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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】積層フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20250227BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20250227BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J153/02
B32B27/00 104
B32B27/00 M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020544677
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2020031412
(87)【国際公開番号】W WO2021054030
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2019170220
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】安岡 哲
(72)【発明者】
【氏名】井上 則英
(72)【発明者】
【氏名】町田 哲也
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098664(WO,A1)
【文献】特開2012-111047(JP,A)
【文献】特開2012-111793(JP,A)
【文献】特開2010-235772(JP,A)
【文献】特開2016-172838(JP,A)
【文献】特開2008-274212(JP,A)
【文献】特開2019-183124(JP,A)
【文献】国際公開第2020/116625(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/046251(WO,A1)
【文献】特許第6206749(JP,B1)
【文献】特開2008-239861(JP,A)
【文献】特開2018-119138(JP,A)
【文献】特開平6-240216(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043357(WO,A1)
【文献】特開2020-26531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0033662(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0033699(US,A1)
【文献】特開2018-188635(JP,A)
【文献】特開2017-43775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0216726(US,A1)
【文献】特開2013-234321(JP,A)
【文献】特開2019-48981(JP,A)
【文献】特開2001-234142(JP,A)
【文献】特開2020-19917(JP,A)
【文献】特開2011-57992(JP,A)
【文献】特開2010-106090(JP,A)
【文献】特開2009-73968(JP,A)
【文献】特開2012-126822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層(a)の一方の面に樹脂層(b)を有する積層フィルムであって、該樹脂層(b)が水添共重合体組成物と粘着付与樹脂を含む樹脂組成物であり、該水添共重合体組成物が下記(1)~(3)を満たす積層フィルム。
(1)水添共重合体組成物は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックにより構成され、B-A-Bの構造式を有する。
(2)水添共重合体組成物全体におけるビニル芳香族単量体単位の含有量が5~30重量%である。
(3)水添共重合体組成物のメルトフローレートが3~30g/10分である。
【請求項2】
前記樹脂層(b)の前記水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合のうち81mol%以上が水素添加されている請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記樹脂層(b)の厚さが1~30μmである請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記樹脂層(b)の前記粘着付与樹脂が、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂およびキシレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂である請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記樹脂層(b)の樹脂組成物における前記粘着付与樹脂の含有量が3~30重量%である請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記基材層(a)のもう一方の面に第2の樹脂層(c)を有する、請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、前記基材層(a)、前記樹脂層(b)が、溶融共押し出しによって形成される積層フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の積層フィルムの製造方法であって、前記基材層(a)、前記樹脂層(b)および前記第2の樹脂層(c)が、溶融共押し出しによって形成される層フィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、
