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特許7642059真空ポンプの空気脱油エレメントのためのアダプターエレメント及び保持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】真空ポンプの空気脱油エレメントのためのアダプターエレメント及び保持装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20250228BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20250228BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B01D46/00 E
F04C15/06 D
F04C25/02 L
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023506245
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020078907
(87)【国際公開番号】W WO2022078591
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】522281039
【氏名又は名称】ブッシュ プロダクションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パウル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ザクス,ローナルト
(72)【発明者】
【氏名】ポズニャク,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ゾル,ライナー
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517419(JP,A)
【文献】国際公開第2015/153363(WO,A1)
【文献】特表2010-510872(JP,A)
【文献】実開平02-031385(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-90
F04C 15/00-06
F04C 25/00-02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(1)の空気脱油エレメントのための保持装置に適したアダプターエレメント(11)であって、
前記アダプターエレメント(11)は、
第1の直径を有する第1の円筒部(11a)と、第2の直径を有し、空気脱油エレメントを受容するように適合された第2の円筒部(11b)とを含み、
前記第1の直径は第2の直径以下であり、
前記第2の円筒部(11b)は、前記アダプターエレメントの縦軸に平行に配置され、前記第2の円筒部(11b)の周囲にわたって均等に又は不均等に分配された、少なくとも3つの固定フィンガ(11e)を形成する外周陥凹部を有し、
少なくとも2つの固定フィンガ(11f)は、弾性的に径方向に変位可能となるように据え付けられていることを特徴とする、アダプターエレメント。
【請求項2】
前記第1の円筒部(11a)の直径は、前記第2の円筒部(11b)の直径よりも小さく、前記アダプターエレメント(11)は、前記第1の円筒部(11a)と前記第2の円筒部(11b)との間に円錐部(11c)を有する、請求項1に記載のアダプターエレメント。
【請求項3】
前記アダプターエレメント(11)の前記円錐部(11c)は、少なくとも1つの外周陥凹部を有する、請求項2に記載のアダプターエレメント。
【請求項4】
前記アダプターエレメント(11)の前記円錐部(11c)は、少なくとも3つの外周陥凹部を有する、請求項2に記載のアダプターエレメント。
【請求項5】
前記アダプターエレメント(11)の前記円錐部(11c)は、少なくとも5つの外周陥凹部を有する、請求項2に記載のアダプターエレメント。
【請求項6】
真空ポンプ(1)、特に油真空ポンプの空気脱油エレメント(2)のための保持装置(10)であって、
前記保持装置(10)は、
空気脱油エレメント(2)を受容するアダプターエレメント(11)と、
排気孔(4)を密閉するために真空ポンプのハウジングに取り付け可能な排気カバー(12)と、
前記アダプターエレメント(11)と前記排気カバー(12)との間に配置された渦巻バネ(13)と
を含み、
前記アダプターエレメント(11)は、請求項1~5のいずれか一項に記載のアダプターエレメントであり、
前記保持装置(10)は、前記アダプターエレメント(11)と前記排気カバー(12)との間の距離を規制するための規制手段(14)を備えることを特徴とする、保持装置。
【請求項7】
前記アダプターエレメント(11)、前記排気カバー(12)、及び前記渦巻バネ(13)が同軸上に配置される、請求項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記アダプターエレメント(11)は、前記排気カバー(12)に対して自由に回転可能である、請求項6又は7に記載の保持装置。
【請求項9】
