(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】ソフトウェアの技術文書を生成するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/73 20180101AFI20250228BHJP
【FI】
G06F8/73
(21)【出願番号】P 2024107078
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2024077170の分割
【原出願日】2024-05-10
【審査請求日】2024-07-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523464200
【氏名又は名称】ジテラ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ズオン タン フン
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 直
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113094093(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116991378(CN,A)
【文献】特開2022-072664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法であって、
コンピュータが、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定するステップと、
前記コンピュータが、前記複数のAPIコードのうちの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップであって、前記第1の要求は、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含むステップと、
前記コンピュータが、生成された1又は複数のAPI文書を記憶するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記判定するステップは、
前記リポジトリ情報から、前記複数のAPIコード及び前記1又は複数のルートファイルのパスを判定することを生成AIモデルである第2のAIモデルに要求する第2の要求を行うステップを含む。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記判定は、前記リポジトリのディレクトリ構造を用いて行う。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
前記1又は複数のAPI文書のうちの少なくともいずれかを閲覧するためのAPI文書閲覧情報をユーザー端末に送信するステップをさらに含む。
【請求項5】
コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法であって、
コンピュータが、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定するステップと、
前記コンピュータが、前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、
前記コンピュータが、生成された1又は複数のビジネスロジックを記憶するステップと
を含む。
【請求項6】
コンピュータに、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、
前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定するステップと、
前記複数のAPIコードの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップであって、前記第1の要求は、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含むステップと、
生成された1又は複数のAPI文書を記憶するステップと
を含む。
【請求項7】
コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための装置であって、
前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信し、
前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定し、
前記複数のAPIコードの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求であって、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含む第1の要求を行い、
生成された1又は複数のAPI文書を記憶するように構成されている。
【請求項8】
コンピュータに、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、
前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定するステップと、
前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、
生成された1又は複数のビジネスロジックを記憶するステップと
を含む。
【請求項9】
コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための装置であって、
前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信し、
前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定し、
前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行い、
生成された複数のビジネスロジックを記憶するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアの技術文書を生成するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアの開発にはさまざまな手法があり、その1つにおいては、まず、ユースケースを作成し、次いで、より技術的な詳細が記述された技術文書を作成し、そして、作成された技術文書に基づいて必要なコーディングが行われて、ソースコードが作成される。
【0003】
