボット12の幅よりも長い。これにより、梱包材52に幅方向の力が作用したときには、ロボット12よりも先に第5梱包部材58がその力を受けるので、ロボット12の損傷を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の梱包材52では、第5梱包部材58は、上面から窪んで形成され、リンク62が挿入される挿入部68を有する。これにより、第5梱包部材58は、リンク62を第5梱包部材58に対する移動を規制した状態で支持することができる。
【0050】
また、本実施形態の梱包材52では、第5梱包部材58の挿入部68は、深さ方向の長さがリンク62の径の長さよりも長く形成される。これにより、ロボット12に第5梱包部材58が取り付けられた状態で、挿入部68に挿入されたリンク62は第5梱包部材58の上面よりも下に位置することが可能となる。ロボット12が梱包材52に梱包されている状態で、外箱54の上面に力が作用したときには、ロボット12よりも先に第5梱包部材58が力を受けるので、ロボット12の損傷を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の梱包材52では、リンク62の軸方向から見たときに、第5梱包部材58は、側面から下面にわたって、重力方向に対して傾斜する傾斜部70を有する。第5梱包部材58をロボット12に取り付けるときに、傾斜部70が基部14の上面をかわすことが可能となる。そのため、挿入部68の底面と第5梱包部材58の下面との間の距離を確保することが可能となり、ロボット12に対する第5梱包部材58の上下方向のがたつきを抑制することができる。
【0052】
〔実施形態から得られる技術的思想〕
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0053】
多関節ロボット(12)を梱包する梱包材(10、52)であって、前記多関節ロボットの基部(14)を露出させた状態で、前記多関節ロボットを支持する第1支持部材(20、22、58)を有し、前記第1支持部材は、吊り上げ装置(44)が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに吊り上げるために前記吊り上げ装置の取付部材(42)が取り付けられる取付部(26)、又は、作業員(50)が前記多関節ロボットを前記第1支持部材とともに持ち上げるために前記作業員によって把持される把持部(28、34、64、66)を備える。
【0054】
上記の梱包材であって、前記梱包材は、前記多関節ロボットのマニピュレータ(16)の複数のリンクの内、一のリンク(62)が前記基部の上方に位置し、前記一のリンクの軸方向が重力方向に対して直交する方向に略一致する梱包姿勢を取っている状態で、前記多関節ロボットを梱包し、前記第1支持部材は、前記一のリンクと、前記基部との間に挿入されてもよい。
【0055】
上記の梱包材であって、前記一のリンクの軸方向から見たときに、前記第1支持部材の幅は、前記梱包姿勢を取っている前記多関節ロボットの幅よりも長く形成されていてもよい。
【0056】
上記の梱包材であって、前記第1支持部材は、上面が窪んで形成され、前記一のリンクが挿入される挿入部(68)を有してもよい。
【0057】
上記の梱包材であって、前記挿入部は、深さ方向の長さが前記一のリンクの径の長さよりも長く形成されてもよい。
【0058】
上記の梱包材であって、前記一のリンクの軸方向から見たときに、前記第1支持部材は、側面から下面にわたって、重力方向に対して傾斜して形成される傾斜部(70)を有してもよい。
【0059】
上記の梱包材であって、前記第1支持部材は、前記多関節ロボットを内部に収容する収容部(30、36)を有してもよい。
【0060】
上記の梱包材であって、前記基部を覆った状態で前記多関節ロボットを支持する第2支持部材(24、60)を有し、前記第2支持部材は、前記第1支持部材が前記多関節ロボットとともに吊り上げられた場合、又は、前記第1支持部材が前記多関節ロボットとともに持ち上げられた場合に、前記第2支持部材が前記基部から外れる形状に形成されてもよい。
【0061】
上記の梱包材であって、前記第2支持部材は、前記多関節ロボットを自立可能に支持する形状に形成されてもよい。
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