(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】注射デバイス及び注射溶液移し替えシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20250226BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
A61M5/315 550X
A61M5/315 550G
A61M5/315 500
A61F9/007 130D
(21)【出願番号】P 2022535507
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 US2020064698
(87)【国際公開番号】W WO2021119544
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,フレデリック ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ベッドフォード,アンソニー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ダンカン アレック
(72)【発明者】
【氏名】ゴウ,アンドリュー マレー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ディビッド スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ホーソン,ニコラス リー
(72)【発明者】
【氏名】クレーベン,ジャン-ポール
(72)【発明者】
【氏名】ロイド-ルーカス,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ムシエンテス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,マーティン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】パブージャン,ステファン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162551(WO,A1)
【文献】特表2018-519936(JP,A)
【文献】特開2004-049726(JP,A)
【文献】実開昭60-175249(JP,U)
【文献】実開昭48-024842(JP,U)
【文献】特開2015-066058(JP,A)
【文献】特開2014-087678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液定量吐出デバイスであって、
回転可能プランジャと、
溶液容器であって、前記回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように構成された第1端部と、前記溶液容器内に収容されている溶液を定量吐出するように構成された第2端部とを有し、前記溶液定量吐出デバイスが、
前記回転可能プランジャが、第1向きにある間、前記溶液容器に対して第1位置に位置決めされるように第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にし、
前記回転可能プランジャが、第2向きにある間、前記溶液容器に対して前記第1位置から第2位置に第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にする
ように構成され、
前記第2位置が前記第1位置よりも前記溶液容器の前記第2端部に近く、
前記回転可能プランジャを前記第1位置から前記第2位置に摺動可能に変位させることにより、前記溶液容器内に収容されているある量の前記溶液が定量吐出される、溶液容器と、
前記回転可能プランジャが前記第1位置にあるとともに前記第1向きにある間、前記回転可能プランジャが前記第2位置に摺動可能に変位するのを阻止するように構成された第1停止部材と、
前記回転可能プランジャが前記第1位置にあるとともに前記第1向きにある間、前記回転可能プランジャが前記第1軸を中心に第1方向に回転するのを阻止するように構成された第2停止部材と、
前記溶液容器に解除可能に接続されるように構成されたハウジングであって、前記回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように、且つ前記溶液容器が前記回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるのを可能にするように構成されている、プランジャ貫通孔を含むハウジングと
を備え、
前記第1停止部材が、前記ハウジングの上面に位置決めされ、前記第1停止部材が、前記ハウジングの前記上面から前記第1軸に沿って近位方向に突出している、
溶液定量吐出デバイス。
【請求項2】
前記回転可能プランジャが前記第1位置にあるとともに前記第2向きにある間、前記回転可能プランジャが前記第1軸を中心に第2方向に回転するのを阻止するように構成された第3停止部材
をさらに備える、請求項1に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項3】
前記第1停止部材が、前記回転可能プランジャ上に位置決めされている、請求項1又は2に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項4】
前記第2停止部材が、前記回転可能プランジャ上に位置決めされている、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項5】
前記第2停止部材が、前記ハウジングの上面に位置決めされ、前記第2停止部材が、前記ハウジングの前記上面から前記第1軸に沿って近位方向に突出している、請求項1~4に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項6】
前記第1停止部材が、前記ハウジングの前記上面に対して第1高さを有し、前記回転可能プランジャが前記第1位置から前記第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される前記溶液の前記量が、少なくとも一部前記第1高さに基づく、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項7】
前記第2停止部材が、前記ハウジングの前記上面に対する、前記第1高さよりも大きい第2高さを有する、請求項6に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項8】
前記溶液容器の外面がクリップ受け要素を含み、
前記ハウジングがハウジングクリップを含み、
前記ハウジングクリップが前記クリップ受け要素に解除可能に接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項9】
前記溶液容器の前記第1端部がフランジ要素を含み、前記ハウジングが、前記ハウジングクリップが前記クリップ受け要素に解除可能に接続されたときに前記フランジ要素を摺動可能に受け入れるように構成されている、請求項8に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項10】
前記回転可能プランジャがフランジを含み、
前記フランジが、前記第1停止部材と接触し、前記回転可能プランジャが前記第1位置にあるとともに前記第1向きにある間、前記回転可能プランジャが前記第2位置に摺動可能に変位するのを阻止し、
前記フランジが、前記第2停止部材と接触し、前記回転可能プランジャが前記第1位置にあるとともに前記第1向きにある間、前記回転可能プランジャが前記第1方向に前記第1軸を中心に回転するのを阻止する、請求項1~9のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項11】
前記回転可能プランジャが前記第1位置に位置決めされるまで、前記回転可能プランジャが前記第1軸を中心に回転するのを阻止するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項12】
前記回転可能プランジャが前記第1位置から前記第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の前記量が、5μL、10μL及び20μLからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項13】
前記溶液容器の内面が、プラズマ化学気相成長(PECVD)コーティングでコーティングされており、前記PECVDコーティングが前記内面に平滑潤滑性層を与える、請求項1~12のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項14】
前記溶液容器の内面が、前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用するPECVDプロセスから作成された潤滑剤コーティングでコーティングされている、請求項1~13のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【請求項15】
前記溶液容器が、ISO14644に従って、少なくとも動作中にISOクラス8条件下で、休止時にISOクラス7条件の下で、ケイ素、炭素及び酸素からなる高周波電力を使用するPECVDプロセスによって製造されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月12日に出願された「INJECTION DEVICE AND INJECTION SOLUTION TRANSFERRING SYSTEM」と題する米国仮特許出願第62/947,462号明細書の優先権を主張し、その内容はすべての目的で参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、注射デバイス、特に、例えば、眼内で使用する眼科用注射デバイス等、微量用量注射デバイスに関する。さらに、本開示は、シリンジからこの種の注射デバイスに注射溶液を移し替えるための注射溶液移し替えシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、医療処置のために患者に投与される注射溶液は、注射溶液を収容するコンテナと、注射溶液をコンテナから排出するためにコンテナに対して変位可能であるプランジャとを有するシリンジ内に貯蔵されている。患者のための医療処置計画が、シリンジの充填容積に対応する注射溶液の用量の投与を提供する場合、又は、注射溶液の投与量が所望の治療効果のために重要性が低い場合、注射溶液はシリンジから患者に直接投与される場合がある。しかしながら、患者のための医療処置計画が、シリンジの充填容積と異なる注射溶液の用量の投与を必要とする場合、及び/又は注射溶液の正確な投与量が必要である場合、注射溶液は、投与の前にシリンジから、所望の用量の注射溶液を患者の体内に注射するために最終的に使用される注射デバイスに、移し替えられる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、患者に対して微量用量の注射溶液を正確且つ確実に投与するのを可能にする注射デバイスを提供することを目的とする。さらに、本開示は、シリンジからこの種の注射デバイスに注射溶液を移し替えるための注射溶液移し替えシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
注射デバイスは、注射溶液容器を備える。注射溶液容器及び保護外側バレルは、任意の好適な材料、又はプラスチック材料を含む材料の組合せ又はガラスから作製することができる。好適なプラスチック材料は、例えば、シクロオレフィンポリマー又はシクロオレフィンコポリマーを含む。ガラス材料の一例は、ホウケイ酸ガラスであり得る。好ましくは、ガラス材料は、タングステンを含まない。1つの実施形態では、注射溶液容器は、非コーティングであり得る。非コーティングとは、注射溶液容器が、注射溶液容器が作製される材料以外の他のいかなる材料も含まないことを意味する。別法として、注射溶液容器は、内側コーティングを含む場合がある。内側コーティングは、注射溶液と接触する注射溶液容器の内側におけるコーティングを意味する。こうした内側コーティングの例としては、シリコーンコーティング、又は変性エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマーから作製されたフルオロカーボンフィルムが挙げられる。注射溶液容器は、シリコーンを含まない、又は実質的にシリコーンを含まなくてもよく、又は潤滑剤として低レベルのシリコーンを含んでもよい。好ましくは、注射溶液容器は、滅菌プラスチック材料から作製される。好ましくは、注射溶液容器は、滅菌プラスチック材料から作製される。好ましくは、注射溶液容器は、内側コーティングを含まない。1つの実施形態では、注射溶液容器は、USP789を満たすことができる。
【0006】
注射溶液容器は、保護外側バレル内に収容されている内側注射溶液容器の形態で設計することができる。内側注射溶液容器の形態で設計された注射溶液容器は、保護外側バレルと一体的に形成することができる。保護外側バレルには、その近位端部の領域において、保護外側バレル及び内側注射溶液容器を注射デバイスのハウジングに接続する役割を果たすことができるフランジ要素を設けることができる。例えば、注射デバイスのハウジングは、フランジ要素を受け入れ、そのため保護外側バレル及び内側注射溶液容器をハウジングに締結する、好適な形状及び寸法の容器を備えることができる。
【0007】
注射デバイスの注射溶液容器の遠位端部に、ルアーテーパのメス部分と相互作用するように適合されているルアーテーパのオス部分を設けることができる。ルアーテーパのメス部分は、例えば、シリンジから注射デバイスの注射溶液容器に移し替えられる注射溶液を収容するシリンジに注射デバイスを接続するために使用することができる、充填アダプタのアダプタ要素の接続ポートに設けることができる。ルアーテーパによって、注射デバイスの注射溶液容器の遠位端部と、充填アダプタのアダプタ要素との間に、流体密封接続を単純な様式で確立することができる。注射デバイスの外側バレルに、その遠位端部の領域において、ルアーねじ山を設けることができ、ルアーねじ山は、特にその外周の領域において充填アダプタのアダプタ要素の第2接続ポートに設けられた相補的なルアーねじ山と相互作用するように適合されている。その結果、注射デバイスの外側バレルと、充填アダプタのアダプタ要素との間の確実な接続も達成することができる。
【0008】
注射デバイスは、プランジャをさらに備える。プランジャは、ポリカーボネートから作製することができる。プランジャの少なくとも一部は、注射溶液容器内に摺動可能に受け入れられる。プランジャは、注射溶液容器に収容された注射溶液を注射溶液容器から排出するために、プランジャの長手方向軸に沿って遠位方向に注射溶液容器に対して変位可能である。プランジャは、注射溶液容器から近位方向に突出することができるその近位端部において、作動ボタンを支持することができ、作動ボタンは、プランジャの長手方向軸に沿って遠位方向に注射溶液容器に対してプランジャを変位させるために、使用者が押し込むことができる。プランジャには、その遠位端部において、プランジャロッドに取り付けることができる先端要素を設けることができる。プランジャロッドと先端要素との結合は、例えば、プランジャロッドの遠位端部に設けられた先端かかりと、先端要素のかかり受け部との相互作用によって行うことができる。さらに、先端要素には封止要素を設けることができ、封止要素は、例えば、先端要素の外周面の領域に設けることができるとともに、注射溶液容器の内周面と封止するように相互作用する。
【0009】
注射デバイスは、第1投薬位置において遠位方向における注射溶液容器に対するプランジャの変位を停止させるように適合されている第1プランジャ停止機構をさらに備える。さらに、注射デバイスは、第2投薬位置において第1投薬位置からの遠位方向における注射溶液容器に対するプランジャの変位を停止させるように構成されている、第2プランジャ停止機構を備える。プランジャの第1及び第2投薬位置は、プランジャが、第1投薬位置と第2投薬位置との間で注射溶液容器に対して変位している時、注射溶液容器に収容されている注射溶液の所望の用量を注射溶液容器から排出するように適合されるように、選択される。
【0010】
注射溶液容器に患者に投与すべき注射溶液を充填した後、注射デバイスの使用者は、プランジャが第1投薬位置に達するまで、プランジャを遠位方向において注射溶液容器に対して変位させることにより、余分な注射溶液を注射溶液容器から排出することができる。第1投薬位置に達すると、第1プランジャ停止機構は、遠位方向におけるプランジャのさらなる変位を停止させる。その結果、使用者が、過度に注射溶液を注射溶液容器から排出するのが防止される。次いで、注射溶液容器に収容されている残留注射溶液は、プランジャが第2投薬位置に達するまでプランジャを遠位方向においてさらに変位させることにより、患者に投与することができる。第2投薬位置に達すると、第2プランジャ停止機構は、遠位方向におけるプランジャのさらなる変位を停止させ、これにより、過度に注射溶液が患者に投与されることを防止する。
【0011】
本注射デバイスにより、患者に微量用量の注射溶液を正確に且つ確実に投与することが可能になる。さらに、注射デバイスは、使用者が容易に且つ快適に取り扱うことができる。したがって、注射デバイスは、小児患者を治療するために特に好適である。特に、注射デバイスは、眼内で使用するための眼科用注射デバイスの形態で設計することができる。
【0012】
1つの実施形態では、注射デバイスは、約1μL~約50μL、好ましくは約10μL~約20μLの投与量体積(すなわち、患者に送達するように意図された注射溶液の体積)の注射溶液が充填される。別の実施形態では、注射デバイスは、50μL~250μLの投与量体積の注射溶液が充填される。さらに別の実施形態では、注射デバイスは、25μL~125μLの投与量体積の注射溶液が充填される。好ましい実施形態では、注射デバイスは、5μL、10μL、20μL又は30μLの投与量体積の注射溶液が充填される。
【0013】
注射デバイスに、任意の注射溶液、例えば、注射可能な薬剤を充填することができる。1つの実施形態では、注射デバイスに、眼疾患の治療に好適な活性成分を含む注射可能な薬剤が充填される。このような眼疾患の例としては、未熟児網膜症、地図状萎縮、緑内障、脈絡膜新生血管、加齢黄斑変性(滲出型及び萎縮型の両方)、網膜静脈閉塞症(RVO)(分枝RVO(bRVO)及び中枢RVO(cRVO)の両方を含む)に続発する黄斑浮腫、病的近視(PM)に続発する脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、ビエッティ結晶性ジストロフィ及び増殖性網膜症が挙げられる。1つの実施形態では、薬剤は、低分子薬物を含む。1つの実施形態では、薬剤は、生物学的活性物質を含む。生物学的活性物質は、抗体(又はその断片)、非抗体たんぱく質、遺伝子治療のための核酸、又は細胞治療のための細胞物質であり得る。1つの実施形態では、薬剤は、VEGF阻害剤を含む。好適なVEGF阻害剤としては、ラニビズマブ(LucentisTM)、ベバシズマブ(AvastinTM)、ブロルシズマブ(Beovu(登録商標)、RTH258としても知られる)、アフリベルセプト(EyleaTM、VEGF-Trap Eyeとしても知られる)、コンベルセプト(参照により内容が本明細書に援用される国際公開第2005/121176号パンフレットにFP3として記載されている、Chengdu Kanghong Biotechnologies Co.Ltd.のKH902)、及び関連するグリコフォームKH906又はパゾパニブ(GlaxoSmithKline)が挙げられる。
