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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/66 20250101AFI20250227BHJP
   H10D 62/10 20250101ALI20250227BHJP
【FI】
H10D30/66 103B
H10D30/66 103Q
H10D30/66 101T
H10D30/66 101F
H10D30/66 201A
H10D30/66 102S
H10D30/66 101C
H10D30/66 102G
H10D62/10 101G
H10D62/10 101V
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021058600
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155207
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 匡胤
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 昭洋
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-016482(JP,A)
【文献】特開2016-225455(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0014761(US,A1)
【文献】特開2016-197705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293692(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151366(US,A1)
【文献】特開2018-046139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 12/00
H10D 30/66
H10D 62/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と、前記第1主面を取り囲む端面とを有し、前記第1主面側にアクティブ領域及び前記アクティブ領域の周囲の外周領域が設定された半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面上に形成された第1電極と、
前記半導体チップの前記第2主面上に形成された第2電極と、
前記半導体チップに形成され、前記第2電極に電気的に接続された第1導電型の第1領域と、
前記アクティブ領域に形成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流す縦型の半導体素子構造と、
前記半導体チップの前記第1主面上に前記第1電極から物理的に分離されて形成され、前記外周領域において前記半導体チップに接続された外周電極と、
前記第1領域の表層部において前記アクティブ領域から前記外周領域にわたって連続的に形成され、少なくとも前記半導体素子構造の一部を構成する第2導電型のウェル領域と
前記外周電極よりも内側において前記外周領域内に形成され、前記アクティブ領域を取り囲む複数の環状のトレンチを含むトレンチ群とを含み、
前記外周領域には、前記ウェル領域が選択的に形成されていない第1導電型領域が前記第1主面から露出するように存在しており、
前記第1導電型領域は、前記複数の環状のトレンチのうちの何本かを内側に含み、かつ前記トレンチ群に重なって形成されており、
前記第1導電型領域の内側に含まれる前記環状のトレンチは、平面視において、前記第1導電型領域内に収まっている、半導体装置。
【請求項2】
前記外周電極と前記半導体チップとを接続する外周コンタクト部を含み、
前記第1導電型領域は、前記外周コンタクト部を内側に含み、かつ前記半導体チップの厚さ方向において前記外周電極に対向して形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電型領域は、前記半導体チップの前記端面に至るように形成されており、
前記ウェル領域は、前記第1導電型領域に取り囲まれた内側領域に形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電型領域は、前記アクティブ領域を取り囲む環状に形成されており、
前記ウェル領域は、前記第1導電型領域に取り囲まれた内側領域に形成された第1部分と、前記第1導電型領域を取り囲む環状の外側領域に形成された第2部分とに分断されている、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1部分と前記第2部分とに挟まれた前記第1導電型領域の幅は、8μm以上15μm以下である、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1導電型領域は、前記第1領域の一部が前記半導体チップの前記第1主面から露出することによって形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電型領域は、前記第1領域の表層部に選択的に形成され、前記第1領域の第1導電型の不純物濃度よりも高い第1導電型の不純物濃度を有する第2領域を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と、前記第1主面を取り囲む端面とを有し、前記第1主面側にアクティブ領域及び前記アクティブ領域の周囲の外周領域が設定された半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面上に形成された第1電極と、
前記半導体チップの前記第2主面上に形成された第2電極と、
前記半導体チップに形成され、前記第2電極に電気的に接続された第1導電型の第1領域と、
前記アクティブ領域に形成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流す縦型の半導体素子構造と、
前記半導体チップの前記第1主面上に前記第1電極から物理的に分離されて形成され、前記外周領域において前記半導体チップに接続された外周電極と、
前記第1領域の表層部において前記アクティブ領域から前記外周領域にわたって連続的に形成され、少なくとも前記半導体素子構造の一部を構成する第2導電型のウェル領域とを含み、
前記外周領域には、前記ウェル領域が選択的に形成されていない第1導電型領域が存在しており、
前記半導体素子構造は、セルトレンチと、前記セルトレンチに埋め込まれた制御電極と、前記セルトレンチの側方に形成され、前記ウェル領域によって構成されたチャネル領域とを含み、
前記外周電極よりも内側において前記外周領域に形成された環状の第1外周トレンチと、
前記第1外周トレンチに埋め込まれ、前記制御電極に電気的に接続された第1埋め込み電極と、
前記第1外周トレンチよりも外側かつ前記外周電極よりも内側において前記外周領域に形成され、前記第1外周トレンチから物理的に分離された複数の環状の第2外周トレンチを含む第2外周トレンチ群と、
前記第2外周トレンチに埋め込まれ、前記第1埋め込み電極から電気的に分離された第2埋め込み電極とを含み、
前記ウェル領域は、前記チャネル領域から、前記第1外周トレンチ及び前記第2外周トレンチ群の形成部分、並びに前記第1導電型領域を除いて、前記第1主面に沿う横方向に連続している、半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電型領域は、前記複数の第2外周トレンチ群のうちの何本かを選択的に内側に含み、かつ前記第2外周トレンチ群に重なって形成されており、
前記第1外周トレンチは、前記半導体チップの厚さ方向において前記ウェル領域を貫通し、前記第1領域に達するように形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記外周電極と前記半導体チップとを接続する外周コンタクト部を含み、
前記第1導電型領域は、前記外周コンタクト部を内側に含み、かつ前記半導体チップの厚さ方向において前記外周電極に対向して形成されている、請求項又はに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2外周トレンチ群は、前記第1外周トレンチから前記端面側に第1外周ピッチを隔てて形成された第1トレンチと、前記第1トレンチから前記端面側に第2外周ピッチを隔てて形成され、前記第1外周ピッチ及び前記第2外周ピッチよりも狭い第3外周ピッチを隔てて配列された複数の第2トレンチとを含み、
前記複数の第2トレンチは、前記ウェル領域と前記第1導電型領域との第1境界部を形成する境界トレンチを含む、請求項10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ウェル領域は、前記境界トレンチに取り囲まれた内側領域に形成された第1部分と、前記外周電極の直下の領域において前記第1導電型領域との第2境界部を有し、前記第2境界部よりも前記端面側の環状の外側領域に形成された第2部分とを含む、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1部分と前記第2部分とに挟まれた前記第1導電型領域の幅は、8μm以上15μm以下である、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1導電型領域は、前記境界トレンチから前記半導体チップの前記端面に至るように形成されており、
前記ウェル領域は、前記境界トレンチに取り囲まれた内側領域に形成されている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ウェル領域は、前記第1外周トレンチに取り囲まれた内側領域に形成され、前記第1電極に電気的に接続された第1電位ウェル領域と、前記第1外周トレンチの外側領域に形成され、電気的にフローティングされたフローティング領域とを含む、請求項14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
100V以上の耐圧を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1領域は、3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下の比抵抗を有している、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記半導体チップは、第1不純物濃度を有する第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記第1領域を構成する第1導電型のエピタキシャル層とを含み、
前記エピタキシャル層は、7μm以上15μm以下の厚さを有している、請求項1~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下である、請求項18に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、アクティブセルアレイ及びゲートバスエリアが形成されたエピタキシャル層と、アクティブセルアレイに形成されたゲートトレンチと、ゲートトレンチに形成されたゲート酸化膜と、ゲートトレンチに埋め込まれたポリシリコンからなるゲート電極と、ゲートバスエリアに形成され、ゲートトレンチと繋がるトレンチと、ゲートバスエリアにおいてエピタキシャル層の表面を覆うようにトレンチに埋め込まれたポリシリコンからなるゲートバスとを含む、トレンチゲート縦型MOSFETを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2006-520091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態に係る半導体装置の目的は、逆方向電圧印加時のリーク電流を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係るは、第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面と、前記第1主面を取り囲む端面とを有し、前記第1主面側にアクティブ領域及び前記アクティブ領域の周囲の外周領域が設定された半導体チップと、前記半導体チップの前記第1主面上に形成された第1電極と、前記半導体チップの前記第2主面上に形成された第2電極と、前記半導体チップに形成された第1導電型の第1領域と、前記アクティブ領域に形成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流す縦型の半導体素子構造と、前記半導体チップの前記第1主面上に前記第1電極から物理的に分離されて形成され、前記外周領域において前記半導体チップに接続された外周電極と、前記第1領域の表層部において前記アクティブ領域から前記外周領域にわたって連続的に形成され、少なくとも前記半導体素子構造の一部を構成する第2導電型のウェル領域とを含み、前記外周領域には、前記ウェル領域が選択的に形成されていない第1導電型領域が存在している。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、第1電極と第2電極との間に逆方向電圧が印加されたときのリーク電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2図2は、図1のアクティブ領域の平面構造を示す図である。
図3図3は、図2のIII-III断面を示す図である(第1形態)。
図4図4は、図2のIII-III断面を示す図である(第2形態)。
図5図5は、図1の外周領域の平面構造を示す図である。
図6図6は、図5の二点鎖線VIで囲まれた部分の拡大図である。
図7図7は、図5の二点鎖線VIIで囲まれた部分の拡大図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII断面を示す図である。
図9図9は、図7のIX-IX断面を示す図である。
図10図10は、サンプル1~4に係る半導体素子の耐圧を比較するための図である。
図11図11は、サンプル5~8に係る半導体素子の模式的な平面図である。
図12図12は、サンプル5に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図13図13は、サンプル6に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図14図14は、サンプル7に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図15図15は、サンプル8に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図16図16は、サンプル9に係る半導体素子の模式的な平面図である。
