IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ アンペア エス.ア.エス.の特許一覧

特許7642069車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム
<>
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム 図1
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム 図2
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム 図3
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250228BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20250228BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250228BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20250228BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250228BHJP
【FI】
G08G1/00 Z
G08G1/00 X
G08G1/123 A
G08G1/16 A
G01C21/34
G06Q50/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023529140
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 IB2021000421
(87)【国際公開番号】W WO2022269303
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 英明
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112633971(CN,A)
【文献】特開2019-175403(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189952(WO,A1)
【文献】特開2006-252065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/145747(WO,A1)
【文献】特開2021-092885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
G01C 21/26 ~ 21/36
G06Q 50/10
G06Q 50/40 ~ 50/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車希望者の求めに応じて停車し、前記乗車希望者を乗車させる車両を制御する車両制御装置であって、
前記乗車希望者を乗車させるために前記車両を停車させる停車地について、候補地を抽出する停車候補地抽出部と、
前記乗車希望者が前記候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算する第1移動時間演算部と、
前記車両が前記候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算する第2移動時間演算部と、
前記第1移動時間と前記第2移動時間に基づいて、前記候補地における前記車両の待機時間を演算する待機時間演算部と、
前記候補地における前記車両の停車が許容される時間であって前記候補地について予め定められた許容停車時間を取得し、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるときに前記候補地を前記停車地に決定する停車地決定部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記乗車希望者を含む人を検出する人検出部と、
検出された前記人の中から、前記人の挙動に基づいて、前記乗車希望者を認識する乗車希望者認識部と、
をさらに備える車両制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両制御装置であって、
前記候補地は、前記第1移動時間が予め定められた所定時間以下となるように抽出される、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記所定時間は、前記乗者希望者ごとに定められ、前記乗車希望者が許容する移動時間である、
車両制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記所定時間は、個別の前記乗車希望者に依らず一律に定められた移動時間である、
車両制御装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の車両制御装置であって、
前記候補地は、前記乗車希望者の移動距離が予め定められた所定距離以下となるように抽出される、
車両制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両制御装置であって、
前記所定距離は、前記乗車希望者ごとに定められ、前記乗車希望者が許容する移動距離である、
車両制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の車両制御装置であって、
前記所定距離は、個別の前記乗車希望者に依らず一律に定められた移動距離である、
車両制御装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記許容停車時間は、前記候補地の利用予約に基づいて修正される、
車両制御装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記許容停車時間は、前記候補地の所有者によって予め指定された時間以下である、
車両制御装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記停車地決定部は、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるという条件の下で、前記第1移動時間が最も短い前記候補地、または、前記乗車希望者との距離が最も短い前記候補地、を前記停車地に決定する、
車両制御装置。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記停車地決定部は、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるという条件の下で、前記第2移動時間が最も短い前記候補地、または、前記車両からの距離が最も短い前記候補地、を前記停車地に決定する、
車両制御装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記待機時間が前記許容停車時間以下となる前記停車地を前記乗車希望者に案内する案内部を備え、
前記案内部の案内に応じて前記乗車希望者が承認したときに、前記停車地に前記車両を移動させる、
車両制御装置。
【請求項14】
乗車希望者の求めに応じて停車し、前記乗車希望者を乗車させる車両を制御する車両制御方法であって、
前記車両を制御する車両制御装置が、
