(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】藻類の培養システム、及び藻類の培養方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20250228BHJP
C12N 1/12 20060101ALI20250228BHJP
C04B 18/16 20230101ALI20250228BHJP
C04B 7/38 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12N1/12 A
C04B18/16
C04B7/38
(21)【出願番号】P 2021045236
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 浩希
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】須藤 俊吉
(72)【発明者】
【氏名】西城 晶子
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167538(JP,A)
【文献】実開平07-007412(JP,U)
【文献】特開2008-022740(JP,A)
【文献】特開平08-070722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート廃材と、藻類と、前記藻類を培養する培養水とを収容する収容装置と、
前記収容装置の前記培養水にCO
2を供給するCO
2供給装置と、を備える藻類の培養システムであって、
前記コンクリート廃材は、軽量気泡コンクリート及び/又は生コンスラッジからなる該廃材であり、
前記コンクリート廃材は、粉砕された該コンクリート廃材である1mm~5mmの粒体を含み、
前記藻類は前記収容装置で培養され、
前記収容装置に収容された前記培養水のpHは、前記コンクリート廃材及
び前記CO
2の量により、前記藻類の成長に好適な範囲に調整される、該培養システム。
【請求項2】
前記コンクリート廃材に含まれる、粉砕された該コンクリート廃材である1mm~5mmの前記粒体は、所定の大きさより小さい1mm未満の大きさの細粒分が除去された該粒体である、請求項1に記載の藻類の培養システム。
【請求項3】
前記培養システムは、前記培養水に含まれている前記粒体を分離する分離装置を有している、請求項1又は2に記載の藻類の培養システム。
【請求項4】
前記コンクリート廃材は、CO
2に晒されてCO
2を吸着したコンクリート廃材を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の藻類の培養システム。
【請求項5】
前記CO
2は、工場から排出される排ガス由来のCO
2である、請求項1~4の何れか一項に記載の藻類の培養システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の藻類の培養システムを備え、前記収容装置で藻類の培養に用いられた前記コンクリート廃材を、セメント混合材、コンクリート混和材、骨材、又は路盤材として利用する、前記コンクリート廃材の再利用システム。
【請求項7】
請求項2に記載された藻類の培養システムを備え、前記
粉砕されたコンクリート廃材から除去された、前記所定の大きさより小さい1mm未満の大きさの細粒分を、セメントクリンカ原料として利用する、前記
細粒分の再利用システム。
【請求項8】
コンクリート廃材とCO
2とを、藻類を培養する培養水に供給して、前記藻類を培養することを特徴とする、藻類の培養方法であって、
前記コンクリート廃材は、軽量気泡コンクリート及び/又は生コンスラッジからなる該廃材であり、
前記コンクリート廃材は、粉砕された該コンクリート廃材である1mm~5mmの粒体を含み、
前記培養水のpHは、前記コンクリート廃材及
び前記CO
2の量により、前記藻類の成長に好適な範囲に調整される、該培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成を行う藻類を培養する改良された培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地球温暖化防止のために、CO2の回収、及び、有効利用する取り組みが注目されている。そのような取り組みの1つとして、特許文献1に開示されているように、藻類を培養する過程で藻体にCO2を固定化することのできる微細藻類培養が注目されている。培養されてCO2を固定化された藻体は、バイオ燃料、化学製品、養殖用飼料等、様々な用途への活用が考えられている。
【0003】