図17図17は、サンプル9に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図18図18は、サンプル10に係る半導体素子の模式的な平面図である。
図19図19は、サンプル10に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図20図20は、サンプル11に係る半導体素子の模式的な平面図である。
図21図21は、サンプル11に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図22図22は、サンプル12に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図23図23は、サンプル5~7及びサンプル9~11に係る半導体素子の耐圧を比較するための図である。
図24図24は、サンプル5に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図25図25は、サンプル6に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図26図26は、サンプル7に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図27図27は、サンプル9に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図28図28は、サンプル10に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図29図29は、サンプル11に係る半導体素子の外周領域における空乏層の延びを示す模式的な図である。
図30図30は、サンプル13に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図31図31は、サンプル14に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図32図32は、サンプル15に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図33図33は、サンプル16に係る半導体素子の模式的な断面図である。
図34図34は、第1外周ピッチとデバイス耐圧との関係を示す図である。
図35図35は、第2外周ピッチとデバイス耐圧との関係を示す図である。
図36図36は、第3外周ピッチとデバイス耐圧との関係を示す図である。
図37図37は、本開示の一実施形態に係る半導体素子の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の詳細な説明において、序数が付された名称の構成要素が複数存在するが、当該序数と、請求項に記載の構成要素の序数とは、必ずしも一致するものではない。
[半導体装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。明瞭化のため、図1では、パッケージ4を想像線(破線)で示し、その他の構成を実線で示している。
【0009】
半導体装置1は、リードフレーム2と、半導体素子3と、パッケージ4とを含む。
リードフレーム2は、金属製の板状に形成されている。リードフレーム2は、平面視矩形状のCuなどの薄肉金属板から、打ち抜き加工、切り取り加工、曲げ加工等によって形成される。よって、リードフレーム2の素材は、主な成分がCuである。なお、リードフレーム2の素材は、これに限定されない。
【0010】
リードフレーム2は、ダイパッド部21と、第1リード部22と、第2リード部23と、第3リード部24とを含んでいてもよい。第1リード部22、第2リード部23及び第3リード部24は、この実施形態では、それぞれ、ソースリード部、ゲートリード部及びドレインリード部と称してもよい。また、第1リード部22、第2リード部23及び第3リード部24は、パッケージ4から露出し、半導体装置1の外部回路に接続される部分を有しているので、第1端子(ソース端子)、第2端子(ゲート端子)及び第3端子(ドレイン端子)と称してもよい。
【0011】
ダイパッド部21は、平面視において、第1方向Xに延びる一対の第1辺211A,211Bと、第1方向Xに交差する方向(この実施形態では、直交する方向)に延びる一対の第2辺212A,212Bとを有する四角形状を有している。
第1リード部22、第2リード部23及び第3リード部24は、ダイパッド部21の周囲に配置されている。この実施形態では、第1リード部22、第2リード部23及び第3リード部24は、ダイパッド部21の第1辺211A,211Bに隣接して配置されている。より具体的には、第1リード部22及び第2リード部23が、ダイパッド部21の一方の第1辺211Aに隣接して配置され、第3リード部24が、ダイパッドの他方の第1辺211Bに隣接して配置されている。つまり、第1リード部22及び第2リード部23は、ダイパッド部21を挟んで第3リード部24の反対側に配置されている。
【0012】
第1リード部22は、ダイパッド部21から離れて形成されている。第1リード部22は、第1パッド部221と、第1リード222と含んでいてもよい。第1パッド部221は、平面視において、ダイパッド部21の第1辺211Aに沿って長手な略長方形状に形成されている。第1リード222は、第1パッド部221と一体的に形成されており、第1パッド部221から、第1パッド部221の長手方向に交差する方向に延びている。第1リード222は、複数(この実施形態では、3つ)形成されている。複数の第1リード222は、共通の第1パッド部221の長手方向に沿って互いに間隔を空けて配列されており、当該共通の第1パッド部221に接続されている。
【0013】
第2リード部23は、ダイパッド部21及び第1リード部22から離れて形成されている。第2リード部23は、第2パッド部231と、第2リード232と含んでいてもよい。第2パッド部231は、ダイパッド部21の第1辺211Aに沿って長手な略長方形状に形成されている。第2リード232は、第2パッド部231と一体的に形成されており、第2パッド部231から、第2パッド部231の長手方向に交差する方向に延びている。第2リード232は、第2パッド部231に対して1対1で接続されている。この実施形態では、第2リード部23が、ダイパッド部21の一方の第1辺211Aの一方の端部(ダイパッド部21の一つの角部)近傍に配置されており、第1リード部22は、当該端部から他方の端部へ向かってダイパッド部21の第1辺211Aに沿って延びている。
【0014】
第3リード部24は、第1リード部22及び第2リード部23とは異なり、ダイパッド部21と一体的に形成されている。第3リード部24は、ダイパッド部21の他方の第1辺211Bから、当該第1辺211Bに交差する方向に延びている。第3リード部24は、複数(この実施形態では、4つ)形成されている。複数の第3リード部24は、ダイパッド部21の第1辺211Bに沿って互いに間隔を空けて配列されている。
【0015】
半導体素子3は、リードフレーム2のダイパッド部21上に配置されており、ダイパッド部21に支持されている。半導体素子3は、平面視において、一対の第1端面31A,31Bと一対の第2端面32A,32Bとを有する、ダイパッド部21よりも小さな四角形状を有している。半導体素子3は、この実施形態では、第1端面31A,31Bがダイパッド部21の第1辺211A,211Bと平行となり、第2端面32A,32Bがダイパッド部21の第2辺212A、212Bと平行となるように、ダイパッド部21上に配置されている。ダイパッド部21の第1辺211A,211Bと半導体素子3の第1端面31A,31Bとの間の第1距離Dは、ダイパッド部21の第2辺212A,212Bと半導体素子3の第2端面32A,32Bとの間の第2距離Dよりも狭くなっている。例えば、第1距離Dは、第2距離Dの1/2以下であってもよい。
【0016】
半導体素子3の一方面(この実施形態では、上面)には、表面電極の一例としての導電膜5と、絶縁膜6とが形成されている。導電膜5は、絶縁膜6によって部分的に覆われている。図1において、導電膜5のうち、絶縁膜6に覆われた部分がハッチング領域で示され、絶縁膜6から露出した部分が白い領域で示されている。導電膜5は、後述する第1ワイヤ8及び第2ワイヤ10が接続される部分であり、電極膜や表面電極膜と称してもよい。
【0017】
導電膜5は、半導体素子3の上面のほぼ全域に形成されている。導電膜5は、第1導電膜51と、第2導電膜52と、第3導電膜53とを含んでいてもよい。第1導電膜51、第2導電膜52及び第3導電膜53は、互いに分離されて形成されている。
第1導電膜51は、複数形成されている。複数の第1導電膜51は、半導体素子3の第2端面32A,32Bに沿う方向において互いに隣接して形成されており、隣り合う第1導電膜51の間に隙間領域61が形成されている。また、第1導電膜51の周囲の領域は、外周領域63であってもよい。つまり、外周領域63は、第1導電膜51の形成領域(第1導電膜51で覆われた領域)をアクティブ領域64と称する場合、当該アクティブ領域64を取り囲む外周領域63であってもよい。また、この実施形態では、外周領域63は、半導体素子3の外周に沿って形成された環状である。
【0018】
各第1導電膜51は、この実施形態では、半導体素子3の第1端面31A,31Bに沿って長手な平面視長方形状に形成されている。第1導電膜51の一部は、第1パッド7として絶縁膜6から露出している。
第1パッド7には、第1ワイヤ8が接続されている。第1ワイヤ8は、この実施形態では、Cuを主成分とする、いわゆるCuワイヤからなる。Cuを主成分とするワイヤとしては、例えば、Cu単体(例えば、Cuの純度が99.99%以上)からなるワイヤ、Cuがその他の合金成分と合金化されたCu合金のワイヤ、Cu単体ワイヤやCu合金ワイヤが導電層に被覆されたワイヤ等が挙げられる。Cu合金ワイヤの合金成分としては、例えば、Ag、Au、Al、Ni、Be、Fe、Ti、Pd、Zn、Sn等が挙げられる。また、導電層被覆Cuワイヤの被覆成分としては、例えば、Pd等が挙げられる。なお、第1ワイヤ8は、変形例としてAuワイヤやAlワイヤを使用してもよい。ボンディングワイヤとしてAuワイヤを用いた場合、Auは高コストかつ価格変動によってコストが不安定であることや、高温環境において金とアルミ間の化合物成長によってワイヤ剥離が生じやすい。また、ボンディングワイヤとしてAlワイヤを用いた場合、アルミニウムは融点が比較的低く、高温環境において再結晶化しやすい。第1ワイヤ8として、Cuワイヤを用いることでAuワイヤやAlワイヤを用いた場合よりも信頼性の高い半導体装置を提供可能である。第1ワイヤ8は、例えばCuワイヤの場合に18μm以上50μm以下の径を有していてもよい。
【0019】
第1ワイヤ8は、第1パッド7と第1リード部22の第1パッド部221とを接続している。第1ワイヤ8は、長ワイヤ81と、長ワイヤ81よりも短い短ワイヤ82とを含んでいてもよい。長ワイヤ81は、隣り合う一対の第1パッド7のうち第1リード部22から遠い側の第1パッド7に接続されていてもよい。一方、短ワイヤ82は、当該一対の第1パッド7のうち第1リード部22に近い側の第1パッド7に接続されていてもよい。
【0020】
長ワイヤ81及び短ワイヤ82は、それぞれ複数本ずつ設けられており、第1パッド部221の長手方向に沿って交互に配置されていてもよい。また、長ワイヤ81の第1パッド部221側のボンディング部811、及び短ワイヤ82の第1パッド部221側のボンディング部821は、それぞれ、第1パッド部221の長手方向に交差する幅方向に対して一方側及び他方側に偏って配置されている。これにより、長ワイヤ81のボンディング部811と短ワイヤ82のボンディング部821とが互いにずれて配置されており、互いに接触することを防止することができる。その結果、第1リード部22の省スペース化を図ることができる。
【0021】
第2導電膜52は、パッド電極部521と、フィンガー電極部522とを一体的に含んでいてもよい。パッド電極部521は、外周領域63に形成されており、この実施形態では、半導体素子3の1つの角部に配置されている。フィンガー電極部522は、パッド電極部521から半導体素子3の周縁部に沿って外周領域63に形成されている。この実施形態では、フィンガー電極部522は、第1導電膜51を取り囲むように、半導体素子3の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに沿って形成されている。また、フィンガー電極部522は、隣り合う第1導電膜51の間の隙間領域61に形成されていてもよい。これにより、各第1導電膜51は、フィンガー電極部522に個別に取り囲まれている。
【0022】
フィンガー電極部522は、絶縁膜6に覆われている一方、パッド電極部521の一部は、第2パッド9として絶縁膜6から露出している。
第2パッド9には、第2ワイヤ10が接続されている。第2ワイヤ10は、第1ワイヤ8と同一の材料で形成されていてもよい。つまり、この実施形態では、第2ワイヤ10は、Cuを主成分とする、いわゆるCuワイヤからなっていてもよいが、変形例としてAuワイヤやAlワイヤを使用してもよい。また、第2ワイヤ10は、第1ワイヤ8と同一の径を有していてもよい。つまり、第2ワイヤ10は、例えばCuワイヤの場合に18μm以上50μm以下の径を有していてもよい。
【0023】
第2ワイヤ10は、第2パッド9と第2リード部23の第2パッド部231とを接続している。第2ワイヤ10は、第1ワイヤ8の短ワイヤ82よりも短い長さを有していてもよい。
第3導電膜53は、第2導電膜52よりも外側において、半導体素子3の周縁部に沿って外周領域63に形成されている。この実施形態では、第3導電膜53は、第2導電膜52を取り囲むように、半導体素子3の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに沿って閉環状に形成されている。
【0024】
パッケージ4は、半導体素子3、第1ワイヤ8、第2ワイヤ10及びリードフレーム2の一部を覆っており、封止樹脂と称してもよい。パッケージ4は、絶縁性を有する素材からなる。この実施形態では、パッケージ4は、例えば黒色のエポキシ樹脂からなる。
[アクティブ領域64の構造]
図2は、図1のアクティブ領域64の平面構造を示す部分的な拡大図である。図3および図4は、図2のIII-III断面を示す図であって、それぞれ、第2不純物領域122の第1形態および第2形態を示している。
【0025】
半導体装置1は、半導体チップ12と、第1不純物領域121(ソース)と、第2不純物領域122(ボディ)と、第3不純物領域123(ドレイン)と、ゲートトレンチ15(セルトレンチ)と、ゲート絶縁膜16と、ゲート電極13(制御電極)と、層間絶縁膜17と、ソースコンタクト18と、第1コンタクトプラグ11とを備えている。
半導体チップ12は、半導体素子3の外形を形成しており、例えば、単結晶の半導体材料がチップ状(直方体形状)に形成された構造体である。半導体チップ12は、Si、SiC等の半導体材料で形成されている。半導体チップ12は、第1主面12Aと、第1主面12Aの反対側の第2主面12Bとを有している。第1主面12Aは、機能デバイスが形成されるデバイス面である。第2主面12Bは、機能デバイスが形成されない非デバイス面である。この実施形態では、半導体チップ12は、半導体基板127及びエピタキシャル層129を含んでいてもよい。
