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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】基板姿勢変更装置および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20250228BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20250228BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643B
H01L21/304 648A
H01L21/30 562
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023037453
(22)【出願日】2023-03-10
(65)【公開番号】P2024128467
(43)【公開日】2024-09-24
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 孝弘
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-028247(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0014800(KR,A)
【文献】特開平09-226916(JP,A)
【文献】特開2000-031238(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0107295(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面に沿った搬送方向において互いに平行に配列された複数の搬送ローラによって前記搬送方向に搬送される前記基板の姿勢を第1姿勢と前記第1姿勢より傾斜した第2姿勢との間で変更する基板姿勢変更装置であって、
前記複数の搬送ローラを前記搬送方向において互いに隣接する複数本の搬送ローラからなる複数の搬送ローラ群に分割しながら、前記搬送ローラ群毎に当該搬送ローラ群を構成する前記搬送ローラの両端部を当該搬送ローラ群に対応して設けられたローラ支持部で回転自在に支持するローラ支持機構と、
前記ローラ支持部毎に当該ローラ支持部に支持された前記搬送ローラの一方端側で前記搬送方向と平行な回動軸まわりに当該ローラ支持部を回動させることによって当該ローラ支持部で支持された前記搬送ローラを一体的に当該ローラ支持部に対応して設けられた回動部で前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で切り替える回動機構と、
前記ローラ支持部毎に当該ローラ支持部に支持された前記搬送ローラを当該ローラ支持部に対応して設けられた駆動部で駆動する駆動機構と、を備え、
各駆動部は、
当該駆動部に対応する前記搬送ローラのうちの1本を直接駆動ローラと定義する一方で、残りを間接駆動ローラと定義したとき、
駆動力を発生するモータと、
前記駆動力を前記モータから前記直接駆動ローラの一方端部に伝達する一方側動力伝達部と、
前記駆動力により回転する前記直接駆動ローラの回転力を前記直接駆動ローラの他方端側で前記間接駆動ローラに伝達する他方側動力伝達部と、を有し、
前記一方側動力伝達部は、
前記搬送方向に延設された状態で前記ローラ支持部に対して回転自在に軸支された回転シャフトを有し、
前記回転シャフトのうち前記モータの回転軸と直交しながら対向する第1位置において前記モータで発生した駆動力を前記回転シャフトに伝達するとともに、前記回転シャフトのうち前記直接駆動ローラの一方端部と直交しながら対向する第2位置において前記回転シャフトに伝達された駆動力を前記直接駆動ローラに伝達することを特徴とする基板姿勢変更装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板姿勢変更装置であって、
前記ローラ支持部毎に当該ローラ支持部に対応する前記搬送ローラ、前記一方側動力伝達部および前記他方側動力伝達部が当該ローラ支持部の内部に配置される一方、当該ローラ支持部に対応する前記モータが前記一方側動力伝達部を挟んで前記搬送ローラの反対側で、かつ当該ローラ支持部の外側に取り付けられている、基板姿勢変更装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板姿勢変更装置であって、