藻類を培養する際には、CO2ガスを溶解させたCO2溶解培養水を生成し、藻類を培養する収容装置に適宜補充する。CO2含有量が高められた培養水が補充されることにより、収容装置内の藻類は成長過程で十分にCO2を吸収することができ、CO2が藻体に固定化される。このようにして培養された藻体を利用することにより、化石燃料を利用する場合に比べ、CO2排出量の低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、藻類の増殖、及び成長に伴って増加する必要CO2量を補うために培養水のCO2含有量を高めるにつれてpH値が徐々に低くなり、培養水は酸性になる。一方、藻類は中性域のpHを好み、酸性の培養水中では生存することができない。培養水の酸性化を避けるため、特許文献1に記載された発明では、CO2の供給量を制限して、培養水のpH値の低下を抑制している。その結果、CO2量が十分に供給できないという課題があった。
【0006】
また、従来、セメントを利用する時には、廃コンクリート、廃スラッジ、廃軽量気泡コンクリート(廃ALC)等のコンクリート廃材が発生していた。必然的に発生するコンクリート廃材について、廃棄物削減の観点から、コンクリート廃材の有効利用が求められていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、藻類の量や成長に応じた十分な量のCO2を供給でき、コンクリート廃材の有効利用を図ることができる、藻類を培養可能なシステム、及び、その方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の藻類の培養システムは、コンクリート廃材と、藻類を培養する培養水とを収容する収容装置と、収容装置の培養水にCO2を供給するCO2供給装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の藻類の培養システムでは、藻類は収容装置で培養されることが好ましい。
【0010】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、粉砕されたコンクリート廃材である粒体を含み、粒体は所定の大きさより小さい細粒分が除去された粒体であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の藻類の培養システムは、培養水に含まれている粒体を分離する分離装置を有していることが好ましい。
【0012】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、生コンスラッジを含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、CO2に晒されてCO2を吸着したコンクリート廃材を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明の藻類の培養システムにおいて、CO2は、工場から排出される排ガス由来のCO2であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の藻類の培養システムにおいて、収容装置で藻類の培養に用いられたコンクリート廃材は、セメント混合材に混合される、又は、路盤材等へ再利用されることが好ましい。
【0016】
また、本発明の藻類の培養システムを備えるセメント工場において、細粒分は、セメント用原料として利用されることが好ましい。
【0017】
本発明の藻類の培養方法は、コンクリート廃材とCO2とを、藻類を培養する培養水に供給することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の藻類の培養方法では、コンクリート廃材の量は、培養される藻類の成長に応じて調整されることが好ましい。
【0019】
また、本発明の藻類の培養方法では、培養水のpH値は、CO2が溶解しても所定の範囲に調整されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の藻類の培養システムは、コンクリート廃材と培養水とを収容した収容装置と、CO2を供給するCO2供給装置とを備えているので、藻類に必要なCO2を十分に供給しながら、pH値を藻類の培養に好適な範囲にすることができる。
【0021】
また、本発明の藻類の培養システムでは、藻類は収容装置で培養されるので、培養水の生成と、藻類の培養とが単一の培養槽であり、装置の簡素化、及び、省スペースとすることができる。
【0022】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、所定の大きさより小さい細粒分が除去されているので、粒形の相違による藻類とコンクリート廃材との分離が容易である。
【0023】
また、本発明の藻類の培養システムは、分離装置を有しているので、培養システムで用いる藻類とコンクリート廃材を分離することができる。
【0024】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、軽量気泡コンクリート又は生コンスラッジを含んでいるので、藻類培養の生産性向上とより多くのCO2を固定化することができる。
【0025】
また、本発明の藻類の培養システムにおけるコンクリート廃材は、CO2に晒されてCO2を吸着しているので、より多くのCO2を吸収させてCO2をコンクリート廃材に固定化できる。また、水酸化カルシウムを多く含むコンクリート廃材であったとしても、それが炭酸化により減少するので過剰にアルカリ性となることがない。
