(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】コネクタの挿抜試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/56 20060101AFI20250227BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20250227BHJP
H01R 43/26 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
G01N3/56 Z
H01R43/00 Z
H01R43/26
(21)【出願番号】P 2021107814
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2020218154
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514301727
【氏名又は名称】株式会社ケミトックス
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】神谷 裕二
(72)【発明者】
【氏名】姉崎 徹
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-164140(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213355(WO,A1)
【文献】特開2005-164368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0222387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/56
H01R 43/00
H01R 43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタを保持する第1保持部と、前記第1保持部を支持する第1支持部と、第2コネクタを保持する第2保持部と、前記第2保持部を支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方を挿抜方向に往復移動させ前記第1コネクタと前記第2コネクタとを挿抜させるコネクタの挿抜試験装置であって、
前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方は、
前記挿抜方向に延在する収容部を有する支持枠部材と、
前記第1保持部と前記第2保持部の少なくとも一方に連結され、前記収容部の内周面に対向する外周面を有し前記内周面と前記外周面との間に隙間を介在させた状態で前記収容部に収容された収容部材と、
前記収容部材が前記収容部に収容された状態で前記挿抜時における前記挿抜方向の前記収容部材の移動を阻止する移動阻止部と、
前記収容部材を前記収容部の中央に位置するように付勢する付勢部と、
前記収容部内において前記挿抜方向と直交する方向における前記収容部材の所定範囲内の移動、および前記収容部内において前記挿抜方向の周りの前記収容部材の
所定の角度範囲以内における回転を許容する移動回転許容部と、
を備え
、
前記収容部は前記支持枠部材に前記挿抜方向に貫通して設けられ、
前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方の前記支持枠部材は基盤上に固定され、
前記基盤と反対に位置する前記支持枠部材の上面に蓋板が取着され、
前記移動阻止部は、前記基盤と前記蓋板により構成されている、
ことを特徴とするコネクタの挿抜試験装置。
【請求項2】
第1コネクタを保持する第1保持部と、前記第1保持部を支持する第1支持部と、第2コネクタを保持する第2保持部と、前記第2保持部を支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方を挿抜方向に往復移動させ前記第1コネクタと前記第2コネクタとを挿抜させるコネクタの挿抜試験装置であって、
前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方は、
前記挿抜方向に延在する収容部を有する支持枠部材と、
前記第1保持部と前記第2保持部の少なくとも一方に連結され、前記収容部の内周面に対向する外周面を有し前記内周面と前記外周面との間に隙間を介在させた状態で前記収容部に収容された収容部材と、
前記収容部材が前記収容部に収容された状態で前記挿抜時における前記挿抜方向の前記収容部材の移動を阻止する移動阻止部と、
前記収容部材を前記収容部の中央に位置するように付勢する付勢部と、
前記収容部内において前記挿抜方向と直交する方向における前記収容部材の所定範囲内の移動、および前記収容部内において前記挿抜方向の周りの前記収容部材の所定の角度範囲以内における回転を許容する移動回転許容部と、
を備え、
前記収容部は前記支持枠部材に前記挿抜方向に貫通して設けられ、
前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方の前記支持枠部材は前記挿抜方向に移動不能に固定され、
前記第1支持部または前記第2支持部側に位置する前記支持枠部材の上面に蓋板が取着され、
前記上面と反対に位置する前記支持枠部材の下面に底板が取着され、
前記収容部材は前記蓋板と前記底板との間で前記支持枠部材に対して前記挿抜方向に移動可能に配置され、
前記収容部材を前記蓋板に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部が設けられ、
前記挿抜方向付勢部の付勢力は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合するに要する力よりも大きく設定され、
前記移動阻止部は、前記蓋板と前記底板と前記挿抜方向付勢部とを含んで構成されている、
ことを特徴とするコネクタの挿抜試験装置。
【請求項3】
前記付勢部は、前記支持枠部材に設けられ前記内周面から突出して前記収容部材の前記外周面に押圧される剛球を有する複数のボールプランジャで構成されている、
ことを特徴とする請求項1
または2記載のコネクタの挿抜試験装置。
【請求項4】
前記剛球が押圧される前記外周面の箇所に、前記外周面の内側に窪む係合凹部が設けられている、
ことを特徴とする請求項
3記載のコネクタの挿抜試験装置。
【請求項5】
前記付勢部は、前記隙間に、前記内周面と前記外周面とにより圧縮された状態で配置されたゴム板で構成されている、
ことを特徴とする請求項1
または2記載のコネクタの挿抜試験装置。
【請求項6】
前記収容部と前記収容部材は、共に断面が矩形で形成され、
前記収容部の前記内周面は4つの内側面で構成され、
前記収容部材の前記外周面は4つの外側面で構成され、
前記移動回転許容部は、前記4つの内側面と、前記4つの外側面、それら内側面と外側面との間に形成される前記隙間とで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~
5の何れか1項記載のコネクタの挿抜試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの挿抜試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル機器、通信機器の普及などにより、コネクタの需要が拡大している。
このような機器では、互いに嵌合する一対のコネクタが使用されるが、コネクタは挿抜が繰り返されると、振動や衝撃で端子部分が摺動して磨耗し、接触不良や導通不良、絶縁不良などの不具合を起こしてしまうことがある。
したがって、挿抜を繰り返した際のコネクタの耐久性を評価するために、コネクタの挿抜を繰り返し行う挿抜試験を行う必要がある。
そこで、一対のコネクタを繰り返し挿抜する挿抜試験機が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した挿抜試験機では、互いに対向する一対の保持具を用意し、一対のコネクタを保持具にそれぞれ固定し、それら一対の保持具を離間接近する方向に直線往復移動させて一対のコネクタを繰り返し挿抜させることで試験を行うものである。
このような挿抜試験機においては、一対のコネクタの相対的位置、姿勢を厳密に合致させて固定具に固定することは難しく、それらコネクタの相対的位置、姿勢が多少ずれてしまうため、挿抜時に端子に無理な力が加わるおそれがあり、挿抜試験の信頼性を確保する上で不利がある。
