IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンマーホールディングス株式会社の特許一覧

特許7641205自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム
<>
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図1
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図2
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図3
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図4A
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図4B
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図4C
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図5
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図6
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図7
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図8
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図9
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図10
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図11A
  • 特許-自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム 図11B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250227BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
G05D1/43
A01B69/00 303Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021143121
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036211
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】西別府 慎也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 晃史
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-30760(JP,A)
【文献】特開2017-158532(JP,A)
【文献】特開2019-101932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、
前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、
を実行する自動走行方法。
【請求項2】
前記第1設定操作が受け付けられた場合に、前記作業車両を前記第1直進経路の終端位置から始端位置まで後進方向に自動走行させる、
請求項1に記載の自動走行方法。
【請求項3】
前記作業車両が前記第1直進経路の始端位置に到達した後に、前記作業車両を後方において第2直進経路まで旋回走行させる、
請求項2に記載の自動走行方法。
【請求項4】
前記第1設定操作が受け付けられた場合において、前記作業車両が前記第1直進経路の終端位置に到達した後にユーザーによる所定の操作が行われた場合に、前記作業車両の前記後進方向への自動走行を開始させる、
請求項2又は3に記載の自動走行方法。
【請求項5】
前記作業車両が自動走行モードにより前記第1直進経路を後進方向に自動走行して前記第1直進経路の始点位置に到達したときに前記自動走行モードを解除する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項6】
前記第2設定操作が受け付けられた場合において、前記作業車両が前記第1直進経路の終端位置に到達した後に、前記作業車両はユーザーの手動操作に基づいて前記第2直進経路まで旋回走行する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項7】
前記作業車両が自動走行モードにより前記第1直進経路を前進方向に自動走行して前記第1直進経路の終端位置に到達したときに前記自動走行モードを解除する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項8】
前記作業車両は、前記複数の直進経路のそれぞれにおいて所定の作業を行う作業機を備え、
前記作業車両が前記第1直進経路の終端位置に到達した後に前記作業機の動作を停止することを設定する第3設定操作を受付可能である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項9】
前記作業車両は、前記複数の直進経路のそれぞれにおいて所定の作業を行う作業機を備え、
前記作業機が前記作業車両に牽引されて移動する牽引型の作業機である場合に、前記第1設定操作の受け付けを拒否し、前記第2設定操作の受け付けを許可する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項10】
前記目標経路は、予め設定された、前記複数の直進経路と前記複数の直進経路のそれぞれを接続する複数の旋回経路とを含み、
前記作業車両は、前記目標経路のうち前記複数の直進経路の情報を利用して、前記複数の直進経路のそれぞれを自動走行する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項11】
予め設定された前記複数の直進経路を前記作業車両の現在位置に基づいて移動させることにより前記目標経路を修正する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の自動走行方法。
【請求項12】
複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、
前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置まで後進方向に自動走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方においてユーザーによる手動操作に基づいて第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、
を実行する自動走行方法。
【請求項13】
複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成する生成処理部と、
前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能な受付処理部と、
を備える自動走行システム。
【請求項14】
複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、
