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特許7641281優れた転換活性を有する菌体固定化ビーズおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】優れた転換活性を有する菌体固定化ビーズおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/10 20060101AFI20250227BHJP
   C12P 19/02 20060101ALN20250227BHJP
【FI】
C12N11/10
C12P19/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022525216
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 KR2020015057
(87)【国際公開番号】W WO2021086119
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0138219
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143207
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スンギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ブス
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンハ
(72)【発明者】
【氏名】アン,シンヘ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウンス
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221815(WO,A1)
【文献】特表2019-500037(JP,A)
【文献】特表2018-533958(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1616050(KR,B1)
【文献】特開昭58-028285(JP,A)
【文献】特表2018-536417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 11/10
C12P 19/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体としてアルギン酸またはアルギン酸塩と、前記担体に固定化されたアルロースエピマー化酵素を生産するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属微生物の菌体を含み、
水分含有量が14%以下であり、
前記菌体が、40~65℃の温度条件で0.1~2時間熱処理されたもので、そのアルロース転換活性が101~160%に向上したものであり、
水分含有量90%以上を有する未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積)100%を基準として、35%以下の反応塔充填率(体積%)を有する、アルロース生産用乾燥ビーズ。
【請求項2】
前記乾燥ビーズの平均粒径100%を基準として、果糖-含有基質で復原処理した後に得られる復原ビーズの平均粒径が120~190%である、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項3】
前記乾燥ビーズは、果糖-含有基質で復原処理した後に得られる復原ビーズの平均粒径が1.1~1.9mmである、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項4】
前記乾燥ビーズは、製造直後の乾燥ビーズの転換活性100%を基準として、製造後25℃温度条件で38週間保管した後にビーズの60%以上のアルロース転換活性を有するものである、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項5】
前記乾燥ビーズは、製造直後の乾燥ビーズの転換活性100%を基準として、製造後60℃温度条件で38週間保管後にビーズの50%以上のアルロース転換活性を有するものである、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項6】
前記乾燥ビーズは、平均見かけ密度(bulky density)が0.6~0.8Kg/Lである、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項7】
前記ビーズは、前記菌体と担体の混合液を二価陽イオン塩化化合物が含まれている反応液に滴加して製造された菌体固定化ビーズである、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項8】
前記菌体とアルギン酸担体を含むビーズが膨潤抑制剤のコーティング層を含むものである、請求項7に記載の乾燥ビーズ。
【請求項9】
前記膨潤抑制剤は、キトサン、キチン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンイミン(PEI)、キト-オリゴ糖(Chito-oligosaccharide)およびポリリジンからなる群より選択される1種以上である、請求項8に記載の乾燥ビーズ。
【請求項10】
前記乾燥ビーズを果糖-含有基質で復原処理した後に得られる復原ビーズは、50重量%の果糖液を通液してアルロース転換率が25%以上に維持される基質通液流速(mL/min)が、未乾燥ビーズ100%を基準として110~300である、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項11】
前記乾燥ビーズを復元して果糖-含有原料でアルロース転換反応を行ったビーズのアルロース生産量は、菌体熱処理と乾燥を行なっていないビーズのアルロース生産量100%を基準として相対的生産量が110%以上である、請求項1に記載の乾燥ビーズ。
【請求項12】
アルロースエピマー化酵素を生産するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体を40~65℃で0.1~2時間熱処理する工程;
前記菌体と担体としてアルギン酸またはその塩を含む混合溶液を、二価陽イオン塩化化合物が含まれている反応液に滴下して菌体固定化ビーズを形成する工程;および
前記ビーズに乾燥処理を行う工程;を含むアルロース生産用乾燥ビーズの製造方法であって、
前記熱処理を行った菌株の菌体は、熱処理前菌株の菌体に比べて相対的アルロース転換活性が101~160%であり、
前記乾燥ビーズは、水分含有量90%以上を有する未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積)100%を基準として、35%以下の反応塔充填率(体積%)を有するものである、アルロース生産用乾燥ビーズの製造方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のアルロース生産用乾燥ビーズを含むアルロース生産用組成物。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載のアルロース生産用乾燥ビーズおよび水または果糖液を含む復原ビーズであって、
前記復原ビーズの平均粒径は、前記乾燥ビーズの平均粒径(mm)100%を基準として、120~190%である、復原ビーズ。
【請求項15】
未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積%)100%を基準として、35%以上の反応塔充填率(体積%)を有する請求項14に記載の復原ビーズ。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか一項に記載のアルロース生産用乾燥ビーズを、果糖が含まれている反応基質または水に投入する工程を含む復原ビーズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菌体固定化ビーズおよびその製造方法、より詳しくは、固定化ビーズに含まれている菌体の転換活性に優れ、流通および保管過程でも転換活性を維持した菌体固定化ビーズ、菌体固定化ビーズの製造方法、および前記ビーズの転換活性を利用した用途に関する。
