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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250228BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20250228BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20250228BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20250228BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/244 Z
B60L50/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021211650
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095642
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】下池 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】河端 真一
(72)【発明者】
【氏名】溝口 祥輝
(72)【発明者】
【氏名】井ノ上 雄大
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103075(JP,A)
【文献】特開2014-182946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0021058(US,A1)
【文献】中国実用新案第207558892(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/64
B60K 1/04
H01M 50/249
H01M 50/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、前記バッテリの電力により駆動されるモータと、前記モータにより駆動される走行装置とが備えられた電動作業車であって、
前記バッテリに、複数のバッテリモジュールが連結されたスタックと、隣接するように並べて設けられた複数の前記スタックが収容される収容ケースとが備えられ、
前記収容ケースに、前記バッテリモジュールの下部に連結された複数の下支持部材と、隣接する前記下支持部材の間に沿って配置された第1下フレームとが設けられており、
前記下支持部材に、外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並べて設けられ、
隣接する前記下支持部材において、一方の前記下支持部材の連結部が他方の前記下支持部材の連結部の間に入り込み、他方の前記下支持部材の連結部が一方の前記下支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の前記下支持部材の連結部が前記第1下フレームに連結されている電動作業車。
【請求項2】
前記下支持部材の連結部が、平面視で、前記下支持部材から離れるほど横幅が狭くなる先細り状に形成されている請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
平面視で前記第1下フレームと平行に配置された第2下フレームが、前記収容ケースに設けられ、
前記第2下フレームは、前記下支持部材における前記バッテリモジュールの連結部分を下方から支持する請求項1又は2に記載の電動作業車。
【請求項4】
平面視で前記第1下フレーム及び前記第2下フレームと直交するように配置された第3下フレームが、前記収容ケースに設けられ、
前記第3下フレームは、前記第1下フレーム及び前記第2下フレームに連結されている請求項3に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記収容ケースに、前記バッテリモジュールの上部に連結された複数の上支持部材と、隣接する前記上支持部材の間に沿って配置された上フレームとが設けられており、
前記上支持部材に、外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並べて設けられ、
隣接する前記上支持部材において、一方の前記上支持部材の連結部が他方の前記上支持部材の連結部の間に入り込み、他方の前記上支持部材の連結部が一方の前記上支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の前記上支持部材の連結部が前記上フレームに連結されている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の電動作業車。
【請求項6】
前記上支持部材の連結部が、平面視で、前記上支持部材から離れるほど横幅が狭くなる先細り状に形成されている請求項5に記載の電動作業車。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリの電力により駆動されるモータと、モータにより駆動される走行装置とが備えられた電動作業車において、バッテリの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電動作業車では、特許文献1に開示されているように、複数のバッテリモジュールが連結されたスタックが、隣接するように並べて設けられ、収容ケースに収容されることによって、バッテリの全体が構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業車が不整地を走行した場合、走行時の振動が収容ケースからスタックに伝わって、スタック(バッテリモジュール)が収容ケースに対して振動する可能性があるので、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動を抑えるという面で改善の余地がある。
