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特許7642065金属-有機フレーム材料分離膜及びその製造方法並びに応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】金属-有機フレーム材料分離膜及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/06 20060101AFI20250228BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 71/30 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20250228BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20250228BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20250228BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20250228BHJP
   C08F 8/42 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B01D71/06
B01D69/10
B01D69/12
B01D69/00
B01D71/26
B01D71/30
B01D71/36
B01D71/70
B01J20/22 A
B01J20/30
C08F8/42
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023523255
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2020124309
(87)【国際公開番号】W WO2022077562
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】202011101303.4
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉長江
(72)【発明者】
【氏名】魏▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲リ▼和生
(72)【発明者】
【氏名】張新妙
(72)【発明者】
【氏名】孫杰
(72)【発明者】
【氏名】王成鴻
(72)【発明者】
【氏名】王玉杰
(72)【発明者】
【氏名】孟凡寧
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106492651(CN,A)
【文献】特開2017-202449(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108939958(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104437116(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104001426(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106278368(CN,A)
【文献】国際公開第2019/175717(WO,A1)
【文献】Shan Bohan et al.,Influences of Deprotonation and Modulation on Nucleation andGrowth of UiO-66:Intergrowth and Orientation,Journal of Physical Chemistry C.,米国,American Chemical Society,2018年01月02日,122 4,2201-2205,https://doi.org/10.1021/acs.jpcc.7b11012
【文献】Wu Feichao et al.,Synthesis of stable UiO-66 membranes for pervaporation separation of methanol/methyl tert-butyl ether mixtures by secondary growth,Journal of Membrane Science,NL,Elsevier B. V.,2017年09月13日,2017 544,342-350,https://doi.org/10.1016/j.memsci.2017.09.047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C08F 8/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-有機フレーム材料分離膜であって、下地膜と金属-有機フレーム材料機能層とを含み、前記金属-有機フレーム材料機能層は複数の互いに埋め込まれた多面体構造を含み、
記多面体は複数の結晶格子で構成され、前記互いに埋め込まれた多面体構造において隣接する二つの多面体は結晶格子を共用し、及び/又は、前記隣接する二つの多面体の中心の間の距離は該隣接する二つの多面体の長さの平均値Lより小さく
記結晶格子は金属原子及び有機配位子で構成され、前記金属原子はジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子又はコバルト原子から選択され、前記有機配位子はテレフタル酸及び/又はニトロテレフタル酸から選択され
前記下地膜はポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリ塩化ビニル膜又はポリテトラフルオロエチレン膜から選択される一種又は複数種である。
【請求項2】
前記互いに埋め込まれた多面体構造において隣接する二つの多面体は結晶格子を共用し、及び/又は、前記隣接する二つの多面体の中心の間の距離は0.95Lより小さいことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
前記互いに埋め込まれた多面体構造において隣接する二つの多面体は結晶格子を共用し、及び/又は、前記隣接する二つの多面体の中心の間の距離は0.2-0.9Lであることを特徴とする請求項2に記載の分離膜。
【請求項4】
前記金属-有機フレーム材料機能層において少なくとも20%の多面体は互いに埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項5】
前記金属-有機フレーム材料機能層において少なくとも50%の多面体は互いに埋め込まれていることを特徴とする請求項4に記載の分離膜。
【請求項6】
前記金属-有機フレーム材料機能層において少なくとも80%の多面体は互いに埋め込まれていることを特徴とする請求項5に記載の分離膜。
【請求項7】
前記多面体は六面体及び/又は八面体を含み、かつ、
前記多面体の長さは50-2000nmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項8】
前記六面体の長さは50-1000nmであり、ここで長さが400-600nmの六面体の割合は50-80%であることを特徴とする請求項に記載の分離膜。
【請求項9】
前記八面体の長さは200-2000nmであり、ここで長さが800-1200nmの八面体の割合は60-80%であることを特徴とする請求項に記載の分離膜。
【請求項10】
前記金属-有機フレーム材料機能層の平均孔径は0.1-2.0nmであり、及び/又は、
前記金属-有機フレーム材料機能層の厚さは200-5000nmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項11】
記下地膜の孔径は10-10000nmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項12】
前記下地膜の孔径は200-1000nmであることを特徴とする請求項11に記載の分離膜。
【請求項13】
前記分離膜はさらに前記金属-有機フレーム材料機能層の表面に位置する有機ケイ素層を含むことであることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の分離膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属-有機フレーム材料分離膜及び金属-有機フレーム材料分離膜の製造方法に関し、有機ガス分離膜の製造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ガス膜分離技術は、膜材料の有機物に対する効率的な選択透過性を利用し、有機物と気相本体との分離を実現する新たな技術であり、プロセスが連続し、発熱がなく、二次汚染がなく、回収率が高く、エネルギー消費が小さくかつ小型化などの利点を有する。現在先進国で有機物分離、揮発性有機物(VOCs)処理を行う主流技術であり、環境保護、化学工業、生物製薬の分野に非常に広く応用されている。
【0003】
従来の有機ガス分離膜の多くはシロキサンが塗布、架橋プロセスを経て製造されたものであり、なかでもポリジメチルシロキサン(PDMS)の応用が最も多い。ブロック共重合体(PEBA)も一般的な有機ガス分離膜の機能層材料であり、それはポリアミド(PA)材料の硬さ及びポリエーテル(PE)材料の柔らかさの2種の性質を有し、柔らかいポリエーテルは高い浸透性を提供し、有機物を優先的に浸透させる。硬いポリアミドは機械的強度を提供し、有機物を過剰に吸着することによる膜膨潤を克服し、それにより良好な浸透選択性を維持することができる。現在のPDMS膜のフラックスが大きいが、分子構造が緩みかつ調整制御されにくいため、その分離係数が低く、特異的物質に対する選択性を向上させにくい。PEBA膜は2種類のブロック分子の性質を有するが、その分子構成が固定され、構造が単一であり、一般的に緻密であり、分離係数が高いが全体的なフラックスが小さく、応用が制限される。
【0004】
人々の膜に対する初期認知のように、「篩分けメカニズム」膜は膜孔の孔径を厳密に制御することにより、膜孔の孔径より小さい分子の通過のみを許可し、高分子を遮断し、それにより物質分離を実現し、したがってそのフラックスが大きく、分離係数が高い。しかし、ガス分子の直径の多くは1ナノメートルより小さく、かつガス分子の間の分子直径の差異が小さいため、正確な篩分けを実現するには、膜構造に対する要求が極めて高い。現在、篩分けメカニズムによるガス分離膜が商業化に至っていない。
【0005】
金属-有機フレーム材料(MOFs)は近年発展してきた新型多孔質材料であり、それは孔径の大きさが調整可能であり、比表面積が高く、構造が安定し機能化修飾しやすいなどの利点を有するため、国内外の研究者らの研究ホットスポットとなる。分離工程の分野において、金属-有機フレーム材料は新規な吸着剤として、有機物分離及び水中イオン除去、濃縮分析の面で広い応用の将来性を示す。しかし単に吸着プロセスとして使用され、プロセスが連続せず、解析する必要があり、吸着剤が再生しにくくかつ耐用年数が短いなどの問題を有する。
【0006】
特許CN110052185Aには、ドーパミンUiO-66膜に基づく改質方法が開示されている。該方法は多孔質基材を固定フレームで塩化ジルコニウム、テレフタル酸をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して調製された前駆体溶液に垂直に浸漬し、恒温条件下で48-96h熱処理する。3~30s超音波処理し、種結晶付きの基材を得る。種結晶が堆積された基材を上記と同様の方式で少なくとも二回熱処理し、連続的なUiO-66膜を得るまで停止する。得られた膜を初回浸漬及び再度浸漬によりドーパミンがグラフトされたUiO-66膜を得る。前記ドーパミンがグラフトされたUiO-66膜に互いに埋め込まれたUiO-66構造がほとんど存在せず、したがって膜の緻密性が劣り、特異的物質に対する選択性を向上させにくい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、従来の技術に存在する連続的で完全なMOFs分離機能層を得ることが困難であり、又は分離機能層と下地膜との結合が堅固でなく脱落及び欠陥が発生しやすく、得られた分離膜のフラックスが小さく、分離係数が低く、特異的物質に対する選択性を向上させにくく、製造プロセスが不連続であるなどの問題を解決し、下地膜に特定の前処理を行いかつin-situ成長反応の方法を結合するにより連続的で互いに埋め込まれた構造を有する金属-有機フレーム材料分離機能層を構築し、特殊なミクロ幾何学的形状を有する膜表面機能層を製造し、かつその構造及び化学組成に対する調整制御を実現することである。同時にその機能層以外に、塗布し、保護層を形成し、機能層に現れる可能性のある欠陥を充填し、機能層が使用中に汚染され破壊されることを回避し、分離膜の分離係数及び耐用年数を向上させる。同時に分離膜表面はより大きな表面粗さ及び疎水性を備え、より強い耐汚染能力を得て、材料分子と膜表面との接触、溶解及び透過に役立ち、それにより膜のフラックスを向上させる。
