IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー.の特許一覧 ▶ ディディピー スペシャルティ プロダクツ タイワン カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】メタライゼーション方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20250226BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20250226BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20250226BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20250226BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
G03F7/40 521
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/095
G03F7/039 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104393
(22)【出願日】2023-06-26
(65)【公開番号】P2024004480
(43)【公開日】2024-01-16
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】17/851,413
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】523244059
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ プロダクツ タイワン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DDP Specialty Products Taiwan Co.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 満
(72)【発明者】
【氏名】チェン チン-ルン
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106306(JP,A)
【文献】特開2015-108840(JP,A)
【文献】特表2012-518812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/40
G03F 7/11
G03F 7/095
G03F 7/039
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタライゼーション方法であって、
(a)酸不安定基を含む第1のポリマー及び増感基を含む下層組成物から基板の第1の表面上に下層を形成することであって、前記増感基は、多環芳香族基であり、前記第1のポリマーは、前記増感基を含み、前記下層は、第1の厚さを有する、形成することと、
(b)酸不安定基を含む第2のポリマー及び光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物から前記下層上にフォトレジスト層を形成することであって、前記フォトレジスト層は、第2の厚さを有する、形成することと、
(c)前記フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、
(d)前記露光されたフォトレジスト層を塩基性現像剤で現像し、それにより前記フォトレジスト層の一部及び前記下層の一部を除去してレリーフパターンを形成することであって、前記レリーフパターンは、前記第1の表面にアンダーカットプロファイルを有し、前記レリーフパターンにおけるアンダーカットの、前記第1の表面から測定された最大高さは、前記第1の厚さよりも大きい、形成することと、
(e)前記レリーフパターンを形成した後、前記基板の前記第1の表面に金属をめっきすることと
を含むメタライゼーション方法。
【請求項2】
(f)前記金属をめっきした後に前記フォトレジスト及び下層を除去することを更に含む、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項3】
前記増感基は、アントラセン又はアントラセン誘導体基である、請求項に記載のメタライゼーション方法。
【請求項4】
前記下層組成物は、光酸発生剤を含まない、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項5】
前記第1の厚さは、200nm以下である、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項6】
前記第2の厚さに対する前記第1の厚さの比は、0.01未満である、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項7】
前記第1のポリマーの前記酸不安定基及び前記第2のポリマーの前記酸不安定基は、独立して、第3級エステル基又はアセタール基である、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【請求項8】
前記第2のポリマーは、ビニル芳香族モノマーから形成された繰返し単位を含む、請求項1に記載のメタライゼーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体を製造するためのパターニングプロセスに関する。特に、本開示は、フォトレジストパターンにおける裾引きプロファイルの発生を防止する、半導体を製造するためのパターニングプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイス、モノのインターネット(IoT)の一部であるデバイス及びウェアラブルエレクトロニクスは、長年にわたり、小型化しているにもかかわらず、大量のメモリを使用し、一層大量の計算を実行する、より小型であり、より軽量であり、より薄型のデバイスになってきている。
【0003】
これらの電子デバイスの製造及びパッケージングは、サイズ縮小に重要な役割を果たす。例えば、フリップ-チップパッケージ方法は、とりわけマイクロプロセッシングユニット(MPU)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)半導体チップのため、デバイス間のI/O(入力/出力)接続の密度を増加させるために用いられてきた。
【0004】
例えば、銅ピラーバンプ等の金属ピラーバンプは、多くの場合、CPU及びGPU集積回路(チップ)、レーザーダイオード並びに半導体光増幅器(SOA)のフリップチップパッケージング等、エレクトロニクス及び光電子工学パッケージングで使用するためのフリップチップインターコネクトとして使用されている。金属ピラーバンプは、有益な接続抵抗、高密度接続、金属移行抵抗及び熱散逸特性を提供する。金属ラインパターンは、2つの構成要素間の電気的接続を提供するために、例えば再配線層(RDL)でも使用され得る。
【0005】
金属ピラーバンプアレイ及びラインパターンの製造には、電気めっきが使用されている。銅膜表面にフォトレジスト層をコーティングした後、フォトリソグラフィを用いてマスクパターンを作製する。次いで、マスクパターンの開口領域において、電気めっきによって金属表面に金属構造が形成される。次いで、フォトレジストが除去され、以前にレジストによって覆われていた金属層がエッチングによって除去される。
【0006】
めっきマスクパターンを調製するための1つの手法は、I/O及びデバイス密度の更なる増加のためのより厚く、より狭いパターンサイズの必要性に対応するための厚いフォトレジスト層の使用である。化学的に増幅されたフォトレジストは、より高い解像度パターンのために所望されるより速い感度及び改善された透明性を達成するための好適な選択肢であり得る。そのようなレジスト組成物は、酸不安定基を有するポリマー、光酸発生剤(PAG)及び溶媒を含む。しかしながら、化学的に増幅されたレジストが銅層等の金属層上に形成される場合、金属表面とレジストとの間の界面に存在する光酸の喪失のために裾引きプロファイル問題が観察されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6057083号明細書
