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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】蓄電池管理システム及び蓄電池管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20250227BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250227BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250227BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/00 Y
H02J3/32
H01M10/48 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021048971
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147640
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】寺西 利絵
(72)【発明者】
【氏名】笹川 貴子
(72)【発明者】
【氏名】小関 和徳
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-173467(JP,A)
【文献】特開2013-140631(JP,A)
【文献】特開2014-139725(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125213(WO,A1)
【文献】特開2015-7854(JP,A)
【文献】国際公開第2006/090636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/34
H02J 7/00
H02J 3/32
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池ユニットに格納される1以上の蓄電池モジュールの蓄電容量を個別に検出する蓄電容量検出部と、
前記蓄電容量検出部により検出された蓄電容量が閾値以下となったか否かを判定する蓄電容量判定部と、
在庫の蓄電池モジュールのうちから、前記閾値よりも蓄電容量が大きい蓄電池モジュールを、交換用の蓄電池モジュールとして決定する交換モジュール決定部と
前記蓄電容量判定部により蓄電容量が閾値以下となったことが判定された蓄電池モジュールを、前記交換用の蓄電池モジュールに交換する指示を行う交換指示部とを備え、
前記交換指示部は、
前記交換モジュール決定部により決定された前記交換用の蓄電池モジュールと、前記交換用の蓄電池モジュールの交換先を指示する
蓄電池管理システム。
【請求項2】
前記蓄電容量判定部は、
前記蓄電池ユニットを保有する需要家が蓄電池管理者と契約している蓄電容量に基づいて設定された前記閾値を用いる
請求項1に記載の蓄電池管理システム。
【請求項3】
前記交換モジュール決定部は、
使用による劣化に伴って蓄電容量が減少した中古の蓄電池モジュールを含む前記在庫の蓄電池モジュールのうちから、前記交換用の蓄電池モジュールを決定する
請求項1または2に記載の蓄電池管理システム。
【請求項4】
前記蓄電池ユニットに格納される1以上の蓄電池モジュールは個別に交換が可能なようにされる
請求項1からのいずれか一項に記載の蓄電池管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池管理システム及び蓄電池管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などの需要家に備えられる電力蓄積装置として複数のカートリッジ(蓄電池モジュール)を格納した蓄電装置(蓄電池ユニット)を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように蓄電池ユニットに格納される蓄電池モジュールは、使用経過に応じて劣化し、劣化に伴って蓄電容量(満充電時に対応して蓄積される電力量)が減少する。