(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】コーティング機器及びコーティング方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20250226BHJP
【FI】
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2024550791
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 CN2022077755
(87)【国際公開番号】W WO2023159438
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524317150
【氏名又は名称】深▲せん▼市曼恩斯特科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲貴▼山
(72)【発明者】
【氏名】柴 ▲進▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲錚▼
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112871579(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング機器であって、コーティングダイヘッド及びスラリーパラメータ検出部材を含み、
前記コーティングダイヘッドは、
第1スリット及び第2スリットであって、前記第1スリットは第1スラリーの流通に適し、前記第2スリットは第2スラリーの流通に適し、角度をなして設けられる第1スリット及び第2スリットと、
第1駆動部材及び第1調整部材を含み、前記第1駆動部材の駆動端が前記第1調整部材に接続される第1調整機構と、
第2駆動部材及び第2調整部材を含み、前記第2駆動部材の駆動端が前記第2調整部材に接続される第2調整機構と、を含み、
スラリーパラメータ検出部材は、前記第1調整機構及び前記第2調整機構と通信可能に接続され、電極片のスラリー情報を検出し、
上型、中型及び下型をさらに含み、前記上型及び前記中型は前記第1スリットを画定し、前記下型及び前記中型は前記第2スリットを画定し、
前記第1調整機構は前記上型及び/又は前記中型に設けられ、前記第2調整機構は前記下型及び/又は前記中型に設けられ、
前記スラリーパラメータ検出部材は、前記第1スリットから電極片にコーティングされた前記第1スラリーのスラリー情報を検出して第1スラリーパラメータを形成し、前記第1調整機構は、前記第1スラリーパラメータに基づいて前記第1調整部材の位置を調整することで、前記第1スリット内を流れる前記第1スラリーの流量を調整し
、
前記スラリーパラメータ検出部材は、
さらに、前記第2スリットから電極片にコーティングされた前記第2スラリーのスラリー情報を検出して第2スラリーパラメータを形成し、前記第2調整機構は、前記第2スラリーパラメータに基づいて前記第2調整部材の位置を調整することで、前記第2スリット内を流れる前記第2スラリーの流量を調整
し、
前記第1スリットと前記第2スリットの交差位置で、前記上型と前記下型は共にスラリーの流出に適するダイリップを画定し、
前記下型は、変形部及び基部を含み、前記変形部は前記ダイリップに近い側に設けられ、前記基部は前記ダイリップから遠い側に設けられ、
前記第2駆動部材は前記基部に取り付けられ、前記第2調整部材は前記変形部に接続され、前記第2調整部材は、前記第2駆動部材の作用下で前記変形部を駆動して前記基部に近接し又は前記基部から離れるダイリップ調整状態を有し、ダイリップ調整状態では、前記下型の下部リップは、前記上型の上部リップに対して反り、
前記第1調整部材はT型ブロックであり、前記T型ブロックは、ロッド部及び長方形ブロック体の遮断部を含み、前記遮断部は第1スリットに近い側に設けられ、遮断部が第1スリット内に伸びる時、流通中の第1スラリーを遮断し、第1スラリーの流量を調整する、ことを特徴とするコーティング機器。
【請求項2】
第1ガスケット及び第2ガスケットをさらに含み、
前記第1ガスケットは、前記上型と前記中型との間に設けられ、前記上型及び前記中型とともに前記第1スリットを画定し、
前記第2ガスケットは、前記中型と前記下型との間に設けられ、前記中型及び前記下型とともに前記第2スリットを画定する、ことを特徴とする請求項
1に記載のコーティング機器。
【請求項3】
前記中型は、第1供給口を含み、前記第1供給口の一端が第1供給システムに接続することに適し、前記第1供給口の他端が前記第1スリットに連通し、
