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特許7641397ドライアイ治療用薬の調製における、N16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】ドライアイ治療用薬の調製における、N16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20250227BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250227BHJP
   A61K 47/00 20060101ALI20250227BHJP
   A61K 47/42 20170101ALN20250227BHJP
   A61K 9/127 20250101ALN20250227BHJP
   A61K 47/64 20170101ALN20250227BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20250227BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20250227BHJP
【FI】
A61K38/10 ZNA
A61P27/02
A61K47/00
A61K47/42
A61K9/127
A61K47/64
C07K14/00
C07K7/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023550345
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 CN2021126635
(87)【国際公開番号】W WO2022095765
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】202011215031.0
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523022631
【氏名又は名称】武漢益承生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN YICHENG BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】R & D Building B1 Zones B, C And D, Wuhan National Biological Industry Base Project, No. 666, Gaoxin Avenue, East-Lake Development Zone Wuhan, Hubei 430000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】夏献民
(72)【発明者】
【氏名】李朝興
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110585052(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104043102(CN,A)
【文献】特表2004-527578(JP,A)
【文献】Meijuan Zhu et al.,A cell-permeable peptide inhibitor of p55PIK signaling alleviates ocular inflammation in mouse models of uveitis,Experimental Eye Research,2020年08月,Vol.199,108180
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/10
A61P 27/02
A61K 47/00
A61K 47/42
A61K 47/64
A61K 9/127
C07K 7/08
C07K 14/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイ治療用薬の調製に使用されることを特徴とする、アミノ酸配列が配列番号1であるN16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物の使用。
【請求項2】
前記の膜貫通担体が膜貫通ペプチドまたはリポソームであることを特徴とする請求項1に記載の組成物使用
【請求項3】
前記組成物前記膜貫通ペプチドを含み、前記の膜貫通ペプチドが前記N16ペプチドとペプチド結合連結することを特徴とする請求項2に記載の組成物使用
【請求項4】
前記膜貫通ペプチドがTATペプチドであり、
前記組成物が、アミノ酸配列が配列番号2であるTAT-N16ポリペプチドを含有する組成物であることを特徴とする請求項3に記載の組成物の使用
【請求項5】
中等度から重度の過蒸発タイプのドライアイまたは異常な涙のダイナミクスのドライアイを治療する薬の調製に使用されることを特徴とする請求項1に記載の組成物使用
【請求項6】
