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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】構造用ポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20250226BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J175/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022578519
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003373
(87)【国際公開番号】W WO2022163822
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2021013470
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 奈穂美
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特許第7323643(JP,B2)
【文献】国際公開第2009/047962(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053147(US,A1)
【文献】特開平01-069342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含有し、
前記ポリイソシアネート成分は、
芳香族ポリイソシアネートを含む第1原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第1原料ポリオールの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有し、
前記ポリオール成分は、
芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む第2原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第2原料ポリオールの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーと、
低分子量ポリオールと
を含有する、構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項2】
前記ポリオール成分の総量に対して、前記水酸基末端ウレタンプレポリマーの割合が、2質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート成分が、
さらに、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体を含有する、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項4】
前記ポリオール成分が、
さらに、平均水酸基数3以上のポリエーテルポリオールを含有する、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項5】
前記第1原料ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートを含む、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項6】
前記第2原料ポリイソシアネートが、キシリレンジイソシアネートを含む、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項7】
前記水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基当量が550以下である、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項8】
前記ポリイソシアネート成分を含む主剤と、前記ポリオール成分を含む硬化剤とを備える2液硬化型接着剤である、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【請求項9】
無溶剤型接着剤である、請求項1に記載の構造用ポリウレタン接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造用ポリウレタン接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン接着剤は、各種産業分野において広範に使用されている。ポリウレタン接着剤としては、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む2液硬化型のポリウレタン接着剤が知られている。
【0003】
2液硬化型のポリウレタン接着剤としては、例えば、以下の処方が提案されている。すなわち、2液型塗工剤が、ウレタンプレポリマー組成物とポリイソシアネート架橋剤とを備え、ウレタンプレポリマー組成物が、ヘキサメチレンジイソシアネートと、コポリカーボネートジオールおよびエチレングリコールとの反応生成物を含む。また、このような2液型塗工剤は、合成擬革の製造に使用される(例えば、特許文献1(実施例1および応用例1)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-105250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ポリウレタン接着剤に要求される物性は、使用される分野によって異なる。例えば、ポリウレタン接着剤が、複数の部材から構成される構造物の各部材を接着するために使用される場合、ポリウレタン接着剤には、とりわけ優れた接着強度が要求される。この点、上記のポリウレタン接着剤は、接着特性が十分ではないという不具合がある。
【0006】
本発明は、接着特性に優れる構造用ポリウレタン接着剤である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含有し、前記ポリイソシアネート成分は、芳香族ポリイソシアネートを含む第1原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第1原料ポリオールの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有し、前記ポリオール成分は、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む第2原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第2原料ポリオールの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーと、低分子量ポリオールとを含有する、構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0008】
本発明[2]は、前記ポリオール成分の総量に対して、前記水酸基末端ウレタンプレポリマーの割合が、2質量%以上30質量%以下である、上記[1]に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0009】
本発明[3]は、前記ポリイソシアネート成分が、さらに、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体を含有する、上記[1]または[2]に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0010】
本発明[4]は、前記ポリオール成分が、さらに、平均水酸基数3以上のポリエーテルポリオールを含有する、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0011】
本発明[5]は、前記芳香族ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートを含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0012】
本発明[6]は、前記芳香脂肪族ポリイソシアネートが、キシリレンジイソシアネートを含む、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0013】
本発明[7]は、前記水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基当量が550以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0014】
本発明[8]は、前記ポリイソシアネート成分を含む主剤と、前記ポリオール成分を含む硬化剤とを備える2液硬化型接着剤である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【0015】
