(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/024 20160101AFI20250227BHJP
【FI】
H02P29/024
(21)【出願番号】P 2021569794
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046726
(87)【国際公開番号】W WO2021140846
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-10-02
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】久保田 慶
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 英之
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】田沼 樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖人
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-070490(JP,A)
【文献】特開2019-080382(JP,A)
【文献】特開2010-183787(JP,A)
【文献】特開2013-013257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定
し、
前記モータの故障状態が第1故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数に設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態とは異なる第2故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって、前記第1周波数とは異なる第2周波数に設定し、
前記制御部は、前記第1故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比と、前記第2故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比とを、前記モータの正常停止時に使用されるデューティ比と等しい値に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、前記第1故障状態および前記第2故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項2】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定
し、
前記モータの故障状態が第1故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を1Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態とは異なる第2故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を2Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態および前記第2故障状態とは異なる第3故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を6Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態および前記第3故障状態とは異なる第4故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を7Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態および前記第4故障状態とは異なる第5故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を8Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態および前記第5故障状態とは異なる第6故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を10Hzに設定し、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態および前記第6故障状態とは異なる第7故障状態である場合に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を12Hzに設定し、
前記制御部は、前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態、前記第6故障状態および前記第7故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記モータの正常停止時に使用されるデューティ比と等しい値に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態、前記第6故障状態および前記第7故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項3】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定
し、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数の第1パルスと、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項4】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定
し、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数の第1パルスを複数回繰り返したものと、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項5】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号
を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なる第1デューティ比の第1パルスと、前記モータの正常時に使用されるデューティ比および前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、
前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項6】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、
前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号
を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なる第1デューティ比の第1パルスを複数回繰り返したものと、前記モータの正常時に使用されるデューティ比および前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定し、
前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、
前記出力切替部は、
前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、
電動ポンプ。
【請求項7】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、第1周波数領域内の周波数に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記第1周波数領域とは異なる第2周波数領域内の周波数に設定す
るステップと
、
前記モータの故障状態が第1故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数に設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態とは異なる第2故障状態である場合に、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって、前記第1周波数とは異なる第2周波数に設定するステップと、
前記制御部が、前記第1故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比と、前記第2故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比とを、前記モータの正常停止時に使用されるデューティ比と等しい値に設定するステップと、
前記制御部が備える前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部が、前記第1故障状態および前記第2故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しないステップと、
を備える、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【請求項8】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、第1周波数領域内の周波数に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記第1周波数領域とは異なる第2周波数領域内の周波数に設定す
るステップと
、
