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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】取出し具付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20250227BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
B65D25/20 E
B65D51/24 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021153203
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023045029
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西本 淳
(72)【発明者】
【氏名】川浪 明日翔
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133136(JP,A)
【文献】特開2000-326985(JP,A)
【文献】特開2009-149319(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0260026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 35/44-35/54
B35D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに開口し有底に形成され且つ横断面が略円形の内容器部を有する容器本体と、前記内容器部の開口部を開閉自在に覆う蓋と、縦長に形成されて取出し部と柄部とを有する取出し具とを備え、
前記容器本体は、前記内容器部を径方向外側から囲繞する外筒部をさらに有するとともに、前記内容器部と前記外筒部との間に、外気と連通する第1の空洞部を形成し、
前記蓋は、天板部と、前記天板部から垂設され内周面が前記内容器部の上部における外周面に当接して前記内容器部と径方向に組み合わされ且つ横断面が前記内容器部と同心である略円形に形成される内側周壁部と、その外側に同じく垂設される外側周壁部とを有するとともに、前記内側周壁部と前記外側周壁部との間に第2の空洞部を形成し、
前記取出し具は、前記柄部が部分円筒状を成し、前記蓋の閉状態において、前記取出し部が前記容器本体に穿設される挿入孔に挿通され且つ前記第1の空洞部の内部に配置されるとともに前記柄部が前記第2の空洞部の内部に配置され、かつ、横断面において、前記柄部の内向面が前記内側周壁部の中心線を中心とする円弧を描く向きに配置されるように構成される
ことを特徴とする取出し具付き容器。
【請求項2】
前記取出し具は、前記取出し部が部分円筒状を成し、かつ、前記蓋の閉状態において、横断面において前記取出し部の内向面が前記内容器部の中心線を中心とする円弧を描く向きに配置されるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の取出し具付き容器。
【請求項3】
前記容器本体は、上下方向の途中位置において前記内容器部から径方向外向きに延設される拡径部を有し且つ前記外筒部が前記拡径部から垂設され、
前記挿入孔は、前記拡径部を上下方向に貫通して設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の取出し具付き容器。
【請求項4】
前記内容器部は、横断面が略円形であり且つ前記途中位置の上部の前記外周面に雄ネジ部を有し、
前記内側周壁部は、横断面が略円形であり且つ前記内周面に雌ネジ部を有し、
前記閉状態において前記各ネジ部同士が螺合する
ことを特徴とする請求項に記載の取出し具付き容器。
【請求項5】
前記外筒部はその横断面が前記内容器部と同心である略円形に形成され、
前記外側周壁部はその横断面が前記内側周壁部と同心である略円形に形成される
ことを特徴とする請求項に記載の取出し具付き容器。
【請求項6】
前記内容器部は前記途中位置の下部における外周面の一部又は全部が、下方ほど径方向内向きに位置するように傾斜し、
前記外筒部は内周面の一部又は全部が、下方ほど径方向外向きに位置するように傾斜する
ことを特徴とする請求項3に記載の取出し具付き容器。
【請求項7】
前記挿入孔は、長手方向が前記内容器部の周方向と一致する横長状に形成され、
前記取出し部の横断面は偏平状に形成され、
前記柄部の横断面は、前記挿入孔の前記周方向における長さよりも長く、前記挿入孔の前記周方向の直交方向における幅よりも広く又は前記長さよりも長く且つ前記幅よりも広い
ことを特徴とする請求項に記載の取出し具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関し、詳細には容器本体と、蓋と、内容物を取り出すための取出し部と柄部とを有する取出し具とを備える取出し具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上向きに開口し且つ有底に形成される内容器部を有する容器本体と、前記内容器部の開口部を開閉自在に覆う蓋と、縦長に形成されて取出し部と柄部とを有する取出し具とを備える取出し具付き容器がある(特許文献1)。こうした従来の取出し具付き容器は、前記容器本体が、前記内容器部を径方向外側から囲繞する外筒部をさらに有し、前記取出し部が前記内容器部と前記外筒部との間のスペースに収納される。また、前記従来の取出し具付き容器は、前記蓋が、天板部と前記天板部から垂設される周壁部とを有し、前記蓋が閉じた閉状態において、前記柄部が前記内容器部と前記周壁部との間のスペースに収納される。
【0003】
この取出し具付き容器は前記取出し具を備えるため、使用者は、この取出し具を用いて前記内容器部に充填した内容物であるクリーム状の化粧品、薬品等を前記内容器部から取り出して身体の表面、塗布などに移して使用することができる。このとき、使用者は別途に取出し具を用意する必要がないため便利である。
【0004】
しかも、前記閉状態において、前記取出し具が前記容器本体及び前記蓋の内部に格納されるため、使用者が前記従来の取出し具付き容器を持ち運ぶ際に前記取出し具はこの容器の外側に露出することがない。そのため、前記使用者は前記取出し具が周りに引っ掛かって邪魔になることがなく、また、前記取出し具がこの容器の外部と触れて外からのウィルス、細菌等が付着することを防ぐことができる。
【0005】
