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特許7641058挟持具並びにこれを用いたフィルター取付方法及びフィルター交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】挟持具並びにこれを用いたフィルター取付方法及びフィルター交換方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20250227BHJP
【FI】
E02D29/02 312
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2024113639
(22)【出願日】2024-07-16
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523314581
【氏名又は名称】株式会社ステップワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 晴加
(72)【発明者】
【氏名】下星▲崎▼ 淳
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-068576(JP,A)
【文献】米国特許第06394706(US,B1)
【文献】特開2018-061660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水抜きパイプ用のフィルターの取付や交換時に使用され、対象物としての前記フィルターを挟持するための一対の長尺部材からなる挟持具であって、
一対の前記長尺部材の長手方向の一方端側に設けられ前記対象物を挟持する挟持部と
一対の前記長尺部材の長手方向の他方端側に設けられ把持可能に形成された把持部と、
前記挟持部と前記把持部との間において、前記長尺部材同士を互いに開閉自在となるように軸支して接続する接続部とを備え、
前記対象物を挟持した状態で、前記長尺部材同士は長手方向に相対的に移動可能となるように構成される、挟持具。
【請求項2】
前記接続部は、前記長尺部材の一方に長孔が設けられ、前記長尺部材の一方及び他方を重ね合わせた状態で前記長孔と前記長尺部材の他方とを貫通する締結具によって締結される、請求項1記載の挟持具。
【請求項3】
前記接続部は、前記長孔の挟持部側端部である第1の位置と前記長孔の把持部側端部である第2の位置との間を前記締結具が移動自在で、且つ前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記締結具によって固定可能である、請求項2記載の挟持具。
【請求項4】
前記締結具は、ボルト及びナットで構成され、前記ボルトは前記長孔と前記長尺部材の他方とを貫通し、前記ナットは前記長尺部材の他方の裏面側から前記ボルトと嵌合する、請求項2又は請求項3記載の挟持具。
【請求項5】
前記接続部は、前記長尺部材の一方に第1の長孔が設けられ、前記長尺部材の他方に前記第1の長孔と同様の第2の長孔が設けられ、前記第1の長孔及び前記第2の長孔を重ね合わせた状態で前記第1の長孔と前記第2の長孔とを貫通する締結具によって締結される、請求項1記載の挟持具。
【請求項6】
前記接続部は、前記第1の長孔及び前記第2の長孔の挟持部側端部である第1の位置と前記第1の長孔及び前記第2の長孔の把持部側端部である第2の位置との間を前記締結具が移動自在で、且つ前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記締結具によって固定可能である、請求項5記載の挟持具。
【請求項7】
前記締結具は、ボルト及びナットで構成され、前記ボルトは前記第1の長孔と前記第2の長孔とを貫通し、前記ナットは前記第2の長孔の裏側から前記ボルトと嵌合する、請求項5又は請求項6記載の挟持具。
【請求項8】
前記挟持部は、その先端に前記対象物を引っ掛けることができる引っ掛け部を有する、請求項1記載の挟持具。
【請求項9】
前記引っ掛け部は、互いに内側を向いた鉤形状を有する、請求項8記載の挟持具。
【請求項10】
前記挟持部は、前記引っ掛け部より前記接続部側に設けられ、前記対象物の前記接続部側への移動を阻止する移動阻止部を有する、請求項8又は請求項9記載の挟持具。
【請求項11】
前記移動阻止部は、互いに内側を向いて突出した山型形状を有する、請求項10記載の挟持具。
【請求項12】
前記把持部は輪状の開口を有する、請求項1記載の挟持具。
【請求項13】
円皿形状でその周縁部分に可撓性を有するフランジ部を有する枠体にフィルター本体を装着したフィルターを擁壁に埋設された円筒形状の水抜きパイプに取り付けるためのフィルター取付方法であって、
請求項1記載の挟持具によって、前記フィルターの前記枠体を挟持する挟持工程と、
前記挟持具の前記長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、前記フィルターの姿勢を前記水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する姿勢調整工程と、
前記挟持具を前記水抜きパイプに挿入することによって、前記姿勢を調整したフィルターを前記水抜きパイプの手前側から奥側に向かって挿入する挿入工程と、
前記挿入したフィルターを前記水抜きパイプの奥側端部に当接する姿勢に調整し、前記奥側端部に嵌め込んだ後に、挟持状態を解除する嵌込み工程とを含む、フィルター取付方法。
【請求項14】
前記姿勢調整工程の後に、前記接続部を固定することで、前記姿勢を調整したフィルターの姿勢を固定する姿勢固定工程を更に備えた、請求項13記載のフィルター取付方法。
【請求項15】
前記フィルターの前記枠体の皿底部には多数の小孔が形成され、
前記挟持工程において、前記挟持具の前記挟持部の一方を前記小孔の内の一つに引っ掛け、前記挟持具の前記挟持部の他方を前記小孔の内の他の一つに引っ掛け、前記長尺部材同士を閉方向に動かすことで、前記フィルターを挟持する、請求項13記載のフィルター取付方法。
【請求項16】
擁壁に埋設された円筒形状の水抜きパイプに取り付けられ、円皿形状でその周縁部分に可撓性を有するフランジ部を有する枠体にフィルター本体を装着したフィルターを交換するフィルター交換方法であって、
請求項1記載の挟持具を前記水抜きパイプに挿入することによって、前記フィルターの前記枠体を挟持する第1挟持工程と、
前記挟持具の前記長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、前記挟持したフィルターの姿勢を前記水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する第1姿勢調整工程と、
前記挟持具を前記水抜きパイプから引き抜くことによって、前記姿勢を調整したフィルターを前記水抜きパイプの奥側から手前側に向かって引き抜く引抜き工程と、
前記挟持具によって、新たなフィルターの枠体を挟持する第2挟持工程と、
前記挟持具の前記長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、前記新たなフィルターの姿勢を前記水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する第2姿勢調整工程と、
前記挟持具を前記水抜きパイプに挿入することによって、前記姿勢を調整した新たなフィルターを前記水抜きパイプの手前側から奥側に向かって挿入する挿入工程と、
前記挿入した新たなフィルターを前記水抜きパイプの奥側端部に当接する姿勢に調整し、前記奥側端部に嵌め込んだ後に、挟持状態を解除する嵌込み工程とを含む、フィルター交換方法。
【請求項17】
前記第1姿勢調整工程の後に、前記接続部を固定することで、前記姿勢を調整したフィルターの姿勢を固定する第1姿勢固定工程を更に備えた、請求項16記載のフィルター交換方法。
【請求項18】
前記第2姿勢調整工程の後に、前記接続部を固定することで、前記姿勢を調整した新たなフィルターの姿勢を固定する第2姿勢固定工程を更に備えた、請求項16又は請求項17記載のフィルター交換方法。
【請求項19】
前記フィルターの前記枠体の皿底部には多数の小孔が形成され、
前記第1挟持工程及び前記第2挟持工程において、前記挟持具の前記挟持部の一方を前記小孔の内の一つに引っ掛け、前記挟持具の前記挟持部の他方を前記小孔の内の他の一つに引っ掛け、前記長尺部材同士を閉方向に動かすことで、前記フィルターを挟持する、請求項16記載のフィルター交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は挟持具並びにこれを用いたフィルター取付方法及びフィルター交換方法に関し、特に石積みやコンクリートブロック等からなる擁壁に設置される水抜きパイプに取り付けられるフィルターを挟持するための挟持具と、当該挟持具を用いたフィルター取付方法及びフィルター交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水抜きパイプへのフィルタの装着方法として、特許文献1に示すものが存在している。水抜きパイプは、既に土中に設置された円筒形状のものである。フィルタは、水抜きパイプの内径側に嵌合する有底筒状部と、有底筒状部の端部から径方向外側へと延在して土留壁の土中背面側に当接するフランジ部とを備えると共に、有底筒状部の内部には繊維状フィルタが配置されているものである。