前記モータの故障状態が第1故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を1Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態とは異なる第2故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を2Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態および前記第2故障状態とは異なる第3故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を6Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態および前記第3故障状態とは異なる第4故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を7Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態および前記第4故障状態とは異なる第5故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を8Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態および前記第5故障状態とは異なる第6故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を10Hzに設定するステップと、
前記モータの故障状態が前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態および前記第6故障状態とは異なる第7故障状態である場合に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を12Hzに設定するステップと、
前記制御部が、前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態、前記第6故障状態および前記第7故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記モータの正常停止時に使用されるデューティ比と等しい値に設定するステップと、
前記制御部が備える前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部が、前記第1故障状態、前記第2故障状態、前記第3故障状態、前記第4故障状態、前記第5故障状態、前記第6故障状態および前記第7故障状態の前記モータの監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しないステップと、
を備える、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【請求項9】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、第1周波数領域内の周波数に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記第1周波数領域とは異なる第2周波数領域内の周波数に設定す
るステップと
、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数の第1パルスと、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定するステップと、
前記制御部が備える前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部が、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しないステップと、
を備える、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【請求項10】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、第1周波数領域内の周波数に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記第1周波数領域とは異なる第2周波数領域内の周波数に設定す
るステップと
、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の第1周波数の第1パルスを複数回繰り返したものと、前記モータの正常時に使用される周波数領域外であって前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定するステップと、
前記制御部が備える前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部が、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しないステップと、
を備える、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【請求項11】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、第1デューティ比に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比に設定す
るステップと
、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なる第1デューティ比の第1パルスと、前記モータの正常時に使用されるデューティ比および前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定するステップと、
を備え、
前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号は、前記モータ駆動部に出力されない、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【請求項12】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、
前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、
前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、第1デューティ比に設定す
るステップと、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比に設定す
るステップと
、
前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なる第1デューティ比の第1パルスを複数回繰り返したものと、前記モータの正常時に使用されるデューティ比および前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定するステップと、
を備え、
前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号は、前記モータ駆動部に出力されない、
電動ポンプの故障状態通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法に関する。
本願は、2020年1月8日に出願された米国仮出願番号62/958313に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータの回転状態を示すパルス信号を出力する制御部を備える電動ポンプについて記載されている。
特許文献1に記載された電動ポンプでは、モータが、モータに接続されているポンプを駆動し、複数の半導体スイッチング素子を含む駆動部が、3相交流電圧によってモータを駆動する。電動ポンプの制御部には、モータを駆動するための入力信号がECU(電子制御ユニット)から入力される。電動ポンプの制御部は、ECUから入力された入力信号に基づいて、モータを駆動するための駆動信号を駆動部に出力する。また、電動ポンプの制御部は、モータの回転状態を示すパルス信号をECUに出力する。制御部は、モータが駆動状態または停止状態であること、および、停止状態におけるモータの複数の状態を判別可能に、パルス信号の周波数およびデューティ比の両方を変化させるように構成されている。具体的には、制御部は、パルス信号の周波数の情報とデューティ比の情報とを組み合わせて、1つのパルス信号としてECUに出力する。制御部は、1つのパルス信号における周波数およびデューティ比を、それぞれ個別に変化(制御)可能に構成されている。
【0003】
また、特許文献1には、モータが停止状態である場合に、制御部がパルス信号の周波数を4Hzに設定する旨、制御部が、停止状態におけるモータの複数の状態に対応させて、パルス信号のデューティ比を変化させる旨などが記載されている。
更に、特許文献1には、モータが正常に停止している場合に、制御部が、パルス信号の周波数を4Hzに設定するとともに、パルス信号のデューティ比を50%に設定する旨、モータが正常に停止している場合、ECUから制御部へ送信される入力信号がモータを停止させるための停止信号である旨などが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、モータが駆動状態である場合(つまり、停止状態ではない場合)に、制御部が、モータの回転数に応じて、パルス信号を4Hzとは異なる周波数範囲において可変にする旨が記載されている。特許文献1に記載された電動ポンプでは、モータの回転数が160rpm以下の場合に、(停止状態ではないものの)パルス信号の周波数が4Hzに設定され、モータの回転数が160rpmよりも大きい場合に、モータの回転数が大きくなるにつれて、パルス信号の周波数が1次関数的に大きくなる。
また、特許文献1には、モータが正常に駆動している場合に、制御部が、パルス信号のデューティ比を50%に設定する旨、ポンプの空転によりモータが異常駆動状態である場合に、制御部が、パルス信号のデューティ比を70%に設定する旨、モータが正常に駆動している状態のデューティ比と、モータが異常駆動している状態のデューティ比とが互いに異なっていればよい旨などが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PWM(Pulse Width Modulation)信号をI/F(インタフェース)信号として用いる一般的な電動ポンプにおいては、制御部から出力(発信)されるPWM信号の周波数が、モータの回転数を示すパラメータとして利用される。