前記乗車希望者を乗車させるために前記車両を停車させる停車地について、候補地を抽出し、
前記乗車希望者が前記候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算し、
前記車両が前記候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算し、
前記第1移動時間と前記第2移動時間に基づいて、前記候補地における前記車両の待機時間を演算し、
前記候補地における前記車両の停車が許容される時間であって前記待機時間が前記候補地について予め定められた許容停車時間を取得し、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるときに前記候補地を前記停車地に決定する、
車両制御方法。
【請求項15】
乗車希望者の求めに応じて停車し、前記乗車希望者を乗車させる車両を制御するための車両制御プログラムであって、
前記車両を制御する車両制御装置を、
前記乗車希望者を乗車させるために前記車両を停車させる停車地について、候補地を抽出する停車候補地抽出部、
前記乗車希望者が前記候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算する第1移動時間演算部、
前記車両が前記候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算する第2移動時間演算部、
前記第1移動時間と前記第2移動時間に基づいて、前記候補地における前記車両の待機時間を演算する待機時間演算部、及び、
前記候補地における前記車両の停車が許容される時間であって前記候補地について予め定められた許容停車時間を取得し、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるときに前記候補地を前記停車地に決定する停車地決定部、
として機能させる車両制御プログラム。
【請求項16】
乗車希望者の求めに応じて停車し、前記乗車希望者を乗車させる車両を制御する車両制御システムであって、
前記乗車希望者を乗車させるために前記車両を停車させる停車地について、候補地を抽出する停車候補地抽出処理、前記乗車希望者が前記候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算する第1移動時間演算処理、前記車両が前記候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算する第2移動時間演算処理、前記第1移動時間と前記第2移動時間に基づいて、前記候補地における前記車両の待機時間を演算する待機時間演算処理、及び、前記候補地における前記車両の停車が許容される時間であって前記候補地について予め定められた許容停車時間を取得し、前記待機時間が前記許容停車時間以下であるときに前記候補地を前記停車地に決定する停車地決定処理、のうちいずれか1以上の処理を実行する第1装置と、
前記第1装置が、前記停車候補地抽出処理、前記第1移動時間演算処理、前記待機時間演算処理及び前記停車地決定処理のうち、一部の処理を実行するときに、前記第1装置と協働して残りの処理を実行する第2装置と、
を備える車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車希望者の求めに応じて停車し、乗車希望者を乗車させる車両を制御する車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システムに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2018/189952A1には、車両内に乗客がいないと判定されたときに、所定のジェスチャをしている人が検出されると、その人の周辺に停車してその人を乗車させる自動運転車両が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
従来の配車サービスでは、乗車希望者に最も近い乗車地点が指定され、その乗車地点に対して乗車可能な車両が配車される仕組みとなっている。
【0004】
これに対し、自動運転車両を用いるタクシーサービスでは、有人運転のタクシーサービスと同様に、乗車希望者が巡回する自動運転車両に対して乗車意思を示す所定の合図を送ることにより、自動運転車両を停車させて乗車するサービス形態も検討されている。そして、このようなサービス形態においては、自動運転車両は、原則として、乗車希望者の近傍に直ちに停車してその乗車希望者を乗車させることが望ましい。
【0005】
しかし、法令、規則、もしくは契約等により、または、その他安全上の理由等により、自動運転車両が乗車希望者の近傍に直ちに停車し得ない場合がある。したがって、乗車希望者が巡回する自動運転車両(自動運転車両による“流しのタクシー”)を任意に停車させて乗車しようとする場合、自動運転車両は、乗車希望者が乗車するまで、法令等に違反することなく、あるいは安全に停車または駐車していられる場所を探す必要がある。
【0006】
本発明は、乗車希望者の求めに応じて停車してその乗車希望者を乗車させるときに、現実的にその乗車希望者を乗車させることができる停車地を車両が探索し得るようにする車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び、車両制御システムを提供することを目的とする。
【0007】
本発明のある態様は、乗車希望者の求めに応じて停車し、乗車希望者を乗車させる車両を制御する車両制御装置である。この車両制御装置は、停車候補地抽出部と、第1移動時間演算部と、第2移動時間演算部と、待機時間演算部と、停車地決定部と、を備える。停車候補地抽出部は、乗車希望者を乗車させるために車両を停車させる停車地について、候補地を抽出する。第1移動時間演算部は、乗車希望者が候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算する。第2移動時間演算部は、車両が候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算する。待機時間演算部は、第1移動時間と第2移動時間に基づいて、候補地における車両の待機時間を演算する。停車地決定部は、待機時間が候補地について予め定められた停車時間以下であるときに、その候補地を停車地に決定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、車両コントローラの機能を示すブロック図である。
図3図3は、乗車希望者を乗車させる際の作用を示すフローチャートである。
図4図4は、乗車希望者及び車両の近傍にある停車地の候補を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、車両制御システム100の構成を示すブロック図である。車両制御システム100は、管制サーバ101による制御または管理される1または複数の車両102を用いて、乗車希望者103に対して配車サービス及び/またはタクシーサービスを提供するシステムである。本実施形態において配車サービスとは、乗車希望者103の事前の要求に応じて車両102を配車し、その車両102による輸送サービスを提供することをいう。また、タクシーサービスとは、乗車希望者103の偶発的な要求に応じて、車両102による輸送サービスを提供することをいう。
【0011】
管制サーバ101は、配車サービス及び/またはタクシーサービスを提供するために、外部(遠隔地)から、車両制御システム100に属する車両102を、制御または管理する1または複数のコンピュータである。
