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  • 特許-補強部材群、及びコンクリート構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】補強部材群、及びコンクリート構造物
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/04 20060101AFI20250227BHJP
   E04C 3/34 20060101ALI20250227BHJP
   E04B 5/32 20060101ALI20250227BHJP
   E04C 5/06 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
E04C5/04
E04C3/34
E04B5/32 A
E04C5/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021106876
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005143
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 武史
(72)【発明者】
【氏名】井戸硲 勇樹
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-200613(JP,A)
【文献】特開平04-366258(JP,A)
【文献】特開平11-124957(JP,A)
【文献】特開平04-076147(JP,A)
【文献】特開昭63-197751(JP,A)
【文献】特開平02-072905(JP,A)
【文献】特開2000-043043(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03431666(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/00 - 5/20
E04C 3/00 - 3/46
E04B 5/32
E04C 2/06
E04B 1/00 - 1/36
E04G 21/12
E02D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を空けて並列に並べられた棒状、板状又は束状に形成された複数の主補強部材と、
前記主補強部材に対して交差する交差方向へ延びるように配置され、前記主補強部材と交差する交差部位で前記主補強部材に定着され、間隔を空けて樹脂が含侵されると共に可撓性を有する繊維束と、を備え、
前記主補強部材は、鉄筋であり、
少なくとも前記鉄筋の両端部の前記交差部位に前記樹脂が含侵されている、
補強部材群。
【請求項2】
請求項1に記載の補強部材群と、
前記補強部材群が内部に配置されるように形成されたコンクリート部と、
を備えたコンクリート構造物。
【請求項3】
前記補強部材群は、前記主補強部材の軸方向が鉛直方向とされた筒状に配置されており、
前記コンクリート部は、内部に筒状の前記補強部材群が配置され、鉛直方向へ延びている柱状とされている、
請求項2に記載のコンクリート構造物。
【請求項4】
前記補強部材群は、面が鉛直方向へ向くように平らな状態で配置されており、
前記コンクリート部は、内部に平らな状態の前記補強部材群が配置され、前記コンクリート部には、上方を向いた床面が形成されている、
請求項2に記載のコンクリート構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材群、及びコンクリート構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、連続長繊維で補強された繊維強化樹脂複合体の一部に樹脂を含浸させない部分を設け、かつ樹脂を含浸させない部分を折曲することにより少なくとも2本以上の繊維強化樹脂複合体となし、次いで折曲部に樹脂を含浸・硬化して一体的に固定して複数の繊維強化樹脂複合体から構成してなる繊維強化樹脂複合体製緊張材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-290858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、コンクリート構造物の一例としての鉄筋コンクリート柱は、コンクリート部とコンクリート部の内部に配置された鉄筋かごとを含んで構成されている。この鉄筋かごは、鉛直方向へ延びると共に平面視で間隔を空けて筒状に配置された複数の主筋と、複数の主筋を拘束する円形のフープ筋とを備えている。このように、フープ筋は、複数の鉄筋を拘束する拘束部材として機能している。
【0005】
ここで、フープ筋は、円形であり単体で一定の形状を有している。また、フープ筋は、現場で主筋へ溶接されることで主筋に定着される。このため、現場での溶接等の組立工数が発生する。仮に、工場でフープ筋を主筋に溶接することで鉄筋かごを形成させると、フープ筋が円形であり単体で一定の形状を有しているため、この鉄筋かごは、工場から現場までの搬送時に場所をとってしまう。
【0006】
本発明の課題は、複数の主補強部材を拘束する拘束部材が単体で一定の形状を有している場合と比して、工場で複数の主補強部材を拘束部材によって拘束した上で、拘束された複数の主補強部材が工場から現場までの搬送時に場所をとるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に記載の補強部材群は、間隔を空けて並列に並べられた棒状、板状又は束状に形成された複数の主補強部材と、前記主補強部材に対して交差する交差方向へ延びるように配置され、前記主補強部材と交差する交差部位で前記主補強部材に定着され、間隔を空けて樹脂が含侵されると共に可撓性を有する繊維束と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