【0003】
このようなフィルタを水抜きパイプへの装着する際には、まず、フィルタのフランジ部の外周縁からの中央付近にまでスリット状に切り込み、スリット部の周辺を部分的にオーバーラップさせて、フィルタの外径が小さくなるように縮径させる。次に、縮径状態にある筒状部を、装着用差込パイプの内径側に挿入すると、筒状部は、その復元力によってパイプの内周面に圧接し、フィルタが装着用差込パイプの端部に固定される。続いて、フィルタが固定された装着用差込パイプの先端を、水抜きパイプの外部開口から挿入して、埋込側(土中側)開口端付近にまで押し進める。更に、装着用差込パイプの外周面から外側に突出するフランジ部を、水抜きパイプの埋込側開口端に引っ掛ける。その状態で、装着用差込パイプを引き戻すと、フィルタが装着用差込パイプから離脱して、水抜きパイプの埋込側開口端部に位置する。フィルタの位置決めが終わったら、装着用差込パイプを引き抜いて作業を完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-068576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すフィルタ装着方法は既設の水抜きパイプを取り外すことなく、フィルタを装着できるものである。しかしながら、特定の構造を有するフィルタを用いる必要があった。又、装着用差込パイプは、フィルタを装着用差込パイプから取り外す際に棒材を別途使用する等手間がかかるものであった。加えて、装着用差込パイプは、フィルタの装着用に特化したものであり、装着後に経年劣化したフィルタを取り換えることを想定したものでもなかった。
【0006】
この発明は、操作性に優れた挟持具並びにこれを用いたフィルター取付方法及び交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、水抜きパイプ用のフィルターの取付や交換時に使用され、対象物としてのフィルターを挟持するための一対の長尺部材からなる挟持具であって、一対の長尺部材の長手方向の一方端側に設けられ対象物を挟持する挟持部と一対の長尺部材の長手方向の他方端側に設けられ把持可能に形成された把持部と、挟持部と把持部との間において、長尺部材同士を互いに開閉自在となるように軸支して接続する接続部とを備え、対象物を挟持した状態で、長尺部材同士は長手方向に相対的に移動可能となるように構成されるものである。
【0008】
このように構成すると、対象物を挟持したままで、対象物の姿勢を調整しやすくなる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、接続部は、長尺部材の一方に長孔が設けられ、長尺部材の一方及び他方を重ね合わせた状態で長孔と長尺部材の他方とを貫通する締結具によって締結されるものである。
【0010】
このように構成すると、一方の長尺部材に対して、他方の長尺部材を長孔の長さ分、長手方向に移動させることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、接続部は、長孔の挟持部側端部である第1の位置と長孔の把持部側端部である第2の位置との間を締結具が移動自在で、且つ第1の位置と第2の位置との間で締結具によって固定可能であるものである。
【0012】
このように構成すると、一方の長尺部材に対して、他方の長尺部材を長孔の第1の位置と第2の位置の間で自在に移動及び固定することが可能になる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の構成において、締結具は、ボルト及びナットで構成され、ボルトは長孔と長尺部材の他方とを貫通し、ナットは長尺部材の他方の裏面側からボルトと嵌合するものである。
【0014】
このように構成すると、ボルトとナットの締付け具合に応じて、長尺部材同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、接続部は、長尺部材の一方に第1の長孔が設けられ、長尺部材の他方に第1の長孔と同様の第2の長孔が設けられ、第1の長孔及び第2の長孔を重ね合わせた状態で第1の長孔と第2の長孔とを貫通する締結具によって締結されるものである。
【0016】
このように構成すると、一方の長尺部材及び他方の長尺部材を第1の長孔及び第2の長孔の長さ分、長手方向に相対的に移動させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、接続部は、第1の長孔及び第2の長孔の挟持部側端部である第1の位置と第1の長孔及び第2の長孔の把持部側端部である第2の位置との間を締結具が移動自在で、且つ第1の位置と第2の位置との間で締結具によって固定可能であるものである。
【0018】
このように構成すると、一方の長尺部材及び他方の長尺部材を第1の長孔及び第2の長孔の第1の位置と第2の位置の間で自在に移動及び固定することが可能になる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の構成において、締結具は、ボルト及びナットで構成され、ボルトは第1の長孔と第2の長孔とを貫通し、ナットは第2の長孔の裏側からボルトと嵌合するものである。
【0020】
このように構成すると、ボルトとナットの締付け具合に応じて、長尺部材同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、挟持部は、その先端に対象物を引っ掛けることができる引っ掛け部を有するものである。
【0022】
このように構成すると、対象物を引っ掛けながら挟持することが可能になる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の構成において、引っ掛け部は、互いに内側を向いた鉤形状を有するものである。
【0024】
このように構成すると、引っ掛けた対象物が外れにくくなる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、挟持部は、引っ掛け部より接続部側に設けられ、対象物の接続部側への移動を阻止する移動阻止部を有するものである。
【0026】
このように構成すると、対象物の接続部側への移動が阻止される。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の構成において、移動阻止部は、互いに内側を向いて突出した山型形状を有するものである。
【0028】
このように構成すると、対象物の接続部側への移動が確実に阻止される。
【0029】
請求項12記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、把持部は輪状の開口を有するものである。
【0030】
このように構成すると、開口の内側に指を通すことができる。
【0031】
請求項13記載の発明は、円皿形状でその周縁部分に可撓性を有するフランジ部を有する枠体にフィルター本体を装着したフィルターを擁壁に埋設された円筒形状の水抜きパイプに取り付けるためのフィルター取付方法であって、請求項1記載の挟持具によって、フィルターの枠体を挟持する挟持工程と、挟持具の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、フィルターの姿勢を水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する姿勢調整工程と、挟持具を水抜きパイプに挿入することによって、姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプの手前側から奥側に向かって挿入する挿入工程と、挿入したフィルターを水抜きパイプの奥側端部に当接する姿勢に調整し、奥側端部に嵌め込んだ後に、挟持状態を解除する嵌込み工程とを含むものである。
【0032】
このように構成すると、姿勢を調整したフィルターのフランジ部の上端から下端までの高さ方向の長さが、水抜きパイプの内径の高さ方向の長さより短く、フィルター挿入時の抵抗が減少する。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明の構成において、姿勢調整工程の後に、接続部を固定することで、姿勢を調整したフィルターの姿勢を固定する姿勢固定工程を更に備えたものである。
【0034】