【0012】
管制サーバ101は、例えば、乗車希望者103が所持するスマートフォン104等のデバイスから車両102の配車予約等を受け付け、この配車予約で指定された日時及び/または乗車地点に車両102を配車する。すなわち、車両制御システム100は、乗車希望者103の求めに応じて配車サービスを提供する。
【0013】
また、管制サーバ101は、配車予約等によって目的地が定められていない車両102を、例えば予め定められた経路で巡回させる。これにより、車両制御システム100は、車両102を用いて、巡回経路上に居合わせた乗車希望者103からの偶発的な求めに応じて、ロボタクシーサービスを提供する。
【0014】
以下、本実施形態では、車両制御システム100は、管制サーバ101によって車両102を巡回させ、乗車希望者103の偶発的な求めに応じてロボタクシーサービスを提供する状況を想定する。
【0015】
車両102は、例えば、運転者の操作によらず、自動的に運転される自動運転車両である。したがって、車両制御システム100が提供するタクシーサービスは、一般にロボタクシーサービスあるいはロボットタクシーサービスである。以下、車両制御システム100が提供するタクシーサービスはロボタクシーサービスであり、これを提供する車両102はロボタクシーである。なお、車両102は、運転者の操作によって運転される車両、すなわち通常のタクシー車両であってもよい。
【0016】
車両102は、センサ10、車両コントローラ11、及び、記憶装置12を備える。
【0017】
センサ10は、車両102の動作状態等を検出する装置、車両102の周囲にある人または物を検出する装置、及び、車両102の位置等を検出する装置など、1または複数の装置を含む。センサ10は、これらの各種装置で検出した情報を、必要に応じて適宜に、車両コントローラ11に提供する。
【0018】
センサ10は、車両102の動作状態を検出する装置等として、例えば、速度もしくは車輪速、操舵角、加速度もしくは減速度、及び/または、ヨーレート等を検出する計器を含む。センサ10は、車両102の周囲にある人または物を検出する装置として、例えば、カメラ13、LiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナ、ミリ波レーダ、レーザレンジファインダ、及び/または、ソナー等を含む。また、センサ10は、車両102の位置等を検出する装置として、例えば、GPS(Global positioning system)センサ等のGNSS(Global navigation satellite system)センサ14を含む。
【0019】
したがって、車両コントローラ11は、車両102の動作状態に係る情報(以下、車両情報という)や、車両102の周囲にある人や物の位置、大きさ、及び、範囲等に係る情報、並びに、車両102がいる地点の緯度や経度等の位置情報を、センサ10を用いて適宜に取得し得る。なお、車両コントローラ11は、これらの各種情報を、センサ10が含むこれらの装置等が出力する信号等によって直接的に取得する他、センサ10が含む装置等が出力する信号等を用いた演算等によって間接的に取得する場合がある。
【0020】
本実施形態においては、センサ10は、少なくともカメラ13及びGNSSセンサ14を含むものとする。なお、カメラ13は車外を撮影する撮影装置であるが、カメラ13は車内を撮影する撮影装置を含むことができる。
【0021】
車両コントローラ11は、車両102の動作、及び、車両102の各部の動作を統括的に制御する車両制御装置である。車両コントローラ11は、例えば、運転者の操作に依らず、センサ10から取得し得る各種情報等に基づいて車両102の運転を自律的に制御することができる。また、車両コントローラ11は、運転者の操作に応じて車両102を駆動することができ、この場合、センサ10から取得し得る各種情報等に基づいて車両102の運転を支援することができる。本実施形態においては、車両コントローラ11は、車両102の運転を自律的に制御する。
【0022】
車両コントローラ11は、例えば1または複数のコンピュータ、及び/または、回路等によって構成される。また、車両コントローラ11には車両制御プログラム15がインストールされており、車両コントローラ11は、車両制御プログラム15にしたがって車両102及び車両102を構成する各部の動作を制御する。車両制御プログラム15は、これを記憶する記憶媒体を用いて、または、例えばOTA(Over The Air)技術によって、その一部または全部を適宜に更新可能である。ここでいう更新には、修正し、変更し、機能等を追加もしくは削減すること、または、以前のバージョンにロールバックすること、が含まれる。車両コントローラ11は、車両102及び車両102を構成する各部の動作を制御するときに、必要に応じて、記憶装置12が記憶するデータ等を参照する。
【0023】
記憶装置12は、車両102及び/または車両102の各部の動作を制御するときに必要なデータ等を、一時的または永続的に記憶する。本実施形態においては、記憶装置12は、地図データベース(地図DB)16を構成する。また、記憶装置12は、基準ジェスチャパターン17を予め記憶する。
【0024】
地図データベース16は、少なくとも配車サービス及びタクシーサービスのために車両102が移動し得る範囲について、道路等に関する地図(以下、単に地図という)を予め保有する。車両コントローラ11は、車両102の位置に応じて地図データベース16が保有する地図を参照しながら、車両102の自律運転を制御し、または運転者に対する運転支援を提供する。
【0025】
また、本実施形態においては、地図データベース16は、地図に加えて、車両102が乗車希望者103を乗車させるために、法令等に違反することなくかつ安全に停車し得る場所(以下、停車可能地という)の情報を保有する。停車可能地の情報は、例えば、緯度及び経度、あるいは施設名等の停車可能地の位置や範囲等を特定するための位置情報、並びに、その停車可能地における車両102の停車が許容され得る時間(以下、許容停車時間という)の情報である。そして、車両コントローラ11は、1または複数の停車可能地から、特定の乗車希望者103を乗車させるために車両102を停車させるために候補となる場所(以下、停車候補地という)を抽出する。そして、車両コントローラ11は、1または複数の停車候補地から、その乗車希望者103を乗車せるために実際に車両102を停車させる場所(以下、停車地という)を決定する。車両コントローラ11が、上記のように、停車地を決定するために実行する具体的なプロセスについては詳細を後述する。車両102の停車候補地は、乗車希望者103にとっては車両102に乗車するための場所の候補(乗車候補地)である。また、車両102の停車地は、乗車希望者103にとっては車両102に乗車する場所(乗車地)である。
【0026】
停車可能地は、例えば、タクシー乗り場や路肩等に設けられた駐停車用のスペース等の公共の場所である。また、停車可能地には、宿泊施設や商業施設等の車寄せまたは駐車場等であって、その施設等から利用許諾を得た私有地内の場所を含む。
【0027】
各停車可能地における許容停車時間は、法令等により、または、所有者との契約等により、予め定められる。例えば、特定の停車可能地について、契約等により、車両102の使用よりも優先される使用予約があるときには、その使用予約と車両102が停車するタイミングによって、実際的な許容停車時間は、予め定められた許容停車時間よりも短縮される場合がある。また、実質的に無制限に停車可能な停車可能地もある。このような情報は、停車可能地の情報として、地図データベース16に予め保有されている。なお、停車可能地の混雑度によっては、その停車可能地を一時的に使用できない場合がある。