【背景技術】
【0002】
アルロースは、ダイエット甘味料として関心が高まりつつあるが、自然界に極めて希に存在する単糖類である希少糖に属するため、食品産業に適用するためにはアルロースを効率よく製造する技術の開発が必要である。従来のアルロース製造方法は、主に化学的合成過程を経て製造する方法と、微生物の酵素を利用した生物学的製造方法で製造される方法が知られている。最近の食品素材は、化学的な方法による生産よりは、環境にやさしい生物学的生産方法が好まれており、そのためにアルロース生産方法に微生物を利用する多くの研究が進められてきている。
【0003】
アルロースを生産する微生物が有している果糖転換アルロース生産酵素であるアルロースエピマー化酵素は、細胞外部に溶出するものであり、酵素固定化方法による生産方法と、細胞を含む担体固定化による生産方法が産業的に利用されている。このうち、細胞から酵素を収得する工程なしの菌体固定化担体による生産方法がより経済的な方法として主に産業的に適用されている。アルロース生産に使用される菌体固定化担体としては、食品素材の製造に適したアルギン酸が使用されている。アルギン酸は、食品添加物であって、乳酸菌カプセル、飲物など、医療用組織工学材料および薬品伝達体など多様な分野で使用されている。アルギン酸は、ハイドロゲルを簡単に形成するため、担体(ビーズ)として多く利用され、特に酵素および細胞の固定化に多く利用されている。また、アルギン酸またはその塩を利用したビーズ(alginate bead)は、膨潤性および伸縮性がある多孔性物質であって、無作為にベータ-1,4結合を形成することで、菌体や酵素が安定的に固定化され得るため有利である。
【0004】
しかし、アルギン酸により菌体固定化されたビーズは、多量の水分が含有された状態で微生物が育つことができる環境に露出された状態で数時間が経過すれば腐敗が進められ、そのためにビーズの結合力弱化で担体から菌体の放出と共に菌体内のアルロースエピマー化酵素の力価も急激に減少する。それによって、果糖転換アルロース生産反応時にアルロース生産速度を低下させる。
【0005】
また、アルギン酸またはその塩を利用したビーズ水溶液に浸漬された状態では多孔性の特徴が良好に保存されるが、特別な薬品および汚染に対する予防なしでは水溶液以外の保管および流通が難しいという問題がある。つまり、水分が含有された菌体固定化アルギン酸担体は、製造した時と同じく浸漬された状態で存在するため、大量生産時に保管が容易でなく、流通時に多大な費用発生と液状状態で保管するなどのややこしい制約が発生され得る。
【0006】
また、大部分の酵素および細胞の活性に適正なpHがほとんどpH7付近に分布しており、pH7付近でアルギン酸ビーズの結合力が弱くなることによって発生する膨潤(swelling)および分解される特徴と、高温でその結合力がより弱くなる特徴を有しており、産業的適用に制約がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、菌体や酵素のような生体触媒が固定化されたアルギン酸担体の含有された水分を除去する製造工程および条件を確立して転換活性が維持される保管性および流通性に優れた乾燥ビーズを製造する方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一例は、果糖からアルロースを生産するアルロース転換活性を有するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体がアルギン酸またはその塩に固定化された、アルロース生産用乾燥ビーズおよびその製造方法を提供する。
【0009】
本発明の一例は、果糖から前記アルロース生産用乾燥ビーズを水または果糖液で復元した復原ビーズ、およびこれを利用したアルロース生産用組成物またはこれを利用して果糖-含有基質からアルロース-含有生産物を製造する方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記乾燥された形態の菌体固定化ビーズを含むアルロース生産用組成物またはこれを利用して果糖-含有基質からアルロース-含有生産物を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一例は、果糖からアルロースを生産するアルロース転換活性を有するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体が担体に固定化され、乾燥されて水分含有量が低い乾燥ビーズおよびその製造方法、前記乾燥ビーズを復元した復原ビーズおよびその製造方法、前記乾燥ビーズおよび/または復原ビーズを含むアルロース生産用組成物、およびアルロース生産方法に関する。
【0012】
本発明による担体に固定化された菌体を含む乾燥ビーズは、水分含有量が低く、保管安定性および熱安定性に優れている。
【0013】
また、前記乾燥ビーズを復元した復原ビーズは、物性回復率に優れて乾燥前ビーズの物性と類似の水準を示し、比較的に同等または類似の水準のアルロース転換反応活性を有する。前記乾燥ビーズは、ビーズの体積を減少させて単位体積当たりカラム充填量を増加させてアルロース生産量を増加させており、保管安定性が高いビーズを製造して従来の技術で問題点として認識された、水分が含有された状態の非乾燥ビーズが保管中に微生物の汚染によるビーズの結合力弱化および分解により、ビーズ外部に菌体流出および転換活性減少があるが、これを解決して長期間安定的に高いアルロース生産量を提供することができるという長所がある。
【0014】
本発明の一例は、担体としてアルギン酸またはアルギン酸塩と、前記担体に固定化されたアルロースエピマー化酵素を生産するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体を含み、水分含有量が14%以下である乾燥ビーズに関する。
【0015】
本発明のまた他の一例は、前記乾燥ビーズを水または果糖液を利用して復元した復原ビーズに関する。
【0016】
本発明による乾燥ビーズの水分含有量または含水率が14%以下であり、前記乾燥ビーズは、水分含有量90%以上を有する未乾燥ビーズの体積または重さ100%を基準として、乾燥後体積または重さが50%以下であり得る。
【0017】
本発明の一例は、果糖からアルロースを生産するアルロース転換活性を有するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体が担体に固定化され、乾燥されて水分含有量が低い乾燥ビーズに関する。
【0018】
具体的に、本発明による乾燥ビーズは、下記特性のうちの少なくとも一つ以上を有することができる:
(i)水分含有量が14%以下、
(ii)未乾燥ビーズの重さ100%を基準として、乾燥後重さが35%以下、
(iii)見かけ密度(bulky density)が0.6~0.8Kg/L、
(iv)製造直後の乾燥ビーズのアルロース転換活性100%を基準として、25℃温度条件で38週間保管した後の乾燥ビーズのアルロース転換活性が60%以上、
(v)製造直後の乾燥ビーズの転換活性100%を基準として、60℃温度条件で38週間保管した後の乾燥ビーズのアルロース転換活性が50%以上、
(vi)未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積%)100%を基準として、35%以下の反応塔充填率(体積%)を有すること、および
(viii)乾燥ビーズを復元した復原ビーズの平均粒径は1.1~1.9mmである。
【0019】
本発明の追加の一例は、前記乾燥ビーズを水または果糖液を利用して復元した復原ビーズに関する。具体的に、前記復原ビーズは、下記特性のうちの少なくとも一つ以上を有することができる:
(i)水分含有量が90%以上、
(ii)未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積%)100%を基準として、35%以上の反応塔充填率(体積%)を有すること、
(iii)ビーズの平均粒径1.1~1.9mm、
(iv)乾燥ビーズの平均粒径100%を基準として、復原ビーズの平均粒径は120~190%、
(v)50重量%の果糖液を通液してアルロース転換率が25%以上に維持される基質通液流速(mL/min)が、未乾燥ビーズ100%を基準として110~300であること、および