前記樹脂層(b)の水添共重合体組成物が、ブタジエンモノマーの重合を完結させ、次にスチレンモノマーの重合を完結させ、さらにブタジエンモノマー重合を完結させた後、カップリング剤を添加し、ブタジエン・スチレン・ブタジエン共重合体の一部を架橋させて、得られた共重合体とその架橋物に、水添触媒を添加して二重結合を水素添加して得られる、積層フィルムの製造方法。
【請求項10】
プリズム表面用の保護フィルムに用いられる、請求項1~6のいずれかに記載の積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート表面に対して初期粘着力、粘着昂進の抑制、加熱後の浮きの抑制および被着体に対する汚染の抑制のバランスに優れる積層フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂、金属、ガラスなどの各種素材からなる製品には、加工工程、輸送工程、保管中に生じるキズや汚れを防止するため、表面を保護する材料を貼って取り扱うことが多々ある。表面を保護する代表的な材料が保護フィルムであり、一般に、支持基材上に、粘着層が形成された積層フィルムを用い、粘着層面を被着体に貼着させて支持基材で被覆することにより表面を保護するものである。またこれらの積層フィルムには、粘着層と被着体との粘着力は適度に強いことが求められる。この適度な強さとは、自然に自己剥離したり軽い振動や衝撃で脱落したりすることが無い強さであり、かつ、剥離するときには被着体表面に粘着層を残すことなくスムーズに剥離できる強さをいう。
【0003】
近年、液晶ディスプレイやタッチパネルデバイスの普及が進み、これらは合成樹脂からなる多数の光学シートなどの部材から構成されている。かかる光学シートは、光学的な歪みなどの欠点を極力低減させる必要があることから、欠点の原因となり得るキズや汚れを防止するため、保護フィルムが多用されている。
【0004】
保護フィルムに要求される特性としては、温度、湿度などの環境変化や小さな応力を受けた程度では被着体から容易に剥離しないこと、時間および温度などの外因によって被着体と粘着剤層と間の接触面積が増加することによる粘着力の上昇、いわゆる粘着昂進しないこと、被着体から剥離した際に被着体に粘着剤および粘着剤成分が残らないことなどが挙げられる。
【0005】
上記光学シートのなかでも、例えば拡散板やプリズムシート、さらにはプリズムシートの背面に形成される様々な形状を有する拡散面のように表面に凹凸を有する部材では、保護フィルムを貼り合わせた直後は、凹凸部への粘着層の追従が不十分で、所望の粘着力が得られず、剥離してしまう場合がある。このような課題に対して、粘着層を柔らかくする方法や粘着付与剤を用いて粘着力を高くする方法などが知られている。
【0006】
特許文献1には、粘着性樹脂組成物およびそれを用いた保護フィルムが記載されている。しかし、この保護フィルムは、被着体と貼合後、加熱されると部分的に剥がれ(浮きと表現されるケースもあり)が発生するため、粘着付与剤を多く含有させる必要があり、粘着付与剤を粘着層に多く含有させると、粘着フィルムを剥離させる際に被着体表面に粘着層が残りやすくなってしまい、結果的に被着体が粘着層によって汚染される問題があった。
【0007】
特許文献2には、共重合体またはその水素添加物(以下、水素添加を水添ということがある。)と、酸価が1~7の脂肪酸アミドとを含有することを特徴とする粘着剤組成物、および表面保護フィルムが記載されている。しかし、被着体と貼合後、加熱されると部分的に剥がれ、また脂肪酸アミドがブリードアウト(フィルムを製造する際に使用した添加剤が時間の経過によりフィルムの表面に浮き出てくる現象)することで工程や製膜された表面保護フィルム、ひいては貼合される被着体も汚染されてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2019/044637号
【文献】特開2012-1630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、光学シート表面に対して初期粘着力、粘着昂進の抑制、加熱後の浮きの抑制および被着体に対する汚染の抑制のバランスに高度に優れる積層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題は、以下の本発明により解決することができる。
【0011】
基材層(a)の一方の面に樹脂層(b)を有する積層フィルムであって、該樹脂層(b)が水添共重合体組成物と粘着付与樹脂を含む樹脂組成物であり、該水添共重合体組成物が下記(1)~(3)を満たす積層フィルム。
(1)水添共重合体組成物は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックとからなり、末端に共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックが存在するものである。
(2)水添共重合体組成物全体におけるビニル芳香族単量体単位の含有量が、5~30重量%である。
(3)水添共重合体組成物のメルトフローレートが3~30g/10分である。
また、上記の積層フィルムの製造方法であって、前記基材層(a)、前記樹脂層(b)が、溶融共押し出しによって形成される積層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、光学シート表面に対して初期粘着力、粘着昂進の抑制、加熱後の浮きの抑制および被着体に対する汚染の抑制のバランスに高度に優れる積層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、共重合体を構成する各単量体単位の命名は、当該単量体単位が由来する単量体の命名に従っているものとする。例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味する。ビニル芳香族単量体単位は、ビニル芳香族化合物のビニル基で他の単量体単位と結合している。