【0028】
なお、地図データベース16が保有する地図、並びに、停車可能地の位置情報や各停車可能地における許容停車時間の情報は、必要に応じて適宜更新される。
【0029】
基準ジェスチャパターン17は、車両102に対する指令または意思表示として車両102が認識する1または複数のジェスチャであって、ジェスチャの認識処理において判断基準となるパターンである。基準ジェスチャパターン17は、車両制御システム100が配車サービス及び/またはタクシーサービスを提供する国または地域等に応じて、予め定められている。
【0030】
例えば、日本においては、乗客のいない車両102に向けて片手を挙げるジェスチャが、車両102に対して乗車意思を示すジェスチャである。このため、車両制御システム100が日本においてタクシーサービス等を提供する場合、少なくとも人が車両102に向けて片手を挙げるジェスチャが、少なくとも基準ジェスチャパターン17の1つとして記憶される。
【0031】
また、例えば、日本においては、車両102に対して頷くジェスチャは、車両102が提供する情報を理解したこと、あるいは、車両102が提供するサービスの承認等を表す。一方、車両102に対して首を横に振るジェスチャは、案内された情報等に対して不同意である旨を表す。このため、車両102に対して頷くジェスチャや首を横に振るジェスチャ等、乗車希望者103の意思表示を表すジェスチャは、基準ジェスチャパターン17の1つとして記憶される。
【0032】
本実施形態においては、巡回する車両102は、センサ10によって検出された人のうち、基準ジェスチャパターン17に照らして、乗車意思を示すジェスチャを行っている人を乗車希望者103であると認識する。
【0033】
なお、「ジェスチャ」には、乗車希望者103が身体を用いて行う合図の他、及び、スマートフォン104等のデバイスを用いて車両102に対する指令または意思表示として機能するシグナルを発信することを含む。
【0034】
この他、車両102は、通信装置21、ディスプレイ22、及び、スピーカ23を備える。
【0035】
通信装置21は、図示しない通信ネットワークを介して、または、直接的に、管制サーバ101に接続し、データその他の信号等を送受信するためのインターフェースである。また、車両コントローラ11は、通信装置21を用いて、乗車希望者103が所持するスマートフォン104等のデバイスと通信することができる。
【0036】
ディスプレイ22及びスピーカ23は、車両102の車外において乗車意思を示した乗車希望者103に対して、各種情報を案内するための情報案内装置を構成する。本実施形態においては、ディスプレイ22は、乗車希望者103に対して、地図等の画像(動画を含む)やメッセージを表示することにより、車両102の停車地を示す。また、スピーカ23は、乗車希望者103に対して音または音声を発報することにより、車両102の停車地を、または、ディスプレイ22に車両102の停車地を表示していること等を、案内する。
【0037】
図2は、車両コントローラ11の機能を示すブロック図である。図2に示すように、巡回する車両102を用いたタクシーサービスに関して、車両コントローラ11は、人検出部31、乗車希望者認識部32、停車候補地抽出部33、第1移動時間演算部34、第2移動時間演算部35、待機時間演算部36、停車地決定部37、及び、停車地案内部38として機能する。
【0038】
人検出部31は、人検出処理を実行する。人検出処理は、センサ10を用いて車両102の周囲にいる人を検出する処理を実行である。すなわち、人検出部31は、乗車希望者103を含む人を検出する。本実施形態においては、人検出部31は、カメラ13で撮影した画像から人を検出する。人検出処理では車両102の周囲にいる人が実質的に継続的に検出される。このため、人検出処理では、車両102における人の有無だけでなく、その人の顔等の特徴、その人の位置、及び、その人の動き等が検出される。例えば、人検出処理で検出された人が移動しているときには、その移動の方向や速度等が検出される。また、人検出処理で検出された人がジェスチャを行っているときには、そのジェスチャも検出される。
【0039】
乗車希望者認識部32は、乗車希望者認識処理を実行する。乗車希望者認識処理は、人検出部31によって人が検出されたときに、その人が行っているジェスチャ、ポーズ、サイン、及び/または、その他の挙動に基づいて、その人が乗車希望者103であるか否かを認識する処理である。すなわち、乗車希望者認識部32は、検出された人の中から、乗車希望者103を認識する。具体的には、乗車希望者認識部32は、例えば、人検出処理によって車両102の周囲に人が検出され、かつ、その人がジェスチャを行っているときに、基準ジェスチャパターン17に基づくパターンマッチングを行う。そして、パターンマッチングの結果、検出された人が車両102に対する乗車意思を表すジェスチャを行っていると判断した場合、乗車希望者認識部32は、その人を乗車希望者103であると認識する。
【0040】
乗車希望者認識部32は、必要に応じて、認識した乗車希望者103の顔その他の特徴に基づき、乗車希望者103を特定の個人として認識する場合がある。例えば、乗車希望者認識部32は、検出された乗車希望者103の顔等を、管制サーバ101に登録されたユーザの顔等と、パターンマッチング等によって照合することにより、乗車希望者103を特定の個人ユーザとして認識する。また、例えば、乗車希望者認識部32は、認識した乗車希望者103が所持していると判断できる範囲にあるスマートフォン104等の識別情報を、管制サーバ101に登録されたユーザデバイスの識別情報と照合することにより、乗車希望者103を特定の個人ユーザとして認識する。
【0041】
そして、乗車希望者103を特定の個人として認識した場合、乗車希望者認識部32は、必要に応じて、その乗車希望者103の情報を取得する。乗車希望者103の情報とは、個人を特定する識別情報、及び、その個人の好みに応じた設定等である。例えば、乗車希望者103の情報には、その乗車希望者103の歩行速度、乗車するまでの移動に要する時間(以下、乗車希望者許容移動時間という)、及び/または、乗車するまでの移動に要する距離(以下、乗車希望者許容移動距離という)等が含まれる。乗車希望者103が既存のユーザとして登録されている場合、その乗車希望者103の情報は、例えば管制サーバ101が予め保有している。また、乗車希望者103の個人的な歩行速度、乗車希望者許容移動時間、及び、乗車希望者許容移動距離は、過去の乗車履歴及びキャンセル履歴(乗車意思の撤回履歴)等に基づいて予め算出され、または、その乗車希望者103による設定登録によって予め定めれられる。
【0042】
なお、乗車希望者認識部32が認識した乗車希望者103を特定の個人として認識しない(あるいはできない)場合、乗車希望者認識部32は、その乗車希望者103の個人的な歩行速度の代わりに、一般的な歩行速度を取得することができる。一般の歩行速度は、例えば、過去の様々な乗車希望者の乗車履歴及びキャンセル履歴等に基づいて算出または設定される。一般の歩行速度は、乗車履歴やキャンセル履歴等に関わらず、固定値とすることができる。また、一般の歩行速度は、例えば管制サーバ101が予め保有する。一般の歩行速度は、乗車希望者103の体格や性別等に応じて定めておくことができる。