【0008】
本発明の第一態様によれば、下地膜とMOFs機能層とを含み、前記MOFs機能層の構造は複数の互いに埋め込まれた多面体構造を含む、MOFs分離膜を提供する。
【0009】
本発明に記載の互いに埋め込まれた多面体構造は、ある多面体の一部の構造がそれに隣接するか又はそれに近い他の多面体構造の内部に挿入され、又は一つの多面体と周囲の一つ又は複数の多面体が一部の結晶格子を共用することを指す。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記多面体は複数の結晶格子で構成され、前記互いに埋め込まれた多面体構造において隣接する二つの多面体は結晶格子を共用する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記互いに埋め込まれた多面体構造において隣接する二つの多面体の中心の間の距離は該隣接する二つの多面体の長さの平均値Lより小さく、好ましくは0.95Lより小さく、より好ましくは0.2-0.9Lである。
【0012】
本発明において「平均値L」は二つの多面体の長さの和の二分の一を指し、例えば多面体Aの長さがLであり、多面体Bの長さがLであれば、L=(L+L)/2である。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層において少なくとも20%の多面体は互いに埋め込まれ、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の多面体は互いに埋め込まれる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記多面体は六面体構造及び/又は八面体構造を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記多面体の長さは50-2000nmである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記多面体は複数の結晶格子で構成され、ここで前記結晶格子は金属原子及び有機配位子で構成される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記金属原子はジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子又はコバルト原子から選択される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記有機配位子はテレフタル酸又はニトロテレフタル酸から選択される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記六面体の長さは50-1000nmであり、ここで長さが400-600nmの六面体の割合は50-80%である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記八面体の長さは200-2000nmであり、ここで長さが800-1200nmの八面体の割合は60-80%である。
【0021】
本発明に記載の「多面体の長さ」とは多面体の頂点の間の最大長さを指す。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記各八面体又は六面体は複数組のジルコニウム金属原子とテレフタル酸で形成された複数の結晶格子で構成される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層は一層又は複数層の互いに埋め込まれた多面体構造を含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層の孔径は金属原子と有機配位子で形成された結晶格子の平均サイズにより決定される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層の平均孔径は0.1-2.0nmであり、好ましくは0.30-0.96nmである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層の厚さは200-5000nmである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層の厚さは1000-5000nmである。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記下地膜はポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリ塩化ビニル膜又はポリテトラフルオロエチレン膜から選択される一種又は複数種である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記下地膜の孔径は10-10000nmであり、好ましくは50-5000nmであり、より好ましくは200-1000nmである。
【0030】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記下地膜は溶融紡糸延伸又は熱誘起相分離により製造された孔径が50nm-5000nmのポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリ塩化ビニル膜又はポリテトラフルオロエチレン膜である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs機能層はさらに補助機能層を含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記補助機能層は存在する可能性がある埋め込み八面体又は埋め込み六面体構造に完全に形成されていない箇所を補修する部分である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記有機ケイ素層は前記MOFs機能層の表面に位置する有機ケイ素層である
【0034】
本発明の第二態様によれば、
(1)第一有機溶剤、有機配位子、第一金属化合物、及び、水又は氷酢酸から選択される助剤を含む溶液を調製するステップと、
(2)下地膜を前処理し、その表面にステップ(1)での第一金属化合物中の金属原子を導入するステップと、
(3)ステップ(2)で前処理された後の下地膜とステップ(1)での溶液を混合して第一混合物を得て、前記第一混合物を加熱し、反応させ、MOFs分離膜を得るステップと、
(4)任意選択的に、前記分離膜を洗浄処理すれば、得られるステップと、を含むMOFs分離膜の製造方法を提供する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、前記第一有機溶剤、有機配位子及び第一金属化合物のモル比は(10-1000):(1-100):(1-100)である。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、前記第一有機溶剤、有機配位子及び第一金属化合物のモル比は(100-1000):(1-10):(1-10)である。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、前記第一有機溶剤、有機配位子及び第一金属化合物のモル比は(100-700):1:1であり、例えば100:1:1、200:1:1、250:1:1、300:1:1、350:1:1、420:1:1、450:1:1、550:1:1、610:1:1、650:1:1及びそれらの間の任意の値である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、前記第一有機溶剤、有機配位子及び第一金属化合物のモル比は(400-600):1:1である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、第一有機溶剤と助剤である水のモル比は100:(0.00-0.05)であり、例えば100:0.01又は100:0.03である。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(1)において水を助剤として採用し、製造された金属-有機フレーム材料の機能層は互いに埋め込まれた複数の八面体構造を含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、第一有機溶剤と助剤である氷酢酸のモル比は100:(20-60)であり、例えば100:25、100:30、100:40又は100:50である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(1)において氷酢酸を助剤として採用し、製造された金属-有機フレーム材料の機能層は互いに埋め込まれた複数の六面体構造を含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第一有機溶剤はN-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドから選択される一種又は複数種である。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記有機配位子はテレフタル酸及び/又はニトロテレフタル酸から選択される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第一金属化合物はジルコニウム化合物、ニオブ化合物、モリブデン化合物及びコバルト化合物から選択される一種又は複数種であり、好ましくは四塩化ジルコニウムである。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記下地膜はポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリ塩化ビニル膜又はポリテトラフルオロエチレン膜から選択される一種又は複数種である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記下地膜の孔径は10-10000nmであり、好ましくは50-5000nmであり、より好ましくは200-1000nmである。
【0048】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記下地膜は溶融紡糸延伸又は熱誘起相分離により製造された孔径が50nm-5000nmのポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリ塩化ビニル膜又はポリテトラフルオロエチレン膜である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2)は、
(2A-1)ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び第二金属化合物を含む溶液を調製するステップと、