アミノ酸配列が配列番号1であるN16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物であることを特徴とするドライアイ治療用薬。
【請求項7】
前記の膜貫通担体が膜貫通ペプチドまたはリポソームであることを特徴とする請求項6に記載のドライアイ治療用薬
【請求項8】
前記組成物が前記膜貫通ペプチドを含み、前記の膜貫通ペプチドが前記N16ペプチドとペプチド結合で連結することを特徴とする請求項7に記載のドライアイ治療用薬
【請求項9】
前記膜貫通ペプチドがTATペプチドであり、
前記組成物が、アミノ酸配列が配列番号2であるTAT-N16ポリペプチドを含有する組成物であることを特徴とする請求項8に記載のドライアイ治療用薬
【請求項10】
前記TAT-N16ポリペプチドの含有量が少なくとも0.01%wtであることを特徴とする請求項9に記載のドライアイ治療用薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物製薬分野、更に具体的に、ドライアイ治療用薬の調製におけるP55PIK阻害剤の応用に関わる。
【背景技術】
【0002】
ドライアイは涙の量、質または流体力学上の異常による涙液膜の不安定及び/または眼球表面の損害による目の症状及び視覚機能障害を示す疾患である。中国では、臨床で出てきた様々な名称(ドライアイ、ドライアイ病及びドライアイ症候群など)は包括的に「ドライアイ」と呼ばれる。主な影響要因として目の乾き、灼熱感、異物感、チクチク感、目のかゆみ、羞明、赤眼、かすみ目及び視力変動などの症状を引き起こす老齢、女性、高い標高、糖尿病、翼状片、大気汚染、点眼薬の乱用、ビデオ端末の利用、角膜屈折矯正手術、アレルギー性眼疾患及び一部の全身性疾患などが挙げられる。
【0003】
ドライアイは病因が複雑であるから、国際にドライアイに関する統一の分類基準がなく、分類方法が様々である。中国では、眼球表面涙液膜の構造及び機能により下記のとおりにドライアイ分類を行っている。 (1)水分欠乏型ドライアイ:水液性涙生成不足及び/または質の異常によるもの。例えば、シェーグレン症候群及び多くの全身性要因によるドライアイ。 (2)過蒸発タイプのドライアイ:脂質層の質または量の異常によるもの。例えば、マイボーム腺機能障害、眼瞼炎、ビデオ端末症候群、まぶた欠損または異常による蒸発増加など。 (3)ムチン欠乏型ドライアイ:眼球表面の上皮細胞損傷によるもの。例えば、眼球表面に対する薬毒性、化学傷害及び熱傷による損害及び角膜縁機能障害など。 (4)異常な涙のダイナミクスのドライアイ:異常な涙のダイナミクスによるもの。例えば、異常瞬き、涙の排出遅延及び結膜弛緩など。 (5)混合型ドライアイ:臨床で最もよく見られるドライアイ種類であり、上記の2種または2種以上の原因によるドライアイである。
【0004】
ドライアイは涙及び眼球表面の複数の要因につながる疾患であり、涙液膜の不安定、目の不快感及び視覚障害などの症状を引き起こして眼球表面を損害できる。それと同時に、ドライアイは病因及び病理学的メカニズムが複雑であり、経過が長く、繰り返して発病し、直され難く、日常生活及び労働で患者に極めて大きな不便を与え、視覚機能に対する危害が重大である。
【0005】
従来、ドライアイの治療で良く人工涙液、潤滑ペースト剤、免疫阻害剤などを利用し、重病ドライアイの場合に自体の血清または手術で治療する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の上記の欠陥または改善上の必要に応じて、本発明はドライアイ治療用薬の調製における55PIK阻害剤の応用を提供し、目的が簡単に利用でき、確実な治療効果があるドライアイ治療用薬を提供し、それにより従来のドライアイ治療用薬が症状を和らげたり、抑えたりするだけであり、容易に調製できないという課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一面によれば、ドライアイ治療用薬の調製に使用される、アミノ酸配列が配列番号1であるN16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物の使用を提供する。
【0008】
望ましくは、膜貫通担体が膜貫通ペプチドまたはリポソームである組成物の使用を提供する。
【0009】
望ましくは、組成物が膜貫通ペプチドを含み、膜貫通ペプチドがN16ペプチドとペプチド結合で連結することを特徴とする組成物の使用を提供する。
【0010】
望ましくは、膜貫通ペプチドがTATペプチドであり、組成物が、アミノ酸配列が配列番号2であるTAT-N16ポリペプチドを含有する組成物であることを特徴とする組成物の使用を提供する。
【0011】
望ましくは、中等度から重度の過蒸発タイプのドライアイまたは異常な涙のダイナミクスのドライアイを治療する薬の調製に使用されることを特徴とする組成物の使用を提供する。
【0012】
本発明の他の一面によれば、アミノ酸配列が配列番号1であるN16ペプチドと、膜貫通担体と、を含有する組成物であるドライアイ治療用薬を提供する。
【0013】
望ましくは、膜貫通担体が膜貫通ペプチドまたはリポソームであるドライアイ治療用薬を提供する。