【0026】
また、本発明の藻類の培養システムにおいて、CO2は、工場から排出される排ガス由来のCO2であるので、工場から排出するCO2を低減できる。
【0027】
また、本発明の藻類の培養システムにおいて、収容装置で藻類の培養に用いられたコンクリート廃材は、セメント混合材、又は、路盤材へ再利用されるので、使用後のコンクリート廃材を再利用して、廃却材を低減できる。
【0028】
また、本発明の藻類の培養システムを備えるセメント工場において、細粒分は、カルシウム含有量が高く、アルカリ金属含有量が低いのでセメントクリンカ用原料として利用され、廃却材を低減できる。また、細粒分は、石灰石よりもCO2含有量が低いので、工場から排出するCO2を低減できる。
【0029】
本発明の藻類の培養方法は、コンクリート廃材とCO2とを、藻類を培養する培養水に供給するので、藻類に必要なCO2を十分に供給しながら、pH値を藻類の培養に好適な範囲にして、藻類を培養することができる。
【0030】
また、本発明の藻類の培養方法では、コンクリート廃材の量は、培養される藻類の成長に応じて調整されるので、CO2を十分供給しても培養水のpH値を藻類の成長に好適な範囲とすることができる。
【0031】
また、本発明の藻類の培養方法では、培養水のpH値は、CO2が溶解しても所定の範囲に調整されるので、藻類の成長に好適な範囲とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施の形態1である、藻類の培養システムが設けられているセメント工場を示す概要図である。
【
図2】
図1の培養システムを示す正面断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態2である培養システムを示す正面断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態3であるセメント工場を示す概要図である。
【
図5】本発明の実施の形態4であるセメント工場を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<実施の形態1>
図1~
図2を参照しながら、本発明の実施の形態1の藻類の培養システム30A、及び、培養システム30Aを備えるセメント工場10Aを説明する。
図1は、本発明の実施の形態1である、藻類の培養システム30Aが設けられているセメント工場10Aを示している。また、
図2は、
図1の培養システム30Aの正面断面図を示している。本発明の実施の形態1の藻類の培養システム30Aは、セメント工場10Aに設けられていることにより、本発明の培養システム30Aが必要とするCO
2を工場の排出ガスから連続的に供給することができる。その結果、セメント工場10Aの排出ガスのCO
2濃度を低減することができる。
【0034】
図1には培養システム30Aが設けられているセメント工場10Aが示されている。はじめに、セメント工場10Aを説明する。セメント工場10Aは、周知の装置類で構成されており、原料粉砕機11と、プレヒータ12と、ロータリーキルン13と、冷却機14と、仕上粉砕機15と、を備えている。
【0035】
原料粉砕機11は、投入されたセメントクリンカ原料72を粉砕して、混合する装置である。セメントクリンカ原料72は、周知の材料であり、石灰石、粘土、けい石、銅からみ等の酸化鉄である。粉砕されたセメント原料72は、プレヒータ12を通りながら、セメント焼成用の熱エネルギー源として使われた石炭や廃棄物等の灰分も混ぜられて、加熱される。その後、ロータリーキルン13に送り込まれて焼成される。この過程で、原料は徐々に化学変化し、水硬性をもった化合物の集まりである塊状のクリンカ73が形成される。形成されたクリンカ73は、冷却機14に入り急冷される。冷却後、クリンカ73は、せっこうやセメント混合材とともに仕上粉砕機15に入れられて、細かく砕かれる。砕かれた所定の細かさの粉砕物は、セメント74となる。
【0036】
本実施の形態1では、廃コンクリート、廃ALC等のコンクリート廃材75は、図示しない粉砕機で砕かれ、培養システム30Aで藻類71の培養に用いられる。なお、粉砕されたコンクリート廃材75において、1mm未満の大きさの細粒分76は、原料粉砕機11に投入されてセメントクリンカ原料72に利用されるようにすると好都合である。また、1mm~5mmの大きさの粗粒分77は、後述するように、藻類の培養システム30Aに投入される粒体77として用いられる。コンクリート廃材75は、ケイ酸カルシウム材料であるセメント水和物を含む廃材であり、廃コンクリート、廃ALC、生コンスラッジ、廃モルタル、廃セメントペースト等の廃コンクリート材の少なくとも何れか1つ以上を含んでいる。なかでも、コンクリート廃材75は、含まれる骨材が少なく、珪藻培養槽中のpH調整能力が高く、より多くのCO2を固定化できることから、廃ALC、生コンスラッジが好ましい。
【0037】
図2には、藻類の培養システム30Aが示されている。培養システム30Aは、収容装置31である藻類培養槽31と、原水供給装置32と、CO
