(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20250228BHJP
【FI】
A01G31/00 612
(21)【出願番号】P 2021097746
(22)【出願日】2021-06-11
【審査請求日】2024-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593064951
【氏名又は名称】兵神機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093698
【氏名又は名称】進藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 悠太
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/103000(WO,A1)
【文献】特開2013-191107(JP,A)
【文献】特開2017-184622(JP,A)
【文献】特開2005-198563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の栽培方法であって、
日平均気温から栽培する野菜の生育限界温度を差し引いた温度分の積算値である有効積算気温の当該野菜が収穫可能となるまでの積算値である積算温度を、栽培期間毎の予想される有効積算気温で除した値で栽培期間毎の収穫までにかかる日数を予測して当該野菜の生産計画を立て、
太陽光利用型の野菜栽培用建物内に設置した水耕栽培装置に載置する前の育苗容器を用いて播種から育苗までを行い、
育苗が完了し発芽した苗を育苗容器ごと前記水耕栽培装置に載置して定植を行い、培養液管理及び温度管理を含む環境管理の下に生産計画に基づく栽培を行うことを特徴とする栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大葉のべビーリーフ、葉ニンニク等、成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の水耕栽培を活用した栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大葉のベビーリーフは、大葉の葉を幼葉の段階で収穫して食用(例えば料理のツマ)として利用するもので、芽ジソなどとも呼ばれ主に料理のあしらいとして古くから利用されている。また、葉ニンニクは、成長過程の若いニンニクの葉、特に、花芽の柔らかい時期に葉鞘および葉身の部分を収穫して食用とするもので、高知県や沖縄県では古くから栽培されている。高知県では、「ぬた」と呼ばれる特産の料理や中国料理の回鍋肉では本来葉にんにくが使用されているなど利用は多岐にわたるが、全国的な普及には至っていない。そして、これら大葉のベビーリーフ及び葉ニンニクは、一般的には土耕栽培で栽培されている。
【0003】
大葉のベビーリーフは、土耕栽培で年に10回程度収穫を行うことが出来る。大葉のベビーリーフは、収穫する植物体のサイズが小さい為、株間条間が1cm×1cm(100cm2に10,000株)で定植を行って栽培するのが一般的である。シソも大葉用のシソ等の栽培では水耕栽培も盛んに行われているが、大葉のベビーリーフの水耕栽培は一般的ではない。
【0004】
また、葉ニンニクは、土耕栽培で収穫することが出来る時期が限られており、10月に植え付けを行い、収穫は2月上旬から4月上旬頃(多くは3月下旬)までであるため、年1回の収穫に留まっている場合が多く、周年で収穫することは出来ていない。葉ニンニクは、株間条間が4cm×4cm(100cm2に625株)で定植を行って栽培するのが一般的である。
【0005】
このように、大葉のベビーリーフの栽培や葉ニンニクの栽培は、現行では土耕栽培が一般的であるが、ベビーリーフの水耕栽培も従来から知られており(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)、葉ニンニクの水耕栽培も従来から知られている(例えば、特許文献4、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-48456号公報
【文献】特開2020-80789号公報
【文献】特開2008-131873号公報
【文献】特開2006-174744号公報
【文献】実用新案登録第3140832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大葉のベビーリーフは現行では土耕栽培によって栽培するのが一般的であるが、土耕栽培は、トラクターによる畝立て、播種、1日5回程度の手作業による高頻度潅水、しゃがんだ状態での低姿勢による長時間の収穫作業、除草作業、土壌の入れ替え作業等、労力のかかる工程が多く存在し、作業性の改善が難しい。また、畝立て作業や土壌の入れ替え作業を行う為、年間の栽培回転数(年間10回転程度が限界)・生産量に限界があり、栽培回転数の向上・生産量の増加が難しい。
