(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】マンコンベヤ手摺ベルト及びマンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 23/24 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
B66B23/24 A
(21)【出願番号】P 2024080756
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】玉置 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
(72)【発明者】
【氏名】西岡 恵
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-050074(JP,U)
【文献】特開2014-065604(JP,A)
【文献】特開2017-137166(JP,A)
【文献】特開2009-161326(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0044096(KR,A)
【文献】実開昭60-133881(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転して走行する環状のマンコンベヤ手摺ベルトにおいて、
横方向の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部
と、
前記一対の折返部間に配置され、直線状に延びる直線部と、を備え、
前記マンコンベヤ手摺ベルトの外周面は、少なくとも前記折返部において、幅方向視で凹凸状であ
り、
前記折返部における前記外周面の面粗さは、前記直線部における前記外周面の面粗さよりも、大きくなる、マンコンベヤ手摺ベルト。
【請求項2】
前記外周面を含み且つ弾性を有する表層部と、
前記表層部の内部に埋められる剛体と、を備える、請求項
1に記載のマンコンベヤ手摺ベルト。
【請求項3】
前記表層部の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部を備え、
前記内層部の硬度は、前記表層部の硬度よりも、大きい、請求項
2に記載のマンコンベヤ手摺ベルト。
【請求項4】
前記表層部の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部を備え、
前記剛体は、前記内層部にも埋められ、
前記内層部における前記剛体の密度は、前記表層部における前記剛体の密度よりも、大きい、請求項
2に記載のマンコンベヤ手摺ベルト。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか1つのマンコンベヤ手摺ベルトを備える、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マンコンベヤ手摺ベルト及びマンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤ手摺ベルトは、横方向の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部を備えている。そして、マンコンベヤ手摺ベルトの外周面は、平坦状に形成されている(例えば、特許文献1)。これにより、例えば、手や荷物等が手摺ベルトの外周面と接触する面積は、大きくなり過ぎる場合がある。そこで、少なくとも折返部において、手摺ベルトの外周面と接触する面積を大きくなり過ぎないようにしたい、という要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、少なくとも折返部において、外周面と接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができるマンコンベヤ手摺ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]
マンコンベヤ手摺ベルトは、
回転して走行する環状のマンコンベヤ手摺ベルトにおいて、
横方向の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部を備え、
外周面は、少なくとも前記折返部において、幅方向視で凹凸状である。
【0006】
[2]
上記[1]のマンコンベヤ手摺ベルトは、
前記一対の折返部間に配置され、直線状に延びる直線部を備え、
前記折返部における前記外周面の面粗さは、前記直線部における前記外周面の面粗さよりも、大きくなる、
という構成でもよい。
【0007】
[3]
上記[2]のマンコンベヤ手摺ベルトは、
前記外周面を含み且つ弾性を有する表層部と、
前記表層部の内部に埋められる剛体と、を備える、
という構成でもよい。
【0008】
[4]
上記[3]のマンコンベヤ手摺ベルトは、
前記表層部の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部を備え、
前記内層部の硬度は、前記表層部の硬度よりも、大きい、
という構成でもよい。
【0009】
[5]
上記[3]又は[4]のマンコンベヤ手摺ベルトは、
前記表層部の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部を備え、
前記剛体は、前記内層部にも埋められ、
前記内層部における前記剛体の密度は、前記表層部における前記剛体の密度よりも、大きい、
という構成でもよい。
【0010】
[6]
マンコンベヤは、
上記[1]~[5]の何れか1つのマンコンベヤ手摺ベルトを備える、
という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】他の実施形態に係る手摺ベルトの直線部及び折返部における要部縦断面図
【
図7】さらに他の実施形態に係る手摺ベルトの直線部及び折返部における要部縦断面図
【
図8】さらに他の実施形態に係る手摺ベルトの直線部における要部縦断面図
【
図9】さらに他の実施形態に係る手摺ベルトの直線部における要部縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0013】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0014】
