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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】鞍乗型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 11/00 20060101AFI20250227BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20250227BHJP
   B62J 9/10 20200101ALI20250227BHJP
   B62J 43/16 20200101ALI20250227BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20250227BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
B62K11/00 A
B62K11/04 A
B62J9/10
B62J43/16
B62J45/00
B62M7/02 C
B62M7/02 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023050133
(22)【出願日】2023-03-27
(65)【公開番号】P2024139268
(43)【公開日】2024-10-09
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ワタナヴェーキン ウォンサコーン
(72)【発明者】
【氏名】アリーサガークン パニティ
【審査官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089757(JP,A)
【文献】特表2014-522767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0133030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 1/00-11/14
B62J 1/00-99/00
B62M 1/00-29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバッテリ(B)とモータ(M)とを一体に構成したユニット(1)を有し、前輪(WF)を支持する前側部品(F1,F2,F3)を前記ユニット(1)の前部に取り付けると共に、後輪(WR)を支持する後側部品(R1,R2,R3)を前記ユニット(1)の後部に取り付けることで車体を構成する鞍乗型電動車両(10,20,30)において、
前記ユニット(1)の前部に、異なる形態の前記前側部品(F1,F2,F3)を異なる位置に取り付けることで異なる車種を構成するための上側取付部(2)および下側取付部(4)と、前記上側取付部(2)と前記下側取付部(4)との間の中間取付部(3)とが設けられており、
車体側面視で、前記上側取付部(2)は、前記ユニット(1)の上下方向中心より上方に位置し、かつ、前記下側取付部(4)は、前記ユニット(1)の上方方向中心より下方に位置し、
前記異なる形態の前側部品(F1、F2,F3)に対応した前記取付部(2,3,4)の位置に、前記前側部品(F1,F2,F3)が取り付けられることを特徴とする鞍乗型電動車両。
【請求項2】
前記後側部品(R1,R2,R3)が、少なくとも前記後輪(WR)を支持するスイングアーム(18,28,40)と、該スイングアーム(18,28,40)を前記ユニット(1)に吊り下げるためのリヤクッション(17,27,38)とを含み、
前記ユニット(1)の後部に、前記スイングアーム(18,28,40)を揺動自在に軸支するピボット部(7)と、前記リヤクッション(17,27,38)を支持するリヤクッション支持部(6)とが設けられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項3】
前記ユニット(1)の上部にシート(S)が配設され、
前記ユニット(1)の上部には、前記シート(S)を支持するシート支持部を有し、
前記シート支持部は少なくとも2つの支持部からなり、
車両後方寄りのシート後部支持部(5)は、前記リヤクッション支持部(6)の上方に設け、
車両前方寄りのシート前部支持部は、前記上側取付部(2)とすることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項4】
前記ユニット(1)の上方寄りの位置にバッテリ(B)が配設されると共に、前記ユニット(1)の下方寄りの位置に前記モータ(M)が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項5】
前記バッテリ(B)と前記モータ(M)との間に、パワーコントロールユニット(P)が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項6】
前記ユニット(1)が、車体側面視で縦長の形状とされており、
前記ユニット(1)に前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)を取り付けた際に、前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)の形態に応じて、前記ユニット(1)の前傾角度が変わることを特徴とする請求項に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項7】
前記後側部品(R3)は、前記リヤクッション(38)を前記ユニット(1)に支持するためのブラケット(37)を有し、
前記ブラケット(37)は、少なくとも前記リヤクッション支持部(6)に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項8】
前記前側部品(F1)を前記下側取付部(4)に取り付けることで、スクータタイプの車両とすることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項9】