さらに、前記蓋の開状態においても前記取出し部が前記内容器部と前記外筒部との間のスペースに収納されるため、使用者は前記取出し部に付着された前記内容物に直接触れることなくこの容器を把持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-179896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の取出し具付き容器は、取出し具の柄部が容器本体の内容器部と蓋の周壁部との間のスペースに収納される。その一方で、前記周壁部の内周面が雄ネジ部を有し、前記内容器部の上部における外周面が雌ネジ部を有して前記蓋が前記容器本体に螺合する。このとき、前記蓋の閉状態においては前記柄部が前記外周面と前記内周面との間に前記柄部が挟まっている。そのため、前記外周面が前記雌ネジ部の切り欠けを設け、また、前記柄部の表面に雌ネジ部を設けることによって、前記柄部に設けられた前記雌ネジ部は、前記切り欠けがなければ前記外周面に設けられるはずであった前記雌ネジ部の代りを果たすことによって前記蓋を前記容器本体に接合している。
【0008】
このように、前記柄部に設けられた前記雌ネジ部が前記切り欠けに対応する前記雄ネジ部と螺合する構造は複雑である。これにより、前記外周面に設けられた前記雌ネジ部が前記切り欠けのために途切れていることから容器の設計及び製作は容易でない、前記取出し具がその柄部の前記雌ネジ部と前記周壁部に設けられた前記雄ネジ部とをかみ合わせるために前記柄部の位置を正確に合わさなければならず使用は容易でないなどの不都合が生じる。
【0009】
また、前記取出し部が前記容器本体内の収納スペースに密閉されるため、前記取出し部に付着した前記内容物は、前記取出し具を度々使用して収納と取出しとを繰り返すうちに前記収納スペースに滞留しがちであり不衛生である。あるいは、滞留する前記内容物が前記収納スペースに収まりきれず前記収納スペースから溢れ出る可能性もあって周りを汚すおそれが大きい。
【0010】
そこで本発明は、取出し具を格納しつつ、構造が簡素であり且つ衛生的に使用することができる取出し具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は上向きに開口し且つ有底に形成される内容器部を有する容器本体と、前記内容器部の開口部を開閉自在に覆う蓋と、縦長に形成されて取出し部と柄部とを有する取出し具とを備え、前記容器本体は、前記内容器部を径方向外側から囲繞する外筒部をさらに有するとともに、前記内容器部と前記外筒部との間に、外気と連通する第1の空洞部を形成し、前記蓋は、天板部と、前記天板部から垂設され且つ内周面が前記内容器部の上部における外周面に当接して前記内容器部と径方向に組み合わされる内側周壁部と、その外側に同じく垂設される外側周壁部とを有するとともに、前記内側周壁部と前記外側周壁部との間に第2の空洞部を形成し、前記取出し具は、前記蓋の閉状態において、前記取出し部が前記容器本体に穿設される挿入孔に挿通され且つ前記第1の空洞部の内部に配置されるとともに前記柄部が前記第2の空洞部の内部に配置されるように構成されることを特徴とする取出し具付き容器を提供するものである。また、前記内容器部は横断面が略円形であり、前記内側周壁部は、横断面が前記内容器部と同心である略円形に形成され、前記取出し具は、前記柄部が部分円筒状を成し、前記蓋の閉状態において、横断面において、前記柄部の内向面が前記内側周壁部の中心線を中心とする円弧を描く向きに配置されるように構成されてもよい。さらに、前記取出し具は、前記取出し部が部分円筒状を成し、かつ、前記蓋の閉状態において、横断面において前記取出し部の内向面が前記内容器部の中心線を中心とする円弧を描く向きに配置されるように構成されてもよい。
【0012】
すなわち、取出し具の取出し部が第1の空洞部の内部に配置され且つこの第1の空洞部が外気と連通するため、前記取出し具を挿入孔に挿通して前記取出し部を前記容器本体内に収めても前記取出し部は本発明の取出し具付き容器によって密閉されない。そのため、都度使用した後の前記取出し具の前記取出し部を複数回前記容器本体内に出し入れさせても、前記取出し部に付着された内容物は前記容器本体内に滞留しにくく、また、滞留したものが溢れ出る可能性が低い。しかも、外気が触れている前記第1の空洞部が湿潤な環境に置かれる虞が小さい。これらにより、使用者は本発明の取出し具付き容器の前記取出し具を衛生的に使用することができる。
【0013】
また、前記取出し具の柄部が第2の空洞部の内部に配置され且つこの第2の空洞部が内側周壁部に対して内容器部の外周面と反対側に位置するため、前記柄部は前記外周面と接することなく前記第2の空洞部に収まることができる。そのため、前記外周面と前記内側周壁部の内周面との組合せにおいて前記取出し具が介在することがなく、本発明の取出し具容器は構造が簡素である。しかも、前記柄部の外側を外側周壁部が覆うことにより、本発明の取出し具容器は前記取出し具をこの容器の外部に対して保護することができる。
【0014】
さらに、前記第2の空洞部を挟む二重の周壁部である前記内側周壁部と前記外側周壁部とが同じ天板部から垂設される構造のため、本発明の取出し具付き容器の蓋は構造が簡素であり、また、例えば射出成形により合成樹脂製の前記天板部、前記内側周壁部及び前記外側周壁部を一体に成形することが可能である。そのため、前記蓋は強度が高く、効率良く製作することができる。
【0015】
(2)また、前記容器本体は、上下方向の途中位置において前記内容器部から径方向外向きに延設される拡径部を有し且つ前記外筒部が前記拡径部から垂設され、前記挿入孔は、前記拡径部を上下方向に貫通して設けられてもよい。
【0016】
すなわち、本発明の取出し具付き容器の容器本体の挿入孔が拡径部を上下方向に貫通しており、取出し具の取出し部はこの挿入孔に挿通されて直ぐに第1の空洞部に達する。このような構造のため、前記取出し部は、前記第1の空洞部に収められるまでの間に前記容器本体に当接する機会が少ない。これにより、使用後に前記取出し部に内容物が付着した取出し具を本発明の取出し具付き容器に格納する際に、前記内容物がこの容器の所々に付いてしまう事態は低減することができる。その結果、使用者は本発明の取出し具付き容器を衛生的に使用することができる。
【0017】
また、前記容器本体は前記内容器部と、そこから延設される前記拡径部と、さらにそこから垂設される外筒部とを有して前記内容器部及び前記外筒部の間に第1の空洞部が形成されるため構造が簡素である。これによって、例えば射出成形により合成樹脂製の前記内容器部、前記拡径部及び前記外筒部を一体に成形することが可能である。そして、前記容器本体は強度が高く、効率良く製作することができる。
【0018】
(3)また、前記内容器部は、横断面が略円形であり且つ前記途中位置の上部の前記外周面に雄ネジ部を有し、前記内側周壁部は、横断面が略円形であり且つ前記内周面に雌ネジ部を有し、前記閉状態において前記各ネジ部同士が螺合してもよい。
【0019】
すなわち、蓋の内側周壁部の内周面と容器本体の内容器部の外周面とがそれぞれ上下方向視において略円形であり且つ雄ネジ部及び雌ネジ部によって螺合するため、使用者は前記蓋を回転させることで本発明の取出し具付き容器を容易に開閉することができる。また、前記蓋が前記内容器部を密閉することができ、内容物であるクリーム状の化粧品、薬品等の乾燥、劣化、異物の混入などを防ぐことができる。これによって本発明の取出し具付き容器は、簡素な構造により前記内容器部を確実に密閉しつつ前記蓋を容易に開閉させることができる。
