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  • 特許-皮膚外用剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/243 20190101AFI20250228BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250228BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20250228BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250228BHJP
   A61K 31/145 20060101ALI20250228BHJP
   A61K 33/44 20060101ALI20250228BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250228BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20250228BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20250228BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250228BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A61K33/243
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/46
A61K31/145
A61K33/44
A61P17/00
A61P17/16
A61P19/00
A61P25/00
A61P43/00 121
A61Q19/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024022265
(22)【出願日】2024-02-16
【審査請求日】2024-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507089643
【氏名又は名称】株式会社ベネクス
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100218855
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 政輝
(72)【発明者】
【氏名】片野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】真弓 佳伸
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070492(JP,A)
【文献】特表2011-503173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0148393(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0139402(KR,A)
【文献】特開2023-045939(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0132350(KR,A)
【文献】国際公開第2009/041302(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/245969(WO,A1)
【文献】特開2009-084243(JP,A)
【文献】特開2015-212271(JP,A)
【文献】Inhibition of TRPV1 Channel Activity in Human CD4+T cells by Nanodiamond and Nanoplatinum Liquid, DPV576,Nanomaterials,2018年,8, 770,pp.1-11,doi: 10.3390/nano8100770
【文献】スキンケア化粧品の使用感と感情因子の関係~中国人女性と日本人女性を対象として~,日本心理学会大会発表論文集,2006年,70,3PM138,https://doi.org/10.4992/pacjpa.70.0_3PM138
【文献】Nanodiamond and Nanoplatinum Liquid, DPV576, Activates Human Monocyte-derived Dendritic Cells In Vitro,Anticancer Research,2010年,Vol.30,p.4075-4080
【文献】Nanodiamonds protect skin from ultraviolet B-induced damage in mice,Journal of Nanobiotechnology,2015年,Vol.13, No.35,p.1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00-33-44
A61K 31/00-31/80
A61K 8/00- 8/99
A61P 17/00
A61P 25/00