前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための自動走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両を走行させる自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場に対して設定された目標経路に従って自動走行を行う作業車両が知られている。例えば特許文献1には、作業幅に応じた一定間隔ごとに平行に並ぶ複数の直進経路と、隣接する直進経路同士を接続する複数の旋回経路とを含む目標経路を生成し、作業機を備える作業車両を、前記目標経路に従って自動走行させながら所定の作業を行わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-040496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、作業車両が、大型の作業機や、補助作業者が搭乗して収穫作業を行う作業機などを備える場合、作業車両全体の大きさ(全長、横幅など)が大きくなり、作業車両を旋回走行させることが困難になる。このため、作業車両を予め生成された目標経路に従って直進経路及び旋回経路を自動走行させる従来の技術では、特に作業車両全体の大きさが大きくなる前記作業機を備える作業車両において、目標経路を効率よく走行することが困難になり作業効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、作業機を備える作業車両における作業効率を向上させることが可能な自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自動走行方法は、複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、を実行する方法である。
【0007】
また、本発明に係る自動走行方法は、複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置まで後進方向に自動走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方においてユーザーによる手動操作に基づいて第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、を実行する方法である。
【0008】
本発明に係る自動走行システムは、生成処理部と受付処理部とを備える。前記生成処理部は、複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成する。前記受付処理部は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能である。
【0009】
本発明に係る自動走行プログラムは、複数の直進経路を含み、作業車両を各直進経路の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路を生成することと、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前記第1直進経路の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、前記作業車両が第1直進経路の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能とすることと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機を備える作業車両における作業効率を向上させることが可能な自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態に係る作業車両の旋回方法の一例を示す図である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に係る作業車両の旋回方法の一例を示す図である。
図4C図4Cは、本発明の実施形態に係る作業車両の旋回方法の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される操作画面(メニュー画面)の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される操作画面(旋回方法設定画面)の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る作業車両において実行される自動走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される操作画面(旋回方法設定画面)の他の例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の他の例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される操作画面(走行モード選択画面)の一例を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の実施形態に係る目標経路の修正方法の一例を示す図である。
図11B図11Bは、本発明の実施形態に係る目標経路の修正方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る自動走行システム1は、作業車両10と操作端末20とを含んでいる。作業車両10及び操作端末20は、通信網N1を介して通信可能である。例えば、作業車両10及び操作端末20は、携帯電話回線網、パケット回線網、又は無線LANを介して通信可能である。自動走行システム1は、圃場F内において作業車両10を自動走行させるシステムである。
【0014】
本実施形態では、作業車両10がトラクタである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、圃場F(図3参照)内を予め設定された目標経路Rに従って自動走行(自律走行)可能な構成を備える、所謂ロボットトラクタである。また、作業車両10は、所定の作業を行う作業機14を備える。具体的には、作業車両10は、圃場Fにおいて、作業開始位置Sから作業終了位置Gまで目標経路Rに含まれる複数の直進経路R1を自動走行しながら作業機14に所定の作業を実行させる。また、作業車両10は、一つの直進経路R1から次の直進経路R1までの区間を、オペレータの手動操作に基づいて旋回走行(手動走行)する。すなわち、作業車両10は、直進経路R1の自動走行と旋回経路R2(図4A図4C参照)の手動走行とを繰り返しながら圃場F内を走行して作業を行う。なお、目標経路Rは、作業車両10が自動走行する対象経路であって、オペレータの登録操作に基づいて予め生成される経路である。本実施形態では、各直進経路R1が目標経路Rに相当する。
【0015】
図3には、圃場Fに対して予め設定された目標経路Rの一例を示している。目標経路Rは、平行に並ぶ複数の直進経路R1を含んでいる。各直進経路R1は、作業車両10による作業開始位置(進入位置)となる始端位置と、作業車両10による作業終了位置(退出位置)となる終端位置とを結ぶ直線経路である。また、目標経路Rは、圃場Fにおいて作業を開始する作業開始位置Sと、作業を終了する作業終了位置Gとを含んでいる。作業車両10は、操作端末20において生成された目標経路Rのデータを取得して、当該目標経路Rに従って各直進経路R1を自動走行する。
【0016】
図4A図4Cには、圃場Fにおいて直進経路R1同士を結ぶ旋回経路R2の一例を示している。図4A及び図4Bに示す例では、作業車両10は、直進経路R1の終端位置に到達した後、オペレータによる手動操作に基づいて、前方において次の直進経路R1まで旋回走行する。なお、図4Aに示す例では、作業車両10は、隣接する直進経路R1をスキップして次の直進経路R1に向かって旋回経路R2を走行する。図4Bに示す例では、作業車両10は、隣接する直進経路R1に向かって旋回経路R2を走行する。このため、図4Bに示す旋回経路R2は、前進方向に旋回走行した後に後進方向に直進走行(後進走行)する経路を含み、所謂フィッシュテール状の方向転換経路で構成される。
【0017】
図4Cに示す例では、作業車両10は、直進経路R1の終端位置に到達した後、当該直進経路R1の始端位置に向かって後進走行する。例えば、作業車両10は、直進経路R1の終端位置に到達して一時停止した後にオペレータ(例えば運転者)が後進指示操作(例えばシフトレバーを「後進(R)」に入れる操作)を行った場合に、直進経路R1の終端位置から始端位置まで後進方向に自動走行する。このように、作業車両10は、同一の直進経路R1において、前進走行した後に後進走行する。また、作業車両10は、直進経路R1の始端位置に到達した後、オペレータによる手動操作に基づいて、後方において次の直進経路R1まで旋回経路R2を旋回走行する。例えば、作業車両10は、直進経路R1の始端位置から後進方向に旋回し、その後、前進方向に旋回しながら次の直進経路R1に進入する。図4Cの旋回方法は、旋回範囲が狭くなる利点を有する。