第1態様に記載の構成では、繊維束が主補強部材と交差する交差部位で主補強部材に定着されている。換言すれば、繊維束が複数の主補強部材を拘束している。ここで、繊維束は、単体で一定の形状を有することなく可撓性を有する。このため、例えば、補強部材群が工場で組み立てられ、工場から現場まで搬送する場合に、トラックの荷台に平らな状態で補強部材群が積まれ、又は、トラックの荷台に補強部材群が巻かれた状態で積まれることが可能となる。
【0009】
第2態様に記載の補強部材群は、主補強部材は、鉄筋であることを特徴とする。
【0010】
第2態様に記載の構成では、主補強部材が鉄筋であっても、繊維束が、単体で一定の形状を有することなく可撓性を有するため、トラックの荷台に平らな状態で補強部材群が積まれ、又は、トラックの荷台に補強部材群が巻かれた状態で積まれることが可能となる。
【0011】
第3態様に記載のコンクリート構造物は、第1又は2態様に記載の補強部材群と、前記補強部材群が内部に配置されるように形成されたコンクリート部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
第3態様に記載の構成では、コンクリート構造物のコンクリート部を補強するための補強部材群がコンクリート部の内部に配置されている。ここで、補強部材群を構成する繊維束は、単体で一定の形状を有することなく可撓性を有する。このため、補強部材群が工場で組み立てられることで、現場での溶接等の組立工数を低減することができる。
【0013】
第4態様に記載のコンクリート構造物は、第3態様に記載のコンクリート構造物において、前記補強部材群は、前記主補強部材の軸方向が鉛直方向とされた筒状に配置されており、前記コンクリート部は、内部に筒状の前記補強部材群が配置され、鉛直方向へ延びている柱状とされていることを特徴とする。
【0014】
第4態様に記載の構成では、コンクリート構造物であるコンクリート柱のコンクリート部を補強するための補強部材群がコンクリート部の内部に配置されている。この補強部材群は、主補強部材の軸方向が鉛直方向とされた筒状に配置されている。ここで、繊維束は、単体で一定の形状を有することなく可撓性を有する。このため、工場で組み立てられた状態の補強部材群を筒状に容易に配置することができる。
【0015】
第5態様に記載のコンクリート構造物は、第3態様に記載のコンクリート構造物において、前記補強部材群は、面が鉛直方向へ向くように平らな状態で配置されており、前記コンクリート部は、内部に平らな状態の前記補強部材群が配置され、前記コンクリート部には、上方を向いた床面が形成されていることを特徴とする。
【0016】
第5態様に記載の構成では、コンクリート構造物である床スラブのコンクリート部を補強するための補強部材群がコンクリート部の内部に配置されている。この補強部材群は、面が鉛直方向へ向くように平らな状態に配置されている。ここで、繊維束は、単体で一定の形状を有することなく可撓性を有する。このため、工場で組み立てられた状態の補強部材群を平らな状態に容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の主補強部材を拘束する拘束部材が単体で一定の形状を有している場合と比して、工場で複数の主補強部材を拘束部材によって拘束した上で、拘束された複数の主補強部材が工場から現場までの搬送時に場所をとるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄筋群を示した平面図である。
図2】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る鉄筋群を示した断面図である。
図3】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る鉄筋群を構成する繊維束を示した斜視図と、鉄筋群を構成する鉄筋を示した斜視図である。
図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る鉄筋コンクリート柱を構成する鉄筋群を示した斜視図と、鉄筋コンクリート柱を示した斜視図である。
図5】(A)(B)発明の第2実施形態に係る床スラブを構成する捨て型枠及び鉄筋群を示した斜視図と、床スラブを示した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に対する変形形態を示した斜視図である。
図7】(A)(B)(C)本発明の変形形態に係る繊維束群を示した平面図、及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る鉄筋群、及び鉄筋コンクリート柱について図1図4に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは、鉛直方向を示し、矢印W及び矢印Lは、水平方向を示し、矢印Wと矢印Lとは、互いに直交する。
【0020】
(鉄筋群10)
鉄筋群10は、図1に示されるように、長尺状の鉄筋14(図3(B)参照)と、長尺状の繊維束18とを備えている。鉄筋群10は、補強部材群の一例である。また、鉄筋14は、主補強部材の一例である。
【0021】