2供給装置34と、藻類排出装置41とを備えている。実施の形態1における培養システム30Aは、藻類71を培養する培養水82と、藻類71とを収容する一槽式の培養システム30Aである。
【0038】
収容装置31である藻類培養槽31では、培養水82の生成と、藻類71の培養とが行われる。藻類培養槽31には、原水供給装置32の一端部33が接続されており、培養水82の元となる原水81が注がれる。原水供給装置32は、培養水82の元となる原水81を供給する装置である。原水供給装置32の図示しない他端部は、原水81を供給する装置に接続されている。原水供給装置32により、原水、すなわち培養する藻類に応じた塩水、又は真水が藻類培養槽31に供給される。原水供給装置32は、原水供給管である。セメント工場10Aには、プレヒータ12が閉塞されることを防ぐ図示しない塩素バイパス装置、及び、セメント原料72に添加するゴミ焼却灰の灰水洗装置17が備えられている。それらの装置で発生する処理水は、栄養塩である塩水であり、原水81として原水供給装置32を介して藻類培養槽31に供給される。
【0039】
藻類培養槽31には、CO2供給装置34の一端部35が接続されている。CO2供給装置34の一端部35は、藻類培養槽31内に配置され、藻類培養槽31に供給された原水81に浸されている。CO2供給装置34の図示しない他端部へは、セメント工場10A内で発生し、浄化された排ガス78が供給されている。セメント工場10A内で発生する排ガス78は、高濃度のCO2がCO2供給装置34を通って、藻類培養槽31に供給される。それにより、藻類培養槽31に注入されて貯留された原水81に、藻類71の培養に必要なCO2を溶解させることができるので、藻類71の培養に用いる培養水82が生成される。また、本発明の藻類の培養方法は、コンクリート廃材75とCO2とを、培養水82に供給することを含む方法である。藻類は、培養水82のpH値が最適な範囲であり、また藻類の種類、成長度合い等に応じたCO2の供給が必要である。そのため、本発明の藻類の培養方法では、藻類に必要なCO2を十分に供給しながら、pH値を藻類の培養に好適な範囲にして、藻類が培養される。後述されるように、本発明の藻類の培養方法は、コンクリート廃材75の量が藻類の成長に応じて調整される方法を含んでおり、培養水82のpH値は所定の範囲に調整される。
【0040】
なお、CO2供給装置34に供給されるCO2について、セメント工場10A内で発生、浄化された排ガス78を利用する方法のみでなく、セメント工場10A外で準備され、図示しない収容容器に入れられて培養システム30Aに搬送されるCO2を利用してもよい。すなわち、培養システム30Aに供給されるCO2は、セメント工場10A内で発生する排ガス78以外の由来のCO2でもよい。その場合、CO2供給装置34の他端部は、CO2が入れられた収容容器に接続され、収容容器からCO2が供給される。なお、供給された余剰なガスは、排出口を設けて排出してもよい。
【0041】
また、藻類培養槽31には、藻類培養槽31の下部に、投入された粒体77を溜める沈降槽36を有している。沈降槽36は、分離装置37と、内底面39と、開閉弁40とを有している。
【0042】
分離装置37は、投入された粒体77を通す複数の穴38が設けられている板状のふるい部材である。分離装置37は、沈降槽36の上部に配置されており、投入された粒体77は、複数の穴38を通過して沈下し、沈降槽36内に溜められる。分離装置37は、簡易な構造で粒体77を藻類培養槽31の下部に集積して溜める。複数の穴38の直径は投入される粒体の大きさに合わせて作られており、1mm~5mmの間の所定の値である。なお、藻類培養槽31は、分離装置37が設けられていなくてもよい。沈降槽36の内底面39は、沈降槽36の中央に向かうにつれて下向きにへこんでおり、なだらかに傾斜して形成されている。そのため、溜められた粒体77は沈降槽36の中央に向かって自然に滑り落ちるようになっている。回収された粒体77は、微炭酸カルシウムを多く含む細かい粒子分79bと、骨材を多く含む粗い粒子分79aとに分離される。前者はセメント混合材、又はコンクリート混和材として、後者は骨材又は路盤材として再利用されることで、廃材が有効利用される。
【0043】
コンクリート廃材75を粉砕して作られた粒体77はケイ酸カルシウム含有材料である。そのため、所定量の粒体77が投入されて生成された培養水82は、弱アルカリ性に維持される。それにより、培養水82中に粒体77を投入しない場合に比べて、培養水82中のCO2含有量を多くできる。さらにケイ酸カルシウム含有材料より藻類の影響となるケイ素も供給される。また、これらの廃コンクリート類は、培養水82中において溶解した二酸化炭素を吸着することで、CO2を固定化する。コンクリート廃材75の投入量について、コンクリート廃材75の種類(骨材の含有量)、培養する藻類の種類、培養量に応じて決定する。例えば、培養水82中の粒体77が、10000mg/L、30000mg/L、50000mg/L、等となるように投入量を調整する。
【0044】
