(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 27/00 20060101AFI20250228BHJP
A01D 25/00 20060101ALI20250228BHJP
A01D 33/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A01D27/00
A01D25/00
A01D33/00
(21)【出願番号】P 2021082711
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森園 吉一
(72)【発明者】
【氏名】秋元 賢佑
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉村 達也
(72)【発明者】
【氏名】崎山 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雅也
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-240181(JP,A)
【文献】特開2019-097412(JP,A)
【文献】特開2020-115839(JP,A)
【文献】特開平02-069105(JP,A)
【文献】特開2021-068302(JP,A)
【文献】特開平03-224406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00-33/14
A01B 69/00-69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体を走行させる走行装置と、
圃場の作物を収穫する収穫装置と、
前記収穫装置に設けられると共に、圃場の作物を検出する作物検出装置と、
前記作物検出装置の出力に基づいて、前記収穫装置と作物とが適正位置関係となるように前記走行装置を制御する走行制御部と、を備え、
前記作物検出装置は、
圃場の作物に接触するレバーと、前記レバーの下方に設けられ、前記レバーが所定角度を超えて揺動したことを検知し、作物を検出したことを示す信号を出力する本体とからなり、圃場
の2列の作物の各々と接触したときに圃場の作物を直接検出する複数の接触式のセンサであ
り、
本体部と、前記本体部から上側へ延びる葉茎と、を有する前記作物を収穫可能に構成されており、
前記作物検出装置は、前記葉茎に接触可能なように構成されている収穫機。
【請求項2】
圃場の作物の右側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての右センサと、
圃場の作物の左側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての左センサと、を備え、
前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されており、
前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御する請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
圃場の作物の右側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての右センサと、
圃場の作物の左側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての左センサと、を備え、
前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されており、
前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出することに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出することに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御する請求項1に記載の収穫機。
【請求項4】
2列の作物の間を通るように配置される前記作物検出装置としての右センサ及び左センサを備え、
前記右センサは、右に位置する作物の左側部分に接触可能であり、
前記左センサは、左に位置する作物の右側部分に接触可能であり、
前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されており、
前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御する請求項1に記載の収穫機。
【請求項5】
2列の作物の間を通るように配置される前記作物検出装置としての右センサ及び左センサを備え、
前記右センサは、右に位置する作物の左側部分に接触可能であり、
前記左センサは、左に位置する作物の右側部分に接触可能であり、
前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されており、
前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出することに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出することに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御する請求項1に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩行型の玉ねぎ収穫機が記載されている。この玉ねぎ収穫機は、エンジンからの動力により駆動される左右一対の駆動後輪を備える。操舵は、操縦ハンドルを保持するオペレータにより行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の収穫機では、オペレータが操舵を行なう必要があるため、オペレータの作業負荷が大きい。また、オペレータが操舵を誤った場合、作物の収穫漏れが発生したり、作物に傷をつけてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、オペレータの作業負荷を軽減すると共に、作物の収穫漏れや傷の発生を抑制できる収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の収穫機は、機体と、前記機体を走行させる走行装置と、圃場の作物を収穫する収穫装置と、前記収穫装置に設けられると共に、圃場の作物を検出する作物検出装置と、前記作物検出装置の出力に基づいて、前記収穫装置と作物とが適正位置関係となるように前記走行装置を制御する走行制御部と、を備え、前記作物検出装置は、圃場の作物に接触するレバーと、前記レバーの下方に設けられ、前記レバーが所定角度を超えて揺動したことを検知し、作物を検出したことを示す信号を出力する本体とからなり、圃場の2列の作物の各々と接触したときに圃場の作物を直接検出する複数の接触式のセンサであり、本体部と、前記本体部から上側へ延びる葉茎と、を有する前記作物を収穫可能に構成されており、前記作物検出装置は、前記葉茎に接触可能なように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、作物検出装置によって圃場の作物が直接検出され、作物検出装置の出力に基づいて収穫装置と作物とが適正位置関係となるように走行装置が制御されるので、オペレータの作業負荷が軽減され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
