IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

特許7641963アクチュエータ及び/又は加熱器を備える装置並びにその装置を制御する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び/又は加熱器を備える装置並びにその装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20250228BHJP
   G06F 9/445 20180101ALI20250228BHJP
【FI】
H04L67/00
G06F9/445
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022531858
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2021022825
(87)【国際公開番号】W WO2021256492
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2020106607
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】末益 智志
(72)【発明者】
【氏名】岸 竜弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一樹
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 隼人
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0342151(US,A1)
【文献】特開平11-265206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0325939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06F 9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つと、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する、
装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1のルールを参照して、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容される範囲に含まれるパラメータに変更することで、前記アプリケーションを変更する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1のルールを参照して、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容される範囲に含まれるパラメータに変更し、かつ、前記複数のブロックに新たなブロックを追加することで、前記アプリケーションを変更する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを削除することで、前記アプリケーションを変更する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1のルールを参照して、前記複数のブロックに含まれる複数のパラメータの各々が、前記第1パラメータ範囲に含まれるか否かを判定し、
前記パラメータが前記第1パラメータ範囲に含まれると判定された場合、前記パラメータを有するブロックを変更する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記アプリケーションは、前記複数のブロックのそれぞれが実行される順番の情報と、前記複数のブロックのそれぞれが実行されるタイミングの情報とを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1パラメータ範囲は、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを耐久温度に到達させるパラメータの範囲である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、内部空間を有する筐体を備え、
前記第1パラメータ範囲は、前記内部空間を耐久温度に到達させるパラメータの範囲である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つと、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ認証済みか否かを示す情報を含むアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アプリケーションが認証済みであることを示す情報を含まない場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する、
装置。
【請求項10】
前記アプリケーションが認証済みであることを示す情報を有する場合、前記第1のルールを参照せずに、前記アプリケーションを変更しない、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
装置であって、
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つと、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ制作者を示す情報を含むアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記装置の製作者を示す情報を取得し、
前記アプリケーションの制作者と前記装置の製作者とが異なる場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する、
装置。
【請求項12】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つと、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化しているか否かを示す劣化情報を取得し、
前記劣化情報が前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化していないことを示している場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第1ブロックを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記少なくとも1つの第1ブロックは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記劣化情報が前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化していることを示している場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つの駆動が許容されない、前記第1パラメータ範囲と異なる第2パラメータ範囲を定義する第2のルールを参照して、前記複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第2ブロックを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記少なくとも1つの第2ブロックは、前記第2パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する、
装置。
【請求項13】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つを備える装置を制御する方法であって、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する、
方法。
【請求項14】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つを備える装置を制御する方法であって、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ認証済みか否かを示す情報を含むアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アプリケーションが認証済みであることを示す情報を含まない場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する、
方法。
【請求項15】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つを備える装置を制御する方法であって、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ制作者を示す情報を含むアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記装置の製作者を示す情報を取得し、
前記アプリケーションの制作者と前記装置の製作者とが異なる場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する、
方法。
【請求項16】
アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つを備える装置を制御する方法であって、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、
前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化しているか否かを示す劣化情報を取得し、
前記劣化情報が前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化していないことを示している場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第1ブロックを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記少なくとも1つの第1ブロックは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記劣化情報が前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つが劣化していることを示している場合、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つの駆動が許容されない、前記第1パラメータ範囲と異なる第2パラメータ範囲を定義する第2のルールを参照して、前記複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第2ブロックを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記少なくとも1つの第2ブロックは、前記第2パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、
前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の少なくとも1つを駆動する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータ及び/又は加熱器を備える装置並びにその装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用電化製品及び住宅設備等は、その製造者等によって予め用意された運転条件(制御プログラム)に従って制御される。特許文献1には、ユーザが実施したい洗濯の運転条件を設定可能な洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-284889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、製品の製造者等によって予め開発された制御プログラムが製品に予め格納されていなければならず、多様なユーザの望みに合わせて制御プログラムをカスタマイズ及びアップデートすることは難しい。