【0020】
(4)また、前記外筒部はその横断面が前記内容器部と同心である略円形に形成され、前記外側周壁部はその横断面が前記内側周壁部と同心である略円形に形成されてもよい。
【0021】
すなわち、内側周壁部と外側周壁部とが上下方向視において同心円に形成されるため、蓋が内容器部に対して螺着及び螺脱するときでも、前記各周壁部は容器本体に対してそれぞれ決まった円軌道を通過する。そのため、前記各周壁部は、取出し部が挿入孔に挿入されて柄部が第2の空洞部内に収まっている取出し具に干渉せずに回転することができる。これにより、前記蓋は前記容器本体と脱着するときでも前記取出し具によって邪魔されることがない。
【0022】
また、前記容器本体の外筒部及び前記蓋の前記外側周壁部が上下方向視において略円形に形成されるため、前記内容器部の容積と比較して、この取出し具付き容器全体の嵩を小さくすることができる。
【0023】
さらに、前記容器本体の前記内容器部の横断面と前記外筒部の横断面とが同心円であり、また、前記蓋の前記内側周壁部の横断面と前記外側周壁部の横断面とが同心円であるため、それぞれ前記容器本体及び前記蓋は構造が簡素であり、例えば射出成形によって容易に成形して製作することが可能である。
【0024】
(5)また、前記内容器部は前記途中位置の下部における外周面の一部又は全部が、下方ほど径方向内向きに位置するように傾斜し、前記外筒部は内周面の一部又は全部が、下方ほど径方向外向きに位置するように傾斜してもよい。
【0025】
すなわち、取出し具の取出し部が第1の空洞部の内部に配置されるのに対して、内容器部の外周面と外筒部の内周面とがそれぞれ傾斜して前記第1の空洞部の縦断面が下方ほど拡がるため、前記取出し部は、下方ほどそれぞれ前記内容器部の前記外周面及び前記外筒部の前記内周面から離れるように配置される。これにより、使用後の且つ前記第1の空洞部に収まっている状態の前記取出し部に内容物が付着しているときでも、前記内容物は前記外周面及び前記内周面に付いてしまう機会が少ない。その結果、使用者は前記取出し具を格納しつつ本発明の取出し具付き容器を衛生的に使用することができる。
【0026】
また、容器本体が下方ほどそれぞれ前記内容器部の前記外周面及び前記外筒部の前記内周面から離れるように形成されるため、例えば射出成形により合成樹脂製の前記容器本体を成形するとき、これらの傾斜が抜け勾配となり金型から前記容器本体を容易に取り出すことができる。これにより、本発明の取出し具付き容器は製作に関わる構造が簡素であり容易に製作することができる。
【0027】
(6)また、前記挿入孔は、長手方向が前記内容器部の周方向と一致する横長状に形成され、前記取出し部の横断面は偏平状に形成され、前記柄部の横断面は、前記挿入孔の前記周方向における長さよりも長く、前記挿入孔の前記周方向の直交方向における幅よりも広く又は前記長さよりも長く且つ前記幅よりも広くてもよい。
【0028】
挿入孔に挿通される取出し具の取出し部が内部に配置される第1の空洞部は内容器部と外筒部との間の空間であり、また、同じ取出し具の柄部が内部に配置される第2の空洞部は内側周壁部と外側周壁部との間の空間である。これに対して、これら各空洞部同士の間に位置する拡径部を貫通して設けられる前記挿入孔は横長状に形成される。これにより、本発明の取出し具付き容器の前記外筒部及び前記外側周壁部の径を小さくして前記各空間が狭くなっても必要な大きさの前記挿入孔を穿設することができる。こうして、本発明の取出し具付き容器は細くすることができ、しかも、製作に関わる構造が簡素であり容易に製作することができる。
【0029】
また、前記取出し具が偏平状に形成される。これにより、本発明の取出し具付き容器の前記外筒部及び前記外側周壁部の径を小さくして前記各部分円筒状空間が狭くなっても必要な横断面面積の前記取出し具を挿通することができる。こうして、本発明の取出し具付き容器は細くすることができ、しかも、製作に関わる構造が簡素であり容易に製作することができる。
【0030】
さらに、柄部の横断面は前記挿入孔の長さよりも長く又は前記挿入孔の幅よりも広い。そのため、前記容器本体に挿通される前記取出し具は前記柄部が、前記拡径部の、前記挿入孔周りの端縁に当接して前記挿入孔よりも深く進入することがない。こうして、本発明の取出し具付き容器は簡素な構造によって前記取出し具を下方に落下しないように収めることができる。
【発明の効果】
【0031】
このような本発明では、取出し具を格納しつつ、構造が簡素であり且つ衛生的に使用することができる取出し具付き容器を提供することができる。また、構造が理由で製作が容易な取出し具付き容器を提供することができる。さらには、内部に各空洞部のような空間を有することにより、前記取出し具を効率良く格納しつつ合成樹脂の使用量を減らすことができ、地球環境に対する負荷の低い取出し具付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態に係る取出し具付き容器の斜視図を示す。
図2図1の取出し具付き容器から蓋及びパッキング材を外した状態の斜視図を示す。
図3図1の取出し具付き容器を上下方向に分解する状態の説明図を示す。
図4図1の取出し具付き容器の正面視における左半分の縦断面を表わす部分縦断面図を示す。
図5】取出し具の柄部が第2の空洞部に配置された状態の説明図を示す。
図6】(a)図1の取出し具付き容器を斜め前下方から視た斜視図を示す。(b)図1の取出し具付き容器の底面図を示す。
図7図4の部分縦断面図の一部を拡大した部分拡大縦断面図を示す。
図8図6bの底面の一部を拡大した部分底面図を示す。
図9】本発明の第2の実施形態に係る取出し具付き容器の底面の一部を拡大した部分底面図を示す。
図10】(a)本発明の第3の実施形態に係る取出し具付き容器の平面図を示す。(b)同じく取出し具付き容器の底面図を示す。
図11図10の取出し具付き容器の正面視における左半分の縦断面を表わす部分縦断面図を示す。
図12】(a)本発明の第4の実施形態に係る取出し具付き容器の斜視図を示す。(b)同じく取出し具付き容器から蓋及びパッキング材を外した状態の斜視図を示す。
図13図12の取出し具付き容器を斜め前下方から視た斜視図を示す。
図14】(a)本発明の第5の実施形態に係る取出し具付き容器の斜視図を示す。(b)同じく取出し具付き容器から蓋及びパッキング材を外した状態の斜視図を示す。
