(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】試料の分析方法、分析装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20250227BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20250227BHJP
C12M 1/42 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
G01N21/64 F
C12M1/34 F
C12M1/42
(21)【出願番号】P 2021545706
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 FI2020050056
(87)【国際公開番号】W WO2020161384
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】519459399
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ ホールディングス プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ファラレロ アドヤリー
(72)【発明者】
【氏名】トイヴァネン パシ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-518553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0191149(US,A1)
【文献】特開2010-256077(JP,A)
【文献】特開2010-286566(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01804051(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 33/48-33/98
G01N 15/00-15/1492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロプレート(1)のウェル(2)内に配置された1つ以上の試料(3)を分析する方法であって、
各ウェル(2)の中には1つの試料(3)が配置されており、
-第1の所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を生成するステップ(101)と、
-
前記ウェル(2)の直径の最大60パーセントの直径を有する光ビームを使用して、前記電磁放射を、前記マイクロプレート(1)の上から前記ウェル(2)の上端を介して前記試料(3)に透過させることによって、前記電磁放射により前記試料(3)に照射するステップ(102)と、
-前記試料(3)から放出され、かつ第2の所定の波長または波長範囲を有する光を、前記ウェル(2)の前記上端を介して検出器(13)に送信するステップ(103)と、
-前記試料(3)の
複数の所定の測定領域(23)から放出された光の強度を決定するステップ(104)と、を含み、前記試料(3)の前記
複数の所定の測定領域(23)から放出された光の前記強度を決定するために、一度に1つの測定領域(23)が照射され、さらに、
-前記少なくとも2つの測定領域(23)から放出された光の前記決定された強度に基づき、前記試料(3)から放出され、かつ前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光の総光量を表す結果値を決定するステップ(105)と、
-前記試料(3)の前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするステップ(106)と、を含む方法。
【請求項2】
前記
複数の測定領域(23)が前記ウェル(2)の底部全体を覆う、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料(3)の前記少なくとも2つの所定の測定領域(23)から放出された光の前記強度を決定するために、前記検出器(13)として光電子増倍管が使用される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スポットをカウントするために、前記ウェル(2)の前記底部全体を照射し、カメラセンサ(13a)を使用して前記試料(3)の画像を形成する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数のウェル(2)を含むマイクロプレート(1)を受容するように構成されている分析装置(10)であって、前記ウェル(2)の各々が試料(3)を受容するように構成されており、前記分析装置(10)が、
-
前記ウェル(2)の直径の最大60パーセントの直径を有する光ビームを使用すると共に、第1の所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を使用して、前記マイクロプレート(1)の上から、前記マイクロプレート(1)のウェル(2)の上端を介して試料(3)を照射する照射手段(11)と、
-前記試料(3)の
複数の測定領域(23)から前記ウェル(2)の前記上端を介して放出され、かつ第2の所定の波長または波長範囲を有する光の強度を決定する検出手段(13)と、
-前記試料(3)の前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするように構成されている、手段(15、21)と、
-前記
