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  • 特許-操作検出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】操作検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021042638
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142460
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】土肥 泉
(72)【発明者】
【氏名】福島 一幸
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 朗仁
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261333(JP,A)
【文献】特開平09-033367(JP,A)
【文献】特開2017-096863(JP,A)
【文献】特開2000-055608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルと、
前記操作パネルの表側に形成され複数の操作部と、
前記操作パネルの裏面側に設けられた基板に配設された複数の発熱要素と、
前記複数の操作部のそれぞれの裏側に設けられたアクティブゲージおよびダミーゲージと、
前記複数の操作部のうち1つの前記操作部の前記アクティブゲージと該アクティブゲージが設けられた前記操作部とは異なる前記操作部に設けられたダミーゲージとで構成されたホイートストンブリッジ回路と、
を備え
同一のタイミングで作動する前記複数の発熱要素は、それぞれ対をなす前記アクティブゲージまでの距離と、前記ダミーゲージまでの距離とが、同一となるように配設され、前記複数の操作部の内部が同一の温度環境下となるように構成された操作検出装置。
【請求項2】
前記ホイートストンブリッジ回路が、前記複数の操作部のうち、互いに隣接していない2つの前記操作部にそれぞれ設けられた前記アクティブゲージと前記ダミーゲージとで構成された請求項1に記載の操作検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、操作パネルの押圧操作を検出する手段として、操作パネルの表面板の裏側にひずみゲージを設け、そのひずみゲージが検出したひずみ量から、操作パネルへの押圧操作を検出する手段が知られている。
しかしながら、ひずみゲージを使用して押圧操作を検出する場合には、ひずみゲージの抵抗値が温度により変化するために、誤検出が発生する可能性があった。
特許文献1に開示の圧電素子では、変位測定用のひずみゲージであるアクティブゲージと、アクティブゲージとは同一の温度環境下に設けられたダミーゲージとによりブリッジ回路を構成し、温度によるひずみゲージの抵抗値の変化を相殺して、誤検出を防止している。このとき、ダミーゲージは、アクティブゲージが力を受けて変形しても、ひずみがほとんど発生しない位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平03-235001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フラット形状でユーザによる大きな操作力がかかる操作パネルでは、操作パネルの押圧操作によるひずみがほとんど発生しない位置にダミーゲージを配設し、さらに、そのダミーゲージの近傍で同一温度環境下となる位置にアクティブゲージを配設することは困難である。
例えば、操作パネルに対する大きな操作力によってひずみが発生しないダミーゲージの位置として、操作パネルの端部が挙げられるが、操作パネルの操作部近傍には操作部照明用のLED等の発熱素子が設けられているために、アクティブゲージが設けられる操作部と、操作パネルの端部とでは温度環境が異なり、操作部への押圧操作の検出を正確に検出できないという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、操作パネルを備えた操作検出装置において、ダミーゲージを操作部近傍に設けた場合でも、温度変化の影響を受けずに、押圧操作の検出を正確に行うことができる操作検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、操作パネルと、前記操作パネルの表側に形成され複数の操作部と、前記操作パネルの裏面側に設けられた基板に配設された複数の発熱要素と、前記複数の操作部のそれぞれの裏側に設けられたアクティブゲージおよびダミーゲージと、前記複数の操作部のうち1つの前記操作部の前記アクティブゲージと該アクティブゲージが設けられた前記操作部とは異なる前記操作部に設けられたダミーゲージとで構成されたホイートストンブリッジ回路と、を備え、同一のタイミングで作動する前記複数の発熱要素は、それぞれ対をなす前記アクティブゲージまでの距離と、前記ダミーゲージまでの距離とが、同一となるように配設され、前記複数の操作部の内部が同一の温度環境下となるように構成された操作検出装置を提案している。