本発明[9]は、無溶剤型接着剤である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の構造用ポリウレタン接着剤を、含んでいる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構造用ポリウレタン接着剤では、ポリイソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネートを含む第1原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第1原料ポリオールの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含み、ポリオール成分が、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む第2原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオールを含む第2原料ポリオールの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーと、低分子量ポリオールとを含む。そのため、本発明の構造用ポリウレタンは、優れた接着特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の構造用ポリウレタン接着剤は、JIS K 6800(1985年)において定義される構造用接着剤である。具体的には、構造用ポリウレタン接着剤は、「長期間大きな荷重に耐える信頼できる接着剤」である。
【0018】
より具体的には、構造用ポリウレタン接着剤は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、必須成分として含んでいる。ポリイソシアネート成分は、遊離(フリー)のイソシアネート基を含有する成分である。ポリオール成分は、遊離(フリー)の水酸基を含有する成分である。
【0019】
なお、構造用ポリウレタン接着剤は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とが予め混合されている1液硬化型接着剤であってもよい。また、ポリイソシアネート成分を含む主剤(A液)と、ポリオール成分を含む硬化剤(B液)とを備える2液硬化型接着剤であってもよい。2液硬化型接着剤では、個別に用意された主剤および硬化剤が、使用時に混合される。構造用ポリウレタン接着剤は、作業性、取扱性などの観点から、好ましくは、2液硬化型接着剤である。
【0020】
ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基を分子末端に2つ以上有するウレタンプレポリマー(以下、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと称する。)を含有する。
【0021】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、第1原料ポリイソシアネートと第1原料ポリオールとの反応生成物である。第1原料ポリイソシアネートと第1原料ポリオールとは、水酸基に対してイソシアネート基が過剰となるように、反応する。
【0022】
第1原料ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含み、好ましくは、芳香族ポリイソシアネートからなる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体および芳香族ポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート、トルイジンジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0024】
芳香族ポリイソシアネート誘導体としては、上記芳香族ポリイソシアネート単量体を公知の方法で変性した変成体が挙げられる。より具体的には、芳香族ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、多量体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。また、芳香族ポリイソシアネート誘導体として、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートも挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0025】
これら芳香族ポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。芳香族ポリイソシアネートとして、接着特性の観点から、好ましくは、芳香族ポリイソシアネート単量体が挙げられ、より好ましくは、芳香族ジイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0026】
換言すれば、第1原料ポリイソシアネートは、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートを含み、より好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートからなる。
【0027】
第1原料ポリオールは、必須成分として、マクロポリオールを含有する。マクロポリオールは、水酸基を2つ以上有する比較的高分子量の有機化合物である。
【0028】
第1原料ポリオールにおけるマクロポリオール(以下、第1マクロポリオール)の数平均分子量は、200以上である。また、第1マクロポリオールの数平均分子量は、通常、15000以下である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算分子量である(以下同様)。
【0029】
第1マクロポリオールとしては、後述する第2マクロポリオールのうち、分子量200以上15000以下のものが使用される。第1マクロポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール(後述)、ポリエステルポリオール(後述)およびポリカーボネートポリオール(後述)が挙げられ、より好しくは、ポリエーテルポリオール(後述)が挙げられる。
【0030】
第1マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、200以上、好ましくは、300以上、より好ましくは、400以上である。また、第1マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、15000以下、好ましくは、13000以下、より好ましくは、12000以下、さらに好ましくは、10000以下、さらに好ましくは、8000以下、とりわけ好ましくは、5000以下である。
【0031】
第1マクロポリオールの水酸基当量は、例えば、150以上、好ましくは、200以上である。また、第1マクロポリオールの水酸基当量は、例えば、10000以下、好ましくは、8000以下である。なお、水酸基当量は、水酸基価から算出できる。
【0032】
第1マクロポリオールの平均水酸基数は、例えば、1.8以上、好ましくは、2以上である。また、第1マクロポリオールの平均水酸基数は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下である。
【0033】
なお、水酸基価および水酸基当量は、例えば、JIS K 1557-1(2007年)のA法またはB法に準拠して測定できる。また、平均水酸基数は、水酸基価、水酸基当量および分子量から算出できる。また、水酸基価、水酸基当量および平均水酸基数を、原料成分の仕込み比から算出することもできる(以下同様。)。
【0034】
第1原料ポリオールとして、とりわけ好ましくは、平均水酸基数2の第1マクロポリオールと、平均水酸基数3の第1マクロポリオールとが併用される。
【0035】
平均水酸基数2の第1マクロポリオールと、平均水酸基数3の第1マクロポリオールとが併用される場合、それらの総量100質量部に対して、平均水酸基数3の第1マクロポリオールが、例えば、50質量部を超過、好ましくは、60質量部以上である。また、平均水酸基数3の第1マクロポリオールが、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。また、平均水酸基数2の第1マクロポリオールが、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上である。平均水酸基数2の第1マクロポリオールが、例えば、50質量部未満、好ましくは、40質量部以下である。
【0036】
また、第1原料ポリオールは、任意成分として、低分子量ポリオールを含むことができる。低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する比較的低分子量の有機化合物である。
【0037】
第1原料ポリオールにおける低分子量ポリオール(以下、第1低分子量ポリオール)の分子量は、200未満、好ましくは、180以下である。
【0038】
第1低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール、および、4価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。4価以上のアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0039】