図15図14の取出し具付き容器を斜め前下方から視た斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、図1図8を用いて説明する。図1の斜視図において11は本発明の取出し具付き容器である。取出し具付き容器11は全体に上下方向の中心線C1を中心軸とする略円柱状に形成される。また、取出し具付き容器11は、外周面全体が下側ほどわずかに径大となるような傾斜面に形成されている。この取出し具付き容器11は、側面視の下側に見えている容器本体12と同じく上側に見えている蓋13とを備える。図2は取出し具付き容器11から、蓋13と、下述するパッキング材とを外した状態の斜視図を表わす。容器本体12及び蓋13はポリプロピレン(PP)、飽和ポリエステル(PET)等の合成樹脂により形成される。図においては、矢印Uの向きが取出し具付き容器11の上方を示し、矢印Dの向きが同じく下方を示す。矢印Fの向きが同じく前方を示し、矢印Bの向きが同じく後方を示す。また、矢印Lの向きが同じく左方を示し、矢印Rの向きが同じく右方を示す。
【0034】
容器本体12は内容器部14を有し、内容器部14が開口部15において上向きに開口し且つ下底部分に底部16を有する。図2で外されている蓋13は開口部15を開閉自在に覆うことができる。容器本体12は、内容器部14の側面が上下方向の中心線C2を中心軸とする略円筒状に形成される。容器本体12の中心線C2は取出し具付き容器11の中心線C1と一致する。
【0035】
また、容器本体12は上下方向の途中位置において内容器部14から径方向外向きに延設される、中心線C2を中心軸とする円環状の拡径部17を有する。この拡径部17の周囲からは、下方に垂れ下がるように外筒部18が垂設される。外筒部18は中心線C2を中心軸とする略円筒状に形成され、内容器部14の前記途中位置よりも下側部分を径方向外側から囲繞する。
【0036】
拡径部17には上下方向に貫通するように挿入孔19が穿設される。挿入孔19は拡径部17の平面視円環状の左向き部分に穿設される。この挿入孔19には取出し具21が挿入される。取出し具21は内容器部14に充填される内容物を取り出すため縦長に形成される。本発明の取出し具付き容器11に充填される内容物は、主にクリーム状の化粧品、薬品等であり、使用者が取出し具21を用いて内容器部14から掬うように取り出して、手、手以外の身体の一部、布地等に移して身体の表面などに塗布する。
【0037】
この取出し具21が取出し具付き容器11の内側に格納される構造を図3の分解図により示す。図3は取出し具付き容器11を上下方向に分解する状態を表わす。容器本体12には挿入孔19に取出し具21が下向きに挿入される。このとき、取出し具21は長手方向が上下方向と一致するように配置される。また、取出し具21の下側部分である取出し部22が挿入孔19に挿通され、他方の、取出し具21の上側部分である柄部23が、図2が示すように挿入孔19よりも上方に飛び出す。柄部23は下述する蓋13の内側構造において上向きに収容される。柄部23の上端において丸まった部分を柄部上端部23aとよぶ。
【0038】
図3の分解図においてパッキング材24を示す。パッキング材24は、例えば低発泡ポリエチレンシートに薄いプラスチックフィルムをラミネートによって被覆した多層材等のような合成樹脂材料によって形成されている。製造者はパッキング材24を蓋13の内側に嵌め込む。そして、内容器部14に内容物を充填した容器本体12を蓋13によって被蓋する。このとき、パッキング材24は内容器部14の最上端と蓋13の内側との間で挟まり、開口部15のシールの役目を果たすので、商品の保管、輸送、陳列等の際に内容物の乾燥、品質劣化、異物混入等を防ぐことができる。そして、使用者は購入した商品を開封する際に、パッキング材24が嵌まったままの蓋13を開けるとともに容器本体12から内容物を取り出す。また、内容物が残った状態の容器本体12を再度蓋13によって被蓋して次の回の使用に備える。
【0039】
これらのように、取出し具付き容器11は図3のように、容器本体12に対して取出し具21、パッキング材24及び蓋13を取り付けることによって組み立てる。蓋13は中心線C3を中心軸とする上下方向の略円柱状に形成される。蓋13が容器本体12と組み合わされた状態において、蓋13の中心線C3は取出し具付き容器11の中心線C1と一致する。
【0040】
図4は取出し具付き容器11の正面視における左半分の縦断面を表わす部分縦断面図であり、蓋13が閉まった状態を示している。図4において、上述のように拡径部17が延設される内容器部14の上下方向の前記途中位置を図の矢印Aによって表わす。容器本体12において、この途中位置Aよりも下側の部分を容器本体下部27とよぶ。また、内容器部14において途中位置Aよりも上側の部分を内容器部上部28とよぶ。
【0041】
容器本体下部27は、内容器部14と外筒部18とにより径方向に二重の構造を有する。これらの内容器部14と外筒部18とによって形成される空洞を第1の空洞部31とよぶ。第1の空洞部31は最上部が拡径部17によって塞がれているのに対して、最下部が、底部16と外筒部18の下端縁との間において開放されている。これにより第1の空洞部31は外気と連通する。
【0042】
蓋13は最上部に円板状の天板部26を有する。この天板部26からは二重の周壁部32,33が下方に垂れ下がるように垂設される。蓋13はこのような内側構造を有する。これらのうち内側の周壁部である内側周壁部32は、円筒状に形成され、蓋13の閉状態において内周面が内容器部上部28の外周面に当接する。これにより、内側周壁部32が内容器部上部28に径方向に組み合わされ、その結果、蓋13は容器本体12に径方向に組み合わされる。他方の、外側の周壁部である外側周壁部33は、円筒状に形成され、内側周壁部32の外側に配置される。しかも、内側周壁部32は挿入孔19よりも径方向内側に、外側周壁部33は挿入孔19よりも径方向外側にそれぞれ配置される。これらの二重の周壁部32,33によって形成される空洞を第2の空洞部34とよぶ。
【0043】
内容器部14及び外筒部18を含む容器本体12は、例えば射出成形により合成樹脂を一体に成形して形成される。また、内外の各周壁32,33を含む蓋13も、例えば射出成形により合成樹脂を一体に成形して形成される。
【0044】
ところで、取出し具21は図3が示すように上下方向の途中で短手方向に膨出する一対の膨出部35,35を有する。図においては、各膨出部35が前向き及び後ろ向きに膨出する。取出し具21は、使用者がこの各膨出部35よりも上側を把持するので、各膨出部35よりも上部を柄部23とよび、各膨出部35よりも下部を取出し部22とよぶ。そして、取出し具21を取出し部22から下向きに挿入孔19に挿入するとき、前後の膨出部35,35が挿入孔19の前後に位置する拡径部17の一部に引っ掛かり取出し具21はそれ以上に下向きに進入しない。このように、拡径部17は取出し具21を膨出部35において上向きに係止する。そして、図4は取出し具21が上向きに係止された状態を表わしている。
【0045】