前記前側部品(F2)を前記中間取付部(3)に取り付けることで、コミュータタイプの車両とすることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項10】
前記前側部品(F3)を前記上側取付部(2)に取り付けることで、スポーツタイプの車両とすることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型電動車両に係り、特に、駆動源としてのモータと該モータに電力を供給するバッテリとを有する鞍乗型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリの電力でモータを駆動して走行する鞍乗型電動車両が知られている。近年では、バッテリとモータとを一体のユニットとして構成することも試みられている。
【0003】
特許文献1には、バッテリとモータとを一体に構成したユニットを有し、前輪を支持する操舵系をユニットの前部に取り付けると共に、後輪を支持するスイングアームをユニットの後部に取り付けることで車体を構成するようにした電動二輪車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】2015-89757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、バッテリとモータとを一体化したユニットに取り付ける前側部品および後側部品にのみ対応したユニットとなっており、ユニット活用としての自由度については触れていない。複数の車両形態を提供できることでユニットの有用性を高めることが可能であり、電動車としてのユニット活用の自由度を高めたい。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、バッテリとモータとを一体化したユニットに取り付ける前側部品および後側部品の換装によりユニット活用の自由度を高める事ができる鞍乗型電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、少なくともバッテリ(B)とモータ(M)とを一体に構成したユニット(1)を有し、前輪(WF)を支持する前側部品(F1,F2,F3)を前記ユニット(1)の前部に取り付けると共に、後輪(WR)を支持する後側部品(R1,R2,R3)を前記ユニット(1)の後部に取り付けることで車体を構成する鞍乗型電動車両(10,20,30)において、前記ユニット(1)の前部に、前記前側部品(F1,F2,F3)を取り付けるための取付部(2,3,4)が複数設けられている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記前側部品(F1,F2,F3)の取付部(2,3,4)が、上方寄りの位置に設けられる上側取付部(2)と、下方寄りの位置に設けられる下側取付部(4)と、前記上側取付部(2)と前記下側取付部(4)との間に設けられる中間取付部(3)とからなる点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記後側部品(R1,R2,R3)が、少なくとも前記後輪(WR)を支持するスイングアーム(18,28,40)と、該スイングアーム(18,28,40)を前記ユニット(1)に吊り下げるためのリヤクッション(17,27,38)とを含み、前記ユニット(1)の後部に、前記スイングアーム(18,28,40)を揺動自在に軸支するピボット部(7)と、前記リヤクッション(17,27,38)を支持するリヤクッション支持部(6)とが設けられる点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記ユニット(1)の上部にシート(S)が配設され、前記ユニット(1)の上部には、前記シート(S)を支持するシート支持部を有し、前記シート支持部は少なくとも2つの支持部からなり、車両後方寄りのシート後部支持部(5)は、前記リヤクッション支持部(6)の上方に設け、車両前方寄りのシート前部支持部は、前記上側取付部(2)とする点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記ユニット(1)の上方寄りの位置にバッテリ(B)が配設されると共に、前記ユニット(1)の下方寄りの位置に前記モータ(M)が配設されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記バッテリ(B)と前記モータ(M)との間に、パワーコントロールユニット(P)が配設されている点に第6の特徴がある。
【0013】
さらに、前記ユニット(1)が、車体側面視で縦長の形状とされており、前記ユニット(1)に前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)を取り付けた際に、前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)の形態に応じて、前記ユニット(1)の前傾角度が変わる点に第7の特徴がある。
【発明の効果】
【0014】
第1の特徴によれば、少なくともバッテリ(B)とモータ(M)とを一体に構成したユニット(1)を有し、前輪(WF)を支持する前側部品(F1,F2,F3)を前記ユニット(1)の前部に取り付けると共に、後輪(WR)を支持する後側部品(R1,R2,R3)を前記ユニット(1)の後部に取り付けることで車体を構成する鞍乗型電動車両(10,20,30)において、前記ユニット(1)の前部に、前記前側部品(F1,F2,F3)を取り付けるための取付部(2,3,4)が複数設けられているので、共通のバッテリ一体型のモータユニットを適用しつつ、前側部品および後側部品を異なる形態のものに換装すると共に、前側部品を取り付ける取付部を変更することで、異なる車種を構成することが可能となる。これにより、コストを抑えつつ複数の車種を生産することができる。
【0015】