【0014】
好ましい実施形態では、注射デバイスに、20μLの注射溶液において0.1mg又は0.2mgのラニビズマブが充填されている。最も好ましい実施形態では、注射デバイスは、20μlのラニビズマブ(0.2mg)が充填され、未熟児網膜症の治療に使用される。
【0015】
注射デバイスの好ましい実施形態では、第1プランジャ停止機構は、投薬要素を備え、投薬要素は、プランジャに取り付けられており、ハウジング要素に設けられた第1投薬面に当接するように適合されている。それに対して別法として又はそれに加えて、第2プランジャ停止機構は、投薬要素を備えることができ、投薬要素は、プランジャに取り付けられており、ハウジング要素に設けられた第2投薬面に当接するように適合されている。
【0016】
好ましくは、第1及び/又は第2プランジャ停止機構の投薬要素は、プランジャと一体的に形成されている。例えば、投薬要素は、プランジャの作動ボタンの表面から内側溶液容器の方向に突出することができるリブの形態で設計することができる。基本的に、注射デバイスが、第1プランジャ停止機構に関連する第1投薬要素と、第2プランジャ停止機構に関連する第2投薬要素とを備えることが考えられる。しかしながら、好ましくは、注射デバイスは、プランジャに取り付けられるとともに、第1及び第2プランジャ停止機構の両方に関連する、1つの投薬要素のみを備える。単一の投薬要素は、遠位方向におけるプランジャの移動時、プランジャが第1投薬位置に達したときに最初に第1投薬面に当接し、次いで、遠位方向における第1投薬位置からのプランジャのさらなる移動時、プランジャが第2投薬位置に達したときに第2投薬面に当接するように適合され得る。
【0017】
第1及び第2投薬面は、注射デバイスの異なるハウジング要素に設けることができる。しかしながら、注射デバイスの好ましい実施形態では、第1及び第2投薬面は、ともに第1ハウジング要素に、すなわち注射デバイスの同じハウジング要素に形成されている。第1及び第2投薬面は、好ましくは、互いに実質的に平行に延在し、第2投薬面は、第1投薬面に対して遠位方向にオフセットして平行に配置され得る。遠位方向における第1投薬面と第2投薬面との間の距離は、第1投薬位置と第2投薬位置との間の遠位方向におけるプランジャの所望の移動距離に対応することができる。これにより、第1及び第2投薬面を好適に配置することにより、第1投薬位置と第2投薬位置との間の所望のプランジャ変位、そのため第1投薬位置から第2投薬位置にプランジャを変位させる際に注射溶液容器から排出すべき所望の注射溶液用量を、設定することができる。第1及び第2投薬面は、投薬要素の当接面に対して実質的に平行に延在することができる。例えば、第1及び第2投薬面とともに投薬要素の当接面は、プランジャの長手方向軸に対して実質的に垂直に延在することができる。
【0018】
第1プランジャ停止機構は、第1投薬位置においてプランジャの変位を停止させるように適合されているが、例えば、プランジャに作用する作動力を増大させることにより克服することができる、抵抗力を提供するように、設計することができる。しかしながら、注射デバイスの特に好ましい実施形態では、第1プランジャ停止機構は、プランジャのためのハードストップを提供するように適合され、すなわち、第1プランジャ停止機構を損傷することなくプランジャが注射溶液容器に対して第1投薬位置から遠位方向に変位するのを阻止するように適合されている。特に、第1プランジャ停止機構がプランジャのためのハードストップとして設計されている場合、注射デバイスは、好ましくは、プランジャ解放機構をさらに備え、プランジャ解放機構は、プランジャを解放するために、したがって、第1投薬位置から遠位方向における、すなわち第2投薬位置の方向における注射溶液容器に対するプランジャの変位を可能にするために、第1プランジャ停止機構を停止状態にするように適合されている。
【0019】
第2プランジャ停止機構もまた、第2投薬位置においてプランジャの変位を停止させるように構成されているが、例えば、プランジャに作用する作動力を増大させることにより克服することができる、抵抗力を提供するように、設計することができる。しかしながら、特に好ましい実施形態では、第2プランジャ停止機構は、プランジャのためのハードストップを提供するように適合され、すなわち、第2プランジャ停止機構を損傷することなくプランジャが注射溶液容器に対して第2投薬位置から遠位方向に変位するのを阻止するように適合されている。これにより、患者に投与すべき注射溶液の用量を、特に正確な様式で設定することができる。
【0020】
好ましくは、プランジャ解放機構は、投薬要素を第1投薬面から係合解除するために、投薬要素及び第1投薬面のうちの少なくとも一方の移動を可能にするように適合されている。投薬要素及び/又は第1投薬面の移動は、注射デバイスの使用者が手動で引き起こすことができる。注射デバイスの特に好ましい実施形態では、使用者は、投薬要素を第1投薬面から係合解除するために第1投薬面のみを移動させれば十分である。その結果、使用者は、プランジャ解放機構を起動するためにプランジャの移動を引き起こす必要がない。例えば、プランジャ解放機構を起動するために、第1投薬面を支持するハウジング要素のみを移動させればよく、一方で、プランジャは、その位置に留まることができ、これにより、注射デバイスの使用が単純化される。
【0021】
プランジャ解放機構は、投薬要素を第1投薬面から係合解除するために、投薬要素及び第1投薬面のうちの少なくとも一方の回転移動を可能にするように適合され得る。例えば、プランジャ解放機構は、プランジャ及び/又は第1投薬面の、手動で引き起こされた回転によって起動可能であり得る。特に、プランジャ解放機構は、プランジャ解放機構を起動するために第1投薬面を支持するハウジング要素の回転移動を可能にするように適合され得る。プランジャ及び/又は第1投薬面、特に第1投薬面のみの回転移動の作動は、プランジャを遠位方向に移動させるようにプランジャの押圧作動から、使用者が容易に識別することができる。その結果、注射デバイスの使用は、さらに単純化される。
【0022】
注射デバイスの好ましい実施形態では、第1及び第2投薬面は、プランジャの周方向において、互いにオフセットして、例えば異なるか又は同じハウジング要素に配置されている。そのため、プランジャ解放機構は、プランジャが注射溶液容器に対して第1投薬位置から遠位方向に変位する際、第2投薬位置に達したとき、投薬要素が第2投薬面に当接するように、投薬要素を第1投薬面から係合解除するために、且つ、同時に第2投薬面を投薬要素と位置合せするために、プランジャの周方向において第1及び第2投薬面を変位させるように適合され得る。プランジャ解放機構のこうした設計により、注射デバイスの特に単純且つ確実な取扱いが可能になる。
【0023】
好ましくは、第1及び第2投薬面は、プランジャに対して回転可能な第1ハウジング要素に形成されている。第1及び第2投薬面が、プランジャの周方向において第1ハウジング要素に互いにオフセットして配置されている場合、第1投薬面からの投薬要素の係合解除と、第2投薬面が投薬要素と係合する用意ができている位置における第2投薬面の同時配置は、プランジャが、第1投薬位置から遠位方向に変位する際、第2投薬位置に達するとき、適切な回転量だけ第1ハウジング要素を単に回転させることにより容易に達成することができる。
【0024】
第2投薬面は、第1投薬面に形成された凹部の底面によって画定することができる。好ましくは、凹部は、投薬要素が凹部に受け入れられることを可能にするように、設計され、すなわちそうした形状及び寸法である。プランジャが第1投薬位置に配置され、且つ投薬要素が第1投薬面に当接すると、第1投薬面に画定された凹部は、第1ハウジング要素の回転移動を介して、投薬要素と位置合せすることができる。その結果、投薬要素は第1投薬面から係合解除され、プランジャは、投薬要素が凹部に受け入れられ、投薬要素に形成された当接面が、凹部の底面によって画定された第2投薬面に当接するまで、遠位方向にさらに変位することができる。遠位方向における第1投薬面と第2投薬面との間の距離を画定する凹部の深さは、第1投薬位置と第2投薬位置との間の遠位方向におけるプランジャの所望の移動距離に対応することができる。
【0025】
特に外面の領域において、第1及び第2投薬面を支持する第1ハウジング要素に、把持構造を設けることができる。例えば、把持構造は、第1ハウジング要素の外面の形状に応じて、実質的にプランジャの長手方向軸に沿った方向に延在する個々の把持リブを含む把持リブ配列の形態で設計することができる。把持構造により、プランジャ解放機構の取扱いが単純化される。
【0026】
好ましくは、プランジャ解放機構は、プランジャ解放機構の起動を示すように適合されているマーカシステムを備える。マーカシステムは、例えば、例えばその外面の領域において、第1及び第2投薬面を支持する第1ハウジング要素に設けられた第1マーカ要素を含むことができる。マーカシステムは、さらに、特にその外面の領域において、注射デバイスの第2ハウジング要素に設けられた第2マーカ要素を備えることができる。第1及び第2マーカ要素は、プランジャ解放機構が起動されていないとき、例えばプランジャの周方向で互いにオフセットして位置決めされるが、プランジャ解放機構が起動されたとき、互いに位置合わせして位置決めされるような位置において、第1及び第2ハウジング要素に配置され得る。マーカシステムは、プランジャ解放機構を起動する方法に関する誘導情報を使用者に提供し、これにより、注射デバイスの取扱いを単純化する。
【0027】
注射デバイスは、好ましくは、起動機構をさらに備え、起動機構は、プランジャが第1投薬位置に配置されないかぎり、プランジャ解放機構の起動を阻止するように適合されるとともに、プランジャが第1投薬位置に配置されたときにプランジャ解放機構の起動を可能にするように適合されている。起動機構は、プランジャが第1投薬位置に配置されないかぎり、投薬要素及び/又は第1投薬面が互いに対して移動するのを阻止するように適合され得る。特に、起動機構は、プランジャが第1投薬位置に配置されないかぎり、投薬要素を支持するプランジャに対する、第1及び第2投薬面を支持する第1ハウジング要素の回転を阻止するように適合され得る。
【0028】
注射デバイスの好ましい実施形態では、起動機構は、誘導チャネルを備え、誘導チャネルは、プランジャの長手方向軸に沿って延在するプランジャの周面に設けられており、ハウジング要素に設けられた誘導要素を、注射溶液容器に対してプランジャが変位する際、誘導チャネルが誘導要素に対して変位するような様式で、受け入れる。誘導要素と、誘導チャネルの対向する面との相互作用により、プランジャ及びハウジング要素が互いに対して回転するのを阻止することができる。起動機構が、プランジャの長手方向軸に沿って延在する誘導チャネルと、対応する誘導要素とを備える場合、起動機構は、一方ではプランジャのその長手方向軸の方向における誘導された変位を可能にし、同時に、プランジャが第1投薬位置に配置されていないときに第1プランジャ停止機構が意図せず停止状態になるのを阻止するように、二重の機能を果たす。誘導要素に、第1投薬面及び好ましくは第2投薬面も支持する第1ハウジング要素に設けることができる。
【0029】
起動機構は、誘導チャネルから分岐している起動チャネルをさらに備えることができる。例えば、起動チャネルは、誘導チャネルに対して実質的に垂直にプランジャの周方向に延在することができる。起動チャネルは、好ましくは、プランジャが第1投薬位置に配置され、誘導要素並びに好ましくは第1及び第2投薬面も支持する第1ハウジング要素がプランジャに対して回転したとき、誘導要素を受け入れるように適合されている。起動機構のこうした設計により、プランジャの第1投薬位置は、プランジャの長手方向軸に沿った起動チャネルの位置によって画定される。
【0030】
第1及び第2投薬面は、プランジャに対して回転可能である第1ハウジング要素に形成することができる。第1及び第2投薬面が、プランジャの周方向において第1ハウジング要素に互いにオフセットして配置されている場合、第1投薬面からの投薬要素の係合解除と、第2投薬面が投薬要素と係合する用意ができている位置における第2投薬面の同時配置は、プランジャが、第1投薬位置から遠位方向に変位する際、第2投薬位置に達するとき、適切な回転量だけ第1ハウジング要素を単に回転させることにより容易に達成することができる。
【0031】
第2投薬面は、第1投薬面に形成された凹部の底面によって画定することができる。好ましくは、凹部は、投薬要素が凹部に受け入れられるのを可能にするように設計され、すなわちそうした形状及び寸法である。プランジャが第1投薬位置に配置され、且つ投薬要素が第1投薬面に当接すると、第1投薬面に形成された凹部は、第1ハウジング要素の回転移動を介して、投薬要素と位置合せすることができる。その結果、投薬要素は第1投薬面から係合解除され、プランジャは、投薬要素が凹部に受け入れられ、投薬要素に形成された当接面が、凹部の底面によって画定された第2投薬面に当接するまで、遠位方向にさらに変位することができる。
【0032】
プランジャ解放機構は、ロック配置をさらに備えることができ、ロック配置は、第1投薬面が、投薬要素から係合解除されるために投薬要素に対して移動した後、第1投薬面を投薬要素に対して適所にロックするように適合されている。したがって、ロック配置により、プランジャ解放機構を、第1プランジャ停止機構を停止状態にするために一回だけ使用することができる。その結果、注射デバイスの再利用が確実に防止される。
【0033】
ロック配置は、弾性ロッククリップを備えることができ、弾性ロッククリップは、第1投薬面が投薬要素から係合解除されるように投薬要素に対して移動したときにロック要素との相互作用により、休止位置から弾性的に押し出されるように適合されている。例えば、弾性ロッククリップは、第2ハウジング要素に設けることができるが、ロック要素は、第1投薬面及び任意選択的に第2投薬面も支持する第1ハウジング要素に設けることができる。そのため、弾性ロッククリップは、第1ハウジング要素が第2ハウジング要素に対して回転したときに弾性的に変形することができる。ロッククリップは、好ましくは、さらに、第1投薬面の移動の完了後にその休止位置に戻るように変形するように、且つ、第1投薬面を投薬要素に対して適所にロックするようにロック要素と相互作用するように、適合されている。特に、ロッククリップは、第1投薬面を投薬要素から係合解除するために、且つ第2投薬面を投薬要素と位置合せするために、第1ハウジング要素が1回回転した後、第2ハウジング要素及びプランジャに対する第1ハウジング要素の逆回転を防止するように、ロック要素と相互作用することができる。
【0034】
注射デバイスは、制限機構をさらに備えることができ、制限機構は、投薬要素を第1投薬面から係合解除するために、且つ投薬要素を第2投薬面と位置合せするために、投薬要素並びに/又は第1投薬面及び第2投薬面の両方の移動を制限するように適合されている。制限機構は、注射デバイスの使用者が、投薬要素並びに第1及び第2投薬面を互いに対して過剰な様式で移動させることを防止する。さらに、制限機構は、投薬要素が、第1投薬面から適切に係合解除され、第2投薬面と位置合せした、すなわち、第1プランジャ停止機構が停止状態になったというハプティックフィードバックを、使用者に提供する。
【0035】
制限機構は、特に、第1及び第2投薬面を支持する第1ハウジング要素に設けられている第1制限要素を備えることができる。さらに、制限機構は、第2ハウジング要素に設けられている第2制限要素を備えることができ、第2ハウジング要素は、第1プランジャ停止機構を停止状態にするために、第1ハウジング要素が移動、特に回転したときに静止したままであるように適合されている。第1制限要素は、投薬要素が第1投薬面から係合解除されるとともに第2投薬面と位置合せされたとき、第2制限要素に当接するように適合され得る。
【0036】
注射デバイスが、起動チャネルと、第1及び第2投薬面も支持する第1ハウジング要素に形成された誘導要素とを含む、上述した起動機構を備える場合、プランジャに取り付けられた投薬要素に対する第1投薬面の移動は、誘導要素と起動チャネルの端面との間の相互作用によってもまた制限することができ、起動チャネルの端面は、第1ハウジング要素が、プランジャに対して回転した後、投薬要素が第1投薬面から係合解除されるとともに第2投薬面と位置合せされる位置に達したとき、誘導要素のための当接面として作用することができる。
【0037】
注射デバイスは、第1ドラグ機構をさらに備えることができ、第1ドラグ機構は、プランジャを注射溶液容器に対するその現位置で保持する保持力をかけるように適合されている。したがって、第1ドラグ機構は、プランジャが注射溶液容器に対して意図せずに変位するのを阻止し、言い換えれば、第1ドラグ機構の存在により、例えば、押圧力を加えることによる、能動的な手動による作動は、注射溶液容器に対してプランジャを変位させるために必要である。第1ドラグ機構は、例えば第2ハウジング要素に設けることができる弾性ドラグ要素を備えることができる。弾性ドラグ要素は、プランジャに弾性保持力をかけるように適合され得る。すなわち、弾性ドラグ要素は、プランジャとの相互作用により休止位置から付勢位置へ弾性的に押しやることができ、その弾性により、プランジャに弾性的な反作用力を加えることができ、この反作用力により、プランジャは現位置で保持される。弾性ドラグ要素は、特に、ドラグリブと相互作用することができ、ドラグリブは、プランジャの外周面に設けられており、プランジャの長手方向軸に対して実質的に平行に延在している。
【0038】
これに対して別法として又はこれに加えて、注射デバイスは、第2ドラグ機構も備えることができ、第2ドラグ機構は、第1ハウジング要素をその現位置で保持する、すなわち第1ハウジング要素を第2ハウジング要素に対して適所に保持する保持力をかけるように適合されている。したがって、第2ドラグ機構により、第2ハウジング要素に対して第1ハウジング要素が意図せずに変位する、そのため第1プランジャ停止機構が意図せずに停止状態になるのが防止される。第2ドラグ機構は、摩擦要素を備えることができ、摩擦要素は、制限機構の第1制限要素に設けられ、第2ハウジング要素の保持要素と相互作用するように適合されている。
【0039】
注射デバイスは、プランジャ位置決め機構をさらに備えることができ、プランジャ位置決め機構は、プランジャが近位端部位置から近位方向において注射溶液容器に対して変位するのを阻止するように適合されている。プランジャ位置決め機構は、例えば、プランジャの周面に設けられた誘導チャネルの遠位端面を含むことができる。そして、誘導チャネルの遠位端面と、そこに受け入れられた誘導要素との相互作用により、プランジャの近位端部位置を画定することができる。
【0040】
注射デバイスに、プレフィルドシリンジ(14)、バイアル又は他のリザーバを介して、化合物を事前充填することができる。
【0041】
1つの実施形態では、注射デバイス(事前充填されているか否かに関わらず)は、滅菌され、封止されたパッケージで提供される。1つの実施形態では、注射デバイスには、好適な注射溶液が事前充填され、最後に滅菌される。こうした最終的な滅菌ステップは、エチレンオキシド滅菌又は過酸化水素滅菌等、既知の技術を含むことができる。
【0042】