電動ポンプのモータの故障状態をECU等に伝えるために、特許文献1に記載された技術のように信号の周波数およびデューティ比の両方を変化させる場合、ECU等は信号の周波数およびデューティ比の両方を認識する必要があり、ECU等の処理能力に負担を強いることになる。
【0007】
上述した問題点に鑑み、本発明は、モータの状態を監視する処理の負担増加を抑制しつつ、異常停止時のモータの状態を詳細に監視可能にすることができる電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、前記スイッチング素子を駆動するPWM信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定する、電動ポンプである。
【0009】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、前記スイッチング素子を駆動するPWM信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、前記モータの異常停止時に、前記制御部は、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なるデューティ比に設定し、前記制御部は、前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力するか否かを切り替える出力切替部を備え、前記出力切替部は、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号を前記モータ駆動部に出力しない、電動ポンプである。
【0010】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、前記スイッチング素子を駆動するPWM信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプであって、前記制御部は、前記モータの異常停止時に、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記モータの正常時に使用される周波数領域外の周波数に設定すると共に、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記モータの正常時に使用されるデューティ比とは異なるデューティ比に設定する、電動ポンプである。
【0011】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、前記スイッチング素子を駆動するPWM信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、第1周波数領域内の周波数に設定する第1ステップと、前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号の周波数を、前記第1周波数領域とは異なる第2周波数領域内の周波数に設定する第2ステップとを備える、電動ポンプの故障状態通知方法である。
【0012】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子から出力される電力によって前記モータを駆動するモータ駆動部と、前記スイッチング素子を駆動するPWM信号を前記モータ駆動部に出力する制御部とを備え、前記制御部から出力される前記PWM信号が、前記モータの状態の監視に用いられる電動ポンプの故障状態通知方法あって、前記モータの正常時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、第1デューティ比に設定する第1ステップと、前記モータの異常停止時に、前記制御部が、前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号のデューティ比を、前記第1デューティ比とは異なる第2デューティ比に設定する第2ステップとを備え、前記モータの異常停止時に前記モータの状態の監視に用いられる前記PWM信号は、前記モータ駆動部に出力されない、電動ポンプの故障状態通知方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モータの状態を監視する処理の負担増加を抑制しつつ、異常停止時のモータの状態を詳細に監視可能にすることができる電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の電動ポンプなどの構成の一例を示す図である。
【
図2】モータの正常時および過回転時における回転数(回転速度)[rpm]と制御部からモータ駆動部などに出力されるPWM信号の周波数[Hz]との関係の一例を示す図である。
【
図3】
図2のA点で示す場合に制御部から出力されるPWM信号の波形の一例などを示す図である。
【
図4】第1実施形態の電動ポンプの第1例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図5】第1実施形態の電動ポンプの第3例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図6】第1実施形態の電動ポンプの第4例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図7】第1実施形態の電動ポンプにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第2実施形態の電動ポンプの第1例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図9】第2実施形態の電動ポンプの第3例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図10】第2実施形態の電動ポンプの第4例においてモータの異常停止時にモータの状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
【
図11】第2実施形態の電動ポンプにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法の実施形態について説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電動ポンプ1などの構成の一例を示す図である。
図1に示す例では、電動ポンプ1が、ポンプ11と、モータ12と、モータ駆動部13と、制御部14とを備えている。
ポンプ11は、水、オイル、燃料などの流体(媒体)の圧送などを行う。モータ12はポンプ11を駆動する。
モータ駆動部13は、例えばインバータ回路などであり、スイッチング素子13Aと、回転数情報処理部13Bとを備えている。スイッチング素子13Aは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子である。モータ駆動部13は、スイッチング素子13Aから出力される電力によってモータ12を駆動する。回転数情報処理部13Bは、モータ12の回転数を示す情報をモータ12から取得し、制御部14に送信する。
制御部14は、例えばゲートドライブ回路などであり、スイッチング素子13Aを駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号をモータ駆動部13に出力する。
【0017】
図1に示す例では、監視装置MDが、モータ12の状態を監視する。制御部14から出力されるPWM信号は、監視装置MDによるモータ12の状態の監視に用いられる。
つまり、
図1に示す例では、制御部14が、モータ駆動部13および監視装置MDのいずれにもPWM信号を出力可能に構成されている。詳細には、制御部14が、出力切替部14Aと、回転数フィードバック部14Bとを備えている。出力切替部14Aは、PWM信号をモータ駆動部13に出力するか否かを切り替える。回転数フィードバック部14Bは、回転数情報処理部13Bによって送信されたモータ12の回転数を示す情報を取得する。また、回転数フィードバック部14Bは、モータ12の回転数を示す情報に基づいて、モータ12の回転数を示すPWM信号を生成する。制御部14は、回転数フィードバック部14Bによって生成されたモータ12の回転数を示すPWM信号を、監視装置MDに送信する。
すなわち、
図1に示す例では、制御部14が、スイッチング素子13Aを駆動するPWM信号をモータ駆動部13に出力可能であると共に、モータ12の回転数を示すPWM信号を監視装置MDに出力可能である。
【0018】
図2はモータ12の正常時および過回転時における回転数(回転速度)[rpm]と制御部14からモータ駆動部13などに出力されるPWM信号の周波数[Hz]との関係の一例を示す図である。モータ12の正常時には、モータ12が正常に回転している時とモータ12が正常に停止している時とが含まれる。
図2に示す例では、A点で示すように、モータ12が、5000[rpm]で定常回転する時、125[Hz]のPWM信号が、制御部14からモータ駆動部13に出力されると共に、制御部14から監視装置MDに出力される。
B点で示すように、モータ12が、800[rpm]で定常回転する時には、20[Hz]のPWM信号が、制御部14からモータ駆動部13に出力されると共に、制御部14から監視装置MDに出力される。
C点で示すように、モータ12が、正常停止する時(つまり、モータ12の正常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)には、4[Hz]のPWM信号が、制御部14からモータ駆動部13に出力されることなく、制御部14から監視装置MDに出力される。
D点で示すように、モータ12が、8000[rpm]で回転(詳細には、過回転)する時には、200[Hz]のPWM信号が、制御部14からモータ駆動部13に出力されると共に、制御部14から監視装置MDに出力される。