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態における操作検出装置では、操作パネルの表側に複数の操作部が設けられ、アクティブゲージおよびダミーゲージが、同一の温度環境下となるように操作部の裏側に配置されている。さらに、各操作部のアクティブゲージと、そのアクティブゲージが設けられた操作部とは異なる操作部に設けられたダミーゲージとにより構成された、ホイートストンブリッジ回路を備えている。
すなわち、同一の温度環境下にある、アクティブゲージと、ダミーゲージとにより構成されたホイートストンブリッジ回路の出力電圧に基づいて押圧操作を検出するために、ダミーゲージを操作部の裏側に設けても、温度変化の影響を受けずに、押圧操作の検出を正確に行うことができる。
【0009】
形態;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ホイートストンブリッジ回路が、前記複数の操作部のうち、互いに隣接していない2つの操作部にそれぞれ設けられた前記アクティブゲージと前記ダミーゲージとで構成された操作検出装置を提案している。
すなわち、ホイートストンブリッジ回路は、隣接しないアクティブゲージとダミーゲージとにより構成されている。
そのため、ユーザによる押圧操作がなされ、アクティブゲージに荷重がかかった状態であっても、ダミーゲージにかかる荷重を小さくすることができる。
これにより、操作部が押圧操作されたときに、押圧操作された操作部に対応するホイートストンブリッジ回路の出力電圧のみが変化するため、押圧操作の検出を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、ダミーゲージを操作部近傍に設けた場合でも、温度変化の影響を受けずに、押圧操作の検出を正確に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る操作検出装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作検出装置の操作パネルを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る操作検出装置の操作パネルのA-A断面を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る操作検出装置のホイートストンブリッジ回路部の回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
図1から図4を用いて、本実施形態に係る操作検出装置1について説明する。
【0013】
<操作検出装置1の構成>
本実施形態に係る操作検出装置1は、例えば、車両用空調の空調ファンの強さ変更、動作モード切り替え等のユーザからの操作指示を検出する装置であって、図1に示されるように、操作パネル100と、ホイートストンブリッジ回路部200と、CPU300と、を含んで構成されている。
【0014】
<操作パネル100の構成>
操作パネル100は、操作部10~40を含んで構成されている。
図2に示されるように、操作部10および操作部20は、空調ファンの強さを変更するための操作部であって、ユーザは、操作部10のアイコン11および操作部20のアイコン21の近傍を押圧操作することにより空調ファンの強さを変更する。
さらに、操作部30および40は、空調の動作モードを変更する操作部であって、ユーザは、操作部30のアイコン31および操作部40のアイコン41の近傍を押圧操作することにより空調の動作モードを変更する。
【0015】
