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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20250228BHJP
   A01F 12/48 20060101ALI20250228BHJP
   A01B 69/06 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A01D41/12 A
A01F12/48 A
A01B69/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023182634
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-91259(JP,A)
【文献】特開2020-182388(JP,A)
【文献】特開2017-6088(JP,A)
【文献】特開2020-191845(JP,A)
【文献】特開2022-2503(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082308(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01F 12/42-12/54
A01B 69/00-69/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の前側に穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後側に穀稈を脱穀選別する脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(4)の前部に、前記機体フレーム(1)から上方に延在する左右一対の縦フレーム(30L,30R)を設け、
該縦フレーム(30L,30R)の前面に、前記エンジン(E)の出力回転が伝動される左右方向に延在するカウンタ軸(31)を回転自在に固定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を、前記カウンタ軸(31)に支持された第1プーリ(31E)を介して脱穀装置(4)の選別風を送風する唐箕(25)に伝動する請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈取前処理装置(3)を、穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置(3A)と、穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)で形成し、
前記カウンタ軸(31)の上方に、前記フィーダハウス(3D)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第1駆動軸(34)を設けた請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
側面視において、前記カウンタ軸(31)を、前記第1駆動軸(34)よりも後側で、前記縦フレーム(30L,30R)よりも前側に配置した請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第1駆動軸(34)の上方に、前記脱穀装置(4)の扱胴(11)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第2駆動軸(40)を設けた請求項3記載のコンバイン。
【請求項6】
側面視において、前記カウンタ軸(31)を、前記第1駆動軸(34)よりも後側で、前記第2駆動軸(40)よりも後側に配置した請求項5記載のコンバイン。
【請求項7】
前記第2駆動軸(40)に伝動された出力回転を第2プーリ(40B)と刈取クラッチ(64)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、
前記カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を第3プーリ(31D)と刈取逆転クラッチ(65)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、
前記刈取クラッチ(64)の接続時には、前記刈取逆転クラッチ(65)の接続を解除して、前記刈取クラッチ(64)の接続の解除時には、前記刈取逆転クラッチ(65)を接続する請求項6記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインのエンジンの出力回転が伝動されるカウンタ軸を備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの出力回転が伝動されるカウンタ軸を脱穀装置の左右壁を貫通して設け、カウンタ軸に選別風を送風する唐箕を支持する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-91259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、唐箕等の振動によりカウンタ軸の軸心が変位して、カウンタ軸が回転不良になる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、カウンタ軸の軸心の変位を防止して、カウンタ軸の良好な回転を維持することができるコンバインを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の前側に穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後側に