前記下型は、第2供給口を含み、前記第2供給口の一端が第2供給システムに接続することに適し、前記第2供給口の他端が前記第2スリットに連通する、ことを特徴とする請求項
1に記載のコーティング機器。
【請求項4】
前記スラリーパラメータ検出部材は厚さ検出部材であり、前記厚さ検出部材は前記電極片のスラリー厚さを検出し、
及び/又は
前記スラリーパラメータ検出部材は面密度検出部材であり、前記面密度検出部材は前記電極片のスラリー面密度を検出する、ことを特徴とする請求項
1に記載のコーティング機器。
【請求項5】
いずれかの調整機構は、駆動板をさらに含み、前記駆動板は駆動部材と通信可能に接続され、前記駆動板は前記スラリーパラメータ検出部材と通信可能に接続され、
前記駆動部材は、前記駆動板の駆動により、調整部材を駆動して移動させてスリット内のスラリーの流量を調整する、ことを特徴とする請求項
4に記載のコーティング機器。
【請求項6】
調整機構の少なくとも1側に設けられるバスベースをさらに含み、前記バスベースは前記駆動板と通信可能に接続される、ことを特徴とする請求項
5に記載のコーティング機器。
【請求項7】
ディスペンス弁及び第1ディスペンス通路を含むディスペンス機構をさらに含み、前記ディスペンス弁は前記上型に取り付けられ、前記第1ディスペンス通路は前記上型に設けられ、前記第1ディスペンス通路は前記第1スリット及び前記ディスペンス弁に連通し、
前記ディスペンス機構は、第2ディスペンス通路をさらに含み、前記第2ディスペンス通路は前記中型に設けられ、前記第2ディスペンス通路は前記第1スリットと前記第2スリットを連通する、ことを特徴とする請求項1に記載のコーティング機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコーティング機器のコーティング方法であって、
電極片に第2スラリーをコーティングするステップと、
スラリーパラメータ検出部材は前記電極片の第2スラリーパラメータを検出し、第1検出結果を形成するステップと、
前記第1検出結果に基づいて第2調整部材の位置を制御して電極片の第2スラリーパラメータを調整するステップと、
電極片に第2スラリーをコーティングすることを停止し、電極片に第1スラリーをコーティングするステップと、
スラリーパラメータ検出部材は前記電極片の第1スラリーパラメータを検出し、第2検出結果を形成するステップと、
前記第2検出結果に基づいて第1調整部材の位置を制御して電極片の第1スラリーパラメータを調整するステップと、を含む、ことを特徴とするコーティング方法。
【請求項9】
連続コーティング中、第1供給口(21)側の制御弁を定期的に間欠的に閉じるステッ
プをさらに含む、ことを特徴とする請求項
8に記載のコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の電極片コーティングの技術分野に関し、具体的には、コーティング機器及びコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、比容量が高く、作動電圧が高く、環境汚染がなく、サイクル寿命が長く、作動温度範囲が広い等の利点を有するため、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の電子製品及び自動車に広く適用され、科学技術及び経済の高速発展に伴い、リチウムイオン電池の性能に対する要求がますます高くなる。
【0003】
現在、リチウム電池業界の二層コーティングダイヘッドは主に手動で調整し、その調整方法はデバッグを行う人員の技能に対する要求が高く、デバッグの有効性が低く、効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本願が解決しようとする技術的問題は、従来技術における従来の二層コーティングダイヘッドが手動で調整する方式を採用することによるデバッグの有効性が悪く、効率が低いという欠陥である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本願は、コーティング機器を提供し、
コーティングダイヘッド及びスラリーパラメータ検出部材を含み、
前記コーティングダイヘッドは、
第1スリット及び第2スリットであって、前記第1スリットは第1スラリーの流通に適し、前記第2スリットは第2スラリーの流通に適し、角度をなして設けられる第1スリット及び第2スリットと、
第1駆動部材及び第1調整部材を含み、前記第1駆動部材の駆動端が前記第1調整部材に接続される第1調整機構と、