【0005】
一方、人の手によりコネクタを挿抜させる場合は、コネクタ同士の挿抜方向と直交する方向の位置および挿抜方向周りの回転位置を移動させつつコネクタ同士を挿抜させているので、挿抜時に無理な力が端子に加わることがない。
したがって、人の手を用いてコネクタの挿抜を行なうのと同等の条件で挿抜試験を行なうことが、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で望ましい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利なコネクタの挿抜試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため本発明の一実施形態は、第1コネクタを保持する第1保持部と、前記第1保持部を支持する第1支持部と、第2コネクタを保持する第2保持部と、前記第2保持部を支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方を挿抜方向に往復移動させ前記第1コネクタと前記第2コネクタとを挿抜させるコネクタの挿抜試験装置であって、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方は、前記挿抜方向に延在する収容部を有する支持枠部材と、前記第1保持部と前記第2保持部の少なくとも一方に連結され、前記収容部の内周面に対向する外周面を有し前記内周面と前記外周面との間に隙間を介在させた状態で前記収容部に収容された収容部材と、前記収容部材が前記収容部に収容された状態で挿抜時における前記挿抜方向の前記収容部材の移動を阻止する前記挿抜方向における前記収容部材の移動を阻止する移動阻止部と、前記収容部材を前記収容部の中央に位置するように付勢する付勢部と、前記収容部内において前記挿抜方向と直交する方向における前記収容部材の所定範囲内の移動、および前記収容部内において前記挿抜方向の周りの前記収容部材の前記所定の角度範囲以内における回転を許容する移動回転許容部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、前記付勢部は、前記支持枠部材に設けられ前記内周面から突出して前記収容部材の前記外周面に押圧される剛球を有する複数のボールプランジャで構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記剛球が押圧される前記外周面の箇所に、前記外周面の内側に窪む係合凹部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記付勢部は、前記隙間に、前記内周面と前記外周面とにより圧縮された状態で配置されたゴム板で構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記収容部と前記収容部材は、共に断面が矩形で形成され、前記収容部の前記内周面は4つの内側面で構成され、前記収容部材の前記外周面は4つの外側面で構成され、前記移動回転許容部は、前記4つの内側面と、前記4つの外側面、それら内側面と外側面との間に形成される前記隙間とで構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記収容部は前記支持枠部材に前記挿抜方向に貫通して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方の前記支持枠部材は基盤上に固定され、前記基盤と反対に位置する前記支持枠部材の上面に蓋板が取着され、前記移動阻止部は、前記基盤と前記蓋板により構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記収容部は前記支持枠部材に前記挿抜方向に貫通して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部の少なくとも一方の前記支持枠部材は基盤上に固定され、前記基盤と反対に位置する前記支持枠部材の上面に蓋板が取着され、前記基盤側に位置する前記支持枠部材の下面に底板が取着され、前記収容部材は前記蓋板と前記底板との間で前記支持枠部材に対して前記挿抜方向に移動可能に配置され、前記収容部材を前記蓋板に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部が設けられ、前記挿抜方向付勢部の付勢力は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合するに要する力よりも大きく設定され、前記移動阻止部は、前記蓋板と前記底板と前記挿抜方向付勢部とを含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施の形態によれば、第1支持部と第2支持部の少なくとも一方が、コネクタの挿抜方向に延在する収容部を有する支持枠部材と、第1保持部と第2保持部の少なくとも一方に連結され、収容部の内周面に対向する外周面を有し内周面と外周面との間に隙間を介在させた状態で収容部に収容された収容部材と、収容部材が収容部に収容された状態で挿抜時における挿抜方向の収容部材の移動を阻止する移動阻止部と、収容部材を収容部の中央に位置するように付勢する付勢部と、収容部内において挿抜方向と直交する方向における収容部材の所定範囲内の移動、および収容部内において挿抜方向の周りの収容部材の所定の角度範囲以内における回転を許容する移動回転許容部とを備えている。
そのため、第1コネクタと第2コネクタとの相対的位置、姿勢が厳密に合致していない場合であっても、収容部材はコネクタの挿抜方向と直交する方向へ所定範囲内で移動し、あるいは、挿抜方向の周りに所定の角度範囲内で回転できるため、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合できる。
したがって、人の手を用いて第1コネクタと第2コネクタの挿抜を行なうのと同等の条件で挿抜試験を行なう上で有利となり、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0015】
また、収容部と収容部材とをともに断面を矩形に形成すると、加工しやすい単純な形状となるため、隙間を正確に確実に形成でき、移動回転許容部を精度よく製作する上で有利となる。
したがって、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合でき、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0016】
また、付勢部を支持枠部材に設けられた内周面から突出して収容部材の外周面に押圧される剛球を有する複数のボールプランジャで構成すると、複数の剛球が収容部材の外周面を、外周面の直交する方向から押圧するため、収容部の中央に収容部材を安定した状態で位置させる上で有利となる。
したがって、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合でき、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
また、ボールプランジャの位置により収容部材の外周面に対する剛球の押圧力を調整することができる。
したがって、剛球の押圧力が弱い場合には強め、また、剛球の押圧力が強い場合には弱め、収容部の中央に収容部材を適正な押圧力を付与した状態で位置させる上で有利となり、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0017】
また、剛球が押圧される外周面の箇所に、外周面の内側に窪む係合凹部を設けると、剛球の押圧力を収容部材の外周面に確実に作用させる上で有利となる。
したがって、収容部の中央に収容部材を安定した状態で位置させる上で有利となり、第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0018】
また、付勢部を内周面と前記外周面とにより圧縮された状態で配置されたゴム板で構成すると、簡易な構成で収容部の中央に収容部材を安定した状態で位置させる上で有利となる。