各回動部は、当該回動部に対応する前記ローラ支持部で支持された前記搬送ローラの他方端側で前記ローラ支持部を昇降させる昇降部を有し、前記昇降部による前記ローラ支持部の上昇により前記基板の姿勢を前記第2姿勢に切り替える一方、前記昇降部による前記ローラ支持部の下降により前記基板の姿勢を前記第1姿勢に切り替える、基板姿勢変更装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板姿勢変更装置であって、
前記ローラ支持部毎に前記基板の搬送速度を変更するように、前記複数の駆動部を個別に制御する制御部を備える、基板姿勢変更装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板姿勢変更装置であって、
前記一方側動力伝達部は、
前記モータの前記回転軸に取り付けられた第1スパイラルギアと、
前記第1スパイラルギアに噛合した状態で前記回転シャフトの前記第1位置に取り付けられた第2スパイラルギアと、
前記回転シャフトの前記第2位置に取り付けられた第3スパイラルギアと、
前記第3スパイラルギアに噛合した状態で前記直接駆動ローラの一方端部に取り付けられた第4スパイラルギアと、
を有する、基板姿勢変更装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の基板姿勢変更装置と、
前記複数の搬送ローラによって前記搬送方向に搬送される前記基板の主面に処理液を供給する処理液供給部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板の主面に沿った搬送方向において互いに平行に配列された複数の搬送ローラによって搬送される基板を第1姿勢と第2姿勢との間で変更する姿勢変更技術に関するものである。ここで、基板としては、ウェーハレベルパッケージ(WLP:Wafer Level Packaging)やパネルレベルパッケージ(PLP:Panel Level Packaging)といった製造形態で製造される半導体パッケージ用の基板、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板や有機EL表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、太陽電池用基板、等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
複数の単位ローラ(本発明の「搬送ローラ」に相当)により搬送される基板の主面に処理液を供給して所定の処理を施す基板処理装置に対し、当該基板を水平姿勢と傾斜姿勢との間で切り替える基板姿勢変更装置を組み込む技術が知られている(例えば特許文献1)。この基板姿勢変更装置では、単位ローラ毎にシリンダが接続されている。各シリンダは、単位ローラの一方端部を上下方向に昇降させることで、当該単位ローラを水平姿勢と傾斜姿勢との間で切替可能となっている。このよう従来技術では、複数の単位ローラを個別に水平姿勢と傾斜姿勢との間で姿勢変更させることが可能となっている。このため、次のような態様で基板を搬送することができる。全単位ローラを水平姿勢に切り替えた状態で基板が搬入され、基板姿勢変更装置への基板の進入が完了した時点で、全シリンダを作動させると、基板を水平姿勢から傾斜姿勢に切り替えることができる。そして、傾斜姿勢のまま基板は搬送方向に搬送される。当該搬送開始後においては、傾斜姿勢の基板の後端が通過した順序でシリンダが元の状態に戻される。これによって、上記順序で単位ローラが順次、水平姿勢に戻され、次の基板を受け入れる体制が整えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-226916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、基板の大型化および薄肉化に伴って、搬送方向における搬送ローラのピッチを狭くする必要が生じている。