(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】抄紙用耐水剤キット、耐水紙及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D21H 21/16 20060101AFI20250228BHJP
D21H 17/20 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
D21H21/16
D21H17/20
(21)【出願番号】P 2020057425
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591018051
【氏名又は名称】明成化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】古澤 浩基
(72)【発明者】
【氏名】清山 日出男
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-312595(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054856(WO,A1)
【文献】特開2000-178895(JP,A)
【文献】特開平11-268406(JP,A)
【文献】特開昭60-246893(JP,A)
【文献】特開2005-232621(JP,A)
【文献】特開2019-039080(JP,A)
【文献】特開2020-180395(JP,A)
【文献】特開2002-284140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 21/16
D21H 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤と、
長鎖アクリレート-シリコーンマクロモノマー共重合体系耐水剤、ハイブリッドエマルション系耐水剤、長鎖アクリレート-ハロゲン化オレフィン共重合体系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と長鎖アルキル変性シリコーン重合体のブレンド系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と塩化ビニル系重合体とシリコーン樹脂のブレンド系耐水剤、アミノ変性シリコーンとシリコーン樹脂と多官能イソシアネートのブレンド系耐水剤、ポリウレタン系耐水剤、ポリ尿素系耐水剤及びポリウレタンデンドリマー系耐水剤からなる群より選択される少なくとも1種であ
り、電荷密度が-100.0~+200.0μeq/gである非フッ素系耐水剤からなる第2剤と、
を備え、
用時に
、紙料中のパルプ100.0gに対して前記カチオン性高分子凝結剤を、電荷量が110~7236μeqとなる添加量で、紙料と前記第1剤及び前記第2剤を順次混合して、紙料が抄紙された紙基材に耐水性を付与するための、抄紙用耐水剤キット。
【請求項2】
前記カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が、+100.0~+10000.0μeq/gである、請求項
1に記載の抄紙用耐水剤キット。
【請求項3】
前記カチオン性高分子凝結剤が、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン性ポリアクリルアミド、及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド又はその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1
又は2に記載の抄紙用耐水剤キット。
【請求項4】
紙料が抄紙された紙基材であって、
少なくとも、
紙料中のパルプ100.0gに対して電荷量が110~7236μeqとなる添加量のカチオン性高分子凝結剤と、長鎖アクリレート-シリコーンマクロモノマー共重合体系耐水剤、ハイブリッドエマルション系耐水剤、長鎖アクリレート-ハロゲン化オレフィン共重合体系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と長鎖アルキル変性シリコーン重合体のブレンド系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と塩化ビニル系重合体とシリコーン樹脂のブレンド系耐水剤、アミノ変性シリコーンとシリコーン樹脂と多官能イソシアネートのブレンド系耐水剤、ポリウレタン系耐水剤、ポリ尿素系耐水剤及びポリウレタンデンドリマー系耐水剤からなる群より選択される少なくとも1種であ
り、電荷密度が-100.0~+200.0μeq/gである非フッ素系耐水剤とが紙基材に含まれている、耐水紙。
【請求項5】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の抄紙用耐水剤キットを用いて、紙基材が耐水処理されてなる、耐水紙。
【請求項6】
JIS P8140:1998(紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法)の規定に準拠して測定されるコブ吸水度が、25.0g/m
2以下である、請求項
4又は5に記載の耐水紙。
