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特許7641471インバータ装置、モータモジュール及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】インバータ装置、モータモジュール及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20250228BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021029301
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022130231
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】天沼 翼
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅也
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217128(JP,A)
【文献】特開2017-139934(JP,A)
【文献】特開2016-220500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流を交流に変換するために少なくとも1つのスイッチング素子を有するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールに重なるように配置され、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路基板と、
前記駆動回路基板に重なるように配置され、前記駆動回路基板と電気的に接続され、前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路基板と、
前記駆動回路基板を覆うように、前記駆動回路基板と前記制御回路基板の間に配置され、前記駆動回路基板から発生する電磁波ノイズをシールドする遮蔽板と、
を備え、
前記パワーモジュールは、前記駆動回路基板及び前記遮蔽板に向かって垂直に突出する少なくとも2本の第1位置決めピンを有し、
前記駆動回路基板及び前記遮蔽板は、それぞれ、前記各第1位置決めピンとそれぞれ係合する少なくとも2つの貫通孔を有し、
前記駆動回路基板は、前記遮蔽板と対向する面上に、高背部品を有し、
前記遮蔽板は、前記高背部品を覆うように前記制御回路基板側に突出する絞り部を有することを特徴とするインバータ装置。
インバータ装置。
【請求項2】
前記高背部品が、トランスであることを特徴とする請求項に記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、前記制御回路基板に向かって垂直に突出する少なくとも2本の第2位置決めピンを有し、
前記制御回路基板は、前記各第2位置決めピンとそれぞれ係合する少なくとも2つの貫通孔を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記パワーモジュール、前記駆動回路基板、前記制御回路基板及び前記遮蔽板を収容する金属製のケースをさらに備え、
前記遮蔽板が、前記ケースに固定されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記遮蔽板と前記制御回路基板との間に配置され、前記遮蔽板と前記制御回路基板の間隔を規制するボス部材をさらに備え、
前記制御回路基板が、前記ボス部材を介して前記遮蔽板に固定されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項6】
前記駆動回路基板は、前記制御回路基板に向かって突出する第1コネクタを有し、
前記制御回路基板は、前記駆動回路基板に向かって突出し、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタを有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のインバータ装置を備えることを特徴とするモータモジュール。
【請求項8】
請求項のモータモジュールを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置、インバータ装置を備えるモータモジュール、及びモータモジュールを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両において、インバータ装置が使用されている。
インバータ装置は、複数のスイッチング素子(例えば、IGBT)がモジュール化されたパワーモジュールを備え、制御回路基板からの制御信号によってスイッチング素子をオン/オフすることで、車両に搭載されたバッテリからの直流電力を、モータを駆動する交流電力に変換して出力する。
このようなインバータ装置においては、パワーモジュールのスイッチング素子のスイッチング動作によって電磁波ノイズが発生する。そこで、かかる問題を解決するため、制御回路基板とパワーモジュールとの間に導電性のシールド板を設けて、パワーモジュールで発生する電磁波ノイズを遮蔽する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-250910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のインバータ装置は、パワーモジュールのスイッチング素子と制御回路基板との間にシールド板を設け、スイッチング素子と制御回路基板を別々の空間に配置することによって、パワーモジュールで発生する電磁波ノイズが制御回路基板に飛ばないように構成している。
しかしながら、特許文献1の構成では、スイッチング素子と制御回路基板が別々の空間に配置されるため、各空間に組立作業用のスペースが必要となり、装置が大型化する、といった問題がある。
