(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】回路埋込基板とその製造方法、及び回路埋込基板一体成形品
(51)【国際特許分類】
H05B 3/02 20060101AFI20250226BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20250226BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250226BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
H05B3/02 B
B29C65/08
H05K1/02 L
H05K3/10 A
(21)【出願番号】P 2023017225
(22)【出願日】2023-02-08
【審査請求日】2024-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 寿文
(72)【発明者】
【氏名】横山 崇
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-163723(JP,A)
【文献】特開2020-161457(JP,A)
【文献】実開昭59-166391(JP,U)
【文献】特開2022-149123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02
H05B 3/20 - 3/38
B29C 65/08
H05K 1/02
H05K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムと、
前記フィルムの第1主面上に配置された1つの金属細線からなり、任意のパターンを有する機能部と、前記機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、前記機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、前記第1配線部及び前記第2配線部からそれぞれ前記機能部とは反対側に延び、前記フィルムの前記第1主面に平行になるように折り返された折返し部とを有するとともに、前記機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部とが前記フィルムに埋め込まれている回路と、
前記第1配線部及び前記第2配線部の上にそれぞれ固定され、上面
のみそれぞれ前記折返し部が電気的に接続された2つの電極パッドとを備えた、回路埋込基板。
【請求項2】
フィルムと、
前記フィルムの第1主面上に配置されたそれぞれ1つの金属細線からなり、それぞれ任意のパターンを有し並列に配置された第1機能部及び第2機能部と、前記第1機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、前記第1機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、前記第2機能部の両端の一方から引き出された第3配線部と、前記第2機能部の両端の他方から引き出された第4配線部と、前記第1配線部、前記第2配線部、前記第3配線部及び前記第4配線部からそれぞれ前記第1機能部及び前記第2機能部とは反対側に延び、前記フィルムの前記第1主面に平行になるようにそれぞれ折り返された第1折返し部、第2折返し部、第3折返し部及び第4折返し部とを有するとともに、前記第1機能部及び前記第2機能部と、前記第1配線部、前記第2配線部、前記第3配線部及び前記第4配線部とが前記フィルムに埋め込まれている2つの回路と、
前記第1配線部及び前記第3配線部の上に共通して固定され、上面
のみ前記第1折返し部及び前記第3折返し部が電気的に接続された第1電極パッドと、
前記第2配線部及び前記第4配線部の上に共通して固定され、上面
のみ前記第2折返し部及び前記第4折返し部が電気的に接続された第2電極パッドとを備えた、回路埋込基板。
【請求項3】
前記第1配線部及び前記第3配線部からそれぞれ延びた端部、または、前記第2配線部及び前記第4配線部からそれぞれ延びた端部はつながっている、請求項2に記載の回路埋込基板。
【請求項4】
前記金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
前記折返し部の前記金属細線はすべて露出されており、露出された前記金属細線と前記電極パッドとが電気的に接続されている、請求項1から3のいずれかに記載の回路埋込基板。
【請求項5】
前記金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
前記折返し部の前記絶縁被覆層の一部から前記金属細線が露出されて、露出された前記金属細線と前記電極パッドとが導電性接合材を介して電気的に接続されている、請求項1から3のいずれかに記載の回路埋込基板。
【請求項6】
立体形状を有する成形体と、
前記立体形状に沿って一体化され、少なくとも2つの前記電極パッドが前記成形体から露出されている請求項1から3のいずれかに記載の回路埋込基板とを備えた、回路埋込基板一体成形品。
【請求項7】
フィルムを準備する準備工程と、