【0014】
望ましくは、組成物が前記膜貫通ペプチドを含み、膜貫通ペプチドがN16ペプチドとペプチド結合で連結することを特徴とする組合物であるドライアイ治療用薬を提供する。
【0015】
望ましくは、膜貫通ペプチドがTATペプチドであり、組成物が、アミノ酸配列が配列番号2であるTAT-N16ポリペプチドを含有する組成物であるドライアイ治療用薬を提供する。
【0016】
望ましくは、TAT-N16ポリペプチドの含有量が少なくとも0.01%wtであるドライアイ治療用薬を提供する。
【発明の効果】
【0017】
全体的に言えば、従来の技術と比べてみると、本発明による上記の解決策は下記の有益な効果を取得できる。
【0018】
本発明のP55PIK阻害剤のポリペプチドを含む薬は動物のドライアイのモデルに対する治療効果が良く、毒性・副作用が小さいである同時に、p55PIK阻害剤を含有する薬にドライアイ患者に対する顕著な治療効果もあるもので、p55PIK阻害剤は開発上の良好な見通しがあり、有効にドライアイを治療でき、安全であり、毒性が低く、品質が制御できる革新的な薬である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実例1の涙分泌低下のドライアイにかかるラットの正常な対照群とモデル群のタンパク質p55PIK表現の検出成績
図2】実例1の涙分泌低下のドライアイにかかるラットの正常な対照群とモデル群のp55PIK遺伝子発見成績の統計図
図3】実例1の0.1%TAT-N16ポリペプチドでラットの角膜上皮損傷を治療する場合のフルオレセインナトリウムでドライアイの角膜に対する染色
図4】実例2の7日に治療されたマウスの杯細胞の密度
図5】実例3の7日に治療されたニュージーランド・ウサギの杯細胞の密度;
図6】実例4のケースの写真記録
【発明を実施するための形態】
【0020】
更にはっきりして本発明の目的、解決策及び長所を理解できるようにするために、次に、実例と結び合わせて本発明についてより一歩に詳細に説明する。言うまでもなく、ここで記載する具体的な実例は本発明について解釈するためのものに過ぎなく、本発明を限定するものではない。また、下記の本発明の各実施方法に関わる技術上の特徴は互いに矛盾しなければ相互に組み合わせることができる。
【0021】
本発明によるドライアイ治療用薬はP55PIK阻害剤を含有し、望ましくは、含有量が少なくとも0.01%wtである。
【0022】
常用のP55PIK阻害剤はポリペプチド系製剤であり、生物膜を貫通し難い。例えば、N16ペプチドはシリアルがSEQ NO.1である。眼局所用剤形(点眼液など)に適するために、前記のドライアイ治療用薬は生物膜を貫通することでP55PIK阻害剤に支援を与えて生物活性を向上させるための生物膜貫通力が必要である。
【0023】
膜貫通担体を採用したり、P55PIKを阻害できるポリペプチドに人工で膜貫通ペプチドを接続し、生物膜貫通力を持つようにしたりする。例えば、N16ペプチドをTATシリアルに接続し、TAT-N16ペプチドを形成するようにする。シリアルの例として、SEQ NO.2が挙げられる。
【0024】
膜貫通ペプチド系は膜貫通ペプチドに基づくシリアル及び膜貫通ペプチドと脂質との結合特性に基づいて下記の3 種に分けられる。 (1)両親媒性浸透系。普通、20個以上のアミノ酸を含有し、疎水性・親水性アミノ酸の残基が主要構造に沿って連続して排列する。例えば、transportanまたはTP10。 (2)中等両親媒性浸透系。アミノ酸数が両親媒性浸透系より少なく、両親媒性により、膜と作用する場合にα-へリックスを形成したり、β-シート構造の場合に表示したりする。例えば、penetratin 、pVEC及びM918。 (3)非両親媒性浸透系。普通、短く、高い割合の正電荷アミノ酸(アルギニンなど)を含有する。例えば、R9やTATなど。
【0025】
膜貫通担体、例えば、リポソームカプセル化。
【0026】
実験の担当者は先ずTAT-N16ポリペプチド(シリアルはSEQ.NO.2を参照)をドライアイにかかる動物モデルに応用した。それによると、TAT-N16ポリペプチドは涙液膜の解散時間を長くし、角膜の損傷を修復でき、中等度から重度の過蒸発タイプのドライアイ及び異常な涙のダイナミクスのドライアイの場合に特にそうである。より一歩の実験によると、P55PIK阻害を含有する膜貫通剤形(膜貫通担体を含む)を採用する場合、類似的阻害効果が見えられ、ドライアイ治療用薬の調製に応用されることができる。
【0027】
研究によると、ドライアイにかかる動物モデルでタンパク質p55PIKは表現量が異常に向上した。タンパク質p55PIKが多くの重要な信号経路に参加するので、p55PIKの活性を阻害すると、ドライアイの症状を和らげることがある。更になる実験によると、P55PIK阻害剤は角膜の損傷を修復し、涙液膜の解散時間を長くすることができる。
【実施例1】
【0028】
ドライアイにかかる動物の眼部組織で、p55PIKはエクスプレスプロテインレベルが増加し、TAT-N16ポリペプチドは実験用ラットドライアイの症状を和らげることができる。