これにより、取出し部22は、拡径部17が位置する上下方向の途中位置Aよりも下側、すなわち第1の空洞部31に配置される。また、柄部23は途中位置Aよりも上側、すなわち第2の空洞部34に配置される。これにより、蓋13が閉じられた状態において、取出し具付き容器11の途中位置Aよりも上側部分には、内容器部上部28、内側周壁部32、柄部23及び外側周壁部33が内側から順に配置される。柄部23・内容器部上部28間及び柄部23・内側周壁部32間にはそれぞれ第2の空洞部34の空間が介在する。こうして、柄部23は二重の周壁部32,33に干渉せずに第2の空洞部34に配置される。図5には、蓋13が閉められたときに、点線で表された取出し具21の柄部23が第2の空洞部34に配置された状態の説明図を示す。図5には取出し具21を見易くするため容器本体12及びパッキング材24が表わされていない。
【0046】
なお、使用の前においてパッキング材24は、内容器部14の最上端と天板部26との間において上下方向に挟まれていて、内容器部14の内側と外気とを遮断する。また、先述の通りパッキング材24は蓋13の内側に嵌まり込むので、蓋13が容器本体12に対して開閉を繰り返しても、閉じた状態において内容器部14の内側と外気とを遮断することが可能である。
【0047】
このような構成により、図6(a)の斜視図が示すように、本発明の取出し具付き容器11は取出し具21の取出し部22が第1の空洞部31の内部に配置され且つこの第1の空洞部31が外気と連通するため、取出し具21を挿入孔19に挿通して取出し部22を容器本体12内に収めても取出し部22が密閉されない。また、図6(b)は取出し具付き容器11の底面図を表わす。図4及び図6(a)(b)のように、容器本体下部27には、内容器部14、取出し部22及び外筒部18が内側から順に配置される。取出し部22・内容器部14間及び取出し部22・外筒部18間にはそれぞれ第1の空洞部31の空間が介在する。すなわち、内容器14と外筒部18との間に挟まれている第1の空洞部31においては、取出し部22が内容器14と触れずに且つ外筒部18と触れない。そのため、都度使用した後の取出し具21の取出し部22を複数回容器本体12内に出し入れさせても、取出し部22に付着された内容物は容器本体12内に付きにくく且つ滞留しにくい。そして、滞留したものが溢れ出る可能性が低い。しかも、外気が触れている第1の空洞部31が湿潤な環境に置かれる虞が小さい。これらにより、使用者は本発明の取出し具付き容器11の取出し具21を衛生的に使用することができる。
【0048】
さらに、本発明の取出し具付き容器11の容器本体12の挿入孔19が拡径部17を上下方向に貫通しており、取出し具21の取出し部22はこの挿入孔19に挿通されて直ぐに第1の空洞部31に達する。このような構造のため、取出し部22は、第1の空洞部31に収められるまでの間に容器本体12に当接する機会が少ない。これにより、使用後に取出し部22に内容物が付着した取出し具21を取出し具付き容器11内に格納する際に、前記内容物がこの容器11の所々に付いてしまう事態は低減することができる。その結果、使用者は取出し具付き容器11を衛生的に使用することができる。
【0049】
内容器部上部28は、図7の部分拡大縦断面図が示すように、一部が外周面に周方向のネジ山41を有して雄ネジ部42を構成する。また、内側周壁部32は、一部が内周面に周方向のネジ溝43を有して雌ネジ部44を構成する。容器本体12に対して蓋13を中心線C3周りに回転させることにより、各ネジ部42,44同士が螺着又は螺脱して、使用者は蓋13を自在に開閉することができる。
【0050】
外筒部18は、図6(a)(b)が示すように中心線C2を中心軸とする略円筒形状に形成される。そのため、内容器部14の横断面と外筒部18の横断面とは平面視において同心円を描く。また、内側周壁部32及び外側周壁部33は、図5が示すように何れも中心線C3を中心軸とする略円筒形状に形成される。そのため、これらの横断面は平面視において同心円を描く。
【0051】
このような構成により、使用者は蓋13を回転させることで本発明の取出し具付き容器11を容易に開閉することができる。また、蓋13が内容器部14を密閉することができ、内容物であるクリーム状の化粧品、薬品等の乾燥、劣化、異物の混入などを防ぐことができる。これによって取出し具付き容器11は、簡素な構造により内容器部14を確実に密閉しつつ蓋13を容易に開閉させることができる。
【0052】
また、内側周壁部32と外側周壁部33とが平面視において何れも中心線C3を中心とする同心円に形成されるため、蓋13が内容器部14に対して螺着及び螺脱するときでも、各周壁部32,33は容器本体12に対してそれぞれ決まった円軌道を通過する。そのため、各周壁部32,33は、取出し部22が挿入孔19に挿入されて柄部23が第2の空洞部34内に収まっている状態の取出し具21に干渉せずに回転することができる。図5から見て取れる通り、蓋13が中心線C3を中心に平面視時計向きCL又は反時計向きULに回転するときでも、柄部23は第2の空洞部34を通る際に各周壁部32,33に干渉することがない。これにより、蓋13は容器本体12と脱着するときでも取出し具21によって邪魔されることがない。
【0053】
さらに、容器本体12の外筒部18及び蓋13の外側周壁部33が平面視において略円形に形成されるため、内容器部14の容積と比較して、この取出し具付き容器11全体の嵩を小さくすることができる。これにより、内容物を充填して取出し具付き容器11を保管、輸送、陳列などするとき、内容物の充填量を確保しつつも保管・輸送・陳列に必要なスペース、手間、費用等を抑えることができる。また、取出し具付き容器11の製作のため使用する合成樹脂の量を減らし、地球環境に対する負荷を低減することができる。
【0054】
また、容器本体下部27は、図4が示すように内容器部14の途中位置Aの下部における外周面が、下方ほど径方向内向きに位置するように傾斜する。それとともに、その外側の外筒部18の内周面が、下方ほど径方向外向きに位置するように傾斜する。
【0055】
このような構成により、取出し具21の取出し部22が第1の空洞部31の内部に配置されるのに対して、内容器部14の外周面と外筒部18の内周面とがそれぞれ傾斜して第1の空洞部31が下方ほど内外に拡がるため、取出し部22は、下方ほどそれぞれ内容器部14の外周面及び外筒部18の内周面の両方から離れるように位置する。これにより、使用後の且つ第1の空洞部31に収まっている状態の取出し部22に内容物が付着しているときでも、この内容物は前記外周面及び前記内周面に付いてしまう機会が少ない。その結果、使用者は取出し具21を格納しつつ本発明の取出し具付き容器11を衛生的に使用することができる。
【0056】
また、容器本体下部27が下方ほどそれぞれ内容器部14及び外筒部18がお互いに離れるように形成されるため、例えば射出成形により合成樹脂製の容器本体12を成形するとき、これらの傾斜が抜け勾配となり金型から容器本体12を容易に取り出すことができる。これにより、本発明の取出し具付き容器11は製作に関わる構造が簡素であり容易に製作することができる。
【0057】
ところで、挿入孔19は、図8の底面図が示すように、前後の長手方向が内容器部14の周方向と一致する横長状に形成される。詳しくは、拡径部17の挿入孔19との境界を形成する辺縁のうち、径方向外向きに面する辺縁である内側辺縁45が、平面視において容器本体12の中心軸である中心線C2を中心とする円弧を描く。また、同じく境界を形成する辺縁のうち、径方向内向きに面する辺縁である外側辺縁46が、内側辺縁45と同様に中心線C2を中心とする円弧を描く。