このように構成すると、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプにフィルターを挿入することができる。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項13記載の発明の構成において、フィルターの枠体の皿底部には多数の小孔が形成され、挟持工程において、挟持具の挟持部の一方を小孔の内の一つに引っ掛け、挟持具の挟持部の他方を小孔の内の他の一つに引っ掛け、長尺部材同士を閉方向に動かすことで、フィルターを挟持するものである。
【0036】
このように構成すると、フィルターを引っ掛けつつ挟み込むことができる。
【0037】
請求項16記載の発明は、擁壁に埋設された円筒形状の水抜きパイプに取り付けられ、円皿形状でその周縁部分に可撓性を有するフランジ部を有する枠体にフィルター本体を装着したフィルターを交換するフィルター交換方法であって、請求項1記載の挟持具を水抜きパイプに挿入することによって、フィルターの枠体を挟持する第1挟持工程と、挟持具の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、挟持したフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する第1姿勢調整工程と、挟持具を水抜きパイプから引き抜くことによって、姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプの奥側から手前側に向かって引き抜く引抜き工程と、挟持具によって、新たなフィルターの枠体を挟持する第2挟持工程と、挟持具の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させることによって、新たなフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さ方向に対して傾斜するように調整する第2姿勢調整工程と、挟持具を水抜きパイプに挿入することによって、姿勢を調整した新たなフィルターを水抜きパイプの手前側から奥側に向かって挿入する挿入工程と、挿入した新たなフィルターを水抜きパイプの奥側端部に当接する姿勢に調整し、奥側端部に嵌め込んだ後に、挟持状態を解除する嵌込み工程とを含むものである。
【0038】
このように構成すると、姿勢を調整したフィルターのフランジ部の上端から下端までの高さ方向の長さが、水抜きパイプの内径の高さ方向の長さより短くなり、フィルターの引抜き時及び挿入時の抵抗が減少する。
【0039】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の発明の構成において、第1姿勢調整工程の後に、接続部を固定することで、姿勢を調整したフィルターのを固定する第1姿勢固定工程を更に備えたものである。
【0040】
このように構成すると、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプからフィルター引き抜くことができる。
【0041】
請求項18記載の発明は、請求項16又は請求項17記載の発明の構成において、第2姿勢調整工程の後に、接続部を固定することで、姿勢を調整した新たなフィルターの姿勢を固定する第2姿勢固定工程を更に備えたものである。
【0042】
このように構成すると、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプにフィルターを挿入することができる。
【0043】
請求項19記載の発明は、請求項16記載の発明の構成において、フィルターの枠体の皿底部には多数の小孔が形成され、第1挟持工程及び第2挟持工程において、挟持具の挟持部の一方を小孔の内の一つに引っ掛け、挟持具の挟持部の他方を小孔の内の他の一つに引っ掛け、長尺部材同士を閉方向に動かすことで、フィルターを挟持するものである。
【0044】
このように構成すると、フィルターを引っ掛けつつ挟み込むことができる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、対象物を挟持したままで、対象物の姿勢を調整しやすくなるため、操作性に優れた挟持具となる。
【0046】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、一方の長尺部材に対して、他方の長尺部材を長孔の長さ分、長手方向に移動させることができるため、対象物の姿勢の調整が容易となる。
【0047】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、一方の長尺部材に対して、他方の長尺部材を長孔の第1の位置と第2の位置の間で自在に移動及び固定することが可能になるため、対象物の姿勢の調整が更に容易となる。
【0048】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、ボルトとナットの締付け具合に応じて、長尺部材同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となるため、使い勝手のよい挟持具となる。
【0049】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、一方の長尺部材及び他方の長尺部材を第1の長孔及び第2の長孔の長さ分、長手方向に相対的に移動させることができるため、対象物の姿勢の微調整が容易となる。
【0050】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、一方の長尺部材及び他方の長尺部材を第1の長孔及び第2の長孔の第1の位置と第2の位置の間で自在に移動及び固定することが可能になるため、対象物の姿勢の微調整が更に容易となる。
【0051】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明の効果に加えて、ボルトとナットの締付け具合に応じて、長尺部材同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となるため、使い勝手のよい挟持具となる。
【0052】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、対象物を引っ掛けながら挟持することが可能になるため、対象物を確実に挟持することができる。
【0053】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の効果に加えて、引っ掛けた対象物が外れにくくなるため、対象物の引っ掛け状態が安定する。
【0054】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、対象物の接続部側への移動が阻止されるため、対象物の挟持状態が安定する。
【0055】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の効果に加えて、対象物の接続部側への移動が確実に阻止されるため、対象物の挟持状態がより安定する。
【0056】
請求項12記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、開口の内側に指を通すことができるため、操作性が向上する。
【0057】
請求項13記載の発明は、姿勢を調整したフィルターのフランジ部の上端から下端までの高さ方向の長さが、水抜きパイプの内径の高さ方向の長さより短くなり、フィルター挿入時の抵抗が減少するため、水抜きパイプへのフィルターの取り付けが容易になる。
【0058】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明の効果に加えて、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプにフィルターを挿入することができるため、水抜きパイプへのフィルターの取付けが更に容易になる。
【0059】
請求項15記載の発明は、請求項13記載の発明の効果に加えて、フィルターを引っ掛けつつ挟み込むことができるため、水抜きパイプへフィルターを安定的に取り付けることが可能となる。
【0060】
請求項16記載の発明は、姿勢を調整したフィルターのフランジ部の上端から下端までの高さ方向の長さが、水抜きパイプの内径の高さ方向の長さより短くなり、フィルターの引抜き時及び挿入時の抵抗が減少するため、水抜きパイプに対するフィルターの交換が容易になる。
【0061】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の発明の効果に加えて、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプからフィルター引き抜くことができるため、水抜きパイプに対するフィルターの交換が更に容易になる。
【0062】