本発明は、電動作業車において、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動が抑えられるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バッテリと、前記バッテリの電力により駆動されるモータと、前記モータにより駆動される走行装置とが備えられた電動作業車であって、前記バッテリに、複数のバッテリモジュールが連結されたスタックと、隣接するように並べて設けられた複数の前記スタックが収容される収容ケースとが備えられ、前記収容ケースに、前記バッテリモジュールの下部に連結された複数の下支持部材と、隣接する前記下支持部材の間に沿って配置された第1下フレームとが設けられており、前記下支持部材に、外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並べて設けられ、隣接する前記下支持部材において、一方の前記下支持部材の連結部が他方の前記下支持部材の連結部の間に入り込み、他方の前記下支持部材の連結部が一方の前記下支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の前記下支持部材の連結部が前記第1下フレームに連結されている。
【0006】
本発明によると、バッテリの収容ケースにおいて、複数の下支持部材が設けられ、バッテリモジュールの下部が下支持部材に連結されて、下支持部材によりスタックの下部が支持されている。外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並ぶように下支持部材に設けられ、第1下フレームが隣接する下支持部材の間に沿って配置されている。
【0007】
本発明によると、隣接する下支持部材において、一方の下支持部材の連結部が他方の下支持部材の連結部の間に入り込み、他方の下支持部材の連結部が一方の下支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の下支持部材の連結部が第1下フレームに連結されている。
【0008】
一方及び他方の下支持部材の連結部が互いの間に入り込むように構成することにより、一方及び他方の下支持部材に多数の連結部が設けられても、一方及び他方の下支持部材の連結部が第1下フレームに無理なく連結される。
下支持部材の多数の連結部が第1下フレームに連結されることにより、スタック(バッテリモジュール)が下支持部材を介して第1下フレームに強固に連結されるので、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動が抑えられ、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【0009】
本発明において、前記下支持部材の連結部が、平面視で、前記下支持部材から離れるほど横幅が狭くなる先細り状に形成されていると好適である。
【0010】
本発明によると、下支持部材の連結部が平面視で先細り状に形成されることにより、下支持部材の連結部が平面視で四角形状に形成される場合に比べて、第1下フレームの長手方向において、一方の下支持部材の連結部と他方の下支持部材の連結部との間隔を狭いものに設定することができ、多数の連結部を下支持部材に設けることができる。
下支持部材の連結部の端部が細いものであるのに対して、下支持部材の連結部の基部は幅広になるので、下支持部材の連結部は十分な強度を有するものとなる。
【0011】
一方及び他方の下支持部材に、十分な強度を有する多数の連結部が設けられるようになり、スタック(バッテリモジュール)が下支持部材を介して第1下フレームに強固に連結されるようになって、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動抑制の面で有利であり、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【0012】
本発明において、平面視で前記第1下フレームと平行に配置された第2下フレームが、前記収容ケースに設けられ、前記第2下フレームは、前記下支持部材における前記バッテリモジュールの連結部分を下方から支持すると好適である。
【0013】
本発明によると、バッテリの収容ケースにおいて、第2下フレームが第1下フレームと平行に配置されており、下支持部材におけるバッテリモジュールの連結部分が第2下フレームにより下方から支持されている。下支持部材において連結部から離れた部分が、第2下フレームにより支持されるのであり、スタック(バッテリモジュール)の重量が、下支持部材を介して第1下フレーム及び第2下フレームに支持される。
【0014】
これにより、下支持部材の連結部が第1下フレームに連結される点、下支持部材において連結部から離れた部分が第2下フレームにより支持される点、並びに、スタック(バッテリモジュール)の重量が第1下フレーム及び第2下フレームに支持される点により、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動抑制の面で有利であり、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【0015】
本発明において、平面視で前記第1下フレーム及び前記第2下フレームと直交するように配置された第3下フレームが、前記収容ケースに設けられ、前記第3下フレームは、前記第1下フレーム及び前記第2下フレームに連結されていると好適である。
【0016】
本発明によると、バッテリの収容ケースにおいて、第3下フレームが、平面視で第1下フレーム及び第2下フレームと直交するように配置されており、第3下フレームが第1下フレーム及び第2下フレームに連結されている。
【0017】
これにより、第1下フレーム及び第2下フレームの剛性が第3下フレームにより向上する点、並びに、スタック(バッテリモジュール)の重量が第1下フレーム及び第2下フレーム、第3下フレームに支持される点により、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動抑制の面で有利であり、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【0018】