したがって、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタと第2コネクタとを円滑に嵌合でき、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0019】
また、収容部が支持枠部材にコネクタの挿抜方向に貫通して設けられ、第1支持部と第2支持部の少なくとも一方の支持枠部材は基盤上に固定され、基盤と反対に位置する支持枠部材の上面に蓋板が取着され、移動阻止部を基盤と蓋板により構成すると、収容部材は収容部内において、基盤と蓋板とによりコネクタの挿抜方向に移動不能に支持される。
したがって、収容部材が収容部に収容された状態でコネクタの挿抜方向における収容部材の移動を阻止する移動阻止部の構造を簡単化でき、また、収容部材のコネクタの挿抜方向における移動を確実に阻止できることから、第1コネクタと第2コネクタとを円滑に挿抜させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0020】
また、収容部材を蓋板と底板との間で支持枠部材に対して挿抜方向に移動可能に配置し、収容部材を蓋板に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部を設け、挿抜方向付勢部の付勢力を、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合するに要する力よりも大きく設定すると、第1コネクタおよび第2コネクタに過剰な負荷がかかることを抑制し、第1コネクタおよび第2コネクタの損傷を抑制する上で有利となり、人の手を用いて第1コネクタと第2コネクタの挿抜を行なうのと同等の条件で挿抜試験を行なう上でより有利となり、挿抜試験の信頼性の向上を図る上でより一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の正面斜めから見た場合の斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の正面図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の背面斜めから見た場合の斜視図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の背面図である。
【
図5】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の上面図である。
【
図6】第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の側面図である。
【
図7】(A)は第1の実施の形態にかかる第2コネクタの斜視図であり、(B)は第1の実施の形態にかかる第1コネクタの斜視図である。
【
図8】(A)は第1の実施の形態にかかる第2コネクタを保持した第2保持部の斜視図であり、(B)は第1の実施の形態にかかる第1コネクタを保持した第1保持部の斜視図である。
【
図9】第1の実施の形態にかかる第1保持部の斜視図である。
【
図10】第1の実施の形態にかかる第1支持部の斜視図である。
【
図11】(A)は第1の実施の形態にかかる第1支持部の上面図であり、(B)は(A)に示す第1支持部のA-A断面図であり、(C)は(A)に示す第1支持部のB-B断面図である。
【
図12】第1の実施の形態にかかる支持枠部材の斜視図である。
【
図13】(A)は第1の実施の形態にかかる支持枠部材の上面図であり、(B)は(A)に示す支持枠部材のA-A断面図であり、(C)は(A)に示す支持枠部材のB-B断面図である。
【
図14】(A)は第1の実施の形態にかかる収容部材の斜視図であり、(B)は収容部材の上面図であり、(C)は(B)に示す収容部材のA-A断面図であり、(D)は(B)に示す収容部材のB-B断面図である。
【
図15】
図3に示す第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置のC-C断面図である。
【
図16】(A)は第2の実施の形態にかかる第1支持部の上面図であり、(B)は(A)に示す第1支持部のA-A断面図であり、(C)は(A)に示す第1支持部のB-B断面図である。
【
図17】第3の実施の形態にかかる第1支持部の斜視図である。
【
図18】第3の実施の形態にかかる支持枠部材の斜視図である。
【
図19】(A)は第3の実施の形態にかかる支持枠部材の上面図であり、(B)は(A)に示す支持枠部材のA-A断面図であり、(C)は(A)に示す支持枠部材のB-B断面図である。
【
図20】(A)は第3の実施の形態にかかる収容部材の斜視図であり、(B)は収容部材の上面図であり、(C)は(B)に示す収容部材のA-A断面図であり、(D)は(B)に示す収容部材のB-B断面図である。
【
図21】第3の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置の断面図であり、
図3のC-C断面図に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第1の実施の形態にかかるコネクタの挿抜試験装置10について説明する。
コネクタの挿抜試験装置10は、一対のコネクタ(第1コネクタCN1および第2コネクタCN2)を挿抜させて挿抜試験を行うものである。
図1~
図6に示すように、コネクタの挿抜試験装置10は、基盤12と、一対の支柱14と、天板16と、昇降板18と、昇降ガイド部20と、高さ調整装置22と、往復移動部24と、第1保持部26と、第1支持部28と、第2保持部30と、第2支持部32とを含んで構成されている。
なお、以下の図面において、左右方向をX方向、前方向をF方向、後方向をR方向、上下方向をZ方向として示す。
【0023】
本実施の形態では、
図7に示すように、第1コネクタCN1がオス型のコネクタであり、第2コネクタCN2が第1コネクタCN1に挿抜可能なメス型のコネクタである場合について説明するが、第1、第2コネクタの形態は限定されるものではない。
本実施の形態のコネクタの挿抜試験装置10は、固定された第1コネクタCN1に対して第2コネクタCN2を上下方向(Z方向)に直線往復移動させることで第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の挿抜を行うものであり、上下方向(Z方向)が挿抜方向となっている。
【0024】
基盤12は、矩形板状を呈し、その上面にコネクタの挿抜試験装置10の各構成部品が設けられている。
一対の支柱14は、基盤12の前後方向(FR方向)の中間部で基盤12の左右方向(X方向)に間隔をおいた2か所からそれぞれ立設されている。
【0025】
天板16は、その両端がボルトB1を介して一対の支柱14の上端に連結されている。
天板16の上面の長手方向の一方の端部側に、昇降板18を昇降させる高さ調整装置22が取り付けられている。
昇降板18は、後述する高さ調整装置22によって上下方向に移動(昇降)される。
【0026】
昇降ガイド部20は、昇降板18の上下方向の移動を案内するものであって、昇降板18の背面側に設けられたロッド2002と、スライドブッシュ2004とを含んで構成されている。
ロッド2002は、一対の支柱14のうちの一方の支柱1402寄りの箇所で上下方向に延在し、その下端が基盤12に取り付けられ、その上端が天板16に取り付けられている。
スライドブッシュ2004は、ブラケット2004Aを介して昇降板18の背面に取り付けられている。
スライドブッシュ2004にロッド2002が挿通され、したがって、昇降板18は、スライドブッシュ2004、ロッド2002を介して上下方向に移動可能に案内されている。
【0027】
高さ調整装置22は、手動操作により昇降板18を上下方向に昇降させるとともに、任意の高さ位置で昇降板18を固定させるものである。
高さ調整装置22は、送りねじ2202と、ボールねじ2204と、回転伝達部2206とを含んで構成されている。
【0028】
送りねじ2202は、一対の支柱14のうちの他方の支柱1404寄りの箇所に配置されている。
送りねじ2202の下端は、基盤12に設けられた軸受け2202Aによって回転可能にかつ上下方向に移動不能に支持されている。
送りねじ2202の上端は、天板16を貫通して回転伝達部2206に連結されている。
【0029】
ボールねじ2204はブラケット2204Aを介して昇降板18の背面に取り付けられ、ボールねじ2204は送りねじ2202に螺合されている。
【0030】