【0018】
オペレータは、操作端末20において、圃場Fに対する目標経路Rを生成する際に作業車両10の旋回方法(図4A図4C参照)を設定することができる。操作端末20は、前記旋回方法の情報が関連付けられた目標経路Rのデータを作業車両10に転送し、作業車両10は、操作端末20から当該データを受信して、目標経路R及び前記旋回方法に従って、自動走行処理及び手動走行処理を実行する。前記自動走行処理及び前記手動走行処理を実現するための具体的構成について以下に説明する。
【0019】
[作業車両10]
図1及び図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。
【0020】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して操作端末20などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0021】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に後述の自動走行処理(図7参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作端末20において生成される目標経路Rのデータが記憶されてもよい。
【0022】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。図2に示すように、走行装置13は、エンジン131、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0023】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11及び測位装置16等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0024】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸141を介して作業機14にも伝達される。作業車両10が自動走行を行う場合、走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0025】
作業機14は、例えば収穫機、耕耘機、播種機、草刈機、プラウ、又は施肥機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。また、作業機14は、補助作業者が作業機14に搭乗して作業機14上で所定の手作業を行うことが可能な作業機であってもよい。例えば、作業機14が収穫機の場合、補助作業者は作業機14上で作業機14が土壌から掘り起こした収穫物を手作業で収穫する。図2では、作業機14の詳細は省略し模式的に示している。
【0026】
また、作業機14は、作業車両10において、昇降機構(不図示)により昇降可能に支持されてもよい。この場合、車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機14を昇降させる。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が圃場Fの作業経路(直進経路R1)を走行する場合に作業機14を下降させ、作業車両10が非作業経路(旋回経路R2、枕地領域)を走行する場合に作業機14を上昇させる。
【0027】
また、作業機14は、作業車両10に牽引されて移動する牽引型の作業機であってもよい。例えば、作業機14は、水平方向に回転可能な回転軸を介して作業車両10に連結されてもよい。
【0028】
車両制御装置11は、作業の開始指示を取得した場合に、作業機14に作業の開始命令を出力する。例えば、車両制御装置11は、操作端末20においてオペレータが作業開始指示操作を行った場合に、前記開始指示を取得する。車両制御装置11は、前記開始指示を取得すると、PTO軸141の駆動を開始させて作業機14の作業を開始させる。また、車両制御装置11は、作業の停止指示を取得した場合に、作業機14に作業の停止命令を出力する。例えば、車両制御装置11は、操作端末20においてオペレータが停止指示操作を行った場合に、前記停止指示を取得する。車両制御装置11は、前記停止指示を取得すると、PTO軸141の駆動を停止させて作業機14の作業を停止させる。なお、オペレータは、作業車両10が各直進経路R1の終端位置に到達した場合に作業機14の作業を停止させない(PTO軸141の駆動を維持する)ように設定することも可能である(詳細は後述する)。この場合においては、車両制御装置11は、各直進経路R1の終端位置に到達した場合に、前記開始指示を取得することが可能であり、また、各直進経路R1の終端位置に到達した場合に、前記停止指示を取得することも可能である。
【0029】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13では、車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、不図示の油圧式パワーステアリング機構などによって前輪132の角度が変更され、作業車両10の進行方向が変更される。例えば、オペレータは、作業車両10に搭乗してハンドル137を操作して旋回経路R2を手動走行させる。なお、オペレータは、作業車両10の傍で、操作具(リモコンなど)を操作して旋回経路R2を手動走行させてもよい。
【0030】
また、走行装置13は、ハンドル137の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置13では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン131の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。
【0031】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限らない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0032】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるためのプログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0033】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して基地局(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。測位用アンテナ164は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0034】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GPS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0035】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。
【0036】
ところで、作業車両10が、大型の作業機14や、補助作業者が搭乗して収穫作業を行う作業機14などを備える場合、作業車両全体の大きさ(全長、横幅など)が大きくなり、作業車両10を旋回走行させることが困難になる。このため、作業車両10を予め生成された目標経路Rに従って直進経路R1及び旋回経路R2を自動走行させる従来の技術では、特に作業車両全体の大きさが大きくなる作業機14を備える作業車両10において、目標経路Rを効率よく走行することが困難になり作業効率が低下する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る自動走行システム1は、以下に示すように、作業機14を備える作業車両10における作業効率を向上させることが可能である。