本明細書では、溶液定量吐出デバイス例を開示する。溶液定量吐出デバイス例は、回転可能プランジャと、溶液容器であって、回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように構成された第1端部と、溶液容器内に収容されている溶液を定量吐出するように構成された第2端部とを有し、溶液定量吐出デバイスが、回転可能プランジャが、第1向きにある間、溶液容器に対して第1位置に位置決めされるように第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にし、回転可能プランジャが、第2向きにある間、溶液容器に対して第1位置から第2位置に第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にするように構成され、第2位置が第1位置よりも溶液容器の第2端部に近く、回転可能プランジャを第1位置から第2位置に摺動可能に変位させることにより、溶液容器内に収容されているある量の溶液が定量吐出される、溶液容器と、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第2位置に摺動可能に変位するのを阻止するように構成された第1停止部材と、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第1方向に回転するのを阻止するように構成された第2停止部材とを備える。
【0043】
本明細書では、回転可能プランジャと、溶液容器と、第1停止部材と、第2停止部材とを有する溶液定量吐出デバイスから溶液を定量吐出する方法例を開示する。方法例は、溶液容器の第1端部内に回転可能プランジャを摺動可能に挿入するステップであって、溶液容器の第2端部が、溶液容器内に収容されている溶液を定量吐出するように構成される、ステップと、回転可能プランジャが第1向きにある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第1位置になるまで、回転可能プランジャを第1軸に沿って摺動可能に変位させるステップであって、第1停止部材が、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが、溶液容器に対して、第1位置よりも溶液容器の第2端部に近い第2位置に摺動可能に変位するのを阻止し、第2停止部材が、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第1方向に回転するのを阻止する、ステップと、回転可能プランジャが第1位置で第2向きになるまで、回転可能プランジャを、第1軸を中心に第2方向に回転させるステップと、回転可能プランジャが第2位置にある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第2位置になるまで、回転可能プランジャを、第1軸に沿って摺動可能に変位させるステップであって、回転可能プランジャを第1位置から第2位置に摺動可能に変位させることにより、溶液容器内に収容されているある量の溶液が定量吐出される、ステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】充填アダプタ及び注射デバイスを備える注射溶液移し替えシステムの分解図を示す。
【
図2】接続された状態の充填アダプタ及び注射デバイスの3次元図を示す。
【
図3】注射デバイスに接続されている充填アダプタの縦断面図を示す。
【
図4】充填アダプタの中空スリーブの詳細な3次元図を示す。
【
図5】充填アダプタの中空スリーブの詳細な3次元図を示す。
【
図6】充填アダプタのアダプタ要素の詳細な3次元図を示す。
【
図7】充填アダプタのアダプタ要素の詳細な3次元図を示す。
【
図8】充填アダプタの中空スリーブにおけるアダプタ要素の配置を示す。
【
図9】アダプタ要素と充填アダプタのカニューレとの3次元縦切断図を示す。
【
図10】アダプタ要素と充填アダプタのカニューレとの縦断面図を示す。
【
図11】注射デバイスの注射溶液容器の詳細図を示す。
【
図12】注射デバイスのプランジャの詳細図を示す。
【
図14】充填アダプタが注射デバイスに接続されているときの注射デバイスのプランジャに対する充填アダプタのカニューレの配置を示す。
【
図15】中空スリーブの誘導リブと注射デバイスの注射溶液容器との相互作用を示す。
【
図16】注射デバイスの第1ハウジング要素の詳細な3次元図を示す。
【
図17】注射デバイスの第1ハウジング要素の詳細な3次元図を示す。
【
図18】注射デバイスの第1ハウジング要素の詳細な3次元図を示す。
【
図20】注射デバイスの第2ハウジング要素の詳細な3次元図を示す。
【
図21】注射デバイスの第2ハウジング要素の詳細な3次元図を示す。
【
図23】第2ハウジング要素への注射溶液容器の取付けを示す。
【
図24】第1ハウジング要素と第2ハウジング要素との相互作用を示す。
【
図25】第1ハウジング要素と第2ハウジング要素との相互作用を示す。
【
図26】プランジャと第2ハウジング要素との相互作用を示す。
【
図27】注射デバイスが充填アダプタに接続されているときに注射デバイスのプランジャが充填位置から遠位方向に移動するのを阻止するプランジャロック機構のレバー要素の詳細な3次元図を示す。
【
図28】注射デバイスが充填アダプタに接続されているときに注射デバイスのプランジャが充填位置から遠位方向に移動するのを阻止するプランジャロック機構のレバー要素の詳細な3次元図を示す。
【
図29】アクティブ位置にあるプランジャロック機構のレバー要素を示す。
【
図30】非アクティブ位置にあるプランジャロック機構のレバー要素を示す。
【
図31】充填アダプタが注射デバイスに接続されており、第2ハウジング要素の一部が取り外されており、プランジャロック機構のレバー要素がそのアクティブ位置にある、注射溶液移し替えシステムを示す。
【
図32】第2ハウジング要素におけるプランジャロック機構のレバー要素のアセンブリを示す。
【
図33】
図33a~dは、注射デバイスにシリンジからの注射溶液を充填するときの注射溶液移し替えシステムの使用を示す。
【
図34】
図34a~dは、注射溶液を患者に投与するときの注射デバイスの使用を示す。
【
図35a】
図35aは、さまざまな例による注射デバイスの分解図を示す。
【
図35b】
図35bは、さまざまな例による注射デバイスの分解図を示す。
【
図35c】
図35cは、さまざまな例による注射デバイスの分解図を示す。
【
図36】
図36a~cは、さまざまな例による注射デバイスの使用を示す。
【
図37a】
図37aは、さまざまな例による、溶液定量吐出デバイスを使用するプロセスのフロー図を示す。
【
図37b】
図37bは、さまざまな例による、溶液定量吐出デバイスを使用するプロセスのフロー図を示す。
【
図38a】
図38a~o及び38q~sは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38b】
図38bは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38c】
図38cは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38d】
図38dは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38e】
図38eは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38f】
図38fは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38g】
図38gは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38h】
図38hは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38i】
図38iは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38j】
図38jは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38k】
図38kは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38l】
図38lは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38m】
図38mは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38n】
図38nは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38o】
図38oは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す
。
【
図38q】
図38qは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38r】
図38rは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【
図38s】
図38sは、さまざまな例による、注射デバイス及びその構成要素のさらなる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1及び
図2は、注射デバイス10及び充填アダプタ12を備える注射溶液移し替えシステム100を示す。充填アダプタ12は、
図33a~
図33dに示すように且つさらに後述するように注射デバイス10にシリンジ14からの注射溶液を充填するために、注射溶液を収容しているシリンジ14を注射デバイス10に接続する役割を果たす。シリンジ14は、眼内で使用する注射溶液を収容するプレフィルドシリンジ14の形態で設計されている。
【0046】
充填アダプタ12は、
図4及び
図5により詳細に示す中空スリーブ16を備える。中空スリーブ16は、着色されたプラスチック材料、例えば、ポリカーボネート/アクリルニトリルブタジエンスチロール(PC-ABS)から作製され、内腔が設けられており、内腔は、一方の端部におけるシリンジ14の少なくとも遠位部分の挿入と、反対側の端部における注射デバイス10の少なくとも遠位部分の挿入とを可能にするような寸法である。図面に示す充填アダプタ12の例示的な実施形態では、中空スリーブ16は、実質的に円形の中空の円筒形状を有し、それを貫通して延在する内腔は、実質的に円形の横断面形状を有する。
【0047】
充填アダプタ12は、アダプタ要素18をさらに備え、アダプタ要素18は、中空スリーブ16内に収容され、第1接続ポート20及び第2接続ポート22を備える。アダプタ要素18は、例えば、ポリカーボネートから作製することができ、
図6~
図10により詳細に示す。特に
図8に示すように、アダプタ要素18には、アダプタ要素18の外周面から互いに反対方向に突出している2つの保持肩部23が設けられている。各保持肩部23は、アダプタ要素18を中空スリーブ16内の適所に固定するために、中空スリーブ16の内周面から突出している一対の相補的なクラッシュリブ24と相互作用する。保持肩部23及び相補的なクラッシュリブ24は、アダプタ要素18を中空スリーブ16内の適所に確実に固定するように締り嵌めを形成する。
【0048】
図33a~
図33cに示すように充填アダプタ12がシリンジ14に接続されているとき、アダプタ要素18の第1接続ポート20は、シリンジ14、すなわちシリンジ14の遠位端部に接続されるように適合されている。特に
図10から明らかとなるように、アダプタ要素18の第1接続ポート20は、シリンジ14とアダプタ要素18との間に流体密封接続を確立するために、シリンジ14の遠位端部に設けられたオスルアーテーパと相互作用するように適応させられたメスルアーテーパ25を形成している。アダプタ要素18の第2接続ポート22は、注射デバイス10に接続されるように適合されている。
【0049】
アダプタ要素18には、充填アダプタ12の長手方向軸L1に対して実質的に平行な方向にアダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26が設けられている(特に、
図10参照)。カニューレ27は、アダプタ要素18の第2接続ポート22から突出し、アダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26と流体連通して配置されている(特に、
図9及び
図10参照)。カニューレ27は、ステンレス鋼から作製されている。しかしながら、充填アダプタ12の中空スリーブ16は、カニューレ27の遠位先端を超えて延在している。その結果、使用者は、充填アダプタ12の取扱い中にカニューレ27から保護される。
【0050】
アダプタ要素18は、シリンジ14と注射デバイス10との間の流体接続を確立する役割を果たし、すなわち、
図33aに示すように、シリンジ14がアダプタ要素18の第1接続ポート20に接続されるとともに、注射デバイス10がアダプタ要素18の第2接続ポート22に接続されたとき、シリンジ14に収容されている注射溶液を、シリンジ14の遠位端部から、アダプタ要素18に設けられた貫通開口部26内に、さらに、カニューレ27を介して注射デバイス10の注射溶液容器30内に放出するように、
図33b及び
図33cに示すようにシリンジ14のプランジャ28を手で押すことにより、注射デバイス10内に移し替えることができる。
【0051】
特に
図4及び
図5から明らかとなるように、充填アダプタ12の中空スリーブ16は、シリンジ14がアダプタ要素18の第1接続ポート20と係合したときにシリンジ14に面する第1端部の領域において、シリンジ14がアダプタ要素18の第1接続ポート20と係合したときにシリンジ14のカラー34と係合するように適合された、少なくとも1つの弾性クリップ32を備える(
図33a及び
図33b参照)。図面に示す中空スリーブ16の実施形態では、中空スリーブ16には2つの弾性クリップ32が設けられている。各弾性クリップ32は、アーム36を備え、アーム36は、中空スリーブ16の第1端部の方向に充填アダプタ12の長手方向軸L1に対して実質的に平行に中空スリーブ16に設けられた凹部38内で、延在している。ラッチノーズ40が、アーム36の自由端部の領域においてアーム36の内面から突出している。
【0052】
シリンジ14が第1接続ポート20と係合すると、シリンジ14のカラー34との相互作用により、弾性クリップ32は外向きに曲げられる。しかしながら、シリンジ14がアダプタ要素18に関してその最終位置に達するとすぐに、すなわち、シリンジ14の遠位先端がアダプタ要素18の第1接続ポート20に接続され、シリンジ14が、中空スリーブ16に対して
図33bに示す位置となると、弾性クリップ32は、充填アダプタ12の長手方向軸L1に対して実質的に平行なその元の位置を再び占め、ラッチノーズ40がシリンジ14のカラー34の端面と係合するようにする。その結果、シリンジ14は、中空スリーブ16に堅固に接続される。
【0053】
中空スリーブ16の外周面には、その第1端部の領域において、2つの第1把持構造42が設けられており、各把持構造42はこぶ配列の形態で設計されている。第1把持構造により、シリンジ14を充填アダプタ12に接続している間、充填アダプタ12の取扱いが単純化される。さらに、中空スリーブ16は、その第1端部の領域と、注射デバイス10がアダプタ要素18の第2接続ポート22と係合したときに注射デバイス10に面する第2端部の領域とにおいて、第1端部と第2端部との間に配置された中間セクションにおける中空スリーブ16の外径よりも大きい外径を有する。中空スリーブ16のこうした設計により、把持、したがって充填アダプタ12の取扱いがさらに単純化される。
【0054】
図11に示すように、注射デバイス10の注射溶液容器30は、保護外側バレル44に収容されている内側注射溶液容器30の形態で設計されている。内側注射溶液容器30及び保護外側バレル44は、互いに一体的に形成されており、滅菌プラスチック材料から作製されている。保護外側バレル44には、その近位端部の領域において、フランジ要素46が設けられている。注射溶液容器30の遠位端部には、オスルアーテーパ48が設けられており、オスルアーテーパ48は、
図2及び
図3に示すように充填アダプタ12が注射デバイス10に接続されたとき、充填アダプタ12のアダプタ要素18の第2接続ポート22に設けられたメスルアーテーパ50と相互作用する。ルアーテーパ48、50により、注射溶液容器30の遠位端部と、充填アダプタ12のアダプタ要素18との間に流体密封接続を確立することができる。
【0055】
図11からさらに明らかとなるように、注射デバイス10の外側バレル44は、その遠位端部の領域において、ルアーねじ山52が設けられている。
図2及び
図3に示すように充填アダプタ12が注射デバイス10に接続されると、ルアーねじ山52は、アダプタ要素18の第2接続ポート22の外周に設けられた相補的なルアーねじ山54と相互作用する(
図6、
図8~
図10参照)。その結果、注射デバイス10の外側バレル44と、充填アダプタ12のアダプタ要素18との間の確実な接続もまた、達成することができる。
【0056】
注射デバイス10をアダプタ要素18の第2接続ポート22と係合させる間の充填アダプタ12の取扱いを単純化するために、中空スリーブ16には、注射デバイス10がアダプタ要素18の第2接続ポート22と係合したときに注射デバイス10に面する第2端部の領域において、その外周面に、第2把持構造56が設けられている。第2把持構造56は、個々の把持リブが充填アダプタ12の長手方向軸L1に対して実質的に平行に延在する、2つの把持リブ配列の形態で設計されている。
【0057】
さらに、
図15に示すように、中空スリーブ16には、長手方向誘導リブ58が設けられており、長手方向誘導リブ58は、中空スリーブ16の内周面から突出し、充填アダプタ12の長手方向軸L1に対して実質的に平行に延在している。誘導リブ58は、第2接続ポート22と係合するように注射デバイス10を誘導する役割を果たす。誘導リブ58の誘導機能は、充填アダプタ12を注射デバイス10に接続する際に、カニューレ27が注射デバイス10の注射溶液容器30と接触するのを防止する。中空スリーブ16及び長手方向誘導リブ58は、誘導リブ58と、注射デバイス10の外側バレル54の外面との間に滑り嵌めが生じるように設計され、すなわちそのような形状及び寸法である。
【0058】
図9及び
図10に戻ると、アダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26は、第1接続ポート20に隣接して配置された入口セクション26aを含む。充填アダプタ12の使用時、シリンジ14から排出される注射溶液は、これにより貫通開口部26にその入口セクション26aを介して流入し、入口セクション26aは、シリンジ14から排出される注射溶液の流れの方向で低減する流れ断面積を有する。さらに、貫通開口部26は中間セクション26bを含み、中間セクション26bは、充填アダプタ12の使用中にシリンジ14から排出される注射溶液の流れの方向において、入口セクション26aの下流に配置されている。貫通開口部26の中間セクション26bは、中間セクション26bに隣接した入口セクション26aの最小流れ断面積に実質的に対応する、実質的に一定の流れ断面積を有する。最後に、貫通開口部26は受入セクション26cを含み、受入セクション26cは、充填アダプタ12の使用中にシリンジ14から排出される注射溶液の流れの方向において、中間セクション26bの下流に、すなわち第2接続ポート22に隣接して配置されている。受入セクション26cは、中間セクション26bの流れ断面積より大きい流れ断面積を有する。
【0059】
図9及び