穀稈を脱穀選別する脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(4)の前部に、前記機体フレーム(1)から上方に延在する左右一対の縦フレーム(30L,30R)を設け、該縦フレーム(30L,30R)の前面に、前記エンジン(E)の出力回転が伝動される左右方向に延在するカウンタ軸(31)を回転自在に固定したことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を、前記カウンタ軸(31)に支持された第1プーリ(31E)を介して脱穀装置(4)の選別風を送風する唐箕(25)に伝動する請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記刈取前処理装置(3)を、穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置(3A)と、穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)で形成し、前記カウンタ軸(31)の上方に、前記フィーダハウス(3D)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第1駆動軸(34)を設けた請求項1又は2記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、側面視において、前記カウンタ軸(31)を、前記第1駆動軸(34)よりも後側で、前記縦フレーム(30L,30R)よりも前側に配置した請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記第1駆動軸(34)の上方に、前記脱穀装置(4)の扱胴(11)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第2駆動軸(40)を設けた請求項3記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、側面視において、前記カウンタ軸(31)を、前記第1駆動軸(34)よりも後側で、前記第2駆動軸(40)よりも後側に配置した請求項5記載のコンバインである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記第2駆動軸(40)に伝動された出力回転を第2プーリ(40B)と刈取クラッチ(64)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、前記カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を第3プーリ(31D)と刈取逆転クラッチ(65)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、前記刈取クラッチ(64)の接続時には、前記刈取逆転クラッチ(65)の接続を解除して、前記刈取クラッチ(64)の接続の解除時には、前記刈取逆転クラッチ(65)を接続する請求項6記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、脱穀装置(4)の前部に、機体フレーム(1)から上方に延在する左右一対の縦フレーム(30L,30R)を設け、縦フレーム(30L,30R)の前面に、エンジン(E)の出力回転が伝動される左右方向に延在するカウンタ軸(31)を回転自在に固定したので、縦フレーム(30L,30R)にカウンタ軸(31)を強固に固定してカウンタ軸(31)の両端部が上下方向等に変位するのを防止すことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を、カウンタ軸(31)に支持された第1プーリ(31E)を介して脱穀装置(4)の選別風を送風する唐箕(25)に伝動するので、カウンタ軸(31)に唐箕(25)で発生する振動が伝わるのを抑制することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、刈取前処理装置(3)を、穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置(3A)と、穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)で形成し、カウンタ軸(31)の上方に、フィーダハウス(3D)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第1駆動軸(34)を設けたので、縦フレーム(30L,30R)の剛性が高まり縦フレーム(30L,30R)の変形を防止することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、側面視において、カウンタ軸(31)を、第1駆動軸(34)よりも後側で、縦フレーム(30L,30R)よりも前側に配置したので、出力回転を伝動するベルトの配策を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、第1駆動軸(34)の上方に、脱穀装置(4)の扱胴(11)に出力回転を伝動する左右方向に延在する第2駆動軸(40)を設けたので、縦フレーム(30L,30R)の剛性がより高まり縦フレーム(30L,30R)の変形をより防止することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、側面視において、カウンタ軸(31)を、第1駆動軸(34)よりも後側で、第2駆動軸(40)よりも後側に配置したので、出力回転を伝動するベルトの配策をより容易に行うことができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