【0037】
具体的には、図1に示すように、車両制御装置11は、走行処理部111及び切替処理部112などの各種の処理部を含む。なお、車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0038】
走行処理部111は、作業車両10の走行を制御する。具体的には、走行処理部111は、測位制御部161により測位される作業車両10の現在位置を示す位置情報に基づいて作業車両10を自動走行させる。例えば、測位状態がRTK測位可能な状態になって、操作端末20の操作画面(不図示)においてオペレータがスタートボタンを押下すると、操作端末20は作業開始指示を作業車両10に出力する。作業車両10の走行処理部111は、操作端末20から前記作業開始指示を取得すると、測位制御部161により測位される作業車両10の現在位置を示す位置情報に基づいて作業車両10の自動走行を開始させる。これにより、作業車両10は、目標経路Rに従って各直進経路R1を自動走行しながら、作業機14による作業を行う。なお、目標経路Rは、例えば操作端末20により生成される。作業車両10は、操作端末20から目標経路Rのデータを取得して、目標経路Rに従って圃場F内を自動走行する(図3参照)。
【0039】
切替処理部112は、作業車両10の走行モードを切り替える。具体的には、切替処理部112は、作業車両10を目標経路Rに従って自動走行させる自動走行モードと、作業車両10をオペレータによる手動操作に基づいて手動走行させる手動走行モードとを相互に切り替える。なお、切替処理部112は、自動走行モードをONすることにより自動走行モードに設定し、自動走行モードをOFFすることにより手動走行モードに設定する構成であってもよい。ここで、目標経路Rには、作業車両10の旋回方法の情報が含まれる。例えば、目標経路Rには、(1)作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)、又は、(2)作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)の情報が含まれる。
【0040】
切替処理部112は、目標経路Rに関連付けられた前記第1旋回方法(図4C参照)の情報を取得すると、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した時点で自動走行モードをOFFにする。これにより、作業車両10は直進経路R1の終端位置で一時停止する。その後、切替処理部112は、オペレータが後進指示操作(例えばシフトレバーを「後進(R)」に入れる操作)を行った時点で自動走行モードをONにする。これにより、走行処理部111は、作業車両10を直進経路R1の終端位置から始端位置まで後進方向に自動走行させる。その後、切替処理部112は、作業車両10が直進経路R1の始端位置に到達した時点で自動走行モードをOFFにする。これにより、作業車両10は直進経路R1の始端位置で一時停止する。その後、走行処理部111は、オペレータによる手動操作を受け付けて、後方において次の直進経路R1まで旋回走行させる。作業車両10が次の直進経路R1の始端位置に到達すると、切替処理部112は自動走行モードをONにする。そして、作業車両10は、次の直進経路R1を自動走行しながら作業を行う。
【0041】
これに対して、切替処理部112は、目標経路Rに関連付けられた前記第2旋回方法(図4A及び図4B参照)の情報を取得すると、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した時点で自動走行モードをOFF(手動走行モードをON)にする。これにより、作業車両10は直進経路R1の終端位置で一時停止する。その後、走行処理部111は、オペレータによる手動操作を受け付けて、前方において次の直進経路R1まで旋回走行させる。作業車両10が次の直進経路R1の始端位置に到達すると、切替処理部112は、自動走行モードをON(手動走行モードをOFF)にする。そして、作業車両10は、次の直進経路R1を自動走行しながら作業を行う。
【0042】
このように、車両制御装置11は、目標経路R及び前記旋回方法に基づいて、直進経路R1を自動走行させるとともに、直進経路R1の自動走行が終了した時点で作業車両10を一時停止させて、前方による旋回走行、及び、直進経路R1を後進して後方による旋回走行のいずれかを実行させる。また、車両制御装置11は、目標経路R及び前記旋回方法に基づいて、直進経路R1を自動走行させるとともに、直進経路R1の自動走行が終了した時点で作業車両10を一時停止させて、手動走行(旋回走行)、及び、自動走行(直進経路R1の後進走行)のいずれかを実行させる。なお、他の実施形態として、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路R1を後進走行する場合に(図4C参照)、オペレータによる手動操作に基づいて手動走行させてもよい。
【0043】
[操作端末20]
図1に示すように、操作端末20は、操作制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信部24などを備える情報処理装置である。操作端末20は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末で構成されてもよい。
【0044】
通信部24は、操作端末20を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して一又は複数の作業車両10などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0045】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。オペレータは、前記表示部に表示される操作画面において、前記操作部を操作して各種情報(後述の作業車両情報、圃場情報、作業情報など)を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、前記操作部を操作して作業車両10に対する自動走行指示を行うことが可能である。さらに、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、操作端末20に表示される走行軌跡により、圃場F内を目標経路Rに従って自動走行する作業車両10の走行状態を把握することが可能である。
【0046】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、操作制御部21に後述の自動走行処理(図7参照)を実行させるための自動走行プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末20が備える所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して操作端末20にダウンロードされて記憶部22に記憶されてもよい。また、記憶部22は、作業車両10から送信される作業情報を記憶してもよい。
【0047】
また、記憶部22には、作業車両10を自動走行させるための専用アプリケーションがインストールされている。操作制御部21は、前記専用アプリケーションを起動させて、作業車両10に関する各種情報の設定処理、作業車両10の目標経路Rの生成処理、作業車両10に対する自動走行指示などを行う。
【0048】
操作制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、操作制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作端末20を制御する。
【0049】
図1に示すように、操作制御部21は、車両設定処理部211、圃場設定処理部212、作業設定処理部213、経路生成処理部214、受付処理部215、及び出力処理部216などの各種の処理部を含む。なお、操作制御部21は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0050】