【0026】
半導体基板127は、エピタキシャル層129を支持している。半導体基板127は、半導体チップ12の第2主面12Bの表層部に形成されたp型の不純物領域であってもよい。半導体基板127の厚さは、例えば、50μm以上300μm以下であってもよい。半導体基板127のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。
【0027】
第1不純物領域121は、図3及び図4に示すように、第1導電膜51の下方において選択的に、半導体チップ12の第1主面12Aの表層部に形成されたp型の不純物領域である。第1不純物領域121のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。また、第1不純物領域121は、この実施形態では、p型のソース領域と称してもよい。
【0028】
第2不純物領域122は、半導体チップ12の第1主面12Aの表層部に形成されたn型の不純物領域である。アクティブ領域64において、第2不純物領域122は、第1主面12Aから第2主面12B側に間隔を空け、第1不純物領域121に接するように形成されている。つまり、第2不純物領域122は、第1不純物領域121を挟んで第1主面12Aに対向している。第2不純物領域122のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。また、第2不純物領域122は、アクティブ領域64においてチャネルが形成される領域であるので、n型のチャネル領域125と称してもよい。他の言い方で、チャネル領域125は、ボディ領域と称してもよい。
【0029】
チャネル領域125は、ゲートトレンチ15の側面を形成する側部124と、側部124の下端からゲートトレンチ15の側面から離れるように第2主面12B側に張り出す凸状の底部126とを含んでいてもよい。チャネル領域125の底部126は、図3に示すように、第3不純物領域123の一部からなる隙間128を挟んで、ゲートトレンチ15に対向していてもよい。つまり、チャネル領域125の底部126は、ゲートトレンチ15の下端152よりも第1主面12A側に位置していてもよい。一方、図4に示すように、チャネル領域125の底部126は、ゲートトレンチ15の下端152よりも第2主面12B側に位置していてもよい。この場合、チャネル領域125の底部126は、ゲートトレンチ15の下端152よりも第2主面12B側に突出していてもよい。
【0030】
第3不純物領域123は、半導体チップ12の第1主面12Aの表層部に形成されたp型の不純物領域である。第3不純物領域123は、チャネル領域125に接するように形成されている。第3不純物領域123は、3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下の比抵抗を有している。これにより、半導体装置1は、100V以上の耐圧を有していてもよい。ここで「耐圧」とは、例えば、ゲート電極13に電圧を印加しないオフ状態において、ソース-ドレイン間(第1導電膜51と第4導電膜54との間)に、半導体素子3がブレークダウンしない範囲で印加できる最大電圧と定義してもよい。
【0031】
第3不純物領域123は、エピタキシャル層129によって構成されていてもよい。第3不純物領域123のp型不純物濃度は、半導体基板127及び第1不純物領域121のp型不純物濃度よりも低く、例えば、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第3不純物領域123(エピタキシャル層129)の厚さは、1μm以上500μm以下であってもよい。また、第3不純物領域123は、この実施形態では、p型のドリフト領域やp型のドレイン領域と称してもよい。
【0032】
ゲートトレンチ15は、第1不純物領域121及びチャネル領域125を貫通し、第3不純物領域123に達する凹部である。ゲートトレンチ15は、図2に示すように、第1不純物領域121、チャネル領域125及び第3不純物領域123を囲むことによって、これらの領域121,122,123を含むトランジスタセル14(半導体素子構造)を区画する。この実施形態では、トランジスタセル14は、図2に示すように、第1導電膜51の下方領域に選択的に形成されている。つまり、トランジスタセル14は、第1導電膜51に覆われている一方、第2導電膜52及び第3導電膜53に覆われていない。
【0033】
トランジスタセル14の配列パターンは、図2では、千鳥状である。図示はしないが、トランジスタセル14の配列パターンは、行列状、ストライプ状であってもよい。各トランジスタセル14は、図2に示す平面視において、四角形状に形成されており、この実施形態では、長方形状に形成されている。
ゲートトレンチ15は、上記のように配列された複数のトランジスタセル14の間に形成されている。ゲートトレンチ15は、ゲートトレンチ15の深さ方向に向かって開口幅Wが徐々に狭まるテーパ状に形成されている。ゲートトレンチ15の幅Wは、例えば、ゲートトレンチ15の開口端において、0.17μm以上0.22μm以下であってもよい。また、図3及び図4に示すように、隣り合うゲートトレンチ15のピッチPは、例えば、1μm以下である。図2に示すように、ゲートトレンチ15が複数のトランジスタセル14をそれぞれ取り囲むように連なっている場合、ゲートトレンチ15のピッチPは、例えば、1つのトランジスタセル14を挟んで対向するゲートトレンチ15間の距離であってもよい。また、ゲートトレンチ15の深さDは、例えば、0.8μm以上1.2μm以下であってもよい。
【0034】
ゲート絶縁膜16は、図3及び図4に示すように、ゲートトレンチ15の内面を覆っている。また、ゲート絶縁膜16は、半導体チップ12の第1主面12Aを覆っている。ゲート絶縁膜16は、例えば、SiO、SiN等を含む絶縁性を有する材料で形成されている。ゲート絶縁膜16全体のうち、アクティブ領域64に形成された部分やゲートトレンチ15の内面に形成された部分は、後述する第2絶縁膜162及び第3絶縁膜163と区別するため、ゲート絶縁膜16の第1絶縁膜161と称してもよい。
【0035】
ゲート電極13は、ゲートトレンチ15に収容されている(埋め込まれている)。このような構造とすることによって、プレーナ構造と比較して微細化及び低オン抵抗化が可能である。また、ゲート電極13が、ゲート絶縁膜16によって半導体チップ12から絶縁されることによって、リーク電流が生じることを防いでいる。ゲート電極13は、ポリシリコン等を含む導電性を有する材料である。ポリシリコンは、単結晶シリコンと融点がほぼ等しいため、ゲート電極13としてポリシリコンを用いることで、ゲート電極13形成後のプロセスにおいて温度によるプロセスの制限がなくなる。
【0036】
ゲート電極13は、ゲート絶縁膜16を介してチャネル領域125に対向している。チャネル領域125において、ゲート電極13に対向する側部124はチャネル部である。ゲート電極13への電圧の印加によって、チャネル領域125の側部124にキャリア(この実施形態では、電子)が誘起されてチャネルが形成され、第1不純物領域121と第3不純物領域123との間が導通する。つまり、半導体装置1では、トランジスタセル14及びゲート電極13によって、半導体チップ12の厚さ方向に電流が流れる縦型の素子構造が形成されている。
【0037】
ゲート電極13は、図3及び図4に示すように、半導体チップ12の第1主面12Aと面一若しくは第2主面12B側に窪んだ上面131を有していてもよい。半導体チップ12の第1主面12A上には、ゲート絶縁膜16及びゲート電極13を覆うように層間絶縁膜17が形成されている。層間絶縁膜17は、ゲート電極13と第1導電膜51とを絶縁している。従って、ゲート電極13は、ゲート絶縁膜16及び層間絶縁膜17によって覆われている構成となっている。層間絶縁膜17は、SiO、SiN等を含む絶縁性を有する材料である。
【0038】
図2図4を参照して、ソースコンタクト18は、各トランジスタセル14に形成されている。この実施形態では、各トランジスタセル14にソースコンタクト18が1つずつ形成されているが、各トランジスタセル14に複数形成されていてもよい。ソースコンタクト18は、平面視長方形状のトランジスタセル14の長手方向に沿って長手な平面視長方形状に形成されている。
【0039】
図3及び図4を参照して、ソースコンタクト18は、層間絶縁膜17、ゲート絶縁膜16、及び第1不純物領域121を貫通し、チャネル領域125に達する凹部である。ソースコンタクト18は、ソースコンタクト18の深さ方向に向かって開口幅が徐々に狭まるテーパ状に形成されている。また、隣り合うソースコンタクト18のピッチは、ゲートトレンチ15のピッチPと同じであり、例えば、1μm以下である。
【0040】
第1コンタクトプラグ11は、第1バリア膜191を介してソースコンタクト18に埋め込まれている。このような構成にすることによって、ゲートトレンチ15の底部の電界集中を緩和し、信頼性を向上した半導体装置1を提供できる。
第1バリア膜191は、第1コンタクトプラグ11を形成する材料が層間絶縁膜17に拡散することを抑制する。この実施形態では、第1コンタクトプラグ11は、W(タングステン)を含み、第1バリア膜191は、Tiを含む材料(例えば、Tiの単一層構造、又はTi及びTiNの積層構造)を含んでいてもよい。第1バリア膜191の厚さは、例えば、500Å以上800Å以下である。
【0041】
第1バリア膜191は、その一方面及び他方面がソースコンタクト18の内面及び層間絶縁膜17の上面に倣って形成されており、第1不純物領域121及びチャネル領域125との直接的な導通をとっている。また、第1バリア膜191は、隣り合うトランジスタセル14の境界であるゲートトレンチ15の上方領域を横切って連続している。
第1コンタクトプラグ11は、第1バリア膜191を介して第1不純物領域121及びチャネル領域125との導通をとっている。第1コンタクトプラグ11は、層間絶縁膜17の上面に対して半導体チップ12の第1主面12A側に凹んだ上面111を有している。
【0042】
第1導電膜51は、層間絶縁膜17上に形成されている。第1導電膜51は、その電気的な接続対象に基づいて、ソース電極膜と称してもよい。第1導電膜51は、第1コンタクトプラグ11及び第1バリア膜191を介して、第1不純物領域121及びチャネル領域125との導通がとられている。第1導電膜51は、例えばAlを含む材料からなり、この実施形態において、AlCuからなる。
【0043】
前述のように、第1コンタクトプラグ11の上面111は、層間絶縁膜17の上面に対して凹んでいる。そのため、第1導電膜51の上面には、第1導電膜51の積層方向において、上面111と対向する位置に凹部511が形成されていてもよい。
半導体チップ12の第2主面12Bには、第3不純物領域123に接続された第4導電膜54が形成されている。第4導電膜54は、全てのトランジスタセル14の共通の電極であり、ドレイン電極層と称してもよい。
[外周領域63の構造]
図5は、図1の外周領域63の平面構造を示す図であって、図1の半導体素子3の角部を拡大して示す図である。図6は、図5の二点鎖線VIで囲まれた部分の拡大図である。図7は、図5の二点鎖線VIIで囲まれた部分の拡大図である。図8は、図6のVIII-VIII断面を示す図である。図9は、図7のIX-IX断面を示す図である。
【0044】
まず、図8及び図9を参照して、外周領域63における不純物領域として、半導体装置1は、前述の第2不純物領域122及び第3不純物領域123を有している。第2不純物領域122は、半導体チップ12の第1主面12Aから露出している。
外周領域63において、半導体装置1は、第1外周トレンチ40と、接続トレンチ41と、第2外周トレンチ42と、ゲート絶縁膜16と、第1埋め込み電極43と、接続電極44と、第2埋め込み電極45と、第2コンタクトプラグ46とを備えている。
【0045】
第1外周トレンチ40は、第2不純物領域122を貫通し、第3不純物領域123に達する凹部である。第1外周トレンチ40は、アクティブ領域64に形成されたトランジスタセル14の集合体を取り囲む環状に形成されている(図11図16図18及び図20も参照)。第1外周トレンチ40は、第2導電膜52(フィンガー電極部522)に覆われている。
【0046】
図8及び図9を参照して、第1外周トレンチ40は、第1外周トレンチ40の深さ方向に向かって開口幅Wが徐々に狭まるテーパ状に形成されている。第1外周トレンチ40の幅Wは、ゲートトレンチ15の幅Wよりも大きく、例えば、第1外周トレンチ40の開口端において、0.5μm以上1.0μm以下であってもよい。また、第1外周トレンチ40の深さDは、ゲートトレンチ15の深さDよりも大きく、例えば、1.0μm以上1.4μm以下であってもよい。
【0047】
図5を参照して、第1外周トレンチ40は、第1方向Xに沿って延びる第1直線部401と、第2方向Yに沿って延びる第2直線部402と、第1直線部401と第2直線部402とを接続するコーナ部403とを含む。つまり、この実施形態では、第1外周トレンチ40は、平面視四角環状に形成されていてもよい。コーナ部403は、第1直線部401と第2直線部402との交差部であってもよい。コーナ部403は、外周領域63の外側に向かって凸となるように湾曲した形状を有している。例えば、コーナ部403は、所定の曲率半径R(例えば、15μm以上50μm以下)を有するように湾曲していてもよい。
【0048】
接続トレンチ41は、ゲートトレンチ15と第1外周トレンチ40とを接続する凹部である。接続トレンチ41は、アクティブ領域64と外周領域63との間に跨って形成されている(図11図16図18及び図20も参照)。他の言い方では、接続トレンチ41は、アクティブ領域64と外周領域63との境界部(例えば、図5に示すように、第1導電膜51と第2導電膜52との間の隙間領域19)を横切っている。接続トレンチ41は、この実施形態では、図5に示すように、トランジスタセル14の集合体の外周を形成する環状の外側ゲートトレンチ151から第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに沿って延び、第1外周トレンチ40の第1直線部401及び第2直線部402に接続されている。
【0049】
接続トレンチ41は、互いに平行なストライプ状の複数の接続トレンチ41を含み、各接続トレンチ41が、第1外周トレンチ40の異なる位置で接続されていてもよい。例えば、図6を参照して、接続トレンチ41は、第1接続箇所411で第1外周トレンチ40に接続された第1接続トレンチ41Aと、第2接続箇所412で第1外周トレンチ40に接続された第2接続トレンチ41Bと、第3接続箇所413で第1外周トレンチ40に接続された第3接続トレンチ41Cとを含んでいてもよい。第1~第3接続箇所411~413は、それぞれ、第1~第3接続トレンチ14A~14Cと第1外周トレンチ40とがT字状に交差することによって形成された交差部分であってもよい。
【0050】