操作パネル100の各操作部の裏面には、ユーザの押圧を検出するためのアクティブゲージとダミーゲージと、が配設されている。ここで、操作部10には、アクティブゲージ10Aと、ダミーゲージ10Dとが配設されている。操作部20には、アクティブゲージ20Aと、ダミーゲージ20Dとが配設されている。操作部30には、アクティブゲージ30Aと、ダミーゲージ30Dとが配設されている。操作部40には、アクティブゲージ40Aと、ダミーゲージ40Dとが配設されている。
例えば、図3に示されるように、操作部10の押圧操作領域の裏側には、押圧操作を検出するダミーゲージ10Dと図示されていないアクティブゲージ10Aとが配設されている。
アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dには、例えば、ひずみゲージが用いられている。
ひずみゲージは、ユーザの押圧操作により抵抗値が変化するため、その抵抗値の変化を検出することにより、ユーザの押圧操作を検出することができる。
なお、押圧操作の検出方法については、後述する。
【0016】
また、図2に示されるように、夜間においても操作部10~40にあるアイコン11~41を認識できるように、アイコン11~41の裏面直下にはLED10L~40Lがそれぞれ配設されている。
例えば、図3に示されるように、LED10Lは、操作パネル100の裏側に配設された基板150に実装され、アイコン11を照明している。
なお、LED10L~40Lには、同一の電流値が供給され、LEDを点灯させている。また、LED10L~40Lは、すべて同一のタイミングで点灯および消灯される。
【0017】
ここで、LED10L~40Lは点灯することにより発熱するために、LED周辺の温度が上昇し、さらに、アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dの周辺温度も上昇する。
本実施形態に係る操作検出装置1では、アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dの周辺の温度をすべて同等にするために、各操作部の発熱要素であるLEDとアクティブゲージとの距離と、各操作部の発熱要素であるLEDとダミーゲージとの距離とが、同じ距離となるように配設されている。
なお、操作検出装置1における温度環境の変化による検出処理への影響については、後述する。
【0018】
<ホイートストンブリッジ回路部200およびCPU300の構成>
図4を用いて、ホイートストンブリッジ回路部200と、CPU300との構成について説明する。
【0019】
(ホイートストンブリッジ回路部200の構成)
ホイートストンブリッジ回路部200は、ホイートストンブリッジ回路210~240を含んで構成されている。
【0020】
図4に示されるように、ホイートストンブリッジ回路210~240を構成するアクティブゲージとダミーゲージとは、互いに隣接しない操作部にそれぞれ設けられたアクティブゲージとダミーゲージとにより構成されている。
例えば、ホイートストンブリッジ回路210の場合には、操作部10のアクティブゲージ10Aと、操作部30のダミーゲージ30Dとにより構成されている。
【0021】
ホイートストンブリッジ回路210は、アクティブゲージ10Aと、ダミーゲージ30Dと、抵抗211と、抵抗212と、オペアンプ213と、を含んで構成されている。
アクティブゲージ10Aの一端は、ダミーゲージ30Dの一端と、回路電源(5V)とに接続されている。
なお、車両に搭載されている操作検出装置1の場合には、CPU300に電源が供給された後に、CPU300が図示しないスイッチング素子を制御することにより、ホイートストンブリッジ回路部200に、回路電源(5V)が供給される。
アクティブゲージ10Aの他端は、抵抗211の一端とオペアンプ213のプラス入力端子とに接続されている。
ダミーゲージ30Dの他端は、抵抗212の一端とオペアンプ213のマイナス入力端子とに接続されている。
抵抗211の他端は、抵抗212の他端とグランドとに接続されている。
オペアンプ213の出力端子はCPU300に接続されている。
【0022】
ホイートストンブリッジ回路220は、アクティブゲージ20Aと、ダミーゲージ40Dと、抵抗221と、抵抗222と、オペアンプ223と、を含んで構成されている。
アクティブゲージ20Aの一端は、ダミーゲージ40Dの一端と、回路電源(5V)とに接続されている。
アクティブゲージ20Aの他端は、抵抗221の一端とオペアンプ223のプラス入力端子とに接続されている。
ダミーゲージ40Dの他端は、抵抗222の一端とオペアンプ223のマイナス入力端子とに接続されている。
抵抗221の他端は、抵抗222の他端とグランドとに接続されている。