【請求項7】
前記カチオン性高分子凝結剤及び前記非フッ素系耐水剤の合計含有量が、0.05~10.0g/m
2である、請求項
4~6のいずれか1項に記載の耐水紙。
【請求項8】
前記カチオン性高分子凝結剤の含有割合が0.05~10.0質量%であり、前記非フッ素系耐水剤の含有割合が0.5~20.0質量%である、請求項
4~7のいずれか1項に記載の耐水紙。
【請求項9】
紙料中のパルプ100.0gに対してカチオン性高分子凝結剤を、電荷量が110~7236μeqとなる添加量で、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤を紙料と混合する工程1と、
前記工程1で得られた混合物と、長鎖アクリレート-シリコーンマクロモノマー共重合体系耐水剤、ハイブリッドエマルション系耐水剤、長鎖アクリレート-ハロゲン化オレフィン共重合体系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と長鎖アルキル変性シリコーン重合体のブレンド系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と塩化ビニル系重合体とシリコーン樹脂のブレンド系耐水剤、アミノ変性シリコーンとシリコーン樹脂と多官能イソシアネートのブレンド系耐水剤、ポリウレタン系耐水剤、ポリ尿素系耐水剤及びポリウレタンデンドリマー系耐水剤からなる群より選択される少なくとも1種であ
り、電荷密度が-100.0~+200.0μeq/gである非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを混合する工程2と、
前記工程2で得られた混合物を抄紙する工程3と、
を備える、耐水紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙用耐水剤キット、耐水紙及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐水紙、耐油紙など、耐水性や耐油性などが付与された紙が様々な分野で使用されている。このような改質した紙の製造方法としては、様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紙基体に、少なくとも(メタ)アクリル酸のC12~C40アルキルエステルを重合単位として有するポリマーをコーティングする、紙基体の改質方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、耐油層のうち少なくとも1層中にメタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル-スチレン共重合体撥水剤を含有させた撥水耐油紙が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、紙中にガラス転移点20℃以上の合成樹脂及び撥水剤から成る樹脂成分を含有し、該樹脂成分の含有率が2質量%以上30質量%未満で、かつ合成樹脂/撥水剤の重量比が80/20~98/2である樹脂含有紙が提案されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、セルロース系基体に、エチレン系熱可塑性ポリマーと、少なくとも1種の高分子安定剤との溶融混錬物の水性分散体を塗工した、耐油脂性、耐水性、透湿性のいずれかに優れる塗工セルロース物品が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-154493号公報
【文献】特開2015-151647号公報
【文献】特開2004-308094号公報
【文献】特開2016-65352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、抄紙に利用することによって耐水紙を好適に製造することができる、抄紙用耐水剤キットを提供することを主な目的とする。また、本発明は、抄紙用耐水剤キットを利用した耐水紙の製造方法、及び耐水紙を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを備えるキットを調製し、当該キットを利用し、用時に紙料と前記第1剤及び前記第2剤を順次混合して、紙料を抄紙することにより、紙基材に対して耐水性を好適に付与できることを見出した。さらに、カチオン電荷密度が特定範囲内のカチオン性高分子凝結剤を利用すると、非フッ素系耐水剤がアニオン性であってもカチオン性であっても、紙基材に対して耐水性を好適に付与できることも見出した。また、古紙含有率の高い紙料(すなわち、微細繊維の含有率が高い紙料)を用いた場合にも、紙基材に対して耐水性を好適に付与できることも見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねて完成した発明である。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の構成を備える発明を提供する。
項1. カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤と、
非フッ素系耐水剤からなる第2剤と、
を備え、
