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特許7641512TLR7アゴニストにカップリングする新規コロナウイルスポリペプチドワクチンおよびその適用
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】TLR7アゴニストにカップリングする新規コロナウイルスポリペプチドワクチンおよびその適用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/165 20060101AFI20250228BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250228BHJP
   C07K 7/04 20060101ALI20250228BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20250228BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20250228BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20250228BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20250228BHJP
   C12N 5/0787 20100101ALI20250228BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20250228BHJP
   A61K 35/15 20250101ALI20250228BHJP
   A61K 35/17 20250101ALI20250228BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20250228BHJP
   C12N 15/50 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
C07K14/165
C07K19/00 ZNA
C07K7/04
C12N5/0784
C12N5/0783
C12N5/078
C12N5/0786
C12N5/0787
A61K39/215
A61K35/15
A61K35/17
A61P31/14
C12N15/50
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022575358
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2020133168
(87)【国際公開番号】W WO2021248853
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】202010514683.8
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512148861
【氏名又は名称】シャンハイ インスティチュート オブ マテリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コン,リークン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,グァンイー
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チン,ジョーピン
(72)【発明者】
【氏名】ロン,イールー
(72)【発明者】
【氏名】ソン,チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】タン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ペン
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111217917(CN,A)
【文献】国際公開第2019/192454(WO,A1)
【文献】特表2016-516048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0284445(US,A1)
【文献】bioRxiv,2020年04月16日,https://doi.org/10.1101/2020.04.15.040618
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンポリペプチドであって、
前記ワクチンポリペプチドは、式Iの構造または式Iの構造を含むオリゴマーを有し、
式(I):Z-(J-U)n
前記式において、
Zは、抗原ポリペプチドであり、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSARS-CoV-2のSタンパク質の少なくとも一つのT細胞エピトープおよび/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有し、また、前記抗原ポリペプチドは、前記Sタンパク質のRBM(受容体結合モチーフ)領域に由来するアミノ酸配列を有し、前記抗原ポリペプチドの長さは、8~100個のアミノ酸であり、前記抗原ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2、6、7、または12で示されるものであり、
Uは、それぞれ独立して、TLR7アゴニストであり、前記TLR7アゴニストは、小分子アゴニストであり、
nは、1、2、3,4,5、又は6である正の整数であり、
Jは、化学結合またはリンカーであり、
前記ワクチンポリペプチドは、霊長類動物および齧歯類動物を刺激して、新規コロナウイルスSARS-CoV-2のSタンパク質におけるRBD(受容体結合ドメイン)領域のACE2への結合を遮断する中和抗体を発生させることができること
を特徴とする、前記新規コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンポリペプチド。
【請求項2】
前記ワクチンポリペプチドは、霊長類動物を刺激して、新規コロナウイルスSARS-CoV-2のSタンパク質におけるRBD領域のACE2への結合を遮断する中和抗体を発生させることができることを特徴とする、請求項1に記載のワクチンポリペプチド。
【請求項3】
前記TLR7アゴニストは、SZU-101
【化1】
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のワクチンポリペプチド。
【請求項4】
前記SZU-101は、抗原ポリペプチドのアミノ基に結合し、S1に示される構造
【化2】
式(S1):
を形成し、または
前記SZU-101は、抗原ポリペプチドのスルフヒドリル基に結合し、S2に示される構造
【化3】
式(S2):
を形成することを特徴とする、請求項3に記載のワクチンポリペプチド。
【請求項5】
前記Uは、固定点でZに結合し、
前記ワクチンポリペプチドは、以下の群のカップリングペプチドから選択され、
(S1)-GVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK-(S1)(配列番号14)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるGのN末端アミノ基とKの側鎖アミノ基とに結合し、
(S1)-KGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYR(配列番号15)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるKのN末端と側鎖アミノ基とに結合し、
(S1)-LFRK(-S1)SNLK(-S1)PFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPY(配列番号12)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるLのN末端アミノ基とKの側鎖アミノ基とに結合し、
GVEGFNC(-S2)YFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK(配列番号14)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してアミノ酸配列におけるC上のスルフヒドリルに結合し、
(S2)-CYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGS(配列番号16)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合し、
(S2)-CYAWNRKRISN(配列番号5)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合し、
