(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】パンツタイプ使い捨て着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20250228BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20250228BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/496
A61F13/51
A61F13/49 413
(21)【出願番号】P 2021101117
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 彩
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121386(JP,A)
【文献】特開2018-057465(JP,A)
【文献】特開2015-146887(JP,A)
【文献】特開2019-115524(JP,A)
【文献】特開2019-000417(JP,A)
【文献】独国特許発明第19522743(DE,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃の両側部と、後身頃の両側部とが接合されて形成された、環状の胴周り領域と、前身頃の胴周り領域から股間部を経て後身頃の胴周り領域にわたる中間領域と、前記胴周り領域における前記中間領域と反対側に設けられたウエスト開口と、前記中間領域の幅方向の両側に設けられた脚開口と、少なくとも前記胴周り領域を形成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた内装体とを備え、
前記外装体は、前記ウエスト開口側の端部として定まるウエスト部を有し、
前記ウエスト部は、不織布からなる第1シート及び不織布からなる第2シートが積層された外側部分と、この外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートが前記ウエスト開口の縁で内側に折り返され、その少なくとも一方のシートが前記ウエスト部の全体にわたり延びて形成された内側部分とを有し、
前記内側部分は前記外側部分に対して接合されており、
前記ウエスト部は、前記外側部分と前記内側部分との間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト弾性部材を有し、
前記第1シート及び前記第2シートは、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く接合位置と、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く非接合位置とが、幅方向に交互に繰り返し設けられ、
前記接合位置は、前記第1シート及び前記第2シートが溶着接合された接合部を有しており、
前記ウエスト部における前記外側部分は、その前後方向の中間より前記ウエスト開口側に位置する第1部分と、その反対側に位置する第2部分とを有し、
前記ウエスト部は、前記第1部分及び前記第2部分と重なる位置にそれぞれ少なくとも1本の前記ウエスト弾性部材を有し、
前記第1部分及び前記第2部分には、それぞれ複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記第1部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより広い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記内側部分には、複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記内側部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記内側部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより長い、
請求項1記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項3】
すべての前記接合部の全幅が等しい、
請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項4】
すべての前記接合部の接合強度が等しい、
請求項1~3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記第1部分は、前記ウエスト開口の縁から前記脚開口側に10mm以下の外側エッジ領域を有し、前記内側部分は、前記ウエスト開口の縁から前記脚開口側に10mm以下の内側エッジ領域を有し、
前記外側エッジ領域及び前記内側エッジ領域に位置する前記接合部のうち、一か所の前記接合部が相対的に接合強度の高い強接合部であるとともに、それ以外の前記接合部は、相対的に接合強度の低い弱接合部であり、
前記第1部分のうち前記外側エッジ領域を除いた領域、及び前記内側部分のうち前記内側エッジ領域を除いた領域に位置する前記接合部は、前記弱接合部である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記胴周り部の外装体は、前記ウエスト部の脚開口側に続くウエスト下方部を有し、
前記ウエスト下方部は、前記外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートの間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト下方弾性部材とを有し、
前記接合位置及び前記非接合位置は、前記ウエスト部から前記ウエスト下方部にわたり続いており、
前記ウエスト下方部における前記接合位置では、前記ウエスト下方弾性部材の前後方向の両側に前記強接合部が隣接配置されるとともに、隣り合うウエスト下方弾性部材の間における隣り合う前記強接合部の間に弱接合部が配置されており、
前記第2部分の前記接合位置における前記強接合部の寸法及び配置間隔が、前記ウエスト下方部の前記接合位置における最もウエスト開口側に位置する前記強接合部の寸法及び配置間隔に等しい、
請求項5記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項7】
前記第1部分の各接合部の面積は、0.1~15mm
2であり、
前記第2部分の各接合部の面積は、前記
第1部分の各接合部の面積の1.1~3倍であり、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔は、2~15mmであり、
前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔は、前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔の0.3~1.0倍である、
請求項1~6のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【請求項8】
前身頃の両側部と、後身頃の両側部とが接合されて形成された、環状の胴周り領域と、前身頃の胴周り領域から股間部を経て後身頃の胴周り領域にわたる中間領域と、前記胴周り領域における前記中間領域と反対側に設けられたウエスト開口と、前記中間領域の幅方向の両側に設けられた脚開口と、少なくとも前記胴周り領域を形成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた内装体とを備え、
前記外装体は、前記ウエスト開口側の端部として定まるウエスト部を有し、
前記ウエスト部は、不織布からなる第1シート及び不織布からなる第2シートが積層された外側部分と、この外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートが前記ウエスト開口の縁で内側に折り返されて前記ウエスト部の全体にわたり延びて形成された内側部分とを有し、
前記内側部分は前記外側部分に対して接合されており、
前記ウエスト部は、前記内側部分における前記第1シートと前記第2シートとの間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト弾性部材を有し、
前記第1シート及び前記第2シートは、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く接合位置と、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く非接合位置とが、幅方向に交互に繰り返し設けられ、
前記接合位置では、前記第1シート及び前記第2シートが、それらの間に前記ウエスト弾性部材を有する部位では前記ウエスト弾性部材を介して及び前記ウエスト弾性部材を有しない部位では直接にそれぞれ溶着接合された接合部を有しており、
前記ウエスト部における前記外側部分は、その前後方向の中間より前記ウエスト開口側に位置する第1部分と、その反対側に位置する第2部分とを有し、
前記内側部分は、前記第1部分及び前記第2部分と重なる位置にそれぞれ少なくとも1本の前記ウエスト弾性部材を有し、
前記第1部分及び前記第2部分には、それぞれ複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記第1部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより長い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエスト開口の端部の肌触り(柔軟性、クッション性)を向上させたパンツタイプ使い捨て着用物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パンツタイプ使い捨て着用物品は、前身頃及び後身頃の少なくとも胴周り部を構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた内装体とを備え、前身頃の外装体の両側部と後身頃の外装体の両側部とが接合されてサイドシールが形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である(例えば特許文献1、2)。