しかしながら、蓄電池ユニットに格納される各蓄電池モジュールの蓄電容量が一定以上に維持されるようにすることが求められる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、蓄電池ユニットに格納される各蓄電池モジュールの蓄電容量が一定以上に維持されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、蓄電池ユニットに格納される1以上の蓄電池モジュールの蓄電容量を個別に検出する蓄電容量検出部と、前記蓄電容量検出部により検出された蓄電容量が閾値以下となったか否かを判定する蓄電容量判定部と、在庫の蓄電池モジュールのうちから、前記閾値よりも蓄電容量が大きい蓄電池モジュールを、交換用の蓄電池モジュールとして決定する交換モジュール決定部とを備える蓄電池管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、蓄電池管理システムにおける蓄電池管理方法であって、蓄電池ユニットに格納される1以上の蓄電池モジュールの蓄電容量を個別に検出する蓄電容量検出ステップと、前記蓄電容量検出ステップにより検出された蓄電容量が閾値以下となったか否かを判定する蓄電容量判定ステップと、在庫の蓄電池モジュールのうちから、前記閾値よりも蓄電容量が大きい蓄電池モジュールを、蓄電容量判定部により蓄電容量が閾値以下となったことが判定された蓄電池モジュールに代わる交換用の蓄電池モジュールとして決定する交換モジュール決定ステップとを含む蓄電池管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電池ユニットに格納される各蓄電池モジュールの蓄電容量が一定以上に維持されるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る蓄電池管理システムの全体的な構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る蓄電池ユニットと蓄電池管理サーバとの構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る契約情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る格納モジュール管理情報の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る在庫管理情報の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る蓄電池ユニットと蓄電池管理サーバとが蓄電池モジュールの交換に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による蓄電池管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における蓄電池管理システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の蓄電池管理システムは、複数の需要家施設10において備えられる蓄電池ユニット100のメンテナンス業務として、蓄電池ユニット100に格納される蓄電池モジュールMDの交換を行う業務(蓄電池モジュール交換業務)に対応するシステムである。
【0011】
需要家施設10は、それぞれ異なる需要家に対応する施設である。需要家施設10としての施設は、家屋、社屋、公共施設等のいずれであってもよく、特に限定されない。以降の説明においては、需要家施設10が家庭に対応する家屋である場合を例に挙げる。
【0012】
1つの需要家施設10は、電気設備の1つとして蓄電池ユニット100を備える。蓄電池ユニット100は、複数の蓄電池モジュールMDを格納し、格納された蓄電池モジュールMDに対して充電、放電を行わせることで、電力の蓄積、出力を行うことができる。
蓄電池ユニット100は、蓄電池管理サーバ200とネットワーク経由で通信可能に接続される。
【0013】
蓄電池管理サーバ200は、需要家施設10ごとの蓄電池ユニット100における蓄電池モジュールMDの交換を業務とする蓄電池管理者が運用するサーバである。
【0014】
需要家は、自分の需要家施設10に備えられる蓄電池ユニット100の使用にあたり、蓄電池ユニット100に格納される蓄電池モジュールMDについての標準蓄電容量についてのプラン(標準蓄電容量プラン)を蓄電池管理者と契約している。
標準蓄電容量プランは、標準蓄電容量として、例えば、12kWh、10kWh、8kWhといったように、段階的に定められてよい。標準蓄電容量プランは、蓄電容量としての値が大きくなるほど高い料金が設定されるようにしてよい。
需要家は、例えば自分の現在のライフステージ、生活様式などの状況に応じて必要な電力などを考慮して標準蓄電容量を決定し、決定した標準蓄電容量による標準蓄電容量プランを蓄電池管理者と契約する。
【0015】
標準蓄電容量プランの契約内容に応じて、蓄電池ユニット100における蓄電池モジュールMDの蓄電容量は、契約内容に従った標準蓄電容量から所定の下限値(下限蓄電容量)までの範囲で保証するように定められる。一具体例として、12kWh、10kWh、8kWhの標準蓄電容量に対応して、それぞれ10kWh、8kWh、6kWhの下限蓄電容量が定められてよい。
