(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】運動支援システムおよび運動支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
A63B71/06 M
A63B71/06 T
(21)【出願番号】P 2021047732
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】牟田 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 元
【審査官】桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-128469(JP,A)
【文献】特開2016-087226(JP,A)
【文献】特開2020-137566(JP,A)
【文献】特開2020-155956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の運動を支援する運動支援システムであって、
人感センサを備える警報器と、
報知装置と、
前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定
する際、前記人感センサが人を検知する検知状態と人を検知しない非検知状態との間で状態変化した場合に、運動が適切に行なわれていると判定する運動判定部と、
前記報知装置を作動させて前記運動判定部による判定結果を報知する報知制御部と、を備える運動支援システム。
【請求項2】
人の運動を支援する運動支援システムであって、
人感センサを備える警報器と、
報知装置と、
前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する運動判定部と、
前記報知装置を作動させて前記運動判定部による判定結果を報知する報知制御部と、
運動
時間又は運動回数の設定入力を受け付ける入力装置
と、を備え、
前記運動判定部は、前記入力装置が受け付けた前記運動
時間又は前記運動回数に対応する判定条件を用いて、人による運動が適切に行われているか否かを判定す
る運動支援システム。
【請求項3】
前記報知制御部は、前記報知装置を制御して、人を検知する検知状態から人を検知しない非検知状態へ前記人感センサが状態変化したこと、又は、前記非検知状態から前記検知状態へ前記人感センサが状態変化したことを報知する請求項1又は2に記載の運動支援システム。
【請求項4】
前記人感センサが人を検知する状態が所定の時間を超えて継続したことに応じて、前記報知装置を制御して運動を促す旨の報知を行なう運動促進部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の運動支援システム。
【請求項5】
前記入力装置は、携帯情報端末に備えられている請求項
2に記載の運動支援システム。
【請求項6】
前記人感センサの出力に基づいて、前記警報器の設置位置が適切であるか否かを判定する設置位置判定部を備える請求項1から
5のいずれか1項に記載の運動支援システム。
【請求項7】
前記人感センサの出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する運動位置判定部を備える請求項1から
6のいずれか1項に記載の運動支援システム。
【請求項8】
前記報知装置は、携帯情報端末に備えられている請求項1から
7のいずれか1項に記載の運動支援システム。
【請求項9】
人の運動を支援する運動支援プログラムであって、
警報器に設けられた人感センサの出力を取得する出力取得機能と、
前記出力取得機能により取得された前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定
する際、前記人感センサが人を検知する検知状態と人を検知しない非検知状態との間で状態変化した場合に、運動が適切に行なわれていると判定する運動判定機能と、
報知装置を作動させて前記運動判定機能による判定結果を報知する報知機能と、をコンピュータに実現させる運動支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動支援システムおよび運動支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人感センサを備えた警報器が記載されている。この警報器は、人感センサが人を検知すると、サーバ装置から音声データを受信して音声出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
警報器は、住居の台所に取り付けられることが多い。そして台所では、料理や洗い物などの作業が、立ったままの姿勢で長時間行なわれる。そうすると、腰痛などの身体の不調が生じることが多い。台所でストレッチ等の運動ができれば、筋肉の緊張がほぐれて、腰痛等の発生を抑制することができる。しかし台所には、自分の姿勢を確認できる鏡は配置されず、効果的な運動は行い難い。
【0005】
本発明の目的は、警報器の付近で作業等を行なう人が運動を容易に行える手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の運動支援システムは、人の運動を支援する運動支援システムであって、人感センサを備える警報器と、報知装置と、前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する際、前記人感センサが人を検知する検知状態と人を検知しない非検知状態との間で状態変化した場合に、運動が適切に行なわれていると判定する運動判定部と、前記報知装置を作動させて前記運動判定部による判定結果を報知する報知制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、人感センサの出力に基づいて人による運動が適切に行われているか否