第2駆動部材及び第2調整部材を含み、前記第2駆動部材の駆動端が前記第2調整部材に接続される第2調整機構と、を含み、
スラリーパラメータ検出部材は、前記第1調整機構及び前記第2調整機構と通信可能に接続され、電極片のスラリー情報を検出し、
前記スラリーパラメータ検出部材は、前記第1スリットから電極片にコーティングされた前記第1スラリーのスラリー情報を検出して第1スラリーパラメータを形成し、前記第1調整機構は、前記第1スラリーパラメータに基づいて前記第1調整部材の位置を調整することで、前記第1スリット内を流れる前記第1スラリーの流量を調整し、及び/又は
前記スラリーパラメータ検出部材は、前記第2スリットから電極片にコーティングされた前記第2スラリーのスラリー情報を検出して第2スラリーパラメータを形成し、前記第2調整機構は、前記第2スラリーパラメータに基づいて前記第2調整部材の位置を調整することで、前記第2スリット内を流れる前記第2スラリーの流量を調整する。
【0006】
選択可能に、上記のコーティング機器は、上型、中型及び下型をさらに含み、前記上型及び前記中型は前記第1スリットを画定し、前記下型及び前記中型は前記第2スリットを画定し、
前記第1調整機構は前記上型及び/又は前記中型に設けられ、前記第2調整機構は前記下型及び/又は前記中型に設けられる。
【0007】
選択可能に、上記のコーティング機器は、第1ガスケット及び第2ガスケットをさらに含み、
前記第1ガスケットは、前記上型と前記中型との間に設けられ、前記上型及び前記中型とともに前記第1スリットを画定し、
前記第2ガスケットは、前記中型と前記下型との間に設けられ、前記中型及び前記下型とともに前記第2スリットを画定する。
【0008】
選択可能に、上記のコーティング機器では、前記第1スリットと前記第2スリットの交差位置で、前記上型と前記下型は共にスラリーの流出に適するダイリップを画定し、
前記下型は、変形部及び基部を含み、前記変形部は前記ダイリップに近い側に設けられ、前記基部は前記ダイリップから遠い側に設けられ、
前記第2駆動部材は前記基部に取り付けられ、前記第2調整部材は前記変形部に接続され、前記第2調整部材は、前記第2駆動部材の作用下で前記変形部を駆動して前記基部に近接し又は前記基部から離れるダイリップ調整状態を有し、ダイリップ調整状態では、前記下型の下部リップは、前記上型の上部リップに対して反る。
【0009】
選択可能に、上記のコーティング機器では、前記中型は、第1供給口を含み、前記第1供給口の一端が第1供給システムに接続することに適し、前記第1供給口の他端が前記第1スリットに連通し、
前記下型は、第2供給口を含み、前記第2供給口の一端が第2供給システムに接続することに適し、前記第2供給口の他端が前記第2スリットに連通する。
【0010】
選択可能に、上記のコーティング機器では、前記スラリーパラメータ検出部材は厚さ検出部材であり、前記厚さ検出部材は前記電極片のスラリー厚さを検出し、
及び/又は
前記スラリーパラメータ検出部材は面密度検出部材であり、前記面密度検出部材は前記電極片のスラリー面密度を検出する。
【0011】
選択可能に、上記のコーティング機器では、いずれかの調整機構は、駆動板をさらに含み、前記駆動板は駆動部材と通信可能に接続され、前記駆動板は前記スラリーパラメータ検出部材と通信可能に接続され、
前記駆動部材は、前記駆動板の駆動により、調整部材を駆動して移動させてスリット内のスラリーの流量を調整する。
【0012】
選択可能に、上記のコーティング機器は、調整機構の少なくとも1側に設けられるバスベースをさらに含み、前記バスベースは前記駆動板と通信可能に接続される。
【0013】
選択可能に、上記のコーティング機器は、ディスペンス弁及び第1ディスペンス通路を含むディスペンス機構をさらに含み、前記ディスペンス弁は前記上型に取り付けられ、前記第1ディスペンス通路は前記上型に設けられ、前記第1ディスペンス通路は前記第1スリット及び前記ディスペンス弁に連通し、
前記ディスペンス機構は、第2ディスペンス通路をさらに含み、前記第2ディスペンス通路は前記中型に設けられ、前記第2ディスペンス通路は前記第1スリットと前記第2スリットを連通する。
【0014】
コーティング方法であって、
電極片に第2スラリーをコーティングするステップと、
スラリーパラメータ検出部材は前記電極片の第2スラリーパラメータを検出し、第1検出結果を形成するステップと、
前記第1検出結果に基づいて第2調整部材の位置を制御して電極片の第2スラリーパラメータを調整するステップと、