図10からさらに明らかとなるように、カニューレ27は、貫通開口部26の中間セクション26bの少なくとも一部の内部に延在し、これにより、貫通開口部26の中間セクション26b又はその一部は、カニューレ27の近位端部が固定されている、アダプタ要素18のカニューレ受入ボアを形成している。カニューレ27は、締り滑り嵌めによってカニューレ受入ボアに受け入れられる。加えて、カニューレ27には、傾斜した端部が設けられている。カニューレ27及びカニューレ受入ボアのこの設計により、カニューレ27をカニューレ受入ボアに取り付ける際の摩耗粒子の発生が最小限になる。アダプタ要素18とカニューレ27との最終的な結合は、UV硬化接着剤によって行われる。カニューレ27は、貫通開口部26の中間セクション26bから、貫通開口部26の受入セクション26c及び第2接続ポート22を通り、第2接続ポート22から突出するように延在している。貫通開口部26の受入セクション26cと、第2接続ポート22と、充填アダプタ12の中空スリーブ16とは、カニューレ27の周囲に同心状配置を画定している(特に、
図3参照)。
【0060】
特に
図8に示すように、アダプタ要素18には、2つの保持肩部60が設けられており、これら保持肩部60は、アダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26の入口セクション26a及び中間セクション26bの領域において、アダプタ要素18の外周面から互いに反対方向に突出している。
【0061】
充填アダプタ12が注射デバイス10に接続されると、カニューレ27は、注射デバイス10の注射溶液容器30内に延在し、すなわち、カニューレ27の遠位先端は、注射溶液容器30の内部において注射溶液容器30の遠位端部から距離を置いて配置される(特に、
図3参照)。その結果、シリンジ14から注射デバイス10へ注射溶液を移し替える際、カニューレ27を介してシリンジ14から出る注射溶液は、注射溶液容器30の遠位端部の領域ではなく、注射溶液容器30の内部において注射溶液容器30の遠位端部から距離を置いて配置された位置において、注射デバイス10の注射溶液容器30に供給される。
【0062】
図33a~
図33cに示すように、充填アダプタ12の長手方向軸L1及び注射デバイス10の長手方向軸L2が実質的に垂直に向けられるとともに、注射デバイス10の遠位端部が下方に面している状態で、単に充填アダプタ12及び注射デバイス10を直立位置で保持することにより、カニューレ27の遠位先端から注射溶液容器30の遠位端部の方向において下方への、さらにはアダプタ要素18の方向における、注射溶液の重力に基づく流れを、引き起こすことができる。カニューレ27の遠位先端から排出され、重力によって駆動される様式でアダプタ要素18の方向に戻るように流れる注射溶液の部分は、アダプタ要素18に設けられた開口部26の受入セクション26cに受け入れられる。注射溶液内に閉じ込められ、そのため注射溶液の液相と共にシリンジ14から注射溶液容器30へ移し替えられる気泡は、この重力によって駆動された流れと共に運ばれ、注射溶液の液相の密度比の方が高いことにより、注射溶液容器30の遠位端部の方向に、さらにはアダプタ要素18の方向に押しやられる。
【0063】
最後に、アダプタ要素18には、通気デバイス64が設けられており、通気デバイス64は、シリンジ14から注射デバイス10、すなわち注射デバイス10の注射溶液容器30内に導入されるガスを、貫通開口部26及びカニューレ27を介して周囲環境中に排気するように適合されている。したがって、通気デバイスにより、注射溶液の上述した重力によって駆動される流れによってカニューレ27の遠位先端からアダプタ要素18に戻るように搬送される、閉じ込められた気泡、特に空気の気泡を、周囲環境中に排出することができる。したがって、充填アダプタ12により、注射デバイス10への、注射溶液のガス無しの充填が可能になる。その結果、シリンジ14を充填アダプタ12に接続する前に、閉じ込められたガスをシリンジ14から手動で排出するのを、なしにすることができる。さらに、注射デバイス10内の注射溶液の所望の用量の正確且つ確実な準備が可能となる。
【0064】
通気デバイス64は、アダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26を周囲環境に接続する2つの半径方向ボア66を備える。特に、半径方向ボア66は、貫通開口部26の受入セクション26cを、アダプタ要素18の外周面、そのため周囲環境に接続している。図面に示す充填アダプタ18の実施形態では、通気デバイス64の半径方向ボア66は、貫通開口部26の受入セクション26cを周囲環境に接続するように、アダプタ要素18の外周面から貫通開口部26の受入セクション26cまで同軸上に延在している。注射溶液の液相の実質的な量を周囲環境に排出することなく、注射溶液に閉じ込められた気泡を、要求通りに周囲環境に排気することができることを確実にするために、半径方向ボア66の流れ断面積、すなわち直径は、シリンジ14から注射デバイス10へ移し替えられる注射溶液の物理的特性、特に、密度比、粘度及び表面張力に応じて選択される。
【0065】
通気デバイス64の適切な機能を確保するために、保持肩部23は、アダプタ要素18を貫通して延在する貫通開口部26の入口セクション26a及び中間セクション26bの領域において、アダプタ要素18の外周面から突出している。こうした構成により、貫通開口部26の受入セクション26cの領域において、アダプタ要素18の外周面と中空スリーブ16の内周面との間に空隙68が存在することが確実になり、これにより、通気デバイス64の半径方向ボア66を介する受入セクション26cからのガスの妨げられない排出が可能になる。
【0066】
注射溶液移し替えシステム100の注射デバイス10は、
図12により詳細に示すプランジャ70をさらに備える。図面に示す注射デバイス10の実施形態では、プランジャ70はポリカーボネートから作製されている。プランジャ70の少なくとも一部は、注射デバイス10の注射溶液容器30内に摺動可能に受け入れられる。プランジャ70は、注射デバイス10の注射溶液容器30に収容されている注射溶液を注射溶液容器30から排出するために、プランジャ70の長手方向軸に沿って遠位方向に注射溶液容器30に対して変位可能である。注射溶液容器30から近位方向に突出する近位端部において、プランジャ70は作動ボタン72を支持しており、作動ボタン72は、プランジャ70の長手方向軸に沿って遠位方向にプランジャ70を注射溶液容器30に対して変位させるために、使用者が押し下げることができる。
【0067】
プランジャ70には、その遠位端部において、プランジャロッド76に取り付けられている先端要素74が設けられている(
図13参照)。プランジャロッド76と先端要素74との結合は、プランジャロッド76の遠位端部に設けられた先端かかり78の、先端要素74のかかり受け部80との相互作用によって行われる。さらに、先端要素74には封止要素82が設けられており、封止要素82は、先端要素74の外周面の領域に設けられるとともに、注射溶液容器30の内周面と封止するように相互作用する。
【0068】
注射デバイス10のプランジャ70は、
図33a~
図33dに示すように充填位置に配置することができる。プランジャ70がその充填位置に配置され、注射デバイス10が充填アダプタ12のアダプタ要素18の第2接続ポート22と係合すると、プランジャ70の遠位先端、すなわちプランジャ70の遠位先端に設けられた先端要素74の遠位端面は、充填アダプタ12のカニューレ27の遠位先端から所望の近い距離Dに配置される(
図14参照)。例えば、注射デバイス10及び充填アダプタ12は、プランジャ70の遠位先端とカニューレ27の遠位先端との間の距離Dを、約1.5mm±0.5mmに設定するように設計され得る。プランジャ70の遠位先端及びカニューレ27の遠位先端を近い距離に配置することにより、カニューレ27を介して注射溶液容器30に供給される注射溶液は、確実に通気デバイス64の方向に流される。その結果、注射溶液容器30への、注射溶液の空気のない充填を確実にすることができる。
【0069】
最後に、中空スリーブ16には、シリンジ14から注射デバイス10への注射溶液の充填を観察するための2つの観察窓83が設けられている。観察窓83により、注射デバイス10の内部及びカニューレ27の遠位先端を妨げられることなく見ることができる。
【0070】
プランジャ70は、注射デバイス10のハウジング84に変位可能に受け入れられ、ハウジング84は、
図16~
図19により詳細に示す第1ハウジング要素86と、
図20~
図23により詳細に示す第2ハウジング要素88とを備える。第1及び第2ハウジング要素86、88はともに、ポリカーボネート/アクリルニトリルブタジエンスチロールから作製されているが、異なる色を有する。第1ハウジング要素86には、プランジャ貫通孔90が設けられており、プランジャ貫通孔90は、プランジャ70がその長手方向軸に沿った方向に第1ハウジング要素86に対して変位可能であるように、プランジャロッド76を受け入れる。誘導要素92は、プランジャ貫通孔90内に突出するように第1ハウジング要素86に設けられている。プランジャ70、すなわちプランジャロッド76が第1ハウジング要素86のプランジャ貫通孔90に受け入れられると、各誘導要素92は、誘導チャネル94と係合し、誘導チャネル94は、プランジャ70、すなわちプランジャロッド76の周面に設けられており、プランジャ70の長手方向軸に沿って延在している(特に、
図19a及び
図19b参照)。
【0071】
プランジャ70を第1ハウジング要素86に組み付けるために、プランジャロッド76の外周面に組立てチャネル96が設けられており、組立てチャネル96は、誘導チャネル94の遠位領域から分岐しており、プランジャロッド76の周方向に誘導チャネル94に対して実質的に垂直に延在している。プランジャ70を第1ハウジング要素86に組み付ける際、誘導要素92は組立てチャネル96と係合する。その後、プランジャ70は、誘導要素92が誘導様式で誘導チャネル94に受け入れられるまで回転する(
図19a及び
図19b参照)。
【0072】
注射溶液移し替えシステム100の取扱いを単純化するために、注射デバイス10は、プランジャ70がプランジャ70の近位端部位置に対応するその充填位置に配置された状態で引き渡される。プランジャ位置決め機構98は、プランジャ70が、その近位端部位置、すなわちその充填位置よりも注射溶液容器30に対して近位方向にさらに移動することができるのを防止する。しかしながら、プランジャ位置決め機構98は、プランジャ70がその充填位置から遠位方向に注射溶液容器30に対して移動するのを可能にする。具体的には、プランジャ位置決め機構98は、プランジャロッド78の周面に設けられている誘導チャネル94の遠位端面102と、第1ハウジング要素86に設けられた誘導要素92とによって画定されている。プランジャ70が、その充填位置に対応するその近位端部位置に配置されると、誘導要素92は、誘導チャネル94の遠位端面102に当接する。そのため、誘導チャネル94の遠位端面102と誘導要素92との相互作用により、プランジャ70が近位方向にそれ以上移動するのが阻止され、そのため、プランジャ70の近位端部位置、すなわち充填位置が画定される。
【0073】
第2ハウジング要素88は、2つの同一の部分を含み(
図20及び
図21参照)、各部分は、締り嵌めピン104及び締り嵌め受け部106を備える。第2ハウジング要素88の2つのハウジング部分は、
図22に示すように締り嵌めピン104をそれぞれの締り嵌め受け部106と係合させることによって組み立てられる。組立て時に第2ハウジング要素88の部分を互いに位置合わせするために、位置合せピン108が設けられており、位置合せピン108は、第2ハウジング要素88の部分を接続する際、それぞれの位置合わせ受け部110に受け入れられる。注射溶液容器30及び保護外側バレル44は、外側バレル44の近位端部から延在するフランジ要素46を介して第2ハウジング要素88に接続されている。具体的には、フランジ要素46は、第2ハウジング要素88の、適切な形状及び寸法である受け部112に受け入れられる(
図23参照)。
【0074】
特に
図26に示すように、第2ハウジング要素88にはプランジャガイド114が設けられており、プランジャガイド114は、プランジャ70が第2ハウジング要素88に対して回転するのを阻止するように、プランジャロッド76を拘束する。第1ドラグ機構116が、プランジャ70を第2ハウジング要素88に対して現位置で保持する保持力をかけるように適合されている。したがって、第1ドラグ機構116により、注射溶液容器30に対してプランジャ70が意図せずに変位するのが防止され、これにより、注射溶液容器30に対してプランジャ70を変位させるために、例えば作動ボタン72に押圧力を加えることによるプランジャ70の能動的な手動による作動が必要となる。第1ドラグ機構116は、第2ハウジング要素88に設けられた弾性ドラグ要素118を備える。弾性ドラグ要素118は、プランジャ70に弾性保持力をかけ、すなわち、弾性ドラグ要素118は、プランジャ70との相互作用により休止位置から付勢位置に弾性的に押しやられ、その弾性により、プランジャ70に弾性的な反作用力を加え、この反作用力により、プランジャ70は現位置で保持される。具体的には、弾性ドラグ要素118は、ドラグリブ120と相互作用し、ドラグリブ120は、プランジャロッド76の外周面に設けられており、プランジャ70の長手方向軸に対して実質的に平行に延在している。
【0075】
注射デバイス10は、プランジャロック機構122をさらに備え、プランジャロック機構122は、注射デバイス10が充填アダプタ12に接続されたとき、注射デバイス10のプランジャ70が、その充填位置から遠位方向において、すなわちカニューレ27の遠位先端の方向において注射溶液容器30に対して移動するのを阻止するように、充填アダプタ12、すなわち充填アダプタ12の中空スリーブ16と相互作用する。プランジャロック機構122は、プランジャ70、すなわちプランジャ70の遠位先端と、カニューレ27の遠位先端との不注意での接触を防止する役割を果たす。ここで、プランジャロック機構122の機能について、
図27~
図32を参照してより詳細に説明する。
【0076】
具体的には、プランジャロック機構122は、レバー要素124を備え(
図27及び
図28参照)、レバー要素124は、第2ハウジング要素88内で、
図29及び
図31に示すアクティブ位置と、
図30に示す非アクティブ位置との間で変位可能である。レバー要素124は、そのアクティブ位置に配置されているとき、注射デバイス10が充填アダプタ12に接続されているときにプランジャ70がその充填位置から遠位方向に移動するのを阻止するように、プランジャ70及び充填アダプタ12の中空スリーブ16と相互作用する。反対に、レバー要素124は、その非アクティブ位置に配置されているとき、注射デバイス10が充填アダプタ12に接続されていないときに、プランジャ70がその充填位置から遠位方向に移動するのを可能にする。レバー要素124は、そのアクティブ位置とその非アクティブ位置との間で回転可能であるように、第2ハウジング要素88内に取り付けられている。具体的には、レバー要素124にはヒンジ126が設けられており、ヒンジ126は、レバー要素124を、第2ハウジング要素88に設けられた回転軸128に回転可能に取り付ける。
【0077】
レバー要素124は、一対のフット要素130をさらに備え、一対のフット要素130は、互いに実質的に平行に延在するとともに、レバー要素124をそのアクティブ位置で維持するために、注射デバイス10が充填アダプタ12に接続されているとき、充填アダプタ12と接触する。特に、
図29に示すように、フット要素130は、充填アダプタ12に面し、注射デバイス10が充填アダプタ12に接続されているときに注射デバイス10に面する中空スリーブ16のロックリム132と接触する。中空スリーブ16のロックリム132とフット要素130との相互作用により、レバー要素124は、プランジャ70の長手方向軸に対して実質的に平行に近位方向に押されてプランジャ70と接触し、したがって、
図29及び
図31に示すそのアクティブ位置で保持される。
【0078】
レバー要素124は、レバー要素124の近位端面から延在する2つのタブを備える停止デバイス134を備える。さらに、プランジャ70の近位部分は、プランジャ70の遠位部分よりも、プランジャ70の長手方向軸に対して実質的に垂直な方向にさらに延在している。その結果、プランジャ70の遠位部分と近位部分との間の移行領域に、当接面136を画定する肩部が形成されている。具体的には、当接面136は、遠位プランジャ部分の外周面から突出する近位プランジャ部分の遠位端面の外側部分によって画定されている。レバー要素124が
図29に示すそのアクティブ位置に配置されているとき、停止デバイス134の2つのタブは、プランジャ70の当接面136に当接する。その結果、レバー要素124はそのアクティブ位置で保持され、同時に、プランジャ70がその充填位置から遠位方向に移動することが阻止される。
【0079】
プランジャロック機構122は、保持デバイス138も備え、保持デバイス138は、レバー要素124が、ロックリム132とフット要素130との相互作用によってそのアクティブ位置で維持されているとき、フット要素130が充填アダプタ12のロックリム132から係合解除するのを阻止するために、レバー要素124のフット要素130と相互作用する(
図20及び
図32参照)。特に、保持デバイス138は、レバー要素124がプランジャ70と係合するように押されたとき、フット要素130が中空スリーブ16のロックリム132の周囲で滑り、それにより充填アダプタ12から係合解除するのを防止する。保持デバイスは、第2ハウジング要素88に設けられ、保持リブの形態で設計されており、保持リブにより、レバー要素124のフット要素130が、プランジャ70の長手方向軸に対して実質的に垂直な方向にプランジャ70から離れるように変形するのが防止される。
【0080】
上述したように且つ
図33a~
図33cに示すように、プランジャ70が充填位置に配置された状態で、シリンジ14から注射デバイス10の注射溶液容器30への注射溶液の移し替えが完了した後、アダプタ要素18の第2接続ポート22に設けられたメスルアーテーパ50から、注射溶液容器30の遠位端部に設けられたオスルアーテーパ48を係合解除することにより、且つ第2接続ポート22に設けられた相補的なルアーねじ山54から、外側バレル44の遠位端部に設けられたルアーねじ山52を係合解除することにより、充填アダプタ12及びシリンジ14が注射デバイス10から取り外される(
図33d参照)。
【0081】
充填アダプタ12が注射デバイス10から取り外されるとすぐに、充填アダプタ12、すなわち中空スリーブ16のロックリム132は、レバー要素124のフット要素130と接触しなくなる。このため、注射デバイス10の注射溶液容器30内で遠位方向にプランジャ70を変位させるために、プランジャ70に押付力が加えられると、レバー要素124は、
図30に示す非アクティブ位置に変位する。特に、レバー要素124は、その回転軸128を中心にそのアクティブ位置からその非アクティブ位置に回転し、これにより、プランジャ70の邪魔にならなくなる。結果として、プランジャ70の変位は妨げられなくなる。その結果、例えば外側バレル44の遠位端部に設けられたルアーねじ山52を用いて、注射デバイス10に針(図面には示さず)を取り付けることができ、さらに後述するように注射デバイス10を操作することができる。
【0082】
注射溶液容器30に収容されている注射溶液の正確な用量、特に、例えば10μlの正確な微量用量を患者に投与するために、第1ステップにおいて、
図34aに示すようにプランジャ70を注射溶液容器30に対して遠位方向に変位させることにより、余分な注射溶液を注射溶液容器30から排出させなければならない。その後、所望の用量の注射溶液を、患者に注射することができる。
【0083】
したがって、注射デバイス10は、第1投薬位置P1においてプランジャ70が遠位方向において注射溶液容器30に対して変位するのを停止させるように適合された、第1プランジャ停止機構140を備える(
図34参照)。さらに、注射デバイス10は、第2投薬位置P2においてプランジャ70が第1投薬位置P1から遠位方向において注射溶液容器30に対して変位するのを停止させるように適合された、第2プランジャ停止機構142を備える(