回転伝達部2206は、送りねじ2202に対応する天板16の箇所に設けられている。
回転伝達部2206は、ハンドル2210と、歯車機構2212と、ストッパレバー2214とを備えている。
ハンドル2210は、前後方向に延在する軸回りに回転操作可能に設けられている。
歯車機構2212は、送りねじ2202の上端に設けられた歯車(不図示)に噛合する歯車(不図示)を有し、ハンドル2210の回転操作により送りねじ2202を正逆回転させるものである。
【0031】
ストッパレバー2214は、左右方向に延在する軸回りに予め定められた可動位置と固定位置との間で揺動操作可能に設けられ、歯車機構2212の動作を制御している。
ストッパレバー2214が可動位置に揺動されると、歯車機構2212の回転が許容されるとともに、送りねじ2202の回転が許容され、ハンドル2210の操作による回転駆動力が送りねじ2202へ伝達される。
ストッパレバー2214が固定位置に揺動されると、歯車機構2212の回転が禁止されるとともに、送りねじ2202の回転が禁止され、ハンドル2210の操作による回転駆動力が送りねじ2202へ伝達されず、したがって、送りねじ2202の回転位置が固定される。
【0032】
したがって、ストッパレバー2214を可動位置とした状態で、ハンドル2210を正方向に回転させると、ハンドル2210の回転駆動力が回転伝達部2206を介して送りねじ2202に伝達されて送りねじ2202が正方向に回転され、ボールねじ2204を介して昇降板18が上方に移動する。
また、ハンドル2210を逆方向に回転させると、ハンドル2210の回転駆動力が回転伝達部2206を介して送りねじ2202に伝達されて送りねじ2202が逆方向に回転され、ボールねじ2204を介して昇降板18が下方に移動する。
また、ストッパレバー2214を可動位置から固定位置に揺動させると、昇降板18はその高さ位置で固定され、上下方向への移動が禁止される。
【0033】
後述するように、コネクタの挿抜試験装置10は、第2コネクタCN2を保持する第2保持部30が設けられ、また、第2保持部30を支持する第2支持部32が設けられている。
往復移動部24は、昇降板18に一体的に取り付けられ、第2支持部32を上限位置と下限位置との間で上下方向に往復直線移動させることで、第1コネクタCN1に対して第2コネクタCN2を挿抜させるものである。
往復移動部24は、モータ2402と、クランク2404と、リンク2406と、往復移動部材2408と、リニアガイド2410と、を含んで構成されている。
【0034】
モータ2402は、昇降板18の背面の上端寄りの箇所に設けられている。
モータ2402の駆動軸2402Aは、昇降板18に設けられた貫通孔に挿通されて昇降板18の正面に突出されている。
【0035】
クランク2404は、その基部2404Aが昇降板18の正面に突出する駆動軸2402Aの先部に固定され、駆動軸2402Aと一体回転可能に設けられている。
クランク2404の先部2404Bにロッド2412Aが設けられ、リンク2406は、その一端2406Aがロッド2412Aを介してクランク2404の先部2404Bに回転可能に支持されている。
【0036】
往復移動部材2408は、昇降板18の正面に配設され、側方から見て、昇降板18に対向する縦板部2408Aと、縦板部2408Aの下端から基盤12の前方(F方向)に突出する下板部2408Bとを備えている。
リンク2406の他端2406Bは、ロッド2412Bを介して縦板部2408Aの上部に回転可能に連結されている。
下板部2408Bには、後述する第2支持部32が連結されている。
【0037】
リニアガイド2410は、細長状のレール2410Aと、スライダ2410Bとを備えている。
レール2410Aは、往復移動部材2408に対向する昇降板18の正面の箇所に取り付けられ、上下方向に延在している。
スライダ2410Bは、縦板部2408Aに取り付けられ、レール2410Aに沿って直線移動可能に結合されている。
【0038】
したがって、モータ2402の駆動軸2402Aが回転することによって、クランク2404、リンク2406、リニアガイド2410を介して往復移動部材2408が、昇降板18の正面上において上下方向に直線往復移動することになる。
【0039】
第2保持部30は、
図8(A)に示すように、第2コネクタCN2の嵌合部CN22を下方に向けた状態で第2コネクタCN2を保持するものであり、後述する第2連結柱3202を介して往復移動部材2408の下板部2408Bに連結され、往復移動部材2408と一体的に上下方向に往復直線移動するものである。
第2保持部30は、
図8に示すように、保持部本体40と、プレート42と、挟持板44と、挟持板ガイド部46と、ねじ部材48と、一対の押さえねじ50とを含んで構成されている。
なお、第2保持部30は後述する第1保持部26を上下反転させたものであり、第1保持部26の説明の箇所で詳述するため簡略して説明する。
【0040】
第2コネクタCN2は、挟持板44とプレート42との間の空間に挿入され、ねじ部材48を正回転させて第2コネクタCN2を挟持板44によってプレート42との間で挟持され固定される。
さらに、一対の押さえねじ50を正回転させてそれら押さえねじ50によって挟持板44をプレート42に向けて押圧することで第2コネクタCN2が挟持板44とプレート42の間に挟持され固定される。
【0041】
第2支持部32は、第2保持部30を支持するものであり、本実施の形態では、第2支持部32は、往復移動部材2408(往復移動部24)により往復移動される。
第2支持部32は、断面矩形状の第2連結柱3202で構成されている。
【0042】
第2連結柱3202の上端は、往復移動部材2408の下板部2408Bに連結され、第2連結柱3202の下端は、後述する第2保持部30の後板本体部4002Aに連結されている。
詳細には、第2連結柱3202の上端と下端にはそれぞれ上側ねじ孔(不図示)と下側ねじ孔(不図示)が形成されている。
【0043】
そして、第2連結柱3202の上端が、往復移動部材2408の下板部2408Bの下面に下方から重ね合わされ、下板部2408Bの上方からねじ挿通孔(不図示)を挿通したボルトB2が第2連結柱3202の上側ねじ孔に螺合することで第2連結柱3202が下板部2408Bに連結されている。
また、第2連結柱3202の下端が、後述する第2保持部30の後板本体部4002Aの凹部(不図示)の底面に上方から重ね合わされ、凹部の下方からねじ挿通孔(不図示)を挿通したボルト(不図示)が第2連結柱3202の下側ねじ孔に螺合することで第2連結柱3202が第2保持部30に連結されている。
【0044】
このようにして第2保持部30は第2支持部32を介して往復移動部24に連結され、したがって、第2保持部30は第2支持部32と一体的に上限位置と下限位置との間で昇降するように構成されている。
なお、上述した往復移動部24および第2保持部30、第2支持部32には従来公知の様々な構造が採用可能であるが、上述の往復移動部24および第2保持部30、第2支持部32を用いると装置の簡単化を図り、また、第2コネクタCN2を確実に往復直線移動させる上で有利となる。
【0045】
第1保持部26は、
図8(B)に示すように、第1コネクタCN1の嵌合部CN12を上方に向けた状態で第1コネクタCN1を保持するものであり、後述する第1支持部28を介して基盤12に取り付けられている。
第1保持部26は、
図8、
図9に示すように、保持部本体40と、プレート42と、挟持板44と、挟持板ガイド部46と、ねじ部材48と、一対の押さえねじ50とを含んで構成されている。
【0046】
保持部本体40は、後板部4002と前板部4004とを備えている。
後板部4002は、後板本体部4002Aと、一対の側板部4002Bとを備えている。
後板本体部4002Aは、断面矩形状を呈し、基盤12の左右方向に細長状を呈している。
一対の側板部4002Bは、後板本体部4002Aの両端から基盤12の前方に突出している。
後板本体部4002Aのうち、一対の側板部4002Bの間で基盤12の前方に向いた面は後部内側面4012となっている。
後板本体部4002Aの下面で後板本体部4002Aの長さ方向の中央には、平面視矩形状の凹部4014が設けられ、凹部4014の底面4014Aにはねじ挿通孔4016が上下方向に貫通形成されている(
図15等参照)。