用時に紙料と前記第1剤及び前記第2剤を順次混合して、紙料が抄紙された紙基材に耐水性を付与するための、抄紙用耐水剤キット。
項2. 前記非フッ素系耐水剤の電荷密度が、-100.0~+200.0μeq/gである、項1に記載の抄紙用耐水剤キット。
項3. 前記非フッ素系耐水剤が、長鎖アクリレート系耐水剤、長鎖アクリレート-シリコーンマクロモノマー共重合体系耐水剤、ハイブリッドエマルション系耐水剤、長鎖アクリレート-ハロゲン化オレフィン共重合体系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と長鎖アルキル変性シリコーン重合体のブレンド系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と塩化ビニル系重合体とシリコーン樹脂のブレンド系耐水剤、アミノ変性シリコーンとシリコーン樹脂と多官能イソシアネートのブレンド系耐水剤、ポリウレタン系耐水剤、ポリ尿素系耐水剤及びポリウレタンデンドリマー系耐水剤からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の抄紙用耐水剤キット。
項4. 前記カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が、+100.0~+10000.0μeq/gである、項1~3のいずれか1項に記載の抄紙用耐水剤キット。
項5. 前記カチオン性高分子凝結剤が、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド又はその誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマーの共重合体、ポリアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物、N-ビニルホルムアミド-ビニルアミン共重合体、メラミン樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ジメチルアミンエピクロルヒドリン樹脂及びジメチルアミン-エチレンジアミンエピクロルヒドリン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれか1項に記載の抄紙用耐水剤キット。
項6. 少なくとも、カチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤が紙基材に含まれている、耐水紙。
項7. 項1~5のいずれか1項に記載の抄紙用耐水剤キットを用いて、紙基材が耐水処理されてなる、耐水紙。
項8. JIS P8140:1998(紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法)の規定に準拠して測定されるコブ吸水度が、25.0g/m2以下である、項6又は7に記載の耐水紙。
項9. 前記カチオン性高分子凝結剤及び前記非フッ素系耐水剤の合計含有量が、0.05~10.0g/m2である、項6~8のいずれか1項に記載の耐水紙。
項10. 前記カチオン性高分子凝結剤の含有割合が0.05~10.0質量%であり、前記非フッ素系耐水剤の含有割合が0.5~20.0質量%である、項6~9のいずれか1項に記載の耐水紙。
項11. カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤を紙料と混合する工程1と、
前記工程1で得られた混合物と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを混合する工程2と、
前記工程2で得られた混合物を抄紙する工程3と、
を備える、耐水紙の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、抄紙に利用することによって耐水紙を好適に製造することができる、抄紙用耐水剤キットを提供することができる。また、本発明によれば、抄紙用耐水剤キットを利用した耐水紙の製造方法、及び耐水紙を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の抄紙用耐水剤キットは、少なくとも、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを備え、用時に紙料と、第1剤、第2剤を順次混合して、紙料が抄紙された紙基材に耐水性を付与するために用いられるものであることを特徴としている。本発明の抄紙用耐水剤キットは、このような構成を備えることにより、紙基材に対して耐水性を好適に付与することができる。
【0013】
また、本発明の耐水紙は、本発明の抄紙用耐水剤キットを利用して好適に製造することができる。すなわち、本発明の耐水紙は、本発明の抄紙用耐水剤キットを用いて、紙基材が耐水処理されてなる、耐水紙であることを特徴としている。本発明の耐水紙においては、少なくとも、カチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤が、紙基材に含まれている。本発明の耐水紙は、このような構成を備えることにより、優れた耐水性を発揮し得る。
【0014】