かが判定され、その判定結果が報知されるので、自分が適切に運動を行えているか否かを
知ることができる。従って、警報器の付近で人が運動を容易に行なうことができる。
また、人の身体の全部又は一部が人感センサの検知領域を出入りすると、人感センサが検知状態と非検知状態との間で状態変化する。本構成によれば、人感センサが検知状態と非検知状態との間で状態変化した場合に運動が適切に行なわれていると判定されるので、運動が適切か否かの判定が的確に行なわれる。
【0008】
本発明の運動支援システムは、人の運動を支援する運動支援システムであって、人感センサを備える警報器と、報知装置と、前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する運動判定部と、前記報知装置を作動させて前記運動判定部による判定結果を報知する報知制御部と、運動時間又は運動回数の設定入力を受け付ける入力装置と、を備え、前記運動判定部は、前記入力装置が受け付けた前記運動時間又は前記運動回数に対応する判定条件を用いて、人による運動が適切に行われているか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記報知制御部は、前記報知装置を制御して、人を検知する検知状態から人を検知しない非検知状態へ前記人感センサが状態変化したこと、又は、前記非検知状態から前記検知状態へ前記人感センサが状態変化したことを報知すると好適である。
【0011】
人の身体の全部又は一部が人感センサの検知領域を出入りすると、人感センサが検知状態と非検知状態との間で状態変化する。本構成によれば、人感センサが検知状態と非検知状態との間で状態変化したことが報知されるので、運動中の姿勢変化を人が知ることができ、適切に運動を行なうことができる。
【0012】
本発明において、前記人感センサが人を検知する状態が所定の時間を超えて継続したことに応じて、前記報知装置を制御して運動を促す旨の報知を行なう運動促進部を備えると好適である。
【0013】
本構成によれば、人感センサが人を検知する状態が所定の時間を超えて継続すると運動が促されるので、警報器の近くに長時間滞在してあまり動いていない人に運動を促すことができる。
【0016】
本発明において、前記入力装置は、携帯情報端末に備えられていると好適である。
【0017】
本構成によれば、運動種別の設定入力を携帯情報端末の入力装置を用いて行なうことができるので、運動種別の設定入力を容易に行なうことができる。
【0018】
本発明において、前記人感センサの出力に基づいて、前記警報器の設置位置が適切であるか否かを判定する設置位置判定部を備えると好適である。
【0019】
本構成によれば、人感センサの出力に基づいて警報器の設置位置が適切であるか否かが判定されるので、警報器が不適切な位置にある状態で運動を行なうことを抑制でき、運動が適切に行われているか否かの判定が的確に行なわれる。
【0020】
本発明において、前記人感センサの出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する運動位置判定部を備えると好適である。
【0021】
本構成によれば、人感センサの出力に基づいて運動を行なう位置が適切であるか否かが判定されるので、不適切な位置で運動を行なうことを抑制でき、運動が適切に行われているか否かの判定が的確に行なわれる。
【0022】
本発明において、前記報知装置は、携帯情報端末に備えられていると好適である。
【0023】
本構成によれば、報知が携帯情報端末から行なわれるので、運動が適切に行われているか否かの判定結果の報知を携帯情報端末の様々な機能を用いて実現でき、運動を効果的に促進することができる。
【0024】
上述した課題を解決する手段として、本発明の運動支援プログラムは、人の運動を支援する運動支援プログラムであって、警報器に設けられた人感センサの出力を取得する出力取得機能と、前記出力取得機能により取得された前記人感センサの出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する際、前記人感センサが人を検知する検知状態と人を検知しない非検知状態との間で状態変化した場合に、運動が適切に行なわれていると判定する運動判定機能と、報知装置を作動させて前記運動判定機能による判定結果を報知する報知機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、人感センサの出力に基づいて人による運動が適切に行われているか否かが判定され、その判定結果が報知されるので、自分が適切に運動を行えているか否かを知ることができる。従って、警報器の付近で人が運動を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】運動支援システムによるスクワットの支援を示す図である。
【
図3】制御に関する構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る運動支援システムおよび運動支援プログラムについて、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0028】
図1に運動支援システム1の概要が示されている。運動支援システム1は、人の運動を支援するシステムである。この運動支援システム1では、警報器10が備える人感センサ11を利用して、人による運動が適切に行われているか否かを判定し、人の運動を支援する。