【0019】
図3は
図2のA点で示す場合に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例などを示す図である。詳細には、
図3(A)は
図2のA点で示す場合に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示しており、
図3(B)は
図2のB点で示す場合に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示しており、
図3(C)は
図2のC点で示す場合に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示しており、
図3(D)は
図2のD点で示す場合に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
【0020】
図2および
図3(A)に示す例では、モータ12が5000[rpm]で定常回転する時、制御部14は、周波数が125[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が125[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12が5000[rpm]で定常回転していることを認識することができる。この時、制御部14は、モータ12を5000[rpm]で回転させるためのPWM信号をモータ制御部13にする。
図2および
図3(B)に示す例では、モータ12が800[rpm]で定常回転する時、制御部14は、周波数が20[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が20[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12が800[rpm]で定常回転していることを認識することができる。この時、制御部14は、モータ12を800[rpm]で回転させるためのPWM信号をモータ制御部13に出力する。
【0021】
図2および
図3(C)に示す例では、モータ12が正常停止する時、制御部14は、周波数が4[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が4[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12が正常に停止していることを認識することができる。この時、制御部14は、PWM信号をモータ制御部13に出力しない。
図2および
図3(D)に示す例では、モータ12が8000[rpm]で過回転する時、制御部14は、周波数が200[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、モータ駆動部13と監視装置MDとに出力する。そのため、周波数が200[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12が8000[rpm]で過回転していることを認識することができる。詳細には、監視装置MDは、電動ポンプ1が例えば圧送媒体の抜けなどによる異常な負荷低減状態になっていると推定する。
【0022】
図2および
図3に示す例では、
図2に双方向矢印で示す区間(PWM信号の周波数が4[Hz]より高く20[Hz]未満の区間(モータ12の回転数が0[rpm]より高く800[rpm]未満の区間)およびPWM信号の周波数が125[Hz]より高い区間(モータ12の回転数が5000[rpm]より高い区間))が、通常使用されない領域に相当する。
【0023】
図4は第1実施形態の電動ポンプ1の第1例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。詳細には、
図4(A)はモータ12に電力を供給する電源(図示せず)の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、電源電圧過大異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
図4(B)はモータ12に電力を供給する電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、電源電圧過小異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
図4(C)はモータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、温度過大異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
【0024】
図4(A)に示す例では、電源の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が1[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が1[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、電源の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
図4(B)に示す例では、電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が2.5[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が2.5[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
図4(C)に示す例では、モータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が8[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が8[Hz]であってデューティ比が50[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
【0025】
つまり、
図4に示す第1実施形態の電動ポンプ1の第1例では、モータ12の異常停止時に、制御部14から出力されるPWM信号の周波数のみを変動させることによって、監視装置MDが異常停止時のモータ12の状態を詳細に監視できるようにすることができる。
すなわち、第1実施形態の電動ポンプ1の第1例では、制御部14から出力されるPWM信号のデューティ比を変動させる必要なく、つまり、モータ12の状態を監視する処理の負担を増加させる必要なく、監視装置MDは、モータ12が異常停止している原因(電源電圧過大、電源電圧過小またはモータ温度過大)を認識することができる。
【0026】
換言すれば、第1実施形態の電動ポンプ1の第1例では、モータ12の異常停止時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の周波数(1[Hz]、2.5[Hz]、8[Hz])に設定する。
そのため、第1実施形態の電動ポンプ1の第1例では、監視装置MDは、PWM信号の周波数を認識するだけで、モータ12が正常停止している状態と、モータ12が異常停止している状態とを識別することができる。詳細には、監視装置MDは、PWM信号の周波数を認識するだけで、モータ12が異常停止している原因を識別することができる。
【0027】
【0028】
表1は第1実施形態の電動ポンプ1の第2例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を示している。
表1に示すように、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の正常停止時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0029】
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障A(電源の「過小電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の1[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障B(電源の「過大電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の2[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障C(モータ12の「過電流」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の6[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0030】
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障D(モータ12の「過熱」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の7[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障E(「モータロック」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の8[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の10[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0031】
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の12[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
すなわち、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号のデューティ比が、モータ12の正常停止時に使用されるデューティ比と等しい50[%]に設定される。
