(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】自動車用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20250227BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20250227BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20250227BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20250227BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H02G3/08 080
H05K5/03 A
B60R16/02 610B
(21)【出願番号】P 2023523978
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2022004670
(87)【国際公開番号】W WO2022249558
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021086771
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内田 孝俊
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-53597(JP,A)
【文献】実開昭60-30542(JP,U)
【文献】特開2004-63623(JP,A)
【文献】特開2009-253051(JP,A)
【文献】特開2018-131118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
H02G 3/08
H05K 5/03
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を制御するための電子回路を備える基板と、
一端部に開口部を有し、前記基板が挿入された状態で固定されるケースと、
前記開口部に蓋をするように前記ケースに組付けられるカバーと、を備え、
前記ケースに嵌合凹部が設けられると共に、前記嵌合凹部に嵌合する第1嵌合突起を有する第1スナップフィット部が前記カバーに設けられ、
前記嵌合凹部は、前記ケースの部材を貫通することなく、前記第1嵌合突起が嵌合される側とは反対側が塞がれた状態で設けられ、
前記第1嵌合突起は前記ケースの内側に挿入されることで、前記嵌合凹部と嵌合し、
さらに前記嵌合凹部は、前記第1嵌合突起が嵌合される側とは反対側が前記ケースの外周面で塞がれた状態で設けられ、
前記ケースは、前記嵌合凹部が形成される部位の外周面の側に形成される溝部を有する自動車用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用制御装置であって、
前記ケースに嵌合穴が設けられると共に、前記嵌合穴に嵌合する第2嵌合突起を有する第2スナップフィット部が前記カバーに設けられ、
前記嵌合穴は、前記ケースの部材を貫通するように設けられる自動車用制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車用制御装置であって、
前記嵌合凹部が設けられる前記ケースの外周面部が上側を向くように、また前記嵌合穴が設けられる前記ケースの外周面部が下側を向くように、実装される自動車用制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自動車用制御装置であって、
前記第2嵌合突起は前記ケースの側に設けられた前記嵌合穴へ圧入される自動車用制御装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の自動車用制御装置であって、
前記第2嵌合突起の嵌合方向に対して垂直な断面の最大断面積は、前記嵌合穴の開口面積よりも大きい自動車用制御装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の自動車用制御装置であって、
前記第2嵌合突起は、嵌合方向に対して垂直な断面形状が多角錐形状又は円錐形状である自動車用制御装置。
【請求項7】
自動車を制御するための電子回路を備える基板と、
一端部に開口部を有し、前記基板が挿入された状態で固定されるケースと、
前記開口部に蓋をするように前記ケースに組付けられるカバーと、を備え、
前記ケースに嵌合凹部が設けられると共に、前記嵌合凹部に嵌合する第1嵌合突起を有する第1スナップフィット部が前記カバーに設けられ、
前記嵌合凹部は、前記ケースの部材を貫通することなく、前記第1嵌合突起が嵌合される側とは反対側が塞がれた状態で設けられ、
前記第1嵌合突起は前記ケースの内側に挿入されることで、前記嵌合凹部と嵌合し、
前記ケースの前記開口部の周囲に形成される端面、又は前記ケースの前記端面と対向する前記カバーの対向面のうちいずれか一方には凹部が、他方には凸部がそれぞれ設けられ、