(2A-2)ステップ(2A-1)の溶液を下地膜に塗布するステップとを含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ポリアクリル酸はポリアクリル酸及び部分加水分解ポリアクリル酸を含む。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2A-1)の溶液中のポリアクリル酸及びポリビニルアルコールの質量濃度は500-2000mg/Lである。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2A-1)の溶液中の前記ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールの合計と前記金属化合物とのモル比は1-3:1である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第二金属化合物中の金属原子はステップ(1)における第一金属化合物中の金属原子と同じであり、好ましくは前記第二金属化合物はジルコニウム化合物、ニオブ化合物、モリブデン化合物及びコバルト化合物から選択される一種又は複数種であり、好ましくは四塩化ジルコニウムである。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2A-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2A-1)で得られた溶液の体積との比は0.1-10m/Lであり、例えば0.8m/L、1.2m/L、1.5m/L、1.7m/L、2.3m/L、2.5m/L、2.7m/L、3.0m/L、3.5m/L、4.0m/L、4.5m/L、5.0m/L、5.5m/L、6.0m/L、6.5m/L、7.0m/L、7.5m/L、8.0m/L、8.5m/L、9.0m/L、9.5m/L、及びそれらの間の任意の値である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2A-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2A-1)で得られた溶液の体積との比は0.5-5m/Lである。
【0056】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ステップ(2A-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2A-1)で得られた溶液の体積との比は1-2m/Lである。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ステップ(2)は、具体的には、
(a)質量濃度が1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、混合後の溶液を得るステップと、
(b)(a)で生成された溶液を下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量の金属原子を付着させるステップとを含む。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2)は、
(2B-1)式Iに示す金属錯体及び第二有機溶媒を含む溶液を調製するステップと、
(2B-2)下地膜とステップ(2B-1)の溶液を混合するステップと、
(2B-3)第三溶剤を用いてステップ(2B-2)で混合された後の下地膜を洗浄するステップとを含む。
【0059】
【化1】
【0060】
式Iにおいて、Qはアミド基、カルボニル基又はC1-C6のアルキレン基から選択され、Rは水素、C1-C6のアルキル基、C1-C6のアルコキシ基又はハロゲンから選択され、Mはステップ(1)における第一金属化合物中の金属原子と同じであり、好ましくはMはジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子又はコバルト原子から選択され、mは5-20であり、nは1-10である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式Iにおいて、Qはアミド基から選択され、RはC3-C6のアルキル基から選択され、mは5-20であり、nは1-10である。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式Iに示す金属錯体は以下のとおりである。
【0063】
【化2】
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式Iに示す金属錯体は以下のとおりである。
【0065】
【化3】
【0066】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第二有機溶剤は下地膜を膨潤させることができる有機溶剤から選択される一種又は複数種であり、好ましくはC5-C10の脂肪族炭化水素、C1-C10のハロゲン化脂肪族炭化水素、C6-C20の芳香族炭化水素及びC6-C20のハロゲン化芳香族炭化水素から選択され、より好ましくはn-ペンタン、n-ヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン及びトルエンから選択される一種又は複数種である。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第三溶剤は膨潤後の下地膜を脱膨潤させることができる溶剤から選択される一種又は複数種であり、好ましくは水から選択される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2B-1)の溶液において、式Iに示す金属錯体の質量濃度は500-2000mg/Lである。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2B-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2B-1)で得られた溶液の体積との比は0.1-10m/Lであり、例えば0.8m/L、1.2m/L、1.5m/L、1.7m/L、2.3m/L、2.5m/L、2.7m/L、3.0m/L、3.5m/L、4.0m/L、4.5m/L、5.0m/L、5.5m/L、6.0m/L、6.5m/L、7.0m/L、7.5m/L、8.0m/L、8.5m/L、9.0m/L、9.5m/L、及びそれらの間の任意の値である。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2B-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2B-1)で得られた溶液の体積との比は0.5-5m/Lである。
【0071】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ステップ(2B-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2B-1)で得られた溶液の体積との比は1-2m/Lである。
【0072】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ステップ(2)は、具体的には、
(a)アクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体をn-ヘキサンに溶解し、質量濃度1000mg/Lで溶媒に溶解し、均一な溶液に調製するステップと、
(b)下地膜をステップ(a)の溶液に1-24時間浸漬し、取り出した後に脱イオン水に迅速に移して洗浄し、取り出して乾燥した後に改質後の下地膜を得て、この時に一部のアクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体は包埋された下地膜構造の表層に埋め込まれ、下地膜に一定量かつ安定したジルコニウム原子を導入するステップとを含む。
【0073】
【化4】
【0074】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2)は、
(2C-1)式IIに示す金属錯体を含む溶液を調製するステップと、
(2C-2)下地膜をステップ(2C-1)の溶液と混合して混合物を得て、マイクロ波放射条件下で前記混合物を重合反応させるステップとを含む。
【0075】
【化5】
【0076】
式IIにおいて、Xはアミド基、カルボニル基又はC1-C6のアルキレン基から選択され、R、R及びRは同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、C1-C6のアルキル基、C1-C6のアルコキシ基又はハロゲンから選択され、Mはステップ(1)における第一金属化合物中の金属原子と同じであり、好ましくはMはジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子又はコバルト原子から選択される。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式IIにおいて、Xはアミド基から選択され、R、R及びRは同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、C1-C3のアルキル基から選択される。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式IIに示す金属錯体は以下のとおりである。
【0079】
【化6】
【0080】
本発明のいくつかの実施形態によれば、式IIに示す金属錯体は以下のとおりである。
【0081】
【化7】
【0082】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-1)における金属錯体の溶液は金属錯体の水溶液である。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-1)の溶液において、式IIに示す金属錯体の質量濃度は500-20000mg/Lである。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2C-1)で得られた溶液の体積との比は0.1-10m/Lであり、例えば0.8m/L、1.2m/L、1.5m/L、1.7m/L、2.3m/L、2.5m/L、2.7m/L、3.0m/L、3.5m/L、4.0m/L、4.5m/L、5.0m/L、5.5m/L、6.0m/L、6.5m/L、7.0m/L、7.5m/L、8.0m/L、8.5m/L、9.0m/L、9.5m/L、及びそれらの間の任意の値である。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2C-1)で得られた溶液の体積との比は0.5-5m/Lである。
【0086】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、ステップ(2C-2)において、前記下地膜の表面積とステップ(2C-1)で得られた溶液の体積との比は1-2m/Lである。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-2)において、前記マイクロ波放射のマイクロ波強度は500-2000μw/cmである。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(2C-2)において、前記マイクロ波放射のマイクロ波周波数は1000-200000Hzである。
【0089】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ステップ(2)は、具体的には、
(a)アクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体を水溶液に溶解し、グラフト重合液を調製するステップと、
(b)下地膜をステップ(a)で調製されたグラフト重合液に浸漬するステップと、
(c)一定の強度のマイクロ波放射下で放射線グラフト重合を行い、下地膜上のメチル生成ラジカルとグラフト重合液中のアクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体中の二重結合とのグラフト重合反応を発生させ、それにより改質された下地膜を得て、かつ表面にジルコニウム原子を導入するステップとを含む。
【0090】
【化8】
【0091】