A61P 43/00
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有し、
前記有機硫黄化合物がメチルスルホニルメタンである、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記ダイヤモンドナノ粒子の含有量が、前記皮膚外用剤の全量を基準として10質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記ダイヤモンドナノ粒子の含有量が、前記皮膚外用剤の全量を基準として1質量%以下である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記プラチナナノ粒子の含有量が、前記皮膚外用剤の全量を基準として10質量%以下である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記プラチナナノ粒子の含有量が、前記皮膚外用剤の全量を基準として1質量%以下である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記ダイヤモンドナノ粒子の含有量に対する前記プラチナナノ粒子の含有量の質量比が、0.01~100である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の皮膚外用剤からなる、筋膜弛緩剤。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の皮膚外用剤からなる、ネガティブな気分状態の改善剤。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の皮膚外用剤からなる、身体の柔軟性向上剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドナノ粒子及びプラチナナノ粒子に代表される、遠赤外線を発し、且つプラズモン共鳴に基づく電子移動を生じるナノ粒子は、例えば衣類に用いられることによって睡眠の質が向上することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/245969号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ダイヤモンドナノ粒子及びプラチナナノ粒子の更なる活用を目指し、これら粒子の新たな用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ダイヤモンドナノ粒子及びプラチナナノ粒子に、有機硫黄化合物を添加することで、様々な効果を発揮できる皮膚外用剤を調製できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0006】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する、皮膚外用剤。
[2]有機硫黄化合物がメチルスルホニルメタンである、[1]に記載の皮膚外用剤。
[3]ダイヤモンドナノ粒子の含有量が、皮膚外用剤の全量を基準として10質量%以下である、[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
[4]ダイヤモンドナノ粒子の含有量が、皮膚外用剤の全量を基準として1質量%以下である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
[5]プラチナナノ粒子の含有量が、皮膚外用剤の全量を基準として10質量%以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
[6]プラチナナノ粒子の含有量が、皮膚外用剤の全量を基準として1質量%以下である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
[7]ダイヤモンドナノ粒子の含有量に対するプラチナナノ粒子の含有量の質量比が、0.01~100である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
[8][1]~[7]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤からなる、筋膜弛緩剤。
[9][1]~[8]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤からなる、ネガティブな気分状態の改善剤。
[10][1]~[9]のいずれか一つに記載の皮膚外用剤からなる、身体の柔軟性向上剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダイヤモンドナノ粒子及びプラチナナノ粒子の新たな用途が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】試験例1の画像診断の結果であり、(a)は実施例1に係る皮膚外用剤を塗布する前の被験者Aの左腓腹筋外側頭の厚みであり、(b)は実施例1に係る皮膚外用剤を塗布した直後の被験者Aの左腓腹筋外側頭の厚みである。