車両設定処理部211は、作業車両10に関する情報(以下、作業車両情報という。)を設定する。車両設定処理部211は、作業車両10の機種、作業車両10において測位用アンテナ164が取り付けられている位置、作業機14の種類、作業機14のサイズ及び形状、作業機14の作業車両10に対する位置等の情報について、オペレータが操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0051】
例えば、オペレータは、図5示すメニュー画面D1の「作業機登録」を選択して前記作業車両情報を登録する。オペレータは、操作画面(不図示)において、作業機14に関する前記各情報を登録する。
【0052】
圃場設定処理部212は、圃場Fに関する情報(以下、圃場情報という。)を設定する。圃場設定処理部212は、圃場Fの位置及び形状、作業を開始する作業開始位置S及び作業を終了する作業終了位置G、作業方向等の情報について、操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0053】
なお、作業方向とは、圃場Fから枕地、非耕作地等を除いた領域において、作業機14で作業を行いながら作業車両10を走行させる方向を意味する。
【0054】
圃場Fの位置及び形状の情報は、例えばオペレータが作業車両10に搭乗して圃場Fの外周に沿って一回り周回するように運転し、そのときの測位用アンテナ164の位置情報の推移を記録することで、自動的に取得することができる。また、圃場Fの位置及び形状は、操作端末20に地図を表示させた状態でオペレータが操作端末20を操作して当該地図上の複数の点を指定することで得られた多角形に基づいて取得することもできる。取得された圃場Fの位置及び形状により特定される領域は、作業車両10を走行させることが可能な領域(走行領域)である。
【0055】
作業設定処理部213は、作業を具体的にどのように行うかに関する情報(以下、作業情報という。)を設定する。作業設定処理部213は、作業情報として、作業車両10(無人トラクタ)と有人の作業車両10の協調作業の有無、作業車両10が枕地において旋回する場合にスキップする作業経路(直進経路R1)の数であるスキップ数、枕地の幅、及び非耕作地の幅等を設定可能に構成されている。
【0056】
経路生成処理部214は、前記設定情報に基づいて、作業車両10を自動走行させる経路である目標経路Rを生成する。本実施形態の目標経路Rは、作業機14が作業を行う複数の作業経路(直進経路R1)を含む(図3参照)。すなわち、経路生成処理部214は、複数の直進経路R1を含み、作業車両10を各直進経路R1の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路Rを生成する。経路生成処理部214は、車両設定処理部211、圃場設定処理部212及び作業設定処理部213で設定された前記各設定情報に基づいて、作業車両10の目標経路Rを生成して記憶することができる。経路生成処理部214は、本発明の生成処理部の一例である。
【0057】
具体的には、経路生成処理部214は、圃場設定で登録した作業開始位置S及び作業終了位置Gに基づいて目標経路R(図3参照)を生成する。目標経路Rは、図3に示す経路に限定されない。
【0058】
また、経路生成処理部214は、目標経路Rに関連付けて作業車両10の旋回方法の情報を登録する。具体的には、受付処理部215がオペレータの設定操作を受け付けると、経路生成処理部214が前記旋回方法を登録する。
【0059】
例えば、オペレータは、図5に示すメニュー画面D1の「経路生成」を選択して前記旋回方法を設定する操作を行う。図6には、作業車両10の旋回方法の情報を登録する操作画面D2(旋回方法設定画面)の一例を示している。操作画面D2には、自動走行の走行モードを選択する複数の選択ボタンが含まれる。ここでは、直進走行のみ自動走行を許可する走行モード(選択ボタンK1)が選択される。
【0060】
受付処理部215は、選択ボタンK1の選択操作を受け付けると、「作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行すること(後進自動走行)」を許可するか否かを設定する設定欄K2を操作画面D2に表示させる。なお、受付処理部215は、図6に示すように、設定欄K2を、前記後進自動走行を許可する状態を初期状態(デフォルト)として表示させてもよい。この場合、オペレータは、前記後進自動走行を許可しない場合に設定欄K2のチェックを外す。
【0061】
また、受付処理部215は、選択ボタンK1の選択操作を受け付けると、「作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した時点でPTO軸141の駆動を停止させること」を許可するか否かを設定する設定欄K3を操作画面D2に表示させる。PTO軸141の駆動が停止すると、作業機14の作業(駆動)が停止する。なお、受付処理部215は、図6に示すように、設定欄K3を、PTO軸141の停止を許可する状態を初期状態(デフォルト)として表示させてもよい。この場合、オペレータは、作業車両10が自動走行を停止してもPTO軸141の駆動を停止させないで補助作業者による作業を継続可能にしたい場合などに設定欄K3のチェックを外す。これにより、例えば、作業車両10が直進経路R1の終端位置で一時停止した後に後進方向に自動走行している間、補助作業者は作業(例えば収穫作業)を継続することができる。また、補助作業者が、作業車両10の運転者を兼任することもできる。
【0062】
このように、受付処理部215は、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後に作業機14の動作を停止することを設定する設定操作(本発明の第3設定操作)を受付可能である。受付処理部215は、本発明の受付処理部の一例である。
【0063】
経路生成処理部214は、設定欄K2,K3により設定された旋回方法に関する情報を目標経路Rに関連付けて登録する。例えば、経路生成処理部214は、オペレータが前記後進自動走行(設定欄K2)を許可した場合(本発明の第1設定操作)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。
【0064】
また、経路生成処理部214は、オペレータが前記後進自動走行(設定欄K2)を許可しない場合(本発明の第2設定操作)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。
【0065】
出力処理部216は、経路生成処理部214により生成された、前記旋回方法の情報を含む目標経路Rのデータを作業車両10に出力する。
【0066】
また、出力処理部216は、オペレータの操作に基づいて、作業開始指示及び作業終了指示を作業車両10に出力する。例えば、出力処理部216は、オペレータから、作業開始の指示操作(作業開始指示操作)を受け付けると、前記作業開始指示を作業車両10に出力する。作業車両10の車両制御装置11は、操作端末20から前記作業開始指示を取得すると、作業車両10の自動走行及び作業を開始させる。また、例えば、出力処理部216は、オペレータから、自動走行している作業車両10の作業を停止させる指示操作(作業停止指示操作)などを受け付けると、前記作業停止指示を作業車両10に出力する。作業車両10の車両制御装置11は、操作端末20から前記作業停止指示を取得すると、作業車両10の自動走行及び作業を停止させる。
【0067】
作業車両10は、操作端末20から転送される目標経路Rのデータを受信すると記憶部12に記憶する。作業車両10は、現在位置が圃場F内に位置している場合に自動走行できるように構成されており、現在位置が圃場F外に位置している場合には自動走行できないように構成されている。また、作業車両10は、例えば現在位置が作業開始位置Sと一致している場合に自動走行できるように構成されている。
【0068】