本実施形態においては、需要家が使用する蓄電池モジュールMDの蓄電容量について、標準蓄電容量プランの契約に応じた標準蓄電容量から下限蓄電容量の範囲で維持されるように、蓄電池ユニット100における蓄電池モジュールMDの交換が行われる。
【0016】
蓄電池モジュール交換拠点300は、電池管理者の電池モジュール交換業務の拠点である。蓄電池モジュール交換拠点300は、拠点端末310を備える。拠点端末310は、蓄電池管理サーバ200とネットワーク経由で通信可能に接続される。
また、蓄電池モジュール交換拠点300は、交換に用いられる蓄電池モジュールMDの在庫を管理する。
【0017】
需要家施設10の蓄電池ユニット100は、自己が格納する蓄電池モジュールMDの蓄電容量を定期的に検査する。また、蓄電池ユニット100は、検査した蓄電池モジュールMDの蓄電容量が、需要家の契約した下限蓄電容量に対応して定められた閾値以下であった場合には、蓄電池モジュールMDが交換時期となったことを示す交換必要通知を蓄電池管理サーバ200に送信する。
蓄電池管理サーバ200は、交換必要通知を受信したことに応じて、交換指示情報を拠点端末310に送信する。
【0018】
拠点端末310は、受信された交換指示情報に基づく交換指示報知を行う。
拠点端末310は、表示により交換指示報知を行うようにされてよい。交換指示報知によっては、例えば、交換先の需要家施設10、当該交換先の需要家施設10の蓄電池ユニット100に格納される蓄電池モジュールMDのうちで交換対象となる蓄電池モジュールMDを示す情報(例えば蓄電池モジュールMDの識別子、は蓄電池ユニット100において交換用となる蓄電池モジュールMDを格納するスロット位置の情報等)、在庫の蓄電池モジュールMDのうちから交換用の蓄電池モジュールMDを識別する情報等が示される。交換用の蓄電池モジュールMDは、交換先の需要家が契約した標準蓄電容量プランにより定められた標準蓄電容量以上の蓄電容量を有するものとなる。
【0019】
電池交換担当者(図示せず)は、拠点端末310により行われた交換指示報知を受けて、蓄電池モジュール交換拠点300にて在庫のうちから交換用の蓄電池モジュールMDを持ち出し、交換先の需要家施設10に赴く。電池交換担当者は、赴いた先の需要家施設10の蓄電池ユニット100のスロットから交換対象の蓄電池モジュールMDを取り出し、代わりに交換用の蓄電池モジュールMDを格納する。
このようにして、本実施形態において、1の需要家施設10における蓄電池ユニット100内の蓄電池モジュールMDは、契約された標準蓄電容量プランの内容に応じて定まる標準蓄電容量から下限蓄電容量の範囲で蓄電容量を維持することが保証されるようにして管理される。
【0020】
このように、標準蓄電容量プランに応じた範囲の蓄電容量が維持されることで、需要家は、必要な電力に応じた蓄電池ユニットとしての蓄電容量を確保することが保証される。これにより、長期間の蓄電池ユニット100の使用による蓄電池モジュールMDの蓄電容量の低下を気にすることなく、安心して電力を使用することができる。
【0021】
また、本実施形態において、標準蓄電容量プランは、任意のときに需要家からの申し出に応じて変更可能とされる。これより、例えばライフステージやライフスタイルの変化に応じて、必要な使用電力に変化があるごとに最適な標準蓄電容量プランに変更することも可能となる。これにより、無駄な電力を蓄積させることなく蓄電池モジュールMDを最大限有効に利用することが可能になる。また、需要家にとっては、例えば、さほど使用電力が必要でなくなったような場合には、標準蓄電容量を低くするように標準蓄電容量プランを変更して料金を下げることにより経済性を高めることもできる。
【0022】
また、蓄電池モジュール交換拠点300が在庫として管理する蓄電池モジュールMDには、新品だけではなく、既に需要家施設10にて使用された中古品も含まれてよい。例えば、製造されたときの蓄電容量が12kWhであったが使用経過により10kWhにまで低下した蓄電池モジュールMDを在庫として管理している場合、当該10kWhの蓄電容量となった蓄電池モジュールMDは、10kWhの標準蓄電容量プランで契約している需要家に対応する交換用として使用することができる。
【0023】
図2を参照して、蓄電池ユニット100と蓄電池管理サーバ200の構成例について説明する。
同図の蓄電池ユニット100は、1の需要家施設10において、複数の需要家設備11、電力管理装置12とともに示されている。需要家設備11は、例えば家庭であれば、照明装置、空調装置、冷蔵庫、その他家電製品などといったように、電力を使用して稼働する電子機器を含む。また、需要家設備11は、太陽光発電装置等の再生エネルギー対応の発電装置を含んでよい。
