(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】エスカレータ装置および移動歩道装置
(51)【国際特許分類】
B66B 23/02 20060101AFI20250228BHJP
B66B 25/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B66B23/02 Z
B66B25/00 A
(21)【出願番号】P 2024106999
(22)【出願日】2024-07-02
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524128279
【氏名又は名称】高藤総合研究所合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-049557(JP,A)
【文献】特許第7476405(JP,B1)
【文献】特開2005-089134(JP,A)
【文献】特開2008-162772(JP,A)
【文献】特開2006-137507(JP,A)
【文献】特開2013-203513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のスプロケットに巻回された移動チェーンと、前記移動チェーンに連結された複数の踏み段と、前記スプロケットを駆動する駆動装置とを有するエスカレータ装置であって、
前記駆動装置が備える前記スプロケットを駆動するモータの回転に基づいて電力を生成する電力生成部を有し、
前記電力生成部は、
回転軸が前記モータの回転軸と接続され、
前記スプロケットを駆動すると同時に交流電力を出力する発電機と、
前記発電機が出力した交流電力を所定の電圧に変換するコントロールユニットと、
を有する、
エスカレータ装置。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、蓄電池を有し、
前記コントロールユニットは、前記モータの回転に基づいて生成した電力を前記蓄電池に充電する、
請求項1に記載のエスカレータ装置。
【請求項3】
前記蓄電池は、前記蓄電池の充電状態を監視する充電監視センサを有し、
前記電力生成部は、前記充電監視センサの出力情報に基づいて、前記蓄電池が満充電状態でないことを検知すると生成した電力を前記蓄電池に充電し、前記蓄電池が満充電状態であることを検知すると生成した電力を前記蓄電池に充電しない、
請求項2に記載のエスカレータ装置。
【請求項4】
前記蓄電池は、
第1蓄電池と、
第2蓄電池と、
装置内の電子回路に電力を供給する蓄電池として前記第1蓄電池もしくは前記第2蓄電池を選択する第1切替器と、
前記電力生成部による充電対象の蓄電池として前記第1蓄電池もしくは前記第2蓄電池を選択する第2切替器と、
を有する請求項2または3に記載のエスカレータ装置。
【請求項5】
一対のスプロケットに巻回された移動チェーンと、前記移動チェーンに連結された複数の踏み段と、前記スプロケットを駆動する駆動装置とを有する移動歩道装置であって、
前記駆動装置が備える前記スプロケットを駆動するモータの回転に基づいて電力を生成する電力生成部し、
前記電力生成部は、
回転軸が前記モータの回転軸と接続され、
前記スプロケットを駆動すると同時に交流電力を出力する発電機と、
前記発電機が出力した交流電力を所定の電圧に変換するコントロールユニットと、
を有する、
移動歩道装置。
【請求項6】
前記コントロールユニットは、蓄電池を有し、
前記コントロールユニットは、前記モータの回転に基づいて生成した電力を前記蓄電池に充電する、
請求項5に記載の移動歩道装置。
【請求項7】
前記蓄電池は、前記蓄電池の充電状態を監視する充電監視センサを有し、
前記電力生成部は、前記充電監視センサの出力情報に基づいて、前記蓄電池が満充電状態でないことを検知すると生成した電力を前記蓄電池に充電し、前記蓄電池が満充電状態であることを検知すると生成した電力を前記蓄電池に充電しない、
請求項6に記載の移動歩道装置。
【請求項8】
前記蓄電池は、
第1蓄電池と、
第2蓄電池と、
装置内の電子回路に電力を供給する蓄電池として前記第1蓄電池もしくは前記第2蓄電池を選択する第1切替器と、
前記電力生成部による充電対象の蓄電池として前記第1蓄電池もしくは前記第2蓄電池を選択する第2切替器と、