(S2)-CVADYSVLYNSASFSTFK(配列番号6)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合することを特徴とする、請求項4に記載のワクチンポリペプチド。
【請求項6】
少なくとも二つの種の請求項1に記載の新規コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンポリペプチドを含むことを特徴とする、単離されたペプチド集合。
【請求項7】
請求項1に記載の新規コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンポリペプチドまたは請求項6に記載のペプチド集合、および薬学的に許容されるベクターを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項8】
コロナウイルスSARS-CoV-2感染またはその関連疾患を予防するための薬物の調製に使用されることを特徴とする、請求項1に記載のワクチンポリペプチドまたは請求項6に記載のペプチド集合または請求項7に記載の医薬組成物の使用方法。
【請求項9】
(a)請求項1に記載のワクチンポリペプチドまたは請求項6に記載のペプチド集合による免疫により活性化された免疫細胞、および(b)薬学的に許容されるベクターを含むことを特徴とする、細胞製剤。
【請求項10】
前記免疫細胞は、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞NK、リンパ球、単球/マクロファージ、顆粒球、またはその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の細胞製剤。
【請求項11】
融合タンパク質であって、
キャリアタンパク質および前記融合タンパク質に融合する請求項1に記載のワクチンポリペプチドを含むことを特徴とする、前記融合タンパク質。
【請求項12】
(a)請求項11に記載の融合タンパク質またはその免疫により活性化された免疫細胞、および(b)薬学的に許容されるベクターを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド薬およびポリペプチドワクチンの分野に関し、具体的には、TLR7小分子アゴニストにカップリングする新規コロナウイルスポリペプチドワクチンおよびその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる新規コロナウイルス肺炎(Corona virus disease 2019、COVID-19)は、伝染性が高く、世界中で深刻な流行を引き起こし、何百万の人々の命を危険にさらしている。しかしながら、現在COVID-19に対する明確で有効な予防、治療薬および対策はまだなく、臨床的にはサポーティブプレイ・チョーセラピーおよび対症療法が中心である。
【0003】
ワクチンを通じてSARS-CoV-2に対する集団免疫を構築することは、COVID-19の流行を制御および遮断するための最終的な方法である。現在、弱毒性ワクチン、不活性化ウイルスワクチン、組換えウイルスベクターワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチン、RNAワクチンおよびポリペプチドワクチン等の様々な種類のCOVID-19ワクチンが前臨床および臨床試験の段階にある。
【0004】
しかしながら、現在開発されているワクチンによる免疫保護作用は、限界があり、例えば、免疫原性が低く、ウイルス免疫逃避等の問題が存在する。
【0005】
従って、当技術分野では、人体を効率的に刺激してSARS-CoV-2に対する免疫応答を生成し、ワクチン接種を受けた人に遮断性抗SARS-CoV-2抗体を生成することにより、強力な免疫保護作用を提供する、新しいワクチンを開発する緊急の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、人体を効率的に刺激してSARS-CoV-2に対する免疫応答を生成し、ワクチン接種を受けた人に遮断性抗SARS-CoV-2抗体を生成することにより、強力な免疫保護作用を提供する、新しいワクチンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、新規コロナウイルスのワクチンポリペプチドを提供し、前記ワクチンポリペプチドは、抗原ポリペプチドおよび任意選択で前記抗原ポリペプチドにカップリングするTLR7アゴニストを含む。
【0008】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、式Vの構造または式Vの構造を含むオリゴマーを有し、
式(V):Z-(U)n
式において、
Zは、抗原ポリペプチドであり、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSタンパク質の少なくとも一つのT細胞エピトープおよび/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有し、また、前記抗原ポリペプチドは、Sタンパク質のRBM領域に由来するアミノ酸配列を有し、
Uは、それぞれ独立して、TLR7アゴニストであり、
nは、0または正の整数であり、
「-」は、化学結合またはリンカーまたはコネクタである。
【0009】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、式Iの構造または式Iの構造を含むオリゴマーを有し、
式(I):Z-(J-U)n
式において、
Zは、抗原ポリペプチドであり、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSタンパク質の少なくとも一つのT細胞エピトープおよび/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有し、また、前記抗原ポリペプチドは、Sタンパク質のRBM領域に由来するアミノ酸配列を有し、
Uは、それぞれ独立して、TLR7アゴニストであり、
nは、0または正の整数であり、
Jは、化学結合またはコネクタである。
【0010】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、霊長類動物および齧歯類動物を刺激してRBDのACE2への結合を遮断する中和抗体を発生させることができる。
【0011】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、霊長類動物を刺激して細胞性免疫および体液性免疫を発生させることができる。
【0012】
別の好ましい例において、前記霊長類動物は、ヒトおよび非ヒト霊長類動物を含む。
【0013】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドの長さは、8~100個のアミノ酸、好ましくは10~80個のアミノ酸である。
【0014】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSタンパク質のRBD領域に由来するアミノ酸配列を有する。
【0015】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、RBD領域のRBM領域に由来するアミノ酸配列を有する。
【0016】
別の好ましい例において、前記RBM領域とは、新規コロナウイルスのRBDタンパク質の438~506位のアミノ酸を指す。
【0017】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドの「RBDタンパク質のRBM領域に由来するアミノ酸配列」とは、前記抗原ポリペプチドのアミノ酸配列がRBM領域と相同性(または同一性)を有することを指し、前記相同性は、≧80%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、最も好ましくは≧95%である。
【0018】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスのSタンパク質にヒトACE2タンパク質と競合的結合する。
【0019】
別の好ましい例において、前記「競合的結合」とは、前記抗原ポリペプチドが、新規コロナウイルスのSタンパク質と同じまたは実質的に同じヒトACE2タンパク質の結合ドメイン(またはアミノ酸セグメント)に結合することを指す。
【0020】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスのSタンパク質とヒトACE2タンパク質の同じ結合セグメントに結合する。
【0021】
別の好ましい例において、前記競合的結合は、遮断性または非遮断性競合的結合を含む。
【0022】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、人工的合成または組換え抗原ポリペプチドである。