【0003】
一般的なパンツタイプ使い捨て着用物品では、身体に対するフィット性を確保するために、外装体のウエスト部を含む領域は、複数のシート層間に弾性部材を介在させた積層構造を有している。
【0004】
パンツタイプ使い捨て着用物品では、装着や購入に際して製品を手で持ったとき又は装着中における、ウエスト開口の端部の風合い(手触りや肌触り、感触)は非常に重要である。
【0005】
このため、特許文献1記載の外装体では、ウエスト下方部からウエスト部にわたり第1シート及び第2シートが積層された外側部分と、この外側部分から続く第1シート及び第2シートがウエスト開口の縁で内側に折り返され、その少なくとも一方のシートがウエスト部の全体にわたり延びて形成された内側部分とを設け、外部に露出する一方のシートのうち外側部分からウエスト開口の縁を経て内側部分に至る部分を、他方のシートに非固定の遊離部分とすることが提案されている。このような遊離部分の存在により、ウエスト部の柔軟性及びクッション性が向上し、良好な風合いを得ることができる。
【0006】
しかしながら、このような遊離部分が存在すると、第1シート及び第2シートを折り返してウエスト開口の縁を形成する際、第1シート及び第2シートのズレにより不必要な捲れや皺が形成されることがあった。また、製品を着用した際にも、第1シート及び第2シートのズレによりウエスト部分のフィット性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-067436号公報
【文献】国際公開2018/154684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、ウエスト開口及びその近傍の風合いを良好なものとしつつ、シートのズレを防止すること等にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための代表的態様は次のとおりである。
<第1の態様>
前身頃の両側部と、後身頃の両側部とが接合されて形成された、環状の胴周り領域と、前身頃の胴周り領域から股間部を経て後身頃の胴周り領域にわたる中間領域と、前記胴周り領域における前記中間領域と反対側に設けられたウエスト開口と、前記中間領域の幅方向の両側に設けられた脚開口と、少なくとも前記胴周り領域を形成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた内装体とを備え、
前記外装体は、前記ウエスト開口側の端部として定まるウエスト部を有し、
前記ウエスト部は、不織布からなる第1シート及び不織布からなる第2シートが積層された外側部分と、この外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートが前記ウエスト開口の縁で内側に折り返され、その少なくとも一方のシートが前記ウエスト部の全体にわたり延びて形成された内側部分とを有し、
前記内側部分は前記外側部分に対して接合されており、
前記ウエスト部は、前記外側部分と前記内側部分との間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト弾性部材を有し、
前記第1シート及び前記第2シートは、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く接合位置と、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く非接合位置とが、幅方向に交互に繰り返し設けられ、
前記接合位置は、前記第1シート及び前記第2シートが溶着接合された接合部を有しており、
前記ウエスト部における前記外側部分は、その前後方向の中間より前記ウエスト開口側に位置する第1部分と、その反対側に位置する第2部分とを有し、
前記ウエスト部は、前記第1部分及び前記第2部分と重なる位置にそれぞれ少なくとも1本の前記ウエスト弾性部材を有し、
前記第1部分及び前記第2部分には、それぞれ複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記第1部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより広い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0010】
(作用効果)
本パンツタイプ使い捨て着用物品の外装体の特徴は、第1シート及び第2シートの接合部をウエスト部の第1部分及び第2部分に間欠的に設けるとともに、第1部分における各接合部の面積及び前後方向の間隔を第2部分における各接合部の面積及び前後方向の間隔と異ならしめたところにある。すなわち、本パンツタイプ使い捨て着用物品の外装体では、ウエスト弾性部材は第1シート及び第2シートの二層を接合した外側部分で覆われているとともに、その外側部分のウエスト開口の縁に近い第1部分において、接合部の面積がより小さく、接合部の前後方向の間隔が同じか又はより広いため、第1部分の外面の肌触りがより柔軟でありながら、第1シート及び第2シートを折り返してウエスト開口の縁を形成する際、及び製品を着用した際、第1シート及び第2シートがズレにくくなる。
また、ウエスト弾性部材が、内側部分における第1シート及び第2シートの二層を有する部分で被覆されていると、その被覆部分では、内面の(着用者の)肌触りも柔軟となる。
なお、「前後方向の間隔」とは、前後方向に隣り合う接合部間の前後方向の間隔を意味する(以下同じ)。
【0011】
<第2の態様>
前記内側部分には、複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記内側部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記内側部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより長い、
第1の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0012】
(作用効果)
内側部分においても、外側部分の第1部分と同様の寸法範囲内で接合部を設けることにより、内面の肌触りが柔軟でありながら、第1シート及び第2シートを折り返してウエスト開口の縁を形成する際、及び製品を着用した際、第1シート及び第2シートがズレにくくなる。
【0013】
<第3の態様>
すべての前記接合部の全幅が等しい、
第1又は2の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0014】
(作用効果)
接合部の面積や前後方向の間隔を変化させるために接合部の幅を変化させてもよいが、すべての接合部の幅が等しいと製造安定性が高まるため好ましい。
【0015】
<第4の態様>
すべての前記接合部の接合強度が等しい、
第1~3のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0016】
(作用効果)
特許文献2記載のもののように、接合部の接合強度を部位に応じて変化させるのも好ましいが、製造安定性を向上させるためにはすべての接合部の接合強度が等しい方がよい。
なお、接合部の強弱(接合強度)は、単位面積又は単位長さ当たりの接合部を引き裂くのに必要な引張力の大小を意味する。
【0017】
<第5の態様>
前記第1部分は、前記ウエスト開口の縁から前記脚開口側に10mm以下の外側エッジ領域を有し、前記内側部分は、前記ウエスト開口の縁から前記脚開口側に10mm以下の内側エッジ領域を有し、
前記外側エッジ領域及び前記内側エッジ領域に位置する前記接合部のうち、一か所の前記接合部が相対的に接合強度の高い強接合部であるとともに、それ以外の前記接合部は、相対的に接合強度の低い弱接合部であり、
前記第1部分のうち前記外側エッジ領域を除いた領域、及び前記内側部分のうち前記内側エッジ領域を除いた領域に位置する前記接合部は、前記弱接合部である、
第1~4のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0018】
(作用効果)
本パンツタイプ使い捨て着用物品の外装体の特徴は、第1シート及び第2シートの接合部を強弱変化(不織布は溶着による接合強度が弱いほど、繊維の溶融が抑制され、柔軟となる)させるとともに、その配置を工夫したところにある。すなわち、外側エッジ領域及び内側エッジ領域にわたる接合位置では、一か所に強接合部が配されることにより、折り返し位置の近傍で第1シート及び第2シートが強固に一体化されているため、第1シート及び第2シートを折り返してウエスト開口の縁を形成する際折りやすく、かつその際及び製品を着用した際、ウエスト開口の縁及びその近傍で第1シート及び第2シートがズレにくくなる。
【0019】
<第6の態様>
前記胴周り部の外装体は、前記ウエスト部の脚開口側に続くウエスト下方部を有し、
前記ウエスト下方部は、前記外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートの間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト下方弾性部材とを有し、
前記接合位置及び前記非接合位置は、前記ウエスト部から前記ウエスト下方部にわたり続いており、