請求項18記載の発明は、請求項16又は請求項17記載の発明の効果に加えて、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプにフィルターを挿入することができるため、水抜きパイプに対するフィルターの交換が更に容易になる。
【0063】
請求項19記載の発明は、請求項16記載の発明の効果に加えて、フィルターを引っ掛けつつ挟み込むことができるため、水抜きパイプに対してフィルターを安定的に交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】この発明の第1の実施の形態による挟持具の概略正面図である。
図2図1で示した挟持具の概略背面図である。
図3図1で示した挟持具の一対の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させた状態を示す概略図である。
図4図1で示した挟持具を開状態にした状態を示す概略図である。
図5】この発明の第1の実施の形態によるフィルターの概略斜視図である。
図6図5で示したフィルターの概略底面図である。
図7】この発明の第1の実施の形態による擁壁の構造を示す概略図である。
図8】挟持具によってフィルターを挟持する挟持工程を示す概略図である。
図9図8で挟持したフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さの方向に対して傾斜するように調整する姿勢調整工程及び姿勢固定工程を示す概略図である。
図10図9で姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプに挿入する挿入工程の途中状態を示す概略図である。
図11図10で挿入したフィルターを水抜きパイプに嵌め込んだ後に挟持具によるフィルターの挟持状態を解除する嵌込み工程を示す概略図である。
図12】この発明の第2の実施の形態によるフィルターの交換方法について、挟持具によってフィルターを挟持する第1挟持工程を示す概略図である。
図13図12で挟持したフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さの方向に対して傾斜するように調整する第1姿勢調整工程及び第1姿勢固定工程を示す概略図である。
図14図13で姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプから引き抜く引抜き工程の途中状態を示す概略図である。
図15図14で引き抜いたフィルターを水抜きパイプから完全に引き抜いた引抜き工程の完了状態を示す概略図である。
図16】この発明の第3の実施の形態による挟持具の概略正面図であり、図1に対応した図である。
図17図16で示した挟持具の概略背面図であり、図2に対応した図である。
図18図16で示した挟持具の一対の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させた状態を示す概略図であり、図3に対応した図である。
図19図16で示した挟持具を開状態にした状態を示す概略図であり、図4に対応した図である。
図20】他の実施の形態によるフィルターの皿底部を示す概略図であり、(1)は第4の実施の形態、(2)は第5の実施の形態、(3)は第6の実施の形態によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、この発明の第1の実施の形態による挟持具の概略正面図であり、図2は、図1で示した挟持具の概略背面図である。
【0066】
図1及び図2を参照して、挟持具1は鋼板を打ち抜き加工した一対の長尺部材3a、3bとからなるものであり、対象物である後述する水抜きパイプ用のフィルターを挟持することができるものである。長尺部材3a、3bは、その長手方向の長さが後述する水抜きパイプの長さより長くなるように設定されている。長尺部材3a、3bの長手方向の一方端側(図1及び図2においては下方側)には、後述するフィルターを挟持する挟持部10が設けられている。又、長尺部材3a、3bの長手方向の他方端側(図1及び図2においては上方側)には把持可能に形成された把持部20が設けられている。更に、長尺部材3a、3bは挟持部10と把持部20との間において、接続部30において長尺部材3a、3b同士が互いに重なり合うように交差して接続されている。
【0067】
次に、挟持部10、把持部20及び接続部30の各々について詳述する。
【0068】
挟持部10は、その先端が互いに内側を向いた鉤形状に形成されており、後述するフィルターを引っ掛けることができる引っ掛け部11a、11bを有する。又、挟持部10は、引っ掛け部11a、11bより接続部30側において、互いに内側を向いて突出した山型形状に形成され、後述するフィルターの接続部30側への意図しない移動を阻止する移動阻止部12a、12bが設けられている。挟持具1によるフィルターの具体的な挟持状態や、挟持部10をこのように構成した効果については後述する。
【0069】
把持部20は、一対の長尺部材3a、3bの各々に輪状の開口21a、21bを形成したものである。このようにすることで、開口21a、21bの内側に指を通すことができるため、操作性が向上する。
【0070】
図3は、図1で示した挟持具の一対の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させた状態を示す概略図であり、図4は、図1で示した挟持具を開状態にした状態を示す概略図である。
【0071】
図3及び図4を参照して、接続部30は、長尺部材3a、3b同士を互いに開閉自在となるように軸支して接続するものである。具体的には、長尺部材3a、3bは、上述したように接続部30において互いに重なり合うように交差して接続されており、把持部20同士を互いに離れる方向である開方向に動かすと、挟持部10同士も互いに離れる方向である開方向に動き、長尺部材3a、3b同士が開状態となる。一方で、把持部20同士を互いに近づく方向である閉方向に動かすと、挟持部10同士も互いに近づく方向である閉方向に動く。把持部20同士と挟持部10同士の閉方向への移動が完了すると、図1及び図2で示すように長尺部材3a、3b閉状態となるようなものである。
【0072】
又、一方の長尺部材3aには長孔31が設けられ、他方の長尺部材3bには、長尺部材3aの長孔31の挟持部10側端部である第1の位置32付近に重なり合う位置に図示しない円孔が設けられている。そして、長尺部材3a、3b同士を重ね合わせた状態で長尺部材3aの長孔31と長尺部材3bの円孔とを貫通する締結具35によって締結されるものである。締結具35は、ボルト36及びナット37で構成され、ボルト36は長尺部材3aの正面側(表面側)から長孔31と長尺部材3bの円孔とを貫通し、ナット37は長尺部材3bの背面側(裏面側)からボルト36と嵌合するようになっている。ボルト36の軸は長孔31を貫通していることから、ナット37を緩めた状態では、図1図3で示すように、ボルト36は長孔31の内部を長孔31の第1の位置32と長孔31の把持部20側端部である第2の位置33との間を移動自在となっている。又、ナット37を締めることによって、第1の位置32と第2の位置33との間の任意の位置で接続部30を固定可能となり、長尺部材3a、3b全体を固定することが可能となっている。
【0073】
尚、締結具35は、長尺部材3a、3bの長手方向の位置関係を固定するが、長尺部材3a、3b同士の開閉を阻害するものではない。但し、より強く締め付けることで、開閉状態を固定することができるような構成としてもよい。
【0074】
この長尺部材3a、3b同士の長手方向への相対的な移動は、長尺部材3a、3b同士が閉状態である場合のみならず、開状態の場合であっても可能なものとなっている。これによって、具体的には後述するが、後述するフィルターを挟持した状態で、長尺部材3a、3b同士が長手方向に相対的に移動可能となる。
【0075】
接続部30をこのように構成した効果については後述する。
【0076】
図5は、この発明の第1の実施の形態によるフィルターの概略斜視図であり、図6は、図5で示したフィルターの概略底面図である。
【0077】
図5を参照して、フィルター40は、円皿形状でその周縁部分に可撓性を有するフランジ部42を有する樹脂製の枠体41の内部に不織布からなる円形のフィルター本体48を装着したものである。又、図6を併せて参照して、フィルター40の枠体41の皿底部43には多数の小孔44が形成されている。このようなフィルター40は後述する水抜きパイプの奥側端部(土砂に接する側)に取り付けられるものであり、土砂を堰止めながら、フィルター本体48と小孔44とを通過可能な水のみを水抜きパイプから排出する役割を果たすものである。
【0078】
図7は、この発明の第1の実施の形態による擁壁の構造を示す概略図である。
【0079】