【0023】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、
(a)SEQ ID No:1~12のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)(a)におけるポリペプチドのアミノ酸配列に一つもしくは複数のアミノ酸を付加するか、一つもしくは複数のアミノ酸を置換するか、または1~3個のアミノ酸を欠失することにより形成される誘導ポリペプチドからなる群から選択され、前記誘導ポリペプチドは、誘導前の元のポリペプチドと実質的に同じ機能を有する。
【0024】
別の好ましい例において、前記「実質的に同じ機能」とは、前記誘導ポリペプチドが誘発免疫応答と実質的に同じ免疫原性、新規コロナウイルスのSタンパク質とヒトACE2タンパク質に競合的結合する活性を有し、および/または少なくとも一つのT細胞エピトープを有し、および/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有する。
【0025】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドの構造は、式IIに示されたとおりであり、
式(II):X1-X-X2
式において、
(a)Xは、コアフラグメントであり、ここで、前記コアフラグメントの配列は、SEQ ID NO:1~12(表Aを参照)の一つまたは複数から選択され、
(b)X1、X2は、それぞれ独立して、なし、1、2または3個のアミノ酸であり、X1およびX2のアミノ酸数の合計は、≦4、好ましくは、3、2、1、より好ましくは0または1であり、
(c)「-」とは、ペプチド結合、ペプチドリンカー、または他のコネクタを示す(即ち、X1とXとの間および/またはXとX2との間は、ペプチド結合、ペプチドリンカー(例えば、1~15個のアミノ酸で構成される柔軟性リンカー)または他のコネクタによって結合される)。
【0026】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、表Aから選択される。
【0027】
【表1】
別の好ましい例において、X1、X2は、それぞれ独立して、なし、K、C、G、L、Aである。
【0028】
別の好ましい例において、X1は、なし、K、またはCである。
【0029】
別の好ましい例において、X2は、なし、K、またはCである。
【0030】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSタンパク質のRBD領域の少なくとも一つのT細胞エピトープおよび/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有する。
【0031】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、新規コロナウイルスSタンパク質のRBM領域の少なくとも一つのT細胞エピトープおよび/または少なくとも一つのB細胞エピトープを有する。
【0032】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、少なくとも一つのT細胞エピトープ、好ましくは1、2、3または4個のT細胞エピトープ、より好ましくは1または2個のT細胞エピトープを有する。
【0033】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、少なくとも一つのB細胞エピトープ、好ましくは1、2、3または4個のB細胞エピトープ、より好ましくは1または2個のB細胞エピトープを有する。
【0034】
別の好ましい例において、前記抗原ポリペプチドは、1~2個のT細胞エピトープおよび0~2個のB細胞エピトープ、好ましくは1~2個のT細胞エピトープおよび0~1個のB細胞エピトープを有する。
【0035】
別の好ましい例において、TLRアゴニストの分子数nは、1、2、3、4、5または6、好ましくは1、2、3または4である。
【0036】
別の好ましい例において、前記TLR7アゴニストは、小分子アゴニストである。
【0037】
別の好ましい例において、前記TLR7アゴニストは、SZU-101を含む。
【0038】
【化1】
別の好ましい例において、TLR7アゴニスト(例えば、SZU-101)は、抗原ポリペプチドの末端アミノ基または側鎖アミノ基に結合する。
【0039】
別の好ましい例において、TLR7アゴニスト(例えば、SZU-101)は、抗原ポリペプチドのスルフヒドリル基に結合する。
【0040】
別の好ましい例において、前記SZU-101は、抗原ポリペプチドのアミノ基に結合し、S1に示される構造を形成し、
【化2】
式(S1):
または
前記SZU-101は、抗原ポリペプチドのスルフヒドリル基に結合し、S2に示される構造を形成する。
【0041】
【化3】
式(S2):
別の好ましい例において、前記TLR7アゴニストは、固定点でおよび/またはランダムに前記抗原ポリペプチドに結合する(即ち、式Iにおいて、前記Uは、固定点でおよび/またはランダムにZに結合する)。
【0042】
別の好ましい例において、前記Uは、固定点でZに結合する。
【0043】
別の好ましい例において、前記Uは、固定点で抗原ポリペプチドZのG、K、L、A、Cまたはその組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸部位に結合する:。
【0044】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、以下の群のカップリングペプチドから選択され、
前記ワクチンポリペプチドは、以下の群のカップリングペプチドから選択され、
(S1)-GVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK-(S1)(SEQ ID No:14)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるGのN末端アミノ基とKの側鎖アミノ基とに結合し、
(S1)-KGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYR(SEQ ID No:15)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるKのN末端と側鎖アミノ基とに結合し、
(S1)-LFRK(-S1)SNLK(-S1)PFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPY(SEQ ID No:12)
ここで、SZU-101は、S1構造を介してアミノ酸配列におけるLのN末端アミノ基とKの側鎖アミノ基とに結合し、
GVEGFNC(-S2)YFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK(SEQ ID No:14)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してアミノ酸配列におけるC上のスルフヒドリルに結合し、
(S2)-CYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGS(SEQ ID No:16)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合し、
(S2)-CYAWNRKRISN(SEQ ID No:5)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合し、
(S2)-CVADYSVLYNSASFSTFK(SEQ ID No:6)
ここで、SZU-101は、S2構造を介してポリペプチドのC上のスルフヒドリル基に結合し、
またS1およびS2の構造は、上記で定義されたとおりである。
【0045】
別の好ましい例において、前記カップリングペプチドは、表Bから選択される。
【0046】
【表2】
別の好ましい例において、前記ワクチンポリペプチドは、P-37またはそのTLR7アゴニストとのコンジュゲート、P-67-F1またはそのTLR7アゴニストとのコンジュゲート、P-71またはそのTLR7アゴニストとのコンジュゲート、LV54またはそのTLR7アゴニストとのコンジュゲート、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0047】
別の好ましい例において、前記TLR7アゴニストは、SUZ-101である。
【0048】
本発明の第2の態様は、単離されたペプチド集合を提供し、前記ペプチド集合は、少なくとも二つの種の本発明の第1の態様に記載の新規コロナウイルスのワクチンポリペプチドを含む。
【0049】
別の好ましい例において、前記ペプチド集合は、少なくとも2~20種、好ましくは2~12種(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12種)の前記ワクチンポリペプチドを含む。
【0050】