前記ウエスト下方部における前記接合位置では、前記ウエスト下方弾性部材の前後方向の両側に前記強接合部が隣接配置されるとともに、隣り合うウエスト下方弾性部材の間における隣り合う前記強接合部の間に弱接合部が配置されており、
前記第2部分の前記接合位置における前記強接合部の寸法及び配置間隔が、前記ウエスト下方部の前記接合位置における最もウエスト開口側に位置する前記強接合部の寸法及び配置間隔に等しい、
第5の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0020】
(作用効果)
ウエスト下方部における接合部の強弱の配置は特許文献2記載のものと同様であると好ましいが、強接合部の配置がウエスト下方部とウエスト部との境界で切り替わると、風合いが急に変化するため、その境界に横皺が生じやすくなったり、境界が違和感をもたらしたりするおそれがある。したがって、本態様のように、第2部分に強接合部を設けるとともに、その寸法及び配置をウエスト下方部における最もウエスト開口側に位置する強接合部の寸法及び配置と共通にするのは好ましい。
【0021】
<第7の態様>
前記第1部分の各接合部の面積は、0.1~15mm2であり、
前記第2部分の各接合部の面積は、前記第1部分の各接合部の面積の1.1~3.0倍であり、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔は、2.0~15mmであり、
前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔は、前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔の0.3~1.0倍である、
第1~6のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0022】
(作用効果)
接合部の寸法は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると好ましい。
<第8の態様>
前身頃の両側部と、後身頃の両側部とが接合されて形成された、環状の胴周り領域と、前身頃の胴周り領域から股間部を経て後身頃の胴周り領域にわたる中間領域と、前記胴周り領域における前記中間領域と反対側に設けられたウエスト開口と、前記中間領域の幅方向の両側に設けられた脚開口と、少なくとも前記胴周り領域を形成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた内装体とを備え、
前記外装体は、前記ウエスト開口側の端部として定まるウエスト部を有し、
前記ウエスト部は、不織布からなる第1シート及び不織布からなる第2シートが積層された外側部分と、この外側部分から続く前記第1シート及び前記第2シートが前記ウエスト開口の縁で内側に折り返されて前記ウエスト部の全体にわたり延びて形成された内側部分とを有し、
前記内側部分は前記外側部分に対して接合されており、
前記ウエスト部は、前記内側部分における前記第1シートと前記第2シートとの間に、幅方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状のウエスト弾性部材を有し、
前記第1シート及び前記第2シートは、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く接合位置と、前記外側部分及び前記内側部分にわたり前後方向に続く非接合位置とが、幅方向に交互に繰り返し設けられ、
前記接合位置では、前記第1シート及び前記第2シートが、それらの間に前記ウエスト弾性部材を有する部位では前記ウエスト弾性部材を介して及び前記ウエスト弾性部材を有しない部位では直接にそれぞれ溶着接合された接合部を有しており、
前記ウエスト部における前記外側部分は、その前後方向の中間より前記ウエスト開口側に位置する第1部分と、その反対側に位置する第2部分とを有し、
前記内側部分は、前記第1部分及び前記第2部分と重なる位置にそれぞれ少なくとも1本の前記ウエスト弾性部材を有し、
前記第1部分及び前記第2部分には、それぞれ複数の前記接合部が非接合部を介して前後方向に間欠的に配されており、
前記第1部分の各接合部の面積が、前記第2部分の各接合部の面積よりも小さく、
前記第1部分における前記接合部の前後方向の間隔が、前記第2部分における前記接合部の前後方向の間隔と同じか又はより長い、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
【0023】
(作用効果)
本パンツタイプ使い捨て着用物品の外装体の特徴は、第1シート及び第2シートの接合部をウエスト部の第1部分及び第2部分に間欠的に設けるとともに、第1部分における各接合部の面積及び間隔を第2部分における各接合部の面積及び間隔と異ならしめたところにある。すなわち、ウエスト開口の縁に近い第1部分において、より接合部の面積が大きく、接合部の間隔が同じか又はより広いため、第1部分の外面の肌触りが柔軟でありながら、第1シート及び第2シートを折り返してウエスト開口の縁を形成する際、及び製品を着用した際、第1シート及び第2シートがズレにくくなる。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、ウエスト開口及びその近傍の風合いを良好なものとしつつ、シートのズレを防止できる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
【
図2】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
【
図5】(a)
図1の4-4断面図、及び(b)
図1の5-5断面図である。
【
図6】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
【
図7】展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。
【
図8】接合部及び非接合部を誇張して概略的に示した外装体の接合位置における断面図である。
【
図9】
図8の例における(a)外側部分の平面図、及び(b)内側部分の平面図である。
【
図10】接合部及び非接合部を誇張して概略的に示した外装体の接合位置における断面図である。
【
図11】
図10の例における(a)外側部分の平面図、及び(b)内側部分の平面図である。
【
図12】強接合部、弱接合部及び非接合部を誇張して概略的に示した外装体の接合位置における断面図である。
【
図13】
図12の例における(a)外側部分の平面図、及び(b)内側部分の平面図である。
【
図14】強接合部、弱接合部及び非接合部を誇張して概略的に示した外装体の接合位置における断面図である。
【
図15】
図14の例における(a)外側部分の平面図、及び(b)内側部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、パンツタイプ使い捨て着用物品の一例として、パンツタイプ使い捨ておむつについて、添付図面を参照しつつ詳説する。厚み方向に隣接する各構成部材は、以下に述べる固定又は接合部分以外も、必要に応じて公知のおむつと同様に固定又は接合される。断面図における点模様部分は、この固定又は接合手段としてのホットメルト接着剤等の接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状、波状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、ポリオレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する固定又は接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。厚み方向の液の透過性が要求される部分では、厚み方向に隣接する構成部材は間欠的なパターンで固定又は接合される。例えば、ホットメルト接着剤によりこのような間欠的な固定又は接合を行う場合、スパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を好適に用いることができ、一つのノズルによる塗布幅以上の範囲に塗布する場合には、幅方向に間隔を空けて又は空けずにスパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を行うことができる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
【0027】
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
【0028】
図1~
図6は、パンツタイプ使い捨ておむつを示している。本パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する長方形の前側外装体12F及び後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する長方形の後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール12Aが形成されることにより、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁Weから後身頃Bのウエスト開口WOの縁Weまでの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
【0029】
本パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの両側部と、後身頃Bの両側部とがサイドシール12Aで接合されて形成された、環状の胴周り領域Tと、前身頃Fの胴周り領域Tから股間部を経て後身頃Bの胴周り領域Tにわたる中間領域Lと、胴周り領域Tにおける中間領域Lと反対側に設けられたウエスト開口WOと、中間領域Lの幅方向WDの両側に設けられた脚開口LOとを有する。換言すると、胴周り領域Tは、ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向LD範囲として定まり、中間領域Lは、前身頃Fのサイドシール12Aの下端と、後身頃Bのサイドシール12Aの下端との間の前後方向LD範囲として定まる。
図1及び
図2に示す展開状態では、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、おむつ全体の形状は略砂時計状となる。
【0030】
また、本パンツタイプ使い捨ておむつは、二つの主要アセンブリ、つまり少なくとも胴周り領域Tを形成する外装体12F,12Bと、前身頃Fから後身頃Bにわたるように外装体12F,12Bに対して取り付けられた内装体200とを備える。
【0031】
(内装体)
内装体200は図示例では長方形であるが、任意の形状を採ることができる。内装体200は、
図3~
図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シートを示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
【0032】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、有孔プラスチックシートなどを例示することができる。また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0033】
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
【0034】
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
【0035】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体56へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体56からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
【0036】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/m2が好ましく、17~50g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0037】
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向LDの長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0038】
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
【0039】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
【0040】
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5~20mm程度が適当である。
【0041】
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、装着者の脚周りに接して横漏れを防止するために設けられているものである。必要に応じて、起き上がりギャザー60は省略することもできる。
【0042】
図1、
図3及び
図4に示される起き上がりギャザー60(いわゆる立体ギャザー)は、内装体200の側部から表側に起立するものである。この起き上がりギャザー60は、付け根側部分60Bが幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
【0043】
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0044】
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが
図3に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0045】
図示例の起き上がりギャザー60のように、本体部分66が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され幅方向外側に延びる先端側部分60Aとからなる屈曲形態では、倒伏部分67で、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。この場合において、付け根側部分60B及びトップシート30の接合と、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合とを同じ手段により行っても、また異なる手段により行っても良い。例えば、付け根側部分60B及びトップシート30の接合をホットメルト接着剤により行い、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合を素材溶着により行うのは一つの好ましい形態である。
【0046】
ギャザー不織布62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブローン不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10~30g/m2程度とするのが好ましい。ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470~1240dtexが好ましく、620~940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150~350%が好ましく、200~300%がより好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザー不織布62の間に防水フィルム64を介在させることもでき、この場合には防水フィルム64の存在部分においてギャザー不織布62を部分的に省略することもできるが、製品の外観及び肌触りを布のようにするためには、図示例のように、少なくとも起き上がりギャザー60の基端から先端までの外面がギャザー不織布62で形成されていることが必要である。
【0047】
起き上がりギャザー60の自由部分68に設けられるギャザー弾性部材63の本数は2~6本が好ましく、3~5本がより好ましい。配置間隔は3~10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性部材63を配置しても良い。
【0048】
起き上がりギャザー60の自由部分68では、ギャザー不織布62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザー不織布62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザー不織布62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザー不織布62の内側層及び外側層へのギャザー弾性部材63の固定と、ギャザー不織布62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
【0049】
同様に、起き上がりギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザー不織布62との固定や、倒伏部分67の固定についても、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
【0050】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0051】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5~75個、好ましくは10~50個、さらに好ましくは15~50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0052】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図7等にも示すように、前後方向中間に、その前後両側よりも幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0053】
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の全幅を示している。
【0054】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
【0055】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0056】
高吸収性ポリマー粒子としては、例えば吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0057】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、例えばゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0058】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50~350g/m2とすることができる。
【0059】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5~40g/m2、特に10~30g/m2のものが望ましい。