図34d参照)。プランジャ70の第1及び第2投薬位置P1、P2は、プランジャ70が、第1投薬位置P1と第2投薬位置P2との間で注射溶液容器30に対して変位する際、注射溶液容器30に収容されている注射溶液の所望の用量を注射溶液容器30から排出するように適合されるように、選択されている。
【0084】
これにより、使用者は、注射デバイス10の使用中、プランジャ70が第1投薬位置P1に達するまでプランジャ70を遠位方向において注射溶液容器30に対して変位させることにより、余分な注射溶液を注射溶液容器30から排出することができる。第1投薬位置P1に達すると、第1プランジャ停止機構140は、プランジャ70が遠位方向にさらに変位するのを停止させる。その結果、使用者が過度に注射溶液を注射溶液容器から排出することが防止される。次いで、注射溶液容器に収容されている残留注射溶液は、プランジャ70が第2投薬位置P2に達するまでプランジャ70を遠位方向にさらに変位させることにより、患者に投与することができる。第2投薬位置P2に達すると、第2プランジャ停止機構142は、プランジャ70がそれ以上遠位方向に変位するのを停止させ、これにより、過度に注射溶液が患者に投与されるのを防止する。
【0085】
特に、
図12、
図16及び
図18に示すように、第1プランジャ停止機構140は、投薬要素144を備え、投薬要素144は、プランジャ70に取り付けられており、第1ハウジング要素86に設けられた第1投薬面146に当接するように適合されている。投薬要素144は、第2プランジャ停止機構142の一部も形成しており、第2プランジャ停止機構142の一部として、第1ハウジング要素86にも設けられている第2投薬面148に当接するように適合されている。投薬要素144は、プランジャ70と一体的に形成されており、作動ボタン72の下面から内側溶液容器30の方向に突出しているリブの形態で設計されている。
【0086】
第1及び第2投薬面146、148は、実質的に互いに平行に、且つプランジャ70の長手方向軸に対して実質的に垂直な投薬要素144の当接面150に対して平行に延在しており、第2投薬面148は、遠位方向に第1投薬面146に対してオフセットして平行に配置されている。遠位方向における第1投薬面146と第2投薬面148との間の距離Sは、第1投薬位置P1と第2投薬位置P2の間の遠位方向におけるプランジャ70の所望の移動距離に対応する(特に、
図18参照)。したがって、遠位方向における第1投薬面146と第2投薬面148との間の距離Sにより、プランジャ70を第1投薬位置P1から第2投薬位置P2に変位させる際、注射溶液容器30から排出すべき所望の注射容器用量が設定される。
【0087】
さらに、第1及び第2投薬面146、148は、プランジャ70の周方向において互いにオフセットして配置されている。具体的には、第2投薬面148は、第1ハウジング要素86に設けられた第1投薬面146に形成された凹部152の底面によって画定されている。
【0088】
プランジャ70が、注射デバイス10の使用中、
図34aに示すその充填位置から遠位方向に移動したとき、
図34bに示すようにプランジャ70が第1投薬位置P1に達すると、投薬要素144の当接面150が第1投薬面146に当接する。投薬要素144の第1投薬面146との相互作用により、プランジャが遠位方向にさらに変位するのが防止される。これにより、第1プランジャ停止機構140は、第1投薬位置P1においてプランジャ70のためのハードストップを提供する。したがって、注射デバイス10は、プランジャ解放機構154をさらに備え、プランジャ解放機構154は、プランジャ70を解放するために、したがって、プランジャ70が第1投薬位置P1から遠位方向において、すなわち第2計量位置P2の方向において注射溶液容器30に対して変位するのを可能にするために、第1プランジャ停止機構140を停止状態にするように構成されている。
【0089】
プランジャ解放機構154は、投薬要素144を第1投薬面146から係合解除するために、投薬要素144に対して、すなわちプランジャ70に対して第1投薬面146が移動するのを可能にするように適合されている。具体的には、プランジャ解放機構154は、投薬要素144を第1投薬面146から係合解除するために、投薬要素144に対して、すなわちプランジャ70に対して第1投薬面146が回転移動するのを可能にするように適合されている。投薬要素144に対して第1投薬面146が回転移動するようにするために、第1及び第2投薬面146、148を支持する第1ハウジング要素86は、第2ハウジング要素88に対して手動で回転可能であるように設計されている(
図34c参照)。プランジャ70は、プランジャガイド114によって、第2ハウジング要素88に対して回転するのが阻止されるため、第2ハウジング要素88に対して第1ハウジング要素86が回転することにより、必然的に、第1ハウジング要素86がプランジャ70に対して回転することになる。
【0090】
誘導様式で第2ハウジング要素88に対して回転可能であるために、第1ハウジング要素86に、保持凹部156が設けられており(
図17、
図18及び
図24参照)、保持凹部156は、第2ハウジング要素88に形成された保持要素158を受け入れる(
図20参照)。さらに、プランジャ解放機構154の取扱いを単純化するために、第1ハウジング要素86の外面の領域に、把持構造159が設けられている。把持構造159は、個々の把持リブが実質的にプランジャ70の長手方向軸に沿った方向に延在している、把持リブ配列の形態で設計されている。
【0091】
第2ハウジング要素88に対する、そのためプランジャ70に対する第1ハウジング要素86の回転量は、第1投薬面146に形成された凹部152が、プランジャ70の作動ボタン72から突出している投薬要素144と位置合せされるように設定されている。したがって、プランジャ解放機構154は、投薬要素144を第1投薬面146から係合解除するために、且つ同時に第2投薬面148を投薬要素144と位置合せするために、第1及び第2投薬面146、148をプランジャ70の周方向に変位させるように適合されている。
【0092】
使用者が、プランジャ解放機構154を起動する際、第1ハウジング要素86を第2ハウジング要素88に対して正しい方向に、投薬要素144を第1投薬面146から係合解除するために、且つ同時に第2投薬面148を投薬要素144と位置合せするために必要な、正しい回転量だけ回転させることを確実にするために、プランジャ解放機構154は、プランジャ解放機構154の起動を示すように適合されているマーカシステム160を備える。マーカシステム160は、第1ハウジング要素86の外面に設けられている第1マーカ要素162を含む。マーカシステム160は、第2ハウジング要素88の外面に設けられている第2マーカ要素164をさらに含む。第1及び第2マーカ要素162、164は、第1及び第2ハウジング要素86、88において、プランジャ解放機構154が起動されていないときはプランジャ70の周方向において互いにオフセットして位置決めされるが、プランジャ解放機構154が起動されると互いに位置合わせして位置決めされるような位置に、配置されている。
図34bと
図34cとを比較されたい。
【0093】
注射デバイス10は、制限機構166さらに備え、制限機構166は、投薬要素144を第1投薬面146から係合解除するために、且つ投薬要素144を第2投薬面146と位置合せするために、第1及び第2投薬面146、148の動きを制限するように適合されている(
図16及び
図20参照)。制限機構166は、第1及び第2投薬面146、148を支持する第1ハウジング要素86に設けられている第1制限要素168を備える。さらに、制限機構166は、第1プランジャ停止機構140を停止状態にするために第1ハウジング要素86が回転したときに静止したままである、第2ハウジング要素88に設けられている第2制限要素170を備える。投薬要素144が、第1ハウジング要素86がプランジャ70に対して回転することにより、第1投薬面146から係合解除されるとともに第2投薬面148と位置合せされたとき、第1制限要素168は第2制限要素170に当接する。制限機構166は、注射デバイス10の使用者が第1ハウジング要素86を第2ハウジング要素88に対して過度に回転させるのを防止する。さらに、制限機構166は、第1プランジャ停止機構140が停止状態になったという、触覚フィードバックを使用者に提供する。
【0094】
第2ドラグ機構172は、第1ハウジング要素86を第2ハウジング要素88に対して現位置で保持する保持力をかける役割を果たす。第2ドラグ機構172が存在するため、第2ハウジング要素88に対して第1ハウジング要素86を回転させるために、能動的な手動による作動が必要である。したがって、第2ドラグ機構172により、第1ハウジング要素86が第2ハウジング要素88に対して非意図的に変位し、そのためプランジャ解放機構154が非意図的に起動するのが防止される。第2ドラグ機構172は、摩擦要素174を備え、摩擦要素174は、制限機構166の第1制限要素168に設けられており、第2ハウジング要素88の保持要素158と摩擦により相互作用するように適合されている。
【0095】
注射デバイス10は、起動機構176をさらに備え、起動機構176は、プランジャ70が第1投薬位置P1に配置されるまでプランジャ解放機構154の起動を阻止するように適合されており、プランジャ70が第1投薬位置P1に配置されたときにプランジャ解放機構154の起動を可能にするように適合されている(
図12、
図16及び
図19a参照)。具体的には、起動機構176は、プランジャ70に対する第1ハウジング要素86の回転を阻止し、これにより、プランジャ70が第1投薬位置P1に配置されるまで投薬要素144及び第1投薬面144の互いに対する移動を阻止する。
【0096】
起動機構176は、誘導チャネル94を備え、誘導チャネル94は、プランジャ70の長手方向軸に沿って延在するプランジャ70の周面に設けられており、注射溶液容器30に対するプランジャ70の変位の際、誘導チャネル94が誘導要素92に対して変位するように、第1ハウジング要素86に設けられた誘導要素92を受け入れる。誘導要素92と、誘導チャネル94の互いに反対側の面との相互作用により、プランジャ70及び第1ハウジング要素86の互いに対する回転が阻止される。したがって、起動機構176は、一方では長手方向軸の方向でプランジャ70が誘導されて変位するのを可能にするように、且つ同時に、プランジャ70が第1投薬位置に配置されていないときに第1プランジャ停止機構154が意図せずに停止状態になるのを防止するように、二重の機能を果たす。
【0097】
起動機構176は、起動チャネル178をさらに備え、起動チャネル178は、誘導チャネル94から分岐するとともに、誘導チャネル94に対して実質的に垂直なプランジャ70の周方向に延在している。プランジャ70が第1投薬位置P1に配置されるとともに、第1ハウジング要素86がプランジャ70に対して回転すると、起動チャネル178は誘導要素92を受け入れる。これにより、プランジャ70の第1投薬位置P1は、プランジャ70の長手方向軸に沿った起動チャネル178の位置によって画定される。
【0098】
最後に、プランジャ解放機構154は、ロック配置180をさらに備え、ロック配置180は、第1投薬面146が、投薬要素144から係合解除されるために投薬要素144に対して移動した後、第1投薬面146を投薬要素144に対して適所にロックする(
図17、
図21及び
図25参照)。具体的には、ロック配置180は、弾性ロッククリップ182を含み、弾性ロッククリップ182は、第2ハウジング要素88に設けられており、第1投薬面146が、投薬要素144から係合解除されるように投薬要素144に対して移動すると、すなわち第1ハウジング要素86が第2ハウジング要素88に対して回転すると、第1ハウジング要素86に設けられたロック要素184との相互作用により、休止位置から弾性的に押し出される。
【0099】
ロッククリップ182は、第1投薬面146の移動の完了後、すなわち第1ハウジング要素86の回転の完了後、その休止位置に戻るように変形し、第2ハウジング要素88及びプランジャ70に対して第1ハウジング要素86をロックするようにロック要素184と相互作用する。特に、ロッククリップ182は、第1投薬面146を投薬要素144から係合解除するために、且つ第2投薬面148を投薬要素144と位置合せするために、第1ハウジング要素86が1回回転した後、第2ハウジング要素88及びプランジャ70に対する第1ハウジング要素86の逆回転を阻止するように、ロック要素184と相互作用する。その結果、第1投薬面146は、投薬要素144に対して適所にロックされる。ロック配置180は、プランジャ解放機構154が、第1プランジャ停止機構140を停止状態にするために一回だけ使用されるのを可能にする。その結果、注射デバイス10の再使用が防止される。
【0100】
プランジャ70が第1投薬位置P1に配置された状態で、第2ハウジング要素88に対する第1ハウジング要素86の回転移動が完了した後、投薬要素144は、第1投薬面146に形成された凹部152と位置合せされる。その結果、投薬要素144の当接面150は、距離Sにおいて第2投薬面148に対して平行に配置される。その結果、プランジャ70は、投薬要素144、すなわちその当接面150が第2投薬面148に当接するまで、第1投薬位置P1から遠位方向に距離Sだけ第2投薬位置P2内にさらに変位させることができる(
図34cと
図34dとを比較)。第1プランジャ停止機構140と同様に、第2プランジャ停止機構142もまた、プランジャ70のためのハードストップを提供し、すなわち、プランジャ70が注射溶液容器30に対して第2投薬位置P2から遠位方向へ変位するのを防止する。したがって、患者に投与すべき注射溶液の用量を、特に正確な様式で設定することができる。
【0101】
図35a~
図35cは、さまざまな例による注射デバイスの分解図を示す。
図35a~
図35cについて、以下、さまざまな例による、注射デバイスの使用を示す
図36a~36cを同時に参照して説明する。
【0102】
図35aに示すように、注射デバイス200は、注射溶液容器202、プランジャ204、先端要素206及びハウジング208を含む。いくつかの例では、注射溶液移し替えシステム100は、注射デバイス10の代わりに注射デバイス200を含む。注射デバイス200は、注射デバイス10と同様の機能性(例えば、患者に微量用量の注射溶液を正確且つ確実に投与すること)を提供するとともに、注射デバイス10と同様の様式で注射溶液移し替えシステム100の他の構成要素(例えば、充填アダプタ12)と相互作用する。しかしながら、注射デバイス10と異なり、注射デバイス200は、再使用可能であるように(例えば、2回以上注射溶液を定量吐出及び/又は注射するように使用されるように)構成されている。さらに、注射デバイス200は、(例えば、注射溶液を定量吐出及び/又は注射するとき)使用者のエラーを低減させることが明らかとなっているより直感的な設計を有する。
【0103】
注射デバイス10の注射溶液容器30と同様に、注射デバイス200の注射溶液容器202は、保護外側バレル212内に収容されている内側注射溶液容器210の形態で設計されている。内側注射溶液容器210及び保護外側バレル212は、互いに一体的に形成されるとともに、滅菌プラスチック材料から作製されている。保護外側バレル212は、その近位端部の領域に、フランジ要素214を含む。
【0104】
いくつかの例において、内側注射溶液容器210の表面(例えば、内周面)は、プラズマ化学気相成長(PECVD)コーティング、又は平滑潤滑性層を与えるために有用な処理でコーティングされている。いくつかの例では、内側注射溶液容器210の表面(例えば、内周面)は、前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用してPECVDプロセスから作成された潤滑剤コーティングでコーティングされている。いくつかの例では、注射溶液容器202/内側注射溶液容器210は、ISO14644に従って、少なくとも動作時にISOクラス8条件下で、休止時にISOクラス7条件の下で、ケイ素、炭素及び酸素からなる高周波電力を使用する、PECVDプロセスによって製造される。PECVDコーティング及び処理は、本技術分野において既知であり、少なくとも以下の米国特許に記載されており、その特許の各々は参照によりその全体が本明細書に援用される:米国特許第10,390,744号明細書、同第10,363,370号明細書、同第10,327,986号明細書、同第10,258,718号明細書、同第10,201,660号明細書、同第10,189,603号明細書、同第10,059,047号明細書、同第10,016,338号明細書、同第9,981,794号明細書、同第9,952,147号明細書、同第9,937,099号明細書、同第9,903,782号明細書、同第9,878,101号明細書、同第9,863,042号明細書、同第9,855,577号明細書、同第9,764,093号明細書、同第9,664,626号明細書、同第9,662,450号明細書、同第9,572,526号明細書、同第9,554,968号明細書、同第9,545,360号明細書、同第9,475,225号明細書、同第9,458,536号明細書、同第9,381,687号明細書、同第9,345,846号明細書、同第9,272,095及び同第8,834,954号明細書。
【0105】
注射溶液容器202の遠位端部に、オスルアーテーパ216及びルアーねじ山218が設けられており、それらは、それぞれメスルアーテーパ及び相補的なルアーねじ山(例えば、充填アダプタ12が注射デバイス200に接続されたとき、充填アダプタ12のアダプタ要素18の第2接続ポート22に設けられたメスルアーテーパ50及び相補的なルアーねじ山54)と相互作用する。ルアーテーパ216及びルアーねじ山218を用いて、注射溶液容器202の遠位端部と、メスルアーテーパ及び相補的なルアーねじ山を有する構成要素(例えば、充填アダプタ12のアダプタ要素18)との間に、流体密封接続を確立することができる。
【0106】
外側バレル212は、クリップ受け220をさらに含む。クリップ受け220は、(より詳細に後述するように)ハウジング208のハウジングクリップ234に解除可能に接続されるように構成されている。いくつかの例では、外側バレル212は、クリップ受け220を含まない。これらの例では、ハウジングクリップ234は、外側バレル212の外周面に直接解除可能に接続される。
【0107】
いくつかの例では、定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の量(例えば、体積)に基づいて、内側注射溶液容器210の直径222を増大又は低減させる。言い換えれば、いくつかの例では、内側注射溶液容器210の直径222は、注射デバイス200によって定量吐出される注射溶液の量を増加又は減少させるために、増大又は低減させる。例えば、
図35bに示すように、直径222は、内側注射溶液容器210が保持し、後に定量吐出することができる溶液の量を増加させるように、増大させる(例えば、2倍にする)。直径222を増大又は低減させるには、外側バレル212の直径及び先端要素206の直径を増大又は低減させることが必要である。例えば、
図35bに示すように、外側バレル212が内側注射溶液容器210を収容し、先端要素206が、直径222の増大に関連して(より詳細に後述するように)内側注射溶液容器210の内周面と封止するように相互作用するように、外側バレル212の直径及び先端要素206の直径を増大させる。いくつかの例では、注射溶液容器202の長さ(したがって、内側注射溶液容器210の長さ)は、定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の量(例えば、体積)に基づいて増大又は低減させる。