複数の測定領域(23)から放出された光の前記決定された強度に基づき、前記試料(3)から放出され、かつ前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光の総光量を表す結果値を決定するように構成されている、手段(15、21)と、を含み、
前記試料(3)の前記
複数の所定の測定領域(23)から放出された光の前記強度を決定するために、前記装置(10)は、前記測定領域(23)を、一度に1つの測定領域(23)ずつ連続して照射するように構成されている分析装置(10)。
【請求項6】
前記照射手段(11)が、電球、LEDまたはレーザーを含む、請求項
5に記載の分析装置(10)。
【請求項7】
前記装置(10)が、前記試料(3)を照射するための波長を選択する手段(17)を含む、請求項
5または6に記載の分析装置(10)。
【請求項8】
前記試料(3)を照射するための波長を選択する前記手段(17)が、フィルタまたはモノクロメータを含む、請求項
7に記載の分析装置(10)。
【請求項9】
前記検出手段(13)が光電子増倍管またはシリコンフォトダイオードを含む、請求項
5~7のいずれか一項に記載の分析装置(10)。
【請求項10】
前記検出手段(13)がカメラセンサ(13a)を含む、請求項
5~9のいずれか一項に記載の分析装置(10)。
【請求項11】
前記装置(10)が、前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするために、前記試料(3)の画像を形成するように構成されている、請求項
5~10のいずれか一項に記載の分析装置(10)。
【請求項12】
前記第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするための前記試料(3)の画像を形成するため、前記装置(10)が、前記ウェル(2)の底部全体を照射するように構成されている、請求項
11に記載の分析装置(10)。
【請求項13】
分析装置(10)を動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、分析装置(10)に請求項
1~5のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に定義されるように、マイクロプレートのウェルに配置された1つ以上の試料を分析する方法に関する。本発明はまた、分析装置、および他の独立請求項による分析装置を動作させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光に基づくアッセイは、一般的にライフサイエンスで使用されている。蛍光は発光の一形態である。蛍光は、光または他の電磁放射を吸収した物質による光(光子)の放出を意味する。エネルギーの吸収は、分子の軌道電子をより高い電子状態に励起し、基底状態への緩和により光子が放出される。
【0003】
蛍光アッセイは、蛍光色素分子の特性を利用する。蛍光色素分子は、ある波長の光エネルギーを吸収し、それに応じて、別のより長い波長の光エネルギーを再放出する。各蛍光色素分子は、光を吸収する波長の明確な範囲、および光を放出する波長の別の明確な範囲を有する。この特性は、それらを分析機器および分析技術による生物学的産物の特定の検出に使用できるようにする。
【0004】
蛍光アッセイでは、試料は、典型的にマイクロプレートのウェル内に配置される。マイクロプレートは、複数のウェル、すなわち行と列とに配置された穴、を含む平坦なプレートである。ウェルは、試料を受容し、小さな試験管として機能するように構成されている。典型的なマイクロプレートは、6個、24個、96個、384個、または1536個のウェルを含むが、より大きなマイクロプレートも存在する。
【0005】
特定のタイプの蛍光アッセイでは、蛍光スポットが形成され、試料の分析は、蛍光スポットの数のカウントに大きく基づいている。スポットのカウントに関連する問題は、カウントプロセスが、分析装置の助けを借りて人間の使用者がスポットを検査することに強く依存していることである。これにより、分析に時間がかかり、非常に主観的になる。さらなる問題は、試料内の蛍光スポットの数が多い場合、カウントの信頼性がなくなることである。たとえば、96ウェルのマイクロプレート内のウェルの直径は約6mmである。1つのウェル内のスポットの数が、例えば500個以上の場合、スポットが互いに非常に接近しているため、信頼性の高いスポットカウントは困難になる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、マイクロプレートのウェル内に配置された1つ以上の試料を分析するための改善された方法を提供することである。本発明による方法を特徴付ける特徴は、請求項1に示されている。本発明の別の目的は、改善された分析装置を提供することである。本発明のさらに別の目的は、分析装置を動作させるための改善されたコンピュータプログラムを提供することである。分析装置およびコンピュータプログラムを特徴付ける特徴は、他の独立請求項に記載されている。
【0007】
本発明による方法は、第1の所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を生成するステップと、上記電磁放射を、マイクロプレートの上からウェルの上端を介して試料に透過させることによって、電磁放射により試料に照射するステップと、試料から放出され、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を、マイクロプレートの上からウェルの上端を介して検出器に送信するステップと、試料の1つ以上の所定の測定領域から放出された光の強度を決定するステップと、上記1つ以上の所定の測定領域から放出された光の決定された強度に基づき、試料から放出されかつ第2の所定の波長または波長範囲を有する光の総光量を表す結果値を決定するステップと、を含む。