本発明の第3の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、本発明の第1の態様に記載の新規コロナウイルスのワクチンポリペプチドまたは本発明の第2の態様に記載のペプチド集合および薬学的に許容されるベクターを含む。
【0051】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、ワクチン組成物である。
【0052】
別の好ましい例において、前記ワクチン組成物は、一価または多価である。
【0053】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、アジュバント、好ましくは様々なアルミニウムアジュバントをさらに含む。組成物中の活性ペプチドおよびアジュバント(例えば、アルミニウム)のモル比または重量比は、1:100の間、好ましくは1:40~1:60の間である。
【0054】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、単一の薬物、複合薬物、または相乗的薬物を含む。
【0055】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、液体、固体またはゲル状態である。
【0056】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、マイクロニードル注射、経口投与、または口鼻スプレーおよび噴霧吸入からなる群から選択される投与方法で投与される。
【0057】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に記載の新規コロナウイルスのワクチンポリペプチドまたは第2の態様に記載のペプチド集合または第3の態様に記載の医薬組成物の用途を提供し、それらは、コロナウイルスSARS-CoV-2感染またはその関連疾患を予防するための薬物の調製に使用される。
【0058】
別の好ましい例において、前記コロナウイルスSARS-CoV-2関連疾患は、気道感染症、肺炎およびその合併症、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
別の好ましい例において、前記コロナウイルスSARS-CoV-2関連疾患は、新規コロナウイルス肺炎(COVID-19)である。
【0060】
本発明の第5の態様は、細胞製剤を提供し、前記細胞製剤は、(a)本発明の第1の態様に記載の新規コロナウイルスのワクチンポリペプチドまたは本発明の第2の態様に記載のペプチド集合による免疫により活性化された免疫細胞、および(b)薬学的に許容されるベクターを含む。
【0061】
別の好ましい例において、前記免疫細胞は、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞NK、リンパ球、単球/マクロファージ、顆粒球、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
別の好ましい例において、前記活性化は、インビトロ活性化である。
【0063】
別の好ましい例において、前記インビトロ活性化は、前記ワクチンポリペプチドの存在下で、前記免疫細胞を一定期間(例えば、6~48時間)培養することにより、免疫活性化免疫細胞を得ることを含む。
【0064】
別の好ましい例において、前記細胞製剤は、生細胞を含む液体製剤である。
【0065】
別の好ましい例において、前記細胞製剤は、静脈内投与によって再注入される。
【0066】
本発明の第6の態様は、必要とする対象に本発明の第1の態様に記載の新規コロナウイルスのワクチンポリペプチド、第2の態様に記載のペプチド集合または第3の態様に記載の医薬組成物を投与する段階を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対する免疫応答を生成する方法を提供する。
【0067】
別の好ましい例において、前記対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含む。
【0068】
別の好ましい例において、前記非ヒト哺乳動物は、非ヒト霊長類動物(例えば、サル)を含む。
【0069】
別の好ましい例において、前記方法は、前記対象においてコロナウイルスSARS-CoV-2に対する中和抗体の生成を誘導する。
【0070】
別の好ましい例において、前記中和抗体は、コロナウイルスSARS-CoV-2とヒトACE2タンパク質との結合を遮断する。
【0071】
本発明の第7の態様は、融合タンパク質を提供し、前記融合タンパク質は、キャリアタンパク質および前記融合タンパク質に融合する本発明の第1の態様に記載のワクチンポリペプチドを含む。
【0072】
別の好ましい例において、前記融合タンパク質は、非天然タンパク質である。
【0073】
別の好ましい例において、前記融合タンパク質は、式IIIaまたはIIIbの構造を有し、
式(IIIa):P1-P2
式(IIIb):P2-P1
式において、P1は、本発明の第1の態様に記載のワクチンポリペプチドであり、P2は、キャリアタンパク質である。
【0074】
別の好ましい例において、前記P1は、単一のワクチンポリペプチド、または直列に接続された複数の同じまたは異なるワクチンポリペプチド(または抗原ポリペプチド)であり得る。
【0075】
別の好ましい例において、前記P1は、一つまたは複数のTLR7アゴニストにカップリングする。
【0076】
本発明の第8の態様は、医薬組成物を提供し、それは、(a)本発明の第7の態様に記載の融合タンパク質またはその免疫により活性化された免疫細胞、および(b)薬学的に許容されるベクターを含む。
【0077】
本発明の第9の態様は、本発明の第7の態様に記載の融合タンパク質または第8の態様に記載の医薬組成物の用途を提供し、それらは、コロナウイルスSARS-CoV-2感染またはその関連疾患を予防するための薬物の調製に使用される。
【発明の効果】
【0078】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】SARS-CoV-2のSタンパク質のアミノ酸配列分析およびACE2と相互作用するRBDの重要な部位を示す。
図2】SARS-CoV-2のSタンパク質のRBD領域とヒトACE2との間の相互作用構造および重要な作用部位のグラフを示す。
図3】ポリペプチドP-37、P-67およびP-71が、24種の主要集団HLAグラスII分子対立遺伝子タイプの分子への結合の可能性の包括的な分析グラフを示す。
図4】BepiPredソフトウェアによって予測されたSタンパク質RBDに含まれる線形B細胞エピトープ、ならびにポリペプチドP-37、P-67およびP-71との相対位置関係グラフを示す。
図5】Discotopeソフトウェアによって予測されたSタンパク質RBDに含まれるコンフォーメーションB細胞エピトープの構造図を示す。
図6】Sタンパク質RBD構造上のポリペプチドP-37、P-67、P-71およびLY54の位置図を示す。
図7】TLR7小分子アゴニストSZU-101の化学構造を示す。
図8】ポリペプチドP-71およびSZU-101に結合したそのカップリングペプチドによって誘導されたインビトロでのマウス脾臓リンパ球からのサイトカイン放出の結果を示す。
図9】ポリペプチドP-71およびSZU-101に結合したそのカップリングペプチドによって誘導されたインビトロでのマウス脾臓リンパ球の増殖結果を示す。
図10】ポリペプチドP-37、P-71およびP-67-F2ならびにそれぞれSZU-101に結合したそのカップリングペプチド(表Bを参照)を、単独でまたは混合してBALB/cマウスに免疫した後の抗RBD抗体の生成状況を示す。
図11】蟹食猿にLY54、LY54-S1を免疫した後の抗RBD抗体の生成状況、ならびにポリペプチドP-37、P-71およびP-67-F2がそれぞれSZU-101にカップリングした後の混合したカップリングペプチド(表Bを参照)で蟹食猿を免疫した後の抗RBD抗体の生成結果を示す。
図12】LY54、LY54-S1および混合カップリングペプチド(表Bを参照)で蟹食猿を免疫することによって生成された抗RBD抗体がRBDのACE2への結合を遮断する中和活性を有することを示す。
図13】ポリペプチドP-37、P-71およびLY54がヒトACE2に対してより良好な結合効果を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明者らは、広範囲かつ綿密な研究を通じて、SARS-CoV-2のSタンパク質RBDに対する配列および構造解析の研究に基づいて、Sタンパク質のCD4+T/CD8+T細胞エピトープ、線形/コンフォーメーションB細胞エピトープ、相互作用の重要な部位、表面の特徴、グリコシル化修飾部位およびポリペプチド物理化学的特性等の特徴を分析して、初めて哺乳類動物の体にコロナウイルスSARS-CoV-2に対する免疫応答を効果的に誘導できるワクチンポリペプチドをスクリーニングして決定した。実験によると、本発明のワクチンポリペプチドは、げっ歯類動物(例えば、マウス)および霊長類動物(例えば、蟹食猿)においてSARS-CoV-2に対する細胞性免疫および体液性免疫を効果的に誘導することができることを示し、それによってRBDとACE2との結合を遮断するより高い力価の中和抗体が生成されることにより、本発明は、新規コロナウイルス肺炎の予防または治療において潜在的な適用の見通しを有する。これに基づいて、本発明を完成させた。