【0029】
図3に示されるように、警報器10は、都市ガス等の可燃性ガスを検知するガスセンサ12と、一酸化炭素を検知するCOセンサ13と、音を発するスピーカー14(「報知装置」の一例)と、通信装置15と、を備えている。ガスセンサ12が可燃性ガスを検知したとき、及びCOセンサ13が一酸化炭素を検知したとき、スピーカー14から警報音やアナウンスが発せられる。
【0030】
図1に示されるように、警報器10は、キッチンにおいてガス機器2の近く、及び天井3の近くにおいて、壁4に設置される。詳しくは、警報器10は、ガス機器2(又はガス栓)から水平距離が半径8m以内で、且つ、天井3から30cm以内の位置に設置される。
【0031】
また、警報器10は、通信装置15を介して外部のインターネットN(
図3)に接続可能に構成されている。警報器10は、インターネットNから様々なコンテンツをダウンロードし、スピーカー14を介して提供可能に構成されている。例えば、警報器10は、避難情報や気象警報が発表されたとき、これらを音声で報知する。
【0032】
本実施形態では、警報器10の人感センサ11は赤外線式のセンサである。人感センサ11が、超音波式や可視光式のセンサであってもよい。警報器10の人感センサ11は、検知領域A1に人が居ることを検知する。詳しくは、人感センサ11は、検知領域A1からの赤外線を検出する。
【0033】
図1、
図2に示されるように、検知領域A1は、人感センサ11から斜め下方に立体的に広がる領域であり、上下方向に扇状に広がり、且つ、左右方向に扇状に広がる。
図1では、床5における検知領域A1と交差する領域A2が着色して示されている。人が領域A2に立っている場合、人感センサ11は、常に人を検知する状態となる。
【0034】
警報器10は、人感センサ11が人を検知したときに、様々なコンテンツを提供するように構成されている。例えば、警報器10は、人感センサ11が人を検知したときに、ダウンロードした防犯情報を音声で報知する。
【0035】
図2を参照しながら、運動支援システム1による人の運動の支援について説明する。警報器10は、通信装置15を介して、携帯情報端末40と無線通信により接続可能に構成されている。本実施形態では、警報器10に運動支援のコンテンツが登録され、携帯情報端末40に運動アプリケーション52(
図3)がインストールされ、警報器10と携帯情報端末40とによって人の運動の支援が行なわれる。
【0036】
図3に示されるように、携帯情報端末40は、音を発するスピーカー41(「報知装置」の一例)と、情報を表示する表示装置42(「報知装置」の一例)と、人からの操作入力を受け付ける入力装置43と、通信装置44とを備えている。
【0037】
人がしばらくの間キッチンに滞在していることを警報器10の人感センサ11が検知すると、携帯情報端末40の運動アプリケーション52が、人に運動を促す旨の報知を行なう。例えば、運動アプリケーション52が、スピーカー41にアラーム音を再生させ、表示装置42に運動を促すメッセージ(例えば「ストレッチしませんか?」の文字列)を表示させる。
【0038】
報知を受けた人が携帯情報端末40を操作して運動を開始する旨を入力すると、運動アプリケーション52が運動の支援を開始する。具体的には、運動アプリケーション52が、携帯情報端末40のスピーカー41や表示装置42、警報器10のスピーカー14などを用いて、人へ運動の姿勢や継続時間等を案内する。
【0039】
本実施形態では、人感センサ11の出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かが判定され、判定結果が人に報知される。
図2の例では、運動としてスクワットが行なわれている。人が領域A2に立っている場合、人感センサ11は、常に人を検知する状態となる。そこで、スクワットは、領域A2よりも壁寄りの(警報器10に近い)領域A3に人が立つ状態にて、行なわれると好ましい。
図1に示されるように、領域A3の上方に、検知領域A1が存在する。
【0040】
人が領域A3に立っている姿勢のとき(
図2の上)、人の頭部が検知領域A1の内側に位置するので、人感センサ11は人を検知する状態となる。運動アプリケーション52は、人感センサ11の出力に基づいて、人が立った姿勢であると判定し、警報器10のスピーカー14に「腰を落としてください」との音声を再生させる。
【0041】
人が腰を落とした姿勢になると(
図2の下)、人の頭部が検知領域A1の外側に位置するので、人感センサ11は人を検知しない状態となる。運動アプリケーション52は、人感センサ11の出力に基づいて、人がスクワット運動を行なって腰を落とした姿勢であると判定し、警報器10のスピーカー14に「腰を上げてください」との音声を再生させる。
【0042】
人が腰を上げると、人感センサ11は再び人を検知する状態となる。運動アプリケーション52は、人感センサ11の出力に基づいて、人がスクワット運動を行なって腰を上げた姿勢であると判定し、運動が適切に行なわれていると判定する。運動アプリケーション52は、スクワット運動の累積回数に1を加える。
【0043】
運動アプリケーション52は、上述のスクワット指示を、所定の設定回数繰り返し実行する。運動アプリケーション52は、運動の結果を記録する。
【0044】
警報器10の位置が高すぎる場合や低すぎる場合には、人による運動が適切に行われているか否かの判定が適切に行われない可能性がある。本実施形態では、運動アプリケーション52が、人感センサ11の出力に基づいて警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定するように構成されている。具体的には、運動アプリケーション52は、人に実際に運動を実行させ、人の運動に伴って人感センサ11の出力が変化するか否かに基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。