【0008】
本発明による分析装置は、第1の所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を使用して、マイクロプレートの上からマイクロプレートのウェルの上端を介して試料を照射する照射手段と、試料の1つ以上の所定の測定領域からウェルの上端を介して放出され第2の所定の波長または波長範囲を有する光、の強度を決定する検出手段と、上記1つ以上の所定の測定領域から放出された光の決定された強度に基づき、試料から放出され第2の所定の波長または波長範囲を有する光の総光量を表す結果値を決定するように構成された手段と、を含む。
【0009】
本発明によるコンピュータプログラムは、このプログラムがコンピュータによって実行されると、上記で定義された方法ステップを分析装置に実行させる命令を含む。
【0010】
本発明による方法、装置およびコンピュータプログラムを用いれば、試料分析の、使用者による判断への依存度はより低くなるであろう。結果値は、試料が放出した光の総光量の積分または推定値を表す。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、試料は複数の所定の測定領域を含み、結果値は、上記複数の測定領域から放出される光の強度に基づいて計算される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、測定領域は、ウェルの底部全体を覆う。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、試料の上記1つ以上の所定の測定領域から放出された光の強度を決定するために、試料は、ウェルの直径の最大60パーセントである直径を有する光ビームを使用して照射される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、試料の上記1つ以上の所定の測定領域から放出された光の強度を決定するために、一度に1つの測定領域が照射される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、試料の上記1つ以上の所定の測定領域から放出された光の強度を決定するために、検出器として光電子増倍管が使用される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、方法は、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするステップを含む。この方法は、高感度を提供することにより、試料の迅速なスクリーニングを可能にする。さらに、この方法は、蛍光スポットを単にカウントする場合に比べ、存在する蛍光スポットの数が多すぎてスポットのカウントの信頼性が低下するような場合であっても測定を可能にするため、より広域な動的信号範囲を提供する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、スポットをカウントするために、ウェルの底部全体が照射され、カメラセンサを使用して試料の画像を形成する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、照射手段は、電球、LEDまたはレーザーを含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、分析装置は、試料を照射するための波長を選択する手段を含む。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、試料を照射するための波長を選択する手段は、フィルタまたはモノクロメータを含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、検出手段は、光電子増倍管またはシリコンフォトダイオードを含む。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、検出手段は、カメラセンサを含む。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、試料の複数の測定領域から放出された光の強度を決定するために、装置は、上記複数の測定領域を、一度に1つの測定領域ずつ連続して照射するように構成されている。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、装置は、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするため、試料の画像を形成するように構成されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするために試料の画像を形成するため、装置は、ウェルの底部全体を照射するように構成されている。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、装置は、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数をカウントするように構成された手段を含む。
【0027】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による方法のステップをフローチャートとして示す。
【
図2】本発明による方法を実行するのに適した分析装置の主な要素を示す。
【
図4】分析装置での使用に適したマイクロプレートの例を示す。
【
図5】マイクロプレートのウェル内の測定点の例を示す。
【
図6】分析装置の蛍光測定システムの例を概略図として示す。
【
図7】分析装置の画像化システムの例を概略図として示す。