【0081】
具体的には、本発明は、SARS-CoV-2のSタンパク質に対するRBD配列および構造情報の解析に基づいて、Sタンパク質のT/B細胞エピトープを決定し、Sタンパク質の構造表面特徴、ACE2との相互作用の重要な部位およびポリペプチドの物理化学的特性等を総合的に考慮することにより、表Aに示される12の抗原ポリペプチドをスクリーニングして決定し、抗原ポリペプチド(P-37、P-67(P-67-F1およびP-67-F2を含む)、P-71およびLY54を含む)をそれぞれTLR7小分子アゴニストに結合して、表Bに示されるカップリングペプチドを形成する。実験によると、カップリングしたポリペプチドワクチンは、マウスおよび蟹食猿においてより強力な細胞性免疫および体液性免疫の効果を起動し、RBDとACE2との結合を遮断するより高い力価の中和抗体が生成されることを示す。
【0082】
用語
コロナウイルスSARS-CoV-2
コロナウイルス(Coronavirus、CoV)は、ニドウイルス目(Nidovirales)コロナウイルス科(Coronaviridae)に属し、エンベロープを有するプラス鎖RNAウイルスであり、そのサブファミリーは、α、β、δおよびγの四つの属を含む。
【0083】
現在ヒトに感染することが知られているコロナウイルスにおいて、HCoV-229EおよびHCoV-NL63は、α属コロナウイルスに属し、HCoV-OC43、SARS-CoV、HCoV-HKU1、MERS-CoVおよびSARS-CoV-2は、すべてβ属コロナウイルスである。
【0084】
2019年末に発生した新規コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、SARS-CoVと約80%の類似性、MERS-CoVと40%の類似性を有し、β属コロナウイルスにも属する。
【0085】
当該タイプのウイルスのゲノムは、レプリカ―ぜ、スパイクタンパク質、エンベロープタンパク質、エンベロープタンパク質およびヌクレオキャプシドタンパク質等をコードする、ゲノムの最大のRNAウイルスの一つである、一本鎖プラス鎖RNAである。ウイルス複製の初期段階において、ゲノムは、数千のアミノ酸からなる2本のペプチド鎖、即ち前駆体ポリタンパク質(Polyprotein)に翻訳し、次に前駆体タンパク質は、プロテアーゼによって切断されて、非構造タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼおよびヘリカーゼ)および構造タンパク質(例えば、スパイクタンパク質)ならびに補助タンパク質を生成する。
【0086】
Sタンパク質は、コロナウイルスSARS-CoV-2の主要な構造タンパク質であり、その構造の模式図は、図1に示されたとおりであり、ここで、RBDは、ヒトACE2受容体の構造を担うが、RBM領域は、ヒトACE2に結合するモチーフ(motif)を含む。典型的なSタンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID No:13に示されたとおりである。
【0087】
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITG
RLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT(SEQ ID No:13)
コロナウイルスSARS-CoV-2のRBD領域は、Sタンパク質の333~527位に位置し、代表的なアミノ酸配列は、SEQ ID No:13の333~527位に示されたとおりであるか、または図4に示されたとおりである。
【0088】
>RBD(333-527)
TNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGP(SEQ ID No:13の333~527位)
コロナウイルスSARS-CoV-2のRBM領域は、Sタンパク質の438~506位に位置し、代表的なアミノ酸配列は、SEQ ID No:13の438~506位または図1に示されたとおりである。
【0089】
>RBM(438-506)
SNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQ(SEQ ID No:13の438~506位)
本発明において、Sタンパク質、RBD領域およびRBM領域は、すべて野生型および突然変異型を含むことを理解すべきである。
【0090】
ワクチンポリペプチド
本発明において、「本発明のエピトープペプチド」、「本発明のワクチンポリペプチド」、「本発明のポリペプチド」は、交換可能に使用され、本発明の第1の態様に記載のワクチンポリペプチド、特に式Iの構造を有するポリペプチドを指す。前記用語は、本発明の一つの種のワクチンポリペプチドだけでなく、本発明の複数の種のワクチンポリペプチドによって形成されるペプチド集合(またはペプチドの組み合わせ)も含むことを理解されたい。
【0091】
本発明において、ワクチンポリペプチドは、薬学的に許容される塩、コンジュゲート、または融合タンパク質等の他の形式をさらに含む。好ましくは、本発明のワクチンポリペプチドは、TLR7アゴニストに結合して形成されるコンジュゲート(カップリングペプチド)、特に一つまたは複数のTLR7アゴニストがカップリングされたカップリングペプチド、例えば、表中に示されるコンジュゲートである。
【0092】
さらに、本発明において、好ましいワクチンポリペプチドは、式IIに示される構造を有し、
式(II):X1-X-X2
(a)Xは、コアフラグメントであり、ここで、前記コアフラグメントの配列は、SEQ ID NO:1~12(表Aを参照)の一つまたは複数から選択され、
(b)X1、X2は、それぞれ独立して、なし、1、2または3個のアミノ酸であり、X1およびX2のアミノ酸数の合計は、≦4、好ましくは、3、2、1、より好ましくは0または1であり、
ここで、X1とXとの間、XとX2との間以ペプチド結合は、ペプチドリンカー(例えば、1~15個のアミノ酸で構成される柔軟性リンカー)または他のコネクタによって結合される。
【0093】
本発明において、コアフラグメントまたはワクチンポリペプチドは、SEQ ID No:1~12のいずれか一つの配列への一つまたは複数の(例えば、1~5個、好ましくは1~3個)アミノ酸付加、一つまたは複数の(例えば、1~5個、好ましくは1~3個の)アミノ酸置換および/または1~3個のアミノ酸欠失によって形成される誘導ポリペプチドを含み、前記誘導ポリペプチドは、誘導前の元のポリペプチドと実質的に同じ機能を有する。
【0094】
好ましくは、コアフラグメントまたはワクチンポリペプチドは、SEQ ID No:1~12のいずれか一つの配列への1~3個のアミノ酸付加(好ましくはN末端またはC末端に付加される)、および/または1~2個のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)を含み、且つ依然として誘導前の元のポリペプチドと実質的に同じ機能を有する。
【0095】
好ましくは、前記保存的アミノ酸置換は、表Cに従ってアミノ酸置換を実施する。
【0096】
【表3】
本明細書で使用されるように、「ペプチド集合」という用語に記載のペプチド集合は、本発明の少なくとも二つの種のワクチンポリペプチドまたはその誘導ポリペプチドで構成される。
【0097】
好ましくは、本発明に記載のペプチド集合は、本発明の第1の態様から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12種のワクチンポリペプチドまたはその誘導ポリペプチド(カップリングペプチドを含む)を含み、より好ましくは、前記ペプチド集合は、SEQ ID NO.:1~12から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12種のワクチンポリペプチドまたはその誘導ポリペプチドを含む。さらに、前記ペプチド集合は、SEQ ID NO.:1~12以外の他のコロナウイルスSARS-CoV-2の抗原ペプチドまたはタンパク質をさらに含む。
【0098】
本明細書で使用されるように、「単離された」とは、物質がもの環境から分離されることを指す(天然物質の場合、元の環境は、自然環境である)。生きた細胞内の自然状態下でのポリペプチドは、分離および精製されず、同じポリペプチドは、自然な状態で一緒に存在する他の物質から分離されば、分離および精製される。
【0099】