(vi)果糖含有原料から得られるアルロース転換反応生成物のアルロース含有量が、乾燥前ビーズに対してアルロース生産量100%を基準として約110%以上である。
【0020】
詳しくは、本発明の一例による乾燥ビーズの水分含有量または含水率が、14%以下、12%以下、10%以下、9.9%以下、9.5%以下、9.0%以下、8.9%以下、8.7%以下、8.5%以下、または8%以下であり得、水分含有量の下限値は1%以上、2%以上、3%以上、4%以上または5%以上であり得、また、前記水分含有量の範囲は前記上限値と下限値の組み合わせた範囲であり得、例えば1~14%、2~12%、3~10%、3~8%、4~8%または5~8%であり得る。
【0021】
前記乾燥ビーズは、未乾燥ビーズ、例えば水分含有量90%以上を有する未乾燥ビーズの重さ100%を基準として、乾燥後ビーズの重さが、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、または8重量%以下であり得、好ましくは30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、または8重量%以下であり得る。具体的に、前記製造されたビーズを溶液から回収した乾燥前ビーズ100gで乾燥後重さが、50g以下、例えば10g以下であり得る。前記乾燥ビーズの重さ(重量)変化は乾燥前重量と乾燥後重量を測定して相対的パーセント数値で表示したものであり、乾燥前と後の重量は同一の測定単位を有する。
【0022】
本発明による乾燥ビーズは、復原時、ビーズの物性回復率に優れ、アルロース転換反応効率が、乾燥前ビーズの物性と比較的類似の水準を示す。
【0023】
また、前記乾燥ビーズは、未乾燥ビーズ、例えば水分含有量90%以上を有する未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積%)100%を基準として、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、17%以下、15%以下、13%以下、または11%以下であり得、例えば1.0~35%、1.0~30%、1.0~25%、1.0~20%、1.0~20%、1.0~17%、1.0~15%、1.0~13%、1.0~11%、3.0~35%、3.0~30%、3.0~25%、3.0~20%、3.0~20%、3.0~17%、3.0~15%、3.0~13%、3.0~11%、5.0~35%、5.0~30%、50~25%、5.0~20%、5.0~20%、5.0~17%、5.0~15%、5.0~13%、5.0~11%、5.5~35%、5.5~30%、5.5~25%、5.5~20%、5.5~20%、5.5~17%、5.5~15%、5.5~13%、または5.5~11%であり得る。
【0024】
具体的に、前記製造されたビーズを溶液から回収した乾燥前ビーズ100mLで乾燥後体積が35mL以下、例えば15mL以下であり得る。前記乾燥ビーズの体積変化は、乾燥前体積と乾燥後体積を測定して相対的パーセント数値で表示したものであり、乾燥前と後の体積は同一の測定単位を有する。
【0025】
前記乾燥ビーズは、同一重量のビーズの水分含有量が減少することによって、体積が減少し、密度が増加する。本発明による乾燥ビーズは、体積および重量が乾燥前ビーズに比べて減少して保管および流通が容易である。前記乾燥ビーズは、ビーズの体積と粒径を減少させて単位体積当たりカラム充填量を増加させてアルロース生産量を増加させ、保管安定性が高いビーズを製造して既存に問題となった水分が含有された状態の非乾燥ビーズが保管中に微生物の汚染によるビーズの結合力弱化および分解によって、ビーズ外部に菌体流出および転換活性減少があるが、これを解決して長期間安定的に高いアルロース生産量を提供することができるという長所がある。
【0026】
本発明による乾燥ビーズは、保管安定性および熱安定性に優れて乾燥前アルロース転換活性を最大限維持する長所がある。乾燥ビーズを製造する場合、乾燥前ビーズの物性および活性に近接した物性と活性を有することが重要である。
【0027】
具体的に、前記乾燥ビーズは、製造直後の乾燥ビーズの転換活性100%を基準として、乾燥ビーズを製造した後、25℃温度条件で38週間保管した後、乾燥ビーズのアルロース転換活性を、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または91%以上、92%以上、93%以上、または94%以上を有することができる。前記乾燥ビーズは、製造直後の乾燥ビーズの転換活性100%を基準として、乾燥ビーズを製造した後、60℃温度条件で38週間保管した後、乾燥ビーズの酵素力価を50%以上、60%以上、70%以上、または75%以上を有するものであり得る。
【0028】
前記保管安定性の測定の一例は、乾燥ビーズを果糖-含有基質溶液に保管する条件で進行する。前記保管されたビーズを反応塔に充填し、温度50℃、およびpH6.5~7.2に調節された50brix(%)の果糖含有基質を前記ビーズが充填された反応塔に通液してアルロース転換率25%以上に維持される流速下でアルロース転換反応を行い、前記得られた転換反応生成物に含まれているアルロースを定量して行うことができる。前記アルロース転換活性の測定を保管前ビーズと同一に進行して保管前ビーズのアルロース転換活性100%を基準として相対的な転換活性のパーセントで表示することができる。前記果糖-含有基質は、40~60重量%の固形分含有量および30~99%(w/w)の果糖純度を有する果糖含有原料であり得る。
【0029】
また、本発明による乾燥ビーズは、果糖-含有基質からアルロースを生産するに当たり、より長期間の間に高い転換率および生産量を提供することができる。具体的に、前記乾燥ビーズは、果糖液で復元した復原ビーズが40~60重量%の固形分含有量および30~99%(w/w)の果糖純度を有する果糖含有原料から得られるアルロース転換反応生成物のアルロース含有量が、乾燥前ビーズに比べてアルロース生産量100%を基準として、約110%以上、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上または180%以上であり得、好ましくは150%以上、160%以上、170%以上または180%以上であり得、例えば101~300%、105~300%、110~300%、120~300%、130~300%、または140~300%であり得る。好ましくは、前記ビーズに使用された菌体が30~70℃の温度で熱処理した菌体であり得、果糖液で復元した復原ビーズを利用したアルロース転換反応生成物のアルロース含有量が、乾燥前ビーズを利用したアルロース生産量100%を基準として、約150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、190%以上または200%以上であり得、上限値は205%以下、210%以下、220%以下、230%以下、250%以下、260%以下、270%以下、280%以下、290%以下、300%以下であり得、例えば前記下限値と上限値の組み合わせた数値範囲であり得る。
【0030】
前記復原ビーズは、果糖液を通液してアルロース転換率が25%以上に維持される基質通液流速(mL/min)が0.15以上、0.17以上、0.20以上、0.22以上、または0.24以上であり得、例えば0.15~0.5、0.17~0.5、0.20~0.5、0.22~0.5または0.24~0.5であり得る。
【0031】
本発明の一例により前記乾燥ビーズを水または果糖液で復元する場合、例えばアルロース生産に使用される反応塔に乾燥されたビーズを充填時、水または果糖液で本来の球形の形態に復原され得る。
【0032】
具体的に、本発明による乾燥ビーズを復元した復原ビーズは、未乾燥ビーズの反応塔充填率(体積%)100%を基準として、35%以上、40%以上、または45%以上の反応塔充填率(体積%)を有するものであり得る。
【0033】
本発明の一例により、乾燥ビーズは果糖からアルロースを転換する反応に使用する前に本来の形態に復原されるようにする工程が必要である。復元させる方法は、果糖が含まれている反応基質または水に乾燥ビーズを投入して本来の形態に復原させることができる。具体的に、乾燥されたビーズ10gをビーカーに入れた後、常温の状態で200mLの水を入れた後、30分以上100rpmの速度で攪拌して本来の球形に近い形態に復元させる。