また、本構成によれば、圃場の作物が確実に検出されるので、収穫装置と作物とが確実に適正位置関係となる。従って、作物の収穫漏れや傷の発生が確実に抑制される。
また、本構成によれば、作物検出装置が作物の葉茎に接触して作物を検出するので、作物の本体部での傷の発生が抑制される。
【0008】
【0009】
【0010】
本発明において、圃場の作物の右側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての右センサと、圃場の作物の左側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての左センサと、を備え、前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されており、前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御すると好適である。
【0011】
本構成によれば、右センサ及び左センサの出力に基づいて収穫装置と作物とが適正位置関係となるように走行装置が制御され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
【0012】
本発明において、圃場の作物の右側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての右センサと、圃場の作物の左側部分に接触可能である、前記作物検出装置としての左センサと、を備え、前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されており、前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出することに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出することに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御すると好適である。
【0013】
本構成によれば、右センサ及び左センサの出力に基づいて収穫装置と作物とが適正位置関係となるように走行装置が制御され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
【0014】
本発明において、2列の作物の間を通るように配置される前記作物検出装置としての右センサ及び左センサを備え、前記右センサは、右に位置する作物の左側部分に接触可能であり、前記左センサは、左に位置する作物の右側部分に接触可能であり、前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されており、前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出しないことに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御すると好適である。
【0015】
本構成によれば、右センサ及び左センサの出力に基づいて収穫装置と作物とが適正位置関係となるように走行装置が制御され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
【0016】
本発明において、2列の作物の間を通るように配置される前記作物検出装置としての右センサ及び左センサを備え、前記右センサは、右に位置する作物の左側部分に接触可能であり、前記左センサは、左に位置する作物の右側部分に接触可能であり、前記右センサ及び前記左センサは、前記収穫装置と作物とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されており、前記走行制御部は、前記右センサが作物を検出することに応じて前記機体が左へ向かうように前記走行装置を制御し、前記左センサが作物を検出することに応じて前記機体が右へ向かうように前記走行装置を制御すると好適である。
【0017】
本構成によれば、右センサ及び左センサの出力に基づいて収穫装置と作物とが適正位置関係となるように走行装置が制御され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】作物検出装置による作物の検出の態様を示す図である。
【
図4】玉ねぎ収穫機の制御の態様を示す機能ブロック図である。
【
図5】作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
【
図6】作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
【
図7】作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
【
図8】作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
【
図9】作物検出装置による作物の検出の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る収穫機の実施の形態である歩行型の玉ねぎ収穫機について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0024】
なお、以下の説明においては、図中に示される矢印FRの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0025】
玉ねぎ収穫機の機体Xは、ミッションケース1、エンジン2、車軸ケース3、伝動ケース4、左右の後輪5、左右の支持フレーム6、及び前輪7を備える。
【0026】
ミッションケース1にエンジン2が支持される。ミッションケース1から右および左に延出された車軸ケース3および伝動ケース4に右および左の後輪5が支持される。前方に延出された右および左の支持フレーム6の右の支持フレーム6に、前輪7が支持される。
前輪7の車軸は、U字形の軸支部20に回転可能な状態で軸支される。軸支部20は、前輪シャフト21が連結される。前輪シャフト21は、前輪支持筒22に内嵌され、前輪支持筒22から突出する長さが可変な状態で支持される。前輪支持筒22は支持フレーム6に支持される。
