(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】向上した検出結果を持つ光検出器
(51)【国際特許分類】
H10K 30/60 20230101AFI20250227BHJP
H10K 30/87 20230101ALI20250227BHJP
H10K 30/30 20230101ALI20250227BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K30/87
H10K30/30
(21)【出願番号】P 2021568990
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2020063660
(87)【国際公開番号】W WO2020234171
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102019113343.2
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521336141
【氏名又は名称】ゼノリクス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】メーアハイム・リコ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤーネル・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】レーオ・カール
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159183(US,A1)
【文献】特開昭63-237583(JP,A)
【文献】特開平06-323900(JP,A)
【文献】特開平04-101483(JP,A)
【文献】特開平04-237583(JP,A)
【文献】特開2014-045015(JP,A)
【文献】特開2007-158338(JP,A)
【文献】WANG, Wei et al.,“A novel resonant cavity photodetector with dual-absorption structure”,Asia Communications and Photonics Conference and Exhibition,2010年12月,DOI: 10.1109/ACP.2010.5682787
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 10/00-99/00
H10K 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイス(100~106、108)を備えた、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器(1~8)において、
-互いに隔てられた並行な二つの鏡層(11、11a、11’、12、12a)によって形成された第一の光学的キャビティ、但し、この第一の光学的キャビティの長さ(L、L
a)は、前記第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波(13、13a、14)が前記第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
-前記第一の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル(21、21a、22、22a、23)、但し、前記検出セル(21、21a、22、22a、23)はいずれも光活性層(210、220、230)を含み、ここで、この光活性層(210、220、230)は、それぞれ、前記共振波(13、13a、14)の正確に一つの振動最大が前記光活性層(210、220、230)内に存在するように、前記第一の光学的キャビティ内に配置されている;
を含み、
ここで、前記第一の光電子デバイス(100~106、108)の前記共振波(13、13a、14)の次数は1よりも大きい、
光検出器(1~8)であって、
-少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層(30、31)が、前記共振波(13
、13a、14)の振動節が前記
の光学的に吸収性
の中間層(30、31)中に存在するように、それぞれ前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、ここで、前記
の光学的に吸収性
の中間層(30、31)は、特定の電磁波のエネルギーを、前記第一の光学的キャビティ内で吸収
して、前記特定の電磁波を前記第一の光学的キャビティ内で消失させることができ、ここで、
前記第一の光学的キャビティ内の前記の特定の電磁波は、前記第一の波長に属する前記共振波の波長とは異なる波長を有する、及び/または
-少なくとも一つの光学的に透過性の接触層(50)が前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、この接触層(50)は、前記少なくとも一つの検出セル(21、
21a、22
、22a、23)のうちの一つに直接接しており、電気伝導性材料でできており、そして前記第一の光電子デバイス(
100~106、108)の前記少なくとも一つの検出セル
(21、21a、22、22a、23)から発生する電気信号を
評価するための評価ユニットと電気伝導的に
接続できることを特徴とする、前記光検出器(1~8)。
【請求項2】
前記第一の光学的キャビティ中に配置された前記検出セル(21、21a、22、22a、23)のうちの少なくとも一つが、更に、第一の電荷輸送層(211、221、231)及び第二の電荷輸送層(212、222、232)を含み、これらの間に前記光活性層(210、220、230)が配置されており、ここで、前記第一の電荷輸送層(211、221、231)、前記光活性層(210、220、230)及び前記第二の電荷輸送層(212、222、232)が、前記第一の光学的キャビティの長さ
の延び方向に沿って重ねて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光検出器(1~8)。
【請求項3】
前記第一の光学的キャビティ中に配置された前記検出セル(21、21a、22、22a、23)の数が前記共振波(13、13a、14)の次数に一致する、請求項1または2に記載の光検出器(
1~8)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層(30
、31)が前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、及び前記少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層(30
、31)のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの検出セル(21
、21a、22、22a、23)のうちの一つに直接接しており、電気伝導性材料でできており、及び前記第一の光電子デバイス(
100~106、108)の前記少なくとも一つの検出セル(21
、21a、22、22a、23)から発生した電気信号を
評価するための評価ユニットと電気伝導的に
接続できることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の光検出器(
1~8)。
【請求項5】
前記第一の光電子デバイス(
100~106、108)が、少なくとも一つの外部接点(60)を有し、この外部接点(60)が、前記少なくとも一つの検出セル(21、
21a、22
、22a、23)のうちの一つの検出セルの外側表面に接しており、電気伝導性材料でできており、そして前記第一の光電子デバイス(
100~106、108)の前記少なくとも一つの検出セル
(21、21a、22、22a、23)から発生した電気信号を
評価するための評価ユニットと電気伝導的に
接続できることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載の光検出器(
1~8)。
【請求項6】
少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層(40)が前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、このスペーサ層(40)が、前記鏡層(11、11a,11’,12、12a)のうちの一つと、この鏡層(11、11a、11’、12、12a)に隣接する前記検出セル(21、
21a、22
、22a、23)との間に配置されている、請求項1~5のいずれか一つに記載の光検出器(
1~8)。
【請求項7】
少なくとも二つの前記検出セル(21、
21a、22
、22a、23)が前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、及び
更に別の光学的に透過性のスペーサ層(40)が、前記第一の光学的キャビティの長さ
の延び方向に沿って前記第一の光学的キャビティ中に重ねて配置された二つの前記検出セル(21、
21a、22
、22a、23)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一つに記載の光検出器(
1~8)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一つに記載の光検出器(
1~8)であって、
-前記光検出器(
1~8)が、前記電磁放射線の第二の波長を検出するための第二の光電子デバイス(107、109)を含み、ここで、前記第二の光電子デバイス(107、109)が、
・互いに隔てられた並行な二つの鏡層(11b、12b、11’、12)によって形成された第二の光学的キャビティ、ここで、この第二の光学的キャビティの長さは、前記第二の波長に関して、それに属する次数jの共振波(13b)が前記第二の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
・前記第二の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル(21b、22b)、ここで、前記検出セル(21b、22b)のいずれも光活性層(210、220)を含み、ここで、この光活性層(210、220)は、それぞれ、前記共振波(13b)の正確に一つの振動最大が前記光活性層(210、220)内に存在するように、前記第二の光学的キャビティ内に配置されている;
を含み、及び
-前記第一の光学的キャビティの長さ(L
a)が、前記第二の光学的キャビティの長さ(L
b)とは異なり、及び/または前記第二の波長に属する前記共振波(13b)の次数が、前記第一の波長に属する前記共振波(
13、13a
、14)の次数とは異なる、
ことを特徴とする、前記光検出器(
1~8)。
【請求項9】
前記第一
の光電子デバイス(100~106、108)及び
前記第二の光電子デバイス(
107、109)が、前記第一
の光学的キャビティの長さ(L
a
)の延び方向及び
前記第二の光学的キャビティの長さ(
L
b
)
の延び方向に対して垂直な方向に沿って並べて配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の光検出器(
1~8)。
【請求項10】
前記第一
の光電子デバイス(100~106、108)及び
前記第二の光電子デバイス(
107、109)が、前記第一の光学的キャビティ
の長さ(L
a
)の延び方向及び前記第二の光学的キャビティの長さ(
L
b
)
の延び方向が共通の線に沿って延びるように、重ねて配置されており、ここで、前記第一及び第二の光学的キャビティが、
前記鏡層(11b、12b、11’、12)のうちの一つである半透過性の鏡層(11’)によって互いに接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の光検出器(
1~8)。
【請求項11】
電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイス(110、110’)を備えた、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器(9、9’)において、
-互いに隔てられた並行な二つの鏡層(11、12)によって形成された第一の光学的キャビティ、ここで、この第一の光学的キャビティの長さは、前記第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波(15)が前記第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されており、ここで前記共振波
(15)の次数は1以上である;
-前記第一の光学的キャビティ中に配置され及び光活性層(210)を含む検出セル(21、21’)、ここで、該光活性層(210)は、前記共振波(15)の振動最大が前記光活性層(210)内に存在するように、前記第一の光学的キャビティ内に配置されている;及び