【0008】
葉にんにくも現行では土耕栽培によって栽培するのが一般的であるが、土耕栽培では大葉のベビーリーフと同様に作業性の改善が難しく、栽培回転数の向上・生産量の増加が難しい。それに加え、葉ニンニクは栽培時期が10月~翌3月下旬までと限定され、周年生産を行うことが出来ない。
【0009】
また、ベビーリーフの水耕栽培、葉ニンニクの水耕栽培は従来から知られており、水耕栽培を活用することによって、土耕栽培に比べて作業性の改善が可能となり、適切な施肥管理・環境制御を行って年間の栽培回転数・生産量を向上させることが可能となることは知られているが、大葉のベビーリーフ、葉ニンニクのいずれも場合も、従来の水耕栽培の方法では、播種から収穫までの圃場での栽培期間の短縮が難しく、生産計画に基づいて効率的な周年生産を行うことが難しい。
【0010】
本発明は、大葉のべビーリーフや葉ニンニク等、成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の栽培を作業性の良いものとするとともに、圃場での栽培期間の短縮を可能として年間の栽培回転数・生産量の向上を実現し、生産計画に基づいた効率的な周年生産を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、大葉のべビーリーフ、葉ニンニク等、成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の水耕栽培を活用した栽培方法として、日平均気温から栽培する野菜の生育限界温度を差し引いた温度分の積算値である有効積算気温の当該野菜が収穫可能となるまでの積算値である積算温度を、栽培期間毎の予想される有効積算気温で除した値で栽培期間毎の収穫までにかかる日数を予測して当該野菜の生産計画を立てること、そして、ビニールハウス、ガラス温室等の太陽光利用型の野菜栽培用建物内に設置したNFT水耕等の水耕栽培装置に載置する前の、セルトレイ、水耕パネル、その他の多穴構造の容器、植物体を支持しうる培地を充填可能な容器等の水耕栽培用の育苗容器を用いて播種を行うこと、次いで、育苗が完了し発芽した苗を育苗容器ごと水耕栽培装置に載置して定植を行い、植物体の生育状況を確認しながら培養液の常時供給又は間断的な供給を行い、生育に合わせて適切な肥料濃度で施肥・pH管理を行い、また、暖房機、送風ファンや換気扇、ハウス側面や天井の開口部の開閉機等を活用して植物体周辺の空気を流動させ気流を確保することで蒸散を促進して、光合成を促進する条件並びに適度な湿度条件を整えるなど、培養液管理及び温度管理を含む環境管理を行って生産計画に基づく栽培を行うことを特徴とする栽培方法を提供するものである。
【0012】
この栽培方法では、土耕栽培とは異なり、圃場に直接播種を行うのではないため、圃場でのトラクターによる畝立て、播種、手作業による高頻度潅水、しゃがんだ状態での低姿勢による長時間の収穫作業、除草作業、土壌の入れ替え作業等から解放される。
【0013】
そして、この栽培方法では、セルトレイ等に播種を行い、発芽した苗を育苗容器ごと水耕栽培装置に移して定植を行うのである為、播種から育苗までの期間の一部または全部を圃場以外の場所で行うことができて、圃場での栽培期間を短縮することが可能となり、また、水耕栽培装置では発芽後の栽培だけを行うことになる為、収穫までのサイクルが短くて、適切な施肥管理・環境制御の下で水耕栽培によって年間の栽培回転数・生産量を向上させることが可能となり、栽培する野菜の収穫可能となるまでの積算温度に基づく生産計画を立てて効率的な周年生産を行うことが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、大葉のべビーリーフや葉ニンニク等、成長過程の葉を刈り取って食用とする野菜の栽培の作業性を改善出来るとともに、圃場での栽培期間の短縮を可能として年間の栽培回転数・生産量の向上を実現し、生産計画に基づいた効率的な周年生産を行えるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、大葉のベビーリーフの栽培および葉ニンニクの栽培に適用した本発明の実施形態の一例を説明する。なお、本発明は、成長過程の葉を刈り取って食用とする他の野菜の栽培にも適用することができるものである。
【0016】
(積算気温に基づいた生産計画)
出荷に適した植物体のサイズを周年でそろえるために、積算気温に基づいた栽培計画を活用する。その際、積算には有効積算気温を活用し、日平均気温から栽培する野菜の生育限界温度を差し引いた温度分の積算値である有効積算気温の当該野菜が収穫可能となるまでの積算値である積算温度を、栽培期間毎の予想される有効積算気温で除した値で栽培期間毎の収穫までにかかる日数を予測して当該野菜の生産計画を立てる。
【0017】