具体的には、鉄筋14は、複数設けられ、平面視で間隔を空けて並列に並べられている。また、繊維束18は、平面視で鉄筋14に対して直交する直交方向へ延びるように配置されている。さらに、繊維束18は、複数設けられ、鉄筋14の長手方向に間隔をあけて並べられている。これにより、鉄筋群10は、平面視で格子状とされており、鉄筋14と繊維束18とは、複数個所で交差している。
【0022】
鉄筋14と繊維束18とが交差している交差部位では、図2(A)(B)に示されるように、繊維束18が鉄筋14に1~2周程度巻き付けられ、繊維束18が鉄筋14に定着されている。
【0023】
また、鉄筋14の両端部については、図2(A)に示されるように、交差部位に樹脂26が含侵されることで、定着強度が強くなっている。さらに、繊維束18の両端部については、図2(B)に示されるように、交差部位に樹脂26が含侵されることで、定着強度が強くなっている。なお、樹脂26には、エポキシ樹脂が用いられている。
【0024】
繊維束18は、図3(A)に示されるように、複数の炭素繊維22で構成されており、間隔を空けて樹脂20が含侵されている。本実施形態では、一例として、炭素繊維22の直径は、10~30〔mm〕とされている。さらに、この炭素繊維22は、3000本程度用いられている。また、樹脂20は、10~100〔mm〕程度のピッチで含侵され、樹脂20には、エポキシ樹脂が用いられている。そして、樹脂20は、複数の炭素繊維22を結合させる結合剤として機能している。このように、繊維束18では、樹脂20の部分的な含浸により炭素繊維22を束ねることで必強強度を確保しつつ可撓性が維持されている。
【0025】
この構成により、可撓性を有する繊維束18は、複数の鉄筋14を拘束する拘束部材として機能している。
【0026】
そして、鉄筋群10は、工場で組み立てられ、工場で組み立てられた鉄筋群10は、トラックの荷台に載せられて現場へ搬送されるようになっている。ここで、繊維束18は、可撓性を有する。このため、トラックの荷台に平らな状態で鉄筋群10が積まれ、又は、トラックの荷台に鉄筋群10が巻かれた状態で積まれることが可能となる。
【0027】
(鉄筋コンクリート柱30)
鉄筋コンクリート柱30は、コンクリート構造物の一例であって、図4(B)に示されるように、断面矩形状のコンクリート部34と、コンクリート部34の内部に配置された鉄筋群10とを備えている。
【0028】
以下、鉄筋コンクリート柱30の施工工程について記載する。
先ず、図4(A)に示されるように、可撓性を有する繊維束18の部分を折り曲げることで、上方から見て矩形筒状となるように、鉄筋群10を配置する。さらに、この鉄筋群10を図示せぬ型枠を用いて囲んだ状態で、コンクリートを打設して、コンクリート部34を形成させる。
【0029】
この構成において、コンクリート部34の内部に配置された鉄筋群10は、コンクリート部34の補強部材として機能している。具体的には、鉄筋群10を構成する鉄筋14は、鉄筋コンクリート柱30の主筋として機能し、鉄筋群10を構成する繊維束18は、鉄筋コンクリート柱30のフープ筋として機能している。
【0030】
(まとめ)
以上説明したように、鉄筋群10においては、鉄筋群10を構成する繊維束18は、単体で一定の形状を有さず、単体で可撓性を有する。そして、前述したように、鉄筋群10は、工場で生産され、工場で生産された鉄筋群10は、トラックの荷台に載せられて現場へと搬送される。繊維束18が可撓性を有することで、トラックの荷台に平らな状態で鉄筋群10が積まれ、又は、トラックの荷台に鉄筋群10が巻かれた状態で積まれることが可能となる。このため、複数の鉄筋14を拘束する部材が単体で一定の形状を有している場合と比して、工場で複数の鉄筋14を繊維束18によって拘束した上で、鉄筋群10が工場から現場までの搬送時に場所をとるのを抑制することができる。
【0031】
また、鉄筋群10が工場で組み立てられることで、現場での溶接等の組立工数を低減することができる。
【0032】
また、鉄筋コンクリート柱30においては、可撓性を有する繊維束18の部分を折り曲げることで、鉄筋群10を矩形筒状に容易に配置することができる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る鉄筋群、及び鉄筋コンクリート構造物について図5(A)(B)従って説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0034】
(床スラブ60)
床スラブ60は、コンクリート構造物の一例であって、図5(B)に示されるように、捨て型枠62と、上方を向いた床面60aが形成されたコンクリート部64と、コンクリート部64の内部に配置された鉄筋群10とを備えている。
【0035】
以下、床スラブ60の施工工程について記載する。
先ず、捨て型枠62を図示せぬ支保工に支持させる。さらに、図5(A)に示されるように、平らな状態の鉄筋群10を図示せぬスペーサを介して捨て型枠62上に支持させる。この状態で、コンクリートを打設して、コンクリート部64を形成させる。
【0036】
この構成において、コンクリート部64の内部に配置された鉄筋群10は、コンクリート部64の補強部材として機能している。具体的には、鉄筋群10を構成する鉄筋14は、床スラブ60の主筋として機能し、鉄筋群10を構成する繊維束18は、床スラブ60の配力筋として機能している。
【0037】
(まとめ)
以上説明したように、床スラブ60においては、平らな状態の鉄筋群10が図示せぬスペーサを介して捨て型枠62に支持される。このため、床スラブ60の主筋と床スラブ60の配力筋とを夫々配置する場合と比して、現場で鉄筋群10を容易に配置することができる。換言すれば、組み立てられた状態の鉄筋群10を平らな状態に容易に配置することができる。