前記フィルムの第1主面上に配置された1つの金属細線からなり、任意のパターンを有する機能部と、前記機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、前記機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、前記第1配線部及び前記第2配線部からそれぞれ前記機能部とは反対側に延びる第1端部及び第2端部とを有するとともに、前記機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部とを超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで回路を形成する回路形成工程と、
前記第1配線部と前記第2配線部の上に
電極パッドの上面のみが電気的に接続するようにそれぞれ電極パッドを固定する固定工程と、
前記第1端部及び前記第2端部を、それぞれ前記フィルムの前記第1主面に平行になるように前記電極パッドの上面に折り返して、前記第1端部及び前記第2端部をそれぞれ前記電極パッドに電気的に接続する接続工程とを備えた、回路埋込基板の製造方法。
【請求項8】
前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記金属細線との接触面を溶融させるとともに前記金属細線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込むホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記金属細線とを有しており、
前記回路形成工程は、
前記ホーンから前記金属細線を所定長さだけ引き出して前記フィルムに埋め込まれない前記第1端部とするステップと、
前記第1端部の引き出しの終端から、さらに前記金属細線を所定長さだけ引き出しつつ前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで前記第1配線部を形成するステップと、
前記ホーンから前記金属細線を所定長さだけ引き出しつつ、前記第1配線部の埋め込みの終端から前記フィルムの前記第1主面に任意のパターンで埋め込んで前記機能部を形成するステップと、
前記ホーンから前記金属細線を所定長さだけ引き出しつつ、前記機能部の埋め込みの終端から延びて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで前記第2配線部を形成するステップと、
前記第2配線部の埋め込みの終端から前記金属細線を所定長さだけ引き出して、前記フィルムに埋め込まれない前記第2端部とするステップと、
前記第2端部の引き出しの終端で金属細線を切断するステップとを含む、請求項7に記載の回路埋込基板の製造方法。
【請求項9】
前記回路形成工程で使用する前記金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
前記接続工程は、
前記第1端部及び前記第2端部の前記絶縁被覆層が前記電極パッドの前記上面に接するように、前記第1端部及び前記第2端部を折り返すステップと、
前記第1端部及び前記第2端部の前記絶縁被覆層を熱により溶融して、前記金属細線をすべて露出させるとともに、露出された前記金属細線と前記電極パッドの前記上面とを電気的に接続するステップとを含む、請求項7または8に記載の回路埋込基板の製造方法。
【請求項10】
前記回路形成工程で使用する前記金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
前記接続工程は、
前記第1端部及び前記第2端部の前記絶縁被覆層の一部をあらかじめ除去するステップと、
前記第1端部及び前記第2端部がそれぞれ前記電極パッドの前記上面に接するように、前記第1端部及び前記第2端部を折り返すステップと、
前記金属細線と前記電極パッドとを、導電性接合材を介して電気的に接続するステップとを含む、請求項7または8に記載の回路埋込基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路埋込基板とその製造方法、及び回路埋込基板一体成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの金属細線が任意のパターンでフィルムに埋め込まれた、フィルムヒータなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図13を参照して、このようなフィルムヒータ100は、フィルム200と、フィルム200の上に設けられた接合層800と、接合層800に埋め込まれた1つの被覆された金属細線300からなる回路400とを備えている。回路400は、接続端子部410と、接続端子部410から延びる配線部420と、配線部420から延びて任意のパターンを有するヒータ部430とを有する。回路400は、超音波振動を与えることにより接合層800の金属細線300との接触面を溶融させて埋め込まれている。
【0003】
接続端子部410を外部に取り出すために、半田付けやヒュージングなどを用いて接続端子部410と電極パッド(図示せず)とを溶着する方法が考えられるところ、その方法を用いるためには、接続端子部410の上に電極パッドを配置するよりも、電極パッドをフィルム200の上に配置した後、その上に接続端子部410を配置すると接続作業の効率が良い。例えば