図2】試験例1の画像診断の結果であり、(a)は実施例1に係る皮膚外用剤を塗布する前の被験者Bの左腓腹筋外側頭の厚みであり、(b)は実施例1に係る皮膚外用剤を塗布した直後の被験者Bの左腓腹筋外側頭の厚みである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本実施形態に係る皮膚外用剤は、ヒトの皮膚に適用したときに、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用を有するという新規な知見に基づくものである。
【0011】
筋膜は皮膚下に存在し、筋肉、その他内臓を結合又は安定化し、包みこみ、分離する、主にコラーゲン質の結合組織の膜の総称である。筋組織は三次元的に全身のすべての要素を被っており、筋膜同士の異常な癒着は、筋膜とその深部にある筋組織等のすべての組織において、その滑り合う性質及び運動性を低下させ、抗重力姿勢の保持、円滑で機能的かつ効率的な運動を制限することになる。さらに、筋膜の機能には血管、神経及びリンパ管を支持する他に、それらを通過させているという非常に重要な機械的機能がある。筋膜のねじれは、筋組織のみならず、血管、神経にも影響を与え、更に筋膜の気質の生化学的及び免疫学的変化を生じさせる。これらの結果として、機能異常は全身におよぶこともある。筋膜の弛緩によってねじれを元に戻すことは、筋組織と筋組織の間もしくは、筋組織と他の構成物との間の可動性、伸張性を改善し、筋組織及びその他の構成物が正常に機能することを助けることにつながる。
【0012】
筋膜は炎症、疼痛、異常筋緊張、偏った筋活動、異常姿勢、慢性的な身体ストレス又は精神ストレス等の原因により機能異常をきたす。機能異常は、筋膜の短縮、癒着、結合組織の細胞間物質の密度変化、その部位の栄養障害、関節可動域制限、筋組織の廃用性委縮・弱化、活動性の低下、アライメント不良、循環不全、触知覚異常等を生じさせる。
【0013】
本実施形態の皮膚外用剤は、筋膜を弛緩させてそのねじれを戻す作用を有する。結果として、筋組織、関節の可動域の向上といった身体の柔軟性の向上をもたらし、さらに、こむら返り、筋痙攣等も抑制される。筋膜の弛緩は自覚的緊張感をも低下させるため、これにより疲労の回復を感じやすくなり、痛みの感覚を抑制させることもできる。その結果、本実施形態の皮膚外用剤は、ネガティブな気分状態を改善する作用も有し、更には活力を向上させる作用をもたらすこともできる。
【0014】
本明細書における筋膜の弛緩とは、筋膜の異常な癒着及び/又は萎縮を解消させて、筋膜の状態を正常な状態に戻すことを意味する。「筋膜の弛緩」は、「筋膜リリース」ともよばれる。
【0015】
本明細書におけるネガティブな気分状態には、人が感じる気分のうち、怒りの感覚、他者への敵意、混乱・当惑を感じる感覚、抑うつ状態、疲労感、無気力状態、緊張、不安といった感覚が含まれる。ネガティブな気分状態を改善することは、これらのネガティブな気分状態が抑制され、感じにくくなることを意味する。
【0016】
本明細書における身体の柔軟性には、筋膜及び筋肉が伸びる能力、関節の可動域等が含まれ、身体の柔軟性が向上することは、筋膜及び筋肉がしなやかになり、伸びやすくなること、関節の可動域が広がること等を意味する。
【0017】
本実施形態に係る皮膚外用剤は、ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を少なくとも含有する。
【0018】
本実施形態に係るダイヤモンドナノ粒子とは、ナノサイズのダイヤモンドの粒子であり、平均粒径が1μm未満のダイヤモンドの粒子をいう。なお、本明細書において、平均粒径とは50%体積平均粒径(D50)を意味する(以下同様)。平均粒径は、動的光散乱法(例えば、電気泳動光散乱光度計モデルELS-8000を用いて測定する方法)により求められる。
【0019】
ダイヤモンドナノ粒子は、例えば、爆射法によって合成された粗ダイヤモンド(ブレンドダイヤモンド又はBDともいう)、及びBDを精製することによって得られるGD(Generated Diamond)を使用することができる。
【0020】
爆射法で製造されたBDは、数10~数100nmの径を有するダイヤモンド及びグラファイトからなり、1.7~7nm径のごく小さなナノクラスターサイズのダイヤモンド単位(ダイヤモンドナノ粒子)が強固に凝集した凝集体である。つまり最低4個、通常数十個~数百個の、場合によっては数千個のダイヤモンドナノ粒子の強固な凝集体である。BDの粒子は、ダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有していると考えられ、グラファイト系炭素の表面には-COOH、-OH等の親水性官能基が多数存在し、水、アルコール、エチレングリコール等の-OH基を有する溶媒との親和性が極めて良好であり、これらの溶媒に速やかに分散する。中でも水に対する分散性が最もよい。BDはごく少量の微小(1.5nm以下)アモルファスダイヤモンド、グラファイト及び非グラファイト炭素超微粒子を含有する。
【0021】
BDの不純物は、(i)水溶性電解質(ionized)、(ii)ダイヤモンド表面に水素結合した加水分解性の基及びイオン性の物質(官能性表面基の塩等)、(iii)水不溶性の物質(表面に付着した不純物、不溶性塩、不溶性酸化物)、(iv)揮発性物質、(v)ダイヤモンド結晶格子中に包含されるか又はカプセル化された物質に分けることができる。