オペアンプ223の出力端子はCPU300に接続されている。
【0023】
ホイートストンブリッジ回路230は、アクティブゲージ30Aと、ダミーゲージ10Dと、抵抗231と、抵抗232と、オペアンプ233と、を含んで構成されている。
アクティブゲージ30Aの一端は、ダミーゲージ10Dの一端と、回路電源(5V)とに接続されている。
アクティブゲージ30Aの他端は、抵抗231の一端とオペアンプ233のプラス入力端子とに接続されている。
ダミーゲージ10Dの他端は、抵抗232の一端とオペアンプ233のマイナス入力端子とに接続されている。
抵抗231の他端は、抵抗232の他端と、グランドとに接続されている。
オペアンプ233の出力端子はCPU300に接続されている。
【0024】
ホイートストンブリッジ回路240は、アクティブゲージ40Aと、ダミーゲージ20Dと、抵抗241と、抵抗242と、オペアンプ243と、を含んで構成されている。
アクティブゲージ40Aの一端は、ダミーゲージ20Dの一端と、回路電源(5V)とに接続されている。
アクティブゲージ40Aの他端は、抵抗241の一端とオペアンプ243のプラス入力端子とに接続されている。
ダミーゲージ20Dの他端は、抵抗242の一端とオペアンプ243のマイナス入力端子とに接続されている。
抵抗241の他端は、抵抗242の他端と、グランドとに接続されている。
オペアンプ243の出力端子はCPU300に接続されている。
【0025】
ここで、アクティブゲージ10A~40Aと、ダミーゲージ10D~40Dとは、同一特性である必要があるために、同じ部品が用いられている。
さらに、抵抗211,212,221,222,231,232,241および242には、アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dの抵抗値(ひずみが無いときの抵抗値)と同じ抵抗値の抵抗が用いられている。
【0026】
また、上述したオペアンプ213、223、233および243は、ユーザの押圧操作によるひずみゲージの抵抗値の変化から発生する電圧を増幅する差動増幅回路であり、その出力電圧はCPU300に接続されている。
なお、ホイートストンブリッジ回路部200の回路動作の詳細については、後述する。
【0027】
(CPU300の構成)
CPU300は、検出部310を含んで構成されている。
なお、検出部310は、図示しない周知のRAM、ROMおよびI/Oバス等を備えたCPU300の一部の機能である。
CPU300では、ROMに格納された制御プログラムにしたがって、操作検出装置1全体の制御が実行される。
CPU300には、ACC(アクセサリ)スイッチ、または、IG(イグニッション)スイッチに連動して、CPU電源(5V)が供給される。
なお、CPU300にCPU電源(5V)が供給されると、操作検出装置1の処理が開始され、CPU電源(5V)が遮断されると操作検出装置1の処理が終了される。
検出部310では、ホイートストンブリッジ回路210~240の出力電圧V210~V240に基づいて、ユーザの押圧操作が検出される。
【0028】
<ホイートストンブリッジ回路部200に対して温度環境変化が与える影響>
アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dに用いられるひずみゲージは、一般に金属箔で構成され、押圧操作の圧力により金属箔が変形し、抵抗値の値が変化する。
また、ひずみゲージは、温度環境により金属箔が伸縮膨張するため、押圧操作が無い状態においても、温度環境の変化に合わせて抵抗値が変化する。
以下に、本実施形態に係る操作検出装置1におけるホイートストンブリッジ回路部200に対し、温度環境の変化が与える影響について説明する。
【0029】
ここでは、ホイートストンブリッジ回路210を例示し、説明する。
抵抗211および抵抗212の抵抗値をR、アクティブゲージ10Aの抵抗値をR10A、ダミーゲージ30Dの抵抗値をR30D、オペアンプ213のプラス入力端子の電圧をVA1、オペアンプ213のマイナス入力端子の電圧をVD1、オペアンプ213の増幅率をGampとしたときに、ホイートストンブリッジ回路210の出力電圧V210は、以下の数1で表すことができる。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、本実施形態に係る操作検出装置1では、発熱源であるLED10Lとアクティブゲージ10Aとの距離と、ダミーゲージ30DとLED30Lとの距離とが同じであるために、アクティブゲージ10Aとダミーゲージ30Dとは、同一の温度環境下となる。