【0005】
そこで、本開示は、より簡単かつ安全に、多種多彩な制御プログラムを実行することができる装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る装置は、アクチュエータ及び加熱器の少なくとも1つと、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、前記複数のブロックの各々は、前記アクチュエータ又は前記加熱器を駆動するためのパラメータを有し、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、前記複数のブロックの少なくとも1つを変更することで前記アプリケーションを変更し、前記複数のブロックの前記少なくとも1つは、前記第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、前記変更したアプリケーションに基づいて、前記アクチュエータ及び前記加熱器の前記少なくとも1つを駆動する。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る装置は、より簡単かつ安全に、多種多彩な制御プログラムを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1におけるシステムのハードウェア構成図である。
図2A図2Aは、実施の形態1におけるクラウドサーバのハードウェア構成図である。
図2B図2Bは、実施の形態1における装置のハードウェア構成図である。
図2C図2Cは、実施の形態1における端末のハードウェア構成図である。
図3図3は、実施の形態1におけるシステムの機能構成図である。
図4図4は、実施の形態1におけるアプリケーションを規定するブロックの一例を示す。
図5図5は、実施の形態1における洗濯機のための複数のブロックを示す。
図6図6は、実施の形態1における電子レンジのための複数のブロックを示す。
図7図7は、実施の形態1における炊飯器のための複数のブロックを示す。
図8図8は、実施の形態1におけるシステムのシーケンス図である。
図9図9は、実施の形態1におけるデバイスデータベースの一例を示す。
図10図10は、実施の形態1における実行内容宣言の一例を示す。
図11図11は、実施の形態1における実行前確認処理のフローチャートを示す。
図12図12は、実施の形態1におけるルールデータベースの一例を示す。
図13図13は、実施の形態1におけるブロックの変更の一例を示す。
図14図14は、実施の形態1におけるブロックの変更の一例を示す。
図15A図15Aは、実施の形態1の変形例1におけるシステムのシーケンス図である。
図15B図15Bは、実施の形態1の変形例2におけるシステムのシーケンス図である。
図15C図15Cは、実施の形態1の変形例3におけるシステムのシーケンス図である。
図15D図15Dは、実施の形態1の変形例4におけるシステムのシーケンス図である。
図15E図15Eは、実施の形態1の変形例5におけるシステムのシーケンス図である。
図16図16は、実施の形態2における実行前確認処理のフローチャートを示す。
図17図17は、実施の形態3における実行前確認処理のフローチャートを示す。
図18図18は、実施の形態4における実行前確認処理のフローチャートを示す。
図19図19は、実施の形態4におけるルールデータベースの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
本願発明者らが本開示に至るまでの経緯を説明する。アクチュエータ及び/又は加熱器を有する家庭用電化製品等において、多様なユーザの望みに合わせて制御プログラムを開発するためには、開発環境のオープン化が求められる。すなわち、制御プログラムの開発の難度を低下させて、サードパーティが制御プログラムの開発に容易に参加できる環境が求められる。このような環境では、例えば、アパレル企業が、自社の販売する衣服を洗濯するための洗濯機の制御プログラムを開発することも可能となる。
【0011】
そこで、本願発明者らは、製品に含まれるアクチュエータ及び/又は加熱器の制御を抽象化した機能ブロックを用いて、安全面の担保を維持しながら、制御プログラムを開発可能な環境を構築し、複数の機能ブロックの組み合わせからなる制御プログラムをパッケージ化してアプリケーションとして配信可能な仕組みを検討した。これにより、多種多彩なアプリケーションの配信が可能となり、より多様なユーザの望みに応えて製品をカスタマイズ及びアップデートすることが可能となる。しかしながら、このような環境では、危険なアプリケーション(つまり、製品を安全に制御することができないアプリケーション)が配信される可能性があり、製品の安全性が低下する。
【0012】
例えば、家庭用電化製品等に含まれるプログラムは、アクチュエータ及び/又は加熱器を直接制御するための機器に組込まれ、かつ、製造者により開発されたプログラムと、サードパーティにより開発されたプログラムとを互いに入り交じった状態で含むことが想定される。このとき、製造者は、サードパーティに、ノウハウを含む全ての家庭用電化製品等の情報を公開しない可能性が高い。例えば、アクチュエータ及び/又は加熱器を駆動するパラメータ又はタイミングは、製造者の家庭用電化製品等の性能に関わるノウハウである。よって、競争力の低下につながる恐れがあるため、製造者は、サードパーティに、家庭用電化製品等を自在に駆動できるようにノウハウをオープンにする可能性は低い。
【0013】
そのため、サードパーティは、家庭用電化製品等の情報不足により、製造者が想定しない制御の組み合わせ、又はパラメータ範囲を含むアプリケーション、すなわち、安全性が担保されないアプリケーションを作成する可能性がある。このようなアプリケーションがユーザに提供されることは、ユーザに望ましくない。
【0014】
また、家庭用電化製品等の製造者は、新たな制御プログラムを提供することで、ユーザのくらしのアップデートを試みることが考えられる。しかしながら、多種多様な新たな制御プログラムの開発には、パラメータの調整、又はハードの性能評価などの膨大な工数がかかる。家庭用電化製品等は、アクチュエータ及び/又は加熱器のハードが物理的に駆動するため、家庭用電化製品等のプログラムは、スマートフォンのプログラムと比較して、性能評価などの工数が大きくなることが容易に予想される。しかし、大量生産ではなく、ユーザ一人一人の生活に応じたオンデマンド開発が求められる時代において、スマートフォンのプログラムと同様に、家庭用電化製品等の多種多様な制御プログラムを開発することが求められる。そのため、製造者は、膨大な工数を低減した上で、製品の安全性を担保する多種多様なアプリケーションを作成しなければならない。
【0015】
さらに、製造者は、サードパーティが提供するアプリケーションを用いて家庭用電化製品等が動作した場合でも、安全に動作することを保証することを望むことが考えられる。このとき、多種多様なアプリケーションを家庭用電化製品等で実際に駆動させて安全性を検証する作業の量を低減することが望まれる。
【0016】
そこで、本開示は、アクチュエータ及び/又は加熱器を駆動する複数の機能ブロックで規定された多種多彩なアプリケーションを、より簡単かつ安全に実行することができる装置等を提供する。
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。
【0019】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0020】
(実施の形態1)
[1.1 ハードウェア構成]
本実施の形態におけるシステム1のハードウェア構成について、図1図2Cを参照しながら説明する。図1は、実施の形態1におけるシステム1のハードウェア構成図である。図2Aは、実施の形態1におけるクラウドサーバ10のハードウェア構成図である。図2Bは、実施の形態1における装置20のハードウェア構成図である。図2Cは、実施の形態1における端末30のハードウェア構成図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態におけるシステム1は、クラウドサーバ10と、施設2a~2dで用いられる装置20a~20hと、端末30a~30dと、を備える。施設2a~2dは、例えば住宅であるが、これに限定されない。施設2a~2dは、例えばマンション、店舗、オフィス等であってもよい。
【0022】
クラウドサーバ10は、コンピュータネットワーク(例えばインターネット)を介して提供される仮想的なサーバである。クラウドサーバ10は、コンピュータネットワークを介して、装置20a~20h及び端末30a~30dに接続される。なお、クラウドサーバ10の代わりに物理サーバが用いられてもよい。
【0023】
図2Aに示すように、クラウドサーバ10は、仮想的に、プロセッサ11と、プロセッサ11に接続されたメモリ12と、を備える。プロセッサ11は、メモリ12に格納されたインストラクション又はソフトウェアプログラムが実行されたときに、後述するシーケンスマネージャ及びデバイスマネージャとして機能する。
【0024】
装置20a~20hは、施設2a~2dで利用される電気機械器具である。なお、図1では、施設2b~2dで利用される装置20c~20hの図示が省略されている。以下において、装置20a~20hの区別が不要な場合には装置20と記載する。
【0025】
装置20としては、家庭用電化製品(家電)及び住宅設備等を用いることができる。家庭用電化製品(家電)及び住宅設備等は、住宅内で使用される機器に限られず、事業に用いられる機器も含む。なお、本開示では、家庭用電化製品及び住宅設備等を家庭用電化製品等と省略して記載することがある。家電としては、例えば、電子レンジ、炊飯器、ミキサー(Blender)、電気オーブン、電気トースター、電気ポット、ホットプレート、IH(Induction heating)調理器、ロースター、ベーカリー、電気圧力調理なべ、電気無水調理なべ、マルチクッカー、コーヒーメーカー、冷蔵庫、洗濯機、食洗器、掃除機、エアコン、空気清浄機、加湿器、ドライヤー、扇風機、及びイオン発生器等が用いられる。住宅設備としては、例えば、電動シャッター、電子ロック、及び浴槽用の電気湯沸し器等が用いられる。なお、装置20は、これに限定されない。
【0026】
図2Bに示すように、装置20は、筐体21と、アクチュエータ22と、加熱器23と、制御部24と、を備える。なお、装置20は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを備えればよく、アクチュエータ22及び加熱器23の両方を備えなくてもよい。
【0027】
筐体21は、アクチュエータ22と、加熱器23と、制御部24と、を収容する。また、筐体21は、対象物を処理するための内部空間を有してもよい。例えば、洗濯機の洗濯槽、電子レンジの加熱室、及び炊飯器の内釜等が、対象物を処理するための内部空間に相当する。
【0028】
アクチュエータ22は、電気信号に基づいて入力エネルギーを物理的運動に変換する機械要素である。アクチュエータ22としては、例えば電気モータ、油圧シリンダ及び空気圧アクチュエータ等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0029】
加熱器23は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気加熱器である。加熱器23は、例えばジュール加熱、誘導加熱及び誘電加熱等により対象物を加熱する。加熱器23としては、例えば、ニクロム線、コイル及びマグネトロン等を用いることができる。
【0030】