例えば、収穫可能となるまでの積算温度の合計を100℃で、生育限界温度が5℃であり、栽培予定の期間の平均気温が15℃である場合、100℃÷(15℃-5℃)=10日となり、収穫までにかかる日数は10日と予測することが出来る。
【0018】
大葉のベビーリーフの場合、生育適温は20~25℃であり、生育限界温度はおよそ10℃である。そして、大葉のベビーリーフを収穫するまでに必要な積算温度は約300℃である。この積算温度の内訳は、発芽までが約80℃、発芽後から収穫までが約220℃である。
【0019】
葉ニンニクの場合、生育適温は15~20℃であり、生育限界温度はおよそ5℃である。そして、葉ニンニクを収穫するまでに必要な積算温度は約300℃である。この積算温度の内訳は、発芽までが約50℃、発芽後から収穫までが約250℃である。
【0020】
(播種)
播種の際、大葉のベビーリーフでは、セルトレイに培地を充填して播種を行う。この際の培地は、水耕栽培の特性上、有機物の混合された培地を使用すると培養液の汚染を招く可能性があって好ましくない。この際の培地には、ロックウール微粒綿・中粒綿、バーミキュライト、パーライト、ウレタン培地などが望ましい。また、葉ニンニクの様な鱗片のタイプの種子の場合には必ずしも培地を充填する必要はない。なお、以下、セルトレイで代表させて説明するが、セルトレイ以外にも、水耕パネル、その他の多穴構造の容器、植物体を支持しうる培地を充填可能な容器等、水耕栽培用に使用可能な育苗容器を用いることができる。
【0021】
大葉のベビーリーフの播種においては(培地にロックウール微粒綿を用いる場合を一例として説明する。)、セルトレイにロックウール微粒綿を充填し、微粒綿に水を給水し種子が発芽の為に必要な水分を吸水できる体制を整えて播種を行う。この際の培地の土壌硬度は10~15mm程度(貫入式土壌硬度計による測定値)が培地内の固相・液相・気層を維持し根の張りを維持する上で適切な目安となる。ちょうど、指を培地に挿し込み軽く力を入れると指が底面まで届く程度の培地の硬さが望ましい。
【0022】
また、大葉のベビーリーフの発芽適温は25~30℃であるため、冬季等は発芽時に保温庫等で発芽適温に近い温度を維持してスムーズな発芽を行うようにする。
【0023】
また、同じセルトレイで続けて複数回収穫を行うようにするように出来る。その為には、1個のセルトレイに1回の播種だけ行うのではなく数日後に2回目を播種する。こうして播種日をずらすことで発芽のタイミングを調整して収穫のタイミングをずらすことが可能となり、1回目の収穫後に再度2回目を収穫することが出来、培地は1回充填するだけで同じセルトレイで複数回収穫を行うことが出来る。この播種をずらすタイミングについては、積算温度が1回目の播種から50~70℃程度の所で行うことが望ましい。このようにセルトレイに播種をタイミングをずらして2回行うことで、使用する培地のコストを実質的に2分の1以下にすることが可能となる。培地は最終収穫後に廃棄し、セルトレイの洗浄後に入れ替える。そうすることで、連作障害や地力の低下に伴う生産量の減少を防ぐことができる。
【0024】
葉ニンニクの場合は、播種を行う際に培地の充填を行う必要はない。この場合は、直接、セルトレイ(セルトレイ以外の容器であってもよい。)の穴に鱗片を挿し込んで播種する。そして、播種後はセルトレイの下に水を張ることのできる容器を設置し、その容器の中に、吸水による発根・発芽の促進を目的として鱗片の1/4が浸かる程度に水を給水する。
【0025】
(定植)
発芽・出芽した苗をビニールハウス内の水耕栽培装置の栽培ベッド上にセルトレイごと並べて定植を行う。この定植の方法については大葉のベビーリーフ、葉ニンニク共に同様の作業である。この時、使用する水耕栽培ベッドの高さを、地上から900mm程度の高さにすることで作業姿勢が土耕栽培と比べ各段に向上する。なお、この実施形態の説明ではビニールハウスで代表させて説明するが、ガラス温室その他、ビニールハウス以外の太陽光利用型の野菜栽培用建物内で水耕栽培を行うことも可能である。
【0026】
(培養液管理)
定植後の培養液管理については、大葉のベビーリーフ及び葉ニンニク共に、EC0.6~3.0ds/mの範囲内、好ましくは夏季1.5ds/m、冬季2.0ds/mで管理を行うことが望ましい。また、pH管理は、5.5~6.5の範囲内で管理を行い、微量要素の欠乏等の生理障害を回避する。そして、培養液は、夏季1~2カ月毎、冬季3~4カ月毎に入れ替えを行い、培養液成分のバラつきによる生育不良を回避する。
【0027】
(室内環境の管理)
植物体を生育させる空間の環境管理については、送風ファンや換気扇、ビニールハウスの側面や天井の開閉機を用いて、空気の流れ(空気の流速は0.1m/sec以上、好ましくは0.2~1,0m/sec)を発生させ、植物体周辺特に葉の表面の空気を入れ替えて、葉表面の温度、湿度、二酸化炭素濃度を均一な条件に整えるとともに、適度な空気の流れを発生させて蒸散を促し、水の吸収や肥料の吸収をより効率的に行えるようにする管理が望ましい。