本発明において、前記収容ケースに、前記バッテリモジュールの上部に連結された複数の上支持部材と、隣接する前記上支持部材の間に沿って配置された上フレームとが設けられており、前記上支持部材に、外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並べて設けられ、隣接する前記上支持部材において、一方の前記上支持部材の連結部が他方の前記上支持部材の連結部の間に入り込み、他方の前記上支持部材の連結部が一方の前記上支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の前記上支持部材の連結部が前記上フレームに連結されていると好適である。
【0019】
本発明によると、バッテリの収容ケースにおいて、複数の上支持部材が設けられ、バッテリモジュールの上部が上支持部材に連結されて、上支持部材によりスタックの上部が支持されている。
【0020】
本発明によると、外方に向けて突出した複数の連結部が、所定の間隔を開けながら並ぶように上支持部材に設けられ、上フレームが隣接する上支持部材の間に沿って配置されている。
隣接する上支持部材において、一方の上支持部材の連結部が他方の上支持部材の連結部の間に入り込み、他方の上支持部材の連結部が一方の上支持部材の連結部の間に入り込むように配置され、一方及び他方の上支持部材の連結部が上フレームに連結されている。
【0021】
一方及び他方の上支持部材の連結部が互いの間に入り込むように構成することにより、一方及び他方の上支持部材に多数の連結部が設けられても、一方及び他方の上支持部材の連結部が上フレームに無理なく連結される。上支持部材の多数の連結部が上フレームに連結されることにより、スタック(バッテリモジュール)が上支持部材を介して上フレームに強固に連結される。
【0022】
本発明によると、スタック(バッテリモジュール)の下部が下部支持部材を介して第1下フレームに支持されることに加えて、スタック(バッテリモジュール)の上部が上部支持部材を介して上フレームに支持される点、並びに、上支持部材の多数の連結部が上フレームに連結されることにより、スタック(バッテリモジュール)が上支持部材を介して上フレームに強固に連結される点により、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動が抑えられ、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【0023】
本発明において、前記上支持部材の連結部が、平面視で、前記上支持部材から離れるほど横幅が狭くなる先細り状に形成されていると好適である。
【0024】
本発明によると、上支持部材の連結部が平面視で先細り状に形成されることにより、上支持部材の連結部が平面視で四角形状に形成される場合に比べて、上フレームの長手方向において、一方の上支持部材の連結部と他方の上支持部材の連結部との間隔を狭いものに設定することができ、多数の連結部を上支持部材に設けることができる。
上支持部材の連結部の端部が細いものであるのに対して、上支持部材の連結部の基部は幅広になるので、上支持部材の連結部は十分な強度を有するものとなる。
【0025】
一方及び他方の上支持部材に、十分な強度を有する多数の連結部が設けられるようになり、スタック(バッテリモジュール)が上支持部材を介して上フレームに強固に連結されるようになって、スタック(バッテリモジュール)の収容ケースに対する振動抑制の面で有利であり、スタック(バッテリモジュール)の破損防止の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】インバータ等の配置を示す左側面図である。
図3】動力伝達の流れを示す図である。
図4】カバー部材の付近の左側面図である。
図5】カバー部材の付近の縦断左側面図である。
図6】カバー部材の付近の横断平面図である。
図7】収容ケースの左側面図である。
図8】収容ケースの平面図である。
図9】バッテリの左側面図である。
図10】バッテリの平面図である。
図11】スタック、下支持部材及び上支持部材の左側面図である。
図12】スタック、下支持部材及び上支持部材の正面図である。
図13】スタック、下支持部材及び上支持部材の底面図である。
図14】収容ケースにおける下支持部材の付近の横断平面図である。
図15】スタック、下支持部材及び上支持部材の平面図である。
図16】収容ケースにおける上支持部材の付近の平面図である。
図17】収容ケース及びスタック、ファン装置の付近の左側面図である。
図18】収容ケースにおける基板部材及びファン装置の付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0028】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本実施形態のトラクタについて説明する。図1に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、カバー部材12を備えている。
【0029】
また、トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0030】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0031】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0032】
トラクタは、走行用バッテリ4を備えている。また、カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われている。
【0033】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及びモータMを備えている。走行用バッテリ4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力に変換してモータMへ供給する。そして、モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0034】