また、スイッチング素子と制御回路基板とを電気的に接続する必要上、構造も複雑となり、組立作業性も悪い、といった問題もある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、パワーモジュールをシールドしつつも、構造が簡単で組立作業性のよいインバータ装置を提供することを目的とする。また、このようなインバータ装置を備えるモータモジュール、及びこのようなモータモジュールを備える車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインバータ装置の一つの態様は、直流を交流に変換するために少なくとも1つのスイッチング素子を有するパワーモジュールと、パワーモジュールに重なるように配置されスイッチング素子を駆動する駆動回路基板と、駆動回路基板に重なるように配置され駆動回路基板と電気的に接続され、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路基板と、駆動回路基板を覆うように駆動回路基板と制御回路基板の間に配置され、駆動回路基板から発生する電磁波ノイズをシールドする遮蔽板と、を備え、パワーモジュールは、駆動回路基板及び遮蔽板に向かって垂直に突出する少なくとも2本の第1位置決めピンを有し、駆動回路基板及び遮蔽板は、それぞれ、各第1位置決めピンとそれぞれ係合する少なくとも2つの貫通孔を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のモータモジュールの一つの態様は、上記インバータ装置を備えることを特徴とする。
また、本発明の車両の一つの態様は、上記モータモジュールを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パワーモジュールをシールドしつつも、構造が簡単で組立作業性のよいインバータ装置が実現される。また、このようなインバータ装置を備えるモータモジュール、及びこのようなモータモジュールを備える車両が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るインバータ装置が搭載されるモータモジュールを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るインバータ装置の構成を示す斜視図である。
図3図3は、図2のインバータ装置の分解斜視図である。
図4図4は、図2のインバータ装置20のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るインバータ装置が搭載されるモータモジュールを示す斜視図である。また、図2図4は、本発明の実施形態に係るインバータ装置の構成を示す図である。
なお、以下の説明では、モータモジュールが水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図1から図4においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータモジュールが搭載される車両の前後方向を示す。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示す。
また、本明細書において、所定の方向(または平面)に「沿って延びる(設けられる)」とは、厳密に所定の方向に延びる場合に加えて、厳密な方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0012】
図1に示すように、モータモジュール1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。すなわち、モータモジュール1は駆動装置である。
図1に示すように、モータモジュール1は、モータ10と、インバータ装置20と、ハウジング30と、インバータカバー40とを備える。また、モータモジュール1は、その他に、減速装置、差動装置、オイルポンプ(いずれも図示せず)等を備える。
【0013】
図1に示すように、モータ10は、ハウジング30内に形成されたモータ収納部(不図示)に収納される。モータ10は、水平方向に延びるモータ軸(軸)J2を中心として回転するロータ(不図示)と、ロータの径方向外側に位置するステータ(不図示)とを備える。
ロータは、図示略のバッテリからインバータ装置20を介してステータに交流電流が供給されることで、水平方向かつ車両の幅方向に延びるモータ軸J2を中心として回転する。なお、本実施形態では、モータ軸J2は、Y方向に平行である。
【0014】
インバータ装置20は、車両に搭載されたバッテリ(不図示)からの直流電力を、モータ10を駆動する交流電力に変換する装置である。インバータ装置20は、バッテリとモータ10に電気的に接続され、モータ10と同様、ハウジング30内に形成されたインバータ収納部(不図示)に収納される。インバータ収納部に収納されたインバータ装置20は、ハウジング30に取付けられたインバータカバー40によって覆われる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係るインバータ装置20の構成を示す斜視図である。図3は、図2のインバータ装置20の分解斜視図である。図4は、図2のインバータ装置20のA-A線断面図である。
【0016】
図2図4に示すように、本実施形態のインバータ装置20は、パワーモジュール100、ドライブ基板200(駆動回路基板)、遮蔽板300、制御基板400(制御回路基板)、ケース500を備える。インバータ装置20は、ケース500上に、パワーモジュール100、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400が、Z方向に順に重ね合わされて構成される。なお、図2図4においては、図面を見易くするために、一部の構成部品(例えば、ケース500、ボルト等)を適宜省略している。