【0045】
例えば、運動アプリケーション52は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人に、スクワット運動で立った姿勢と腰を落とした姿勢とをとらせる。運動アプリケーション52は、両姿勢での人感センサ11の出力に基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。例えば、運動アプリケーション52は、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知しない場合に警報器10の設置位置が適切でなく高すぎると判定し、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知する場合に警報器10の設置位置が適切でなく低すぎると判定し、立った姿勢で人感センサ11が人を検知し座った姿勢で人感センサ11が人を検知しない場合に警報器10の設置位置が適切であると判定する。運動アプリケーション52は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人への設置位置の判定結果の報知及び設置位置の変更指示を行なう。
【0046】
また、警報器10の設置位置に対して人が運動を行なう位置が近すぎる場合や遠すぎる場合には、人による運動が適切に行われているか否かの判定が適切に行われない可能性がある。本実施形態では、運動アプリケーション52が、人感センサ11の出力に基づいて人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定するように構成されている。具体的には、運動アプリケーション52は、人に実際に運動を実行させ、人の運動に伴って人感センサ11の出力が変化するか否かに基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する。
【0047】
例えば、運動アプリケーション52は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人に、スクワット運動で立った姿勢と腰を落とした姿勢とをとらせる。運動アプリケーション52は、両姿勢での人感センサ11の出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する。例えば、運動アプリケーション52は、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知しない場合に人が運動を行なう位置が適切でなく警報器10に近すぎると判定し、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知する場合に人が運動を行なう位置が適切でなく警報器10から遠すぎると判定し、立った姿勢で人感センサ11が人を検知し座った姿勢で人感センサ11が人を検知しない場合に人が運動を行なう位置が適切であると判定する。運動アプリケーション52は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人への運動位置の判定結果の報知及び運動位置の変更指示を行なう。
【0048】
以上説明した例では、運動支援システム1が支援する運動は、スクワットである。運動支援システム1が、ストレッチ運動や、ランジエクササイズや片足上げなどの他のエクササイズ、体操などを支援するよう、構成されてもよい。運動支援システム1が支援する運動の種別に応じて、対応するコンテンツが警報器10に登録され、対応するアプリケーションが携帯情報端末40にインストールされる。もちろん、1つのコンテンツ又はアプリケーションが、複数の種別の運動に対応可能に構成されてもよい。
【0049】
図3を参照しながら、警報器10及び携帯情報端末40の制御に関する構成について説明する。
【0050】
警報器10は、制御装置21を備える。携帯情報端末40は、制御装置51を備える。制御装置21、51は、所謂ECUであって、後述する機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。すなわち、制御装置21、51は、プログラムを記憶した一次的ではない(non-transitory)記録媒体を備える。
【0051】
警報器10の制御装置21は、機能部として、異常判定部22と、人検知部23と、を備える。
【0052】
異常判定部22は、ガスセンサ12の出力に基づいて、ガス漏れの有無を判定する。異常判定部22は、ガス漏れが有ると判定した場合に、スピーカー14に警報音を再生させる。また、異常判定部22は、COセンサ13の出力に基づいて、不完全燃焼の有無を判定する。異常判定部22は、不完全燃焼が有ると判定した場合に、スピーカー14に警報音を再生させる。
【0053】
人検知部23は、人感センサ11の出力に基づいて、検知領域A1に人が居るか否かを判断する。具体的には、赤外線式のセンサである人感センサ11が人を検知する検知状態にあるとき検知領域A1に人が居ると判断し、人感センサ11が人を検知しない非検知状態にあるとき検知領域A1に人が居ないと判断する。制御装置21は、人検知部23の判断結果に基づいて、上述したコンテンツの提供(報知)を行う。また、携帯情報端末40の運動アプリケーション52は、人検知部23の判断結果に基づいて、上述した運動の支援を行う。
【0054】