を有する請求項6または7に記載の移動歩道装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータ装置および移動歩道装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ装置および移動歩道装置の分野では、電力の消費を削減するための研究がなされている。これらの装置のエネルギー効率は高いほど好ましく、さらなる改善が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている発明では、エスカレータを駆動するモータの負荷が重いほど、モータに電力を供給する電源の出力電圧が低下することに着目し、モータの負荷に応じた電力を供給するように電源の出力電力を制御することで、エスカレータ装置のエネルギー効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、エスカレータ装置および移動歩道装置のエネルギー効率を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための実施形態に係るエスカレータ装置は、一対のスプロケットに巻回された移動チェーンと、移動チェーンに連結された複数の踏み段と、スプロケットを駆動する駆動装置とを有するエスカレータ装置である。実施形態に係るエスカレータ装置は、駆動装置が備えるスプロケットを駆動するモータの回転に基づいて電力を生成する電力生成部を有する。電力生成部は、回転軸がモータの回転軸と接続され、スプロケットを駆動すると同時に交流電力を出力する発電機と、発電機が出力した交流電力を所定の電圧に変換するコントロールユニットと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係るエスカレータ装置の構成図である。
【
図2】実施形態1に係るエスカレータ装置の制御系を示す図である。
【
図3】実施形態1に係るエスカレータ装置の電力生成部の構成図である。
【
図4】実施形態1に係るエスカレータ装置の装置内電子回路への電力供給について説明するための図である。
【
図5】実施形態2に係るエスカレータ装置の蓄電池の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。説明には、適宜、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を用いる。
【0009】
図1は、本実施形態に係るエスカレータ装置10を示す図である。エスカレータ装置10は、フロアF1とフロアF2に跨って架設されている。エスカレータ装置10は、トラス11、トラス11の内部に配置された一対のスプロケット21,22、スプロケット21,22に巻回された移動チェーン23、移動チェーン23に連結された複数の踏み段25、スプロケット21を駆動する駆動装置30、トラス11に沿って設けられるケーシング12、ケーシング12に設けられるガイド13、ガイド13に沿って移動する手摺ベルト14を備えている。
【0010】
トラス11は、フロアF1とフロアF2わたって設けられている。トラス11の側面及び下面は、鋼板によってカバーされている。また、トラス11の両端部上面にはそれぞれ乗降板が固定されている。
【0011】
スプロケット21,22は、トラス11内部のX軸方向両端に配置されている。スプロケット21,22は、それぞれY軸に平行な軸P1,P2を中心に回転可能に支持されている。
【0012】
駆動装置30は、スプロケット21を回転駆動するための装置である。駆動装置30は、不図示のモータや減速機などを備えている。駆動装置30は、スプロケット21の近傍に配置されている。駆動装置30は、駆動チェーン33によってスプロケット21と連結されている。
【0013】
スプロケット21,22には、移動チェーン23が懸架されている。移動チェーン23には、複数の踏み段25が連結されている。スプロケット21が、駆動装置30によって駆動されると、移動チェーン23がスプロケット21,22を周回する。これにより、移動チェーン23の上方に位置する踏み段25が、トラス11の上方から露出した状態で、フロアF1とフロアF2の間を移動する。
【0014】
また、スプロケット21は、不図示のチェーンなどを介して、ガイド13に移動可能に支持される手摺ベルト14に連結されている。このため、駆動装置30によってスプロケット21が駆動されることで、踏み段25がフロアF1,F2の間を移動するとともに、手摺ベルト14もガイド13を周回する。
【0015】
図2は、エスカレータ装置10の制御系を示す図である。制御盤80は、制御ユニット81と駆動ユニット82を有している。駆動ユニット82は、制御ユニット81からの指示に基づいて、駆動装置30を駆動する。駆動ユニット82は、駆動装置30に電力を供給することで、踏み段25と手摺ベルト14を周回させる。
【0016】