図14を参照して、フィルム200の上に接着層700を介して固定された電極パッド500,600を跨ぐようにして、被覆された金属細線300をフィルム200に埋め込み、電極パッド500,600と金属細線300とを溶着する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、金属細線300は電極パッド500,600を跨いでフィルム200に埋め込まれているため、電極パッド500,600を跨ぐ箇所の金属細線300にはX方向に引張応力(テンション)が加わっており、その状態で溶着されている。フィルムヒータ100の使用環境によってフィルム200がX方向及び/又はY方向に収縮すると、金属細線300は収縮に追従しないため、電極パッド500,600と金属細線300との溶着部900に応力が生じ、その結果溶着部900が剥離して導電性が低下するといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、導電性が低下しにくい回路埋込基板と、そのような回路埋込基板を容易に製造できる回路埋込基板の製造方法とを提供することを目的とする。また、導電性が低下しにくい回路埋込基板を用いた回路埋込基板一体成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための第1の発明は、
フィルムと、
フィルムの第1主面上に配置された1つの金属細線からなり、任意のパターンを有する機能部と、機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、第1配線部及び第2配線部からそれぞれ機能部とは反対側に延び、フィルムの第1主面に平行になるように折り返された折返し部とを有するとともに、機能部と、第1配線部及び第2配線部とがフィルムに埋め込まれている回路と、
第1配線部及び第2配線部の上にそれぞれ固定され、上面にそれぞれ折返し部が電気的に接続された2つの電極パッドとを備えた、回路埋込基板である。
このような回路埋込基板は、回路のうち機能部と第1配線部及び第2配線部とがフィルムの第1主面に埋め込まれ、折返し部はフィルムに埋め込まれずに折り返されて電極パッドの上面に接続されている。つまり、接続部の金属細線に応力が加わりにくいため、フィルムが収縮しても接続部が剥離しにくく、導電性が低下しにくい。
【0008】
上記の目的を達成するための第2の発明は、
フィルムと、
フィルムの第1主面上に配置されたそれぞれ1つの金属細線からなり、それぞれ任意のパターンを有し並列に配置された第1機能部及び第2機能部と、第1機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、第1機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、第2機能部の両端の一方から引き出された第3配線部と、第2機能部の両端の他方から引き出された第4配線部と、第1配線部、第2配線部、第3配線部及び第4配線部からそれぞれ第1機能部及び第2機能部とは反対側に延び、フィルムの第1主面に平行になるようにそれぞれ折り返された第1折返し部、第2折返し部、第3折返し部及び第4折返し部とを有するとともに、第1機能部及び第2機能部と、第1配線部、第2配線部、第3配線部及び第4配線部とがフィルムに埋め込まれている2つの回路と、
第1配線部及び第3配線部の上に共通して固定され、上面に第1折返し部及び第3折返し部が電気的に接続された第1電極パッドと、
第2配線部及び第4配線部の上に共通して固定され、上面に第2折返し部及び第4折返し部が電気的に接続された第2電極パッドとを備えた、回路埋込基板である。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、
第1配線部及び第3配線部からそれぞれ延びた端部、または、第2配線部及び第4配線部からそれぞれ延びた端部はつながっている、回路埋込基板である。
【0010】
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、
金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
折返し部の金属細線はすべて露出されており、露出された金属細線と電極パッドとが電気的に接続されている、回路埋込基板である。
【0011】
第5の発明は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、
金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
折返し部の絶縁被覆層の一部から金属細線が露出されて、露出された金属細線と電極パッドとが導電性接合材を介して電気的に接続されている、回路埋込基板である。
【0012】
上記の目的を達成するための第6の発明は、
立体形状を有する成形体と、
立体形状に沿って一体化され、少なくとも2つの電極パッドが成形体から露出されている第1から第3の発明のいずれかの回路埋込基板とを備えた、回路埋込基板一体成形品である。
【0013】
上記の目的を達成するための第7の発明は、
フィルムを準備する準備工程と、
フィルムの第1主面上に配置された1つの金属細線からなり、任意のパターンを有する機能部と、機能部の両端の一方から引き出された第1配線部と、機能部の両端の他方から引き出された第2配線部と、第1配線部及び第2配線部からそれぞれ機能部とは反対側に延びる第1端部及び第2端部とを有するとともに、機能部と、第1配線部及び第2配線部とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで回路を形成する回路形成工程と、
第1配線部と第2配線部の上にそれぞれ電極パッドを固定する固定工程と、