なお、第1低分子量ポリオールの含有割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲において、適宜選択される。より具体的には、第1低分子量ポリオールの含有割合は、第1原料ポリオールの総量100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下であり、とりわけ好ましくは、0質量部である。すなわち、第1原料ポリオールは、接着特性の観点から、好ましくは、第1低分子量ポリオールを含まず、第1マクロポリオールからなる。
【0040】
そして、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、第1原料ポリイソシアネートと第1原料ポリオールとを公知の方法で反応させることによって得られる。より具体的には、第1原料ポリイソシアネートと、第1原料ポリオールとを、所定割合で配合し、ウレタン化反応させる。
【0041】
ウレタン化反応において、第1原料ポリオール中の水酸基に対する、第1原料ポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、例えば、1を超過し、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.3以上、さらに好ましくは、1.5以上、とりわけ好ましくは,1.9以上である。また、当量比(NCO/OH)は、例えば、50以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、3以下、とりわけ好ましくは、2.5以下である。
【0042】
ウレタン化反応では、公知の重合方法が採用される。重合方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して反応させる。溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を公知の有機溶剤に添加し、反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、15時間以下である。なお、溶液重合において、有機溶剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。ウレタン化反応では、好ましくは、バルク重合(無溶剤下反応)が採用される。
【0043】
また、上記ウレタン化反応では、必要に応じて、公知のウレタン化触媒が添加される。また、必要に応じて、未反応のポリイソシアネートが、公知の方法により除去される。これにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む第1イソシアネート成分が得られる。
【0044】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとして、好ましくは、芳香族ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが挙げられ、より好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0045】
また、ポリイソシアネート成分は、必要により、遊離の(未反応の)第1原料ポリイソシアネート、有機溶剤およびウレタン化触媒を含有できる。また、遊離の(未反応の)第1原料ポリイソシアネート、有機溶剤およびウレタン化触媒は、公知の除去手段によって、除去されていてもよい。除去手段としては、例えば、抽出および蒸留が挙げられる。
【0046】
遊離の(未反応の)第1原料ポリイソシアネートの含有割合は、接着特性の観点から、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、8.0質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下である。
【0047】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの平均イソシアネート基数は、例えば、1.2以上、好ましくは、1.5以上、より好ましくは、2以上である。また、第1イソシアネート成分(固形分)の平均イソシアネート基数は、例えば、4以下、好ましくは、3以下である。
【0048】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(固形分)のイソシアネート基当量は、例えば、84以上、好ましくは、150以上、さらに好ましくは、168以上である。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(固形分)のイソシアネート基当量は、例えば、3500以下、好ましくは、2800以下、さらに好ましくは、2335以下である。なお、イソシアネート基当量は、アミン当量と同義であり、JIS K 1603-1(2007)のA法またはB法により、求めることができる。
【0049】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(固形分)のイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量、NCO%)は、例えば、1.2質量%以上、好ましくは、1.5質量%以上、より好ましくは、1.8質量%以上、さらに好ましくは、2.0質量%以上、とりわけ好ましくは、2.1質量%以上である。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(固形分)のイソシアネート基の含有量は、例えば、50質量%以下、好ましくは、28質量%以下、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、6質量%以下である。
【0050】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの、25℃における固形分の粘度は、例えば、1000mPa・s以上、好ましくは、5000mPa・s以上である。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの、25℃における固形分の粘度は、例えば、20万mPa・s以下、好ましくは、10万mPa・s以下である。なお、粘度は、B型粘度計を用いて測定される(以下同様)。
【0051】
ポリイソシアネート成分は、任意成分として、その他のポリイソシアネートを含有できる。その他のポリイソシアネートは、上記したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを除くイソシアネート化合物である。
【0052】
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネート単量体およびポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0053】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体、芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体、脂環族ポリイソシアネート単量体および鎖状脂肪族ポリイソシアネート単量体が挙げられる。
【0054】
芳香族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、上記の芳香族ポリイソシアネート単量体が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、後述する芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体が挙げられる。脂環族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、後述する脂環族ポリイソシアネート単量体が挙げられる。鎖状脂肪族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。
【0055】
ポリイソシアネート誘導体としては、上記ポリイソシアネート単量体の変性体が挙げられる。変性体としては、例えば、多量体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0056】
ポリイソシアネート誘導体として、好ましくは、芳香族ポリイソシアネート単量体の誘導体(以下、芳香族ポリイソシアネート誘導体)が挙げられ、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体が挙げられる。
【0057】
換言すれば、ポリイソシアネート成分は、好ましくは、芳香族ポリイソシアネート誘導体を含有し、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体を含有する。
【0058】
芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体は、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド化反応による反応生成物である。
【0059】
芳香族ポリイソシアネートとして、好ましくは、芳香族ジイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0060】