本発明において、下地膜を前処理した後、一方では下地膜に金属原子を導入することができ、MOFs機能層と下地膜を堅固に結合させ、他方では下地膜に導入された金属原子は後続のin-situ成長によるMOFs機能層の形成に金属ノードを提供することができ、MOFs機能層の成長過程において、互いに埋め込まれた構造が出現し、したがって欠陥の発生を回避する。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(3)において、前記ステップ(2)で前処理された後の下地膜の表面積とステップ(1)で得られた溶液の体積との比は(0.01-100)m/Lであり、好ましくは(0.01-10)m/Lであり、より好ましくは0.5-2m/Lである。
【0093】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)において、下地膜をステップ(1)で得られた溶液に添加する前に、それに対して以下の処理を行うことができる。順に水及び有機溶剤を用いて下地膜(又は製造された膜モジュール)の表面を洗浄し、乾燥し、前記有機溶剤は好ましくはエタノール、メタノール又はアセトンであり、好ましくは、下地膜(又は製造された膜モジュール)を水で2回洗浄し、有機溶剤で2回洗浄し乾燥する。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(3)は、
前記第一混合物を加熱し、有機配位子と金属化合物を反応させ、前記下地膜の表面にMOFs材料を生成すれば、前記分離膜が得られることを含む。
【0095】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)において、反応温度は50-300℃であり、好ましくは、反応温度は100-200℃である。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)において、反応圧力は0.01-0.5MPa(ゲージ圧)であり、好ましくは、反応圧力は0.05-0.1MPa(ゲージ圧)である。
【0097】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)において、反応時間は1-100hであり、例えば5h、17h、20h、25h、27h、30h、40h、50h、60h、70h、80h、90h及びそれらの間の任意の値である。
【0098】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)において、反応時間は10-72hであり、好ましくは15-30hである。
【0099】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(3)は不活性ガス雰囲気下で行うことができ、好ましくは不活性ガスは窒素ガスである。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)において、分離膜を取り出し(又は膜モジュールにおける重合溶液を排出する)、有機溶剤及び水を用いて重合後の膜表面を複数回洗浄し、完全に反応されていないモノマー及び溶剤を除去し、MOFs有機ガス分離膜(又は膜モジュール)が得られ、膜表面を洗浄する有機溶剤はエタノール、メタノール又はアセトンを含み、好ましくは、分離膜を水で2回洗浄し、有機溶剤で2回洗浄し乾燥する。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明のMOFs分離膜を製造する方法はさらに、
(5)前記ステップ(3)又は(4)で得られたMOFs分離膜に対して一回又は複数回の補修処理を行うステップを含み、好ましくは前記補修処理は、
(A)MOFs分離膜を第一有機溶剤、有機配位子、第一金属化合物、及び、水又は氷酢酸から選択される助剤を含む溶液と混合し、第二混合物を得ること、
(B)前記第二混合物を加熱し、反応させ、MOFs分離膜を得ること、
(C)任意選択的に、前記分離膜を洗浄処理すれば、得られることを含む。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(A)は、
(A1)第一有機溶剤、有機配位子、第一金属化合物、及び、水又は氷酢酸から選択される助剤を含む溶液を調製すること、
(A2)ステップ(2)又は(3)で得られたMOFs分離膜をステップ(A1)で得られた溶液に添加し、第二混合物を得ることを含む。
【0103】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(A)における第一有機溶剤、有機配位子及び第一金属化合物のモル比は(10-1000):(1-100):(1-100)であり、好ましくは(100-1000):(1-10):(1-10)であり、より好ましくは(100-700):1:1であり、例えば100:1:1、200:1:1、250:1:1、300:1:1、350:1:1、400:1:1、420:1:1、550:1:1又は600:1:1、1、650:1:1及びそれらの間の任意の値である。
【0104】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(A)において、第一有機溶剤と助剤である水のモル比は100:(0.00-0.05)であり、例えば100:0.01又は100:0.03である。
【0105】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(A)において、第一有機溶剤と助剤である氷酢酸のモル比は100:(20-60)であり、例えば100:25、100:30、100:40又は100:50である。
【0106】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(A2)において、前記MOFs分離膜の表面積とステップ(A1)の溶液の体積との比は(0.01-100)m/Lであり、好ましくは(0.01-10)m/Lであり、より好ましくは1m/Lである。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(B)は、
前記第二混合物を加熱し、有機配位子と第一金属化合物を反応させ、前記MOFs有機ガス分離膜の表面にMOFs材料を生成し続ければ、得られることを含む。
【0108】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(B)において、反応温度は50-300℃であり、反応圧力は0.01-0.5MPa(ゲージ圧)であり、反応時間は1-100hである。
【0109】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(B)において、反応温度は100-200℃であり、反応圧力は0.05-0.1MPa(ゲージ圧)であり、反応時間は5-50hである。
【0110】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(B)において、反応時間は10-20hである。
【0111】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ステップ(B)は不活性ガス雰囲気下で行うことができ、好ましくは不活性ガスは窒素ガスである。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(C)において、分離膜を取り出し(又は膜モジュールにおける重合溶液を排出する)、有機溶剤及び水を用いて重合後の膜表面を複数回洗浄し、完全に反応されていないモノマー及び溶剤を除去し、MOFs有機ガス分離膜(又は膜モジュール)が得られ、膜表面を洗浄する有機溶剤はエタノール、メタノール又はアセトンを含み、好ましくは、分離膜を水で2回洗浄し、有機溶剤で2回洗浄し乾燥する。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明のMOFs分離膜を製造する方法はさらに、シラン塗布液をステップ(3)又は(4)又は(B)又は(C)で製造されたMOFs分離膜の表面に塗布し、前記シラン塗布液が塗布されたMOFs分離膜を加熱し、シラン塗布液に架橋反応を発生させれば、有機ケイ素層を含むMOFs分離膜を製造するステップを含む。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態によれば、浸漬塗布、ブレード塗布などの方法により、シラン塗布液をステップ(4)又はステップ(C)で製造されたMOFs分離膜の表面に塗布することにより、MOFs分離膜の表面に厚さが1-100ミクロン、好ましくは25ミクロンのシラン塗布液を被覆する。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記架橋反応の温度は50-300℃であり、好ましくは50-200℃であり、より好ましくは150℃であり、時間は0.1-20hであり、好ましくは0.1-10hであり、より好ましくは0.5hである。
【0116】
架橋反応後、MOFs有機ガス分離膜の表面に架橋されたシラン保護層が形成されている。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記シラン塗布液の製造は、
S1、シラン、架橋剤及び有機溶剤を混合して溶解し、混合液を得るステップと、
S2、前記混合液に触媒を添加し、それに予備架橋を行わせ、シラン塗布液を得るステップとを含む。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップS1においてシラン、架橋剤及び有機溶剤の比率は(0.1-10):(0.1-10):(90-100)であり、好ましくは(1-10):(1-10):(90-100)であり、より好ましくは9:1:90である。
【0119】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記シランはシロキサン材質のモノマーであってもよく、ジメチルシロキサン、硬化シリコーンゴム、硫化シリコーンゴムの一種又は複数種を任意の比率で混合することを含み、及び/又は、前記架橋剤はオルトケイ酸テトラエチル又はテトラメトキシシランを含み、及び/又は、前記有機溶剤はヘプタン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、キシレン及びヘキサンのうちの少なくとも一種を含み、好ましくはn-ヘキサンである。
【0120】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記触媒はジラウリン酸ジブチルすずなどの有機錫系触媒又はチタン酸テトラブチルなどのチタン錯体系触媒であってもよい。前記触媒の使用量は0.01-1wt%であり、好ましくは0.01-0.1wt%である。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップS2における予備架橋の時間は1-48hであり、好ましくは10-30hであり、より好ましくは24hであり、及び/又は、シラン塗布液の粘度は100-50000mPa・sであり、好ましくは100-5000mPa・sであり、より好ましくは2000mPa・sである。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明のMOFs分離膜を製造する方法はさらに以下のステップを含む。
製造されたMOFs分離膜をアルカリ液に添加して処理して孔径調整を行い、調整過程は一部のジルコニウム原子と有機物の化学結合を断裂させ、機能層の透過性及び内部結晶格子の貫通性を増加させ、所望の分離孔径及びより適切なフラックスを取得する。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アルカリ液は好ましくはpHが9-13の水酸化ナトリウム溶液である。前記添加過程は撹拌に伴い、撹拌して得られた流速は0.01-1m/sであり、好ましくは0.1m/sである。時間は、10-120minであり、好ましくは30-60minである。
【0124】
本発明の第三態様によれば、第二態様に記載のMOFs分離膜の製造方法で製造されたMOFs分離膜を提供する。
【0125】