作業車両10は、現在位置が作業開始位置Sと一致している場合に、オペレータにより操作画面においてスタートボタンが押されて作業開始指示が与えられると、車両制御装置11によって、作業機14による作業を開始する。すなわち、操作制御部21は、現在位置が作業開始位置Sと一致していることを条件に作業車両10の自動走行を許可する。なお、作業車両10の自動走行を許可する条件は、前記条件に限定されない。
【0069】
具体的には、車両制御装置11は、目標経路Rの情報に基づいて、作業車両10を作業開始位置Sから作業終了位置Gまで直進経路R1に従って自動走行させるとともに、作業機14に作業を実行させる。また、車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了すると、作業終了位置Gから圃場Fの入口まで自動走行させてもよい。作業車両10が自動走行している場合、操作制御部21は、作業車両10の状態(位置、走行速度等)を作業車両10から受信して操作表示部23に表示させることができる。
【0070】
また、車両制御装置11は、前記後進自動走行(設定欄K2)が許可された場合(第1設定操作が受け付けられた場合)に、作業車両10を直進経路R1の終端位置から始端位置まで後進方向に自動走行させる(図4C参照)。例えば、車両制御装置11は、前記後進自動走行(設定欄K2)が許可された場合において、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後にオペレータによる所定の操作(後進指示操作)を受け付けた場合に、作業車両10の前記後進方向への自動走行を開始させる。
【0071】
また、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行モードにより直進経路R1を後進方向に自動走行して直進経路R1の始点位置に到達したときに自動走行モードを解除する。
【0072】
また、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路R1の始端位置に到達した後に、作業車両10を後方において次の直進経路R1まで旋回走行させる。例えば、車両制御装置11は、オペレータによる手動操作に基づいて、作業車両10を、直進経路R1の始端位置から次の直進経路R1の始端位置まで旋回走行(手動走行)させる。
【0073】
これに対して、車両制御装置11は、前記後進自動走行(設定欄K2)が許可されない場合(第2設定操作が受け付けられた場合)には、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後に、作業車両10をユーザーの手動操作に基づいて次の直進経路R1まで旋回走行(手動走行)させる。なお、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行モードにより直進経路R1を前進方向に自動走行して直進経路R1の終端位置に到達したときに自動走行モードを解除する。
【0074】
なお、操作端末20は、サーバー(不図示)が提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。この場合、操作端末20は、操作制御部21によってブラウザプログラムが実行されることにより、前記サーバーの操作用端末として機能することが可能である。そして、前記サーバーは、上述の各処理部を備え、各処理を実行する。
【0075】
[自動走行処理]
以下、図7を参照しつつ、自動走行システム1が実行する前記自動走行処理の一例について説明する。例えば、前記自動走行処理は、オペレータが作業車両10の目標経路Rを設定する操作を開始した場合に車両制御装置11及び操作制御部21によって開始される。
【0076】
なお、本発明は、前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する自動走行方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記自動走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは車両制御装置11及び操作制御部21が前記自動走行処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該自動走行処理における各ステップを分散して実行する自動走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0077】
ステップS1において、操作端末20の操作制御部21は、各種設定情報を登録する。具体的には、操作制御部21は、オペレータの設定操作に基づいて、作業車両10に関する情報(作業車両情報)と、圃場に関する情報(圃場情報)と、作業に関する情報(作業情報)とを設定して登録する。また、操作制御部21は、作業開始位置S及び作業終了位置G、走行方向などの情報を設定して登録する。
【0078】
次にステップS2において、操作制御部21は、前記各設定情報に基づいて、目標経路Rを生成する。例えば、操作制御部21は、圃場Fにおいて、オペレータが指定した作業開始位置S及び作業終了位置Gに基づいて、作業開始位置S及び作業終了位置Gを結ぶ目標経路Rを生成する。ここでは、操作制御部21は、複数の直進経路R1で構成される目標経路R(図3参照)を生成する。また、オペレータは、図6に示す操作画面D2において、作業車両10の旋回方法などの情報を登録する。操作制御部21は、操作画面D2の設定欄K2,K3において設定された情報を目標経路Rに関連付けて登録する。また、操作制御部21は、目標経路Rのデータを記憶部22に記憶する。
【0079】
具体的には、操作制御部21は、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後に直進経路R1の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後に前方において次の直進経路R1まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能である。
【0080】
例えば、操作制御部21は、オペレータが前記後進自動走行(設定欄K2)を許可した場合(第1設定操作を受け付けた場合)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。
【0081】
また、例えば、操作制御部21は、オペレータが前記後進自動走行(設定欄K2)を許可しない場合(第2設定操作を受け付けた場合)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。
【0082】
次にステップS3において、作業車両10の車両制御装置11は、操作端末20から作業開始指示を取得したか否かを判定する。例えば、オペレータが操作端末20の操作画面においてスタートボタンを押下すると、操作端末20は、前記旋回方法の情報を含む目標経路Rのデータと作業開始指示とを作業車両10に出力する。車両制御装置11が操作端末20から前記データ及び作業開始指示を取得すると(S3:Yes)、処理はステップS4に移行する。車両制御装置11は、操作端末20から前記データ及び作業開始指示を取得するまで待機する(S3:No)。
【0083】
次にステップS4において、車両制御装置11は、前記データに対応する目標経路Rに応じた自動走行処理を実行する。ここでは、車両制御装置11は、作業車両10の現在位置が作業開始位置S(直進経路R1の始端位置)に一致する場合に、直進走行を開始させる。また、車両制御装置11は、PTO軸141を駆動させて作業機14に作業を開始させる。これにより、作業車両10は、直進経路R1において自動走行及び作業を開始する。
【0084】
次にステップS5において、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達したか否かを判定する。作業車両10が終端位置に到達した場合(S5:Yes)、処理はステップS6に移行する。作業車両10は、終端位置に到達するまで直進走行しながら作業を行う(S5:No)。
【0085】