前記凸部は、当該凸部が設けられる前記ケース又は前記カバーと連続して形成され、
前記凹部及び前記凸部は、両者がかみ合うことで、前記カバーと前記ケースとを固定する固定力を発揮する自動車用制御装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の自動車用制御装置であって、
前記凸部は、前記ケースの前記開口部の周囲に沿って延設され、その延設方向に垂直な断面形状が三角形状である自動車用制御装置。
【請求項9】
請求項2に記載の自動車用制御装置であって、
前記嵌合穴の開口面積が、前記嵌合凹部の深さ方向に垂直な断面積よりも大きい自動車用制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動車用制御装置であって、
前記第1嵌合突起の高さが、前記嵌合凹部の深さよりも大きい自動車用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースとカバーの嵌合を固定するスナップフィット部を有する自動車用制御装置が特開2018-131118号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の自動車用制御装置は、簡易防水構造に対応することを課題の一つとして、ケースまたはカバーに相手側の内周側から嵌合するスナップフィット部と外周側の嵌合用突起とが設置され、相手側に設置されている嵌合用穴が外観上、視認できないように設置されている。このような構成とすることで部品点数を増加させることなしに簡易防水構造を実現している(要約および
図1乃至
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動車用制御装置では、ケースまたはカバーにスナップフィット部およびスナップフィット部と対向する嵌合用突起が設けられているため、ケースまたはカバーの形状が複雑になり、スナップフィット部および嵌合用突起を有するケースまたはカバーの製造に手間と時間が必要になる。また、スナップフィット部および嵌合用突起がカバー側に設けられる場合(特許文献1の
図1及び
図3)には、嵌合用突起がケースの外周面から外側に突出することにより、ケースおよびカバーにより構成される筐体の外郭が大きくなる。あるいはスナップフィット部および嵌合用突起がケース側に設けられる場合(特許文献1の
図2)には、スナップフィット部と嵌合用突起との間にカバー側の部材(部位)を挟み込む隙間が存在することで、スナップフィット部が筐体の内側に大きく突出する形態となり、筐体の内容積が小さくなる。
【0005】
本発明の目的は、防水性能を向上することができ、かつ単純な形状で、筐体の内側或いは外側に突出する突出量を小さくすることができるスナップフィット部を有する自動車用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の自動車用制御装置は、
自動車を制御するための電子回路を備える基板と、
一端部に開口部を有し、前記基板が挿入された状態で固定されるケースと、
前記開口部に蓋をするように前記ケースに組付けられるカバーと、を備え、
前記ケースに嵌合凹部が設けられると共に、前記嵌合凹部に嵌合する第1嵌合突起を有する第1スナップフィット部が前記カバーに設けられ、
前記嵌合凹部は、前記ケースの部材を貫通することなく、前記第1嵌合突起が嵌合される側とは反対側が塞がれた状態で設けられ、
前記第1嵌合突起は前記ケースの内側に挿入されることで、前記嵌合凹部と嵌合し
さらに前記嵌合凹部は、前記第1嵌合突起が嵌合される側とは反対側が前記ケースの外周面で塞がれた状態で設けられ、
前記ケースは、前記嵌合凹部が形成される部位の外周面の側に形成される溝部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防水性能を向上することができ、かつ単純な形状で、筐体の内側或いは外側に突出する突出量を小さくすることができるスナップフィット部を有する自動車用制御装置を提供することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例(実施例1)に係る自動車用制御装置の分解図および組立図。
【
図3】本発明の一実施例(実施例2)に係る自動車用制御装置の外観を示す斜視図。
【
図5】本発明の一実施例(実施例3)に係る自動車用制御装置の図であり、
図2と同様な断面を示す断面図。
【
図6】本発明の一実施例(実施例4)に係る自動車用制御装置の図であり、
図2と同様な断面を示す断面図。
【
図8】本発明の一実施例(実施例5)に係るケース3の図であり、ケース3の
図2と同様な断面を示す断面図。
【
図9】本発明の一実施例(実施例6)に係る自動車用制御装置の分解断面図および組立断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、各実施例は矛盾しない限り、全体またはその一部を相互に組み合わせて使用することができる。また各実施例における同様な構成には同じ符号を使用してその説明を省略すると共に、同じ符号を用いた構成に異なる部分がある場合にはその異なる部分について説明する。