カルボジイミド化反応としては、脱炭酸縮合反応が挙げられる。脱炭酸縮合反応では、例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体をカルボジイミド化触媒の存在下において加熱する。
【0061】
カルボジイミド化触媒としては、特に制限されないが、例えば、トリアルキルリン酸エステル系化合物、フォスフォレンオキシド系化合物、フォスフォレンスルフィド系化合物、ホスフィンオキシド系化合物およびホスフィン系化合物が挙げられる。カルボジイミド化触媒の配合割合は、適宜設定される。また、カルボジイミド化反応における反応条件は、芳香族ポリイソシアネート単量体の種類および触媒の種類に応じて、適宜設定される。
また、必要により、上記した有機溶剤の存在下で、芳香族ポリイソシアネート単量体をカルボジイミド化反応させてもよい。
【0062】
カルボジイミド化反応により、芳香族ポリイソシアネート単量体が脱炭酸縮合し、カルボジイミド基が生成される。その結果、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体が得られる。
【0063】
また、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体は、必要により、遊離の(未反応の)芳香族ポリイソシアネート単量体、有機溶剤およびカルボジイミド化触媒を含有できる。また、遊離の(未反応の)芳香族ポリイソシアネート単量体、有機溶剤およびカルボジイミド化触媒は、公知の除去手段によって、除去されていてもよい。除去手段としては、例えば、抽出および蒸留が挙げられる。
【0064】
また、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変性体として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、コロネートMX(ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、NCO含有量29.0質量%、東ソー製)が挙げられる。
【0065】
また、任意成分としてのその他のポリイソシアネートとしては、その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーも挙げられる。その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、第1原料ポリイソシアネートおよび第1原料ポリオールの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを除く、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。
【0066】
その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとして、より具体的には、芳香脂肪族ポリイソシアネートを用いて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、イソシアネート基末端芳香脂肪族ウレタンプレポリマー)、脂環族ポリイソシアネートを用いて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、イソシアネート基末端脂環族ウレタンプレポリマー)、および、鎖状脂肪族ポリイソシアネートを用いて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、イソシアネート基末端鎖状脂肪族ウレタンプレポリマー)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0067】
その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとして、好ましくは、イソシアネート基末端芳香脂肪族ウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0068】
換言すれば、ポリイソシアネート成分は、好ましくは、その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有し、より好ましくは、その他のイソシアネート基末端芳香脂肪族ウレタンプレポリマーを含有する。
【0069】
イソシアネート基末端芳香脂肪族ウレタンプレポリマーは、例えば、芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体および/または誘導体と、上記の第1マクロポリオールとの反応により得られる。芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体および/または誘導体と、第1マクロポリオールとは、水酸基に対してイソシアネート基が過剰となるように、反応する。なお、これらの反応では、公知の方法が採用される。
【0070】
その他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用できる。その他のポリイソシアネートとして、好ましくは、ポリイソシアネート誘導体およびその他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが挙げられ、より好ましくは、ポリイソシアネート誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、芳香族ポリイソシアネート誘導体が挙げられ、とりわけ好ましくは、芳香族ポリイソシアネート単量体のカルボジイミド変成体が挙げられる。
【0071】
ポリイソシアネート成分において、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その他のポリイソシアネートとの割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その他のポリイソシアネートとの総量に対して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの割合が、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上である。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの割合が、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下、さらに好ましくは、80質量%以下である。
【0072】
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その他のポリイソシアネートとの総量に対して、その他のポリイソシアネートの割合が、例えば、0質量%以上、好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、20質量%以上である。また、その他のポリイソシアネートの割合が、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下である。
【0073】
ポリイソシアネート成分の25℃における固形分の粘度は、例えば、1000mPa・s以上、好ましくは、5000mPa・s以上であり、例えば、20万mPa・s以下、好ましくは、10万mPa・s以下である。
【0074】
ポリオール成分は、必須成分として、水酸基を分子末端に2つ以上有するウレタンプレポリマー(以下、水酸基末端ウレタンプレポリマーと称する。)を含有する。
【0075】
水酸基末端ウレタンプレポリマーは、第2原料ポリイソシアネートと第2原料ポリオールとの反応生成物である。第2原料ポリイソシアネートと第2原料ポリオールとは、水酸基に対してイソシアネート基が過少となるように、反応する。
【0076】
第2原料ポリイソシアネートは、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含み、好ましくは、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなる。
【0077】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体および芳香脂肪族ポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0078】
芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート(1,3-XDI)、1,4-キシリレンジイソシアネート(1,4-XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0079】
芳香脂肪族ポリイソシアネート誘導体としては、上記の芳香族ポリイソシアネート誘導体と同様の変性体が挙げられる。より具体的には、芳香脂肪族ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、多量体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0080】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂環族ポリイソシアネート単量体および脂環族ポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0081】