-前記第一の光学的キャビティ中に前記鏡層(11、12)のうちの一つと前記検出セル(21、21’)との間に配置されている、少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層(40)、
を有する、光検出器(9、9’)であって、
前記第一の光電子デバイス(110、110’)が、少なくとも一つの外部接点(60、60’)を有し、この外部接点(60、60’)が、前記検出セル(21、21’)の外側表面に接しており、電気伝導性材料でできており、そして前記第一の光電子デバイス(110、110’)の前記検出セル(21、21’)から発生した電気信号を
評価するための評価ユニットと電気伝導的に
接続できるものであることを特徴とする、前記光検出器(9、9’)。
【請求項12】
前記第一の光学的キャビティ中に配置された前記検出セル(21
、21’)が、更に、第一の電荷輸送層(211)及び第二の電荷輸送層(212)を含み、これらの間に前記光活性層(210)が配置されており、ここで、前記第一の電荷輸送層(211)、前記光活性層(210)及び前記第二の電荷輸送層(212)が、前記第一の光学的キャビティの長さ
の延び方向に沿って重ねて配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の光検出器(
9、9’)。
【請求項13】
請求項11または12に記載の光検出器(9、9’)であって、
-
前記光学的に透過性のスペーサ層(40)
として、第一のスペーサ層(40)及び第二のスペーサ層(40)が前記第一の光学的キャビティ中に配置されており、
前記第一のスペーサ層(40)が、前記鏡層(11、12)のうちの第一のものと前記検出セル(21、21’)との間に配置されており、及び
前記第二のスペーサ層(40)が、前記鏡層(11、12)のうちの第二のものと前記検出セル(21、21’)との間に配置されており、及び
-前記第一の光電子デバイス(110、110’)が、
前記少なくとも一つの外部接点(60、60’)として、少なくとも二つの外部接点(60、60’)を有し、この際、それぞれ一つの前記外部接点(60、60’)が、前記検出セル(21、21’)の外側表面上に第一の側で、及び前記検出セル(21、21’)の外側表面上に第二の側で接しており、この際、前記検出セル(21、21’)の前記第一の側及び第二の側は、前記第一の光学的キャビティの長さ
の延び方向に沿って相対している、
ことを特徴とする、前記光検出器(9、9’)。
【請求項14】
電磁放射線の分光選択的検出のため光検出器(10)において、
-前記電磁放射線の第一の波長を検出するための第一の光電子デバイス(111)であって、
・互いに隔てられた並行な二つの鏡層(11、11’)によって形成された第一の光学的キャビティ、ここで、この第一の光学的キャビティの長さ(L
a)は、前記第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波(15a)が前記第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
・前記第一の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル(21a)、ここで、前記検出セル(21a)のいずれも光活性層(210)を含み、ここで、この光活性層(210)は、それぞれ、前記共振波(15a)の正確に一つの振動最大が前記光活性層(210)内に存在するように、前記第一の光学的キャビティ内に配置されている;を有する、前記第一の光電子デバイス(111)、
及び
-前記電磁放射線の第二の波長を検出するための第二の光電子デバイス(112)であって、
・互いに隔てられた並行な二つの鏡層(11’、12)によって形成された第二の光学的キャビティ、ここで、この第二の光学的キャビティの長さ(L
b)は、前記第二の波長に関して、それに属する次数jの共振波(15b)が前記第二の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
・前記第二の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル(21b)、ここで、前記検出セル(21b)はいずれも光活性層(210)を含み、ここで、この光活性層(210)は、それぞれ、前記共振波(15b)の正確に一つの振動最大が前記光活性層(210)内に存在するように、前記第二の光学的キャビティ内に配置されている;を有する、前記第二の光電子デバイス(112)、
を備えた、光検出器(10)であって、
-前記第二の光学的キャビティの長さ(L
b)が、前記第一の光学的キャビティの長さ(L
a)とは異なり、及び/または前記第二の波長に属する前記共振波(15b)の次数が、前記第一の波長に属する前記共振波(15a)の次数とは異なっており、及び
-前記第一
の光電子デバイス(111)及び
前記第二の光電子デバイス(
112)が、前記第一
の光学的キャビティの長さ(L
a
)の延び方向及び
前記第二の光学的キャビティの長さ(
L
b
)
の延び方向が共通の線に沿って延びるように重ねて配置され、この際、前記第一及び第二の光学的キャビティは、それぞれ前記第一の光学的キャビティ及び前記第二の光学的キャビティの
前記鏡層
(11、11’、12)のうちの一つである半透過性の鏡層(11’)によって互いに接続されている、
ことを特徴とする、光検出器(10)。
【請求項15】
前記第一の光学的キャビティ中に
配置された前記少なくとも一つの検出セル(21a)または前記第二の光学的キャビティ中に配置された
前記少なくとも一つの検出セル(
21b)が、更に、第一の電荷輸送層(211)及び第二の電荷輸送層(212)を含み、それらの間に前記光活性層(210)が配置されており、ここで、前記第一の電荷輸送層(211)、前記光活性層(210)及び前記第二の電荷輸送層(212)が、前記第一の光学的キャビティ
の長さ(L
a
)の延び方向または前記第二の光学的キャビティの長さ(
L
b
)
の延び方向に沿って重ねて配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の光検出器(10)。
【請求項16】
前記第一の光学的キャビティ内に
配置された前記検出セル(21a)及び/または前記第二の光学的キャビティ内に配置された前記検出セル(
21b)の数が、
それぞれ前記第一の波長に属する前記共振波(15a)または前記第二の波長に属する前記共振波(15b)の次数に一致することを特徴とする、請求項14または15に記載の光検出器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的キャビティ及びその中に配置された少なくとも一つの検出セルを備えた光電子デバイスを含みかつ向上した検出結果を可能にする、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器は、入射放射線中の特定の波長の(以下、「光」とも称する)電磁放射線の定性的及び定量的検出のために使用される。この際、この入射放射線は、多くの様々な波長の光を含む広帯域の放射線である。このような光検出器は、多くの場合にフィルターまたは光学的キャビティを含み、これらは、キャビティ内部の入射放射線の特定の波長のみの共振を可能にする。ここで、この光学的キャビティは鏡面によって形成され、これらの鏡面は、それらの少なくとも一方は半透過性であり、そして互いから間隔Lをもって配置されている。光学的キャビティの内部では、共振波長の放射線(電磁波)が鏡面間で何度も反射及び増幅され、そしてこの際、光活性層中を通り抜けて、そこで電磁放射線が電力に変換される。このような光検出器は、例えばWO2017/029223A1(特許文献1)に記載されている。共振波のいずれも、光学的キャビティ内に自然数の振動最大を有し、そしてこれは、次数iの共振波と称され、ここでiは、振動最大の数に一致する。次数1~次数nの全ての発生した共振波が、光検出器の電気信号に寄与する。それ故、共振波の特定の波長の検出は、検出すべき波長について限られた範囲でしか可能ではないか、または多大な外的労力をかけてしか、例えば、上流のフィルターまたは測定された電気信号の複雑な評価法によってしか可能ではない。
【0003】
光学的キャビティ内での特定の波長の検出の正確さのための他の本質的なファクターの一つは、光学的キャビティによって増幅された波長範囲の幅である。個々の共振波長については先に記載した通りであり、理想的にはこれらの個々の共振波長のみが定常波を形成するが、現実には、これらの個々の共振波長の周辺の或る波長範囲がそれぞれ光学的キャビティ内で増幅され、定常波を形成する。所定の波長の外部量子効率(EQE)を決定する光学的キャビティの増幅は、おおよそ、超ガウス分布またはローレンツ分布の連続であり、この際、最大値はそれぞれ共振波長にある。共振波長は分光的にプロットされ、すなわち波長に対する光検出器の増幅の大きさの表記では、ピークとして認識し得る。ピークが存在しかつそのレンジ限界において増幅が最大の半分に達した波長範囲の幅はピーク幅と称される。このピーク幅が広い程に検出は不正確になる、というのも、増幅された波長幅内の波長はもはや互いに区別できなくなるからである。これは、ピーク波長とピーク幅の商として近似的に計算されるキャビティ品質Qによって表される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、向上した検出を可能にする、光学的キャビティを用いて電磁放射線を分光選択的に検出するための光検出器を提供することである。更に、検出器または分光器の小型化を可能する、複数の異なる波長の電磁放射線の検出のための光検出器の場所をとらない構造を提供することも狙いである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立形式請求項の一つによる光検出器によって解決される。有利な発展形態及び実施形態は、従属請求項に含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第一の本発明による観点による電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイスを含む。この場合、光検出器上に入射する電磁放射線中に第一の波長が存在するかまたは不在であることのみを(定性的情報)及び/または入射電磁放射線中の第一の波長の放射線の強度がどれほどかを(定量的情報)を検出できる。第一の光電子デバイスは、第一の光学的キャビティ、及び前記第一の光学的キャビティ内に配置された少なくとも一つの検出セルを含む。第一の光学的キャビティは、互いに隔離した並行な二つの鏡層によって形成される。本願の全ての光学的キャビティにおいて、二つの鏡層の間の間隔は、光学的キャビティの物理的な長さとして称され、以下では、簡略して光学的キャビティの長さとも称する。第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、これに属する次数iの共振波が、第一の光学的キャビティ中に形成されるように設計される。この際、一般的に、共振基準を満たす入射放射線の波長と光学的キャビティの物理的な長さとの関係については、次の関係式が適用される:
【0008】
【数1】
ここで、Lは光学的キャビティの物理的な長さであり、λiは入射波長であり、αは、入射放射線が当たる光電子デバイスの表面の法線に対する入射放射線の入射角度であり、nは、光学的キャビティ全体及び場合によりそれらの間に存在する更に別の層をわたる実効屈折率であり、そしてiは、入射波長から生じる共振波の次数である。この際、iは自然数である。第一の波長に属する共振波の次数iに相応して、光電子デバイスは、次数iのデバイスとも称される。
【0009】
以下の記載において、「共振波」と言う時は、他に明示的な記載がなければ、それぞれ、各々の光電子デバイスにおいて検出すべき波長に属する共振波を意味する。
【0010】
第一の光学的キャビティ内に配置されるいずれの検出セルも、光活性層を含む。光活性層は、好ましくは、第一の光学的キャビティの横断面全体にわたって延び、この際、横断面は、第一の光学的キャビティの長さに対して垂直に延在する。この際、検出セルの光活性層は、共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内にあるように、第一の光学的キャビティ内部にそれぞれ配置される。他の言い方をすれば、検出すべき第一の波長によって形成される共振波がどの次数を有するかに依存して、光活性層が、光学的キャビティ内に配置される。この場合、好ましくは、振動最大の位置、すなわち共振波の電磁場の強度最大の位置は、第一の光学的キャビティの長さの方向で測定される光活性層の厚さをベースとして、光活性層中のできるだけ中心に存在する。この場合、光活性層の層厚は、光活性層中にある振動最大に隣接する共振波の節がもはや光活性層中に存在しないように適応される。
【0011】
本発明では、第一の光電子デバイスの共振波の次数は1よりも大きい。別の言い方をすれば、第一の光電子デバイスでは、第一の光学的キャビティにおいて次数2、3、4またはより高次数の共振波を形成する第一の波長が検出される、というのも、光活性層が、この共振波の正確に一つの振動最大中に配置されるからである。