ここで、第1外周トレンチ40は、複数の第1外周トレンチ40を含んでいる。この実施形態では、第1外周トレンチ40は、内側トレンチ404と、外側トレンチ405とを含んでいてもよい。内側トレンチ404は、図5及び図6に示すように、アクティブ領域64に形成されたトランジスタセル14の集合体を取り囲み、接続トレンチ41に物理的に接続されている(図11図16図18及び図20も参照)。接続トレンチ41は、内側トレンチ404及び外側トレンチ405のうち、内側トレンチ404に選択的に連通している一方、外側トレンチ405には連通していない。外側トレンチ405は、内側トレンチ404を取り囲む環状であり、内側トレンチ404から間隔を空けて外側に形成され、内側トレンチ404から物理的に独立している(図11図16図18及び図20も参照)。
【0051】
第2外周トレンチ42は、第2不純物領域122を貫通し、第3不純物領域123に達する凹部である。第2外周トレンチ42は、第1外周トレンチ40よりも外側において第1外周トレンチ40から物理的に独立して形成され、アクティブ領域64に形成されたトランジスタセル14の集合体を取り囲む環状に形成されている(図11図16図18及び図20も参照)。この実施形態では、第2外周トレンチ42は、第2不純物領域122を挟んで第1外周トレンチ40(この実施形態では、外側トレンチ405)に対向している。図5を参照して、第2外周トレンチ42は、複数本形成されている。複数本の第2外周トレンチ42は、第2外周トレンチ群42と称してもよい。複数本の第2外周トレンチ42は、平面視において、そのうちの何本かが第2導電膜52(フィンガー電極部522)に覆われており(重なっており)、残りが、第2導電膜52と第3導電膜53との境界部(例えば、図5に示すように、第2導電膜52と第3導電膜53との間の隙間領域20)に形成され、第2導電膜52を取り囲んでいてもよい。
【0052】
図8及び図9を参照して、第2外周トレンチ42は、第2外周トレンチ42の深さ方向に向かって開口幅Wが徐々に狭まるテーパ状に形成されている。第2外周トレンチ42の幅Wは、ゲートトレンチ15の幅Wよりも大きく、かつ第1外周トレンチ40の幅Wよりも小さい。第2外周トレンチ42の幅Wは、例えば、第2外周トレンチ42の開口端において、0.23μm以上0.28μm以下であってもよい。第2外周トレンチ42の深さDは、第1外周トレンチ40の深さDよりも小さく、例えば、0.8μm以上1.2μm以下であってもよい。
【0053】
図5を参照して、第2外周トレンチ42は、第1外周トレンチ40に沿って形成された平面視四角環状であってもよい。第2外周トレンチ42は、第1方向Xに沿って延びる第1直線部423と、第2方向Yに沿って延びる第2直線部424と、第1直線部423と第2直線部424とを接続するコーナ部425とを含む。つまり、この実施形態では、第2外周トレンチ42は、平面視四角環状に形成されていてもよい。コーナ部425は、第1直線部423と第2直線部424との交差部であってもよい。コーナ部425は、外周領域63の外側に向かって凸となるように湾曲した形状を有している。
【0054】
図8及び図9を参照して、外周領域63においてゲート絶縁膜16は、第1外周トレンチ40の内面及び第2外周トレンチ42の内面を覆うと共に、半導体チップ12の第1主面12Aを覆っている。ゲート絶縁膜16全体のうち、第1外周トレンチ40の内面及び第2外周トレンチ42の内面に形成された部分は、それぞれ、第2絶縁膜162及び第3絶縁膜163と称してもよい。つまり、この実施形態では、アクティブ領域64に形成された第1絶縁膜161と、外周領域63に形成された第2絶縁膜162及び第3絶縁膜163とが、第1主面12A上のゲート絶縁膜16を介して一体的に形成されている。また、図示は省略するが、接続トレンチ41の内面も、ゲート絶縁膜16で覆われている。
【0055】
第1埋め込み電極43は、第1外周トレンチ40に収容されている(埋め込まれている)。第1埋め込み電極43は、ゲート電極13と同じ材料であってもよい。つまり、第1埋め込み電極43は、ポリシリコン等を含む導電性を有する材料である。ポリシリコンは、単結晶シリコンと融点がほぼ等しいため、第1埋め込み電極43としてポリシリコンを用いることで、第1埋め込み電極43形成後のプロセスにおいて温度によるプロセスの制限がなくなる。第1埋め込み電極43は、第2絶縁膜162を介して第2不純物領域122に対向している。第1埋め込み電極43は、図8及び図9に示すように、半導体チップ12の第1主面12Aに対して第2主面12B側に窪んだ上面431を有していてもよい。
【0056】
図6を参照して、接続電極44は、接続トレンチ41に収容されている(埋め込まれている)。接続電極44は、ゲート電極13と同じ材料であってもよい。つまり、接続電極44は、ポリシリコン等を含む導電性を有する材料である。ポリシリコンは、単結晶シリコンと融点がほぼ等しいため、接続電極44としてポリシリコンを用いることで、接続電極44形成後のプロセスにおいて温度によるプロセスの制限がなくなる。図示は省略するが、接続電極44は、第1埋め込み電極43と同様に、接続トレンチ41の内面に形成されたゲート絶縁膜16を介して第2不純物領域122に対向している。接続電極44は、ゲート電極13及び内側トレンチ404内の第1埋め込み電極43と一体的に形成されることによって、ゲート電極13と第1埋め込み電極43とを電気的に接続している。
【0057】
第2埋め込み電極45は、第2外周トレンチ42に収容されている(埋め込まれている)。第2埋め込み電極45は、ゲート電極13と同じ材料であってもよい。つまり、第2埋め込み電極45は、ポリシリコン等を含む導電性を有する材料である。ポリシリコンは、単結晶シリコンと融点がほぼ等しいため、第2埋め込み電極45としてポリシリコンを用いることで、第2埋め込み電極45形成後のプロセスにおいて温度によるプロセスの制限がなくなる。第2埋め込み電極45は、第3絶縁膜163を介して第2不純物領域122に対向している。第2埋め込み電極45は、ゲート電極13及び第1埋め込み電極43から電気的に分離されており、この実施形態では、電気的にフローティングされた電極である。第2埋め込み電極45は、図8及び図9に示すように、半導体チップ12の第1主面12Aと面一若しくは第2主面12B側に窪んだ上面451を有していてもよい。
【0058】
層間絶縁膜17は、ゲート絶縁膜16、第1埋め込み電極43、接続電極44及び第2埋め込み電極45を覆うように形成されている。層間絶縁膜17は、第1埋め込み電極43、接続電極44及び第2埋め込み電極45と、第2導電膜52とを絶縁している。
層間絶縁膜17には、コンタクト孔47が形成されている。コンタクト孔47は、第1外周トレンチ40の深さ方向において、第1埋め込み電極43の中間部に達している。従って、コンタクト孔47の側面は、層間絶縁膜17によって形成された絶縁領域からなる第1側面48(上側側面)と、第1埋め込み電極43によって形成された導電領域からなる第2側面49(下側側面)とを含んでいてもよい。また、コンタクト孔47の第2側面49には、第1埋め込み電極43内においてコンタクト孔47の幅が段階的に狭くなるように、段差50が形成されていてもよい。
【0059】
コンタクト孔47は、第1外周トレンチ40の第1直線部401及び第2直線部402に形成されている。ここでは、図6を参照して、第2直線部402に形成されたコンタクト孔47の構造について説明するが、以下の説明は、第1直線部401にも適用することができる。
コンタクト孔47は、第2直線部402において、接続トレンチ41の接続箇所(図6では、第1~第3接続箇所411~413)を避けた位置に形成されている。具体的には、コンタクト孔47は、互いに隣り合う接続箇所411~413の間の第1外周トレンチ40の部分に形成されている。第1~第3接続箇所411~413では、第1外周トレンチ40の側面が接続トレンチ41に置き換えられるため、第1外周トレンチ40の幅Wよりも広い幅W´を有する部分が生じる。トレンチの幅が広いほど、埋め込み電極(例えばポリシリコン)の埋め込み性が低下し、埋め込み後に鬆(す)と呼ばれる空洞状の欠陥が生じるおそれがある。例えば、図6の例では、第1~第3接続箇所411~413の中央部付近において、第1埋め込み電極43に欠陥が生じ得る。そこで、第1~第3接続箇所411~413を避けてコンタクト孔47を形成することによって、第1埋め込み電極43に対して第2コンタクトプラグ46を良好に接続することができる。
【0060】
第2コンタクトプラグ46は、第2バリア膜192を介してコンタクト孔47に埋め込まれている。第2バリア膜192は、第2コンタクトプラグ46を形成する材料が層間絶縁膜17に拡散することを抑制する。この実施形態では、第2コンタクトプラグ46は、W(タングステン)を含み、第2バリア膜192は、Tiを含む材料(例えば、Tiの単一層構造、又はTi及びTiNの積層構造)を含んでいてもよい。第2バリア膜192の厚さは、例えば、500Å以上800Å以下である。
【0061】
第2バリア膜192は、その一方面及び他方面がコンタクト孔47の内面及び層間絶縁膜17の上面に倣って形成されており、第1埋め込み電極43との直接的な導通をとっている。第2コンタクトプラグ46は、第2バリア膜192を介して第1埋め込み電極43との導通をとっている。第2コンタクトプラグ46は、層間絶縁膜17の上面に対して半導体チップ12の第1主面12A側に凹んだ上面461を有している。
【0062】
第2導電膜52は、層間絶縁膜17上に形成されている。第2導電膜52は、その電気的な接続対象に基づいて、ゲート電極膜と称してもよい。第2導電膜52は、第2コンタクトプラグ46、第2バリア膜192、内側トレンチ404内の第1埋め込み電極43及び接続電極44を介して、ゲート電極13との導通がとられている。第2導電膜52は、例えばAlを含む材料からなり、この実施形態において、AlCuからなる。なお、外側トレンチ405内の第1埋め込み電極43は、接続電極44と物理的に接続されていない。しかしながら、外側トレンチ405内の第1埋め込み電極43は、第2コンタクトプラグ46を介して第2導電膜52に電気的に接続されているので、第2導電膜52、内側トレンチ404内の第1埋め込み電極43及び接続電極44を介して、ゲート電極13に電気的に接続されることとなる。つまり、内側トレンチ404及び外側トレンチ405内の第1埋め込み電極43の両方が、第2導電膜52の電位(ゲート電位)に保持される。
【0063】
前述のように、第2コンタクトプラグ46の上面461は、層間絶縁膜17の上面に対して凹んでいる。そのため、第2導電膜52の上面には、第2導電膜52の積層方向において、上面461と対向する位置に凹部520が形成されていてもよい。
[チャネル領域125の深さとリーク電流との関係]
図10は、サンプル1~4に係る半導体装置の耐圧を比較するための図である。図10の横軸は、ソース-ドレイン間に印加される逆方向電圧(ドレイン電圧VD)の大きさを示しており、横軸の右側ほど逆方向電圧の絶対値が大きいことを示している。図10の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときのリーク電流(ドレイン電流ID)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどリーク電流が大きいことを示している。
【0064】
図10を参照して、チャネル領域125の深さによって、リーク電流がどのように変化するかどうかをシミュレーションで検証した。具体的には、チャネル領域125の深さが互いに異なるサンプル1~4のリーク電流を比較した。チャネル領域125の深さは、例えば、図3及び図4において、半導体チップ12の第1主面12Aからチャネル領域125の底部126の下端までの深さDC1図3)および深さDC2図4)であってもよい。チャネル領域125の深さは、例えば、第3不純物領域123(後述するエピタキシャル層129)にイオン注入及び熱拡散によって第2不純物領域122を形成する際、イオン注入の加速電圧を変更することによって制御することができる。イオン注入の注入対象である第3不純物領域123の比抵抗は、ここでは3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下である。
【0065】
サンプル1は、第3不純物領域123に対して、180keV及び70keVの2段階でn型不純物(この実施形態では、P(リン))を注入し、熱拡散することによって形成されたチャネル領域125を有する設定である。サンプル2は、第3不純物領域123に対して、180keV及び140keVの2段階でn型不純物(この実施形態では、P(リン))を注入し、熱拡散することによって形成されたチャネル領域125を有する設定である。サンプル1及び2のチャネル領域125は、例えば、図3に示すように、ゲートトレンチ15の下端152よりも第1主面12A側に位置する底部126を有していてもよい。
【0066】
サンプル3は、第3不純物領域123に対して、280keV及び140keVの2段階でn型不純物(この実施形態では、P(リン))を注入し、熱拡散することによって形成されたチャネル領域125を有する設定である。サンプル4は、第3不純物領域123に対して、280keV、140keV及び70keVの3段階でn型不純物(この実施形態では、P(リン))を注入し、熱拡散することによって形成されたチャネル領域125を有する設定である。サンプル3及び4のチャネル領域125は、例えば、図4に示すように、ゲートトレンチ15の下端152よりも第2主面12B側に位置する底部126を有している。
【0067】
図10を参照してサンプル1~4のリーク電流を比較すると、サンプル1及び2のリーク電流が、サンプル3及び4のリーク電流に比べて、逆方向電圧の印加範囲全体にわたって小さいことが分かる。従って、リーク電流を低減する観点では、チャネル領域125の底部126の深さ位置は、ゲートトレンチ15の下端152に対して第2主面12B側(図4)よりも、第1主面12A側(図3)であることが好ましい。この実施形態では、半導体装置1に100V以上の耐圧を付与するために、第3不純物領域123の比抵抗が3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下であり、比較的高い。そのため、イオン注入されたn型不純物イオンの拡散範囲が広がりやすく、ゲートトレンチ15の下端152よりもチャネル領域125が突出しやすい。そこで、サンプル1及び2のように、イオン注入時の加速電圧を低くすることによって、リーク電流を低減することができる。つまり、リーク電流を低減する1つの手法として、第2不純物領域122のイオン注入時の加速電圧の低加速化を提供することができる。
[外周領域63の構造とリーク電流及びデバイス耐圧との関係]
次に、半導体素子3の外周領域63の構造が、リーク電流及びデバイス耐圧に与える影響について説明する。
<第2不純物領域122の第1導電型領域130の形成によるリーク電流の低減効果>
以下では、サンプル5~11に基づき、外周領域63の第2不純物領域122に第1導電型領域130を形成することによってリーク電流が低減することを説明する。
【0068】
