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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 3/04 20060101AFI20250226BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20250226BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20250226BHJP
   F16D 55/00 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
H02P3/04 B
F16D66/00 Z
B60T17/18
F16D55/00 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023511080
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013671
(87)【国際公開番号】W WO2022210196
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021061247
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁志
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-182365(JP,A)
【文献】特開2014-050912(JP,A)
【文献】特開2009-196031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0382103(US,A1)
【文献】特開2015-211609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 3/04
F16D 66/00
B60T 17/18
F16D 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、前記電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置であって、
受信した電源制御信号に応じて電圧を出力するかあるいは前記電圧を出力しないよう制御される電源と、
ブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、
前記ブレーキ装置に直列に接続され、受信した前記ブレーキ制御信号に応じて前記電源と前記ブレーキ装置との間の電路を開閉する開閉部と、
前記開閉部と前記ブレーキ装置との間の電路の電位状態を示す状態検出信号を出力する状態検出部と、
前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する異常検出部と、
前記電源に対する前記電源制御信号として、前記異常検出部により異常発生が検出された場合は前記電源が前記電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する電源制御部と、
を備え
前記開閉部は、前記電源の正極端子と前記ブレーキ装置の正極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの正側開閉スイッチと、前記電源の負極端子と前記ブレーキ装置の負極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの負側開閉スイッチと、を有し、
前記ブレーキ制御部は、前記正側開閉スイッチ及び前記負側開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ作動処理、前記正側開閉スイッチ及び前記負側開閉スイッチを閉成するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除処理、及び、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除処理へ移行する際の前記ブレーキ作動処理と前記ブレーキ解除処理との間において前記正側開閉スイッチを閉成し前記負側開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除準備処理を実行し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中及び前記ブレーキ解除準備処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記電源制御部は、前記ブレーキ作動処理の実行中及び前記ブレーキ解除準備処理の実行中の両方において前記異常検出部が異常発生を検出した場合、前記出力オフ信号を出力する、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記電源に対する前記電源制御信号として、前記異常検出部により異常発生が検出されない場合は前記電源が前記電圧を出力するよう制御する出力オン信号を出力する、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ解除準備処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出しなかった場合、当該ブレーキ解除準備処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項またはに記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記異常検出部は、
前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除準備処理に移行する際の当該ブレーキ解除準備処理を実行する前に前記電源制御部が前記出力オフ信号を出力している間において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容と前記電源制御信号の内容との組み合わせに基づき、前記電源の異常発生の有無を検出し、
前記電源の異常発生を検出した場合は、アラーム信号を出力する、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除準備処理を経て前記ブレーキ解除処理へ移行する際において、前記異常検出部による前記ブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、前記異常検出部による前記ブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、及び前記電源の異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合、当該ブレーキ解除準備処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記異常検出部は、
前記ブレーキ解除処理から前記ブレーキ作動処理に移行する際の当該ブレーキ作動処理を実行する前に前記電源制御部が前記出力オフ信号を出力している間において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容と前記電源制御信号の内容との組み合わせに基づき、前記電源に異常発生の有無を検出し、
前記電源の異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項1及び3~6のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記開閉部は、前記電源の正極端子と前記ブレーキ装置の正極端子との間の電路または前記電源の負極端子と前記ブレーキ装置の負極端子との間の電路のいずれかを開閉する少なくとも1つの開閉スイッチを有し、
前記ブレーキ制御部は、前記開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ作動処理、及び、前記開閉スイッチを閉成するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除処理を実行し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記電源制御部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出した場合、前記出力オフ信号を出力する、請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除処理へ移行する際の当該ブレーキ作動処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出しなかった場合、当該ブレーキ作動処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項10】
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項またはに記載のブレーキ制御装置。
【請求項11】
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除処理に移行する際の当該ブレーキ作動処理を実行する前に前記電源制御部が前記出力オフ信号を出力している間において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容と前記電源制御信号の内容との組み合わせに基づき、前記電源の異常発生の有無を検出し、
前記ブレーキ制御部は、前記異常検出部が前記電源の異常発生を検出した場合は当該ブレーキ作動処理の実行を継続し、前記異常検出部が前記電源の異常発生を検出しなかった場合は当該ブレーキ作動処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項10のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項12】
前記異常検出部は、前記電源の異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項11に記載のブレーキ制御装置。
【請求項13】
前記ブレーキ装置に対して並列接続されるように前記ブレーキ装置の入力端子間に接続され、受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉するブレーキロックスイッチと、
前記ブレーキロックスイッチに対する前記ブレーキロック制御信号として、前記異常検出部により異常発生が検出された場合は前記ブレーキロックスイッチを閉成するよう制御する閉成信号を出力し、前記異常検出部により異常発生が検出されない場合は前記ブレーキロックスイッチを開放するよう制御する開放信号を出力するブレーキロックスイッチ制御部と、
をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項14】
電圧の印加がない無励磁時にモータに対するブレーキを作動し、前記電圧の印加がある励磁時に前記モータに対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置と、
前記ブレーキ装置を制御する、請求項1~13のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置と、
を備える、モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無励磁作動型のブレーキ装置では、ブレーキコイルに対する電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、ブレーキコイルに対する電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する。
【0003】
例えば、無励磁作動形の電磁ブレーキを制御する電磁ブレーキ制御装置において、前記電磁ブレーキを接続するための出力端子と、前記出力端子を介して前記電磁ブレーキに供給されるブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部であって、通常ブレーキ指令と安全ブレーキ指令の双方がONである場合には、前記電磁ブレーキを解除するためのブレーキ制御信号を出力し、前記通常ブレーキ指令と前記安全ブレーキ指令の少なくとも一方がOFFである場合には、前記電磁ブレーキを投入するためのブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、を備える電磁ブレーキ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、通電することによりブレーキを解除する電磁ブレーキを制御するブレーキ駆動制御回路であって、第1回路電圧の第1電源と前記電磁ブレーキの一方の端子との間に設けられた第1整流素子と、前記第1電源を動作させるために前記第1電源に電力を供給するラインに挿入された遮断スイッチと、前記電磁ブレーキの他方の端子と接地点との間に設けられた第1スイッチング素子と、前記第1回路電圧とは異なる第2回路電圧の第2電源と前記電磁ブレーキの前記一方の端子との間で直列に設けられた第2スイッチング素子及び第2整流素子と、を有するブレーキ駆動制御回路が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
例えば、励磁コイルの無励磁状態で電磁ブレーキが投入される無励磁作動型の電磁ブレーキ制御装置において、ブレーキ指令に従って演算処理を行う第1演算部、及び、前記第1演算部の出力信号に基づいて生成されるブレーキ信号によりオンする第1スイッチ、を有する第1ブレーキ制御回路と、ブレーキ指令に従って演算処理を行う第2演算部、及び、前記第2演算部の出力信号に基づいて生成されるブレーキ信号によりオンする第2スイッチ、を有する第2ブレーキ制御回路と、を備え、ブレーキ電源と前記電磁ブレーキとの間に、前記第1スイッチと前記第2スイッチとを直列に接続したことを特徴とする電磁ブレーキ制御装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
例えば、特許文献4の段落0031には、「また、ブレーキ制御部7(図1参照)から電磁ブレーキ2にブレーキ解除用のブレーキパワーP2が供給されていない場合には、電磁コイル24が駆動しないように構成されている。この場合、図2に示すように、トルクスプリング21aおよび21bの付勢力によりアーマチュア20aおよび20bがブレーキハブ22(ブレーキシュー27)に押し付けられる状態になる。その結果、モータ1の回転軸14は、回転せずにブレーキがかかった状態(拘束状態)となる。このとき、アーマチュア20aおよび20bと、フィールドコア23との間には、ギャップ(隙間)が形成され、第1検出器28aおよび第2検出器28bがOFF状態(拘束位置)となる。」と記載され、特許文献4の段落0032には「また、電磁ブレーキ2にブレーキ解除用のブレーキパワーP2が供給されている場合には、電磁コイル24が駆動するように構成されている。この場合、図3に示すように、アーマチュア20は、トルクスプリング21の弾性力に抗して電磁コイル24側に移動する。その結果、アーマチュア20とブレーキハブ22(ブレーキシュー27)とは、互いに離間する方向に移動することにより、ブレーキが解除された状態となる。これにより、モータ1の回転軸14は、回転駆動することが可能となる。このとき、アーマチュア20aおよび20bと、フィールドコア23と間には、ギャップ(隙間)が形成されず、第1検出器28aおよび第2検出器28bがON状態(解除位置)となる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-089137号公報
【文献】特開2019-105286号公報
【文献】国際公開第2014/045728号
【文献】特開2012-237397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無励磁作動型のブレーキ装置では、ブレーキコイルと電源とからなる回路上に開閉スイッチを設け、この開閉スイッチの開閉によりブレーキコイルに対する励磁の有無を制御している。開閉スイッチのショート故障、当該開閉スイッチを制御する制御部の故障、ブレーキコイルと電源とからなる回路とブレーキ装置以外の回路との短絡などといったような異常が発生すると、本来ブレーキが作動されるべき時にブレーキが解除されてしまうことがある。例えばロボットのアームを駆動するモータに対して設けられたブレーキ装置において、本来であればブレーキが作動されるべき時であるにもかかわらず何らかの異常によりブレーキが解除されてしまうと、ロボットの姿勢が維持できなくなったり、アームが落下したりするといったような、非常に危険な状態になる。したがって、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる安全な無励磁作動型のブレーキ装置及びモータ駆動装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置は、受信した電源制御信号に応じて電圧を出力するかあるいは電圧を出力しないよう制御される電源と、ブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、ブレーキ装置に直列に接続され、受信したブレーキ制御信号に応じて電源とブレーキ装置との間の電路を開閉する開閉部と、開閉部とブレーキ装置との間の電路の電位状態を示す状態検出信号を出力する状態検出部と、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する異常検出部と、電源に対する電源制御信号として、異常検出部により異常発生が検出された場合は電源が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する電源制御部と、を備え、開閉部は、電源の正極端子とブレーキ装置の正極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの正側開閉スイッチと、電源の負極端子とブレーキ装置の負極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの負側開閉スイッチと、を有し、ブレーキ制御部は、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチを開放するよう制御するブレーキ制御信号を出力するブレーキ作動処理、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチを閉成するよう制御するブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除処理、及び、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理へ移行する際のブレーキ作動処理とブレーキ解除処理との間において正側開閉スイッチを閉成し負側開閉スイッチを開放するよう制御するブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除準備処理を実行し、異常検出部は、ブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、電源制御部は、ブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中の両方において異常検出部が異常発生を検出した場合、出力オフ信号を出力する。
【0010】
また、本開示の一態様によれば、モータ駆動装置は、電圧の印加がない無励磁時にモータに対するブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にモータに対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置と、ブレーキ装置を制御する上記ブレーキ制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる安全な無励磁作動型のブレーキ装置及びモータ駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1及び第2の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図2A】無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対してブレーキを作動させた状態を示す。
図2B】無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対するブレーキが解除された状態を示す。