この凹部4014には、断面が矩形状の第1連結柱2802の上端が挿入され、ねじ挿通孔4016を挿通するボルトB3により第1連結柱2802の上端が後板本体部4002Aの下面に連結されている。
【0047】
前板部4004は、後板本体部4002Aと同一の長さを有して断面矩形状を呈し、基盤12の左右方向に細長状を呈している。
前板部4004は、その両端が一対の側板部4002Bの先端にボルトB4を介して連結されている。
前板部4004の長さ方向の中央箇所には、基盤12の前後方向に延在する第1ねじ孔(不図示)が貫通形成されている。
前板部4004の長さ方向の両端寄りの箇所には、基盤12の前後方向に延在する一対の第2ねじ孔(不図示)が貫通形成されている。
前板部4004が後板本体部4002Aの後部内側面4012に対向する面は前部内側面4018となっている。
【0048】
プレート42は、後板部4002の後部内側面4012に重ね合わされて配置され、不図示のボルトにより取り付けられている。
【0049】
挟持板44は、一対の側板部4002Bの間でプレート42と前板部4004の前部内側面4018との間の空間に基盤12の前後方向に移動可能に配置されている。
挟持板44がプレート42に対向する面は挟持面4402となっている。
【0050】
挟持板ガイド部46は、前部内側面4018とプレート42の間の空間で、挟持板44をプレート42に対して離間接近する方向に移動可能に案内するものである。
挟持板ガイド部46は、一対のガイドピン4602と、一対のガイドブッシュ4604とを含んで構成されている。
一対のガイドピン4602は、挟持板44の両端寄りの箇所から前板部4004に向けて突設されている。
一対のガイドブッシュ4604は、前板部4004の両端寄りの箇所に設けられ、一対のガイドブッシュ4604には一対のガイドピン4602がそれぞれ挿通されている。
したがって、挟持板44は、その挟持面4402がガイドピン4602およびガイドブッシュ4604を介してプレート42に対して離間接近する方向に移動可能に支持されている。
【0051】
ねじ部材48は、雄ねじ部が前板部4004の前方から第1ねじ孔に螺合され、雄ねじ部の先端に設けられた不図示の連結部が挟持板44の長さ方向の中央箇所に回転可能に、かつ、挟持板44の厚さ方向に移動不能に連結されている。
したがって、ねじ部材48を正逆転することで、挟持板44がプレート42に離間接近する方向に移動する。
【0052】
一対の押さえねじ50は、雄ねじ部が前板部4004の前方から第2ねじ孔にそれぞれ螺合され、それら雄ねじ部の先端が挟持面4402と反対側の挟持板44の面に当接することで挟持板44をプレート42に向けて押圧するように構成されている。
【0053】
したがって、ねじ部材48、一対の押さえねじ50を逆回転させて、挟持板44とプレート42との間に空間を形成し、その空間に挿抜方向を上方に向けた状態で第1コネクタCN1を挿入したのち、ねじ部材48を正回転させて第1コネクタCN1を挟持板44によってプレート42との間で挟持させるとともに、一対の押さえねじ50を正回転させてそれら押さえねじ50によって挟持板44をプレート42に向けて押圧することで第1コネクタCN1を挟持板44とプレート42の間に確実に挟持させる。
【0054】
第1支持部28は、第1保持部26を支持するものであり、本実施の形態では、第1保持部26は第1支持部28を介して基盤12で支持されている。
第1支持部28は、
図10~
図15に示すように、支持枠部材60と、収容部材62と、移動阻止部70と、付勢部72と、移動回転許容部74とを含んで構成されている。
【0055】
支持枠部材60は、
図12、
図13に示すように、矩形の枠状を呈し、その中央に第1コネクタCN1の挿抜方向である上下方向に延在する断面が正方形の収容部6002が設けられている。
本実施の形態では、収容部6002は、支持枠部材60にコネクタの挿抜方向に貫通して設けられている。
収容部6002の内周面は4つの矩形状の内側面6004で構成され、支持枠部材60の外周面は4つの矩形状の外側面6006で構成されている。
支持枠部材60の上面6008の4つの角部には雌ねじ60Aが形成されている。
また、支持枠部材60には、4つの外側面6006の中央から収容部6002の4つの内側面6004の中央にそれぞれ貫通する雌ねじ60Bが設けられている。
各雌ねじ60Bには、ボールプランジャ64が結合されている。
【0056】
ボールプランジャ64は、
図12、
図13に示すように、雌ねじ60Bに螺合する雄ねじ6402と、雄ねじ6402の内部に収容された剛球6404(突出部)とコイルスプリング(不図示)とを含んで構成され、本実施の形態では市販品が用いられている。
剛球6404は、雄ねじ6402の先端から突出する方向にコイルスプリングにより付勢されることで、突出位置に付勢されている。
剛球6404は、それが突出する方向と逆向きの荷重を与えると突出位置から雄ねじ6402の内部に向かって後退し、荷重がなくなるとコイルスプリングの付勢力で元の突出位置に戻る。
【0057】
また、支持枠部材60の対向する一対の外側面6006の上下方向の中間部に、基盤12の前後方向に延在する取付用凹部60Cが形成されている。
支持枠部材60は、一対の支柱14の間の中央で基盤12に固定されている。
本実施の形態では、支持枠部材60は、一対の固定プレート34を介して基盤12に着脱可能に取り付けられている。
【0058】
固定プレート34は、支持枠部材60の取付用凹部60Cに係合可能な厚さの細長状を呈している。
固定プレート34の延在方向の一端寄りには、固定プレート34の延在方向に沿ってボルト挿通用の長溝34Aが形成されている(
図1参照)。
固定プレート34の延在方向の他端寄りの下面には、固定プレート34の延在方向の一端が取付用凹部60Cに係合した状態で基盤12上にその先端が接する凸部3402が設けられている(
図2等参照)。
支持枠部材60の基盤12への固定は、支持枠部材60の一対の取付用凹部60Cに、それぞれ固定プレート34の長手方向の一端を係合し、長溝34Aを挿通するボルトB5を基盤12の雌ねじ(不図示)に螺合し、固定プレート34により取付用凹部60Cを介して支持枠部材60を基盤12上に締結することでなされる。
【0059】
収容部材62は、第1保持部26に第1連結柱2802を介して連結され、収容部6002に収容されて配置されている。
収容部材62は、収容部6002に対応した断面が矩形状を呈し、収容部材62の外周面は、収容部6002の内周面の4つの内側面6004に対向する4つの外側面6202で形成されている。
収容部材62が収容部6002に収容された状態で4つの外側面6202と4つの内側面6004との間に隙間Sが介在される。
本実施の形態では、収容部6002内において挿抜方向と直交する方向における収容部材62の所定範囲内の移動、および収容部6002内において挿抜方向の周りの収容部材62の所定の角度範囲内における回転を許容する移動回転許容部74が、支持枠部材60の収容部6002の4つの内側面6004と、収容部材62の4つの外側面6202と、隙間Sにより構成されている。
コネクタの大きさや形状にもよるが、例えば、所定範囲内の移動での所定範囲は0.5mmの範囲内であり、所定の角度範囲内における回転での所定の角度範囲とは、例えば、-1度~+1度の範囲内である。
【0060】
収容部材62の中央には、上方に開放状の平面視矩形状の凹部6204が設けられ、この凹部6204の底壁にはねじ挿通孔6206が貫通形成されている。
図15に示すように、第1連結柱2802の下端はこの凹部6204に収容され、ねじ挿通孔6206に挿通されたボルトB6により第1連結柱2802の下端は収容部材62に一体に結合されている。
【0061】
また、収容部材62が収容部6002に収容された状態で、各ボールプランジャ64の剛球6404に対応する各外側面6202の箇所には、剛球6404が係合する係合凹部62Aが設けられている。
係合凹部62Aはボールプランジャ64の剛球6404が安定した状態で各外側面6202を押圧するように設けられたものであり、これによって4つのボールプランジャ64により収容部6002の中心位置に、収容部材62の中心位置が位置するように収容部材62が安定した状態で付勢される。
したがって、本実施の形態では、4つのボールプランジャ64が収容部材62を収容部6002の中央に位置するように付勢する付勢部72を構成している。
【0062】
図10、