本発明の第四態様によれば、第一態様に記載のMOFs分離膜又は第二態様に記載の方法で製造されたMOFs分離膜の有機物分離における応用を提供する。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs分離膜はベンゼン、トルエン、キシレンなどのベンゼン系有機物に用いることができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記MOFs分離膜はメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、イソペンタンなどのアルカン及びエチレン、プロピレン、アセチレン、ブテン、スチレンなどの不飽和アルカン系ガス及びその揮発ガスと窒素ガス、空気との分離に用いることができる。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記分離は一段又は多段膜分離であってもよい。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ヘリウムガス精製分離において、前記MOFs分離膜は深冷、脱水素、脱酸素プロセスと連用することができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態によれば、オレフィンアルカン分離において、前記MOFs分離膜は深冷、精留、PSAと連用することができる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態によれば、有機ガス分離の分野において、前記MOFs分離膜は凝縮、吸着、吸収などの技術開発セットプロセスを行うことができる。
【0132】
従来の技術に比べて、本発明の提供するMOFs分離膜及びMOFs分離膜の製造方法は、以下の利点を有する。
【0133】
(1)製造プロセスが簡単であり、操作しやすく、コストが低い。
【0134】
(2)製造されたMOFs機能層は優れた耐化学溶解性、耐高温性及び高い機械的強度を有する。
【0135】
(3)MOFs機能層において多面体が互いに埋め込まれ、下地膜の表面に広がり、緻密で連続的であり、厚さが薄く、孔径分布が均一であり、それにより膜は大きなフラックスを有し及び分離係数が高い。
【0136】
(4)有機ケイ素保護層は疎水性及び通気性を有し、水蒸気、粒子状物質のMOFs機能層への損傷を回避することができる。
【0137】
(5)本発明に記載の方法を採用して高性能有機ガス分離膜を製造すれば、以上の優れた性能を有するため、石油化学、生物、医薬、エネルギー、環境保護などの分野で良好な応用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
図1】実施例1で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図2】実施例5で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図3】実施例9で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図4】実施例13で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図5】実施例21で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図6】比較例1におけるポリフッ化ビニリデン(PVDF)基材を前駆体溶液に浸漬した後の写真である。
図7】比較例2におけるポリフッ化ビニリデン(PVDF)基材を前駆体溶液に浸漬した後の写真である。
図8】比較例3で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図9】比較例4で製造されたMOFs有機ガス分離膜の表面の電子顕微鏡図を示す。
図10】膜性能試験装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0139】
以下に実施例により本発明をさらに説明するが、本実施例に限定されるものではない。
【0140】
特に説明しない限り、実施例に使用された原料はいずれも市販されるものであり、言及された化学用品は特に説明しない限り、いずれも従来の技術に共通の化学用品である。
【0141】
(1)実施例におけるアクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体の構造式は以下のとおりである。
【0142】
【化9】
【0143】
製造方法:47gのアクリル酸を秤量して250gの脱イオン水に溶解し、NaOH溶液でpH値を7-9に調節する。50gの脱イオン水を取り、12gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び8.9gのノニルフェノールエトキシレート(NP)を添加し、均一に撹拌し続けながら3gのt-ブチルアクリルアミドモノマーを滴下し、均一で安定した澄明な溶液を形成する。二つの溶液を混合した後、断熱重合釜に入れ、窒素ガスを導入して酸素を約10分間除去した後、酸化還元開始剤である過硫酸アンモニウム-亜硫酸水素ナトリウム(二種類の試薬をそれぞれ固体純品0.05gを、1%の脱イオン水溶液に調製して添加する)を添加し、溶液が粘稠になった後に通気を停止して自然昇温反応させる。6-8時間後に反応が終了し、生成物のハイドロゲルを剪断し、50℃で乾燥し、粉砕し、アクリル酸-t-ブチルアクリルアミド共重合体を得る。共重合体を一定の濃度で水に溶解し、酢酸ジルコニウム塩を添加すれば、上記ポリアクリル酸錯体ジルコニウム-t-ブチルアクリルアミド共重合体を得ることができる。
【0144】
(2)実施例におけるアクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体の構造式は以下のとおりである。
【0145】
【化10】
【0146】
製造方法:120gのアクリル酸を秤量して80gの脱イオン水に溶解し、NaOH溶液でpH値を7-9に調節する。20の脱イオン水を取り、6gのメチレンビスアクリルアミドを添加し、均一で安定した澄明な溶液を形成する。95gの工業5#ホワイトオイルを取り、適量の7.65gのSpan80及び10gのTween80を添加し、撹拌して安定した均一溶液を形成する。第一部の水相と油相を混合し、乳化機で乳化して安定した逆相エマルジョンを形成し、重合釜に置いて降温する。まず過硫酸アンモニウム開始剤溶液を添加し、過硫酸アンモニウム0.05gを、1%の脱イオン水溶液に調製する。均一に撹拌しかつ窒素ガスを導入して保護しながら、亜硫酸水素ナトリウム溶液(0.05gの純粋な固体を、1%の脱イオン水溶液に調製する)及び第二部のメチレンビスアクリルアミド溶液を徐々に滴下する。反応はわずかな発熱現象がある。滴下終了後、撹拌を2時間継続した。その後にエマルジョンを取り出し、イソプロパノール/アセトンを注ぎ、白色沈殿を生成する。沈殿物を遠心分離した後にエタノールで洗浄し、アクリル酸とメチレンビスアクリルアミドの共重合体を得る。共重合体を水に溶解し、酢酸ジルコニウムを加えて、上記共重合体を得る。
【0147】
試験方法
文献(中空繊維複合膜の有機蒸気/窒素ガス分離システムの研究、何春紅、天津大学、2005)に記載の分析方法を採用して窒素ガス/有機蒸気混合ガスに対して膜分離性能試験を行い、試験装置は図10に示すとおりである。
【0148】
ガス分離膜の典型的な構造は、多孔質支持体上に極薄の緻密層が被覆されているものである。緻密層の実際の厚さを正確に測定しにくく、したがって、透過係数と膜の有効厚さは常に組み合わせて使用され、それらの比は浸透速度と呼ばれ、以下の式で計算される。
【0149】
【数1】

【0150】
上式において、Jはガスi成分の浸透速度であり、単位はmol/(m・s・Pa)である。Pはガスi成分の浸透係数であり、単位はmol・m/(m・s・Pa)である。lは膜の有効厚さであり、単位はmである。Qは浸透ガスにおけるi成分の標準状況でのモル流量であり、単位はmol/sである。Δpは浸透圧力差であり、単位はPaである。Aは膜面積であり、単位はmである。
【0151】
分離係数αは、以下の式で計算される。
【0152】
【数2】
【0153】
[実施例1]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を400:1:1:0.01のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0154】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0155】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させ、前処理後の下地膜を得る。
【0156】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0157】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0158】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図1に示すとおり、図1から分かるように、製造された膜のMOFs機能層は互いに埋め込まれた八面体結晶で構成され、それは下地膜の表面に広がり、緻密で連続し、表面粗さが高く、下地膜が完全に被覆され、機能層の欠陥が少ない。
【0159】
膜の性能試験データは表1に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは4.828×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.301×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は16.03であることを示す。
【0160】
[実施例2]
実施例1との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0161】
膜の性能試験データは表1に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは2.01×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.18×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は11.17であることを示す。
【0162】
[実施例3]
実施例1との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0163】
膜の性能試験データは表1に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは10.41×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは1.206×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は8.63であることを示す。
【0164】
[実施例4]
実施例1との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が10平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0165】
膜の性能試験データは表1に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは17.733×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは1.909×10-6mol/(m・s・Pa)であり、窒素ガス/プロピレン分離係数は9.29であることを示す。
【0166】
【表1】
【0167】
[実施例5]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を400:1:1:0.01のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0168】
(2)下地膜の前処理
(a)アクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体をn-ヘキサンに溶解し、質量濃度1000mg/Lでn-ヘキサンに溶解し、均一な溶液に調製する。