また、本発明の耐水紙の製造方法は、発明の抄紙用耐水剤キットを利用した耐水紙の製造方法であり、少なくとも、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤を紙料と混合する工程1と、工程1で得られた混合物と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを混合する工程2と、工程2で得られた混合物を抄紙する工程3とを備えることを特徴としている。本発明の耐水紙の製造方法は、このような構成を備えることにより、耐水紙を好適に製造することができる。
【0015】
以下、本発明の抄紙用耐水剤キット、耐水紙、及び耐水紙の製造方法について詳述する。
【0016】
なお、本発明において、「電荷密度」とは、電荷量がゼロになるまで試料と反対の電荷をもった標準滴定液を試料に加えて求められる値である。一般的に、アニオン滴定液としてはポリエチレンスルホン酸ナトリウム(PES-Na)またはポリビニル硫酸カリウム(PVSK)が使用され、カチオン滴定液としてはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PolyDADMAC)が使用される。
【0017】
また、「紙料スラリー」とは、紙料が液状媒体に分散したものを意味し、例えば「パルプスラリー」とは、パルプが液状媒体に分散したものを意味する。
【0018】
また、「アニオン性基」とは、カチオンが解離したときに負電荷を有するようになる基を意味し、カチオンがプロトンである酸型と、カチオンがアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等である塩型とがある。
【0019】
また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
【0020】
また、「主成分とする」とは、該成分を50質量%以上含むことを意味する。
【0021】
[抄紙用耐水剤キット]
本発明の抄紙用耐水剤キットは、第1剤としてのカチオン性高分子凝結剤と、第2剤としての非フッ素系耐水剤とを備えている。本発明の抄紙用耐水剤キットは、次のようにして使用される。すなわち、後述する紙料と、第1剤としてのカチオン性高分子凝結剤とを混合して混合物を得る。次に、得られた混合物と、第2剤としての非フッ素系耐水剤とを混合して混合物を得る。このようにして得られたこの混合物を抄紙に供することにより、紙基材に非フッ素系耐水剤が好適に付着した紙基材が得られ、紙基材に対して耐水性が付与される。
【0022】
(カチオン性高分子凝結剤)
カチオン性高分子凝結剤としては、通常の抄紙において用いられるカチオン性紙力増強剤等が挙げられる。カチオン性高分子凝結剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0023】
カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度は、好ましくは+100.0~+10000.0μeq/g程度である。カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が前記範囲の下限値以上であれば、例えば古紙含有率の高い紙料(例えば、古紙含有率が60%以上の紙料)のように、微細繊維を多く含む紙料を用いた場合にも、アニオン性の紙料(すなわち、セルロースなど)を好適にカチオン化することができる。また、カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が前記範囲の上限値以下であれば、例えば古紙含有率の高い紙料のように、微細繊維を多く含む紙料を用いた場合にも、抄紙の際に、カチオン性高分子凝結剤によって微細繊維を好適に捕捉することができる。また、これらのカチオン電荷密度を満たすことにより、後述する非フッ素系耐水剤が、アニオン性(アニオン性非フッ素系耐水剤)であっても、カチオン性(すなわちカチオン性非フッ素系耐水剤)であっても、非フッ素系耐水剤が紙料表面に均一性高く定着することができる。
【0024】
カチオン性高分子凝結剤の具体例としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド〔アクリルアミド-アリルアミン共重合体、アクリルアミド-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド-4級化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド-4級化ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体など〕、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド又はその誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマーの共重合体、ポリアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物、N-ビニルホルムアミド-ビニルアミン共重合体、メラミン樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ジメチルアミンエピクロルヒドリン樹脂、ジメチルアミン-エチレンジアミンエピクロルヒドリン共重合体樹脂等が挙げられる。
【0025】