図2及び図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及びトランスミッション16を備えている。図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0035】
油圧ポンプ15aは、モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。また、静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0036】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0037】
また、図2及び図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18を備えている。モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0038】
ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0039】
〔カバー部材の構成〕
図1に示すように、右及び左の機体フレーム2とトランスミッション16とが連結されることによって、右及び左の機体フレーム2とトランスミッション16とにより、トラクタの骨格としての機体が構成される。
【0040】
図4,5,6に示すように、走行用バッテリ4(以下、バッテリ4と称する)は、機体の前部に搭載されており、閉状態のカバー部材12にバッテリ4が収容されている。カバー部材12の上面部12aが、側面視で前側ほど低くなる前下り状に形成され、カバー部材12の横面部12bが、平面視で前後方向に沿って形成されている。
【0041】
カバー部材12の前部に、通気性を有する格子状であり導入部であるフロントグリル12cが設けられており、カバー部材12の右及び左の横面部12bに、通気性を有する格子状のサイドグリル12d,12eが設けられている。機体の前進に伴って、空気が、主にカバー部材12のフロントグリル12cを通ってカバー部材12の内部に導入される。
【0042】
〔バッテリの全体構成〕
バッテリ4に、バッテリモジュール6、複数のバッテリモジュール6(図11及び図12参照)が連結されたスタック7(図11及び図12参照)、複数のスタック7が収容される収容ケース1(図7及び図8参照)、収容ケース1の上部に設けられた各種の機器(図18参照)、収容ケース1の上部及び機器を覆う収容カバー5(図9及び図10参照)等が設けられている。
【0043】
〔バッテリにおける収容ケースの構成〕
図7図10に示すように、収容ケース1に、横フレーム33,34,37,38,39、縦フレーム35,36、上フレーム40,44、第1下フレーム41、第2下フレーム42、第3下フレーム43、側板45,46及び底板47等が設けられて、平面視で長方形状(四角形状)の箱状に形成されている。
【0044】
図7及び図8に示すように、収容ケース1の底部に位置する右及び左の横フレーム33と、前及び後の横フレーム34が長方形状に連結され、前の縦フレーム35及び後の縦フレーム36が、横フレーム33,34の端部に連結されている。前の横フレーム37が、縦フレーム35に亘って連結され、後の横フレーム38が縦フレーム36に亘って連結されている。右及び左の横フレーム39が、縦フレーム35,36の上部に亘って連結されている。
【0045】
2本の第1下フレーム41が、左右方向に沿って横フレーム33に亘って連結されている。3本の第2下フレーム42が、平面視で第1下フレーム41と平行に配置され、左右方向に沿って横フレーム33に亘って連結されている。第2下フレーム42に、大きな開口部42aが開口されている。
【0046】
2本の第3下フレーム43が、平面視で第1下フレーム41及び第2下フレーム42と直交するように配置され、前後方向に沿って横フレーム34に亘って連結されて、第1下フレーム41及び第2下フレーム42に連結されている。第2下フレーム42と第3下フレーム43とが連結される部分において、第2下フレーム42の開口部42aと同じ大きさの開口部43aが、第3下フレーム43に開口されている。
【0047】
2本の上フレーム40が、左右方向に沿って横フレーム39に亘って連結されている。2本の上フレーム44が、左右方向に沿って横フレーム37,38,39に亘って連結されている。上フレーム44に、大きな開口部44aが開口されている。
【0048】
図9及び図10に示すように、平板状の右及び左の側板45が、横フレーム33,39及び縦フレーム35,36に連結されている。平板状の前及び後の側板46が、横フレーム34,37,38及び縦フレーム35,36に連結されている。平板状の底板47が、横フレーム33,34に連結されている。
【0049】
〔バッテリにおけるスタックの構成〕
図11及び図12に示すように、5個のバッテリモジュール6が重ね合わされ、5個のバッテリモジュール6が互いに接して並ぶように連結されて、1個のスタック7が構成されており、バッテリ4において3個のスタック7が設けられている。
【0050】
平板状の連結部材8と、取付部9aを有する連結部材9とが設けられて、連結部材8と連結部材9とが連結されている。連結部材8,9が、スタック7(バッテリモジュール6)の一方の部分及び他方の部分に当て付けられ、4本のボルト13が一方の連結部材8,9、バッテリモジュール6及び他方の連結部材8,9に亘って通されて、締め付けられている。
これにより、5個のバッテリモジュール6が、連結部材8,9及びボルト13により圧縮されながら連結されている。
【0051】
〔下支持部材の構成〕
図11図14に示すように、下支持部材21,22が設けられている。
図11,12,13に示すように、下支持部材21は、平板状に形成されており、下支持部材21の一方の縁部及び他方の縁部の各々に、外方に向けて突出した4個の連結部21aが、所定の間隔を開けながら並べて設けられている。下支持部材21の連結部21aが、平面視で、下支持部材21から離れるほど横幅が狭くなる三角形状の先細り状に形成されている。
【0052】