【0029】
1 材料と方法
1.1 動物、試薬及び薬
雌雄各半で体重が150~300gにあるSPF級の健康SDラットの42匹を選び、5回/日で両眼に0.25%クロラムフェニコール点眼液0.05ml/(眼・次)をさす。実験を始めるまで細隙灯ですべての動物に対する外眼検査を行い、異常がないので、研究に利用できる。試薬:0.4%塩酸オブバカイン点眼液、0.5%塩酸リドカイン注射液、0.25%クロラムフェニコール点眼液、1%臭化ベンザルコニウム溶液、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム点眼液、0.2%カルボマー点眼液、0.9%NaCl注射液、0.5mg/mlアトロピン注射液、2%フルオレセインナトリウム溶液、Schirmer測定用ろ過紙。
【0030】
細隙灯顕微鏡、滅菌注射器5ml、5号針、ピンセット、持針器、眼科用はさみ、ストップウォッチ、縫合針、1号黒絹糸、抗体P55PIK(CST)、GAPDH(ABclonal)、TRizol試薬ケース、リアルタイム定量PCRmIXなど。
【0031】
1.2 造形及び群分け
1.2.1 ラット角膜上皮損傷ドライアイのモデル:涙腺を除去してから臭化ベンザルコニウム溶液をさしてラット角膜上皮損傷ドライアイのモデルを調製する。雌雄各半でランダムにラットの18匹を取り、両眼の周りの毛を除去し、消毒を行い、0.4%塩酸オブバカインで表面麻酔を行い、0.5%塩酸リドカイン1mlで眼球後麻酔を行い、ラット耳前の皮膚で小さな口をはさみ、両側の涙腺を剥がれて除去し、両眼に1%臭化ベンザルコニウム溶液にさし、翌日に角膜の状況を調べた。
【0032】
群分け及び投与:群にあたり6匹、雌雄各半で造形済のラットの18匹をランダムに3群に分けた。第1群は空白投与対照群であり、処理しなく、第2群は溶剤投与対照群であり、TAT-N16ポリペプチドを含有しない溶剤で点眼治療を行い、第3群は薬投与群であり、0.1%TAT-N16ポリペプチド点眼液で治療。点眼液の投与:4回/(眼・日)、1滴/回、7日に渡る投与。投与後0日、投与後第4、7日の角膜上皮の損傷状況を記録した。
【0033】
検出方法及び採点標準:フルオレセインナトリウム角膜染色は5ml注射器及び5号針でフルオレセインナトリウムの1滴を結膜嚢にさし、5min後、細隙灯顕微鏡及びコバルトブルーライトの下で角膜上皮の状況を調べた。(採点標準は表1を参照)。
【0034】
1.2.2 涙分泌低下ラットモデル:涙腺にアトロピンを注射するBurgalassi法を参照して涙分泌低下のドライアイにかかる動物モデルの造形を行った。雌雄各半のラットの18匹の両眼に0.4%塩酸オブバカイン点眼液をさし、涙腺にアトロピン0.25ml/眼(0.5mg/ml)を注射し、毎日に両眼下の涙腺にアトロピンを4回に注射し、毎日にアトロピンを注射してから0.5hにラット涙分泌試験の成績を記録し、持続的に第7日までに注射した。
【0035】
群分け及び投与:非モデル群の雌雄各半のラット6匹を正常対照群に分けた。造形済のラットの18匹をランダムに3群に分け、群にあたり6匹、雌雄各半にした。第1群のモデル群は空白投与対照群であり、処理しなく、第2群溶剤投与対照群はTAT-N16ポリペプチドを含有しない溶剤で点眼治療を行い、第3群は薬投与群であり、0.1%TAT-N16ポリペプチドで点眼液治療を行った。点眼液の投与:4回/(眼・日)、1滴/回、7日に渡る投与を行った。投与後第0日及び投与後第4、7日の眼ごとの涙分泌量を記録した。検出が完了してから正常対照群及びモデル群の眼球検出p55PIK遺伝子及びタンパク質レベルを取った。
【0036】
1.2.2.1涙分泌試験(Schirmer II):SDラットの眼球が小さく、人間に適する大さのろ過紙による測定が適切ではないので、それを両半に挟んで検出を行い、5×35mmのろ過紙の一本を各々大さ2.5×35mmのろ過紙に挟んで先端で折り、簡単に下まぶたの中後部の1/3接合部に設置し、5min後にろ過紙を取り出してから2minに3回に繰り返してろ過紙の濡れた長さを測定し、平均値を取った。投与前及び第4、7日の観察成績を記録した。
【0037】
1.2.2.2 Western Blot検出
1.サンプルの調製
(1)適切に眼球を処理してからPBSで2~3回に洗浄してからプロテアーゼ阻害剤の50~100ulを含有する変性溶解緩衝液を入れた。
(2)超音波でサンプルを砕け、タンパク質を収集し、EPパイプを氷に差し込んで超音波ブレーカに入れ、超音5s一時停止10、超音波出力45%、5サイクルのプログラムを設定した。
(3)4℃、12000rpmで10minに遠心処理を行い、細胞断片及び異物を除去し、上清液を収集した。
(4)上清液を取り、Nanodropでタンパク質濃度を測定し、記録した。
(5)割合で5×タンパク質上清液のサンプル緩衝液の25ulを入れ、均一的に混合させ、10minにメタルバスを行ってタンパク質が変性するようにしてサンプルを調製した。
5×タンパク質上清液のサンプル緩衝液の調製:
【0038】
2.SDS-PAGE ゲル電気泳動