【0034】
本発明の一例により、復原前乾燥ビーズを反応塔に投入した後、アルロース生産に使用される転換反応用基質を反応温度50℃下で供給流速0.2~0.5SVで通液または循環させる方式で乾燥ビーズを水和させて本来の形態に復原させる。
【0035】
前記乾燥ビーズを復元した復原ビーズの平均粒径は、1.1~1.9mm、1.15~1.9mm、1.2~1.9mm、1.25~1.9mm、1.3~1.9mm、1.1~1.8mm、1.15~1.8mm、1.2~1.8mm、1.25~1.8mm、1.3~1.8mm、1.1~1.7mm、1.15~1.7mm、1.2~1.7mm、1.25~1.7mm、1.3~1.7mm、1.1~1.6mm、1.15~1.6mm、1.2~1.6mm、1.25~1.6mm、または1.3~1.6であり得る。
【0036】
前記乾燥ビーズを復元した復原ビーズの平均粒径(mm)は、前記乾燥ビーズの平均粒径(mm)100%を基準として、120%以上、または130%以上であり得、例えば120%以上~190%、130%以上~190%、120%以上~180%、130%以上~180%、120%以上~170%、130%以上~170%、120%以上~160%、または130%以上~160%であり得る。
【0037】
具体的に、初期の反応塔充填体積100%を基準として40%以上、例えば40~70%体積に復元され得、ここに未乾燥ビーズに比べて反応塔充填率が増えて、単位体積当たり生産性は、未乾燥ビーズに比べて高い結果を提供することができる。
【0038】
本発明の一例により、アルロースを生産するアルロース転換活性を有するマイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌株の菌体が担体に固定化され、乾燥されて水分含有量が低い乾燥ビーズの製造方法を提供する。
【0039】
前記乾燥ビーズの特性は、前記乾燥ビーズに関する説明で前述したとおりである。
より詳しくは、前記乾燥ビーズの製造方法は、菌体を担体に固定化するビーズ形成工程および乾燥工程を含み、選択的にビーズ形成に使用される菌体の熱処理工程、ビーズの低温硬化工程およびビーズコーティング工程からなる1種以上の追加工程を行うことができる。
【0040】
本発明による製造方法において、前記ビーズ形成工程は、アルロース生産菌体または酵素と担体としてアルギン酸またはその塩を含む混合溶液を、二価陽イオン塩化化合物が含まれている反応液に滴加して行うことができる。
【0041】
また、ビーズを形成する工程以降に、菌体または酵素-含有ビーズを硬化する工程、二価陽イオン塩化化合物を洗浄する工程、および菌体または酵素-含有ビーズを果糖-含有基質で処理する工程からなる群より選択された1種以上の処理工程を含むことができる。前記ビーズ形成後、追加工程は本技術分野で通常の専門家に知られた方法で行うことができ、特に制限されない。
【0042】
前記ビーズ形成工程の例は、菌株の菌体、前記菌株が生産した酵素を含む培養液、または前記菌株の破砕物の1~2倍体積のアルギン酸ナトリウム水溶液に前記菌株の菌体、前記菌株が生産した酵素を添加して混合した後、前記得られた混合液を注射器ポンプと真空ポンプを使用して約0.2Mカルシウムイオン溶液に落としてビーズが生成されるようにすることによってビーズを製造することができる。前記酵素は、前記菌株、菌株培養物または前記菌株の破砕物から通常の方法、例えば透析、沈澱、吸着、電気泳動、親和クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどの方法により精製されたものであり得る。
【0043】
本発明において、前記担体としてアルギン酸またはその塩を使用し、前記アルギン酸塩は特に限定されず、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム塩などがある。例えば、担体としてアルギン酸、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウム塩は2,000~50,000cpsの粘度を有するものであり得る。また、ビーズ形成工程でアルギン酸塩溶液の濃度は、凝集形成および製造過程の便宜性を考慮して1重量%~10重量%、好ましくは1重量%~8重量%、より好ましくは2重量%~5重量%であり得るが、これに制限されるのではない。
【0044】
前記アルロース生産菌体は、アルロースエピマー化酵素を生産する野生型菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組換え菌株であり得る。または、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株またはアルロースエピマー化酵素をコードする遺伝子が導入された組換え菌株を得て、菌株の菌体、前記菌株から得られる酵素であり得る。
【0045】
前記ビーズに固定化される菌体は、菌体を含有する溶液を30~70℃の温度、または30~65℃で、40~65℃、50~63℃、例えば60℃で熱処理された菌体であり得、前記熱処理時間は0.1時間~2時間行うことができる。前記アルロース生産菌体は、培養液で回収された細胞または前記培養液を熱処理して得られた菌体であり得る。前記熱処理された菌体自体(ビーズでなく、菌体で測定したアルロース転換活性)は、熱処理前菌体に比べて相対的アルロース転換活性が、101%以上、105%以上、110%以上、例えば101~160%であるものであり得る。また、前記ビーズ形成工程で前記菌体とアルギン酸またはその塩の混合溶液の粘度は、熱処理前菌体を含む菌体濃度2%(w/w)およびアルギン酸2%(w/w)の混合液の25℃で測定する場合、熱処理していない菌体を含む混合液に比べて90%以下、例えば、4,000~6,000cpsであるものであり得る。
【0046】
前記熱処理方法の一例は、アルギン酸と菌体混合された固定化ビーズを20~70℃で乾燥化を通じてビーズの水分含有量を14%以下に除去する過程を行って初期の乾燥前ビーズの体積または重さ100%を基準として、約50%以下に乾燥ビーズを製造することができる。
【0047】
本発明の一具体例において、アルロースエピマー化酵素を生産する菌株としては、高い安定性を有しながらも、高収率でアルロースエピマー化酵素を生産できる菌株であり得、好ましくはマイクロバクテリウム属菌株、例えば、Microbacterium foliorum、Microbacterium oxydans、またはMicrobacterim phyllosphaeraeであり得るが、これに限定されない。
【0048】
前記アルロース生産用乾燥ビーズの製造方法において、好ましくは凍結過程を行わないものであり得、凍結過程で菌体の活性が低くなる問題点があり、大量で凍結乾燥工程を行う場合、生産単価が急激に上昇する問題点がある。具体的に、乾燥ビーズは、空気または風を利用した乾燥を行い、空気温度は20~70℃、例えば40~50℃の温度を有する空気を利用して数時間空気を循環する方式で乾燥化を行うことができる。
【0049】
具体的に、前記ビーズ形成工程は、二価金属イオンでビーズを処理する工程を単独で行ったり、二価金属イオンでビーズを処理する工程を行った後に膨潤抑制剤としてビーズをコーティングする工程を行うことができる。
【0050】
前記二価金属で処理する工程は、Mn2+、Zn2+、Co2+、Mg2+、Ni2+、Fe2+、およびCu2+からなる群より選択された1種以上の二価金属イオンでビーズを処理することができる。具体的に、前記二価金属イオンが添加された水溶液または果糖-含有基質溶液に、酵素または菌体を含有するビーズを担持したり、前記ビーズが充填されたカラムに前記二価金属イオンが添加された水溶液または果糖-含有基質溶液を流して行うことができる。前記二価金属イオンが添加された水溶液または果糖-含有基質溶液に含まれている二価金属イオンの含有量は、1mM~15mMであり得るが、ビーズの十分な圧縮効果を有するためには好ましくは5mM~10mMで処理する。
【0051】