【0012】
より高次数の共振波は、従来技術で検出された第1次数の共振波と比べて、明らかにより狭いピーク幅を有するために、異なる波長のより精密な区別化、すなわち光検出器の良好な分光的解像を達成することができる。
【0013】
好ましくは、検出セルのうちの少なくとも一つは、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、この際、光活性層は、前記の第一及び第二電荷輸送層の間に配置される。個々の層は、第一の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置される。第一及び第二の電荷輸送層もまた、好ましくは、第一の光学的キャビティの横断面全体にわたって延在し、この際、第一の電荷輸送層は光活性層の第一の表面に、そして第二の電荷輸送層は光活性層の第二の表面に接し、そして前記第二の表面は、前記第一の表面と反対位置にある。電荷輸送層は、光活性層からの荷電の抽出及び(電極とも称される)電気的接点へのそれの伝導に役立ち、前記電気的接点は、検出セル中に生成される電気信号を、それらの評価に適した評価ユニットに送る。これらの電荷輸送層は、特に、10nm未満の厚さを有する非常に薄い光活性層の場合に有利であり、そしてこの場合、10nm以上の厚さで形成される。より厚手の光活性層の場合は、電荷輸送層は、非常に薄くのみ、例えば1nm~5nmの範囲の厚さで形成することもでき、そのため、これらは、注入層または抽出層とも称することができる。両方のケースにおいて、電荷輸送層は、必ずしも、いつもドープされた層である必要はない。
【0014】
鏡層は、高反射性金属層、例えば銀(Ag)または金(Au)、半透過性金属混合層、例えばAg:Caでできた高反射性金属層として、または誘電性鏡(DBR-分布ブラッグ反射鏡)として形成することができる。この際、鏡層のうちの少なくとも一つは、入射光を光学的キャビティ中に入れるために半透過性であり、他方で、他の鏡層は不透過性であることができる。この特性は、例えば、鏡層の厚さ並びに/または鏡層の構成分の材料及び混合比を介して調節でき、これは当業者には既知である。鏡層が、良好な電気伝導性を有する材料から、例えば伝導性酸化物、伝導性有機化合物または金属からできている場合は、鏡層は、検出セル内に生成された電気信号を、それらを評価するのに適した評価ユニットに送るための電極として機能し得る。評価ユニットは、必ずしも光検出器の一部ではないが、固定してそれに接続することができ、そして光検出器が形成されている同じ土台上または中に形成することができる。誘電性鏡の場合は、良好な電気伝導性を持つ材料、例えば薄い金属層でできた薄い層を、鏡層のうちで検出セルの方を向いた最後の誘電性層上に設けることができ、そうして、この場合も、鏡層は電極として機能し得る。検出セルの電気接触の更に別の可能性は後ほど説明する。
【0015】
光活性層としては、特に、800nm≦λi≦10μmの近赤外(NIR)範囲内の波長の検出のためには、以下の材料が考慮される:次の物質群の材料などのドナーと混合したフラーレン類、例えばC60またはC70:フタロシアニン類(例えば亜鉛フタロシアニンまたは鉄フタロシアニン)、ピラン類、例えばビスピラニリデン(TPDPとも簡略される)、フルバレン類、例えばテトラチオフルバレン(OMTTFとも称される)、並びに芳香族アミン類(例えば、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン類(MeO-TPDとも称される)、2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシ-フェニル)アミノ]9,9-スピロ-ビフルオレン(スピロ-MeO-TPDとも簡略される)または4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニル-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATAとも簡略される)、ビスチオピラニリデン類、ビピリジニリデン類またはジケトピロロピロール類。HatCN:BFDPB、HATCN:4P-TPD、HATCN:a-NPBなどの物質も可能であろう。当然ながら、任意の他の光活性材料、例えば、液体処理を用いて生成されるポリマー、例えばピリチオフェン類(例えば、ポリ(2,5-ビス(3-アルキルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン類(pBTTTとも簡略される)の物質群からのポリマーも考慮できる。
【0016】
この場合、光活性層は、それぞれ、0.1nm~1μmの範囲にある厚さを有することが好ましく、この際、光活性層の厚さは、光活性層の材料にも、また光電子デバイスの全体的な構造にも依存する。特に好ましくは、例えばC60:TPDPを用いた、直接発色団間電荷輸送状態を利用する電荷輸送光ダイオード(CTPD)のための光活性層の厚さは、10nm~1000nmの範囲であり、他方で、直接的な材料吸収を利用し及びバルク-もしくはフラットヘテロ型接合(BHJ、FHJ)において電荷キャリアを分離する光ダイオード、例えばC60:ZnPcの場合は、これは0.1nm~100nmの範囲である。
【0017】
電荷輸送層としては、例えば、芳香族アミン類(例えば、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン類(MeO-TPDとも簡略される)または2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]9,9-スピロジフルオレン類(スピロ-MeO-TPDとも簡略される)またはN4,N4’-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N4,N4’-ジフェニルビフェニル-4,4’-ジアミン類(BF-DPBとも簡略される)または9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン(BPAPFとも簡略される)、またはPo-3,4-エチレンジオキシチオフェンポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSSとも簡略される)などのポリマー、スピロTTB、NDP9、F6-TCNNQ、C60F48、BPhen、C60、HatnaCl6、MH250、W2(hpp)4、Cr2(hpp)4、NDN26を使用することができる。当然ながら、他の適当な材料、または少なくとも二種の前記材料の組み合わせも使用することができる。この場合、検出セルの第一の電荷輸送層の材料と第二の電荷輸送層の材料とは、一方の材料が電子伝導性材料であり、他方が正孔伝導性材料である点で異なっている。電荷輸送層の材料はドープされた材料であることができるが、そうである必要はない。
【0018】
電荷輸送層の電気伝導度は、好ましくは10-5S/cm超の範囲にある。電荷キャリア輸送層の厚さは、好ましくは1nm~100nmの範囲にあり、この際、この厚さは、一般的に、第一の光学的キャビティ中の検出セルの数が多くなるほど薄くなる。更に、この検出セルの第一の電荷輸送層の厚さは、この検出セルの第二の電荷輸送層の厚さとは異なっていてよい。
【0019】
異なる検出セルが第一の光学的キャビティ中に存在する場合は、これらの異なる検出セルの光活性層及び、存在する場合には、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層は、材料及び厚さに関して互いに異なっていてよい。
【0020】
当然ながら、いずれの場合も、第一の光学的キャビティ内に存在する全ての層、すなわち一つまたは複数の光活性層、場合により電荷輸送層及び/または更に別の層の厚さの合計は、第一の光学的キャビティの長さと同じである。
【0021】
一実施形態では、第一の光学的キャビティ内に配置された検出セルの数は、共振波の次数に一致する。すなわち、第一の光電子デバイスは、次数2の共振波に属する第一の波長を検出すべき場合には、正確に二つの検出セルを含み、それらの光活性層は、それぞれ、正確に一つのかつ他とは異なる共振波の振動最大中に配置されており;次数3の共振波に属する第一の波長を検出すべき場合には、正確に三つの検出セルを含む、等々といった具合である。この際、これらの検出セルは、それぞれ、第一の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置されており、隣り合っている必要はない。
【0022】
代替的に、共振波の次数よりも少ない数の検出セルを第一の光学的キャビティ中に配置することもできる。例えば、原則的には、2、3またはより大きい次数の共振波を検出するためには、共振波の正確に一つの振動最大が存在するように光活性層が光学的にキャビティ内部に配置されている一つの検出セルでも十分である。これは、光検出器の製造を簡素化し、そして形成されていない検出セルの代わりに、簡単でかつ低廉な材料を使用することによって製造コストを減少させる。
【0023】
好ましくは、第一の光学的キャビティにおいて、少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層を、共振波の正確に一つの振動節がこの光学的に吸収性の中間層中に存在するように配置する。次数2よりも大きな次数の共振波の検出のために形成された光電子デバイスでは、好ましくは、複数の光学的に吸収性の中間層を、共振波の各々の振動節が正確に一つの光学的に吸収性の中間層中に存在するように、配置する。前記の少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層は、第一の波長に属する共振波とは異なる次数の共振波の吸収に役立つ。特に、第一の波長に属する共振波に隣接する共振波は節において消滅し、他方で、第一の波長に属する共振波はほとんど影響を受けない。それ故、第一の波長への検出された電気信号の帰属を第一の波長のより広い範囲について保証でき、そしてこのような光検出器の使用可能性を拡張できる。
【0024】
実施形態では、光学的に吸収性の中間層のうちの少なくとも一つは、検出セルに直接接しており、すなわち、この検出セルの光活性層にまたは存在する場合には電荷輸送層のうちの一つに直接接しており、そして電気伝導性材料でできている。更に、これは、第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルによって生成された電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続することが適している。それ故、関連する検出セルの光活性層または存在する場合には然るべき電荷輸送層が電気伝導性鏡層に直接接していない場合でも、この種の中間層が、電気的接点として、検出セルからの電気信号の引き出しのために役立つ。
【0025】
更に別の実施形態では、第一の光学的キャビティ中に、少なくとも一つの光学的に透過性の接触層が配置され、これは、検出セルに直接、すなわちこの検出セルの光活性層または存在する場合には電荷輸送層のうちの一つに直接接し、そして電気伝送性材料でできている。この接触層は、第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルによって生成された電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するのに適している。それ故、関連する検出セルの光活性層または存在する場合には然るべき電荷輸送層が電気伝導性鏡層または電気伝導性中間層に直接接していない場合でも、これが、電気的接点として、検出セルからの電気信号の引き出しのために役立つ。この場合、これは、特に第一の波長に属する共振波長に対して光学的に透過性である。
【0026】
光学的に吸収性の中間層の材料としては、有機小分子、有機混合層またはポリマー、例えば高ドープ化正孔伝導性材料、例えば量子ドット(QD)を有するMeO-TPD:F6TCNNQまたはPEDOT:PSSでできた層を使用することができる。光学的に吸収性の中間層が電気伝導性であるべき場合は、金属、例えばAgまたは金属混合物、例えばAg:Ca、または伝導性酸化物、例えば酸化インジウムスズ(ITO)または酸化亜鉛(ZnO)もしくはアルミニウムドープした酸化亜鉛(AZO)も使用することができる。光学的に透過性の接触層も同じ材料からできていることができる。この場合、このような中間-もしくは接触層の光学的及び電気的特性は、厚さ及び材料の混合を介して調節できる。これらの層の厚さは、金属の場合は、好ましくは0.1nm~40nmの範囲、更に好ましくは5nm~10nmの範囲であり、他方では、ポリマーまたは酸化物の場合は、20nm~100nmの範囲、更に好ましくは30nm~60nmの範囲であり、ここで、いずれの場合も、薄い厚さには、高い光学的透過性が伴う。
【0027】