図3A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図3B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図4A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1における正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図4B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1における正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図5A】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図5B】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図6A】本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図6B】本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図7A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ作動処理の復帰シーケンスを有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図7B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ作動処理の復帰シーケンスを有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図8A】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図8B】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図9A】本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図9B】本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図10】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
図11】本開示の第2の実施形態による第1の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。
図12】本開示の第2の実施形態による第1の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。
図13】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除する場合の動作フローを示すフローチャートである。
図14】本開示の第2の実施形態による第2の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。
図15】本開示の第2の実施形態による第2の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。
図16】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して解除されているブレーキ装置によるブレーキを作動させる場合の動作フローを示すフローチャートである。
図17】本開示の第3及び第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図18A】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図18B】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図19A】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図19B】電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図20A】本開示の第3の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。
図20B】本開示の第3の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。
図21A】本開示の第4の実施形態による電源検査機能を有するブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図21B】本開示の第4の実施形態による電源検査機能を有するブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図22】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除する場合の動作フローを示すフローチャートである。
図23】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図24A】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図24B】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図25A】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、負側開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図25B】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図26A】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第1の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図26B】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第2の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図27】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第3の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図28】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図である。
図29A】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図28に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図29B】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図28に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図30】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図である。
図31A】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図30に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図31B】本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図30に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図32】本開示の第6の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図33A】本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図33B】本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図34A】本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第1の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図34B】本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第2の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図34C】本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第3の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置について説明する。各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、図面に示される形態は実施するための一つの例であり、図示された形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本開示の第1及び第2の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0015】
まず、本開示の第1の実施形態について説明するが、図1は後述する第2の実施形態においても適用可能である。
【0016】
モータ駆動装置100は、電圧の印加がない無励磁時にモータ3に対するブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にモータ3に対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置2と、ブレーキ装置2を制御するブレーキ制御装置1とを備える。図1ではモータ3に駆動電力を供給する電源部及びモータ3を制御するモータ制御部については図示を省略している。モータ3は、交流モータであってもよく直流モータであってもよい。モータ3が設けられる機械には、例えば工作機械、ロボット、鍛圧機械、射出成形機、産業機械、各種電化製品、電車、自動車、航空機などが含まれる。
【0017】
本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1を説明するに先立ち、無励磁作動型のブレーキ装置2の構造について図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対してブレーキを作動させた状態を示す。図2Bは、無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対するブレーキが解除された状態を示す。図2A及び図2Bに示すブレーキ装置は、第1~第6の実施形態にも適用可能である。
【0018】
図2A及び図2Bに示すように、無励磁作動型のブレーキ装置2において、アーマチュア112と端板113との間には摩擦板111が配置される。摩擦板111にはハブ122がスプライン結合され、さらにハブ122とモータ3のシャフト121とは焼き嵌めにより一体化されているので、モータ3のシャフト121の回転に連動して摩擦板111も回転する。端板113とスペーサ117とはボルト118によって結合され、アーマチュア112が摩擦板111に近づく方向及び遠ざかる方向に移動可能となるようにスペーサ117に結合される。コア116内にはバネ114及びブレーキコイル115が設けられる。図2Aに示すように、ブレーキコイル115に電圧が印加されていない無励磁状態においては、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できない。この結果、摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。一方、図2Bに示すように、ブレーキコイル115に電圧が印加された励磁状態においては、アーマチュア112を摩擦板111に押し付けていたバネ114の弾性力に打ち勝つ電磁力がコア116に発生し、これによりアーマチュア112がコア116に引きつけられて摩擦板111はアーマチュア112及び端板113との接触から解放される。この結果、摩擦板111ひいてはモータ3のシャフト121は自由に回転できるようになり、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。
【0019】
ブレーキ装置2は、ブレーキ制御装置1によって制御される。本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1は、電源11と、ブレーキ制御部12と、開閉部13と、状態検出部14と、異常検出部15と、電源制御部16とを備える。
【0020】
電源11は、その直流出力電圧の大きさが制御可能な電源(すなわち可変出力を有する電源)であり、電源制御部16から受信した電源制御信号CTRPに応じて電圧を出力するかあるいは電圧を出力しないよう制御される。電源11は、例えばチョッパ回路及びスイッチング素子などを用いて構成される。一例として、電源11は、電源制御信号CTRPとして出力オン信号を受信した場合は、例えば24Vの直流電圧を出力する。なお、図1に示す例では、出力オン時の直流電圧の値を24Vとしたが、その他の電圧値(例えば15V、12V、5Vなど)であってもよい。また、電源11は、電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を受信した場合は、例えば直流電圧を出力せず、すなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。この代替例として、電源11は、電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を受信した場合は、ブレーキコイル115を励磁する電圧未満の電圧を出力してもよい。
【0021】
開閉部13は、ブレーキ装置2のブレーキコイル115に直列に接続され、受信したブレーキ制御信号に応じて電源11とブレーキ装置2との間の電路を開閉する。第1の実施形態では、開閉部13は、電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの正側開閉スイッチと、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの負側開閉スイッチとを有する。図1に示す例では、一例として、開閉部13は、1つの正側開閉スイッチ21Aと1つの負側開閉スイッチ21Bとを有する。図1に示す例では正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチをそれぞれ1つずつ設けたが、この変形例としてそれぞれについて2つ以上設けてもよい。例えば、正側開閉スイッチとして、直列接続された2つの開閉スイッチにて構成してもよく、この場合、2つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSAにて開閉制御される。また例えば、負側開閉スイッチとして、直列接続された3つの開閉スイッチにて構成してもよく、この場合、3つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSBにて開閉制御される。
【0022】
また、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチとしている。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO(Gate Turn-OFF thyristor:ゲートターンオフサイリスタ)、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。FETはその端子としてゲート、ドレイン及びソースを有する。サイリスタ及びGTOはその端子としてゲート、アノード及びカソードを有する。トランジスタはその端子としてベース、エミッタ及びコレクタを有する。以下、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21BがFETから構成される場合について説明する。なお、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをサイリスタ及びGTOで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「アノード」に、「ソース」は「カソード」にそれぞれ読み替えられて本開示の各実施形態が適用される。また正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをトランジスタで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「コレクタ」に、「ソース」は「エミッタ」にそれぞれ読み替えられて本開示の各実施形態が適用される。
【0023】
開閉部13の開閉サージやノイズなどの瞬間的な高電圧を除去するために、サージアブソーバ42がブレーキ装置2に対して並列接続されるようにブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)に接続される。
【0024】
ブレーキ制御部12は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開閉するためのブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。ブレーキ制御部12から出力されたブレーキ制御信号BSA及びBSBは、開閉部13内の正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びに異常検出部15へ送られる。本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の3つの処理に分けられ、各処理に応じたブレーキ制御信号BSA及びBSBが正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bに対して送られる。ブレーキ制御装置1におけるブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の詳細については後述する。
【0025】
状態検出部14は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理のそれぞれの実行中において、開閉部13とブレーキ装置2との間の電路の電位状態を検出し、この電位状態を示す状態検出信号を出力する。図1に示す例では、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。状態検出部14によって検出された開閉部13とブレーキ装置2との間の電路の電位状態を示す状態検出信号は、異常検出部15へ送られる。状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAを生成するために、例えば、フォトカプラ41A、分圧抵抗R1A及びR2A、並びにプルアップ抵抗R3Aを有する。分圧抵抗R1Aの一端は、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子とを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Aの他の一端は、分圧抵抗R2Aの一端に接続されている。分圧抵抗R2Aの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Aに並列にフォトカプラ41A内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41A内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Aが接続されており、フォトカプラ41A内の受光素子の他の一端は接地されている。また、状態検出部14は、開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを生成するために、例えば、フォトカプラ41B、分圧抵抗R1B及びR2B、並びにプルアップ抵抗R3Bを有する。分圧抵抗R1Bの一端は、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Bの他の一端は、分圧抵抗R2Bの一端に接続されている。分圧抵抗R2Bの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Bに並列にフォトカプラ41B内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41B内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Bが接続されており、フォトカプラ41B内の受光素子の他の一端は接地されている。なお、図1に示す例では、状態検出部14を、フォトカプラ及び各種抵抗にて構成したが、この代替例として、High状態とLow状態とを切り分けるための基準電圧を出力する電源(電源に代えて、当該基準電圧を抵抗分割などの方法で生成してもよい)と、当該基準電圧と分圧抵抗R2AまたはR2Bにかかる電圧とを比較し当該比較の結果に基づきHigh信号またはLow信号を出力するコンパレータと、にて構成してもよい。
【0026】
異常検出部15は、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中のそれぞれにおいて、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15による検出結果は、電源制御部16へ送られる。異常検出部15による異常検出処理の詳細については後述する。