脂環族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、および、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0082】
脂環族ポリイソシアネート誘導体としては、上記の芳香族ポリイソシアネート誘導体と同様の変性体が挙げられる。より具体的には、脂環族ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、多量体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0083】
これら芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用できる。芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートとして、接着特性の観点から、好ましくは、芳香脂肪族ポリイソシアネート単量体が挙げられ、より好ましくは、芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、キシリレンジイソシアネートが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネートが挙げられる。換言すれば、芳香脂肪族ポリイソシアネートは、好ましくは、キシリレンジイソシアネートからなり、より好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネートからなる。
【0084】
第2原料ポリオールは、必須成分として、マクロポリオールを含有する。
【0085】
第2原料ポリオールにおけるマクロポリオール(以下、第2マクロポリオール)の数平均分子量は、100以上である。また、第2マクロポリオールの数平均分子量は、通常、15000以下である。
【0086】
より具体的には、第2マクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールおよびビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。第2マクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。第2マクロポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0087】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオール、および、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられ、好ましくは、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールが挙げられる。
【0088】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールは、公知の開始剤に対する炭素数2~3のアルキレンオキサイドの付加重合物である。開始剤としては、例えば、公知の低分子量ポリオールおよび公知のポリアミン化合物が挙げられる。
【0089】
アルキレンオキサイドとしては、炭素数2~3のアルキレンオキサイドが挙げられる。アルキレンオキサイドとして、より具体的には、例えば、エチレンオキサイド(IUPAC名:オキシラン)、プロピレンオキサイド(1,2-プロピレンオキサイド(IUPAC名:メチルオキシラン))、および、トリエチレンオキサイド(1,3-プロピレンオキサイド)が挙げられる。これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。アルキレンオキサイドとして、好ましくは、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが挙げられる。
【0090】
ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールとして、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシトリエチレンポリオール、および、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンポリオール(ランダムまたはブロック共重合体)が挙げられる。ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0091】
ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールとして、好ましくは、ポリオキシプロピレンポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
【0092】
第2マクロポリオールとして、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールが挙げられる。
【0093】
第2マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、100以上、好ましくは、150以上、より好ましくは180以上、さらに好ましくは、300以上、さらに好ましくは、350以上、さらにより好ましくは、400以上である。また、第2マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、15000以下、好ましくは、10000以下、より好ましくは、8000以下、さらに好ましくは、5000以下、さらに好ましくは、2000以下、さらに好ましくは、1000以下、とりわけ好ましくは、700以下である。
【0094】
第2マクロポリオールの水酸基当量は、例えば、90以上、好ましくは、120以上、より好ましくは、150以上、さらに好ましくは、200以上である。また、第2マクロポリオールの水酸基当量は、例えば、1000以下、好ましくは、800以下、より好ましくは、600以下、さらに好ましくは、550以下である。
【0095】
第2マクロポリオールの平均水酸基数は、例えば、1.8以上、好ましくは、2以上である。また、第2マクロポリオールの平均水酸基数は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下である。
【0096】
また、第2原料ポリオールは、任意成分として、低分子量ポリオールを含むことができる。第2原料ポリオールにおける低分子量ポリオール(以下、第2低分子量ポリオール)の分子量は、100未満、好ましくは、90以下である。
【0097】
第2低分子量ポリオールとしては、上記した第1低分子量ポリオールのうち、分子量100未満のものが使用される。第2低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。なお、第2低分子量ポリオールの含有割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲で適宜選択される。
【0098】
より具体的には、第2低分子量ポリオールの含有割合は、第2原料ポリオールの総量100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下であり、とりわけ好ましくは、0質量部である。すなわち、第2原料ポリオールは、接着強度の観点から、好ましくは、第2マクロポリオールからなる。
【0099】
そして、水酸基末端ウレタンプレポリマーは、第2原料ポリイソシアネートと第2原料ポリオールとを公知の方法で反応させることによって得られる。より具体的には、第2原料ポリイソシアネートと、第2原料ポリオールとを、所定割合で配合し、ウレタン化反応させる。
【0100】
ウレタン化反応において、第2原料ポリイソシアネート中のイソシアネート基に対する、第2原料ポリオール中の水酸基の当量比(OH/NCO)は、第2原料ポリオールの平均官能基数などに応じて、適宜設定される。
【0101】
例えば、第2原料ポリオールの平均官能基数が2である場合には、第2原料ポリイソシアネート中のイソシアネート基に対する、第2原料ポリオール中の水酸基の当量比(OH/NCO)は、例えば、1を超過し、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.3以上、さらに好ましくは、1.5以上、とりわけ好ましくは,1.9以上である。また、当量比(OH/NCO)は、例えば、50以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、3以下、とりわけ好ましくは、2.5以下である。
【0102】
また、第2原料ポリオールの平均官能基数が3である場合には、第2原料ポリイソシアネート中のイソシアネート基に対する、第2原料ポリオール中の水酸基の当量比(OH/NCO)は、例えば、1を超過し、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.3以上、さらに好ましくは、3以上、とりわけ好ましくは,3.5以上である。また、当量比(OH/NCO)は、例えば、50以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、5以下、とりわけ好ましくは、4.5以下である。