【0038】
なお、本発明を特定の第1、第2実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第1、第2実施形態では、繊維束18を構成する繊維として炭素繊維22を例にとって説明したが、例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維等であってもよい。
【0039】
また、上記第1、第2実施形態では、樹脂20、26については、エポキシ樹脂を例にとって説明したが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよい。
【0040】
また、上記第1実施形態では、コンクリート構造物の一例として鉄筋コンクリート柱30を例にとって説明し、上記第2実施形態では、コンクリート構造物の一例として床スラブ60を例にとって説明したが、鉄筋コンクリート構造物として、鉄筋群10を補強部材とした鉄筋コンクリート梁でもよく、鉄筋群10を補強部材とした鉄筋クリート壁であってもよい。
【0041】
また、上記第1実施形態では、鉄筋コンクリート柱30は、断面矩形状であったが、断面円形状等であってもよい。
【0042】
また、上記第1、第2実施形態では、繊維束18は、鉄筋14に対して直交する直交方向に延びるように配置されたが、鉄筋14に対して交差する交差方向へ延びてもよい。
【0043】
また、上記第1実施形態では、図4(A)に示されるように、繊維束18は、鉛直方向に延びている複数の鉄筋14に対して水平方向に巻かれていたが、図6に示されるように、繊維束18を鉛直方向に延びている複数の鉄筋14に対して螺旋状に巻いてもよい。
【0044】
第1及び第2実施形態では、主補強部材を鉄筋14とした例を示したが、主補強部材は、コンクリート構造物に発生した引張力をコンクリートに代わって負担できるものであればよく、鉄筋以外の材料によって形成された棒状、板状又は束状のものであってもよい。
【0045】
例えば、主補強部材は、繊維束、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)のロッド、FRPのプレート、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)のロッド、CFRPのプレート、PC鋼より線等であってもよい。
【0046】
図7(A)、図7(B)及び図7(C)には、主補強部材を、可撓性を有する繊維束18とした補強部材群としての繊維束群80の変形形態が示されている。なお、変形形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0047】
補強部材群としての繊維束群80は、図7(A)に示されるように、複数の繊維束18から形成されている。具体的には、繊維束群80は、平面視で一方向へ延びるように配置され、一方向に対して直交する直交方向に間隔を空けて配置された複数の繊維束18(以下「繊維束18a」と称する)を備えている。さらに、繊維束群80は、平面視で直交方向へ延びるように配置され、一方向に間隔を空けて配置された複数の繊維束18(以下「繊維束18b」と称する)を備えている。
【0048】
さらに、繊維束18aと繊維束18bとの交差部位については、図7(B)(C)に示されるように、繊維束18aが繊維束18bに1~2周程度巻き付けられることで、繊維束18aが繊維束18bに定着されている。また、繊維束18bの両端部については、図7(B)に示されるように、交差部位に樹脂26が含侵されることで、定着強度が強くなっている。さらに、繊維束18aの両端部については、図7(C)に示されるように、交差部位に樹脂26が含侵されることで、定着強度が強くなっている。
【0049】
また、繊維束18aの端部については、図7(C)に示されるように、繊維束18bが繊維束18aに1~2周程度巻き付けられ、かつ、巻き付けられた部位に樹脂26が含侵されていることで、繊維束18aが繊維束18bに定着されている。さらに、繊維束18bの端部については、繊維束18aが繊維束18bに1~2周程度巻き付けられ、かつ、巻き付けられた部位に樹脂26が含侵されていることで、繊維束18aが繊維束18bに定着されている。
【0050】
この構成において、コンクリート部の内部に繊維束群80を配置することで、繊維束群80は、コンクリート部の補強部材として機能する。
【0051】
(まとめ)
以上説明したように、繊維束群80においては、繊維束群80を構成する繊維束18a、18bは、単体で一定の形状を有さず、単体で可撓性を有する。そして、繊維束群80は、工場で生産され、工場で生産された繊維束群80は、トラックの荷台に載せられて現場へと搬送される。繊維束18a、18bが、可撓性を有するため、トラックの荷台に平らな状態で繊維束群80が積まれ、又は、トラックの荷台に繊維束群80が巻かれた状態で積まれることが可能となる。このため、繊維束群80が工場から現場までの搬送時に場所をとるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 鉄筋群(補強部材群の一例)
14 鉄筋(主補強部材の一例)
18 繊維束
20 樹脂
26 樹脂
30 鉄筋コンクリート柱(コンクリート構造物の一例)
34 コンクリート部
60 床スラブ(コンクリート構造物の一例)
60a 床面
64 コンクリート部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7