【0024】
電力管理装置12は、需要家施設10においてHEMS(Home Energy Management System)と呼ばれる電力制御を行う。電力管理装置12は、需要家施設10において、需要家設備11と蓄電池ユニット100における制御ユニット103と通信可能に接続されている。電力管理装置12は、通信を介して需要家設備11の動作を制御することができる。また、電力管理装置12は、蓄電池ユニット100の制御ユニット103と通信を行うことで、蓄電池ユニット100としての充電、放電に関する動作を制御することができる。
【0025】
同図の蓄電池ユニット100は、蓄電池モジュール格納部101、充放電回路102、及び制御ユニット103を備える。
蓄電池モジュール格納部101は、蓄電池モジュールMDを格納する部位である。同図の蓄電池モジュール格納部101は、4つの蓄電池モジュールMDを格納した例を示しているが、蓄電池モジュール格納部101が格納可能な蓄電池モジュールMDの数については特に限定されない。
蓄電池モジュール格納部101は、個々の蓄電池モジュールMDに対応する4つのスロットを有する。蓄電池モジュール格納部101においては、スロットごとに個別に蓄電池モジュールMDを着脱することが可能とされている。これにより、本実施形態では、蓄電池ユニット100における蓄電池モジュールMDの交換を、一括ではなく個別に行うことが可能とされている。
また、4つの蓄電池モジュールMDは、蓄電池モジュール格納部101に格納された状態において並列に接続されてもよいし直列に接続されてもよい。あるいは、4つの蓄電池モジュールMDが接続されることなく1つの蓄電池として独立しており、充放電回路102の選択によって充放電の対象となる蓄電池モジュールMDが選択されるようにしてもよい。
【0026】
充放電回路102は、蓄電池モジュール格納部101に格納された蓄電池モジュールMDの充電、放電を行わせる回路である。充放電回路102は、蓄電池モジュールMDの充電、放電を行わせるにあたり、交流と直流との間での電力変換を行う。例えば、充放電回路102は、商用電源ACから供給される交流の電力や、再生エネルギー対応の発電装置としての需要家設備11におけるパワーコンディショナから出力される交流の電力については、直流に変換してから蓄電池モジュールMDへの充電を行う。また、充放電回路102は、蓄電池モジュールMDから放電させた直流の電力を交流に変換し、商用電源ラインLACに出力する。これにより、蓄電池モジュールMDから放電させた電力を需要家設備11に供給したり、商用電源ACの電力系統に逆潮流させることができる。
【0027】
制御ユニット103は、充放電回路102を制御することにより、蓄電池モジュールMDの充電、放電の動作を制御する。また、制御ユニット103は、蓄電池モジュールMDについての交換の要否を判定し、蓄電池モジュールMDについて交換が必要であると判定した場合には、交換必要通知を蓄電池管理サーバ200に送信するようにされる。
【0028】
制御ユニット103は、通信部131、蓄電容量検出部132、蓄電容量判定部133、及び記憶部134を備える。
【0029】
通信部131は、需要家施設10内のネットワークを経由して電力管理装置12と通信を行う。また、通信部131は、ネットワーク経由で蓄電池管理サーバ200と通信を行う。
なお、電力管理装置12をネットワーク経由で蓄電池管理サーバ200と接続することで、通信部131と蓄電池管理サーバ200との通信は、電力管理装置12を経由して行われるようにされてよい。
【0030】
蓄電容量検出部132は、蓄電池モジュールMDについて個別に蓄電容量を算出する。蓄電容量検出部132は、例えば数ヶ月程度の所定期間ごとに蓄電池モジュールMDの蓄電容量を算出する。蓄電容量検出部132は、所定期間ごとに蓄電容量を算出するにあたり、蓄電池モジュール格納部101に格納される蓄電池モジュールMDの全てを対象としなくともよい。つまり、例えばそれぞれの蓄電池モジュールMDが交換されたときを起点として所定期間ごとに蓄電容量を算出するといったように、蓄電容量が所定期間ごとに算出されるタイミングは、蓄電池モジュールMDごとに異なっていてよい。
【0031】
蓄電容量検出部132は、例えば検出対象の蓄電池モジュールMDについてSOCが0%となるまで放電させた後、SOC(State Of Charge)が100%となるまで充電し、SOCが100%となるまでの充電量の積算に基づいて蓄電容量を検出してよい。