【文献】米国特許第6136501号明細書
【文献】米国特許第8206886号明細書
【文献】欧州特許出願公開第01008913A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第00930542A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0064456A1号明細書
【文献】米国特許第6,042,997号明細書
【文献】米国特許第5,492,793号明細書
【文献】米国特許第5,929,176号明細書
【文献】米国特許第6,090,526号明細書
【文献】米国特許第6,692,888号明細書
【文献】米国特許第6,680,159号明細書
【文献】米国特許第5,843,624号明細書
【文献】米国特許第6,048,664号明細書
【文献】米国特許第6,048,662号明細書
【文献】国際公開第0186353A1号パンフレット
【文献】米国特許第6,306,554号明細書
【文献】米国特許第7,244,542号明細書
【文献】米国特許出願公開第20110003250A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
レジストパターンの裾引きは、めっきパターンのアンダーカットプロファイルをもたらす。これにより、下流加工時におけるめっきパターンの倒壊を促進し得る。したがって、めっき用マスクとして使用されるフォトレジストパターンの裾引きをなくし、めっきパターンの倒壊を克服するためにアンダーカットレジストパターンプロファイルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、メタライゼーション方法であって、(a)酸不安定基を含む第1のポリマー及び増感基を含む下層組成物から基板の第1の表面上に下層を形成することであって、(i)第1のポリマーは、増感基を含むか、又は(ii)第1のポリマーと異なる化合物は、増感基を含み、下層は、第1の厚さを有する、形成することと、(b)酸不安定基を含む第2のポリマー及び光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物から下層上にフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジスト層は、第2の厚さを有する、形成することと、(c)フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、(d)露光されたフォトレジスト層を塩基性現像剤で現像し、それによりフォトレジスト層の一部及び下層の一部を除去してレリーフパターンを形成することであって、レリーフパターンは、第1の表面にアンダーカットプロファイルを有し、レリーフパターンにおけるアンダーカットの、第1の表面から測定された最大高さは、第1の厚さよりも大きい、形成することと、(e)レリーフパターンを形成した後、基板の第1の表面に金属をめっきすることとを含むメタライゼーション方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】上に第1の金属層が配置される基板の例示的な実施形態を示す。
図1B】第1の金属層上への下層の堆積の例示的な実施形態を示す。
図1C】下層上へのフォトレジスト層の堆積並びにフォトレジスト層及び下層のフォトパターニングの例示的な実施形態を示す。
図1D】フォトレジスト層及び下層の現像の例示的な実施形態を示す。
図1E図1Dの断面AAの拡大図である。拡大図は、フォトレジスト層及び下層で生じるアンダーカットを示す。
図1F】金属層上の金属の堆積(めっきによる)の例示的な描写である。
図1G】残りのフォトレジスト層及び下層を除去した後に残っためっき金属構造を示す。
図2-7】実施例からのデータを含む表7~表12をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0012】
本明細書で用いられる場合、「酸不安定基」は、結合が酸の触媒作用によって任意選択的に且つ典型的に熱処理で開裂され、ポリマー上に形成される、カルボン酸又はアルコール基等、極性基をもたらす基を指し、任意選択的に且つ典型的に開裂された結合に接続した部分は、ポリマーから切り離される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク中に結合開裂が起こる光発生酸である。好適な酸不安定基には、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも一般に言われる。
【0013】
製造プロセスでの裾引きの発生を抑制する、半導体を製造する方法が本明細書に開示される。上述したように、裾引きは、更なるプロセス及び信頼性試験中にめっきパターンの崩壊を促進し得るめっきパターンのアンダーカットを引き起こす。したがって、めっきパターンの裾引きを排除又は除去することが望ましい。方法は、基板の第1の表面上に、下層組成物からの第1の厚さを有する下層を形成することを含む。次いで、第2の厚さを有するフォトレジスト層が下層上に形成され、次いで活性化放射線を受けることによってパターン化される。次いで、露光されたフォトレジスト層を塩基性現像剤で現像し、それによりフォトレジスト層の一部及び下層の一部を除去してレリーフパターンを形成する。レリーフパターンは、第1の表面にアンダーカットプロファイルを有する。一実施形態では、第1の表面から測定されたレリーフパターンのアンダーカットの最大高さは、第1の厚さよりも大きい。レリーフパターンを形成した後、基板の第1の表面に金属をめっきし得る。
【0014】
図1A図1Gは、基板上にめっきパターンを形成する方法を示す。図1Aは、上に第1の金属層102が配置される基板100を示す。図1Bは、第1の金属層102上の下層104のコーティングを示す。図1Cは、下層104上へのフォトレジスト層106のコーティングと、それに続くフォトレジスト層106及び下層104の光露光とを示す。図1Dは、フォトレジスト層及び下層の露光部分の現像を示す。図1Eは、図1Dの破線部分の拡大図の描写である。
【0015】
図1Cは、フォトレジスト層106のコーティングを示す。フォトレジスト層106は、光酸発生剤と、酸不安定基を含有する第2のポリマーとを含む。フォトレジスト層106をコーティングした後、フォトレジスト層106及び下層104は、光学的に不透明な領域及び光学的に透明な領域を有するフォトマスク110を介して活性化放射線108にパターン様に露光される。10ナノメートル~400ナノメートルの波長を有するUV光がフォトパターニングにおいて使用され得る。フォトレジスト層106及び下層104の露光部分は、図1Dに見られるように現像によって除去される。図1Eは、図1Dの破線部分の拡大図を表す。図1Eは、下層の厚さ「h」及びフォトレジスト及び下層における高さ「h」のアンダーカットを示す。高さhは、第1の金属層102の上面から測定される。アンダーカット高さhは、下層の厚みh(第1の金属層102の上面からも測定)よりも大きい。
【0016】
ここで、上述した各種の層(図1A図1Eに示す)及びそれらの組成について詳細に説明する。
【0017】
基板
基板の例としては、シリコンウェハ、ガラス基板及びプラスチック基板が挙げられるが、それらに限定されず、そのような基板は、任意選択的に、それらの上に形成された1つ以上の層又はフィーチャを含む。好ましい基板は、シリコンウェハである。
【0018】
金属層
図1Aは、上に第1の金属層102が配置される基板100を示す。任意選択的な第2の金属層(図示せず)は、第1の金属層102上に配置され得る。第1の金属層は、例えば、チタン、銀、アルミニウム、金、銅又はそれらの合金から作製され得る。例示的な実施形態では、第1の金属層102は、チタン又は銅を含む。第2の金属層が第1の金属層上に配置される場合、第1の金属層は、好ましくは、チタンを含む。第1の金属層は、既知の方法を使用して、例えば化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)又は物理気相成長(PVD)技術によって形成することができ、スパッタリング及びめっきが典型的である。第1の金属層102の厚さは、典型的には、10nm~500nmである。