本発明の意味において、光学的に吸収性の中間層として使用される光学的に吸収性の層とは、特定の電磁波の多くのエネルギーを、それが消失するように吸収するのに適した層のことと解される。このような特定の電磁波は、第一の波長に属する共振波長とは異なる波長を有する。この目的のためには、光学的に吸収性の層の材料は、第一の波長に属する共振波長とは異なる波長のみに対して吸収性であることができ、他方で、これは、第一の波長に属する共振波長に対しては吸収性ではない。しかし、吸収係数のこのような特定の波長依存性は、大概の材料において、隣接する共振波長にとって十分な程度ではなく、そのため、吸収される波長の選択は、先に記載した様に、光学的キャビティ内部での吸収層の空間的配置によっても行われる。或る電磁波についての吸光度は、電磁波の特定の波長での材料の吸収係数kと、層の厚さd並びに層領域における電磁波のエネルギーEとの積に依存することが一般的に当てはまるので、第一の波長に属する共振波長に相当しない波長についてのこの積は、本発明では、1・E以上の値を有する(k・d・E≧1・E)。それより、特定の電磁波の消失を達成するためには、非常に大きい吸収係数kを有する材料でできた層は非常に薄く作ることができ、他方で、比較的に低い吸収係数kを有する材料でできた層は相応してより厚く作る必要がある。これに対して、本願の意味において、例えばスペーサー層としてまたは光学的に透過性の接触層として使用される光学的に透過性の層とは、特定の電磁波のできるだけ少ないエネルギーを吸収し、それによりこの波に殆ど影響を与えないかまたは少なくとも光活性層よりは低い程度でしか影響を与えない層のことと解される。ここで、前記の特定の電磁波は、第一の波長に属する共振波長を有する電磁波である。このためには、特定の電磁波の波長での材料の吸収係数kと、層の厚さd並びにこの層の領域での特定の電磁波のエネルギーEとの積は、1未満の値を有する(k・d・E<1・E)。それにより、特定の電磁波の影響を小さく保つためには、非常に小さな吸収係数kを有する材料でできた層は比較的厚く作ることができ、他方で、比較的より大きい吸収係数kを有する材料でできた層は相応して比較的薄く作る必要がある。金属の場合の典型的な吸収係数は、例えば0.5超の範囲にあり、他方で、光活性層のための典型的な材料は、0.01未満の吸収係数を有する。電荷輸送層のための典型的な材料は、0.1未満の吸収係数を有する。
【0028】
評価ユニットへの検出セルの電気的接触が、このような中間層または接触層を介して確立される場合は、ここでは電気的接触にもはや必要ではない鏡層は、それの光学的特性、すなわち反射または半透過特性に関して最適化することができる。光電子デバイスの光学的要素及び電気的要素を分離することによって、鏡層の光学的特性の向上を介した検出結果の向上が可能である。
【0029】
他の実施形態では、第一の光電子デバイスは少なくとも一つの外部接点を有し、これは、検出セルの外側の表面に、すなわち、光活性層のまたは存在する場合には電荷輸送層のうちの一つの外側の表面に接しており、そして電気伝導性材料でできている。この外部接点は、第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルによって生成された電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するのに適している。それ故、この検出セルの光活性層または存在する場合には電荷輸送層が電気伝導性鏡層または電気伝導性中間層または接触層に直接接していない場合でも、そのような外部接点が、電気的接点として、関連する検出セルからの電気信号の引き出しのために役立つ。このような外部接点のための材料としては、特に金属、例えばAgまたはAuが使用される。
【0030】
好ましくは、第一の光電子デバイスは、少なくとも二つのこのような外部接点を有し、これらは、検出セルの相対する側上に配置される。これらの相対する側は、光学的キャビティの長さに沿って隔てられている検出セルの対応する側、すなわち、例えば、第一の鏡層側の光活性層の第一の側と、第二の鏡層側の光活性層の第二の側、または第一の電荷輸送層と第二の電荷輸送層である。当然ながら、いずれの場合も、両外部接点間は電気的に分離されている必要がある。それにより、光活性層に直接接している外部接点は、非常に薄い光活性層ではなく、むしろ厚手の光活性層のために使用可能である。一つの検出セルに二つの外部接点を有する実施形態では、共振波に光学的に影響を与え得る追加的な電気伝導層はこの検出セル中には存在せず、また同時に、検出セルの電気的接触は鏡層から切り離されているため、光学的キャビティ中に存在する層は、それらの光学的特性について最適化することができる。それにより、キャビティ品質の向上を介した検出結果の更なる向上が可能である。
【0031】
一つの光電子デバイスにおいて、電気的接触のための上記の手段は、一つの検出セルにおいてまたは異なる検出セルのために使用することもできる。
【0032】
該光検出器の実施形態では、少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層が第一の光学的キャビティ内に配置され、このスペーサ層は、鏡層のうちの一つと、この鏡層に隣接した検出セルとの間に配置される。この光学的に透過性のスペーサ層は、上述のように、少なくとも、第一の波長に属する共振波長を有する定常波には殆ど影響を与えない層である。スペーサ層の材料及び厚さは、上記の条件に応じて選択され、この際、厚さは、光学的キャビティ中に存在する他の層の厚さ及び光学的キャビティの長さにも依存する。
【0033】
二つ以上の検出セルが第一の光学的キャビティ中に配置される場合には、本発明による光検出器の実施形態においては、上記のタイプの光学的に透過性のスペーサ層が、第一の光学的キャビティの長さに沿って第一の光学的キャビティ内に重ねて配置された二つの検出セルの間に配置される。
【0034】
この際、光学的に透過性のスペーサ層は、好ましくは電気的に非伝導性であり、すなわち電気絶縁性であり、そして好ましくは、透過性酸化物、例えばAl2O3、SiO2、TiO2、または例えば電荷輸送層のためにも使用されるような有機化合物でできている。この場合、これらの層は、好ましくは、10-6/cm2/Vs未満の電荷移動性を有し、及びそれ故、非常に低い電気伝導性しか持たない。この場合、スペーサ層に接する検出セルの電荷輸送層の、評価ユニットへの電気的接触は、先に記載した通り、電気伝導性中間層または接触層または外部接点を介して確立される。それ故、電気的接触にもはや必要ではない鏡層、並びに光学的キャビティ内の残りの層は、それらの光学的または電気的特性に関して互いに独立して最適化することができる。光検出器の光学的要素と電気的要素を切り離すことによって、検出結果の向上が可能である。
【0035】
実施形態では、該光検出器は、電磁放射線の第二の波長の検出のための第二の光電子デバイスを含む。第二の光電子デバイスは、第一の光電子デバイスと同様に、第二の光学的キャビティ、及び第二の光学的キャビティ内に配置された少なくとも一つの検出セルを含む。第二の光学的キャビティもまた、互いに隔離した並行な二つの鏡層によって形成され、この際、第二の光学的キャビティの長さは、第二の波長に関して、それに属する次数jの共振波が第二の光学的キャビティ内に形成するように設計される。第二の光電子デバイスのいずれの検出セルも、光活性層を含む。この際、光活性層は、共振波の一つの振動最大が光活性層内にあるように、第二の光学的キャビティ内部にそれぞれ配置される。このような光検出器では、第一の光学的キャビティの長さは、第二の光学的キャビティの長さとは異なり、及び/または第二の波長に属する共振波の次数は、第一の波長に属する共振波の次数とは異なる。この場合、第二の光電子デバイスの共振波の次数も次数1であることができる。好ましくは、第二の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルも、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、それらの間に光活性層が配置される。すなわち、前記層は、第二の光学的キャビティの長さに沿って重ねて、すなわち互いに接した状態で配置される。
【0036】
このような光検出器では、前記第一及び第二光電子デバイスは、第一及び第二光学的キャビティの長さに対して垂直な方向に沿って隣に並べて配置することができる。この配置は横配置とも称される。この場合、各々の光電子デバイスが個別(別個)に評価ユニットと接続可能であるように、これらは互いに間隔を開けて配置されそして物理的に互いに隔離されていることができる。第一及び第二光電子デバイスは、互いに接した状態で配置することもでき、但しこの際、(存在する場合には)電荷輸送層の、及び/または電子信号を外部に出す光電子デバイスの層、例えば鏡層、中間層または接触層の電気的分離、すなわちこれらの層のピクセル化が必要である。異なる光電子デバイスの所与の横配置は、光学的キャビティの長さに対して垂直方向に沿って一度または複数回繰り返して並列させることができ、すなわち横に並べて配置することもできる。それにより、画像形成装置、所謂、イメージャーシステムを実現できる。
【0037】
二つの光電子デバイスを備える光検出器の他の実施形態では、第一の光学的キャビティの長さ及び第二の光学的キャビティの長さが、共通の線に沿って延びるように、第一及び第二の光電子デバイスは互いに重ねて配置される。この配置は垂直配置とも称される。この場合、第一及び第二の光学的キャビティは、半透過性の鏡層によって互いに接続されている、すなわち、第一の光学的キャビティと第二の光学的キャビティが、両光電子デバイスの各々においてそれぞれ鏡として役立つこの半透過性の鏡層を共有している。光電子デバイスのスタックに似たこの構造を用いると、一方では、光検出器の活性表面積が減少され得る。他方で、この構造は、入射電磁放射線の特定の入射角に選択的に応答する光検出器を可能とし、この場合、光学的キャビティの長さが長い光電子デバイスは、入射放射線中の規定の波長または規定の波長範囲を大きい入射角度で検出し、他方で、光学的キャビティの長さが比較的短い光電子デバイスは、入射放射線中の同じ規定の波長または同じ規定の波長範囲を小さい入射角度で検出し、但しここで、両光電子デバイスは同じ次数のデバイスである。当然ながら、これらの両光電子デバイスの角度依存性の異なる応答挙動は、光学的キャビティの長さを介してではなくまたはこれのみを介してではなく、光電子デバイスの異なる次数によってもまたは追加的に光電子デバイスの異なる次数によっても、達成することができる。
【0038】
第二の本発明による観点による電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイスを含む。この場合、光検出器上に入射する電磁放射線中に第一の波長が存在するかまたは不在であることのみを(定性的情報)及び/または入射電磁放射線中の第一の波長の放射線の強度がどれほどかを(定量的情報)を検出できる。第一の光電子デバイスは、第一の光学的キャビティ、及び前記第一の光学的キャビティ内に配置された検出セル、及び少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層を含む。この第一の光学的キャビティは、互いに隔離した並行な二つの鏡層によって形成され、この際、第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波が第一の光学的キャビティ内に形成するように設計される。既に先に述べた式(1)が適用され、ここで、iは1以上であることができる。
【0039】
第一の光学的キャビティ内に配置された検出セルは、光活性層を含み、これは、好ましくは、第一の光学的キャビティの横断面全体にわたって延び、この際、横断面は、第一の光学的キャビティの長さに対して垂直に延在する。この際、検出セルの光活性層は、共振波の振動最大が光活性層内にあるように、第一の光学的キャビティ内部に配置される。それにより、この光活性層は、好ましくは、長さをベースにして第一の光学的キャビティの中心に配置される。
【0040】
好ましくは、検出セルは、更に、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、この際、光活性層は、前記の第一及び第二電荷輸送層の間に配置される。個々の層は、第一の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置される。第一及び第二の電荷輸送層もまた、好ましくは、第一の光学的キャビティの横断面全体にわたって延在し、この際、第一の電荷輸送層は光活性層の第一の表面に、そして第二の電荷輸送層は光活性層の第二の表面に接し、そして前記第二の表面は、前記第一の表面と反対位置にある。電荷輸送層は、光活性層からの荷電の抽出及び(電極とも称される)電気的接点へのそれの伝導を向上し、前記電気的接点は、検出セル中に生成される電気信号を、それらの評価に適した評価ユニットに送る。この電荷輸送層は非常に薄く形成することができ、それにより、これは、注入または抽出層とも称することができる。これは、必ずしもドープした層である必要はない。
【0041】