第1端部及び第2端部を、それぞれフィルムの第1主面に平行になるように電極パッドの上面に折り返して、第1端部及び第2端部をそれぞれ電極パッドに電気的に接続する接続工程とを備えた、回路埋込基板の製造方法である。
このような製造方法では、機能部と第1配線部及び第2配線部とをフィルムの第1主面に埋め込んだ後、フィルムに埋め込まない第1端部及び第2端部を電極パッドの上面に折り返して接続する。つまり、接続部の金属細線に応力を加えずに接続できるため、フィルムが収縮しても接続部が剥離しにくく、導電性が低下しにくい。
【0014】
第8の発明は、第7の発明において、
超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの金属細線との接触面を溶融させるとともに金属細線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される金属細線とを有しており、
回路形成工程は、
ホーンから金属細線を所定長さだけ引き出してフィルムに埋め込まれない第1端部とするステップと、
第1端部の引き出しの終端から、さらに金属細線を所定長さだけ引き出しつつフィルムの第1主面に埋め込んで第1配線部を形成するステップと、
ホーンから金属細線を所定長さだけ引き出しつつ、第1配線部の埋め込みの終端からフィルムの第1主面に任意のパターンで埋め込んで機能部を形成するステップと、
ホーンから金属細線を所定長さだけ引き出しつつ、機能部の埋め込みの終端から延びてフィルムの第1主面に埋め込んで第2配線部を形成するステップと、
第2配線部の埋め込みの終端から金属細線を所定長さだけ引き出して、フィルムに埋め込まれない第2端部とするステップと、
第2端部の引き出しの終端で金属細線を切断するステップとを含む、回路埋込基板の製造方法である。
【0015】
第9の発明は、第7又は第8の発明において、
回路形成工程で使用する金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
接続工程は、
第1端部及び第2端部の絶縁被覆層が電極パッドの上面に接するように、第1端部及び第2端部を折り返すステップと、
第1端部及び第2端部の絶縁被覆層を熱により溶融して、金属細線をすべて露出させるとともに、露出された金属細線と電極パッドの上面とを電気的に接続するステップとを含む、回路埋込基板の製造方法である。
【0016】
第10の発明は、第7又は第8の発明において、
回路形成工程で使用する金属細線は絶縁被覆層により被覆されており、
接続工程は、
第1端部及び第2端部の絶縁被覆層の一部をあらかじめ除去するステップと、
第1端部及び第2端部がそれぞれ電極パッドの上面に接するように、第1端部及び第2端部を折り返すステップと、
金属細線と電極パッドとを、導電性接合材を介して電気的に接続するステップとを含む、回路埋込基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の回路埋込基板及び回路埋込基板一体成形品は、導電性が低下しにくいものである。本発明の回路埋込基板の製造方法によれば、導電性が低下しにくい回路埋込基板を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)回路埋込基板の一実施形態を示す模式的な平面図。(b)(a)のA-A断面図。
【
図2】被覆された金属細線の一例を示す模式的な断面図。
【
図3】金属細線と電極パッドとの接続の一例を示す模式的な断面図。
【
図4】回路埋込基板の別の実施形態を示す模式的な平面図。
【
図5】(a)回路埋込基板の別の実施形態を示す模式的な平面図。(b)(a)の部分拡大図。
【
図8】(a)回路埋込基板一体成形品の一実施形態を示す模式的な斜視図。(b)(a)のA-A断面図。
【
図9】回路埋込基板一体成形品の別の例を示す模式的な断面図。
【
図10】回路埋込基板の製造方法の一実施形態を示す模式的な斜視図。
【
図11】金属細線がホーン内部を通ってフィルムに埋め込まれる様子を示す模式的な断面図。
【
図12】回路埋込基板の製造方法の別の例を示す模式的な斜視図。
【
図13】(a)従来のフィルムヒータを示す模式的な平面図。(b)(a)のA-A断面図。
【
図14】(a)従来のフィルムヒータの別の例を示す模式的な平面図。(b)(a)のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(回路埋込基板の第1実施形態)
図1(a)を参照して、回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置された1つの金属細線3からなる回路4と、第1電極パッド5と、第2電極パッド6とを備えている。
フィルム2は任意の形状とすることができ、本実施形態では矩形状である。フィルム2は透明、不透明又は着色透明のものを用いることができる。フィルム2の材料としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。これらを2種以上含有するものであってもよい。フィルム2には無機微細粉末あるいは有機フィラー、分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、紫外線安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤などを適宜添加することができる。フィルム2の厚みは、例えば0.05mm~1mmである。
【0020】