【0027】
異常検出部15により検出される異常には、正側開閉スイッチ21Aのショート故障、負側開閉スイッチ21Bのショート故障、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショート、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショート、及び状態検出部14の故障などが含まれる。例えば、正側開閉スイッチ21Aの駆動回路の故障により正側開閉スイッチ21Aが受信した開指令に応答せず正側開閉スイッチ21Aが閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「正側開閉スイッチ21Aのショート故障」とみなすことができる。同様に、負側開閉スイッチ21Bの駆動回路の故障により負側開閉スイッチ21Bが受信した開指令に応答せず負側開閉スイッチ21Bが閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「負側開閉スイッチ21Bのショート故障」とみなすことができる。
【0028】
また、異常検出部15は、異常発生を検出した場合にアラーム信号を出力する機能を有する。異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、例えば「異常発生」を作業者に通知する表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、モータ駆動装置100に付属のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置などがある。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えばLEDやランプなどの発光機器(図示せず)に送られ、発光機器はアラーム信号受信時に発光することで、作業者に「異常発生」を通知する。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム信号受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に「異常発生」を通知する。これにより、作業者は、異常発生を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、例えば、異常に係る部品を交換したり異常原因を取り除くといった対応をとることも容易となる。また、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、モータ駆動装置100の緊急停止処理に用いられてもよい。
【0029】
電源制御部16は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理の実行中においては、異常検出部15により異常発生が検出されない限りは電源11が電圧を出力するよう制御する出力オン信号を出力し、異常検出部15により異常発生が検出された場合は電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。この代替例として、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除準備処理の実行中においては、異常検出部15による異常検出の有無にもかかわらず、電源制御部16は出力オフ信号を出力するようにしてもよい。
【0030】
ブレーキ制御装置1内には演算処理装置(プロセッサ)が設けられる。この演算処理装置は、ブレーキ制御部12、異常検出部15及び電源制御部16を有する。演算処理装置が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。例えば、ブレーキ制御部12、異常検出部15及び電源制御部16をコンピュータプログラム形式で構築する場合は、演算処理装置をこのコンピュータプログラムに従って動作させることで、各部の機能を実現することができる。ブレーキ制御部12、異常検出部15及び電源制御部16の各処理を実行するためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。またあるいは、ブレーキ制御部12、異常検出部15及び/または電源制御部16を、各部の機能を実現するコンピュータプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。
【0031】
続いて、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1におけるブレーキ制御処理及び状態検出処理について説明する。
【0032】
図3Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図3Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図3A及び図3Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0033】
本開示の第1の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の3つの処理に分けられる。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが作動している状態は、ブレーキ作動処理を実行することで実現される。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが解除されている状態は、ブレーキ解除処理を実行することで実現される。モータ3に対して作動しているブレーキを解除する際は、ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除準備処理を実行し、次いでブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。モータ3に対するブレーキが解除されている状態からモータ3に対してブレーキを作動させる際は、ブレーキ解除処理を終了してブレーキ作動処理を実行する。
【0034】
第1の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行されるブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理についてより詳細に説明すると次の通りである。以下の説明では、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをノーマリーオープンスイッチとしている。
【0035】
ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、電源制御部16は電源11に対して出力オン信号を出力し、よって、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ作動処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、図2Aに示すように、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できず、したがって摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにHighとなる。
【0036】
ブレーキ解除準備処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理へ移行する際のブレーキ作動処理とブレーキ解除処理との間に実行されるものである。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、電源制御部16は電源11に対して出力オン信号を出力し、よって、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。正側開閉スイッチ21Aは閉成されているものの負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ解除準備処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、図2Aに示すように、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できず、したがって摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0037】
ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてHigh信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、電源制御部16は電源11に対して出力オン信号を出力し、よって、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ解除処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、図2Bに示すように、アーマチュア112を摩擦板111に押し付けていたバネ114の弾性力に打ち勝つ電磁力がコア116に発生し、これによりアーマチュア112がコア116に引きつけられて摩擦板111はアーマチュア112及び端板113との接触から解放される。この結果、摩擦板111ひいてはモータ3のシャフト121は自由に回転できるようになり、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0038】
上述した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、後述する異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0039】
続いて、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1における異常検出処理について説明する。以下の説明では、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをノーマリーオープンスイッチとしている。
【0040】
図4Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図4Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図4A及び図4Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0041】
ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力する。このとき、正側開閉スイッチ21Aがショート故障していると、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力したとしても、正側開閉スイッチ21Aは閉成された状態のままである。一方、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号の出力に応じて、負側開閉スイッチ21Bは開放された状態となる。したがって、正側開閉スイッチ21Aのショート故障時ではブレーキ作動処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路が形成される。ただし、負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、ブレーキ装置2には電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。このように、ブレーキ作動処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21Aがショート故障した場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにLowになる。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBがともにLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにHighである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御信号BSA及びBSBがともにLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)があると判定する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する。
【0042】
図5Aは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図5Bは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図5A及び図5Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0043】
図5A及び図5Bでは、電源11が出力制御可能電源(すなわち可変出力を有する電源)ではなく、一定の大きさ(例えば24V)の電圧の出力する電源であると仮定した場合において、負側開閉スイッチ21Bのみがショート故障したときの各信号及びブレーキ状態を示している。正側開閉スイッチ21Aが正常であり負側開閉スイッチ21Bがショート故障している場合、ブレーキ作動処理の実行中は、状態検出信号FBA及びFBBはともにHighになり、ブレーキ解除準備処理の実行中は、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。また、ブレーキ解除準備処理の実行中は、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力しているにもかかわらず、負側開閉スイッチ21Bはショート故障しているので、負側開閉スイッチ21Bは閉成された状態になってしまう。したがって、負側開閉スイッチ21Bのショート故障時ではブレーキ解除準備処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、モータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまう。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中に、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまい、危険である。ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。一方、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにLowであるが、負側開閉スイッチ21Bのみがショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSAがHighでありブレーキ制御信号BSBがLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSAがHighでありブレーキ制御信号BSBがLowでありなおかつ状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)があると判定する。
【0044】
なお、ブレーキ解除準備処理期間中に負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、モータ3に対するブレーキが解除されて危険な状態になり得るので、ブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。このようにブレーキ解除準備処理を実行する時間期間を設定することで、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生したとしても、モータ3に対するブレーキ装置2のブレーキが解除されてしまうことを回避しつつ当該負側開閉スイッチ21Bのショート故障を検出することができる。
【0045】
図6Aは、本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図6Bは、本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図6A及び図6Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0046】
図5A及び図5Bを参照して説明したように、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において状態検出信号FBA及びFBBがともにHighであり、ブレーキ解除準備処理の実行中において状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bショート故障)があると判定する。この場合、ブレーキ解除準備処理の実行中に、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまうので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。また、図6Aに示すように、異常検出部15がブレーキ解除準備処理期間中において異常発生を検出した場合、電源制御部16は、出力制御可能な電源11に対する電源制御信号CTRPとして、電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、すなわちブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(負側開閉スイッチ21Bのショート故障時)にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0047】
図7Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ作動処理の復帰シーケンスを有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図7Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ作動処理の復帰シーケンスを有するブレーキ制御装置における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図7A及び図7Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0048】
図5A及び図5Bを参照して説明したように、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において状態検出信号FBA及びFBBがともにHighであり、ブレーキ解除準備処理の実行中において状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)があると判定する。この場合、ブレーキ制御部12は、ブレーキ解除準備処理を終了して、ブレーキ解除処理ではなくブレーキ作動処理を実行する。負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生していたとしても、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、少なくとも正側開閉スイッチ21Aは開放されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(負側開閉スイッチ21Bのショート故障時)にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0049】
図8Aは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図8Bは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図8A及び図8Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0050】
図8A及び図8Bでは、電源11が出力制御可能電源(すなわち可変出力を有する電源)ではなく、一定の大きさ(例えば24V)の電圧の出力する電源であると仮定した場合において、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障したときの各信号及びブレーキ状態を示している。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合、ブレーキ作動処理により正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力しかつ負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力していたとしても、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは両方とも閉成された状態となってしまう。したがって、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、モータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまう。このように、ブレーキ作動処理の実行中に、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまい、危険である。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。一方、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。このように、ブレーキ作動処理期間中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。