【0060】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0061】
(外装体)
図示例の外装体12F,12Bは、前身頃Fの胴周り領域Tを形成する長方形の前側外装体12Fと、後身頃Bの胴周り領域Tを形成する長方形の後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されたものとなっている。この離間距離12dは例えば150~250mm程度とすることができる。外装体12F,12Bは、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間部を通り連続する一体的なものであってもよい。
【0062】
外装体12F,12Bにおける胴周り領域Tに位置する部分は、ウエスト開口WO側の端部を形成するウエスト部Wと、これよりも下側の部分であるウエスト下方部Uとに分けることができる。外装体12F,12Bにおける胴周り領域Tに位置する部分に、幅方向WDの伸縮力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側に位置する境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側に延び出たウエスト延出部分12Eがウエスト部Wとなる。これらの前後方向LDの長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15~40mm、ウエスト下方部Uは65~120mmとすることができる。
【0063】
また、図示例では、前側外装体12F及び後側外装体12Bは前後方向LDの寸法が等しく、それぞれ中間領域Lに位置する部分を有していないが、
図7に二点鎖線で示すように、前側外装体12Fよりも後側外装体12Bの方の前後方向寸法が長く、前側外装体12Fには中間領域Lに位置する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出た臀部カバー部Cを有していてもよい。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたりしても良い。
【0064】
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、弾性部材15,17が内蔵され、弾性部材15,17の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、外装体12F,12Bは、自然長の状態では弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材15,17としては、糸状、帯状等の公知の細長状の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材15,17としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
【0065】
図示例の弾性部材15,17についてより詳細に説明すると、外装体12F,12Bのウエスト部Wには、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性部材17としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、2~12mmの間隔、特に3~7mmの間隔で、2~15本程度、特に4~10本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150~400%、特に220~320%程度であるのが好ましい。ウエスト弾性部材17の前後方向LDの間隔は一定であってもよいし、前後方向LDの中間で変化していてもよい。
【0066】
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uには、細長状の弾性部材からなるウエスト下方弾性部材15が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられていると好ましい。ウエスト下方弾性部材15としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、1~15mm、特に3~8mmの間隔で5~30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200~350%、特に240~300%程度であるのが好ましい。ウエスト下方弾性部材15の前後方向LDの間隔は一定であってもよいし、図示例のように前後方向LDの中間で変化していてもよい。
【0067】
図示例のウエスト下方部Uのように、吸収体56を有する前後方向範囲にウエスト下方弾性部材15を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内装接合部201,202の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
【0068】
このような伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、外装体12F,12Bの製造に際し、弾性部材15を固定した後、非伸縮領域A1となる領域において、ウエスト下方弾性部材15を加圧及び加熱により幅方向中間の1か所で切断するか、又は多数個所で細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。これらの場合、非伸縮領域A1には、伸縮に実質的に寄与しない弾性部材の切断片16等が外装体12F,12B内に残ることとなる。
【0069】
(外装体の積層構造)
図8及び
図9に示すように、ウエスト部Wは、不織布からなる第1シート12S及び不織布からなる第2シート12Hが積層された外側部分18と、この外側部分18から続く第1シート12S及び第2シート12Hがウエスト開口WOの縁Weで内側に折り返され、そのうちの第1シート12Sがウエスト部Wの全体にわたり延びて形成された内側部分19とを有し、内側部分19はホットメルト接着剤HMを介して(溶着でもよい)外側部分18に対して接合されている。図示例では、外側部分18の第1シート12S及び第2シート12Hは、ウエスト部Wからウエスト下方部Uにわたり(図示例の場合、胴周り領域Tの全体にわたり)延びているが、これに限定されず、ウエスト下方部Uを別のシートで形成する等、適宜の変更が可能である。また、図示例では、内側部分19の第2シート12Hはウエスト部Wにおける前後方向LDの中間までしか延びておらず、第1シート12Sがウエスト部Wからウエスト下方部Uにかけて延びて、内装体200のウエスト開口WO側の端部を被覆しているが、これに限定されず、例えば第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト下方部Uまで延びていてもよいし、第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト部W内に収まっていたり、内装体200よりもウエスト開口WO側までしか延びておらず、内装体200の端部を被覆していなかったりしてもよい。
【0070】
第1シート12S及び第2シート12Hの素材は不織布である限り適宜定めることができる。例えば、第1シート12S及び第2シート12Hとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などからなる不織布を使用することができる。繊維の結合方法としては、例えばエアスルー法やポイントボンド法等を例示することができる。第1シート12S及び第2シート12Hに用いる不織布の繊度、目付け、厚みは適宜定めることができる。一例としては、第1シート12S及び第2シート12Hに用いる不織布は、それぞれ繊度1.0~2.5dtex、目付け10~30g/m2、厚み0.15~0.50mmの長繊維不織布であると好ましい。
【0071】
図8及び
図9に示す例では、ウエスト部Wに設けられるウエスト弾性部材17は、外側部分18と内側部分19との間に設けられている。ウエスト弾性部材17は図示例ではその外周面に塗布されたホットメルト接着剤HMにより外側部分18及び内側部分19の第2シート12Hに固定されているが、溶着により固定されていてもよい。ウエスト部Wは、自然長の状態ではウエスト弾性部材17とともに幅方向WDに収縮して皺が形成されているものの、ウエスト弾性部材17とともに幅方向WDに程度伸長した着用状態では皺が広がり、展開状態では完全に皺が無くなるようになっている。
【0072】
ウエスト下方部Uに設けられるウエスト下方弾性部材15は、外側部分18から続く第1シート12Sと第2シート12Hとの間に設けられているが、これに限定されるものではなく、他のシート間に設けることもできる。ウエスト下方弾性部材15は、図示例では後述の接合位置90で溶着により第1シート12S及び第2シート12Hに固定されているが、これに限られずウエスト下方弾性部材15の外周面に塗布されたホットメルト接着剤HMにより第1シート12S及び第2シート12Hに固定されていてもよい。ウエスト下方部Uは、自然長の状態ではウエスト下方弾性部材15とともに幅方向WDに収縮して皺が形成されているものの、ウエスト下方弾性部材15とともに幅方向WDに程度伸長した着用状態では皺が広がり、展開状態では完全に皺が無くなるようになっている。
【0073】