回路4は、任意のパターンを有する機能部40と、機能部40の両端の一方40aから引き出された第1配線部41と、機能部40の両端の他方40bから引き出された第2配線部42と、第1折返し部43と、第2折返し部44とを有する。第1配線部41及び第2配線部42の上にそれぞれ接着層7を介して第1電極パッド5及び第2電極パッド6が固定され、各電極パッド5,6の上面5a,6aにそれぞれ折返し部43,44が電気的に接続されている。換言すると、第1電極パッド5は第1配線部41と第1折返し部43との間に位置し、第2電極パッド6は第2配線部42と第2折返し部44との間に位置する。各折返し部43,44は、第1配線部41及び第2配線部42からそれぞれ機能部40とは反対側(図の+X方向)に延び、フィルム2の第1主面2aに平行になるように折り返されている(
図1(b)参照)。
機能部40、第1配線部41及び第2配線部42は、フィルム2の第1主面2aに埋め込まれている。各折返し部43,44は、フィルム2には埋め込まれていない。
【0021】
本実施形態では、機能部40は発熱部であり、回路埋込基板1はフィルムヒータである。例えば第1電極パッド5にプラスの電圧を印加し、第2電極パッド6にマイナスの電圧を印加することにより、金属細線3からなる回路4に電流が生じ、機能部40が発熱する。機能部40は、第1配線部41及び第2配線部42にそれぞれ接続された両端40a,40bを有し、ループ状のパターン形状を有する。より詳細には、機能部40は、第1配線部41との接続部40aから+Y方向に延びた後、-X方向、-Y方向、+X方向、そして+Y方向へと延びて第2配線部42との接続部40bに到達するパターン形状である。このように機能部40は、第1配線部41及び第2配線部42との接続部40a,40bを有し、接続部40a,40bからXY平面に広がる任意のパターンを有する。
【0022】
金属細線3には、例えば、銅、鉄、金、銅ニッケル、ニッケルクロム、鉄ニッケルクロムなど導電性を有する材料を用いることができる。電気抵抗や耐久性、コストの観点から、銅又は銅に亜鉛や鉛、錫、銀、アルミ、ニッケル、ベリリウム、ジルコニウムなどを単独もしくは複数組み合わせた銅合金を用いることが好ましい。金属細線3の直径は、例えば0.01mm~0.5mmである。直径をできるだけ細くし、例えば0.01mm~0.2mmとすると、金属細線3を目立たなくすることができる。
【0023】
各電極パッド5,6は、回路埋込基板1の端子部となるため、フィルム2の第1主面2a上の周縁部に固定される。
図1(a)では、フィルム2の第1主面2a上の周縁部であって、Y方向に並んで配置されている。より詳細には、電極パッド5,6は、フィルム2のY方向に平行な一辺に沿って、Y方向に並んで配置されている。電極パッド5,6は例えば、銅、リン青銅、黄銅、コルソン合金、ニッケル、モリブデンなど導電性を有する材料を用いることができる。これら材料を母材とし、母材にニッケル、スズ、金、銀、銅などをメッキしたものを用いてもよい。電極パッド5,6の大きさは、例えば5mm×10mmである。厚みは、例えば0.1mmである。
【0024】
図2を参照して、回路4は、金属細線3とそれを被覆する絶縁被覆層8とからなる導電線9によって形成されてもよい。絶縁被覆層8は絶縁性の樹脂であり、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等を用いることができる。導電線9の直径は、例えば0.05mm~0.3mmである。
【0025】
図3(a)を参照して、回路埋込基板1は、各折返し部43,44の金属細線3はすべて露出されており、露出された金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとが、導電性接合材14を介して電気的に接続されていてもよい。導電性接合材14としては、例えば半田、ろう、導電性接着剤などを用いることができる。また、露出された金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとは、導電性接合材14を用いずに電気的に接続することができる。そのような接続方法としては、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接などの溶接法や、熱圧着法がある。
【0026】
図3(b)(c)を参照して、回路埋込基板1は、各折返し部43,44の絶縁被覆層8の一部から金属細線3が露出されており、露出された金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとが、導電性接合材14を介して電気的に接続されていてもよい。
図3(b)は、絶縁被覆層8の上部が除去されて金属細線3が露出し、絶縁被覆層8の下部は電極パッド5,6の上面5a,6aに接している。各折返し部43,44の導電線9を覆うように導電性接合材14(例えば半田)が設けられることにより、露出した金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとを電気的に接続することができる。
図3(c)は、絶縁被覆層8の下部が除去されて金属細線3が露出し、導電性接合材14を介して、金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとが電気的に接続されている。
【0027】