少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層は、鏡層のうちの一つと検出セルとの間に配置される、すなわちこの検出セルの関連する鏡層と光活性層との間に、または関連する鏡層と、この鏡層に隣接する電荷輸送層との間に配置される。光学的に透過性のスペーサ層は、それの光学的特性に関しては上述のように形成され、更に、電気絶縁性である。それにより、光活性層または対応する電荷輸送層からの電気信号は、対応する隣接する鏡層を介しては読み取ることはできず、すなわち評価ユニットに送ることはできない。
【0042】
それ故、本発明によれば、第二の観点による光検出器の第一の光電子デバイスは、少なくとも一つの外部接点を含み、この外部接点は、検出セルの外側表面に接している、すなわち少なくとも一つのスペーサ層によって隣接する鏡層から分離されている、光活性層または(存在する場合は)電荷輸送層に接している。この外部接点は、電気伝導性材料、例えば第一の観点に従う光検出器に関して既に述べたような材料でできており、そして、電気伝導的に評価ユニットと接続するのに適しており、この際、前記評価ユニットは、第一の光電子デバイスの検出セルから生成される信号を評価するのに適したものである。
【0043】
第一の光学的キャビティの横断面の広範な領域にわたって延在する電気伝導性接触層を無しで済まし、そしてその代わりに、電気接点が検出セルの外側表面に敷設されているので、光学的キャビティ中の共振波の光学的伝播は妨害されにくくなり、それによって、第一の光学的キャビティのキャビティ品質が向上する。更に、共振波の光路中に配置された層は、それらの光学的特性についてそれらの材料に関して最適化することができる。これらは全て、検出結果の向上に貢献する。
【0044】
第二の観点に従う光検出器の好ましい実施形態の一つでは、先に述べたような光学的に透過性のスペーサ層は、鏡層のいずれかと検出セルとの間に配置され、すなわち、検出セルの関連する鏡層と光活性層またはこの鏡層に隣接する電荷輸送層との間に配置され、そして第一の光電子デバイスは、少なくとも二つの外部接点を有し、この際、各々の場合において、前記外部接点は、第一の側上で検出セルの外側表面に、及び第二の側上で検出セルの外側表面に接している。この際、検出セルの前記の第一の側及び第二の側は、光学的キャビティの長さに沿って反対側にある。それにより、いずれの外部接点も、検出セルの第一及び第二の側上で光活性層の外側表面に、または(存在する場合は)第一の電荷輸送層のもしくは第二の電荷輸送層の外側表面に接している。
【0045】
第三の本発明による観点に従う電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイス、及び電子放射線の第二の波長の検出のための第二の光電子デバイスを含む。この場合も、光検出器上に入射する電磁放射線中に第一もしくは第二の波長が存在するかまたは不在であることのみを(定性的情報)及び/または入射電磁放射線中の第一もしくは第二の波長の放射線の強度がどれほどかを(定量的情報)を検出できる。
【0046】
第一の光電子デバイスは、第一の光学的キャビティ、及び前記第一の光学的キャビティ内に配置された少なくとも一つの検出セルを含む。この第一の光学的キャビティは、互いに隔離した並行な二つの鏡層によって形成され、この際、第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波が第一の光学的キャビティ内に形成するように設計される。既に先に記載した式(1)が適用される。
【0047】
第一の光学的キャビティ内に配置されたいずれの検出セルも、第一の観点に従う光検出器に関して全てに説明したように、光活性層を含む。この際、検出セルの光活性層は、次数iの共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内にあるように、第一の光学的キャビティ内部にそれぞれ配置される。この場合もまた、これは、第一の観点に従う第一の光電子デバイスに一致する。しかし、第一の観点に従う光検出器とは異なり、共振波は、次数1の共振波であること、すなわちi≧1であることができる。
【0048】
第二の光電子デバイスは、第二の光学的キャビティ、及び前記第二の光学的キャビティ内に配置された少なくとも一つの検出セルを含む。この第二の光学的キャビティは、互いに隔離した並行な二つの鏡層によって形成され、この際、第二の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数jの共振波が第一の光学的キャビティ内に形成するように設計される。既に先に記載した式(1)が適用され、但し、iをjに置き換える。
【0049】
第二の光学的キャビティ内に配置されたいずれの検出セルも、第一の光電子デバイスに関して既に説明したように、光活性層を含む。この際、検出セルの光活性層は、次数jの共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内にあるように、第二の光学的キャビティ内部にそれぞれ配置される。これもまた、第一の光電子デバイスの構造に一致する。この場合もまた、共振波は、次数1またはより高い次数の共振波であることができる。
【0050】
好ましくは、前記第一及び/または第二の光学的キャビティの少なくとも一つの検出セルは、更に、第一の観点に従う光検出器に関して既に説明したように、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含む。
【0051】
本発明によれば、第二の光学的キャビティの長さは、第一の光学的キャビティの長さとは異なり、及び/または第二の波長に属する共振波の次数は、第一の波長に属する共振波の次数とは異なる。この場合、両光電子デバイスの共振波は、次数1の共振波であることもできる。更に、本発明によれば、前記第一及び第二の光電子デバイスは、第一及び第二の光学的キャビティの長さが共通の線に沿って延びるように重ねて配置され、この際、前記第一及び第二の光学的キャビティは、それぞれ第一の光学的キャビティ及び第二の光学的キャビティの鏡層のうちの一つである半透過性の鏡層によって互いに接続されている。
【0052】
光電子デバイスのスタックに似たこの構造を用いると、一方では、光検出器の活性表面積が減少され得る。他方で、この構造は、入射電磁放射線の特定の入射角に選択的に応答する光検出器を可能とし、この場合、光学的キャビティの長さが長い光電子デバイスは、入射放射線中の規定の波長を大きい入射角度で検出し、他方で、光学的キャビティの長さが比較的短い光電子デバイスは、入射放射線中の同じ規定の波長を小さい入射角度で検出し、但しここで、両光電子デバイスは同じ次数のデバイスである。当然ながら、これらの両光電子デバイスの角度依存性の異なる応答挙動は、光学的キャビティの長さを介してではなくまたはこれのみを介してではなく、光電子デバイスの異なる次数によってもまたは追加的に光電子デバイスの異なる次数によっても、達成することができる。
【0053】
両光電子デバイスに属する前記の半透過性の鏡層は、第一の観点に従う光検出器に関連して既に既知の材料の一つ以上からできており、この際、材料の厚さは、第一もしくは第二の波長の反射性、及び第一もしくは第二の波長うちの他方の波長の透過性に関して調節される。前記半透過性の鏡層が、両光電子デバイスの少なくとも一つにおいて生成される電気信号を読み取るための電気接点として役立つ場合には、この半透過性の鏡層は電気伝導性である。
【0054】
実施形態では、第一の光学的キャビティ中に及び/または第二の光学的キャビティ中に配置される検出セルの数は、各々の共振波の次数に相当する。
【0055】
一つのまたは両方の光電子デバイスにおいては、第一の観点に従う光検出器の第一の光電子デバイスに関連して述べたように、光学的に透過性でかつ電気伝導性の接触層、またはスペーサ層が、鏡層のうちの一つとこの鏡層に隣接する検出セルとの間に配置されていることができる。光電子デバイスのうちの一つが、1超の次数を持つデバイスである場合には、それぞれ一つの光学的に透過性のスペーサ層を、該光電子デバイスの光学的キャビティ中においてこの光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置された二つの検出セルの間に形成することもでき、または一つ以上の光学的に吸収性の中間層を形成することができる。
【0056】
更に、第一の光電子デバイスのまたは第二の光電子デバイスの検出セルのうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの外部接点を有することができ、この外部接点は、光活性層の外側表面または電荷輸送層のうちの一つの外側表面に接しており、電気伝導性の材料からできており、そして評価ユニットと電気伝導性に接続するのに適したものであり、この際、この評価ユニットは、検出セルによって生成される電気信号を評価するのに適したものである。この場合もまた、対応する光電子デバイスにおける共振波の次数は重要ではない。
【0057】
当然ながら、更に一つ以上の更に別の光電子デバイスを、第一及び第二の光電子デバイスの上に重ねることもでき、この場合、それぞれ一つの半透過性の鏡層が、隣接する光電子デバイス間に配置されており、そして両方の隣接するデバイスに属している。
【0058】
本発明の第二または第三の観点に従う光検出器の光電子デバイスの個々の層の材料は、本発明の第一の観点に従う光検出器の光電子デバイスの層に関連して記載した材料と同様である。
【0059】
本発明のどの観点に従う光検出器も、基材上に形成することができ、環境からの影響に対する保護として、ハウジングまたはカプセルによって取り囲むことができる。しかし、少なくとも前記基材またはハウジングは、入射電磁放射線に対して透過性であり、それにより、入射電磁放射線が、光検出器に当たることができるようにする必要がある。
【0060】
本発明の意味において、前記の実施形態または個々の特徴は、これらが互いを排除するものでない限りは、光電子デバイス及び光検出器を構成するために互いに組み合わせることができる。
【0061】
以下では、本発明を実施例及び図面に基づいて明確に説明する。この際、個々の要素の寸法、及びそれらの相対的な関係は、縮尺通りではなく、単に概略的に示しただけのものである。同じ参照記号は、同じタイプの対応する部材を指す。
【0062】
他に記載がなければ、縦断面で示している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第一の実施形態であり、光電子デバイスは、次数2のデバイスであり、そして二つの検出セルを含んでいる。
【
図1B】
図1Bは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第二の実施形態であり、光電子デバイスは、次数2のデバイスであり、そして一つの検出セルを含んでいる。
【
図1C】
図1Cは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第三の実施形態であり、光電子デバイスは、次数3のデバイスであり、そして三つの検出セルを含んでいる。
【
図2】
図2は、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第四の実施形態であり、光電子デバイスは、次数2のデバイスであり、そして光学的に吸収性の中間層を含んでいる。
【
図3】
図3は、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第五の実施形態であり、光電子デバイスは、次数2のデバイスであり、そしてスペーサ層並びに光学的に透過性でかつ電気伝導性の接触層を含んでいる。
【
図4A】
図4Aは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第六の実施形態であり、光電子デバイスは、次数2のデバイスであり、そしてスペーサ層並びに外部電気接点を含んでいる。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第七の実施形態であり、光検出器は、並べて配置された二つの光電子デバイスを含んでいる。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第一の観点に従う本発明による光検出器の第八の実施形態であり、光検出器は、重ねて配置された二つの光電子デバイスを含んでいる。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第二の観点に従う本発明による光検出器の第一の実施形態であり、光電子デバイスは、次数1のデバイスであり、そして外部電気接点並びに光学的に吸収性のスペーサ層を含んでいる。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第二の観点に従う本発明による光検出器の第二の実施形態であり、検出セルは、電荷輸送層を含んでいる。
【
図7】
図7は、本発明の第三の観点に従う本発明による光検出器の一実施形態であり、光検出器は、重ねて配置された次数1の二つの光電子デバイスを含んでいる。
【0064】
図1A~5Bは、本発明の第一の観点による光検出器の様々な実施形態を示す。第一の観点による全ての実施形態において、本発明は、少なくとも一つの光電子デバイスが、次数2以上のデバイスであることを特徴とする。