本明細書で使用されるように、「単離されたペプチド」とは、本発明のポリペプチドが自然、および関連する他のタンパク質、脂質、糖類または他の物質を実質的に含まないことを指す。当業者は、標準的なタンパク質精製技術を本発明のポリペプチドを精製することができる。実質的に生成されたポリペプチド(融合タンパク質)は、非還元ポリアクリルアミドゲル上で単一の主要なバンドを生成する。
【0100】
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、または合成ポリペプチド、好ましくは、合成ポリペプチドであり得る。
【0101】
本発明において、ワクチンポリペプチドの配列が比較的短い場合(例えば、≦70aa、より好ましくは≦60aaの場合)、化学的方法によって直接合成することができる。
【0102】
ワクチンポリペプチドの配列が比較的に長い場合または融合タンパク質の形態でワクチンポリペプチドが提供される場合、組換え法を使用して関連するペプチド配列を大量に取得することもできる。これは、通常、前記抗原ポリペプチドまたはその融合タンパク質をコードするコード配列をベクターにクローニングし、細胞に細胞に形質転換し、次いで従来方法によって、増殖した宿主細胞から関連する抗原ポリペプチドまたは融合タンパク質を分離する。
【0103】
医薬組成物および投与方法
本発明は、医薬組成物をさらに提供する。本発明の医薬組成物は、治療用または予防用であり得る(例えば、ワクチン)。本発明の医薬組成物は、有効量の本発明のワクチンポリペプチドまたはペプチド集合、またはワクチンポリペプチドが活性化された免疫細胞(例えば、本発明のワクチンポリペプチドで感作された樹状細胞または樹状細胞で誘導されたT細胞)、ならびに少なくとも一つの種の薬学的に許容されるベクター、希釈剤または賦形剤を含む。
【0104】
別の好ましい例において、前記新規コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる関連疾患は、気道感染症、肺炎およびその合併症、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0105】
本発明において、これらの(ワクチン)組成物は、免疫性抗原(本発明のワクチンポリペプチド、ペプチド集合またはその誘導体を含む)を含み、また通常「薬学的に許容されるベクター」と組み合わせ、これらのベクターは、それ自体で、当該組成物を受ける個体に有害な抗体の生成を誘導しない任意のベクターを含む。適切なベクターの例としては、タンパク質、脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)等を含むが、これらに限定さ入れない。さらに、これらのベクターは、免疫刺激剤(「アジュバント」)として作用することができる。
【0106】
さらに、本発明の(ワクチン)組成物は、追加のアジュバントをさらに含むことができる。代表的なワクチンアジュバントは、水酸化アルミニウム、ミョウバン等の無機アジュバント、人工合成二本鎖ポリヌクレオチド(二本鎖ポリアデニル酸、ウリジン酸)、レバミゾール、イソプリノシン等の合成アジュバント、フロイントアジュバント、落花生油乳化アジュバント、鉱物油、植物油等の油剤等のカテゴリを含む(これらに限定されない)。
【0107】
通常、ワクチン組成物または免疫原性組成物を注射剤、例えば、液体溶液または懸濁液として調製することができ、注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するのに適した固体形態を調製することができる。当該製剤は、リポソームに乳化またはカプセル化して、アジュバント効果を増強することができる。
【0108】
組成物は、単位剤形または複数回剤形で調製されることができる。各剤形は、所望の治療効果を生成するために計算された所定量の活性物質、ならびに適切な医薬品賦形剤をを含む。
【0109】
調製された医薬組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、皮内、経口投与、または局所投与を含む(これらに限定されない)、従来の経路によって投与されることができる。
【0110】
(ワクチン)組成物を使用する場合、安全かつ有効量の本発明のワクチンポリペプチドまたはペプチド集合をヒトに投与し、ここで、当該安全かつ有効量は、通常、少なくとも約1μgペプチド/kg体重であり、ほとんどの場合、約8mgペプチド/kg体重以下であり、好ましくは当該用量は、約1μg~1mgペプチド/kg体重である。もちろん、具体的な用量については、投与経路、患者の健康状態等の要因も、考慮されるべできであり、これらは、すべて熟練した医師の技術の範囲内にある。
【0111】
本発明の主な利点は、次のとおりである。
【0112】
(a)本発明で使用されるワクチンポリペプチド(結合ポリペプチドを含む)は、霊長類動物等の哺乳動物の体でSタンパク質RBD(受容体結合領域)に対する中和抗体を生成することができ、前記中和抗体は、RBDとACE2との結合を遮断することができる。
【0113】
(b)最適化されないポリペプチドと比較して、本発明の最適化されたポリペプチド配列をTLR7小分子アゴニストに結合して形成されるカップリングペプチドは、最適化された構造を有し、SARS-CoV-2ウイルスに対する細胞性免疫および体液性免疫を効率的に生成することができる。
【0114】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてされに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常、例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載される条件等の従来の条件、またはメーカーによって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージおよび部数は、重量パーセンテージおよび重量部数で計算される。
【0115】
実施例1.Sタンパク質RBDの配列および構造解析に基づく抗原ポリペプチドのスクリーニング
本実施例において、本発明者らは、SARS-CoV-2のSタンパク質におけるヒトACE2と相互作用するRBD領域を分析対象とし、RBDにおける相互作用の重要な部位を決定し、図1および図2に示されたとおりである。
【0116】
本発明者らは、ソフトウェアを使用して、RBD配列中のCD8+T細胞エピトープを予測および分析し、Allele Frequency Net Databaseデータベースの統計分析を使用して、世界人口の主なHLAクラスII分子対立遺伝子タイプを得、RBD配列中のHLAクラスII分子の結合ペプチドをさらに分析および予測し、これを予測CD4+T細胞エピトープとして使用し、BepiPredおよびDiscotopeソフトウェアを使用して、RBD配列中の線形およびコンフォーメーションB細胞エピトープを予測し、Uniprotデータベースを使用して、RBD領域のグリコシル化修飾部位を取得し、ProtParamソフトウェアを使用して、候補ポリペプチドの物理化学的特性を予測する。
【0117】
上記の分析結果および情報を総合して、本発明者らは、最終的に12のポリペプチドをスクリーニングし、アミノ酸配列は、次のとおりである。
【0118】
【表4】
さらに、総合的特性に従って、P-37、P-67(P-67-F1およびP-67-F2を含む)、P-71およびLY54を決定する。
【0119】
ポリペプチドP-37、P-67およびP-71に含まれるCD8+T細胞エピトープに対応するHLAクラスI分子対立遺伝子タイプは、表1に示されたとおりであり、三つのポリペプチドが、キラーT細胞の抗ウイルス応答をよりよく誘発する可能性を有することを示唆する。
【0120】
表1.一部のポリペプチドに含まれるCTLエピトープに対応するHLAクラスI分子対立遺伝子タイプ
【表5】
集団中の24種の主なHLAクラスII分子に対する三つのポリペプチド(P-37、P-67およびP-71)の結合親和性は、表2および図3に示されたとおりである。これは、三つのポリペプチドが集団内の主なHLAII分子によって提示されることにより、広範囲のCD4+T細胞効果を誘発し、B細胞が抗ウイルス抗体を生成する可能性を促進することができる。
【0121】
表2.24種の主な集団HLAクラスI分子対立遺伝子タイプ分子に対するポリペプチドP-37、P-67およびP-71の結合親和性の予測および分析
【表6】
さらなる分析により、三つのポリペプチド(P-37、P-67およびP-71)は、RBDの線形およびコンフォーメーションB細胞エピトープと良好なクロスオーバーラップ(図4および図5)を有し、これは、B細胞性免疫応答を効果的に活性化できることを示唆する。
【0122】
さらに、三つのポリペプチド(P-37、P-67およびP-71)は、グリコシル化修飾部位を含まず、適切な物理化学的特性を有する。
【0123】
LY54は、P-37およびP-71の両方のエピトープを含む長いペプチドであり、RBDとACE2との間の相互作用海面に跨り、図6に示されたとおりである。
【0124】
実施例2.ポリペプチドの調製