沈降槽36の中央には、開閉弁40が設けられている。開閉弁40は、粒体77を溜めている時には閉じられている。開閉弁40は、使用された粒体77を交換等のために排出する時に開かれる。上述のように、沈降槽36の内底面39は、沈降槽36の中央に向かってなだらかに傾斜して形成されているため、開閉弁40が開かれると、粒体77は沈降槽36の下に自然落下する。開閉弁40は、電磁式開閉弁としてもよい。
【0045】
藻類排出装置41は、開閉弁42と、排水口43と、フランジ部44と、ろ過装置45とを有している。藻類排出装置41は、藻類を藻類培養槽31から排出する装置である。藻類排出装置41は、藻類培養槽31の側面において、開閉弁42が設けられている藻類排出装置41の一方端で固定されている。藻類排出装置41は、一方端から他方端まで連通している中空管であり、他方端は排水口43となっている。藻類排出装置41は、一方端から他方端までの中間に、フランジ部44が設けられている。フランジ部44には、ろ過装置45が設けられている。ろ過装置45は、開閉弁42を開いたときに流れる培養水82中の藻類71をろ過する装置である。ろ過された藻類71の藻体は、乾燥させて、バイオ燃料として、セメント焼成工程で利用される。
【0046】
藻類の必要CO2量は、培養開始時に対し、藻類の成長が進むほど必要CO2量が増えてくる。そのため、培養水82中に溶解CO2の最適含有量は、培養している藻類の成長に応じて変化する。したがって、培養水82中の溶解CO2量は、藻類の成長に応じて増やすことが望ましい。その方法としては、定期的に藻類の成長を観測、例えば、培養水82の吸光度(濁度)及びpH値の少なくとも何れか一方を測定して、測定値に応じて供給CO2量を増やす方法が考えられる。予め、藻類の成長、すなわち吸光度(濁度)に応じた最適CO2量、又はpH値を成長度合いごとに記録しておくことが好ましい。
【0047】
この方法を実行するために、吸光度(濁度)及びpH値の少なくとも何れか一方を出力し、CO2供給装置に供給するCO2量を自動的に制御するように構成することも考えられる。培養水82中に吸光度(濁度)測定装置及び/又はpH値測定装置と、CO2供給装置に電磁バルブ等のCO2供給量調整装置と、吸光度(濁度)測定装置及び/又はpH値測定装置からの出力が入力されて最適な培養水82中の溶解CO2量を演算してCO2供給量調整装置を制御する制御装置と、を設けて、CO2供給量自動制御システムとすることもできる。
【0048】
または、藻類の成長度合いは藻類によってほぼ決まっている。そのため、吸光度(濁度)測定装置及び/又はpH値測定装置に替えて、培養開始からの経過時間、又は経過日数をカウントし、それに応じてCO2供給量を制御することも可能である。経過時間又は経過日数カウント装置と、CO2供給量調整装置と、CO2供給量調整装置を制御する制御装置とを設けて、CO2供給量自動制御システムを構築することもできる。この場合は、培養水82中に配置された吸光度(濁度)測定装置及び/又はpH値測定装置のメンテナンスが不要になるとともに、前者よりもシステムが簡素に構成できる。
【0049】
CO2が溶解した培養水82のpH値は、ケイ酸カルシウム含有材料である粒体77により好適なpH7近辺に調整される。培養水82の好適なpH値は、6.2~7.5程度の範囲である。CO2が溶解し、pH値が調整された培養水82には、光合成に必要な光84が当てられ、藻類71が培養される。藻類培養槽31から排出される廃水83について、窒素は珪藻に消費され、リンはコンクリート廃材に吸着されているので、排水処理も容易となる。一槽式の培養システム30Aの場合は二槽式の場合に比べ、槽が1種類で済み、省スペースという利点がある。
なお、本例示の培養システムはバッチ式であったが、常にケイ酸カルシウム含有材料や培養水等を供給する連続式であってもかまわない。藻類培養槽31内に撹拌機を設けてもよい。分離方法もケイ酸カルシウム含有材料と藻類を同時に排出し、沈降分離、サイクロン、ふるい分け等の分離装置を別途設けて分離するなど、方法は限定されるものでない。
【0050】
<実施の形態2>
図3を参照しながら、本発明の実施の形態2の藻類の培養システム30Bを説明する。
図3は、
図1の培養システム30Aに相当する培養システム30Bの藻類培養槽51と、培養水生成槽53との正面断面図を示している。本発明の実施の形態2の藻類の培養システム30Bは、藻類培養槽51と、収容装置53である培養水生成槽53とを備える二槽式の培養システム30Bである。実施の形態2は、実施の形態1に対し、藻類培養槽51と、培養水生成槽53との二槽式であること、及び、生成された培養水を移送する培養水移送装置54とを備えることが異なっている。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同じである、装置、部材、及び、材料は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0051】
実施の形態2の培養システム30Bは、藻類培養槽51と、収容装置53である培養水生成槽53と、原水供給装置32と、CO2供給装置34と、藻類排出装置41と、培養水移送装置54を備えている。