【0027】
また、玉ねぎ収穫機の機体Xは、操縦ハンドル8及び調整ハンドル9を備える。機体Xの後方に操縦ハンドル8が延出される。操縦ハンドル8に備えられた調整ハンドル9により、右の支持フレーム6に対する前輪7の高さを調節することができる。調整ハンドル9の操作により、前輪支持筒22から突出する前輪シャフト21の長さが調整され、これにより、支持フレーム6に対する前輪7の高さが調節される。また、調整ハンドル9により右の支持フレーム6に対する前輪7の高さを調節することによって、機体Xの前後方向の姿勢(傾斜)を調節することができる。
【0028】
また、玉ねぎ収穫機は、圃場の作物を収穫する収穫装置Yとして、葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、右および左の土崩し体13、搬送装置14、切断装置15および放出装置16を備える。収穫装置Yは、右および左の支持フレーム6の前部に支持される。エンジン2の動力により、右および左の後輪5、葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、右および左の土崩し体13、搬送装置14、切断装置15および放出装置16が駆動される。右および左の後輪5は、機体Xを走行させる走行装置である。
【0029】
本実施形態では、玉ねぎ収穫機は、葉茎引き上げ装置10として、左装置10A、中装置10B、及び右装置10Cを備える。
【0030】
図1,
図2に示すように、圃場に、畝間A1を挟んで複数の畝Aが形成され、一つの畝Aに4条の玉ねぎW(作物)が作付けされる。
【0031】
玉ねぎ収穫機は、前輪7および後輪5を畝間A1に接地させて畝Aを跨ぐ状態で機体が進行する。玉ねぎ収穫機は、畝Aの4条の玉ねぎW(作物の一例)のうち、機体の進行方向に向かって右の2条の玉ねぎWを収穫する。
【0032】
図1,
図2に示すように、機体Xの進行に伴って、右および左の土崩し体13は、畝Aに作付けされた玉ねぎWの下側の畝Aの土中を進行しながら土を崩し、玉ねぎWが畝Aから引き上げられ易くなる状態を作り出す。引き上げ装置12は、畝Aに作付けされた玉ねぎWの葉茎Waを挟持して玉ねぎWを畝Aから上方に引き上げる。引き上げられた玉ねぎWの葉茎Waにおいて引き上げ装置12よりも下側の部分は、切断装置15に切断され、葉茎Waが切断された玉ねぎWは畝Aに落とされていく。
【0033】
この後、作物回収車によって畝Aの玉ねぎWを回収したり、作業者が畝Aの玉ねぎWを回収したりする。
【0034】
本実施形態では、玉ねぎ収穫機は、圃場の作物を直接検出する作物検出装置50を備える。「直接検出する」とは、カメラ等による撮影画像を解析して作物の有無や位置を検出するような間接的な手法ではなく、直接的な手法により圃場の作物を検出することを意味する。本実施形態では、作物検出装置50は、圃場の作物と接触したときに圃場の作物を検出する接触式のセンサである。
【0035】
図1、
図2に示されるように、作物検出装置50は、収穫装置Yに設けられている。本実施形態では、玉ねぎ収穫機は、作物検出装置50として、左センサ50L及び右センサ50Rを備えている。
【0036】
図示例では、右センサ50Rは、葉茎引き上げ装置10の右装置10Cの前側部分に設けられている。左センサ50Lは、葉茎引き上げ装置10の左装置10Aの前側部分に設けられている。
【0037】
図3に、本実施形態の作物検出装置50による作物の検出の態様が示されている。本実施形態では、作物検出装置50は、レバー式の接触センサであって、本体50a及びレバー50bを備える。レバー50bは、縦軸芯Cの周りに揺動可能な状態で、本体50aに支持されている。玉ねぎWは、本体部Wmと、本体部Wmから上側へ延びる葉茎Waと、を有する。レバー50bが本体部Wmの上部に接触可能なように、作物検出装置50が配置されている。玉ねぎ収穫機が走行してレバー50bが玉ねぎWに接触すると、レバー50bが玉ねぎWに押されて後方へ揺動する。レバー50bが所定角度を超えて揺動したことを本体50aが検知すると、本体50aは、作物を検出したことを示す信号を出力する。
【0038】
図4に、左右の後輪5への駆動力伝達の態様が示されている。エンジン2からの動力が、ミッションケース1の内部の変速装置1aにより変速されて、左右の操向クラッチ1bを介して左右の後輪5へ伝達される。
図1に示されるように、左右の操向クラッチレバー8aが、操縦ハンドル8に設けられている。左右の操向クラッチレバー8aは、左右の操向クラッチ1bに接続されている。
【0039】
右の操向クラッチレバー8aが操作されると、右の操向クラッチ1bが切断され、右の後輪5への駆動力の伝達が停止する。これにより、機体Xは右旋回する。左の操向クラッチレバー8aが操作されると、左の操向クラッチ1bが切断され、左の後輪5への駆動力の伝達が停止する。これにより、機体Xは左旋回する。以上のようにして、玉ねぎ収穫機の機体Xの旋回がオペレータにより操向クラッチレバー8aを用いて制御される。
【0040】
左右の操向クラッチ1bに、アクチュエータ1cが接続されている。アクチュエータ1cは、後述する制御装置80に制御されて、左右の操向クラッチ1bを入切する。従って、玉ねぎ収穫機の機体Xの旋回が制御装置80によりアクチュエータ1cを用いて制御され得る。アクチュエータ1cは、例えば電動モータや油圧シリンダ、エアシリンダ等である。アクチュエータ1cが、操向クラッチ1bと操向クラッチレバー8aとを接続する操作ワイヤを操作するよう構成されてもよい。
【0041】
玉ねぎ収穫機は、制御装置80を備える。制御装置80は、所謂ECUであって、後述する機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。すなわち、制御装置80は、プログラムを記憶した一次的ではない(non-transitory)記録媒体を備える。
【0042】
図4に示されるように、制御装置80は、機能部として走行制御部83を備える。
【0043】
走行制御部83は、作物検出装置50の出力に基づいて、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係となるように走行装置を制御する。本実施形態では、走行制御部83は、アクチュエータ1cを動作させて操向クラッチ1bを入切することにより、左右の後輪5の駆動を制御する。適正位置関係とは、収穫装置Yにより玉ねぎW(作物)が適切に収穫されるような収穫装置Yと玉ねぎW(作物)との位置関係である。例えば、収穫される2条の玉ねぎWの間に葉茎引き上げ装置10の中装置10Bが位置するとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。例えば、圃場の玉ねぎWに葉茎引き上げ装置10の左装置10A、中装置10B、及び右装置10Cが接触しないとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。