図14に示すように、下支持部材22は、平板状に形成されており、下支持部材22の一方の縁部に、外方に向けて突出した3個の連結部22aが、所定の間隔を開けながら並べて設けられている。下支持部材22の連結部22aが、平面視で、下支持部材22から離れるほど横幅が狭くなる三角形状の先細り状に形成されている。
【0053】
3個のスタック7のうちの1個のスタック7において、図11,12,13に示すように、バッテリモジュール6の各々の下部の中央部に、下支持部材21がボルト20により連結されている。
3個のスタック7のうちの2個のスタック7において、図14に示すように、バッテリモジュール6の各々の下部の中央部に、下支持部材22がボルト20により連結されている。
【0054】
〔上支持部材の構成〕
図11,12,15,16に示すように、上支持部材23,24が設けられている。
図11,12,15に示すように、上支持部材23は、板材が折り曲げられて形成されており、上支持部材23の一方の縁部及び他方の縁部の各々に、外方に向けて突出した3個の連結部23aが、所定の間隔を開けながら並べて設けられている。上支持部材23の連結部23aが、平面視で、上支持部材23から離れるほど横幅が狭くなる三角形状の先細り状に形成されている。
【0055】
図16に示すように、上支持部材24は、板材が折り曲げられて形成されており、上支持部材24の一方の縁部に、外方に向けて突出した3個の連結部24aが、所定の間隔を開けながら並べて設けられている。上支持部材24の連結部24aが、平面視で、上支持部材24から離れるほど横幅が狭くなる三角形状の先細り状に形成されている。
【0056】
3個のスタック7のうちの下支持部材21が連結された1個のスタック7において、図11,12,15に示すように、バッテリモジュール6の各々の上部に、上支持部材23がボルト25により連結されて、上支持部材23がボルト25により連結部材8の上部に連結されている。
【0057】
3個のスタック7のうちの下支持部材22が連結された2個のスタック7において、図16に示すように、バッテリモジュール6の各々の上部に、上支持部材24がボルト25により連結されて、上支持部材24がボルト25により連結部材8の上部に連結されている。
以上のように、スタック7(バッテリモジュール6)が、連結部材8,9、下支持部材21,22及び上支持部材23,24と一体化した1個のユニットとなる。
【0058】
〔収容ケースにおけるスタックの下支持部材の取付状態〕
図14に示すように、収容ケース1において上フレーム44(図16参照)が取り外された状態で、下支持部材21及び上支持部材23が連結されたスタック7が、収容ケース1の中央部に設置される。下支持部材22及び上支持部材24が連結されたスタック7が収容ケース1の前部及び後部に設置される。
【0059】
下支持部材21及び上支持部材23が連結されたスタック7において、下支持部材21の連結部21aが、第1下フレーム41に設置され、ボルト26により第1下フレーム41に連結される。下支持部材21の中央部が第2下フレーム42に設置されて、ボルト20が第2下フレーム42及び第3下フレーム43の開口部42a,43aに位置する。
【0060】
下支持部材22及び上支持部材24が連結されたスタック7において、下支持部材22の連結部22aが、第1下フレーム41に設置され、ボルト27により第1下フレーム41に連結される。下支持部材22の他方の縁部が、横フレーム34に設置され、ボルト28により横フレーム34に連結される。下支持部材22の中央部が第2下フレーム42に設置されて、ボルト20が第2下フレーム42及び第3下フレーム43の開口部42a,43aに位置する。
【0061】
下支持部材21及び上支持部材23が連結されたスタック7と、下支持部材22及び上支持部材24が連結されたスタック7とにおいて、図17に示すように、連結部材9の取付部9aがボルト50により横フレーム33に連結される。
【0062】
以上の構成により、バッテリ4において、複数のバッテリモジュール6が連結されたスタック7が、互いに隣接するように並べて設けられて、収容ケース1に収容される。バッテリモジュール6の下部に連結された複数の下支持部材21,22と、隣接する下支持部材21,22の間に沿って配置された第1下フレーム41とが、収容ケース1に設けられる。
【0063】
隣接する下支持部材21,22において、一方の下支持部材21の連結部21aが他方の下支持部材22の連結部22aの間に入り込み、他方の下支持部材22の連結部22aが一方の下支持部材21の連結部21aの間に入り込むように配置され、一方及び他方の下支持部材21,22の連結部21a,22aが第1下フレーム41に連結される。
【0064】
下支持部材21の連結部21aが、第1下フレーム41及び第3下フレーム43により下方から支持され、下支持部材21におけるバッテリモジュール6の連結部分(ボルト20の付近)が、第2下フレーム42及び第3下フレーム43により下方から支持される。
【0065】
前及び後のスタック7(バッテリモジュール6)に比べて、中央のスタック7(バッテリモジュール6)は振動し易いと考えられる。第1下フレーム41の各々において、下支持部材21の連結部21aの数(4個)が、下支持部材22の連結部22aの数(3個)よりも多ものに設定されて、中央のスタック7(バッテリモジュール6)が第1下フレーム41に強固に連結されている。
【0066】
〔収容ケースにおけるスタックの上支持部材の取付状態〕
前述のように、下支持部材21及び上支持部材23が連結されたスタック7が収容ケース1に中央部に設置されると、図16に示すように、上支持部材23の連結部23aが、上フレーム40に設置され、ボルト29により上フレーム40に連結される。
【0067】
前述のように、下支持部材22及び上支持部材24が連結されたスタック7が収容ケース1の前部及び後部に設置されると、上支持部材24の連結部24aが、上フレーム40に設置され、ボルト48により上フレーム40に連結される。
【0068】
上フレーム44が上支持部材24の他方の縁部に上側から設置され、上フレーム44の開口部4aに上支持部材24のボルト25が入る。上フレーム44が横フレーム37,39にボルト連結されるのであり、上フレーム44と上支持部材24とがボルト49により連結される。