以下、マンコンベヤ及びマンコンベヤ手摺ベルトにおける一実施形態について、
図1~
図5を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベヤ及びマンコンベヤ手摺ベルトの構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤ及びマンコンベヤ手摺ベルトの構成を限定するものではない。
【0015】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人(乗客)を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理部6とを備えていてもよい。
【0016】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0017】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0018】
構造体2は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2のそれぞれの端部に配置される機械室2aを備えていてもよい。また、構造体2は、例えば、複数の枠材で構成されるトラス構造又はケタ構造としてもよい。
【0019】
マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、機械室2aを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート7を備えていてもよい。これにより、床プレート7は、搬送部3に乗り降りするために、搬送部3の第2横方向D2の各端部に配置される乗降部1aを構成している。
【0020】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって回転して走行する無端環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0021】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0022】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、走行部3aの第2横方向D2の第1端部が巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する回転部5aと、走行部3aの第2横方向D2の第2端部が巻き掛けられる巻掛部5bと、回転部5aを回転させる駆動源5cと、回転部5aの回転を制動する制動部5dとを備えていてもよい。これにより、ステップ3bは、回転部5aによって反転し、また、巻掛部5bによって反転する。
【0023】
特に限定されないが、回転部5aは、例えば、スプロケットとしてもよい。また、特に限定されないが、巻掛部5bは、例えば、走行部3aを反転するようにガイドするガイド材であってもよく、また、例えば、走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する回転材(例えば、スプロケット)であってもよい。また、特に限定されないが、駆動源5cは、例えば、モータ及びインバータとしてもよい。また、特に限定されないが、制動部5dは、例えば、ブレーキとしてもよい。
【0024】
欄干部4は、回転して走行する無端環状のマンコンベヤ手摺ベルト(以下、単に「手摺ベルト」ともいう)10を備えている。また、欄干部4は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト10を支持する欄干本体部4aと、欄干本体部4aの下部を覆うカバー部4bとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト10が駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト10の走行は、ステップ3bの走行と同期してもよい。
【0025】
手摺ベルト10は、第2横方向D2の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部10a,10aと、一対の折返部10a,10a間に配置され、直線状に延びる直線部10bとを備えている。また、手摺ベルト10は、例えば、本実施形態のように、直線部10b,10b間に配置され、曲線状に延びる曲線部10cを備えていてもよい。
【0026】
図2に示すように、カバー部4bは、第2横方向D2の端部に、手摺ベルト10が出入りする出入口部4cを備えていてもよい。そして、手摺ベルト10は、例えば、本実施形態のように、折返部10aで、出入口部4cを出入りするように、配置されていてもよい。
【0027】
図2及び
図3に示すように、欄干本体部4aは、例えば、手摺ベルト10を案内するベルト案内部4dと、ベルト案内部4dを支持する案内支持部4eとを備えていてもよい。特に限定されないが、案内支持部4eは、例えば、本実施形態のように、パネル(例えば、ガラスパネル)で構成されていてもよい。
【0028】
図3示すように、手摺ベルト10は、例えば、第1横方向D1の中央部に配置される板状のベルト本体部11と、第1横方向D1の端部に配置され、ベルト案内部4dと係合するベルト係合部12とを備えていてもよい。そして、ベルト案内部4dは、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト10と対面する上部が開放される案内本体部4fと、案内本体部4fから第1横方向D1へ突出してベルト係合部12と係合する案内係合部4gとを備えていてもよい。
【0029】
そして、ベルト係合部12と案内係合部4gとが係合することによって、例えば、手摺ベルト10がベルト案内部4dから離脱しないようにベルト案内部4dに装着され、また、例えば、手摺ベルト10がベルト案内部4dにスライドして案内される。なお、ベルト係合部12は、例えば、本実施形態のように、ベルト本体部11から第1横方向D1へ延びて折り返すように、形成されていてもよい。
【0030】