【0051】
また、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合、ブレーキ解除準備処理により正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力していたとしても、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは両方とも閉成された状態となってしまう。したがって、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、モータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまう。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中に、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまい、危険である。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。一方、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。
【0052】
このように正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生した場合は、ブレーキ制御部12のブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中の両方において、状態検出信号FBA及びFBBは正常時とは異なった信号状態となる。
【0053】
図9Aは、本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図9Bは、本開示の第1の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図9A及び図9Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0054】
図8A及び図8Bを参照して説明したように異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中の両方において異常発生を検出した場合は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合であり、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除準備処理により本来はブレーキが作動されるべきところ、解除された状態になっているので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。また、図9Aに示すように、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、電源制御部16は、出力制御可能な電源11に対する電源制御信号CTRPとして、電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。よって、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されず、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bのショート故障時)にブレーキが解除され続けてしまうことを回避することができる。
【0055】
図10は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【0056】
ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。
【0057】
ステップS101において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0058】
ステップS102において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号のBSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)の有無を検出する。ステップS102において異常発生が検出された場合はステップS107へ進む。一方、ステップS102において異常発生が検出されなかった場合はステップS103へ進む。
【0059】
ステップS103において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。上位制御装置には、例えば、ブレーキ装置2の制動対象であるモータ3を制御するためのモータ制御装置や、モータ制御装置のさらに上位の制御装置(例えば数値制御装置やロボット制御装置)などがある。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS101へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS104へ進む。
【0060】
ステップS104において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0061】
ステップS105において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。ステップS105において異常発生が検出された場合はステップS110へ進む。一方、ステップS105において異常発生が検出されなかった場合はステップS106へ進む。
【0062】
ステップS106において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。このようにステップS106におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、ブレーキ作動処理の実行中においてステップS102において異常発生が検出されずなおかつブレーキ解除準備処理の実行中においてステップS105において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0063】
ステップS105において異常発生が検出された場合は、ステップS110において、電源制御部16は、出力制御可能な電源11に対する電源制御信号CTRPとして、電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、すなわちブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0064】
ステップS111では、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0065】
ステップS102において、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、ステップS107において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。
【0066】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS111へ進む。ステップS107の前に実行されたステップS102において検出された異常は、正側開閉スイッチ21Aのショート故障であり。図4A及び図4Bを参照して説明したように、正側開閉スイッチ21Aのショート故障があってもブレーキ装置2によるブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0067】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信したと判定された場合は、ステップS108へ進む。ステップS108において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0068】
ステップS109において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。
【0069】
ステップS109において異常発生が検出された場合は、図8A及び図8B並びに図9A及び図9Bを参照して説明した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生しているので、ステップS110へ進んで電源制御部16は出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。すなわち、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。ステップS110に続くステップS111において、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0070】
ステップS109において異常発生が検出されなかった場合は、図4A及び図4Bを参照して説明した正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生のみであり、この場合はブレーキ装置2のブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0071】
以上説明したように、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0072】
続いて、本開示の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態における電源11は、電源制御部16からの電源制御信号CTRPに基づく出力制御可能な電源であるので、常に一定電圧を出力する電源に比べて故障する可能性が高い。本開示の第2の実施形態は、電源11の異常発生の検出を可能とするものである。電源の異常発生は、ブレーキ作動処理とブレーキ解除準備処理との間で実行される第1の電源検査処理、またはブレーキ解除処理とブレーキ作動処理との間で実行される第2の電源検査処理にて検出可能である。
【0073】
図11は、本開示の第2の実施形態による第1の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。また、図12は、本開示の第2の実施形態による第1の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。説明を簡明なものにするために、図11及び図12においては、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除準備処理の実行中に検出され得る正側開閉スイッチ21A及び/または負側開閉スイッチ21Bのショート故障などの異常発生はないものとする。また、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図11及び図12においては「ブレーキ信号」と表記している。
【0074】
第1の電源検査処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除準備処理に移行する際の当該ブレーキ解除準備処理を実行する前に実行される。第1の電源検査処理において、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理のときと同様に正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。
【0075】
図11に示すように、電源11が正常であれば、第1の電源検査処理期間中は、電源11は、電源制御部16から受信した出力オフ信号に応答して、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。このため、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子の出力電圧(図1に示す例では0V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Highとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0076】
上述した電源11が正常である場合の第1の電源検査処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、電源11についての異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0077】
電源11に「出力オフ信号に応答せず電圧を出力し続ける」といった故障が発生すると、図12に示すように、電源11は、電源制御部16から出力オフ信号を受信したとしても、直流電圧(例えば24V)を出力し続ける。このため、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0078】
このように、電源11が正常であれば第1の電源検査処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBはともにHighであるが、電源11に異常があると第1の電源検査処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBはともにLowとなる。よって、異常検出部15は、第1の電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。図1に示す例では、異常検出部15は、第1の電源検査処理期間中において、状態検出信号FBA及びFBBはともにHighであれば電源11の異常発生はないと判定し、状態検出信号FBA及びFBBはともにLowであれば電源11の異常発生があるいと判定する。異常検出部15は、電源11の異常発生を検出した場合は、アラーム信号を出力する。異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、例えば「電源の異常発生」を作業者に通知する表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、モータ駆動装置100に付属のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置などがある。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えばLEDやランプなどの発光機器(図示せず)に送られ、発光機器はアラーム信号受信時に発光することで、作業者に「異常発生」を通知する。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム信号受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に「電源の異常発生」を通知する。これにより、作業者は、電源の異常発生を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、例えば、電源を交換するといった対応をとることも容易となる。また、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、モータ駆動装置100の緊急停止処理に用いられてもよい。
【0079】
図13は、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除する場合の動作フローを示すフローチャートである。
【0080】
ブレーキ作動処理、第1の電源検査処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。
【0081】
ステップS101において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。また、電源制御部16は、電源11に対して出力オン信号を出力する。
【0082】
ステップS102において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)の有無を検出する。ステップS102において異常発生が検出された場合はステップS107へ進む。一方、ステップS102において異常発生が検出されなかった場合はステップS103へ進む。
【0083】
ステップS103において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS101へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS112へ進む。
【0084】
ステップS112において、第1の電源検査処理を実行する。第1の電源検査処理では、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。異常検出部15は、第1の電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号の内容BSA及びBSBと状態検出信号FBA及びFBBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。
【0085】
ステップS112において電源11の異常発生が検出された場合はステップS113へ進む。ステップS113において、異常検出部15は、作業者に電源11の異常発生を通知するために、アラーム信号を出力する。その後、処理を終了する。
【0086】
ステップS112において電源11の異常発生が検出されなかった場合はステップS104へ進む。
【0087】
ステップS104において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0088】
ステップS105において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。ステップS105において異常発生が検出された場合はステップS110へ進む。一方、ステップS105において異常発生が検出されなかった場合はステップS106へ進む。
【0089】
ステップS106において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。このようにステップS106におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、ブレーキ作動処理の実行中においてステップS102において異常発生が検出されずなおかつブレーキ解除準備処理の実行中においてステップS105において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0090】
ステップS105において異常発生が検出された場合は、ステップS110において、電源制御部16は、出力制御可能な電源11に対する電源制御信号CTRPとして、電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、すなわちブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0091】
ステップS111では、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0092】
ステップS102において、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、ステップS107において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。
【0093】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS111へ進む。ステップS107の前に実行されたステップS102において検出された異常は、正側開閉スイッチ21Aのショート故障であり。図4A及び図Bを参照して説明したように、正側開閉スイッチ21Aのショート故障があってもブレーキ装置2によるブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0094】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信したと判定された場合は、ステップS114へ進む。
【0095】
ステップS114において、第1の電源検査処理を実行する。第1の電源検査処理では、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。異常検出部15は、第1の電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。
【0096】
ステップS114において電源11の異常発生が検出された場合はステップS111へ進む。ステップS111において、異常検出部15は、作業者に電源11の異常発生を通知するために、アラーム信号を出力する。その後処理を終了する。
【0097】