【0019】
任意の第2の金属層は、タンタル、チタン、銅、銀、アルミニウム、金又はそれらの合金を含む。第2の金属層は、第1の金属層102と化学的に異なる。例示的な実施形態では、第2の金属層は、銅を含む。第2の金属層は、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、物理気相成長(PVD)又はそれらの組合せを介して第1の金属層の表面に配置され得る。第2の金属層の厚さは、典型的には、10nm~500nmである。
【0020】
下層
図1Bは、第1の金属層102上への下層104の堆積を示す。一実施形態では、下層104は、酸不安定基及び増感基を含む第1のポリマーと溶媒とを含む下層組成物から製造される。第1のポリマーは、典型的には、酸不安定基を含む第1の繰返し単位と、増感基を含む第2の繰返し単位とを含むコポリマーである。酸不安定基及び増感基は、ポリマーの同じ繰返し単位中に存在し得る。下層組成物は、典型的には、光酸発生剤(PAG)を含有しない。
【0021】
別の実施形態では、下層組成物は、増感基を含有する化合物と、酸不安定基を含む第1のポリマーとを含む。この実施形態では、増感基を含む化合物は、第1のポリマーと異なる。増感基を含む化合物は、酸不安定基を含む第1のポリマーとブレンドされたポリマーであり得る。別の実施形態では、増感基を含む化合物は、ポリマーでなくてもよく、むしろ小分子であり得る。小分子は、例えば、モノマー若しくはダイマーの形態又は非重合性の形態であり得る。
【0022】
下層104は、増感基を含むため、下層とフォトレジスト層との間の界面で光酸濃度を局在化又は増加させるための増感層として機能する。その結果、厚い下層は、望ましくない。フォトレジスト層がベークされる温度と比較して、下層をベークするためにより高い温度を使用することが望ましく、これは、2つの層の相互混合を防ぐためである。一実施形態では、下層組成物の増感基は、より高いベーク温度での昇華を防止するためにポリマーに結合される。
【0023】
下層中の酸不安定基は、ポジティブトーンパターニングを容易にする。下層は、典型的には、光酸発生剤を含まない。光酸発生剤が任意選択的に下層組成物に添加される場合、光酸発生剤の熱安定性は、望ましくない熱分解を防止するために、(下層をベークするために)使用されるベーク温度よりも高い必要があり得る。
【0024】
酸不安定基は、酸の存在下で脱保護反応を受ける化学部位である。実施例で使用されるいくつかの酸不安定基の脱保護は、熱によってもたらされる。アセタール保護基は、室温で容易に脱保護される。下層組成物の第1のポリマーは、ソフトベーク、活性化放射線への露光及び露光後ベーク後に(フォトレジスト組成物に含まれる)光酸発生剤から発生した酸との反応の結果として、現像液中の溶解度の変化を受ける。これは、第1のポリマーの極性の変化を引き起こす酸不安定基の光酸誘導開裂に起因する。酸不安定基は、例えば、三級アルキルカルボナート、三級アルキルエステル、三級アルキルエーテル、アセタール及びケタールから選択することができる。好ましくは、酸不安定基は、第1のポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した三級非環状アルキル炭素又は三級脂環式炭素を含むエステル基である。そのような酸不安定基の開裂により、カルボン酸基が形成される。
【0025】
一実施形態では、酸不安定基を含む第1のポリマーは、以下の式(1):
【化1】

に示す構造を有する重合単位を含み、式中、Zは、水素原子、置換若しくは無置換C~Cアルキル、置換若しくは無置換C~Cフルオロアルキル又はシアノ基から選択され;Zは、その開裂がポリマー上にカルボン酸を形成する、酸不安定基を含む非水素置換基である。
【0026】
一実施形態において、分解時、ポリマー上にカルボン酸基を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(Rの三級エステル基又は式-C(O)OC(RORのアセタール基であり、ここで、Rは、それぞれ独立して、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、各Rは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;Rは、独立して、水素、フッ素、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは水素、線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換又は無置換であり、各Rは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、R基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;Rは、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、Rは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのRは、Rと一緒に任意選択的に環を形成する。そのようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。
【0027】
適切な酸不安定基含有単位としては、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルアダマンチル(メタ)アクリレート等、並びに脂環式等の他の環状及び非環状の(アルキル)アクリレートのような酸不安定(アルキル)アクリレート単位が挙げられる。アセタール及びケタール系の酸不安定基は、カルボキシル基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子を置換して酸素原子と結合することができる。酸が発生すると、アセタール基又はケタール基と、アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合している酸素原子との間の結合が酸によって開裂する。そのような酸不安定基の例は、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)及び(特許文献3)並びに(特許文献4)及び(特許文献5)に記載されている。例えば、(特許文献6)に記載されているように、開裂によりヒドロキシル基が形成される、糖誘導体構造の一部としてのアセタール基及びケタール基も適切である。
【0028】
適切な第1のポリマーには、例えば、酸不安定基を含有するフェノール樹脂が含まれる。この分類の特に好ましい樹脂には、以下が含まれる:(i)(特許文献7)及び(特許文献8)に記載されているポリマー等、ビニルフェノールと、上述した酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合単位を含むポリマー;(ii)(特許文献7)に記載されているポリマー等、ビニルフェノールと、ヒドロキシ又はカルボキシ環置換基を含まない任意選択的に置換されたビニルフェニル(例えば、スチレン)と、上述したような酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合単位を含むポリマー;(iii)(特許文献9)及び(特許文献10)に記載されているポリマー等、光酸と反応するアセタール又はケタール部位を含む繰返し単位と、任意選択的なフェニル基又はフェノール基等の芳香族繰返し単位とを含むポリマー;並びに(i)、及び/又は(ii)、及び/又は(iii)のブレンド。そのようなポリマーは、例えば、200nm以上、例えば248nm及び365nmの波長での画像化に有用である。
【0029】
適切な第1のポリマーには、(特許文献5)並びに(特許文献11)及び(特許文献12)に開示されているもの等、193nm等の特定の200nm未満の波長での画像化に有用なものが含まれる。193nmの波長での画像化のために、ポリマーは、好ましくは、実質的に非含有であり(例えば、15モル%未満)、好ましくはフェニル、ベンジル又は他の芳香族基を完全に含まず、このような基は、放射線を高度に吸収する。