【0169】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液に入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に2時間浸漬し、取り出した後に脱イオン水に迅速に移して洗浄し、取り出して乾燥した後に改質後の下地膜を得て、この時に一部のアクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体は包埋された下地膜構造の表層に埋め込まれ、下地膜に一定量かつ安定したジルコニウム原子を導入する。
【0170】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、200℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0171】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0172】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0173】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図2に示すとおりである。
【0174】
膜の性能試験データは表2に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.521×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.088×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は17.28であることを示す。
【0175】
[実施例6]
実施例5との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0176】
膜の性能試験データは表2に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.01×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.12×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は8.42であることを示す。
【0177】
[実施例7]
実施例5との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0178】
膜の性能試験データは表2に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは2.89×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.188×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は15.37であることを示す。
【0179】
[実施例8]
実施例5との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が10平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0180】
膜の性能試験データは表2に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは3.50×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.215×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は16.28であることを示す。
【0181】
【表2】
【0182】
[実施例9]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を100:1:1:0.001のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0183】
(2)下地膜の前処理
(a)アクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体を溶液に溶解し、質量濃度1000mg/Lで水に溶解してグラフト重合液を調製する。
【0184】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液に入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬し、1000μw/cmの強度周波数が1000-200000Hzであるマイクロ波放射で2h放射線グラフト重合を行い、ポリプロピレン微孔性膜上のメチル基生成ラジカルとグラフト重合液中のアクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体中の二重結合とのグラフト重合反応を発生させ、それにより改質された下地膜を得て、かつ表面にジルコニウム原子を導入する。
【0185】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、200℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0186】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0187】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0188】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図3に示すとおりである。
【0189】
膜の性能試験データは表3に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.41×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.047×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は30.00であることを示す。
【0190】
[実施例10]
実施例9との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0191】
膜の性能試験データは表3に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.341×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.0114×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は29.91であることを示す。
【0192】
[実施例11]
実施例9との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0193】
膜の性能試験データは表3に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.884×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.074×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は25.46であることを示す。
【0194】
[実施例12]
実施例9との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が10平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0195】
膜の性能試験データは表3に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは2.984×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.121×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は24.66であることを示す。
【0196】
【表3】
【0197】
[実施例13]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び氷酢酸を400:1:1:150のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0198】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0199】
(b)孔径が500nmのポリエチレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させる。
【0200】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、200℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0201】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0202】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0203】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図4に示すとおりである。
【0204】
膜の性能試験データは表4に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.896×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.047×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は19.06であることを示す。
【0205】
[実施例14]
実施例13との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0206】
膜の性能試験データは表4に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.288×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.0095×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は30.32であることを示す。
【0207】
[実施例15]
実施例13との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0208】
膜の性能試験データは表4に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.208×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.1659×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は7.28であることを示す。
【0209】
[実施例16]
実施例13との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が10平方メートルの膜にステップ(a)に記載の製造用溶液を1L塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布することのみである。
【0210】
膜の性能試験データは表4に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.48×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.2659×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は5.57であることを示す。
【0211】
【表4】
【0212】
[実施例17]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び氷酢酸を200:1:1:100のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0213】
(2)下地膜の前処理