【0069】
以上の構成により、バッテリ4において、バッテリモジュール6の上部に連結された複数の上支持部材23,24と、隣接する上支持部材23,24の間に沿って配置された上フレーム40とが、収容ケース1に設けられる。
【0070】
隣接する上支持部材23,24において、一方の上支持部材23の連結部23aが他方の上支持部材24の連結部24aの間に入り込み、他方の上支持部材24の連結部24aが一方の上支持部材23の連結部23aの間に入り込むように配置され、一方及び他方の上支持部材23,24の連結部2a,24aが上フレーム40に連結される。
【0071】
以上のように、3個のスタック7(バッテリモジュール6)が、下支持部材21,22及び上支持部材23,24、連結部材8,9を介して、収容ケース1に収容され、収容ケース1に連結されており、前後方向(水平方向)に沿って並べて設けられる。
【0072】
〔収容ケースの上部における接続部に関する構成〕
図18に示すように、平面視で長方形状(四角形状)の基板部材51が、上支持部材23,24(図16参照)に連結されており、基板部材51により収容ケース1の上部が覆われている。前の横フレーム37に、接続部52,53,54,55が設けられている。
【0073】
接続部52は、外部電源(図示せず)から供給される電力をバッテリモジュール6に充電する為のものである。接続部53は、バッテリモジュール6からインバータ14(図2参照)に電力を供給する為のものである。接続部54は、バッテリモジュール6からDC-DCコンバータ(図示せず)に電力を供給する為のものであり、DC-DCコンバータにより12Vに減圧された電力が、別のバッテリ(図示せず)に供給される。接続部55は、前述の別のバッテリの電力の供給を受けるものである。
【0074】
3個のスタック7において、5個のバッテリモジュール6は直列に接続されている。基板部材51(収容ケース1)において、スタック7の右端部及び左端部のバッテリモジュール6の端子6aの上方の部分に、開口部51aが設けられている。
【0075】
前のスタック7の右端部のバッテリモジュール6の端子6a(マイナス)と、中央のスタック7の左端部のバッテリモジュール6の端子6a(プラス)とに亘って、ハーネス56が接続されている。中央のスタック7の右端部のバッテリモジュール6の端子6a(マイナス)と、後のスタック7の左端部のバッテリモジュール6の端子6a(プラス)とに亘って、平板状の接続部材57が接続されている。
【0076】
リレースイッチ58,59,60,61が、基板部材51に設けられている。前のスタック7の左端部のバッテリモジュール6の端子6a(プラス)と、リレースイッチ58,60とに亘って、平板状の接続部材69が接続されている。後のスタック7の右端部のバッテリモジュール6の端子6a(マイナス)と、リレースイッチ59,61とに亘って、平板状の接続部材70が接続されている。
【0077】
リレースイッチ58,59と接続部52とに亘ってハーネス64が接続されており、リレースイッチ58,59は、外部電源から供給される電力がバッテリモジュール6に充電される際に機能する。
【0078】
リレースイッチ60,61と接続部53とに亘ってハーネス65が接続されており、リレースイッチ60,61は、バッテリモジュール6からインバータ14に電力が供給される際に機能する。
接続部材57の途中部分に、遮断部66が設けられている。作業者がバッテリ4のメンテナンス作業を行う場合、作業者は遮断部66を遮断状態に操作する。
【0079】
〔収容ケースの上部におけるプリチャージ部とディスチャージ部とに関する構成〕
図18に示すように、プリチャージ部67とディスチャージ部68とが、基板部材51の後端部における左の角部に設けられている。これにより、プリチャージ部67とディスチャージ部68とが、収容ケース1の上部に設けられ、収容ケース1の上部の後端部に設けられ、収容ケース1の上部の後端部における左の角部に設けられている。
【0080】
プリチャージ部67は、キーオン操作により、バッテリモジュール6(バッテリ4)からインバータ14への電力供給が開始される際に、電力が徐々にインバータ14に供給される処理を、数秒間ほど行うものである。
【0081】
ディスチャージ部68は、キーオフ操作により、バッテリモジュール6(バッテリ4)からインバータ14への電力供給が遮断される際に、インバータ14(キャパシタ)に残る電力を放電する処理を、数秒間ほど行うものである。
【0082】
〔収容ケースの上部におけるファン装置に関する構成〕
図17及び図18に示すように、3個のスタック7(バッテリモジュール6)が収容ケース1に収容されると、3個のスタック7が所定の隙間A1,A2を開けて隣接するように並べて設けられる。隙間A1,A2は、スタック7の横幅の全幅に亘り、スタック7の上下高さの全高さに亘っており、上フレーム40の下方に位置している。
【0083】
隣接する前のスタック7と中央のスタック7とにおいて、前のスタック7における5個のバッテリモジュール6の各々の後の端部と、中央のスタック7における5個のバッテリモジュール6の各々の前の端部とが、隙間A1を開けて互いに対向するように、前及び中央のスタック7が設けられている。
【0084】
隣接する後のスタック7と中央のスタック7とにおいて、後のスタック7における5個のバッテリモジュール6の各々の前の端部と、中央のスタック7における5個のバッテリモジュール6の各々の後の端部とが、隙間A2を開けて互いに対向するように、後及び中央のスタック7が設けられている。
【0085】
2個のファン装置62,63が、基板部材51に設けられている。ファン装置62,63は、シロッコファン型式に構成されて、円形の通気口62a,63aがファン装置62,63の下部に設けられている。
【0086】
ファン装置62は、ファン装置62の通気口62aから空気を吸引し、吸引した空気を前方に向けて吹き出す。ファン装置63は、ファン装置63の通気口63aから空気を吸引し、吸引した空気を後方に向けて吹き出す。
ファン装置62,63の通気口62a,63aが、側面視で隙間A1,A2の上部に対向する位置に設けられ、平面視で隙間A1,A2の左右中央部に設けられている。