図7を参照して、擁壁50は細かい図示を省略しているが、石51を積み上げた石積み擁壁であり、所定間隔で円筒形状である水抜きパイプ60が取り付けられているものである。擁壁50と水抜きパイプ60の奥側(図7における右側)は透水層として土砂52等で埋められている。
【0080】
この水抜きパイプ60には水抜き用のフィルターは取り付けられていない状態である。図5で示したフィルター40の枠体41のフランジ部42の径は、水抜きパイプ60の内径よりやや大きく形成されている。これによって、フィルター40を水抜きパイプ60に嵌め込むとフランジ部42が水抜きパイプ60の奥側端部62の外面を覆うような形になり、水抜きパイプ60の手前側にフィルター40が倒れ込む虞が低減する。
【0081】
次に、上述した挟持具1を用いてフィルター40を水抜きパイプ60に取り付けるフィルターの取付方法について説明する。
【0082】
まず、フィルター取付方法の挟持工程について説明する。
【0083】
図8は、挟持具によってフィルターを挟持する挟持工程を示す概略図である。
【0084】
図8を参照すると共に図6を再度参照して、まず、挟持具1の把持部20を開方向に操作して、長尺部材3a、3b同士をやや開状態とする。次に、挟持部10の引っ掛け部11aを、フィルター40の小孔44の内任意の1つに引っ掛け、同じく、引っ掛け部11bを小孔44の内、任意の他の一つに引っ掛ける。続いて、把持部20を閉方向に操作して、長尺部材3a、3b同士を閉方向に動かし、フィルター40を挟み込むことで、フィルター40を挟持工程が完了する。
【0085】
又、挟持具1は図1及び図2にて説明したように、挟持部10に移動阻止部12a、12bが設けられているため、挟持部10のフィルター40の内部へ挿入が移動阻止部12a、12bで阻止されることになり、引っ掛け部11a、11bを挿入しすぎることで図4で示すフィルター40の枠体41からフィルター本体48が脱落することを防止することができる。
【0086】
この状態においてフィルター40のフランジ部42が水抜きパイプ60の手前側端部61に対して整列するように並べると、上述したようにフィルター40の枠体41のフランジ部42の径は、水抜きパイプ60の内径よりもやや大きく形成されたものであるから、フランジ部42の径の高さ方向の長さLは、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さLよりも長いものとなっている。
【0087】
次に、フィルター取付方法における姿勢調整工程及び姿勢固定工程について説明する。
【0088】
図9は、図8で挟持したフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さの方向に対して傾斜するように調整する姿勢調整工程及び姿勢固定工程を示す概略図である。
【0089】
図9を参照すると共に図3を再度参照して、フィルター40を挟持した状態で、挟持具1の接続部30の締結具35を長尺部材3aの長孔31の第1の位置32から第2の位置33に移動させることで、長尺部材3a、3b同士を長手方向に相対的に移動させる。するとそれに応じて、フィルター40の姿勢が水抜きパイプ60の長さ方向に対して所定角度傾斜する。尚、この傾斜角度は特に限定されないが、フィルター40が水抜きパイプ60と整列した状態から30°程度(水抜きパイプ60の長さ方向に対して60°程度)傾斜させることが好ましい。このようにフィルター40の姿勢を調整することで姿勢調整工程が完了する。
【0090】
次に、締結具35を締結して接続部30を固定すると、長尺部材3a、3b全体も固定される。これにより、姿勢調整工程によって調整したフィルター40の姿勢が維持される。このようにフィルター40の姿勢を固定することで姿勢固定工程が完了する。
【0091】
このフィルター40を傾斜させた状態において、フィルター40の枠体41のフランジ部42の上端46aから下端46bまでの高さ方向(図9において、フィルター40の挿入方向と直交する方向)の長さL3は、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さLよりも短いものとなる。
【0092】
次に、フィルター取付方法における挿入工程について説明する。
【0093】
図10は、図9で姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプに挿入する挿入工程の途中状態を示す概略図である。
【0094】
図10を参照して、接続部30を固定した挟持具1を水抜きパイプ60の手前側から奥側に向かって挿入し、姿勢を調整したフィルター40を水抜きパイプ60の手前側から奥側に向かって挿入していく。その際、上述したように、フィルター40のフランジ部42の径は、水抜きパイプ60の内径よりもやや大きいものであるから、フィルター40の奥行方向(図10の紙面を貫く方向)において、フランジ部42の一部である奥行方向端部47a、47bが水抜きパイプ60の内面に押し付けられることとなる。一方で、フィルター40のフランジ部42の上端46aから下端46bまでの高さ方向の長さL3は、水抜きパイプ60の高さ方向の内径の長さLよりも短いものとなっているので、フィルター40のフランジ部42は、高さ方向においては水抜きパイプ60の内面とは離れることとなる。そのため、フィルター40の挿入時における水抜きパイプ60に対する抵抗を軽減させることができる。
【0095】
フィルター40が水抜きパイプ60の奥側端部62を超えるまで挿入した段階で挿入工程が完了する。尚、水抜きパイプ60の奥側端部62の奥側に土砂52が溜まっている場合は、フィルター40を挿入する動作によって、土砂52を押しのければよい。
【0096】
次に、フィルター取付方法における嵌込み工程について説明する。
【0097】
図11は、図10で挿入したフィルターを水抜きパイプに嵌め込んだ後に挟持具によるフィルターの挟持状態を解除する嵌込み工程を示す概略図である。
【0098】
図11を参照すると共に図1を再度参照して、フィルター40が水抜きパイプ60の奥側端部62を超えた後に、挟持具1の接続部30の締結具35を緩めて長尺部材3a、3bの固定状態を解除する。その後、締結具35を長尺部材3aの長孔31の第2の位置33から第1の位置32に移動し、長尺部材3a、3bを相対的に移動させる。すると、それに応じてフィルター40の姿勢が再度変化し、フィルター40の枠体41のフランジ部42が水抜きパイプ60の奥側端部62と整列した状態となる。換言すると、フィルター40を水抜きパイプ60の奥側端部62に当接する姿勢に調整する。その状態で挟持具1を水抜きパイプ60の手前側に引き出し、フィルター40のフランジ部42が水抜きパイプ60の奥側端部62に当接するようにしてフィルター40を嵌め込む。その後、挟持具1の挟持部10の引っ掛け部11a、11bをフィルター40の小孔44から引き抜き、挟持状態を解除することでフィルター40の嵌込み工程を完了する。
【0099】
最後に、挟持具1を矢印で示す水抜きパイプ60の手前側方向へ引き抜くことで、フィルター40の水抜きパイプ60への取付けが完了する。
【0100】
このようなフィルター取付方法は、上述したように、姿勢調整工程によってフィルター40の姿勢を調整してから水抜きパイプ60への挿入を行うものであるから、姿勢を調整したフィルター40のフランジ部42の上端46aから下端46bまでの高さ方向の長さL3が、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さLより短くなり、フィルター挿入時の抵抗が減少するため、水抜きパイプへのフィルターの取付けが容易になる。
【0101】
又、上述したように、姿勢固定工程によって接続部30を固定することにより、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプ60にフィルター40を挿入することができるため、水抜きパイプ60へのフィルター40の取付けが更に容易になる。
【0102】
更に、上述したように、挟持工程において挟持部10の引っ掛け部11a、11bをフィルター40の小孔44に引っ掛けることにより、フィルター40を引っ掛けつつ挟み込むことができるため、水抜きパイプ60へフィルター40を安定的に取り付けることが可能となる。
【0103】
加えて、このようなフィルターの取付方法に用いた挟持具1は、上述したように、フィルター40を挟持した状態で長尺部材3a、3b同士を長手方向に相対的に移動可能に構成されていることから、フィルター40を挟持したままで、フィルター40の姿勢を調整しやすくなるため、操作性に優れたものとなる。
【0104】
又、挟持具1は、上述したように、長尺部材3aに長孔31を設けて、長尺部材3a、3bを重ね合わせて締結具35によって締結されていることによって、一方の長尺部材3aに対して、他方の長尺部材3bを長孔31の長さ分、長手方向に移動させることができるため、フィルター40の姿勢の調整が容易となる。