(a)アクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体をn-ヘキサンに溶解し、質量濃度1000mg/Lでn-ヘキサンに溶解し、均一な溶液に調製する。
【0214】
(b)孔径が500nmのポリエチレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が10平方メートルの膜を1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液に入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に10時間浸漬し、取り出した後に脱イオン水に迅速に移して洗浄し、取り出して乾燥した後に改質後の下地膜を得て、この時に一部のアクリル酸-N-tert-ブチルアクリルアミド/ジルコニウム錯体は包埋された下地膜構造の表層に埋め込まれ、下地膜に一定量かつ安定したジルコニウム原子を導入する。
【0215】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、200℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0216】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0217】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0218】
膜の性能試験データは表5に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは2.468×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.115×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は21.46であることを示す。
【0219】
[実施例18]
実施例17との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0220】
膜の性能試験データは表5に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.3008×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.0184×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は16.35であることを示す。
【0221】
[実施例19]
実施例17との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0222】
膜の性能試験データは表5に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.241×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.038×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は32.66であることを示す。
【0223】
[実施例20]
実施例17との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬することのみである。
【0224】
膜の性能試験データは表5に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは2.198×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.087×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は25.26であることを示す。
【0225】
【表5】
【0226】
[実施例21]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び氷酢酸を1000:1:1:500のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0227】
(2)下地膜の前処理
(a)アクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体を溶液に溶解し、質量濃度1000mg/Lで純水に溶解してグラフト重合液を調製する。
【0228】
(b)孔径が500nmのポリエチレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液に入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬し、1000μw/cmの強度周波数が1000-200000Hzであるマイクロ波放射で2h放射線グラフト重合を行い、ポリプロピレン微孔性膜上のメチル基生成ラジカルとグラフト重合液中のアクリル酸-N-ジプロペニルエナミン/ジルコニウム錯体中の二重結合とのグラフト重合反応を発生させ、それにより改質された下地膜を得て、かつ表面にジルコニウム原子を導入する。
【0229】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、200℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0230】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0231】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0232】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図5に示すとおりである。
【0233】
膜の性能試験データは表6に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.889×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.042×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は21.17であることを示す。
【0234】
[実施例22]
実施例21との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が0.1m/Lになる(即ち、表面が0.1平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0235】
膜の性能試験データは表6に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは0.152×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.0112×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は13.57であることを示す。
【0236】
[実施例23]
実施例21との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が5m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0237】
膜の性能試験データは表6に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.055×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.087×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は12.13であることを示す。
【0238】
[実施例24]
実施例21との相違点は、ステップ(2)の下地膜の前処理において、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が10m/Lになる(即ち、表面が5平方メートルの膜をステップ(a)に記載の製造用溶液1Lに入れる)ように、乾燥後の下地膜を(a)に記載の製造用溶液に浸漬して放射線グラフト重合を行うことのみである。
【0239】
膜の性能試験データは表6に示すとおり、該膜の性能試験データは、プロピレンと窒素ガスの混合ガスでは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.386×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.114×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は12.16であることを示す。
【0240】
【表6】
【0241】
[実施例25-29]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を50:1:1:0.0005、100:1:1:0.001、200:1:1:0.002、500:1:1:0.005、1000:1:1:0.001のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0242】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0243】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させる。
【0244】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0245】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0246】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0247】
実施例25-29で製造された分離膜にn-ヘキサンガスと窒素ガスの分離係数及び膜フラックス試験を行い、膜の性能試験データは表7に示すとおりである。
【0248】
【表7】
【0249】
表7のデータから分かるように、配合成分におけるモノマー含有量の比重の減少(濃度の低下)に伴い、製造された分離膜の窒素ガス/n-ヘキサンの分離係数は増加する傾向を示し、34から51まで上昇し、フラックスもわずかに向上し、1.5×10-6mol/(m・s・Pa)から3×10-6mol/(m・s・Pa)に近づくまで上昇する。これは主にモノマー濃度の低下に伴い、in-situ重合反応がより規則的となり、形成された機能層構造がより緻密になり、欠陥がより少なく結晶化度がより高く、これは分離係数の向上に役立つ。モノマー濃度が高い時に反応速度が速く、配位子濃度が高いため、オリゴマー及び凝集現象を形成しやすく、結晶構造が緩むがオリゴマーがチャネルを閉塞し、分離係数及びフラックスがいずれも低下する。実施例29は、すなわち配合比が1000:1:1:0.01である場合、分離係数が10未満に急激に低下し、フラックスが10×10-6mol/(m・s・Pa)を超える。これはモノマー濃度が低すぎると、MOFs機能層に多くの欠陥が発生し、フラックスが大きく増加し、該膜の分離性能も長期に保持することができないことを示す。
【0250】
[実施例30-37]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を500:1:1:0.005のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0251】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0252】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させる。
【0253】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を6h、12h、18h、24h、30h、36h、42h、48h行い、分離膜を得る。
【0254】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0255】