第1シート12S及び第2シート12Hは、外側部分18及び内側部分19にわたり前後方向LDに続く接合位置90と、外側部分18及び内側部分19にわたり前後方向LDに続く非接合位置91とが、幅方向WDに交互に繰り返し設けられており、各接合位置90は第1シート12S及び第2シート12Hが溶着接合された接合部80を有している。この接合部80を有する接合位置90及び非接合位置91は、図示例ではウエスト部Wだけでなくウエスト下方部Uまで続いている。ここで、第1シート12S及び第2シート12Hが溶着接合されている状態には、第1シート12S及び第2シート12Hのほぼ全ての繊維が溶けて一体化し(例えば10本未満の繊維が飛び出ていてもよい)、フィルム状(周囲より透明度が高くなる)になっている状態だけでなく、第1シート12S及び第2シート12Hの両方で接合面側の層の繊維のほぼ全体が溶着し、反対面側の層の繊維が溶着せずに独立状態で残っている状態や、第1シート12S及び第2シート12Hの少なくとも一方の接合面に位置する一部の繊維だけが溶着している状態も含まれる。第1シート12S及び第2シート12Hの対向面は、その全体にわたりホットメルト接着剤HMにより接着されていないことが望ましいが、例えばウエスト下方弾性部材15の両端部等、必要に応じて部分的に接着されていてもよい。接合位置90は図示例のように、前後方向LDに沿う直線状とする他、前後方向LDに0~30°傾斜した斜め直線状としたり、波線状としたりすることができる。接合位置90の幅(接合部81,82の幅)及び幅方向WDの間隔(非接合位置91の幅)は適宜定めればよいが、例えば接合位置90の幅は0.1~5mm程度、特に0.5~3mm程度とすることができ、幅方向WDの間隔は3~10mm程度、特に3~5mm程度とすることができる。また、溶着接合の加工方法としては、超音波シールの他、ロールの加温によるヒートシールを用いることができる。
【0074】
外側部分18は、その前後方向LDの中間よりウエスト開口WO側に位置する第1部分P1と、その反対側に位置する第2部分P2とを有し、ウエスト部Wは、第1部分P1及び第2部分P2と重なる位置にそれぞれ少なくとも1本のウエスト弾性部材17を有する。そして、特徴的には、第1部分P1及び第2部分P2には、それぞれ複数の接合部80が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されており、第1部分P1の各接合部80の面積が、第2部分P2の各接合部80の面積よりも小さく、第1部分P1における接合部80の前後方向LDの間隔k1が、第2部分P2における接合部80の前後方向LDの間隔k2と同じか又はより広くなっている。
【0075】
このように、ウエスト弾性部材17が第1シート12S及び第2シート12Hの二層を接合した外側部分18で覆われているとともに、その外側部分18はウエスト開口WOの縁Weに近い第1部分P1において接合部80の面積がより小さく、接合部80の間隔k1が同じか又はより広いため、第1部分P1の外面の肌触りがより柔軟でありながら、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際、及び製品を着用した際、第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなる。また、
図8に示すように、ウエスト弾性部材17が、内側部分19における第1シート12S及び第2シート12Hの二層を有する部分で被覆されていると、その被覆部分では、内面の(着用者の)肌触りも柔軟となる。
【0076】
内側部分19においても、外側部分18の第1部分P1と同様の寸法範囲内で接合部80を設けることができる。すなわち、内側部分19には、複数の接合部80が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されており、内側部分19の各接合部80の面積が、第2部分P2の各接合部80の面積よりも小さく、内側部分19における接合部80の前後方向LDの間隔k4が、第2部分P2における接合部80の前後方向LDの間隔k2と同じか又はより長いと、内面の肌触りが柔軟でありながら、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際、及び製品を着用した際、第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなるため好ましい。
図8及び
図9に示す例のように、内側部分19の第1シート12S及び第2シート12Hのうち一方のシートが他方のシートよりも前後方向LDの中央側に延び出ている場合、その延び出た部分には接合部80と同様の痕跡80mが残っていてもよいし、全く残っていなくてもよい。また、この一方のシートがウエスト下方部Uまで延びている場合、その延長部分の途中まで(図示例)、又は全体にわたり接合部80と同様の痕跡80mが残っていてもよいし、全く残っていなくてもよい。
【0077】
外側部分18は、ウエスト開口WOの縁Weから股間部側に3mm離れた位置までの領域には接合部80を有しないことが好ましい。同様に、内側部分19も、ウエスト開口WOの縁Weから股間部側に3mm離れた位置までの領域には接合部80を有しないことが好ましい。
【0078】
第1部分P1と第2部分P2との境界の位置は適宜定めることができるが、最もウエスト開口WO側のウエスト弾性部材17と、最も脚開口LO側のウエスト弾性部材17との間の領域を前後方向LDに三等分したときの中央の領域に位置していることが好ましい。
【0079】
接合部80の面積は適宜定めることができるが、例えば、第1部分P1の各接合部80の面積は0.1~15mm2であると好ましく、1~10mm2であるとより好ましい。また、第2部分P2の各接合部80の面積は第1部分P1の各接合部80の面積の1.1~3.0倍であると好ましく、1.5~2.5倍であるとより好ましい。図示例の外側部分18のように、ウエスト下方部Uまで接合部80を設ける場合には、ウエスト下方部Uにおける各接合部80の面積は第2部分P2の各接合部80の面積と同じか又はより大きくすることができる。
【0080】
各接合部80の全長j1,j2、及び全幅s1,s2は適宜定めることができるが、例えば、第1部分P1の全長j1は0.5~3mmであると好ましく、1~2mmであるとより好ましい。第2部分の接合部80の全長j2は、例えば、第1部分P1の全長j1の1.1~3.0倍であると好ましく、2~3倍であるとより好ましい。また、第1部分P1の全幅s1は0.1~3.0mmであると好ましく、0.3~2.0mmであるとより好ましい。第2部分の接合部80の全幅s2は、例えば、第1部分P1の全幅s1の1.0~1.5倍であると好ましく、1.0~1.2倍であるとより好ましい。図示例の外側部分18のように、ウエスト下方部Uまで接合部80を設ける場合には、ウエスト下方部Uにおける各接合部80の全長j3及び全幅s3は、第2部分P2の各接合部80の全長j2及び全幅s2とそれぞれ同じか又はより大きくすることができる。
【0081】
各接合部80の前後方向LDの間隔k1,k2は適宜定めることができるが、例えば、第1部分P1における接合部80の前後方向LDの間隔k1は2~15mmであると好ましく、5~10mmであるとより好ましい。また、第2部分P2における接合部80の前後方向LDの間隔k2は、第1部分P1における接合部80の前後方向LDの間隔k1の0.3~1.0倍であると好ましく、0.5~1.0倍であるとより好ましい。図示例の外側部分18のように、ウエスト下方部Uまで接合部80を設ける場合には、ウエスト下方部Uにおける接合部80の前後方向LDの間隔k3は第2部分P2における接合部80の前後方向LDの間隔k2と同じか又はより短くすることができる。また、ウエスト下方部Uにおける最もウエスト開口WOに近いウエスト下方弾性部材15から、最もウエスト開口WOから遠いウエスト下方弾性部材15まで接合部80が連続(前後方向LDの間隔はゼロ)していてもよい。
【0082】
接合部80の形状は、例えば図示例のような長方形状の他、前後方向LDの両端が傾斜した平行四辺形状や台形状としたり、三角形状や五角形状等の多角形状としたり、円形状や楕円形状としたり、星形状や雲形状としたりする等、適宜定めることができる。
【0083】
接合部80の面積や間隔を変化させるために部位に応じて接合部80の全幅を変化させてもよいが、すべての接合部80の全幅が等しいと製造安定性が高まるため好ましい。この場合、接合部80が前後方向LDに沿う一対の平行な辺を有する形状(例えば図示例のような長方形状の他、平行四辺形状、六角形状等)であると、接合部80の全長を変化させるだけで接合部80の面積や間隔を変化させることができるため好ましい。
【0084】
ウエスト部Wに設けられるウエスト弾性部材17は、
図8及び
図9に示す例では外側部分18と内側部分19との間に設けられているが、
図10及び
図11に示すように、内側部分19における第1シート12Sと第2シート12Hとの間に設けられ、内側部分19における第1シート12S及び第2シート12Hは、ウエスト弾性部材17を有する部位(交差部位)ではウエスト弾性部材17を介して及びウエスト弾性部材17を有しない部位(非交差部位)では直接にそれぞれ溶着接合されていてもよい。この場合、内側部分19における接合部80は、
図10及び
図11に示す例のように最もウエスト開口WOに近いウエスト弾性部材17から、最もウエスト開口WOから遠いウエスト弾性部材17まで接合部80が連続(前後方向LDの間隔はゼロ)していてもよいし、
図8及び
図9に示す例と同様に前後方向LDに間欠的に配されていてもよい。
【0085】
図10及び
図11に示す例では、内側部分19の第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト下方部Uにおける前後方向LDの同位置まで延びているが、両方のシートが最も脚開口LO側のウエスト弾性部材17よりも脚開口LO側まで延びている限り、一方のシート(例えば第1シート12S)が他方のシートより脚開口LO側まで延び出ていてもよい(図示略)。また、その場合、その延び出た部分には途中まで又は全体にわたり接合部80と同様の痕跡が残っていてもよいし、全く残っていなくてもよい。