ここで、本開示の装置20が、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を備える理由の一例を説明する。家庭用電化製品等の製造者が、アクチュエータ22及び加熱器23を駆動するパラメータ、駆動の組み合わせを全て自由に制御可能な開発環境をサードパーティに提供した場合を考える。このとき、サードパーティは、製造者が想定しているアクチュエータ22及び/又は加熱器23を安全に駆動できるパラメータ範囲、又はアクチュエータ22及び/又は加熱器23の駆動制限を逸脱して制御するプログラムを作成することが可能になる。特に、物理的に運動するアクチュエータ22、又は熱エネルギーを出力する加熱器23の、製造者の想定していない駆動は、安全性の担保の課題が大きい。製造者の想定していない駆動としては、例えば、アクチュエータの一例である電気モータの高速回転、及び、加熱器23への過電流の供給が挙げられる。本願発明者らは、過度に安全面を考慮することで、ユーザに多種多様なアプリケーションを提供できる環境の構築を阻害しないことを目指した。そこで、物理的に運動するアクチュエータ22、又は熱エネルギーを出力する加熱器23に特化して、安全面を担保することを想定し、本開示の装置20を対象としている。
【0031】
制御部24は、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を制御するコントローラであり、後述するデバイスとして機能する。制御部24は、例えば、集積回路で構成される。
【0032】
端末30a~30dは、施設2a~2dでそれぞれ利用され、ユーザインタフェースとして機能する。なお、図1では、施設2b~2dで利用される端末30b~30dの図示が省略されている。以下において、端末30a~30dの区別が不要な場合には端末30と記載する。
【0033】
端末30は、コンピュータネットワークを介してクラウドサーバ10及び装置20に接続され、後述するユーザインタフェース(UI)として機能する。端末30としては、スマートフォン及びタブレットコンピュータ等の持ち運び可能な情報端末を用いることができる。なお、端末30は、施設2a~2dの壁、床又は天井に固定された端末であってもよい。また、端末30は、装置20に含まれてもよい。例えば、端末30は、各装置20a~20hに内蔵されたディスプレイ等を有する表示端末として実現されてもよい。
【0034】
図2Cに示すように、端末30は、ディスプレイ31と、入力デバイス32と、を備える。ディスプレイ31としては、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイを用いることができる。入力デバイス32としては、例えばタッチパネル、キーボード、マウス及び機械式ボタン等を用いることができる。また、入力デバイス32として、音声入力デバイスが用いられてもよい。ディスプレイ31と入力デバイス32とは、タッチスクリーンとして一体で実装されてもよい。または、入力デバイス32として、ジェスチャー入力デバイスが用いられてもよい。ジェスチャー入力デバイスは、例えば、カメラと認識部とを有する。カメラはジェスチャーを含む画像を撮像し、認識部は画像を用いてジェスチャーを認識する。
【0035】
[1.2 機能構成]
次に、本実施の形態におけるシステム1の機能構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施の形態1におけるシステム1の機能構成図である。
【0036】
クラウドサーバ10は、シーケンスマネージャ100と、デバイスマネージャ200と、を備える。装置20a~20hは、デバイス300a~300hをそれぞれ備える。端末30a~30dは、UI400a~400dをそれぞれ備える。
【0037】
以下において、デバイス300a~300hの区別が不要な場合にはデバイス300と記載する。また、UI400a~400dの区別が不要な場合にはUI400と記載する。
【0038】
シーケンスマネージャ100は、複数のアプリケーションを管理している。複数のアプリケーションは、例えばユーザの操作によって、アプリケーション配信プラットフォームからシーケンスマネージャ100にダウンロードされる。または、アプリケーション配信プラットフォームに含まれるアプリケーションは、シーケンスマネージャ100にダウンロードされなくてもよい。その場合、シーケンスマネージャ100のデータベースに、アプリケーション配信プラットフォームに含まれるアプリケーションが紐づけていることを示す情報が記録されてもよい。アプリケーションの詳細については後述する。
【0039】
デバイスマネージャ200は、複数の施設2a~2d及び各施設2a~2dで利用されるデバイス300及びUI400を管理するためのデータベースを有する。デバイスマネージャ200は、データベースに、施設2a~2dに紐づくデバイス情報及びUI情報を記録することにより、デバイス300及びUI400を管理する。デバイス情報及びUI情報は、例えば、制御機能及び駆動機能、並びに稼働状況などを含む。例えば、デバイスマネージャ200は、デバイス300の稼働状況を管理して、デバイス300の稼働スケジュールを把握することができる。また、デバイスマネージャ200は、デバイス300のログ情報を管理してもよい。
【0040】
なお、このようなデータベースは、デバイスマネージャ200の代わりにシーケンスマネージャ100が有してもよく、シーケンスマネージャ100及びデバイスマネージャ200の両方が有してもよい。
【0041】
デバイス300は、装置20の制御機能及び駆動機能を有する。デバイス300は、デバイスマネージャ200からの指示に従って装置20を駆動することができる。
【0042】
UI400は、ユーザに情報を提供し、ユーザから入力を受け付ける。
【0043】
ここで、アプリケーションについて説明する。本実施の形態では、アプリケーション(以下、略してアプリということもある)とは、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動する複数の機能ブロック(以下、略してブロック)で規定される制御プログラムを意味する。複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23を駆動するためのパラメータを含むことができる。具体的には、複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23の制御を抽象化したものである。なお、アプリケーションは、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動する複数のブロックに加えて、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動しないブロックを含んでもよい。アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動しないブロックの一例は、デバイス300の有するインタフェースを用いた情報表示、デバイス300の有するブザーを用いた音声出力、デバイス300の有するランプの点灯又は消灯などを含む。また、ブロックは、アクチュエータ22又は加熱器23の駆動を開始する条件を含んでもよい。例えば、第1のブロック、第2のブロックを含むアプリケーションを例に説明する。ここで、第1のブロックの実行中に、第2のブロックに切り替える際に、第2のブロックに含まれる開始条件を満たしたときに、第1のブロックから第2のブロックに切り替える。また、ブロックは、開始条件ではなく、終了条件を含んでいてもよい。第1のブロックの実行中に、第2のブロックに切り替える際に、第1のブロックに含まれる終了条件を満たしたときに、第1のブロックから第2のブロックに切り替える。
【0044】
図4は、実施の形態1におけるアプリケーションを規定するブロックの一例を示す。図4に示すブロック1000は、洗濯機の攪拌動作を制御するブロックであり、パラメータ1001~1006を含む。パラメータ1001は、攪拌の種類を示す情報(例えば、通常、ダンシング、揺り)を含む。パラメータ1001は、機能の種類を示すとも言い換えることができる。パラメータ1002は、ドラムの回転数を示す値を含む。パラメータ1002は、アクチュエータ22及び/又は加熱器23の駆動の強度を示すとも言い換えることができる。パラメータ1003は、ドラム内への給水量を給水後の水位で示す値を含む。パラメータ1003は、アクチュエータ22及び/又は加熱器23の駆動後の状態を示すとも言い換えることができる。パラメータ1004は、循環ポンプのオン/オフを示す値を含む。パラメータ1004は、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動するか否かを示すとも言い換えることができる。パラメータ1005は、攪拌間隔を段階的に示す情報(例えば、短、中、長)を含む。パラメータ1006は、攪拌時間を示す値を含む。
【0045】
アプリケーションを規定するために、このようなブロックが複数用いられる。例えば、図5図7に示すような複数のブロックが用いられる。
【0046】
図5は、実施の形態1における洗濯機のための複数のブロックを示す。図6は、実施の形態1における電子レンジのための複数のブロックを示す。図7は、実施の形態1における炊飯器のための複数のブロックを示す。なお、図5図7に示す複数のブロックは例示であり、洗濯機、電子レンジ及び炊飯器のためのブロックは、これらに限定されない。例えば、複数のブロックは、抽象化レベルによって階層化されてもよい。
【0047】
例えば、製造者向けの階層と製造者以外向けの階層とで抽象化レベルを変更してもよい。製造者以外の例は、他の製造者向けの階層、サードパーティ向けの階層である。この時、製造者向けの階層は、製造者以外向けの階層より抽象度が低い。抽象度が低いことは、アクチュエータ及び加熱器を駆動するパラメータに近い内容が制御されることを意味する。
【0048】
一方、製作者は、ノウハウ及び安全性を担保する最小の抽象化レベルを有するブロックを製造者以外向けに提供することで、製造者以外がアプリケーションを開発可能にする。製造者は、一般ユーザに、さらに高い抽象化レベルを有するブロックを提供することで、より多くの人がアプリケーションを開発可能にできる。さらに高い抽象化レベルは、例えば、一般ユーザ自身が専門的な知識がなくても理解できる用語で規定されたブロックに対応する。専門的な知識がなくても理解できる用語は、例えば、家庭用電化製品等の機能自体に対応する内容である。具体的には、洗濯機においての「洗い」ブロック中の水量に関するパラメータとして「たっぷり」を選択した場合に、一つの具体化されたレイヤーにおいては、給水ブロックにおける水位パラメータを60mmから100mmに上げ、攪拌ブロックにおける回転量パラメータを120rpmから100rpmに下げるなどの変更が行われる。上記より、抽象度の高いレベルにおけるブロックの並べ替え及びパラメータ変更は、より抽象度の低いブロックで実現することができる。また、洗濯機、電子レンジ及び炊飯器以外の装置でも、図5図7と同様に複数のブロックを定義することができる。これらのブロックにより、アクチュエータ及び加熱器の駆動に関する安全性、秘匿性を担保しながら、その組替、パラメータ調整によって自由にアプリケーション開発を行うことができる。
【0049】
なお、製造者が他の製造者に、ノウハウ及び安全性を担保する最小の抽象化レベルを有するブロックを提供することで、他の製造者は、提供されたブロックを実現するために、さらに高い具体化レベルを有するブロックを独自で規定し実装を行うことができる。これにより、各製造者がそれぞれのノウハウ及び安全性を担保しながら、アプリのみを開発するサードパーティに対して、各製造者のアクチュエータ及び加熱器の駆動に関するアプリ開発を自由に行うことができる。
【0050】