ステップS114において電源11の異常発生が検出されなかった場合はステップS108へ進む。ステップS108において、ブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0098】
ステップS109において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。
【0099】
ステップS109において異常発生が検出された場合は、図8A及び図8B並びに図9A及び図9Bを参照して説明した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生しているので、ステップS110へ進んで電源制御部16は出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。ステップS110に続くステップS111において、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0100】
ステップS109において異常発生が検出されなかった場合は、図4A及び図4Bを参照して説明した正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生のみであり、この場合はブレーキ装置2のブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0101】
なお、本開示の第2の実施形態による第1の電源検査機能を有するブレーキ制御装置1においては、ブレーキ作動処理からブレーキ解除準備処理を経てブレーキ解除処理へ移行する際の動作フローとして、図13を参照して説明した動作フロー以外のものを採用してもよい。例えば、異常検出部15によるブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、異常検出部15によるブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、及び電源11の異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合は、当該異常が検出されない手段(すなわち、正側開閉スイッチ21A、負側開閉スイッチ21B、または出力制御可能な電源11のうちのいずれか)によって、ブレーキ装置2のブレーキを作動させることができるので安全が確保されている。したがって、異常検出部15によるブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、異常検出部15によるブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、及び電源11の異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合は、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行するといった動作フローにてブレーキ制御装置1を動作させてもよい。
【0102】
続いて、第2の電源検査処理について説明する。
【0103】
図14は、本開示の第2の実施形態による第2の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。また、図15は、本開示の第2の実施形態による第2の電源検査機能を有するブレーキ制御装置における電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する図である。説明を簡明なものにするために、図14及び図15においては、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除準備処理の実行中に検出され得る正側開閉スイッチ21A及び/または負側開閉スイッチ21Bのショート故障などの異常発生はないものとする。また、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図14及び図15においては「ブレーキ信号」と表記している。
【0104】
第2の電源検査処理は、ブレーキ解除処理からブレーキ作動処理に移行する際の当該ブレーキ作動処理を実行する前に実行される。第2の電源検査処理において、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理のときと同様に正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。
【0105】
図14に示すように、電源11が正常であれば、第2の電源検査処理期間中は、電源11は、電源制御部16から受信した出力オフ信号に応答して、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。このため、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子の出力電圧(図1に示す例では0V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Highとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0106】
上述した電源11が正常である場合の第2の電源検査処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、電源11についての異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0107】
電源11に「出力オフ信号に応答せず電圧を出力し続ける」といった故障が発生すると、図15に示すように、電源11は、電源制御部16から出力オフ信号を受信したとしても、直流電圧(例えば24V)を出力し続ける。このため、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0108】
このように、電源11が正常であれば第2の電源検査処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBはともにHighであるが、電源11に異常があると第2の電源検査処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBはともにLowとなる。よって、異常検出部15は、第2の電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。図15に示す例では、異常検出部15は、第2の電源検査処理期間中において、状態検出信号FBA及びFBBはともにHighであれば電源11の異常発生はないと判定し、状態検出信号FBA及びFBBはともにLowであれば電源11の異常発生があるいと判定する。異常検出部15は、電源11の異常発生を検出した場合は、アラーム信号を出力する。異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、例えば「電源の異常発生」を作業者に通知する表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、モータ駆動装置100に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置などがある。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えばLEDやランプなどの発光機器(図示せず)に送られ、発光機器はアラーム信号受信時に発光することで、作業者に「異常発生」を通知する。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム信号受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に「電源の異常発生」を通知する。これにより、作業者は、電源の異常発生を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、例えば、電源を交換するといった対応をとることも容易となる。また、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、モータ駆動装置100の緊急停止処理に用いられてもよい。
【0109】
図16は、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して解除されているブレーキ装置によるブレーキを作動させる場合の動作フローを示すフローチャートである。
【0110】
ブレーキ解除処理、第2の電源検査処理及びブレーキ作動処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。
【0111】
ステップS201において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。また、電源制御部16は、電源11に対して出力オン信号を出力する。
【0112】
ステップS202において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ作動指令を受信したか否かを判定する。ステップS202においてブレーキ作動指令を受信していないと判定された場合は、ステップS201へ戻り、ブレーキ解除処理の実行を継続する。ステップS202においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS203へ進む。
【0113】
ステップS203において、第2の電源検査処理を実行する。第2の電源検査処理では、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。異常検出部15は、第2の電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。
【0114】
ステップS203において電源11の異常発生が検出された場合はステップS204へ進み、ステップS203において電源11の異常発生が検出されなかった場合はステップS205へ進む。
【0115】
ステップS204において、異常検出部15は、作業者に電源11の異常発生を通知するために、アラーム信号を出力する。ステップS204の実行後は、ブレーキを作動させて安全を確保するため、ステップS205へ進む。
【0116】
ステップS205において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0117】
以上説明したように、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、電源11の異常発生を検知することができる。また、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。なお、第1の電源検査処理及び第2の電源検査処理は、組み合わせて実行してもよく、あるいはいずれか一方のみの単独で実行してもよい。すなわち、「ブレーキ作動処理からブレーキ解除準備処理に移行する際は第1の電源検査処理を実行しブレーキ解除処理からブレーキ作動処理に移行する際は第2の電源検査処理を実行する」、「ブレーキ作動処理からブレーキ解除準備処理に移行する際の第1の電源検査処理のみを実行する」、「ブレーキ解除処理からブレーキ作動処理に移行する際の第2の電源検査処理のみを実行する」、のいずれの態様であってもよい。
【0118】
続いて、本開示の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、開閉部を構成する開閉スイッチを、電源の正極端子とブレーキ装置の正極端子との間の電路、または電源の負極端子とブレーキ装置の負極端子との間の電路のいずれか一方に設けたものである。
【0119】
図17は、本開示の第3及び第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。図17は後述する第4の実施形態においても適用可能である。
【0120】
第3の実施形態では、開閉部13は、電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路、または電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路のうちのいずれか一方の電路を開閉する開閉スイッチを、少なくとも1つ有する。図17に示す例では、一例として、開閉部13は、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路を開閉する開閉スイッチ22を1つ有する。図17に示す例では、一方の電路に開閉スイッチを1つ設けたが、一方の電路に2つ以上設けてもよい。例えば、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路に、直列接続された2つの開閉スイッチを設けてもよく、この場合、これら2つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSにて開閉制御される。
【0121】
また、一例として、開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチとしている。開閉スイッチ22を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。以下、開閉スイッチ22がFETから構成される場合について説明する。なお、開閉スイッチ22をサイリスタ及びGTOで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「アノード」に、「ソース」は「カソード」にそれぞれ読み替えられて本実施形態が適用される。また開閉スイッチ22をトランジスタで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「コレクタ」に、「ソース」は「エミッタ」にそれぞれ読み替えられて本実施形態が適用される。
【0122】
ブレーキ制御部12は、開閉部13内の開閉スイッチ22を開閉するためのブレーキ制御信号BSを出力する。ブレーキ制御部12から出力されるブレーキ制御信号BSは、開閉スイッチ22及び異常検出部15へ送られる。本開示の第3の実施形態においてブレーキ制御部12が実行する制御処理内容は、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の2つの処理に分けられ、各処理に応じたブレーキ制御信号BSが開閉スイッチ22に対して送られる。ブレーキ制御装置1におけるブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の詳細については後述する。
【0123】
また、状態検出部14は、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBを生成するために、例えば、フォトカプラ41C、分圧抵抗R1C及びR2C、並びにプルアップ抵抗R3Cを有する。分圧抵抗R1Cの一端は、ブレーキ装置2の負極端子と開閉スイッチ22のドレインとを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Cの他の一端は、分圧抵抗R2Cの一端に接続されている。分圧抵抗R2Cの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Cに並列にフォトカプラ41C内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41C内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Cが接続されており、フォトカプラ41C内の受光素子の他の一端は接地されている。なお、状態検出部14は、図17に示す例ではフォトカプラ及び各種抵抗にて構成したが、High状態とLow状態とを切り分けるための基準電圧を出力する電源(電源に代えて、当該基準電圧を抵抗分割などの方法で生成してもよい)と、当該基準電圧と分圧抵抗R2Cにかかる電圧とを比較し当該比較の結果に基づきHigh信号またはLow信号を出力するコンパレータと、にて構成してもよい。
【0124】
異常検出部15は、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15による異常検出処理の詳細については後述する。また、異常検出部15は、異常発生を検出した場合にアラーム信号を出力する機能を有する。
【0125】
異常検出部15により検出される異常には、開閉スイッチ22のショート故障、開閉スイッチ22とブレーキ装置2との間の構成するケーブルと外部回路とのショート、及び状態検出部14の故障などが含まれる。例えば、開閉スイッチ22の駆動回路の故障により開閉スイッチ22が受信した開指令に応答せず開閉スイッチ22が閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「開閉スイッチ22のショート故障」とみなすことができる。
【0126】
電源11、電源制御部16、ブレーキ装置2、及びモータ3の詳細は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0127】
続いて、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1におけるブレーキ制御処理及び状態検出処理について説明する。
【0128】
図18Aは、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図18Bは、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図18A及び図18Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0129】
本開示の第3の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の2つの処理に分けられる。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが作動している状態は、ブレーキ作動処理を実行することで実現される。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが解除されている状態は、ブレーキ解除処理を実行することで実現される。モータ3に対して作動しているブレーキを解除する際は、ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。モータ3に対するブレーキが解除されている状態からモータ3に対してブレーキを作動させる際は、ブレーキ解除処理を終了してブレーキ作動処理を実行する。以下の説明では、一例として、開閉スイッチ22をノーマリーオープンスイッチとしている。
【0130】
ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてLow信号を出力する。開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので電源制御部16は電源11に対して出力オン信号を出力し、よって、電源11からは直流の電圧(図17に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ作動処理により、開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子から流れ出た電流は、ブレーキ装置2並びに分圧抵抗R1C及びR2Cを流れる。よって、フォトカプラ41C内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Cの出力側はLowとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Lowとなる。
【0131】
ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてHigh信号を出力する。開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので電源制御部16は電源11に対して出力オン信号を出力し、よって、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ解除処理により、開閉スイッチ22は閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0132】
上述した開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0133】
図19Aは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図19Bは、電源の出力制御がなく一定の電圧が出力される場合のブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図19A及び図19Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0134】