SDS-PAGEゲルの調製。適切に測定したタンパク質濃度により体積を計算し、各サンプル供給孔にタンパク質の10-20μgを入れた。電気泳動の電圧を定電圧にし、先ず80Vの電圧を利用し、サンプルが分離ゲルに入ってから120Vの電気泳動に切り替え、BPBがゲルからあふれ出てから電気泳動と止めた。
【0039】
3.濡れた状態でPVDF膜を転送する
転送バッファーの調製。電気泳動が完了してから気を付けてゲルを剥がし、濃縮ゲルを切り、転送バッファーに入れた。極性に応じてクリップを合わせ、クリップ内の各メザニンの間のオフセットによる転送のオフセットがないように気を付けて操作を行った。電気泳動転送タンクをアイスボックスに入れて温度を下げ、200mAの定電流で1.5~2hに転送を行った。
【0040】
4.免疫発色
濡れた状態で転送されたPVDF膜を脱脂粉乳で閉鎖した。抗体1は室温で2hにハイブリッド培養を行ったり、4℃で翌朝までにハイブリッド培養を行ったりした。抗体1はハイブリッド培養を行ってから膜を洗浄し、抗体2はハイブリッド培養を行い、室温で培養床を揺らして1hにハイブリッド培養を行った。フルオレセイン抗体2の操作中に光を避けるように気を付けること。抗体2で膜を洗浄する。20min前までOdyssey2色赤外線レーザーイメージャーを準備し、レーザーの強さを調整し、抗体2の区分に応じてタンパク質の信号をスキャンする。
【0041】
1.2.2.3フルオレセインに対するリアルタイムの定量PCR検出による遺伝子発見
1.眼球総RNAの抽出
TRizol試薬ケースの説明書に従って総RNAを抽出した。抽出した総RNAは紫外分光光度計で測定され、抽出物濃度のOD260/280比率が1.87~1.98にあり、QPCR p55PIKプライマーシリアル:p55PIK-F:5’-GCTTGGCACTTGATGTA -3’(SEQ NO.3)、p55PIK-R:5’-GCTGTATGAAGAAGAATATAC-3’(SEQ NO.4)、参照遺伝子GAPDHのプライマーシリアル:GAPDH-F:5’-GGACCAGGTTGTCTCCTGTG-3’(SEQ NO.5)、GAPDH-R:5'-TGTAGGCCATGAGGTCCAC-3’(SEQ NO.6)である。
【0042】
2.逆転送
北京全式金社製TransScript(登録商標)One-step gDNA Removal and cDNA Synthesis SuperMixで下記の手順で逆転送を行った。
1)軽く均一的に混合させてからCFX96 qPCR装置に設置して下記の条件で増幅反応を行った。
2)溶解曲線は下記のプログラムを採用した。
データ分析: Ct法に従った。
【0043】
2 成績
2.1 ラット角膜上皮損傷ドライアイのモデル
治療を行うまで、群間の角膜上皮損傷に関する得点の違いに統計学上の意義(P>0.05)がなく、4日の治療を経て、薬投与群は空白投与対照群及び溶剤投与対照群と比べて角膜上皮損傷に関する得点の違いに統計学上の意義(P>0.05)がなく、7日の治療を経て、薬投与群の角膜の損傷に関する得点は空白投与対照群及び溶剤投与対照群と比べて違いに統計学上の意義(P<0.05)があった。その中、薬投与群の角膜の損傷に関する得点は空白投与対照群及び溶剤投与対照群(P<0.05)(表2)より顕著に低かった。フルオレセインナトリウム染色及び角膜の状況の対照は図3に示す。
【0044】
2.2 ラット涙分泌低下のドライアイのモデル
造形を行うまで、ラットは涙分泌量が(8.98±1.36)mmであったが、造形を行われてから(3.21±1.24)mm(P<0.001)と少なくなったので、造形の成功を示し、造形前及び造形後、各群間涙分泌量違いに統計学上の意義(P>0.05)がなかったので、各群の涙分泌量に比較可能性があることを示し、第4、7日の治療で、薬投与群は涙分泌量が対照群(P<0.05)(表3)より顕著に高かったものである。
【0045】
涙分泌低下のドライアイにかかるラット正常群及びモデル群眼球組織のサンプルに対してWestern Blotでタンパク質P55PIKの表現を検出して、モデル群眼球でタンパク質p55PIKは表現が正常対照群より顕著に高かったものである(図1)。
【0046】
涙分泌低下のドライアイにかかるラット眼球のP55PIK遺伝子の転送レベルを研究した。RNAを抽出し、逆転送を行い、リアルタイムの定量PCRを行ってmRNAレベルを検出した。研究によると、モデル群の眼球でp55PIK遺伝子の転送レベルは正常対照群より顕著に高かったものである(図2)。
【表1】
【表2】
【表3】
【0047】
実例2 TAT-N16ポリペプチドでドライアイの症状を和らげるマウス実験
1.材料と方法
1.1主要材料と試薬
健康雄性C57BL/6マウスの50匹、体重18~20g、健康であり、眼球の表面に異常がなかった。試薬:0.1%TAT-N16ペプチド点眼液、0.2%塩化ベンザルコニウム溶液、1%フルオレセインナトリウム溶液、ペントバルビタール、フェノールレッド木綿糸、PAS染色剤。
【0048】
2.実験の過程
2.1 マウスドライアイのモデルの構築