【0065】
図1Aは、本発明の第一の観点による本発明による光検出器の第一の実施形態1を示す。光検出器1は、光電子デバイス100を含み、これは、例えばガラスもしくは透過性プラスチックでできた透過性の第一の基材201と、第二の基材202との間に配置されている。この第二の基材202も同様に透過性であることができるが、不透過性、半透過性または反射性に形成されていることもでき、そして例えば、ガラス、金属またはプラスチックでできたカプセルであることができる。この場合、第一及び第二の基材201、202の光学的特性は、光検出器1中で検出すべき第一の波長を有する放射線に関係する。入射放射線301、例えばUV光から赤外線の波長を、すなわち100nm~50μmの範囲の波長で広範のスペクトルを含むか、または一つのスペクトル範囲、例えば780~50μmの赤外範囲の異なる波長のみを、またはこれらの範囲のうちの一つにおける一つの波長のみを含んでいてよい入射放射線301が、放射線源300から光検出器1に入射する。入射放射線301は、例えば、媒体を、例えば液体を通り付けた放射線、または媒体によって、例えば固体によって反射された放射線、または放射線源300から直接発生された放射線であることができる。入射放射線301は、
図1Aに示されるように、第一の基材201を通って光電子デバイス100中に入ることができるが、第二の基材202が相応して形成されている場合には、第二の基材202を通って光電子デバイス100中に入ることもできる。
【0066】
光電子デバイス100は、第一の基材201に接して配置されている半透過性の第一の鏡層11、及び完全に反射性でありそして第二の基材202に接して配置されている第二の鏡層12を含む。両鏡層11、12は、例えば銀(Ag)からできており、ここで、第一の鏡層11は、例えば100nmの厚さを有する第二の鏡層12よりも薄い厚さ、例えば27nmの厚さを有する。第一の鏡層11及び第二の鏡層12は、互いに並行にその間の間隔Lをもって配置されており、それ故、それらの間に光学的キャビティが形成する。光学的キャビティの長さ、すなわち間隔L、並びに光電子デバイス100の個々の層の厚さは、それぞれ、鏡層11及び12の平行な面に対して垂直に測定される。入射放射線301の特定の第一の波長について、先に記載の式(1)に従い、異なる次数及び対応する共振波長の定常共振波が光学的キャビティ内に形成する。例えば、次数2の共振波13が
図1Aに示されており、その波長は、光学的キャビティ及び放射線の経路中に存在する層、例えば第一の基材201及び第一の鏡層11の実効屈折率を介して、光検出器1中で検出すべき第一の波長と関連している。光学的キャビティ内、すなわち鏡層11と12との間には、共振波を検出するための二つの検出セル21及び22が配置されている。この際、いずれの検出セル21、22も、光活性層210または220を含み、これらには、光学的キャビティの長さに関してそれぞれ一つの面上に第一の電荷輸送層211または221が、及び光学的キャビティの長さに関してそれぞれ他方の面上に第二の電荷輸送層212または222が接している。第一の電荷輸送層221または221は、例えば、正孔伝導性材料であり、他方で、第二の電荷輸送層212または222は電子伝導性材料である。光活性層210、220は、例えばTPDP:C60からできており、そして100nmの厚さを有する。この際、光活性層210、220は、共振波13の正確に一つの強度最大(振動腹とも称する)が、光活性層210、220のうちの一つ内にそれぞれ存在するように、それぞれ光学的キャビティ内部に配置されている。光電子デバイス100によって検出される共振波13は次数2の波であるため、光電子デバイス100は、次数2のデバイスと称される。
【0067】
第一の検出セル21の第一の電荷輸送層211は、第二の鏡層12に接し、そして第二の検出セル22の第二の電荷輸送層222は、第一の鏡層11に接している。更に、第一の検出セル21の第二の電荷輸送層212及び第二の検出セル22の第一の電荷輸送層221は、互いに隣接している。検出セル21及び22中で発生する電気信号は、電気伝導性でありかつ評価ユニットと電気伝導性に接続されている鏡層11及び22を通して伝送され、この際、この評価ユニットは、入射放射線301中に含まれる第一の波長の放射線についての定性的及び/または定量的情報をこの電気信号から生成するのに適したものである。
【0068】
図1B及び1Cに関連して、光電子デバイスの次数の概念を更に説明する。基材並びに放射線源の記載は、以下の図面の殆どで省略する。
【0069】
図1Bは、本発明の第一の観点による光検出器の第二の実施形態2の光電子デバイス101を示す。
図1Aの光電子デバイス100とは異なり、光電子デバイス101の光学的キャビティ中には、
図1Aに関して記載したように形成された一つだけの検出セル21が配置されている。
図1Aの光電子デバイス100の第二の検出セル22の代わりに、この場合は、光学的に吸収性でかつ電気伝導性の中間層30及び光学的に透過性のスペーサ層40が、検出セル21と第一の鏡層11との間に配置されている。この場合もまた、検出セル21の光活性層210は、ここでも次数2の共振波である共振波13の正確に一つの強度最大のところに配置されており、他方で、中間層30は、共振波13の中央の節のところに配置されている。中間層30は光学的に吸収性のに形成されるので、鏡層11と12との間の光学的キャビティ内に原理的に形成されるであろう、その振動節が中間層30中に存在しない更に別の共振波の全ては消失する。そのため、中でも、隣接する次数の共振波、すなわち次数1及び次数3の共振波は消失する。
【0070】
図1Bに示したケースでは、スペーサ層40は、非電気伝導性かまたは難電気電送性の材料、例えばAl
2O
3でできている。それ故、中間層30は、検出セル21中で発生した電気信号を評価ユニットに送るための接触層として役立ち、そしてこの目的のために、電気伝導性材料、例えばAg:Caでできており、そして例えば6nmの厚さで形成され、この際、中間層30は、評価ユニットと電気伝導性に接続されている。この目的のためには、中間層30は、それが、光学的キャビティ中の他の層の横側の縁から張り出し、そして例えば締め金または他の接合要素、例えばボンドワイヤによって、評価ユニットへの電線と接続できるように、形成されている。スペーサ層の材料が電気伝導性である場合は、中間層も、吸光性に及び弱電気伝導性に構成されていることができる。更に、他の共振波の消失の効果が望ましくない場合は、中間層を完全に省略することもできる。全く同様に、他の実施形態においては、中間層を非吸収性であるが、電気伝導性に構成し、それによって、中間層を介した評価ユニットへの検出セル21の電気接続が可能となるが、共振波は消失しない。
【0071】
光電子デバイス101は、一つの検出セル21しか持たないが、該光電子デバイス101も次数2のデバイスである、というのも、これは、次数2の共振波を検出、評価するからである。
【0072】
図1Cには、本発明の第一の観点による光検出器の第三の実施形態3の光電子デバイス102を示す。ここでは、次数3の共振波14が検出され、そのため、該光電子デバイス102は、次数3のデバイスである。該光電子デバイス102は、三つの検出セル21~23を含み、これらは、それぞれ、光活性層210、220もしくは230、及び二つの電荷輸送層211及び212もしくは221及び222もしくは231及び232を含み、そして光学的キャビティ内に重ねて配置されている。この場合、光活性層210、220及び230は、それぞれ、光活性層210、220または230のいずれにも共振波14の正確に一つの振動最大が存在するように、光学的キャビティ内に配置される。当然ながら、該光電子デバイス102もまた、一つまたは二つの検出セルのみを有することができ、この場合、これも同様に、検出セルの各々の光活性層が、共振波14の正確に一つの振動最大のところに位置する限り、次数3のデバイスである。
【0073】
図2~4Bについては、本発明の第一の観点に従う光検出器の光電子デバイスの更なる実施形態が記載され、それぞれの場合において、例示として次数2のデバイスが示されている。それ故、
図2は、該光検出器の第四の実施形態4の光電子デバイス103を示し、この場合、光電子デバイス103は、二つの検出セル21及び22を有する。検出セル21と22との間には、光学的に吸収性であるが、電気伝導性ではない中間層31が配置されている。しかし、中間層31は、個々の検出セル21及び22が、
図2に示されるように、個々に電気的に外部に接触していない場合には、電荷輸送を邪魔しないかもしれない。この場合、中間層31は、少なくとも一つの電荷輸送、すなわち電子もしくは正孔についてまたは両方について伝導性である。これは、中間層31を非常に薄く形成することによって達成できる。例えば、中間層31は、1nm~5nmの範囲の厚さで、金属層、例えばAgでまたは金属混合層、例えばAg:Caでできていることができる。また、中間層31は、非常に薄く、高度にドープされておりかつ共振波の対応する波長範囲において吸収性の有機層で、例えば1nmの厚さでBFDPB:NDP9でできていることもできる。その代わりに、中間層31は、構造化された層として存在し、そして隣接する層から他の隣接する層への電荷輸送を可能にする正孔を有することもでき、他方、中間層31の存在する領域は、隣接する次数の共振波の消失をもたらす。この中間層31は、隣接する次数(共振波13の次数に対して隣接する次数)の共振波の消失に役立つ。共振波13の消失を防ぐためには、中間層31は、光学的キャビティ内において、共振波13の中央の振動節の位置に配置され、そして薄く、例えば1nm~5nmの範囲の厚さのみで形成される。評価ユニットへの接続は、
図1Aの光電子デバイス100の場合と同様に、電気伝導性鏡層11及び12を介して確立されるが、他の実施形態では、異なる手段で実現することもできる。
【0074】
次数2よりも大きい次数の共振波を検出するために構成されたより大きい次数の光電子デバイスでは、好ましくは、複数の光学的吸収性中間層が形成される。これらは、それぞれ、共振波のいずれの振動節も正確に一つの光学的に吸収性の中間層中に存在するように、配置されている。
【0075】
図3は、光検出器の第五の実施形態5の光電子デバイス104を示し、この場合、光電子デバイス104の光学的キャビティ中に、検出セル21及び22の他に、スペーサ層40及び電気伝導性で光学的に透過性の接触層50が配置されている。検出セル21及び22は、それぞれ互いからかつ隣の鏡層11または12から、スペーサ層40によって隔てられている。このケースでは、スペーサ層40は、非電気伝導性であるかまたは難電気伝導性であり、そのため、鏡層11もしくは12を介した検出セル21及び22への電気的接触は可能ではないため、検出セル21及び22によって発生した電気信号は、接触層50を介して評価ユニットに送られる。この目的のためには、接触層50は、それぞれ、第一及び第二の電荷輸送層211及び212または221及び222に隣接してかつこれらとスペーサ層40との間配置されており、そしてそれぞれ、評価ユニットと電気伝導的に接続させることができる。この場合、接触層50は平坦に形成される、すなわち、これらはそれぞれ、電荷輸送層211、212、221及び222の横方向の寸法全体にわたって形成される。接触層50は、共振波13の強度が節を含まないが、0(ゼロ)とは異なる強度を有する、光学的キャビティの領域内に配置されるので、接触層50は、共振波13の消失を避けるために、光学的に透過性の材料でできている必要がある。接触層50は、例えばPEDOT:PSS、ITO、ZnOまたは他の伝導性酸化物でできていることができ、そしてそれぞれ、例えば10nm~40nmの厚さを有することができる。この場合もまた、
図1B中の中間層30に関して既に説明したように、評価ユニットへの電気的接合が実現できるようにするために、接触層50は、光学的キャビティ中の他の層から幾らか横側に張り出している。
【0076】
評価ユニットへの電気接触の他の可能性を、
図4A及び4Bにおける光検出器の第六の実施形態6の光電子デバイス105に関して示す。この場合、光電子デバイス105は、平坦に形成された接触層は無いが、電荷輸送層211、212、221及び222の間の電気的接続が、それぞれ外部電気接点60を介して行われる点で、
図3の光電子デバイス104と異なっている。外部接点60は、電気伝導性の材料、例えばAgでできており、そして少なくとも、電荷輸送層211、212、221及び222の外側表面の一部と接している。この場合、電荷輸送層211、212、221及び222の外側表面は、光学的キャビティの長さ沿って延びており、そして外部接点60以外の光電子デバイス104の他の層には接していない。外部接点60は、電荷輸送層211、212、221及び222の一部と重なっていること、すなわち、鏡層11、12に対して並行に延びる電荷輸送層211、212、211及び222の表面に接していることもできるか、または電荷輸送層211、212、221及び222中にまで及ぶこともできる。しかし、外部接点60は、電荷輸送層211、212、221及び222の横方向の寸法全体に延在はしない。光学的キャビティ中に外部接点をこのように引き込むことによって、光電子デバイスの有効領域、すなわち定常波が生じ得る領域が、横方向に、すなわち光学的キャビティの長さに対して垂直な平面に制限される。更に、外部接点は、光学的アパーチャマスクとしても役立ち得る。それにより、外部接点60は、共振波13の光学的発生または伝播に殆ど影響を及ぼさない。好ましくは、外部接点60は、