図11は、サンプル5~8に係る半導体素子3の模式的な平面図である。図12は、サンプル5に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図13は、サンプル6に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図14は、サンプル7に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図15は、サンプル8に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図16は、サンプル9に係る半導体素子3の模式的な平面図である。図17は、サンプル9に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図18は、サンプル10に係る半導体素子3の模式的な平面図である。図19は、サンプル10に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図20は、サンプル11に係る半導体素子3の模式的な平面図である。図21は、サンプル11に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図11図16図18及び図20では、半導体チップ12の第1主面12Aよりも上の構造を省略して示している。
【0069】
図11図21では、第2不純物領域122の第1導電型領域130の形成によるリーク電流の低減効果の説明に必要な構成を選択的に示しており、例えばゲート絶縁膜16などを省略している。
まず、図11図21を参照して、半導体素子3の外周領域63の構造のうちサンプル5~11に共通する構造を説明する。
【0070】
前述のように、半導体チップ12は、第1主面12Aと、第1主面12Aの反対側の第2主面12Bとを有している。外周領域63において半導体チップ12の第1主面12A側の表層部には、第3不純物領域123が形成されており、第3不純物領域123の表層部には第2不純物領域122が形成されている。
第2不純物領域122は、図11図16図18及び図20に示すように、アクティブ領域64から外周領域63に向かって、第3不純物領域123の表層部全体にわたって連続的に形成されたウェル領域である。ここで、アクティブ領域64から外周領域63にわたって第2不純物領域122が連続的に形成されているとは、アクティブ領域64のチャネル領域125から同じ導電型の不純物領域が、半導体チップ12の第1主面12Aに沿う横方向に沿って連続していることを示している。例えば、第2不純物領域122は、平面視において、第1導電型領域130、第1外周トレンチ40及び第2外周トレンチ42の形成部分を除いて、第1主面12Aの全体に形成されていてもよい。
【0071】
第2不純物領域122は、第1電位ウェル領域132と、フローティング領域133とを含んでいてもよい。第1電位ウェル領域132は、第1外周トレンチ40の内側領域に形成されている。第1電位ウェル領域132は、アクティブ領域64において、層間絶縁膜17に形成された第3コンタクトプラグ134を介して、第1導電膜51に電気的に接続されている。これにより、第1電位ウェル領域132は、第1導電膜51と同電位となる。この実施形態では、第1電位ウェル領域132は、ソース電位に固定されたソース電位ウェル領域であってもよい。
【0072】
フローティング領域133は、第1外周トレンチ40の外側領域に形成されている。フローティング領域133は、第1外周トレンチ40によって、第1電位ウェル領域132から物理的に分離されている。また、フローティング領域133は、第1導電膜51、第2導電膜52及び第3導電膜53に接続されておらず、電気的にフローティングされた領域である。
【0073】
第1導電型領域130は、外周領域63において、第2不純物領域122が選択的に形成されていない領域であり、半導体チップ12の第1主面12Aから露出している。第1導電型領域130は、第2不純物領域122とは異なる導電型を有する領域であってもよい。例えば、第2不純物領域122が第1導電型のウェル領域と定義されてもよい。この実施形態では、第2不純物領域122がn型であり、第1導電型領域130がp型である。
【0074】
第2外周トレンチ42は、第1トレンチ421と、第2トレンチ422とを含んでいてもよい。第1トレンチ421は、第2外周トレンチ42のうち第1外周トレンチ40に隣接しているトレンチである。第1トレンチ421は、第1外周トレンチ40から半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32B側に第1外周ピッチPを隔てて形成されている。また、第1トレンチ421は、層間絶縁膜17を挟んで第2導電膜52(フィンガー電極部522)に対向している。
【0075】
第2トレンチ422は、第1トレンチ421から半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32B側に第2外周ピッチPを隔てて形成された複数のトレンチである。第2外周ピッチPは、第1トレンチ421と最も内側の第2トレンチ422との距離であってもよい。複数の第2トレンチ422は、互いに等しい第3外周ピッチPを空けて配列されている。複数の第2トレンチ422のうち何本かは、層間絶縁膜17を挟んで第2導電膜52(フィンガー電極部522)に対向している。複数の第2トレンチ422の残りは、層間絶縁膜17を挟んで隙間領域20に対向している。
【0076】
第3導電膜53は、半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bの近傍に形成された外周電極である。第3導電膜53は、層間絶縁膜17に形成された外周コンタクトプラグ135(外周コンタクト部)を介して、半導体チップ12に接続されている。外周コンタクトプラグ135は、図11図16図18及び図20に示すように、平面視において、第2トレンチ422を取り囲む環状に形成されている。この実施形態では、複数の外周コンタクトプラグ135が形成されている。
【0077】
なお、この実施形態では、外周領域63に形成された環状のトレンチである第1外周トレンチ40および第2外周トレンチ42を含むグループとして、トレンチ群136と定義してもよい。トレンチ群136は、図12図15図17図19及び図21では、全ての第1外周トレンチ40及び第2外周トレンチ42を含むように示されているが、第1外周トレンチ40及び第2外周トレンチ42のうちの第1主面12Aに沿って連続する何本かを選択的に含むものであってもよい。
【0078】
次に、サンプル5~8の間において互いに異なる外周領域63の構造を個別に説明する。まず、図11及び図12を参照して、サンプル5について説明する。
サンプル5では、図11に示すように、第1導電型領域130は、アクティブ領域64を取り囲む環状に形成されている。これにより、外周領域63において、第2不純物領域122は、第1部分70と、第2部分71とに分断されている。
【0079】
第1導電型領域130は、第3不純物領域123の一部が半導体チップ12の第1主面12Aから露出することによって形成されている、従って、第1導電型領域130のp型不純物濃度は、第3不純物領域123のp型不純物濃度であってもよい。第1導電型領域130は、半導体チップ12の厚さ方向において、第3不純物領域123との間に1桁以下の濃度差を有する第1導電型(この実施形態では、p型)の不純物領域80であってもよい。つまり、第1導電型領域130は、第3不純物領域123の一部からなる不純物領域80であるが、半導体素子3の製造条件などの影響によって、第2不純物領域122に対して第2主面12B側の第3不純物領域123との間に、1桁以下の濃度差を有する場合がある。例えば、第2主面12B側の第3不純物領域123のp型不純物濃度が1015cm-3で表されるのに対して、不純物領域80のp型不純物濃度は、1×1016cm-3と表されてもよい。
【0080】
第1導電型領域130は、隙間領域20の直下の領域と第3導電膜53の直下の領域との間に跨って形成されている。第1導電型領域130は、第1外周トレンチ40及び第2外周トレンチ42に沿う環状に形成されており、複数の第2外周トレンチ42のうちの何本かを選択的に内側に含み、かつ第2外周トレンチ42に重なっている。より具体的には、環状の第1導電型領域130は、その全周にわたって同じ第2外周トレンチ42を内側に含む。つまり、第1導電型領域130に含まれる第2外周トレンチ42は、平面視において、第1導電型領域130から食み出ず、第1導電型領域130内に完全に収まっている。
【0081】
図11を参照して、第2不純物領域122の第1部分70は、第1導電型領域130に取り囲まれた内側領域に島状に形成され、第2部分71は、第1導電型領域130を取り囲む外側領域に環状に形成されている。第1部分70と第1導電型領域130との境界部(第1境界部75)は、隙間領域20の直下の領域に形成されている。第1境界部75は、半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに向かって間隔を空けて環状に広がるトレンチ40,42を含むトレンチ群136の径方向途中に形成されていてもよい。一方、第1導電型領域130と第2部分71との境界部(第2境界部77)は、第3導電膜53の直下の領域であって、かつ半導体チップ12における外周コンタクトプラグ135の接続位置よりも内側に形成されている。第2部分71は、第2境界部77から半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに至るように形成されている。半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bには、第2不純物領域122の第2部分71が露出している。
【0082】
複数の第2外周トレンチ42のうち、半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに向かって連続して配列され、第1主面12Aから露出した第1導電型領域130に形成された複数の第2外周トレンチ42は、第1トレンチ群73と定義されてもよい。一方、複数の第2外周トレンチ42のうち第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに向かって連続して配列され、第1主面12Aから第2不純物領域122を貫通し、第3不純物領域123に達するように形成された複数の第2外周トレンチ42は、第2トレンチ群74と定義されてもよい。第1トレンチ群73が相対的に外側に形成され、第2トレンチ群74は、第1トレンチ群73に取り囲まれるように、相対的に内側に形成されていてもよい。
【0083】
第1トレンチ群73に属する第2外周トレンチ42の側面は、第1導電型領域130(サンプル5では、第3不純物領域123の一部)で形成され、第2トレンチ群74に属する第2外周トレンチ42の側面は、第2不純物領域122で形成されている。
また、第1トレンチ群73と第2トレンチ群74との境界に位置し、第2不純物領域122と第1導電型領域130との第1境界部75を形成する第2外周トレンチ42は、境界トレンチ76であってもよい。境界トレンチ76の側面は、断面視一方側(例えば内側)が第2不純物領域122で形成され、断面視他方側(例えば外側)が第1導電型領域130で形成されている。境界トレンチ76(第1境界部75)は、隙間領域20の直下の領域に位置している。
【0084】
図11に示すように、第1境界部75が境界トレンチ76(第2外周トレンチ42)であるため、第1境界部75は、第2外周トレンチ42の形状と同様に、弧状に湾曲したコーナ部85を有する平面視四角環状に形成されている。第2境界部77も同様に、弧状に湾曲したコーナ部86を有する平面視四角環状に形成されている。従って、第1導電型領域130は、内周縁および外周縁がともに、弧状に湾曲したコーナ部85,86を有する平面視四角環状に形成されている。第1境界部75及び第2境界部77のコーナ部を弧状に湾曲させることによって、これらの境界部75,77のコーナ部に電界が集中することを抑制することができる。
【0085】
また、第2不純物領域122の第1部分70と第2部分71とに挟まれた第1導電型領域130の幅Wは、例えば、8μm以上15μm以下(好ましくは、10μm程度)であってもよい。
そして、第1導電型領域130を形成するには、例えば、半導体基板127上にエピタキシャル層129を成長させた後、第1導電型領域130のパターンに対応するマスクを介して、半導体チップ12にn型不純物を注入し、熱拡散することによって第2不純物領域122を形成すればよい。半導体チップ12においてマスクで覆われた部分には、n型不純物が注入されず、エピタキシャル層129(第3不純物領域123)の導電型が維持された第1導電型領域130が形成される。
【0086】
次に、図11及び図13を参照して、サンプル6について説明する。
サンプル6は、サンプル5の第1導電型領域130の幅Wよりも狭い、第1導電型領域130の幅Wを有している。幅Wは、例えば、3μm以上7μm以下(好ましくは、6μm程度)であってもよい。サンプル6のその他の構成については、サンプル5と同様である。なお、第1導電型領域130の幅Wを幅Wに変更するには、第2不純物領域122を形成する際に使用するマスクのパターン(幅)を変更すればよい。
【0087】
次に、図11及び図14を参照して、サンプル7について説明する。
サンプル7は、サンプル5の第1導電型領域130の幅Wよりも広い、第1導電型領域130の幅Wを有している。幅Wは、例えば、8μm以上15μm以下(好ましくは、13μm程度)であってもよい。サンプル7のその他の構成については、サンプル5と同様である。なお、第1導電型領域130の幅Wを幅Wに変更するには、第2不純物領域122を形成する際に使用するマスクのパターン(幅)を変更すればよい。
【0088】
次に、図11及び図15を参照して、サンプル8について説明する。
サンプル8では、第3不純物領域123よりも高い不純物濃度を有する高濃度不純物領域78によって第1導電型領域130が形成されている。例えば、第3不純物領域123のp型不純物濃度が1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であるのに対し、高濃度不純物領域78のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。高濃度不純物領域78のp型不純物濃度は、半導体基板127及び第1不純物領域121のp型不純物濃度と同じであってもよい。
【0089】
高濃度不純物領域78は、第3不純物領域123の表層部に選択的に形成されている。また、図15に示すように、高濃度不純物領域78の深さは、第2外周トレンチ42よりも深くてもよい。これにより、高濃度不純物領域78は、第2外周トレンチ42の下端よりも第2主面12B側に突出する底部79を有していてもよい。サンプル8のその他の構成については、サンプル5と同様である。
【0090】