電極片に第2スラリーをコーティングすることを停止し、電極片に第1スラリーをコーティングするステップと、
スラリーパラメータ検出部材は前記電極片の第1スラリーパラメータを検出し、第2検出結果を形成するステップと、
前記第2検出結果に基づいて第1調整部材の位置を制御して電極片の第1スラリーパラメータを調整するステップと、を含む。
【0015】
選択可能に、上記のコーティング方法は、
電極片に第1スラリーをコーティングすることを間欠的に停止するステップと、
電極片の第2スラリーパラメータを検出し、第3検出結果を形成するステップと、をさらに含む。
【0016】
選択可能に、上記のコーティング方法は、上記のコーティング機器を用いる。
【0017】
本願に係る技術的解決手段は、以下の利点を有する。
【0018】
本実施例に係るコーティング機器では、第1調整機構及び第2調整機構が設けられることにより、第1スリット及び第2スリット内を流れるスラリーの流量調整を実現することができ、且つスラリーパラメータ検出部材はコーティングされたスラリーのパラメータを検出することにより、スラリーパラメータを予め設定された値と比較した後、第1調整機構及び第2調整機構にフィードバックし、第1調整部材及び第2調整部材による調整を実現し、二層ダイヘッドによるコーティングの自動調整を実現し、これによりデバッグの有効性を大幅に向上させ、コーティング効率を更に向上させる。
【0019】
本願の実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願の実施例に係るコーティング機器の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係るコーティング機器におけるコーティングダイヘッドの構造概略図である。
【
図4】本願の実施例に係るコーティング機器における下型の変形実施形態の構造概略図である。
【
図5】本願の実施例に係るコーティング機器における第1駆動板、第1調整部材及び第1駆動部材の係合される場合の構造概略図である。
【
図6】本願の実施例に係るコーティング機器におけるディスペンス機構の構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係るコーティング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0022】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などで指示される方位又は位置関係は図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にしたり簡略化したりするためのものであり、係る装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示しないため、本願を限定するものではないと理解すべきである。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は単に説明の目的に使用されるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示しないと理解すべきである。
【0023】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体的接続であってもよく、機械的接続、又は電気的接続であってもよく、直接連結、又は中間媒体を介する間接的連結であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0024】
また、以下説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴について、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
実施例1
【0025】
本実施例は、コーティング機器を提供し、
図1~
図6に示すように、コーティングダイヘッド及びスラリーパラメータ検出部材6を含む。ここでは、コーティングダイヘッドは、上型1、中型2、下型3、第1調整機構4及び第2調整機構5を含む。ここでは、上型1及び中型2は、第1スラリーの流通に適する第1スリット71を形成し、下型3及び中型2は、第2スラリーの流通に適する第2スリット72を形成し、第1スリット71と第2スリット72は角度をなして設けられ、第1調整機構4は上型1に設けられ、それは第1駆動部材41及び第1調整部材42を含み、第1駆動部材41の駆動端が第1調整部材42に接続され、第2調整機構5は下型3に設けられ、それは第2駆動部材51及び第2調整部材52を含み、第2駆動部材51の駆動端が第2調整部材52に接続され、スラリーパラメータ検出部材6は第1調整機構4及び第2調整機構5と通信可能に接続され、電極片81のスラリー情報を検出することに用いられる。