しかしながら、単位ローラ毎にシリンダを取り付けた構造を有する従来装置では、隣り合うシリンダの間での干渉を考慮すると、ピッチの削減にも限界があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板の主面に沿った搬送方向において互いに平行に配列された複数の搬送ローラによって搬送される基板の姿勢を変更する基板姿勢変更装置において、搬送ローラの狭ピッチ化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様は、基板の主面に沿った搬送方向において互いに平行に配列された複数の搬送ローラによって搬送方向に搬送される基板の姿勢を第1姿勢と第1姿勢より傾斜した第2姿勢との間で変更する基板姿勢変更装置であって、複数の搬送ローラを搬送方向において互いに隣接する複数本の搬送ローラからなる複数の搬送ローラ群に分割しながら、搬送ローラ群毎に当該搬送ローラ群を構成する搬送ローラの両端部を当該搬送ローラ群に対応して設けられたローラ支持部で回転自在に支持するローラ支持機構と、ローラ支持部毎に当該ローラ支持部に支持された搬送ローラの一方端側で搬送方向と平行な回動軸まわりに当該ローラ支持部を回動させることによって当該ローラ支持部で支持された搬送ローラを一体的に当該ローラ支持部に対応して設けられた回動部で第1姿勢と第2姿勢との間で切り替える回動機構と、ローラ支持部毎に当該ローラ支持部に支持された搬送ローラを当該ローラ支持部に対応して設けられた駆動部で駆動する駆動機構と、を備え、各駆動部は、当該駆動部に対応する搬送ローラのうちの1本を直接駆動ローラと定義する一方で、残りを間接駆動ローラと定義したとき、駆動力を発生するモータと、駆動力をモータから直接駆動ローラの一方端部に伝達する一方側動力伝達部と、駆動力により回転する直接駆動ローラの回転力を直接駆動ローラの他方端側で間接駆動ローラに伝達する他方側動力伝達部と、を有し、一方側動力伝達部は、搬送方向に延設された状態でローラ支持部に対して回転自在に軸支された回転シャフトを有し、回転シャフトのうちモータの回転軸と直交しながら対向する第1位置においてモータで発生した駆動力を回転シャフトに伝達するとともに、回転シャフトのうち直接駆動ローラの一方端部と直交しながら対向する第2位置において回転シャフトに伝達された駆動力を直接駆動ローラに伝達することを特徴としている。
【0007】
また、この発明の第2の態様は、基板処理装置であって、上記基板姿勢変更装置と、複数の搬送ローラによって搬送方向に搬送される基板の主面に処理液を供給する処理液供給部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、搬送方向に基板を搬送するための複数の搬送ローラが、搬送方向において互いに隣接する複数本の搬送ローラからなる複数の搬送ローラ群に分割されている。そして、搬送ローラ群毎に、ローラ支持部が設けられるとともに当該搬送ローラ群を構成する搬送ローラの両端部を回転自在に支持する。また、ローラ支持部毎に、回動部が設けられるとともに当該ローラ支持部に支持された搬送ローラの一方端側で搬送方向と平行な回動軸まわりに当該ローラ支持部を回動可能となっている。したがって、回動部によるローラ支持部の回動によって、搬送ローラ群単位で、搬送ローラが第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えられる。
【0009】
また、ローラ支持部毎に、駆動部が設けられるとともに当該ローラ支持部に支持された搬送ローラ(=直接駆動ローラ+間接駆動ローラ)を駆動する。より具体的には、各駆動部では、モータで発生した駆動力が直接駆動ローラに伝達されるとともに直接駆動ローラを介して間接駆動ローラにも伝達され、当該ローラ支持部に支持された全搬送ローラが同期して回転する。したがって、搬送ローラの狭ピッチ化が可能となる。その理由は以下のとおりである。
【0010】
例えば上記駆動力を当該ローラ支持部に支持された搬送ローラの全てに伝達する動力伝達機構を搬送ローラの一方端側に設けてもよい。この場合、搬送方向における動力伝達機構の大型化によって搬送ローラのピッチが制限される。これに対し、本発明のように動力伝達機構を搬送ローラの両側に振り分けて設けることで、搬送方向における動力伝達機構の小型化が可能となり、その結果、当該ローラ支持部に支持される搬送ローラを比較的狭いピッチで配列することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、狭ピッチで配列された複数の搬送ローラによって搬送される基板の姿勢を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る基板処理装置の一実施形態であるリンス部を装備する基板処理システムの一例を示す図である。