【0014】
また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエン化合物を重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味する。共役ジエン単量体単位は、共役ジエン化合物の2つの二重結合の一方で他の単量体単位と結合しているか(1,2-結合または3,4-結合)、共役ジエン化合物の2つの二重結合の両方で、他の単量体単位と結合している(1,4-結合)。
【0015】
「ビニル芳香族単量体単位」を構成する「ビニル芳香族化合物」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、入手性および生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンが好ましい。これらの中でもスチレンが特に好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
「共役ジエン単量体単位」を構成する「共役ジエン化合物」は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、およびファルネセンが挙げられる。好ましいジオレフィンとしては、1,3-ブタジエン、およびイソプレンが挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
水添共重合体組成物にはカップリング剤が用いられることが好ましいが、そのカップリング剤はリニアビニル芳香族共重合体を放射状に結合させる多官能性化合物である。カップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアルケニルカップリング剤等が挙げられる。好適なポリアルケニルカップリング剤としては、例えばジビニルベンゼンが挙げられ、m-ジビニルベンゼンが好ましい。また、カップリング剤として、例えば、テトラエトキシシランおよびテトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、安息香酸エチルや安息香酸メチルなどのカルボン酸エステル化合物、並びにビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から誘導されるジグリシジルエーテル等のジグリシジル芳香族エポキシ化合物も挙げられる。
【0018】
本発明における水添共重合体組成物は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックとからなり、末端に共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックが存在するものである。すなわち、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックをA、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックをBとした場合に、B-A-Bの構造式を有するものである。さらには上記カップリング剤によりB-A-B-Xの構造式、および(B-A-B)のブロック構造が放射状に結合された、(B-A-B)nX(n=2~4)の構造式を有するものである。ここでXは使用したカップリング剤の残基である。末端に共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを配置することで、加熱後の浮きを抑制することができる。
【0019】
本発明における水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、前記組成物を基準として、5~30重量%であり、好ましくは6~20重量%であり、より好ましくは8~12重量%である。ビニル芳香族単量体単位の含有量が30重量%を超えると、初期粘着力が低下し、ビニル芳香族単量体単位の含有量が5重量未満の場合、粘着昂進が悪化したり、汚染が悪化したりする。
【0020】
本発明における水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、後述する実施例に記載のとおり、紫外分光光度計により測定できる。なお、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添前後でほぼ等しいので、水添前の共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量で把握してもよい。
【0021】
本発明における水添共重合体組成物に含まれる共役ジエン単量体単位の二重結合の割合(以下、水添率ということがある。)は、81mol%以上が好ましく、より好ましくは85mol%以上であり、さらに好ましくは90mol%以上である。81mol%未満であれば、粘着昂進が大きくなり、被着体に対して糊残りが発生することがある。
【0022】
前記水添率は、例えば、水添時の触媒量、水素フィード量を調整することによって制御することができる。なお、水添速度は、例えば、水添時の触媒量、水素フィード量、圧力および温度等を調整することにより制御することができる。また、前記水添率は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0023】