【0103】
ウレタン化反応では、公知の重合方法が採用される。重合方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して反応させる。溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を公知の有機溶剤に添加し、反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、48時間以下、好ましくは、24時間以下である。なお、溶液重合において、有機溶剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。ウレタン化反応では、好ましくは、バルク重合(無溶剤下反応)が採用される。
【0104】
また、上記ウレタン化反応では、必要に応じて、公知のウレタン化触媒が添加される。また、必要に応じて、未反応のポリイソシアネートが、公知の方法により除去される。これにより、水酸基末端ウレタンプレポリマーが得られる。
【0105】
水酸基末端ウレタンプレポリマーとして、好ましくは、芳香脂肪族ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーが挙げられ、より好ましくは、キシリレンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0106】
水酸基末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、例えば、300以上、好ましくは、350以上、より好ましくは、400以上である。また、水酸基末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、例えば、10000以下、好ましくは、8000以下、より好ましくは、5000以下である。
【0107】
水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基当量は、接着強度の観点から、例えば、150以上、好ましくは、190以上、より好ましくは、300以上、さらに好ましくは、350以上である。また、水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基当量は、例えば、3100以下、好ましくは、2100以下、より好ましくは、1500、さらに好ましくは、1100以下、とりわけ好ましくは、1000以下である。
【0108】
水酸基末端ウレタンプレポリマーの平均水酸基数は、例えば、1.8以上、好ましくは、2以上である。また、水酸基末端ウレタンプレポリマーの平均水酸基数は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下である。
【0109】
また、水酸基末端ウレタンプレポリマーは、必要により、遊離の(未反応の)第2原料ポリオール、有機溶剤およびウレタン化触媒を含有できる。また、遊離の(未反応の)第2原料ポリオール、有機溶剤およびウレタン化触媒は、公知の除去手段によって、水酸基末端ウレタンプレポリマーから除去されていてもよい。除去手段としては、例えば、抽出および蒸留が挙げられる。
【0110】
ポリオール成分が上記の水酸基末端ウレタンプレポリマーを含有していれば、優れた接着特性が得られる。さらに、ポリオール成分が上記の水酸基末端ウレタンプレポリマーを含有していれば、優れたポットライフおよび速硬化性が得られ、作業性が向上する。
【0111】
水酸基末端ウレタンプレポリマーの含有割合は、接着強度の観点から、ポリオール成分の総量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、8質量%以上である。また、ポリオール成分の総量に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーの割合が、例えば、100質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、50質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下、とりわけ好ましくは、10質量%以下である。
【0112】
ポリオール成分は、必須成分として、低分子量ポリオール(以下、第3低分子量ポリオール)を含有する。第3低分子量ポリオールの分子量は、200未満、好ましくは、180以下である。第3低分子量ポリオールとしては、例えば、上記した第1低分子量ポリオールが挙げられる。第3低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0113】
第3低分子量ポリオールの含有割合は、水酸基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上である。また、第3低分子量ポリオールの含有割合は、水酸基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、1000質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。
【0114】
また、ポリオール成分は、任意成分として、その他のマクロポリオールを含有できる。その他のマクロポリオールは、上記の水酸基末端ウレタンプレポリマーを除くマクロポリオールである。
【0115】
その他のマクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールおよびビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。これらマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。マクロポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0116】
ポリエーテルポリオールとしては、第2原料ポリオールとして上記したポリエーテルポリオールが挙げられる。より具体的には、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオール、および、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられ、好ましくは、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールが挙げられる。
【0117】
ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールとして、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシトリエチレンポリオール、および、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンポリオール(ランダムまたはブロック共重合体)が挙げられる。ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0118】
その他のマクロポリオールの数平均分子量は、接着強度の観点から、例えば、500以上、好ましくは、1000以上、より好ましくは、1500以上である。また、マクロポリオールの数平均分子量は、接着強度の観点から、10000以下、より好ましくは、7500以下、より好ましくは、5000以下である。
【0119】
その他のマクロポリオールの水酸基当量は、例えば、150以上、好ましくは、200以上である。また、その他のマクロポリオールの水酸基当量は、例えば、10000以下、好ましくは、8000以下である。
【0120】
その他のマクロポリオールの平均水酸基数は、架橋密度および接着強度の観点から、1.9以上、好ましくは、2以上、より好ましくは、2.3以上、さらに好ましくは、2.5以上、とりわけ好ましくは、3以上である。また、その他のマクロポリオールの平均水酸基数は、接着強度の観点から、例えば、4以下、好ましくは、3.5以下である。
【0121】
すなわち、ポリオール成分は、好ましくは、平均水酸基数3以上のその他のマクロポリオールを含有し、より好ましくは、平均水酸基数3以上のポリエーテルポリオールを含有する。
【0122】
また、ポリオール成分がその他のマクロポリオールを含有する場合、その他のマクロポリオールの含有割合は、水酸基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、100質量部以上、好ましくは、500質量部以上である。また、その他のマクロポリオールの含有割合は、水酸基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、5000質量部以下、好ましくは、2000質量部以下である。
【0123】
また、構造用ポリウレタン接着剤は、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、可塑剤、フィラー、相溶化剤、ウレタン化触媒、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、高分子光安定剤、有機溶剤、顔料、染料、消泡剤、分散剤、レベリング材、チクソ付与剤、ブロッキング防止剤、離型剤、滑剤、層間調整剤および粘度調整剤が挙げられる。添加剤の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0124】