そのため、アクティブゲージ10Aの抵抗値R10Aとダミーゲージ30Dの抵抗値R30Dとが同じ値となる。
つまり、ホイートストンブリッジ回路210の出力電圧V210は、温度に影響されず、常に0V近傍のまま変化しない。
【0032】
<押圧操作時のホイートストンブリッジ回路部200および検出部310の動作>
以下では、ユーザにより操作部10が押圧操作された場合におけるホイートストンブリッジ回路部200の回路動作について説明する。
【0033】
本実施形態に係る操作検出装置1では、各操作部にアクティブゲージとダミーゲージとが設けられているため、操作部が押圧操作されると、アクティブゲージおよびダミーゲージのそれぞれの抵抗値が変化する。
例えば、操作部10が押圧操作されると、アクティブゲージ10Aおよびダミーゲージ10Dの抵抗値が変化する。
【0034】
操作部10が押圧操作されたときのアクティブゲージ10Aの抵抗値をR10A(push)、押圧操作されていないダミーゲージ30Dの抵抗値をR30D、抵抗211および抵抗212の抵抗値をR、オペアンプ213の増幅率をGamp、オペアンプ213のプラス入力端子の電圧をVA1、オペアンプ213のマイナス入力端子の電圧をVD1としたときに、ホイートストンブリッジ回路210の出力電圧V210は以下の数2で表すことができる。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、操作部10の押圧操作においては、ダミーゲージ30Dは押圧操作されないため、R30Dの抵抗値をRとし、数2の式のR30DにRを代入すると、ホイートストンブリッジ回路210の出力電圧V210は以下の数3で表すことができる。
【0037】
【数3】
【0038】
一方、操作部10が押圧操作されたときのダミーゲージ10Dの抵抗値をR10D(push)、押圧操作されないアクティブゲージ30Aの抵抗値をR30A、抵抗231および抵抗232の抵抗値をR、オペアンプ233の増幅率をGamp、オペアンプ233のプラス入力端子の電圧をVA3、オペアンプ233のマイナス入力端子の電圧をVD3としたときに、ホイートストンブリッジ回路230の出力電圧V230は以下の数4で表すことができる。
【0039】
【数4】
【0040】
ここで、操作部10の押圧操作においては、アクティブゲージ30Aは押圧操作されないため、R30Aの抵抗値をRとし、数4の式のR30AにRを代入すると、ホイートストンブリッジ回路230の出力電圧V230は以下の数5で表すことができる。
【0041】
【数5】
【0042】
ここで、オペアンプ213、223、233および243は、グランドレベルを基準として、CPU電源(5V)にて動作するオペアンプであるために、各オペアンプの出力には0~5Vの値が出力される。
つまり、上記したV230の値は、マイナスの出力電圧とならず、オペアンプ233の出力には、0Vが出力される。
【0043】
以上、上述したように、各操作部が押圧操作されていないときには、すべてのホイートストンブリッジ回路の出力には、温度環境の変化に影響されず0Vが出力される。
また、各操作部が押圧操作されると、アクティブゲージおよびダミーゲージのそれぞれの抵抗値が変化し、ホイートストンブリッジ回路の出力電圧が変化する。
しかしながら、本実施形態に係る操作検出装置1では、各ホイートストンブリッジ回路の出力は、0~5Vの値となるため、押圧操作された操作部に配設されたアクティブゲージが含まれたホイートストンブリッジ回路の出力のみが0Vから変化する。
つまり、検出部310は、各ホイートストンブリッジ回路の出力電圧V210~V240を監視し、所定の電圧より大きい値となった場合に、押圧操作がされたと判定する。
【0044】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る操作検出装置1は、操作パネル100と、操作パネル100の表側に形成され、内部が同一の温度環境下となるように構成された操作部10~40と、操作部10~40のそれぞれの裏側に設けられたアクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dと、操作部10~40のうち1つの操作部のアクティブゲージと、該アクティブゲージが設けられた操作部とは異なる操作部に設けられたダミーゲージとで構成されたホイートストンブリッジ回路部200と、を備えている。
【0045】