紙料(固形分)100.0質量部に対して、カチオン性高分子凝結剤の使用割合としては、好ましくは0.05~10.0質量部程度、より好ましくは0.1~5.0質量部程度である。
【0026】
また、本発明の抄紙用耐水剤キットにおいて、第1剤としてのカチオン性高分子凝結剤と、第2剤としての非フッ素系耐水剤との割合(第1剤:第2剤(質量比))としては、好ましくは1:0.5~100程度、より好ましくは1:1~50程度が挙げられる。
【0027】
(非フッ素系耐水剤)
本フッ素系耐水剤としては、アニオン性非フッ素系耐水剤、カチオン性非フッ素系耐水剤のいずれも使用可能であるが、紙料への非フッ素耐水剤の定着効率の観点からは、カチオン性非フッ素系耐水剤が好ましい。非フッ素系耐水剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0028】
非フッ素系耐水剤の具体例としては、長鎖アクリレート系耐水剤、長鎖アクリレート-シリコーンマクロモノマー共重合体系耐水剤、ハイブリッドエマルション系耐水剤、長鎖アクリレート-ハロゲン化オレフィン共重合体系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と長鎖アルキル変性シリコーン重合体のブレンド系耐水剤、長鎖アクリレート共重合体と塩化ビニル系重合体とシリコーン樹脂のブレンド系耐水剤、アミノ変性シリコーンとシリコーン樹脂と多官能イソシアネートのブレンド系耐水剤、ポリウレタン系耐水剤、ポリ尿素系耐水剤、ポリウレタンデンドリマー系耐水剤が挙げられる。
【0029】
非フッ素系耐水剤の電荷密度は、好ましくは-100.0~+200.0μeq/g程度である。
【0030】
(紙料)
本発明の抄紙用耐水剤キットが処理対象とする紙料としては、製紙に供されるものであれば特に制限されず、たとえば、非塗工紙の紙料が挙げられる。紙料としては、一般にパルプが使用される。パルプとしては、植物セルロースを含むもの(木材、草、竹、稲わら、葦、バガス、ヤシ等)が挙げられる。また、古紙を処理して製造されるリサイクルパルプを用いてもよい。パルプは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
パルプの具体例としては、針葉樹の晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹の晒しクラフトパルプ(LBKP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)等が挙げられる。また、本発明の抄紙用耐水剤は、前記の通り、古紙含有率の高いパルプ(例えば、古紙含有率が60%以上のパルプ)を使用して紙を製造する場合に、特に好適である。本発明に用いられる古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
【0032】
本発明の抄紙用耐水剤キットは、抄紙の工程で使用することが好適である。従って、紙料はスラリー(好ましくはパルプスラリー)の状態で、本発明の抄紙用耐水剤キットの第1剤、第2剤と順次混合されることが好ましい。一般に、製紙における抄紙工程では、紙料を水に分散させて希釈した後、得られた紙料のスラリーをワイヤー(網)に載せて水を落とすことで抄紙されている(ワイヤーパート)。本発明の抄紙用耐水剤キットは、抄紙工程において、第1剤(カチオン性高分子凝結剤)を紙料スラリーに添加することにより、紙料に第1剤が好適に付着し、さらに第1剤が紙料に付着することにより、第2剤(非フッ素系耐水剤)も紙料に好適に付着するため、ワイヤーパートでの非フッ素系耐水剤の流出が抑制され、抄紙後の紙基材に対して、好適に耐水性を付与することができる。このような耐水性の付与は、微細繊維を多く含む、古紙含有率の高いパルプを紙料とする場合に、特に顕著な効果を発現することができる。本発明においては、カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が前記の範囲にある場合、当該効果を奏するために特に有効である。
【0033】
本発明の抄紙用耐水剤キットを利用する抄紙工程においては、第1剤及び第2剤に加えて、さらに他の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、公知の紙の製造方法の抄紙工程で使用されているものを使用することができ、例えば、柔軟剤、サイズ剤、定着剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、染料、顔料等が挙げられる。例えば、サイズ剤としては、カチオン性サイズ剤、アニオン性サイズ剤、ロジン系サイズ剤(例えば、酸性ロジン系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤等)、スチレン-アクリル酸系共重合体、アルケニルコハク酸無水物、アルキルケテンダイマー等が挙げられる。
添加剤の使用量は、適宜調整すればよく、例えば、サイズ剤の量は、紙料(固形分)100質量部に対して0.001~5.0質量部程度とすることができる。
【0034】
[耐水紙の製造方法]