本実施例において、ポリペプチド合成機を使用して、ポリペプチドP-37、P-67、P-71およびLY54を調製する。
【0125】
【表7】
【0126】
実施例3.カップリングペプチドの調製
人工的に合成されたポリペプチドP-37、P-67(P-67-F1およびP-67-F2)、P-71およびLY54等は、それぞれTLR7小分子アゴニストに結合して、対応するカップリングペプチドを形成する。
【0127】
結合ポリペプチドに使用されるTLR7小分子アゴニストの分子構造は、次のとおりである。
【0128】
【化4】
SZU-101-NHS:
【化5】
SZU-101-Mal:
【0129】
3.1.カップリングペプチドP-37-S2の調製
P-37ペプチド(CYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGS)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。18mgのP-37ペプチドを秤量し、270μLのHOおよび180μLのDMFの混合溶液に溶解し、4.88mgのSZU-101-Malを加え、同時に最終濃度30mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、C18分取カラムによって生成物を分離して、合成15.5mgのSZU-101とP-37ペプチドとのカップリング生成物P-37-S2を得、HRMS [M+5H]5+ 740.9976。
【0130】
3.2.カップリングペプチドP-67-F1-S2の調製
P-67-F1ペプチド(CYAWNRKRISN)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。16.5mgのP-67-F1ペプチドを秤量し、330μLのHOに溶解し、DMFに溶解した984μLのSZU-101-Malを加え(20mgのSZU-101-Malを秤量し、2mLのDMFに事前に溶解し、10mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度30mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、C18分取カラムによって生成物を分離して、合成9.3mgのSZU-101とP-67-F1ペプチドとのカップリング生成物P-67-F1-S2を得、HRMS [M+4H]4+ 494.2456。
【0131】
3.3.カップリングペプチドP-67-F2-S2的調製
P-67-F2ペプチド(CVADYSVLYNSASFSTFK)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。20mgのP-67-F2ペプチドを秤量し、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む2mLの50%アセトニトリル水溶液に溶解し、DMFに溶解した675μLのSZU-101-Malを加え(20mgのSZU-101-Malを秤量し、2mLのDMFに事前に溶解し、10mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度100mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、C18分取カラムによって生成物を分離して、合計13.5mgのSZU-101とP-67-F2-S2ペプチドとのカップリング生成物P-67-F2-S2を得、HRMS [M+3H]3+ 861.4077。
【0132】
3.4.カップリングペプチドP-71-S2の調製
P-71-Cペプチド(GVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。20mgのP-71-Cペプチドを秤量し、400μLのHOに溶解し、DMFに溶解した461μLのSZU-101-Malを加え(20mgのSZU-101-Malを秤量し、2mLのDMFに事前に溶解し、10mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度30mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、C18分取カラムによって生成物を分離して、合計20mgのSZU-101とP-71-Cペプチドとのカップリング生成物P-71-S2を得、HRMS [M+4H]4+ 971.4554。
【0133】
3.4.カップリングペプチドP-71-C-S1の調製
P-71-Cペプチド(GVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRK)与TLR7小分子アゴニストコンジュゲート的調製(2)。18mgのP-71-Cペプチドを秤量し、360μLのHOに溶解し、DMFに溶解した850μLのSZU-101-NHSを加え(DMFに事前に溶解して、20mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度20mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、三つのSZU-101小分子に結合する生成物を形成し、最終濃度5mMのDTTを加えた後に37℃下で1時間反応させ続け、二つのSZU-101に結合する生成物を形成し、C18分取カラムによって生成物を分離して、合計12mgのSZU-101とP-71-Cペプチドとのカップリング生成物P-71-C-S1を得、HRMS [M+4H]4+ 1042.9789。
【0134】
3.5.カップリングペプチドP-71-N-S1の調製
P-71-Nペプチド(KGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYR)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。22mgのP-71-Nペプチドを秤量し、440μLのHOに溶解し、DMFに溶解した1000μLのSZU-101-NHSを加え(DMFに事前に溶解して、20mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度20mMのNaHCOを加え、室温下で1時間反応させた後、三つのSZU-101小分子に結合する生成物を形成し、最終濃度5mMのDTTを加えた後に37℃下で1時間反応させ続け、二つのSZU-101に結合する生成物を形成し、C18分取カラムによって生成物を分離して、合計19mgのSZU-101とP-71-Nペプチドとのカップリング生成物P-71-N-S1を得、HRMS [M+4H]4+ 1042.9789。
【0135】
3.6.カップリングペプチドLY54-S1の調製
LY54ペプチド(LFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPY)とTLR7小分子アゴニストとのコンジュゲートの調製。10mgのLY54ペプチドを秤量し、200LのHOに溶解し、DMFに溶解した442μLのSZU-101-NHSを加え(DMFに事前に溶解して、20mg/mLの原液を形成する)、同時に最終濃度20mMのNaHCOを加え、温下で1時間反応させた後、五つのSZU-101小分子に結合する生成物を形成し、最終濃度5mMのDTTを加えた後に37℃下で1時間反応させ続け、三つのSZU-101に結合する生成物を形成し、C18分取カラムによって生成物を分離して、合計7.2mgのSZU-101とLY54ペプチドとのカップリング生成物LY54-S1を得、HRMS [M+6H]6+ 1035.0771。
【0136】
実施例4.インビトロマウス脾臓リンパ球増殖およびサイトカイン放出実験
実施例3で調製したP-37、P-67、P-71等のポリペプチド、およびTLR7アゴニストSZU-101に結合した後に形成されたカップリングペプチドを、BALB/cマウスの脾臓から分離および調製された初代脾臓リンパ球培養液に加え、1μM、10μM、30μM、60μMの四つの用量群を含み、サイトカインIL-6、IL~12、IFN-γを24時間刺激後に検出し、細胞増殖を72時間刺激後に検出する。
【0137】
P-71およびそれに対応するカップリングペプチドを例とし、図8および図9に示されるように、結果は、次のとおりである。
【0138】
(1)単独のポリペプチドは、脾臓リンパ球のサイトカインの放出の増加を誘導しないか、または弱く誘導でき、SZU-101に結合した後のカップリングペプチドは、脾臓リンパ球のサイトカインの放出の増加を効果的に誘導でき、これは、TLR7アゴニストに結合した後、ワクチンポリペプチドによって誘導される免疫応答を顕著に向上できることを示唆する。
【0139】
(2)檀独のポリペプチドは、脾臓リンパ球の増殖を誘導できないか、または弱く誘導でき、SZU-101に結合した後のカップリングペプチドは、脾臓リンパ球のサイトカイン増殖を効果的に誘導でき、これは、TLR7アゴニストにカップリングした後、ワクチンポリペプチドによって誘導される免疫応答を顕著に向上できることを示唆する。