手摺ベルト10は、手摺ベルト10の外周面10dを含み且つ弾性を有する表層部13と、表層部13の内周に連接され且つ弾性を有する内層部14と、表層部13の内部に埋められる複数の剛体15とを備えている。なお、
図3(
図4及び
図8~
図9も同様)において、剛体15は、ベルト本体部11のみに図示しているが、例えば、ベルト係合部12にも備えられていてもよい。
【0031】
また、手摺ベルト10は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト10の内周面10eを含む裏層部16を備えていてもよい。裏層部16は、特に限定されないが、例えば、帆布(例えば、ポリエステル帆布)で形成されていてもよい。
【0032】
表層部13は、特に限定されないが、例えば、樹脂(例えば、ポリウレタン)で形成されていてもよい。また、内層部14は、特に限定されないが、例えば、樹脂(例えば、ポリウレタン)で形成されていてもよい。なお、内層部14の内部には、例えば、補強材(例えば、スチールコード)が埋められていてもよい。
【0033】
そして、内層部14の硬度は、表層部13の硬度よりも、大きくなっている。なお、硬度は、例えば、JISK6253-3に規定されている方法に準じて、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)により室温(25℃)で測定した硬度である。
【0034】
剛体15は、特に限定されないが、例えば、ガラス、金属、硬質樹脂で形成されていてもよい。また、剛体15は、例えば、本実施形態のように、球状に形成されていてもよく、また、例えば、円柱状に形成されていてもよい。なお、剛体15の硬度は、表層部13及び内層部14の硬度よりも、大きい。
【0035】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る手摺ベルト10の作用について説明する。なお、以下の作用は、手摺ベルト10の作用等の理解を助けるために例示するものであり、手摺ベルト10の作用を限定するものではない。
【0036】
図3及び
図5に示すように、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、平坦状となっている。具体的には、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、
図3に示すように、手摺ベルト10の走行方向(第2横方向)D2視で、平坦状であり、且つ、
図5に示すように、手摺ベルト10の幅方向(第1横方向)D1視で、平坦状である。
【0037】
これにより、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積を大きくすることができる。したがって、例えば、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dとの間に発生する摩擦力を大きくすることができるため、例えば、手摺ベルト10を確実に掴み続けることができる。
【0038】
一方で、
図4及び
図5に示すように、折返部10aにおいては、表層部13が伸びることによって、剛体15は、表層部13から浮き出ることになる。ここで、内層部14の硬度が、表層部13の硬度よりも大きいため、内層部14が剛体15の沈み込みを止めるため、表層部13から剛体15を確実に浮き出させることができる。
【0039】
これにより、折返部10aにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さ(例えば、ISO25178に規定された算術平均高さ)は、直線部10bにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さよりも、大きくなる。したがって、折返部10aにおける手摺ベルト10の外周面10dの凹凸度は、直線部10bにおける手摺ベルト10の外周面10dの凹凸度よりも、大きくなる。
【0040】
このように、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、凹凸状になる。具体的には、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、
図4に示すように、手摺ベルト10の走行方向(周方向)視で、凹凸状になり、且つ、
図5に示すように、手摺ベルト10の幅方向(第1横方向)D1視で、凹凸状になる。
【0041】
これにより、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができる。したがって、例えば、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dとの間に発生する摩擦力が大きくなり過ぎることを抑制することができる。
【0042】
その結果、例えば、折返部10aにおいて、手摺ベルト10に引き込まれることを抑制することができる。そして、例えば、本実施形態においては、
図2に示すように、手摺ベルト10が折返部10aで出入口部4cを出入りしているため、例えば、出入口部4cに引き込まれることを抑制することができたり、また、例えば、出入口部4cに引き込まれる力を小さくすることができたりする。
【0043】
以上より、マンコンベヤ手摺ベルト10は、本実施形態のように、
回転して走行する環状のマンコンベヤ手摺ベルト10において、
横方向D2の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部10a,10aを備え、
外周面10dは、少なくとも前記折返部10aにおいて、幅方向D1視で凹凸状である、
という構成が好ましい。
【0044】
斯かる構成によれば、手摺ベルト10の外周面10dは、少なくとも折返部10aにおいて、幅方向D1視で凹凸状である。これにより、少なくとも折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができる。
【0045】
また、マンコンベヤ手摺ベルト10は、本実施形態のように、
前記一対の折返部10a,10a間に配置され、直線状に延びる直線部10bを備え、
前記折返部10aにおける前記外周面10dの面粗さは、前記直線部10bにおける前記外周面10dの面粗さよりも、大きくなる、
という構成が好ましい。
【0046】