【0026】
具体的には、スラリーパラメータ検出部材6は、第1スリット71から電極片81にコーティングされた第1スラリーのスラリー情報を検出して第1スラリーパラメータを形成し、第1調整機構4は、第1スラリーパラメータに基づいて第1調整部材42の位置を調整することで、第1スリット71内を流れる第1スラリーの流量を調整し、スラリーパラメータ検出部材6は、さらに第2スリット72から電極片81にコーティングされた第2スラリーのスラリー情報を検出して第2スラリーパラメータを形成し、第2調整機構5は、第2スラリーパラメータに基づいて第2調整部材52の位置を調整することで、第2スリット72内を流れる第2スラリーの流量を調整する。
【0027】
本実施例に係るコーティング機器は、第1調整機構4及び第2調整機構5が設けられることにより、第1スリット71及び第2スリット72内を流れるスラリーの流量調整を実現することができ、且つスラリーパラメータ検出部材6はコーティングされたスラリーのパラメータを検出することにより、スラリーパラメータを予め設定された値と比較した後、第1調整機構4及び第2調整機構5にフィードバックし、第1調整部材42及び第2調整部材52による調整を実現し、二層ダイヘッドによるコーティングの自動調整を実現し、これによりデバッグの有効性を大幅に向上させ、コーティング効率を更に向上させる。
【0028】
本実施例に係るコーティング機器は、第1ガスケット及び第2ガスケットをさらに含む。ここでは、第1ガスケットは上型1と中型2との間に設けられ、第1ガスケットは上型1及び中型2と共に第1スリット71を画定し、第2ガスケットは中型2と下型3との間に設けられ、第2ガスケットは中型2及び下型3と共に第2スリット72を画定する。
【0029】
本実施例では、第1スリット71は水平に設けられ、第2スリット72は第2スラリーの流れ方向において上へ傾斜して設けられる。例えば、本実施例では、第1スリット71は水平方向に延びており、第2スリット72は、第1スリット71に対して30°の傾斜角をなして設けられている。もちろん、他の選択可能な実施形態では、第2スリット72の傾斜角は45°及び20°等角度等の角度であってもよい。
【0030】
本実施例に係るコーティング機器では、第1調整機構4は、第1駆動板43をさらに含み、第1駆動板43は第1駆動部材41と通信可能に接続され、第1駆動板43はスラリーパラメータ検出部材6と通信可能に接続され、第1駆動部材41は、第1駆動板43の駆動により、第1調整部材42の第1スリット71内に伸びる位置を調整することで、第1スリット71内の第1スラリーの流量を調整する。具体的には、第1駆動部材41は、ステッピングモータ、超音波モータ、圧電モータのうちの1種または複数種である。本実施例では、第1調整部材42はT型ブロックを用いる。T型ブロックは、ロッド部及び長方形ブロック体の遮断部を含み、遮断部は第1スリット71に近い側に設けられ、遮断部が第1スリット71内に伸びる時、流通中の第1スラリーの遮断を実現することができ、さらに第1スラリーの流量を調整する。
【0031】
本実施例に係るコーティング機器は、第1スリット71と第2スリット72の交差位置で、上型1及び下型3は共にスラリーの流出に適するダイリップを画定し、下型3は、変形部33及び基部32を含み、変形部33はダイリップに近い側に設けられ、基部32はダイリップから遠い側に設けられ、第2駆動部材51は基部32に取り付けられ、第2調整部材52は変形部33に接続され、第2調整部材52は、第2駆動部材51の作用下で変形部33を駆動して基部32に近接し又は基部32から離れるダイリップ調整状態を有し、ダイリップ調整状態では、下型3の下部リップは、上型1の上部リップに対して反る。
【0032】
本実施例の第1実施形態として、第2駆動部材51は、ステッピングモータ、超音波モータ、圧電モータのうちの1種または複数種である。第2調整部材は接続ロッドであり、接続ロッドの一端はモータの出力端に接続され、接続ロッドの他端は変形部33に接続され、これによりモータの駆動により、変形部の変形を実現する。
【0033】