ステップS6において、車両制御装置11は、自動走行モードをOFFにして一時停止する。なお、オペレータが経路生成時に「作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した時点でPTO軸141の駆動を停止させること」を許可する設定操作(図6の設定欄K3)を行っていた場合(第3設定操作を受け付けた場合)には、車両制御装置11は、自動走行モードをOFFにするとともに、PTO軸141の駆動を停止する。PTO軸141の駆動を停止することにより、作業機14を停止させることができるため燃料を節約することができる。なお、オペレータが設定欄K3のチェックを外すことにより、自動走行モードがOFFした場合であってもPTO軸141の駆動を継続させることができるため、補助作業者は作業を継続することができる。
【0086】
次にステップS7において、車両制御装置11は、前記旋回方法の情報を取得する。具体的には、車両制御装置11は、目標経路Rに関連付けられた前記旋回方法を取得する。
【0087】
次にステップS8において、車両制御装置11は、取得した前記旋回方法が前記後進自動走行を許可する第1旋回方法、すなわち「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)」であるか否かを判定する。取得した前記旋回方法が前記第1旋回方法である場合(S8:Yes)、処理はステップS9に移行する。
【0088】
一方、取得した前記旋回方法が前記第1旋回方法でない場合(S8:No)、すなわち、取得した前記旋回方法が「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)」である場合、処理はステップS81に移行する。
【0089】
ステップS9において、車両制御装置11は、後進指示を取得したか否かを判定する。例えば、オペレータがシフトレバーを「後進(R)」に入れる操作(後進指示操作)を行った場合に、車両制御装置11は前記後進指示を取得する。車両制御装置11が前記後進指示を取得すると(S9:Yes)、処理はステップS10に移行する。車両制御装置11は、前記後進指示を取得するまで作業車両10を停止させた状態で待機する(S9:No)。
【0090】
ステップS10において、車両制御装置11は、自動走行モードをONにして直進経路R1を後進方向に自動走行させる。具体的には、車両制御装置11は、作業車両10が既に走行及び作業を行った直進経路R1を、終端位置から始端位置に向かって後進方向に自動走行させる(図4C参照)。なお、上述のように、シフトレバーによる操作(後進指示操作)を後進走行の条件とすることにより、作業車両10の後方で作業する補助作業者の安全を確保することができる。
【0091】
次にステップS11において、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路R1の始端位置に到達したか否かを判定する。作業車両10が始端位置に到達した場合(S11:Yes)、処理はステップS12に移行する。作業車両10は、始端位置に到達するまで後進方向に自動走行を行う(S11:No)。
【0092】
ステップS12において、車両制御装置11は、自動走行モードをOFFにして一時停止する。
【0093】
次にステップS13において、車両制御装置11は、オペレータによる手動操作に基づいて、次の直進経路R1まで移動する旋回走行(手動走行)を開始する(図4C参照)。これにより、作業車両10は、直進経路R1の始端位置の後方側において、直進経路R1の始端位置から次の直進経路R1の始端位置に向けて、オペレータによる手動操作に基づいて旋回走行を開始する。これにより、作業車両10は、180度旋回する必要がなく旋回範囲を狭くすることができるため圃場Fを荒らさず効率よく旋回することができる。ステップS13の後、処理はステップS14に移行する。
【0094】
一方、ステップS7において取得した前記旋回方法が前記第1旋回方法でない場合(前記旋回方法が第2旋回方法(図4A及び図4B参照))である場合には、ステップS81において、車両制御装置11は、オペレータによる手動操作に基づいて、次の直進経路R1まで移動する旋回走行(手動走行)を開始する(図4A及び図4B参照)。これにより、作業車両10は、直進経路R1の終端位置の前方側において、直進経路R1の終端位置から次の直進経路R1の始端位置に向けて、オペレータによる手動操作に基づいて旋回走行を開始する。ステップS81の後、処理はステップS14に移行する。
【0095】
次にステップS14において、車両制御装置11は、手動による旋回走行(手動走行)が終了したか否かを判定する。例えば、作業車両10が次の直進経路R1の始端位置に到達した場合に、車両制御装置11は旋回走行が終了したと判定する。作業車両10の旋回走行が終了すると(S14:Yes)、処理はステップS15に移行する。車両制御装置11は、作業車両10の旋回走行が終了するまで、手動による旋回走行を継続する(S14:No)。
【0096】
ステップS15において、車両制御装置11は、自動走行モードをONにして次の直進経路R1を自動走行させる。具体的には、車両制御装置11は、作業車両10が次の直進経路R1の始端位置に到達すると、自動走行モードをONにするとともにPTO軸141の駆動を再開させることにより、直進経路R1において、作業車両10を始端位置から終端位置に向かって前進方向に自動走行を開始させるとともに作業機14に作業を開始させる(図4A図4C参照)。
【0097】
次にステップS16において、車両制御装置11は、作業車両10が作業終了位置G(図3参照)に到達したか否かを判定する。作業車両10が作業終了位置Gに到達した場合(S16:Yes)、処理は終了する。一方、作業車両10が作業終了位置Gに到達していない場合(S16:No)、処理はステップS5に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0098】
このように、車両制御装置11は、作業車両10が作業開始位置Sにおいて自動走行を開始してから作業終了位置Gに到達するまで、設定された目標経路R(直進経路R1)に応じた自動走行及び作業と、設定された旋回方法に応じた旋回走行(手動走行)とを繰り返す。以上のようにして、自動走行システム1は、前記自動走行処理を実行する。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システム1は、複数の直進経路R1を含み、作業車両10を各直進経路R1の始端位置から終端位置まで自動走行させる目標経路Rを生成する。また自動走行システム1は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に第1直進経路R1の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路R1まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能である。
【0100】
また自動走行システム1は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に第1直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行することを設定する第1設定操作、又は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて第2直進経路R1まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能である。
【0101】
上記構成によれば、作業車両10を、直進経路R1のみを自動走行させることが可能である。また、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した場合に自動走行モードをOFFにして一時停止させることができる。また、オペレータは、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達した後の作業車両10の旋回方法を設定することができる。例えば、オペレータは、図6に示す操作画面D2において、(1)作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)、又は、(2)作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)を設定することができる。