制御ユニット81は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶部、補助記憶部、及びインタフェース部を有するコンピュータである。CPUは、補助記憶部に記憶されているプログラムに従って、各種の処理を実行する。主記憶部は、RAM(Random Access Memory)等を有している。主記憶部は、CPUの作業領域として用いられる。補助記憶部は、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ等の不揮発性メモリを有している。補助記憶部は、CPUが実行するプログラム、及び各種パラメータなどを記憶している。
【0017】
制御ユニット81は、各種センサやスイッチからの信号等に基づいて、駆動ユニット82を制御する。例えば、制御ユニット81が、駆動ユニット82を介して駆動装置30のモータを正転させると、踏み段25が上昇移動する。また、制御ユニット81が、駆動ユニット82を介して駆動装置30のモータを逆回転させると、踏み段25が下降移動する。また、センサから異常を知らせる信号を受信すると、制御ユニット81は、駆動ユニット82を制御して駆動装置30を停止させ、踏み段25の昇降移動を停止させる。
【0018】
電力生成部60は、駆動装置30のモータの回転に基づいて電力を生成する。
図3は、電力生成部60の構成図である。電力生成部60は、発電機61とコントロールユニット62を有する。
【0019】
発電機61は、駆動装置30のモータの回転に基づいて回転し、交流電力を出力する。発電機61は、モータで構成される。発電機61を構成するモータの回転軸は、例えば、歯車やベルト等により駆動装置30のモータの回転軸と接続されている。発電機61の回転軸は、駆動装置30のモータの回転軸の回転に基づいて回転し、例えば、100Vとか200Vの交流電圧(交流電流)を出力する。発電機61が出力する交流電圧の周波数は、発電機61の極数と駆動装置30のモータの回転数と歯車のギア比などによって決まる。発電機61が出力する交流電圧の周波数を限定する必要がない場合、発電機61の回転軸と駆動装置30のモータの回転軸とが共通の1本の回転軸で形成されていてもよい。
【0020】
コントロールユニット62は、発電機61が出力した交流電力を所定の電圧に変換する。コントロールユニット62は、電流駆動部621、蓄電池70、電圧調整部623を有する。
【0021】
電流駆動部621は、発電機61が出力した交流電圧を蓄電池70の充電に適した直流電圧に変換する。電流駆動部621は、例えば、コンデンサ、ダイオードなどを用いた回路で発電機61が出力した交流電圧を直流電圧に変換する。そして、電流駆動部621は、例えば、DC/DCコンバータにより入力された直流電圧を蓄電池70の充電に適した電圧に変換する。電流駆動部621は、蓄電池70の充電に適した電流を供給する定電流源であってもよい。
【0022】
蓄電池70は、例えば、リチウムイオンバッテリーなどで構成される。蓄電池70は、充電状態を監視する充電監視センサ71を有している。充電監視センサ71は、電圧測定器等で構成することができる。充電監視センサ71は、蓄電池70が満充電状態にあるか否かの情報(蓄電池70の出力電圧情報)を制御ユニット81に通知する。蓄電池70に充電された電力は、装置内の電子回路に供給される。装置内の電子回路とは、例えば、表示部のモニタ、照明やイルミネーション用のLEDなどである。
【0023】
電圧調整部623は、蓄電池70の出力電圧を装置内の電子回路に適した電圧に変換する。電圧調整部623は、例えば、DC/DCコンバータで構成することもできる。例えば、装置内の電子回路が5Vで動作する場合、電圧調整部623は直流5Vを出力する。電子回路が複数種類の電圧で動作する場合、電圧調整部623は3Vと5Vのように複数種類の電圧を出力してもよい。蓄電池70の出力電圧が装置内の電子回路に供給される電圧と同じ場合には、電圧調整部623を省略することもできる。また、電流駆動部621の出力電圧が装置内の電子回路に供給される電圧と同じ場合には、蓄電池70を省略する場合もある。
【0024】
図4は、装置内の電子回路90への電力供給について説明するための図である。エスカレータ装置10は、AC/DCコンバータ95を有し、商用交流電圧を装置内の電子回路90に適した直流電圧に変換する。電子回路90は、AC/DCコンバータ95と電力生成部60から電力を供給される。AC/DCコンバータ95から供給される電力と電力生成部60から供給される電力は、例えば、ダイオード等で構成された逆流防止回路97を介して接続される。
【0025】
次に、エスカレータ装置10の動作について説明する。スイッチの設定およびセンサからの情報に基づいて、上昇、下降もしくは停止の情報が制御ユニット81に伝達される。制御ユニット81は、その操作情報に基づいて、駆動ユニット82を介して、駆動装置30を駆動制御する。
【0026】