この時、他の製造者は、製造者が提供するノウハウ及び安全性を担保する最小の抽象化レベルを有するブロックに合わせた、さらに高い具体化レベルを有するブロックを開発せず、エラーを返し、製造者が提供するブロックが使用できない、または制限されたパラメータ範囲で動作することをアプリ開発者ならびにユーザに提示してもよい。具体的には、洗濯機においての「攪拌」ブロック中のモータ回転に関するパラメータとして、「高速」を選択した場合に、製造者の洗濯機では、「高速」を実現するための150rpmというパラメータが実現可能であるのに対し、他の製造業者の洗濯機ではモータの特性上、120rpmまでしか回転できない場合に、エラーまたは限界値の120rpmで実現する旨をアプリ開発者又はユーザに提示する。
【0051】
[1.3 処理]
次に、以上のように構成されたシステム1の処理について図8を参照しながら説明する。図8は、実施の形態1におけるシステム1のシーケンス図である。
【0052】
[1.3.1 準備フェーズF100]
まず、準備フェーズF100について説明する。
【0053】
(ステップS110)
シーケンスマネージャ100は、デバイスマネージャ200にシーケンスマネージャ情報を送信する。このシーケンスマネージャ情報の送信は、例えばシステム管理者の命令により行われる。デバイスマネージャ200は、受信したシーケンスマネージャ情報を例えばシーケンスマネージャデータベースに登録する。なお、シーケンスマネージャ情報がシーケンスマネージャデータベースに予め登録されている場合は、このステップはスキップされてもよい。
【0054】
シーケンスマネージャ情報は、例えばシーケンスマネージャ100の識別子及び/又はアドレス(例えばURL(Uniform Resource Locator)、IP(Internet Protocol)アドレス等)を含む。さらに、シーケンスマネージャ情報は、任意の情報を含んでもよい。
【0055】
(ステップS112)
デバイス300は、デバイスマネージャ200にデバイス情報1101を送信する。このデバイス情報1101の送信は、例えばデバイス300がコンピュータネットワークに接続されたときに行われる。デバイスマネージャ200は、受信したデバイス情報1101をデバイスデータベース1100に登録する。なお、デバイス情報1101がデバイスデータベース1100に予め登録されている場合は、このステップはスキップされてもよい。
【0056】
なお、デバイス情報1101は、UI400に送信されてから、UI400を介してデバイスマネージャ200に登録されてもよい。
【0057】
デバイス情報1101は、デバイス300の識別子及び/又はアドレスを含む。さらに、デバイス情報1101は、任意の情報を含んでもよい。図9は、実施の形態1におけるデバイスデータベースの一例を示す。図9のデバイスデータベース1100には、デバイス情報1101を含む複数のデバイス情報が登録されている。各デバイス情報は、デバイスIDと、アドレスと、種別と、製造者名と、型番と、アクチュエータ/加熱器と、劣化レベルと、を含む。アクチュエータ/加熱器は、デバイス300を構成するアクチュエータ22及び/又は加熱器23の識別情報である。劣化レベルは、デバイス300を構成するアクチュエータ22及び/又は加熱器23が劣化しているか否かを示す劣化情報の一例である。ここでは、劣化レベルは、値が増加すればより劣化していることを示す。デバイス情報1101に、実行可能なブロックの情報が含まれていてもよい。実行可能なブロックに関する情報とは、データベースに含まれるブロックが実行可能又は実行不可能が対応付けられた情報でもよいし、実行可能なブロックのみの情報でもよい。また、ブロックが実行可能か否かは、デバイス情報1101に含まれるアクチュエータ/加熱器などの情報に基づいて予め準備され得る。なお、デバイス情報1101は、施設2a~2dを特定可能な情報を含んでもよい。
【0058】
(ステップS114)
UI400は、デバイスマネージャ200にUI情報を送信する。このUI情報の送信は、例えばユーザの指示により行われる。デバイスマネージャ200は、受信したUI情報を例えばUIデータベースに登録する。なお、UI情報がUIデータベースに予め登録されている場合は、このステップはスキップされてもよい。
【0059】
UI情報は、例えばUI400の識別子及び/又はアドレスを含む。さらに、UI情報は、任意の情報を含んでもよい。
【0060】
なお、UI情報は、施設2a~2dを特定可能な情報を含んでもよい。
【0061】
以上の処理により、シーケンスマネージャ100、デバイスマネージャ200、デバイス300及びUI400は、互いに紐づけられ、互いに接続を確立することができる。これにより、準備フェーズF100が終了する。
【0062】
[1.3.2 アプリ実行前フェーズF200]
次に、アプリ実行前フェーズF200について説明する。なお、アプリ実行前フェーズF200の前には、UI400を介したユーザからの指示に従って、アプリケーション配信プラットフォームからシーケンスマネージャ100にアプリケーションがダウンロードされている。このようにシーケンスマネージャ100にアプリケーションがダウンロードされた状態で以下の処理が行われる。
【0063】
(ステップS210)
UI400は、ユーザからアプリ実行要求を受け付け、アプリケーションの識別情報を含むアプリ実行要求をシーケンスマネージャ100に送信する。例えば、ユーザは、UI400を介して、シーケンスマネージャ100にダウンロードされている複数のアプリケーションの中からアプリケーションを選択し、選択したアプリケーションの実行を指示する。
【0064】
なお、UI400からシーケンスマネージャ100に送信されるアプリ実行要求は、施設2a~2dを特定可能な情報とセットで送信される。
【0065】
なお、アプリ実行要求は、ユーザから明示的に受け付けられなくてもよい。例えば、ユーザの行動又は状態を検出し、検出結果に基づいて自動的にアプリ実行要求がシーケンスマネージャ100に送信されてもよい。
【0066】
(ステップS212)
シーケンスマネージャ100は、アプリ実行要求によって識別されたアプリケーションの実行内容宣言をデバイスマネージャ200に送信する。実行内容宣言は、実行するアプリケーションを規定する複数のブロックの情報及び施設2a~2dを特定可能な情報を含む。
【0067】
図10は、実施の形態1における実行内容宣言の一例を示す図である。図10には、図5に示す洗濯機のための複数のブロックを組み合わせて規定されたアプリケーションのための実行内容宣言1200が表されている。実行内容宣言1200は、複数のブロック1201、各ブロック1201の実行に必要なデバイスに関する情報1202、及び、各ブロック1201が実行される順番の情報1203を含む。
【0068】
なお、実行内容宣言1200は、デバイスに関する情報1202を含まなくてもよい。その場合、複数のブロック1201の情報から、受け取った施設情報が示す施設で該当ブロックを実行可能なデバイスを、デバイスマネージャ200が検索してデバイス割り付けを行う必要がある。
【0069】
なお、図10では、デバイスに関する情報1202は、デバイス300の型番を示しているが、これに限定されない。デバイスに関する情報1202は、ブロックに割付可能なデバイス300の条件を示すことができれば、どのような情報であってもよい。例えば、デバイスに関する情報1202は、複数の型番を含んでもよいし、デバイスの種別、使用目的、配置場所、又は、これらの任意の組み合わせのみを含んでもよい。
【0070】
(ステップS214)
デバイスマネージャ200は、実行内容宣言に含まれる各ブロック対して、施設2a~2dを特定可能な情報を基にして、デバイスマネージャ200に紐付けられているデバイス300を割り付ける。例えば、デバイスマネージャ200は、図10に示す複数のブロック1201の各々に、図9のデバイスデータベース1100に、受け取った施設情報が示す施設に接続済として登録されている、型番WM-0001を有するデバイスDEV001を割り付ける。なお、デバイス300の稼働状態又はクラウドへの接続状態が管理されている場合には、稼働中のデバイス300の割り付けが禁止されてもよい。
【0071】
なお、例えば図10に示す複数のブロックが、受け取った施設情報が示す施設に接続済として登録されていない場合、すなわち、該当施設において対象デバイスが存在していない場合、デバイスマネージャ200は実行内容宣言されたアプリケーションの実行が不可であることをシーケンスマネージャ100に通知する。
【0072】
(ステップS215)
デバイスマネージャ200は、デバイス割り付けの結果をデバイス300に通知する。これにより、アプリケーションに含まれる複数のブロックが、それぞれ割り付けられたデバイス300に送信される。
【0073】
(ステップS216)
デバイス300は、ブロックの実行前にブロックを確認する。つまり、デバイス300は、ブロックを実行する前に、ブロックが実行されたときにデバイス300で問題が生じないかをチェックする。例えばデバイス300は、安全及び/又は効率上の問題をチェックする。
【0074】
そして、デバイス300は、確認結果に基づいて、ブロックを変更する。これにより、問題が生じないようにブロックが修正される。
【0075】
このような実行前確認処理について、図11を参照しながら、さらに詳細に説明する。図11は、実施の形態1における実行前確認処理のフローチャートを示す。
【0076】
(ステップS2165)
デバイス300は、ブロックに対応するルールを取得する。ルールは、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されないパラメータの範囲(以下、非許容範囲という)を定義している。例えば、デバイス300は、ルールデータベースを参照して、ブロックが駆動するアクチュエータ22又は加熱器23に対応するパラメータ範囲を取得する。ルールデータベースは、例えばデバイス300に含まれてもよいし、シーケンスマネージャ100又はデバイスマネージャ200に含まれてもよい。
【0077】
図12は、実施の形態1におけるルールデータベースの一例を示す。図12のルールデータベース1300には、ルール1301及び1302が登録されている。ルール1301及び1302の各々は、非許容範囲を定義するパラメータ範囲を有する。例えば、ルール1301は、1000rpmより大きい範囲を非許容範囲として有する。
【0078】
このような非許容範囲としては、例えば筐体21の内部空間、アクチュエータ22又は加熱器23を耐久温度に到達させるパラメータの範囲が予め定められる。耐久温度とは、定格温度を意味し、許容される最大温度を示す。したがって、非許容範囲内のパラメータを用いてアクチュエータ22又は加熱器23が駆動されれば、筐体21の内部空間、アクチュエータ22又は加熱器23の温度は、許容されない温度に到達する。
【0079】
なお、図12では、ルール1301及び1302の各々は、非許容範囲をパラメータ範囲として有しているが、これに限定されない。例えば、ルール1301及び1302の各々は、アクチュエータ22又は加熱器23の駆動が許容されるパラメータの範囲(以下、許容範囲という)をパラメータ範囲として有してもよい。この場合であっても、ルール1301及び1302の各々は、許容範囲を除く範囲を非許容範囲として定義することができる。この許容範囲は、アクチュエータ22又は加熱器23が安全に駆動できる範囲として規定される。さらには、許容範囲は、多種多様なアプリケーションの開発に向けて広い範囲でパラメータを利用可能に規定される。
【0080】
例えば、アクチュエータ22又は加熱器23は、筐体21の内部空間などのデバイス300の環境に応じて安全に駆動できるパラメータが変わり、許容範囲はアクチュエータ22又は加熱器23自体の性能のみに依存しない場合がある。したがって、いずれの環境でも安全に駆動するために、安全性を考慮する比重が高い許容範囲になり、多種多様なアプリケーションの開発の余地が低減することになる。そこで、ルールは、アプリケーションと独立して、デバイス300等の情報と対応付けられてもよい。そのようなルールが用いられることで、安全性及び多種多様なアプリケーションの開発を両立できる。
【0081】