【0044】
図5を参照しながら、本実施形態の作物検出装置50による玉ねぎW(作物)の検出状態及び走行制御について説明する。本実施形態では、右センサ50Rが、収穫される2条の玉ねぎWのうち、右の玉ねぎの右側部分に接触可能なように、右の玉ねぎWの右に配置される。左センサ50Lが、収穫される2条の玉ねぎWのうち、左の玉ねぎの左側部分に接触可能なように、左の玉ねぎWの左に配置される。
【0045】
右センサ50R及び左センサ50Lは、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されている(
図5上段)。すなわち、本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが作物を検知しているとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。従って、このとき、走行制御部83は機体Xが直進するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させず、操向クラッチ1bを切り操作しない。
【0046】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して右寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知し、右センサ50Rが作物を検知しない状態となる(
図5中段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが左旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、左の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0047】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して左寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知せず、右センサ50Rが作物を検知する状態となる(
図5下段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが右旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、右の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0048】
すなわち、本実施形態では、走行制御部83は、右センサ50Rが作物を検出しないことに応じて機体Xが左へ向かうように走行装置を制御し(
図5中段)、左センサ50Lが作物を検出しないことに応じて機体Xが右へ向かうように走行装置を制御する(
図5下段)。
【0049】
〔第2実施形態〕
図6を参照しながら、本実施形態の作物検出装置50による玉ねぎW(作物)の検出状態及び走行制御について説明する。以下の説明では、左記の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態では、右センサ50Rが、収穫される2条の玉ねぎWのうち、右の玉ねぎの右側部分に接触可能なように、右の玉ねぎWの右に配置される。左センサ50Lが、収穫される2条の玉ねぎWのうち、左の玉ねぎの左側部分に接触可能なように、左の玉ねぎWの左に配置される。
【0050】
右センサ50R及び左センサ50Lは、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されている(
図6上段)。すなわち、本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが作物を検知しないとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。従って、このとき、走行制御部83は機体Xが直進するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させず、操向クラッチ1bを切り操作しない。
【0051】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して左寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知せず、右センサ50Rが作物を検知する状態となる(
図6中段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが右旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、右の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0052】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して右寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知し、右センサ50Rが作物を検知しない状態となる(
図6下段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが左旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、左の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0053】
すなわち、本実施形態では、走行制御部83は、右センサ50Rが作物を検出することに応じて機体Xが右へ向かうように走行装置を制御し、左センサ50Lが作物を検出することに応じて機体が左へ向かうように走行装置を制御する。
【0054】
〔第3実施形態〕
図7を参照しながら、本実施形態の作物検出装置50による玉ねぎW(作物)の検出状態及び走行制御について説明する。本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが、2列の作物の間を通るように配置される。例えば、右センサ50R及び左センサ50Lが、葉茎引き上げ装置10の中装置10Bの前側部分に配置される。右センサ50Rは、右に位置する作物の左側部分に接触可能なように配置される。左センサ50Lは、左に位置する作物の右側部分に接触可能なように配置される。
【0055】
右センサ50R及び左センサ50Lは、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にあるときに作物と接触するように配置されている(