【0022】
(i)及び(ii)は、GDの精製過程で形成されるものである。(i)の水溶性電解質は水洗により除去できるが、より効果的に除去するにはイオン交換樹脂で処理するのが好ましい。(iii)の水不溶性の不純物は、金属、金属酸化物、金属カーバイド、金属塩(硫酸塩、シリケート、カーボネート)のような分離したミクロ粒子、分離できない表面塩、表面金属酸化物等からなる。これらを除去するには、酸によって可溶性の形に変換するのが好ましい。(iv)の揮発性不純物は、通常0.01Pa程度の真空中で、250~400℃で熱処理することにより除去することができる。
【0023】
ダイヤモンドナノ粒子としては、BDの不純物を完全に除去する必要はないが、(i)~(iii)の不純物を40~95%除去するのが好ましい。グラファイトとダイヤモンドとの比率は、前記爆射法の条件を変更すること、及び/又はBDの精製条件を変更することによって不純物の量を調節することができる。
【0024】
GDは、GDの分散物として得られる。GDの分散物は、爆薬の爆射によって得られたダイヤモンド-非ダイヤモンド混合物(初期BD)を酸化処理する酸化処理工程の後、揮発性又はその分解反応生成物が揮発性となる塩基性材料を加えて中和し、ダイヤモンドを含有する層を分離することによって製造する。
【0025】
酸化処理工程は、硝酸による酸化性分解処理と、その後に行う硝酸による酸化性エッチング処理とからなる。酸化性エッチング処理は一次酸化性エッチング処理と二次酸化性エッチング処理とからなり、一次酸化性エッチング処理は酸化性分解処理の圧力及び温度よりも高い圧力及び温度で行われるのが好ましく、二次酸化性エッチング処理は一次酸化性エッチング処理の圧力及び温度よりも高い圧力及び温度で行われるのが好ましい。酸化処理工程は、150℃~250℃及び14~25気圧で、少なくとも10~30分間ずつ複数回行うのが好ましい。
【0026】
酸化性エッチング処理の後に、硝酸を分解・除去させるための中和処理を行う。塩基性材料により中和した分散液は、水を加えて傾斜することによりダイヤモンドを含有する相と含有しない相とに分離する。
【0027】
ダイヤモンドを含有する相を分離した後、さらに分散液に硝酸を加え洗浄処理し、精製ダイヤモンド微粒子を含む下相分散液を上相排液から分離する処理を行う。この分離する処理は、硝酸洗浄処理後の分散液を静置することによって行う。
【0028】
精製ダイヤモンド微粒子を含む下相分散液は、好ましくはpHを4~10、更に好ましくは5~8、最も好ましくは6~7.5に調節し、ダイヤモンド微粒子濃度を好ましくは0.05~16質量%、更に好ましくは0.1~12質量%、最も好ましくは1~10質量%に調整する。
【0029】
このようにして得られるGDは、72~89.5%の炭素、0.8~1.5%の水素、1.5~2.5%の窒素、10.5~25%の酸素の元素組成を有する。全炭素のうち90~97%がダイヤモンド結晶であり、10~3%が非ダイヤモンド炭素である。平均粒径(一次粒子)は2~50nmである。Cu、Kα線を線源とするX線回折スペクトル(XD)において、ブラッグ角(2Φ±0.2°)が43.9°に最も強いピークを有し、73.5°及び95°に特徴的な強いピークを有し、17°に強く偏在したハローがあり、26.5°にピークが実質的にない。また比表面積が1.5×10/kg以上で、実質的に全ての表面炭素原子がヘテロ原子と結合しており、分散液は0.5m/kg以上の全吸収空間を有するダイヤモンド粒子を、0.05~16質量部含有する。GD粒子の粒径は、電気泳動光散乱光度計モデルELS-8000を用いた動的光散乱測定により得られる。
【0030】
ダイヤモンドナノ粒子の平均粒径は、好ましくは10nm以上、20nm以上、又は100nm以上であり、また、好ましくは200nm以下である。ダイヤモンドナノ粒子の平均粒径は、より好ましくは100~200nmである。
【0031】
ダイヤモンドナノ粒子の比重は2.50~3.45g/cmであるのが好ましく、2.63~3.38g/cmであるのが更に好ましく、2.75~3.25g/cmであるのが最も好ましい。ダイヤモンドナノ粒子の比重は、グラファイトとダイヤモンドとの比率によって決まり、ダイヤモンドの比重を3.50g/cm、グラファイトの比重を2.25g/cmとして、ダイヤモンドとグラファイトの割合を計算すると、比重2.63g/cmはダイヤモンド30体積%及びグラファイト70体積%の組成に相当し、比重3.38g/cmはダイヤモンド90体積%及びグラファイト10体積%の組成に相当する。同様に比重が2.75g/cmはダイヤモンド40体積%及びグラファイト60体積%の、比重3.25g/cmはダイヤモンド80体積%及びグラファイト20体積%の組成に相当する。なお比重2.87g/cmはダイヤモンド50体積%及びグラファイト50体積%の組成に相当する。比重が2.63g/cm未満であると、グラファイトに起因する着色が問題となることがあり、比重が3.38g/cmを越えると、遠赤外線放射効果は飽和するためコスト的に不利である。
【0032】