近年、技術文書に基づくソースコードの自動生成を行う技術の開発が進んでおり、たとえば、出願人は、ソフトウェアで必要な複数のテーブル及びAPIに関するテーブル定義及びAPI定義を取得し、当該テーブル定義及びAPI定義に従ったソースコードを生成する技術を開示している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたソースコードの自動生成技術を用いたサービスのユーザーは、生成されたソースコードを一般にGitHub(登録商標)等のコード管理システムで管理する。実際に当該ソースコードを用いてソフトウェアを提供していく中で機能の変更又は追加が必要になれば、当該ソースコードには修正が加えられる。このような修正が生じると、ソースコード生成サービスに保持された技術文書は、当該ソースコードと対応しないものとなってしまうため、当該サービスをさらに用いて機能の拡充を行いたいとしても、当該サービス外で加えられた修正と整合しないソースコードが生成されてしまう。
【0006】
また、既存のソフトウェアに関して、ソースコード生成サービスを用いて機能の変更又は追加をしたいユーザーにとっては、そもそも当該ソフトウェアに対応する技術文書が当該サービスに保持されていないため、利用することができない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法であって、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定するステップと、前記複数のAPIコードの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップであって、前記第1の要求は、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含むステップと、生成された1又は複数のAPI文書を記憶するステップとを含む。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記判定するステップは、前記リポジトリ情報から、前記複数のAPIコード及び前記1又は複数のルートファイルのパスを判定することを生成AIモデルである第2のAIモデルに要求する第2の要求を行うステップを含む。
【0010】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様の方法であって、前記判定するステップは、前記第2の要求を行う前に、前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード候補及び1又は複数のルートファイル候補を抽出するステップをさらに含む。
【0011】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様の方法であって、前記判定は、前記リポジトリのディレクトリ構造を用いて行う。
【0012】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様の方法であって、前記1又は複数のAPI文書のうちの少なくともいずれかを閲覧するためのAPI文書閲覧情報をユーザー端末に送信するステップをさらに含む。
【0013】
また、本発明の第6の態様は、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法であって、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定するステップと、前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、前記複数のビジネスロジックコードに対応する複数のビジネスロジックを記憶するステップとを含む。
【0014】
また、本発明の第7の態様は、コンピュータに、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定するステップと、前記複数のAPIコードの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップであって、前記第1の要求は、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含むステップと、生成された1又は複数のAPI文書を記憶するステップとを含む。
【0015】
また、本発明の第8の態様は、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための装置であって、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信し、前記リポジトリ情報から、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定し、前記複数のAPIコードの少なくともいずれかについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求であって、前記1又は複数のルートファイルの中のコードを含む第1の要求を行い、生成された1又は複数のAPI文書を記憶するように構成されている。
【0016】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信するステップと、前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定するステップと、前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、生成された1又は複数のビジネスロジックコードに対応する複数のビジネスロジックを記憶するステップとを含む。
【0017】
また、本発明の第10の態様は、コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための装置であって、前記ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報を受信し、前記リポジトリ情報から、複数のビジネスロジックコードのパスを判定し、前記複数のビジネスロジックコードの少なくともいずれかについて、当該ビジネスロジックコードに対応するビジネスロジックを生成することを生成AIモデルである第1のAIモデルに要求する第1の要求を行い、生成され1又は複数のビジネスロジックを記憶するように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、ソースコードが管理されるリポジトリに関するリポジトリ情報からAPIコード、ビジネスロジックコード等の所要の種類のファイルのパスを判定し、それらのファイルの少なくともいずれかについて、当該ファイルに対応する技術文書を生成AIモデルを用いて自動生成することで、ソフトウェア開発とドキュメント作成との間の溝を埋めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる技術文書を生成するためのシステムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる技術文書を生成するための方法の流れを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる技術文書のパスの判定を要求する要求kのためのコードに一部として含まれるプロンプトの一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる生成AIモデル(l)に対する要求lのためのコードに一部として含まれるプロンプトを作成するコードの一例を示す図である。