【0011】
以下の説明において、上下方向を指定して説明する場合があるが、この上下方向は説明する図に基づいて定義される方向であり、自動車用制御装置100の実装状態における上下方向を指定するものではない。
【0012】
[実施例1]
本発明の実施例1について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例(実施例1)に係る自動車用制御装置の分解図および組立図である。
図2は、
図1のA-Aに沿う断面図である。なお
図2は、
図1のA-A方向に切断した断面図である。
【0013】
図示しない外部装置を電気的に制御するための回路を有する基板1は、外部との電気的な接続をするためのコネクタ2を搭載する。また、コネクタ2及び基板1は、袋状に形成されたケース3に開口部31からスライドさせて組み込まれる構成となっている。
【0014】
ケース3は断面が矩形状を成す内部空間を有し、奥行き方向の一端部に開口部31を有する。ケース3の内部空間は基板1及びコネクタ2の収容空間を構成する。ケース3の奥行き方向における他端部は閉じている。ケース3は、開口部31がカバー4によって閉じられることにより、内部空間が水密な状態で閉じられる。ケース3は、カバー4と共に、自動車用制御装置100の筐体を構成する。なお、カバー4にはコネクタ2を外部に露出させる開口4aを有しており、コネクタ2は筐体(ケース3及びカバー4)の水密構造の一翼を担う。従って、コネクタ2は筐体の一部を構成する部材とみなすこともできる。
【0015】
以下、自動車用制御装置100について、高さ方向(上下方向)H、幅方向W及び奥行き方向Dを、
図1に示すように定義して使用する。幅方向Wは、ケース3の開口部31を形成する上縁部及び下縁部に沿う方向である。高さ方向(上下方向)Hは、ケース3の開口部31の上縁部と下縁部とを結ぶ側縁部に沿う方向である。奥行き方向Dは、幅方向Wと高さ方向(上下方向)Hとに垂直な方向であり、開口部31側を前側、開口部31とは反対側を奥側とする。この場合の高さ方向(上下方向)Hも、自動車用制御装置100の実装状態における上下方向を指定するものではない。
【0016】
基板1がケース3に組み付けられた後、基板1を覆うようにカバー4がケース3に組み付けられて固定される。カバー4は開口部31に蓋をするように組付けられる。カバー4には、ケース3に嵌合、固定されるためのスナップフィット部41が設けられている。
【0017】
スナップフィット部41は、ケース3の内側に挿入される。そして、
図2上部のスナップフィット部41に形成された嵌合突起42が、ケース3に設けられたスナップフィット部41の嵌合突起42を受ける嵌合凹部33に嵌合される。嵌合凹部33はケース3の内周面(内側の側面:内側面)3dから外側に向かって窪んだ凹部として形成されている。すなわち嵌合凹部33は、嵌合凹部33が設けられるケース3の部材を貫通することなく、第1嵌合突起42が嵌合される側とは反対側がケース3の外周面3bで塞がれた状態で設けられる。
【0018】
一方、
図2下部のスナップフィット部41に形成された嵌合突起42は、ケース3に設けられた嵌合穴32に嵌合される。嵌合穴32は嵌合穴32が設けられるケース3の部材を貫通するように設けられる。
【0019】
2つのスナップフィット部41を区別するため、以下の説明では、嵌合凹部33と嵌合する側のスナップフィット部41を第1スナップフィット部41と呼び、嵌合穴32と嵌合する側のスナップフィット部41を第2スナップフィット部41と呼んで説明する場合がある。また、第1スナップフィット部41に形成された嵌合突起42を第1嵌合突起と呼び、第2スナップフィット部41に形成された嵌合突起42を第2嵌合突起と呼んで説明する場合がある。
【0020】
本実施例では、第1スナップフィット部41はカバー4側に設けられ、ケース3側に設けられた嵌合凹部33と嵌合する。また第2スナップフィット部41はカバー4側に設けられ、ケース3側に設けられた嵌合穴32と嵌合する。しかしこのような形態に限らず、第1スナップフィット部41はケース3側に設けられ、カバー4側に設けられた嵌合凹部33と嵌合するように構成してもよい。また、第2スナップフィット部41はケース3側に設けられ、カバー4側に設けられた嵌合穴32と嵌合するように構成することも可能である。
【0021】
この場合、ケース3又はカバー4のうちいずれか一方に嵌合凹部33が設けられると共に、他方に嵌合凹部33に嵌合する第1嵌合突起42を有する構成に対して、嵌合凹部33は、嵌合凹部33が設けられるケース3又はカバー4の部材を貫通することなく、第1嵌合突起42が嵌合される側とは反対側が塞がれた状態で設けられる。
【0022】