前記膨潤抑制剤でビーズをコーティングする工程は、ビーズを膨潤抑制剤を含有する溶液に浸漬したり添加して行うことができる。前記膨潤抑制剤は、キトサン、キチン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンイミン(PEI)、キト-オリゴ糖(Chito-oligosaccharide)およびポリリジンからなる群より選択される1種以上であり得る。前記膨潤抑制剤は、キトサン-オリゴ糖を使用する場合、重量平均分子量が700~9,000範囲であり得、特に限定しない。コーティング工程で膨潤抑制剤溶液の濃度は、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%であり得るが、これに制限されるのではない。
【0052】
本発明の追加的な例は、前記菌体と担体を含む乾燥ビーズを含むアルロース生産用組成物または前記乾燥ビーズを利用して果糖-含有基質を利用してアルロースを生産する方法を提供する。
【0053】
好ましくは、本発明のアルロース生産方法は、酵素や菌体を含有するビーズをカラムに充填させ、果糖-含有基質溶液を流して行うことができ、本発明が属する技術分野における当業者が使用された酵素や菌体、または固定化担体により適したものを容易に選択して行うことができる。
【0054】
本発明の一具体例において、アルロースエピマー化酵素を含む菌体が充填された充填カラムに果糖溶液を一定濃度に供給すれば、固定化された菌体によりエピマー化反応が進行されて果糖がアルロースに転換される。転換されたアルロースは分離塔を利用して分離および精製後、純粋なアルロースで利用可能である。
【0055】
本明細書で使用された固定化反応器は、アルロースを生産するための反応が担体に固定化された菌体または酵素によって、または担体に固定化された菌体または酵素が充填されたカラムを通じて起こる反応器を意味する。つまり、固定化は、生物学的活性を提供する物質、この場合、アルロースエピマー化酵素やブドウ糖エピマー化酵素またはこれらを含む菌体が担体に固定化されたことを意味する。
【0056】
本明細書で使用された運転安定性は、アルロースのような目的産物を連続的に生産するために生物反応器を初期活性に対して適した水準の生産性を維持しながら運転できることを意味し、通常運転期間で表示される。本発明による圧縮比を利用してアルロースを生産する場合、例えば40~50brix濃度の果糖含有基質から得られる反応物のアルロース含有量が20重量%以上であり、15日以上の期間の間に提供することができる。また、前記乾燥ビーズが充填されたカラムに50℃温度条件で供給する基質から得られる反応物の最大転換率の90~100の範囲を有する流速で供給してアルロース含有量が20重量%以下に減少する時点まで固定された流速で供給する条件で行って運転安定性を確保することができる。
【0057】
前記アルロース生産方法において、効率よくアルロース生産のために、基質として使用される果糖の濃度は、全体反応物を基準として40~75%(w/v)、例えば、50~75%(w/v)であり得る。果糖の濃度が前記範囲より低ければ経済性が低くなり、前記範囲より高ければ果糖がよく溶解されないため、果糖の濃度は前記範囲にすることが好ましい。前記果糖は緩衝溶液または水(例えば蒸溜水)に溶解された溶液状態で使用することができる。
【0058】
前記アルロース生産方法において、前記反応は、pH6~9.5、例えば、pH7~9、pH7~8またはpH8~9の条件下で行うことができる。また、前記反応は30℃以上、例えば40℃以上の温度条件下で行うことができる。温度が80℃以上になると基質である果糖の褐変現象が起こり得るため、前記反応は40~80℃、例えば、50~75℃、60~75℃、または68~75℃の条件下で行うことができる。
【0059】
また前記反応時間が長いほどアルロース転換率が高くなる。例えば、前記反応時間は産業的および経済的側面を考慮して適切に調節して行うことができ、果糖からアルロースへの転換効率が最大化される条件で選定され得る。
【0060】
本発明の方法により果糖から得られたプシコースは、通常の方法により精製され得、このような結晶は当業者に通常の技術に属する。例えば遠心分離、ろ過、結晶化、イオン交換クロマトグラフィーおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された一つ以上の方法により行われ得る。
【発明の効果】
【0061】
本発明の一例による乾燥ビーズ、復原ビーズ、およびこれらを利用したアルロース生産は、体積および重量が乾燥前ビーズに比べて減少して保管および流通が容易であり、単位体積当たりカラム充填量を増加させてアルロース生産量を増加させ、保管安定性が高くて従来の保管過程で微生物の汚染によるビーズの結合力弱化および分解によりビーズ外部に菌体流出および転換活性減少になる問題点を解消し、そこで、長期間にわたって安定的に高いアルロース生産量を提供することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の一例により固定化ビーズを乾燥し、乾燥前ビーズと乾燥後に得られたビーズの写真を示す。
図2】実施例1-3で得られた乾燥前ビーズと実施例2で得られた乾燥ビーズの水分蒸発量を示すグラフである。
図3】本発明の一例により乾燥ビーズの復原前状態と復原後に得られた復原ビーズの写真を示す。
図4】本発明の一例により、Microbacterium oxydansおよびMicrobacterim phyllosphaerae菌体を固定化した乾燥ビーズの写真、実体顕微鏡写真(倍率X40)およびビーズの直径を示す。
図5】クロストリジウムシンデンスのアルロースエピマー化酵素を発現するコリネバクテリウムグルタミカム組換え菌株の菌体を固定化した乾燥ビーズの写真、実体顕微鏡写真(倍率X40)およびビーズの直径を示す。
図6】本発明の一例により菌体固定化ビーズを利用したアルロース転換反応を行ってビーズの生産性増加率および相対転換率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0063】
本発明は、下記の実施例を挙げてより詳しく説明するが、本発明の範囲が下記の実施例に限られる意図ではない。
【0064】
実施例1: 菌体固定化ビーズの製造
1-1: 菌体準備
韓国特許10-1944103に記載されたM.foliorumの高濃度培養のために、それぞれの種菌培地を前記表1の組成で製造した後、121℃、15分以上の高温高圧蒸気滅菌処理して各種菌培地を準備した。それぞれの種菌培地および本培養培地(初期培養培地)の組成は価格競争力と生産性を考慮して下記表2のように選定し、DPEase活性を増加させるためにアルロースでDPEaseを誘導した。
【0065】
【表1】
【0066】
種菌準備は-70℃の温度で保管されたM.foliorum母菌株を3ml種菌培地に接種して30℃の温度で24時間1次種菌培養した後、100ml種菌培地に接種して30℃で24時間2次種菌培養を進行した。2次種菌培地は最終的に5L発酵槽を利用して2L本培養生産培地に接種して、培養温度30℃で培養した。発酵槽内に供給される空気(air)は0.2umエアフィルター(air filter)を利用して除菌された状態で使用し、表2の発酵槽培養条件により培養を実施した。下記表2では空気供給単位はvvm(volume of air per volume of liquid per minute、L/min)であった。
pH-stat当たり供給方式は、炭素源が1回投入される時、培養液(発酵槽)内の炭素源濃度(g/L)の増加分をf値と定義して、f値が0.25になるように炭素源の投入時間を調節した。追加培地、つまり、Feeding溶液の組成は、アルロース400g/L、yeast extract 40g/L、MnCl2 1mMを使用した。pH-stat基本原理によりpHが6.95を超える時、糖が供給されてpHが減少するようにし、pH範囲6.8-6.95区間で9%アンモニア水と糖溶液を通じてpHを調節した。その結果、前記表のように菌体濃度および酵素活性増加を示した。
【0067】
【表2】
【0068】
1-2: 菌体固定化ビーズの製造
前記培養が完了した菌体は、長期間使用が可能な特性を有するようにアルギン酸に菌体が固定化された形態のビーズで製造する。具体的には次のような方法で進行した。培養が完了した菌体は遠心分離を通じて菌体を回収した後、蒸溜水と混合して菌体濃度4%(w/w)になるように調整した後、水に溶解した4%(w/w)アルギン酸と1:1に混合して、最終菌体濃度2%(w/w)およびアルギン酸2%(w/w)の混合液を製造した。