高濃度不純物領域78を形成するには、例えば、半導体基板127上にエピタキシャル層129を成長させた後、マスクを使用しないで、半導体チップ12の第1主面12Aの全面にn型不純物を注入し、熱拡散することによって第2不純物領域122を形成する。次に、高濃度不純物領域78のパターンに対応する開口を有するマスクを介して、半導体チップ12の第1主面12Aにp型不純物を注入し、熱拡散することによって高濃度不純物領域78を形成する。
【0091】
次に、図16及び図17を参照して、サンプル9について説明する。
サンプル9は、サンプル5の第1導電型領域130の幅Wよりも広い、第1導電型領域130の幅Wを有している。幅Wは、例えば、20μm以上27μm以下(好ましくは、27μm程度)であってもよい。より具体的には、サンプル9では、第1トレンチ421が境界トレンチ76を形成している。従って、第2不純物領域122は、第1トレンチ421を境界にして、内側の第1部分70と外側の第2部分71とに分断されている。第2境界部77の位置は、サンプル5と同じ位置であってもよい。これにより、第2トレンチ422の全て(境界トレンチ76を除く)が、第1導電型領域130に形成された第1トレンチ群73に含まれていてもよい。サンプル9のその他の構成については、サンプル5と同様である。なお、第1導電型領域130の幅Wを幅Wに変更するには、第2不純物領域122を形成する際に使用するマスクのパターン(幅)を変更すればよい。
【0092】
次に、図18及び図19を参照して、サンプル10について説明する。
サンプル10は、サンプル5の第1導電型領域130の幅Wよりも狭い、第1導電型領域130の幅Wを有している。幅Wは、例えば、3μm以上7μm以下(好ましくは、5μm程度)であってもよい。より具体的には、サンプル10では、第2外周トレンチ42の最も外側のトレンチが境界トレンチ76を形成している。従って、第2外周トレンチ42の全てが第2不純物領域122を貫通して形成されている。
【0093】
また、サンプル10では、第2境界部77は、第3導電膜53の直下の領域であって、かつ半導体チップ12における外周コンタクトプラグ135の接続位置よりも外側に形成されている。これにより、第1導電型領域130は、外周コンタクトプラグ135を内側に含み、かつ半導体チップ12の厚さ方向において第3導電膜53に対向して形成されている。サンプル10のその他の構成については、サンプル5と同様である。なお、第1導電型領域130の幅Wを幅Wに変更するには、第2不純物領域122を形成する際に使用するマスクのパターン(幅)を変更すればよい。
【0094】
次に、図20及び図21を参照して、サンプル11について説明する。
サンプル11では、サンプル5の第2不純物領域122の第2部分71が省略されている。従って、第1導電型領域130は、境界トレンチ76から半導体チップ12の第1端面31A,31B及び第2端面32A,32Bに至るように形成されている。これにより、第1導電型領域130は、外周コンタクトプラグ135を内側に含み、かつ半導体チップ12の厚さ方向において第3導電膜53に対向して形成されている。サンプル11のその他の構成については、サンプル5と同様である。
【0095】
そして、サンプル5~11及び第1導電型領域130が形成されていないサンプル12(図22)参照に対して、高温逆バイアス試験(HTRB:High Temperature Reverse Bias Test)を実施した。HTRB試験では、150℃の環境下において、第4導電膜54(裏面ドレイン電極)に対して-100Vの電圧が第1導電膜51(表面ソース電極)を、1000時間継続して印加した。一方、室温における電流-電圧特性を測定した(初期特性)。そして、初期特性と、HTRB試験の開始250時間以上後の特性とを比較することによって、第1導電型領域130の形成によってリーク電流が低減できているかどうかを確認した。
【0096】
その結果、サンプル5~11では、ストレスが250時間以上印加された後であっても、リーク電流が十分に抑制されていた。特に、第1導電型領域130の幅W,Wが8μm以上15μm以下であるサンプル5及び7では、リーク電流の値が、ストレス印加前の初期リーク電流に対してほとんど変動しなかった。
この点、HTRB試験と同条件の逆方向電圧を印加したときの電流経路をサンプル5~12のそれぞれについてシミュレーションで検証した。その結果、第1導電型領域130が形成されていないサンプル12では、半導体チップ12の厚さ方向に流れる電流の一部が、第1主面12Aに沿って第3導電膜53(外周電極)へリークしていることが明らかとなった。これに対し、サンプル5~11では、そのような外周部分へのリークを確認できなかった。つまり、外周領域63において第2不純物領域122を選択的に除去することによって、半導体チップ12の外周からのリーク成分を抑制できると考えられる。
【0097】
以上より、本開示の実施形態に係る半導体装置1が、逆方向リーク電流を低減できる構造を提供することが明らかとなった。
<第2不純物領域122の第1導電型領域130の形成によるデバイス耐圧の向上効果>
次に、第1導電型領域130の形成によってデバイス耐圧が向上できているかどうかをシミュレーションで確認した。図23は、その結果を示す図である。図23の横軸は、ソース-ドレイン間に印加される逆方向電圧(ドレイン電圧VD)の大きさを示しており、横軸の右側ほど逆方向電圧の絶対値が大きいことを示している。図23の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときのリーク電流(ドレイン電流ID)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどリーク電流が大きいことを示している。
【0098】
図23を参照して、サンプル5~11ではいずれも、サンプル12のブレークダウン電圧Vに比べて高い電圧V,Vでブレークダウンしていた。特に、図17の第1導電型領域130の幅Wが比較的広い(例えば、20μm以上27μm以下)サンプル9を除くサンプル5~8及びサンプル10~11では、より高い電圧Vでブレークダウンしていた。つまり、第1導電型領域130の形成によってデバイス耐圧を向上できるが、第1導電型領域130の幅を広げすぎない方が、デバイス耐圧を一層向上できることが明らかとなった。
【0099】
この点、サンプル5~11の外周領域63における空乏層83の伸びをシミュレーションで検証した。その結果、サンプル9では、第1トレンチ421から第3導電膜53の直下の領域まで、第2不純物領域122が除去された第1導電型領域130が続くため、例えば図27の矢印84で示す部分付近において、空乏層83を外側に伸ばす効果が弱くなっていた。一方、図24図26及び図28図29に示すように、サンプル5~8及びサンプル10~11では、矢印84で示す部分付近においても、空乏層83が外側に十分伸びていた。この空乏層83の伸びの差が、デバイス耐圧の向上効果に影響したと考えられる。
【0100】
以上より、本開示の実施形態に係る半導体装置1が、デバイス耐圧を向上できる構造を提供することが明らかとなった。
<外周トレンチ40,42のピッチ変更によるデバイス耐圧の向上効果>
以下では、サンプル13~16に基づき、第1外周トレンチ40の本数、及び外周ピッチP,P,Pの変更によってデバイス耐圧が向上することを説明する。
【0101】
図30は、サンプル13に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図31は、サンプル13に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図32は、サンプル14に係る半導体素子3の模式的な断面図である。図33は、サンプル15に係る半導体素子3の模式的な断面図である。
サンプル13~16の構造は、基本的にサンプル5と同じであるが、サンプル5と異なる構造は次の通りである。
【0102】
まず、サンプル13は、第1外周トレンチ40が1本である点において、第1外周トレンチ40を2本有するサンプル5と異なっている。サンプル13では、サンプル5の外側トレンチ405が省略されている。サンプル13は、サンプル5と同じ構造である。
サンプル14は、第1外周トレンチ40が3本である点において、第1外周トレンチ40を2本有するサンプル5と異なっている。サンプル14では、サンプル5の内側トレンチ404のさらに内側(アクティブ領域64側)に第1外周トレンチ40が追加され、追加された第1外周トレンチ40が内側トレンチ404とされている。一方、サンプル5の既存の第1外周トレンチ40は、外側トレンチ405とされている。
【0103】
サンプル15は、第1外周トレンチ40が4本である点において、第1外周トレンチ40を2本有するサンプル5と異なっている。サンプル14では、サンプル5の内側トレンチ404のさらに内側(アクティブ領域64側)に第1外周トレンチ40が2本追加され、追加された第1外周トレンチ40のうち内側のトレンチが内側トレンチ404とされている。一方、追加された第1外周トレンチ40のうち外側のトレンチ、及びサンプル5の既存の第1外周トレンチ40は、外側トレンチ405とされている。
【0104】
次に、サンプル13~16それぞれの外周ピッチP,P,Pを変数とし、外周ピッチP,P,Pの変化によってブレークダウン電圧がどのように変動するかをシミュレーションで検証した。図34図36は、その結果を示す図である。
図34は、第1外周ピッチPとデバイス耐圧との関係を示す図であって、サンプル13~15の検証結果を示す図である。図34の横軸は、第1外周ピッチPの大きさ示している。図34の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときのブレークダウン電圧(BVDSS)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどブレークダウン電圧(BVDSS)が大きいことを示している。
【0105】
第1外周ピッチPに関連する検証では、第1外周ピッチPの値として、1.28μm、2.28μm、3.28μm、4.28μm、5.28μm及び6.28μmを採用し、各第1外周ピッチPの場合のブレークダウン電圧を確認した。なお、ゲートトレンチ15のピッチPを1μmと設定しているので、第1外周ピッチPの値は、それぞれ、ゲートトレンチ15のピッチP(セルピッチ)の1.28倍、2.28倍、3.28倍、4.28倍、5.28倍及び6.28倍と定義してもよい。
【0106】
図34を参照して、サンプル13~15のブレークダウン電圧を比較すると、サンプル13~15のいずれにおいても、第1外周ピッチPが2.28μm(セルピッチの2.28倍)、3.28μm(同3.28倍)及び4.28μm(同4.28倍)の場合において、比較的高いブレークダウン電圧を達成できていた。以上より、第1外周ピッチPが2.0μm以上4.0μm以下である場合、若しくは第1外周ピッチPがゲートトレンチ15のピッチPの2倍以上4倍以下である場合に、デバイス耐圧を特に向上できることが明らかとなった。
【0107】
この点、半導体チップ12内のインパクトイオン化率に基づいてブレークダウン箇所をシミュレーションで確認した。その結果、第1外周ピッチPが1.28μmの場合のように、ゲート電位に固定された第1埋め込み電極43が埋め込まれた第1外周トレンチ40と、電気的にフローティングされた第2埋め込み電極45が埋め込まれた第2外周トレンチ42との距離が近いと、ブレークダウンが第1外周トレンチ40の付近で選択的に発生していた。また、第1外周ピッチPが6.28μmの場合のように、ゲート電位に固定された第1埋め込み電極43が埋め込まれた第1外周トレンチ40と、電気的にフローティングされた第2埋め込み電極45が埋め込まれた第2外周トレンチ42との距離が遠いと、ブレークダウンが第2外周トレンチ42の付近で選択的に発生していた。
【0108】
これに対し、第1外周ピッチPが3.28μmの場合では、ゲート電位に固定された第1埋め込み電極43が埋め込まれた第1外周トレンチ40と、電気的にフローティングされた第2埋め込み電極45が埋め込まれた第2外周トレンチ42とのそれぞれでブレークダウンが発生していた。つまり、第1外周ピッチPが狭すぎず、かつ広すぎない方が、電界を第1外周トレンチ40及び第2外周トレンチ42に分散させることができ、デバイス耐圧向上の観点から好ましいと言える。
【0109】
図35は、第2外周ピッチPとデバイス耐圧との関係を示す図であって、サンプル13~16の検証結果を示す図である。図35の横軸は、第2外周ピッチPの大きさ示している。図35の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときのブレークダウン電圧(BVDSS)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどブレークダウン電圧(BVDSS)が大きいことを示している。
【0110】
第2外周ピッチPに関連する検証では、第1外周ピッチPの値を3.28μmに固定し、第2外周ピッチPの値として、1μm、2μm、3μm、4μm及び5μmを採用し、各第2外周ピッチPの場合のブレークダウン電圧を確認した。なお、ゲートトレンチ15のピッチPを1μmと設定しているので、第2外周ピッチPの値は、それぞれ、ゲートトレンチ15のピッチP(セルピッチ)の1倍、2倍、3倍、4倍及び5倍と定義してもよい。
【0111】
図35を参照して、サンプル13~16のブレークダウン電圧を比較すると、サンプル13~16のいずれにおいても、第2外周ピッチPが2μm(セルピッチの2倍)、3μm(同3倍)、4μm(同4倍)及び5μm(同5倍)の場合において、比較的高いブレークダウン電圧を達成できていた。また、第2外周ピッチPが2μm~5μmの範囲では、第2外周ピッチPが広くなってもブレークダウン電圧に大して影響がなかった。以上より、第2外周ピッチPが2.0μm以上6.0μm以下である場合、若しくは第2外周ピッチPがゲートトレンチ15のピッチPの2倍以上6倍以下である場合に、デバイス耐圧を特に向上できることが明らかとなった。なお、半導体素子3の小型化を推奨する観点を踏まえると、第2外周ピッチPは、第1外周ピッチPと同程度若しくは第1外周ピッチPよりも小さく留めることが好ましいと言える。
【0112】
図36は、第3外周ピッチPとデバイス耐圧との関係を示す図であって、サンプル13~16の検証結果を示す図である。図36の横軸は、第3外周ピッチPの大きさ示している。図36の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときのブレークダウン電圧(BVDSS)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどブレークダウン電圧(BVDSS)が大きいことを示している。
【0113】
第3外周ピッチPに関連する検証では、第1外周ピッチPの値を3.28μm及び第2外周ピッチPの値を3μmにそれぞれ固定し、第3外周ピッチPの値として、1μm、2μm、3μm、4μm及び5μmを採用し、各第3外周ピッチPの場合のブレークダウン電圧を確認した。なお、ゲートトレンチ15のピッチPを1μmと設定しているので、第3外周ピッチPの値は、それぞれ、ゲートトレンチ15のピッチP(セルピッチ)の1倍、2倍、3倍、4倍及び5倍と定義してもよい。