【0102】
これにより、オペレータは、作業機14の種類、サイズなどの作業機情報、圃場Fの形状、枕地領域の幅などの圃場情報などに基づいて、作業車両10の最適な旋回方法を設定することができる。このため、作業車両10を目標経路Rに従って効率よく走行させることができるため、作業効率を向上させることができる。
【0103】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態について以下に説明する。
【0104】
図6に示す操作画面D2の他の実施形態として、受付処理部215は、図8に示すように、選択ボタンK1の選択操作を受け付けると、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する(手動旋回)」を許可するか否かを設定する設定欄K4を操作画面D2に表示させてもよい。なお、受付処理部215は、図8に示すように、設定欄K4を、前記手動旋回を許可しない状態を初期状態(デフォルト)として表示させてもよい。この場合、オペレータは、前記手動旋回を許可する場合に設定欄K4にチェックを入れる。
【0105】
経路生成処理部214は、オペレータが前記手動旋回(設定欄K4)を許可した場合(本発明の第2設定操作)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に前方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第2旋回方法(図4A及び図4B参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。また、経路生成処理部214は、オペレータが前記手動旋回(設定欄K4)を許可しない場合(本発明の第1設定操作)に、「作業車両10が、直進経路R1の終端位置に到達した後に当該直進経路R1の始端位置まで後進方向に自動走行し、直進経路R1の始端位置に到達した後に当該始端位置の後方においてオペレータによる手動操作に基づいて次の直進経路R1まで手動旋回する第1旋回方法(図4C参照)」の情報を目標経路Rに関連付けて登録する。
【0106】
このように、受付処理部215は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に第1直進経路R1の始端位置に向かって後進走行することを設定する第1設定操作、又は、作業車両10が第1直進経路R1の終端位置に到達した後に前方において第2直進経路R1まで旋回走行することを設定する第2設定操作を受付可能である。
【0107】
ここで、作業機14が、水平方向に回転可能な回転軸を介して作業車両10に連結され、作業車両10に牽引されて移動する牽引型の作業機である場合、作業車両10が後進すると作業機14が回転軸を中心に折れ曲がる現象(所謂ジャックナイフ現象)が発生し、作業車両10及び作業機14が直線的に後進することが困難になる場合がある。そこで、他の実施形態として、作業機14が前記牽引型の作業機である場合には、操作制御部21は、前記後進自動走行の設定(前記第1設定操作の受け付け)を不許可にして、前記手動旋回の設定(前記第2設定操作の受け付け)を許可する構成としてもよい。これにより、安定した旋回走行を実現することができる。また、他の実施形態として、作業機14が前記牽引型の作業機である場合には、操作制御部21は、オペレータによる手動操作に基づいて後進走行する設定を許可する構成としてもよい。これにより、オペレータは、安全性及び安定性を確認しながら作業車両10を後進させることができる。
【0108】
上述の実施形態では、オペレータが、圃場Fに対して複数の直進経路R1からなる目標経路Rを生成し、作業車両10が当該目標経路Rに従って直進経路R1を自動走行する構成であるが、他の実施形態として、目標経路Rは、予め設定された、複数の直進経路R1と複数の直進経路R1のそれぞれを接続する複数の旋回経路R2とを含んでもよい。例えば、オペレータは、圃場Fに対して目標経路Rを生成する際に、直進経路R1と旋回経路R2とを含む目標経路Rを生成する。図9は目標経路Rの一例である。操作制御部21は、圃場Fに対して設定された目標経路R(図9参照)を記憶する。
【0109】
この場合に、オペレータは、作業車両10に作業を開始させる際に、図10に示す操作画面D3において作業車両10の走行モードを選択する。ここで、オペレータが、直進経路R1のみを自動走行させる走行モード(例えば「ロボット直進モード」)を選択すると、操作制御部21は、図9に示す目標経路R(直進経路R1及び旋回経路R2)のうち直進経路R1のみを抽出して目標経路Rとして設定する。作業車両10は、予め設定された目標経路Rのうち複数の直進経路R1の情報を利用して、複数の直進経路R1のそれぞれを自動走行する。このように、自動走行システム1は、予め設定された目標経路Rのうちの一部の経路(ここでは直進経路R1)を利用して、作業車両10に自動走行を実行させてもよい。これにより、圃場Fに対して既に登録されている目標経路Rを有効に活用することができるため、オペレータの登録操作の作業効率を向上させることができる。
【0110】
また本発明の他の実施形態として、図11A及び図11Bに示すように、車両制御装置11は、生成された直進経路R1(Ra~Rd)の全体を、作業車両10の現在位置P1に重なるように移動させて、目標経路Rを修正してもよい。この場合、図11Aに示すように、車両制御装置11は、直進経路Ra~Rdの移動量が最も小さくなる方向(図11Aでは左方向)に直進経路Ra~Rdの全体を移動させて、現在位置P1に重なるように目標経路Rを移動する。この場合、作業車両10は、修正された目標経路Rに従って直進経路Ra~Rcを自動走行する。
【0111】
このように、自動走行システム1は、予め設定された複数の直進経路R1を作業車両10の現在位置に基づいて移動させることにより目標経路Rを修正してもよい。この構成によれば、作業車両10の位置が当初の目標経路Rからずれた場合に、新たな目標経路Rを生成し直す必要がないため作業効率を向上させることができる。なお、目標経路Rの修正処理は、作業車両10の自動走行が開始された後に実行することができる。また、自動走行システム1は、オペレータが作業車両10に搭載された操作部(不図示)を操作することにより目標経路Rを修正する処理を実行してもよい。
【0112】
また上述の実施形態では、オペレータは、目標経路Rを生成する際に前記旋回方法を設定する構成であるが、他の実施形態として、オペレータは、作業車両10が直進経路R1を自動走行して終端位置に到達した時点で前記旋回方法を設定してもよい。例えば、操作端末20は、作業車両10が直進経路R1の終端位置に到達したことを検出した時点で、図6に示す操作画面D2を表示させて、オペレータから、後進自動走行を許可するか否かを選択する操作(設定欄K2の設定操作)を受け付ける。車両制御装置11は、操作端末20から設定情報を取得して旋回走行を開始させる。この構成によれば、例えば、直進経路R1ごとに後進自動走行を許可するか否かを選択することができるため、第1直進経路R1では前方において作業車両10を手動により旋回させて、第2直進経路R1では第2直進経路R1を後進走行させた後に後方において作業車両10を手動により旋回させることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 :自動走行システム
10 :作業車両
11 :車両制御装置
13 :走行装置
14 :作業機
20 :操作端末
21 :操作制御部
111 :走行処理部
112 :切替処理部
141 :PTO軸
211 :車両設定処理部
212 :圃場設定処理部
213 :作業設定処理部
214 :経路生成処理部(生成処理部)
215 :受付処理部
216 :出力処理部
D1 :メニュー画面
D2 :操作画面
D3 :操作画面
F :圃場
K1 :選択ボタン
K2 :設定欄
K3 :設定欄
K4 :設定欄
R :目標経路
R1 :直進経路(第1直進経路、第2直進経路)
R2 :旋回経路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B