【0043】
乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離についても、上記の歩行速度と同様である。すなわち、乗車希望者認識部32が認識した乗車希望者103を特定の個人として認識しない場合、乗車希望者認識部32は、その乗車希望者103に関する乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離の代わりに、一般的な乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離を取得することができる。そして、一般の乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離は、例えば、過去の様々な乗車希望者103の乗車履歴及びキャンセル履歴等に基づいて算出または設定され、もしくは固定値に設定される。また、一般の乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離は、例えば管制サーバ101で予め保有される。必要な場合には、一般の乗車希望者許容移動時間及び乗車希望者許容移動距離は、乗車希望者103の体格や性別等に応じて定められる。
【0044】
また、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103を認識したときには、少なくともその乗車希望者103の動き及び/またはジェスチャの認識を継続する。これにより、乗車希望者認識部32は、車両102の停車地に対する承認、乗車希望者103が車両102に対して示した乗車意思の撤回(キャンセルの意思表示)等を認識する。
【0045】
例えば、車両102が停車地を案内したときに、乗車希望者103が車両102に対して頷くジェスチャを検出することにより、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103がその停車地における乗車を承認したことを認識する。また、車両102が停車地を案内したときに、乗車希望者103がその停車地に向けて歩き出す動作を検出することにより、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103がその停車地における乗車を承認したことを認識する。
【0046】
一方、車両102が停車地を案内したときに、乗車希望者103が車両102に対して首を横にするジェスチャを検出することにより、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103が乗車意思を撤回し、または、案内した停車地における乗車に同意しない旨の意思表示が示されたと認識する。また、車両102が停車地を案内したときに、乗車希望者103がその停車地がある方向とは逆の方向に歩き出す、あるいは、案内後一定時間が経っても動き出さない等、案内した停車地に向かわないことが予想される動きを検出する場合がある。この場合、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103が乗車意思を撤回し、または、案内した停車地における乗車に同意しない旨の意思表示が示されたと認識する。
【0047】
停車候補地抽出部33は、停車候補地抽出処理を実行する。停車候補地抽出処理は、乗車希望者103を乗車させるために車両102を停車させる停車地について、候補地(停車候補地)を抽出する処理である。より具体的には、停車候補地抽出部33は、車両102の位置情報、及び/または、乗車希望者103の位置情報に基づいて地図データベース16を参照する。そして、停車候補地抽出部33は、地図データベース16に登録された複数の停車可能地の中から、1または複数の停車候補地を抽出する。
【0048】
本実施形態においては、停車候補地抽出部33は、以下に説明する第1処理及び第2処理による2段階の処理により、1つの停車候補地を抽出する。
【0049】
第1処理は、乗車希望者103の位置や移動能力等を考慮して、地図データベース16に登録された複数の停車可能地の中から、現実的に利用可能な停車可能地を絞り込む(抽出する)処理である。すなわち、第1処理では、地図データベース16に登録された停車可能地のうち、乗車希望者103から極端に遠い停車可能地が除外され、実際的な利用に適さない停車可能地が停車候補地として抽出されないようにする。
【0050】
停車候補地抽出部33が第1処理において停車可能地を絞り込む基準は、予め定められた所定時間、または、予め定められた所定距離(もしくは所定の道のり)である。すなわち、第1処理において所定時間を基準とする場合、停車可能地は、乗車希望者103の移動に要する時間(以下、第1移動時間という)が所定時間以下となるものに絞り込まれる。また、第1処理において距離を基準とする場合、停車可能地は、乗車希望者103の移動距離もしくは道のり(以下、第1移動距離という)が所定距離以下となるように絞り込まれる。
【0051】
第1処理における所定時間は、例えば、乗車希望者103について個別に定められた乗車希望者許容移動時間である。すなわち、所定時間は、乗車希望者103ごとに定められ、その特定の乗車希望者103が許容し得る最大の移動時間に設定され得る。なお、所定時間は、一般の乗車希望者許容移動時間に設定してもよい。すなわち、所定時間は、個々の具体的な乗車希望者103に依らず一律に定められ、一般的な乗車希望者に許容され得る最大の移動時間に設定されてもよい。
【0052】
第1処理における所定距離は、例えば、乗車希望者103について個別に定められた乗車希望者許容移動距離である。すなわち、所定距離は、乗車希望者103ごとに定められ、その特定の乗車希望者103が許容し得る最大の移動距離に設定され得る。なお、所定距離は、一般の乗車希望者許容移動距離に設定してもよい。すなわち、停車候補地の抽出基準となる所定時間は、個々の具体的な乗車希望者103に依らず一律に定められ、一般的な乗車希望者に許容され得る最大の移動距離に設定されてもよい。
【0053】
第2処理は、第1処理によって絞り込まれた停車可能地の中から、具体的な1つの停車候補地を抽出する処理である。すなわち、第2処理によって、現実的な利用可能な範囲内にある1または複数の停車可能地のうちの1つが停車候補地に抽出される。
【0054】
第2処理における停車候補地の抽出基準は、乗車希望者103の移動時間もしくは移動距離、または、車両102の移動時間もしくは移動距離である。
【0055】
すなわち、乗車希望者103を基準とする場合、停車候補地抽出部33は、絞り込まれた停車可能地の中から、第1移動時間が最も短い停車可能地、または、第1移動距離が最も短い停車可能地、を具体的な1つの停車候補地として抽出する。そして、この停車候補地が後述する待機時間に係る条件を満たせば、第1移動時間が最も短い停車可能地、または、第1移動距離が最も短い停車可能地、が停車地に決定される。
【0056】
また、車両102を基準とする場合、停車候補地抽出部33は、絞り込まれた停車可能地の中から、車両102の移動時間(以下、第2移動時間という)が最も短い停車可能地、または、車両102からの距離もしくは道のり(以下、第2移動距離という)が最も短い停車可能地、を具体的な1つの停車候補地として抽出する。そして、この停車候補地が後述する待機時間に係る条件を満たせば、第2移動時間が最も短い停車候補地、または、第2移動距離が最も短い停車候補地、が停車地に決定される。なお、第2移動時間とは、車両102が停車候補地に到着するまでに要する時間である。