本発明における水添共重合体組成物のメルトフローレート(以下、「MFR」と略称する場合がある。ISO 1133に準拠)は、温度230℃、荷重21.17N(2.16kgf)の条件下で、3~30g/10分であり、好ましくは5~20g/10分であり、更に好ましくは6~16g/10分である。MFRが30g/10分を超えると、初期粘着力が強くなり、且つ粘着昂進が大きく、糊残りも発生する。MFRが3g/10分未満の場合、加熱後の浮きが発生する。水添共重合体組成物のMFRは、単量体添加量、重合時間、温度、重合開始剤等の重合条件を調整することにより制御することができ、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0024】
本発明における樹脂層(b)は、初期粘着力向上を目的に粘着付与樹脂を含む。本発明の積層フィルムに粘性を付与しうる樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂およびキシレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂であることが好ましい。また、これらの不飽和結合に水素添加した水添物を使用することもできる。さらに好ましくは脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂であり、最も好ましくは芳香族系石油樹脂、テルペンフェノール系樹脂である。
【0025】
粘着付与樹脂は1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。本発明における樹脂層(b)の樹脂組成物における粘着付与樹脂の含有量は3~30重量%が好ましく、5~20重量%がより好ましい。粘着付与樹脂の含有量が3重量%未満であった場合、所望の初期粘着力が得られず、30重量%を超えると粘着昂進が大きくなり、被着体に対して糊残りが発生してしまう。
【0026】
本発明における樹脂層(b)の樹脂組成物は、上述した本発明における特定の水添共重合体組成物以外の構造を有する水添スチレン系エラストマーを樹脂層(b)の樹脂組成物に対し50重量%を上限にさらに含有してもよい。
【0027】
前記水添スチレン系エラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)などのスチレン・共役ジエン系共重合体およびそれらの水添物(例えば水添スチレン・ブタジエン共重合体(HSBR)やスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS))や、スチレン・イソブチレン系共重合体(例えば、スチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)やスチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)またはこれらの混合物)が、代表的な水添スチレン系エラストマーとして挙げられる。
【0028】
本発明における樹脂層(b)の樹脂組成物には、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤を添加してもよい。また、上述した各種材料の他にも、必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。
【0029】
前記添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンガラ、二酸化チタン等の顔料、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等のワックス類、無定形ポリオレフィン、エチレン・エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系または低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン・イソブチレンゴム、ポリペンテナマーゴム等の合成ゴムが挙げられる。
【0030】
前記合成ゴムとしては、具体的には、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に記載されたものが挙げられる。
【0031】
本発明における樹脂層(b)は、上述した本発明における特定の水添共重合体組成物および粘着付与樹脂からなる樹脂組成物として、基材層(a)上に積層形成される。
【0032】
本発明における樹脂層(b)の厚さは、1μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましい。樹脂層(b)の厚さが30μmを超えると生産性が安定せず、1μm未満であれば被着体との密着性が悪化する場合がある。
【0033】
本発明における基材層(a)の材料としては特に限定されず、非極性樹脂及び極性樹脂のいずれも使用できる。性能や価格面等から、非極性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。基材に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、エチレン単独重合体、エチレン・α―オレフィン共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、およびエチレン・酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン・α―オレフィン共重合体、およびプロピレン・エチレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ブテン単独重合体、ブタジエンおよびイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体または共重合体等が挙げられる。また、上記ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンが例示される。共重合の形態はランダムであってもよく、ブロックであってもよく、3元共重合体の形態であってもよい。上記ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記ポリエチレン系樹脂は、エチレンを主成分として用いて得られる。上記ポリエチレン系樹脂の全構造単位100重量%中、エチレンに由来する構造単位の割合は好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主成分として用いて得られる。上記ポリプロピレン系樹脂の全構造単位100重量%中、プロピレンに由来する構造単位の割合は好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。本発明における基材層(a)はポリプロピレン系樹脂を主体とするのが、耐熱性や対候性、あるいは樹脂層(b)との密着性の点で好ましい。