【0017】
パワーモジュール100は、モータ10に供給される電力を制御するスイッチング素子であり、内部に少なくとも1つのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ(不図示))を有する。本実施形態のパワーモジュール100は、矩形板状の本体部101と、本体部101の縁部に沿って形成された複数(例えば、8個)の貫通孔102と、本体部101から+Z方向に円筒状に突出する複数(例えば、8個)のボス104と、本体部101から+Z方向に円筒状に突出する位置決めピン110、120(第1位置決めピン)と、を有する。
【0018】
ドライブ基板200は、パワーモジュール100に重なるように配置され、パワーモジュール100及び制御基板400と電気的に接続され、制御基板400からの信号に基づいてパワーモジュール100のスイッチング素子(IGBT)を駆動する電子回路である。ドライブ基板200は、矩形板状の回路基板201と、+Z方向に突出する(つまり、背の高い)3つの高背部品210、220、230と、コネクタ250(第1コネクタ)と、を有する。なお、本実施形態において、高背部品210、220、230は、電磁波ノイズの発生源であり、例えば、トランスである。また、回路基板201は、パワーモジュール100の位置決めピン110、120が係合する貫通孔206、208を有する。
【0019】
遮蔽板300は、ドライブ基板200を覆うように、ドライブ基板200と制御基板400の間に配置され、ドライブ基板200で発生する電磁波をシールドする、矩形板状の金属(例えば、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板))製の部材である。遮蔽板300は、遮蔽板300をケース500に固定するために四隅に形成された貫通孔302と、遮蔽板300から+Z方向に円筒状に突出する複数(例えば、6個)のボス304(ボス部材)と、遮蔽板300から+Z方向に円筒状に突出する位置決めピン310、320(第2位置決めピン)と、高背部品210、220、230と対向する位置に形成され、+Z方向に突出する(凹む)絞り部330、340と、パワーモジュール100の位置決めピン110、120と係合する貫通孔306、308と、ドライブ基板200のコネクタ250が露出するように設けられた、U字状の切欠部350と、を有する。
【0020】
制御基板400は、ドライブ基板200及び車両制御装置(不図示)と電気的に接続され、車両制御装置からの信号に従ってドライブ基板200に制御信号(スイッチング素子(IGBT)のオン/オフを制御する信号)を送信する電子回路である。制御基板400は、矩形板状の回路基板401と、ボス304に対応する位置に形成された6個の貫通孔402と、遮蔽板300の位置決めピン310、320と係合する貫通孔406、408と、複数の搭載部品(不図示)と、を有する。また、制御基板400の裏面(遮蔽板300と対向する面)には、ドライブ基板200のコネクタ250と嵌合するコネクタ450(第2コネクタ)が配置されている(図4)。コネクタ250とコネクタ450は、いわゆるBtoB(Board to Board)コネクタである。
【0021】
ケース500は、パワーモジュール100、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400を収容する、例えば、升形の金属(例えば、アルミダイキャスト)製の部材である。後述するように、パワーモジュール100がケース500の底面に取付けられ、その上に、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400が順に取付けられる。また、ケース500内には、遮蔽板300を固定するための突出部510が形成されている(図4)。なお、ケース500は、モータモジュール1のハウジング30内に形成されたインバータ収納部内で固定される。
【0022】
(インバータ装置20の組立工程)
次に、図3及び図4を参照しながらインバータ装置20の組立工程を説明する。インバータ装置20を組立てるにあたっては、まずケース500の底面の所定位置にパワーモジュール100を配置し、各貫通孔102にボルト(不図示)を挿通してケース500の底面に形成されたネジ穴(不図示)に螺合することによってパワーモジュール100をケース500(図4)内に固定する。
【0023】
次いで、パワーモジュール100の上にドライブ基板200を取付ける。パワーモジュール100のボス104は、ドライブ基板200をZ方向に支持する部材である。ドライブ基板200がパワーモジュール100の上に取付けられると、ボス104の先端面がドライブ基板200の裏面(パワーモジュール100と対向する面)と接触するようになっている。つまり、ボス104によって、ドライブ基板200のZ方向の移動が規制されて位置決めされる。
また、ドライブ基板200がパワーモジュール100の上に取付けられると、位置決めピン110がドライブ基板200の貫通孔206に挿通され、位置決めピン120がドライブ基板200の貫通孔208に挿通されるようになっている。従って、ドライブ基板200がパワーモジュール100の上に取付けられると、ドライブ基板200は、位置決めピン110、120によってX方向及びY方向の移動が規制されて、パワーモジュール100に対して相対的に位置決めされる。
【0024】
次いで、ドライブ基板200の上に遮蔽板300を取付ける。パワーモジュール100から延びる位置決めピン110、120は、ドライブ基板200の貫通孔206、208を通って上方(+Z方向)に延びており、遮蔽板300がドライブ基板200の上に取付けられると、位置決めピン110が遮蔽板300の貫通孔306に挿通され、位置決めピン120が遮蔽板300の貫通孔308に挿通されるようになっている。従って、遮蔽板300がドライブ基板200の上に取付けられると、遮蔽板300は、位置決めピン110、120によってX方向及びY方向の移動が規制されて、パワーモジュール100及びドライブ基板200に対して相対的に位置決めされる。