【0058】
他方で、取出し部22の横断面は偏平状に形成される。また、柄部23の横断面も偏平状に形成される。取出し部22の、挿入孔19に挿通した状態における径方向内向きの面である取出部内向面47は、平面視において中心線C2を中心とする円弧を描く。また、同じく径方向外向きの面である取出部外向面48は、取出部内向面47と同様に平面視において中心線C2を中心とする円弧を描く。取出し部22の径方向の厚みは、挿入孔19の径方向の幅よりも小さい。柄部23についても、柄部内向面及び柄部外向面が何れも中心線C2を中心とする円弧を描き、また、径方向の厚みが挿入孔19の径方向の幅よりも小さい。
【0059】
ここで、挿入孔19の周方向における長さである孔長さL1は、取出し部22の横断面の周方向における長さである取出部長さL2よりも大きい。また、孔長さL1は柄部23の横断面の周方向における長さである柄部長さL3よりも小さい。柄部長さL3とは、取出部長さL2に、取出し部22の上端から上側の膨出部35の最上端までの膨出長さL4と、取出し部22の下端から下側の膨出部35の最下端までの膨出長さL4とを加えた長さに相当する。上向きの膨出長さL4と下向きの膨出長さL4とは同長である。
【0060】
このような構成により、挿入孔19に挿通される取出し具21の取出し部22が内部に配置される第1の空洞部31は内容器部14と外筒部18との間の空間であり、また、取出し具21の柄部23が内部に配置される第2の空洞部34は内側周壁部32と外側周壁部33との間の空間である。これに対して、上下方向にこれら各空洞部31,34同士の間に位置する拡径部17を貫通して設けられる挿入孔19は横長状に形成される。これにより、外筒部18及び外側周壁部33の径を小さくして前記各空間が狭くなっても必要な大きさの挿入孔19を穿設することができる。また、取出し具21が偏平状に形成される。これらにより、同じく前記各空間が狭くなっても必要な横断面面積の取出し具21を挿通することができる。こうして、取出し具付き容器11は細くすることができ、しかも、製作に関わる構造が簡素であり容易に製作することができる。
【0061】
さらに、柄部23の長さである柄部長さL3は挿入孔19の長さである孔長さL1よりも広い。そのため、図8が示すように容器本体12に挿通される取出し具21の柄部23が、拡径部17の、挿入孔19の周方向における近傍部分である前後の孔周方向近傍49,49に当接して上向きに係止され、取出し具21は柄部23が挿入孔19よりも深く進入することがない。こうして、本発明の取出し具付き容器11は簡素な構造によって取出し具21を下方に落下しないように収めることができる。
【0062】
なお、柄部23の厚みは、各周壁部32,33に干渉しなければ、挿入孔19の径方向の幅よりも大きくてもよい。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を、図9を用いて説明する。図9は取出し具付き容器11の部分底面図であり、第1の実施形態について示した図8と同じ角度から視た図である。取出し具21は、取出し部22が拡径部17の位置する上下方向の途中位置Aよりも下側、すなわち第1の空洞部31に配置される。また、柄部51は途中位置Aよりも上側、すなわち第2の空洞部34に配置される。
【0064】
拡径部17に穿設される挿入孔19は、前後の長手方向が内容器部14の周方向と一致する横長状に形成される。また、取出し部22の横断面は偏平状に形成される。これらに対して、柄部51の横断面は略円形に形成される。すなわち、柄部51は上下方向の中心軸を有する略円柱状に形成される。
【0065】
ここで、挿入孔19の径方向における幅である孔幅W1は、取出し部22の横断面の径方向における幅である取出部幅W2よりも広い。また、孔幅W1は柄部51の横断面の径方向における幅である柄部幅W3よりも小さい。柄部幅W3とは、取出部幅W2に、取出し部22の左端から柄部51の左端までの部分円柱幅W4と、取出し部22の右端から柄部51の右端までの部分円柱幅W4とを加えた長さに相当する。左側の部分円柱幅W4と右側の部分円柱幅W4とは同幅である。
【0066】
これにより、取出し具21を取出し部22から下向きに挿入孔19に挿入するとき、柄部51は、拡径部17の、挿入孔19の径方向における近傍部分である左右の孔径方向近傍52,52に当接して上向きに係止される。これにより、取出し具21は柄部51が挿入孔19よりも深く進入することがない。こうして、取出し具付き容器11は簡素な構造によって取出し具21を下方に落下しないように収めることができる。
【0067】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0068】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を、図10及び図11を用いて説明する。図10(a)の平面図において111は本発明の取出し具付き容器である。取出し具付き容器111は容器本体112と蓋113とを備える。また、取出し具付き容器111は、平面視において全体が左右略対称且つ前後略対称に形成される。容器本体112及び蓋113はそれぞれ全体が上下方向の中心線C2及びC3を中心軸として形成される。中心線C2及び中心線C3は蓋113の閉状態において一致する。
【0069】
図10(a)が示すように容器本体112の外筒部118は、平面図が中心線C2を中心とし且つ左右方向の長軸を有する略楕円形に表わされる。すなわち、外筒部118は中心線C2を中心軸とする楕円筒状に形成される。他方で、蓋113の外側周壁部133は、蓋113の閉状態における平面図が、中心線C3を中心とし且つ外筒部118の略楕円よりも内側に配置される略円形に表わされる。すなわち、外側周壁部133は中心線C3を中心軸とする円筒状に形成され、かつ、その直径が外筒部118の短軸直径よりも短い。
【0070】
図10(b)は取出し具付き111の底面図を表わす。容器本体112は内容物を充填するための内容器部114を有する。内容器部114は図示されていない開口部115において上向きに開口し且つ下底部分に底部116を有する。内容器部114の側面は中心線C2を中心軸とする略円筒状に形成される。
【0071】
また、容器本体112は上下方向の途中位置Aにおいて内容器部114から径方向外向きに延設される拡径部117を有する。途中位置Aは図11の部分縦断面図において図示する。拡径部117の内側縁は内容器部114の外周面に沿って平面視における円形状に形成される。他方で、拡径部117の周囲から下方に垂れ下がるように外筒部118が垂設されるのであって、拡径部117の外側縁は、中心線C2を中心とし且つ左右方向の長軸を有する略楕円形に形成される。
【0072】