本発明の耐水紙の製造方法は、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤を紙料と混合する工程1と、工程1で得られた混合物と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを混合する工程2と、工程2で得られた混合物を抄紙する工程3とを備える。
【0035】
本発明の耐水紙の製造方法は、例えば、前述した本発明の抄紙用耐水剤キットを用いることにより、好適に製造することができる。
【0036】
工程1においては、カチオン性高分子凝結剤からなる第1剤を紙料と混合する。カチオン性高分子凝結剤、紙料の詳細については、前述の通りである。
【0037】
なお、紙料としてパルプを用いる場合、植物セルロースなどのパルプ化法としては、機械パルプ化法、サーモメカニカルパルプ化法、ケミサーモメカニカルパルプ化法、クラフトパルプ化法、サルファイトパルプ化法、脱墨パルプ化法、リサイクルパルプ化法等、公知のパルプ化法を採用できる。
【0038】
前記の通り、紙料は水に分散したスラリー状とし、当該スラリーに対して、第1剤を添加、混合することが好ましい。紙料のスラリーは、紙料を液状媒体に公知の方法によって離解することによって調製できる。離解方法としては、ディスインテグレータを用いる方法等が挙げられる。液状媒体としては、水を主成分とする水性媒体が好ましい。水性媒体としては、取り扱い性および安全衛生の点から、水、または水と、水と共沸混合物を形成する有機溶媒とを含む共沸混合物が好ましい。該有機溶媒としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
【0039】
スラリー中の紙料の濃度の下限は、0.3質量%が好ましく、0.7質量%がより好ましく、1.0質量%がさらに好ましい。スラリー中の紙料の濃度の上限は、6.0質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましく、4.0質量%がさらに好ましい。紙料の濃度が前記範囲の下限値以上であれば、本発明の効果が充分に発揮される。紙料の濃度が前記範囲の上限値以下であれば、微細繊維がさらに凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によって微細繊維の表面をさらに均一にカチオン化できる。
【0040】
工程1において、カチオン性高分子凝結剤の混合割合は、紙料(固形分100.0質量部)に対して0.3~5.0質量部が好ましく、1.0~4.0質量部がより好ましい。カチオン性高分子凝結剤の混合割合が前記範囲の下限値以上であれば、カチオン性高分子凝結剤によって微細繊維をさらに充分にカチオン化することができる。カチオン性高分子凝結剤の混合割合が前記範囲の上限値以下であれば、例えばスラリー中の古紙含有率が高くなっても、カチオン性高分子凝結剤によって紙料がさらに凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によって微細繊維をさらに均一にカチオン化することができる。
【0041】
工程2においては、工程1で得られた紙料及び第1剤の混合物と、非フッ素系耐水剤からなる第2剤とを混合する。非フッ素系耐水剤の詳細については、前述の通りである。前記の通り、紙料は水に分散したスラリー状とし、当該スラリーに対して、工程1で第1剤を添加、混合し、さらに工程2で第2剤を添加することが好ましい。
【0042】
工程2において、非フッ素系耐水剤の混合割合は、紙料(固形分100.0質量部)に対して0.5~20.0質量部が好ましく、1.0~15.0質量部がより好ましく、1.0~10.0質量部が特に好ましい。非フッ素系耐油剤の混合割合が前記範囲の下限値以上であれば、耐水性にさらに優れる耐水紙が得られる。非フッ素系耐油剤の含有割合が前記範囲の上限値以下であれば、コスト面で有利である。
【0043】
なお、工程1及び工程2においては、それぞれ、本発明の効果を損なわない範囲内で前述した添加剤を混合することができる。また、第1剤、第2剤、必要に応じて混合される前記の添加剤の混合は、後述する工程3の抄紙において、紙料をワイヤ上に供給する前であれば、どの段階で行ってもよく、具体的には、パルプ製造工程、紙料調製工程等で行うことができ、紙料調製工程で行うことが好ましい。
【0044】
工程3においては、工程2で得られた混合物を抄紙する。抄紙方法は、製紙において採用されている公知の抄紙方法を採用することができ、一般には、抄紙機を用いて実施される。抄紙機は、紙料スラリーをワイヤ上で脱水可能な装置であればよい。抄紙機としては、長網抄紙機のような連続式の抄紙機のほかに、紙料スラリーをワイヤで形成された成型枠上に添加した後に、ワイヤ下部から脱水し、成型体を製造する、バッチ式のモールド成型機等もその範疇に含める。
【0045】
本発明の耐水紙の製造方法によれば、以上のように、カチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤が紙基材の全体に分散した耐水紙が製造される。すなわち、本発明の耐水紙の全体にカチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤が含まれることから、例えば紙基材の表面部分にのみ耐水性が付与された耐水紙と比較すると、耐水紙の折り目、皺による耐水性低下を好適に抑制することができる。
【0046】
[耐水紙]