【0034】
本発明における基材層(a)の厚さは、好ましくは10μm以上、150μm以下であり、より好ましくは15μm以上、80μm以下、最も好ましくは20μm以上、50μm以下である。
【0035】
本発明の積層フィルムが基材層(a)と樹脂層(b)のみからなる場合、基材層(a)の表面と樹脂層(b)との表面の粘着力を抑えるために基材層(a)の表面に凹凸を付与し、樹脂層(b)との接触面積を小さくすることが好ましい。その手段としては基材層(a)に使用する樹脂と非相溶の樹脂を添加したり、有機系、無機系の粒子を配合したりすることもできる。
【0036】
基材層(a)にポリプロピレン系樹脂を主体とした場合、かかる非相溶の樹脂としては、4-メチルペンテン-1系重合体等の炭素数4以上のα―オレフィン重合体を用いることができる。その他にも低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと少量のα―オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、ポリスチレン、脂環式オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が例示される。
【0037】
かかる有機系の粒子としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられ、ポリエチレン系としては三井化学(株)製の高分子量ポリエチレン微粒子“ミペロン”、綜研化学(株)製の架橋アクリル単分散粒子MX-1500Hが例示される。また無機系の粒子としてはシリカや酸化チタン等が例示される。
【0038】
一方、基材層(a)にシリコーン系の離型性付与剤を添加することで樹脂層(b)との表面の粘着力を適度に抑えることも可能である。係るシリコーン系の離型性付与剤としては、三井化学ファイン(株)製の“イクスフォーラ”やダウ・東レ(株)製のBY27-201CおよびBY27-202H、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製パーレーンY19220およびSiPP MB01等が例示される。
【0039】
本発明において、基材層(a)のもう一方の面に第2の樹脂層(c)を積層することは、上記樹脂層(b)と第2の樹脂層(c)との粘着を抑えるために好ましい。
【0040】
本発明における第2の樹脂層(c)を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは基材層(a)と同一組成物であり、第2の樹脂層(c)に上述の非相溶の樹脂、有機系、無機系の粒子、離型剤等を添加することが、生産性やコスト、離型効果の観点から好ましい。
【0041】
本発明における第2の樹脂層(c)の厚さは、好ましくは1μm以上、20μm以下である。上記第2の樹脂層(c)の厚さが1μm未満であると製膜時の加工性が劣り、20μmを超えると積層フィルムとしてコストアップにつながりやすい。
【0042】
次に本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
【0043】
本発明の積層フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂層(b)、基材層(a)、第2の樹脂層(c)の3層積層構成の場合、各々を構成する樹脂組成物を個別の押出機から溶融押出し、口金内で積層一体化させるいわゆる共押出法や、上記樹脂層(b)、基材層(a)、第2の樹脂層(c)をそれぞれ個別に溶融押出した後に、ラミネート法により積層する方法等が挙げられる。生産性の観点から共押出法で製造されることが好ましい。各層を構成する材料は、ヘンシェルミキサ等で各々混合したものを用いてもよいし、予め各層の全てまたは一部の材料を混練したものを用いてもよい。共押出法については、インフレーション法、Tダイ法等の公知の方法が用いられるが、厚さ精度に優れることや表面形状制御の観点から、Tダイ法による熱溶融共押出法が特に好ましい。
【0044】
本発明の積層フィルムは、合成樹脂板、金属板、ガラス板等の製造、加工、運搬時の傷付き防止、汚れ付着防止用の表面保護フィルムとして用いることができるが、例えば、拡散板やプリズムシートなどの表面に凹凸を有する光学用の表面保護フィルムとして好ましく用いられる。
【実施例
【0045】
以下、具体的な実施例および比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例に適用した、物性の測定方法および評価方法について下記に示す。
【0046】
(1)水添共重合体組成物の共役ジエン化合物由来の二重結合の水添率
水添共重合体組成物中のブロック化率、ビニルを核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。なお、測定に際しては水添反応後の液を大量メタノール中に投入し、水添共重合体組成物を沈殿させて回収した。次いで水添共重合体組成物をアセトンで抽出し、抽出液を真空乾燥し、1H-NMR測定のサンプルとして用いた。測定の条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器:JNM-LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロホルム
測定サンプル:ポリマーを水添する前後の抜き取り品
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:CDCl3(重水素クロホルム)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:256回
パルス幅:45°
測定温度:26℃。
【0047】
(2)水添共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)
ISO 1133に準拠し、温度230℃、荷重21.17N(2.16kgf)の条件で、水添共重合体組成物のMFR(g/10分)を測定した。
【0048】
(3)水添共重合体組成物のビニル芳香族単量体単位の含有量
一定量の水添共重合体組成物をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV-2450)にて測定した。ビニル芳香族化合物(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度に基づき、検量線を用いて水添共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量を算出した。
【0049】
(4)初期粘着力
温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調温調湿した各積層フィルムを、ロールプレス機((株)安田精機製作所製特殊圧着ローラ(硬度A80、自重2kg))を用いて貼合圧力0.35MPa、貼合速度3m/分で、プリズムシートのレンズ面に、当該レンズ面を覆うように貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%で24時間保管した後、粘着力評価を行った。なお、プリズムシートは厚さが95μmのアクリル樹脂からなるプリズム稜線間の間隙が25μmのものを用いた。
【0050】
粘着力は、引張試験機((株)オリエンテック製万能試験機“テンシロン”)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度で粘着力を測定した。測定は5回行い、平均値を初期粘着力とした。
(判定基準)
粘着力(初期)
優:10mN/25mm以上、100mN/25mm未満
良:100mN/25mm以上、300mN/25mm未満
不良:10mN/25mm未満、300mN/25mm以上。
【0051】
(5)経時粘着力(粘着昂進)
前記(4)初期粘着力の試験と同様の方法で、各積層フィルムを、プリズムシートのレンズ面に、当該レンズ面を覆うように貼り付けた。その後、50℃に温度制御した熱風オーブン内で72時間保管し、さらに温度23℃、相対湿度50%で24時間保管した後、粘着力評価を行った。
【0052】
粘着力は、引張試験機(オリエンテック製万能試験機“テンシロン”)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度で粘着力を測定した。測定は3回行い、平均値を経時粘着力とした。このようにして測定された剥離強度を経時粘着力とし、初期粘着力から経時粘着力の変化率(粘着昂進率)を次式で算出した。
粘着昂進率(%)=(経時粘着力/初期粘着力)×100(%)
(判定基準)
粘着昂進率
優:80%以上、150%未満
良:150%以上、250%未満
不良:250%以上。
【0053】
(6)加熱浮き評価
前記(4)初期粘着力の試験と同様の方法で、各積層フィルムを、プリズムシートのレンズ面に、当該レンズ面を覆うように貼り付けた。その後、50℃に温度制御した熱風オーブン内で72時間保管し、さらに温度23℃、相対湿度50%で24時間保管した後、プリズムシートからの表面保護シートの浮きの有無を目視評価した。浮きが見られない場合を良、浮きが見られた場合を不良と評価した。
【0054】
(7)糊残り(汚染)評価
前記(4)初期粘着力の試験と同様の方法で、各表面保護シートを、プリズムシートのレンズ面に、当該レンズ面を覆うように貼り付けた。60℃の環境下、30分放置し、表面保護フィルムを剥離後、プリズムシートへの糊残りの有無を目視にて評価した。
(判定基準)
良:プリズムシートに糊残りが観察できない
不良:プリズムシートに糊残りが観察できる。
【0055】
(水添共重合体組成物の製造)
(製造例)
攪拌装置およびジャケット付き槽型反応器を使用しシクロヘキサンを溶媒とし、n-ブチルリチウム(以下、Bu-Liと記すことがある)を重合触媒とし、まずブタジエンモノマー(I)を所定量添加して重合を完結させ、次にスチレンモノマーを所定量添加し重合を完結させ、さらにブタジエンモノマー(II)を所定量添加し重合を完結させた。重合完結後、カップリング剤のテトラエトキシシランを添加し、ブタジエン・スチレン・ブタジエン共重合体の一部を架橋させて、ブタジエン・スチレン・ブタジエン共重合体とその架橋物との混合物(共重合体組成物)を得た。
【0056】
この後、得られた重合溶液に、水添触媒として所定量のビスシクロペンタジエニルチタニウムクロリドとトリメチルアルミニウムを添加、ブタジエン由来の二重結合を水素添加し、反応終了後に酸化防止剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加し、所望の水添共重合体組成物(以下の実施例での水添物)を得た。得られた水添共重合体組成物の組成と物性を表1に示した。
【0057】
(実施例1)
水添共重合体組成物として、製造例で得た水添物1を85重量%に三井化学(株)製芳香族系炭化水素樹脂“FTR”8100を15重量%の比率でドライブレンドして樹脂層(b)とした。