携帯情報端末40の制御装置51は、機能部として、運動促進部53と、運動判定部54と、報知制御部55と、設置位置判定部56と、運動位置判定部57と、を備える。これらの機能部により、上述した運動アプリケーション52が構成されている。
【0055】
運動促進部53は、人感センサ11が人を検知する状態が所定の時間を超えて継続したことに応じて、スピーカー41や表示装置42を制御して運動を促す旨の報知を行なう。具体的には、運動促進部53は、警報器10から、人検知部23の判断結果を取得する。運動促進部53は、人検知部23が検知領域A1に人が居ると判断する状態(検知状態)が所定の閾値時間を超えて継続したときに、スピーカー41を制御してアラーム音を再生させ、表示装置42を制御して運動を促すメッセージ(例えば「ストレッチしませんか?」の文字列)を表示させる。運動促進部53が、入力装置43が受け付けた人為操作に基づいて、報知の実行の基準となる閾値時間を設定可能なように構成されてもよい。
【0056】
なお、上述した「検知状態の継続」は、途中で短時間の非検知状態を挟んでもよい。例えば、閾値時間を30分とする。検知状態が10分間継続し、40秒の非検知状態が発生し、再び検知状態となったときは、検知状態が継続しているとする。そして、先の検知状態の開始から30分が経過し、検知状態が合計30分を超えて継続している場合に、運動促進部53は、運動を促す旨の報知を行なう。
【0057】
運動判定部54は、人感センサ11の出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する。具体的には、運動判定部54は、警報器10から、人検知部23の判断結果を取得する。運動判定部54は、人検知部23による検知領域A1に人が居るか否かの判断に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する。
【0058】
例えば、運動判定部54は、人感センサ11が人を検知する検知状態と人を検知しない非検知状態との間で状態変化した場合に、運動が適切に行なわれていると判定する。運動判定部54が、検知状態が所定の第1閾値時間を超えて継続(スクワット開始前の腰を上げている状態に対応)し、次に非検知状態が所定の第2閾値時間を超えて継続(スクワットで腰を落としている状態に対応)した場合に、運動が適切に行なわれていると判定するよう構成されてもよい。
【0059】
運動判定部54による適切な運動の判定条件は、運動の種別に応じて変更されると好ましい。例えば、運動判定部54は、入力装置43が受け付けた運動種別に対応する判定条件を用いて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する。入力装置43は、運動種別の設定入力を受け付けるように構成される。「運動種別」とは、例えば、ストレッチ、筋力トレーニング、ヨガ、スクワット、ランジエクササイズ等である。
【0060】
入力装置43が運動強度(回数、時間など)の設定入力を受け付けて、運動判定部54が、入力装置43が受け付けた運動強度に対応する判定条件を用いて人による運動が適切に行われているか否かを判定するよう構成されてもよい。
【0061】
報知制御部55は、スピーカー41や表示装置42を作動させて運動判定部54による判定結果を報知する。例えば、人がスクワットを行なう際、立った姿勢(
図2の上)から腰を落とした姿勢(
図2の下)に変化するとき、人を検知する検知状態から人を検知しない非検知状態へ人感センサ11が状態変化する。このことを、報知制御部55がスピーカー41にチャイム音を再生させることで報知する。そして、腰を落とした姿勢(
図2の下)から立った姿勢(
図2の上)に変化するとき、非検知状態から検知状態へ人感センサ11が状態変化する。このことを、報知制御部55がスピーカー41にチャイム音を再生させることで報知する。なお、報知制御部55による報知は、表示装置42へのマークやアイコン、文字等の表示によって行なわれてもよい。
【0062】
設置位置判定部56は、人感センサ11の出力に基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。具体的には、設置位置判定部56は、警報器10から、人検知部23の判断結果を取得する。設置位置判定部56は、人検知部23による検知領域A1に人が居るか否かの判断に基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。
【0063】
例えば、設置位置判定部56は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人に、スクワット運動で立った姿勢と腰を落とした姿勢とをとらせる。設置位置判定部56は、両姿勢での人感センサ11の出力に基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。例えば、設置位置判定部56は、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知しない場合に警報器10の設置位置が適切でなく高すぎると判定し、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知する場合に警報器10の設置位置が適切でなく低すぎると判定し、立った姿勢で人感センサ11が人を検知し座った姿勢で人感センサ11が人を検知しない場合に警報器10の設置位置が適切であると判定する。設置位置判定部56は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人への設置位置の判定結果の報知及び設置位置の変更指示を行なう。
【0064】