【
図8】本発明による方法によって得られた蛍光アッセイの測定結果の一例を示す。
【
図9】
図8と同じアッセイに基づくスポットカウントの結果を示す。
【
図10】ELISpot/FluoroSpotアッセイのワークフローを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、マイクロプレートのウェル内に配置された1つ以上の試料を分析する方法、分析装置、および分析装置を動作させるためのコンピュータプログラムに関する。
【0030】
本発明による方法では、試料から放出される光の強度が測定される。したがって、この方法は、ライフサイエンスで一般的に使用されている蛍光ベースのアッセイで使用できる。
【0031】
蛍光は発光の一形態である。蛍光手段は、光または他の電磁放射を吸収した物質による光(光子)の放出に基づいている。エネルギーの吸収は、分子の軌道電子をより高い電子状態に励起し、基底状態への緩和が光子を放出する。
【0032】
FluoroSpotなどの蛍光アッセイは、蛍光色素分子の特性を利用する。蛍光色素分子は、ある波長の光エネルギーを吸収し、それに応じて、別の、典型的にはより長い波長の光エネルギーを再放出する。各蛍光色素分子は、光を吸収する波長の明確な範囲、および光を放出する波長の別の明確な範囲を有する。この特性は、それらを分析機器および分析技術による生物学的産物の特定の検出に使用できるようにする。
【0033】
FluoroSpotアッセイは、一般的に使用されるELISpotアッセイの変形である。
図10に、FluoroSpot/ELISpotアッセイの概略図を示す。FluoroSpotアッセイは、免疫応答の研究に使用できる。マイクロプレートのウェル2の底部は、膜を備えており、適切な抗体30(捕捉抗体)でコーティングされている。細胞31は、ウェル2内で培養および刺激されて、例えばサイトカイン、ケモカイン、または免疫グロブリンであり得る分析物32を生成する。細胞31によって分泌されたそのような分析物32は、プレートに結合された抗体30によって捕捉される。次に、細胞31がウェル2から取り出される。分泌された分析物32を検出するために、蛍光標識された検出蛍光色素分子抗体がウェル2に添加される。例えば、ビオチン化検出抗体33およびストレプトアビジン-酵素複合体34を使用することができる。このようにして、ウェルの底部の膜に固定された蛍光スポットが形成され、これらのスポットは分析装置を使用して検出することができる。右側のウェルはFluoroSpotアッセイを示し、左側のウェルはELISpotアッセイを示している。1つのスポットは、分析物を分泌した1つのセルに対応すると想定される。蛍光スポットの数を数えることにより、抗原特異的T細胞の周波数を決定することが可能である。これは免疫学的アプリケーションで非常に関連性のあるパラメータである。
【0034】
蛍光アッセイでは、試料は、典型的にマイクロプレートのウェル内に配置される。
図4は、マイクロプレート1の例を示す。マイクロプレート1(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロウェルプレート、マルチウェルプレート、またはマルチウェルとも呼ばれる)は、複数のウェル2、すなわち行と列とに配置された穴、を含む平坦なプレートである。マイクロプレート1のウェル2は、試料を受容し、小さな試験管として機能するように構成されている。典型的なマイクロプレートは、6個、24個、96個、384個、または1536個のウェルを含むが、より大きなマイクロプレートも存在する。ウェル2は、辺の比率が典型的には2:3である矩形行列に配置される。
図4は、96個のウェル2を持つマイクロプレート1を示している。しかしながら、他のマイクロプレートサイズも、本発明による方法および装置で使用され得る。
【0035】
図1は、本発明の実施形態による方法のステップを示している。この方法の第1のステップ101において、第1の所定の波長または波長範囲を有する電磁放射が生成される。この方法の第2のステップ102において、マイクロプレート1の上から試料3に電磁放射を透過させることによって、試料3に電磁放射が照射される。この方法の第3のステップ103において、試料3から放出され、第2の所定の波長または波長範囲を有する光は、ウェル2の上端を介して検出器または検出手段に送信される。第2の波長または波長範囲は、第1の所定の波長または波長範囲とは異なる。この方法の第4のステップ104において、試料3の1つ以上の所定の測定領域23から放出された光の強度が決定される。測定領域23の例を
図5に示す。
図5の例では、ウェル2内に複数の測定領域23が存在する。しかしながら、複数の測定領域23の代わりに、単一の測定領域が存在する可能性がある。単一の測定領域は、ウェル2の底部全体を覆うことができる。この方法の第5のステップ105において、試料3から放出され、第2の所定の波長または波長範囲を有する光の総光量を表す結果値が、測定領域23から放出された光の決定された強度に基づいて決定される。したがって、分析された試料に対して単一の結果値が決定される。この値は、試料に存在する蛍光スポットの数と相関している。第5のステップ105は、コンピュータに実装される。本発明による方法は、分析装置によって実施することができる。
【0036】