【0058】
基材層(a)にはMFRが3.0g/10分のアイソタクチックポリプロピレン(ホモポリプロピレン)のプライムポリマー(株)製“プライムポリプロ”F113Gを用いた。
【0059】
圧縮比4.2、L/D=25の単軸スクリュー押出機を2台備えた2種2層Tダイ製膜機に上記樹脂層(b)および基材層(a)の樹脂を投入し、樹脂層(b)側を30℃に温度制御した金属冷却ロールに接するようにキャストを行い、冷却固化してフィルムを製膜し、樹脂層(b)厚さ4μm、基材層(a)厚さ36μm、全体厚さ40μmからなる積層フィルムを得た。
【0060】
(実施例2)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物2:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0061】
(実施例3)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物3:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0062】
(実施例4)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物4:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0063】
(実施例5)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物5:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0064】
(実施例6)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物1:85重量%
・ヤスハラケミカル(株)製テルペンフェノール樹脂YSポリスターTH130:15重量%。
【0065】
(実施例7)
実施例1の樹脂層(b)の厚さ25μm、基材層(a)厚さ15μmのように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmからなる積層フィルムを得た。
【0066】
(実施例8)
実施例1の樹脂層(b)の厚さ2μm、基材層(a)厚さ38μmのように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmからなる積層フィルムを得た。
【0067】
(実施例9)
実施例1に示した組成物に加え、基材層(a)の樹脂層(b)が形成された反対の面に第2の樹脂層(c)として以下に示す組成を用いて圧縮比4.2、L/D=25の短軸スクリュー押し出し機を3台備えた3種3層Tダイ製膜機に上記樹脂層(b)、基材層(a)および第2の樹脂層(c)の樹脂を投入し、樹脂層(b)側を30℃に温度制御した金属冷却ロールに接するようにキャストを行い、冷却固化してフィルムを製膜し、樹脂層(b)厚さ4μm、基材層(a)と第2の樹脂層(c)の合計の厚さ36μm、全体厚さ40μmからなる3層の積層フィルムを得た。
・(株)暁星ジャパン製 ブロックPP樹脂“トピレン”J640F:90重量%
・三井化学ファイン(株)製 オレフィン・シリコーン共重合体“イクスフォーラ”PPマスターバッチ:10重量%
(比較例1)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物6:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0068】
(比較例2)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物7:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0069】
(比較例3)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物8:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0070】
(比較例4)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物9:85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0071】
(比較例5)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・製造例で得た水添物1:100重量%。
【0072】
(比較例6)
実施例1の樹脂層(b)の組成を以下のように変更する以外は実施例1と同様に全体厚さ40μmのフィルムを得た。
・JSR(株)製水添スチレンブタジエンラバー“DYNARON”1321P(ブタジエンモノマーが末端に存在しない水添共重合体):85重量%
・“FTR”8100:15重量%。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
実施例1~8は、光学シート表面に対して初期粘着力、粘着昂進の抑制、加熱後の浮きの抑制および被着体に対する汚染の抑制のバランスに高度に優れていた。一方、比較例1、4、5および6は被着体と貼合後に加熱することで、積層フィルムが浮き上がり、フィルムが剥離してしまう不具合を生じた。比較例2、3は被着体と貼合後に加熱することで、粘着昂進が大きくなり、被着体の表面に粘着剤が残存して被着体の表面に糊残り(汚染)してしまう不具合を生じた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の積層フィルムは、表面に凹凸を有する被着体のキズや汚れを防止する表面保護フィルムのみならず、合成樹脂、金属、ガラス等の各種素材からなる種々の製品の表面保護フィルム用途として好ましく用いることができる。