駆動装置30のモータの回転軸の回転に伴って電力生成部60の発電機61の回転軸が回転し、発電機61は交流電力を出力する。コントロールユニット62は、発電機61が出力した交流電力を蓄電池70の充電に適した電圧と電流に変換し、蓄電池70を充電する。
【0027】
蓄電池70が満充電状態のとき、蓄電池70の出力電圧は高くなる傾向がある。蓄電池70の出力電圧は、残容量に応じて徐々に低下していく。そして、蓄電池70の残容量がなくなると、蓄電池70の出力電圧は急激に低下する傾向がある。この蓄電池70の電圧特性に着目して蓄電池70の残容量を推定するができる。蓄電池70は、出力電圧を監視する充電監視センサ71を有している。充電監視センサ71は、蓄電池70の出力電圧の値を制御ユニット81に通知する。
【0028】
制御ユニット81は、充電監視センサ71の出力情報に基づいて、蓄電池70の出力電圧が所定の閾値電圧以上であるか否かを判断する。閾値電圧は、蓄電池70が満充電状態であるときに対して所定の残容量(例えば、残容量が90%とか95%)である場合の出力電圧の値に設定する。制御ユニット81は、蓄電池70の出力電圧が閾値電圧未満である場合、蓄電池70を充電するように電力生成部60を制御する。一方、制御ユニット81は、蓄電池70の出力電圧が閾値電圧以上である場合、蓄電池70を充電しないように電力生成部60を制御する。
【0029】
実施形態に係るエスカレータ装置10の電力生成部60は、駆動装置30のモータの回転に基づいて回転し交流電力を出力する発電機61と、発電機61が出力した交流電力を所定の電圧に変換するコントロールユニット62とを有する電力生成部60を備える。そして、実施形態に係るエスカレータ装置10は、電力生成部60が出力する電力を蓄電池70に蓄電し、その電力を装置内の電子回路で使用する。
【0030】
駆動装置30のモータに供給されたエネルギーは、モータを回転するエネルギーとして使用される。しかし、モータに供給されたエネルギーの一部は、モータで熱エネルギーとして消失する。実施形態に係るエスカレータ装置10は、電力生成部60を設けることで、駆動装置30のモータで消失する熱エネルギーを有効利用する。これにより、実施形態に係るエスカレータ装置10は、エネルギー効率を改善することができる。
【0031】
また、実施形態に係るエスカレータ装置10の蓄電池70は、蓄電池70の充電状態を監視する充電監視センサ71を有する。充電監視センサ71が、蓄電池70が満充電状態でないことを検知すると、電力生成部60は生成した電力を蓄電池70に充電する。一方、充電監視センサ71が、蓄電池70が満充電状態であることを検知すると、電力生成部60は生成した電力を蓄電池70に充電しない。このように、蓄電池70が飽和状態でない場合、電力生成部60が昇降モータ41および開閉モータ42の運動エネルギー(回転エネルギー)を電気エネルギーに変換して蓄電池70を充電することで、エスカレータ装置10のエネルギー効率が改善される。また、蓄電池70が飽和状態である場合、電力生成部60が蓄電池70を充電しないことで、蓄電池(バッテリー)の発煙発火事故を防止することができる。
【0032】
なお、
図4を用いた説明では、電子回路90にAC/DCコンバータ95と電力生成部602から電力が供給される場合について説明したが、AC/DCコンバータ95から電力供給を受ける電子回路と、電力生成部60から電力供給を受ける電子回路を分けるようにしてもよい。この場合、逆流防止回路97は不要となる。
【0033】
また、上記の説明では、電力生成部60の発電機61の回転軸が駆動装置30のモータの回転軸の回転に伴って回転する場合について説明したが、電力生成部60の発電機61の回転軸がスプロケット21,22のY軸に平行な軸P1,P2(
図1参照)の回転に伴って回転するようにしてもよい。
【0034】
また、上記では説明を省略したが、蓄電池70は、商用電源によっても充電することができる。エスカレータ装置10は、電力生成部60によって供給される電力の不足分を商用電源から蓄電池70に補充する。
【0035】
また、上記の説明では、コントロールユニット62によって蓄電池70に蓄電された電力を装置内の電子回路で消費する場合につて説明したが、装置外の電子回路に供給するようにしてもよい。例えば、LEDなどの室内照明、携帯電話の充電などに使用できるようにしてもよい。
【0036】
(実施形態2)
実施形態1では、蓄電池70が1個の蓄電池で構成されている場合について説明した。実施形態2では、蓄電池70が2個の蓄電池を備える場合について説明する。
【0037】
図5は、実施形態2に係るエスカレータ装置10の蓄電池70の構成図である。蓄電池70は、第1蓄電池72、第2蓄電池73、第1切替器74、第2切替器75、充電監視センサ71を有する。