【0057】
第1移動時間演算部34は、停車候補地について、乗車希望者103の移動時間である第1移動時間を演算する第1移動時間演算処理を実行する。第1移動時間は、乗車希望者103の現在位置から停車候補地への歩行その他の方法による移動経路、及び、乗車希望者103の歩行速度等に基づいて算出される。
【0058】
乗車希望者103の移動経路は、地図データベース16を参照することによって決定される。また、乗車希望者103の移動経路の距離または道のりが第1移動時間の算出に使用される。また、乗車希望者103の移動経路が道路を横断する経路である場合等、交通信号による待ち時間やその他の付加的な所要時間を要する経路である場合には、これも考慮して、現実的な第1移動時間が算出される。なお、第1移動時間演算部34は、乗車希望者103の現在位置から停車候補地への直線距離等に基づいて、第1移動時間を概算することができる。本実施形態においては、第1移動時間演算部34は、乗車希望者103の移動経路を考慮して、現実的な第1移動時間を算出する。
【0059】
乗車希望者103が既存のユーザとして登録されているときには、その乗車希望者103の個人的な歩行速度が第1移動時間の演算に使用される。また、乗車希望者103が未登録であるときには、一般の歩行速度が第1移動時間の演算に使用される。
【0060】
第2移動時間演算部35は、停車候補地について、車両102の移動時間である第2移動時間を演算する第2移動時間演算処理を実行する。第2移動時間は、車両102の現在位置から停車候補地への走行経路、及び、車両102の走行速度等に基づいて算出される。
【0061】
停車候補地への走行経路は、地図データベース16を参照することによって決定される。車両102の走行速度は、その走行経路における法定速度、及び、その走行経路の混雑度等に応じて概算される。混雑度は、必要に応じて、公共の交通情報提供機関等から適宜取得される。また、第2移動時間の演算においては、交通信号等に応じた待ち時間も考慮される。すなわち、第2移動時間演算部35は、演算をする時点において現実的な第2移動時間を演算する。但し、第2移動時間演算部35は、車両102の現在位置と停車候補地への直線距離等に基づいて、第2移動時間を概算することができる。本実施形態においては、第2移動時間演算部35は、現実的な第2移動時間を演算する。
【0062】
待機時間演算部36は、待機時間演算処理を実行する。待機時間演算処理は、第1移動時間と第2移動時間に基づいて、停車候補地における車両102の待機時間を演算する処理である。具体的には、第2移動時間が第1移動時間以下である場合、第1移動時間から第2移動時間を減算した差分が、停車候補地における車両102の待機時間である。また、第2移動時間が第1移動時間よりも長い場合、その停車候補地における車両102の待機時間はゼロである。
【0063】
停車地決定部37は、停車地決定処理を実行する。停車地決定処理は、待機時間が停車候補地について予め定められた許容停車時間以下であるときに、その停車候補地を停車地に決定する処理である。
【0064】
具体的には、停車地決定部37は、地図データベース16を参照することにより、停車候補地の許容停車時間を取得する。一方、停車地決定部37は、待機時間演算部36から、停車候補地における車両102の待機時間を取得する。そして、停車地決定部37は、停車許容時間と待機時間を比較し、待機時間が許容停車時間以下であるときに、その停車候補地を、実際に使用する停車地に決定する。もちろん、停車候補地における待機時間がゼロであるときには待機時間が許容停車時間よりも小さいので、その停車候補地は停車地に決定される。
【0065】
一方、停車地決定処理において、待機時間が許容停車時間を超えると判定されたときには、車両コントローラ11は、その停車候補地を除外して、停車候補地を再度抽出する。この場合、最初に抽出された停車候補地の次に乗車希望者103及び/または車両102に近い停車可能地が新たな停車候補地となって、上記の停車地決定処理が実行される。すなわち、停車地が決定されるまで、上記各種処理が繰り返し行われる。
【0066】
なお、停車地決定部37は、待機時間との比較するときに、地図データベース16から取得する許容停車時間を必要に応じて修正する場合がある。例えば、停車候補地について、他の車両等による利用予約があり、その利用予約に係る時間帯と、乗車希望者103を乗車させるために車両102を停車させようとする時間帯と、が全部または一部において重複する場合がある。この場合、たとえ予め定められた許容停車時間内であっても、現実的にはその停車候補地は利用不能である。したがって、停車地決定部37は、停車候補地について許容停車時間を取得するときに、併せて、その停車候補地の利用予約、混雑度、あるいは、その他、車両102によるその停車候補地の利用を制限する情報(以下、利用制限情報という)を取得する。そして、停車地決定部37は、取得した利用制限情報に基づいて、地図データベース16から取得した許容停車時間を修正して、待機時間との比較に用いる。
【0067】
利用制限情報は、例えば、停車候補地の所有者またはその他情報提供機関が運営するウェブサイト等によって公表等された情報であり、停車地決定部37はこれを取得可能である。また、許容停車時間の修正は、原則として、許容停車時間から利用不能な時間を削減することにより、現実の事情に合わせて許容停車時間を短縮する修正である。このため、修正後の許容停車時間は、原則として、地図データベース16に登録された許容停車時間以下である。但し、例えば、停車候補地の所有者等によって、一時的または永続的にその停車候補地における許容停車時間が延長されており、延長後の許容停車時間が地図データベース16に登録されていないときには、停車地決定部37は取得した許容停車時間を延長し得る。
【0068】
停車地案内部38は、決定された停車地を乗車希望者103に案内する案内処理を実行する。案内処理は、停車地を特定するための情報を乗車希望者103に案内(報知)する処理である。停車地を特定するための情報とは、例えば、停車地の位置や停車地までの経路もしくはこれらを示す地図、及び/または、停車地が属する施設名等である。
【0069】
具体的には、停車地案内部38は、例えば、ディスプレイ22の表示により、及び/または、スピーカ23から音声を発報することによって、停車地を特定するための情報を乗車希望者103に案内する。この場合、乗車希望者103がディスプレイ22の表示やスピーカ23が発する音声を確認し得るように、車両コントローラ11は、例えば乗車希望者103の近傍で車両102の速度を低減させる。また、停車地案内部38は、停車地を特定するための情報を乗車希望者103のスマートフォン104等に送信することにより、これを乗車希望者103に案内することができる。
【0070】
なお、停車地案内部38が乗車希望者103に停車地を案内すると、車両コントローラ11は、ジェスチャ、動作、またはスマートフォン104等からの入力等により、乗車希望者103からの承認またはキャンセルの意思表示を受け付ける。乗車希望者103が停車地を承認したときには、車両コントローラ11は、その承認された停車地に車両102を移動させる。
【0071】
以下、上記のように構成される車両制御システム100が、タクシーサービスにおいて、事前の配車予約等を行っていない偶発的な乗車希望者103を、巡回する車両102に乗車させる場合の作用を説明する。
【0072】