第2の特徴によれば、前記前側部品(F1,F2,F3)の取付部(2,3,4)が、上方寄りの位置に設けられる上側取付部(2)と、下方寄りの位置に設けられる下側取付部(4)と、前記上側取付部(2)と前記下側取付部(4)との間に設けられる中間取付部(3)とからなるので、高さの異なる3つの取付部を設けることで、前側部品を形態が大きく異なるものに換装することが可能となり、例えば、スクータタイプ、コミュータタイプ、スポーツタイプ等の車種を容易に構成することができる。
【0016】
第3の特徴によれば、前記後側部品(R1,R2,R3)が、少なくとも前記後輪(WR)を支持するスイングアーム(18,28,40)と、該スイングアーム(18,28,40)を前記ユニット(1)に吊り下げるためのリヤクッション(17,27,38)とを含み、前記ユニット(1)の後部に、前記スイングアーム(18,28,40)を揺動自在に軸支するピボット部(7)と、前記リヤクッション(17,27,38)を支持するリヤクッション支持部(6)とが設けられるので、ユニットの後部に、形態の異なるスイングアームおよびリヤクッションを取り付けることで複数の車種を構成することが可能となる。
【0017】
第4の特徴によれば、前記ユニット(1)の上部にシート(S)が配設され、前記ユニット(1)の上部には、前記シート(S)を支持するシート支持部を有し、前記シート支持部は少なくとも2つの支持部からなり、車両後方寄りのシート後部支持部(5)は、前記リヤクッション支持部(6)の上方に設け、車両前方寄りのシート前部支持部は、前記上側取付部(2)とするので、上側取付部を有効活用し、後側シート支持部と共にシートを確実に固定することが可能となる。
【0018】
第5の特徴によれば、前記ユニット(1)の上方寄りの位置にバッテリ(B)が配設されると共に、前記ユニット(1)の下方寄りの位置に前記モータ(M)が配設されているので、前後寸法の大きなバッテリを適用して充電容量を増大できると共に、ユニットの下部の前後寸法を低減して車体の設計自由度を高めることができる。
【0019】
第6の特徴によれば、前記バッテリ(B)と前記モータ(M)との間に、パワーコントロールユニット(P)が配設されているので、モータの駆動に必要なパワーコントロールユニットがユニットに含まれていることで、シンプルな外観を得ることができると共に車体の組立が容易になる。また、バッテリ、モータおよびパワーコントロールユニット間の配線がしやすい。
【0020】
第7の特徴によれば、前記ユニット(1)が、車体側面視で縦長の形状とされており、前記ユニット(1)に前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)を取り付けた際に、前記前側部品(F1,F2,F3)および前記後側部品(R1,R2,R3)の形態に応じて、前記ユニット(1)の前傾角度が変わるので、例えば、車種をスクータタイプとする場合にはユニットを直立させるのに対して、スポーツタイプとする場合にはユニットを前傾させることで、より一層、外観や運転特性の異なる車種を構成することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る電動二輪車の右側面図である。
図2】ユニットを右斜め前方から見た斜視図である。
図3】ユニットの右側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る電動二輪車の右側面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る電動二輪車の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電動二輪車10の右側面図である。また、図2は、ユニット1を右斜め前方から見た斜視図であり、図3はユニット1の右側面図である。電動二輪車10は、いわゆるスクータタイプと呼称される形態を有する。
【0023】
電動二輪車10は、少なくともバッテリBとモータMとを一体に構成したユニット1を有し、ユニット1の前部に前輪WFを支持する前側部品F1を取り付けると共に、ユニット1の後部に後輪WRを支持する後側部品R1を取り付けることで車体を構成する鞍乗型電動車両である。すなわち、ユニット1は、後輪WRを駆動するための駆動源であると共に、車体フレームとして機能することとなる。
【0024】
ユニット1は、合成樹脂や金属等からなるケーシング8の内部に、バッテリB、パワーコントロールユニットP、モータMを収納して構成される。ユニット1の後部には、鉛直方向に対して後傾した傾斜面9が形成される。ユニット1は側面視で縦長の形状とされ、ユニット1の上方寄りの位置にバッテリBが配設されると共に、ユニット1の下方寄りの位置にモータMが配設される。これにより、前後寸法の大きなバッテリBを適用して充電容量を増大できると共に、ユニット1の下部の前後寸法を低減して車体の設計自由度を高めることができる。また、モータMがユニット1の下方寄りの位置に配設されることで、後輪への動力伝達経路を短くすることができる。パワーコントロールユニットPは、バッテリBとモータMとの間のスペースを有効利用して配設される。
【0025】
ユニット1の前部には、前側部品F1を取り付けるための上下一対の下側取付部4が設けられるほか、図4,5に示すような異なる形態の前側部品を取り付けるための上下一対の中間取付部3および上側取付部2が設けられている。
【0026】
本実施形態に係る前側部品F1は、ヘッドパイプ13を支持する前側フレーム16と、ヘッドパイプ13に回動自在に軸支されるステアリングステム12と、ステアリングステム12の上部に取り付けられる操向ハンドル11と、ステアリングステム12の下部に固定されるボトムブリッジ14と、ボトムブリッジ14に支持される左右一対のフロントフォーク15と、フロントフォーク15の下端部に回転自在に軸支される前輪WFとからなる。本実施形態では、下側取付部4に前側フレーム16の後端部を取り付けることで、車体前半部が構成される。
【0027】