あるいは、蓄電容量検出部132は、例えば、検出対象の蓄電池モジュールMDについて測定した電流、電圧等の情報を用いてSOH(State Of Health)を推定し、推定したSOHと、蓄電池モジュールMDの製造直後の蓄電容量とを用いて演算を行うことで、蓄電容量を算出し、算出された蓄電容量を検出結果としてもよい。
【0032】
蓄電容量判定部133は、蓄電容量検出部132により検出された蓄電池モジュールMDの蓄電容量が、需要家の契約した標準蓄電容量プランに対応する下限蓄電容量以下であるか否かを判定する。需要家の契約した標準蓄電容量プランに対応する下限蓄電容量は、記憶部134が記憶するようにされてよい。この場合、需要家と標準蓄電容量プランが契約されたり、契約内容が変更されたりした際には、蓄電池管理サーバ200から契約された標準蓄電容量プランに対応する下限蓄電容量が制御ユニット103に通知される。制御ユニット103は、通知された下限蓄電容量を記憶部134に記憶させる。
蓄電容量判定部133は、蓄電容量が下限蓄電容量以下であると判定した場合、判定対象の蓄電池モジュールMDは、契約上保証すべき蓄電容量を維持できなくなることから、交換が必要であることになる。そこで、この場合の蓄電容量判定部133は、交換必要通知を蓄電池管理サーバ200に送信する。
交換必要通知には、交換が必要と判定された蓄電池モジュールMDを示す蓄電池モジュール識別子が含まれる。
【0033】
記憶部134は、制御ユニット103が利用する情報を記憶する。上記のように記憶部134が記憶する情報には、蓄電容量判定部133が判定を行うにあたり閾値として利用する下限蓄電容量が含まれる。
【0034】
次に、蓄電池管理サーバ200の構成例について説明する。蓄電池管理サーバ200は、通信部201、制御部202、記憶部203、及び入出力インターフェース部204を備える。
通信部201は、ネットワーク経由で蓄電池ユニット100の制御ユニット103と通信を行う。また、通信部201は、ネットワーク経由で、蓄電池モジュール交換拠点300における拠点端末310と通信を行う。
【0035】
制御部202は、蓄電池管理サーバ200における制御を実行する。制御部202は、交換モジュール決定部221と交換指示部222とを備える。
交換モジュール決定部221は、蓄電池ユニット100から送信された交換必要通知を受信したことに応じて、蓄電池モジュール交換拠点300にて管理されている在庫のうちから、交換用の蓄電池モジュールMDを決定する。交換モジュール決定部221による交換用の蓄電池モジュールMDの決定の仕方については後述する。
【0036】
交換指示部222は、蓄電池モジュールMDの交換の指示として、蓄電池モジュール交換拠点300拠点端末310に対して交換指示情報を送信する。交換指示情報には、交換モジュール決定部221により決定された交換用の蓄電池モジュールMDを示す情報(蓄電池モジュール識別子であってよい)と、交換先の情報が含まれる。交換先の情報には、交換先の需要家の名前(名称)、住所(対応の需要家施設10の所在地)等に関する情報(交換先需要家情報)と、交換先の蓄電池ユニット100において交換対象の蓄電池モジュールMDが格納されるスロットを示すスロット識別子(交換先スロット情報)が含まれてよい。
【0037】
記憶部203は、蓄電池管理サーバ200が利用する情報を記憶する。同図の記憶部203は、契約情報記憶部231、格納モジュール管理情報記憶部232、及び在庫管理情報記憶部233とを備える。
契約情報記憶部231は、需要家ごとの標準蓄電容量プランに関する契約情報を記憶する。図3は、契約情報の一例を示している。契約情報は、需要家ごとに対応して、需要家識別子、需要家基本情報、及び契約内容を格納する領域を含む。需要家識別子の領域は、対応の需要家を示す需要家識別子を格納する。需要家基本情報の領域は、需要家の名称、所在地等を含む需要家基本情報を格納する。契約内容の領域は、対応の需要家の標準蓄電容量プランの契約内容を示す情報を格納する。
【0038】
格納モジュール管理情報記憶部232は、格納モジュール管理情報を記憶する。格納モジュール管理情報は、需要家施設10ごとの蓄電池ユニット100に格納される蓄電池モジュールMDを示す情報である。
図4は、格納モジュール管理情報の一例を示している。同図の格納モジュール管理情報は、需要家識別子ごとに格納モジュールを対応付けた構造である。格納モジュールの領域には、対応の需要家施設10の蓄電池ユニット100のスロットごとに格納される蓄電池モジュールMDを示す情報が格納される。具体的に同図の格納モジュールの領域では、「Slot1」~「Slot4」のスロット識別子ごとに対してアンダーバーに続けて蓄電池モジュール識別子を記述することで、スロットに格納される蓄電池モジュールMDを示している。
【0039】