前記規制手段(14)はネジの形態とされ、そのネジ頭(14b)は前記排気カバー(12)の外気側に配置され、前記ネジ頭(14b)の反対側の円筒形状の本体(14a)にロック手段(15)を備える、請求項のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記前記ロック手段(15)は、取り外し可能なロック手段である、請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記ロック手段(15)と前記排気カバー(12)との間の距離が、調整可能である、請求項9又は10に記載の保持装置。
【請求項12】
前記ロック手段は、Oリングの形態とされる、請求項9~11のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項13】
前記ネジ頭(14b)と前記排気カバー(12)の間に、ゴム弾性プレート(18)を備え、前記ネジ頭(14b)と前記ゴム弾性プレート(18)の間に、排気カバーバネ(19)を備える、請求項12のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項14】
前記ゴム弾性プレート(18)は、エラストマー製のゴム弾性プレートである、請求項13に記載の保持装置。
【請求項15】
前記排気カバーバネ(19)は、スパイダースプリングの形態である、請求項13又は14に記載の保持装置。
【請求項16】
前記排気カバー(12)は、その真空側にOリング(16)を受容する溝(12c)を有し、前記溝は、前記溝(12c)に挿入された前記Oリング(16)が、前記排気カバー(12)から外れないように形成される、請求項15のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項17】
前記溝(12c)は、少なくとも2か所(12d)で、シケイン状又はバッフル状になっている、請求項16に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ、特に油封式真空ポンプ(以下、油真空ポンプと称する)の空気脱油エレメントのための保持装置に適したアダプターエレメントに関する。また、本発明は、真空ポンプの空気脱油エレメントのための保持装置にも関する。本発明は、具体的には、特に限られた空間内において、空気脱油エレメントの迅速で且つ容易な組み立て及び交換を可能にする、そのようなアダプターエレメント及びそのような保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ、特にロータリーベーンポンプなどの油真空ポンプでは、ポンプによって搬送される、潤滑油と気体の混合物からなる流体は、ポンプから出る前にろ過する必要がある。以下では、理解を容易にするために、流体の代わりに空気という用語を用いる。適切な空気脱油エレメントによって、潤滑油は潤滑システムに戻され、残りの浄化された空気が排出される。空気脱油エレメントは、この目的のために設計されたアダプターエレメントと保持具とを備えたポンプに保持されるが、時間の経過とともにフィルター能力を失うため、定期的に交換する必要がある。
【0003】
既知のポンプ及び保持装置では、空気脱油エレメントの交換に手間がかかる。特に、その際に、多くの場合、空気脱油エレメントに接続された、いくつかの部品を取り外す必要がある。これらの部品は、新しい空気脱油エレメントの組み立て及び取り付けのために、再び必要になる。一方では、これには手間がかかり、他方では、部品が潤滑油で覆われているため、汚染を伴うことが多い。これに加えて、既知のアダプターエレメント、すなわち、空気脱油エレメントと保持装置とを接続する、保持装置のエレメントは、堅固すぎて組み立てが容易でない。
【0004】
特許文献1は、上述の問題を部分的に解決する、空気脱油エレメントのための保持装置を提案する。この装置は、他の既知の装置に比べて、空気脱油エレメントの取り付けをいくらか容易にし、とりわけ汚染を防止するが、この装置を以てしても、簡便な取り付けが常に可能になるとは限らない。この装置や他の既知の装置との空気脱油エレメントの組み立ては、とりわけ、片手での組み立てが必要とされることが多い、非常に限られた空間内では、非常に困難である。真空ポンプの設置スペースが限られている場合、とりわけ、交換時に空気脱油エレメントをポンプから引き出す方向に制限がある場合、交換のために必要な作業を実行したり、再取り付けが完了した後に、部品の正しい位置を確認したりすることが、困難であるか、非常に手間がかかる。さらに、特許文献1は、空気脱油エレメントと堅固に協働するアダプターエレメントを開示するが、これは組み立てをさらに複雑にする。
【0005】
技術水準から出発して、本発明は、既知の装置の前述の欠点を解消し、空気脱油エレメントの組み立て及び交換が容易にできる真空ポンプ、特に、油真空ポンプの空気脱油エレメントのためのアダプターエレメント及び保持装置を提案することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/197614号