図2】本発明に係る基板処理装置の一実施形態であるリンス部を示す模式図である。
図3】基板姿勢変更装置を上方から見た平面図である。
図4】基板姿勢変更装置の一部を拡大した図である。
図5】搬送ローラの姿勢を切り替える回動部の構成および動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る基板処理装置の一実施形態であるリンス部を装備する基板処理システムの一例を示す図である。本実施形態の基板処理システム100は、液晶表示装置用ガラス基板G(以下、基板Gと称する)に対して、レジスト液の塗布、露光、および露光後の現像を行う装置である。基板処理システム100は、搬入部1、洗浄部2、デハイドベーク部3、塗布部4、減圧乾燥部5、プリベーク部6、露光部7、現像部8、本発明の「基板処理装置」の一例に相当するリンス部9、ポストベーク部10および搬出部11を備えている。これらの処理ユニットは上記の順に互いに隣接して配置され、制御部12により制御されることで、図示を省略する搬送部によって破線矢印で示す順序で搬送される基板Gに対して種々の処理が施される。
【0014】
搬入部1は、基板処理システム100において処理される基板Gを、基板処理システム100内に搬入する。洗浄部2は、搬入部1へ搬入された基板Gを洗浄し、微細なパーティクルをはじめ、有機汚染や金属汚染、油脂、自然酸化膜等を除去する。デハイドベーク部3は、基板Gを加熱し、洗浄部2において基板Gに付着した洗浄液を気化させることによって、基板Gを乾燥させる。
【0015】
塗布部4は、デハイドベーク部3で乾燥処理を行った後の基板Gをステージの上面で吸着保持しながら基板Gの表面にレジスト液を塗布液として塗布する。そして、減圧乾燥部5は、基板Gの表面に塗布された当該レジスト液の溶媒を減圧により蒸発させて、基板Gを乾燥させる。
【0016】
上記減圧乾燥部5において減圧乾燥処理が施された基板Gはプリベーク部6に搬送され、加熱処理される。このプリベーク部6は基板Gを加熱し、基板G表面のレジスト成分を固化させる加熱処理ユニットである。これにより、基板Gの表面に塗布液の薄膜、すなわちレジスト膜が形成される。
【0017】
次に、露光部7は、レジスト膜が形成された基板Gの表面に対して、露光処理を行う。露光部7は、回路パターンが描画されたマスクを通して遠紫外線を照射し、レジスト膜にパターンを転写する。現像部8は、露光部7においてパターンが露光された基板Gを現像液に浸して、現像処理を行う。
【0018】
リンス部9は、現像部8において現像処理した基板Gに対してリンス処理を施す。これにより、現像処理の進行を停止させる。このリンス部9は、本発明に係る基板姿勢変更装置と、基板Gの上面(本発明の「主面」の一例に相当)に処理液の一例であるリンス液を供給する処理液供給部と、を備えている。このリンス部9は、その上面を上方に向けた水平姿勢(本願発明の「第1姿勢」の一例)で現像部8から搬入されてくる基板Gを受け入れた後で、制御部12からの指令に応じて基板姿勢変更装置により水平姿勢から数度傾斜した傾斜姿勢(本願発明の「第2姿勢」の一例)に基板Gの姿勢を変更する。そして、リンス部9は、傾斜姿勢のままリンス液を上面に供給してリンス処理を行った後で、基板Gをポストベーク部10に搬出する。また、従来装置と同様に、傾斜姿勢の基板Gの後端が通過した順序で基板Gを搬送する搬送ローラが順次、水平姿勢に戻され、次の基板Gを受け入れる体制が整えられる。なお、リンス部9の構成および動作については、後で詳述する。
【0019】
ポストベーク部10は、基板Gを加熱し、リンス部9において基板Gに付着したリンス液を気化させることによって、基板Gを乾燥させる。基板処理システム100の各処理ユニットにおいて処理が施された基板Gは、搬出部11へ搬送される。そして、搬出部11から基板Gが基板処理システム100の外部へ搬出される。
【0020】
なお、本実施形態の基板処理システム100は露光部7を有しているが、本発明の基板処理装置においては、露光部が省略されていてもよい。その場合、基板処理装置を、別体の露光装置と組み合わせて使用すればよい。