図19A及び図19Bでは、電源11が出力制御可能電源(すなわち可変出力を有する電源)ではなく、一定の大きさ(例えば24V)の電圧の出力する電源であると仮定した場合において、開閉スイッチ22がショート故障したときの各信号及びブレーキ状態を示している。開閉スイッチ22がショート故障している場合、ブレーキ作動処理期間中、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとして開指令であるLow信号を出力しているにもかかわらず、開閉スイッチ22がショート故障しているので、開閉スイッチ22は閉成された状態になってしまう。したがって、電源11の正極端子からブレーキ装置2及び開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、電源11の電圧がブレーキ装置2に印加され、モータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまう。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中に、開閉スイッチ22のショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまい、危険である。ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22のドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。このように、ブレーキ作動処理期間中は、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBはLowであるが、開閉スイッチ22がショート故障すると、状態検出信号FBはHighになる。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowでありなおかつ状態検出信号FBがLowである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowでありなおかつ状態検出信号FBがHighである場合は異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)があると判定する。
【0135】
図20Aは、本開示の第3の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示す表を示す。図20Bは、本開示の第3の実施形態による出力制御可能な電源を有するブレーキ制御装置における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、各信号及びブレーキ状態を示すタイミングチャートである。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図20A及び図20Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0136】
図19A及び図19Bを参照して説明したように、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowでありなおかつ状態検出信号FBがHighである場合は異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)があると判定する。ブレーキ作動処理期間中に、開閉スイッチ22のショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になっているので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。図20Aに示すように、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、異常検出部15が当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、電源制御部16は、出力制御可能な電源11に対する電源制御信号CTRPとして、電源11が電圧を出力しないよう制御する出力オフ信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、すなわちブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(開閉スイッチ22のショート故障時)にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0137】
以上説明したように、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0138】
続いて、本開示の第4の実施形態について説明する。第3の実施形態における電源11は、電源制御部16からの電源制御信号CTRPに基づく出力制御可能な電源であるので、常に一定電圧を出力する電源に比べて故障する可能性が高い。本開示の第4の実施形態は、電源11の異常発生の検出を可能とするものである。電源の異常発生は、ブレーキ作動処理とブレーキ解除処理との間で実行される電源検査処理にて検出可能である。
【0139】
図21Aは、本開示の第4の実施形態による電源検査機能を有するブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図21Bは、本開示の第4の実施形態による電源検査機能を有するブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。説明を簡明なものにするために、図21A及び図21Bにおいては、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の実行中に検出され得る開閉スイッチ22のショート故障などの異常発生はないものとする。また、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図21A及び図21Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0140】
電源検査処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際の当該ブレーキ作動処理を実行する前に実行される。電源検査処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12はブレーキ作動処理のときと同様に開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてLow信号を出力する。
【0141】
図21Aに示すように、電源11が正常であれば、電源検査処理期間中は、電源11は、電源制御部16から受信した出力オフ信号に応答して、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。このため、電源11の正極端子からブレーキ装置2及び開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子及び負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0142】
上述した電源11が正常である場合の第電源検査処理における状態検出信号FBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、電源11についての異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0143】
電源11に「出力オフ信号に応答せず電圧を出力し続ける」といった故障が発生すると、図21Bに示すように、電源11は、電源制御部16から出力オフ信号を受信したとしても、直流電圧(例えば24V)を出力し続ける。このため、電源11の正極端子からブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。また、ブレーキ装置2の負極端子から電源11のの負極端子に至る電路は、開放状態にある開閉スイッチ22により遮断されているので、電源11の正極端子から流れ出た電流は、ブレーキ装置2並びに分圧抵抗R1C及びR2Cを流れる。よって、フォトカプラ41C内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Cの出力側はLowとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Lowとなる。
【0144】
このように、電源11が正常であれば電源検査処理期間中の状態検出信号FBはHighであるが、電源11に異常があると電源検査処理期間中の状態検出信号FBはLowとなる。よって、異常検出部15は、電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。図17に示す例では、異常検出部15は、電源検査処理期間中において、状態検出信号FBがHighであれば電源11の異常発生はないと判定し、状態検出信号FBがLowであれば電源11の異常発生があるいと判定する。異常検出部15は、電源11の異常発生を検出した場合は、アラーム信号を出力する。異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、例えば「電源の異常発生」を作業者に通知する表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、モータ駆動装置100に付属のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置などがある。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えばLEDやランプなどの発光機器(図示せず)に送られ、発光機器はアラーム信号受信時に発光することで、作業者に「電源の異常発生」を通知する。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム信号受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に「電源の異常発生」を通知する。これにより、作業者は、電源の異常発生を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、例えば、電源を交換するといった対応をとることも容易となる。また、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、モータ駆動装置100の緊急停止処理に用いられてもよい。
【0145】
図22は、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除する場合の動作フローを示すフローチャートである。
【0146】
ブレーキ作動処理、電源検査処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBを出力する。
【0147】
ステップS301において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。また、電源制御部16は、電源11に対して出力オン信号を出力する。
【0148】
ステップS302において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。ステップS302においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS301へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS302においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS303へ進む。
【0149】
ステップS303において、電源検査処理を実行する。電源検査処理では、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、かつブレーキ制御部12は開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。異常検出部15は、電源検査処理期間中において、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容と電源制御信号CTRPの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。
【0150】
ステップS303において電源11の異常発生が検出された場合はステップS304へ進む。ステップS304において、異常検出部15は、作業者に電源11の異常発生を通知するために、アラーム信号を出力する。その後、処理を終了する。すなわちこの場合、ブレーキ制御部12は、ブレーキ作動処理の実行を継続し、ブレーキ解除処理を実行しない。
【0151】
ステップS303において電源11の異常発生が検出されなかった場合はステップS305へ進む。ステップS305において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。このようにステップS305におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、ブレーキ作動処理の実行中においてステップS302において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0152】
続いて、本開示の第5の実施形態について説明する。本開示の第5の実施形態は、第2の実施形態において、異常発生時にブレーキ装置2の入力端子間を短絡するブレーキロックスイッチ及びこれを備えるブレーキロックスイッチ制御部をさらに備えたものである。
【0153】
図23は、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0154】
第5の実施形態によるブレーキ制御装置1は、図1に示した第2の実施形態によるブレーキ制御装置1に、ブレーキロックスイッチ17及びブレーキロックスイッチ制御部18をさらに備えるものである。
【0155】
ブレーキロックスイッチ17は、ブレーキ装置2に対して並列接続されるようにブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)に接続され、ブレーキロックスイッチ制御部18から受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉する。ブレーキロックスイッチ17は、半導体スイッチング素子にて構成してもよく、あるいはリレーなどのような機械式スイッチにて構成してもよい。ブレーキロックスイッチ17を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。図23に示す例では、一例として、ブレーキロックスイッチ17はノーマリーオフのリレーとしている。
【0156】
ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号として、異常検出部15により異常発生が検出された場合はブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力し、異常検出部15により異常発生が検出されない場合はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御する開放信号を出力する。
【0157】
ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキ制御装置1内に設けられる演算処理装置(プロセッサ)内に設けられる。演算処理装置が有するブレーキロックスイッチ制御部18は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。例えば、ブレーキロックスイッチ制御部18をコンピュータプログラム形式で構築する場合は、演算処理装置をこのコンピュータプログラムに従って動作させることで、ブレーキロックスイッチ制御部18の機能を実現することができる。ブレーキロックスイッチ制御部18の処理を実行するためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。またあるいは、ブレーキロックスイッチ制御部18を、当該機能を実現するコンピュータプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。
【0158】
図24A図27は、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図である。図24A図27においては、図面を簡明なものにするために「ブレーキ制御信号」については「ブレーキ信号」と表記し、「電源オン制御処理」と表記している。以下の説明では、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをノーマリーオープンスイッチとしている。
【0159】
図24Aは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図24Bは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、電源異常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図25Aは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、負側開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図25Bは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図26Aは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第1の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図26Bは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第2の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図27は、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチのショート故障時に第3の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
【0160】
本開示の第5の実施形態におけるブレーキ制御装置1における制御処理内容は、ブレーキ作動処理、第1のブレーキ解除準備処理、電源オン制御処理、第2のブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の5つの処理に分けられ、各処理に応じたブレーキ制御信号、電源制御信号及びブレーキロック制御信号が生成される。状態検出部14は、ブレーキ作動処理、第1のブレーキ解除準備処理、電源オン制御処理、第2のブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理のそれぞれの実行中において、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを生成する。
【0161】
まず、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合について図24Aを参照して説明する。
【0162】
ブレーキ作動処理では、電源制御部16は出力オフ信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。出力オフ信号を受信した電源11は、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。また、ブレーキ作動処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにHighとなる。
【0163】
第1のブレーキ解除準備処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際の当該ブレーキ作動処理の後に実行される。第1のブレーキ解除準備処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。出力オフ信号を受信した電源11は、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。また、負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、第1のブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにHighとなる。このように、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBは、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBと同じになる。
【0164】
電源オン制御処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際の第1のブレーキ解除準備処理の後に実行される。電源オン制御処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オン信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。出力オン信号を受信した電源11からは直流の電圧(図23に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。正側開閉スイッチ21Aは閉成されているものの負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図23に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0165】