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、これらの目的は、とりわけ、2つの独立請求項のエレメントによって達成される。さらなる好ましい実施形態は、従属請求項及び明細書から明らかになる。
【0008】
特に、本発明の第1の態様によれば、本発明の目的は、真空ポンプの空気脱油エレメントのための保持装置に適したアダプターエレメントによって達成され、当該アダプターエレメントは、第1の直径を有する第1の円筒部と、第2の直径を有し、空気脱油エレメントを受容するように適合された第2の円筒部とを含み、第1の直径は第2の直径以下であり、第2の円筒部は、アダプターエレメントの縦軸に平行に配置され、第2の円筒部の周囲にわたって均等に又は不均等に分配された、少なくとも3つの固定フィンガを形成する外周陥凹部を有し、少なくとも2つの固定フィンガは、弾性的に径方向に変位可能となるように据え付けられている。
【0009】
本発明に係るアダプターエレメントによれば、保持装置と空気脱油エレメントとの取り付けが、非常に容易になされるようにすることができる。特に、少なくとも2つの弾性的に径方向に変位可能な固定フィンガの存在により、組み立てや取り外しが、特に容易且つ確実になる。これに加えて、アダプターエレメントは、省スペースに形成することができる。外周陥凹部は、空気脱油エレメントから排出される空気の最適な循環を可能にする。これにより、過剰な圧力が、空気脱油エレメントとアダプターエレメントとの間に蓄積されて、ポンプの適切な機能を損なうことがないようにすることができる。
【0010】
本発明の第1の態様の第1の好ましい実施形態では、第1の円筒部の直径は、第2の円筒部の直径よりも小さく、アダプターエレメントは、第1の円筒部と第2の円筒部との間に円錐部を有する。これには、流動に関係するアダプタの断面積が減少し、排出される空気が、付加的な流動損失なしに、出口孔に導かれるという利点がある。
【0011】
本発明の第1の態様の第2の好ましい実施形態では、アダプターエレメントの円錐部は、少なくとも1つ、有利には少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つの外周陥凹部を有する。空気脱油エレメントから排出される空気の循環は、さらに改善される。大きな寸法の場合は特に、アダプターエレメントの強度又は安定性の理由から、陥凹部の数を6つ以上に増やすべきである。
【0012】
第2の態様によれば、本発明の目的は、真空ポンプ、特に油真空ポンプの空気脱油エレメントのための保持装置によっても達成され、当該保持装置は、
空気脱油エレメントを受容するアダプターエレメントと、
排気孔を密閉するために真空ポンプのハウジングに取り付け可能な排気カバーと、
アダプターエレメントと排気カバーとの間に配置された渦巻バネと
を含み、
保持装置は、アダプターエレメントと排気カバーとの間の距離を規制するための規制手段を備える。
【0013】
本発明に係る保持装置のそのような構造によれば、真空ポンプのハウジングに対する空気脱油エレメント及び保持装置の組み立てが、特に容易になる。規制手段は、排気カバーとアダプターエレメントがユニットを形成することを保証し、この2つのエレメントが組み立て中に互いに分離できないようにする。このような装置は、例えば、ポンプがポンピングユニットに装着されている場合のように、取り付けのための空間が非常に狭い状況において、特に有利である。このような場合、片手で組み立てられることが、とりわけ重要である。これに加えて、渦巻バネによれば、空気脱油エレメントに最適な圧力を加えることができるため、このエレメントは、ハウジング内に適切に保持されて、支持される。ポンプの振動を減衰させ、製造に関連する部品に固有の寸法の変動を補償できるようにするために、空気脱油エレメントのバネ式取り付けが重要である。
【0014】
本発明の第2の態様の第1の好ましい実施形態では、アダプターエレメントは、本発明の第1の態様に係るアダプターエレメントである。したがって、ポンプハウジング及び空気脱油エレメントに対する保持具の向きは、組み立てに関して重要ではなく、組み立てをさらに簡便にする。
【0015】
本発明の第2の態様の第2の好ましい実施形態では、アダプターエレメント、排気カバー、及び渦巻バネが同軸上に配置される。したがって、ポンプハウジング及び空気脱油エレメントに対する保持具の向きは、組み立てにとって重要ではなく、組み立てをさらに簡便にする。
【0016】
本発明の第2の態様の別の好ましい実施形態では、アダプターエレメントは、排気カバーに対して自由に回転可能である。これにより、アダプターエレメントの向きを、空気脱油エレメントの正確な形状に対応させることができる。これは、空気脱油エレメントが対称でない場合、又は誤った取り付けを防止する手段がある場合に重要である。
【0017】
本発明の第2の態様のさらに好ましい実施形態では、規制手段はネジの形態とされ、そのネジ頭は排気カバーの外気側に配置され、ネジ頭の反対側の円筒形状の本体にロック手段、好ましくは、取り外し可能なロック手段を備える。ネジは、規制手段として、とりわけ簡素な実施形態である。さらに、取り外し可能なロック手段は、保持装置をキットとして設計できるため、特に有利である。したがって、アダプターエレメント又は渦巻バネは、必要に応じて交換できる。したがって、アダプターエレメントは、空気脱油エレメントの正確な設計に応じて選択することもできる。渦巻バネは、例えば、スプリング機能が期待どおりに機能しなくなった場合に交換できる。