本実施形態に係る操作検出装置1では、操作パネル100の表側に操作部10~40が設けられ、アクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dが、同一の温度環境下となるように操作部10~40の裏側に配置されている。さらに、操作検出装置1は、各操作部のアクティブゲージと、そのアクティブゲージが設けられた操作部とは異なる操作部に設けられたダミーゲージとにより構成された、ホイートストンブリッジ回路部200を備えている。
すなわち、同一の温度環境下にある、アクティブゲージ10A~40Aと、ダミーゲージ10D~40Dとにより構成されたホイートストンブリッジ回路部200の出力電圧に基づいて押圧操作を検出するために、ダミーゲージ10D~40Dを操作部10~40の裏側に設けても、温度変化の影響を受けずに、押圧操作の検出を正確に行うことができる。
【0046】
本実施形態に係る操作検出装置1では、同一のタイミングで作動する発熱要素が操作部10~40の近傍にそれぞれ設けられ、操作部10~40の内部が同一の温度環境下となるように構成されている。
本実施形態に係る操作検出装置1には、操作パネル100の裏側に操作部10~40のアイコン11~41を照明するための、LED10L~40Lが備えられ、LED10L~40Lは同一のタイミングで点灯される。
すなわち、操作部10~40のそれぞれの近傍には、同じタイミングで作動する発熱要素(LED10L~40L)が配設されているために、操作部10~40に配設されたアクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dを同一の温度環境下にすることができる。
そのため、押圧操作されていないときのアクティブゲージ10A~40Aおよびダミーゲージ10D~40Dの抵抗値がすべて同じ抵抗値となるために、温度変化の影響を受けずに、押圧操作の検出を正確に行うことができる。
【0047】
本実施形態に係る操作検出装置1では、ホイートストンブリッジ回路部200が、操作部10~40のうち、互いに隣接していない2つの操作部にそれぞれ設けられたアクティブゲージとダミーゲージとで構成されている。
すなわち、各ホイートストンブリッジ回路は、隣接しないアクティブゲージとダミーゲージとにより構成されているために、アクティブゲージが押圧操作され荷重がかかった状態であっても、ダミーゲージにかかる荷重を小さくすることができる。
そのため、操作部が押圧操作されたときに、押圧操作された操作部に対応するホイートストンブリッジ回路のみ、出力電圧が変化するために、押圧操作の検出を正確に行うことができる。
【0048】
<変形例>
上述した、操作検出装置1では、ホイートストンブリッジ回路が複数の操作部のうち、互いに隣接していない2つの操作部にそれぞれ設けられたアクティブゲージとダミーゲージとで構成されていたが、押圧操作したときに隣接する操作部へかかる荷重の影響がない場合には、互いに隣接した2つの操作部にそれぞれ設けられたアクティブゲージとダミーゲージとによりホイートストンブリッジ回路が構成されてもよい。
つまり、押圧操作した操作部に隣接する操作部に配設されたアクティブゲージとダミーゲージとの抵抗の変化が小さい場合には、互いに隣接した2つの操作部にそれぞれ設けられたアクティブゲージとダミーゲージとによりホイートストンブリッジ回路が構成されてもよい。
また、上述した、操作検出装置1では、4つずつの操作部とホイートストンブリッジ回路とを備える構成であったが、各操作部の内部が同一の温度環境下となるように構成されれば、この数に限られるものではない。より詳細には、少なくとも2つずつの操作部とホイートストンブリッジ回路とを備える構成であればよく、4つよりも多い操作部とホイートストンブリッジ回路とを備える構成であってもよい。
さらに、上述した、操作検出装置1では、各操作部が操作パネルに対して横方向に並列して形成される構成であったが、各操作部の内部が同一の温度環境下となるように構成されれば、この構成に限られるものではなく、各操作部が操作パネルに対して縦方向や斜め方向に並列して形成される構成であってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1;操作検出装置
10~40;操作部
10A~40A;アクティブゲージ
10D~40D;ダミーゲージ
10L~40L;LED
100;操作パネル
150;基板
200;ホイートストンブリッジ回路部
210~240;ホイートストンブリッジ回路
300;CPU
310;検出部
図1
図2
図3
図4