本発明の耐水紙は、少なくとも、紙基材と、カチオン性高分子凝結剤と、非フッ素系耐水剤とを含む。前記の通り、本発明の耐水紙は、カチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤が、紙基材の全体に分散された耐水紙とすることができる。
【0047】
本発明の耐水紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば、前述の本発明の抄紙用耐水剤キットを用いて、紙基材を耐水処理することで好適に製造される。具体的には、前述の本発明の製造方法を採用することで好適に製造される。
【0048】
耐水紙に含まれるカチオン性高分子凝結剤、非フッ素系耐水剤、紙料、必要に応じて混合される添加剤等については、前記の通りである。
【0049】
本発明の耐水紙において、カチオン性高分子凝結剤の含有割合は、好ましくは0.05~10.0質量%であり、より好ましくは0.1~5.0質量%である。また、非フッ素系耐水剤の含有割合は、好ましくは0.5~20.0質量%であり、より好ましくは1.0~15.0質量%であり、特に好ましくは1.0~10.0質量%である。また、本発明の耐水紙において、カチオン性高分子凝結剤及び非フッ素系耐水剤の合計含有量は、好ましくは0.05~10.0g/m2、より好ましくは0.1~5.0g/m2である。
【0050】
また、本発明の耐水紙は、JIS P8140:1998(紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法)の規定に準拠して測定されるコブ吸水度が、25.0g/m2以下であることが好ましく、21.0g/m2以下であることがより好ましい。
【0051】
本発明の耐水紙において、紙基材の形態としては、長尺のウェブ状のもの、これを裁断した枚葉状のもの、パルプモールド成型機で得られた成型体(容器等)等が挙げられる。
【0052】
本発明の耐水紙において、紙基材の表面には、紙基材とは異なる他の層が設けられていてもよい。他の層としては、紙基材の表面に顔料を含む塗料を塗工して形成された、いわゆる塗工紙における塗工層等が挙げられる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例、比較例、及び参考例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
【0054】
(電荷密度)
電荷密度の測定には、BTG社の粒子電荷計(Paticle Charge Detector PCD03)を用いた。滴定量が0.1~1.0mlとなるように測定試料を水で希釈し、メスピペットで測定容器に希釈した試料を10.0ml測り取り、カチオン性試料の測定の際はアニオン滴定液を滴定、アニオン性試料の測定の際はカチオン滴定液で滴定し、その滴定量から電荷密度を計算した。
【0055】
(カチオン性高分子凝結剤)
カチオン性高分子凝結剤として、以下のものを使用した。
・カチオン性高分子凝結剤(A1):ポリアミドエピクロロヒドリン、Hercules社製Kymene 557H、電荷密度2010μeq/1g(固形分)
・カチオン性高分子凝結剤(A2):カチオン性ポリアクリルアミド、明成化学社製アロマフィックスPT、電荷密度550μeq/1g(固形分)
・カチオン性高分子凝結剤(A3):ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、明成化学社製AGフィックス M-80、電荷密度6200μeq/1g(固形分)
【0056】
(非フッ素系耐水剤)
非フッ素系耐水剤として、以下のものを使用した。
・非フッ素系耐水剤(B1):長鎖アクリレート-シリコーン共重合体系耐水剤、電荷密度88.0μeq/1g(固形分)
・非フッ素系耐水剤(B2):長鎖アクリレート-塩化ビニル共重合体系耐水剤、電荷密度100.6μeq/1g(固形分)
・非フッ素系耐水剤(B3):ハイブリッドエマルション系耐水剤、電荷密度5.2μeq/1g(固形分)
・非フッ素系耐水剤(B4):長鎖アクリレート-シリコーン共重合体系耐水剤、電荷密度-58.0μeq/1g(固形分)
・非フッ素系耐水剤(B5):長鎖アクリレート系耐水剤、電荷密度-568.0μeq/1g(固形分)
【0057】
(実施例1)
段ボール古紙パルプを水に分散させパルプ濃度を1質量%に調整し、薬剤未添加の段ボール古紙パルプスラリーを得た。薬剤未添加の段ボール古紙パルプスラリーに、カチオン性高分子凝結剤(A1)をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して0.2質量部となるように添加し、5分間攪拌した。さらに非フッ素系耐水剤(B1)をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して5.4質量部となるように添加し、5分間攪拌した後、坪量が50g/m2となるように抄紙し、本発明に係る耐水紙を得た。
【0058】
(実施例2)
カチオン性高分子凝結剤(A1)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して3.6質量部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0059】