カバー4のケース3側の端面には、ケース3のカバー4側の端面(突き合わせ面)3cと奥行き方向Dにおいて突き合わされる突き合わせ面4cが設けられる。突き合わせ面4cはカバー4の外周面(縁面)4bの内側で外周面(縁面)4bの近傍に設けられる。すなわちカバー4の突き合わせ面4cとケース3の突き合わせ面3cとが突き合わされ、スナップフィット部41は突き合わせ面4cの内側に設けられ、ケース3の突き合わせ面3cの内側からケース3の内側に挿入される。
【0023】
なお
図2では、カバー4とケース3との間に隙間があるが、この隙間はシール材により埋められていてもよい。
【0024】
本実施例によれば、嵌合凹部33と対向する、ケース3の側壁の位置に嵌合穴32を設ける。これにより、嵌合穴32から嵌合凹部33を形成する金型を挿入することができ、金型による成形を可能にしつつ、嵌合凹部33と嵌め合わさるスナップフィット部41はケース外面に露出しないため防水機能が向上する。
【0025】
本実施例では、2つのスナップフィット部41のうち嵌合凹部33側のスナップフィット部41で防水性能を向上することができる。このため自動車用制御装置100は、嵌合凹部33が設けられるケース3の外周面3bが上側を向くように、また嵌合穴32が設けられるケース3の外周面3bが下側を向くように、実装されるとよい。このために、嵌合凹部33と嵌合穴32との配置が、
図1とは逆の配置となるように、構成されてもよい。或いは、上下方向Hに沿う側壁に嵌合凹部33及び嵌合穴32が配置されるように、スナップフィット部41が構成されてもよい。
【0026】
嵌合凹部33側のような防水機能が得られない嵌合穴32側には、適宜シール材を設けることで防水性を向上してもよい。この場合、シール材を設ける作業を2つのスナップフィット部41のうち一方のスナップフィット部41で行えばよいため、作業効率が向上する。
【0027】
また本実施例では、2つのスナップフィット部41と嵌合凹部33及び嵌合穴32との上述した構成により、スナップフィット部41はケース3の外周面(外側の側面:外側面)3bから突出することなく、ケース3の外周面3bとカバー4の外周面4bとが同一面となっている。このように本実施例の自動車用制御装置100は、単純な形状で防水性能を向上でき、筐体の内周面3dから内側或いは外周面3bから外側に突出する突出量を小さくすることができるスナップフィット部を有する。
【0028】
上述した本実施例は、下記の特徴を有する。
(1)自動車を制御するための電子回路を備える基板1と、
一端部に開口部31を有し、基板1が挿入された状態で固定されるケース3と、
開口部31に蓋をするようにケース3に組付けられるカバー4と、を備え、
ケース3に嵌合凹部33が設けられると共に、嵌合凹部33に嵌合する第1嵌合突起42を有する第1スナップフィット部41がカバー4に設けられ、
嵌合凹部33は、ケース3の部材を貫通することなく、第1嵌合突起42が嵌合される側とは反対側が塞がれた状態で設けられ、
第1嵌合突起42はケース3の内側に挿入されることで、嵌合凹部33と嵌合する。
【0029】
(2)ケース3に嵌合穴32が設けられると共に、嵌合穴32に嵌合する第2嵌合突起42を有する第2スナップフィット部41がカバー4に設けられ、
嵌合穴32は、ケース3の部材を貫通するように設けられる。
【0030】
(3)嵌合凹部33は、第1嵌合突起42が嵌合される側とは反対側がケース3の外周面で塞がれた状態で設けられる。
【0031】
(4)自動車用制御装置100は、嵌合凹部33が設けられるケース3の外周面3b部が上側を向くように、また嵌合穴32が設けられるケース3の外周面3b部が下側を向くように、実装される。
【0032】
[実施例2]
本発明の実施例2について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、本発明の一実施例(実施例2)に係る自動車用制御装置の外観を示す斜視図である。
図4は、
図3のB-Bに沿う断面図である。なお
図4は、
図1のB-B方向に切断した断面図である。
【0033】
本実施例の自動車用制御装置100は、実施例1に対して、嵌合凹部33の外周面3bの側に溝部34が設けられる構成が異なる。すなわちケース3は、嵌合凹部33が形成される部位の外周面3bの側に形成される溝部34を有する。
【0034】
具体的には、溝部34は、嵌合凹部33が形成されるケース3の部位の外周面3bの側に設けられる。嵌合凹部33はケース3の内周面3dから外側に向かって窪んだ凹部として形成されており、溝部34はケース3の外周面3bから内側に向かって窪んだ凹部として形成されている。
【0035】
溝部34を設けることで、嵌合突起42と嵌合凹部33とが嵌め合わさっている箇所が特定できる。本実施例により、ケース3にカバー4を組み付けた後に、基板1を調査する必要が発生した場合、ケース3とカバー4の嵌合を外す必要が発生する。溝部34をマイナスドライバー等で破壊することで、嵌合突起42を容易に露出させることができる。
【0036】
[実施例3]
本発明の実施例3について
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施例(実施例3)に係る自動車用制御装置の図であり、