図13(b)を参照して、従来のフィルムヒータ100では、フィルム200に埋め込まれている金属細線300は電極パッド500の左右にあり、フィルム200に埋め込まれていない金属細線300は電極パッド500の上面に電気的に接続されている。つまり、金属細線300は電極パッド500を跨いでフィルム200に埋め込まれている。金属細線300とフィルム200の線膨張係数の差によって、温度変化による寸法差が生まれる。そのため、埋め込まれた金属細線300とフィルム200との間にはずり応力(せん断応力)が発生し、電極パッド500を跨ぐ箇所の金属細線3には引張応力が生じる。これに対して回路埋込基板1では、
図1(b)を参照して、フィルム2の第1主面2aに埋め込まれている金属細線3は電極パッド5の下にあり、フィルム2に埋め込まれていない金属細線3(折返し部43)は、第1配線部41から延びて単に折り返され、電極パッド5の上面5aに電気的に接続されている。つまり、電極パッド5の上面5aに接続された金属細線3(折返し部43)には、従来(
図13(b))よりも応力が加わりにくい。それゆえ、フィルム2が収縮しても接続部が剥離しにくく、導電性が低下しにくい。
【0028】
(回路埋込基板の第2実施形態)
図4を参照して、第2実施形態の回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置されたそれぞれ1つの金属細線3からなる第1回路15及び第2回路16と、第1電極パッド5と、第2電極パッド6とを備えている。第2実施形態の回路埋込基板1は、第1実施形態とは異なり、2本の金属細線3がそれぞれ回路15,16を構成しており、第1電極パッド5に2つの折返し部154,164が接続され、第2電極パッド6に2つの折返し部155,165が接続されている。
【0029】
第1回路15は、第1機能部151と、第1機能部151の両端の一方151aから引き出された第1配線部152と、第1機能部151の両端の他方151bから引き出された第2配線部153と、第1配線部152及び第2配線部153からそれぞれ第1機能部151とは反対側(+X方向)に延びて、フィルム2の第1主面2aに平行になるように折り返された第1折返し部154及び第2折返し部155とを有する。第1機能部151は、その一方の端151aを始点とし、他方の端151bを終点とする、ループ状のパターンを有している。第1回路15のうち、第1機能部151と第1配線部152と第2配線部153とがフィルム2の第1主面2aに埋め込まれており、第1折返し部154と第2折返し部155は埋め込まれていない。
【0030】
第2回路16は、第1回路15の内側に配置されており、第2機能部161と、第2機能部161の両端の一方161aから引き出された第3配線部162と、第2機能部161の両端の他方161bから引き出された第4配線部163と、第3配線部162及び第4配線部163からそれぞれ第2機能部161とは反対側(+X方向)に延びて、フィルム2の第1主面2aに平行になるように折り返された第3折返し部164及び第4折返し部165とを有する。第2機能部161は、その一方の端161aを始点とし、他方の端161bを終点とする、ループ状のパターンを有している。第2回路16のうち、第2機能部161と第3配線部162と第4配線部163とがフィルム2の第1主面2aに埋め込まれており、第3折返し部164と第4折返し部165は埋め込まれていない。
第1電極パッド5にプラスの電圧を印加し、第2電極パッド6にマイナスの電圧を印加することにより、第1回路15及び第2回路16にはそれぞれ反時計回りに電流が生じる。つまり、第1回路及び第2回路16は並列に配置されている。
【0031】
なお、第1実施形態と同様に、金属細線3が絶縁被覆層8に被覆された導電線9を用いてもよい。電極パッド5,6と各折返し部154,155,164,165との接続方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0032】
図5を参照して、第2実施形態の回路埋込基板1は、第2配線部153及び第4配線部163からそれぞれ延びた端部がつながっていてもよい。より詳細には、
図5(b)を参照して、第2配線部153から延びた端部と第4配線部163から延びた端部とが、点Pでつながっている。このように端部同士がつながっている形態とするには、
図4を参照して、第2折返し部155の端部と第4折返し部165の端部とを、第2電極パッド6に接続する前または接続するときに接合する方法が挙げられる。あるいは、1本の金属細線3で第1回路15と第2回路16とを形成することで、第2電極パッド6に接続される折返し部があらかじめつながった状態で設けることができる。第2電極パッド6に接続される折返し部は、点Pで第2電極パッド6に電気的に接続される。
【0033】
(共通の変形例1)
第1及び第2実施形態では各電極パッド5,6がY方向に並んでいたが、電極パッド5,6の位置はこれに限定されるものではない。例えば
図6(a)(b)を参照して、電極パッド5と電極パッド6は、互いに異なる箇所に配置されてもよい。
図6(a)では、折返し部43は第1配線部41から機能部40とは反対側(+X方向)に延びて折り返され、折返し部44は第2配線部42から機能部40とは反対側(-X方向)に延びて折り返されている。機能部40はメアンダ形状を有している。
図6(b)では、折返し部43は第1配線部41から機能部40とは反対側(+X方向)に延びて折り返され、折返し部44は第2配線部42から-Y方向に向きを変えて延びて折り返されている。このように、機能部40に対して、X方向だけでなくY方向に延びる場合も「機能部40とは反対側に延びる」に含まれる。
なお、
図6(b)のように、第1配線部41及び第2配線部42と機能部40の両端40a,40bとの境界が明確でなくてもよい。