斯かる構成によれば、折返部10aにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さよりも、大きくなっている。これにより、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができ、しかも、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積を大きくすることができる。
【0047】
また、マンコンベヤ手摺ベルト10は、本実施形態のように、
前記外周面10dを含み且つ弾性を有する表層部13と、
前記表層部13の内部に埋められる剛体15と、を備える、
という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、剛体15は、弾性を有する表層部13の内部に埋められている。これにより、表層部13が折返部10aで伸びることによって、剛体15が表層部13から浮き出るため、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、凹凸状になる。したがって、折返部10aにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さを、直線部10bにおける手摺ベルト10の外周面10dの面粗さよりも、大きくすることができる。
【0049】
また、マンコンベヤ手摺ベルト10は、本実施形態のように、
前記表層部13の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部14を備え、
前記内層部14の硬度は、前記表層部13の硬度よりも、大きい、
という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、内層部14は、表層部13の内周に連接されており、内層部14の硬度は、表層部13の硬度よりも、大きくなっている。これにより、表層部13が折返部10aで伸びるときに、内層部14が剛体15の沈み込みを止めるため、剛体15を表層部13から確実に浮き出させることができる。したがって、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dを確実に凹凸状にすることができる。
【0051】
また、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、
前記のマンコンベヤ手摺ベルト10を備える、
という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、少なくとも折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dと接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができる。
【0053】
なお、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ手摺ベルト10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ手摺ベルト10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0054】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ手摺ベルト10においては、外周面10dの凹凸形状(具体的には、高さ)が変化することによって、折返部10aにおける外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける外周面10dの面粗さよりも、大きくなる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ手摺ベルト10は、斯かる構成に限られない。
【0055】
例えば、
図6に示すように、直線部10bにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、手摺ベルト10の幅方向(第1横方向)D1視で、凹凸状であり、且つ、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dは、手摺ベルト10の幅方向(第1横方向)D1視で、凹凸状である、という構成でもよい。
【0056】
そして、例えば、
図6においては、外周面10dの凹凸形状が変化することなく、折返部10aにおける外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける外周面10dの面粗さと、同じである、という構成でもよい。即ち、外周面10dは、折返部10aでも、直線部10bでも、曲線部10cでも、同じ凹凸度である、という構成でもよい。
【0057】
(B)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ手摺ベルト10は、外周面10dを含んで且つ弾性を有する表層部13と、表層部13の内部に埋められる剛体15とを備えることによって、折返部10aにおける外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける外周面10dの面粗さよりも、大きくなる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ手摺ベルト10は、斯かる構成に限られない。
【0058】
例えば、
図7に示すように、手摺ベルト10は、外周面10dを含んで且つ弾性を有する表層部13を備え、表層部13は、第1横方向D1へ延びる切断部13aを備えることによって、折返部10aにおける外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける外周面10dの面粗さよりも、大きくなる、という構成でもよい。
【0059】
斯かる構成によれば、直線部10bにおいては、切断部13aが閉じているため、外周面10dは、平坦状となっている。一方で、折返部10aにおいては、表層部13が伸びることによって、切断部13aが開くため、外周面10dは、幅方向(第1横方向)D1視で、凹凸状になっている。このように、折返部10aにおける外周面10dの面粗さは、直線部10bにおける外周面10dの面粗さよりも、大きくなっている。