第2のブレーキ解除準備処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際の電源オン制御の後に実行される。第2のブレーキ解除準備処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オン信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。出力オン信号を受信した電源11は、電源11からは直流の電圧(図23に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにHighとなる。
【0166】
ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際の第2のブレーキ解除準備処理の後に、ブレーキ解除処理が実行される。ブレーキ解除処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オン信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてHigh信号を出力する。ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、電源11からは直流の電圧(図23に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ解除処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図23に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0167】
上述した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器並びに電源11に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理、第1のブレーキ解除準備処理、電源オン制御処理、第2のブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、後述する異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0168】
続いて、電源11に故障が発生した場合について図24Bを参照して説明する。
【0169】
電源11に「出力オフ信号に応答せず電圧を出力し続ける」といった故障が発生すると、電源11は、ブレーキ作動処理期間中及び第1のブレーキ解除準備処理期間中に電源制御部16から出力オフ信号を受信したとしても、直流電圧(例えば24V)を出力し続ける。電源11にこのような故障が発生すると、状態検出部14から出力される状態検出信号FBA及びFBBは、ブレーキ作動処理期間中は正常時から変化がないが、第1のブレーキ解除準備処理期間中は正常時とは異なる信号状態が生じる。すなわち、第1のブレーキ解除準備処理期間中は、正側開閉スイッチ21Aは閉成され負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0170】
このように電源11に「出力オフ信号に応答せず電圧を出力し続ける」といった故障が発生した場合は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBは、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBとは異なったものとなる。異常検出部15は、第1のブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、電源11の異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBがブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBとは異なったものとなった場合(第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBがともにLowになった場合)、電源11の故障が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。異常検出部15は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBがブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBと同じ場合(第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBA及びFBBがともにHighになった場合)、電源11の故障が発生していないと判定する。なお、異常検出部15が第1のブレーキ解除準備処理期間中に電源11の故障を検出したとしても、なお、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は、負側開閉スイッチ21Bが開放することで遮断されているので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0171】
続いて、負側開閉スイッチ21Bにショート故障が発生した場合について図25Aを参照して説明する。
【0172】
負側開閉スイッチ21Bにショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。すなわち、電源オン制御処理期間中は、正常時であれば正側開閉スイッチ21Aは閉成され負側開閉スイッチ21Bは開放されるが、負側開閉スイッチ21Bにショート故障が発生すると、負側開閉スイッチ21Bは閉成されたのと同じ状態になる。電源オン制御処理期間中は、出力オン信号を受信した電源11は、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。負側開閉スイッチ21Bのショート故障により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方が閉成された状態になるので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0173】
このように、負側開閉スイッチ21Bにショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、負側開閉スイッチ21Bのショート故障の発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において、状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は負側開閉スイッチ21Bのショート故障の発生はないと判定し、状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)があると判定する。異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する。
【0174】
続いて、正側開閉スイッチ21Aにショート故障が発生した場合について図25Bを参照して説明する。
【0175】
正側開閉スイッチ21Aにショート故障が発生した場合は、第2のブレーキ解除準備処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBA及びFBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。すなわち、第2のブレーキ解除準備処理期間中は正常時であれば正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放されるが、正側開閉スイッチ21Aにショート故障が発生すると、正側開閉スイッチ21Aは閉成されたのと同じ状態になる。第2のブレーキ解除準備処理期間中は、出力オン信号を受信した電源11は、電源11からは直流の電圧(図1に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。正側開閉スイッチ21Aのショート故障により、正側開閉スイッチ21Aが閉成された状態になるので、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路が形成される。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまで電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はともにLowとなる。したがって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0176】
このように正側開閉スイッチ21Aにショート故障が発生した場合は、第2のブレーキ解除準備処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBA及びFBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。異常検出部15は、第2のブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、第2のブレーキ解除準備処理の実行中において、状態検出信号FBA及びFBBがともにHighである場合は正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生はないと判定し、状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)があると判定する。異常検出部15は、第2のブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する。なお、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は、負側開閉スイッチ21Bが開放することで遮断されているので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0177】
続いて、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bのショート故障時に第1の保護動作処理を行う場合について図26Aを参照して説明する。
【0178】
正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中及び第2のブレーキ解除準備処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBA及びFBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。すなわち、正常時であれば、電源オン制御処理期間中は正側開閉スイッチ21Aは閉成され負側開閉スイッチ21Bは開放され、第2のブレーキ解除準備処理期間中は正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放されるが、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生すると、負側開閉スイッチ21Bは閉成されたのと同じ状態になる。電源オン制御処理期間中は、出力オン信号を受信した電源11は、電源11からは直流の電圧(図23に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方が閉成された状態になるので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0179】
このように正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中及び第2のブレーキ解除準備処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBA及びFBBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。異常検出部15は、電源オン制御処理期間中及び第2のブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、電源オン制御処理及び第2のブレーキ解除準備処理の実行中において、状態検出信号FBAがともにLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障)があると判定し、アラーム信号を出力する。
【0180】
電源オン制御処理期間中及び第2のブレーキ解除準備処理期間中それぞれにおいて負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、モータ3に対するブレーキが解除されて危険な状態になり得る。そこで、電源オン制御処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。同様に、第2のブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。このように電源オン制御処理及び第2のブレーキ解除準備処理を実行する時間期間をそれぞれ設定することで、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生したとしても、モータ3に対するブレーキ装置2のブレーキが解除されてしまうことを回避しつつ当該ショート故障を検出することができる。
【0181】
また、上述のように、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生した場合は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、電源11の電圧がブレーキ装置2に印加されて、モータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまい、危険である。そこで、異常検出部15が正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生したと判定した場合は、第2のブレーキ解除準備処理の後に、第1の保護動作処理を実行する。
【0182】
第1の保護動作処理では、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、ブレーキ制御部12は正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBであるLow信号を出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、なおかつブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0183】
上述の第1の保護動作処理の変形例である第2の保護動作処理では、図26Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18がブレーキロックスイッチ17を閉成するブレーキロック制御信号を出力するが、電源制御部16が電源11に対して出力する電源制御信号CTRPは出力オン信号のままである。これにより、電源11は24Vの直流電圧を出力するが、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0184】
上述の第1の保護動作処理の変形例である第3の保護動作処理では、図27に示すように、電源制御部16は、電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力するが、ブレーキロックスイッチ制御部18がブレーキロックスイッチ17に対して出力するブレーキロック制御信号は開放信号のままである。これにより、ブレーキロックスイッチ17は開放のままなのでブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)は短絡されないが、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0185】
続いて、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置1において、外部電源を有する機器がブレーキ装置2のブレーキケーブルにショートした場合の保護動作処理について説明する。
【0186】
図28は、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図である。図29Aは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図28に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図29Bは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図28に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図29A及び図29Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0187】
図28に示すように、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の正極側が接触し、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の負極側が接触するようなショートが発生することがある。外部電源6は電源11とは異なるものである。この場合、ブレーキ制御装置1の動作状態にかかわらず、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)となり、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは0Vとなる。
【0188】
図29Aに示すように保護動作が行われない場合は、ブレーキ作動処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ作動処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ作動処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図29Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0189】
図29Aに示すように保護動作が行われない場合は、第1のブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、第1のブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が第1のブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図29Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0190】
図29Aに示すように保護動作が行われない場合は、電源オン制御処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは0Vであるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、電源オン制御処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、電源オン制御処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBBがHighになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が電源オン制御処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図29Bに示すように、電源制御部16は、電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0191】
図29Aに示すように保護動作が行われない場合は、第2のブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子とを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、第2のブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、第2のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が第2のブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図29Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0192】