本実施例の第1実施形態として、第2調整部材52はプッシュロッドとプルロッドとを含み、使用時にプッシュロッドによって変形部を押して基部から離れる方向に移動させることを実現し、又はプルロッドによって変形部を引っ張って基部に近づく方向に移動させることを実現する。具体的には、プッシュロッドが変形部の側壁面に当接し、第2駆動部材が剛性ねじを回転させる時に、プッシュロッドが変形部を押して移動することを実現することができ、さらに基部32と変形部33との間の距離の調整を実現し、さらに下型3の下部リップを微変形させ、プルロッドは変形部にねじ接続され、第2駆動部材によってプルロッドを移動させる時、プルロッドは変形部を引っ張って基部に近づく方向に移動させることができる。
【0034】
本実施例に係るコーティング機器では、第2調整機構5は、第2駆動板はをさらに含み、第2駆動板は第2駆動部材51と通信可能に接続され、第2駆動板はスラリーパラメータ検出部材6と通信可能に接続され、第2駆動部材51は、第2駆動板の駆動により、基部32と変形部33との間の相対位置を調整することにより、第2スリット72内から流出する第2スラリーの流量を調整する。
【0035】
本実施例に係るコーティング機器では、中型2は第1供給口21を含み、第1供給口21の一端が第1供給システムに接続することに適し、第1供給口21の他端が第1スリット71に連通し、下型3は第2供給口31を含み、第2供給口31の一端が第2供給システムに接続することに適し、第2供給口31の他端が第2スリット72に連通する。第2供給口31は下型3の底面に設けられ、この構造に設けられた第2供給口31は、下型3に対する切削の量が比較的小さく、生産周期が短く及び生産プロセスが簡単である。
【0036】
もちろん、他の選択的な実施形態では、第2供給口31は下型3の裏側に設けられてもよい。
【0037】
本実施例に係るコーティング機器では、スラリーパラメータ検出部材6は厚さ検出部材を用いて、厚さ検出部材は電極片81のスラリー厚さを検出し、厚さ検出部材は厚さ検出器であり、具体的にα線又はβ線型NDC測定プローブを選択することができ、単位面積の質量を測定することができ、さらにコーティング厚さを取得し、本実施例の別の実施形態として、スラリーパラメータ検出部材6は、面密度検出部材を用いてもよく、面密度検出部材は電極片81のスラリー面密度を検出し、面密度検出部材は密度計であってもよい。もちろん、厚さ検出部材及び面密度検出部材を併用するようにしてもよい。
【0038】
本実施例に係るコーティング機器は、バスベースをさらに含み、バスベースは調整機構の両端に設けられ、バスベースは駆動板と通信可能に接続される。駆動板の両端の栓刃はバスベース内に挿入され、バスベースが設けられることにより、調整機構に電源を供給し及び複数の駆動板と複数の調整機構に通信接続を実現する。
【0039】
図6に示すように、本実施例に係るコーティング機器は、ディスペンス機構をさらに含み、ディスペンス機構は、上型1に設けられるディスペンス弁91及び上型に設けられる第1ディスペンス通路92を含む。第1ディスペンス通路92はディスペンス弁91に連通し、第1ディスペンス通路92は第1ガスケットのゲル流路に連通し、さらに上層のディスペンスを実現する。
【0040】
他の選択的な実施形態では、上層のディスペンスとともにディスペンス機構による下層のディスペンスを満たすために、第1ガスケットに連通孔をさらに設けられてもよく、ディスペンス機構は中型2に設けられる第2ディスペンス通路93をさらに含み、第2ディスペンス通路は、連通孔を介して第1ディスペンス通路92に連通し、第2ディスペンス通路93の第1ガスケットから離れる側は第2ガスケットのゲル流路に連通し、さらに下層のディスペンスを実現する。
【0041】
他の選択的な実施形態では、第1調整機構及び第2調整機構の設置位置を変更することができ、例えば、第1調整機構は中型に設けられてもよく、第2調整機構も中型に設けられてもよく、第1調整機構は第1スリット内の第1スラリーの流量を変更できればよく、第2調整機構は第2スリット内の第2スラリーの流量を変更できればよい。
実施例2
【0042】
本実施例はコーティング方法を提供し、
図7に示すように、以下のステップを含む。
S11:電極片81に第2スラリーをコーティングする。
まず、第2供給口31側の制御弁を開き、第1供給口21側の制御弁を閉じ、電極片81の下層のコーティング層82をコーティングする。
S12:スラリーパラメータ検出部材6は電極片81の第2スラリーパラメータを検出して第1検出結果を形成する。
厚さ検出部材又は面密度検出部材によってフィードバックされた検出データに基づいて、電極片81にコーティングされた第2スラリーパラメータを取得し、第2スラリーパラメータを予め設定されたプロセス要件と比較して、第1検出結果を取得し、第2スラリーパラメータは厚さ検出部材によって検出された実際の膜厚であってもよく、面密度検出部材によって検出された第2スラリーの面密度パラメータであってもよい。