【0105】
更に、挟持具1は、上述したように、締結具35が長孔31の第1の位置32と第2の位置33との間を移動自在で、且つ締結具35によって第1の位置32と第2の位置33との間で固定可能であることによって、一方の長尺部材3aに対して、他方の長尺部材3bを長孔31の第1の位置32と第2の位置33の間で自在に移動及び固定することが可能になるため、フィルター40の姿勢の調整が更に容易となる。
【0106】
更に、挟持具1は、上述したように、締結具35がボルト36とナット37とから構成されていることによって、ボルト36とナット37の締付け具合に応じて、長尺部材3a、3b同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となるため、使い勝手のよいものとなる。
【0107】
更に、挟持具1は、上述したように、挟持部10に引っ掛け部11a、11bを有することにより、フィルター40を引っ掛けながら挟持することが可能になるため、フィルター40を確実に挟持することができる。更に、引っ掛け部11a、11bが鉤形状となっていることから、引っ掛けたフィルター40が外れにくくなるため、フィルター40の引っ掛け状態が安定する。
【0108】
更に、挟持具1は、上述したように、挟持部10に移動阻止部12a、12bを有することにより、フィルター40の接続部30側への移動が阻止されるため、フィルター40の挟持状態が安定する。更に、移動阻止部12a、12bが互いに内側を向いて突出した山型形状となっていることから、フィルター40の接続部30側への移動が確実に阻止されるため、フィルター40の挟持状態がより安定する。
【0109】
更に、予め水抜き用のフィルターが取り付けられていない水抜きパイプ60にフィルター40を取り付けることによって、土砂52の流出を防止することが可能となる。ここれによって、水抜きパイプ60の奥側に空隙が生じることを防止でき、擁壁50の崩落等の虞を低減することにつながり、防災性が向上するものとなる。
【0110】
次に、挟持具1によって既存のフィルターを交換するフィルター交換方法について説明する。
【0111】
図12は、この発明の第2の実施の形態によるフィルターの交換方法について、挟持具によってフィルターを挟持する第1挟持工程を示す概略図である。
【0112】
この第2の実施の形態における挟持具1、フィルター80、90及び擁壁50、水抜きパイプ60の構造は第1の実施の形態におけるものと基本的に同様であるので、ここでは相違点を中心に説明する。
【0113】
図12を参照して、この第2の実施の形態では、擁壁50に設けられた水抜きパイプ60に取り付けられて使用された第1の実施の形態のフィルター40と同様の構造のフィルター80を交換するものである。
【0114】
まず、フィルター交換方法における第1挟持工程について説明する。
【0115】
図12を参照すると共に図6を再度参照して、まず、挟持具1の把持部20を開方向に操作して、長尺部材3a、3b同士をやや開状態とする。次に、挟持部10の引っ掛け部11aを、フィルター80の小孔84の内任意の1つに引っ掛け、同じく、引っ掛け部11bを小孔84の内、任意の他の一つに引っ掛ける。続いて、把持部20を閉方向に操作して、長尺部材3a、3b同士を閉方向に動かし、フィルター80を挟み込むことで、第1挟持工程が完了する。
【0116】
又、挟持具1は図1及び図2にて説明したように、挟持部10に移動阻止部12a、12bが設けられているため、挟持部10のフィルター80の内部への挿入が移動阻止部12a、12bで阻止されることになり、引っ掛け部11a、11bを挿入しすぎることでフィルター80の枠体81からフィルター本体88が脱落することを防止することができる。
【0117】
次に、フィルター交換方法における第1姿勢調整工程及び第1姿勢固定工程について説明する。
【0118】
図13は、図12で挟持したフィルターの姿勢を水抜きパイプの長さの方向に対して傾斜するように調整する第1姿勢調整工程及び第1姿勢固定工程を示す概略図である。
【0119】
図13を参照すると共に図3を再度参照して、フィルター80を挟持した状態で、挟持具1の接続部30の締結具35を長尺部材3aの長孔31の第1の位置32から第2の位置33に移動させることで、長尺部材3a、3b同士を長手方向に相対的に移動させる。するとそれに応じて、フィルター80の姿勢が水抜きパイプ60の長さ方向に対して土砂52を押しのけながら所定角度傾斜する。尚、この傾斜角度は特に限定されないが、フィルター80が水抜きパイプ60の奥側端部62と整列した状態から30°程度(水抜きパイプ60の長さ方向に対して60°程度)傾斜させることが好ましい。このようにフィルター80の姿勢を調整することで第1姿勢調整工程が完了する。
【0120】
次に、締結具35を締結して接続部30を固定すると、長尺部材3a、3b全体も固定される。これにより、第1姿勢調整工程によって調整したフィルター40の姿勢が維持される。このようにフィルター40の姿勢を固定することで第2姿勢固定工程が完了する。
【0121】
このフィルター80を傾斜させた状態において、フィルター80の枠体81のフランジ部82の上端86aから下端86bまでの高さ方向(図13において、フィルター80の引抜き方向と直交する方向)の長さLは、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さLよりも短いものとなる。
【0122】
次に、フィルター交換方法における引抜き工程について説明する。
【0123】
図14は、図13で姿勢を調整したフィルターを水抜きパイプから引き抜く引抜き工程の途中状態を示す概略図であり、図15は、図14で引き抜いたフィルターを水抜きパイプから完全に引き抜いた引抜き工程の完了状態を示す概略図である。
【0124】
図14を参照して、接続部30を固定した挟持具1を水抜きパイプ60の奥側から手前側に向かって引き抜き、姿勢を調整したフィルター80を水抜きパイプ60の奥側から手前側に向かって引き抜いていく。その際、フィルター80は第1の実施の形態のフィルター40と同様の構造のものであるから、フィルター80のフランジ部82の径は、水抜きパイプ60の内径よりもやや大きいものである。そのため、フィルター80の奥行方向(図14の紙面を貫く方向)において、フランジ部82の一部である奥行方向端部87a、87bが水抜きパイプ60の内面に押し付けられることとなる。一方で、フィルター80のフランジ部82の上端86aから下端86bまでの高さ方向の長さLは、水抜きパイプ60の高さ方向の内径の長さLよりも短いものとなっているので、フィルター80のフランジ部42は、高さ方向においては水抜きパイプ60の内面とは離れることとなる。そのため、フィルター80の引抜き時における水抜きパイプ60に対する抵抗を軽減させることができる。
【0125】
図15を併せて参照して、フィルター80が水抜きパイプ60の手前側端部61を超えるまで引抜きを終えた段階で引抜き工程が完了する。その後引き抜いたフィルター80は挟持具1から取り外す。
【0126】
次に、フィルター交換方法における第2挟持工程について説明する。図8を再度参照して、この第2挟持工程は、第1の実施の形態におけるフィルター取付方法の挟持工程に相当するものであり、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして、挟持具1によって第1の実施の形態のフィルター40と同様の構造の新たなフィルター90を挿入する。
【0127】
次に、フィルター交換方法における第2姿勢調整工程及び第2姿勢固定工程について説明する。図9を再度参照して、この第2姿勢調整工程は第1の実施の形態におけるフィルター取付方法の姿勢調整工程に相当するものであり、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして、フィルター90を挟持した状態で、挟持具1の長尺部材3a、3bを長手方向に相対的に移動することで、フィルター90の姿勢を調整する。
【0128】
又、続く第2姿勢固定工程は、第1の実施の形態におけるフィルター取付方法の姿勢固定工程に相当するものであり、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして、挟持具1の接続部30を固定することで、フィルター90の姿勢を固定する。
【0129】
このフィルター80を傾斜させた状態において、第1の実施の形態と同様に、フィルター80の枠体81のフランジ部82の上端86aから下端86bまでの高さ方向の長さL3は、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さLよりも短いものとなる。
【0130】