【0087】
ファン装置62,63の通気口62a,63aの直径が、上フレーム40の前後幅よりも大きなものに設定されている。ファン装置62,63の通気口62a,63aは、平面視で、上フレーム40の前の端部よりも前方に出ており、上フレーム40の後の端部よりも後方に出ている。
【0088】
〔バッテリにおける収容カバーの構成〕
図9及び図10に示すように、収容カバー5が収容ケース1の上部に設けられており、収容カバー5により、図18に示す収容ケース1の上部、基板部材51、リレースイッチ58~61、ファン装置62,63、遮断部66、プリチャージ部67、ディスチャージ部68等が覆われている。
【0089】
収容カバー5は、板材が折り曲げられて形成されており、上面部5a、前面部5b、後面部5c、右及び左の横面部5d、右及び左の傾斜面部5eを有している。収容カバー5の前面部5b、後面部5c及び横面部5dは、鉛直方向に沿っている。
【0090】
収容カバー5の上面部5aは、側面視で前側ほど低くなる前下り状に形成されている。収容カバー5の傾斜面部5eは、収容カバー5の上面部5aと横面部5dとに亘って接続されており、側面視で前側ほど低くなる前下り状に形成され、正面視で横外側ほど低くなる横下り状に形成されている。
【0091】
収容カバー5の前面部5bの横部と、収容カバー5の横面部5dの前部及び傾斜面部5eの前部とは接しておらず、細長い隙間状の右及び左の開口部5fが、収容ケース1に設けられている。図17及び図18に示すファン装置62は吸引した空気を前方に向けて吹き出すので、収容カバー5におけるファン装置62の吹き出し方向に対向する部分に、空気が通過可能な開口部5fが設けられている。
【0092】
収容カバー5の後面部5cの横部と、収容カバー5の横面部5dの後部及び傾斜面部5eの後部とは接しておらず、細長い隙間状の右及び左の開口部5gが、収容ケース1に設けられている。図17及び図18に示すファン装置63は吸引した空気を後方に向けて吹き出すので、収容カバー5におけるファン装置63の吹き出し方向に対向する部分に、空気が通過可能な開口部5gが設けられている。
【0093】
〔ファン装置の作動によるバッテリの冷却状態〕
図17及び図18に示すように、ファン装置62,63は、キーオン操作により、接続部55に供給される電力により作動するのであり、キーオフ操作されると停止する。
【0094】
ファン装置62が作動することにより、隙間A1の空気(収容ケース1の内部の空気)がファン装置62の通気口62aから吸引され、ファン装置62は吸引した空気を前方に向けて吹き出す。ファン装置62から吹き出された空気は、収容カバー5の開口部5f(図9及び図10参照)から収容カバー5の外部に出て行き易く、カバー部材12の内部に出て行き易い。
【0095】
ファン装置63が作動することにより、隙間A2の空気(収容ケース1の内部の空気)がファン装置63の通気口63aから吸引され、ファン装置63は吸引した空気を後方に向けて吹き出す。ファン装置63から吹き出された空気は、収容カバー5の開口部5g(図9及び図10参照)から収容カバー5の外部に出て行き易く、カバー部材12の内部に出て行き易い。
【0096】
この場合、ファン装置62の吹き出し方向(前方)と、ファン装置63の吹き出し方向(後方)とが、吹き出される空気が互いに離れる方向に流れるように、互いに逆向きに設定されている。ファン装置62が、中央のスタック7と一方のスタック7との間の隙間A1に対するファン装置62に相当し、ファン装置63が、中央のスタック7と他方のスタック7との間の隙間A2に対するファン装置63に相当する。
【0097】
ファン装置62,63から吹き出された空気が、収容カバー5の開口部5f,5gから収容カバー5の外部に出て行くと、カバー部材12の内部の空気が、収容カバー5の開口部5f,5g(図9及び図10参照)を通って収容カバー5の内部に導入される。
【0098】
前述のように、ファン装置62,63により収容ケース1の内部の空気が吸引されるのに伴って、収容カバー5の内部(収容ケース1の外部)の空気が収容ケース1の内部に導入される。この場合、収容カバー5の内部(収容ケース1の外部)の空気は、主に基板部材51の開口部51aを通り、バッテリモジュール6の端子6aの付近を通過して、収容ケース1の内部に導入される。
【0099】
以上のように、バッテリ4において、ファン装置62,63が作動することにより、収容ケース1の内部と収容カバー5の内部との間で、空気の循環が行われることによって、収容ケース1の内部の空気の温度と、収容カバー5の内部の空気の温度との均一化が図られ、収容ケース1の側板45,46及び底板47からの放熱、収容カバー5からの放熱が促進されて、バッテリ4の内部の冷却が行われる。
【0100】
〔カバー部材とバッテリの収容カバーとの関係〕
図4,5,6に示すように、カバー部材12の上面部12aが側面視で前側ほど低くなる前下り状に形成され、図9及び図10に示すように、収容カバー5の上面部5a及び傾斜面部5eが、側面視で前側ほど低くなる前下り状に形成されている。
【0101】
図5に示すように、収容カバー5の上面部5a及び傾斜面部5eとカバー部材12の上面部12aとが、上下方向での所定の間隔を開けて配置されており、収容カバー5の上面部5a及び傾斜面部5eとカバー部材12の上面部12aとの間に、側面視で空間B1が形成されている。
【0102】
図6に示すように、バッテリ4(側板45)とカバー部材12の横面部12bとが、左右方向での所定の間隔を開けて配置されており、バッテリ4(側板45)とカバー部材12の横面部12bとの間に、平面視で右及び左の空間B2が形成されている。
【0103】
機体の前進に伴って、空気が、主にカバー部材12のフロントグリル12cを通って、カバー部材12の内部に導入される。カバー部材12の内部に導入された空気は、空間B1,B2を通りながらバッテリ4の周囲を流れ、主にカバー部材12のサイドグリル12d,12eを通って、カバー部材12の外部に出て行く。これにより、収容ケース1の側板45,46及び底板47からの放熱、収容カバー5からの放熱が促進されて、バッテリ4の内部の冷却が行われる。
【0104】