皮膚外用剤に含まれるダイヤモンドナノ粒子の含有量は、皮膚外用剤の全量を基準として、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用がより向上する観点から、好ましくは0.0001質量%以上、0.0003質量%以上、0.0005質量%以上、又は0.0008質量%以上であり、また、ダイヤモンドナノ粒子の凝集を抑制する観点から、好ましくは10質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下であり、皮膚外用剤の黒色化を抑制する観点から、より好ましくは1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.1質量%以下である。皮膚外用剤に含まれるダイヤモンドナノ粒子の含有量は、皮膚外用剤の全量を基準として、0.0005~0.5質量%であってよい。
【0033】
本実施形態に係るプラチナナノ粒子とは、ナノサイズのプラチナの粒子であり、平均粒径が1μm未満のプラチナの粒子をいう。
【0034】
プラチナナノ粒子は、例えば、以下に記載の方法によりプラチナナノコロイドとして得ることができる。
【0035】
すなわち、プラチナナノコロイドの製造方法は、プラチナを含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)又は式(2)で表される化合物Aとしてペプチド又はグルコサミン化合物を添加する工程と、前記化合物Aの還元性を補助するアルカリを添加する工程と、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属微粒子(プラチナ微粒子)を形成する工程とを有する。
NR-CR-CO-R (1)
NR-CR-CR-CO-R (2)
【0036】
ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基或いはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基或いは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基或いはアセチル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基或いは置換されたアルキル基を示す。
【0037】
上記製造方法は、好適には、溶液が水溶液である。さらに好適には、アルカリを添加する工程において、水溶液のpHが10以上となるように添加する。さらに好適には、貴金属微粒子を形成する工程において、貴金属微粒子が水溶液中に分散された貴金属コロイドとする。またさらに好適には、貴金属微粒子を形成し、貴金属コロイドとする工程の後、水溶液を遠心分離して沈降物と上澄みに分離する工程と、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程とをさらに有する。
【0038】
上記製造方法の、他の好適な態様においては、溶液が有機溶媒の溶液である。さらに好適には、貴金属微粒子を形成する工程の後、溶液を静置して沈降物と上澄みに分離する工程と、上澄みを除去して沈降物を取り出す工程とをさらに有する。またさらに好適には、上澄みを除去して沈降物を取り出す工程の後、沈降物に対して水を加えて水系貴金属コロイドとする工程をさらに有する。またさらに好適には、貴金属コロイドとする工程の後、限外濾過あるいは超遠心分離等により、貴金属コロイドを濃縮する工程をさらに有する。またさらに好適には、溶液中に有機溶媒用保護剤を添加する工程をさらに有し、上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程の後、沈降物に対して有機溶媒を加えて有機溶媒系貴金属コロイドとする工程とをさらに有する。
【0039】
ペプチドである化合物Aとしては、式(1)あるいは(2)において、Rが水酸基であるαあるいはβ-アミノ酸、Rがアルコキシ基であるαあるいはβ-アミノ酸エステル等のαあるいはβ-アミノ酸化合物、アミノ基がアセチル化されたαまたはβ-アミノ酸化合物、Rがペプチド結合で結合する原子団であるN末端がα-アミノ酸であるペプチドが挙げられる。
【0040】
グルコサミン化合物である化合物Aとしては、式(1)において、Rが水素であり、Rが〔-CH(OH)-CH(OH)-CH(OH)-CH(OH)〕であり、R、R、Rが水素であるグルコサミン、あるいはその誘導体であるN-アセチルグルコサミンなどのグルコサミン化合物が挙げられる。
【0041】
プラチナナノ粒子の平均粒径は、好ましくは10nm以上、20nm以上、又は100nm以上であり、また、好ましくは200nm以下である。プラチナナノ粒子の平均粒径は、より好ましくは20~200nmである。
【0042】
皮膚外用剤に含まれるプラチナナノ粒子の含有量は、皮膚外用剤の全量を基準として、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用がより向上する観点から、好ましくは0.000001質量%以上、0.000005質量%以上、0.00001質量%以上、又は0.00005質量%以上であり、また、プラチナナノ粒子の凝集を抑制する観点から、好ましくは10質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下であり、皮膚外用剤の黒色化を抑制する観点から、より好ましくは1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、0.001質量%以下、0.0005質量%以下、又は0.0001質量%以下である。