この方法は、第6のステップ106をさらに含むことができる。この方法の第6のステップ106において、第2の所定の波長または波長範囲を有する光を放出するスポットの数がカウントされる。第6のステップ106は、コンピュータに実装される。結果値の決定およびスポットのカウントは、上記の順序で行う必要はないが、例えば、結果値が決定される前に、または方法の第5のステップ105と同時にスポットをカウントすることもできる。同一の検出手段または異なる検出手段のいずれかを、スポットカウントおよび放出された光の強度を決定するために使用することができる。試料は、スポットカウントと放出された光の強度を決定するために別々に照射されることができる。例えば、スポットカウントのためには、ウェルの底部全体を一度に照射することが可能であるのに対し、放出された光の強度を決定するためには、試料を複数の測定領域に分割し、一度に1つの測定領域を照射することが可能である。
【0037】
本発明による方法の利点は、分析が使用者の判断にあまり依存しないことである。さらに、蛍光スポットを単にカウントする場合に比べ、この方法は、蛍光スポットの数が多すぎてカウントの信頼性が低下するような場合であっても測定を可能にするため、より広域な動的信号範囲を提供する。
【0038】
本発明による方法は、分析装置10によって実施することができる。マイクロプレート1は、典型的には試料を保持するために使用されるため、そのような分析装置を、本明細書ではマイクロプレートリーダーと呼ぶ。
【0039】
本発明による方法を実施するのに適したマイクロプレートリーダー10の主要部分を、
図2に概略的に示す。マイクロプレートリーダー10は、マイクロプレート1(
図2には示されていない)内の試料3の生物学的、化学的、または物理的事象を検出し得る。マイクロプレートリーダーの動作は、吸光度または発光などの異なる現象に基づき得る。本発明による方法は、蛍光ベースのアッセイに使用できるため、この方法を実施するために使用されるマイクロプレートリーダー10は、少なくとも蛍光を測定するように構成されている。しかしながら、マイクロプレートリーダー10は、異なるアッセイに使用可能なマルチモードリーダーであってもよい。
【0040】
マイクロプレートリーダー10は、マイクロプレート1のウェル2内に配置された試料3から放出された電磁放射を測定するように構成されている。マイクロプレートリーダー10は、特定の波長または波長範囲を有する電磁放射を生成することができる照射装置または照射手段11を含む。波長は、好ましくは、マイクロプレートリーダー10の使用者によって選択され得る。電磁放射は、可視光(波長範囲約380~750nm)、紫外光(10~380nm)、または赤外光(750nm~1mm)であり得る。照射手段11は、マイクロプレート1のウェル2内に配置された試料3を照射するように構成されている。1つの試料3または試料の一部は一度に照射されることができ、またはマイクロプレートリーダー10は、一度に複数の試料を照射するように構成することができる。
【0041】
照射手段11は、キセノンフラッシュランプまたはハロゲンランプなどの電球であり得る、光源16を含む。代わりに、光源16は、LEDまたはレーザーであってもよい。照射手段11は、併用可能ないくつかの光源を含んでもよく、または異なる測定目的のために異なる光源が使用されてもよい。照射手段11がレーザーを含む場合、特定の波長を有する光を直接生成することができる。光源16がより広いスペクトルを有する光を生成する場合、マイクロプレートリーダー10は、試料3を照射するために使用される光の波長、すなわち励起波長を選択するための手段17を含むことができる。励起波長を選択するための手段17(励起波長セレクタ)は、1つ以上のフィルタおよび/またはモノクロメータを含むことができる。
【0042】
マイクロプレートリーダー10は、検出手段13をさらに含む。検出手段13は、試料3から放出された電磁放射を測定するように構成されている。検出手段13は、例えば、光電子増倍管、カメラセンサ、またはシリコンフォトダイオードを含むことができる。マイクロプレートリーダー10は、異なる測定のための2つ以上の異なる検出手段13を含むことができる。検出手段13は、
図5の例に示されるような、試料の1つ以上の測定領域23から放出される光の強度を測定するように構成されている。検出手段13はまた、蛍光スポットのカウントを可能にするための試料の画像を形成するために使用され得る。
【0043】
マイクロプレートリーダー10は、照明光学系および測定光学系18をさらに含む。照明光学系は、光源16からの電磁放射を試料3に集束させるように構成される。測定光学系は、試料3によって放出された光を検出手段13に集束させるように構成される。照明光学系と測定光学系は、少なくとも部分的に同じであり得る。
【0044】
マイクロプレートリーダー10は、測定される放射波長を選択するための手段19をさらに含むことができる。手段19(測定波長セレクタ)は、例えば、検出手段13の前に配置されるフィルタであり得る。波長選択手段19は、測定対象となる波長のみを通過させるために使用される。したがって、励起光は、検出手段13から遮断することができる。
【0045】
マイクロプレートリーダー10は、試料3を測定位置に移動させるための位置決めシステムまたは位置決め手段29をさらに含んでもよい。位置決め手段29は、マイクロプレートを動かすように構成されることができる。代わりに、位置決め手段29は、検出手段13を移動させるように構成されてもよく、かつ/または選択された試料の蛍光を測定するために、照明光学系および測定光学系を制御するように構成されてもよい。
【0046】