【0018】
本発明の第2の態様のさらに好ましい実施形態では、ロック手段と排気カバーとの間の距離が、調整可能である。これにより、保持装置をポンプハウジングの形状に対応させることができ、渦巻バネの予圧も調整することができる。ロック手段と排気カバーとの間の距離の調整は、例えば、ロックナットなどの適切な部品によって実現することができる。
【0019】
本発明の第2の態様の別の好ましい実施形態では、ロック手段は、Oリングの形態とされる。Oリングには、安価であって、取り付けや再配置が容易であるという利点がある。これに加えて、Oリングには、ある程度の弾力性もあり、緩和された渦巻バネで有利になる可能性がある。
【0020】
本発明の第2の態様のさらに別の好ましい実施形態では、保持装置は、ネジ頭と排気カバーの間に、好ましくは、エラストマー製のゴム弾性プレートを備え、ネジ頭とゴム弾性プレートの間に、有利にはスパイダースプリングの形態の排気カバーバネを備える。排気カバーバネによれば、ゴム弾性プレートを排気カバーに押し付けて、排気カバーの排気孔を塞ぐことができる。スパイダースプリングには、スプリングの接触押圧力が、ゴム弾性プレート上の環状線上の多数のポイントに均一に分配されるという利点がある。ゴム弾性プレートには、排気カバーから流出する空気がプレートを開いて排気孔を開け、排気カバースプリングのバネ力の作用により、プレートが元の位置に戻って出口孔を再び閉じることができる、という利点がある。これにより、部品の相互の相対的な動作が不要になり、部品の機械的摩耗が排除される。
【0021】
本発明の第2の態様の別の好ましい実施形態では、排気カバーは、その真空側にOリングを受容する溝を有し、溝は、溝に挿入されたOリングが、排気カバーから外れないように形成される。これにより、組み立てが、とりわけ簡便になる。空気脱油エレメントのための保持装置を、とりわけ限られた空間内で取り付ける場合、取り付け又は組み立て中に普通に発生する動作や力によって、Oリングが排気カバーから外れないようにすることが保証されれば、特に有利である。
【0022】
本発明の第2の態様のさらに別の好ましい実施形態では、溝は、少なくとも2か所で、シケイン状又はバッフル状になっている。シケイン状又はバッフル状の溝は、溝の形状がOリングのシール能力に影響を与えることなく、組み立て中に発生する通常の動作や力によって、Oリングが溝から外れないことを保証する。
【0023】
本発明のさらなる詳細は、添付の図面に示される、本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。本発明のさらなる利点は、明細書から知ることができ、特許請求の範囲内で、本発明の主題をどのように修正又はさらに発展させることができるか、についての示唆及び提案を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の保持装置及びアダプターエレメントの好ましい実施形態に係る、空気脱油エレメント用の真空ポンプ、アダプターエレメント、及び保持装置の断面図である。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態に係る、空気脱油エレメント、アダプターエレメント、及び保持装置の断面図である。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態に係る、空気脱油エレメント、アダプターエレメント、及び保持装置の斜視断面図である。
図4図4は、本発明の好ましい実施形態に係る保持装置の排気カバーを示す。
図4a図4aは、本発明の好ましい実施形態に係る保持装置の排気カバーの詳細図である。
図5図5は、本発明の好ましい実施形態に係るアダプターエレメント及び保持装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る、空気脱油エレメント2及び保持装置10を備える真空ポンプ1の断面図である。保持装置10は、空気脱油エレメントを堅固に保持し、それと同時に、空気脱油エレメントを交換できるように設計されている。
【0026】
保持装置10は、この実施形態では、空気脱油エレメント2を受容する、本発明に係るアダプターエレメント11を備える。しかしながら、保持装置は、本発明に係るアダプターエレメントに代えて、技術水準から既知のアダプターエレメントを備えることもできることに留意すべきである。アダプターエレメントについての詳細を以下に説明する。
【0027】
保持装置10は、ポンプ1のハウジング3の排気孔4を密閉する排気カバー12と、アダプターエレメント11と排気カバー12との間に配置された渦巻バネ13とをさらに備える。さらに、アダプターエレメント11と排気カバー12との間の最大距離を規制するために、ここでは、ネジの形態とされた規制手段14が設けられている。この目的のために、ネジ14は、その円筒形状の本体14aに、ここでは、Oリングとされたロック手段15を有する。図示する実施形態では、Oリングは、ネジ14の円筒形状の本体14aにおいて、そのために設計された溝に配置される。Oリングの利点は、ネジ14から非常に容易に分離可能であり、保持装置10の分解を容易にすることにある。アダプターエレメント11と排気カバー12との間の最大距離は、好ましくは、ロックナットなどの適切な部品(図示せず)によって調整されることに留意すべきである。