【0043】
皮膚外用剤中の、ダイヤモンドナノ粒子の含有量に対するプラチナナノ粒子の含有量の質量比(プラチナナノ粒子の含有量/ダイヤモンドナノ粒子の含有量)は、好ましくは0.01以上、0.05以上、又は0.1以上であり、また、好ましくは100以下、50以下、又は10以下である。当該質量比は0.01~100であってもよい。
【0044】
皮膚外用剤がダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子と共に有機硫黄化合物を含有すると、筋膜及び筋肉を弛緩させる効果、関節炎に対する効果、美容効果を得ることができる。有機硫黄化合物としては、例えば、スルホニル基、スルホン酸基、スルホン酸塩基(スルホン酸の水素原子が金属原子、ハロゲン、有機基に置換された官能基)、チオール基、スルフィド基、テトラヒドロチオフェン環、チオフェン環を有する化合物が挙げられる。
【0045】
スルホニル基を有する有機硫黄化合物としては、メチルスルホニルメタン、メチルスルホニルエタン、エチルスルホニルエタン等が挙げられる。
【0046】
スルホン酸基を有する有機硫黄化合物としては、アズレンスルホン酸、コンドロイチン硫酸、2-アミノエタンスルホン酸(タウリン)等が挙げられる。スルホン酸塩基を有する有機硫黄化合物としては、アズレンスルホン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有する有機硫黄化合物の塩が挙げられる。スルホン酸基又はスルホン酸塩基を有する有機硫黄化合物は、環状構造を有する化合物であってもよく、環状構造を有さない化合物であってもよい。
【0047】
チオール基を有する有機硫黄化合物としては、L-システイン、アセチルシステイン、グルタチオン、パンテテイン等が挙げられる。スルフィド基を有する有機基硫黄化合物としては、メチオニンが挙げられる。
【0048】
テトラヒドロチオフェン環を有する有機硫黄化合物としては、ビオチン等が挙げられる。チオフェン環を有する有機硫黄化合物としては、チアミン等が挙げられる。
【0049】
有機硫黄化合物は、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用がより向上する観点から、好ましくはスルホニル基を有する有機硫黄化合物であり、より好ましくはメチルスルホニルメタン(DMSO)である。
【0050】
有機硫黄化合物の分子量は、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用がより向上する観点から、好ましくは300以下、200以下、150以下、又は100以下である。
【0051】
皮膚外用剤に含まれる有機硫黄化合物の含有量は、皮膚外用剤の全量を基準として、筋膜及び筋肉を弛緩させる作用がより向上する観点から、好ましくは1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下である。
【0052】
本実施形態に係る皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧品のいずれであってもよい。これら皮膚外用剤の形態は特に限定されず、例えば、医薬品又は医薬部外品としての皮膚外用剤は、液剤、懸濁剤、乳剤、ジェル剤、ローション剤、軟膏剤、不織布等に薬液を浸み込ませたシート剤等であってよい。また、化粧品としての皮膚外用剤は、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、ローション、シートマスク等のスキンケア化粧料、ファンデーション、リップクリーム等のメイクアップ化粧料などであってよい。皮膚外用剤は剤型は、O/W系、W/O系、水系、オイル系、アルコール系のいずれであってもよい。
【0053】
皮膚外用剤が乳液である場合、乳液の型式は、O/W型であってもよく、W/O型であってもよく、多層エマルションであってもよい。皮膚外用剤がクリームである場合、クリームの型式は、O/W型であってもよく、W/O型であってもよく、無水油性であってもよい。皮膚外用剤がジェルである場合、ジェルの型式は、水性ジェルであってもよく、油性ジェルであってもよく、オイルジェルであってもよい。皮膚外用剤が美容液である場合、美容液の型式は、透明又は半透明の化粧水タイプであってもよく、O/W型、W/O型、W/O/W型の乳化タイプであってもよく、オイルタイプであってもよく、使用時に混合される2液混合タイプであってもよい。
【0054】
皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に通常使用される基剤又は担体として水を含有してもよい。水としては、精製水、温泉水、深層水等が挙げられる。水以外の基剤又は担体としては、油系基剤が挙げられる。
【0055】