第1のブレーキ解除準備処理期間中、電源オン制御処理期間中及び第2のブレーキ解除準備処理期間中それぞれにおいて上述のような外部電源6とのケーブルショートが発生すると、モータ3に対するブレーキが解除されて危険な状態になり得る。そこで、ブレーキ指令に対する第1のブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。同様に、電源オン制御処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。同様に、第2のブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定しておく。このように第1のブレーキ解除準備処理、電源オン制御処理及び第2のブレーキ解除準備処理を実行する時間期間をそれぞれ設定することで、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生したとしても、モータ3に対するブレーキ装置2のブレーキが解除されてしまうことを回避しつつ状態で当該ショート故障を検出することができる。
【0193】
図30は、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図である。図31Aは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図30に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図31Bは、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図30に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図31A及び図31Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0194】
図30に示すように、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の負極側が接触し、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の正極側が接触するようなショートが発生することがある。外部電源6は電源11とは異なるものである。この場合、ブレーキ制御装置1の動作状態にかかわらず、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは0Vとなり、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)となる。また、外部電源6が電源11と同一であるとみなせる場合は、すでに説明した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障した場合における保護動作を実行すればよい。
【0195】
図31Aに示すように保護動作が行われない場合は、ブレーキ作動処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Bの出力側はLowとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ作動処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBBがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ作動処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図31Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0196】
図31Aに示すように保護動作が行われない場合は、第1のブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、第1のブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、第1のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が第1のブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図31Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0197】
図31Aに示すように保護動作が行われない場合は、電源オン制御処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子とを結ぶブレーキケーブルは0Vであるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れないのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Aの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Highとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、電源オン制御処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、電源オン制御処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがHighになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が電源オン制御処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図31Bに示すように、電源制御部16は、電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0198】
図31Aに示すように保護動作が行われない場合は、第2のブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位(例えば12V)であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Bの出力側はLowとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、第2のブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、第2のブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBBがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15が第2のブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図31Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0199】
以上説明したように、本開示の第5の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0200】
続いて、本開示の第6の実施形態について説明する。本開示の第6の実施形態は、第3の実施形態において、異常発生時にブレーキ装置2の入力端子間を短絡するブレーキロックスイッチ及びこれを備えるブレーキロックスイッチ制御部をさらに備えたものである。
【0201】
図32は、本開示の第6の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0202】
第6の実施形態によるブレーキ制御装置1は、図17に示した第3の実施形態によるブレーキ制御装置1に、ブレーキロックスイッチ17及びブレーキロックスイッチ制御部18をさらに備えるものである。
【0203】
ブレーキロックスイッチ17は、ブレーキ装置2に対して並列接続されるようにブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)に接続され、受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉する。図32に示す例では、ブレーキロックスイッチ17を1つ設けたが、直列接続された2つ以上のブレーキロックスイッチを設けてもよく、この場合、これらブレーキロックスイッチは同一のブレーキロックスイッチ制御信号にて開閉制御される。ブレーキロックスイッチ17は、半導体スイッチング素子にて構成してもよく、あるいは機械式スイッチにて構成してもよい。ブレーキロックスイッチ17を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。図32に示す例では、一例として、ブレーキロックスイッチ17はノーマリーオフの半導体スイッチング素子としている。
【0204】
ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号として、異常検出部15により異常発生が検出された場合はブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力し、異常検出部15により異常発生が検出されない場合はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御する開放信号を出力する。
【0205】
ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキ制御装置1内に設けられる演算処理装置(プロセッサ)内に設けられる。演算処理装置が有するブレーキロックスイッチ制御部18は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。例えば、ブレーキロックスイッチ制御部18をコンピュータプログラム形式で構築する場合は、演算処理装置をこのコンピュータプログラムに従って動作させることで、ブレーキロックスイッチ制御部18の機能を実現することができる。ブレーキロックスイッチ制御部18の処理を実行するためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。またあるいは、ブレーキロックスイッチ制御部18を、当該機能を実現するコンピュータプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。
【0206】
図33A図33B図34A図34B及び図34Cは、本開示の第6の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図である。図33A図33B図34A図34B及び図34Cにおいては、図面を簡明なものにするために「ブレーキ制御信号」については「ブレーキ信号」と表記し、「電源オン制御処理」と表記している。以下の説明では、一例として、開閉スイッチ22をノーマリーオープンスイッチとしている。
【0207】
図33Aは、本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、Aは正常時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図33Bは、本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を例示する。図34Aは、本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第1の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図34Bは、本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第2の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図34Cは、本開示の第の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、開閉スイッチのショート故障時に第3の保護動作処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
【0208】
まず、本開示の第6の実施形態によるブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合について図33Aを参照して説明する。
【0209】
ブレーキ作動処理では、電源制御部16は出力オフ信号を出力し、ブレーキ制御部12は開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてLow信号を出力する。出力オフ信号を受信した電源11は、直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなる。また、ブレーキ作動処理により、開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0210】
電源オン制御処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際のブレーキ作動処理とブレーキ解除処理との間に実行される。電源オン制御処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オン信号を出力し、ブレーキ制御部12は開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてLow信号を出力する。出力オン信号を受信した電源11からは直流の電圧(図32に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て開閉スイッチ22のドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図32に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れるのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Cの出力側はLowとなる。よって、開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Lowとなる。
【0211】
ブレーキ解除処理は、電源オン制御処理の後に実行される。ブレーキ解除処理期間中は、電源制御部16は電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オン信号を出力し、ブレーキ制御部12は開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18はブレーキロックスイッチ17を開放するよう制御するブレーキロック制御信号を出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてHigh信号を出力する。ブレーキ制御装置1内の各機器に何ら異常がない場合は、電源11からは直流の電圧(図32に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。ブレーキ解除処理により、開閉スイッチ22は閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0212】
上述した開閉スイッチ22及びこれに関連する機器並びに電源11に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理、電源オン制御処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、後述する異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0213】
続いて、開閉スイッチ22にショート故障が発生した場合について図33Bを参照して説明する。
【0214】
開閉スイッチ22にショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。すなわち、電源オン制御処理期間中は、正常時であれば開閉スイッチ22は開放されるが、開閉スイッチ22にショート故障が発生すると、開閉スイッチ22は閉成されたのと同じ状態になる。電源オン制御処理期間中は、出力オン信号を受信した電源11は、電源11からは直流の電圧(図32に示す例では24Vの直流電圧)が出力される。開閉スイッチ22のショート故障により、開閉スイッチ22が閉成された状態になるので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0215】
このように、開閉スイッチ22にショート故障が発生した場合は、電源オン制御処理期間中に状態検出部14から出力される状態検出信号FBが、正常時における信号状態とは異なったものとなる。異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、開閉スイッチ22のショート故障の発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において、状態検出信号FBがLowである場合は開閉スイッチ22のショート故障の発生はないと判定し、状態検出信号FBがHighである場合は異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)があると判定する。異常検出部15は、電源オン制御処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する。
【0216】
続いて、開閉スイッチ22のショート故障時に第1の保護動作処理を行う場合について図34Aを参照して説明する。
【0217】
異常検出部15が開閉スイッチ22のショート故障が発生したと判定した場合は、電源オン制御処理の後に、第1の保護動作処理を実行する。
【0218】
第1の保護動作処理では、電源制御部16は、電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力し、ブレーキロックスイッチ制御部18は、ブレーキロックスイッチ17に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ17を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなり、なおかつブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0219】
上述の第1の保護動作処理の変形例である第2の保護動作処理では、図34Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部18がブレーキロックスイッチ17を閉成するブレーキロック制御信号を出力するが、電源制御部16が電源11に対して出力する電源制御信号CTRPは出力オン信号のままである。これにより、電源11は24Vの直流電圧を出力するが、ブレーキロックスイッチ17は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0220】
上述の第1の保護動作処理の変形例である第3の保護動作処理では、図34Cに示すように、電源制御部16は、電源11に対する電源制御信号CTRPとして出力オフ信号を出力するが、ブレーキロックスイッチ制御部18がブレーキロックスイッチ17に対して出力するブレーキロック制御信号は開放信号のままである。これにより、ブレーキロックスイッチ17は開放のままなのでブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)は短絡されないが、電源11は直流電圧を出力せずすなわち電源11の直流出力電圧は0Vとなるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0221】
以上説明したように、本開示の第6の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0222】
なお、上述の第5及び第6の実施形態では、ブレーキロックスイッチ17をノーマリーオープンスイッチにて構成したが、この代替例として、ブレーキロックスイッチ17をノーマリークローズスイッチにて構成してもよい。ブレーキロックスイッチ17をノーマリークローズスイッチで構成することで、何らかの原因でノーマリークローズのブレーキロックスイッチ17の駆動回路の電源が消失したとしても、ブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【符号の説明】
【0223】
1 ブレーキ制御装置
2 ブレーキ装置
3 モータ
11 電源
12 ブレーキ制御部
13 開閉部
14 状態検出部
15 異常検出部
16 電源制御部
17 ブレーキロックスイッチ
18 ブレーキロックスイッチ制御部
21A 正側開閉スイッチ
21B 負側開閉スイッチ
22 開閉スイッチ
41A、41B、41C フォトカプラ
42 サージアブソーバ
100 モータ駆動装置
111 摩擦板
112 アーマチュア
113 端板
114 バネ
115 ブレーキコイル
116 コア
117 スペーサ
118 ボルト
121 シャフト
122 ハブ
R1A、R2A、R1B、R2B、R1C、R2C 分圧抵抗
R3A、R3B、R3C プルアップ抵抗
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27
図28
図29A
図29B
図30
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図34C