図2と同様な断面を示す断面図である。
【0037】
本実施例の自動車用制御装置100は、実施例1に対して、スナップフィット部41に嵌合突起43が設けられており、嵌合突起43は嵌合穴32へ圧入される構成が異なる。すなわち本実施例の第2嵌合突起43はケース3の側に設けられた嵌合穴32へ圧入される。
【0038】
前記構成によって、嵌合突起43と嵌合穴32との間の隙間がなくなる。本実施例により、ケース3を貫通する嵌合穴32からの液体の浸入を抑制できる。また、嵌合突起43の嵌合方向に対して垂直な断面の最大断面積は嵌合穴32の開口面積よりも大きくすることで、嵌合突起43が嵌合穴32に対して嵌合方向に圧入される深さが大きくなり、圧入によって隙間のなくなる効果が高まり、液体の浸入の抑制効果が高まる。加えて、嵌合突起43の形状は嵌合穴32の断面形状と一致するような断面形状を有することが好ましい。本実施例では、嵌合穴32の断面形状が多角錘形状、または円錐形状である。これに対応して第2嵌合突起43は、嵌合方向に対して垂直な断面形状が多角錐形状又は円錐形状である。
【0039】
[実施例4]
本発明の実施例4について
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、本発明の一実施例(実施例4)に係る自動車用制御装置の図であり、
図2と同様な断面を示す断面図である。
図7は、
図6のVII部の拡大断面図である。
【0040】
本実施例の自動車用制御装置100は、実施例1に対して、ケース3とカバー4との接合面にシール構造を追加した構成が異なる。ケース3のカバー4と合わさる開口縁部(開口部31の周囲に形成される端面)に凸部35が設けられ、その凸部35と嵌め合わさるカバー4側の位置に凹部44が設けられる。すなわち、凸部35はケース3の端面(突き合わせ面)3cに設けられ、凹部44はカバー4の突き合わせ面4cに設けられる。しかし、凸部35がカバー4の突き合わせ面4cに設けられ、凹部44がケース3の端面(突き合わせ面)3cに設けられる構成であってもよい。
【0041】
すなわち本実施例の自動車用制御装置100は、ケース3の開口部31の周囲に形成される端面(突き合わせ面)3c、又はケース3の端面3cと対向するカバー4の対向面(突き合わせ面)4cのいずれか一方には凹部44が、他方には凸部35がそれぞれ設けられる。凸部35は、凸部35が設けられるケース3又はカバー4と連続して形成される。凹部44及び凸部35は、両者がかみ合うことで、カバー4とケース3とを固定する固定力を発揮する。なお、凹部44及び凸部35が発揮する固定力は、カバー4とケース3とを固定する固定力の100%である必要はない。
【0042】
本実施例により、ケース3とカバー4との嵌合面から液体が浸入するのを防止する効果が向上する。また凸部35は、
図7の断面上において、先端が尖った三角形状とするとよい。すなわち凸部35は、ケース3の開口部31の周囲に沿って延設され、その延設方向に垂直な断面形状が三角形状であるとよい。
【0043】
[実施例5]
本発明の実施例5について
図8を用いて説明する。
図8は、本発明の一実施例(実施例5)に係るケース3の図であり、ケース3の
図2と同様な断面を示す断面図である。
【0044】
本実施例の自動車用制御装置100は、実施例1に対して、ケース3の嵌合穴32の開口面積W2が嵌合凹部33の深さ方向に垂直な断面積W1よりも大きくなっている構成が異なる。
【0045】
本実施例では、嵌合凹部33を形成する金型を太くでき、金型寿命を長くし、金型の折れるリスクを軽減できる。
【0046】
また、嵌合凹部33を嵌合穴32から挿入した金型で形成する場合、開口面積W2は断面積W1以上の大きさにする必要がある。
【0047】
[実施例6]
本発明の実施例6について
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の一実施例(実施例6)に係る自動車用制御装置の分解断面図および組立断面図である。
【0048】
本実施例の自動車用制御装置100は、実施例1に対して、嵌合凹部33と嵌め合わさる嵌合突起(第1嵌合突起)42の高さT2が嵌合凹部33の深さT1よりも大きくなっている構成が異なる。
【0049】
本実施例では、嵌合突起42が嵌合凹部33の底面を押し上げ、ケース3の外周面3bに膨らみ(膨出部)3b1を形成する。このため嵌合突起42と嵌合凹部33とが嵌め合わさったことを外観から確認することができる。
【0050】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…基板、2…コネクタ、3…ケース、3b…ケース3の外周面、3c…ケース3の端面(突き合わせ面)、3d…ケース3の内周面、31…ケース3の開口部、32…嵌合穴、33…嵌合凹部、34…溝部、35…凸部、4…カバー、4c…カバー4の突き合わせ面、41…スナップフィット部、42…嵌合突起、43…嵌合用錐体、44…凹部、100…自動車用制御装置。