なお、添加剤は、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合物(例えば、1液硬化型接着剤など)に添加されていてもよい。また、添加剤は、例えば、後述する主剤に含有されていてもよく、また、後述する硬化剤に含有されていてもよく、さらに、それらの両方に含有されていてもよい。
【0125】
一方、構造用ポリウレタン接着剤は、作業性の観点から、好ましくは、有機溶剤を含有しない。つまり、構造用ポリウレタン接着剤は、好ましくは、無溶剤型接着剤である。
【0126】
無溶剤型接着剤において、ポリイソシアネート成分は、例えば、有機溶剤を使用せずに調製されるか、または、有機溶剤を使用して調製された後、公知の方法で脱溶剤される。
【0127】
また、無溶剤型接着剤において、ポリオール成分は、例えば、有機溶剤を使用せずに調製されるか、または、有機溶剤を使用して調製された後、公知の方法で脱溶剤される。
【0128】
また、構造用ポリウレタン接着剤は、上記したように、好ましくは、ポリイソシアネート成分を含む主剤と、ポリオール成分を含む硬化剤とを備える2液硬化型接着剤である。
2液硬化型接着剤は、別々に用意された主剤および硬化剤を使用時に配合(混合)して硬化物を形成するための樹脂組成物キット(2液キット)である。すなわち、主剤および硬化剤を混合することにより、樹脂混合物(ポリウレタン混合物)が得られ、その樹脂混合物が硬化反応することにより、硬化物(ポリウレタン硬化物)が得られる。
【0129】
そして、上記の構造用ポリウレタン接着剤では、ポリイソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネートを含む第1原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオール(第1マクロポリオール)を含む第1原料ポリオールの反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含み、ポリオール成分が、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む第2原料ポリイソシアネート、および、マクロポリオール(第2マクロポリオール)を含む第2原料ポリオールの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーと、低分子量ポリオール(第3低分子量ポリオール)とを含む。そのため、上記の構造用ポリウレタンは、優れた接着特性を有する。
【0130】
そのため、上記の構造用ポリウレタン接着剤は、複数の部材などから構成される構造物(例えば、自動車および建築物)において、それら各部材を接着するために、好適に用いられる。構造物としては、例えば、建物、自動車、輸送機器および船が挙げられる。
【0131】
構造用ポリウレタン接着剤の使用においては、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含む混合物を、公知の方法によって部材に塗布し、硬化させ、必要に応じて養生する。
【0132】
作業性の観点から、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含む混合物の25℃における粘度は、例えば、100mPa・s以上、好ましくは、300mPa・s以上である。また、混合物の25℃における粘度は、例えば、500000mPa・s以下、好ましくは、100000mPa・s以下、より好ましくは、50000mPa・s以下である。
【0133】
また、硬化条件および養生条件は、適宜設定される。より具体的には、硬化温度が、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、硬化温度が、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下である。また、硬化時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、硬化時間が、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。また、養生温度が、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、養生温度が、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下である。また、養生時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上である。また、養生時間が、例えば、2週間以下、好ましくは、1週間以下である。
【0134】
これにより、構造用ポリウレタン接着剤を硬化させ、各部材を良好に接着させることができる。
【実施例
【0135】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0136】
・ポリイソシアネート成分
(準備例1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
第1原料ポリオールとしてのアクトコールDL4000(商品名、数平均分子量4000、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)289質量部、および、アクトコールT-5000(商品名、数平均分子量5000、平均水酸基数3のポリエーテルポリオール、三井化学製)578質量部と、第1原料ポリイソシアネートとしての4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)133質量部とを、混合した。このときの当量比(NCO/OH)は、2.16であった。これにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(MDIプレポリマー)を得た。MDIプレポリマーの固形分濃度は100%、イソシアネート基含有率は2.33質量%であった。
【0137】
(準備例2)芳香族ポリイソシアネート誘導体
芳香族ポリイソシアネート誘導体として、コロネートMX(ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、NCO含有量29.0質量%、東ソー製)を準備した。以下、コロネートMX中の固形分を、MDIカルボジイミドと称する。
【0138】
(準備例3)その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
アクトコールD-400(商品名、数平均分子量400、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)264.0質量部と、1,3-キシリレンジイソシアネート(XDI)736.0質量部とを、混合した。このときの当量比(NCO/OH)は、6.0であった。次いで、得られた混合物を、窒素気流中、60℃で1時間撹拌し、さらに、70℃で4時間撹拌し、ウレタン化反応させた。さらに、反応生成物を、薄膜蒸留(壁面温度145~155℃、真空度100Pa以下、流量3~5g/min、冷却水温度10℃)、未反応の1,3-キシリレンジイソシアネート(単量体)を留去した。これにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(XDIプレポリマー)を得た。XDIプレポリマーの固形分濃度は100%、イソシアネート基含有率は10.5質量%であった。
【0139】
・ポリオール成分
(準備例4)水酸基末端ウレタンプレポリマー(D-400/XDI)
第2原料ポリオールとしてのアクトコールD-400(商品名、数平均分子量400、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)813.01質量部と、第2原料ポリイソシアネートとしての1,3-キシリレンジイソシアネート(XDI)186.99質量部とを混合した。このときの当量比(OH/NCO)は、2.02であった。次いで、得られた混合物を、窒素気流中、60℃で1時間撹拌し、さらに、70℃で6時間撹拌し、ウレタン化反応させた。これにより、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た。
水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基価は493、固形分濃度は100%、25℃における粘度は、4500mPa・sであった。
【0140】
(準備例5)水酸基末端ウレタンプレポリマー(T-700/XDI)
第2原料ポリイソシアネートとして、1,3-キシリレンジイソシアネート(XDI)を用い、また、第2原料ポリオールとして、アクトコールT-700(商品名、数平均分子量700、平均水酸基数3のポリエーテルポリオール、三井化学製)を用い、当量比(OH/NCO)を3.03とした。また、これらを80℃で1時間反応させ、その後、90℃で4時間ウレタン化反応させた。
【0141】
その他は、準備例4と同様にして、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た。水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基価は380、固形分濃度は100%、25℃における粘度は、7400mPa・sであった。