【0060】
(C)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ手摺ベルト10においては、内層部14の硬度は、表層部13の硬度よりも、大きい、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ手摺ベルト10は、斯かる構成に限られない。例えば、表層部13の硬度は、内層部14の硬度と同じ、という構成でもよい。即ち、表層部13及び内層部14は、同じ材質で形成されている、という構成でもよい。
【0061】
(D)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ手摺ベルト10においては、内層部14は、表層部13及び裏層部16間の領域の全体に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ手摺ベルト10は、斯かる構成に限られない。
【0062】
例えば、
図8に示すように、手摺ベルト10は、表層部13の内周に連接される内層部14と、内層部14の内周に連接される中間層部17とを備えており、内層部14の硬度は、表層部13の硬度よりも、大きい、という構成でもよい。
【0063】
斯かる構成によれば、表層部13が折返部10aで伸びるときに、内層部14が剛体15の沈み込みを止めるため、剛体15を表層部13から確実に浮き出させることができる。これにより、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dを確実に凹凸状にすることができる。
【0064】
なお、中間層部17の硬度は、特に限定されないが、例えば、内層部14の硬度よりも、大きくてもよく、また、例えば、内層部14の硬度よりも、小さくてもよい。また、中間層部17の硬度は、特に限定されないが、例えば、表層部13の硬度と、同じでもよく、また、例えば、表層部13の硬度よりも、大きくてもよく、また、例えば、表層部13の硬度よりも、小さくてもよい。また、特に限定されないが、
図8に示すように、表層部13及び裏層部16間の領域は、内層部14及び中間層部17によって、占められている、という構成でもよい。
【0065】
(E)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ手摺ベルト10においては、剛体15は、内層部14に埋められていない、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ手摺ベルト10は、斯かる構成に限られない。例えば、剛体15は、内層部14にも、埋められている、という構成でもよい。
【0066】
そして、内層部14における剛体15の密度は、例えば、表層部13における剛体15の密度よりも、小さくてもよく、また、例えば、表層部13における剛体15の密度と、同じでもよく、また、例えば、
図9に示すように、表層部13における剛体15の密度よりも、大きくてもよい。ここで、
図9に係る構成について、以下に説明する。
【0067】
(E-1)
図9に示すように、内層部14は、表層部13の内周に連接されており、内層部14における剛体15の密度は、表層部13における剛体15の密度よりも、大きくなっている。なお、内層部14の硬度は、特に限定されないが、例えば、表層部13の硬度よりも、大きくてもよく、また、例えば、表層部13の硬度よりも、小さくてもよく、例えば、
図9に示すように、表層部13の硬度と、同じでもよい。
【0068】
そして、折返部10aにおいて、表層部13が伸びるときに、第1内層部14aの内部の剛体15は、表層部13の内部の剛体15の沈み込みを止める。これにより、表層部13の内部の剛体15を表層部13から確実に浮き出させることができる。したがって、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dを確実に凹凸状にすることができる。
【0069】
このように、マンコンベヤ手摺ベルト10は、
図9に示すように、
前記表層部13の内周に連接されて且つ弾性を有する内層部14を備え、
前記剛体15は、前記内層部14にも埋められ、
前記内層部14における前記剛体15の密度は、前記表層部13における前記剛体15の密度よりも、大きい、
という構成が好ましい。
【0070】
斯かる構成によれば、表層部13が折返部10aで伸びるときに、内層部14の内部の剛体15が表層部13の内部の剛体15の沈み込みを止めるため、表層部13の内部の剛体15を表層部13から確実に浮き出させることができる。したがって、折返部10aにおいて、手摺ベルト10の外周面10dを確実に凹凸状にすることができる。
【0071】
(F)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程の結果物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0072】
1…マンコンベヤ、1a…乗降部、2…構造体、2a…機械室、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…欄干本体部、4b…カバー部、4c…出入口部、4d…ベルト案内部、4e…案内支持部、4f…案内本体部、4g…案内係合部、5…駆動部、5a…回転部、5b…巻掛部、5c…駆動源、5d…制動部、6…処理部、7…床プレート、10…マンコンベヤ手摺ベルト、10a…折返部、10b…直線部、10c…曲線部、10d…外周面、10e…内周面、11…ベルト本体部、12…ベルト係合部、13…表層部、13a…切断部、14…内層部、15…剛体、16…裏層部、17…中間層部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向
【要約】
【課題】 折返部において、外周面と接触する面積が大きくなり過ぎることを抑制することができるマンコンベヤ手摺ベルトを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤ手摺ベルトは、回転して走行する環状のマンコンベヤ手摺ベルトにおいて、横方向の端部で走行する方向が折り返されるように、曲線状に延びる一対の折返部を備え、外周面は、少なくとも折返部において、幅方向視で凹凸状である。
【選択図】
図5