運動位置判定部57は、人感センサ11の出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する。具体的には、運動位置判定部57は、警報器10から、人検知部23の判断結果を取得する。運動位置判定部57は、人検知部23による検知領域A1に人が居るか否かの判断に基づいて、警報器10の設置位置が適切であるか否かを判定する。
【0065】
例えば、運動位置判定部57は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人に、スクワット運動で立った姿勢と腰を落とした姿勢とをとらせる。運動位置判定部57は、両姿勢での人感センサ11の出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する。例えば、運動位置判定部57は、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知しない場合に人が運動を行なう位置が適切でなく警報器10に近すぎると判定し、立った姿勢と座った姿勢の両方で人感センサ11が人を検知する場合に人が運動を行なう位置が適切でなく警報器10から遠すぎると判定し、立った姿勢で人感センサ11が人を検知し座った姿勢で人感センサ11が人を検知しない場合に人が運動を行なう位置が適切であると判定する。運動位置判定部57は、警報器10のスピーカー14に音声を再生させて、人への運動位置の判定結果の報知及び運動位置の変更指示を行なう。
【0066】
以上述べた機能部を実現するためのプログラムが、携帯情報端末40のメモリに記憶される。当該プログラムは、人の運動を支援する運動支援プログラムであって、警報器10に設けられた人感センサ11の出力を取得する出力取得機能と、出力取得機能により取得された人感センサ11の出力に基づいて、人による運動が適切に行われているか否かを判定する運動判定機能と、報知装置(スピーカー41、表示装置42)を作動させて運動判定機能による判定結果を報知する報知機能と、をコンピュータに実現させる。
【0067】
図4のフローチャートを参照しながら、運動支援システム1で行なわれる運動支援処理について説明する。
【0068】
運動促進部53が、人感センサ11が人を検知する状態(検知状態)が所定の時間を超えて継続したか否かを判断する(ステップS101)。検知状態が所定の時間を超えて継続していない場合(ステップS101:No)、ステップS101が繰り返し実行される。
【0069】
検知状態が所定の時間を超えて継続した場合(ステップS101:Yes)、運動促進部53が、運動を促す旨の報知を行ない(ステップS102)、運動開始の入力を待機する(ステップS103:No)。
【0070】
運動開始の入力を受け付けると(ステップS103:Yes)、運動位置判定部57が、人感センサ11の出力に基づいて、人が運動を行なう位置が適切であるか否かを判定する(ステップS104)。運動位置が適切でない場合(ステップS104:No)、運動位置判定部57が運動位置の変更指示を報知し(ステップS105)、ステップS104を再び実行する。
【0071】
運動位置が適切である場合(ステップS104:Yes)、運動アプリケーション52が運動の支援を開始する。具体的には、運動アプリケーション52が、選択された運動種別に応じて運動指示を報知する(ステップS106)。運動判定部54が、人感センサ11の出力(人検知部23の判断結果)を取得し(ステップS107)、運動指示に応じた運動が適切に行われているか否かを判定する(ステップS108)。報知制御部55が、運動判定部54による判定結果を報知する(ステップS109)。
【0072】
設定された運動回数が終了していない場合(ステップS110:No)、ステップS106以降の処理を繰り返す。設定された運動回数が終了した場合(ステップS110:Yes)、運動アプリケーション52が運動結果(回数、時間など)を記録し(ステップS111)、処理を終了する。
【0073】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、警報器10及び人感センサ11の具体例について説明したが、これらの構成は適宜変更可能である。例えば、警報器10がガスセンサ12及びCOセンサ13のうち一方のみを備えてもよいし、他のセンサを備えてもよい。また、人感センサ11の検知領域A1が、複数であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0074】
(2)警報器10の制御装置21が備える機能部の一部又は全部が、携帯情報端末40の制御装置51に備えられてもよいし、インターネットN上のサーバ等に備えられてもよい。携帯情報端末40の制御装置51が備える各機能部の一部又は全部が、警報器10の制御装置21に備えられてもよいし、インターネットN上のサーバ等に備えられてもよい。機能部を実現するためのプログラムは、各機能部の配置に応じて警報器10の制御装置21及び携帯情報端末40の制御装置51に備えられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、人の運動を支援する運動支援システムや運動支援プログラムに適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 :運動支援システム
10 :警報器
11 :人感センサ
14 :スピーカー(報知装置)
40 :携帯情報端末
41 :スピーカー(報知装置)
42 :表示装置(報知装置)
43 :入力装置
53 :運動促進部
54 :運動判定部
55 :報知制御部
56 :設置位置判定部
57 :運動位置判定部