【0038】
第1蓄電池72および第2蓄電池73は、例えば、リチウムイオンバッテリーで構成される。第1切替器74は、使用する蓄電池を切り替えるための回路である。第1切替器74は、制御ユニット81による制御に基づいて、第1蓄電池72もしくは第2蓄電池73を蓄電池70の出力として選択する。第2切替器75は、電力生成部60が充電する蓄電池を選択するための回路である。第2切替器75は、制御ユニット81による制御に基づいて、電流駆動部621の出力を第1蓄電池72もしくは第2蓄電池73に接続する。第1切替器74および第2切替器75は、FET(Field Effect Transistor)、リレー等で構成することができる。
【0039】
制御ユニット81は、例えば、充電監視センサ71による第1蓄電池72および第2蓄電池73の出力電圧の情報に基づいて、第1蓄電池72および第2蓄電池73の充電状態を監視する。第1切替器74が第1蓄電池72を選択している場合、制御ユニット81は、第1蓄電池72の出力電圧が蓄電池の残量低下を示す所定の閾値以下になると、第2蓄電池73を選択するように第1切替器74を制御する。
【0040】
制御ユニット81は、第1切替器74が選択していない側の蓄電池が充電されるように第2切替器75を制御する。また、制御ユニット81は、充電対象の蓄電池の出力電圧が蓄電池の満充電に近い状態であることを示す所定の閾値以上になると、充電対象の蓄電池が充電されないように第2切替器75を制御する。この場合、電力生成部60は、第1蓄電池72と第2蓄電池73のいずれにも充電しない状態となる。満充電状態に近い蓄電池の充電を行わない理由は、蓄電池の故障確率を低減するためである。
【0041】
実施形態2に係るエスカレータ装置10の電力生成部60は、第1蓄電池72と第2蓄電池73を切り替えて使用する。この構成を有することにより、エスカレータ装置10に搭載した一方の蓄電池を使用しながら、他方の蓄電池を充電することができる。
【0042】
駆動装置30のモータの回転速度が急激に変化すると、発電機61が大きな電力(電圧、電流)を出力する可能性がある。回路構成にもよるが、蓄電池を放電しながら充電すると、充電と放電とを分離する回路を構成するダイオードなどの半導体に過電流や過電圧が印加されることがある。ダイオードなどの半導体素子は、絶対定格を超える電圧や電流が印加されると、ショートモードで破損する場合が多い。蓄電池を構成するダイオードなどがショートモードで破損すると、蓄電池の発煙発火事故の要因となる恐れがある。実施形態2に係るエスカレータ装置10の電力生成部60は、第1切替器74と第2切替器75を用いることで、放電する蓄電池と充電する蓄電池とを物理的に分離している。これにより、蓄電池の発煙発火事故を防止することができる。
【0043】
また、実施形態2の説明では、バッテリーが2個の場合について説明したが、バッテリーの数を限定する必要はない。バッテリーの数は3個でも4個でもよい。バッテリーの数が多いほど蓄電可能な容量は多くなる。したがって、エスカレータ装置10の動作に伴って電力生成部60で生成した電力を有効に蓄電することができる。
【0044】
(実施形態3)
実施形態1と2では、エスカレータ装置について説明した。実施形態3では、移動歩道装置について説明する。移動歩道装置の基本的な構成は、エスカレータ装置と同じである。エスカレータ装置では、
図1に示すように、踏み段25が階段状態で周回するのに対し、移動歩道装置では、踏み段が平面状態で周回する。他の説明は、実施形態1および2の説明と同じである。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10…エスカレータ装置
11…トラス
12…ケーシング
13…ガイド
14…手摺ベルト
21、22…スプロケット
23…移動チェーン
25…踏み段
30…駆動装置
33…駆動チェーン
60…電力生成部
61…発電機
62…コントロールユニット
621…電流駆動部
623…電圧調整部
70…蓄電池
71…充電監視センサ
72…第1蓄電池
73…第2蓄電池
74…第1切替器
75…第2切替器
80…制御盤
81…制御ユニット
82…駆動ユニット
90…電子回路
95…AC/DCコンバータ
97…逆流防止回路
【要約】
【課題】エスカレータ装置および移動歩道装置のエネルギー効率を改善する。
【解決手段】実施形態に係るエスカレータ装置は、一対のスプロケットに巻回された移動チェーンと、移動チェーンに連結された複数の踏み段と、スプロケットを駆動する駆動装置とを有するエスカレータ装置である。実施形態に係るエスカレータ装置は、駆動装置が備えるスプロケットを駆動するモータの回転に基づいて電力を生成する電力生成部を有する。
【選択図】
図3