次に、フィルター交換方法における挿入工程について説明する。図10を再度参照して、この挿入工程は第1の実施の形態におけるフィルター取付方法の挿入工程に相当するものであり、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして、姿勢を調整したフィルター90を水抜きパイプ60の手前側から奥側に向かって、フィルター90が水抜きパイプ60の奥側端部62を超えるまで挿入する。
【0131】
その際、第1の実施の形態と同様に、フィルター90の枠体91のフランジ部92の径は、水抜きパイプ60の内径よりもやや大きいものであるから、フィルター90の奥行方向(図10の紙面を貫く方向)において、フランジ部92の一部である奥行方向端部97a、97bが水抜きパイプ60の内面に押し付けられることとなる。一方で、フィルター90のフランジ部92の上端96aから下端96bまでの高さ方向の長さL3は、水抜きパイプ60の高さ方向の内径の長さLよりも短いものとなっているので、フィルター90のフランジ部92は、高さ方向においては水抜きパイプ60の内面とは離れることとなる。そのため、フィルター90の挿入時における水抜きパイプ60に対する抵抗を軽減させることができる。
【0132】
次に、フィルター交換方法における嵌込み工程について説明する。図11を参照して、この嵌込み工程は第1の実施の形態におけるフィルター取付方法の嵌込み工程に相当するものであり、第1の実施の形態で説明した手順と同様にして、挟持具1の長尺部材3a、3bを相対的に移動させることで、フィルター90の姿勢を水抜きパイプ60の奥側端部62に当接する姿勢に調整した後、フィルター90のフランジ部92が水抜きパイプ60の奥側端部62に当接するようにして嵌め込む。
【0133】
このようなフィルター交換方法は、上述したように、第1の姿勢調整工程及び第2の姿勢調整工程によって、姿勢を調整したフィルター80、90のフランジ部82、92の上端86a、96aから下端86b、96bまでの高さ方向の長さが、水抜きパイプ60の内径の高さ方向の長さより短くなり、フィルター80、90の引抜き時及び挿入時の抵抗が減少するため、水抜きパイプ60に対するフィルター80、90の交換が容易になる。
【0134】
又、第1姿勢固定工程によって、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプ60からフィルター80を引き抜くことができるため、水抜きパイプ60に対するフィルター80、90の交換が更に容易になる。
【0135】
更に、第2姿勢固定工程によって、一定の姿勢を維持した状態で、水抜きパイプ60にフィルター90を挿入することができるため、水抜きパイプ60に対するフィルター80、90の交換が更に容易になる。
【0136】
更に、挟持具1の引っ掛け部11a、11bをフィルター80、90の小孔84、94に挿入して挟持することによって、フィルター80、90を引っ掛けつつ挟み込むことができるため、水抜きパイプ60に対してフィルター80、90を安定的に交換することが可能となる。
【0137】
更に、水抜きパイプ60に対してフィルター80が大きく劣化する前にフィルター90に交換することができるので、土砂52の流出を半永久的に防止することが可能となる。これによって、水抜きパイプ60の奥側に空隙が生じることを防止でき、擁壁50の崩落等の虞を低減することにつながり、防災性が向上するものとなる。
【0138】
図16は、この発明の第3の実施の形態による挟持具の概略正面図であり、図17は、図16で示した挟持具の概略背面図であり、図18は、図16で示した挟持具の一対の長尺部材同士を長手方向に相対的に移動させた状態を示す概略図であり、図19は、図16で示した挟持具を開状態にした状態を示す概略図である。
【0139】
この第3の実施の形態による挟持具101は、第1の実施の形態による挟持具1と基本的には同様の構成であるので、ここでは相違点を中心を説明する。
【0140】
図16から図19を参照して、挟持具101の一対の長尺部材103a、103bの挟持部110及び把持部120は、第1の実施の形態の挟持具1の挟持部10及び把持部20と同様の構成のものである。挟持具101の接続部130は、第1の実施の形態の挟持具1と同様に、長尺部材103a、103b同士を互いに開閉自在となるように軸支して接続するものである。
【0141】
又、長尺部材103a、103bの一方である長尺部材103aには第1の長孔131が設けられ、長尺部材103a、103bの他方である長尺部材103bには、第1の長孔131と同様の形状の第2の長孔141が第1の長孔131と重なり合う位置に設けられている。そして、長尺部材103a、103b同士を重ね合わせた状態で長尺部材103aの第1の長孔131と長尺部材103bの第2の長孔141とを貫通する締結具135によって締結されるものである。この第3の実施の形態において、締結具135は、ボルト136及びナット137で構成され、ボルト136は長尺部材103aの正面側(表面側)から第1の長孔131と長尺部材103bの第2の長孔141とを貫通し、ナット137は長尺部材103bの背面側(裏面側)からボルト136と嵌合するようになっている。ボルト136の軸は第1の長孔131及び第2の長孔141を貫通していることから、ナット137を緩めた状態では、図16図18とで示すように、ボルト136は、第1の長孔131の内部において、第1の長孔131の挟持部110側端部である第1の位置132と第1の長孔131の把持部120側端部である第2の位置133との間を移動自在となっている。又、第1の長孔131と第2の長孔141とは重なり合っていることから、ボルト136は、第2の長孔141の内部において、第2の長孔141の挟持部110側端部である第1の位置142と第2の長孔141の把持部120側端部である第2の位置143との間を移動自在となっているものでもある。加えて、ナット137を締めることによって、第1の位置132、142と第2の位置133、143との間の任意の位置で接続部30を固定可能となり、長尺部材103a、103b全体を固定することが可能となる。
【0142】
この長尺部材103a、103b同士の長手方向への相対的な移動は、第1の実施の形態の挟持具1と同様に、長尺部材103a、103b同士が閉状態である場合のみならず、開状態の場合であっても可能なものとなっている。これによって、対象物であるフィルターを挟持した状態で、長尺部材103a、103b同士が長手方向に相対的に移動可能となる。
【0143】
このような挟持具101を用いて、第1の実施の形態のフィルター取付方法や第2の実施の形態のフィルター交換方法を実施することができる。
【0144】
このような挟持具101は、上述したように、長尺部材103aに第1の長孔131が設けられ、長尺部材103bに第2の長孔141が設けられていることから、一方の長尺部材103a及び他方の長尺部材103bを第1の長孔131及び第2の長孔141の長さ分、長手方向に相対的に移動させることができるため、フィルターの姿勢の微調整が容易となる。
【0145】
又、締結具135が第1の長孔131と第2の長孔141の第1の位置132、142と第2の位置133、143との間を移動自在で、且つ締結具135によって第1の位置132、142と第2の位置133、143との間で固定可能であることによって、一方の長尺部材103a及び他方の長尺部材103bを第1の長孔131及び第2の長孔141の第1の位置132、142と第2の位置133、143の間で自在に移動及び固定することが可能になるため、フィルターの姿勢の微調整が更に容易となる。
【0146】
更に、挟持具101は、上述したように、締結具135は、ボルト136とナット137とによって構成されているから、ボルト136とナット137の締付け具合に応じて、長尺部材103a、103b同士の移動可能状態と固定状態とを容易に変更することが可能となるため、使い勝手のよいものとなる。
【0147】
図20は、他の実施の形態によるフィルターの皿底部を示す概略図であり、(1)は第4の実施の形態、(2)は第5の実施の形態、(3)は第6の実施の形態によるものである。
【0148】
この第4から第6の実施の形態によるフィルター150、160、170は、第1の実施の形態によるフィルター40と基本的には同様の構成であるので、ここでは相違点を中心に説明する。
【0149】
図5の(1)を参照して、第4の実施の形態のフィルター150は、枠体151の皿底部153に第1の実施の形態よりも大きな小孔154が複数設けられているものである。これによって、第1の実施の形態で述べた挟持具1の引っ掛け部11a、11bを挿入しやすくなる。又、フィルター150自体が目詰まりしにくいものとなる。
【0150】
図5の(2)を参照して、第5の実施の形態のフィルター160は、枠体161の皿底部163に第1の実施の形態よりも小さな小孔164が複数設けられているものである。これによって、土砂が水抜きパイプから流出する虞がより低減する。尚、この場合、第1の実施の形態で述べた挟持具1の引っ掛け部11a、11bを、小孔164に合うようにより細く構成する等してもよい。