図10及び
図11に示すように、内側部分19の第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト下方部Uまで延びている場合、その延長部分において内側部分19と同様のパターンで第1シート12S及び第2シート12Hの接合部80が設けられていてもよいが、図示例のように延長部分にウエスト下方弾性部材15が設けられていない場合には、第1部分P1と同様に、接合位置90には接合部80が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されていると好ましい。
【0086】
図10及び
図11に示す例においても、ウエスト弾性部材17は第1シート12S及び第2シート12Hの二層を接合した外側部分18で覆われているとともに、その外側部分18はウエスト開口WOの縁Weに近い第1部分P1において接合部80の面積がより小さく、接合部80の間隔が同じか又はより広いため、第1部分P1の外面の肌触りがより柔軟でありながら、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際、及び製品を着用した際、第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなる。
【0087】
特に、
図10及び
図11に示す例は、外装体12F,12Bにおけるウエスト下方部Uからウエスト部Wの内側部分19まで第1シート12S及び第2シート12Hにより形成するとともに、第1シート12S及び第2シート12Hの間にウエスト弾性部材17及びウエスト下方弾性部材15の両方を挟んで、上述の接合位置90で第1シート12S及び第2シート12Hを溶着すると、一度の溶着加工により外装体12F,12Bの基本構造を構築できるため好ましい。
【0088】
【0089】
他方、製造安定性を向上させるためにはすべての接合部80の接合強度が等しい方がよい。しかし、一部の接合部80の接合強度が他の接合部80の接合強度と異なっていてもよいし、連続する単一の接合部80の中で接合強度が変化(強度の異なる接合部80が連続)していてもよい。
【0090】
例えば、
図12及び
図13に示す例のように、第1部分P1におけるウエスト開口WOの縁Weから脚開口LO側に10mm以下を外側エッジ領域Eoとし、内側部分19におけるウエスト開口WOの縁Weから脚開口LO側に10mm以下の領域を内側エッジ領域Eiとしたとき、外側エッジ領域Eo及び内側エッジ領域Eiに位置する接合部80のうち、一か所の接合部80が相対的に接合強度の高い強接合部81であるとともに、それ以外の接合部80が相対的に接合強度の低い弱接合部82であり、第1部分P1のうち外側エッジ領域Eoを除いた領域、及び内側部分19のうち内側エッジ領域Eiを除いた領域に位置する接合部80が弱接合部82であるのは好ましい。
【0091】
このように、外側エッジ領域Eo及び内側エッジ領域Eiにわたる接合位置9080では、一か所に強接合部81が配されることにより、折り返し位置の近傍で第1シート12S及び第2シート12Hが強固に一体化されていると、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際折りやすく、かつその際及び製品を着用した際、ウエスト開口WOの縁We及びその近傍で第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなる。しかも、第1部分P1及び内側部分19では一か所の強接合部81を除き、他の接合部80はすべて弱接合部82となっているため、柔軟性が損なわれることも殆どない。
【0092】
ここで、接合部80の強弱(接合強度)は、単位面積又は単位長さ当たりの接合部80を引き裂くのに必要な引張力の大小を意味する。接合の強弱の程度は適宜定めることができるが、例えば強接合部81は、第1シート12S及び第2シート12Hのほぼ全ての繊維が溶けて一体化し(例えば10本未満の繊維が飛び出ていてもよい)、フィルム状(周囲より透明度が高くなる)になっていると好ましい。また、弱接合部82は、第1シート12S及び第2シート12Hの接合面に位置する一部又は全部の繊維が溶着しているものの、反対面の一部又は全部の繊維が溶着しておらず、多数の繊維が変形可能に残存していると好ましい。
【0093】
強接合部81、弱接合部82、非接合部83の寸法は適宜定めることができるが、例えば次の範囲内であると好ましい。
強接合部81の前後方向LDの寸法:2~4mm
弱接合部82の前後方向LDの寸法:強接合部81の前後方向LDの寸法の1.0~2.0倍
非接合部83の前後方向LDの寸法:弱接合部82の前後方向LDの寸法の0.5~1.2倍
【0094】
強接合部81、弱接合部82、非接合部83の厚みは適宜定めることができるが、例えば次の範囲内であると好ましい。
弱接合部82の見かけの厚み:非接合部83における第1シート12Sの見かけの厚み及び第2シート12Hの見かけの厚みの総和の0.5~0.9倍
前記強接合部81の見かけの厚み:弱接合部82の見かけの厚みの0.5~0.9倍
【0095】
外側エッジ領域Eo及び内側エッジ領域Eiにわたる接合位置90の一か所に設けられる強接合部81は、外側エッジ領域Eoに設けることもできるが、内側エッジ領域Eiに設けると、第1シート12S及び第2シート12Hを内側に折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際に特に折りやすくなり、かつその際及び製品を着用した際、内側部分19に強接合部81が位置するようになり、ウエスト開口WOの縁We及びその近傍で内側部分19における第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなるため好ましい。この場合、内側エッジ領域Eiに設けられる強接合部81は、ウエスト開口の縁Weから脚開口側に1~9mmの範囲内にあることが好ましく、2~8mmの範囲内にあると特に好ましい。また、強接合部81は薄く硬い部分となるため、これを内側エッジ領域Eiに設ける場合、ウエスト弾性部材17と強接合部81とが重なっていると、着用者の肌触りが悪化しやすい。よって、内側エッジ領域Eiにおける接合位置90の一か所に設けられる強接合部81と、最もウエスト開口WO側に位置するウエスト弾性部材17とは、図示例のように重なっていないと好ましい。この観点から、及びウエスト開口WOの縁Weにおける収縮皺が十分に形成される観点からは、ウエスト開口WOの縁Weと、最もウエスト開口WO側に位置するウエスト弾性部材17との前後方向LDの間隔は0~5mmとすることが好ましい。一方、外側エッジ領域Eoに強接合部81を設ける場合には、強接合部81はウエスト開口の縁Weから脚開口側に0~5mmの範囲内にあることが好ましい。
【0096】
第2部分P2についても第1部分P1における外側エッジ領域Eoを除いた領域と同様に、強接合部81が設けられていないと、柔軟性を図る上では好ましい。ただし、ウエスト部Wの全体が柔軟であると、ウエスト部Wの形状が崩れて装着感や外観を悪化させるおそれもある。よって、図示例のように、第2部分P2における接合位置90では、相対的に接合強度の高い強接合部81が、相対的に接合強度の低い弱接合部82及び非接合部83の少なくとも一方を介して前後方向LDに間欠的に配されているのも好ましい。また、この場合、第2部分P2における最もウエスト開口WO側に位置する強接合部81は、ウエスト開口WO側から数えて3本目のウエスト弾性部材17の位置から6本目のウエスト弾性部材17の位置までの範囲に位置していると、強接合部81により剛性が向上し、ウエスト部Wの形状が崩れて装着感や外観を悪化させるおそれが少なくなるため好ましい。
【0097】
ウエスト下方部Uにおける接合部の強弱は適宜定めることができ、例えば全体を強接合部81としたり、ウエスト下方弾性部材15を有する部位(交差部位)を弱接合部82とし、それ以外のウエスト下方弾性部材15を有しない部位(非交差部位)を強接合部81としたりすることもできる。一つの好ましい例は、特許文献2記載のものと同様に、ウエスト下方部Uにおける接合位置90では、ウエスト下方弾性部材15の前後方向LDの両側に強接合部81が隣接配置されるとともに、隣り合うウエスト下方弾性部材15の間における隣り合う強接合部81の間の部分が弱接合部82とされているものである。この場合、接合位置90とウエスト下方弾性部材15との交差部位では、第1シート12S及び第2シート12Hがウエスト下方弾性部材15に溶着する限り、図示例のように弱接合部82となっていることが好ましいが、強接合部81であってもよい。また、強接合部81の配置がウエスト下方部Uとウエスト部Wとの境界で切り替わると、風合いが急に変化するため、その境界に横皺が生じやすくなったり、境界が違和感をもたらしたりするおそれがある。したがって、前述のように第2部分P2にも強接合部81を設けるとともに、第2部分P2の接合位置90における強接合部81の寸法及び配置間隔が、ウエスト下方部Uの接合位置90における最もウエスト開口WO側に位置する強接合部81の寸法及び配置間隔に等しくなっていると好ましい。
【0098】
ウエスト部Wに設けられるウエスト弾性部材17は、
図12及び
図13に示す例では外側部分18と内側部分19との間に設けられているが、
図14及び
図15に示すように、内側部分19における第1シート12Sと第2シート12Hとの間に設けられ、第1シート12S及び第2シート12Hは、ウエスト弾性部材17を有する部位(交差部位)ではウエスト弾性部材17を介して及びウエスト弾性部材17を有しない部位(非交差部位)では直接にそれぞれ溶着接合されていてもよい。後者の場合、内側エッジ領域Eiは少なくとも1本のウエスト弾性部材17を有し、内側部分19における接合位置90では、ウエスト弾性部材17の前後方向LDの両側に相対的に接合強度の高い強接合部81が配されるとともに、隣り合うウエスト下方弾性部材15の間における隣り合う強接合部81の間の部分が弱接合部82とされており、外側部分18の第1部分P1における接合位置90では、弱接合部82が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されていると好ましい。