S13:第1検出結果に基づいて第2調整部材52の位置を制御して電極片81の第2スラリーパラメータを調整する。
第2駆動板を介して第2駆動部材51を制御して、第2調整部材52を駆動して移動させて、さらに下型3の基部32と変形部33との間の相対位置を変更し、さらに下部リップを上部リップに対して微変形させ、第2スリット72から流出する第2スラリーの流量の調整を実現し、さらに電極片81にコーティングされた第2スラリーの面密度及び下層のコーティング層82の膜厚を変更し、第2スラリーパラメータの調整を実現する。
S21:電極片81に第2スラリーをコーティングすることを停止し、電極片81に第1スラリーをコーティングする。
第2スラリーパラメータが予め設定されたプロセス要件を満たす場合、この時、第2供給口31側の制御弁を閉じ、第1供給口21側の制御弁を開き、電極片81に上層のコーティング層83をコーティングする。
S22:スラリーパラメータ検出部材6は電極片81の第1スラリーパラメータを検出し、第2検出結果を形成する。
厚さ検出部材又は面密度検出部材によってフィードバックされた検出データに基づいて、電極片81にコーティングされた第1スラリーパラメータを取得し、第1スラリーパラメータを予め設定されたプロセス要件と比較して、第2検出結果を取得し、この時、第1スラリーパラメータは厚さ検出部材によって検出された下層コーティング層82の膜厚と上層コーティング層83の膜厚との合計であってもよく、面密度検出部材によって検出された第1スラリーが基板にコーティングされた実際の面密度パラメータであってもよい。
S23:第2検出結果に基づいて第1調整部材42の位置を制御して電極片81の第1スラリーパラメータを調整する。
第1駆動板43を介して第1駆動部材41を制御して、第1調整部材42の第1スリット71に伸びる位置を調整し、さらに第1スリット71内の第1スラリーの流量を調整することにより、電極片81にコーティングされた第1スラリーの面密度及び下層のコーティング層82の膜厚を変更し、さらに第1スラリーパラメータの調整を実現する。
S31:電極片81に第1スラリーをコーティングすることを間欠的に停止する。
連続コーティング中、第1供給口21側の制御弁を定期的に間欠的に閉じる。
S32:電極片81の第2スラリーパラメータを検出し、第3検出結果を形成する。
実施例3
【0043】
本実施例はコーティング方法を提供し、具体的なコーティング方法は実施例2に提供されるコーティング方法であり、実施例1に提供されるコーティング機器を用いる。
【0044】
明らかに、上記実施例は、単に明確に説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他の様々な形態の変化又は変更を行うことができる。ここですべての実施形態を挙げるのは必要ではなく、また不可能である。そこから派生する明らかな変化又は変更は依然として本願の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0045】
1 上型
2 中型
21 第1供給口
3 下型
31 第2供給口
32 基部
33 変形部
4 第1調整機構
41 第1駆動部材
42 第1調整部材
43 第1駆動板
5 第2調整機構
51 第2駆動部材
52 第2調整部材
6 スラリーパラメータ検出部材
71 第1スリット
72 第2スリット
81 電極片
82 下層コーティング層
83 上層コーティング層
91 ディスペンス弁
92 第1ディスペンス通路
93 第2ディスペンス通路
【要約】
本願は、コーティング機器及びコーティング方法を開示し、コーティング機器は、コーティングダイヘッド及びスラリーパラメータ検出部材を含む。コーティングダイヘッドは、第1スリット、第2スリット、第1調整機構及び第2調整機構を含む。第1調整機構及び第2調整機構が設けられることにより、第1スリット及び第2スリット内を流れるスラリーの流量調整を実現することができ、且つスラリーパラメータ検出部材はコーティングされたスラリーのパラメータを検出することにより、スラリーパラメータを予め設定された値と比較した後、第1調整機構及び第2調整機構にフィードバックし、第1調整部材及び第2調整部材の位置の調整を行い、これにより二層ダイヘッドによるコーティングの自動調整を実現し、それによりデバッグの有効性及び精度を大幅に向上させ、コーティング効率をさらに向上させる。