【0114】
図36を参照して、サンプル13~16のブレークダウン電圧を比較すると、サンプル13~16のいずれにおいても、第3外周ピッチPの値が2μm~5μmの範囲で、ブレークダウン電圧にほとんど変動がなかった。以上より、半導体素子3の小型化を推奨する観点を踏まえると、第3外周ピッチPは、ゲートトレンチ15のピッチPと同程度(この実施形態では、1μm程度)に留めることが好ましいと言える。これにより、半導体素子3の小型化及びデバイス耐圧の向上を両立できることが明らかとなった。
【0115】
本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
例えば、サンプル1~11に基づく検証結果では、外周ピッチP,P,Pの大きさはリーク電流の低減効果に特に寄与していない。従って、図37に示すように、第1外周ピッチP、第2外周ピッチP及び第3外周ピッチPが互いに等しくても、第1導電型領域130が形成されていれば、リーク電流を十分に低減することができる。
【0116】
また、例えば、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。例えば、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
また、前述の実施形態では、半導体装置1の素子構造の一例としてMISFETを取り上げたが、半導体装置1の素子構造は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であってもよい。
【0117】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
この明細書及び図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
[付記1-1]
第1主面(12A)及び前記第1主面(12A)の反対側の第2主面(12B)と、前記第1主面(12A)を取り囲む端面(31A,31B,32A,32B)とを有し、前記第1主面(12A)側にアクティブ領域(64)及び前記アクティブ領域(64)の周囲の外周領域(63)が設定された半導体チップ(12)と、
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に形成された第1電極(51)と、
前記半導体チップ(12)の前記第2主面(12B)上に形成された第2電極(54)と、
前記半導体チップ(12)に形成され、前記第2電極(54)に電気的に接続された第1導電型の第1領域(123,129)と、
前記アクティブ領域(64)に形成され、前記第1電極(51)と前記第2電極(54)との間に電流を流す縦型の半導体素子構造(14)と、
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に前記第1電極(51)から物理的に分離されて形成され、前記外周領域(63)において前記半導体チップ(12)に接続された外周電極(53)と、
前記第1領域(123,129)の表層部において前記アクティブ領域(64)から前記外周領域(63)にわたって連続的に形成され、少なくとも前記半導体素子構造(14)の一部を構成する第2導電型のウェル領域(122)とを含み、
前記外周領域(63)には、前記ウェル領域(122)が選択的に形成されていない第1導電型領域(130)が存在している、半導体装置(1)。
[付記1-2]
前記外周電極(53)よりも内側において前記外周領域(63)に形成され、前記アクティブ領域(64)を取り囲む複数の環状のトレンチ(40,42)を含むトレンチ群(136)を含み、
前記第1導電型領域(130)は、前記複数の環状のトレンチ(40,42)のうちの何本かを内側に含み、かつ前記トレンチ群(136)に重なって形成されている、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
[付記1-3]
前記外周電極(53)と前記半導体チップ(12)とを接続する外周コンタクト部(135)を含み、
前記第1導電型領域(130)は、前記外周コンタクト部(135)を内側に含み、かつ前記半導体チップ(12)の厚さ方向において前記外周電極(53)に対向して形成されている、付記1-1又は付記1-2に記載の半導体装置(1)。
[付記1-4]
前記第1導電型領域(130)は、前記半導体チップ(12)の前記端面(31A,31B,32A,32B)に至るように形成されており、
前記ウェル領域(122)は、前記第1導電型領域(130)に取り囲まれた内側領域に形成されている、付記1-3に記載の半導体装置(1)。
[付記1-5]
前記第1導電型領域(130)は、前記アクティブ領域(64)を取り囲む環状に形成されており、
前記ウェル領域(122)は、前記第1導電型領域(130)に取り囲まれた内側領域に形成された第1部分(70)と、前記第1導電型領域(130)を取り囲む環状の外側領域に形成された第2部分(71)とに分断されている、付記1-1~付記1-3のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-6]
前記第1部分(70)と前記第2部分(71)とに挟まれた前記第1導電型領域(130)の幅(W,W)は、8μm以上15μm以下である、付記1-5に記載の半導体装置(1)。
[付記1-7]
前記第1導電型領域(130)は、前記第1領域(123,129)の一部(80)が前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)から露出することによって形成されている、付記1-1~付記1-6のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-8]
前記第1導電型領域(130)は、前記第1領域(123,129)の表層部に選択的に形成され、前記第1領域(123,129)の第1導電型の不純物濃度よりも高い第1導電型の不純物濃度を有する第2領域(78)を含む、付記1-1~付記1-6のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-9]
前記半導体素子構造(14)は、セルトレンチ(15)と、前記セルトレンチ(15)に埋め込まれた制御電極(13)と、前記セルトレンチ(15)の側方に形成され、前記ウェル領域(122)によって構成されたチャネル領域(125)とを含み、
前記外周電極(53)よりも内側において前記外周領域(63)に形成された環状の第1外周トレンチ(40)と、
前記第1外周トレンチ(40)に埋め込まれ、前記制御電極(13)に電気的に接続された第1埋め込み電極(43)と、
前記第1外周トレンチ(40)よりも外側かつ前記外周電極(53)よりも内側において前記外周領域(63)に形成され、前記第1外周トレンチ(40)から物理的に分離された複数の環状の第2外周トレンチ(42)を含む第2外周トレンチ群(42)と、
前記第2外周トレンチ(42)に埋め込まれ、前記第1埋め込み電極(43)から電気的に分離された第2埋め込み電極(45)とを含み、
前記ウェル領域(122)は、前記チャネル領域(125)から、前記第1外周トレンチ(40)及び前記第2外周トレンチ群(42)の形成部分、並びに前記第1導電型領域(130)を除いて、前記第1主面(12A)に沿う横方向に連続している、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
[付記1-10]
前記第1導電型領域(130)は、前記複数の第2外周トレンチ群(42)のうちの何本かを選択的に内側に含み、かつ前記第2外周トレンチ群(42)に重なって形成されており、
前記第1外周トレンチ(40)は、前記半導体チップ(12)の厚さ方向において前記ウェル領域(122)を貫通し、前記第1領域(123)に達するように形成されている、付記1-9に記載の半導体装置(1)。
[付記1-11]
前記外周電極(53)と前記半導体チップ(12)とを接続する外周コンタクト部(135)を含み、
前記第1導電型領域(130)は、前記外周コンタクト部(135)を内側に含み、かつ前記半導体チップ(12)の厚さ方向において前記外周電極(53)に対向して形成されている、付記1-9又は付記1-10に記載の半導体装置(1)。
[付記1-12]
前記第2外周トレンチ群(42)は、前記第1外周トレンチ(40)から前記端面(31A,31B,32A,32B)側に第1外周ピッチ(P)を隔てて形成された第1トレンチ(421)と、前記第1トレンチ(421)から前記端面(31A,31B,32A,32B)側に第2外周ピッチ(P)を隔てて形成され、前記第1外周ピッチ(P)及び前記第2外周ピッチ(P)よりも狭い第3外周ピッチ(P)を隔てて配列された複数の第2トレンチ(422)とを含み、
前記複数の第2トレンチ(422)は、前記ウェル領域(122)と前記第1導電型領域(130)との第1境界部(75)を形成する境界トレンチ(76)を含む、付記1-9~付記1-11のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-13]
前記ウェル領域(122)は、前記境界トレンチ(76)に取り囲まれた内側領域に形成された第1部分(70)と、前記外周電極(53)の直下の領域において前記第1導電型領域(130)との第2境界部(77)を有し、前記第2境界部(77)よりも前記端面(31A,31B,32A,32B)側の環状の外側領域に形成された第2部分(71)とを含む、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
[付記1-14]
前記第1部分(70)と前記第2部分(71)とに挟まれた前記第1導電型領域(130)の幅(W,W)は、8μm以上15μm以下である、付記1-13に記載の半導体装置(1)。
[付記1-15]
前記第1導電型領域(130)は、前記境界トレンチ(76)から前記半導体チップ(12)の前記端面(31A,31B,32A,32B)に至るように形成されており、
前記ウェル領域(122)は、前記境界トレンチ(76)に取り囲まれた内側領域に形成されている、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
[付記1-16]
前記ウェル領域(122)は、前記第1外周トレンチ(40)に取り囲まれた内側領域に形成され、前記第1電極(51)に電気的に接続された第1電位ウェル領域(132)と、前記第1外周トレンチ(40)の外側領域に形成され、電気的にフローティングされたフローティング領域(133)とを含む、付記1-9~付記1-15のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-17]
100V以上の耐圧を有する、付記1-1~付記1-16のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-18]
前記第1領域(123,129)は、3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下の比抵抗を有している、付記1-1~付記1-17のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-19]
前記半導体チップ(12)は、第1不純物濃度を有する第1導電型の半導体基板(127)と、前記半導体基板(127)上に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記第1領域(123)を構成する第1導電型のエピタキシャル層(129)とを含み、
前記エピタキシャル層(129)は、7μm以上15μm以下の厚さを有している、付記1-1~付記1-18のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-20]
前記第1不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下である、付記1-19に記載の半導体装置(1)。
[付記1-21]
前記チャネル領域(125)は、前記セルトレンチ(15)の側面を形成する側部(124)と、前記側部(124)の下端から前記セルトレンチ(15)の側面から離れるように前記第2主面(12B)側に張り出す凸状の底部(126)とを含み、
前記チャネル領域(125)の底部は、前記セルトレンチ(15)の下端(152)よりも前記第1主面(12A)側に位置している、付記1-9~付記1-16のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-22]
前記第1外周トレンチ(40)は、前記セルトレンチ(15)よりも大きな幅(W)で形成されている、付記1-9~付記1-16のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-23]
前記第1外周トレンチ(40)は、前記セルトレンチ(15)よりも大きな深さ(D)を有している、付記1-22に記載の半導体装置(1)。
[付記1-24])
前記半導体素子構造(14)は、前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)から前記セルトレンチ(15)の深さ方向に順に形成された、第1導電型のソース領域(121)、第2導電型の前記チャネル領域(125)及び第1導電型のドリフト領域(123)を含み、
前記制御電極(13)は、前記チャネル領域(125)にチャネルを形成するゲート電極(13)を含む、付記1-9~付記1-16のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-25]
前記半導体チップ(12)は、シリコンチップを含む、付記1-1~付記1-24のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-26]
前記セルトレンチ(15)は、前記アクティブ領域(64)において所定のセルピッチ(P)で配列されており、
前記第1外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)の2倍以上4倍以下である、付記1-12~付記1-15のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-27]
前記第2外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)の2倍以上6倍以下である、付記1-26に記載の半導体装置(1)。
[付記1-28]
前記第2外周ピッチ(P)は、前記第1外周ピッチ(P)よりも小さい、付記1-26又は付記1-27に記載の半導体装置(1)。
[付記1-29]
前記第3外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)と等しい、付記1-26~付記1-28のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-30]
前記セルピッチ(P)は、0.8μm以上1.2μmであり、