【0140】
実施例5.結合ポリペプチドワクチンのマウス免疫実験
実施例3で調製したP-37、P-67、P-71等のポリペプチド、およびTLR7アゴニストSZU-101に結合して後に形成されたカップリングペプチドを、単独でまたは合併して使用し、合併する場合、混合比は、1:1:1(質量比)であり、水酸化アルミニウムをアジュバントとして調製した後、腹腔内注射してBALB/cマウスを免疫する。
【0141】
初回免疫から29日後および57日後に血清を採取し、ブリッジング-ELISA法(Bridging-ELISA)を使用して血清中(1:100倍希釈)のSARS-CoV-2のSタンパク質RBDに対する抗体を検出する。
【0142】
図10に示されるように、結果は、次のとおりである。
【0143】
(1)P-71-C-S1またはP-71-S2を含む混合ペプチド+アジュバント群では、RBDに対する抗体を有意に生成することができる。
【0144】
(2)単独のコンジュゲートP-37-S2+アジュバント群は、RBDに対する抗体を有意に生成することができる。
【0145】
(3)SZU-101にカップリングしない混合ペプチドは、RBDに対する抗体を誘導できるが、生成された抗体の数は、カップリングペプチドを含む混合ペプチド群よりも少なく、これは、TLR7アゴニストに結合した後、ワクチンポリペプチドによって誘導される免疫応答を顕著に向上できることを示唆する。
【0146】
実施例6.カップリングポリペプチドワクチンの蟹食猿免疫実験
本実施例において、SARS-CoV-2に対するカップリングポリペプチドワクチンの免疫効果を蟹食猿でさらに検証する。
【0147】
(a)P-37、P-67-F2、P-71がSZU-101に結合した混合カップリングペプチド(P-71-C-S1/P-71-N-S1/P-71-S2/P-37-S2/P-67-F2-S2)、(b)LY54、(c)LY54-S1を使用し、それぞれTiterMaxアジュバントで免疫製剤を調製し、蟹食猿を皮下多点注射により免疫し、2回目の免疫から14日後、Bridging-ELISA法を使用して抗体力価を測定し、抗血清がRBDとACE2との結合を遮断する能力を測定する。
【0148】
中和抗体は、競合ELISA法によって検出され、具体的な測定方法は、次のとおりである。10μg/mLのACE2を使用してマイクロタイタープレートを一晩コーティングし、ブロッキング後に使用する。サンプル希釈緩衝液で抗ペプチド血清を様々な程度に希釈し(1:128、1:64、1:32、1:16、1:8および1:4)、その後、異なる程度に希釈した抗血清を12μg/mLのBio-RBDとともに37℃で1時間インキュベートし、次に100μLの反応混合液を上記のブロッキングしたACE2コーティングマイクロタイタープレート上のウェルに加え、37℃下で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、1:10000希釈したHRP-Streptavidin Aを加え、37℃下で1時間インキュベートし、プレートを洗浄した後、TMBを加えて発色させ、終結後に450nmの波長下でプレートを読み取る。
【0149】
結果によると、すべての動物がRBDに対する抗体を生成し、抗体の力価がすべて比較的に高いことを示す(図11)。
【0150】
さらに、混合カップリングペプチド、LY54、LY54-S1を使用して生成した抗血清は、すべてRBDとACE2との結合を遮断する能力(図12)を有し、つまり、SARS-CoV-2ウイルスの感染を遮断する効果を有する。
【0151】
実施例7.ポリペプチドとACE2とのインビトロ結合実験
本実施例において、空間構造がRBDとACE2との相互作用海面に位置するポリペプチドP-37、P-71、LY54をビオチン標識し、ELISA法によって上記のポリペプチドとACE2との結合能力を検出する。
【0152】
具体的な測定方法は、次のとおりである。10ug/mLのACE2を使用してマイクロタイタープレートを一晩コーティングし、ブロッキング後に異なる濃度(1、0.5および0.25μg/mL)のビオチン標識ポリペプチドを加え、37℃下で1.5時間インキュベートした後、1:5000希釈したHRP-Streptavidin Aを加え、37℃下で1時間インキュベートし、プレートを洗浄した後、TMBを加えて発色させ、終結後に450nmの波長でプレートを読み取る。
【0153】
結果によると、ポリペプチドP-37、P-71、LY54は、ACE2に対して強い結合能力をゆすることを示し(図13)、これは、ポリペプチドP-37、P-71およびLY54自体が潜在的な遮断効果を有することを示唆する。
【0154】
議論
ポリペプチドワクチンは、免疫化のために免疫原性の高いタンパク質から一つまたは複数の抗原エピトープフラグメントを選択する。ポリペプチドワクチンのアミノ酸鎖が短いため、ポリペプチド合成技術の成熟により、迅速かつ大量のインビトロ合成および精製に便利であり、製品の各バッチの純度および再現性を容易に確保することができる。
【0155】
同時に、コンピューター補助のワクチン設計により、新規ウイルス等によって引き起こされる突然の公衆衛生上の問題に迅速にかつ対応し、ワクチン開発に適合した候補ペプチドセグメントを予測およびスクリーニングすることができる
さらに、他の種類のワクチンと比較して、ポリペプチドワクチンは、明確なエピトープ、優れた安定性、高い純度、およびより優れた安全性を有する。しかしながら、ポリペプチドワクチンのアミノ酸鎖の長さは、比較的に短く、通常約10~30アミノ酸であるため、免疫原性が低いという問題にも直面しており、通常より良い免疫応答を生み出すために修飾またはアジュバントの追加が必要になる。
【0156】
ポリペプチドワクチンの設計には、コンピューターを利用したワクチン設計技術の補助が必要であり、通常、標的タンパク質のT/B細胞エピトープならびに構造および修飾情報を包括的に分析する必要がある。ここで、CD8+T細胞エピトープは、キラーT細胞を活性化して抗ウイルス効果を発揮し、CD4+T細胞エピトープは、主にヘルパーT細胞を活性化してB細胞を非活性化して、抗ウイルス抗体を生成する。線形およびコンフォーメーションB細胞エピトープは、B細胞を直接活性化して抗体を生成することができる。
【0157】
SARS-CoV-2は、表面のSpike glycoprotein(Sタンパク質)がアンジオテンシン変換酵素2(Angiotensin-convertion enzyme 2、ACE2)タンパク質に結合することにより、宿主細胞に侵入する。従って、Sタンパク質は、ウイルスの侵入を遮断できる中和抗体の生成を誘導することを期待する、COVID-19ワクチン設計の好ましい標的タンパク質である。しかしながら、現在知られているワクチンは、コロナウイルスSARS-CoV-2に対する免疫応答を体に効果的に引き起こすことは困難である。
【0158】
従って、SARS-CoV-2に対して高効率の抗原提示細胞を活性化することは、SARS-CoV-2ワクチンを開発するための鍵となる。
【0159】
本発明者らは、研究を通じて、スクリーニングおよび配列最適化後のコロナウイルスSARS-CoV-2のSタンパク質の抗原ポリペプチド、およびTLR7小分子アゴニストに結合することによって形成されたワクチンポリペプチドに基づいて、霊長類動物を含む体でSタンパク質のRBD領域に対して遮断効果を有する抗ウイルス抗体を効果的に誘導および生成することができることを予想外に発見した。さらに、結合したTLR7小分子アゴニストSZU-101のワクチンポリペプチドは、抗原提示細胞を効率的に活性化し、ポリペプチドの免疫原性が低く、ウイルスの免疫逃避の発生などの問題を克服することができる。
【0160】
従って、本発明のカップリングペプチドは、新規コロナウイルスポリペプチドワクチンを開発するために使用されることができる。人体で細胞性免疫および体液性免疫を引き起こすことにより、新規コロナウイルス肺炎(Corona virus disease 2019、COVID-19)を含むコロナウイルスSARS-CoV-2感染および関連疾患を予防および治療する。
【0161】
さらに、本発明者らは、TLR7アゴニストと特異的抗原ポリペプチドとを結合することによって形成されるカップリングポリペプチド(特にS1および/またはS2構造等のTLR7小分子アゴニストSZU-101にカップリングすることによって形成される結合ポリペプチド)の策略を、他の一本鎖RNAウイルス(ssRNAウイルス)感染症またはその関連疾患を予防および治療するための薬物またはワクチンの開発、特にSARS、MERS等の既知のコロナウイルスおよび未知のコロナウイルスを含む様々な異なるコロナウイルスに対するワクチンの開発にも適用することができる。
【0162】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
0007641512000001.app