また、遮蔽板300をドライブ基板200の上に取付けると、遮蔽板300の貫通孔302がケース500の突出部510上に位置するようになっており、各貫通孔302にボルト(不図示)を挿通して突出部510に形成されたネジ穴(不図示)に螺合することによって遮蔽板300を突出部510に固定する。遮蔽板300が突出部510に固定されることによって、遮蔽板300のZ方向の移動も規制されて位置決めされる。
【0025】
図4に示すように、遮蔽板300がドライブ基板200の上に取付けられると、ドライブ基板200の高背部品210の上端部が遮蔽板300の絞り部330内に収まり、高背部品220、230の上端部が遮蔽板300の絞り部340内に収まるようになっている。このように、本実施形態においては、電磁波ノイズの発生源である高背部品210、220、230が遮蔽板300の絞り部330、340に収まり、ドライブ基板200と遮蔽板300とが近接して配置される。従って、ドライブ基板200で発生する電磁波ノイズが遮蔽板300によって好適に反射される(つまり、遮蔽される)。
なお、遮蔽板300は、ケース500を介してモータモジュール1のハウジング30に固定されるため、遮蔽板300は車両のボディアースに電気的に接続されることとなる。
【0026】
次いで、遮蔽板300の上に制御基板400を取付ける。制御基板400が遮蔽板300の上に取付けられると、遮蔽板300の位置決めピン310が制御基板400の貫通孔406に挿通され、位置決めピン320が制御基板400の貫通孔408に挿通されるようになっている。従って、制御基板400が遮蔽板300の上に取付けられると、制御基板400は、位置決めピン310、320によってX方向及びY方向の移動が規制されて、遮蔽板300に対して相対的に位置決めされる。
また、遮蔽板300のボス304は、制御基板400をZ方向に支持すると共に、遮蔽板300と制御基板400の間隔を規制する部材である。制御基板400が遮蔽板300の上に取付けられると、ボス304の先端面が制御基板400の裏面(遮蔽板300と対向する面)と接触し、各貫通孔402が各ボス304に形成されたネジ穴に位置するようになっている。各貫通孔402にボルト(不図示)を挿通して各ボス304のネジ穴に螺合することによって制御基板400が遮蔽板300上に固定される。つまり、ボス304によって、制御基板400のZ方向の移動も規制されて位置決めされる。
また、図4に示すように、制御基板400が遮蔽板300の上に取付けられると、制御基板400の裏面(遮蔽板300と対向する面)に配置されたコネクタ450が、遮蔽板300の切欠部350を通って、ドライブ基板200のコネクタ250と嵌合し、制御基板400とドライブ基板200が電気的に接続される。
【0027】
このように、本実施形態のインバータ装置20は、ケース500上に、パワーモジュール100、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400を、Z方向に順に積み重ねることによって組立てられる。かかる組立工程において、ドライブ基板200及び遮蔽板300は、パワーモジュール100に形成された位置決めピン110、120によって位置決めされ、制御基板400は、遮蔽板300に形成された位置決めピン310、320によって位置決めされるため、組立作業は極めて容易なものとなる。
また、本実施形態の構成によれば、ドライブ基板200と制御基板400の位置関係が正確に定まるため、コネクタ250とコネクタ450の嵌合も容易に行うことができ、またコネクタ250とコネクタ450に外的なストレスが加わることもない。
また、本実施形態の構成によれば、ドライブ基板200と遮蔽板300の位置関係が正確に定まるため、ドライブ基板200に対して遮蔽板300を近接して配置することが可能となり、ドライブ基板200で発生する電磁波ノイズの放射(伝搬)を抑制することができる。
【0028】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0029】
例えば、本実施形態のインバータ装置20は、ケース500上に、パワーモジュール100、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400が取付けられるものとして説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、ケース500に代えて、パワーモジュール100、ドライブ基板200、遮蔽板300、制御基板400をモータモジュール1のハウジング30内のインバータ収納部に直接取付けることもできる。
【0030】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0031】
1 :モータモジュール
10 :モータ
20 :インバータ装置
30 :ハウジング
40 :インバータカバー
100 :パワーモジュール
101 :本体部
102 :貫通孔
104 :ボス
110 :位置決めピン
120 :位置決めピン
200 :ドライブ基板
201 :回路基板
206 :貫通孔
208 :貫通孔
210 :高背部品
220 :高背部品
230 :高背部品
250 :コネクタ
300 :遮蔽板
302 :貫通孔
304 :ボス
306 :貫通孔
308 :貫通孔
310 :位置決めピン
320 :位置決めピン
330 :絞り部
340 :絞り部
350 :切欠部
400 :制御基板
401 :回路基板
402 :貫通孔
406 :貫通孔
408 :貫通孔
450 :コネクタ
500 :ケース
510 :突出部
J2 :モータ軸
図1
図2
図3
図4