第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の正常回転時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の20[Hz]~125[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0032】
つまり、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時に、制御部14から出力されるPWM信号の周波数のみを変動させることによって、監視装置MDが異常停止時のモータ12の状態を詳細に監視できるようにすることができる。
すなわち、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、制御部14から出力されるPWM信号のデューティ比を変動させる必要なく、つまり、モータ12の状態を監視する処理の負担を増加させる必要なく、監視装置MDは、モータ12が異常停止している原因(電源電圧過大、電源電圧過小、モータ過電流、モータ過熱、モータロック、指令異常(地絡)または指令異常(停止指令時の周波数異常))を認識することができる。
更に、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、制御部14の出力切替部14Aが、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0033】
上述したように、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、監視装置MDが、PWM信号の周波数を認識することによって、モータ12が異常停止している原因として、7種類の故障状態を識別するが、第1実施形態の電動ポンプ1の他の例では、監視装置MDが、PWM信号の周波数を認識することによって、モータ12が異常停止している原因として、2種類の故障状態を識別してもよい。
この例では、モータ12の故障状態が第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の第1周波数(例えば1[Hz])に設定する。
モータ12の故障状態が第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)とは異なる第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外であって、第1周波数(例えば1[Hz])とは異なる第2周波数(例えば2[Hz])に設定する。
更に、制御部14は、第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号のデューティ比と、第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号のデューティ比とを、モータ12の正常停止時に使用されるデューティ比(50[%])と等しい値に設定する。
この例においても、出力切替部14Aは、第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)および第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0034】
図5は第1実施形態の電動ポンプ1の第3例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
上述したように、第1実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の12[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
一方、第1実施形態の電動ポンプ1の第3例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、
図5に示すように、周波数が8[Hz]の第1パルスと周波数が15[Hz]の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
【0035】
つまり、第1実施形態の電動ポンプ1の第3例では、制御部14は、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の第1周波数(8[Hz])の第1パルスと、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外であって第1周波数(8[Hz])とは異なる第2周波数(15[Hz])の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
そのため、第1実施形態の電動ポンプ1の第3例では、制御部14がモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられる多種類のPWM信号を監視装置MDに出力することができ、7種類よりも多岐にわたって故障状態を識別することができる。
また、第1実施形態の電動ポンプ1の第3例においても、出力切替部14Aは、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0036】
図6は第1実施形態の電動ポンプ1の第4例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
第1実施形態の電動ポンプ1の第4例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、
図6に示すように、周波数が8[Hz]の第1パルスを例えば3回繰り返したものと周波数が15[Hz]の第2パルスを例えば3回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
【0037】
つまり、第1実施形態の電動ポンプ1の第4例では、制御部14は、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外の第1周波数(8[Hz])の第1パルスを複数回繰り返したものと、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)外であって第1周波数(8[Hz])とは異なる第2周波数(15[Hz])の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
そのため、第1実施形態の電動ポンプ1の第4例では、第1実施形態の電動ポンプ1の第3例と同様に、制御部14がモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられる多種類のPWM信号を監視装置MDに出力することができ、7種類よりも多岐にわたって故障状態を識別することができる。
また、第1実施形態の電動ポンプ1の第4例においても、出力切替部14Aは、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0038】
図7は第1実施形態の電動ポンプ1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7に示す例では、ステップS11において、制御部14は、モータの正常時であるか否かを判定する。例えばモータ12に電力を供給する電源の電圧が過大である場合、電源の電圧が過小である場合、モータ12の温度が過大である場合(つまり、モータ12の過熱の場合)、モータ12に流れる電流が過剰である場合(つまり、モータ12の過電流の場合)、モータロックの場合、モータ駆動部13への指令異常(地絡)が発生した場合、モータ駆動部13への指令異常(停止指令時の周波数異常)が発生した場合、モータ12が過回転状態である場合などに、制御部14は、モータ12の異常時であると判定し、ステップS17に進む。一方、モータの正常時であると制御部14が判定した場合には、ステップS12に進む。
【0039】
ステップS12において、制御部14は、モータの停止時であるか否かを判定する。モータの停止時であると制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の正常停止時)には、ステップS13に進む。一方、モータの停止時ではないと制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の定常回転時)には、ステップS15に進む。
【0040】
ステップS13において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される第1周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の周波数である4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
次いで、ステップS14では、制御部14が、ステップS13において周波数(4[Hz])およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、モータ駆動部13に出力することなく、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。
【0041】
ステップS15において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される第1周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の周波数である20[Hz]以上125[Hz]以下の周波数に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
次いで、ステップS16では、制御部14が、ステップS15において周波数(20[Hz]以上125[Hz]以下の周波数)およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。この時、制御部14は、モータ12を800[rpm]以上5000[rpm]以下の回転数で回転させるためのPWM信号をモータ制御部13に出力する。