油系基剤としては、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン等の炭化水素;オリーブオイル、アーモンドオイル、カカオオイル、ホホバオイル、マカデミアナッツオイル、アボカドオイル、硬化パームオイル、ヒマシオイル、ヒマワリオイル、月見草オイル、合成トリグリセライド等の油脂;ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のロウ;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、コレステロール等の高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステル、コレステリルエステル等の合成エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロメチコン等のシリコーン成分等が挙げられる。
【0056】
皮膚外用剤は、その他の成分として、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に通常使用される成分(添加剤)を適宜含有してもよい。他の成分としては、例えば、界面活性剤、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤(pH緩衝剤)、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物(エキス)、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、保湿剤、柔軟剤、可溶化剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、結合剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類が挙げられる。
【0057】
皮膚外用剤は、清涼感を付与する観点、細菌の増殖を抑制する観点、各成分の溶解を促進する観点等から、アルコール類を含有してもよい。アルコール類としては、公知のものを使用することができ、例えば、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0058】
皮膚外用剤は、角質層を保護する観点、使用感を向上させる観点等から、保湿剤を含有してもよい。保湿剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;ヒアルロン酸、コンドロイチン酸、マルチトール、ソルビトール等の糖類;ピロリドンカルボン酸、コラーゲン等のアミノ酸類などが挙げられる。
【0059】
皮膚外用剤は、皮膚のエモリントを向上させる観点、保湿性を向上させる観点、使用感を向上させる観点等から、柔軟剤を含有してもよい。柔軟剤としては、公知のものを使用することができ、オリーブオイル、ホホバオイル等の植物油;エステル油、スクワラン、ラノリン誘導体などが挙げられる。
【0060】
皮膚外用剤は、各成分の溶解を向上させる観点から、可溶化剤を含有してもよい。可溶化剤としては、公知のものを使用することができ、ポリオキシンエチレンアルコールエーテル等の界面活性剤などが挙げられる。
【0061】
皮膚外用剤は、pHを調整する観点から、pH調整剤(pH緩衝剤)を含有してもよい。pH調整剤(pH緩衝剤)としては、公知のものを使用することができ、クエン酸、乳酸、アミノ酸類、クエン酸ソーダなどが挙げられる。
【0062】
皮膚外用剤は、使用感を向上させる観点、保湿性を向上させる観点等から、増粘剤を含有してもよい。増粘剤としては、公知のものを使用することができ、アルギン酸塩、セルロース誘導体、クインスシードガム、ペクチン、プルラン、キサンタンガム、アラビアガム、アイリッシュモス、トラガカントガム、プルラン、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸系ポリマー、ラポナイト、セタノールなどが挙げられる。
【0063】
皮膚外用剤は、製品に賦香する観点から、香料を含有してもよい。香料としては、公知のものを使用することができ、ゲラニオール、リナロールなどが挙げられる。
【0064】
皮膚外用剤は、清涼感を付与する観点、細菌の増殖を抑制する観点、各成分の溶解を促進する観点等から、アルコール類を含有してもよい。アルコール類としては、公知のものを使用することができ、例えば、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0065】
皮膚外用剤は、微生物の活動・増殖を抑制する観点から、防腐剤を含有してもよい。防腐剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、メチルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0066】
皮膚外用剤は、水相成分と油相成分とを混合する観点から、乳化剤を含有してもよい。乳化剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシオイルエステル等の非イオン性界面活性剤;脂肪酸石けん、アルキル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0067】
皮膚外用剤は、皮膚に適用されて用いられる。皮膚外用剤を皮膚に適用することは、好ましくは皮膚に塗布することであり、シート剤等の場合は皮膚に貼付することであってよい。皮膚外用剤は、筋肉をマッサージする際に皮膚に適用されて用いられてもよい。