【0108】
上述したように内側注射溶液容器210の直径及び/又は長さを増大又は低減させることにより、内側注射溶液容器210内に収容することができる注射溶液の総量が増加又は減少する。例えば、内側注射溶液容器210の直径及び長さに応じて、内側注射溶液容器210は、100μL~1000μLの間の任意の量を収容することができる。
【0109】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも100μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも200μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも300μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、少なくとも400μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも500μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、少なくとも600μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも700μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、少なくとも800μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、少なくとも900μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、少なくとも1000μLの注射溶液を収容することができる。
【0110】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~900μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~800μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~700μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~600μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~500μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~400μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~300μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~200μLの注射溶液を収容することができる。
【0111】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、200~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、300~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、400~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、500~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、600~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、700~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、800~1000μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、900~1000μLの注射溶液を収容することができる。
【0112】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、200~900μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、300~800μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、400~700μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、500~600μLの注射溶液を収容することができる。
【0113】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100~200μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、200~300μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、300~400μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、400~500μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、500~600μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、600~700μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、700~800μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、800~900μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、900~1000μLの注射溶液を収容することができる。
【0114】
1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、100μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、200μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、300μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、400μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、500μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、600μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、700μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、800μLの注射溶液を収容することができる。1つの実施形態では、内側注射溶液容器210は、900μLの注射溶液を収容することができる。内側注射溶液容器210は、1000μLの注射溶液を収容することができる。
【0115】
注射デバイス200は、内側注射溶液容器210に収容されている注射溶液の総体積の所定の割合(例えば、2.5%~12.5%の所定の割合)を定量吐出するように構成することができ、
図36cを参照してより詳細に後述するように、注射デバイス200の使用者は、注射デバイス200の注射溶液容器202を、より多いか又は少ない総体積の注射溶液を収容することができる別の注射溶液容器202と交換することにより、定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の量(例えば、体積)を迅速に且つ容易に変更することができる。例えば、注射デバイス200が、内側注射溶液容器210に収容されている総注射溶液体積の12.5%を送達するように構成されている場合、注射デバイス200は、内側注射溶液容器210が400μLの注射溶液を収容していた場合は、50μLの注射溶液、内側注射溶液容器210が200μLの注射溶液を収容していた場合は、25μLの注射溶液を、定量吐出及び/又は注射する。
【0116】
図35aに戻ると、注射デバイス200はプランジャ204をさらに含む。プランジャ204は、作動ボタン224、プランジャフランジ226、1つ又は複数の誘導チャネル227、プランジャロッド228、1つ又は複数の起動チャネル229、及び先端かかり230を含む。注射デバイス10のプランジャ70と同様に、プランジャ204は、プランジャ204の少なくとも一部(例えば、プランジャロッド228の少なくとも一部)が注射溶液容器202の内側注射溶液容器210内に摺動可能に受け入れられるように構成されている。さらに、プランジャ204は、注射溶液容器202内に収容されている注射溶液を排出するために、プランジャ204の長手方向軸に沿って遠位方向において注射溶液容器202に対して変位可能である。しかしながら、プランジャ70とは異なり、プランジャ204は、(より詳細に後述するように)内側注射溶液容器210がプランジャ204の少なくとも一部を摺動可能に受け入れた後、プランジャ204の長手方向軸を中心に(例えば、右回り及び左回りに)回転するように構成されている。
【0117】
作動ボタン224は、注射溶液容器202から近位方向に突出するプランジャ204の近位端部に位置決めされている。作動ボタン224は、プランジャ204の長手方向軸に沿って遠位方向において注射溶液容器202に対してプランジャ204を変位させるために、使用者によって押下される。
図35aに示すように、作動ボタン224は、使用者がプランジャ204を回転させるのを補助する複数の隆起部を含む。いくつかの例では、作動ボタン224は、(例えば、作動ボタン72と同様に)複数の隆起部を含まない。
【0118】
プランジャフランジ226は、作動ボタン224の下のプランジャ204の近位端部に位置決めされている。(例えば、
図36a及び36bを参照して)より詳細に後述するように、プランジャフランジ226は、プランジャフランジ226の長手方向位置及び/又は回転向きに基づいて、プランジャ停止機構238が、プランジャ204がプランジャ204の長手方向軸に沿って遠位方向に変位するのを阻止し、且つ/又はプランジャ204がプランジャ204の長手方向軸を中心に右回り及び/又は左回りに回転するのを阻止するように、プランジャ停止機構238と相互作用するように構成されている。プランジャフランジ226は、
図35aでは形状が矩形であるが、いくつかの例では、プランジャフランジ226は、異なる形状(例えば、三角形、菱形、卵形等)を有する。さらに、プランジャフランジ226は、作動ボタン224の真下に位置決めされているが、いくつかの例では、プランジャフランジ226は、プランジャロッド228上の(遠位方向における)プランジャ204の長手方向軸のさらに下に位置決めされる。例えば、プランジャフランジ226は、プランジャロッド228の中間点に位置決めされてもよい。
【0119】
プランジャ204のプランジャロッド228は、その遠位端部において、注射デバイス200の先端要素206に接続される。先端要素206は、(
図13を参照してより詳細に上述した)先端要素74と同一である。さらに、先端要素206は、先端要素74がプランジャ70に接続されるのと同様の様式でプランジャ204に接続される。具体的には、プランジャロッド228と先端要素206との結合は、プランジャロッド228の遠位端部に位置決めされた先端かかり230と、先端要素206のかかり受け(例えば、かかり受け80)との相互作用によって、もたらされる。先端要素206の封止要素(例えば、封止要素82)が、内側注射溶液容器210の内周面と封止するように相互作用する。
【0120】
注射デバイス200のハウジング208は、フランジ受け部232、ハウジングクリップ234、プランジャ貫通孔236及びプランジャ停止機構238を含む。ハウジング208は、注射溶液容器202に解除可能に接続されるとともに、プランジャ204を摺動可能に受け入れるように構成されている。
【0121】
ハウジング208は、(1)フランジ要素214のフランジ受け部232との相互作用及び(2)クリップ受け220のハウジングクリップ234との相互作用を介して、(例えば、
図36a及び36bに示すように)注射溶液容器202に解除可能に接続される。具体的には、フランジ受け部232は、フランジ要素214を受け入れるように、いくつかの例では、フランジ要素214を適所で保持するように、好適な形状及び寸法である。さらに、ハウジングクリップ234は、(例えば、
図36a及び
図36bに示すように)注射溶液容器202のクリップ受け220に解除可能に接続されるように構成されている。外側バレル212がクリップ受け220を含まない上述した例では、ハウジングクリップ234は、外側バレル212の外周面に解除可能に直接接続される。上述したように注射溶液容器202及びハウジング208を接続することにより、ハウジング208を、注射溶液容器202から容易に且つ迅速に切り離し、いくつかの例では、(例えば、プランジャ204が注射溶液容器202及びハウジング208に挿入されない場合)別のハウジングと交換することができる。
【0122】
プランジャ貫通孔236は、内側注射溶液容器210が、プランジャ貫通孔236を通って摺動する際にプランジャ204を摺動可能に受け入れるように、(例えば、先端要素206がプランジャロッド228に取り付けられた状態で)プランジャロッド228を摺動可能に受け入れる。このように、プランジャ204は、その長手方向軸に沿った方向において、ハウジング208及び注射溶液容器202に対して変位可能である。
【0123】
いくつかの例では、ハウジング208は、プランジャ貫通孔236内に突出する1つ又は複数の誘導要素(図示せず)を含む。いくつかの例では、ハウジング208の1つ又は複数の誘導要素は、(例えば、
図16を参照して上述した)第1ハウジング要素86の誘導要素92と同一である。プランジャ204がハウジング208のプランジャ貫通孔236内に受け入れられると、各誘導要素は、プランジャロッド228の表面上に位置決めされるとともにプランジャロッド228の長手方向軸に沿って延在する、誘導チャネル227と係合する。1つ又は複数の誘導要素と、それらの対応する誘導チャネル227の対向する側面との相互作用により、各誘導要素がプランジャロッド228の表面上の対応する起動チャネル229と位置合せされるまで、プランジャ204及びハウジング208が互いに対して回転するのが阻止される。
【0124】
プランジャロッド228の表面上の各起動チャネル229は、誘導チャネル227から分岐しており、その対応する誘導チャネル227に実質的な垂直なプランジャロッド228の周方向に延在している。いくつかの例では、プランジャロッド228の表面上の1つ又は複数の起動チャネル229は、プランジャ70の起動チャネル178と同一である。各起動チャネル229は、プランジャ204が(1)プランジャ204の長手方向軸に沿って第1投薬位置P1に配置され、(2)プランジャ204の長手方向軸を中心に第1向きO1(例えば、回転向き、角度位置、又は長手方向軸に対する回転姿勢)にあるとき、誘導要素を受け入れる。例えば、
図36aは、第1投薬位置P1にあるとともに、第1向きO1にある、プランジャ204を示す。
【0125】
このため、ハウジング208が1つ又は複数の誘導要素を含み、プランジャロッド228が1つ又は複数の誘導チャネル227/起動チャネル229を含む例では、プランジャ204の第1投薬位置P1は、プランジャロッド228の長手方向軸に沿った1つ又は複数の起動チャネル229の位置により少なくとも一部画定される。いくつかの例では、1つ又は複数の起動チャネル229は、(例えば、
図36aに示すように)プランジャフランジ226がプランジャ停止機構238と接触したときに、1つ又は複数の誘導要素が1つ又は複数の起動チャネル229と位置合せされるように、プランジャロッド228の上に位置決めされている。したがって、1つ又は複数の誘導要素と誘導チャネル227との相互作用は、プランジャ204がその長手方向軸に沿った方向において誘導されて変位するのを可能にするということと、同時に、プランジャ204が第1向きO1で第1投薬位置P1に配置されていないときにプランジャ204が意図されずに回転するのを防止することという、二重の機能を果たす。これにより、注射デバイス200の使用がより容易になり、したがって、(例えば、注射溶液を定量吐出及び/又は注射するときの)使用者のエラーが低減する。
【0126】
プランジャ停止機構238は、プランジャ貫通孔236に隣接する(例えば、少なくとも部分的に取り囲む)ハウジング208の近位面上に位置決めされている。プランジャ停止機構238は、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び投薬面244を含む。
図35aに示すように、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び投薬面244は、ハウジング208の近位面から近位方向に突出し、回転停止部材242は、長手方向停止部材240及び投薬面244よりも近位方向にさらに突出している。具体的には、回転停止部材242の高さは、長手方向停止部材240の高さよりも大きく、長手方向停止部材240の高さは、投薬面244の高さよりも大きい。いくつかの例では、投薬面244は、ハウジング208の近位面から突出していない。これらの例では、長手方向停止部材240と回転停止部材242との間にあるハウジング208の近位面は、投薬面244としての役割を果たす。いくつかの例では、プランジャ停止機構238は、(
図35aに示すような2つの長手方向停止部材240及び2つの回転停止部材242の代わりに)単一の長手方向停止部材240及び単一の回転停止部材242のみを含む。いくつかの例では、プランジャ停止機構は、3つ以上の長手方向停止部材と3つ以上の回転停止部材とを含む。
【0127】
いくつかの例では、注射デバイス200は、内側注射溶液容器210内に収容されている溶液の正確な用量(例えば、注射溶液の5μL~250μLの範囲内の用量)を定量吐出及び/又は注射するために使用される。第1ステップにおいて、プランジャ204を遠位方向において内側注射溶液容器210に対して(例えば、プランジャ204がプランジャ204の長手方向軸を中心に第1向きO1にある間)、プランジャ204がプランジャ204の長手方向軸に沿った第1投薬位置P1に達するまで変位させることにより、内側注射溶液容器210から過剰な注射溶液が排出される。
図36aに示すように、プランジャフランジ226が長手方向停止部材240及び回転停止部材242と接触するとき、プランジャ204は第1投薬位置P1及び第1向きO1にある。その後、所望の用量/量の注射溶液を(例えば、患者の組織内に)定量吐出及び/又は注射することができる。
【0128】
図36aに示すように、長手方向停止部材240は、第1投薬位置P1において、プランジャ204が遠位方向において注射溶液容器202/内側注射溶液容器210に対して変位するのを阻止するように構成されている。具体的には、長手方向停止部材240は、プランジャフランジ226と接触/当接するとき、プランジャ204が遠位方向変位するのを阻止する。さらに、回転停止部材242は、プランジャ204が第1投薬位置P1にあり且つ第1向きO1にあるとき、プランジャ204がプランジャ204の長手方向軸を中心に左回り方向に回転するのを阻止するように構成されている。具体的には、回転停止部材242は、プランジャフランジ226と接触/当接するとき、プランジャ204が左回り方向に回転するのを阻止する。いくつかの例では、両方の回転停止部材242は、それらの隣接する長手方向停止部材240の他方の側に(例えば、