【0030】
下層組成物に使用するための他の適切なポリマーとしては、例えば、非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含有するもの、例えば任意選択的に置換されたノルボルネン、例えば、例えば(特許文献13)及び(特許文献14)に記載されるポリマーが挙げられる。下層組成物に使用するための更に他の適切なポリマーには、(特許文献4)及び(特許文献15)に開示されているような、重合無水物単位、特に重合マレイン酸無水物及び/又はイタコン酸無水物単位を含有するポリマーが含まれる。
【0031】
ヘテロ原子、特に酸素及び/又は硫黄(ただし、無水物以外、すなわち、単位は、ケト環原子を含有しない)を含有する繰返し単位を含有する第1のポリマーも下層組成物における使用に適している。ヘテロ脂環式単位は、第1のポリマーの主鎖に融合することができ、ノルボルネン基の重合によって提供される等の融合炭素脂環式単位及び/又はマレイン酸無水物若しくはイタコン酸無水物の重合によって提供される等の酸無水物単位を含むことができる。そのような第1のポリマーは、(特許文献16)及び(特許文献17)に開示されている。他の適したヘテロ原子基含有ポリマーには、(特許文献18)に開示されているような、1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素又は硫黄)含有基、例えばヒドロキシナフチル基で置換された重合した炭素環アリール単位を含有するポリマーが含まれる。
【0032】
第1のポリマーは、ポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するためのラクトン部分を含む単位を更に含み得る。ラクトン部位を含む第1のポリマーにおける使用に適したモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化2】
【0033】
一実施形態では、第1のポリマーは、典型的には、極性基を含む単位を更に含み、この極性基は、第1のポリマー及びフォトレジスト組成物の耐エッチング性を高め、且つ第1のポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御する追加の手段を提供する。そのような単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化3】
【0034】
第1のポリマーは、上述したタイプの1種以上の追加の単位を含むことができる。典型的には、第1のポリマーの追加の単位は、ポリマーの他の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じ又は同様の重合性基を含むが、同じポリマー主鎖に他の異なる重合性基を含み得る。
【0035】
これに限定されるものではないが、例示的な第1のポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化4】
【0036】
第1のポリマーとして使用することができる他の例示的なコポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化5】

式中、a+b+c、d+e+f+g及びh+iは、第1のポリマー中に存在する全重合単位に基づいて100モル%に等しい。
【0037】
本発明の下層組成物において使用するための適切な第1のポリマーは、市販されており、当業者が容易に製造することができる。第1のポリマーは、下層の露光されたコーティング層を適切な現像剤溶液中で現像可能にするのに十分な量で下層組成物中に存在する。
【0038】
典型的には、第1のポリマーは、下層組成物の全固形分に基づいて70~100重量%の量で下層組成物中に存在する。第1のポリマーの重量平均分子量Mは、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって測定される場合、典型的には100,000グラム未満、例えば4000~100,000、より典型的には4000~20,000グラム/モル(g/モル)である。本発明の下層組成物には、上記第1のポリマーの2種以上のブレンドを好適に用いることができる。
【0039】
上記のように、下層組成物は、第1のポリマーに共有結合又はイオン結合していない別個の化学成分であり得る増感基を含む。増感基は、下層組成物中に存在するが、第1のポリマーに共有結合又はイオン結合していない「別のポリマー」に結合し得る。この「別のポリマー」は、下層組成物中の第1のポリマーとブレンドされ得る。別の実施形態では、増感基は、ポリマーの一部でなくてもよく、むしろモノマー又は二量体である「小分子」として下層組成物中に存在する。
【0040】
増感基は、レジストがエネルギー放射線に曝された場合にレジストの溶解度に影響を及ぼす分子を含む。一実施形態では、増感基は、多環芳香族基である。一実施形態では、増感基は、アントラセン又はアントラセン誘導体基である。
【0041】
一実施形態では、(下層で使用するための)第1のポリマーは、以下の式(2):
【化6】

に示される増感基を含むポリマー単位を更に含み、式中、Lは、二価の連結基であり、Rは、上で定義された通りであり、各Rは、独立して、水素、ハロゲン(F、Cl、Br、I);1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキル;1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルコキシ;2~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルケニル;2~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキニル;1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキルチオ;シアノ;ニトロ;アミノ;ヒドロキシルであり得;mは、0(アントラセニル環が完全に水素置換である)~9の整数である。一実施形態において、mは、好ましくは、0、1又は2である。好ましい実施形態では、構造(2)において、Lは、無置換メチレン基であり、mは、0である。
【0042】
第1のポリマーで使用するための好ましい増感剤単位は、以下の構造:
【化7】

を含み、式中、Rは、水素又はメチルである。
【0043】
増感剤は、典型的には、第1のポリマーの総モル数に基づいて1~40モルパーセント(mol%)、典型的には3~30mol%、より典型的には6~20mol%の量で第1のポリマー中に存在する。典型的には、増感剤は、5,000~15,000g/モルの分子量を有する。
【0044】
下層に使用するための第1のポリマーは、フェノール性ヒドロキシル基を有するビニル芳香族モノマー、アクリル又はメタクリル芳香族モノマーから誘導される1つ以上の繰返し単位も含み得る。例示的なビニル芳香族モノマーは、スチレンである。一実施形態では、第1のポリマーは、以下の式(4)及び(5):
【化8】

の一方又は両方から選択される構造を有するビニル芳香族繰返し単位を含み、式中、aは、1~5であり、Zは、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましい実施形態において、aは、1であり、Zは、水素である。Rは、水素又はメチルである。Yは、二価リンカーである。ビニル芳香族モノマーは、アリール環上のパラ位に水酸基を有することが好ましい。第1ポリマーの好ましい第1の重合単位は、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)である。式(4)及び(5)の繰返し単位は、アルカリ現像液に対する溶解促進剤として作用する。
【0045】
ビニル芳香族繰返し単位は、第1のポリマー中の繰返し単位の総数に基づいて30~90mol%、典型的には40~80mol%の量で第1のポリマー中に存在する。
【0046】
別の実施形態において、第1のポリマーは、マレイミドを含む繰返し単位も含有し得る。マレイミドは、下層とフォトレジスト層との相互混合を防止することができる。一実施形態では、第1のポリマーは、マレイミドと式(3)の繰返し単位との組合せを介して得られる繰返し単位を含み得る。この繰返し単位は、式(6)の構造を有し、ディールス・アルダー反応によって得られる。