容器本体112の途中位置Aよりも下側の部分である容器本体下部127は、内容器部114と外筒部118とにより径方向に二重の構造を有する。これらの内容器部114と外筒部118とによって形成される空洞を第1の空洞部131とよぶ。第1の空洞部131は、外筒部118が楕円筒状に形成されるのに伴い、内容器部114の左右に位置するスペースが広く、これらに比べて内容器部114の前後に位置するほどスペースが狭くなる。第1の空洞部131は最上部が拡径部117によって塞がれているのに対して、最下部が、底部116と、外筒部118の略楕円形状の下端縁との間において開放されている。これにより第1の空洞部131は外気と連通する。
【0073】
容器本体112には、拡径部117に穿設される挿入孔119に、取出し具121の取出し部122が挿通される。挿入孔119は平面視において内容器部114の左側に設けられる。そのため、取出し部122は、取出し具121が挿入された状態において、第1の空洞部131のうち比較的スペースの広い位置に配置される。
【0074】
図11は取出し具付き容器111の正面視における左半分の縦断面を表わす部分縦断面図であり、蓋113が閉まった状態を示している。内容器部114において、途中位置Aよりも上側の部分を内容器部上部128とよぶ。
【0075】
蓋113は最上部に円板状の天板部126を有する。この天板部126からは二重の周壁部132,133が下方に垂れ下がるように垂設される。内側の周壁部である内側周壁部132、および、内側周壁部132の外側に設けられる周壁部である外側周壁部133はいずれも中心線C2を中心軸とする円筒状に形成される。これらの二重の周壁部132,133に挟まれて形成される空洞を第2の空洞部134とよぶ。
【0076】
拡径部117は側面視において外側周壁部133よりも径方向の外向きに突出して形成される。これにより、蓋113と、拡径部117の周囲から下方に垂れ下がる外筒部118を有する容器本体下部127とは、全体的に途中位置Aよりも上側の胴が細く形成され、途中位置Aよりも下側の胴が太く形成される。そして、拡径部117が上向きの段差を形成する。
【0077】
取出し具121の柄部123は第2の空洞部134に配置される。そして、各周壁部132,133はいずれも中心線C2を中心軸とする円筒状に形成されるため、平面視において同心円状の二重構造を構成する。これにより、蓋113が内容器部114に対して螺着及び螺脱するときでも、各周壁部132,133は容器本体112に対してそれぞれ決まった円軌道を通過する。このような構造のため、上で述べた外筒部118が略楕円筒状に形成されるときでも、各周壁部132,133は、取出し部122が挿入孔119に挿入されて柄部123が第2の空洞部134に収まっている状態の取出し具121に干渉せずに回転することができる。
【0078】
その他の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態と共通する。
【0079】
これらの構成により、取出し具付き容器111は途中位置Aよりも上側が下側よりも細く形成されることにより意匠性が向上する。また、容器本体下部127が略楕円柱状に形成されることにより意匠性が向上する上に、円柱状の場合に比べて前後方向の保管スペースを小さくすることができる。輸送、陳列などにおけるスペースについても同様である。
【0080】
しかも、取出し部122を第1の空洞部131のうち比較的スペースの広い位置に配置することにより、取出し部122に付着された内容物は容器本体112内に付きにくく且つ滞留しにくい。これにより、使用者は取出し具付き容器111の取出し具121を衛生的に使用することができる。
【0081】
なお、取出し具121を挿通した状態で、取出し具122の周りのスペースを十分に確保することができるほどに寸法に余裕があれば、挿入孔119は、平面視において内容器部114の左側以外の位置に設けてもよい。
【0082】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態を、図12及び図13を用いて説明する。図12(a)の斜視図において211は本発明の取出し具付き容器である。取出し具付き容器211は全体に上下方向の中心線C1を中心軸とする略正三角柱状に形成される。また、取出し具付き容器211は容器本体212と蓋213とを備える。図12(b)の斜視図は、取出し具付き容器211から蓋213を取り外した状態を示す。
【0083】
蓋213は、上下方向の中心線C3を中心軸とする略正三角柱状に形成される。中心線C3は、蓋213の閉状態において中心線C1と一致する。蓋213の天板部226からは、二重の周壁部である内側周壁部232及び外側周壁部233が下方に垂れ下がるように垂設される。これらの二重の周壁部232,233に挟まれて形成される空洞を第2の空洞部234とよぶ。内側周壁部232は隠れて図示されていないが、他の実施形態と同様に中心線C3を中心軸とする略円筒状に形成される。外側周壁部233は、中心線C3を中心軸とする略正三角筒状であり、かつ、横断面がルーローの三角形(Reuleaux Triangle)の形状を有する。第2の空洞部234は隠れて図示されていない。
【0084】
容器本体212は内容物を充填するための内容器部214を有する。内容器部214は開口部215において上向きに開口し且つ下底部分に底部216を有する。内容器部214の側面は上下方向の中心線C2を中心軸とする略円筒状に形成される。中心線C2は中心線C1と一致する。
【0085】
また、容器本体212は上下方向の途中位置において内容器部214から径方向外向きに延設される拡径部217を有する。この拡径部217の周囲から下方に垂れ下がるように外筒部218が垂設される。外筒部218は、中心線C2を中心軸とする略正三角筒状に形成される。また、外筒部218の横断面はルーローの三角形(Reuleaux Triangle)の形状を有する。そして、拡径部217の内側縁は内容器部214の外周面に沿って平面視における円形状に形成される。他方で、拡径部217の外側縁は外筒部218の上端に沿って平面視における略正三角形状に形成される。
【0086】
容器本体212には、拡径部217に穿設される挿入孔219に取出し具221の取出し部222が挿通される。この挿入孔219は平面視において内容器部214の左側に設けられる。
【0087】
図13は、取出し具付き容器211を斜め下方から視た斜視図を表わす。容器本体212の前記途中位置よりも下側の部分である容器本体下部227は、内容器部214と外筒部218とによる径方向の二重の構造を有する。これらの内容器部214と外筒部218とによって形成される空洞を第1の空洞部231とよぶ。そして、取出し部222は、取出し具221が挿入された状態において第1の空洞部231の内部に配置される。
【0088】
このとき、取出し部222は、第1の空洞部231の内部において内容器部214の外周面と外筒部218の内周面との両方から離れて配置される。そのため、取出し部222に付着された内容物は容器本体212内に付きにくく且つ滞留しにくい。これにより、使用者は取出し具付き容器211の取出し具221を衛生的に使用することができる。