図35aに示すそれらの位置とは反対側に)位置決めされている。これらの例では、回転停止部材242は、プランジャフランジ226と接触/当接するとき、プランジャ204が右回り方向に回転するのを阻止する。
【0129】
したがって、注射デバイス200の使用中、使用者は、プランジャ204を遠位方向において内側注射溶液容器210に対して、プランジャ204が第1投薬位置P1に達するまで(例えば、プランジャフランジ226が長手方向停止部材240と接触するまで)変位させることにより、内側注射溶液容器210から過剰な注射溶液を排出することができる。第1投薬位置P1に達すると、長手方向停止部材240は、プランジャ204が遠位方向にさらに変位するのを阻止する。その結果、注射デバイス200の使用者が、内側注射溶液容器210から過度に注射溶液を排出するのが防止される。そして、内側注射溶液容器210に収容されている残留注射溶液は、プランジャ204が第2投薬位置P2に達するまで、プランジャ204を遠位方向にさらに変位させることにより、定量吐出及び/又は注射することができる。具体的には、
図36cに示すように、プランジャフランジ226(例えば、プランジャフランジ226の底面/遠位面)が投薬面244に接触/当接すると、プランジャ204は第2投薬位置P2に達する。第2投薬位置P2に達すると、投薬面244は、遠位方向においてプランジャ204がさらに変位するのを阻止し、したがって、過度に注射溶液が定量吐出及び/又は注射されるのを阻止する。
【0130】
しかしながら、注射デバイス200の使用者は、プランジャ204を第2投薬位置P2に変位させることができる前に、
図36bに示すように、プランジャ204をプランジャ204の長手方向軸を中心に右回りに第1向きO1から第2向きO2まで、(例えば、作動ボタン224を使用して)手動で回転させなければならない。具体的には、プランジャフランジ226が右回り方向に回転した後に回転停止部材242と再度接触/当接したとき、プランジャ204は第2向きO2にある。
図36bは、プランジャ204が右回り方向に90度回転して第1向きO1から第2向きO2になった状態を示しているが、いくつかの例では、使用者は、プランジャ204を、第1向きO1から第2向きO2になるために90度超又は90度未満(例えば、110度又は45度)回転させなければならない。これらの例では、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び投薬面244は、プランジャ204のより大きいか又は小さい回転運動に適応するような形状であるとともに、ハウジング208の近位面上でそのように位置決めされる。このように、プランジャフランジ226は、例えば、第1向きO1にあるとき、及び第2向きO2にあるとき、依然として回転停止部材242と接触/当接する。
【0131】
プランジャ204を(プランジャ204が第1投薬位置P1にある間に)第1向きO1から第2向きO2まで回転させると、プランジャフランジ226は投薬面244(及び長手方向部材240/回転停止部材242と投薬面244との間の高さの相違により、長手方向部材240/回転停止部材242と投薬面244との間に形成された凹部)の真上に位置合わせされる。言い換えれば、
図36bに示すように、プランジャ204が第2向きO2にあるとき、プランジャフランジ226の遠位面/底面は、投薬面244に平行に配置される。その結果、注射デバイス200の使用者は、プランジャフランジ226が投薬面244に接触/当接するまで、プランジャ204を遠位方向において第1投薬位置P1から第2投薬位置P2までさらに変位させることができる。投薬面244は、プランジャ204用のハードストップを提供するとともに、プランジャ204が第2投薬位置P2から遠位方向に(注射溶液容器202/内側注射溶液容器210に対して)さらに変位するのを阻止する。したがって、患者に投与すべき注射溶液の用量を、特に正確な様式で設定することができる。
【0132】
具体的には、プランジャ204の第1投薬位置P1と第2投薬位置P2との間の距離は、プランジャ204が、第1投薬位置P1から第2投薬位置P2に変位する際に内側注射溶液容器210内に収容されている注射溶液の総体積の所定の割合(例えば、2.5%~12.5%の所定の割合)を排出するように、選択される。言い換えれば、遠位方向における(例えば、プランジャフランジ226の底面/遠位面と接触する)長手方向停止部材240の上面/近位面と投薬面244との間の距離により、プランジャ204を第1投薬位置P1から第2投薬位置P2に変位させる際に内側注射溶液容器210から排出すべき所望の注射溶液用量が設定される。
【0133】
したがって、長手方向停止部材240の高さ(例えば、長手方向停止部材240の上面/近位面から投薬面244までの遠位距離)を変更することにより、(例えば、内側注射溶液容器210内に収容されている注射溶液の総体積が変化しない場合)定量吐出及び/又は注射すべき用量の量が変化する。例えば、
図35cに示すように、長手方向部材240の高さ(例えば、ハウジング208の近位面/上面からの近位距離)(したがって、回転停止部材の高さ)は、投薬面244を変更することなく増大させることができる。したがって、この例では、長手方向部材240の近位面/上面と投薬面244との間の遠位距離が増大することにより、プランジャ204がその長手方向軸に沿ってより大きい距離を移動し、したがって、内側注射溶液容器210内に収容されているより多くの注射溶液を定量吐出するため、内側注射溶液容器210内に収容されている注射溶液の総体積のより大きい割合が定量吐出及び/又は注射されることになる。例えば、内側注射溶液容器210が200μLの注射溶液を収容する場合、長手方向部材240の近位面/上面と投薬面244との間の遠位距離を、プランジャ204が注射溶液の総体積の2.5%ではなく12.5%を定量吐出するように増大させることにより、(例えば、200μLの2.5%は5μLであり、200μLの12.5%は25μLであるため)プランジャ204が第1投薬位置P1から第2投薬位置P2まで変位するときにプランジャ204が内側注射溶液容器210から排出する注射溶液の量が20μL増加する。
【0134】
長手方向停止部材240及び回転停止部材242が、(プランジャ204が第1投薬位置P1にあるとともに第1向きO1にあるとき)プランジャ204が遠位方向に変位するのを阻止し、(プランジャ204が第1投薬位置P1にあるとともに第1向きO1又は第2向きO2にあるとき)プランジャ204の一定の回転を阻止することができることにより、それぞれ、注射溶液の正確な微量用量を定量吐出及び/又は注射することに関してさまざまな利益が提供される。例えば、長手方向停止部材240及び回転停止部材242により、注射デバイス200の使用者は、正確な微量用量の注射溶液を容易に且つ快適に送達することができる。具体的には、長手方向部材240は、プランジャ204が注射デバイスをプライミングするために必要である範囲を越えて遠位方向に摺動可能に変位するのを阻止するため、長手方向停止部材240により、使用者は、所望の微量用量に対して注射溶液を誤って定量吐出及び/又は注射することなく注射デバイス200を迅速に且つ容易にプライミングすることができる。さらに、プランジャ204が第1投薬位置P1にあるとともに第1向きO1にあるとき、回転停止部材242は、使用者が誤ってプランジャ204を左回り方向(又はいくつかの例では右回り方向)に回転させ、その後、プランジャ204を第2投薬位置P2に変位させる(且つ注射溶液を定量吐出及び/又は注射する)のを阻止する。このように、回転方向部材242は、その後プランジャ204を第2投薬位置P2に変位させることにより注射溶液を定量吐出及び/又は注射するために、注射デバイス200の使用者に、プランジャ204を第2向きO2に向かって単一方向(例えば、右回り又は左回り)に意図的に回転させる。
【0135】
したがって、少なくとも上記の理由で、長手方向停止部材240及び回転停止部材242は、プランジャ204の使用者による変位を誘導し、使用者が注射溶液を誤って定量吐出及び/又は注射する(例えば、誤って過度に注射溶液を定量吐出/注射し、且つ/又は不適当な時点で且つ/又は不正確な場所(例えば、不正確な患者組織)に注射溶液を定量吐出/注射する)のを防止する。これにより、注射デバイス200が特に使用が容易になり、したがって使用者のエラーが低減する。例えば、以下の表(1)は、注射デバイス200のシミュレートされた使用調査の結果を含む。示すように、シミュレートされた使用調査は、注射デバイス200の使用に対するさまざまな作業を評価した。評価の前に、眼科医/網膜外科医(すなわち、参加者)に対して代表的なトレーニングを提供し、1~7週間の減衰期間の後に、評価セッションを実施した。全体的に、評価に基づき、n=25/30人(83%)の参加者が、いかなる使用エラーもなしに第1回目の注射の実施を成功させ、n=24/30人(80%)の参加者が、いかなる使用エラーもなしに第2回目の注射の実施を成功させた。26ステップ中合計22ステップ(84.6%)に対し、いかなる使用エラーもなしに実施が成功した。したがって、少なくとも上記の理由で、注射デバイス200は、例えば、小児患者に注射溶液を注射するのに特に適しており(例えば、小児眼科注射)、それは、小児患者は、通常、注射を受けるときに(注射に対する恐怖及び/又は注射によってもたらされる痛みのために)じっとしておらず、注射デバイスのプランジャの使用者による変位を誘導しない標準的な注射デバイスでは、誤った不正確な注射がより起こりやすいためである。
【0136】
【0137】
図35aに戻ると、上述したように、ハウジング208は、注射溶液容器202から容易に且つ迅速に分離し、いくつかの例では、別のハウジングと交換することができる。これにより、例えば、定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の量に基づき、ハウジング208を別のハウジングと迅速に交換することができるようになる。例えば、
図35aのハウジング208は、より大きい高さを有する長手方向停止部材を有するハウジング(例えば、
図35cのハウジング208等)と交換することができる。このように、注射デバイス200は、(ハウジング208は、所望の微量用量に基づいて交換することができるモジュール式構成要素であるため)注射デバイス200の個々の各使用に対して異なる量の注射溶液が望まれる場合であっても、微量用量の注射溶液を正確に定量吐出及び/又は注射するように、複数回再使用することができる。さらに、ハウジング208のモジュール性により、使用者は、例えば、(例えば、患者処置に異なる注射溶液の量の複数回の注射が必要である場合)患者処置中に定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の所望の量に基づき、ハウジング208を迅速に交換することができる。
【0138】
いくつかの例では、プランジャ停止機構238(具体的には、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び/又は投薬面244)は、ハウジング208の近位面/上面ではなくプランジャ204の上に位置決め/固定されている。これらの例では、プランジャ停止機構238は、近位方向ではなく遠位方向に(例えば、ハウジング208に向かって)面している。言い換えれば、長手方向停止部材240及び回転停止部材242は、遠位方向に突出している。
【0139】
いくつかの例では、プランジャ停止機構238は、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び/又は投薬面244が作動ボタン224の遠位面/底面から遠位方向にハウジング208に向かって突出する(したがって、プランジャロッド228に隣接し且つ/又はそれを取り囲む)ように、プランジャ204の作動ボタン224の遠位面/底面に位置決め/固定されている。いくつかの例では、長手方向停止部材240及び回転停止部材242のみが、作動ボタン224の遠位面/底面から遠位方向に突出する。これらの例では、投薬面244は、作動ボタン224の遠位面/底面である。
【0140】
いくつかの例では、プランジャ停止機構238は、プランジャロッド228の上に位置決め/固定されている。これらの例では、プランジャ停止機構238は、プランジャ停止機構238をプランジャロッド228に取り付ける近位面/上面を有する(そこから、長手方向停止部材240、回転停止部材242及び/又は投薬面244が遠位方向に突出している)。具体的には、プランジャロッド228は、近位面/上面を通って交差し、プランジャ停止機構は、この交差点においてプランジャロッド228に恒久的に(例えば、摺動不能に)取り付けられている。いくつかの例では、プランジャ停止機構238は、プランジャ204のプランジャフランジ226に取って代わる(したがって、プランジャ停止機構238は、プランジャフランジ226が
図35a~
図36bにおいて位置決めされている場所に位置決めされる)。いくつかの例では、プランジャ停止機構238は、(遠位方向において)プランジャ204の長手方向軸のさらに下方でプランジャロッド228上に位置決めされる。例えば、プランジャ停止機構238は、プランジャロッド228の中間点に位置決めされてもよい。
【0141】
上述したプランジャ停止機構238の(例えば、より高い/低い長手方向停止部材240、第2向きO2に達するためのプランジャ204の異なる回転度、並びに異なる数の長手方向停止部材240及び/又は回転停止部材242を有する)さまざまな実施形態は、プランジャ停止機構238がプランジャ204上で位置決めされている上記例において依然として適用可能であることに留意されたい。
【0142】
プランジャ停止機構238がプランジャ204の上に(例えば、作動ボタン224の遠位面/底面上に又はプランジャロッド228の上に)位置決めされるとき、ハウジング208は、プランジャ停止機構238がハウジング208上に位置決めされたときにプランジャフランジ226がプランジャ停止機構238の構成要素と相互作用するのと同じ様式で、プランジャ停止機構238の構成要素と相互作用するように構成されている。例えば、ハウジング208は、長手方向停止部材240と相互作用して、プランジャ204が第1投薬位置P1にあるとともに第1向きO1にあるときにプランジャ204が遠位方向にさらに変位するのを阻止するように構成されている。別の例として、ハウジング208は、回転停止部材242と相互作用して、プランジャ204が第1投薬位置P1にあるとともに第1向きO1にあるとき、プランジャ204の長手方向軸を中心に左回り方向(又はいくつかの例では、右回り方向)にプランジャ204が回転するのを阻止するように構成されている。
【0143】
具体的には、いくつかの例では、プランジャ貫通孔236を包囲するハウジング208の近位面/上面の少なくとも一部が、(プランジャ貫通孔236が依然としてプランジャロッド228を摺動可能に受け入れ得るように)プランジャ204の長手方向軸に沿ってプランジャ機構238に向かって近位方向に突出している。これらの例において、ハウジング208の突出した近位面/上面は、投薬面244と回転停止部材242の遠位面(すなわち、ハウジング208に向かって遠位方向に面する回転停止部材242の表面)との間の遠位距離と少なくとも等しい高さを有する。このように、投薬面244が(第2投薬位置P2において)ハウジング208の突出した近位面/上面に接触/当接するとき、回転停止部材242の遠位面は、(1)(例えば、ハウジング208の突出した近位面/上面の高さが、投薬面244と回転停止部材242の遠位面との間の遠位距離に等しい場合)ハウジング208の近位面/上面の近位方向に突出していない部分と同一平面であるか、又は(2)(例えば、ハウジング208の突出した近位面/上面の高さが、投薬面244と回転停止部材242の遠位面との間の遠位距離よりも大きい場合)ハウジング208の近位面/上面の近位方向に突出していない部分と接触しない。さらに、ハウジング208の突出した近位面/上面は、長手方向部材240/回転停止部材242と投薬面244との間に形成された凹部に適合するような形状である。いくつかの例では、ハウジング208の突出した近位面/上面は、
図35a~
図35cのプランジャフランジ226と同じ矩形形状を有する。いくつかの例では、ハウジング208の突出した近位面/上面は、長手方向部材240/回転停止部材242と投薬面244との間に形成された凹部の形状に応じて、異なる形状(例えば、三角形、菱形、卵形等)を有する。
【0144】
プランジャ停止機構がプランジャ204上にある上述の例では、プランジャ204は、例えば、(プランジャ停止機構238がハウジング208の近位面/上面上にある場合にハウジング208が交換され得る方法と同様に)定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の量に基づいて、別のプランジャ204と交換され得る。言い換えれば、プランジャ204は、異なる(例えば、より高い又はより低い)長手方向部材240、回転停止部材242及び/又は投薬面244を有する別のプランジャ204と交換され得る。このように、注射デバイス200は、注射デバイス200の各個々の使用に対して異なる量の注射溶液が望まれる場合でも、(プランジャ204は、所望の微量用量に基づいて交換することができるモジュール式構成要素であるため)微量用量の注射溶液を正確に定量吐出及び/又は注射するように複数回再使用することができる。さらに、(プランジャ停止機構238を含む)プランジャ204のモジュール性により、例えば、(例えば、患者の処置に異なる注射溶液の量の複数回の注射が必要である場合)使用者が、患者の処置中に定量吐出及び/又は注射すべき注射溶液の所望の量に基づいてプランジャ204を迅速に交換することができる。
【0145】
図37a及び
図37bは、さまざまな実施例による、溶液定量吐出デバイスを使用してある量の溶液を定量吐出するプロセスのフロー図を示す。プロセス3700は、例えば、注射デバイス10又は注射デバイス200を使用して実施される。プロセス3700において、いくつかのブロックは、任意選択的に組み合わされ、いくつかのブロックの順序は、任意選択的に変更され、いくつかのブロックは、任意選択的に省略される。いくつかの例では、プロセス3700と組み合わせて追加のステップを実施してもよい。
【0146】
ブロック3702において、回転可能プランジャ(例えば、プランジャ204)を、溶液容器(例えば、内側注射溶液容器30又は内側注射溶液容器210)の第1端部に摺動可能に挿入し、そこでは、溶液容器の第2端部(例えば、オスルアーテーパ48又はルアーテーパ216)は、溶液容器内に収容されている溶液を吐出するように構成されている。いくつかの例では、溶液は、ブロック3704に示すように、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗薬(例えば、ラニビズマブ(すなわち、LucentisTM))を含む。いくつかの例では、溶液は、ブロック3706に示すように、核酸を含む。いくつかの例では、溶液は、Beovu(登録商標)(ブロルシズマブ)を含む。いくつかの例では、溶液は、Eylea(登録商標)(アフリベルセプト)を含む。いくつかの例では、溶液は、Luxturna(登録商標)(ボレチジーンネパルボベック)を含む。
【0147】
ブロック3708において、回転可能プランジャが第1向き(例えば、回転向き、角度位置、第1軸に対する回転姿勢)(例えば、第1向きO1)にある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第1位置(例えば、第1投薬位置P1)になるまで、回転可能プランジャを第1軸に沿って摺動可能に変位させる。