C57BL/6マウスの飼養周囲:温度(25±1)℃、相対湿度(25±5)%、灯光の日夜交替(9AM~9PM)を模擬する。その中、マウスの40匹(80眼)に0.2%塩化ベンザルコニウム溶液で点眼し、2回/日(朝8:00、夜18:00)、5μl/回、14 日に持続的にドライアイのモデルを誘導し、残った10匹(20眼)にいかなる処理もしなく、基線対照にした。
【0049】
2.2 ドライアイのモデルの評価及び選出投与
造形をおこなって第15日に涙液膜の解散時間(BUT)、角膜フルオレセインナトリウム染色及び涙分泌試験(Schirmer I)に従ってドライアイのモデルを選出した。
【0050】
涙液膜の解散時間(Tear film breakup time、BUT):臨床で常用の涙液膜の解散時間で涙液膜の安定性を評価した。マウス結膜嚢に1%フルオレセインナトリウム溶液の1μlをさし、アシスタントがマウスを掴み、人為的に3回にまばたきをさせた次第にマウスを上下まぶたが分離する状態に保ち、すぐに細隙灯顕微鏡及びコバルトブルーライトの下で観察を行った。その度の涙液膜の解散時間は角膜上で初めの涙液膜破裂黒斑が生じた期間であった。毎眼に対して3回に繰り返して測定を行い、その平均値を取って記録(秒)した。
【0051】
角膜フルオレセインナトリウム染色:角膜フルオレセインナトリウム染色で判断上皮に破損があるかを判断した。マウス結膜嚢に1%フルオレセインナトリウム溶液の1 滴をさしてから1minを経て細隙灯顕微鏡及びコバルトブルーライトの下で角膜上皮のフルオレセインナトリウム染色の状況を調べた。
【0052】
採点標準:角膜を象限の4つに分け、象限ごとに0~4点を与え、総点数を16点にした。0点:染色無し、1点:点状染色であるが、30 個以下にあり、2点:染色点数が30個以上にあるが、拡散しなく、3点:顕著に拡散、染色するが、斑状の染色がなく、4点:斑状の染色がある。
【0053】
涙分泌試験(Schirmer I):各時点の同一の期間(3PM) にフェノールレッド木綿糸でSchirmer I 涙分泌量測定を行った。マウスの腹腔にペントバルビタール(50mg/kg体重)を注射して全身麻酔を行ってから軽く下まぶたを開き、フェノールレッド木綿糸の折られた端の長1mmの部分を下まぶたの外隣接部に近いまぶたの結膜面に15秒に設置し、木綿糸の赤くなった部分の長さを測定、記録した。測定が完了してからまぶたの割れを閉じて過度の暴露がないようにした。眼ごとに繰り返して2回に試験を行い、平均値を取って最後の成績にした。
【0054】
結膜杯細胞計数:結膜杯細胞数量の変化について結膜の穹隆部から石蝋薄切りをしてPAS 染色表示を行い、空白投与群及び溶剤投与群は結膜杯細胞が正常な結膜より顕著に少なかった。TAT-N16ポリペプチド点眼液で治療を行われてから、結膜杯細胞は数量が増加し、違いに統計学上の意義があった。
【0055】
2.3ドライアイのモデルの群分け及び処理
上記の指標に従って条件を満たすドライアイのモデルのマウスの30匹(60眼)を選出し、ランダムにA、B、C群に分け、群ごとに雌雄各半にした。その中、4回/日でA群に0.1%TAT-N16ポリペプチド点眼液をさし、4回/日でB群にTAT-N16ポリペプチドを含有しない点眼液(溶剤投与群)をさし、C群(対照群)もいかなる処理もしなかった。投与後の第1、4及び7日に各々BUT、SchirmerI、フルオレセインナトリウム染色を行い、第7日に結膜の穹隆部から石蝋薄切りをしてPAS染色を行い、染色陽性の杯細胞の数量を統計した。
【0056】
3.成績:
ドライアイマウスモデルを構築してから各々7日に連続して点眼を行い、ドライアイに対するTAT-N16ポリペプチド点眼液の治療効果を調べた。第4日に、涙液膜の解散時間はTAT-N16ポリペプチド点眼液投与群で空白投与対照群、モデル対照群及び溶剤投与群より延長を示し、涙分泌量では、TAT-N16ポリペプチド点眼液投与群は空白投与群及び溶剤投与群より顕著に増加したものであり、角膜フルオレセインナトリウム染色の得点では、TAT-N16ポリペプチド点眼液投与群は空白投与対照群、モデル対照群及び溶剤投与群より降下を示したものである。7日に連続して点眼を行い、涙液膜の解散時間はTAT-N16ポリペプチド点眼液投与群で空白投与対照群、モデル対照群及び溶剤投与群より顕著に延長を示し、その違いに統計学上の意義(P=0.007)(表4)があり、涙分泌量はTAT-N16ポリペプチド点眼液投与群で空白投与群及び溶剤投与群より顕著に増加したものであり、その違いに統計学上の意義(P<0.05)(表5)があった。角膜フルオレセインナトリウム染色の得点はTAT-N16ポリペプチド点眼液投与群で空白投与対照群、モデル対照群及び溶剤投与群より顕著に降下を示し、その違いに統計学上の意義(P<0.05)(表6)があった。また、TAT-N16ポリペプチド点眼液投与群は結膜杯細胞の密度が空白投与対照群及び溶剤投与対照群より顕著に多く、その違いに統計学上の意義(P<0.01)(図4)があった。
【表4】
【表5】
【表6】
【0057】
実例3 TAT-N16ペプチドでドライアイの症状を和らげるニュージーランド・ウサギによる実験
1 材料と方法
1.1材料