【0142】
(準備例6)水酸基末端ウレタンプレポリマー(D-1000/MDI)
第2原料ポリイソシアネートとして、1,3-キシリレンジイソシアネート(XDI)を用い、また、第2原料ポリオールとして、アクトコールD-1000(商品名、数平均分子量1000、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)を用い、当量比(OH/NCO)を2.02とした。また、これらを80℃で3時間反応させ、その後、90℃で5時間ウレタン化反応させた。
【0143】
その他は、準備例4と同様して、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た。水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基価は1093、固形分濃度は100%、25℃における粘度は、1900mPa・sであった。
【0144】
(準備例7)水酸基末端ウレタンプレポリマー(D-400/MDI)
第2原料ポリイソシアネートとして、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用い、また、第2原料ポリオールとして、アクトコールD-400(商品名、数平均分子量400、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)を用い、当量比(OH/NCO)を2.02とした。また、これらを60℃で7時間ウレタン化反応させた。
【0145】
その他は、準備例4と同様して、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た。水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基価は524、固形分濃度は100%、25℃における粘度は、73600mPa・sであった。
【0146】
(準備例8)水酸基末端ウレタンプレポリマー(D-400/HDI)
第2原料ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を用い、また、第2原料ポリオールとして、アクトコールD-400(商品名、数平均分子量400、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)を用い、当量比(OH/NCO)を2.02とした。また、これらを、110℃で18時間ウレタン化反応させた。
【0147】
その他は、準備例4と同様にして、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た。水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基価は484、固形分濃度は100%、25℃における粘度は、2700mPa・sであった。
【0148】
(準備例9)マクロポリオール
マクロポリオールとして、アクトコールD-1000(商品名、数平均分子量1000、平均水酸基数2のポリエーテルポリオール、三井化学製)を準備した。
【0149】
(準備例10)マクロポリオール
マクロポリオールとして、アクトコールEP-330N(平均官能基数3のポリオキシアルキレンポリオール(プロピレンオキサイド-エチレンオキサイドのブロック共重合体)、数平均分子量5000、三井化学社製)を準備した。
【0150】
(準備例11)低分子量ポリオール
低分子量ポリオールとして、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)を準備した。
【0151】
実施例1~12および比較例1~5
また、表1~表3に記載の処方(固形分)で各成分を混合し、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を調製した。なお、ポリオール成分には、触媒(DABCO 33-LV)を860ppm添加した。これにより、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を備える構造用ポリウレタン接着剤を得た。
【0152】
なお、実施例2~3は、実施例1に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーの種類を変更した処方の実施例である。実施例4~7および実施例11~12は、実施例1に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーの量を変更した処方の実施例である。また、実施例8は、実施例1~3に対して、マクロポリオールを配合しない処方の実施例である。また、実施例9は、実施例1に対して、MDIカルボジイミドを配合しない処方の実施例である。また、実施例10は、実施例1に対して、MDIカルボジイミドを配合せず、その他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを配合する処方の実施例である。
【0153】
また、比較例1は、実施例1に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーを配合しない処方の比較例である。また、比較例2~3は、実施例1に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーの種類を変更した処方の比較例である。また、比較例4は、実施例1に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーをマクロポリオールに変更した処方の比較例である。
【0154】
また、比較例5は、実施例9に対して、水酸基末端ウレタンプレポリマーを配合しない処方の比較例である。
【0155】
(評価)
1.接着試験(PP/SPCC)
ポリプロピレン板(J707G、プライムポリマー製(PP))を幅25mmに裁断した試験片を用意した。これを、接着試験体の作成直前にコロナ処理し、濡れ性(JISK 6768(1999年))を40dyn/cm以上に調整し、被着体1とした。
【0156】
一方、冷間圧延鋼板(SPCC)を幅25mmに裁断し、カチオン電着塗装(ED)したED-SPCC板(JIS G 3141(SPCC,SD)、テストピース製)を用意した。次いで、SPCCの表面をイソプロピルアルコールで除脂および洗浄し、その後、乾燥させた。これを、被着体2とした。
【0157】
そして、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、当量比(NCO/OH)が1.05となる割合で混合した。次いで、得られた混合物に、層厚調整のためのガラスビーズ(ASGB-60、アズワン製、0.250~0.355mm)を添加した。ガラスビーズの添加量は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分およびガラスビーズの総量に対して、1質量%となるように調整した。
【0158】
その後、上記の混合物を被着体1に塗布し、接着面積が25mm×12.5mm、接着層厚が0.3mmとなるように、被着体1と被着体2とを密着させ、25℃で1時間硬化させ、室温(18~28℃、45~55%RH)で1週間養生した。これにより、被着試験体(以下、試験板)を得た。
【0159】
そして、被着体1と被着体2とのせん断接着強さ(以下、接着強度)[MPa]を、引張試験機(U-4410、オリエンテック社製により、引張速度50mm/minで測定した。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
2.接着試験(CFRP/SPCC)
スタンダードテストピース社製のCFRP(つやなし)2.0×25×100mmを用意した。次いで、CFRPの表面をイソプロピルアルコールで除脂および洗浄し、その後、乾燥させた。これを、被着体1とした。その他は、上記接着試験(PP/SPCC)と同じ方法で、実施例1~3および比較例4について、接着強度を測定した。
【0164】
【表4】
【0165】
3.作業性
実施例1~3および比較例4について、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、当量比(NCO/OH)が1.05となる割合で混合した。これらの混合物を、アクリル板に、厚み1mmとなるように塗布した。そして、ドライングタイムレコーダー(塗料乾燥時間測定器II型、大祐機材社製)により、固化時間および可使時間を測定した。
【0166】
なお、固化時間は、ドライングタイムレコーダーの針が塗膜の上面に乗り上げる時間を示す。また、可使時間は、針が通過した後の塗膜が埋め戻される時間である。そして、可使時間に対する固形化の比率(固化時間/可使時間)を算出した。なお、これらの比率(固化時間/可使時間)が小さいほど、可使時間が比較的長く、固化時間が比較的短いことを示すため、作業性に優れている。
【0167】
【表5】
【0168】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の構造用ポリウレタン接着剤は、複数の部材などから構成される構造物において、それら各部材を接着するために、好適に用いられる。