【0052】
原水供給装置32の一端部33は、培養水生成槽53の中に配置されている。原水供給装置32は、原水供給管である。
【0053】
CO2供給装置34の一端部35は、培養水生成槽53内に配置され、培養水生成槽53に供給された原水81に浸されている。CO2供給装置34は、CO2供給管である。
【0054】
培養水生成槽53は、培養水生成槽53の下部に、投入された粒体77を溜める沈降槽36を有している。沈降槽36は、分離装置37と、内底面39と、開閉弁40とを有している。沈降槽36、及び沈降槽36が有する分離装置37と、内底面39と、開閉弁40との構造、及び機能は、実施の形態1の場合と同じである。また、藻類培養槽51は、藻類排出装置41を備えている。藻類排出装置41の構造、及び機能は、実施の形態1の場合と同じである。
【0055】
培養水移送装置54は、収容装置53である培養水生成槽53で生成された培養水82を、藻類71が培養される藻類培養槽51に移送する装置である。培養水移送装置54の一端部55は培養水生成槽53の培養水82中に配置され、培養水移送装置54の他端部56は藻類培養槽51の中に配置されている。また、培養水移送装置54の中間部には、培養水82を培養水生成槽53から藻類培養槽51へ移送する図示しないポンプが配置されている。培養水移送装置54は、培養水移送管である。
【0056】
CO2が溶解した培養水82のpH値は、ケイ酸カルシウム含有材料である粒体77により、藻類71の培養に好適なpH7付近に調整される。培養水82の好適なpH値は、6.2~7.5程度の範囲である。CO2が溶解し、pH値が調整された培養水82には、光合成に必要な光84が当てられ、藻類71が培養される。二槽式の培養システム30Bの場合は一槽式に対し、培養水生成槽53と、藻類培養槽51とを分けられるため、制御が容易で、効率的に藻類の培養ができるというメリットがある。藻類培養槽31から排出される廃水83について、窒素は珪藻に消費され、リンはコンクリート廃材に吸着されているので、排水処理も容易となる。
【0057】
<実施の形態3>
図4を参照しながら、本発明の実施の形態3である、藻類の培養システム30Aが設けられているセメント工場10Bを説明する。本発明の実施の形態3におけるセメント工場10Bは、実施の形態1におけるセメント工場10Aが備える灰水洗装置17に替えて、メタン発酵設備18を備えている他に、吸着塔19を備えている。藻類の培養システム30Aは、実施の形態1における藻類の培養システム30Aと同じものである。また、実施の形態2における藻類の培養システム30Bも選択可能である。なお、実施の形態3において、実施の形態1と同じである、装置、部材、及び、材料は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0058】
本実施の形態3では、セメントクリンカ原料72にコンクリート廃材75を混合させて、有効利用している。廃コンクリート、廃スラッジ、廃ALC等のコンクリート廃材75は、図示しない粉砕機で砕かれる。1mm未満の大きさの細粒分76は、原料粉砕機11に投入されてセメント製造に利用される。また、1mm~5mmの大きさの粗粒分77は、粒体77として藻類の培養システム30Aに投入される。粒体77は、吸着塔19に通される。吸着塔19には、セメント工場10Bの排ガス78が供給されており、粒体77は、吸着塔19内で、CO2に晒されてCO2を吸着する。なお、粒体77の含有水分量調整を行って、含水率が15質量%以上60質量%以下の範囲であると、CO2の吸着効率を高めることができる。この場合は、吸着塔19内、又は吸着塔19の前工程において、粒体77に散水することが考えられる。すなわち、粒体77は、CO2を吸着した状態で藻類培養槽31に投入されるため、セメント工場10B全体として排出ガス中のCO2の低減が図れる。また、特に生コンスラッジでは、多くの未水和セメントや水酸化カルシウムを含むので強アルカリ性を示すが、CO2に晒さすことで弱アルカリ性となり、珪藻培養槽の強アルカリ化の防止と、pH調整を容易とすることができる。また、排ガス78中に含まれるSOXなどの酸性ガス等が除去されたCO2含有ガスを藻類培養槽31に供給できる。
【0059】
メタン発酵設備18は、下水の汚泥、食品残渣、等の有機性廃棄物85を原料としてバイオガス86を発生させる装置である。メタン発酵設備18で得られる物質は、セメント工場10B内でセメント製造に用いられる。培養システム30Aで培養され、ろ過された藻類71の藻体と、メタン発酵設備18から回収されたメタンガスを含むバイオガス86とは、セメント工場の燃料として利用される。また、メタン発酵設備18から排出されるメタン発酵残渣87は、メタン発酵設備18が有する脱水装置20での固液分離工程を経て、固体分と、液体分とに分けられる。メタン発酵残渣87の固体分は、セメント工場の燃料として活用される。また、メタン発酵残渣87の液体分は、メタン発酵の原料として供給された有機性廃棄物85に含まれている窒素、リン、カリウムを含んでおり、藻類培養の栄養塩となる。そのため、メタン発酵残渣87の液体分は、上記物質を含む塩水であり、原水81として藻類培養槽31に供給される。すなわち、メタン発酵設備18で得られる気体分、固体分、液体分は、それぞれセメント工場10B内でセメント製造、及び、藻類の培養に有効利用される。藻類培養槽31から排出される廃水83について、窒素は珪藻に消費され、リンはコンクリート廃材に吸着されているので、排水処理も容易となる。なお、藻類の培養に影響を及ぼさない程度であれば、メタン発酵残渣87を固体分と、液体分とに分けずに藻類培養槽31に供給してもよい。