図3は、マイクロプレートリーダー10の制御システムの例を示している。マイクロプレートリーダー10は、入力手段14を介して制御される。入力手段14は、例えば、操作ボタン、キーボード、および/またはタッチディスプレイを含み得る。入力手段14を介して、マイクロプレートリーダー10の使用者は、マイクロプレートリーダー10の動作を制御し、パラメータを調整し、かつ/またはマイクロプレートリーダー10の設定を変更することができる。分析の結果は、ディスプレイ12に表示することができる。ディスプレイ12は、マイクロプレートリーダー10の一体部分であっても、マイクロプレートリーダー10に接続された外部ディスプレイであってもよい。入力手段14、照射手段11、検出手段13、およびディスプレイ12は、中央処理ユニット(CPU)15と通信する。また、位置決め手段29は、CPU15によって制御される。入力手段14およびディスプレイ12は、CPU15に直接接続される必要はない。マイクロプレートリーダー10は、PCなどの外部汎用コンピュータ21にインストールされたソフトウェアを介して制御されることもできる。したがって、入力手段14は、例えば、外部コンピュータ21に接続されたキーボードを含み得る。ディスプレイ12を外部コンピュータ21に接続することもできる。すべての接続を有線または任意の無線手段によって実装することができ、外部コンピュータ21は、リモートサーバまたはクラウドサーバであってもよい。
【0047】
マイクロプレートリーダー10が蛍光アッセイに使用される場合、使用者は最初に、試料を照射するための所望の波長を設定する。使用者は、入力手段14を介して所望の励起波長を選択することができる。マイクロプレートリーダー10はまた、特定の励起バンド幅の選択を可能にし得、その場合、使用者は、試料を照射するための特定の波長範囲を選択することができる。実際には、特定の励起波長が選択された場合でも、マイクロプレートリーダー10は、特定のバンド幅で電磁放射を生成することができる。通常、狭いバンド幅が好ましい。許容可能なバンド幅は、用途に依存する。場合によっては、20nmのバンド幅で十分である。一部の用途では、バンド幅は、最大10nmであるべきである。一部の用途では、バンド幅は、2.5nmを超えるべきではない。
【0048】
検出手段13からの測定データは、CPU15によって収集される。このデータは、光の総光量を表す結果値を計算するため、または特定の波長で試料3から放出される光の総光量の推定値を計算するために使用される。結果値を計算するために、CPU15または外部コンピュータ21のいずれかを使用することができる。CPU15または外部コンピュータ21は、蛍光スポットの数をカウントするようにさらに構成されることができる。
【0049】
本発明によるマイクロプレートリーダー10は、試料から放出された電磁放射を測定することと、試料の画像を形成することと、の両方のために構成されることができる。したがって、マイクロプレートリーダー10は、蛍光測定手段および画像化手段の両方を含むことができる。蛍光の測定と試料の画像化に使用される手段は、少なくとも部分的に同じであってもよいが、以下では、
図6および
図7を参照して手段を個別に説明する。
【0050】
図6は、マイクロプレートリーダー10の蛍光測定システムの例を簡略図として示しており、これは、照射手段11によって励起されたときに試料3から放出された電磁放射を測定するように構成される。
図6の例では、照射手段11は、光源16を含む。光源16は、キセノンフラッシュランプなどの広バンド幅ランプであり得る。光源16はまた、例えば、石英ハロゲンランプであり得る。光源16は、広いスペクトルを有する、可視光(波長範囲約380~750nm)、紫外光(10~380nm)、または赤外光(750nm~1mm)などの電磁放射を生成する。特定の波長を選択するために、照射手段11は、モノクロメータ17をさらに含む。モノクロメータ17は、狭いバンド幅の光ビームを生成する。一例によれば、モノクロメータ17の後の光のバンド幅は、2.5nm未満である。ただし、一部の用途では、より広いバンド幅でも十分である。モノクロメータの代わりに、干渉フィルタを、波長選択のための手段として使用することもできる。光源はまた、LEDまたはレーザーなどの狭いバンドの光源であってもよい。その場合、モノクロメータ、干渉フィルタ、または波長選択のための他の外部手段は必要ない場合がある。
【0051】
光源16からの光ビームは、マイクロプレートリーダー10の光学系を介してモノクロメータ17を透過する。
図6の例では、光源16とモノクロメータ17との間の光学系は、ミラー23と入射スリット24を含む。しかしながら、マイクロプレートリーダー10の光学系は、多くの異なる方法で構築され得る。
【0052】
図6の例では、光は、モノクロメータ17から、出口スリット25および光ファイバ22を介してマイクロプレートに透過される。光は、照明光学系18によって、マイクロプレートのウェル2内に配置された試料に集束される。試料は上から照射される。試料から放出された光の強度は、シリコンフォトダイオードまたは光電子増倍管などの検出器13によって測定される。
図6のマイクロプレートリーダー10は、上部読み取り用に構成されている。
【0053】
マイクロプレート1と検出器13との間に波長フィルタを配置して、放出された光子を励起光子から分離することができる。マイクロプレートリーダー10は、背景蛍光を除去するため、または1つの試料内の複数の蛍光色素分子に由来する蛍光シグナルを分離するために、検出器13の前に、ローパス放出フィルタまたはバンドパス放出フィルタなどの放出フィルタをさらに含むことができる。
【0054】
蛍光測定システムは、好ましくは、試料の複数の測定領域23から放出された光の強度を測定するように構成される。ただし、単一の測定領域が使用されてもよい。測定領域23または単一の測定領域は、好ましくは、マイクロプレート1のウェル2の底部全体を覆う。マイクロプレートリーダー10は、試料3の1つの測定領域23を一度に照射するように構成することができる。測定領域23が照射され、領域23から放出された光の強度が、検出手段13によって測定される。試料を照射するために使用される光ビームの直径はまた、例えば、ウェルの直径の20~60パーセントであり得る。細いビームを使用することにより、照射強度を高め、測定の感度を上げることが可能となる。測定された強度に基づいて、試料の結果値が計算される。単一の測定領域の場合、結果値は単一の測定領域の測定強度に基づく。