【0089】
その他の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態と共通する。
【0090】
なお、蓋213が内容器部214に対して螺着及び螺脱するときに、各周壁部232,233が取出し具221に干渉しなければ、挿入孔219は、拡径部217の別の位置に穿設されてもよい。すなわち、その場合、蓋213が回転しても取出し具221の柄部223は第2の空洞部234の内部に留まり、各周壁部232,233に当接しない位置に穿設される。
【0091】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態を、図14及び図15を用いて説明する。図14(a)の斜視図において311は本発明の取出し具付き容器である。取出し具付き容器311は全体に上下方向の中心線C1を中心軸とする略正四角柱状に形成される。また、取出し具付き容器311は容器本体312と蓋313とを備える。図14(b)の斜視図は、取出し具付き容器311から蓋313を取り外した状態を示す。
【0092】
蓋313は、上下方向の中心線C3を中心軸とする略正四角柱状に形成される。中心線C3は、蓋313の閉状態において中心線C1と一致する。蓋313の天板部326からは、二重の周壁部である内側周壁部332及び外側周壁部333が下方に垂れ下がるように垂設される。これらの二重の周壁部332,333に挟まれて形成される空洞を第2の空洞部334とよぶ。内側周壁部332は隠れて図示されていないが、他の実施形態と同様に中心線C3を中心軸とする略円筒状に形成される。外側周壁部333は、中心線C3を中心軸とする略正四角筒状である。第2の空洞部334は隠れて図示されていない。
【0093】
容器本体312は内容物を充填するための内容器部314を有する。内容器部314は開口部315において上向きに開口し且つ下底部分に底部316を有する。内容器部314の側面は上下方向の中心線C2を中心軸とする略円筒状に形成される。中心線C2は中心線C1と一致する。
【0094】
また、容器本体312は上下方向の途中位置において内容器部314から径方向外向きに延設される拡径部317を有する。この拡径部317の周囲から下方に垂れ下がるように外筒部318が垂設される。外筒部318は、中心線C2を中心軸とする略正四角筒状に形成される。そして、拡径部317の内側縁は内容器部314の外周面に沿って平面視における円形状に形成される。他方で、拡径部317の外側縁は外筒部318の上端に沿って平面視における略正方形状に形成される。
【0095】
容器本体312には、拡径部317に穿設される挿入孔319に取出し具321の取出し部322が挿通される。この挿入孔319は平面視において内容器部314の左側に設けられる。
【0096】
図15は、取出し具付き容器311を斜め下方から視た斜視図を表わす。容器本体312の前記途中位置よりも下側の部分である容器本体下部327は、内容器部314と外筒部318とによる径方向の二重の構造を有する。これらの内容器部314と外筒部318とによって形成される空洞を第1の空洞部331とよぶ。そして、取出し部322は、取出し具321が挿入された状態において第1の空洞部331の内部に配置される。
【0097】
このとき、取出し部322は、第1の空洞部331の内部において内容器部314の外周面と外筒部318の内周面との両方から離れて配置される。そのため、取出し部322に付着された内容物は容器本体312内に付きにくく且つ滞留しにくい。これにより、使用者は取出し具付き容器311の取出し具321を衛生的に使用することができる。
【0098】
その他の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態と共通する。
【0099】
なお、蓋313が内容器部314に対して螺着及び螺脱するときに、各周壁部332,333が取出し具321に干渉しなければ、挿入孔319は、拡径部317の別の位置に穿設されてもよい。すなわち、その場合、蓋313が回転しても取出し具321の柄部323は第2の空洞部334の内部に留まり、各周壁部332,333に当接しない位置に穿設される。
【0100】
以上、本発明の実施形態について例示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0101】
例えば、取出し具の取出し部は左右方向視における略長方形状に限らず、内容物を掬って取り出すことができ且つ挿入孔に挿通することができれば長方形状以外の形状でもよい。一例として、しゃもじのような形状であってもよい。また、取出し具の取出し具は、挿入孔に挿通することができ且つ蓋の回転を邪魔しなければもう少し立体的な形状でもよい。
【0102】
挿入孔の形状は、必ずしも横長状でなくともよく、拡径部にもっとスペースがあり且つ蓋の回転を邪魔しなければもっと長さに対する幅が大きくともよい。
【0103】
また、外筒部又は蓋は、平面視において円形状、楕円形状、正三角形状及び正方形状に限らず、蓋が容器本体に対して回転し且つ取出し部の柄部に干渉しなければ、五角形以上の多角形状でもよく、また、真円、正多角形等に限らず歪な円形状、多角形状などでもよい。多角形状の場合、例示したようなルーローの多角形に限らず、例えば角丸のような変則的な多角形状でもよい。
【0104】
さらに、蓋は容器本体に対してネジ部によって螺着及び螺脱される以外にも、蓋が内容器部を確実に被蓋することができれば、例えばヒンジによって接合されてもよく、また、内嵌合又は外嵌合によって嵌め込まれるような構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、クリーム状の化粧品、薬品等が充填され且つこれらの内容物を取り出すことができる取出し具を備える取出し具付き容器に利用できる。
【符号の説明】
【0106】
11,111,211,311 取出し具付き容器
12,112,212,312 容器本体
13,113,213,313 蓋
14,114,214,314 内容器部
15,115,215,315 開口部
16,116,216,316 底部
17,117,217,317 拡径部
18,118,218,318 外筒部
19,119,219,319 挿入孔
21,121,221,321 取出し具
22,122,222,322 取出し部
23,51,123 柄部
24 パッキング材
26,126,226,326 天板部
31,131,231,331 第1の空洞部
32,132,232,332 内側周壁部
33,133,233,333 外側周壁部
34,134,234,334 第2の空洞部
35 膨出部
41 ネジ山
42 雄ネジ部
43 ネジ溝
44 雌ネジ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図15