1.1.1 実験動物は健康なニュージーランド・ウサギの30匹を利用し、雌でも雄でもあり、体重が2.1~2.5kgにあった。動物の飼養及び周囲について眼科・視覚の科学研究に関する動物実験の国際基準に従ったものである。
【0058】
1.1.2 主要試薬:0.1%TAT-N16ポリペプチド点眼液、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride、BAC)(Sigma)脱イオン水を濃度0.1%溶液に調製し、涙分泌試験(Schirmer)用試験ろ過紙、フルオレセインナトリウム眼科検出試験紙、ニトロセルロース膜(PALL)、過ヨウ素酸、シッフ(PAS)染色試薬ケース。
【0059】
1.2 方法
1.2.1 実験動物の群分け:ランダムに数字表法に従って群ごとに10匹でニュージーランド・ウサギの30匹を空白投与対照群、溶剤投与対照群及び薬投与群に分けた。
【0060】
1.2.2 動物モデルの制作
すべての動物の右眼を実験用眼にし、2回/日で0.1%塩化ベンザルコニウムを4週間にさし、ドライアイにかかる動物モデルを制作した。4週間を経てからドライアイのモデルのウサギを調べ、角結膜は外観が乾燥していて、涙の量が少なく、涙分泌試験(Schirmer)における試験値が10mm/5min (対照群では10mm以上)以下にあり、涙液膜の解散時間(breakup time、BUT)は10s以下にあり、フルオレセイン染色では角結膜点及び平たくて薄い染色が見えられると、モデルの制作が成功したとみなす。
【0061】
1.2.3 薬の調製・用法
0.1%TAT-N16ポリペプチド点眼液は液体の製剤であり、原料がポリペプチド原料薬及び生理塩水を含む。具体的な調製方法:ポリペプチド原料薬を重量で計算して0.1%量で取り、生理塩水に溶解させる。0.1%TAT-N16ポリペプチドを含有する点眼液で毎日3回、1回にあたり2滴で7日に点眼する。空白投与対照群に対していかなる治療もしなく、溶剤投与対照群に対して生理塩水で毎日3回、1回にあたり2滴で7日に点眼し、その正常眼を正常対照群にする。
【0062】
1.3 サンプリング及び検出実験動物に対する検査は同一の担当者に任せる。検査は時間、場所、照明の明るさ及び温度が同じである。投与前及び投与後の第4、7日に各々細隙灯でウサギの角結膜外観、フルオレセイン染色及び涙液膜の解散時間を調べる同時に、涙分泌時間試験及び結膜ブロット細胞学検査(CIC)を行う。
【0063】
1.3.1 涙分泌試験(Schirmer)
塩酸オブバカインで表面麻酔を行って1minを経てから綿棒でドライアイまぶたの周りに液体を付け、試験紙をウサギ下結膜嚢の中部と外部との三分の一の接合部に設置し、残ったものを皮膚の表面に懸垂し、眼を閉じさせ、5minを経てからろ過紙を取り出し、濡れたろ過紙の長さを測定する。
【0064】
1.3.2 涙液膜の解散時間の実験
フルオレセインナトリウム眼科検出試験紙を短期間に下まぶた結膜嚢に設置し、フルオレセインナトリウムが均一して眼球の表面に分布するようにしてからまぶたが開かれたままで涙液膜に初めの乾燥斑が出てくるまで細隙灯顕微鏡及びコバルトブルーライトで観察を行い、まぶたが開いてから初めの乾燥斑が出てくるまでの期間を記録し、3回に連続して測定を行い、平均値を取って記録する。
【0065】
1.3.3 結膜ブロット細胞学検査(CIC)
投与後の第1、4、7日に各群に対して各々結膜ブロット細胞学検査を行う。ニトロセルロース膜を3.5×3.5mmに挟み、蒸留水で4hに浸し、乾燥しておく。表面麻酔を行ってから各々ニトロセルロース膜の2枚の荒い面を下に向けさせて鼻及びこめかみの上象限の眼球結膜に設置し、10秒に持続的に押して表層の上皮細胞を取る。ろ過膜を95%アルコールに入れて固定し、過ヨウ素酸シッフ試薬(PAS)で染色を行い、光学顕微鏡で杯細胞を計数し、Nelson採点標準に従って格付けを行う。
【0066】
2 成績
2.1 涙分泌試験(Schirmer test)
ウサギのドライアイのモデル値は10mm以下にあり、投与前の空白投与対照群、溶剤投与対照群及び薬投与群のSchirmer test値は各々 (8.41±0.69)mm、(8.50±0.23)mm、(8.38±0.57)mmにあり、顕著な違いがなかった。第4日の治療で、薬投与群のSchirmer test値は(12.02±1.21)mmであり、投与前より顕著に向上し、空白投与対照群及び溶剤投与対照群よりも顕著に向上したものである。7日を経て投与してから、薬投与群Schirmer test値は(16.31±1.45)mmであり、投与前より顕著に延長していて、空白投与対照群及び溶剤投与対照群よりも顕著に延長したものである(表7参照)。
【0067】
2.2 BUT
涙液膜の解散時間は10s以下にあった。投与前の空白投与対照群、溶剤投与対照群及び薬投与群のBUT値が各々 (8.55±1.06) s、(8.11±0.82)s及び(8.24±1.13) sであり、顕著な違いがなかった。治療の第4日に、薬投与群はBUT値が(11.72±1.27)sであり、投与前より顕著に延長していて、空白投与対照群及び溶剤投与対照群よりも顕著に延長していて、7日を経て投与してから、薬投与群はBUT値が(15.31±1.85)sであり、投与前より顕著に延長していて、空白投与対照群及び溶剤投与対照群よりも顕著に延長したものである(表8参照)。