明による効果に加えて、第2駆動軸(40)に伝動された出力回転を第2プーリ(40B)と刈取クラッチ(64)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、カウンタ軸(31)に伝動された出力回転を第3プーリ(31D)と刈取逆転クラッチ(65)を介して第1駆動軸(34)に伝動し、刈取クラッチ(64)の接続時には、刈取逆転クラッチ(65)の接続を解除して、刈取クラッチ(64)の接続の解除時には、刈取逆転クラッチ(65)を接続するので、カウンタ軸(31)に加わるねじりモーメントを小さくしてカウンタ軸(31)に発生するねじれ角を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインの正面図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】コンバインの平面図である。
図4】脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
図5】前方左側から視たフィーダハウスと脱穀装置の斜視図である。
図6】前方右側から視たフィーダハウスと脱穀装置の斜視図である。
図7】フィーダハウスと脱穀装置の左側面図である。
図8】フィーダハウスと脱穀装置の右側面図である。
図9】フィーダハウスと脱穀装置の正面図である。
図10】前方左側から視た脱穀装置の斜視図である。
図11】脱穀装置の左側面図である。
図12】脱穀装置の右側面図である。
図13】脱穀装置の正面図である。
図14】エンジンの出力回転の伝動図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側にエンジンEを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0023】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0024】
図4に示すように、脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
【0025】
扱室10の前後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。また、扱胴11の上部は、開閉可能な扱胴カバー13で覆われており、扱胴カバー13の内周部には、穀稈を扱室10の後部に案内する送塵板が設けられている。なお、扱胴11は、前後方向に延在するロータ軸14に支持されている。
【0026】
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。揺動選別装置21の下部には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕25と、唐箕25の後方に選別風の送風方向を変更する風割26と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋27と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒や稈切れ等を揺動選別装置21の前部の選別棚に再搬送する2番螺旋28が設けられている。
【0027】
図5,6に示すように、脱穀装置4の前部の両側部には、機体フレーム1から上方向に延在する縦フレーム30L,30Rが設けられている。なお、図9に示すように、縦フレーム30Lはフィーダハウス3Dの左壁よりも左側に設けられ、縦フレーム30Rはフィーダハウス3Dの右壁よりも右側に設けられている。また、図10に示すように、フィーダハウス3Dで搬送されてくる穀稈を受け入れる入口漏斗50は、フィーダハウス3Dの後部の後方で縦フレーム30L,30Rの間に設けられている。
【0028】
縦フレーム30L,30Rの前面には、エンジンEの出力回転を揺動選別装置21等に伝動する左右方向に延在するカウンタ軸31を回転自在に内装する円筒32が支持部材33を介して設けられている。
【0029】
カウンタ軸31の上方には、エンジンEの出力回転を搬送装置3A等に伝動する左右方向に延在するフィーダハウス3Dに内装されているエレベータを駆動するエレベータ駆動軸(請求項の「第1駆動軸」)34を回転自在に内装する円筒35が支持部材36を介して設けられている。刈取前処理装置3の昇降回動支点であってフィーダハウス3Dの昇降回動支点は、エレベータ駆動軸34と同軸芯であり支持部材36に形成されているので、コンパクトな構成となっている。
【0030】
また、縦フレーム30Lの前面におけるエレベータ駆動軸34をよりも上側には、刈取前処理装置3の駆動方向を逆転駆動する刈取逆転駆動軸37を回転自在に内装する円筒38が支持部材39を介して設けられている。
【0031】
縦フレーム30Rの前面には、エンジンEの出力回転を扱胴11に伝動する縦フレーム30Rから右方向に延在する扱胴駆動軸(請求項の「第2駆動軸」)40を回転自在に内装する円筒41が支持部材42を介して設けられている。
【0032】
これにより、エンジンEの出力回転を伝動するベルトの配策が容易に行うことができる。また、カウンタ軸31を内装する円筒32やエレベータ駆動軸34を内装する円筒35は、縦フレーム30Lと縦フレーム30Rを連結し、縦フレーム30Lと縦フレーム30Rの強度を増加させる強度メンバーを兼ねている。これにより、縦フレーム30L,30Rの剛性が高まり変形等を防止することができる。
【0033】