(5)ステップ(4)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0256】
実施例30-37で製造された分離膜にn-ヘキサンガスと窒素ガスの分離係数及び膜フラックス試験を行い、膜の性能試験データは表8に示すとおりである。
【0257】
【表8】
【0258】
表8のデータから分かるように、反応時間が12hから24hまで増加すると、MOFs分離膜の分離係数が30から50まで迅速に向上し、MOFs機能層の形成により膜が窒素ガス/n-ヘキサンに対する分離効果を有することが分かる。また、ガス浸透フラックスを3.0×10-6mol/(m・s・Pa)以上の高いレベルに維持することができる。機能層は孔径分布が均一で孔隙率が極めて大きいUIO-66で構成され、その結晶格子孔径が0.6ナノメートルであり、n-ヘキサン分子サイズよりも僅かに小さいため、機能層はn-ヘキサン分子の通過を阻止するが、窒素分子直径が3.4-3.6ナノメートルであり、MOFs膜を通過することができるため、フラックスが非常に高い。
【0259】
反応時間のさらなる増加に伴って分離係数は52で安定するが、フラックスは徐々に低下し、反応時間が48hになると、フラックスは1.5×10-6mol/(m・s・Pa)以下に低下する。これは反応が24hで連続的で緻密な分離層を形成することができることを示す。さらに反応時間を増加させると、機能層の厚さのみを増加させ、さらに一部のオリゴマー、モノマー、溶剤が機能層に包まれて膜孔を閉塞し、浸透フラックスの低下をもたらす。したがって、最適な反応時間は18-24hとなる。分離係数が50に達する場合、窒素ガスの浸透フラックスは3.1×10-6mol/(m・s・Pa)を超え、現在のシリコーンゴム系有機ガス分離膜のフラックスの10-15倍であり、輸入品ポリイミド水素ガス分離膜の30倍以上である。
【0260】
[実施例38]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を400:1:1:0.01のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0261】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0262】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させる。
【0263】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0264】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0265】
(5)ステップ(4)で製造されたMOFs有機ガス分離膜をN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を含む溶液と混合し、第二混合物を得て、ここでN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水のモル比は400:1:1:0.01であり、膜表面積とN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を含む溶液との比率は0.5m/Lである。
【0266】
(6)ステップ(5)で得られた第二混合物を120℃で加熱反応させ、反応時間は12hであり、分離膜を得る。
【0267】
(7)ステップ(6)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0268】
該膜の性能試験データは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは3.120×10-6mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.089×10-6mol/(m・s・Pa)のみであり、窒素ガス/プロピレン分離係数は35.05であることを示す。
【0269】
[実施例39]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を400:1:1:0.01のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0270】
(2)下地膜の前処理
(a)質量濃度1000mg/Lのポリアクリル酸、部分加水分解ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール及び四塩化ジルコニウムをモル比2:1で混合し、1h撹拌した後、反応後の溶液を得る。
【0271】
(b)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(a)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜に1Lのステップ(a)に記載の製造用溶液を塗布する)ように、(a)で生成された溶液を乾燥後の下地膜の表面に塗布し、さらに乾燥することにより、下地膜の表面に一定量のジルコニウム原子を付着させる。
【0272】
(3)前処理後の下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、前処理後の下地膜をMOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0273】
(4)ステップ(3)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0274】
(5)ステップ(4)で製造されたMOFs有機ガス分離膜をN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を含む溶液と混合し、第二混合物を得て、ここでN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水のモル比は400:1:1:0.01であり、膜表面積とN-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を含む溶液との比率は0.5m/Lである。
【0275】
(6)ステップ(5)で得られた第二混合物を120℃で加熱反応させ、反応時間は12hであり、分離膜を得る。
【0276】
(7)シロキサン塗布:
室温のヒドロキシシラン、オルトケイ酸テトラエチル、n-ヘキサンを1:0.2:8.8の割合で混合し、24h高速撹拌した後に溶解し、0.01%のジラウリン酸ジブチルすずを添加し、5h予備架橋を行い、粘度が100mPa・sのシラン塗布液を得る。次に、ステップ(6)で製造されたMOFs有機ガス分離膜をシラン塗布液に浸潤し、100s静置した後に取り出し、塗布液の厚さは5-10ミクロンである。
【0277】
(8)熱架橋:塗布後の有機ガス分離膜を80℃で1h熱架橋し、最終的に三層構造を有する有機ガス分離膜を得る。
【0278】
該膜の性能試験データは、0.1Mpaでの窒素ガスのフラックスは1.086×10-7mol/(m・s・Pa)に達することができるが、プロピレンガスのフラックスは0.03298×10-7mol/(m・s・Pa)であり、窒素ガス/プロピレン分離係数は32.92であることを示す。
【0279】
[比較例1]
(1)前駆体溶液の調製
0.42gの塩化ジルコニウム、0.30gのテレフタル酸を67.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、32μLの脱イオン水を添加し、撹拌及び超音波を採用して試薬を十分に溶解させ、澄明な前駆体溶液を水熱釜に移す。
【0280】
(2)熱処理
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の中空繊維膜を固定フレームで調製された前駆体溶液に垂直に浸漬し、120℃の恒温条件下で72h熱処理する。熱処理の過程において、中空繊維膜はいずれも前駆体溶液に溶解し、分離膜の製造をさらに完了することができない。
【0281】
反応後の下地膜及び溶液の状況は図6に示すとおりである。
【0282】
[比較例2]
(1)MOFs膜の製造に必要な前駆体溶液
実施例1と同じである。
【0283】
(2)下地膜の前処理
(a)実施例1と同じである。
【0284】
(b)孔径が500nmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜を採用し、その他は実施例1と同じである。120℃の恒温条件下で72h熱処理する。熱処理の過程において、中空繊維膜は前駆体溶液に溶解し、分離膜の製造をさらに完了することができない。
【0285】
反応後の下地膜及び溶液の状況は図7に示すとおりである。
【0286】
[比較例3]
(1)前駆体溶液の調製
0.42gの塩化ジルコニウム、0.30gのテレフタル酸を67.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、32μLの脱イオン水を添加し、撹拌及び超音波を採用して試薬を十分に溶解させ、澄明な前駆体溶液を水熱釜に移す。
【0287】
(2)熱処理
孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を固定フレームで調製された前駆体溶液に垂直に浸漬し、120℃の恒温条件で72h熱処理し、熱処理が完了した後、自然冷却する。
【0288】
(3)超音波処理
得られた膜を取り出し5s超音波処理し、結合力が低い粒子を除去し、種結晶付きの基板を得る。
【0289】
(4)連続膜の形成
種結晶が堆積された基板を(2)と同様の方式で二回熱処理し、連続的な膜を得て、膜をまずDMFで洗浄し、さらにメタノールで洗浄し、室温で乾燥する。
【0290】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図8に示すとおり、図8から分かるように、製造された膜のMOFs機能層における各八面体構造は互いに独立して存在しており、互いに埋め込まれた構造が形成されていない。
【0291】
[比較例4]
(1)MOFs膜の製造に必要な溶液
N-メチルピロリドン、テレフタル酸、四塩化ジルコニウム及び純水を400:1:1:0.01のモル比で混合しかつ十分に撹拌し、MOFs膜の製造に必要な溶液を得る。
【0292】
(2)孔径が500nmのポリプロピレン中空繊維下地膜を水で洗浄、エタノールで洗浄しかつ乾燥した後、下地膜の表面積と(1)に記載の溶液との比率が1m/Lになる(即ち、表面が1平方メートルの膜を1Lのステップ(1)に記載のMOFs製造用溶液に入れる)ように、MOFs製造用溶液に浸漬し、第一混合物を得て、窒素ガスを導入して保護し、120℃で、in-situ成長反応を24h行い、分離膜を得る。
【0293】
(3)ステップ(2)で得られた分離膜を取り出し、膜表面の未反応のモノマー及び溶媒を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0294】
(4)ステップ(3)に記載の分離膜を洗浄すれば、MOFs有機ガス分離膜を得る。
【0295】
製造された膜の表面の電子顕微鏡図は図9に示すとおり、図9から分かるように、下地膜の前処理を行わない場合、下地膜にいくつかの不連続な結晶が付着し、結晶は複数の八面体で一体に凝集して構成され、連続的な構造が形成されていない。
【0296】
本発明の如何なる限定、典型的な実施例を参照することにより本発明を説明したが、ここで使用される単語は説明的及び解釈的な語彙であり、限定的な語彙ではないと理解すべきである。規定に応じて本発明の請求項の範囲内に本発明を修正し、及び本発明の範囲及び精神から逸脱しない範囲内に本発明を修正することができる。ここで説明された本発明は特定の方法、材料及び実施例に関するが、本発明がその中に開示された特定の例に限定されることを意味するものではなく、逆に、本発明は他の全ての同じ機能を有する方法及び応用に拡張することができる。
【0297】
図面の簡単な説明
1.パージガス
2.供給ガス
3.温度センサ
4.湿度センサ
5.膜モジュール
6.圧力計
7.ガスクロマトグラフ
8.石鹸膜流量計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10