【0068】
2.3 フルオレセインナトリウム染色(FL)
ドライアイのモデルの制作が完了してから、肉眼で観察すると、ウサギの角結膜は外観が乾燥していて、光沢を示さなく、フルオレセイン染色では角結膜点及び平たくて薄い染色が見えられた。薬投与群に投与して4日を経てから、ウサギの角結膜は外観の乾燥が投与前より好転していて、涙の量が増加していて、角結膜点及び平たくて薄い染色が少なく、7日の治療を経てから、角結膜は外観が濡れていて、涙の量が顕著に増加していて、染色が見えられなかった。
【0069】
2.4 結膜ブロット細胞学検査(CIC)
ドライアイのモデル群と正常対照群との杯細胞の密度の違いに統計学上の意義があった。投与後、薬投与群では杯細胞の密度が段々に増加してきて、投与前との違いに統計学上の意義があった(図5参照)。
【表7】
【表8】
【0070】
実例4 人間実験
より一歩に点眼液の治療効果を証明するために、本発明による0.1%TAT-N16ポリペプチド点眼液についてボランティアを募集して試験的投与をしている。
【0071】
ケース1:呉氏、女、70歳、ドライアイ、目のかゆみ、目の渋い、異物感及び羞明などの症状が3年を経てきて、ドライアイと診断され、常に人工涙液を利用しているが、短期間に和らげられるものに限られ、作用時間が短い。0.1%ポリペプチド点眼液を投与し、毎日3回、1回にあたり1~2滴で点眼するようにした。第1日に、ドライアイの症状が和らげられていて、効果が人工涙液の以上にあるそうであった。第2日、眼が濡れているという感じそうであり、ドライアイが軽減していて、羞明や目の渋いなどの刺激症状が顕著に和らげられているそうであった。第3日、眼が濡れていて、ドライアイや目のかゆみ及び異物感などの症状が顕著に軽減していた上、治療効果が速く、3点をさすと眼が快適に感じていて、薬による効果が長い期間に持続していて、1週間に投与してから、ドライアイで出てきた症状が大体になくなったものである。写真記録は図6(1)に示す。
【0072】
ケース2:黄氏、女、63歳、ドライアイ、目のかゆみ、風を見て涙を流す症状が1年あまりあり、結膜に少し充血していて、ドライアイと診断され、時々に人工涙液やレボフロキサシン点眼液を投与したことがあるが、治療効果が望ましくなく、症状が繰り返して出てきたそうである。0.1%ポリペプチド点眼液を投与し、毎日3回、1回にあたり1~2滴にした。第1日、ドライアイ及び目のかゆみの症状が顕著に和らげられていて、眼の快適感が強くなっていて、第2日、結膜充血がなくなっていて、眼が濡れていて、第4日、風を見て涙を流す症状が顕著に軽減していて、眼で快適に感じているそうであり、1週間に連続してから、結膜充血の症状がなくなっていて、ドライアイの症状が大体になくなっていた。写真記録は図6(2)に示す。
【0073】
ケース3:徐氏、男、35歳、IT従業者、ドライアイの病歴が1年あまりあり、ドライアイと診断された。人工涙液で短期間に和らげられたが、ドライアイが繰り返して出てきて、双結膜に充血していた。0.1%ポリペプチド点眼液を投与し、毎日3回、1回にあたり1~2滴という投与方法であった。投与してから5分程度に、眼が快適に感じていて、濡れていて、薬による効果が長期間に持続していたそうである。3日に投与してから、ドライアイの症状が顕著に和らげられていて、1週間に連続して投与してから、ドライアイの症状が大体になくなっていたそうである。投与を止めてからドライアイが繰り返して出てくるというフィードバックがなかった。患者様によると、効果が顕著であり、薬による効果が長期間に持続するということである。写真記録は図6(3)に示す。
【0074】
ケース4:卿氏、女、67歳、ドライアイ、異物感、羞明、2年の病歴があり、まぶた結膜に少し充血していて、ドライアイと診断され、点眼液(区分不明)を利用したことがあるが、効果が望ましくなく、室外で眼鏡が必要であるそうである。0.1%ポリペプチド点眼液を投与し、毎日3~5回、1回にあたり1~2滴という投与方法であった。点眼してから5分間に快適に感じていて、羞明刺激感が軽減していたそうである。1日後、結膜充血が軽減していて、室外で決まった期間に眼鏡をかけなくてもいいということそうであり、1週間に連続して投与してから、まぶた結膜の充血がなくなっていて、ドライアイや羞明の症状が大体になくなっていて、特殊な場所で快適に感じない以外の場合、室外で眼鏡をほとんどかけないそうである。写真記録は図6(4)に示す。
【0075】
本分野の技術者が容易に理解できるように、上記は本発明の望ましい実例に過ぎなく、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則に従うすべての修正や同等効果の切り替え及び改善などが本発明の特許保護の対象となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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