【0028】
また、大葉のベビーリーフは、生育適温が20~25℃で高温を好み、冬季は夜温が10℃以下だと生育が著しく阻害される為、ハウス内の加温を行って10℃以上の気温を維持し、夏季はハウス内の換気や遮光を行って生育適温の維持に努める。水温についても同様で、冬季は井戸水による熱交換やボイラーによる加温を行って10℃以上の水温望ましくは15℃以上の水温を維持し、夏季は水温が27℃以上にならないように管理を行う。
【0029】
葉ニンニクは、生育適温が15~20℃であって、気温25℃以上や、夜温5度以下では生育が阻害される為、冬季は必要に応じてハウス内の加温を行い5℃以上望ましくは10℃以上の気温を維持し、夏季はハウス内の換気や遮光を行って気温上昇の抑制に努める。水温の管理については大葉のベビーリーフの場合と同様の管理を行う。
【0030】
(収穫)
大葉のベビーリーフの場合は、第1葉が葉長10~25mm、葉幅10~20mmのサイズで収穫するのが望ましい。収穫では摘果ハサミや包丁などを使用して長さ20~50mmの長さで刈り取りを行う。
【0031】
また、葉ニンニクの場合は、茎径が7mm以上、草丈250mm以上のサイズで収穫するのが望ましい。収穫では摘果ハサミや包丁などを使用して長さ250~350mmの長さで刈り取りを行う。
【0032】
以上説明した実施形態の栽培方法により、土耕栽培に比べて作業労力の軽減並びに作業効率の向上が可能となり、播種から育苗までの期間の一部または全部を圃場以外の場所で行うことができて、圃場での栽培期間を短縮することが可能となり、年間の栽培回転数・生産量を向上させることが可能となり、積算温度に基づく生産計画を立てて効率的な周年生産を行うことが容易となる。
【実施例1】
【0033】
(大葉のベビーリーフの栽培例)
圃場外の室内において、200穴のセルトレイ300mm×590mmにロックウール微粒綿を充填し、また、それとは別の200穴のセルトレイ300mm×590mmにロックウール中粒綿を充填して、それぞれに給水を行い、ペリーラの種子を1穴につき10粒播種し、室温が25℃の室内で発芽処理を行った。発芽するまでの期間は4日で、その間の積算温度は(25℃-10℃)×4日=60℃であった。
【0034】
こうして発芽した苗を室温が25℃の室内で16時間日朝の自然照明をあてて育苗を行った。その際、培地が乾燥しないようにEC1.2ds/mの液肥で潅水を行った。育苗が完了するまで期間は7日で、その間の積算温度は(25℃-10℃)×7日=105℃であった。
【0035】
そして、育苗が完了したものを圃場内のビニールハウス内でNFT水耕(薄膜水耕)の水耕栽培装置の栽培ベッドにセルトレイごと静置して定植し、EC2.4ds/mで栽培を行った。収穫サイズまで生育するまでの期間は10日で、その間のハウス内の日平均気温は25.6℃であり、積算温度は(25.6℃-10℃)×10日=156℃であった。
【0036】
播種から収穫までの合計積算温度は321℃であった。そして、収穫量はセルトレイ300mm×590mmの1個の面積あたり、培地に微粒綿を使用したもので108g、中粒綿を使用したもので128gであった。
【0037】
こうして発芽後に水耕栽培装置に移して大葉のベビーリーフを栽培することにより、播種から育苗までの期間である11日間を圃場外で行い、圃場での栽培期間を10日間で行うようにすることが出来た。これが土耕栽培の場合だと、播種作業を直接圃場で行う為、合計21日間の栽培期間を要することとなる。育苗後に水耕栽培を行うことで、圃場での栽培期間はおよそ2分の1に短縮できたことになる。
【実施例2】
【0038】
(葉にんにくの栽培例)
圃場外の室内で、128穴のセルトレイ300mm×590mmに今回は培地を使用せず、直接、ニンニクのりん片(品種:嘉定白蒜1号)を1穴につき1片播種した後、セルトレイの下に育苗トレイを置いて、トレイ内に水を給水し、室温が20℃の室内で発芽処理を行った。発芽するまでの期間は3日で、その間の積算温度は(20℃-5℃)×3日=45℃であった。
【0039】
こうして発芽した苗を室温が20℃の室内で16時間日朝の自然照明にあてて育苗を行った。育苗が完了するまで期間は3日で、この際の積算温度は(20℃-5℃)×3日=45℃であった。
【0040】
そして、育苗が完了したものを圃場内のビニールハウス内でNFT水耕の水耕栽培装置の栽培ベッドにセルトレイごと静置して定植し、EC2.4ds/mで栽培を行った。収穫サイズまで生育するまでの期間は11日で、その間のハウス内の日平均気温は22.8℃であり、積算温度は(22.8℃-5℃)×11日=195.8℃であった。
【0041】
播種から収穫までの合計積算温度は285.8℃であった。そして、収穫量はセルトレイ300mm×590mmの1個の面積あたり355gであった。