【0068】
皮膚外用剤を適用する部位は特に限定されないが、好ましくは、膝、肘、肩等の関節、腰、ふくらはぎである。
【0069】
皮膚外用剤を皮膚に適用する際の適用量及び適用頻度は特に限定されず、対象者の年齢、体重等によって適宜設定することができる。
【0070】
本実施形態に係る皮膚外用剤を皮膚に適用することにより、筋膜を弛緩させ、ネガティブな気分状態を改善させ、又は身体の柔軟性を向上させることができる。したがって、本発明は、ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する皮膚外用剤からなる、筋膜弛緩剤、ネガティブな気分状態の改善剤、又は身体の柔軟性向上剤と言い換えることができる。皮膚外用剤の態様は上述したとおりである。
【0071】
また、本発明は、下記の実施形態に係る発明と捉えることもできる。
【0072】
本発明の一実施形態として、ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する皮膚外用剤を皮膚に適用することを含む、筋膜を弛緩させる方法が提供される。
【0073】
本発明の他の一実施形態として、ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する皮膚外用剤を皮膚に適用することを含む、ネガティブな気分状態を改善する方法が提供される。
【0074】
本発明の他の一実施形態として、ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する皮膚外用剤を皮膚に適用することを含む、身体の柔軟性を向上させる方法が提供される。
【0075】
上記各実施形態における皮膚外用剤の態様は上述したとおりである。
【実施例
【0076】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
<皮膚外用剤の調製>
[実施例1]
表1に示す組成に基づいて、撹拌装置を用いて加熱しながら均一撹拌を行った後、脱泡及び濾過を行い、皮膚外用剤(ジェル)を調製した。
【0078】
原料中、ダイヤモンドコロイド溶液は、水中に、ダイヤモンドナノ粒子を分散させたものである。また、原料中、メチルスルホニルメタン、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、セタノール、エチルヘキサン酸セチル、エタノール、ステアリン酸グリセリルの合計の含有量は、15~20質量%である。
【0079】
【表1】
【0080】
<試験例1:超音波検査による筋弛緩に対する画像診断>
成人2名(被験者A:男性(55歳)、被験者B:男性(57歳))のふくらはぎに、実施例1に係る皮膚外用剤を塗布した。皮膚外用剤の塗布前、及び塗布直後に、超音波検査装置により、収縮時の左腓腹筋外側頭を観察し、筋肉の厚みを測定した。観察された左腓腹筋外側頭の画像を図1及び図2に示す。図1は被験者Aの観察結果、図2は被験者Bの観察結果であり、それぞれ、(a)は実施例1に係る皮膚外用剤の塗布前、(b)は実施例1に係る皮膚外用剤の塗布直後の様子である。
【0081】
図1に示すように、実施例1に係る皮膚外用剤を塗布する前の被験者Aの左腓腹筋外側頭の厚みは19.5mmであったのに対して、皮膚外用剤を塗布した後の左腓腹筋外側頭の厚みは15.5mmとなっていた。また、図2に示すように、実施例1に係る皮膚外用剤を塗布する前の被験者Bの左腓腹筋外側頭の厚みは15.2mmであったのに対して、皮膚外用剤を塗布した後の左腓腹筋外側頭の厚みは13.1mmとなっていた。したがって、実施例1に係る皮膚外用剤の塗布により、左腓腹筋外側頭周辺の筋膜が弛緩し、収縮時の筋肉の厚みが減少したことが分かる。
【0082】
[主観的疲労度(VAS)]
日本疲労協会により制定された「疲労感VAS(Visual Analogue Scale)検査」の方法に従って、被験者が感じている主観的な疲労感を検査した。
【0083】
18~21歳の健常な女性12名を被験者とし、二重盲検クロスオーバー試験にて実施した。具体例には、実施例1で作製した皮膚外用剤とプラセボ品(実施例1において、ダイヤモンドナノ粒子とプラチナナノ粒子とメチルスルホニルメタンを含有させず、代わりに保湿剤を添加したもの)の皮膚外用剤を被験者自身がいずれかを選択し、選択した皮膚外用剤を1週間にわたり毎日夜間入浴後に背中及び下肢に塗布した。初回塗布前後と1週間経過時の最終塗布前後後に疲労感VASの測定を実施した。これをワンクールとし、2週間のウォッシュアウト期間を経て、前回とは異なるゲルを使用し、新たなクールを実施した。疲労感VASの測定結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
以上の試験の結果、実施例1に係る皮膚外用剤の使用後においては、被験者の疲労感が減少する傾向(p=0.078)を確認できた。
【要約】
【課題】ダイヤモンドナノ粒子及びプラチナナノ粒子の新たな用途を提供する。
【解決手段】ダイヤモンドナノ粒子、プラチナナノ粒子、及び有機硫黄化合物を含有する、皮膚外用剤。当該皮膚外用剤からなる、筋膜弛緩剤。当該皮膚外用剤からなる、ネガティブな気分状態の改善剤。当該皮膚外用剤からなる、身体の柔軟性向上剤。
【選択図】なし
図1
図2