【0060】
<実施の形態4>
図5を参照しながら、本発明の実施の形態4である、藻類の培養システム30Aが設けられているセメント工場10Cを説明する。本発明の実施の形態4におけるセメント工場10Cは、実施の形態1におけるセメント工場10Aが備える灰水洗装置17に替えて、メタン発酵設備18を備えている他に、吸着塔19を備えている。藻類の培養システム30Aは、実施の形態1における藻類の培養システム30Aと同じものである。また、実施の形態2における藻類の培養システム30Bも選択可能である。なお、実施の形態4において、実施の形態1と同じである、装置、部材、及び、材料は、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0061】
本実施の形態4では、セメントクリンカ原料72にコンクリート廃材75を混合させて、有効利用している。廃コンクリート、廃スラッジ、廃ALC等のコンクリート廃材75は、図示しない粉砕機で砕かれる。1mm未満の大きさの細粒分76は、原料粉砕機11に投入されてセメント製造に利用される。また、1mm~5mmの大きさの粗粒分77は、粒体77として藻類の培養システム30Aに投入される。粒体77は、吸着塔19に通される。吸着塔19には、メタン発酵設備18で発生したバイオガス86が供給されており、粒体77は、吸着塔19内で、バイオガス86に晒されて、バイオガス86に含まれるCO2と水分とが吸着される。なお、粒体77の含有水分量調整を行って、含水率を15質量%以上60質量%以下の範囲に調整できれば、CO2の吸着効率を高めることができる。例えば、吸着塔19内、又は吸着塔19の前工程において、粒体77に散水することが考えられる。吸着塔19を通ったバイオガス86は、セメント工場10Cの燃料として用いられる。すなわち、バイオガス86中のメタンガスが濃縮されてセメント製造に供給される。
【0062】
CO2と水分とを吸着した粒体77は、藻類培養槽31に投入される。なお、吸着塔19を通過する際にCO2を吸着した粒体77はさらに分級され、CO2吸着量の多い細粒群と、CO2吸着量の少ない粗粒群に分離することで、システム全体でのCO2吸収効率がさらに高めることができる。バイオガス86に晒されたもののCO2吸着量の少ない粗粒分は、CO2吸着余力が存在する状態である。バイオガス86に晒された粒体77の中の粗粒群と、セメント工場10Cの排ガス78を藻類培養槽31に供給することにより、セメント工場10Cの排ガス78に含まれるCO2をより多く粗粒分に固定させることが可能である。
【0063】
メタン発酵設備18は、下水の汚泥、食品残渣、等の有機性廃棄物85を原料としてバイオガス86を発生させる装置である。メタン発酵設備18で得られる物質は、セメント工場10C内でセメント製造に用いられる。培養システム30Aで培養され、ろ過された藻類71の藻体と、メタン発酵設備18から回収されたメタンガスを含むバイオガス86とは、セメント工場の燃料として利用される。また、メタン発酵設備18から排出されるメタン発酵残渣87は、脱水装置20での固液分離工程を経て、固体分と、液体分とに分けられる。メタン発酵残渣87の固体分は、セメント工場の燃料として活用される。また、メタン発酵残渣87の液体分は、メタン発酵の原料として供給された有機性廃棄物85に含まれている窒素、リン、カリウムを含んでおり、藻類培養の栄養塩となる。また、メタン発酵残渣87の液体分は塩水であり、藻類培養槽31に原水81として供給される。すなわち、メタン発酵設備18で得られる気体分、固体分、液体分は、それぞれセメント工場10C内でセメント製造、及び、藻類の培養に有効利用される。藻類培養槽31から排出される廃水83について、窒素は珪藻に消費され、リンはコンクリート廃材に吸着されているので、排水処理も容易となる。
【0064】
次に、本実施の形態に関して行った試験の結果を説明する。
・ 廃ALCの投入量と、CO2溶解量及びpH値との測定試験
廃ALCを粉砕して塩水に投入し、CO2ガスを液中に放出して溶解させながら、CO2溶解量及びpH値を、経過時間とともに測定した。表1に示すように、廃ALCから作られた粒体77の添加量は、10000mg/L、30000mg/L、50000mg/Lとなるように調整した。また、廃ALCが無投入の塩水を基準水1として準備した。本試験の測定結果を表2~表3に示す。
【0065】
実施条件
・人工海水(Sigma 海塩 Sea salts 3%添加)を使用
・コンクリート廃材75である廃ALCを粉砕した粒径1mm~4mmの粒体77を塩水中に投入