ルールは、アクチュエータ22又は加熱器23が安全に駆動できる範囲に関連する。安全に駆動できる範囲は、ブロックの開始条件又は終了条件を考慮された範囲であってもよい。第1のブロックと、第1のブロックの後に実行される第2のブロックを例に考える。第2のブロックの開始条件に達するまで、第1のブロックを実行することで、アクチュエータ22又は加熱器23の安全性に影響がある負荷かかる場合を想定したルール(許容範囲)が設定され得る。つまり、許容範囲は、アクチュエータ22又は加熱器23の性能、ブロックの開始条件又は終了条件などに依存する。
【0082】
例えば、許容範囲又は非許容範囲は、複数のパラメータの組み合わせによって規定されてもよい。具体的には、許容範囲又は非許容範囲は、複数のパラメータの関数の出力値の範囲であってもよい。例えば、デバイス300が洗濯機である場合に、許容範囲又は非許容範囲は、水位を示す第1パラメータ及びモータの回転数を示す第2パラメータの関数の出力値の範囲であってもよい。関数は、経験的及び/又は実験的に予め定めることができる。なお、関数の代わりに、複数のパラメータの値の複数の組み合わせの集合によって許容範囲又は非許容範囲が規定されてもよい。
【0083】
ルール1301及び1302の各々は、さらに、種別と、製造者名と、型番と、アクチュエータ/加熱器と、を有する。これにより、デバイス300は、ルールデータベース1300から、ブロックで駆動されるアクチュエータ22又は加熱器23に対応するルールを取得することができる。例えば、デバイス300は、図12のルールデータベース1300を参照して、図10の脱水ブロックのためにルール1301を取得する。
【0084】
(ステップS2166)
デバイス300は、ブロックに含まれるパラメータが非許容範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、パラメータが非許容範囲に含まれないと判定された場合(S2166のNo)、デバイス300は、以降のステップS2167をスキップして実行前確認処理を終了する。一方、パラメータが非許容範囲に含まれると判定された場合(S2166のYes)、デバイス300は、次のステップS2167に進む。
【0085】
(ステップS2167)
デバイス300は、ブロックを変更して実行前確認処理を終了する。ブロックの変更とは、当該ブロックの内容を修正すること、当該ブロックを削除すること、当該ブロックの前後に新たなブロックを追加すること、又は、それらの任意の組み合わせを意味する。
【0086】
例えば、デバイス300は、ブロックのパラメータを許容範囲に含まれるパラメータに変更することでブロックを変更することができる。このようなブロックの変更の具体例について図13を参照しながら説明する。
【0087】
図13は、実施の形態1におけるブロックの変更の一例を示す。図13では、脱水ブロック内の回転数パラメータが非許容範囲に含まれるので、許容範囲に含まるパラメータに変更されている(1200rpm→1000rpm)。
【0088】
また例えば、デバイス300は、ブロックのパラメータを許容範囲に含まれるパラメータに変更し、かつ、新たなブロックを追加することでブロックを変更することもできる。このようなブロックの変更の具体例について図14を参照しながら説明する。
【0089】
図14は、実施の形態1におけるブロックの変更の一例を示す。図14では、脱水ブロック内の時間パラメータが非許容範囲に含まれるので、許容範囲に含まれるパラメータに変更され(600s→300s)、かつ、脱水ブロックの後に停止ブロック及び脱水ブロックが追加されている。例えば、脱水工程において洗濯槽を高速で長時間回転し続けることで、デバイス300に意図しない負荷がかかるブロックを変更することにより、負荷を低減し、停止を追加し、再度、脱水ブロックを行うことで、変更前のアプリケーションに規定された機能を、安全に実行できるアプリ―ションを提供することができる。
【0090】
また例えば、デバイス300は、ブロックを削除することでブロックを変更することもできる。
【0091】
なお、ここでは、洗濯機のためのブロックの変更について説明したが、他の装置についても同様にブロックを変更することができる。
【0092】
例えば、電子レンジでは、温度パラメータが非許容範囲に含まれる場合に、当該温度パラメータが許容範囲に含まれる温度パラメータに変更されてもよい。また、実行時間パラメータが非許容範囲に含まれる場合に、当該実行時間パラメータが許容範囲に含まれる実行時間パラメータに変更され、かつ、新たなブロックが追加されてもよい。
【0093】
また、炊飯器では、鍋底温度パラメータが非許容範囲に含まれる場合に、当該鍋底温度パラメータが許容範囲に含まれる鍋底温度パラメータに変更されてもよい。また、継続時間パラメータが非許容範囲に含まれる場合に、当該継続時間パラメータが許容範囲に含まれる継続時間パラメータに変更され、かつ、新たなブロックが追加されてもよい。
【0094】
(ステップS217)
デバイス300は、実行前確認の結果をデバイスマネージャ200に送信する。ブロックが変更されている場合には、変更されたブロックがデバイスマネージャ200に送信されてもよい。
【0095】
(ステップS218)
デバイスマネージャ200は、デバイス割り付けの結果をシーケンスマネージャ100に回答する。また、実行前確認においてブロックが変更されている場合には、変更されたブロックを含むアプリケーションがシーケンスマネージャ100に送信されてもよい。
【0096】
(ステップS220)
シーケンスマネージャ100は、デバイスマネージャ200からの割付結果通知を受けて、UI400を介してユーザに実行準備完了を通知する。
【0097】
(ステップS222)
UI400は、アプリケーションが実行されるデバイスの一覧を表示するとともに、ユーザからアプリケーション実行の確認の入力を受け付けるためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示する。なお、UI400は、ユーザからデバイスの割り付けの変更を受け付けてもよい。また、UI400は、デバイスの一覧を表示しなくてもよい。
【0098】
(ステップS224)
UI400は、ユーザから実行確認の入力を受けて、デバイスマネージャ200にアプリ開始指示を送信する。デバイスマネージャ200は、アプリ開始指示をシーケンスマネージャ100に転送する。
【0099】
なお、ステップS220、S222、及びS224は、アプリケーションが実行される前にユーザに改めて情報を提供しているが、ユーザの作業が増える可能性があるため、省略されてもよい。
【0100】
以上により、アプリ実行前フェーズF200が終了する。
【0101】
[1.3.3 アプリ実行フェーズF300]
次に、アプリ実行フェーズF300について説明する。
【0102】
(ステップS310)
シーケンスマネージャ100は、アプリ開始指示を受けて、アプリケーションに含まれる複数のブロックの中から最初のブロック(第1ブロック)を選択する。そして、シーケンスマネージャ100は、選択した第1ブロックの実行指示をデバイスマネージャ200に送信する。
【0103】
なお、複数のブロックが連続して動作される場合、シーケンスマネージャ100は、複数のブロックの実行指示をまとめてデバイスマネージャ200に送信してもよい。
【0104】
デバイスマネージャ200は、シーケンスマネージャ100から受信した第1ブロックの実行指示に基づいて、第1ブロックに割り付けられたデバイス300に第1ブロックの実行指示を送信する。
【0105】
(ステップS312)
デバイスマネージャ200は、第1ブロックの実行指示を受けて、各デバイスのスケジュール(使用予定時間)を更新する。
【0106】
(ステップS314)
デバイス300は、第1ブロックの実行指示を受けて、第1ブロックを実行する。
【0107】
(ステップS316)
デバイス300は、第1ブロックの実行が完了したときに、完了通知をデバイスマネージャ200に送信する。なお、第1ブロックの実行中にエラーが発生した場合には、デバイス300は、エラー情報をデバイスマネージャ200に送信してもよい。また、デバイス300は、第1ブロックの実行中に、イベント情報をデバイスマネージャ200に送信してもよい。イベント情報としては、例えば、センサの出力値又は機器操作等を用いることができるが、これに限定されない。デバイスマネージャ200は、デバイス300から受信した完了通知及び/又は各種情報をシーケンスマネージャ100に転送する。
【0108】
(ステップS318)
シーケンスマネージャ100は、第1ブロックの完了通知を受けて、アプリケーションの進捗を更新し、次のブロック(第2ブロック)を選択する。また、シーケンスマネージャ100は、エラー情報を受信した場合に、エラー情報に対応する処理(例えば、1つ前のブロックに戻る、最初のブロックに戻る、待機等)を実行する。エラー情報に対応する処理の情報は、例えば、シーケンスマネージャ100に予め保持されてもよいし、UI400を介してユーザから受け付けられてもよい。また、シーケンスマネージャ100は、イベント情報を受信した場合に、イベント情報に対応する処理を実行する。例えば、イベント情報に水位センサの出力値が含まれる場合、シーケンスマネージャ100は、実行中のブロックに含まれる水位を表示するための水位パラメータを更新する。
【0109】
(ステップS320)
シーケンスマネージャ100は、選択した第2ブロックの実行指示をデバイスマネージャ200に送信する。
【0110】
なお、第2ブロックの実行指示は、第1ブロックの実行指示(S310)と同一のデバイスに対する指示でもよいし、異なるデバイスへの指示でもよい。
【0111】
なお、第2ブロックの実行指示は、第1ブロックの実行指示と同様に、複数のブロックの実行指示をまとめてデバイスマネージャ200に送信してもよい。
【0112】
以降の処理は第1ブロックのための処理(S312~S318)と同様であるので、図示及び説明を省略する。アプリケーションに含まれるブロックが順に実行され、最後のブロックの実行が完了すれば、アプリ実行フェーズF300が終了する。
【0113】
なお、ここでは、ブロックの実行は1つずつ順に指示されているが、これに限定されない。例えば、同一のデバイスが割り付けられた複数のブロックの実行は、まとめて指示されてもよい。その場合、あらかじめ各ブロックが機能実行のパラメータ範囲を満たすかの確認を行ったり、変更に対応するブロックを実行前にデバイス側にダウンロードしたりしてもよい。また、例えば、複数のデバイスに対して各々のブロック実行指示を行ってもよい。
【0114】
[1.4 効果など]
以上のように、ブロックを含むアプリケーションとルールデータベースとにより、多種多様なアプリケーションを開発可能な環境を提供し、その環境下で自由に開発したアプリケーションに対して、物理的に運動するアクチュエータ22、又は熱エネルギーを出力する加熱器23の安全に駆動することを可能にしている。言い換えると、アプリケーションを自由に開発可能な環境を提供するとともに、アプリケーションと独立して安全性を担保するための機能を提供できる。その結果、例えば、自由度の高い多種多様なアプリケーションの開発と、安全性を担保するためのルールデータベースの開発とを並行して作成することが可能になり、多種多様なアプリケーションを早期に開発することを可能にすることができる。
【0115】
また、アプリケーションの提供後においても、ルールデータベースを変更することで、より安全性を担保したアプリケーションへの変更も可能になる。また、事前に製造者が想定しない状況の改善が必要になった場合においても、多種多様なアプリケーション自体を変更せずとも、アプリケーションとは独立して、ルールデータベースを規定していることで、ルールデータベースを更新することで、全てのアプリケーションへの対応が可能になる。
【0116】
アプリケーション自体を変更せずに、アプリケーションが実行されたときの状態を検知することでエラー処理のルールベースを保持する対処方法も考えられる。しかし、この対処方法は、常にエラーの状態になった後に対処することになり、家電に負荷がかかる状況、又は安全性が担保できない状況になることを許容することを意味する。そこで、アプリケーションとは独立にルールデータベースを保有し、ルールデータを参照してアプリケーションの内容を変更することで、安全性を担保することを可能にしている。