【0021】
図2は本発明に係る基板処理装置の一実施形態であるリンス部9を示す模式図である。図2および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするため、Z方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、理解を容易にする目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0022】
このリンス部9は、現像部8およびポストベーク部10の間に設けられた筐体91に収容されている。筐体91は、現像部8とリンス部9とを区画する仕切板911、およびリンス部9とポストベーク部10とを区画する仕切板912を備えている。仕切板911には基板Gを通過させるための通路口913が、また仕切板912には基板Gを通過させるための通路口914が、それぞれ設けられている。
【0023】
リンス部9では、複数の搬送ローラ92が基板Gの上面に沿った搬送方向Xに配列されている。各搬送ローラ92は、回転軸921と、回転軸921に固着された複数の基板支持部922とで構成されている。本実施形態では、基板Gの大型化および薄肉化に対応すべく、搬送ローラ92は従来装置(例えば特許文献1に記載の装置)よりも狭いピッチで配列されている。本実施形態では、24個の搬送ローラ92が配列されている。また、搬送ローラ92により搬送する基板Gの姿勢を水平姿勢と傾斜姿勢との間で変更するために、基板姿勢変更装置93が設けられている。
【0024】
図3は基板姿勢変更装置を上方から見た平面図である。図4は基板姿勢変更装置の一部を拡大した図であり、同図(a)は拡大平面図であり、同図(b)は拡大側面図である。基板姿勢変更装置93は、図3に示すように、8個のローラ支持部94a~94hを有するローラ支持機構94を備えている。ローラ支持部94a~94hは、搬送方向Xに沿って、この順序で隣接して配置されている。すなわち、本実施形態では、24個の搬送ローラ92が搬送方向Xにおいて互いに隣接する3本の搬送ローラからなる8個の搬送ローラ群92a~92hに分割され、搬送ローラ群92a~92hを構成する搬送ローラ92がそれぞれローラ支持部94a~94hの内部で回転自在に支持されている。そして、ローラ支持部94a~94hに対し、駆動部95a~95hがそれぞれ設けられて搬送ローラ92を駆動し、また回動部96a~96bがそれぞれ設けられて搬送ローラ92の姿勢を切り替えるように、制御部12は装置各部を制御する。このように、基板姿勢変更装置93は、駆動部95a~95hを有する駆動機構と、回動部96a~96hを有する回動機構とを備え、搬送ローラ群単位で個別に搬送ローラ92の駆動と姿勢とを制御可能となっている。なお、本実施形態では、基板処理システム100全体を制御する制御部12により基板姿勢変更装置93を制御しているが、リンス部9の各部制御に特化した制御部を設け、当該制御部により搬送ローラ群単位で個別に搬送ローラ92の駆動と姿勢とを制御するように構成してもよい。また、ローラ支持部94a~94h、駆動部95a~95hおよび回動部96a~96hは、それぞれ同一構成であるため、以下において、ローラ支持部94a、駆動部95aおよび回動部96aの構成および動作について説明し、その他については同一または相当符号を付して説明を省略する。
【0025】
図3および図4(a)に示すように、ローラ支持部94aは、鉛直方向Zに開口した角筒形状を有する支持本体940を有している。支持本体940の内部には、X方向に延びる仕切板941、942が基板Gの幅方向Yに一定間隔だけ離間して固定配置されている。仕切板941、942によってローラ支持部94aの内部では、3つの空間SP1~SP3が形成されている。また、各仕切板941、942には、3つのベアリング943が搬送ローラ92の配列ピッチPでX方向に取り付けられている。そして、Y方向において互いに対向する一対のベアリング943に搬送ローラ92のシャフト両端部がそれぞれ挿入され、搬送ローラ92が空間SP2において回転自在に軸支されている。また、搬送ローラ92の(-Y)方向側に位置する空間SP1(以下「一方側空間SP1」という)に一方側動力伝達部951が配置される一方、搬送ローラ92の(+Y)方向側に位置する空間SP3(以下「他方側空間SP3」という)に他方側動力伝達部952が配置されている。また、支持本体940の(-Y)方向側の側面には、モータ953が取り付けられている。具体的には、モータ953は一方側動力伝達部951を挟んで搬送ローラ92の反対側で、かつローラ支持部94aの外側に取り付けられている。これらローラ支持部94aに設けられた一方側動力伝達部951、他方側動力伝達部952およびモータ953は、搬送ローラ群92aを構成する搬送ローラ92を回転駆動するための駆動部95aの構成要素であり、その詳細については後で説明する。