【0042】
ステップS17において、制御部14は、モータの停止時であるか否かを判定する。モータの停止時であると制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の異常停止時)には、ステップS18に進む。一方、モータの停止時ではないと制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の異常回転時)には、ステップS20に進む。
【0043】
ステップS18において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される第1周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)とは異なる第2周波数領域(4[Hz]未満、4[Hz]より高く20[Hz]より低い周波数領域)内の周波数(例えば1[Hz]、2.5[Hz]、8[Hz]など)に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
次いで、ステップS19では、制御部14が、ステップS18において周波数(例えば1[Hz]、2.5[Hz]、8[Hz]などの周波数)およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、モータ駆動部13に出力することなく、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。
【0044】
ステップS20において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される第1周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)よりも高い周波数(例えば200[Hz]など)に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
次いで、ステップS21では、制御部14が、ステップS20において周波数(例えば200[Hz]など)およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。この時、制御部14は、モータ12を回転させるためのPWM信号をモータ制御部13に出力する。
【0045】
<第2実施形態>
以下、本発明の電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の電動ポンプ1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動ポンプ1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の電動ポンプ1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動ポンプ1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
図8は第2実施形態の電動ポンプ1の第1例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。詳細には、
図8(A)はモータ12に電力を供給する電源の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、電源電圧過大異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
図8(B)はモータ12に電力を供給する電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、電源電圧過小異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
図8(C)はモータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止する時(つまり、温度過大異常時であって、モータ12の回転数が0[rpm]である時)に制御部14から出力されるPWM信号の波形の一例を示している。
【0047】
図8(A)に示す例では、電源の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が4[Hz]であってデューティ比が10[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が4[Hz]であってデューティ比が10[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、電源の電圧が過大であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
図8(B)に示す例では、電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が4[Hz]であってデューティ比が20[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が4[Hz]であってデューティ比が20[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、電源の電圧が過小であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
図8(C)に示す例では、モータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止する時、制御部14は、周波数が4[Hz]であってデューティ比が80[%]のPWM信号を、監視装置MDに出力する。そのため、周波数が4[Hz]であってデューティ比が80[%]のPWM信号を受信した監視装置MDは、モータ12の温度が過大であるためにモータ12が異常停止していることを認識することができる。
【0048】
つまり、
図8に示す第2実施形態の電動ポンプ1の第1例では、モータ12の異常停止時に、制御部14から出力されるPWM信号のデューティ比のみを変動させることによって、監視装置MDが異常停止時のモータ12の状態を詳細に監視できるようにすることができる。
すなわち、第2実施形態の電動ポンプ1の第1例では、制御部14から出力されるPWM信号の周波数を変動させる必要なく、つまり、モータ12の状態を監視する処理の負担を増加させる必要なく、監視装置MDは、モータ12が異常停止している原因(電源電圧過大、電源電圧過小またはモータ温度過大)を認識することができる。
【0049】
換言すれば、第2実施形態の電動ポンプ1の第1例では、モータ12の異常停止時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なるデューティ比(10[%]、20[%]、80[%])に設定する。
そのため、第2実施形態の電動ポンプ1の第1例では、監視装置MDは、PWM信号のデューティ比を認識するだけで、モータ12が正常停止している状態と、モータ12が異常停止している状態とを識別することができる。詳細には、監視装置MDは、PWM信号のデューティ比を認識するだけで、モータ12が異常停止している原因を識別することができる。
更に、第2実施形態の電動ポンプ1の第1例では、制御部14の出力切替部14Aが、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0050】
【0051】
表2は第2実施形態の電動ポンプ1の第2例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を示している。
表2に示すように、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の正常停止時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0052】
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障A(電源の「過小電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比をモータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる5[%]に設定する。
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障B(電源の「過大電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]および5[%]とは異なる10[%]に設定する。
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障C(モータ12の「過電流」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]、5[%]および10[%]とは異なる20[%]に設定する。
【0053】
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障D(モータ12の「過熱」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]、5[%]、10[%]および20[%]とは異なる30[%]に設定する。
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障E(「モータロック」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]、5[%]、10[%]、20[%]および30[%]とは異なる70[%]に設定する。
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]、5[%]、10[%]、20[%]、30[%]および70[%]とは異なる80[%]に設定する。
【0054】