【0099】
図14及び
図15に示す例では、内側部分19の第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト下方部Uにおける前後方向LDの同位置まで延びているが、両方のシートが最も脚開口LO側のウエスト弾性部材17よりも脚開口LO側まで延びている限り、一方のシート(例えば第1シート12S)が他方のシートより脚開口LO側まで延び出ていてもよい(図示略)。また、その場合、その延び出た部分には途中まで又は全体にわたり強接合部81及び弱接合部82と同様の痕跡が残っていてもよいし、全く残っていなくてもよい。
図14及び
図15に示すように、内側部分19の第1シート12S及び第2シート12Hの両方がウエスト下方部Uまで延びている場合、その延長部分において内側部分19と同様のパターンで第1シート12S及び第2シート12Hの接合部81,82が設けられていてもよいが、図示例のように延長部分にウエスト下方弾性部材15が設けられていない場合には、第1部分P1と同様に、接合位置90には弱接合部82が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されていると好ましい。
【0100】
図14及び
図15に示す例においても、ウエスト部Wの弾性部材は第1シート12S及び第2シート12Hの二層を接合した外側部分18で覆われており、その第1部分P1は強接合部81を有せず、弱接合部82が非接合部83を介して前後方向LDに間欠的に配されて第1シート12S及び第2シート12Hが一体化されているため、外面の肌触りが柔軟でありながら、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際、及び製品を着用した際、第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなる。また、内側エッジ領域Eiを含め内側部分19に強接合部81が配されることにより、折り返し位置の近傍で第1シート12S及び第2シート12Hが強固に一体化されているため、第1シート12S及び第2シート12Hを折り返してウエスト開口WOの縁Weを形成する際折りやすく、かつその際及び製品を着用した際、ウエスト開口WOの縁We及びその近傍で第1シート12S及び第2シート12Hがズレにくくなる。
【0101】
特に、
図14及び
図15に示す例は、外装体12F,12Bにおけるウエスト下方部Uからウエスト部Wの内側部分19まで第1シート12S及び第2シート12Hにより形成するとともに、第1シート12S及び第2シート12Hの間にウエスト弾性部材17及びウエスト下方弾性部材15の両方を挟んで、上述の接合位置90で第1シート12S及び第2シート12Hを溶着すると、一度の溶着加工により外装体12F,12Bの基本構造を構築できる点で好ましい。
【0102】
【0103】
(カバー不織布)
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布13を備えていることが好ましい。
【0104】
カバー不織布13に用いる不織布は、例えば外装体12F,12Bの素材と同様のものを適宜選択することができる等、繊維の種類や、繊維の結合(交絡)方法により特に限定されるものではないが、エアスルー不織布を用いることが望ましく、その場合の目付けは20~40g/m2、厚みは0.3~1.0mmであると好ましい。カバー不織布13としては、表裏に貫通する孔を有しない無孔不織布を用いても、また表裏に貫通する孔が間隔を空けて多数設けられた有孔不織布を用いてもよい。
【0105】
カバー不織布13の前後方向範囲は特に限定されず、
図2及び
図5に示すように、内装体200の前端から後端までの全体にわたり前後方向LDに延在していてもよく、
図7に示すように、前側外装体12Fと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置から後側外装体12Bと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置まで前後方向LDに延在していてもよい。また、
図7に示す例の場合、カバー不織布13と前側外装体12Fとの重なり部分の前後方向長さ13y、及びカバー不織布13と後側外装体12Bとの重なり部分の前後方向長さ13yは適宜定めることができるが、通常の場合それぞれ20~40mm程度とすることができる。
【0106】
カバー不織布13の幅方向範囲は、液不透過性シート11の裏面露出部分を隠しうる範囲とされる。このため、図示例では、左右の起き上がりギャザー60の基端の間に液不透過性シート11が露出するため、少なくとも一方の起き上がりギャザー60の基端部の裏側から他方の起き上がりギャザー60の基端部の裏側までの幅方向範囲を覆うようにカバー不織布13が設けられている。これにより、液不透過性シート11をカバー不織布13と起き上がりギャザー60のギャザー不織布62とで隠蔽することができる。また、カバー不織布13の幅方向両端部が起き上がりギャザー60の基端部の裏側を覆うのではなく、ギャザー不織布62がカバー不織布13の幅方向両端部の裏側を覆うようにしても、カバー不織布13とギャザー不織布62とで液不透過性シート11を隠蔽することは可能である。この場合、カバー不織布13の両側部がギャザー不織布62により覆われるため、カバー不織布13の両側部が液不透過性シート11から剥がれにくくなるという利点がある。
【0107】
カバー不織布13の内面及び外面は、それぞれ対向面にホットメルト接着剤を介して接着することができる。カバー不織布13の固定領域は、カバー不織布13の前後方向全体及び幅方向全体とするほか、一部を非固定とすることもできる。例えばカバー不織布13の幅方向両端部が非固定であると、起き上がりギャザー60の影響で吸収体56の側部がいくらか収縮した状態でもその影響を受けにくくなり、カバー不織布13に皺や折れが形成されにくいという利点がもたらされる。この場合におけるカバー不織布13の幅方向両端部の非固定部分の幅は適宜定めればよいが、例えば3~10mm、好ましくは5~8mmとすることができる。
【0108】
(内装接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内装接合部201,202は、
図2に示すように、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
【0109】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0110】
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
【0111】
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
【0112】
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
【0113】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
【0114】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
【0115】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0116】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
【0117】
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0118】
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0119】
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0120】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【0121】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつ、パンツタイプ生理用品等のパンツタイプ使い捨て着用物品に利用できるものである。
【符号の説明】
【0123】
11…液不透過性シート、12A…サイドシール、12B…後側外装体、12E…ウエスト延出部分、12F,12B…外装体、12F…前側外装体、12H…第2シート、12S…第1シート、13…カバー不織布、15…ウエスト下方弾性部材、17…ウエスト弾性部材、18…外側部分、19…内側部分、200…内装体、201,202…内装接合部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、60A…先端側部分、60B…付け根側部分、62…ギャザー不織布、67…倒伏部分、68…自由部分、80…接合部、81…強接合部、82…弱接合部、83…非接合部、90…接合位置、91…非接合位置、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、B…後身頃、C…臀部カバー部、Ei…内側エッジ領域、Eo…外側エッジ領域、F…前身頃、HM…ホットメルト接着剤、L…中間領域、LD…前後方向、LO…脚開口、P1…第1部分、P2…第2部分、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口。