図7上段)。すなわち、本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが作物を検知しているとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。従って、このとき、走行制御部83は機体Xが直進するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させず、操向クラッチ1bを切り操作しない。
【0056】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して左寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知し、右センサ50Rが作物を検知しない状態となる(
図7中段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが右旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、右の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0057】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して右寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知せず、右センサ50Rが作物を検知する状態となる(
図7下段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが左旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、左の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0058】
すなわち、本実施形態では、走行制御部83は、右センサ50Rが作物を検出しないことに応じて機体Xが右へ向かうように走行装置を制御し(
図7中段)、左センサ50Lが作物を検出しないことに応じて機体Xが左へ向かうように走行装置を制御する(
図7下段)。
【0059】
〔第4実施形態〕
図8を参照しながら、本実施形態の作物検出装置50による玉ねぎW(作物)の検出状態及び走行制御について説明する。本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが、2列の作物の間を通るように配置される。例えば、右センサ50R及び左センサ50Lが、葉茎引き上げ装置10の中装置10Bの前側部分に配置される。右センサ50Rは、右に位置する作物の左側部分に接触可能なように配置される。左センサ50Lは、左に位置する作物の右側部分に接触可能なように配置される。
【0060】
右センサ50R及び左センサ50Lは、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にあるときに作物と接触しないように配置されている(
図8上段)。すなわち、本実施形態では、右センサ50R及び左センサ50Lが作物を検知しないとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にある。従って、このとき、走行制御部83は機体Xが直進するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させず、操向クラッチ1bを切り操作しない。
【0061】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して右寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知せず、右センサ50Rが作物を検知する状態となる(
図8中段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが左旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、左の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0062】
機体Xが収穫対象の玉ねぎWに対して左寄りに走行した場合、左センサ50Lが作物を検知し、右センサ50Rが作物を検知しない状態となる(
図8下段)。このとき、収穫装置Yと玉ねぎW(作物)とが適正位置関係にない。この場合、走行制御部83は機体Xが右旋回するように走行装置を制御する。具体的には、走行制御部83は、アクチュエータ1cを作動させて、右の操向クラッチ1bを切り操作する。
【0063】
すなわち、本実施形態では、走行制御部83は、右センサ50Rが作物を検出することに応じて機体Xが左へ向かうように走行装置を制御し(
図8中段)、左センサ50Lが作物を検出することに応じて機体Xが右へ向かうように走行装置を制御する(
図8下段)。
【0064】
〔他の実施形態〕
(1)
図9に、作物が葉茎Zaと本体部Zmとを有する人参Zである場合の、作物検出装置50による作物の検出の態様が示されている。本実施形態では、レバー50bが葉茎Zaに接触可能なように、作物検出装置50が配置されている。
【0065】
(2)右センサ50R及び左センサ50Lが、レバー50bの揺動角度を出力するように構成されてもよい。走行制御部83が、右センサ50R及び左センサ50Lの出力するレバー50bの揺動角度に基づいて走行装置を制御するように構成されてもよい。
【0066】
(3)作物検出装置50の数は、2つに限られない。玉ねぎ収穫機が、右センサ50R及び左センサ50Lのうちの一方を備えて構成されてもよい。玉ねぎ収穫機が、3つ以上の作物検出装置50を備えてもよい。
【0067】
(4)作物検出装置50が、光学式等の非接触式のセンサであってもよい。
【0068】
(5)収穫機が、他の形態の走行装置を備えてもよい。例えば、収穫機がクローラ走行装置を備えてもよい。
【0069】
(6)収穫機の旋回の制御が、他の形態により行なわれてもよい。例えば、アクチュエータにより走行装置の向きを変えることにより、旋回の制御が行なわれてもよい。左右の走行装置の駆動速度を異ならせることにより、旋回の制御が行なわれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、玉ねぎ収穫機の他、野菜収穫機、果実収穫機、人参収穫機、大根収穫機など、様々な形態の収穫機に適用可能である。また本発明は、歩行型の収穫機だけでなく、オペレータが搭乗する乗用型収穫機や、その他の形態の収穫機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
5 :後輪(走行装置)
50 :作物検出装置
50L :左センサ
50R :右センサ
83 :走行制御部
W :玉ねぎ(作物)
Wa :葉茎
Wm :本体部
X :機体
Y :収穫装置
Z :人参(作物)
Za :葉茎
Zm :本体部