図11に示すように、蓋板66は、収容部材62が収容部6002に挿入された状態で、支持枠部材60の上面に取り付けられている。
蓋板66は矩形枠状を呈し、その中央に第1連結柱2802の断面よりも大きい輪郭の開口部6602が設けられている。
蓋板66の外縁は、支持枠部材60の上面の輪郭と同じ大きさの正方形で形成され、蓋板66の4つの角部のボルト挿通孔66Aに挿通したボルトが、支持枠部材60の雌ねじ60Aに螺合することで蓋板66は支持枠部材60の上面に取り付けられている。
【0063】
収容部6002に収容部材62が収容され、支持枠部材60に蓋板66が取り付けられた状態で、収容部6002内における収容部材62の回転を許容できるように、蓋板66の下面と収容部材62の上面とは軽く接触している。
したがって、支持枠部材60は基盤12上に固定され、支持枠部材60の上面に蓋板66が取り付けられることから、収容部材62はコネクタの挿抜方向に移動不能に収容部6002に収容されている。
すなわち、本実施の形態では、
図15に示すように、収容部材62の下面に基盤12が位置し、収容部材62の上面の周囲に蓋板66が位置することから、収容部材62が収容部6002に収容された状態で挿抜時におけるコネクタの挿抜方向の収容部材62の移動を阻止する移動阻止部70が基盤12と蓋板66により構成されている。
【0064】
以下に、コネクタの挿抜試験装置10の動作について説明する。
初期状態において、第1保持部26および第2保持部30にはコネクタが保持されておらず、昇降板18が基盤12から上方に離れた箇所に位置し、したがって、第2保持部30が第1保持部26から上方に離間した箇所に位置しているものとする。
また、第1保持部26および第2保持部30の双方のねじ部材48、一対の押さえねじ50を操作し、挟持板44とプレート42との間に空間を形成しておく。
【0065】
予め、試験対象となる第1コネクタCN1および第2コネクタCN2を嵌合させた状態としておく。
次いで、第1コネクタCN1を下方に、第2コネクタCN2を上方に位置させた状態で、第2コネクタCN2を第2保持部30の空間に挿入し、ねじ部材48、一対の押さえねじ50を操作して第2コネクタCN2を挟持板44とプレート42の間に挟持させる。
したがって、第1コネクタCN1は、第2コネクタCN2の下方に位置した状態となっている。
【0066】
次に、往復移動部24のモータ2402を回転させ、第2保持部30を下限位置に位置決めする。
高さ調整装置22のストッパレバー2214を固定位置から可動位置に揺動させて、昇降板18の移動を可能な状態とし、ハンドル2210を回転操作して昇降板18を下降させ、第1コネクタCN1を第1保持部26の空間に挿入させる。
そして、第1保持部26のねじ部材48、一対の押さえねじ50を操作して第1コネクタCN1を挟持板44とプレート42の間に挟持させる。
【0067】
この状態で、第1支持部28を基盤12上で位置決めしたのち、第1支持部28の支持枠部材60を固定プレート34とボルトB5を介して基盤12上に固定する。
これにより、
図15に示すように、収容部材62の下面に基盤12が位置し、収容部材62の上面の周囲に蓋板66が位置するため、基盤12と蓋板66により構成された移動阻止部70によって、挿抜時における収容部6002に収容された収容部材62のコネクタの挿抜方向の移動が阻止される。
【0068】
次に、高さ調整装置22のストッパレバー2214を可動位置から固定位置に揺動させて昇降板18の位置を固定したのち、往復移動部24のモータ2402をゆっくりと回転させ、第2保持部30を下限位置と上限位置との間で昇降させる。
これにより第2コネクタCN2が第1コネクタCN1に挿抜される。
【0069】
ここで、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との挿抜方向の位置ずれ、あるいは、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との挿抜方向と直交する方向の位置ずれが無いか否か、すなわち第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の挿抜動作が正常になされているか否かを確認する。
上記の位置ずれが生じているならば、高さ調整装置22を操作して第2保持部30の高さ位置を調整し、また、第1保持部26の基盤12上での位置決め調整を行ない、第2コネクタCN2に対する、挿抜方向と直交する方向での第1コネクタCN1の位置を調整したのち、再度上記の動作確認を行う。
位置ずれが無ければ、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の挿抜動作が正常になされているため、往復移動部24を不図示の制御装置によって制御して挿抜試験を開始する。
すなわち、不図示の制御装置によりモータ2402が所定の回転速度で回転され、往復移動部24により第2保持部30に保持された第2コネクタCN2が昇降し、基盤12に固定された第1保持部26に保持された第1コネクタCN1に対して第2コネクタCN2が繰り返して挿抜される。
【0070】
このようなコネクタの挿抜は、予め制御装置に設定された所定の設定挿抜回数に到達するまでなされ、挿抜回数が設定挿抜回数に到達したならば、制御装置によりモータ2402の回転が停止される。
挿抜試験の終了後、第1コネクタCN1および第2コネクタCN2について電気的、機械的な測定がなされ、耐久性の評価がなされる。
【0071】
本実施の形態によれば、第1支持部28は、複数の内周面(内側面6004)を有する収容部6002を有する支持枠部材60と、第1保持部26に連結され複数の外周面(外側面6202)を有し、各外周面と各内周面との間に隙間Sを介在させた状態で挿抜方向に移動不能に収容部6002に収容された収容部材62と、収容部材62を収容部6002の中央に位置するように付勢する付勢部72(ボールプランジャ64)と、収容部6002内において挿抜方向と直交する方向における収容部材62の所定範囲内の移動および収容部6002内において挿抜方向の周りの収容部材62の所定の角度範囲内における回転を許容する移動回転許容部74(収容部6002の内側面6004、収容部材62の外側面6202、および隙間S)とを備えている。
そのため、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との相対的位置、姿勢が厳密に合致していない場合であっても、収容部材62はコネクタの挿抜方向と直交する方向へ所定範囲内で移動し、あるいは、挿抜方向の周りに所定の角度範囲内で回転できるため、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に嵌合できる。
したがって、人の手を用いて第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の挿抜を行なうのと同等の条件で挿抜試験を行なう上で有利となり、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0072】
また、収容部6002の内周面と収容部材62の外周面とにより移動回転許容部74を構成する場合、収容部6002と収容部材62の断面形状は、例えば、三角形や五角形、六角形などの多角形でもよく、あるいは、楕円などであってもよい。
しかしながら、本実施の形態のように収容部6002と収容部材62とをともに断面を矩形に形成すると、加工しやすい単純な形状となるため、隙間Sを正確に確実に形成でき、移動回転許容部74を精度よく製作する上で有利となる。
したがって、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に嵌合でき、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0073】
また、付勢部72は、支持枠部材60に設けられた複数のコイルスプリングや板ばねで構成するようにしてもよいが、本実施の形態のように付勢部72をボールプランジャ64で構成すると、複数の剛球6404が収容部材62の各外側面6202を、各外側面6202の直交する方向から押圧するため、収容部6002の中央に収容部材62を安定した状態で位置させる上で有利となる。
したがって、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に嵌合でき、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