図4Bに示すように、光電子デバイスの横断面中の外側表面の周囲全体に沿って、電荷輸送層211、212、221及び222を取り囲んでいる。
図4Bは、ラインA-A’に沿った
図4Aの光電子デバイス105の横断面を示す。ここで、外部電気接点60は、第一の電荷輸送層211の周りに枠を形成する。この場合も、評価ユニットへの電気的接続要素または接続線は、
図1Bに関して既に記載したように外部電気接点60に接続することができる。
【0077】
当然ながら、
図1A~4Bに記載した光電子デバイスの構造及び層の他の組み合わせも可能であり、この際、光学的及び/または電気的特性に関しての様々な層の最適化、及び検出特性及び/または製造に関しての光電子デバイスの最適化が可能である。
【0078】
図5A及び5Bに関して、本発明の第一の観点による光検出器の実施形態を記載するが、ここでは、光検出器は、入射放射線中の様々な波長の検出のために適したそれぞれ二つの光電子デバイスを含む。当然ながら、光電子デバイスの数は任意に増加でき、そして両実施形態を互いに組み合わせることもできる。
【0079】
図5Aは、二つの光電子デバイス106及び107を備えた光検出器の第七の実施形態7を示し、ここで、これらは互いに横に並べて配置されている。すなわち、光電子デバイス106及び107は、両デバイス106及び107の光学的キャビティの長さに対して垂直に延びる方向に沿って互いに並べて配置されている。図示したケースでは、両デバイス106及び107は、透過性の第一の基材201上に、互いに並べて配置されており、そしてカプセルの形の第二の基材202によって周囲から仕切られている。第一の光電子デバイス106は、第一の鏡層11a、第二の鏡層12a、並びに二つの検出セル21a及び22aを備え、ここで、前記鏡層11aと12aとの間に形成されている第一の光学的キャビティは、長さL
aを有する。第二の光電子デバイス107は、第一の鏡層11b、第二の鏡層12b、並びに二つの検出セル21b及び22bを有し、この際、鏡層11bと12bとの間に形成される第二の光学的キャビティは、長さL
bを有する。この際、図示したケースでは、L
b<L
aである。両光電子デバイス106及び107は、次数2のデバイスであり、この際、デバイス106及び107の個々の層の材料が同じ場合は、第一の光電子デバイス106は、形成した第一の共振波13aに相当する第一の波長を検出でき、そして第二の光電子デバイス107は、形成した第二の共振波13bに相当する第二の波長を検出でき、この際、第一の波長は、第二の波長よりも大きい。しかし、これらの光電子デバイスは、他の実施形態では、光学的キャビティの長さが同じ場合には、各々の共振波の次数に関しても、または各々の共振波の次数に関して及び光学的キャビティの長さに関して異なっていることができる。図示したケースでは、第一の鏡層11a及び11b並びに第二の鏡層12a及び12bは、光電子デバイス106及び107中に生成される電気信号の読み取りに役立ち、そしてこの目的のために、評価ユニット(図示せず)に電気伝導的に接続されている。他の実施形態では、電気信号は、
図1B及び3~4Bに関して図示された中間もしくは接触層または外部接点を介しても、評価ユニットに送ることができ、この際、検出セルは、各々のデバイスの一方または両方の鏡層から電気的に絶縁されていることができる。この場合、隣接する検出セルから電気的に絶縁された、異なる光活性デバイスの鏡層は、共同で及び互いに接続された状態で形成することもできる。
【0080】
図5Bは、二つの光電子デバイス108及び109を備えた光検出器の第八の実施形態8を示し、ここで、これらは互いに重ねて配置されている。すなわち、光電子デバイス108及び109の第一の光学的キャビティ及び第二の光学的キャビティの長さは、共通の線に沿って延び、この際、第一及び第二の光学的キャビティは、半透過性の鏡層によって互いに接続されている。別の言い方をすれば、光電子デバイス108及び109は積層されており、そのため、入射放射線が、両光電子デバイスの一方に達するのは、それが他方の光電子デバイスを通り抜けた後になる。図示したケースでは、入射放射線301は、光電子デバイス108を通過してから初めて光電子デバイス109中に入る。
【0081】
第一の光電子デバイス108は、半透過性の鏡層11、半透過性の鏡層11’並びに二つの検出セル21a及び22aを有し、この際、鏡層11と11’との間に形成されている第一の光学的キャビティは長さLaを有する。第二の光電子デバイス109は、半透過性の鏡層11’、第二の鏡層12並びに二つの検出セル21b及び22bを有し、この際、鏡層11’と12との間に形成されている第二の光学的キャビティは長さLbを有する。この際、図示したケースでは、Lb<Laである。しかし、Lb>Laも可能である。両光電子デバイス108及び109は、次数2のデバイスであり、この際、デバイス108及び109の個々の層の材料が同じ場合は、第一の光電子デバイス108は、形成した第一の共振波13aに相当する第一の波長を検出でき、そして第二の光電子デバイス109は、形成した第二の共振波13bに相当する第二の波長を検出でき、この際、第一の波長は、第二の波長よりも大きい。しかし、これらの光電子デバイスは、他の態様では、光学的キャビティの長さが同じ場合には、各々の共振波の次数に関しても、または各々の共振波の次数に関して及び光学的キャビティの長さに関して異なっていることができる。
【0082】
それによって、光検出器の第八の実施形態8を用いることにより、スペースを節約しつつ、入射放射線301中の二つの異なる波長を検出することができる。一つ以上の更に別の光電子デバイスを積み重ねることより、一つの光電子デバイスの横方向のスペースだけを必要とする光検出器を用いて、二つ超の異なる波長を検出することができる。
【0083】
更に、この態様を使用することによって、入射放射線301の入射角度αに選択的に応答する光検出器を形成することができる。この場合、例えば、光電子デバイス108は、大きな入射角度αで、第一の共振波13aの波長に属する、入射放射線301中の第一の波長の存在を検出し、他方で、光電子デバイス109は、小さな入射角度αで、入射放射線301中の第一の波長に属する第二の共振波13bの検出を介して、前記第一の波長の存在を検出するであろう。この場合、第一及び第二の共振波13a、13bの波長は、入射放射線301中の第一の波長及び入射角度αに一致する。
【0084】
図示したケースでは、鏡層11、11’及び12は、光電子デバイス108及び109中に発生した電気信号の読み取りに役立ち、そしてこの目的のために、評価ユニット(図示せず)に電気伝導的に接続されている。他の実施形態では、電気信号は、
図1B及び3~4Bに関して図示された中間もしくは接触層または外部接点を介しても、評価ユニットに送ることができ、この際、検出セルは、各々のデバイスの一方または両方の鏡層から電気的に絶縁されていることができる。
【0085】
当然ながら、
図5A及び5Bに関して説明した両実施形態を一つの光検出器中で実施することができる、すなわち、異なる光電子デバイスを重ねてだけではなく、互いに並べて配置するもできる。更に、これらの光電子デバイスは、それぞれ、
図1B及び2~4Bに関連して記載した実施形態のうちの一つに従い形成することもできる、すなわち、これらは、スペーサ層、光学的に吸収性の中間層、光学的に吸収性でかつ電気伝導性の中間層、光学的に透過性でかつ電気伝導性の接触層、及び/または外部電気接点を有することができ、この際、異なる光電子デバイスは、様々に構成することができる。
【0086】
図6Aは、本発明の第二の観点による本発明による光検出器の第一の実施形態9を示す。本発明の第二の観点によれば、この光電子デバイスは、次数1の光電子デバイスを一つだけ有することもできる。
図6Aにおいては、これは、光電子デバイス110であり、このデバイスは、半透過性の第一の鏡層11及び第二の鏡層12、並びにこれらの鏡層11、12の間に存在する光学的キャビティ内の検出セル21’を有する。検出セル21’は光活性層210を有するが、電荷輸送層は持たない。この場合、光活性層210は、次数1の共振波である共振波15の振動最大が光活性層210内にあるように、光学的キャビティ内に配置される。光活性層210は、光学的に透過性でかつ電気絶縁性のスペーサ層40によって、鏡層11または12からそれぞれ隔てられている。光活性層210は、
図4A及び4Bに関して既に説明した外部接点60と同様に、少なくとも二つの外部電気接点60’を介して評価ユニットに接続可能であり、そうして、検出セル21中で発生した電気信号を読み取ることができるようになっている。外部接点60’は、電気伝導性の材料、例えばAgでできており、そして少なくとも、光活性層210の外側表面の一部と接している。この場合、光活性層210の外側表面は、光学的キャビティの長さに沿って延びており、そして外部接点60’以外の光電子デバイス110の他の層には接していない。外部接点60’は、光活性層210の一部と重なっていること、すなわち、鏡層11、12に対して並行に延びる光活性層210の表面に接していることもできるか、または光活性層210中にまで及ぶこともできる。しかし、外部接点60’は、光活性層210の横方向の寸法全体にわたっては延びておらず、むしろ、最大でも横方向の寸法全体の小部分にのみ、すなわち最大でも10%にのみ延在している。好ましくは、外部接点60’は、
図4B中において外部接点60について示したのと同様に、光電子デバイスの横断面で外側表面の周囲全体に沿って、光活性層を取り囲んでいる。いずれのケースでも、外部接点60’のうちの一つは、光活性層210の第一の側に配置され、そして外部接点60’の他方は、光活性層210の第二の側に配置され、その際、これらの第一の側及び第二の側は、光学的キャビティの長さに沿って、互いに隔てられており、そして相対する位置にある。この場合、前記第一の側は、第一の鏡層11の近くにあり、他方で、第二の側は第二の鏡層12の近くにある。この場合、光活性層210は、少なくとも、光活性層210の第一の側上の外部接点60’は光活性層210の第二の側上の外部接点60’から電気的に分離、すなわち絶縁されるように、厚く形成されている。個々の層の光学的及び電気的機能を互いから分離することによって、例えば鏡層11、12の反射性機能を、外部への電気伝導性から分離することによって、光電子デバイス110の全ての構成要素を、それらの光学的性質またはそれらの電気的性質のいずれかに関して最適化することできる。外部接点60’を利用することによって、光学的キャビティ中での光学的損失が更に減少され、それ故、光検出器の検出の品質及び効率が更に高められる。
【0087】
図6Bは、本発明の第二の観点による本発明による光検出器の第二の実施形態9’を示す。第二の実施形態9’は、第一の実施形態9と類似して形成されている。しかし、光電子デバイス110’の検出セル21は、光活性層210の他に、第一の観点による光検出器の先に記載の検出セルの場合と類似して、第一の電荷輸送層211及び第二の電荷輸送層212を有する。電荷輸送層211及び212は、光学的に透過性でありかつ電気絶縁性のスペーサ層40によって、それらに隣接する鏡層11または12それぞれから、隔てられている。電荷輸送層211及び212は、それぞれ、
図4A及び4Bに関して既に説明したように、外部電気接点60を介して、評価ユニットに接続可能であり、そうして、検出セル21中で発生した電気信号を読み取ることができるようになっている。この実施形態における光活性層210は、第一の実施形態9の場合よりも、比較的薄く形成することができる。この場合もまた、光活性デバイス110’の全ての構成要素は、それらの光学的性質に関してか、またはそれらの電気的性質に関して最適化することができる。外部接点60を利用することによって、光学的キャビティ中での光学的損失が更に減少され、それ故、光検出器の検出の品質及び効率が更に高められる。
【0088】
図7は、本発明の第三の観点による本発明による光検出器の一実施形態10を示す。本発明のこの第三の観点によれば、光活性検出器は、本発明の第一の観点による光検出器の第八の実施形態8の場合に類似して、重ねて配置された二つの光電子デバイスを有し、しかし、この場合は、両光電子デバイスは、次数1のデバイスであることができる。応じて、図示した実施形態における光検出器10は、重ねて配置されている二つの光電子デバイス111及び112を有し、それにより、両デバイス111及び112の光学的キャビティの長さは共通の線に沿って延びている。第一の光電子デバイス111は、半透過性の鏡層11及び半透過性の鏡層11’、並びにそれらの間に配置された検出セル21aを有し、この際、検出セル21aの対応する光活性層は、次数1の共振波である共振波15aの振動最大のところに存在する。この際、光電子デバイス111の光学的キャビティは、入射放射線中の検出すべき第一の波長に一致する長さL