【0117】
本実施の形態における装置20は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つと、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを制御する制御部24と、を備え、制御部24は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23を駆動するためのパラメータを有し、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、複数のブロックの少なくとも1つを変更することでアプリケーションを変更し、複数のブロックの少なくとも1つは、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、変更したアプリケーションに基づいて、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する。
【0118】
これによれば、複数のブロックで規定されたアプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動することができる。したがって、装置20の制御を抽象化したブロックを用いたアプリケーションの開発が可能となり、多種多彩なアプリケーションを製造者だけではなく、サードパーティも開発することができ、これらのアプリケーションを装置20で簡単に実行することが可能となる。さらに、アプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23が駆動される前に、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを変更することができる。したがって、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを抑制することができる。つまり、もしアプリケーション開発者が誤ってアクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動するよう指示を行った場合でも、装置20を安全に制御することができないアプリケーションが実行されることを抑制することができる。したがって、アプリケーション開発者は、アクチュエータ22及び/又は加熱器23の安全性の担保よりもユーザに適することを重視したアプリケーションを作成した場合でも、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。
【0119】
また例えば、本実施の形態における装置20において、制御部24は、第1のルールを参照して、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容される範囲に含まれるパラメータに変更することで、アプリケーションを変更してもよい。
【0120】
これによれば、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを許容される範囲に含まれるパラメータに変更することができるので、例えば、アプリケーションの開発者は、アクチュエータ22及び加熱器23が安全に駆動することを考慮する優先度を下げて自由にアプリケーションを開発でき、さらにアクチュエータ22及び加熱器23を制御する装置20に組み込まれるソフトウェアの開発者は、アプリケーション一つ一つの安全性を毎回チェックすることなくブロックを実行でき、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを防止することができる。
【0121】
また例えば、本実施の形態における装置20において、制御部24は、第1のルールを参照して、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容される範囲に含まれるパラメータに変更し、かつ、複数のブロックに新たなブロックを追加することで、アプリケーションを変更してもよい。
【0122】
これによれば、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを許容される範囲に含まれるパラメータに変更することができるので、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを防止することができる。さらに、新たなブロックを追加することもできるので、パラメータの変更によって低下した機能を新たなブロックで補完することも可能となる。
【0123】
また例えば、本実施の形態における装置20において、制御部24は、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを削除することで、アプリケーションを変更してもよい。
【0124】
これによれば、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを削除することができるので、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを防止することができる。例えば、アクチュエータ22及び加熱器23が、アプリケーション開発者が指定したパラメータをそもそも実行することができない場合に、削除を行うことで、デバイスが混乱することなく制御を行うことができる。一方で、削除された旨をユーザに通知を行ってもよい。
【0125】
また例えば、本実施の形態における装置20において、制御部24は、第1のルールを参照して、複数のブロックに含まれる複数のパラメータの各々が、第1パラメータ範囲に含まれるか否かを判定し、パラメータが第1パラメータ範囲に含まれると判定された場合、当該パラメータを有するブロックを変更してもよい。
【0126】
これによれば、より確実に、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを変更することができる。
【0127】
また例えば、本実施の形態における装置20において、アプリケーションは、複数のブロックのそれぞれが実行される順番の情報と、複数のブロックのそれぞれが実行されるタイミングの情報とを含んでもよい。各ブロックのタイミングの情報は、例えば、当該ブロックの開始タイミングと、他のブロック(例えば1番目のブロック)の開始又は終了のタイミングとの間の時間を示す。
【0128】
これによれば、アプリケーションは、順番及びタイミングの情報を含むことができ、各ブロックの持つパラメータ範囲を確認しながら、シーケンシャルに判断して実行することができる。
【0129】
また例えば、本実施の形態における装置20において、アプリケーションは、複数のブロックの情報とそれぞれが実行される順番の情報を含み、ルールは、複数のブロックの中で少なくとも1つのブロックが実行できない情報を含む場合に、エラー情報として、本アプリケーションが開発できないこと、または、実行できないブロックの情報を開発者に提示してもよい。
【0130】
これによれば、アプリケーションが実行される前に、新たなブロックを追加、ブロックの順番を変更、又は、ブロックを削除することで、第2のブロックの後に第3のブロックが実行されることを担保することができる。したがって、アプリケーションの開発者は、アクチュエータ22及び加熱器23が安全に駆動することを考慮する優先度を下げて自由にアプリケーションを開発ができる。さらに、アクチュエータ22及び加熱器23を制御する装置20に組み込まれるソフトウェアの開発者は、アプリケーション1つ1つの安全性を毎回チェックすることなくブロックの実行を許可することができる。
【0131】
また例えば、本実施の形態における装置20において、第1パラメータ範囲は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを耐久温度に到達させるパラメータの範囲であってもよい。
【0132】
これによれば、アプリケーションが実行されたときにアクチュエータ22及び/又は加熱器23が耐久温度に到達することを抑制することができ、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。
【0133】
また例えば、本実施の形態における装置20は、内部空間を有する筐体21を備えてもよく、第1パラメータ範囲は、内部空間を耐久温度に到達させるパラメータの範囲であってもよい。
【0134】
これによれば、アプリケーションが実行されたときに筐体21の内部空間が耐久温度に到達することを抑制することができ、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。
【0135】
(実施の形態1の変形例)
なお、上記実施の形態1では、システム1の処理について図8を参照しながら説明したが、処理の流れについてはこれに限定されない。特に、詳細に説明している実行前確認(S216)について、実行前確認が行われるタイミング及び主体となるモジュールはこれに限定されない。そこで、システム1のシーケンス図のいくつかの変形例について、図15A図15Eを参照しながら具体的に説明する。
【0136】
図15Aは、実施の形態1の変形例1におけるシステム1のシーケンス図である。図15Aでは、実行前確認(S216)は、デバイス300が実行指示を受けて(S310)ブロックを実行する(S314)直前に、デバイス300によって行われる。
【0137】
これにより、デバイス300に組み込まれるソフトウェアは、ブロックの実行直前に実行前確認を行うというシンプルな構成とすることができる。すなわち、ステップS215及びS217を省略することができる。その結果、それらの処理を行うための機能及び通信APIをデバイス300に組み込む必要がなくなり、デバイス300に搭載されるマイコンの使用メモリ等を低減することが可能となる。
【0138】
なお、実行前確認の結果がデバイスマネージャ200及び/又はUI400に通知されてもよい。例えば、実行前確認を行った結果としてパラメータの変更又はブロックの実行停止指示が行われた場合に、デバイスマネージャ200又はUI400に確認結果が通知されてもよい。
【0139】
図15Bは、実施の形態1の変形例2におけるシステム1のシーケンス図である。図15Bでは、実行前確認(S216)は、デバイスマネージャ200が割付結果通知(S218)を行う際に、そのままデバイスマネージャ200によって行われる。
【0140】
これにより、デバイス300に組み込まれるソフトウェアは、実行前確認(S216)の機能を含まなくてもよい。したがって、デバイス300が有するメモリの使用を抑えることができ、デバイス300のコストダウンにつながる。
【0141】
また、上記実施の形態1では、デバイス300によるブロック実行(S314)について、クラウドサーバ10に実装されたシーケンスマネージャ100からの指示によって行われる処理の流れを説明したが、ブロック実行(S314)が行われる形態についても、これに限定されない。
【0142】
例えば、シーケンスマネージャ100からの通知内容を、デバイス300内のメモリに保存し、装置20が有するUI又は端末30が有するUI400を通じたユーザからの直接の指示により、ブロックが実行されてもよい。すなわち、アプリケーションをデバイス内にダウンロードしておいて、ユーザが任意のタイミングでアプリケーションを実行する形態としてもよい。
【0143】
図15Cは、実施の形態1の変形例3におけるシステム1のシーケンス図である。図15Cでは、アプリ実行フェーズF300において、シーケンスマネージャ100からデバイス300に、デバイス300で実行される1以上のブロックが通知される(S310C)。そして、デバイス300は、通知された1以上のブロックをメモリに保存する(S311C)。
【0144】