【化9】
【0047】
例示的な実施形態において、第1のポリマーは、式(7)
【化10】

に示される構造を有するコポリマーであり、式中、l、m及びnは、第1のポリマー中の各重合単位のモル百分率を表し、合計100mol%になる。一実施形態において、コポリマーの総モルを基準として、lは、40~75mol%であり、mは、8~20mol%であり、nは、5~30mol%である。式(7)のポリマーの全重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使用して典型的には5,000~15,000g/モル、好ましくは7,500~12,500g/モルである。
【0048】
別の例示的な実施形態において、第1のポリマーは、式(8)
【化11】

に示される構造を有するコポリマーであり、式中、h、i、j、k及びlは、第1のポリマー中の各重合単位のモル百分率を表し、合計100mol%となる。一実施形態では、コポリマーの総モルに基づいて、hは、10~40mol%であり、iは、5~15mol%であり、jは、30~60mol%であり、kは、5~15mol%であり、lは、5~15mol%である。式(8)のポリマーの総重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いて、典型的には5,000~20,000g/モル、好ましくは8,000~15,000g/モルである。
【0049】
上述のように、別の実施形態では、下層組成物は、増感基を含有する化合物と、酸不安定基を含む第1のポリマーとを含み得る。増感基は、第1のポリマーと異なる。
【0050】
一実施形態では、増感基は、下層組成物中に存在する「別のポリマー」上の置換基であり得、この「別のポリマー」は、酸不安定基を含む第1のポリマーと異なる。増感基を含有するポリマーは、酸不安定基を含有する第1のポリマーとブレンドであり得る。例えば、界面活性剤等の相溶化剤を使用して、第1のポリマーを、増感基を含む「別のポリマー」とブレンドすることができる。例えば、「別のポリマー」は、式(2)のポリマーであり得、上に示される他の例示的なポリマー及びコポリマー(酸不安定基を含有するが増感基を含有しない)とブレンドされ得る。
【0051】
別の実施形態では、下層組成物に含まれる増感基は、ポリマーの形態ではなく、小分子(例えば、モノマー若しくはダイマー又は非重合性小分子)の形態である。好ましい小分子増感基は、1、2、3又は4個の別個の又は融合した芳香環を含む炭素環式アリール又はヘテロ芳香族材料である。複素芳香族化合物は、典型的には、1個~約3個のN、O又はS環員及び6個~18個以上の全環員を含む。炭素環式アリール増感剤化合物は、典型的には、6~18個の炭素環原子も含む。好ましくは、増感剤化合物は、1つ以上の電子供与環置換基、典型的には1、2、3、4又は5個の電子供与環置換基、例えば好ましくは1~約20個の炭素原子を有する任意選択的に置換されたアルキル、好ましくは1~約20個の炭素原子を有する任意選択的に置換されたアルコキシ、好ましくは1~約20個の炭素原子を有する任意選択的に置換されたチオアルキル、好ましくは約1~20個の炭素原子を有する任意選択的に置換されたチオアルコキシ、ヒドロキシ、好ましくは1~約20個の炭素原子を有する任意選択的に置換されたチオヒドロキシアルキル等を有する。増感剤化合物は、3~約8個の環員、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、チエニル等を有する環等、非芳香族環である連結された別個の環又は縮合環も含み得る。
【0052】
下層組成物に使用するためのいくつかの好ましい増感基としては、以下が挙げられる。
【化12】
【0053】
一実施形態では、増感基は、アントラセニル部分を含み得る。下層組成物中に存在する増感部分の例としては、アントラセン、アントラセンマレイミド、アントラセンメチルアクリレート、9-アントリルメチルアクリレート(I)、9-アントリルメチルメタクリレート(II)、1’-(9-アントリル)エチルアクリレート(III)、1’-(9-アントリル)エチルメタクリレート(IV)、ジヒドロアントラセン、ジベンゾ(h,k)-4-オキサトリシクロ(5.2.2.02,6)ウンデカ-8,10-ジエン-3,5-ジオン、7-プロピルイソ-9-オキソ-10-チア-9,10-ジヒドロアントラセン-2-イルジ-p-トリルスルホニウム、7-プロピルイソ-9-オキソ-10-チア-9,10-ジヒドロアントラセン-2-イルジフェニルスルホニウム、2-(9,10-ジヒドロ-10-オキソ-9-アントラセニル)コハク酸無水物等、又はそれらの組合せ等のアントラセニル部分が挙げられる。
【0054】
増感基がポリマーの一部ではない場合、第1のポリマーは、酸不安定基を有する繰返し単位を含む(ただし、増感基は、別個の成分として下層組成物に含まれるため、増感基を有する繰返し単位を含まない)。酸不安定基を有する繰返し単位を含有するポリマーは、上に詳述されており、簡潔さのためにここでは詳述しない。増感基を含有する小分子は、全固形分の重量に基づいて0.1~15重量%又は1~10重量%の量で存在し得る。
【0055】
下層組成物は、溶媒を含み得る。溶媒は、下層組成物に使用される固体を溶媒和し、組成物に使用される様々な成分の混和性を促進するために使用される。下層の成分の、これに関連して使用される「ポリマー」は、本明細書に開示されるポリマー若しくはコポリマーのみ又はポリマー又はコポリマーと、下層に有用な増感基を含有する化合物との組合せを意味し得ることが理解されるであろう。全固形分は、ポリマー又はコポリマー、増感基を含有する化合物、光破壊性塩基、クエンチャ、界面活性剤、いずれかの任意選択的に添加されるPAG及び溶媒を除くいずれかの任意選択的な添加剤を含むことが理解されるであろう。
【0056】
溶解、分配及びコートするのに一般に好適な溶媒には、アニソール;1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールメチルエーテル、PGMEとも言われる)及び1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール;n-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、PGMEAとも言われる)、メトキシエチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等のエステル;シクロヘキサノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-ヘプタノン等のケトン;乳酸エチル(EL)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシプロパン酸メチルエステル並びにそれらの組合せが含まれる。
【0057】
溶媒量は、下層組成物の総重量に対して例えば50~99.5重量%、好ましくは70~99重量%、より好ましくは90~98重量%とすることができる。
【0058】
下層組成物を第1の金属層102に塗布して、下層104を形成する。下層組成物は、一般に、スピンコーティング、浸漬、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって金属層の表面に塗布される。スピンコーティングが好ましい。スピンコーティングについて、コーティング溶液の固形分を調整して、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転許容時間量に基づいて所望のフィルム厚さを提供することができる。一実施形態では、下層組成物は、単一の塗布で塗布される。
【0059】
次いで、下層組成物をソフトベークして、典型的には120~210℃の温度に1~6分間加熱することによって下層104を製造することができる。ソフトベークは、フィルム中の溶媒含有量を最小限に抑え、それにより第1の金属層102に対する改善された接着性を有する非粘着性下層104を形成する。ソフトベークは、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。