また、本実施の形態によれば、ボールプランジャ64の雄ねじ6402を回転操作することで収容部材62の外側面6202に対する剛球6404の押圧力を調整することができる。
したがって、剛球6404の押圧力が弱い場合には強め、また、剛球6404の押圧力が強い場合には弱め、収容部6002の中央に収容部材62を適正な押圧力を付与した状態で位置させる上で有利となり、嵌合時に無理な力が端子に加わることなく第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に嵌合させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、剛球6404が押圧される外側面6202の箇所に、外側面6202の内側に窪む係合凹部62Aが設けられているので、剛球6404の押圧力を収容部材62の外側面6202に確実に作用させる上で有利となる。
したがって、収容部6002の中央に収容部材62を安定した状態で位置させる上で有利となり、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に嵌合させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、第1支持部28の支持枠部材60は基盤12上に固定され、基盤12と反対に位置する支持枠部材60の上面に蓋板66が取着され、収容部材62は収容部6002内において、基盤12と蓋板66とによりコネクタの挿抜方向に移動不能に支持されている。
したがって、収容部材62が収容部6002に収容された状態でコネクタの挿抜方向における収容部材62の移動を阻止する移動阻止部70(基盤12、蓋板66)の構造を簡単化でき、また、収容部材62のコネクタの挿抜方向における移動を確実に阻止できることから、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを円滑に挿抜させ、挿抜試験の信頼性の向上を図る上で有利となる。
【0076】
(第2の実施の形態)
次に、
図16を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態では、収容部材62を収容部6002の中央に位置するように付勢する付勢部72の構造が第1の実施の形態と異なっており、付勢部72以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
すなわち、第2の実施の形態の付勢部72は、収容部6002の内周面(内側面6004)と収容部材62の外周面(外側面6202)との間の隙間Sに、内周面と外周面とにより圧縮された状態で配置されたゴム板80で構成されている。
【0077】
ゴム板80は、収容部6002の4つの内側面6004と収容部材62の4つの外側面6202との間にそれぞれ介設され、4枚設けられている。
そして、このようなゴム板80により収容部材62は収容部6002の中央に位置するように付勢されている。
第2の実施の形態では、隙間Sにゴム板80が配置され、移動回転許容部74は、収容部6002内においてコネクタの挿抜方向と直交する方向における収容部材62の所定範囲内の移動および収容部6002内において収容部材62が、コネクタの挿抜方向の周りの所定の角度範囲以内における回転を許容するように形成されていなければならないため、隙間Sは、第1の実施の形態に比べ、若干大きな寸法となる。
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0078】
なお、本実施の形態では、収容部6002の内周面(内側面6004)と収容部材62の外周面(外側面6202)とそれらの間の隙間Sにより、収容部6002内においてコネクタの挿抜方向と直交する方向における収容部材62の所定範囲内の移動、および収容部6002内においてコネクタの挿抜方向の周りの収容部材62の所定の角度範囲以内における回転を許容する移動回転許容部74が構成された場合について説明したが、移動回転許容部の構成は上記に限定されない。
例えば、収容部を円柱状の凹部で形成し、収容部材を円柱状に形成し、それら収容部の内周面と収容部材の外周面との間に隙間Sを介在させて収容部材を収容部に収容した場合、収容部材の外周面に周方向に所定長延在する凹溝を形成し、収容部の内周面からこの凹溝に突出するストッパを設け、この凹溝とストッパにより移動回転許容部を構成するなど任意である。
【0079】
また、本実施の形態では、往復移動部24により第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを上下方向において挿抜させた場合について説明したが、挿抜方向は水平方向や、上下方向および水平方向に交差する方向でもよく、任意である。
また、本実施の形態では、基盤12に固定された第1支持部28に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は往復移動部24により移動される第2支持部32に適用してもよく、あるいは、第1支持部28と第2支持部32の双方に適用してもよい。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、
図17-
図21を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、収容部材を蓋板に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部が設けられている点が第1の実施の形態と異なっている。
図17に示すように、第1支持部28は、支持枠部材60と、収容部材62と、移動阻止部70と、付勢部72と、移動回転許容部74とを含んで構成されている。
【0081】
図18、
図19に示すように、支持枠部材60は、第1の実施の形態と同様に、矩形の枠状を呈し、その中央に、断面が正方形の収容部6002がコネクタの挿抜方向に貫通して設けられている。
図17、
図18に示すように、基盤12と反対に位置する支持枠部材60の上面6008に蓋板66が取着されている。
蓋板66は、矩形枠状を呈し、その中央に第1連結柱2802の断面よりも大きい輪郭で、かつ、収容部材62の断面よりも小さい輪郭の開口部6602が設けられている。
蓋板66の外縁は、支持枠部材60の上面6008の輪郭と同じ大きさの正方形で形成され、蓋板66の4つの角部のボルト挿通孔66Aに挿通したボルトが、支持枠部材60の雌ねじ60Aに螺合することで蓋板66は支持枠部材60の上面6008に取り付けられている。
【0082】
図17に示すように、基盤12側に位置する支持枠部材60の下面6010に底板82が取着されている。
底板82の外縁は、支持枠部材60の下面6010の輪郭と同じ大きさの正方形で形成されている。
したがって、第1支持部28側に位置する支持枠部材60の上面6008に蓋板66が取着され、上面6008と反対に位置する支持枠部材60の下面6010に底板82が取着されている。
図19に示すように、支持枠部材60の下面6010の4つの角部には雌ねじ60Dが設けられている。
底板82の4つの角部にはねじ挿通孔82Aと、ねじ挿通孔82Aと同軸上に形成された座ぐり孔82Bがそれぞれ設けられている。
底板82は、その上面8202が支持枠部材60の下面6010に重ね合わされた状態で4つのねじ挿通孔82Aに挿通されたボルトB7が、支持枠部材60の下面6010の4つの角部の雌ねじ60Dに螺合することで支持枠部材60の下面6010に取り付けられている。
このように底板82が支持枠部材60の下面6010に取り付けられることで支持枠部材60の収容部6002の下部は閉塞される。
ボルトB7の頭部が座ぐり孔82Bに位置することで、ボルトB7の頭部は底板82の下面8204よりも上方に位置しており、支持枠部材60が基盤12上に取り付けられた状態でボルトB7の頭部が基盤12と干渉しないように図られている。
【0083】
図21に示すように、収容部材62は蓋板66と底板82との間で収容部6002内で挿抜方向に移動可能に配置され、言い換えると、収容部材62は蓋板66と底板82との間で支持枠部材60に対して挿抜方向に移動可能に配置されている。
すなわち、蓋板66の下面6610から底板82の上面8202までの寸法に対して、収容部材62の下面6212から上面6210までの寸法は小さい。