その後、デバイス300は、ユーザから、保存された1以上のブロックの実行の指示を受け付け(S312C)、1以上のブロックを第1ブロックから順に実行する(S314)。
【0145】
以上のように、ブロックをデバイス300に保存することで、デバイスマネージャ200とデバイス300との通信を介さずにデバイス300の制御が行えるため、クラウドサーバ10と装置20との間の通信が不安定になることによってデバイス300の動作が停止したり遅延が生じたりするリスクを低減することができる。そのため、本変形例は、クラウドサーバ10との通信の信頼性が低い環境において、及び/又は、アプリケーション実行中のデバイスの動作停止や遅延が許容されないデバイス300において、より効果的である。
【0146】
なお、変形例3においても、実施の形態1と同様に、実行前確認(S216)は重要な意味を有するが、実行前確認(S216)が行われるタイミングや主体となるモジュールは図15Cに限定されない。すなわち、変形例3は、変形例1又は2と組み合わされてもよい。
【0147】
図15Dは、実施の形態1の変形例4におけるシステム1のシーケンス図である。変形例4は、変形例1と変形例3との組み合わせに相当する。変形例4では、図15Dに示すように、実行前確認(S216)は、デバイス300が実行指示を受けて(S312C)ブロックを実行する(S314)直前にデバイス300によって行われる。
【0148】
ブロックをデバイス300にダウンロードしておいて、ユーザが任意のタイミングでブロックを実行する場合、ブロックをダウンロードするタイミングと実行するタイミングとが大きくずれる可能性が高まる。すなわち、ブロックをデバイス300にダウンロードしてから数日後、数か月後、又は数年後等にブロックが実行される場合が考えられる。その場合、ブロックがダウンロードされてからブロックが実行されるまでの間にデバイス300の劣化レベル等が変わる恐れもある。そのため、ブロックの実行が劣化レベルの影響を受けるデバイス300では、ブロックが実行される直前にデバイス300によって実行前確認が行われることで、劣化レベルに応じた実行前確認が可能となる。
【0149】
図15Eは、実施の形態1の変形例5におけるシステム1のシーケンス図である。変形例5は、変形例2と変形例3との組み合わせに相当する。変形例5では、図15Eに示すように、実行前確認(S216)は、デバイスマネージャ200が割付結果通知(S218)を行う際に、そのままデバイスマネージャ200によって行われる。
【0150】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、アプリケーションが認証済みである場合に実行前確認がスキップされる点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、上記実施の形態1と異なる点を中心に本実施の形態について説明する。
【0151】
なお、本実施の形態におけるシステム1のハードウェア構成及び機能構成は、上記実施の形態1と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0152】
[2.1 処理]
本実施の形態では、上記実施の形態1における実行前確認のステップS216がステップS216Aに代わる点を除いて、上記実施の形態1の処理と同様である。したがって、実行前確認処理のステップS216Aについて図16を参照しながら説明する。
【0153】
図16は、実施の形態2における実行前確認処理のフローチャートを示す。
【0154】
(ステップS2161A)
デバイス300は、アプリ認証情報を取得する。アプリ認証情報は、アプリケーションが認証済みである場合に認証済みであることを示す情報を含む。
【0155】
アプリケーションの認証は、例えばアプリケーションの品質を保証するための仕組みであり、アプリケーションの安全性及び/又は同一性(改ざんされていないこと)などの確認を可能とする。認証情報の付与されているアプリケーションの一例を説明する。アプリケーションのコードの変更履歴がパラメータ範囲の変更が行われなかったことを示す場合、アプリケーションに認証済みであることを示す情報が対応付けられている。
【0156】
(ステップS2162A)
デバイス300は、取得されたアプリ情報に基づいて、アプリケーションが認証済みであるか否かを判定する。ここで、アプリケーションが認証済みであると判定された場合(S2162AのYes)、デバイス300は、以降のステップS2165~ステップS2167をスキップして実行前確認処理を終了する。一方、アプリケーションが認証済みではないと判定された場合(S2162AのNo)、デバイス300は、次のステップS2165に進む。
【0157】
[2.2 効果など]
以上のように、本実施の形態における装置20は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つと、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを制御する制御部24と、を備え、制御部24は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ認証済みか否かを示す情報を含むアプリケーションを取得し、複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23を駆動するためのパラメータを有し、アプリケーションが認証済みであることを示す情報を含まない場合、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、複数のブロックの少なくとも1つを変更することでアプリケーションを変更し、複数のブロックの少なくとも1つは、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、変更したアプリケーションに基づいて、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する。
【0158】
これによれば、複数のブロックで規定されたアプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動することができる。したがって、装置20の制御を抽象化したブロックを用いたアプリケーションの開発が可能となり、そのように開発された多種多彩なアプリケーションを装置20で簡単に実行することが可能となる。さらに、アプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23が駆動される前に、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを変更することができる。したがって、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを抑制することができる。つまり、装置20を安全に制御することができないアプリケーションが実行されることを抑制することができ、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。さらに、アプリケーションが認証済みでない場合に、アプリケーションの変更を伴う処理を行うことができ、アプリケーションが認証済みである場合に処理負荷の軽減を図ることができる。したがって、全てのアプリケーションに対するパラメータ範囲に対する判定処理を行う必要は無く、認証を行うことによる管理によって、処理負荷の軽減とともに、パラメータ範囲の設計の基準ができ、アプリケーション開発者にとっては、より容易かつ安全な設計が可能となる。
【0159】
また例えば、本実施の形態における装置20において、アプリケーションが認証済みであることを示す情報を有する場合、第1のルールを参照せずに、アプリケーションを変更しなくてもよい。
【0160】
これによれば、アプリケーションが認証済みである場合に、ブロックを変更するための処理をスキップすることができ、処理負荷を軽減することができる。
【0161】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、アプリケーションの制作者と装置の製作者とが同一である場合に実行前確認がスキップされる点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、上記実施の形態1と異なる点を中心に本実施の形態について説明する。
【0162】
なお、本実施の形態におけるシステム1のハードウェア構成及び機能構成は、上記実施の形態1と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0163】
[3.1 処理]
本実施の形態では、上記実施の形態1における実行前確認のステップS216がステップS216Bに代わる点を除いて、上記実施の形態1の処理と同様である。したがって、実行前確認処理のステップS216Bについて図17を参照しながら説明する。
【0164】
図17は、実施の形態3における実行前確認処理のフローチャートを示す。
【0165】
(ステップS2161B)
デバイス300は、アプリ制作者情報を取得する。アプリ制作者情報は、アプリケーションの制作者を示す。制作者は、アプリケーションを制作した会社、個人又は団体等を意味し、開発者又は著者と呼ばれる場合もある。
【0166】
(ステップS2163B)
デバイス300は、デバイス製作者情報を取得する。デバイス製作者情報は、デバイスの製作者を示す。製作者は、デバイス300(つまり装置20)を製作した会社、個人又は団体等を意味し、製造者と呼ばれる場合もある。
【0167】
(ステップS2164B)
デバイス300は、アプリケーションの制作者とデバイス300の製作者とが異なるか否かを判定する。アプリケーションの制作者が個人であり、デバイス300の製作者が会社である場合、デバイス300は、アプリケーションの制作者が属する会社とデバイス300の製作者とが一致すれば、アプリケーションの制作者とデバイス300の製作者とが同じであると判定してもよい。また、デバイス300は、アプリケーションの制作者がデバイス300の製作者の開発委託先であれば、アプリケーションの制作者とデバイス300の製作者とが同じであると判定してもよい。
【0168】
ここで、アプリケーションの制作者とデバイス300の製作者とが同じである場合(S2164BのNo)、デバイス300は、以降のステップS2165~ステップS2167をスキップして実行前確認処理を終了する。一方、アプリケーションの制作者とデバイス300の製作者とが異なる場合(S2164BのYes)、デバイス300は、次のステップS2165に進む。
【0169】
[3.2 効果など]
以上のように、本実施の形態における装置20は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つと、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを制御する制御部24と、を備え、制御部24は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定され、かつ制作者を示す情報を含むアプリケーションを取得し、複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23を駆動するためのパラメータを有し、装置20の製作者を示す情報を取得し、アプリケーションの制作者と装置20の製作者とが異なる場合、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、複数のブロックの少なくとも1つを変更することでアプリケーションを変更し、複数のブロックの少なくとも1つは、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、変更したアプリケーションに基づいて、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する。
【0170】