【0151】
図5の(3)を参照して、第6の実施の形態のフィルター170は、枠体171の皿底部173に第4の実施の形態と同等の小孔174が複数設けられていると共に、X字形状の閉鎖部175が設けられているものである。これによって、挟持具1の引っ掛け部11a、11bを挿入しやすさを維持しながら、土砂が水抜きパイプから流出する虞を低減することができる。
【0152】
上記の第4から第6の実施の形態によるフィルター150、160、170は、第1の実施の形態の挟持具1のみならず、第2の実施の形態の挟持具101によって挟持することも可能である。
【0153】
尚、上記の各実施の形態では、挟持具は鋼板を打ち抜き加工して形成されたものであったが、素材や製造方法はこれに限定されない。木製や樹脂製のものであってもよい、鋳ぬきによって形成されるものであってもよい。
【0154】
又、上記の各実施の形態では、挟持具の長さは限定されるものではなく、使用者が腕ごと押し入れて挟持部が水抜きパイプの奥側端部に到達する長さであってもよい。尚、操作の都合上、フィルターの取付け及び交換の対象となる水抜きパイプより長めに形成されているものが好ましく、更には把持部が水抜きパイプの外側に出る長さに形成されているものがより好ましい。
【0155】
更に、上記の各実施の形態では、挟持部は特定形状のものであったが、これに限らない。凸凹形状の滑り止めなどを形成したもの等他の形状であってもよい。
【0156】
更に、上記の各実施の形態では、挟持部は引っ掛け部を有するものであったが、引っ掛け部はなくてもよい。
【0157】
更に、上記の各実施の形態では、引っ掛け部は鉤形状を有するものであったが、これに限らない。T字形状等他の形状であってもよい。
【0158】
更に、上記の各実施の形態では、挟持部は移動阻止部を有するものであったが、移動阻止部はなくてもよい。
【0159】
更に、上記の各実施の形態では、移動阻止部は互いに内側を向いた山型形状を有するものであったが、これに限らない。外側を向いたものや、蒲鉾形状に形成されたもの等他の方向を向くものや形状であってもよい。
【0160】
更に、上記の各実施の形態では、把持部は特定形状のものであったが、これに限らない。開口は設けずに太めの棒状に形成し、グリップを巻き付けて握りやすくしたもの等他の形状であってもよい。
【0161】
更に、上記の各実施の形態では、接続部は特定形状のものであったが、これに限らない。長尺部材同士を開閉自在に軸支すると共に、対象物を挟持した状態で長尺部材同士を長手方向に相対的に移動可能なものであれば他の構成であってもよい。
【0162】
更に、上記の各実施の形態では、締結部はボルトとナットとで構成されるものであったが、これに限らず、他のものであってもよい。
【0163】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターは特定の構造を有するものであったが、これに限らない。水抜きパイプに取り付けられるものであれば円錐形状のものや、水抜きパイプ内でのフィルターの脱落を防止する足などが付いたもの、フィルター本体が脱落しないように、枠体にフィルター本体を覆う孔付きの蓋部を設けたもの等他の形状であってもよい。
【0164】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターは枠体内にフィルター本体を取り付ける構成であったが、これに限らない。フィルターの枠体に細かな孔を形成してフィルター本体と同等の機能を備えることで、フィルター本体を設けない構成であってもよい。
【0165】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターのフランジ部は可撓性を有するものであったが、これに限らない。縮径する等して水抜きパイプに挿入して取り付けられるものであれば可撓性を有しないものであってもよい。
【0166】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターの枠体の素材は特に限定しない。土中において変質するようなものでなければよい。
【0167】
更に、上記の各実施の形態では、フィルター本体は不織布によって構成されるものであったがこれに限らない。枠体のような樹脂に複数の孔を設けたようなものであってもよい。
【0168】
更に、上記の各実施の形態では、対象物は水抜きパイプ用のフィルターであったが、これに限らず、挟持具によって挟持できるものであればよい。
【0169】
更に、上記の第1の実施の形態では、挟持工程は姿勢調整工程よりも前に行われるものであったが、これに限らない。姿勢調整工程によって挟持具の長尺部材同士を相対的に移動させた後に、挟持工程によってフィルターを挟持するものであってもよい。
【0170】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2挟持工程は第2姿勢調整工程よりも前に行われるものであったが、これに限らない。第2姿勢調整工程によって挟持具の長尺部材同士を相対的に移動させた後に、第2挟持工程によってフィルターを挟持するものであってもよい。
【0171】
更に、上記の第1の実施の形態では、姿勢固定工程を含むものであったが、姿勢固定工程は省略してもよい。その場合は、姿勢調整工程によって調整したフィルターの姿勢を維持できるように挟持具を操作すればよい。
【0172】
更に、上記の第1の実施の形態では、第1姿勢固定工程及び第2姿勢固定工程を含むものであったが、第1姿勢固定工程及び第2姿勢固定工程は省略してもよい。その場合は、第1姿勢調整工程及び第2姿勢調整工程によって調整したフィルターの姿勢を維持できるように挟持具を操作すればよい。
【0173】
更に、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、フィルターを従来技術のように縮径させた状態で挟持するものであってもよい。
【0174】
更に、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、擁壁は既設のものであっても、新設のものであってもよい。
【0175】
更に、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、擁壁として例示した石積み擁壁はモルタルやコンクリート等を接着剤や固定材として用いる練り石積みであってもよいし、空石積みであってもよい。又、石積み擁壁ではなく、コンクリート擁壁であってもよい。
【0176】
更に、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、擁壁は、積み上げた石と水抜きパイプの奥側は透水層として直接土砂52等で埋められていたが、石と土砂との間に補強用のモルタル層を設けたものであってもよい。又、フィルターの交換の際に石と土砂との間にモルタルを充填するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0177】
1、101…挟持具
3a、3b、103a、103b…長尺部材
10、110…挟持部
11a、11b…引っ掛け部
12a、12b…移動阻止部
20、120…把持部
21a、21b…開口
30、130…接続部
31…長孔
32、132、142…第1の位置
33、133、143…第2の位置
35、135…締結具
36、136…ボルト
37、137…ナット
40、80、90、150、160、171…フィルター
41、81、91、151、161、171…枠体
42、82、92…フランジ部
43、83、93、153、163、173…皿底部
44、84、94、154、164、174…小孔
48、88…フィルター本体
50…擁壁
60…水抜きパイプ
61…水抜きパイプの手前側端部
62…水抜きパイプの奥側端部
131…第1の長孔
141…第2の長孔
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【要約】
【課題】 操作性に優れた挟持具並びにこれを用いたフィルター取付方法及び交換方法を提供する。
【解決手段】 挟持具1は、一対の長尺部材3a、3bとからなるものであり、対象物であるフィルターを挟持可能なものである。長尺部材3a、3bの長手方向の一方端側には、フィルターを挟持する挟持部10が設けられている。又、長尺部材3a、3bの長手方向の他方端側には把持可能に形成された把持部20が設けられている。更に、長尺部材3a、3bは、挟持部10と把持部20との間に設けられた接続部30において、長尺部材3a、3b同士を互いに開閉自在となるように軸支して接続されている。更に、挟持具1は、フィルターを挟持した状態で、長尺部材3a、3b同士が長手方向に相対的に移動可能となるように構成されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20