【0026】
搬送ローラ群92aおよび駆動部95aが取り付けられたローラ支持部94aは、筐体91内において、搬送ローラ92の一方端側、つまり(-Y)方向側で、搬送方向Xと平行な回動軸AXまわりに回動自在に設けられている。また、ローラ支持部94aの他方側、つまり(+Y)方向側では、回動部96aが取り付けられている。
【0027】
図5は搬送ローラの姿勢を切り替える回動部の構成および動作を示す図であり、同図(a)は搬送ローラを水平姿勢に切り替えたときの回動部の各部を示す図であり、同図(b)は搬送ローラを傾斜姿勢に切り替えたときの回動部の各部を示す図である。回動部96aは、ローラ支持部94aの(+Y)方向側の下面領域を鉛直方向Zに昇降することで、ローラ支持部94aを回動軸AXまわりに回動し、搬送ローラ92の姿勢を水平姿勢と傾斜姿勢との間で切り替える。より具体的には、回動部96aは、上記下面領域に取り付けられてローラ支持部94aを下方から支持する支持部材961と、支持部材961を昇降させる昇降部962と、支持部材961と昇降部962の一部とを連結するリンクブロック963とを有している。
【0028】
昇降部962は、図5に示すように、筐体91に取り付けられた柱状部材962aと、鉛直方向Zに平行に延びた状態で柱状部材962aに取り付けられたボールネジ962bと、ボールネジ962bの下端部に連結されたモータ962cと、ボールネジ962bに螺合されたブラケット962dとを備えている。そして、制御部12からの昇降指令に応じてモータ962cが作動すると、ボールネジ962bが回転し、その回転量に応じてブラケット962dが鉛直方向Zに昇降する。このように構成されたブラケット962dに対し、リンクブロック963を介して支持部材961が連結されている。より詳しくは、図5(a)に示すように、支持部材961は上下方向に延設されたロッド形状を有している。そして、ブラケット962dが下限位置に位置しているとき、支持部材961およびリンクブロック963の中心軸が鉛直方向Zと平行となっている。ただし、支持部材961の中心軸はリンクブロック963の中心軸から(-Y)方向に少しずれている。そして、制御部12からの上昇指令がモータ962cに与えられると、図5(b)に示すように、回転量に応じてブラケット962dが鉛直方向Zに上昇する。このブラケット962dの上昇に応じてリンクブロック963および支持部材961を介してローラ支持部94aの(+Y)方向側の端部が上方に押し遣られ、ローラ支持部94aが回動軸AXまわりに回動する。その結果、図4(b)中の1点鎖線で示すように、当該ローラ支持部94aに支持された搬送ローラ92が水平姿勢より数度だけ傾斜した傾斜姿勢に変更される。
【0029】
逆に、この傾斜姿勢の状態(ブラケット962dが上限位置に位置した状態)で制御部12からモータ962cに下降指令が与えられると、ブラケット962dの下降に伴い、リンクブロック963および支持部材961とともにローラ支持部94aの(+Y)方向側の端部が下降する。これによって、搬送ローラ92は水平姿勢に戻る(図5(a))。
【0030】
図4(a)に戻って、駆動部95aの構成および動作について説明する。駆動部95aは、一方側動力伝達部951、他方側動力伝達部952およびモータ953を有している。モータ953は、回転軸963aを一方側空間SP1に進入させた状態で、ローラ支持部94aの(-Y)方向側の外側面に取り付けられている。
【0031】