前記混合液は徐々に稼動されるポンプに連結されたシリコンチューブに移動してチューブの端部に結合された注射器(内径0.20~0.30mm)を通じて混合液が一滴ずつ下降して100mM塩化カルシウム溶液と混合して攪拌されながら硬化した球形または楕円形のビーズ(直径1.8~2.2mm)を形成した。
前記製造されたビーズを次の工程で使用することも可能であるが、内部のアルギン酸結合力をより増加させるために4~6時間冷蔵保管しながら攪拌した後、新たな100mM塩化カルシウム溶液と交替して5~15℃以下の低温状態で約6時間程度さらに硬化して最終菌体が捕集された固定化ビーズを製造して使用したりもする。
【0069】
1-3: 菌体固定化ビーズのコーティング処理
製造が完了した菌体が含まれているアルギン酸ビーズは、メッシュ(mesh)がある篩を通じて表面の水分を除去し、ビーズ体積に対して2倍体積の水を投入した後10分間攪拌を行い、このような過程を3回繰り返して残存の塩化カルシウム溶液を除去した。
前記塩化カルシウムが除去された菌体固定化ビーズは、ビーズ体積の2倍体積の0.5%(w/v)キト-オリゴ糖水溶液に添加して、常温で30分間攪拌してアルギン酸ビーズにキト-オリゴ糖をコーティングさせた。キト-オリゴ糖コーティングが完了したビーズは、メッシュ(mesh)がある篩を通じて表面の水分を除去した後、ビーズ体積の2倍数の水で洗浄および篩を通じて除去して残っているキト-オリゴ糖を除去した。
【0070】
実施例2: 菌体固定化ビーズの乾燥
実施例1で製造、コーティングおよび洗浄が完了したビーズは、具体的な例示として乾燥装置(dry-oven)で乾燥が良好に行われるように平坦にビーズを板(plate)の上に置いた後、45℃(±5℃)で数時間熱風が循環する方式で乾燥化を進行してビーズが含水する水分を約14%以下の水準に低くなる時まで乾燥化を進行した。図1には菌体固定化ビーズを乾燥し、乾燥前ビーズと乾燥後に得られたビーズの写真を示す。
前記乾燥されたビーズに対して乾燥前ビーズと共に、体積、重さ、ビーズ直径、水分含有量、ビーズの見かけ密度(bulk density)をそれぞれ測定した。具体的な測定方法および結果は下記のとおりである。前記ビーズ測定結果を表3に示し、表3に記載された相対的数値は乾燥前ビーズの数値100を基準として、乾燥後体積、重さ、直径、水分含有量、見かけ密度の相対的測定値を意味する。
【0071】
(1)ビーズの体積変化(反応塔充填率)の測定
具体的な方法で乾燥前と後のビーズの体積減少変化を測定するために、図1の写真のように実施例1-3の水分が除去されたビーズをメスシリンダーで100mL体積で測った後、これを熱風乾燥後に体積を測った時、メスシリンダーで10mLの体積を示して乾燥前体積100を基準として約10%の体積に減少した結果を示した。
【0072】
(2)ビーズの重量変化の測定
乾燥前、後の重さ変化は、前記製造されたビーズを溶液から回収した乾燥前ビーズ100gで熱風乾燥後の重さが7.5gで、乾燥前に比べて約7.5%に減少した。
【0073】
(3)ビーズの見かけ密度の測定
ビーズの見かけ密度(bulk density)を測定するために水分が除去された乾燥前ビーズ100mL体積で満たした時、その重さが62.2gで見かけ密度(bulk density)0.62kg/Lの数値を示し、同様な方法で乾燥ビーズ100mL体積で満たした時、その重さが69.9gで見かけ密度(bulk density)0.7kg/Lを示す結果を示した。
【0074】
(4)ビーズの直径分布の測定
前記熱風乾燥前、後に得られたビーズの直径は、個別的に20個のビーズの長さをそれぞれ測定器(Mitutoyo M530-123)で測定した時、乾燥前ビーズの平均直径が2.08mmであるが、乾燥後ビーズの平均直径が1.05mmで、乾燥前ビーズの平均直径を100%とした時、乾燥後ビーズの平均直径は乾燥前に比べて50.5%水準で、49.5%減少率を示した。
【0075】
(5)ビーズの水分含有量の測定
水分含有量は、乾燥前ビーズ10gと乾燥後ビーズ10gを測定装備(A&D MX-50 Moisture analyser)利用して、125℃赤外線照射条件で30分間重さ変化を測定した時、乾燥前ビーズの水分含有量が95.9%(w/w)であるが、乾燥後ビーズの水分含有量は9.93%(w/w)で、乾燥前ビーズの水分含有量100を基準として水分含有量が約10%である結果を得た。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例3: 乾燥ビーズの復原
3-1: ビーズの復原
実施例2で得られた乾燥ビーズは、果糖からアルロースを転換する反応に使用する前に本来の形態に復原されるようにする工程が必要である。復元させる方法は、果糖が含まれている反応基質である50brix(%)結晶果糖または水に乾燥ビーズを投入して本来の形態に復原させることができる。
具体的に復原前乾燥ビーズを反応塔に投入した後、アルロース生産に使用される転換反応用基質(温度50℃、およびpH6.5~7.2に調節された50brix(%)の結晶果糖)を反応温度50℃下で供給流速0.2~0.5SVで通液または循環させる方式で乾燥ビーズを水和させて本来の形態に復元させた。前記乾燥ビーズの復原前状態と復原後に得られた復原ビーズの写真を図2に示す。
【0078】
3-2: 復原ビーズの特性分析
図3の復原前後ビーズ写真に示したように、復原前の乾燥ビーズ形態から復原後のビーズ形態が乾燥前のビーズと類似の球形または楕円形のビーズに復元された。そこで、復元されたビーズが反応塔に充填後、基質との反応が円滑に行われ得、均一に反応塔に満たされて反応基質の流れが特異的方向に流れるチャンネリングの問題が生じない反応に適したビーズの形態になった。
表4のように前記製造されたビーズを個別的に20個のビーズの長さをそれぞれ測定器(Mitutoyo M530-123)で測った時、復原前ビーズの平均直径が1.05mmであるが、復原後ビーズの平均直径が1.43mmと測定され、乾燥前ビーズの平均直径を100%とした時、復原ビーズの平均直径が乾燥前ビーズに比べて約68.8%水準であり、31.2%減少率を示した。
初期に同一の100mLビーズの体積で乾燥および水和による復原工程を経たビーズと乾燥工程を経ていない乾燥前ビーズをそれぞれ反応塔に充填した時、乾燥後復原ビーズの反応塔充填率(体積%)が52mLで満たされて、復原ビーズの反応塔充填率が52%と確認された。
【0079】
【表4】
【0080】
3-3: 復原ビーズのソーキング(soaking)処理
実施例3-2で復原が完了した乾燥ビーズは、転換反応に使用することができるように果糖が含有された基質(pH6.5~7.5)をビーズ体積に対して2倍体積で投入して10分間攪拌した。この過程を2回繰り返してビーズ内部を50Brix(%)結晶果糖液に置換させた。
前記ビーズの表面果糖液を除去後、マンガンイオン処理用果糖含有基質(10mM MnCl2・4H2Oを含む重量50brix結晶果糖)をビーズの十分な反応のためにビーズ体積の2倍以上の体積で投入した後、50℃恒温水槽で30分~60分間徐々に攪拌してビーズにマンガンイオンを処理した。その後、篩を通じてビーズ表面の前記果糖含有基質を除去後、アルロース転換に使用される生産用果糖含有基質(1mM MnCl2・4H2Oを含む重量50bx結晶果糖)をビーズの十分な洗浄のためにビーズ体積の2倍以上で投入後、10分間攪拌して新たな基質に交替する方法で最小2回以上繰り返して洗浄して最終的に転換反応に使用されるビーズを製造した。
【0081】
実施例4: 乾燥ビーズの製造(2)
4-1: 菌体熱処理
実施例1-1で培養が完了したマイクロバクテリウム属菌株は、菌体の活性を増加させるために培養が完了した状態で熱処理をして菌体の活性を高める工程を進行した。具体的に、発酵槽で培養終了後、菌体濃度18.5(OD600nm)である培養液を150rpmで攪拌しながら発酵槽の温度を30℃から60℃に徐々に上げた後、60℃で1hr維持させて菌体熱処理を進行した。その後、60℃から30℃に冷却する過程を経て熱処理された菌体培養液を得た。
【0082】
4-2: 熱処理菌体の特性分析
菌体熱処理前と後の転換活性(U/g_cell)値を測定するために50mM PIPES緩衝溶液(pH7.0)に溶解した最終濃度1mM MnCl2・4H2Oを含み、35Brix結晶果糖溶液と最終乾燥菌体濃度5mg/mlを含む反応液体積を1mLに合わせる。その後、菌体を含む反応基質液を70℃で1時間反応した後、遠心分離を通じて上澄液を回収した後、高性能液体クロマトグラフィー(High-Performance Liquid Chromatography、HPLC)分析を実施した。