【0028】
アダプターエレメント11は、好ましくは、ネジ14の円筒形状の本体14aの周りを自由に回転可能である。これにより、空気脱油エレメント2に対するアダプターエレメント11の回転位置を調整することができる。これは、保持装置10をポンプ1に取り付けるときに、アダプターエレメント11が、空気脱油エレメント2に対して特定の回転位置にあらねばならない場合に、特に有利である。
【0029】
渦巻バネ13と排気カバー12とによって、保持装置10は、空気脱油エレメント2がポンプ1のハウジング3に確実に取り付けられるように、必要な接触圧力で空気脱油エレメント2を押すことができる。
【0030】
図3から最もよく分かるように、排気カバー12は、Oリング16を受容するための溝12cを有する。さらに、保持ネジ17が、保持装置10をポンプ1のハウジング3に固定するために設けられている。
【0031】
図4は、より詳細に、排気カバー12の真空側を示している。Oリング16を受容するための溝12cは、少なくとも2カ所、ここでは、4か所で、シケイン状又はバッフル状であるのが有利である(図4aも参照)。これらのシケイン状又はバッフル状の部分12dによって、Oリング16は、溝12c内に保持され、排気カバー12から取り外せないようにしている。Oリング16を適所に保持することにより、Oリング16が脱落する虞が大幅に低減されるため、保持装置10をハウジング3に容易に取り付けることができる。
【0032】
図5に示すように、保持装置10は、ネジ14のネジ頭14bと排気カバー12との間に、エラストマー製のプレート18とスパイダースプリング19とを有する。スパイダースプリング19には、スプリングの押圧力が、ゴム弾性プレート18上の環状線上の多数のポイントにわたって均一に分配されるという利点がある。エラストマー製のプレート18には、流出する空気が排気カバーからプレートを開いて、排気孔を開けることができ、スパイダースプリング19のバネ力の作用により、プレートが元の位置に戻って出口孔を再び閉じることができる、という利点がある。これにより、部品の相互の相対的な動作が不要になり、部品の機械的摩耗が排除される。
【0033】
図1図5に示す好ましい実施形態では、アダプターエレメント11は、第1の円筒部11aと、第2の円筒部11bと、2つの円筒部の間の円錐部11cとを含む。第2の円筒部11bは、固定フィンガ11eを形成する陥凹部を有している。固定フィンガ11eは、空気脱油エレメント2の受容を可能にし、陥凹部は、フィルターから排出される空気のより良い循環を可能にする。少なくとも2つ、この実施形態では4つの固定フィンガ11fが、半径方向に変位可能となるように弾性的に据え付けられている。
【0034】
これらの固定フィンガ11fは、空気脱油エレメント2が存在しない場合、アダプターエレメント11の縦軸に対して、傾斜しているのが有利である。空気脱油エレメント2がアダプターエレメント11に挿入されると、固定フィンガ11fが径方向外側に動く。これにより、アダプターエレメントが、空気脱油エレメントを容易に受容できるようになり、同時に、最適な保持が保証される。さらに、弾性的に据え付けられた固定フィンガ11fは、ポンプの動作中に発生する振動を減衰させる。図から分かるように、空気脱油エレメント2をアダプターエレメント11に容易に挿入できるようにするために、固定フィンガは面取りされている。
【0035】
図5から分かるように、円錐部11cは、空気脱油エレメント2から排出される空気のより良い循環を可能にするために、陥凹部20を有してもいる。さらに、アダプタ11の第1の円筒部11aは、渦巻バネ13を受容するための凹部11dを有するのが有利である。これにより、渦巻バネ13は最適に案内され、径方向に変形することができない。同様に、排気カバー12は、好ましくは、渦巻バネ13を受容するための凹部12bを有する。
【0036】
アダプターエレメント11と保持装置10の両方が発明的であり、図中、それらは常に組み合わせて示されているが、それら自体で有利であることに留意すべきである。換言すれば、アダプターエレメント11は、技術水準から既知の保持装置と組み合わせて使用することもできる。同じことは保持装置10にも当てはまり、保持装置10は、さらに苦労することなく、技術水準から知られているアダプターエレメントを備えることもできる。保持装置10及びアダプターエレメント11は、それ自体で有利であるが、それらは共に相乗効果も有する。実際、本発明に係るアダプターエレメント11と保持装置10との組み合わせは、特に、容易な組み立てを可能にする。
【0037】
要するに、ここに、例として記載された実施形態は、本発明のアイデアを実現するための可能性のみを表し、決してそれらを限定するものと見做すべきではないことを改めて指摘する。当業者は、本発明の本質的な特徴を見失うことなく、本発明及びさらなるエレメントの他の実施が可能であることを理解するであろう。


図1
図2
図3
図4
図4a
図5