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]、5[%]、10[%]、20[%]、30[%]、70[%]および80[%]とは異なる90[%]に設定する。
すなわち、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号の周波数が、モータ12の正常停止時に使用される周波数と等しい4[Hz]に設定される。
第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の正常回転時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の20[Hz]~125[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0055】
つまり、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時に、制御部14から出力されるPWM信号のデューティ比のみを変動させることによって、監視装置MDが異常停止時のモータ12の状態を詳細に監視できるようにすることができる。
すなわち、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、制御部14から出力されるPWM信号の周波数を変動させる必要なく、つまり、モータ12の状態を監視する処理の負担を増加させる必要なく、監視装置MDは、モータ12が異常停止している原因(電源電圧過大、電源電圧過小、モータ過電流、モータ過熱、モータロック、指令異常(地絡)または指令異常(停止指令時の周波数異常))を認識することができる。
更に、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、制御部14の出力切替部14Aが、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0056】
上述したように、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、監視装置MDが、PWM信号のデューティ比を認識することによって、モータ12が異常停止している原因として、7種類の故障状態を識別するが、第2実施形態の電動ポンプ1の他の例では、監視装置MDが、PWM信号のデューティ比を認識することによって、モータ12が異常停止している原因として、2種類の故障状態を識別してもよい。
この例では、モータ12の故障状態が第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる第1デューティ比(例えば5[%])に設定する。
モータ12の故障状態が第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)とは異なる第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および第1デューティ比(例えば5[%])とは異なる第2デューティ比(例えば10[%])に設定する。
更に、制御部14は、第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号の周波数と、第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号の周波数とを、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])と等しい値に設定する。
この例においても、出力切替部14Aは、第1故障状態(例えば電源の「過小電圧」)および第2故障状態(例えば電源の「過大電圧」)のモータ12の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0057】
図9は第2実施形態の電動ポンプ1の第3例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
上述したように、第2実施形態の電動ポンプ1の第2例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる90[%]に設定する。
一方、第2実施形態の電動ポンプ1の第3例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、
図9に示すように、デューティ比が10[%]の第1パルスとデューティ比が30[%]の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
【0058】
つまり、第2実施形態の電動ポンプ1の第3例では、制御部14は、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる第1デューティ比(10[%])の第1パルスと、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および第1デューティ比(10[%])とは異なる第2デューティ比(30[%])の第2パルスとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
そのため、第2実施形態の電動ポンプ1の第3例では、制御部14がモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられる多種類のPWM信号を監視装置MDに出力することができ、7種類よりも多岐にわたって故障状態を識別することができる。
また、第2実施形態の電動ポンプ1の第3例においても、出力切替部14Aは、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0059】
図10は第2実施形態の電動ポンプ1の第4例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の波形を示す図である。
第2実施形態の電動ポンプ1の第4例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、
図10に示すように、デューティ比が10[%]の第1パルスを例えば3回繰り返したものとデューティ比が30[%]の第2パルスを例えば3回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
【0060】
つまり、第2実施形態の電動ポンプ1の第4例では、制御部14は、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる第1デューティ比(10[%])の第1パルスを複数回繰り返したものと、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および第1デューティ比(10[%])とは異なる第2デューティ比(30[%])の第2パルスを複数回繰り返したものとを組み合わせたパルス列によって構成される信号に設定する。
そのため、第2実施形態の電動ポンプ1の第4例では、第2実施形態の電動ポンプ1の第3例と同様に、制御部14がモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられる多種類のPWM信号を監視装置MDに出力することができ、7種類よりも多岐にわたって故障状態を識別することができる。
また、第2実施形態の電動ポンプ1の第4例においても、出力切替部14Aは、モータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0061】
図11は第2実施形態の電動ポンプ1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11に示す例では、ステップS31において、制御部14は、モータの正常時であるか否かを判定する。例えばモータ12に電力を供給する電源の電圧が過大である場合、電源の電圧が過小である場合、モータ12の温度が過大である場合(つまり、モータ12の過熱の場合)、モータ12に流れる電流が過剰である場合(つまり、モータ12の過電流の場合)、モータロックの場合、モータ駆動部13への指令異常(地絡)が発生した場合、モータ駆動部13への指令異常(停止指令時の周波数異常)が発生した場合、モータ12が過回転状態である場合などに、制御部14は、モータ12の異常時であると判定し、ステップS37に進む。一方、モータの正常時であると制御部14が判定した場合には、ステップS32に進む。
【0062】
ステップS32において、制御部14は、モータの停止時であるか否かを判定する。モータの停止時であると制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の正常停止時)には、ステップS33に進む。一方、モータの停止時ではないと制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の定常回転時)には、ステップS35に進む。
【0063】
ステップS33において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の停止時に使用される周波数(4[Hz])に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用される第1デューティ比(50[%])に設定する。
次いで、ステップS34では、制御部14が、ステップS33において周波数(4[Hz])およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、モータ駆動部13に出力することなく、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。
【0064】
ステップS35において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常回転時に使用される周波数領域(20[Hz]以上125[Hz]以下)内の周波数に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用される第1デューティ比(50[%])に設定する。