前記第1外周ピッチ(P)は、2.0μm以上4.0μm以下である、付記1-26~付記1-29のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-31]
前記セルピッチ(P)は、0.8μm以上1.2μmであり、
前記第1外周ピッチ(P)は、2.0μm以上4.0μm以下であり、
前記第2外周ピッチ(P)は、2.0μm以上6.0μm以下である、付記1-26~付記1-29のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-1]
第1主面(12A)及び前記第1主面(12A)の反対側の第2主面(12B)を有し、前記第1主面(12A)側にアクティブ領域(64)及び前記アクティブ領域(64)の周囲の外周領域(63)が設定された半導体チップ(12)と、
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に形成された第1電極(51)と、
前記半導体チップ(12)の前記第2主面(12B)上に形成された第2電極(54)と、
前記半導体チップ(12)に形成され、第2電極(54)に電気的に接続された第1導電型の第1領域(123,129)と、
前記アクティブ領域(64)に形成され、所定のセルピッチ(P)で配列されたセルトレンチ(15)、前記セルトレンチ(15)に埋め込まれた制御電極(13)、及び前記セルトレンチ(15)の側方に形成された第2導電型のチャネル領域(125)を含み、前記第1電極(51)と前記第2電極(54)との間に電流を流す半導体素子構造(14)と、
前記外周領域(63)に形成された環状の第1外周トレンチ(40)と、
前記第1外周トレンチ(40)に埋め込まれ、前記制御電極(13)に電気的に接続された第1埋め込み電極(43)と、
前記第1外周トレンチ(40)よりも外側において前記外周領域(63)に形成され、前記第1外周トレンチ(40)から物理的に分離された複数の環状の第2外周トレンチ(42)を含む第2外周トレンチ群(42)と、
前記第2外周トレンチ(42)に埋め込まれ、前記第1埋め込み電極(43)から電気的に分離された第2埋め込み電極(45)とを含み、
前記第1外周トレンチ(40)と前記第2外周トレンチ群(42)との間の第1外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)の2倍以上4倍以下である、半導体装置(1)。
[付記2-2]
前記第2外周トレンチ群(42)は、前記第1外周トレンチ(40)から外側に前記第1外周ピッチ(P)を隔てて形成された第1トレンチ(421)と、前記第1トレンチ(421)から外側に第2外周ピッチ(P)を隔てて形成された第2トレンチ(422)を含み、
前記第2外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)の2倍以上6倍以下である、付記2-1に記載の半導体装置(1)。
[付記2-3]
前記第2外周ピッチ(P)は、前記第1外周ピッチ(P)よりも小さい、付記2-2に記載の半導体装置(1)。
[付記2-4]
前記第2外周トレンチ群(42)は、前記第1外周ピッチ(P)及び前記第2外周ピッチ(P)よりも狭い第3外周ピッチ(P)を隔てて配列された複数の前記第2トレンチ(422)を含み、
前記第3外周ピッチ(P)は、前記セルピッチ(P)と等しい、付記2-2または付記2-3に記載の半導体装置(1)。
[付記2-5]
前記セルピッチ(P)は、0.8μm以上1.2μmであり、
前記第1外周ピッチ(P)は、2.0μm以上4.0μm以下である、付記2-1~付記2-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-6]
前記セルピッチ(P)は、0.8μm以上1.2μmであり、
前記第1外周ピッチ(P)は、2.0μm以上4.0μm以下であり、
前記第2外周ピッチ(P)は、2.0μm以上6.0μm以下である、付記2-2~付記2-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-7]
第1主面(12A)及び前記第1主面(12A)の反対側の第2主面(12B)を有し、前記第1主面(12A)側にアクティブ領域(64)及び前記アクティブ領域(64)の周囲の外周領域(63)が設定された半導体チップ(12)と、
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に形成された第1電極(51)と、
前記半導体チップ(12)の前記第2主面(12B)上に形成された第2電極(54)と、
前記半導体チップ(12)に形成され、第2電極(54)に電気的に接続された第1導電型の第1領域(123,129)と、
前記アクティブ領域(64)に形成されたセルトレンチ(15)、前記セルトレンチ(15)に埋め込まれた制御電極(13)、及び前記セルトレンチ(15)の側方に形成された第2導電型のチャネル領域(125)を含み、前記第1電極(51)と前記第2電極(54)との間に電流を流す半導体素子構造(14)と、
前記外周領域(63)に形成された環状の第1外周トレンチ(40)と、
前記第1外周トレンチ(40)に埋め込まれ、前記制御電極(13)に電気的に接続された第1埋め込み電極(43)と、
前記第1外周トレンチ(40)よりも外側において前記外周領域(63)に形成され、前記第1外周トレンチ(40)から物理的に分離された複数の環状の第2外周トレンチ(42)を含む第2外周トレンチ群(42)と、
前記第2外周トレンチ(42)に埋め込まれ、前記第1埋め込み電極(43)から電気的に分離された第2埋め込み電極(45)とを含み、
前記第1外周トレンチ(40)と前記第2外周トレンチ群(42)との間の第1外周ピッチ(P)は、2.0μm以上4.0μm以下である、半導体装置(1)。
[付記2-8]
前記第2外周トレンチ群(42)は、前記第1外周トレンチ(40)から外側に前記第1外周ピッチ(P)を隔てて形成された第1トレンチ(421)と、前記第1トレンチ(421)から外側に第2外周ピッチ(P)を隔てて形成された第2トレンチ(422)を含み、
前記第2外周ピッチ(P)は、2.0μm以上6.0μm以下である、付記2-7に記載の半導体装置(1)。
[付記2-9]
前記第1外周トレンチ(40)は、前記アクティブ領域(64)を取り囲む内側トレンチ(404)と、前記内側トレンチ(404)を取り囲む外側トレンチ(405)とを含む、付記2-1~付記2-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-10]
前記半導体チップ(12)に埋め込まれ、前記内側トレンチ(404)内の前記第1埋め込み電極(43)と前記制御電極(13)とを接続する接続電極(44)と、
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に形成され、前記内側トレンチ(404)内の前記第1埋め込み電極(43)及び前記外側トレンチ(405)内の前記第1埋め込み電極(43)に接続された第3電極(52)とを含み、
前記外側トレンチ(405)内の前記第1埋め込み電極(43)は、前記第3電極(52)、前記内側トレンチ(404)内の前記第1埋め込み電極(43)及び前記接続電極(44)を介して、前記制御電極(13)に電気的に接続されている、付記2-9に記載の半導体装置(1)。
[付記2-11]
1本以上3本以下の前記外側トレンチ(405)が形成されている、付記2-9または付記2-10に記載の半導体装置(1)。
[付記2-12]
前記第1領域(123,129)の表層部において前記アクティブ領域(64)から前記外周領域(63)にわたって形成され、前記第1外周トレンチ(40)及び前記第2外周トレンチ(42)の形成部分を除いて、前記第1主面(12A)に沿う横方向に連続している第2導電型のウェル領域(122)を含み、
前記チャネル領域(125)は、前記ウェル領域(122)の一部で構成されており、
前記ウェル領域(122)は、前記第1外周トレンチ(40)及び前記第2外周トレンチ群(42)を内側に含み、かつ前記第1外周トレンチ(40)及び前記第2外周トレンチ群(42)に重なって形成されている、付記2-1~付記2-11のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-13]
前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)上に形成され、前記外周領域(63)の前記第2外周トレンチ群(42)よりも外側において前記半導体チップ(12)に接続された外周電極(53)を含む、付記2-1~付記2-12のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-14]
100V以上の耐圧を有する、付記2-1~付記2-13のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-15]
前記第1領域(123,129)は、3.5Ω・cm以上4.5Ω・cm以下の比抵抗を有している、付記2-1~付記2-14のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-16]
前記半導体チップ(12)は、第1不純物濃度を有する第1導電型の半導体基板(127)と、前記半導体基板(127)上に形成され、前記第1不純物濃度よりも低い第2不純物濃度を有し、前記第1領域(123)を構成する第1導電型のエピタキシャル層(129)とを含み、
前記エピタキシャル層(129)は、7μm以上15μm以下の厚さを有している、付記2-1~付記2-15のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-17]
前記第1不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下である、付記2-付記2-16に記載の半導体装置(1)。
[付記2-18]
前記チャネル領域(125)は、前記セルトレンチ(15)の側面を形成する側部(124)と、前記側部(124)の下端から前記セルトレンチ(15)の側面から離れるように前記第2主面(12B)側に張り出す凸状の底部(126)とを含み、
前記チャネル領域(125)の底部(126)は、前記セルトレンチ(15)の下端(152)よりも前記第1主面(12A)側に位置している、付記2-1~付記2-17のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-19]
前記第1外周トレンチ(40)は、前記セルトレンチ(15)よりも大きな幅(W)で形成されている、付記2-1~付記2-18のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-20]
前記第1外周トレンチ(40)は、前記セルトレンチ(15)よりも大きな深さ(D)を有している、付記2-19に記載の半導体装置(1)。
[付記2-21]
前記半導体素子構造(14)は、前記半導体チップ(12)の前記第1主面(12A)から前記セルトレンチ(15)の深さ方向に順に形成された、第1導電型のソース領域(121)、第2導電型の前記チャネル領域(125)及び第1導電型のドリフト領域(123)を含み、
前記制御電極(13)は、前記チャネル領域(125)にチャネルを形成するゲート電極(13)を含む、付記2-1~付記2-20のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記2-22]
前記半導体チップ(12)は、シリコンチップを含む、付記2-1~付記2-21のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【符号の説明】
【0118】
1 :半導体装置
2 :リードフレーム
3 :半導体素子
4 :パッケージ
5 :導電膜
6 :絶縁膜
7 :第1パッド
8 :第1ワイヤ
9 :第2パッド
10 :第2ワイヤ
11 :第1コンタクトプラグ
12 :半導体チップ
12A :第1主面
12B :第2主面
13 :ゲート電極
14 :トランジスタセル
14A :第3接続トレンチ
14B :第3接続トレンチ
14C :第3接続トレンチ
15 :ゲートトレンチ
16 :ゲート絶縁膜
17 :層間絶縁膜
18 :ソースコンタクト
19 :隙間領域
20 :隙間領域
21 :ダイパッド部
22 :第1リード部
23 :第2リード部
24 :第3リード部
31A :第1端面
31B :第1端面
32A :第2端面
32B :第2端面
40 :第1外周トレンチ
41 :接続トレンチ
41A :第1接続トレンチ
41B :第2接続トレンチ
41C :第3接続トレンチ
42 :第2外周トレンチ
43 :第1埋め込み電極
44 :接続電極
45 :第2埋め込み電極
46 :第2コンタクトプラグ
47 :コンタクト孔
48 :第1側面
49 :第2側面
50 :段差
51 :第1導電膜
52 :第2導電膜
53 :第3導電膜
54 :第4導電膜
61 :隙間領域
63 :外周領域
64 :アクティブ領域
70 :第1部分
71 :第2部分
73 :第1トレンチ群
74 :第2トレンチ群
75 :第1境界部
76 :境界トレンチ
77 :第2境界部
78 :高濃度不純物領域
79 :底部
80 :不純物領域
81 :長ワイヤ
82 :短ワイヤ
83 :空乏層
84 :矢印
85 :コーナ部
86 :コーナ部
111 :上面
121 :第1不純物領域
122 :第2不純物領域
123 :第3不純物領域
124 :側部
125 :チャネル領域
126 :底部
127 :半導体基板
128 :隙間
129 :エピタキシャル層
130 :第1導電型領域
131 :上面
132 :第1電位ウェル領域
133 :フローティング領域
134 :第3コンタクトプラグ
135 :外周コンタクトプラグ
136 :トレンチ群
151 :外側ゲートトレンチ
152 :下端
161 :第1絶縁膜
162 :第2絶縁膜
163 :第3絶縁膜
191 :第1バリア膜
192 :第2バリア膜
211A :第1辺
211B :第1辺
212A :第2辺
212B :第2辺
221 :第1パッド部
222 :第1リード
231 :第2パッド部
232 :第2リード
401 :第1直線部
402 :第2直線部
403 :コーナ部
404 :内側トレンチ
405 :外側トレンチ
411 :第1接続箇所
412 :第2接続箇所
413 :第3接続箇所
421 :第1トレンチ
422 :第2トレンチ
423 :第1直線部
424 :第2直線部
425 :コーナ部
431 :上面
451 :上面
461 :上面
511 :凹部
520 :凹部
521 :パッド電極部
522 :フィンガー電極部
811 :ボンディング部
821 :ボンディング部
:深さ
:深さ
:深さ
C1 :深さ
C2 :深さ
:ピッチ
:第1外周ピッチ
:第2外周ピッチ
:第3外周ピッチ
R :曲率半径
:幅
:幅
:幅
:幅
:幅
:幅
:幅
:幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37