【
図5】
図4で用いられるテンプレート“BUILD_API_FROM_CODE”の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1に本発明の一実施形態にかかる技術文書を生成するためのシステムを示す。装置100は、ソフトウェアの技術文書を作成するために、ユーザーが用いるユーザー端末110、コード管理システム120及び生成AIモデルを提供するプラットフォーム130とインターネット等のIPネットワークを介して通信する。生成AIモデルは、装置100と通信可能なプラットフォーム130により提供されるものとして例示的に説明をするが、装置100上で生成AIモデルを提供するためのアプリケーションを実行して、装置100により生成AIモデルが提供されるようにすることもできる。また、装置100は、技術文書に対応するソースコードを生成するソースコード生成サービスをユーザーに提供するものとすることができる。
【0022】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理又は各動作を行うためのプログラムを処理部102において実行することによって構成することができる。装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からIPネットワークを介してアクセス可能なデータベース104等の記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102の少なくとも1つのプロセッサにおいて当該プログラムに含まれる命令を実行することができる。以下で記憶部103に記憶されるものとして記述されるデータはデータベース104等の記憶装置又は記憶媒体に記憶してもよく、またその逆も同様である。
【0023】
まず、装置100は、ユーザー端末110から、技術文書を作成したいソフトウェアを管理するコード管理システム120上のレポジトリの選択を受信する(S201)。この選択は、たとえば、装置100が提供するサービスにログインしたユーザーに対して、当該ユーザーに関連づけられた1又は複数のレポジトリの選択画面を表示して、当該ユーザーがいずれかを選択することによって行うことができる。
【0024】
次に、装置100は、コード管理システム120に対して、当該リポジトリに関するリポジトリ情報を要求し(S202)、当該リポジトリ情報を受信する(S203)。リポジトリ情報は、選択されたリポジトリ内のすべてのファイルを含んでもよく、一部のファイルが除かれてもよい。ここでは、ユーザーがリポジトリを選択したことに応じて、装置100がリポジトリ情報を取得する例を説明したが、装置100がユーザーに関連づけられたリポジトリ内のファイルの更新等の変化を検知して、当該変化を検知したことに応じて、当該リポジトリに関するリポジトリ情報を取得するようにすることもできる。
【0025】
リポジトリ情報を取得した装置100は、次いで、必要に応じて、当該リポジトリ情報から、複数のAPIコード候補及び1又は複数のルートファイル候補を抽出する(S204)。当該抽出は、一例として、取得したリポジトリ情報に含まれる複数のファイルのパスをベクターデータベースに登録し、指定された用語との類似度が所定の閾値以上の1又は複数のファイルを特定することによって行うことができる。API文書を生成したい場合、当該用語としては、“API”、“APIs”、“Controller”、“Controllers”、“Route”、“Routes”等が挙げられる。また、ビジネスロジックを生成したい場合、当該用語としては、“Service”、“Services”、“Business Logic”、“Business Logics”、“Domain Logic”、“Domain Logics”、“Handler”、“Handlers”が挙げられる。ソフトウェアの開発規模が大きくなればなるほど、生成したい技術文書に関連しないファイルの数が増えていくことから、関連するファイル候補を抽出して、その後の処理対象となるファイル数を削減することによって、技術文書の生成速度を大幅に上げることができる。ここで、「API文書」とは、APIの機能及び使用方法を記述した文書をいう。
【0026】
そして、装置100は、ファイル候補の抽出をした場合には抽出されたファイル候補を用いて、しなかった場合には取得したリポジトリ情報を用いて、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定することを生成AIモデルであるAIモデル(「生成AIモデル(k)」とも呼ぶ。)に要求(「要求k」とも呼ぶ。)する(S205)。
【0027】
図3に、本発明の一実施形態にかかる生成AIモデル(k)に対する要求kのためのコードに一部として含まれるプロンプトと呼ばれる指示(instruction)の一例を示す。当該プロンプトでは、変数{files}に、リポジトリ情報に含まれる全部のファイル又は複数のファイルのパスが設定される。そして、当該プロンプトには、ビジネスロジックコード、APIコード又はルートファイルを特定して、特定された各ファイルのパスをカテゴリ名とともに所定の形式で出力することが記述されている。API文書の生成が目的であり、ビジネスロジックの生成は不要である場合には、ビジネスロジックコードの特定は必ずしも必要ではない。ここで、「ビジネスロジック」とは、ユーザーインターフェース(UI)との通信で送信又は受信されるデータをビジネス上の要求に基づいて処理するためのロジック(logic)をいい、「ロジック」とは、一連の命令を意味する。
【0028】
図3の例は、プログラミング言語TypeScriptで記述したコードに一部として含まれる、自然言語で記述したプロンプトの一例であり、当該コードを実行することによって、OpenAI APIを呼び出し、プラットフォーム130上で提供される生成AIモデル(k)にパスを判定させることができる。OpenAI APIは例示であり、その他のAPIを用いてもよい。プログラミング言語TypeScriptは例示であり、その他の言語を用いてもよい。要求kを行うためのコードは、記憶部103に記憶しておき、装置100がこれを取得して、当該コードに含まれる変数に所要の値を設定して得られる指示を含むコードを実行することによって、要求kを行うことができる。
【0029】