前記液体クロマトグラフィー分析は、Aminex HPX-87Cカラム(BIO-RAD)が装着されたHPLC(Agilent、USA)のRID(Refractive Index Detector、Agilent 1260 RID)を利用して行った。移動相溶媒は水を使用し、温度は80℃、流速は0.6ml/minにして果糖から転換反応されたアルロースの転換濃度で菌体活性を分析した。また、菌体活性測定に使用された乾燥菌体重さ5mg/mLは培養液の吸光度がOD600nm12.5になるように希釈して合わせた後、1mLを回収して、遠心分離を通じて上澄液を除去した後、残っている菌体の乾燥菌体換算係数0.4をかけたとき、乾燥菌体濃度が5mgになる。上澄液が除去された5mgの乾燥菌体濃度で前記転換反応に使用される反応基質1mLを投入して最終乾燥菌体濃度を5mg/mLに最終的に合わせて反応に使用した。
前記菌体の熱処理前と後の菌体濃度の変化および活性を比較した結果は表5のとおりである。
【0083】
【表5】
【0084】
表5の結果のように、熱処理前の菌体濃度に比べて熱処理後の菌体濃度が多少低くなって熱処理前に比べて約88%菌体濃度減少を示した。これは60℃で菌体熱処理時、高温による菌体の溶解(lysis)が一部起こって菌体濃度の減少が起こったとみられる。
また、熱処理前菌体のアルロース転換活性を100%とみるとき、熱処理前と同量の菌体を熱処理して転換活性を測定した結果、熱処理前と比べて115%増加した。これは菌体を60℃で熱処理時、高温による菌体の細胞壁の溶解(lysis)により細胞質内部に基質移動がより円滑な多孔性細胞壁の生成により菌体のアルロース転換活性が高くなったとみられる。
前記結果から、菌体熱処理を通じた菌体濃度の減少と菌体の転換活性の増加は、菌体固定化アルギン酸ビーズの製造時に実際的に菌体投入量が約12%増加し、菌体活性が約15%増加した結果として、最終的にビーズ製造時に熱処理前の生産性に比べて約25%増加することを確認した。
【0085】
4-3: 菌体固定化ビーズの製造
前記培養が完了した菌体は、長期間使用が可能な特性を有するようにアルギン酸に菌体が固定化された形態のビーズで製造する。
具体的に、熱処理が完了した培養液は、遠心分離で細胞を回収した後、蒸溜水と混合して菌体濃度4%(w/w)に合わせ、水に溶解された4%(w/w)アルギン酸と回収された菌体の重量比を1:1に混合して、最終菌体濃度2%(w/w)およびアルギン酸2%(w/w)の混合液を製造した。
前記混合液は、熱処理された菌体を利用する場合、実施例1-2のように非熱処理菌体を使用した混合液に比べて粘性が低くなる傾向がある。本実施例で得られた熱処理された菌体を利用したアルギン酸混合液と実施例1-2で得られた非熱処理菌体を利用したアルギン酸混合液の粘度を、温度25℃で、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して測定した。前記粘度測定結果、実施例1-2のアルギン酸混合液の粘度は5,580cpsであり、本実施例で得られたアルギン酸混合液の粘度は4,900cpsで、約12%減少した水準である熱処理前に比べて87.8%を示した。これは菌体の含有多糖類が熱処理により一部除去されて粘性が低くなるとみられる。
前記熱処理菌体と非熱処理菌体を利用したアルギン酸混合液の粘度(cps)を下記表6に示す。
【0086】
【表6】
【0087】
前記乾燥されたビーズに対して乾燥前ビーズと共に体積、重さ、ビーズ直径、水分含有量、ビーズの見かけ密度(bulk density)をそれぞれ測定した。具体的な測定方法は、実施例2の測定方法と同様にし、その結果は表7のとおりである。表7に記載された相対的数値は乾燥前ビーズの測定値100を基準として、乾燥後体積、重さ、直径、水分含有量、見かけ密度の相対的測定値を意味する。
【0088】
【表7】
【0089】
4-4: 乾燥ビーズの復原
実施例3-1の乾燥ビーズの復原方法および実施例3-3のソーキング(soaking)方法と同様な方法として、前記実施例4-2で得られた熱処理菌体を固定化したビーズを復原し、復原が完了した乾燥ビーズは転換反応に使用することができるように果糖が含有された基質(pH6.5~7.5)を利用してソーキング(soaking)した。
表8のように前記製造されたビーズを個別的に20個のビーズの長さをそれぞれ測定器(Mitutoyo M530-123)で測ったとき、復原前ビーズの平均直径が1.02mmであるが、復原後ビーズ直径が1.41mmと測定された。前記ビーズの平均直径を、乾燥前ビーズの平均直径を100%にして相対的大きさを計算すれば、乾燥後ビーズの平均直径は52.7%であり、復原ビーズの平均直径は70.1%であった。
初期に同一の100mLビーズの体積で乾燥および水和による復原工程を経たビーズと乾燥工程を経ていない乾燥前ビーズをそれぞれ反応塔に充填したとき、乾燥後復原ビーズの体積が48mLで満たされて、ビーズ体積復原率が48%と確認された。
【0090】
【表8】
【0091】
実施例5: 乾燥ビーズの製造(3)
5-1: 菌体固定化ビーズおよび乾燥ビーズの製造
Microbacterium foliorum以外に同一の属に属する他の種として、Microbacterium oxydansおよびMicrobacterim phyllosphaerae菌体を確保するために実施例1-1のような方法で菌体を培養し、培養が完了した菌体は遠心分離を通じて菌体を回収した。Microbacterium oxydansおよびMicrobacterim phyllosphaerae菌体は、韓国特許10-1944104に記載された菌株と同一である。
培養が完了した菌体は、遠心分離を通じて回収した後、回収された菌体は実施例1-2の菌体固定化ビーズ製造方式と実施例1-3の菌体固定化ビーズのコーティングする方式と同様な方法で菌体固定化された形態のビーズを製造し、実施例2と同様な方法でビーズの乾燥を行った。
【0092】
5-2: 乾燥された菌体固定化ビーズの復原
乾燥が完了したMicrobacterium oxydansまたはMicrobacterim phyllosphaerae菌体を含む固定化ビーズ10gをビーカーに入れた後、常温の状態で200mLの水を入れた後、30分間100rpmの速度で攪拌して復原工程を行った。蒸溜水で水和して乾燥前ビーズ形態への復原過程を段階別に図4に示した。前記各菌株別に製造された乾燥前ビーズ、乾燥後ビーズおよび復元された乾燥ビーズを個別的に20個のビーズを選定してビーズ長さをそれぞれ測定器(Mitutoyo M530-123)で測定した結果、表9のような結果で示され、各菌株別に製造されたビーズは乾燥前、乾燥後直径が類似の結果を示し、前記復原方法を通じて同一の直径水準に復原が可能であることをみることができる。
また、図4の復原ビーズの写真に示したように、Microbacterium foliorum菌体と同一に球形に近い形態に復原が可能であることをみることができた。
【0093】
【表9】
【0094】
実施例6: 乾燥ビーズの製造(4)
6-1: 菌体準備
クロストリジウムシンデンス(Clostridiuim scindens ATCC 35704)に由来するアルロースエピマー化酵素のコード遺伝子(DPE gene;Gene bank:EDS06411.1)を、大腸菌に最適化して変形した形態のポリヌクレオチドで合成し(CDPEと命名)、前記ポリヌクレオチドを制限酵素NotIとXbaI(NEB)を使用して発現ベクターであるpCES208(J. Microbiol. Biotechnol., 18:639-647, 2008)の同一の制限酵素部位に挿入して組換えベクターpCES208/アルロースエピマー化酵素(pCES_sodCDPE)を製造した。前記製造された組換えベクター(pCES_sodCDPE)プラスミドを電気穿孔法(electroporation)を使用してコリネバクテリウムグルタミカムを形質転換させて、CDPE酵素を発現するコリネバクテリウムグルタミカム組換え菌株を製造した。前記CDPE酵素を発現するコリネバクテリウムグルタミカム組換え菌株の製造方法は、特許10-1607633に記載された製造方法を参照することができる。
【0095】
6-2: 菌体固定化ビーズの製造