【0034】
(共通の変形例2)
第1及び第2実施形態では電極パッド5,6が、フィルム2のY方向に平行な一辺に沿ってY方向に並んでいた。しかし、
図7(a)のように、フィルム2の周縁部であって、X方向に並んで配置されてもよい。より詳細には、電極パッド5,6は、フィルム2のX方向に平行な一辺に沿って、X方向に並んで配置されてもよい。
また、回路4に導電線9を用いれば、導電線9が絶縁被覆層8を有していることにより、例えば
図7(b)のように導電線9を交差させることができるため、機能部40を含む回路4のパターン形状を複雑にすることができる。
なお、電極パッドの数は2つに限定されるものではない。
【0035】
(回路埋込基板一体成形品)
図8を参照して、本実施形態の回路埋込基板一体成形品10は、立体形状を有する成形体11と、立体形状に沿って一体化され、少なくとも2つの電極パッド5,6が成形体11から露出されている回路埋込基板1とを備えている。成形体11は立体形状、換言すると三次元形状を有している。成形体11の三次元形状に沿って、回路埋込基板1が一体化されている。回路埋込基板1の2つの電極パッド5,6と、その上面5a,6aに接続された各折返し部43,44とが、成形体11の開口部11aから露出されている。電極パッド5,6が成形体11から露出されていることにより、電極パッド5,6を外部配線(図示せず)に接続しやすくなる。
回路埋込基板一体成形品10は、例えば、開口部11aが設けられた成形体11に回路埋込基板1を貼り合わせ、又はインサート成形により製造することができる。
なお、
図9を参照して、回路埋込基板一体成形品10は、
図8のように成形体11が開口部11aを有しておらず、回路埋込基板1の電極パッド5,6が形成された面がすべて成形体11から露出されていてもよい。
【0036】
(回路埋込基板の製造方法)
図10を参照して、回路埋込基板1の製造方法は、フィルム2を準備する準備工程(
図10(a))と、超音波溶着機12を用いて回路4を形成する回路形成工程(
図10(b))と、電極パッド5,6を固定する固定工程(
図10(c))と、電極パッド5,6に第1端部45及び第2端部46を電気的に接続する接続工程(
図10(d))とを備えている。
準備工程では、フィルム2をステージ(図示せず)の上に固定するとよい。また、フィルム2の位置合わせを容易にするために治具(図示せず)を用いてもよい。
図10(b)を参照して、回路形成工程で用いる超音波溶着機12は、超音波振動を発生させる発振器(図示せず)と、発振器からの超音波振動を伝播させるホーン13とを備えている。超音波振動と圧力とを同時に加えることにより、フィルム2の金属細線3が接する箇所を溶融させ瞬時に接着する。
【0037】
回路4は1つの金属細線3からなる。回路4は
図10(b)に示すような形状にされており、任意のパターンを有する機能部40と、機能部40の両端の一方40aから引き出された第1配線部41と、機能部40の両端の他方40bから引き出された第2配線部42と、第1配線部41及び第2配線部42からそれぞれ機能部40とは反対側に延びる第1端部45及び第2端部46とを有する。このような回路4をフィルム2の第1主面2a上に配置し、超音波溶着機12を用いて、機能部40、第1配線部41及び第2配線部42を第1主面2aに埋め込んでいく。このとき、第1端部45及び第2端部46はフィルム2に埋め込まない。
なお、回路4をフィルム2の第1主面2a上に仮固定しておくと、埋め込みの際の位置ずれを抑えることができる。
なお、回路4は、繰出し装置(図示せず)から金属細線3を繰り出しながら、超音波溶着機12でフィルム2の第1主面2aに埋め込んでもよい。例えば、第1端部45となる金属細線3を繰り出し、繰り出しの終点を埋め込み、金属細線3を繰り出しながら、第1配線部41、機能部40、第2配線部42の順に埋め込むことができる。
【0038】
図10(c)を参照して、固定工程では、第1配線部41の上に第1電極パッド5を固定し、第2配線部42の上に第2電極パッド6を固定する。電極パッド5,6は、それぞれ接着層7により固定することができる(
図1(b)参照)。第1電極パッド5のX方向の固定位置は、平面視で第1電極パッド5の幅(X方向)の中央に第1配線部41が重なる位置であり、Y方向の固定位置は、第1端部45を折り返したときに、平面視で第1端部45が第1電極パッド5の上面5aに重なる位置である。
【0039】
図10(d)を参照して、接続工程では、第1端部45及び第2端部46を、それぞれフィルム2の第1主面2aに平行になるように電極パッド5,6の上面5a,6aに折り返す。あくまで「平行になるように」折り返せばよいため、完全な平行にならなくてもよい。
折り返して、第1端部45及び第2端部46をそれぞれ電極パッド5,6に電気的に接続する。接続には公知の金属接合技術である、溶接(抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接など)、半田付け、ロウ付けなどを用いることができる。
このようにして、回路埋込基板1を得ることができる。
【0040】
本実施形態の回路埋込基板1の製造方法では、金属細線3をフィルム2の第1主面2aに埋め込んだ後、電極パッド5,6を配置し、フィルム2に埋め込まれていない第1端部45及び第2端部46を折り返し、電極パッド5,6の上面5a,6aに電気的に接続している。つまり、電極パッド5,6の上面5a,6aに接続された第1端部45及び第2端部46には応力が加わりにくい。それゆえ、フィルム2が収縮しても接続部が剥離しにくく、導電性が低下しにくい。