一方側空間SP1には、一方側動力伝達部951が配置されている。一方側動力伝達部951は、X方向に延設された回転シャフト951aを有している。回転シャフト951aは一方側空間SP1内でローラ支持部94aに対して回転自在に軸支されている。回転シャフト951aのうちモータ953の回転軸と対向する位置において、回転軸に取り付けられたスパイラルギア951bと噛合するようにスパイラルギア951cが取り付けられている。このため、制御部12からの指令に応じてモータ953が作動すると、モータ953で発生した駆動力が一対のスパイラルギア951b、951cを介して回転シャフト951aに伝達され、回転シャフト951aが回転する。この回転シャフト951aのうち一の搬送ローラ92の(-Y)方向側の端部、つまり回転軸921の一方側端部に対向する位置において、当該端部に取り付けられたスパイラルギア951dと噛合するようにスパイラルギア951eが取り付けられている。このため、回転シャフト951aの回転が一対のスパイラルギア951d、951eを介して搬送ローラ92の回転軸921に伝達され、搬送ローラ92が回転する。このように、モータ953で発生した駆動力が一方側動力伝達部951を介して一の搬送ローラ92(図4(a)において最も(-X)方向側に位置するもの)に伝達され、直接的に駆動される。このように回転シャフト951a、4つのスパイラルギア951b~951eによって一方側動力伝達部951が構成され、モータ953の駆動力を上記搬送ローラ92に直接的に伝達している。こうして直接駆動される搬送ローラ92を「直接駆動ローラ」と称する。また、3つの搬送ローラ92のうち残りの2本(図4(a)において直接駆動ローラよりも(+X)方向側に位置するもの)については、次に説明するように、直接駆動ローラを介して駆動されるため、「間接駆動ローラ」と称する。なお、一方側動力伝達部951では、スパイラルギア951b~951eによって動力伝達を図っているが、磁石の吸引・反発の力を利用したマグネットギアなどの非接触動力伝達装置を用いてもよい。また、ギア輪列方式やベルト方式などの他の動力伝達方法を用いてもよい。この点については、次に説明する他方側動力伝達部952についても同様である。
【0032】
直接駆動ローラの回転軸921の(+Y)方向側端部、つまり他方側端部は空間SP3に延設され、他方側動力伝達部952と接続されている。他方側動力伝達部952は、X方向に延設された回転シャフト952aを有している。回転シャフト952aは他方側空間SP3内でローラ支持部94aに対して回転自在に軸支されている。回転シャフト952aのうち直接駆動ローラの回転軸921と対向する位置において、当該回転軸921に取り付けられたスパイラルギア952bと噛合するようにスパイラルギア952cが取り付けられている。このため、直接駆動ローラの回転力が一対のスパイラルギア952b、952cを介して回転シャフト952aに伝達され、回転シャフト952aが回転する。この回転シャフト952aのうち2つの間接駆動ローラの(+Y)方向側の端部、つまり回転軸921の他方側端部に対向する位置において、各端部に取り付けられたスパイラルギア952d、952eと噛合するようにスパイラルギア952f、952gが取り付けられている。このため、上記回転力がスパイラルギア952d~952gを介して間接駆動ローラに伝達され、間接駆動ローラが直接駆動ローラと同期して回転する。これによって、これら直接駆動ローラ、間接駆動ローラの姿勢を問わず、基板Gを搬送方向Xに搬送可能となっている。
【0033】
上記した構成や動作については、上記したように他のローラ支持部94b~94h、駆動部95b~95hおよび回動部96b~96hも同様である。したがって、制御部12により駆動部95a~95hおよび回動部96a~96hを統合的に制御することで、従来装置と同様に、基板Gの姿勢を水平姿勢および傾斜姿勢に変更し、しかも何れの姿勢でも基板Gを搬送方向Xに搬送することができる。また、制御部12により駆動部95a~95hおよび回動部96a~96hを個別に制御することで、基板Gの姿勢変更のタイミングや搬送速度を搬送ローラ群単位で調整することも可能となっている。例えば、各搬送ローラ群での基板Gの有無に応じて当該搬送速度を変更してもよい。
【0034】
リンス部9には、図2に示すように、上記搬送ローラ92により搬送される基板Gの上面にリンス液Lを供給する処理液供給部として、リンス液ノズル97aと、シャワーノズル97bとが設けられている。リンス液ノズル97aは、筐体91における仕切板911の下流側近傍に設けられている。また、リンス液ノズル97aよりも下流側で、複数のシャワーノズル97bが基板Gの上方からリンス液を供給する。これにより基板Gの上面はリンス液Lの液膜により覆われ洗浄される。