・CO2ガス(CO2濃度6%)を0.5L/minで供給して溶解
・東亜DKK製ポータブル炭酸ガス濃度計にてCO2溶解量を測定
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
測定結果と知見
1)コンクリート廃材75である廃ALCの投入量が多いほど、水中に溶解するCO2濃度を高くすることができた。
2)廃ALCの投入量を調整することにより、CO2濃度を容易に調整できた。したがって、藻類の成長に合わせて必要なCO2量を供給することができる。
3)CO2溶解量を高くしても、培養水82のpH値を藻類培養に好適な7.1~7.2に調整できた。したがって、pH調整を追加的に行う必要がないことがわかった。
【0070】
・ 廃コンクリート材の添加量と、CO2溶解量及びpH値との測定試験
廃コンクリート材を粉砕して塩水に投入し、CO2ガスを液中に放出して溶解させながら、CO2溶解量及びpH値を、経過時間とともに測定した。使用した廃コンクリート材の化学組成を表4に示す。また、表5に示すように、廃コンクリート材の投入量は、10000mg/L、30000mg/L、50000mg/Lとなるように調整した。また、廃コンクリート材が投入されていない塩水を基準水2として準備した。本試験の測定結果を表6~表7に示す。
【0071】
実施条件
・人工海水(Sigma 海塩 Sea salts 3%添加)を使用
・廃コンクリート材を粉砕して得た粒径1.2mm~5mmの粒体を塩水中に投入
・CO2ガス(CO2濃度6%)を0.5L/minで供給して溶解
・東亜DKK製ポータブル炭酸ガス濃度計にてCO2溶解量を測定
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
測定結果と知見
1)廃コンクリート材の投入量を多いほど、水中に溶解するCO2濃度を高くすることができた。廃ALCに比べるとCO2濃度は低くなった。
2)廃コンクリート材の投入量を調整することにより、CO2濃度を容易に調整できた。したがって、藻類の成長に合わせて必要なCO2量を供給することができる。
3)CO2溶解量を高くしても、培養水4~6のpH値を藻類培養に好適な6.7~6.9に調整ができた。したがって、pH調整を追加的に行う必要がないことがわかった。
【0077】
・ 廃ALCを用いた微細藻類培養試験
廃ALCを粉砕して塩水に投入し、CO
2ガスを塩水中に放出して溶解させながら、
図2に示す方法により微細藻類を培養した。表1に示すように、廃ALCの投入量は、1000mg/L、10000mg/Lとなるように調整した。塩水のpH値と、濁度測定法による藻類の増殖度とを、日ごとに測定した。また、廃ALCを投入せずケイ酸カルシウム化合物を含まない塩水を基準水3として準備した。本試験の測定結果を表8~表9に示す。
【0078】
実施条件
・人工海水(Sigma 海塩 Sea salts 3%添加)を使用
・廃ALCを粉砕して得た粒径1mm~4mmの粒体を塩水中に投入するとともに、栄養塩としてKW21(アイエスシー製)を添加。
・CO2ガス(CO2濃度6%)を0.5L/minで供給して溶解
・珪藻を初期藻体濃度1×105cell/mLになるように添加
・廃ALCを含まない塩水に、ケイ酸源として水ガラスを64.8mg添加した基準水3を準備
・藻類の増殖度は分光吸光度計を用いて、波長660nmの吸光度(濁度)を測定
【0079】
【0080】
【0081】
測定結果と知見
1)上記条件において、pH値を藻類培養に好適な7.1~7.4に調整できた。したがって、pH調整を追加的に行う必要がないことがわかった。
2)廃ALCを投入した培養水7~8では、廃ALCを投入しなかった基準水3に対して、約1.5倍の培養促進効果が得られた。
すなわち、試験例(1)~(3)により廃ALC等のコンクリート廃材75を投入し、CO2を溶解させながら培養する本培養システム30A、30Bは、廃ALC等のコンクリート廃材75を投入しない場合に比較して、藻類培養に明確な効果があることが証明できた。
【0082】
本発明の藻類の培養システムによれば、コンクリート廃材と培養水とを収容した収容装置と、CO2を供給するCO2供給装置とを備えているので、藻類に必要なCO2を十分に供給しながら、pH値を藻類の培養に好適な範囲にすることができる。
【0083】
また、本発明の藻類の培養方法によれば、コンクリート廃材と藻類を培養する培養水とを収容装置に収容して培養水を生成する培養水生成工程と、収容装置の培養水にCO2を供給するCO2供給工程とを含んでいるので、藻類に必要なCO2を十分に供給しながら、pH値を藻類の培養に好適な範囲にして、藻類を培養することができる。
【符号の説明】
【0084】
10A,10B,10C セメント工場
20 脱水装置
30A,30B 藻類の培養システム
31 収容装置,藻類培養槽
51 藻類培養槽
53 収容装置,培養水生成槽
34 CO2供給装置
37 分離装置
72 セメントクリンカ原料
75 コンクリート廃材
76 細粒分
77 粒体
78 排ガス
79a 粗い粒子分
79b 細かい粒子分
82 培養水