【0060】
下層104(ソフトベーク後)は、典型的には、最大500ナノメートル(nm)、好ましくは最大300nm、より好ましくは最大200nmの第1の厚さを有する。一実施形態では、下層は、5~100nm又は10~50nmの厚さを有する。下層組成物は、金属層上に配置される。
【0061】
フォトレジスト層
図1Cは、下層104上に配置されたフォトレジスト層106を示す。フォトレジスト層は、光酸発生剤と、酸不安定基を含む第2のポリマーとを含むフォトレジスト組成物から得られる。フォトレジスト層は、下層の第1の厚さと異なる第2の厚さを有する。
【0062】
下層及びフォトレジスト層に存在する裾引きを除去するために、基板界面でのより高い光酸協調が好ましい。下層は、増感基を含み、光酸発生剤を含まないため、フォトレジスト層のみが光酸発生剤を含む場合、フォトレジスト層と下層との間の界面での光酸濃度が増加する。フォトレジスト層は、(フォトレジスト層中に)その存在が下層との界面でのUV増感基の効果を弱めるため、UV増感剤を含有しない。
【0063】
フォトレジスト組成物は、酸不安定基を含む第2のポリマーを含む。第2のポリマーは、増感基を有さない。酸不安定性ポリマーは、上記に記載されており、簡潔さのために再度詳述しない。
【0064】
典型的には、第2のポリマーは、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて70~99.5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。第2のポリマーの重量平均分子量Mは、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって測定される場合、典型的には100,000グラム未満、例えば4,000~100,000、より典型的には8,000~25,000グラム/モル(g/モル)である。
【0065】
フォトレジスト組成物は、非イオン性光酸発生剤を含む。一実施形態では、フォトレジスト組成物は、イオン性光酸発生剤を含み得る。ノリッシュ-1型開裂によって光酸を発生させる光酸発生剤を使用することが望ましい。ノリッシュ-I型反応は、2つのフリーラジカル中間体へのアルデヒド及びケトンの光化学的開裂又はホモリシスである。カルボニル基は、光子を受け取り、光化学一重項状態に励起される。一実施形態において、光酸発生剤は、式(8)
【化13】

に示される構造を有し、式(8)において、Rは、水素原子、置換若しくは無置換の、線状若しくは分岐C~C14アルキル基、置換複素環基又はハロゲン原子であり;Rは、1~18個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル基;ハロゲン原子又は6~20個の無置換炭素原子を有するアリール基である。
【0066】
好適な光酸発生剤の例は、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(NHNI-TF)、N-ヒドロキシナフタルイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート(NHNI-PFBS)、N-ヒドロキシナフタルイミドカンファー-10-スルホネート、N-ヒドロキシナフタルイミド2-トリフルオロメチルフェニルスルホネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドパーフルオロブタンスルホネート又はベンゼンアセトニトリル、2-メチル-α-[2-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン](IRGACURE PAG 103として商業的に入手可能である)である。好ましい実施形態では、光酸発生剤は、以下に示す式(9a)、(9b)又は(9c)の構造の1つ以上であり得る。
【化14】
【0067】
光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.2~15重量%、より典型的には0.3~5重量%、より好ましくは0.5~2重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。光酸発生剤の負荷を最小限に抑えることにより、フォトレジストのUV透過性も最小限に抑えることができる。それは、フォトレジスト層のUV透過性を高める。次いで、フォトレジスト層を通した十分なUV照射が下層のUV増感剤に到達し得る。
【0068】
フォトレジスト組成物は、溶媒を更に含む。フォトレジスト組成物に使用される溶媒は、下層に使用されるものと同じであるか又は異なり得る。溶媒は、上に列挙されており、簡潔にするために再度列挙しない。溶媒量は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として例えば20~95重量%、好ましくは40~80重量%、より好ましくは50~70重量%であり得る。
【0069】
フォトレジスト組成物は、1種以上の表面レベリング剤(SLA)、接着促進剤及び/又は可塑剤等の他の任意選択の原料を含むことができる。使用される場合、SLAは、好ましくは、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.001~0.1重量%の量で存在し、接着促進剤及び/又は可塑剤は、それぞれフォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.1~10重量%の量で存在する。
【0070】
パターン形成プロセスに従い、フォトレジスト組成物の層が基板上に形成される。組成物は、スピンコーティング、浸漬、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって基板に塗布することができる。スピンコーティングが好ましい。スピンコーティングについて、コーティング溶液の固形分を調整して、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転許容時間量に基づいて所望のフィルム厚さを提供することができる。一実施形態において、フォトレジスト組成物の層は、一回の適用で塗布される。
【0071】
フォトレジスト組成物層は、次に、層中の溶媒含有量を最小限するためにソフトベークし、それにより不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善することができる。ソフトベークは、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。
【0072】
フォトレジスト組成物は、下層組成物のソフトベーク後又はその前に下層上に配置され得る。一実施形態では、それは、下層組成物のソフトベークが行われた後に下層上に配置される。フォトレジスト組成物を90~140℃の温度で1~6分間ソフトベークして、フォトレジスト組成物に含まれる溶媒を除去することもできる。フォトレジスト組成物は、溶媒の除去後にフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層は、1~50マイクロメートル、好ましくは2~20マイクロメートルの厚さを有する。一実施形態では、フォトレジスト層と下層との厚さの比は、1000:1~20:1である。
【0073】
フォトレジスト組成物層は、次いで、露光領域と非露光領域との間で溶解度の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線にパターン様露光される。図1Cを参照すると、フォトレジスト層106をコーティングした後、フォトレジスト層106及び下層104は、フォトマスク110を介して活性化放射線108に露光される。10~500ナノメートルの波長を有する活性化放射線源をフォトパターニングに使用することができる。フォトレジスト層106及び下層104の露光部分は、例えば、図1Dに見られるような適切なアルカリ性現像液で現像される。
【0074】
層のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物層を露光することへの本明細書での言及は、放射線が層に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線により、それぞれ露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、365nm、248nm、193nm又はEUV波長等の500nm未満である。好ましくは、露光は、水銀ランプからの365nm波長の放射線(i線)で行われる。
【0075】
フォトレジスト組成物層の露光後、露光工程中にPAGから発生した酸によって酸不安定基を分解するために、露光後ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。
【0076】
フォトレジスト組成物層は、次に、層の露光部分を除去するためにアルカリ性現像液と接触され、レジストパターンを形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性アルカリ性現像液、例えば水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば0.26規定度(N)(2.38重量%)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。
【0077】
図1D及び図1E(これは、図1Dの破線部分の拡大図を表す)から分かるように、金属層102の上面から測定したアンダーカット領域の高さhは、下層の厚さhよりも大きい。露光領域の除去に続いて、パターン化フォトレジスト層106’及び下層104’が基板上に形成される。フォトレジスト層及び下層の露光部分の除去は、金属構造、例えばライン又はピラーをめっきすることができる第1の金属層102への開口部をもたらす。
【0078】
更なる態様は、金属層102上に金属を堆積させるためのプロセスである。図1Fは、金属層102上の金属の堆積(めっきによる)の例示的な描写である。プロセスは、典型的には、金属層を金属めっき液に浸漬することと、フォトレジスト組成物層の露光部分の金属層102上に金属112を電気堆積させることとを含む。下層及びフォトレジスト組成物層の現像領域は、金属めっきのための型として機能する。金属は、例えば、電気めっきによってめっきすることができる。当技術分野において公知の様々なタイプの金属めっき液を使用することができる。金属の2つ以上の異なる層を形成することもでき、層は、同じ又は異なる金属のものであり得る。好ましいめっき金属には、銅、ニッケル、スズ、銀、金並びにそれらの混合物及び合金が含まれるが、それらに限定されない。そのような金属を形成するのに使用するのに適した金属めっき液は、当技術分野で公知であり、DuPont Electronics&Industrial.から市販されている。めっき金属層の厚さは、典型的には、1~100マイクロメートル、好ましくは5~50マイクロメートル又は10~50マイクロメートルである。
【0079】
金属めっき後、残りのフォトレジスト層及び下層を基板から除去(剥離)して、めっきされた金属フィーチャ112を残すことができる。図1Gは、残りのフォトレジスト層及び下層を除去した後に残っためっき金属フィーチャ112を示す。適切なフォトレジスト剥離剤は、市販されており、例えばShipley BPR(商標)Photostripper(DuPont Electronics&Industrial)である。
【0080】
めっきされた金属フィーチャ112間の露光した第1の金属層102の領域は、めっきされた金属フィーチャのそれぞれを電気的に絶縁するために、例えばエッチバック工程によって任意選択的に除去することができる。得られた金属フィーチャは、例えば、ライン又はピラーの形態をとることができる。小さい幅/直径を有する金属フィーチャは、本明細書に開示される組成物及び方法によって形成することができる。そのような構造物は、例えば、小さい、軽量の及び薄いデバイスにおける電気的接続に用途を見出す。ラインの幅又はフィレット直径は、例えば、0.8~10マイクロメートル、好ましくは1~3マイクロメートルであり得る。フィーチャの高さは、例えば、フォトレジスト組成物樹脂の厚さに依存するが、2マイクロメートル以上の高さを形成することができる。
【0081】
本発明は、フォトレジスト組成物及び下層組成物を使用して、フィーチャの上部の断面積と比較した場合に基部の断面積がより大きい金属フィーチャを得ることができる点で有利である。開示された下層組成物及びフォトレジスト組成物の使用は、金属フィーチャの底部におけるアンダーカットの形成を防止する。これにより、半導体デバイスの更なる処理中の金属フィーチャの崩壊が防止される。
【0082】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によって例示する。
【実施例
【0083】
実施例1
この実施例は、下層組成物に使用するための第1のポリマーの製造を詳述する。下層組成物は、以下のモノマーから得られるポリマー(第1のポリマー)を含む。上記のように、第1のポリマーは、増感基を有する繰返し単位と、酸不安定基を有する繰返し単位とを含む。
【0084】
ANTMIは、9-アントラセン-メチルメタクリレート(ANTMA)とマレイミド(MI)との反応生成物である。HNMAは、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとの反応生成物である。いずれのモノマーも、例えば、(特許文献19)に詳述されている既知の方法によって調製することができる。他のモノマーは、商業的供給源から得ることができる。例えば、ANTMA(9-アントラセン-メチルメタクリレート、CAS:31645-35-9)は、東京化成工業株式会社から入手可能であり、TBA(ターシャリーブチルアクリレートCAS:1663-39-4)は、東京化成工業株式会社から入手可能であり、MI(マレイミドCAS:541-59-3)は、東京化成工業株式会社から入手可能である。
【0085】
UL-A3ポリマー上のポリヒドロキシスチレン(PHS)繰返し単位は、アセトキシスチレンからの重合後に変換される。
【化15】
【0086】
上記のモノマーの異なる組合せを使用して、3つの異なる第1のポリマー(UL-A1、UL-A2及びUL-A3)を製造した。下層組成物中の第1のポリマー中の各モノマーの量(mol%)を以下の表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例2
この実施例は、実施例1の第1のポリマーから製造された異なる下層組成物を詳述する。表2は、6つの異なる下層組成物(UL1~UL6)を100部当たりの部(phr)で詳述している。下層組成物の2つ(UL1及びUL6)が光酸発生剤を含有していたことに留意されたい。UL1で使用されるPAGは、i線波長にUV吸光度を有さない。それは、アントラセンUV増感基も含有しない。PAGは、下層ポリマーの溶解抑制剤/制御剤として作用すると考えられる。UL6で使用されるPAGP2は、i線感受性であり、アントラセンによって感作された。
【0089】
全ての組成物の固形分は、3.5重量%であったUL4を除いて2.2重量%であった。UL5は、溶媒としてPGMEA(プロピレングリコール1-メチルエーテル2-アセテートCAS:108-65-6)を使用した。他のULの例は、乳酸エチル(CAS:97-64-3)を使用した。
【0090】
【表2】
【0091】
光酸発生剤PAGP1及びP2の構造を以下に示す。
【化16】
【0092】
比較例として、UL7(CI1305-10)を以下のように調製した。アルカリ可溶性樹脂-A(35(重量部-(pbw)))及びそのDNQによる部分的に保護された化合物(ジアゾナフトキノンスルホン酸)(65pbw)を950pbwのPGMEA(固形分=5重量%)に溶解した。
【化17】
【0093】
実施例3
この実施例は、フォトレジスト組成物に使用された第2のポリマー(ポリマーD、E、F、G及びH)の製造を詳述する。表3は、第2のポリマーの調製に使用される様々なモノマーの量(mol%)を示す。第2のポリマーに用いられる各種モノマーの構造を以下に示す。上に詳述したように、第2のポリマーは、酸不安定基を有する繰返し単位を含有する。第2のポリマーは、増感基を有するいずれの繰返し単位も含まない。
【化18】
【0094】
【表3】
【0095】
実施例4