【0055】
図5の実施形態では、2つの隣接する測定領域23の中心点間の距離は、照射ビームの半径に相当するように構成されている。例えば、ビームの直径が3mmである場合、このビームは、2つの隣接する測定領域23の間で1.5mm移動される。
【0056】
マイクロプレートリーダー10は、蛍光スポットの数をカウントするための画像化システムをさらに含む。
図7は、マイクロプレートリーダー10の画像化システムの例を示している。
図7の画像化システムは、FluoroSpotおよびELISpotアッセイに適しているが、他のアッセイにも使用可能である。マイクロプレートリーダー10は、照射手段11を含む。照射手段11の機能は、マイクロプレート1のウェル2内の試料を照射するために使用される光を生成することである。
図7のマイクロプレートリーダーでは、マイクロプレート1の1つのウェル2と1つの試料が一度に照射される。照射手段11は、光源16を含む。照射手段11から、光はビームスプリッタ7に向けられる。ビームスプリッタ7は、光の一部を反射し、残りの光を透過させるように構成された光学装置である。実際には、ビームスプリッタ7によって受け取られた光の一部が吸収される。ビームスプリッタ7は、反射光をマイクロプレートリーダー10の読み取り面26に向けるように構成されている。ビームスプリッタ7は、例えば、互いに接着された2つの三角形のガラスプリズムで作ることができる。代わりに、ビームスプリッタ7は、コーティングされたガラス板であってもよい。ビームスプリッタ7はさまざまな特性を有することができる。光学式リーダーの最適なビーム分割率は50~50%である。すなわち、ビームスプリッタ7によって反射される光の量は、ビームスプリッタ7によって透過される光の量に等しい。したがって、光の半分がビームスプリッタ7によって吸収されずに反射され、光の半分が透過される。しかしながら、反射された光の部分は、例えば、40~60パーセントの範囲にあり得る。
【0057】
ビームスプリッタ7と読み取り面26との間に、少なくとも1つのレンズ8aを含むレンズシステム8が配置されている。
図1には、単一のレンズ8aのみが示されているが、実際には、レンズシステム8は、複数のレンズを含むことができる。レンズシステム8は、照射装置11およびビームスプリッタ7から受け取った光を、マイクロプレート1のウェル2の底部に配置された試料に集束させるように配置されている。レンズシステム8は、レンズ8aと読み取り面26との間に配置された開口部8bをさらに含む。
【0058】
マイクロプレート1のウェル2の底部およびウェル2内の試料は、光の一部をレンズシステム8に向けて反射して戻す。蛍光測定では、試料は、マイクロプレート1からレンズシステム8に向かって光を放出する。レンズシステム8は、試料の画像を、検出手段として機能する画像化装置13に焦点を合わせるように構成されている。したがって、同じレンズシステム8が、試料を照射するために使用される光を集束させるため、およびマイクロプレート1から受け取った光を集束させるために使用される。したがって、同じ構成要素が照明光学系と測定光学系の両方を形成する。レンズシステム8から、光はビームスプリッタ7に向けられる。光の一部は、ビームスプリッタ7から照射装置11に向かって反射されるが、光の一部は、ビームスプリッタ7を通過して、画像化装置13に到達することができる。ビームスプリッタ7のビーム分割率が50~50%であり、かつビームスプリッタ7による吸収が省略された場合、光の半分が反射され、光の半分がビームスプリッタ7を透過する。画像化装置13は、デジタルカメラセンサ13aを含むことができる。画像化装置13は、各試料の1つ以上の画像を撮影するように構成されている。
【0059】
レンズシステム8のレンズ8aと読み取り面26との間の開口8bは、マイクロプレート3のウェル2の直径の最大でも同じ直径を有するような寸法にされる。これにより、試料と画像化装置13の両方でビネットが除去される。開口部8bは、マイクロプレートリーダーが異なるマイクロプレート1内の試料を分析するために使用されることを可能にするように調整可能であり得る。開口部を用いることにより、ウェル2の底部にある照射領域のサイズを調整できる。例えば、典型的な96ウェルプレートでは、照射領域の直径は約6.6mmであり得、384ウェルプレートでは2.5mmであり得る。
【0060】
光源16は、例えば、LEDまたはLEDのグループであり得る。マイクロプレート1のウェル2の底部にある照射領域は、底部全体を覆う必要がある。典型的なLEDチップの直径は、マイクロプレート1のウェル2の直径よりもはるかに小さい。照射領域のサイズは、レンズシステム8の影響を受ける可能性がある。ただし、LEDまたは他の光源の周囲に、ウルブリヒト球とも呼ばれる積分球を配置することにより、照射領域のサイズを大きくすることが有益な場合がある。
【0061】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレート1を動かすように構成された、位置決め手段(
図7には示されていない)をさらに含む。マイクロプレート1が読み取り面26内で動かされることにより、一度に1つのウェル2がレンズシステム8の下にくるようにする。試料のさまざまな画像が撮影され、次にマイクロプレート1が動かされることにより、次のウェル2がレンズシステム8の下にくる。
【0062】