【0148】
ブロック3710において、第1停止部材(例えば、長手方向停止部材240)は、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間に、回転可能プランジャが、第1位置よりも溶液容器の第2端部に近い溶液容器に対する第2位置(例えば、第2投薬位置P2)に摺動可能に変位することを阻止する(例えば、回転可能プランジャは、第2位置にあるときは第1位置にあるときよりも溶液容器内にさらに摺動可能に変位する)。
【0149】
いくつかの例では、ブロック3712に示すように、第1停止部材は回転可能プランジャ上に位置決めされる。いくつかの例では、第1停止部材は、溶液容器によって摺動可能に受け入れられない回転可能プランジャの端部に位置決めされた作動ボタン(例えば、作動ボタン72又は作動ボタン224)の底面上に位置決めされる(例えば、底面は、作動ボタンの上面よりも(第1軸に沿って)溶液容器の第1端部に近い)。いくつかの例では、第1停止部材は、回転可能プランジャのシャフトに沿った箇所(例えば、回転可能プランジャの中間点)に位置決めされる。
【0150】
いくつかの例では、回転可能プランジャは、ブロック3714に示すように、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、第1停止部材に接触するとともに回転可能プランジャが第2位置に摺動可能に変位するのを阻止する、フランジ(例えば、回転可能プランジャに固定され、回転可能プランジャとともに第1軸を中心に回転する第1形状(例えば、矩形、楕円、ダイヤモンド形等)を有するフランジ)(例えば、フランジ226)を含む。いくつかの例では、フランジは、溶液容器によって摺動可能に受け入れられない回転可能プランジャの端部(例えば、回転可能プランジャの作動ボタンの底面の直下)に位置決めされる。いくつかの例では、フランジは、回転可能プランジャのシャフトに沿った箇所(例えば、回転可能プランジャのシャフトの中間点)に位置決めされる。
【0151】
ブロック3716において、第2停止部材(例えば、回転停止部材242)は、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第1方向に回転する(例えば、第2向きに達するように第1方向(例えば、左回り)に回転する)のを阻止する。
【0152】
いくつかの例では、ブロック3718に示すように、第2停止部材は、回転可能プランジャ上に位置決めされる。いくつかの例では、第2停止部材は、溶液容器によって摺動可能に受け入れられない回転可能プランジャの端部に位置決めされた作動ボタンの底面上に位置決めされる(例えば、底面は、作動ボタンの上面よりも(第1軸に沿って)溶液容器の第1端部に近い)。いくつかの例では、第2停止部材は、回転可能プランジャのシャフトに沿った箇所(例えば、回転可能プランジャの中間点)に位置決めされる。
【0153】
いくつかの例では、回転可能プランジャは、ブロック3720に示すように、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1方向にある間、第2停止部材に接触するとともに回転可能プランジャが第1軸を中心に回転するのを阻止する、フランジ(例えば、回転可能プランジャに固定され、回転可能プランジャとともに第1軸を中心に回転する第1形状(例えば、長方形、楕円、ダイヤモンド形等)を有するフランジ)を含む。
【0154】
いくつかの例では、溶液定量吐出デバイスは、ブロック3722に示すように、回転可能プランジャが第1位置に位置決めされるまで、回転可能プランジャが第1軸を中心に回転するのを阻止する(例えば、回転可能プランジャが任意の方向(例えば、第1又は第2方向)に回転するのを阻止する)ように構成される。いくつかの例では、溶液定量吐出装置は、回転可能プランジャの1つ又は複数の誘導チャネル(例えば、誘導チャネル227)と係合するように、且つ、回転可能プランジャが第1位置に位置決めされるまで回転可能プランジャが第1軸を中心に回転するのを阻止するように構成されている、1つ又は複数の誘導要素(例えば、誘導要素92)をさらに含む。いくつかの例では、溶液容器は、(例えば、第1端部に)誘導要素を含む。いくつかの例では、ハウジングは、(例えば、プランジャ貫通孔に)誘導要素を含む。
【0155】
ブロック3724において、回転可能プランジャが第1位置で第2向き(例えば、第2向きO2)になるまで、回転可能プランジャを、第1軸を中心に第2方向に回転させる。いくつかの例では、第3停止部材(例えば、回転部材242)が、ブロック3726に示すように、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第2向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第2方向に回転する(例えば、第1向きに達するように第2方向(例えば、右回り)に回転する)のを阻止する。
【0156】
ブロック3728において、回転可能プランジャが第2向きにある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第2位置になるまで、回転可能プランジャを第1軸に沿って摺動可能に変位させ、そこでは、回転可能プランジャを第1位置から第2位置に摺動可能に変位させることにより、溶液容器内に収容されているある量(例えば、一定の体積、計量された体積)の溶液が定量吐出される。いくつかの例では、ブロック3730に示すように、回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量は、5μL、10μL及び20μLからなる群から選択される。
【0157】
いくつかの例では、溶液容器は、100μL~1000μLの溶液を収容する。いくつかの例では、回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量は、溶液容器に収容されている溶液の2.5%~12.5%である。
【0158】
いくつかの例では、本方法(例えば、プロセス3700)は、ブロック3732に示すように、小児眼科注射に使用される。いくつかの例では、本方法(例えば、プロセス3700)は、ブロック3734に示すように、遺伝子治療に使用される。
【0159】
いくつかの例では、ブロック3736に示すように、溶液定量吐出デバイスは、溶液容器に解除可能に接続される(例えば、ハウジングに含まれる解除可能なクリップを使用して溶液容器に接続される)ように構成されたハウジング(例えば、第1軸を中心に回転しない固定ハウジング)(例えば、ハウジング208)をさらに含み、そこで、ハウジングは、回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように、且つ溶液容器が回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるのを可能にするように構成されている、プランジャ貫通孔(例えば、プランジャ貫通孔又はプランジャ貫通孔236)を含む。
【0160】
いくつかの例では、ブロック3738に示すように、第1停止部材は、ハウジング上に位置決めされる(例えば、ハウジングの上面にプランジャ貫通孔に隣接して位置決めされ、上面はハウジングの底面よりも溶液容器の第1端部から遠い)。
【0161】
いくつかの例では、ブロック3740に示すように、第2停止部材は、ハウジング上に位置決めされる(例えば、ハウジングの上面にプランジャ貫通孔に隣接して位置決めされ、上面はハウジングの底面よりも溶液容器の第1端部から遠い)。
【0162】
いくつかの例では、ブロック3742に示すように、第1停止部材は第1高さを有し、回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに吐出される溶液の量は、第1高さに少なくとも一部基づく。
【0163】
図38a~
図38sは、さまざまな例による、注射デバイス(例えば、注射デバイス200)及びその構成要素のさらなる図を示す。
【0164】
例示的な溶液定量吐出デバイス及び方法を以下の項目に述べる。
1.溶液定量吐出デバイス(200)であって、
回転可能プランジャ(204)と、
溶液容器(202)であって、回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように構成された第1端部と、溶液容器内に収容されている溶液を定量吐出するように構成された第2端部とを有し、溶液定量吐出デバイスが、
回転可能プランジャが、第1向き(O1)にある間、溶液容器に対して第1位置(P1)に位置決めされるように第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にし、
回転可能プランジャが、第2向き(O2)にある間、溶液容器に対して第1位置から第2位置(P2)に第1軸に沿って摺動可能に変位するのを可能にする
ように構成され、
第2位置が第1位置よりも溶液容器の第2端部に近く、
回転可能プランジャを第1位置から第2位置に摺動可能に変位させることにより、溶液容器内に収容されているある量の溶液が定量吐出される、溶液容器と、
回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第2位置に摺動可能に変位するのを阻止するように構成された第1停止部材(240)と、
回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第1方向に回転するのを阻止するように構成された第2停止部材(242)と、
を備える、溶液定量吐出デバイス(200)。
2.回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第2向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第2方向に回転するのを阻止するように構成された第3停止部材(242)
をさらに備える、項目1に記載の溶液定量吐出デバイス。
3.第1停止部材が、回転可能プランジャ上に位置決めされている、項目1又は2に記載の溶液定量吐出デバイス。
4.第2停止部材が、回転可能プランジャ上に位置決めされている、項目1~3のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
5.溶液容器に解除可能に接続されるように構成されたハウジング(208)であって、回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように、且つ溶液容器が回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるのを可能にするように構成されている、プランジャ貫通孔(236)を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
6.第1停止部材が、ハウジングの上面に位置決めされ、第1停止部材が、ハウジングの上面から第1軸に沿って近位方向に突出している、項目5に記載の溶液定量吐出デバイス。
7.第2停止部材が、ハウジングの上面に位置決めされ、第2停止部材が、ハウジングの上面から第1軸に沿って近位方向に突出している、項目5又は6に記載の溶液定量吐出デバイス。
8.第1停止部材が、ハウジングの上面に対して第1高さを有し、回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量が、少なくとも一部第1高さに基づく、項目5~7のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
9.第2停止部材が、ハウジングの上面に対する、第1高さよりも大きい第2高さを有する、項目8に記載の溶液定量吐出デバイス。
10.溶液容器の外面がクリップ受け要素(220)を含み、
ハウジングがハウジングクリップ(234)を含み、
ハウジングクリップがクリップ受け要素に解除可能に接続される、項目5~9のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
11.溶液容器の第1端部がフランジ要素(214)を含み、ハウジングが、ハウジングクリップがクリップ受け要素に解除可能に接続されたときにフランジ要素を摺動可能に受け入れるように構成されている、項目10に記載の溶液定量吐出デバイス。
12.回転可能プランジャがフランジ(226)を含み、
フランジが、第1停止部材と接触し、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第2位置に摺動可能に変位するのを阻止し、
フランジが、第2停止部材と接触し、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1方向に第1軸を中心に回転するのを阻止する、項目1~11のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
13.回転可能プランジャが第1位置に位置決めされるまで、回転可能プランジャが第1軸を中心に回転するのを阻止するように構成されている、項目1~12のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
14.回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量が、5μL、10μL及び20μLからなる群から選択される、項目1~13のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
15.溶液容器(210)の内面が、プラズマ化学気相成長(PECVD)コーティングでコーティングされており、PECVDコーティングが内面に平滑潤滑性層を与える、項目1~14のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
16.溶液容器の内面が、前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用するPECVDプロセスから作成された潤滑剤コーティングでコーティングされている、項目1~15のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
17.溶液容器が、ISO14644に従って、少なくとも動作中にISOクラス8条件下で、休止時にISOクラス7条件の下で、ケイ素、炭素及び酸素からなる高周波電力を使用するPECVDプロセスによって製造されている、項目1~16のいずれか一項に記載の溶液定量吐出デバイス。
18.溶液定量吐出デバイス(200)から溶液を定量吐出する方法であって、溶液定量吐出デバイスが、回転可能プランジャ(204)と、溶液容器(202)と、第1停止部材(240)と、第2停止部材(242)とを有し、
溶液容器の第1端部内に回転可能プランジャを摺動可能に挿入するステップであって、溶液容器の第2端部が、溶液容器内に収容されている溶液を定量吐出するように構成される、ステップと、
回転可能プランジャが第1向き(O1)にある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第1位置(P1)になるまで、回転可能プランジャを第1軸に沿って摺動可能に変位させるステップであって、
第1停止部材が、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが、溶液容器に対して、第1位置よりも溶液容器の第2端部に近い第2位置(P2)に摺動可能に変位するのを阻止し、
第2停止部材が、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第1方向に回転するのを阻止する、ステップと、
回転可能プランジャが第1位置で第2向き(O2)になるまで、回転可能プランジャを、第1軸を中心に第2方向に回転させるステップと、
回転可能プランジャが第2位置にある間、回転可能プランジャが溶液容器に対して第2位置になるまで、回転可能プランジャを、第1軸に沿って摺動可能に変位させるステップであって、回転可能プランジャを第1位置から第2位置に摺動可能に変位させることにより、溶液容器内に収容されているある量の溶液が定量吐出される、ステップと、
を含む、方法。
19.第3停止部材(242)が、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第2向きにある間、回転可能プランジャが第1軸を中心に第2方向に回転するのを阻止する、項目18に記載の方法。
20.第1停止部材が、回転可能プランジャ上に位置決めされる、項目18又は19に記載の方法。
21.第2停止部材が、回転可能プランジャ上に位置決めされる、項目18~20のいずれか一項に記載の方法。
22.溶液定量吐出デバイスが、溶液容器に解除可能に接続されるように構成されたハウジング(208)をさらに含み、ハウジングが、回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるように、且つ溶液容器が回転可能プランジャを摺動可能に受け入れるのを可能にするように構成されている、プランジャ貫通孔(236)を含む、項目18~21のいずれか一項に記載の方法。
23.第1停止部材が、ハウジングの上に位置決めされる、項目22に記載の方法。
24.第2停止部材が、ハウジングの上に位置決めされる、項目22又は23に記載の方法。
25.第1停止部材が、第1高さを有し、回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量が、少なくとも一部第1高さに基づく、項目22~24のいずれか一項に記載の方法。
26.回転可能プランジャがフランジ(226)を含み、
フランジが、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、第1停止部材と接触し、回転可能プランジャが第2位置に摺動可能に変位するのを阻止し、
フランジが、回転可能プランジャが第1位置にあるとともに第1向きにある間、第2停止部材と接触し、回転可能プランジャが第1方向に第1軸を中心に回転するのを阻止する、項目18~25のいずれか一項に記載の方法。
27.溶液定量吐出デバイスが、回転可能プランジャが第1位置に位置決めされるまで、回転可能プランジャが第1軸を中心に回転するのを阻止するように構成される、項目18~26のいずれか一項に記載の方法。
28.転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量が、5μL、10μL及び20μLからなる群から選択される、項目18~27のいずれか一項に記載の方法。
29.溶液容器が、100μL~1000μLの溶液を収容する、項目18~28のいずれか一項に記載の方法。
30.回転可能プランジャが第1位置から第2位置に摺動可能に変位するときに定量吐出される溶液の量が、溶液容器に収容されている溶液の2.5%~12.5%である、項目18~29のいずれか一項に記載の方法。
31.溶液が血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗薬を含む、項目18~30のいずれか一項に記載の方法。
32.溶液がBeovu(登録商標)(ブロルシズマブ)を含む、項目18~31のいずれか一項に記載の方法。
33.溶液がEylea(登録商標)(アフリベルセプト)を含む、項目18~32のいずれか一項に記載の方法。
34.溶液がLuxturna(登録商標)(ボレチジーンネパルボベック)を含む、項目18~33のいずれか一項に記載の方法。
35.溶液が核酸を含む、項目18~34のいずれか一項に記載の方法。
36.小児眼科注射に使用される、項目18~35のいずれか一項に記載の方法。
37.遺伝子治療に使用される、項目18~36のいずれか一項に記載の方法。