次いで、ステップS36では、制御部14が、ステップS35において周波数(20[Hz]以上125[Hz]以下の周波数)およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。この時、制御部14は、モータ12を800[rpm]以上5000[rpm]以下の回転数で回転させるためのPWM信号をモータ制御部13に出力する。
【0065】
ステップS37において、制御部14は、モータの停止時であるか否かを判定する。モータの停止時であると制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の異常停止時)には、ステップS38に進む。一方、モータの停止時ではないと制御部14が判定した場合(つまり、モータ12の異常回転時)には、ステップS40に進む。
【0066】
ステップS38において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の停止時に使用される周波数(4[Hz])に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、第1デューティ比(「50%」)とは異なる第2デューティ比(例えば「10%」、「20%」、「80%」など)に設定する。
次いで、ステップS39では、制御部14が、ステップS38において周波数(4[Hz])およびデューティ比(例えば「10%」、「20%」、「80%」など)が設定されたPWM信号を、モータ駆動部13に出力することなく、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。
【0067】
ステップS40において、制御部14は、PWM信号の周波数を、モータ12の正常回転時に使用される周波数領域(20[Hz]以上125[Hz]以下)よりも高い周波数(例えば200[Hz]など)に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
次いで、ステップS41では、制御部14が、ステップS40において周波数(例えば200[Hz]など)およびデューティ比(50[%])が設定されたPWM信号を、監視装置MDに出力する。監視装置MDに出力されたPWM信号は、モータ12の状態の監視に用いられる。この時、制御部14は、モータ12を回転させるためのPWM信号をモータ制御部13に出力する。
【0068】
<第3実施形態>
以下、本発明の電動ポンプおよび電動ポンプの故障状態通知方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の電動ポンプ1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動ポンプ1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の電動ポンプ1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電動ポンプ1と同様の効果を奏することができる。
【0069】
【0070】
表3は第3実施形態の電動ポンプ1の一例においてモータ12の異常停止時にモータ12の状態の監視に用いられるPWM信号を示している。
表3に示すように、第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の正常停止時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を4[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0071】
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障A(電源の「過小電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])とは異なる2[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なる20[%]に設定する。
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障B(電源の「過大電圧」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])とは異なる2[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および20[%]とは異なる80[%]に設定する。
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障C(モータ12の「過電流」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])および2[Hz]とは異なる7[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および80[%]とは異なる20[%]に設定する。
【0072】
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障D(モータ12の「過熱」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])および2[Hz]とは異なる7[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および20[%]とは異なる80[%]に設定する。
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障E(「モータロック」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])、2[Hz]および7[Hz]とは異なる10[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および80[%]とは異なる20[%]に設定する。
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])、2[Hz]、7[Hz]および10[Hz]とは異なる15[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および80[%]とは異なる20[%]に設定する。
【0073】
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時であって、モータ12の故障状態が故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)である場合に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常停止時に使用される周波数(4[Hz])、2[Hz]、7[Hz]および10[Hz]とは異なる15[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])および20[%]とは異なる80[%]に設定する。
すなわち、第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号の周波数が、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下の周波数領域)外の周波数(4[Hz]未満、4[Hz]より高く20[Hz]より低い周波数)に設定されると共に、PWM信号のデューティ比が、モータ12の正常時に使用されるデューティ比(50[%])とは異なるデューティ比(20[%]、80[%])に設定される。
第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の正常回転時に、制御部14は、モータ12の状態の監視に用いられるPWM信号の周波数を、モータ12の正常時に使用される周波数領域(4[Hz]、20[Hz]以上125[Hz]以下)内の20[Hz]~125[Hz]に設定すると共に、PWM信号のデューティ比を50[%]に設定する。
【0074】
つまり、第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の異常停止時に、制御部14から出力されるPWM信号の周波数とデューティ比とを変動させることによって、監視装置MDが異常停止時のモータ12の状態を詳細に監視できるようにすることができる。
すなわち、第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、モータ12の正常時に制御部14から出力されるPWM信号のデューティ比を変動させる必要なく、つまり、モータ12の状態を監視する処理の負担を増加させる必要なく、監視装置MDは、モータ12が異常停止している原因(電源電圧過大、電源電圧過小、モータ過電流、モータ過熱、モータロック、指令異常(地絡)または指令異常(停止指令時の周波数異常))を認識することができる。
更に、第3実施形態の電動ポンプ1の一例では、制御部14の出力切替部14Aが、故障A(電源の「過小電圧」)、故障B(電源の「過大電圧」)、故障C(モータ12の「過電流」)、故障D(モータ12の「過熱」)、故障E(「モータロック」)、故障F(モータ駆動部13への「指令異常(地絡)」)および故障G(モータ駆動部13への「指令異常(停止指令時の周波数異常)」)の状態のモータ12の監視に用いられるPWM信号をモータ駆動部13に出力しない。
【0075】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0076】
なお、上述した実施形態における電動ポンプ1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0077】
1…電動ポンプ、11…ポンプ、12…モータ、13…モータ駆動部、13A…スイッチング素子、13B…回転数情報処理部、14…制御部、14A…出力切替部、14B…回転数フィードバック部、MD…監視装置