図7のマイクロプレートリーダーは、照射手段11によって生成され、ビームスプリッタ7を透過する光の強度を測定するように配置された、参照検出器28をさらに含む。LEDが光源16として使用される場合、このLEDの強度は、加熱によって変化する可能性があり、これは画像化装置13によって撮影された画像に影響を与える。光の強度を測定することにより、マイクロプレートリーダーの測定結果を解釈する際にこの影響を考慮に入れることができる。
【0063】
マイクロプレートリーダーはさらに、照射手段11とビームスプリッタ7との間に配置された第1のフィルタ17を備えている。第1のフィルタ17は、蛍光アッセイで使用される。第1のフィルタ17は、試料を励起するために必要とされる光源16のスペクトルのその部分のみを通過させるように構成されている。したがって、第1のフィルタ17は、励起波長を選択するための手段として使用される。第2のフィルタ19は、ビームスプリッタ7と画像化装置13との間に配置されている。第1のフィルタ12と同様に、第2のフィルタ19も蛍光アッセイで使用される。第2のフィルタ19は、試料から放出された波長からなる光を通過させるように構成されている。
【0064】
図7の実施形態では、画像化装置13は、レンズシステム8の真上に配置されている。照射手段11は、ビームスプリッタ7と同じ水平面に配置されている。したがって、照射手段からの光はマイクロプレート1に反射され、マイクロプレート1からの光はビームスプリッタ7を透過する。この配置は、試料の照射を乱すことなく、参照検出器28の使用を可能にする。しかしながら、画像化装置13と照射手段11の場所を切り替えることも可能であろう。したがって、試料を照射するために使用される光は、ビームスプリッタ7を通過することができ、試料の画像は、ビームスプリッタ7によって画像化装置13に反射されることができる。
【0065】
この画像化システムによって形成された画像は、試料の蛍光スポットをカウントするために使用することができる。したがって、マイクロプレートリーダー10または外部コンピュータ21の中央処理装置15は、試料内の蛍光スポットの数を決定するように構成することができる。
【0066】
したがって、本発明によるマイクロプレートリーダー10は、
図6のシステムなどの蛍光測定システムと、
図7のシステムなどの画像化システムの、両方を含むことができる。したがって、マイクロプレートリーダー10は、試料から放出される光の強度を測定し、試料の画像を形成するように構成することができる。これにより、試料のより包括的な分析が可能となる。蛍光測定システムと画像化システムの構成要素の一部は同じにすることができる。例えば、同じ光源16を両方のシステムで使用することができる。また、測定光学系および照明光学系は、放出された光の強度を測定することおよび試料を画像化することの両方のため、少なくとも部分的に同じであり得る。画像化システムは、蛍光を測定するためにも使用できる。放出された光の強度は、カメラセンサ13aによって決定することができ、したがって、放出された光の強度を測定するための別個のシステムは必要とされないであろう。
【0067】
図8および
図9は、本発明の実施形態による方法によって得られた結果の例を示している。この方法を、96ウェルマイクロプレートのウェルに配置された試料に適用し、ウェル底部の直径は6mmであった。試料を照射するために使用された光ビームの直径は3mmであった。測定領域は、
図5に示すように配置された。したがって、この測定領域は、5行5列からなるマトリックスを形成している。光ビームは、一度に1.5mm移動した。
図8は、放出された光の強度を決定するステップの結果を示し、
図9は、スポットカウントステップによって得られた結果を示している。両方の図のX軸には、抗原提示細胞、この場合はヒト末梢血単核細胞(PBMC)の量(PBMCの量/ウェル)が示されている。
図8は、Y軸に、複数の測定点で520nmの波長で放出された光の測定された強度に基づいて計算された蛍光結果値を示している。励起光の波長は480nmである。
図9は、Y軸に、試料からカウントされたスポットの数を示している。どちらの場合も、IFN-γ産生細胞の数が測定される。
図8および
図9の上側のドットは刺激された試料を表し、下側のドットはブランク(刺激されていない試料)を表す。
【0068】
多点蛍光測定の読み出し値は、細胞濃度の全範囲(サイトカイン産生の低レベルおよび非常に高レベル)で直線的に増加する一方、スポット数はプラトーまでほぼ直線的に増加し、これは、ウェルあたりの検出可能なスポットの最大数と一致する。これは、スポットがウェル上で混雑しすぎた場合に、背景からスポットを分割するための画像ベースの方法の本質的な制限に起因するものである。一方、スポットカウント方法の検出の制限は、蛍光強度測定に基づくものよりも優れている。したがって、両方の読み出しを組み合わせることにより、アッセイの動的範囲を拡大しながら、スポットカウント方法の検出制限を低く維持することが可能となる。例えば、スポットカウントの代わりに、測定された蛍光信号を使用して、高周波数値での抗原陽性細胞の周波数の予測を行うことが可能であるが、これは上記のような場合には信頼性が低くなる。
【0069】
本発明による方法は、例えば、マイクロプレートの迅速なスクリーニングに使用することができる。この方法により、さらなる分析のために採取すべき試料を特定できる。この方法は、蛍光スポットの数が多すぎて単一スポットを数えられない場合に特に有益である。スポットカウントと蛍光信号の計算の組み合わせは、FluoroSpotデータ分析の包括的な解決法を提供し、スポットのカウントが失敗した場合のトラブルシューティングを可能にする。
【0070】
本発明は上に記載される実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲内で変化し得ることを当業者は理解するであろう。