在庫管理情報記憶部233は、在庫管理情報を記憶する。在庫管理情報は、蓄電池モジュール交換拠点300における蓄電池モジュールMDの在庫管理状況を示す情報である。
図5は、在庫管理情報の一例を示している。同図の在庫管理情報は、在庫として保管されている蓄電池モジュールMDごとの蓄電池モジュール管理情報を含む。1の蓄電池モジュールMDに対応する蓄電池モジュール管理情報は、蓄電池モジュール識別子、保管状況型式、蓄電容量及び使用履歴情報の領域を含む。
蓄電池モジュール識別子の領域は、対応の蓄電池モジュールMDを示す蓄電池モジュール識別子を格納する。
保管状況の領域は、対応の蓄電池モジュールMDが蓄電池モジュール交換拠点300にて保管されている状態と、需要家施設10にて使用中の状態であるのかを示す情報を格納する。
型式の領域は、対応の蓄電池モジュールMDの型式を示す情報を格納する。
蓄電容量の領域は、対応の蓄電池モジュールMDの蓄電容量を格納する。新品の状態で保管されている蓄電池モジュールMDについては、製造時のときの蓄電容量が格納されてよい。また、蓄電容量の領域に格納される蓄電容量は、中古の状態で保管されている蓄電池モジュールMDについては、最後に検出された蓄電容量であってよい。最後に検出された蓄電容量は、蓄電容量検出部132によって最後に検出された蓄電容量であってもよいし、交換によって需要家施設10から回収されてから蓄蓄電池モジュール交換拠点30にて検出(測定)された蓄電容量であってもよい。また、蓄電容量の領域に格納される蓄電容量は、使用中の蓄電池モジュールMDについては、保管されていたときの蓄電容量のままとしておいて、回収されたときに、最後に検出された蓄電容量に更新されてよい。
また、同図では便宜上、蓄電容量の領域において12kWh、10kWh、8kWhのうちのいずれかで統一された値を格納した例が示されているが、蓄電容量の領域において格納される値にはばらつきがあってよい。
【0040】
入出力インターフェース部204は、データインターフェースを経由してデータの入出力を行う。また、入出力インターフェース部204は、例えば入力デバイスや表示デバイスを含んでよい。
【0041】
使用履歴情報の領域は、使用履歴情報を格納する。使用履歴情報は、例えば対応の蓄電池モジュールMDについてのこれまでの使用履歴を示す。使用履歴情報によっては、例えばこれまでに対応の蓄電池モジュールMDが使用された需要家施設10、格納されたスロット、需要家施設10ごとに使用された期間などが示されてよい。
【0042】
図6のフローチャートを参照して、本実施形態の蓄電池ユニット100と蓄電池管理サーバ200とが蓄電池モジュールMDの交換に関連して実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、蓄電池ユニット100が格納する複数の蓄電池モジュールMDのうち、或る特定の1つの蓄電池モジュールMDを対象として行われる処理である。
【0043】
ステップS100:蓄電池ユニット100の制御ユニット103において、蓄電容量検出部132は、対象の蓄電池モジュールMDの蓄電容量を検出するタイミングに至ったか否かを判定する。
【0044】
ステップS102:蓄電容量を検出するタイミングに至ると蓄電容量検出部132は、対象の蓄電池モジュールMDの蓄電容量を検出する。
【0045】
ステップS104:蓄電容量判定部133は、ステップS102により検出された蓄電容量が下限蓄電容量以下であるか否かを判定する。蓄電容量が下限蓄電容量より大きいと判定された場合には、ステップS106をスキップして同図の処理を終了する。
【0046】
蓄電容量判定部133がステップS104にて閾値として使用する下限蓄電容量は、前述のように、記憶部134に記憶されている。しかしながら、例えば、蓄電容量判定部133は、ステップS104の処理に際して、蓄電池管理サーバ200に下限蓄電容量要求を送信し、要求に応じて蓄電池管理サーバ200から送信された下限蓄電容量を閾値として利用してよい。この場合の下限蓄電容量要求には、対象の蓄電池モジュールMD蓄電池モジュール識別子が含まれる。蓄電池管理サーバ200の制御部202は、受信された下限蓄電容量要求に含まれる蓄電池モジュール識別子を含む需要家識別子を格納モジュール管理情報記憶部232から取得する。制御部202は、取得した需要家識別子の需要家の標準蓄電容量プランの契約内容を契約情報記憶部231から取得する。
なお、このような需要家の標準蓄電容量プランの契約内容の取得の処理は、後述のステップS302において、蓄電池管理サーバ200の交換モジュール決定部221が、交換必要通知に含まれる蓄電池モジュール識別子を利用して同様に実行してよい。
制御部202は、取得した標準蓄電容量プランに対応して定められた下限蓄電容量を取得し、取得した下限蓄電容量を、蓄電池ユニット100に送信する。