図3は、乗車希望者103を乗車させる際の作用を示すフローチャートである。図3に示すように、ステップS301において、巡回する車両102がジェスチャ等によって乗車意思を表した乗車希望者103を認識すると、ステップS302において、車両102は、その乗車希望者103を乗車させるための停車候補地を抽出する。このとき、停車候補地には、原則として、現実的に利用可能な停車可能地の中から乗車希望者103及び/または車両102に最も近い停車可能地が選ばれる。
【0073】
停車候補地が抽出されると、ステップS303において、その停車候補地における車両102の待機時間が演算される。具体的には、停車候補地について、乗車希望者103の移動時間である第1移動時間と、車両102の移動時間である第2移動時間が演算され、これらに基づいて、その停車候補地における待機時間が演算される。
【0074】
その後、ステップS304においては、抽出された停車候補地について予め定められた許容停車時間と、待機時間と、が比較される。そして、待機時間が許容停車時間以下であるときには、その停車候補地には、乗車希望者103を乗車させるまで、法令等に違反することなくかつ安全に車両102を停車させることができると判断される。したがって、ステップS305において、抽出された停車候補地が実際に乗車希望者103を乗車させるための停車地に決定される。
【0075】
一方、待機時間が許容停車時間を超過するときには、その停車候補地には、乗車希望者103を乗車させるまで、法令等に違反することなくかつ安全に車両102を停車しておくことできないと見込まれる。このため、その停車候補地を除外して別の新たな停車候補地が抽出され、その新たな停車候補地について、ステップS303の待機時間の演算、及び、ステップS304の許容停車時間と待機時間の比較が行われる。
【0076】
ステップS305において停車地が決定されると、ステップS306において、例えばディスプレイ22の表示により、乗車希望者103に対して停車地が案内される。そして、ステップS307において、乗車希望者103のジェスチャ等により、その停車地及びその停車地における車両102への乗車について、乗車希望者103の承認が得られると、ステップS308において、車両102がその停車地に移動される。
【0077】
その後、ステップS309においては、車両102は停車地に到着すると、乗車希望者103が到着するまでそこで待機する。そして、ステップS310では、乗車希望者103が停車地に到着すると、車両102は乗車希望者103を乗車させる。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、巡回する車両102は乗車希望者103を認識すると、その乗車希望者103を乗車させるために停車する停車地を自ら探索及び決定する。タクシーサービスとしては、乗車希望者103を認識した車両102は、直ちにその乗車希望者103の近傍に直ちに停車して、その乗車希望者103を乗車させることが望ましい。しかし、法令、規則、もしくは契約等により、または、その他の安全上の理由等によって、車両102は乗車希望者103の近傍に直ちに停車できないことも多い。これに対して、車両制御システム100に係るタクシーサービスでは、乗車希望者103が到着するまで、法令等に違反することなくかつ安全に車両102を停車しておくことができる停車地を、自ら探索及び決定する。このため、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、車両102は、その停車地に、法令等に違反することなくかつ安全に、車両102を停車させて乗車希望者103を待つことができる。
【0079】
図4は、乗車希望者103及び車両102の近傍にある停車地の候補地を示す説明図である。図4に示すように、より具体的に、車両102が乗車希望者103を認識したときに、例えば8個所の停車可能地41A~41Hが車両102及び乗車希望者103の近傍にあるとする。そして、破線円42で示すように、これらの停車可能地41A~41Hのうち、第1移動時間が所定時間以下、または、第1移動距離が所定距離以下となる範囲内にあり、現実的に乗車希望者103の近くにあるということができ、車両102の停車地として利用し得るのは停車可能地41A~41Fの6箇所であるとする。さらに、停車可能地41A~41Fのうち、停車可能地41Aが乗車希望者103に最も近い。また、停車可能地41B~41Fについては、停車可能地41B~41Fは、停車可能地41B,停車可能地41C,停車可能地41D,停車可能地41E,停車可能地41Fの順に乗車希望者103に近い位置にある。
【0080】
このとき、車両102は、破線円42の範囲内にあり、かつ、乗車希望者103から最も近い停車可能地41Aを、最初に停車候補地として抽出する。そして、この停車候補地に抽出された停車可能地41Aについて、第1移動時間及び第2移動時間を演算し、かつ、これらを用いてこの停車可能地41Aを停車地として利用する場合における車両102の待機時間τ(図示しない)を演算する。そして、その待機時間τが、停車可能地41Aについて予め定められた許容停車時間T(図示しない)と比較される。
【0081】
停車可能地41Aの許容停車時間Tが待機時間τよりも短いときには、法令等に違反し、または、安全上の理由により、乗車希望者103が到着するまで車両102を停車可能地41Aに停車しておくことができない。このため、停車可能地41Aは一時的に停車候補地となるが最終的な停車地(乗車地)とはされず、破線円42の範囲内にあって、停車可能地41Aの次に乗車希望者103に近い停車可能地41Bが次の停車候補地に抽出される。
【0082】
そして、上記の停車可能地41Aの場合と同様に、新たに停車候補地となった停車可能地41Bについて、待機時間τ(図示しない)が演算され、その値が停車可能地41Bの許容停車時間T(図示しない)と比較される。その結果、待機時間τが許容停車時間Tよりも短い場合、新たな停車候補地である停車可能地41Bが最終的な停車地(乗車地)に決定される。
【0083】
ここでは、停車可能地41Bが待機時間に係る条件を満たす例を説明したが、停車可能地41Bが待機時間に係る条件を満たさないときには、停車可能地41Bの次に乗車希望者103に近い停車可能地41Cが新たな停車候補地となる。その後も上記と同様である。
【0084】
したがって、本実施形態に係る車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、複数ある停車可能地から、単に乗車希望者103に近い停車可能地が実際の停車地(乗車地)として利用されるのではなく、乗車希望者103にできる限り近く、法令等に違反することなく、かつ安全に、車両102を停車しておくことができる停車可能地が、実際の停車地(乗車地)となる。
【0085】
[変形例]