実施例6-1で得られたアルロースエピマー化酵素を生産する組換え菌株を含む菌株を培養した後、培養液から遠心分離を通じて菌体を回収した。回収された菌体は実施例1-2の菌体固定化ビーズ製造方式と実施例1-3の菌体固定化ビーズのコーティングする方式と同様な方法で菌体固定化された形態のビーズを製造し、実施例2と同様な方法でビーズの乾燥を行った。
【0096】
6-3: 乾燥ビーズの復原
前記実施例6-2で製造された乾燥ビーズ10gをビーカーに入れた後、常温の状態で200mLの水を入れた後、30分間100rpmの速度で攪拌して復原工程を行い、6時間定置した。乾燥ビーズと6時間水和で得られた復原ビーズの写真、実体顕微鏡写真(倍率×40)およびビーズの直径範囲を図5に示す。前記乾燥ビーズの水和で復元された復原ビーズの平均直径は1.05mmであった。
図5の写真に示したように、コリネバクテリウムグルタミカムの菌体固定化ビーズは、6時間水和をしても本来のビーズ形態に復元されず、さらに時間が経過してもそれ以上変化されることをみることができなかった。
【0097】
表10のように前記製造されたビーズを個別的に20個のビーズの長さをそれぞれ測定器(Mitutoyo M530-123)で測ったとき、復原前乾燥ビーズの平均直径が0.93mmであるが、復原後ビーズ直径が1.05mmと測定され、乾燥前ビーズの平均直径を100%にしたとき、復原ビーズの平均直径が乾燥前ビーズに比べて約54%水準で、46%減少率を示した。
初期に同一の100mLビーズの体積で乾燥および水和による復原工程を経たビーズと乾燥工程を経ていない乾燥前ビーズをそれぞれ反応塔に充填したとき、乾燥後復原ビーズの体積が16mLで満たされて、ビーズ体積復原率が16%と確認された。この結果、前記図5の写真の復原工程でビーズの形態が乾燥前形態に戻らないことのようにコリネバクテリウムグルタミカムの菌体固定化乾燥ビーズの復原率が低いことを確認した。
【0098】
【表10】
【0099】
実施例7: 固定化生体触媒を利用した転換反応
7-1: ビーズの転換活性評価
実施例2で菌体を固定した乾燥ビーズと実施例3で熱処理菌体を固定した乾燥ビーズのアルロース転換活性を比較するために、反応塔で生産性比較実験を進行した。実施例1により製造されたコーティングビーズであって菌体熱処理および乾燥工程を行っていないビーズ(ビーズ1)、実施例2により製造された菌体熱処理がされていないが、乾燥工程を行ったビーズ(ビーズ2)、実施例4-2により製造された熱処理菌体を固定し、乾燥工程を行っていないビーズ(ビーズ3)、および実施例4-3により製造された熱処理菌体を固定した乾燥ビーズ(ビーズ4)を準備した。
前記ビーズ1は、そのまま反応塔に充填し、ビーズ2、ビーズ3およびビーズ4は、復原処理を実施例3の方法と実質的に同様な方法で行って反応塔に充填した。温度50℃、およびpH6.5~7.2に調節された50brix(重量%)の果糖含有基質を前記ビーズが充填された反応塔に通液して、アルロース転換率が25%以上に維持される流速下でアルロース転換活性および生産性実験を行い、前記実験結果を下記表6に示す。前記生産性評価は、同一の体積で充填された反応塔のビーズ充填体積で初期反応基質の果糖からアルロース転換率25%以上転換される基質通液流速でビーズ1の流速に対して流速の増加による生産性増加率を比較した。つまり、ビーズ1~4を利用して反応塔のビーズ充填体積(mL)が同一であり、アルロース転換率25%以上に維持する条件で反応を進行して、基質通液流速(mL/min)で前記生産性を評価した。
表12のように、乾燥工程を行っていないビーズ(ビーズ1)の生産性を100%に設定し、ビーズ2~4のビーズを前記ビーズ1と同一の体積で反応塔に充填して反応条件により果糖含有基質を通液したとき、ビーズ2~4に対する結果である。
表11に示したように、反応塔のビーズ充填体積(mL)がビーズ1~4で全て同一であるにもかかわらず、乾燥および/または菌体熱処理によるアルロース転換活性の増加により、アルロース転換率が25%以上に維持される流速が、ビーズ1、ビーズ3、ビーズ2およびビーズ4の順に増加することを確認した。つまり、反応塔のビーズ充填体積(mL)が同一の条件で、アルロース転換率が25%以上に維持される流速が速いということは、当該反応塔に充填されたビーズのアルロース転換率が相対的に高いことを意味する。したがって、菌体熱処理および乾燥工程を行わっていないビーズ1が最も低いアルロース転換活性を示し、菌体熱処理はされていないが、乾燥工程を行ったビーズ2がビーズ1に比べて高く、熱処理菌体を固定した乾燥ビーズ4が最も高い転換活性を有することを確認することができた。
【0100】
【表11】
【0101】
前記表11の結果によれば、乾燥工程と菌体熱処理工程を行わっていないビーズ1の生産性100を基準として設定した相対生産性数値をみれば、ビーズ3およびビーズ4の生産性は、それぞれ146%および270%で顕著な増加を示した。このような生産性増加要因は、菌体が有している多糖類などを熱処理により除去することで、菌体内に含まれているアルロース転換酵素が菌体外部の果糖含有基質との反応性増大と熱処理による減少した粘性により、製造されたアルギン酸ビーズの果糖含有基質の移動性がより円滑な効果を示して生産性が増加した結果を示した。
また、熱処理菌体を利用して製造されたアルギン酸ビーズを乾燥化を通じて製造されたビーズ4は、未乾燥ビーズ(ビーズ3)と同一の充填体積でパッキング率が約200%増加して、最終的にビーズ1に比べてビーズ4を同一の体積で充填して同一の反応条件下での生産性は270%増加した結果を示した。
【0102】
7-2: ビーズの反応安定性分析
前記実施例7-1で記載したように、実施例4-3により製造された熱処理菌体を固定した乾燥ビーズ(ビーズ4)と実施例1により製造されたコーティングビーズであって菌体熱処理および乾燥工程を行っていないビーズ(ビーズ1)に対して、実施例7-1と同様な方法で処理して反応塔に充填した。温度50℃、およびpH6.5~7.2に調節された50Brix(%)結晶果糖液を前記ビーズが充填された反応塔に通液して果糖からアルロース転換率25%以上に維持される初期流速を設定して反応を実施した時の数値を100%とするとき、反応日数別反応液の初期アルロース転換率に対する減少率数値を図6に示した。
本実施例のように図6の初期アルロース転換率に対する減少率結果によれば、前記ビーズ1の初期転換率100%から約35日経過したとき、初期転換率に対する減少率は約55%に到達したことに比べて、熱処理および乾燥処理したビーズ4の安定性は初期転換率100%から同一に約35日経過したとき、初期転換率に対する減少率が約70%以上維持することをみることができるため、熱処理後に乾燥処理したビーズの安定性がビーズ1に比べて高いことが確認された。
これはビーズ乾燥処理後の復原時、ビーズの圧縮率がビーズ1に比べてより高くなって反応温度50℃および基質のpH調節に投入されたNa+イオンなどによりビーズの結合力が低くなる影響から、従来の方法で製造されたビーズ1に比べて比較的に高い結合力を付与することによってビーズ安定性の面でより有利な結果が得られたとみられる。
【0103】
実施例8: 乾燥ビーズの保管安定性
実施例4で製造された熱処理菌体を利用した乾燥ビーズを保管温度25℃、30℃、37℃、45℃、および60℃で保管して保管週数(week)によるビーズのアルロース転換活性の減少率を評価した。
具体的に、前記ビーズの保管週数により一部のビーズを取った。丸型フラスコ(Round flask)に5mLの反応基質(pH6.5~7.2に調節された50Brix結晶果糖液)の温度を60℃に維持し、乾燥ビーズ0.5gを投入して2時間反応して、アルロース転換率を得た。保管された乾燥ビーズのアルロース転換活性の減少率は前記実施例7-1と同様な方法でアルロース転換率を測定して保管週数(week)により測定した。
前記ビーズの保管期間および保管温度によるビーズのアルロース転換活性の減少率を表13に示す。
【0104】
【表12】
【0105】
表12のように、乾燥ビーズの製造直後の転換率に対する保管週数別の減少率結果をみれば、保管温度が増加するほど相対的活性は多少減少するが、37℃以下の温度ではアルロース転換活性が80%以上に38週間維持され、特に60℃の高温でも38週目で75%以上酵素の安定性が高く維持されることを確認した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6