装置100は、判定されたパスを受信した後(S206)、各APIコードについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデルであるAIモデル(「生成AIモデル(l)」とも呼ぶ。)に要求(「要求l」とも呼ぶ。)する(S207)。生成AIモデル(l)が技術文書を作成した後(S208)、装置100は、当該技術文書を受信して記憶する(S209)。
【0030】
要求lは、パスが判定されたすべてのルートファイルを含むことが好ましい。各APIコードに対して、当該APIコードに関連する1又は複数のルートファイルを判定して、判定されたルートファイルのみを要求lに含めることも可能であるが、当該判定をせずとも、ルートファイルの数は膨大ではないため、すべてのルートファイルに含まれるすべてのコードを要求lに含めることで、技術文書の生成速度を大幅に落とすことなく、精度を高めることができる。
【0031】
図4に、本発明の一実施形態にかかる生成AIモデル(l)に対する要求lのためのコードに一部として含まれるプロンプトを作成するコードの一例を示す。この例では、変数“code”にAPIコード、変数“route”にルートファイル内のコード、変数“response_introduction”に要求lに対する応答の形式、そして変数“module”にAPIコードにより提供されるAPIが属するモジュールがテンプレート “BUILD_API_FROM_CODE”において設定される。変数“module”及び変数“response_introduction”は必ずしも必須ではない。また、変数“response_introduction”は、ユーザーにより指定された応答の形式を設定するようにしてもよい。
図5に、
図4で用いられるテンプレート“BUILD_API_FROM_CODE”の一例を示す。
【0032】
図2においては生成AIモデル(k)生成AIモデル(l)を区別しているところ、これらは、同一の生成AIモデルとしてもよい。本明細書において「AIモデル」とは、入力に対して出力を予測可能に訓練済みの機械学習モデル」をいい、「生成AIモデル(generative AI model)」とは、入力に対して当該入力に含まれない出力を生成可能にテキストデータを用いて訓練済みの大規模言語モデル(LLM)を指す。生成AIモデルとしては、特にトランスフォーマーアーキテクチャを適用したLLMが好ましいが、技術の進展によってアーキテクチャの呼称が変わることは想定される。したがって、本明細書において「トランスフォーマーアーキテクチャ」とは、トランスフォーマーアーキテクチャの1若しくは複数の特徴又はその改良を用いたアーキテクチャを包含する。本明細書において「生成AIモデル」が同一であるか否かは、ユーザーが指定した生成AIモデルの種類が同一であるか否かによって判断する。Open AI APIの例でいえば、GPT-4の場合、変数“model”の値が同一であれば、生成AIモデルとして同一であると表現する。第1の生成AIモデルと第2の生成AIモデルが同一でない場合、同一のプラットフォーム130上で提供されるものでもよい。
図2の例では、要求kの後に要求lをしているところ、生成AIモデル(k)と生成AIモデル(l)が同一の生成AIモデルであるか同一のプラットフォーム上で提供される生成AIモデルである場合には、APIの単一の呼び出しによって、これらの要求を行ってもよい。また、言うまでもないが、要求k及び要求lは、それぞれ複数の要求を含んでもよく、生成AIモデルに対する要求以外の装置100により行われる1又は複数の処理を含んでもよい。
【0033】
そして、装置100は、生成された複数の技術文書の少なくともいずれかを閲覧するための技術文書閲覧情報をユーザー端末110に送信する(S210)。技術文書閲覧情報は、たとえば、HTML形式のファイルとすることができ、ユーザー端末110はこれを用いて表示画面に技術文書閲覧画面を表示することができる。また、ユーザー端末110にインストールされたアプリケーションを動作させ、受信した技術文書閲覧情報を用いて当該アプリケーション内で技術文書閲覧画面を表示させてもよい。なお、「閲覧画面」は、ウェブブラウザ上で表示される場合にはウェブページ、モーダルウィンドウ、ポップアップウィンドウ等のさまざまな形式を採用することができ、アプリケーション内で表示される場合には当該アプリケーションの一画面とすることができる。いずれにおいても、生成された技術文書を閲覧可能に表示するための領域を含む画面であれば、閲覧画面に該当する。
【0034】
このとおり、ソースコードから技術文書を自動生成することで、ソフトウェア開発とドキュメント作成との間の溝が埋まり、正確で最新の技術文書を作成するために通常必要とされる手作業を大幅に削減することができる。生成すべき技術文書が重複することもあるので、パスが判定されたいくつかのファイルについては、当該ファイルに対応する技術文書を必ず生成しなくともよい。
【0035】
なお、上述の実施形態において、「のみに基づいて」、「のみに応じて」、「のみの場合」、「のみを参照して」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0036】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0037】
また、上述した本発明の各実施形態は、互いに矛盾しない範囲でそれらを任意に組み合わせることが本明細書の開示に含まれることに留意されたい。
【0038】
本明細書においては、要求kの後に要求lを行う流れで説明をしたが、パスの判定に生成AIモデルを必ずしも用いない場合においては、生成AIモデル(l)を第1の生成AIモデル、要求lを第1の要求と呼ぶことがある。
【符号の説明】
【0039】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ユーザー端末
120 ソースコード管理システム
130 プラットフォーム
【要約】
【課題】コード管理システムで管理されるソースコードに対応する技術文書を生成するための方法を提供することにある。
【解決手段】装置100は、ユーザー端末110から受信したレポジトリの選択に応じて、当該レポジトリに関するレポジトリ情報をコード管理システム130から受信する(S201乃至S203)。装置100は、次いで、当該リポジトリ情報から、複数のAPIコード候補及び1又は複数のルートファイル候補を抽出する(S204)。そして、装置100は、抽出されたファイル候補を用いて、複数のAPIコード及び1又は複数のルートファイルのパスを判定することを生成AIモデル(k)に要求し(S205)、判定されたパスを受信する(S206)。装置100は、各APIコードについて、当該APIコードに対応するAPI文書を生成することを生成AIモデル(l)に要求し、生成された技術文書を受信して記憶する(S207乃至S209)。
【選択図】
図2