また、第1端部45及び第2端部46をフィルム2の第1主面2aに埋め込まずに折り返すことにより、第1端部45及び第2端部46が電極パッド5,6の上面5a,6aに位置するため、電気的接続の作業効率がよい。
【0041】
(製造方法の別の例)
超音波溶着機12は、ホーン13と金属細線3とを有するものであってもよい。
図11を参照して、ホーン13は、超音波振動を与えることによりフィルム2の金属細線3との接触面を溶融させるとともに、金属細線3をフィルム2の第1主面2aに埋め込むことができる。金属細線3はホーン13の内部を通り、ホーン13の先端13aからフィルム2の第1主面2a上に連続的に引き出される。
図12を参照して、このようなホーン13を用いた回路形成工程を説明する。まず、
図12(a)に示すようにホーン13から金属細線3を所定長さだけ引き出して、第1端部45とする。つまり、引き出した所定長さが第1端部45の長さとなる。
次に、
図12(b)のように、第1端部45の引き出しの終端45aから+Y方向に向かって、さらに金属細線3を所定長さだけ引き出しつつ、フィルム2の第1主面2aに埋め込んで第1配線部41を形成する。
次に、
図12(c)のように、第1配線部41の埋め込みの終端41aから、金属細線3を所定長さだけ引き出しつつ、XY平面に広がる任意のパターンでフィルム2の第1主面2aに埋め込んで機能部40を形成する。第1配線部41の埋め込みの終端41aは、機能部40の始端となる。換言すると、終端41aは、機能部40の両端の一方40aとなる(
図1(a)参照)。
次に、
図12(d)のように、ホーン13から金属細線3を所定長さだけ引き出しつつ、機能部40の終端40bから-Y方向に延びてフィルム2の第1主面2aに埋め込んで、第2配線部42を形成する。機能部40の終端40bは、第2配線部42の始端となる。
次に、
図12(e)のように、第2配線部42の埋め込みの終端42aから金属細線3を所定長さだけ引き出して、フィルム2に埋め込まれない第2端部46とする。つまり、引き出した所定長さが第2端部46の長さとなる。
最後に、
図12(f)のように、第2端部46の引き出しの終端46aで金属細線3を切断する。切断方法としては、例えば、カッターやニッパーを用いることができる。
このような製造方法によれば、回路4をいわゆる一筆書きのようにして形成することができる。また、金属細線3の配置と同時に埋め込みができるため、回路4をより高い位置精度で形成することができる。
【0042】
図10及び
図12で説明した回路形成工程では、金属細線3が絶縁被覆層8により被覆された導電線9を用いてもよい。導電線9を用いた接続工程は、次のように行うことができる。まず、第1端部45及び第2端部46の絶縁被覆層8が電極パッド5,6の上面5a,6aに接するように、第1端部45及び第2端部46を折り返す。次に、第1端部45及び第2端部46の絶縁被覆層8を熱により溶融して、金属細線をすべて露出させるとともに、露出した金属細線3と各電極パッド5,6の上面5a,6aとを電気的に接続する。熱により絶縁被覆層8を溶融する方法としては、溶接(抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接など)、半田付け、ロウ付けなどを用いることができる。
【0043】
導電線9を用いた接続工程は、次のように行ってもよい。まず、第1端部45及び第2端部46の絶縁被覆層8の一部をあらかじめ除去する。除去の方法には、例えば切削、熱溶融、薬品などによる除去がある。次に、第1端部45及び第2端部46を、電極パッド5,6の上面5a,6aに接するように折り返す。絶縁被覆層8をすべて除去した場合は、
図3(a)のように、露出した金属細線3と電極パッド5,6の上面5a,6aとを、導電性接合材14を介して電気的に接続する。絶縁被覆層8の一部を除去した場合は、導電線9を導電性接合材14で覆い(
図3(b)参照)、または露出した金属細線3と電極パッド5,6との間に導電性接合材14を形成し(
図3(c)参照)、金属細線3と電極パッド5,6とを電気的に接続する。
この方法によれば、第1端部及び第2端部の絶縁被覆層8の一部をあらかじめ除去するため、より確実かつ容易に金属細線3と電極パッド5,6とを電気的に接続することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 :回路埋込基板
2 :フィルム
2a :第1主面
3 :金属細線
4 :回路
40 :機能部
41 :第1配線部
42 :第2配線部
43 :第1折返し部
44 :第2折返し部
45 :第1端部
46 :第2端部
5 :第1電極パッド
6 :第2電極パッド
5a,6a:上面
7 :接着層
8 :絶縁被覆層
9 :導電線
10 :回路埋込基板一体成形品
11 :成形体
11a :開口部
12 :超音波溶着機
13 :ホーン
14 :導電性接合材
15 :第1回路
151 :第1機能部
152 :第1配線部
153 :第2配線部
154 :第1折返し部
155 :第2折返し部
16 :第2回路
161 :第2機能部
162 :第3配線部
163 :第4配線部
164 :第3折返し部
165 :第4折返し部
100 :フィルムヒータ
200 :フィルム
300 :金属細線
400 :回路
410 :接続端子部
420 :配線部
430 :ヒータ部
500 :電極パッド
600 :電極パッド
700 :接着層
800 :接合層
900 :溶着部