aを有する。第二の光電子デバイス112は、半透過性の鏡層11’、及び鏡層12、並びにそれらの間に配置された検出セル21bを有し、この際、検出セル21bの対応する光活性層は、同様に次数1の共振波である共振波15bの振動最大のところに存在する。この際、光電子デバイス112の光学的キャビティは、入射波長中の検出すべき第二の波長に一致しそして図示した例では長さL
aよりも短い長さL
bを有する。しかし、他の実施例では、L
bはL
aよりも大きくともよい。
【0089】
図5Bに関して記載したように、入射放射線の入射角度に対する共振波15a、15bの波長の依存性は、入射放射線中の特定の波長の角度選択的検出に利用することもできる。
【0090】
両光電子デバイス111及び112は、半透過性の鏡層11’を共同で有する。図示した実施形態では、鏡層11、11’及び12は、検出セル21a及び21b中で発生した電気信号の読み取りに役立ち、そしてその目的のために評価ユニットと電気伝導的に接続可能である。当然ながら、他の実施形態では、検出セルの電荷輸送層への電気接触の確立のための他の可能性、例えば先に記載したような光学的に透過性でかつ電気伝導性の接触層または外部電気接点も実現できる、及び/または検出セルを、スペーサ層によって隣接する鏡層から隔てることができる。
【0091】
本発明の意味において、前記の様々な観点または実施形態の実施形態または個々の特徴を、これらが互いを排除するものでなければ、光検出器の構成のために互いに組み合わせることができる。
【実施例】
【0092】
以下には、先の記載及び図示に基づいた様々な例を記載する。
【0093】
例1は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイスを備えた、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器であって、
-互いに隔てられた並行な二つの鏡層によって形成された第一の光学的キャビティ、但し、この第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波が第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
-前記第一の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル、但し、いずれの検出セルも光活性層を含み、ここで、この光活性層は、それぞれ、共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内に存在するように、第一の光学的キャビティ内に配置されている;
を含み、
ここで、第一の光電子デバイスの共振波の次数は1よりも大きい、光検出器である。
【0094】
例2は、例1に従う光検出器であって、第一の光学的キャビティ内に配置された少なくとも一つの検出セルが、更に、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、それらの間に光活性層が配置されており、ここで、前記第一の電荷輸送層、光活性層及び第二の電荷輸送層は、第一の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置されている、光検出器である。
【0095】
例3では、例1または2による光検出器は、第一の光学的キャビティ中に配置された検出セルを、共振波の次数に一致する数で有することができる。
【0096】
例4では、例1~5のうちの一つに従う光検出器において、第一の光学的キャビティ内に、共振波の振動節が吸収性中間層内にあるように、少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層がそれぞれ配置されている。
【0097】
例5では、例4に従う光検出器において、少なくとも一つの光学的に吸収性の中間層のうちの少なくとも一つが、少なくとも一つの検出セルのうちの少なくとも一つに直接接しており、電気伝導性材料でできており、そして第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルから発生する電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するに適したものである。
【0098】
例6では、例1~4のうちの一つに従う光検出器において、第一の光学的キャビティ内に、少なくとも一つの光学的に透過性の接触層が配置されており、この接触層は、少なくとも一つの検出セルのうちの一つに直接接しており、電気伝導性材料でできており、そして第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルから発生した電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するに適したものである。
【0099】
例7では、例1~4のうちの一つに従う光検出器の第一の光電子デバイスは、少なくとも一つの外部接点を有し、この外部接点は、少なくとも一つの検出セルのうちの一つの検出セルの外側表面に接しており、電気伝導性材料からできており、そして第一の光電子デバイスの少なくとも一つの検出セルから発生した電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するに適したものである。
【0100】
例8では、例1~7のうちの一つに従う光検出器において、第一の光学的キャビティ内に、少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層が配置されており、このスペーサ層は、鏡層のうちの一つとこの鏡層に隣接する検出セルとの間に配置されている。
【0101】
例9では、例1~8のうちの一つに従う光検出器において、少なくとも二つの検出セルが第一の光学的キャビティ内に配置されており、及び光学的に透過性のスペーサ層が、第一の光学的キャビティの長さに沿って第一の光学的キャビティ中に重ねて配置されている二つの検出セルの間に配置されている。
【0102】
例10では、例1~9のうちの一つに従う光検出器は、電磁放射線の第二の波長の検出のための第二の光電子デバイスを含み、この際、前記第二の光電子デバイスは、
・互いに隔てられた並行な二つの鏡層によって形成された第二の光学的キャビティ、但し、この第二の光学的キャビティの長さは、第二の波長に関して、それに属する次数jの共振波が第二の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
・前記第二の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル、但し、いずれの検出セルも光活性層を含み、ここで、この光活性層は、それぞれ、共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内に存在するように、第二の光学的キャビティ内に配置されている;
を有する。
【0103】
この場合、第一の光学的キャビティの長さは、第二の光学的キャビティ長さとは異なり、及び/または第二の波長に属する共振波の次数は、第一の波長に属する共振波の次数とは異なる。
【0104】
例11では、例10に従う光検出器において、第一及び第二の光電子デバイスは、第一及び第二の光学的キャビティの長さに対して垂直な方向に沿って互いに並べて配置されている。
【0105】
例12では、例10に従う光検出器において、第一及び第二の光電子デバイス(108、109)は、第一の光学的キャビティ及び第二の光学的キャビティの長さが共通の線に沿って延びるように、互いに重ねて配置されており、この際、第一及び第二の光学的キャビティは、半透過性の鏡層によって互いに接続されている。
【0106】
例13は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイスを備えた、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器であって、
-互いに隔てられた並行な二つの鏡層によって形成された第一の光学的キャビティ、但し、この第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数1の共振波が第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;
-前記第一の光学的キャビティ中に配置され及び光活性層を含む検出セル、但し、該光活性層は、共振波の振動最大が光活性層内部に存在するように、第一の光学的キャビティ内に配置されている;及び
-第一の光学的キャビティ中に鏡層のうちの一つと検出セルとの間に配置されている、少なくとも一つの光学的に透過性のスペーサ層、
を有し、
この際、前記第一の光電子デバイスは、少なくとも一つの外部接点を有し、この外部接点は、検出セルの外側表面に接しており、電気伝導性材料でできており、そして第一の光電子デバイスの検出セルから発生した電気信号を評価するのに適した評価ユニットと電気伝導的に接続するに適したものである、光検出器である。
【0107】
例14では、第一の光学的キャビティ中に配置された、例13に従う光検出器の検出セルは、更に、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、これらの間に光活性層が配置されており、この際、前記第一の電荷輸送層、光活性層及び第二の電荷輸送層は、第一の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置されている。
【0108】
例15では、例13または14の一つに従う光検出器において、第一の光学的キャビティ中に二つの光学的に透過性のスペーサ層が配置されており、そのうちの第一のスペーサー層が、鏡層の第一のものと検出セルとの間に配置されており、そしてそのうちの第二のスペーサ層が、鏡層の第二のものと検出セルとの間に配置されている。更に、例15による光検出器の第一の光電子デバイスは、少なくとも二つの外部接点を有し、この際、それぞれ一つの外部接点は、検出セルの外側表面上に第一の側で、及び検出セルの外側表面上に第二の側で接しており、この際、検出セルの前記第一の側及び第二の側は、第一の光学的キャビティの長さに沿って相対している。
【0109】
例16は、電磁放射線の第一の波長の検出のための第一の光電子デバイスであって、
-互いに隔てられた並行な二つの鏡層によって形成された第一の光学的キャビティ、但し、この第一の光学的キャビティの長さは、第一の波長に関して、それに属する次数iの共振波が第一の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
-前記第一の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル、但し、いずれの検出セルも光活性層を含み、ここで、この光活性層は、それぞれ、共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内に存在するように、第一の光学的キャビティ内に配置されている;
を含む第一の光電子デバイス、
及び、電磁放射線の第二の波長を検出するための第二の光電子デバイスであって、
・互いに隔てられた並行な二つの鏡層によって形成された第二の光学的キャビティ、但し、この第二の光学的キャビティの長さは、第二の波長に関して、それに属する次数jの共振波が第二の光学的キャビティ中に形成されるように、設計されている;及び
・前記第二の光学的キャビティ中に配置された少なくとも一つの検出セル、但し、いずれの検出セルも光活性層を含み、ここで、この光活性層は、それぞれ、共振波の正確に一つの振動最大が光活性層内に存在するように、第二の光学的キャビティ内に配置されている;
を含む第二の光電子デバイス、
を備えた、電磁放射線の分光選択的検出のための光検出器であって、
この際、第二の光学的キャビティの長さは、第一の光学的キャビティの長さとは異なり、及び/または第二の波長に属する共振波の次数は、第一の波長に属する共振波の次数とは異なり、並びに第一及び第二の光電子デバイスは、第一及び第二の光学的キャビティの長さが共通の線に沿って延びるように、重ねて配置されており、この際、第一及び第二の光学的キャビティは、それぞれ第一の光学的キャビティ及び第二の光学的キャビティの鏡層のうちの一つである半透過性の鏡層によって、互いに接続されている、
光検出器である。
【0110】
例17では、第一の光学的キャビティ中にまたは第二の光学的キャビティ中に配置されている、例16に従う光検出器の少なくとも一つの検出セルは、更に、第一の電荷輸送層及び第二の電荷輸送層を含み、これらの間に光活性層が配置されており、この際、前記第一の電荷輸送層、光活性層及び第二の電荷輸送層は、第一の光学的キャビティまたは第二の光学的キャビティの長さに沿って重ねて配置されている。
【0111】
例18では、第一の光学的キャビティ中に及び/または第二の光学的キャビティ中に配置される、例16または17に従う光検出器の検出セルの数は、各々の共振波の次数に一致する。
【0112】