この実施例は、第2のポリマー及び光酸発生剤を含有するフォトレジスト組成物を示す。表4は、フォトレジスト組成物及び各成分の100部当たりの部の量を示す。光酸発生剤(PAG P2及びP3)及び塩基(塩基-a及び塩基-b)の構造を以下の表4に示す。SLAは、「セルフレベリング剤」を示す。溶媒は、100部で存在し、PGMEA98部及びγ-ブチロラクトン(GBL)2部を含んでいた。
【0096】
【表4】
【0097】
【化19】
【0098】
実施例5
この例は、基板上の第1の金属層及び第2の金属層の形成を示す。第1の層は、銅を含んでいた。200nmの銅をPVDによってシリコン基板上に堆積させた。銅堆積前に、パッシベーション及び接着の目的で150nmのチタン層をシリコン基板上に堆積させた。銅被覆基板を10重量%のHSOに30秒間浸漬し、続いて脱イオン水(DIW)ですすぎ、窒素流中で乾燥させた。2.38重量%のTMAH現像液の60秒間のパドル、続いて回転するDIW(脱イオン水)すすぎ及び乾燥を使用して、塩基性化学物質による残留酸を中和する。
【0099】
実施例6
この実施例では、下層及びフォトレジスト層を製造する際の加工条件について詳述する。基板は、チタンを含む第1の金属層と、銅を含む第2の金属層とを有するシリコン基板であった。銅表面にプライマーは、配置しなかった。下層(UL1~UL5)を以下の表5に示す。
【0100】
下層を170℃、185℃及び200℃で60秒間、各温度でベーク(ソフトベーク)した。下層の厚さは、54nm及び110nmの2つであった。フォトレジスト層は、6つのフォトレジスト組成物PR1~PR6から製造した。フォトレジスト層を135℃で90秒間ソフトベークし、溶媒を除去した。フォトレジスト層は、8~7.5マイクロメートルの厚さを有する。
【0101】
ソフトベーク後、0.50NA及び0.68PCレンズ設定を有するi線露光ツール(NSR-2005i9C、NIKON)によって基板を露光した。
【0102】
露光後ベークは、110℃で90秒間行う。次いで、基板を水性現像液、MF(商標)CD-26現像液(DuPont Electronics&Industrial)、2.38重量%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム:CAS:75-59-2)中において80秒間の単一パドル及び静的現像で現像した。単一パドルは、現像中に追加の新鮮な現像剤が供給されなかったことを意味する。また、静的現像は、低いスピン速度でのスピン及び停止等による撹拌がないことを意味する。
【0103】
以下の表5は、上記の方法によって製造された様々な二重層を示す。
【0104】
【表5】
【0105】
実施例7
この実施例を実施して、実施例6の組成物から得られたパターンプロファイルを決定した。フォトレジストのパターンプロファイルは、中心焦点(Eop)で1.5μmの空間幅を生成する露光エネルギーで評価した。図2に示す表7は、本発明を用いたフォトレジストのパターンプロファイルを示す。
【0106】
opでの下層ベーク温度170~200℃を通して、裾引きは、観察されなかった(実施例1~3)。より低い露光エネルギーを使用しても、裾引きプロファイルは、生じなかった(実施例4)。これらの実施例では、小さいアンダーカットが観察された。アンダーカットプロファイルを生成するフォトレジストパターンを使用すると、裾引きプロファイルを有するめっきパターンが生成される。裾引きプロファイルの存在は、フォトレジストが除去された後のめっきパターンのパターン崩壊を防止する。測定されたアンダーカット幅は、0.2~0.3μmであり、アンダーカット高さは、0.4μmより厚かった。これは、下層のコーティング厚さよりも7倍以上厚い。
【0107】
実施例8
この実施例は、光酸発生剤を使用せずに下層配合物の使用を実証するために行われた。図3の表8は、光酸発生剤を含まない下層配合物を有する多数の例のパターンプロファイルを示す。
【0108】
実施例5及び6(Ex5及びEx6)は、両方とも同じANTMA組成を有するUL-Aを使用した。UL2に使用されるUL-A1は、UL-A2よりも多量のマレイミド(MI)及びANTMIを含有していた。水性現像液中のUL-A1及びUL-A2の溶解速度を比較することにより、UL-A1がより速い溶解速度を与えることが決定された。イミド構造は、アルカリ現像液中でのより速い溶解速度を可能にすると考えられる。実施例5及び6の両方は、小さいアンダーカットプロファイルを与えた。実施例5のアンダーカット幅を6と比較することにより、実施例5は、わずかに短い幅を与えたことが分かる。この結果は、アンダーカットの機構が溶解速度のみに依存しない可能性があることを示している。これらの例は、PAGを使用しないため、提案されたプロセスは、下層組成物中でPAGなしで機能する。実施例7は、実施例5よりも大きい膜厚を使用した。両方の実施例(5及び7)は、裾引きを示さず、非常に低いアンダーカットプロファイルを有していた。実施例8は、より高い含有量のANTMA及びTBAを有する別のUL-A組成物を使用する。それは、アンダーカットの高さがより大きいことを示していたが、裾引きはなかった。
【0109】
図4の表9は、光酸発生剤が別の第1のポリマー及びPAGを含む場合に得られたパターンプロファイルを示す。実施例9及び12は、スチレン不活性基及び低脱離基組成物を使用した。実施例9では、更に他のアクリル系脱離基を用いた。実施例10では、アクリル系脱離基とアセタール系脱離基とを組み合わせて使用した。いずれのポリマー例も、裾引きを示さなかったが、小さいアンダーカット形状を有していた。これらの実施例のアンダーカット高さは、下層のコーティング厚さの9倍超であった。
【0110】
別のPAGを使用する実施例12も裾引きを得なかった。
【0111】
図5の表10は、7.5μmのフォトレジスト膜厚でULに添加されたi線感受性PAGを有する下層を使用することにより、二重層プロセスについて得られたパターンプロファイルを示した。実施例13は、アンダーカットプロファイルを示した。この結果は、下層へのPAGの添加が本発明の効果を妨げない、すなわちPAGの量が増感剤のUV吸光度を妨げないことを示す。
【0112】
実施例9
この実施例は、比較例(CF-1、CF-2及びCF-3)を詳述し、二重層プロセスとフォトレジスト層が基板上の唯一の層である単一層プロセスとの間の違いを実証する。図6の表11に単層例を示す。ベンゾトリアゾールを添加することによって裾引きプロファイルが減少したが、銅表面に小さい裾引きが残っている。これは、更なるプロセス中のパターン崩壊に影響を及ぼし得るめっきパターン上のアンダーカットを与える。
【0113】
実施例10
これは、下層がUV増感剤を含まない比較例(CF-4)である。UL-7は、i線波長で分解可能なジアゾナフトキノンによりフェノール性水酸基の一部が保護されたクレゾールノボラック樹脂を用いた。ジアゾナフトキノンの熱分解を防止するために、UL-1で使用されたベーク温度よりも低いベーク温度を適用した。データを表12(図7)に示す。これは、シリコン基板上にテーリングプロファイルを与えた。それは、銅により大きい裾引きを与えることができる。
【0114】
要約すると、前述の例から、二重層プロセスは、下層の厚さよりも厚いアンダーカット高さを有するアンダーカットパターンプロファイルを与える。これは、様々な脱離基を使用する複数のフォトレジストの例に見られ得る。アンダーカットプロファイルは、下層中のポリマーの溶解速度及びベーク温度とは無関係である。アンダーカットは、PAGの添加の有無にかかわらず生じる。
【0115】
下層とフォトレジスト層との界面における光酸濃度の局在化は、下層の厚さよりも厚いアンダーカット高さを有するアンダーカットパターンプロファイルを生成することが分かる。フォトレジスト中のPAGに対するUV増感は、下層中のアントラセン部分の使用によって起こり得る。露光後ベークを適用することにより、高度に凝縮した光酸が上部又は非露光領域に拡散し、アンダーカットパターンプロファイルの現像を容易にする。
【符号の説明】
【0116】
100 基板
102 第1の金属層
104 下層
104’ 下層
106 フォトレジスト層
106’ フォトレジスト層
108 活性化放射線
110 フォトマスク
112 金属フィーチャ、金属
図1A-1C】
図1D-1E】
図1F-1G】
図2
図3
図4
図5
図6
図7