これによれば、複数のブロックで規定されたアプリケーションに基づいてアクチュエータ及び/又は加熱器を駆動することができる。したがって、装置20の制御を抽象化したブロックを用いたアプリケーションの開発が可能となり、そのように開発された多種多彩なアプリケーションを装置20で簡単に実行することが可能となる。さらに、アプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23が駆動される前に、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを変更することができる。したがって、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを抑制することができる。つまり、装置20を安全に制御することができないアプリケーションが実行されることを抑制することができ、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。さらに、アプリケーションの制作者と装置20の製造者とが異なる場合に、アプリケーションの変更を伴う処理を行うことができ、アプリケーションの制作者と装置20の製造者とが同じ場合には、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0171】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、装置の劣化レベルに対応するルールを用いて実行前確認が行われる点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、上記実施の形態1と異なる点を中心に本実施の形態について説明する。
【0172】
なお、本実施の形態におけるシステム1のハードウェア構成及び機能構成は、上記実施の形態1と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0173】
[4.1 処理]
本実施の形態では、上記実施の形態1における実行前確認のステップS216がステップS216Cに代わる点を除いて、上記実施の形態1の処理と同様である。したがって、実行前確認処理のステップS216Cについて図18を参照しながら説明する。
【0174】
図18は、実施の形態4における実行前確認処理のフローチャートを示す。
【0175】
(ステップS2163C)
デバイス300は、デバイス劣化情報を取得する。デバイス劣化情報は、装置20に含まれるアクチュエータ22及び/又は加熱器23の劣化レベルを示す。劣化レベルの検出方法は、特に限定されず、例えばセンサによって検出されればよい。
【0176】
(ステップS2165C)
デバイス300は、劣化レベルに対応するルールを取得する。例えば、デバイス300は、ルールデータベースを参照して、ブロックが駆動するアクチュエータ22又は加熱器23の劣化レベルに対応するパラメータ範囲を取得する。
【0177】
図19は、実施の形態4におけるルールデータベースの一例を示す。図19のルールデータベース1300Cには、ルール1301C~1304Cが登録されている。ルール1301C~1304Cの各々は、非許容範囲を定義するパラメータ範囲を有する。例えば、ルール1301Cは、劣化レベル0のモータMM0001のために、1000rpmより大きい範囲を非許容範囲として有する。例えば、ルール1302Cは、劣化レベル1のモータMM0001のために、800rpmより大きい範囲を非許容範囲として有する。つまり、ルール1302Cは、ルール1301Cよりも非許容範囲が広く、許容範囲が狭い。
【0178】
ルール1301C~1304Cの各々は、さらに、種別と、製造者名と、型番と、アクチュエータ/加熱器と、劣化レベルと、を有する。これにより、デバイス300は、ルールデータベース1300Cから、ブロックで駆動されるアクチュエータ22又は加熱器23の劣化レベルに対応するルールを取得することができる。例えば、デバイス300は、図10の脱水ブロックで駆動されるモータMM0001の劣化レベルが0である場合、脱水ブロックのために、図19のルールデータベース1300Cを参照してルール1301Cを取得する。
【0179】
なお、劣化レベルを決定する項目は、例えば、デバイス300に含まれるアクチュエータ22及び/又は加熱器23の使用回数、使用時間、又は稼働開始から現在まで使用日数である。これらの項目は、ユーザの使用に対して概ね比例関係で増えると想定される。よって、項目に対応する値が大きくなるごとに、劣化レベルが大きくなるようにルールが決定される。
【0180】
また、劣化レベルを決定する項目は、例えば、加熱器23の温度の加算値、又はアクチュエータ22及び/又は加熱器23の入力及び出力の再現度合である。加熱器23の温度の加算値とは、加熱器23が駆動されたときの温度を加算した値である。例えば、ブロック実行時の加熱器23の平均温度、中間温度、又は最大温度が用いられる。加熱器23の温度は、加熱器23の限界温度に対する実行温度の割合、加熱器23の限界温度に対する実行温度の差分であってもよい。
【0181】
アクチュエータ22及び/又は加熱器23の入力及び出力の再現度合とは、アクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動するための入力値とアクチュエータ22及び/又は加熱器23の出力との関係を参照して求められる。所定の入力に対する実際の出力値と、関係に規定された出力値との割合が用いられる。
【0182】
[4.2 効果など]
以上のように、本実施の形態における装置20は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つと、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを制御する制御部24と、を備え、制御部24は、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する複数のブロックで規定されたアプリケーションを取得し、複数のブロックの各々は、アクチュエータ22又は加熱器23を駆動するためのパラメータを有し、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つが劣化しているか否かを示す劣化情報を取得し、劣化情報がアクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つが劣化していないことを示している場合、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されない第1パラメータ範囲を定義する第1のルールを参照して、複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第1ブロックを変更することでアプリケーションを変更し、少なくとも1つの第1ブロックは、第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、劣化情報がアクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つが劣化していることを示している場合、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つの駆動が許容されない、第1パラメータ範囲と異なる第2パラメータ範囲を定義する第2のルールを参照して、複数のブロックに含まれる少なくとも1つの第2ブロックを変更することでアプリケーションを変更し、少なくとも1つの第2ブロックは、第2パラメータ範囲に含まれるパラメータを有し、変更したアプリケーションに基づいて、アクチュエータ22及び加熱器23の少なくとも1つを駆動する。
【0183】
これによれば、複数のブロックで規定されたアプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23を駆動することができる。したがって、装置20の制御を抽象化したブロックを用いたアプリケーションの開発が可能となり、そのように開発された多種多彩なアプリケーションを装置20で簡単に実行することが可能となる。さらに、アプリケーションに基づいてアクチュエータ22及び/又は加熱器23が駆動される前に、許容されない第1パラメータ範囲に含まれるパラメータを有するブロックを変更することができる。したがって、アクチュエータ22及び/又は加熱器23が許容されないパラメータで駆動されることを抑制することができる。つまり、装置20を安全に制御することができないアプリケーションが実行されることを抑制することができ、アプリケーションで制御される装置20の安全性を向上させることができる。さらに、装置20の劣化情報に応じて異なるパラメータ範囲を用いることができ、ブロックを用いることで、経年劣化していくデバイスのパフォーマンスを考慮しながら、アプリケーション側からのアクチュエータ22及び/又は加熱器23への駆動指示を実行し、アプリケーションで制御される装置20の安全性をより向上させることができる。
【0184】
(他の実施の形態)
以上、本開示の1つ又は複数の態様に係るシステムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0185】
また、上記各実施の形態において、シーケンスマネージャ100及びデバイスマネージャ200は、クラウドサーバ10に含まれていたが、これに限定されない。シーケンスマネージャ100及び/又はデバイスマネージャ200は、装置20に含まれてもよい。また、UI400は、端末30に含まれていたが、装置20に含まれてもよい。
【0186】
また、上記各実施の形態において、劣化情報に基づいて、アプリケーションが変更されてもよい。例えば、デバイス300は、複数の劣化レベルと複数のパラメータの変換方法とが対応付けられたパラメータ変換情報を参照して、劣化レベルに対応する変換方法を取得し、取得した変換方法を用いてブロックに含まれるパラメータを変換してもよい。変換方法としては、例えば、変換後の値で定義されてもよいし、変換前の値に適用される係数で定義されてもよい。
【0187】
また、上記各実施の形態では、実行前確認においてパラメータが非許容範囲に含まれる場合にブロックを変更し、その後ブロックが実行されていたが、これに限ったものではない。例えば、パラメータが非許容範囲に含まれる場合に、デバイス300の状態が想定と異なっていたときは、ブロックを実行せず、デバイスマネージャ200及び/又はシーケンスマネージャ100に実行中止(エラー)が通知されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0188】
複数の機能ブロックで規定されたアプリケーションを実行することができる家庭用電化製品等に利用できる。
【符号の説明】
【0189】
1 システム
2a、2b、2c、2d 施設
10 クラウドサーバ
11 プロセッサ
12 メモリ
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h 装置
21 筐体
22 アクチュエータ
23 加熱器
24 制御部
30、30a、30b、30c、30d 端末
31 ディスプレイ
32 入力デバイス
100 シーケンスマネージャ
200 デバイスマネージャ
300、300a、300b、300c、300d、300e、300f、300g、300h デバイス
400、400a、400b、400c、400d UI
1000、1201 ブロック
1001、1002、1003、1004、1005、1006 パラメータ
1100 デバイスデータベース
1101 デバイス情報
1200 実行内容宣言
1202 デバイスに関する情報
1203 順番の情報
1300、1300C ルールデータベース
1301、1301C、1302、1302C、1303C、1304C ルール
F100 準備フェーズ
F200 アプリ実行前フェーズ
F300 アプリ実行フェーズ
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17
図18
図19