【0035】
以上のように、本実施形態では、搬送方向Xに基板Gを搬送するための複数の搬送ローラ92を8個の搬送ローラ群92a~92hに分割し、搬送ローラ群単位で搬送ローラ92の姿勢を水平姿勢と傾斜姿勢との間で変更するように構成している。したがって、互いに隣接する搬送ローラ92のピッチPを狭めても、搬送ローラ92の姿勢を切り替えるための回動部96a~96hが互いに干渉するのを確実に防止することができる。
【0036】
また、本実施形態では、搬送ローラ群単位で搬送ローラ92の駆動が制御される。より詳しくは、ローラ支持部94a~94h毎に駆動部95a~95hが設けられている。そして、各駆動部95a~95hでは、モータ953で発生した駆動力が一方端側(-Y方向側)で直接駆動ローラに伝達されるとともに、他方端側(+Y方向側)で直接駆動ローラを介して間接駆動ローラ,92Iに伝達され、3本の搬送ローラ92が同期して回転する。すなわち、動力伝達機構として機能する一方側動力伝達部951および他方側動力伝達部952をそれぞれ搬送ローラ92の一方側および他方側に振り分けて設けることで、搬送方向Xにおける動力伝達機構の小型化が可能となる。その結果、1個のモータ953で駆動する3本の搬送ローラ92を比較的短いピッチPで配列することが可能となり、従前からの基板Gはもちろんのこと、大型でかつ薄肉の基板Gについて、基板Gの姿勢変更および搬送が可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、搬送ローラ群を互いに隣接する3つの搬送ローラで構成しているが、搬送ローラ群を構成する搬送ローラの個数は、「3」に限定されるものではなく、「2」または「4以上」であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、搬送ローラ群92a~92hにおける搬送ローラ個数を一致させているが、搬送ローラ群間で搬送ローラ個数を相違させてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、ローラ支持部94a~94hの(+Y)方向側の下面領域を鉛直方向Zに昇降させる駆動源として、いわゆるボールネジ駆動を用いているが、特許文献1に記載のシリンダなどの他の駆動源を用いてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、リンス部9に配列された全搬送ローラ92が本発明の「複数の搬送ローラ」に相当しているが、全搬送ローラ92の一部が本発明の「複数の搬送ローラ」に相当するように構成してもよい。例えば、リンス液ノズル97aの下方に位置する搬送ローラ92を除く搬送ローラ92全部が本発明の「複数の搬送ローラ」に相当するように構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、現像処理を受けた基板Gに対してリンス処理を施すリンス部9に対して本発明を適用しているが、図1中の洗浄部2に対して本発明を適用してもよい。また、これら洗浄部2やリンス部9以外に、複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置および当該基板搬送装置を装備する基板処理装置全般に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、基板の主面に沿った搬送方向において互いに平行に配列された複数の搬送ローラによって搬送される基板を第1姿勢と第2姿勢との間で変更する姿勢変更技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
9…リンス部(基板処理装置)
92…搬送ローラ
92a~92h…搬送ローラ群
93…基板姿勢変更装置
94…ローラ支持機構
94a~94h…ローラ支持部
95a~95h…駆動部
96a~96b…回動部
97a…リンス液ノズル(処理液供給部)
97b…シャワーノズル(処理液供給部)
951…一方側動力伝達部
952…他方側動力伝達部
953…モータ
962…昇降部
AX…回動軸
G…基板
L…リンス液(処理液)
X…搬送方向
Y…幅方向
Z…鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5