(実施例3)
カチオン性高分子凝結剤(A1)をカチオン性高分子凝結剤(A2)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0060】
(実施例4)
カチオン性高分子凝結剤(A2)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して3.6質量部に変更した以外は実施例3と同様にして耐水紙を得た。
【0061】
(実施例5)
カチオン性高分子凝結剤(A1)をカチオン性高分子凝結剤(A3)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0062】
(実施例6)
非フッ素系耐水剤(B1)を非フッ素系耐水剤(B2)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0063】
(実施例7)
非フッ素系耐水剤(B1)を非フッ素系耐水剤(B3)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0064】
(実施例8)
非フッ素系耐水剤(B3)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して3.6質量部に変更した以外は実施例7と同様にして耐水紙を得た。
【0065】
(実施例9)
非フッ素系耐水剤(B3)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して7.2質量部に変更した以外は実施例7と同様にして耐水紙を得た。
【0066】
(実施例10)
非フッ素系耐水剤(B1)を非フッ素系耐水剤(B4)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0067】
(実施例11)
カチオン性高分子凝結剤(A1)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して2.4質量部に変更した以外は実施例10と同様にして耐水紙を得た。
【0068】
(実施例12)
非フッ素系耐水剤(B4)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して3.6質量部に変更した以外は実施例11と同様にして耐水紙を得た。
【0069】
(実施例13)
カナダ標準フリーネスが140mlとなるようにリファイナーで調整した広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)とを乾燥質量でLBKP:NBKP=70:30となるように混合し、水に分散させパルプ濃度を1質量%に調整し、薬剤未添加のバージンパルプスラリーを得た。
【0070】
薬剤未添加のバージンパルプスラリーに、カチオン性高分子凝結剤(A1)をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して0.2質量部となるように添加し、5分間攪拌した。さらに非フッ素系耐水剤(B1)をパルプスラリー中のパルプ100質量部に対して5.4質量部となるように添加し、5分間攪拌した後、坪量が50g/m2となるように抄紙し、耐水紙を得た。
【0071】
(実施例14)
非フッ素系耐水剤(B1)を非フッ素系耐水剤(B3)に変更し、さらに非フッ素系耐水剤の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して1.8質量部に変更した以外は実施例13と同様にして耐水紙を得た。
【0072】
(比較例1)
実施例1の耐水紙の製造においてカチオン性高分子凝結剤(A1)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0073】
(比較例2)
実施例1の耐水紙の製造において非フッ素系耐水剤(B1)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0074】
(比較例3)
実施例13の耐水紙の製造においてカチオン性高分子凝結剤(A1)を添加しなかった以外は実施例13と同様にして耐水紙を得た。
【0075】
(比較例4)
実施例13の耐水紙の製造において非フッ素系耐水剤(B1)を添加しなかった以外は実施例13と同様にして耐水紙を得た。
【0076】
(参考例1)
カチオン性高分子凝結剤(A3)の添加量をパルプスラリー中のパルプ100.0質量部に対して1.6質量部に変更した以外は実施例5と同様にして耐水紙を得た。
【0077】
(参考例2)
非フッ素系耐水剤(B1)を非フッ素系耐水剤(B5)に変更した以外は実施例1と同様にして耐水紙を得た。
【0078】
得られた耐水紙について、以下の評価を行った。その評価結果は表1に示す通りであった。
【0079】
(吸水度)
JIS P 8140:1998の「紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法」に従い、接触時間:60秒、試験時間:22℃にて試験紙の吸水度を測定した。
【0080】
【0081】
カチオン性高分子凝結剤と非フッ素系耐水剤の両方を用いた実施例1~14は、カチオン性高分子凝結剤もしくは非フッ素系耐水剤の添加を行わなかった比較例1~4に比べ、耐水性に優れていた。