一方、ユニット1の後部には、リヤクッション支持部6とピボット部7とが設けられる。本実施形態に係る後側部品R1は、ピボット部7によって上下揺動自在に軸支される片持ち式のスイングアーム18と、スイングアーム18をユニット1に吊り下げるためのリヤクッション17と、スイングアーム18の後端部に回転自在に軸支される後輪WRとからなる。本実施形態では、リヤクッション17の上端部をリヤクッション支持部6に軸支すると共に、スイングアーム18をピボット部7に軸支することで、車体後半部が構成される。モータMの動力は、不図示のチェーンやベルト等で後輪WRに伝達される。
【0028】
リヤクッション支持部6の上方には、シートSの後方寄りの部分を支持する後側シート支持部5が設けられている。シートSの前方寄りの部分は、上側取付部2によって支持される。これにより、上側取付部2を有効活用すると共に、上側取付部2および後側シート支持部5によってシートSを確実に固定することが可能となる。なお、ユニット1の下方寄りの位置に運転者が足を載せる左右一対のステップを形成したり、別体式のステップを取り付けるようにしてもよい。ステップは、前側フレーム16と一体に構成してもよい。
【0029】
本発明では、前側部品および後側部品を異なる形態のものに換装すると共に、前側部品を取り付ける取付部を変更することで、異なる車両を構成する点に特徴がある。これにより、共通のユニット1を適用しつつ異なる車種を構成することを可能とし、コストを抑えつつ複数の車種を生産することができる。さらに、本発明では、高さの異なる3つの前側取付部を設けることで、前側部品を形態が大きく異なるものに換装することが可能となり、例えば、スクータタイプ、コミュータタイプ、スポーツタイプ等の車種を容易に構成することができる。
【0030】
図4は、本発明の第2実施形態に係る電動二輪車20の右側面図である。電動二輪車20は、いわゆるコミュータタイプと呼称される形態を有する。本実施形態に係る前側部品F2は、ヘッドパイプ23を支持する前側フレーム26と、ヘッドパイプ23に回動自在に軸支されるステアリングステム22と、ステアリングステム22の上部に取り付けられる操向ハンドル21と、ステアリングステム22の下部に固定されるボトムブリッジ24と、ボトムブリッジ24に支持される左右一対のフロントフォーク25と、フロントフォーク25の下端部に回転自在に軸支される前輪WFとからなる。本実施形態では、中間取付部3に前側フレーム26の後端部を取り付けることで、車体前半部が構成される。
【0031】
本実施形態に係る後側部品R2は、ピボット部7によって上下揺動自在に軸支される片持ち式のスイングアーム28と、スイングアーム28をユニット1に吊り下げるためのリヤクッション27と、スイングアーム28の後端部に回転自在に軸支される後輪WRとからなる。本実施形態では、リヤクッション27の上端部をリヤクッション支持部6に軸支すると共に、スイングアーム28をピボット部7に軸支することで、車体後半部が構成される。モータMの動力は、不図示のチェーンやベルト等で後輪WRに伝達される。
【0032】
図5は、本発明の第3実施形態に係る電動二輪車30の右側面図である。電動二輪車30は、いわゆるスポーツタイプと呼称される形態を有する。本実施形態に係る前側部品F3は、ヘッドパイプ33を支持する前側フレーム36と、ヘッドパイプ33に回動自在に軸支されるステアリングステム(不図示)と、ステアリングステムの上部に取り付けられるトップブリッジ32と、トップブリッジ32に固定される操向ハンドル31と、ステアリングステムの下部に固定されるボトムブリッジ34と、トップブリッジ32およびボトムブリッジ34に支持される左右一対のフロントフォーク35と、フロントフォーク35の下端部に回転自在に軸支される前輪WFとからなる。本実施形態では、上側取付部2に前側フレーム36の後端部を取り付けることで、車体前半部が構成される。2つの上側取付部2は、下方側の1つが中間取付部3の直上に配設されるのに対し、上方側の1つはユニット1の上面に近い位置に配設されており、2つの取付部が離間していることで、前側フレーム36の支持剛性を高めやすくなる。
【0033】
本実施形態に係る後側部品R3は、ピボット部7によって上下揺動自在に軸支されるスイングアーム40と、スイングアーム40をユニット1に吊り下げるためのリンク機構39およびリヤクッション38と、リヤクッション38をユニット1に支持するためのブラケット37と、スイングアーム40の後端部に回転自在に軸支される後輪WRとからなる。本実施形態では、ブラケット37をリヤクッション支持部6および後側シート支持部5に取り付けると共に、スイングアーム40をピボット部7に軸支することで、車体後半部が構成される。モータMの動力は、不図示のチェーンやベルト等で後輪WRに伝達される。
【0034】
本実施形態では、縦長に構成されるユニット1が鉛直方向に対して前方に傾斜している。このように、例えば、車種をスクータタイプとする場合にはユニット1を直立させるのに対して、スポーツタイプとする場合にはユニット1を前傾させることで、より一層、外観や運転特性の異なる車種を構成することが容易となる。
【0035】
なお、ユニットの形状や構造、前側部品を取り付ける取付部の個数や配置、リヤクッション支持部およびピボット部の配置、前側部品および後側部品の構成、前側部品および後側部品を構成する各部品の形状や構造等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、2つの前輪を有する前側部品や、2つの後輪を有する後側部品を有してもよい。
【符号の説明】
【0036】
10,20,30…電動二輪車(鞍乗型電動車両)、1…ユニット、2…上側取付部、3…中間取付部、4…下側取付部、5…後側シート支持部、6…リヤクッション支持部、7…ピボット部、17,27,38…リヤクッション、18,28,40…スイングアーム、B…バッテリ、M…モータ、P…パワーコントロールユニット、S…シート、F1,F2,F3…前側部品、R1,R2,R3…後側部品、WF…前輪、WR…後輪
図1
図2
図3
図4
図5