【0047】
ステップS106:ステップS104にて蓄電容量が下限蓄電容量以下であると判定された場合、蓄電容量判定部133は、交換必要通知を蓄電池管理サーバ200に送信する。
交換必要通知には、今回の対象とされた蓄電池モジュール識別子が含まれる。
【0048】
次に、蓄電池管理サーバ200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS300:蓄電池管理サーバ200において通信部201が、ステップS106により送信された交換必要通知を受信する。
【0049】
ステップS302:交換必要通知が受信されると、制御部202における交換モジュール決定部221は、交換先の需要家施設が対応する需要家の標準蓄電容量プランの契約内容を取得する。
【0050】
ステップS304:交換モジュール決定部221は、ステップS302にて取得した標準蓄電容量プランの契約内容に基づいて、現在において在庫として管理されている蓄電池モジュールMDのうちから交換用の蓄電池モジュールMDを1つ決定する。
この際、交換モジュール決定部221は、ステップS302にて取得した標準蓄電容量プランの契約内容に対応する蓄電容量範囲に該当する蓄電池モジュールMDを、在庫管理情報から検索する。
例えば、交換モジュール決定部221は、標準蓄電容量プランの契約内容が12kWhである場合には12kWh以上の蓄電容量の蓄電池モジュールMDを検索する。
また、交換モジュール決定部221は、標準蓄電容量プランの契約内容が10kWhである場合には10kWh以上で12kWh未満の蓄電容量の蓄電池モジュールMDを検索する。また、交換モジュール決定部221は、標準蓄電容量プランの契約内容が8kWhである場合には8kWh以上で10kWh未満の蓄電容量の蓄電池モジュールMDを検索する。
そのうえで、需要家施設10の間で、いくつかの型式の異なる蓄電池モジュールMDが使用されており、交換対象とされた蓄電池モジュールMDと同じ型式の蓄電池モジュールMDを交換用とすることが求められる場合がある。このような場合には、交換モジュール決定部221は、さらに、交換必要通知に含まれる蓄電池モジュール識別子が対応する型式を在庫管理情報から特定し、特定された型式も検索条件に加えてよい。
【0051】
交換モジュール決定部221は、検索された蓄電池モジュールMDのうちから所定規則に従って1つの蓄電池モジュールMDを交換用として決定する。
交換モジュール決定部221は、例えば、使用履歴の多いものから優先して交換用の蓄電池モジュールMDを決定してもよいし、逆に、使用履歴の少ないものから優先して決定してもよい。また、交換モジュール決定部221は、例えば製造年月日の古いものあるいは新しいものから優先して交換用の蓄電池モジュールMDを決定してもよい。
【0052】
ステップS306:交換指示部222は、交換指示情報を拠点端末310に送信する。交換指示情報には、例えば交換先の需要家施設10を示す情報、交換先の需要家施設10の蓄電池ユニット100に格納される蓄電池モジュールMDのうちで交換対象となる蓄電池モジュールMDを示す情報(例えば蓄電池モジュールMDの識別子、は蓄電池ユニット100において交換用となる蓄電池モジュールMDを格納するスロット位置の情報等)、交換用の蓄電池モジュールMDを識別する情報等が含まれる。
ステップS306により送信された交換指示情報を受信した拠点端末310は、受信された交換指示情報に含まれる内容が反映された交換指示報知を行う。
【0053】
なお、上述の蓄電池ユニット100、蓄電池管理サーバ200、拠点端末310等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の蓄電池ユニット100、蓄電池管理サーバ200、拠点端末310等に応じた処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 需要家施設、11 需要家設備、12 電力管理装置、100 蓄電池ユニット、101 蓄電池モジュール格納部、102 充放電回路、103 制御ユニット、131 通信部、132 蓄電容量検出部、133 蓄電容量判定部、134 記憶部、200 蓄電池管理サーバ、201 通信部、202 制御部、203 記憶部、204 入出力インターフェース部、221 交換モジュール決定部、222 交換指示部、231 契約情報記憶部、232 格納モジュール管理情報記憶部、233 在庫管理情報記憶部、300 蓄電池モジュール交換拠点、310 拠点端末
図1
図2
図3
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図6