図7~9に示すように、上下方向において、カウンタ軸31は、唐箕25の唐箕軸25Aよりも上側で、エレベータ駆動軸34や扱胴駆動軸40よりも下側に設けられ、前後方向において、カウンタ軸31は、唐箕25の唐箕軸25Aよりも前側で、エレベータ駆動軸34や扱胴駆動軸40よりも後側に設けられている。これにより、エンジンEの出力回転を伝動するベルトの配策がより容易に行うことができる。特に、エレベータ駆動軸34や扱胴駆動軸40は縦フレーム30Lと縦フレーム30Rから前方に離れる方向に配置されることで所定の隙間が発生するので、ベルト等の保守管理が行い易くなる。
【0034】
また、上下方向において、カウンタ軸31は、ロータ軸14や入口漏斗50よりも下側に設けられ、前後方向において、カウンタ軸31は、エレベータ駆動軸34の後側でロータ軸14の前端部14Fや入口漏斗50の前端部50Fよりも前側に設けられている。これにより、縦フレーム30L,30Rにカウンタ軸31を近接して設けることができ、縦フレーム30L,30Rの剛性がより高まり変形等をより防止することができる。
【0035】
フィーダハウス3Dの上壁には、エレベータで搬送される穀稈に付着した塵埃を外部に排出するファンを内装した塵埃ボックス51が設けられている。
【0036】
図10~13に示すように、扱胴駆動軸40の左部は、扱胴駆動軸40の出力回転をロータ軸14に伝動するベベルギヤ等を内装した中継ボックス52の入力軸に連結されている。
【0037】
唐箕25の上下部と前部を覆う唐箕カバー53の前部は、縦フレーム30L,30Rの後面に近接して設けられている。これにより、選別室20を前後方向で長くすることができ、唐箕25から揺動選別装置21に向かって選別風を効率良く送風することができる。なお、図11の縦フレーム30Lの後面と唐箕カバー53の前部は離間しているが、縦フレーム30Lの後面と唐箕カバー53の前部を連結することもできる。
【0038】
2番螺旋軸28Aの後方後側には、揺動選別装置21の揺動選別駆動軸21Aが設けられ、1番螺旋27の右部には、穀粒をグレンタンク7に揚穀する1番揚穀筒54が設けられ、2番螺旋28の右部には、枝梗等が付着した穀粒や稈切れ等の2番物を揺動選別装置21に再搬送する2番揚穀筒55が設けられている。なお、図12,13には、1番揚穀筒54の下部のみが図示されている。
【0039】
図14に示すように、エンジンEの出力回転は、伝動経路の下流側に設けられた油圧式の無段変速装置(HST)60とトランスミッション61を介して走行装置2に伝動される。
【0040】
エンジンEの出力回転は、伝動経路の下流側に設けられた脱穀クラッチ63やプーリ31Aを介してカウンタ軸31に伝動される。カウンタ軸31に伝動された出力回転は、プーリ31Bやプーリ40Aを介して扱胴駆動軸40に伝動される。扱胴駆動軸40に伝動された出力回転は、中継ボックス52を介してロータ軸14に伝動されて扱胴11を回動させる。
【0041】
扱胴駆動軸40に伝動された出力回転は、プーリ(請求項の「第2プーリ」)40Bや刈取クラッチ64を介してエレベータ駆動軸34に伝動されてフィーダハウス3D等の刈取前処理装置3を駆動する。刈取前処理装置3の正転駆動はカウンタ軸31から出力されていない。これにより、カウンタ軸31に加わるねじりモーメントを小さくしてカウンタ軸31に発生するねじれ角を抑制することができる。
【0042】
カウンタ軸31に伝動された出力回転は、プーリ(請求項の「第3プーリ」)31Dや刈取逆転クラッチ65を介してエレベータ駆動軸34に伝動されてフィーダハウス3D等の刈取前処理装置3を通常の駆動方向とは逆さの逆転方向に駆動する。これにより、刈取前処理装置3、特にフィーダハウス3D内に穀稈が詰まった場合には、刈取クラッチ64の接続を解除して、刈取逆転クラッチ65を接続してエレベータ等を逆方向に駆動してフィーダハウス3D内に詰まった穀稈を取除くことができる。
【0043】
カウンタ軸31に伝動された出力回転は、プーリ(請求項の「第1プーリ」)31Eを介して唐箕25に伝動されて唐箕25を駆動し、プーリ31Cを介して1番螺旋27や2番螺旋28、揺動選別装置21に伝動されて1番螺旋27や2番螺旋28、揺動選別装置21を駆動する。カウンタ軸31から一旦ベルトを介して唐箕25、1番螺旋27や2番螺旋28を駆動する構成としているので、これにより、揺動選別装置21等に発生する振動がカウンタ軸31に伝播されるのを抑制することができる。
【0044】
エンジンEの出力回転は、伝動経路の下流側に設けられたオーガクラッチ67を介して排出オーガ8に伝動されて排出オーガ8を駆動する。
【符号の説明】
【0045】
1 機体フレーム
3 刈取前処理装置
3A 搬送装置
3B 刈刃装置
3C オーガ装置
3D フィーダハウス
4 脱穀装置
11 扱胴
25 唐箕
30L 縦フレーム
30R 縦フレーム
31 カウンタ軸
31D プーリ(第3プーリ)
31E プーリ(第1プーリ)
34 エレベータ駆動軸(第1駆動軸)
40 扱胴駆動軸(第2駆動軸)
40B プーリ(第2プーリ)
E エンジン
【要約】
【課題】カウンタ軸の軸心の変位を防止して、カウンタ軸の良好な回転を維持することができるコンバインを提案する。
【解決手段】エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の前側に穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、刈取前処理装置(3)の後側に穀稈を脱穀選別する脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、脱穀装置(4)の前部に、機体フレーム(1)から上方に延在する左右一対の縦フレーム(30L,30R)を設け、縦フレーム(30L,30R)の前面に、エンジン(E)の出力回転が伝動される左右方向に延在するカウンタ軸(31)を回転自在に固定した。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14