〔発明の実施の第1別形態〕
図11図14において、下支持部材21,22を、スタック7(バッテリモジュール6)から取り外しておき、収容ケース1に事前に連結しておいてもよい。
この構成によると、底板47(図9参照)を収容ケース1から取り外しておいて、スタック7(バッテリモジュール6)を下支持部材21,22に設置し、ボルト20を第1下フレーム41の下側からバッテリモジュール6に連結すればよい。
【0105】
〔発明の実施の第2別形態〕
図11,12,15,16において、上支持部材23,24を、スタック7(バッテリモジュール6)から取り外しておいてもよい。
この構成によると、スタック7(バッテリモジュール6)を収容ケース1に設置した後に、上支持部材23,24を、スタック7(バッテリモジュール6)の上部に連結し、上フレーム40,44に連結すればよい。
【0106】
〔発明の実施の第3別形態〕
下支持部材21,22の連結部21a,22aが、平面視で細長い長方形状に形成されてもよい。
下支持部材21,22の連結部21a,22aの数が、2個及び3個に設定されてもよく、4個及び5個に設定されてもよい。
下支持部材22の連結部22aの数が、下支持部材21の一方の縁部の連結部21aの数よりも多くなってもよい。
【0107】
上支持部材23,24の連結部23a,24aが、平面視で細長い長方形状に形成されてもよい。
上支持部材23,24の連結部23a,24aの数が、3個及び2個に設定されてもよく、5個及び4個に設定されてもよい。
上支持部材23の一方の縁部の連結部23aの数が、上支持部材24の連結部24aの数よりも多くなってもよい。
【0108】
〔発明の実施の第4別形態〕
図18に示すプリチャージ部67とディスチャージ部68とが、収容ケース1の上部(基板部材51)において、後端部の左右中央部、後端部の右の角部、前端部の左右中央部に設けられてもよく、前端部の右又は左の角部、右の横端部の前後中央部、右の横端部の前又は後の角部、左の横端部の前後中央部、左の横端部の前又は後の角部に設けられてもよい。
【0109】
プリチャージ部67とディスチャージ部68とが、互いに近接して収容ケース1の上部(基板部材51)に設けられるのではなく、互いに離れて収容ケース1の上部(基板部材51)に設けられてもよい。
【0110】
プリチャージ部67とディスチャージ部68とが、収容ケース1の前部の下部や前部の上下中間部、後部の下部や後部の上下中間部に設けられてもよく、収容ケース1の右の横部の下部や右の横部の上下中間部、左の横部の下部や左の横部の上下中間部に設けられてもよい。
【0111】
〔発明の実施の第5別形態〕
図18に示すファン装置62,63の吹き出し方向が右方及び左方に設定され、図9及び図10に示す収容カバー5の開口部5f,5gが右及び左の横面部5dに設けられてもよい。
この構成によると、ファン装置62,63と収容カバー5の開口部5f,5gとが接近するので、ファン装置62,63から吹き出された空気が、収容カバー5の開口部5f,5gから収容カバー5の外部に出て行き易い。
【0112】
〔発明の実施の第6別形態〕
図17及び図18に示すファン装置62,63が、収容カバー5の内部の空気を吸引して、ファン装置62,63の通気口62a,63aから隙間A1,A2(収容ケース1の内部)に向けて、空気を吹き出すように構成されてもよい。
この構成によると、収容ケース1の内部の空気が、主にバッテリモジュール6の端子6aの付近を通過して、基板部材51の開口部51aを通り、収容カバー5の内部に出て行く。
【0113】
〔発明の実施の第7別形態〕
図17及び図18に示すファン装置62,63が、隙間A1,A2の横部や下部に対向するように、収容ケース1の側板45や底板47に設けられてもよい。
【0114】
前述の構成によると、ファン装置62,63が吸引型式である場合、ファン装置62,63によって、収容ケース1の内部の空気が吸引されて、カバー部材12(図5及び図6参照)の内部に吹き出され、カバー部材12の内部の空気が、収容カバー5の開口部5f,5gを通り、収容カバー5の内部から収容ケース1の内部に導入される。
【0115】
ファン装置62,63が吹き出し型式である場合、ファン装置62,63によって、カバー部材12(図5及び図6参照)の内部の空気が吸引されて、収容ケース1の内部に吹き出され、収容ケース1の内部の空気が収容カバー5の内部に出て行き、収容カバー5の開口部5f,5gを通ってカバー部材12の内部に出て行く。
【0116】
〔発明の実施の第8別形態〕
バッテリ4において、1個又は2個のスタック7が設けられてもよく、4個以上のスタック7が設けられてもよい。5個未満又は6個以上のバッテリモジュール6が連結されることにより、1個のスタック7が構成されてもよい。複数のスタック7が左右方向に沿って並べて設けられてもよい。
この構成によると、スタック7及び隙間A1,A2の数に対応して、ファン装置62,63の数が、1個や3個以上に設定される。
【0117】
〔発明の実施の第9別形態〕
前車輪10及び後車輪11が、本発明の走行装置である。前車輪10及び後車輪11に代えて、右及び左のクローラ走行装置(図示せず)が、走行装置として機体に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、トラクタばかりではなく、電動カートや運搬車等の他の電動作業車にも適用でき、バッテリ4が機体の後部に搭載された電動作業車にも適用でき、オペレータが搭乗しない自律走行型や無線操縦型の電動作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1 収容ケース
4 バッテリ
6 バッテリモジュール
7 スタック
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
21 下支持部材
21a 連結部
22 下支持部材
22a 連結部
23 上支持部材
23a 連結部
24 上支持部材
24a 連結部
40 上フレーム
41 第1下フレーム
42 第2下フレーム
43 第3下フレーム
M モータ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18