図20に示すように、収容部材62は、4つの雌ねじ62Bと4つの調整孔62Cとが同軸上に設けられている。
すなわち、収容部材62の下面6212の4つの角部には、雌ねじ62Bがコネクタの挿抜方向に沿って下面6212から上面6210寄りの箇所までそれぞれ形成されている。
収容部材62の上面6210の4つの角部には、雌ねじ62Bの内径よりも小径の調整孔62Cが雌ねじ62Bと同軸上に形成され、調整孔62Cは雌ねじ62Bに連通している。
【0084】
図21に示すように、各雌ねじ62Bには、ボールプランジャ84が結合されている。
ボールプランジャ84は、雌ねじ62Bに螺合する雄ねじ8402と、雄ねじ8402の内部に収容された剛球8404(突出部)とコイルスプリング(不図示)とを含んで構成され、第1の実施の形態のボールプランジャ64と同様に市販品が用いられている。
また、第1の実施の形態のボールプランジャ64と同様に、剛球8404がコイルスプリングにより突出位置に付勢され、剛球8404にそれが突出する方向と逆向きの荷重を与えると突出位置から雄ねじ8402の内部に向かって後退し、荷重がなくなるとコイルスプリングの付勢力で元の突出位置に戻る。
【0085】
本実施の形態では、各雌ねじ62Bにボールプランジャ84が結合され、支持枠部材60の上面6008に蓋板66が取り付けられ、下面6010に底板82が取り付けられた状態で、調整孔62Cから挿入した工具(ドライバ)によってボールプランジャ84を正逆方向に回転させることで、ボールプランジャ84を底板82に対して離間接近する方向に移動させることができる。
ボールプランジャ84を底板82に接近する方向に移動させ、剛球8404を底板82の上面8202に押圧させることで、コイルスプリングの付勢力により収容部材62の上面6210を蓋板66の下面6610に当接させた状態する。
このとき、収容部材62の下面6212と底板82の上面8202との間には隙間S1が確保される。
したがって、第3実施の形態では、4つのボールプランジャ84が収容部材62を蓋板66に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部86を構成している。
この際、挿抜方向付勢部86の付勢力は、工具によってボールプランジャ84の移動量を調整することにより調整され、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが嵌合するに要する力よりも大きく設定される。
したがって、収容部材62が収容部6002に収容された状態で挿抜時における挿抜方向の収容部材62の移動を阻止する移動阻止部70は、蓋板66と底板82と挿抜方向付勢部86とを含んで構成されている。
なお、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが嵌合するとは、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが完全な状態で結合することを意味し、したがって、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが完全な状態で結合するに要する力よりも大きな力が収容部材62に作用した際にボールプランジャ84の剛球8404がボールプランジャ84内に没入することになる。
【0086】
次に、第3の実施の形態の作用効果について説明する。
挿抜試験においては、往復移動部24により第2保持部30に保持された第2コネクタCN2が昇降し、基盤12に固定された第1保持部26に保持された第1コネクタCN1に対して第2コネクタCN2が繰り返して挿抜される。
この際、コネクタの挿抜方向における第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との相対的位置が適切であれば、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との嵌合状態が適切なものとなる。
これに対して、上記相対位置が近すぎると、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の嵌合が行き過ぎてそれらコネクタに過剰な負荷が作用することが懸念される。
すなわち、上記相対位置が近すぎると挿抜試験が不適切なものとなる。
また、挿抜試験の初期段階では、上記相対位置が適切であっても、挿抜動作が繰り返されることで上記相対位置が少しずつ変動すると、適切な相対位置からずれてしまい、挿抜試験が不適切なものとなる。
【0087】
そこで、第3の実施の形態では、収容部材62を蓋板66と底板82との間で支持枠部材60に対して挿抜方向に移動可能に配置し、収容部材62を蓋板66に当接する方向に常時付勢する挿抜方向付勢部86を設け、挿抜方向付勢部86の付勢力を、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが嵌合するに要する力よりも大きく設定した。
したがって、往復移動部24の動作により第2コネクタCN2が第1コネクタCN1に接近して嵌合する際には、各ボールプランジャ84の剛球8404はボールプランジャ84内に没入することはなく、第2コネクタCN2と第1コネクタCN1とが確実に嵌合される。
この場合、コネクタの挿抜方向における第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との相対的位置が適切であれば、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との嵌合状態が適切なものとなる。
しかしながら、第1コネクタCN1に対して第2コネクタCN2が繰り返して挿抜されることにより、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との挿抜方向における相対位置が初期位置よりも近くなる場合には、第2コネクタCN2と第1コネクタCN1とが確実に嵌合されたのちも、第1コネクタCN1は第2コネクタCN2により押され続けることになり、第1コネクタCN1に作用する力は、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが嵌合するに要する力よりも大きくなり、第1コネクタCN1は強制的に底板82側に変位し、各ボールプランジャ84の剛球8404はボールプランジャ84内に没入する。
したがって、第1コネクタCN1および第2コネクタCN2に過剰な負荷がかかることを抑制し、第1コネクタCN1および第2コネクタCN2の損傷を抑制する上で有利となる。
したがって、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、次の効果が奏される。すなわち、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2との嵌合状態を適切なものとすることができ、人の手を用いて第1コネクタCN1と第2コネクタCN2の挿抜を行なうのと同等の条件で挿抜試験を行なう上でより有利となり、挿抜試験の信頼性の向上を図る上でより一層有利となる。
【符号の説明】
【0088】
10 コネクタの挿抜試験装置
12 基盤
14 支柱
16 天板
18 昇降板
20 昇降ガイド部
22 高さ調整装置
24 往復移動部
26 第1保持部
28 第1支持部
30 第2保持部
32 第2支持部
34 固定プレート
34A 長溝
40 保持部本体
42 プレート
44 挟持板
46 挟持板ガイド部
48 ねじ部材
50 押さえねじ
60 支持枠部材
60A 雌ねじ
60B 雌ねじ
6002 収容部
6004 内側面
6006 外側面
6008 上面
6010 下面
60C 取付用凹部
60D 雌ねじ
62 収容部材
62A 係合凹部
62B雌ねじ
62C調整孔
6202 外側面
6204 凹部
6206 ねじ挿通孔
6210 上面
6212 下面
64 ボールプランジャ
6402 雄ねじ
6404 剛球
66 蓋板
66A ボルト挿通孔
6602 開口部
6610 下面
70 移動阻止部
72 付勢部
74 移動回転許容部
80 ゴム板
82 底板
82A ねじ挿通孔
82B 座ぐり孔
8202 上面
8204 下面
84 ボールプランジャ
8402 雄ねじ
8404 剛球
86 挿抜方向付勢部
B1~B7 ボルト
CN1 第1コネクタ
CN2 第2コネクタ
S、S1 隙間