なお、上記実施形態においては、停車候補地抽出部33は、複数の停車可能地の中から1つの停車候補地を抽出するが、これに限らず、停車候補地抽出部33は、複数の停車可能地の中から複数の停車候補地を抽出することができる。例えば、停車候補地抽出部33は、第1処理によって絞り込まれた複数の停車可能地の全部または一部である複数の停車可能地を停車候補地とすることができる。この場合、第1移動時間演算部34は、それら複数の停車候補地についてそれぞれ第1移動時間を演算する。また、第2移動時間演算部35は、各停車候補地についてそれぞれ第2移動時間を演算する。したがって、待機時間演算部36も、各停車候補地についてそれぞれ車両102の待機時間を演算する。その後、停車地決定部37は、上記実施形態と同様に、各停車候補地について待機時間と許容停車時間を比較することによって停車地を決定する。その際、待機時間が許容停車時間以下である停車候補地が複数ある場合がある。この場合、停車地決定部37は、上記実施形態において停車候補地抽出部33が実行する第2処理と同様に、乗車希望者103の移動時間もしくは移動距離、または、車両102の移動時間もしくは移動距離、に基づいて1つの停車候補地を決定することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、停車地決定部37は1つの停車地を決定するが、これに限らず、停車地決定部37は複数の停車候補地を停車地に決定することができる。例えば、上記変形例のように、停車候補地が複数抽出され、かつ、待機時間が許容停車時間以下となる停車候補地が複数あるときには、それらの停車候補地の全部または一部である複数の停車候補地を停車地に決定することができる。この場合、停車地決定部37によって決定された停車地は複数あるので、停車地案内部38は、これら複数の停車地を乗車希望者103に案内する。そして、車両コントローラ11は、ジェスチャまたはスマートフォン104の操作等により、乗車希望者103による停車地の選択に係る意思表示を受け付ける。乗車希望者103による停車地の選択は、上記実施形態における停車地の承認と同義であるから、車両コントローラ11は、乗車希望者103の選択に応じて1つの停車地を最終的に利用する停車地とする。
【0087】
上記実施形態では、乗車希望者認識部32は、乗車希望者103の顔等の特徴やジェスチャ等を認識するが、これに限らず、乗車希望者認識部32は、スマートフォン104等の識別符号またはその他の信号等に基づいて乗車希望者103を認識することができる。
【0088】
上記実施形態では、乗車希望者103の個人的な歩行速度が予め定められているが、第1移動時間演算部34は、乗車希望者103の個人的な歩行速度を修正して、第1移動時間の演算に用いることができる。例えば、第1移動時間演算部34は、天候、乗車希望者103が所持する荷物の量、及び/または、乗車希望者103の同伴者の有無及び性質(子供の同伴者がいる等)等に応じて、予め定められた乗車希望者103の歩行速度を適宜修正することができる。また、上記実施形態では、第1移動時間演算部34は一般の歩行速度を用いて第1移動時間を算出する場合があるが、第1移動時間演算部34は、この一般の歩行速度についても上記と同様に適宜修正することができる。
【0089】
上記実施形態では、車両コントローラ11が、停車候補地抽出処理、第1移動時間演算処理、第2移動時間演算処理、待機時間演算処理、及び、停車地決定処理等を行っている。しかし、車両コントローラ11がこれらの処理の全部を実行する必要はなく、管制サーバ101がこれらの処理のうち全部または一部の処理を実行することができる。すなわち、車両制御システム100は、車両102の外部において上記各種処理のうちいずれか1以上の処理を実行する第1装置としての管制サーバ101と、管制サーバ101と協働して残りの処理を車両102において実行する第2装置としての車両コントローラ11と、によって構成することができる。この場合も、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏する。また、この場合、管制サーバ101に上記各種処理のうちいずれか1以上の処理を実行させる第1装置として動作させるプログラムと、管制サーバ101と協働して残りの処理を車両コントローラ11によって実行させるプログラムと、の全体が車両制御プログラムを構成する。
【0090】
以上のように、本実施形態及び/または変形例(以下、本実施形態等という)に係る車両制御装置である車両コントローラ11は、乗車希望者103の求めに応じて停車し、乗車希望者103を乗車させる車両102を制御する車両制御装置である。そして、車両コントローラ11は、乗車希望者103を乗車させるために車両102を停車させる停車地について、候補地(停車候補地)を抽出する停車候補地抽出部33と、乗車希望者103がその候補地への移動に要する時間である第1移動時間を演算する第1移動時間演算部34と、車両102がその候補地への移動に要する時間である第2移動時間を演算する第2移動時間演算部35と、第1移動時間と第2移動時間に基づいて、その候補地における車両102の待機時間を演算する待機時間演算部36と、待機時間が候補地について予め定められた許容停車時間以下であるときに、その候補地を停車地に決定する停車地決定部37と、を含む。
【0091】
この構成により、本実施形態等に係る車両制御装置は、乗車希望者103を認識したときに、乗車希望者103を乗車させるまで、法令等に違反することなくかつ安全に車両102を停車し得る停車地を自ら探索し、利用することができる。
【0092】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11は、乗車希望者103を含む人を検出する人検出部31と、検出された人の中から、その人の挙動に基づいて、乗車希望者103を認識する乗車希望者認識部32と、を含む。この構成により、本実施形態等に係る車両制御装置は、巡回する車両102によって、事前の予約等のない偶発的な乗車希望者103を認識してタクシーサービスを提供することができる。
【0093】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、停車候補地は、第1移動時間が予め定められた所定時間以下となるように抽出される。これにより、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、キャンセル率が低減され、その結果、配車効率が向上する。
【0094】
特に、本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、上記の所定時間は、乗車希望者103ごとに定められ、乗車希望者103が許容する移動時間に設定され得る。このように、上記の所定時間が設定されている場合、乗車希望者103の個人的な要望に合致する範囲で停車地(乗車地)が決定される。その結果、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、特に、キャンセル率が低減され、配車効率が向上する。
【0095】
また、本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、上記の所定時間は、個別の乗車希望者103に依らず一律に定められた移動時間に設定され得る。このように、上記の所定時間が設定されている場合、停車地(乗車地)に関する乗車希望者103の潜在的な要望を満たしやすい。その結果、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、特に、キャンセル率が低減され、配車効率が向上する。
【0096】
一方、本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、停車候補地は、乗車希望者103の移動距離が予め定められた所定距離以下となるように抽出される。これにより、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、キャンセル率が低減され、その結果、配車効率が向上する。
【0097】
特に、本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、上記の所定距離は、乗車希望者103ごとに定められ、乗車希望者103が許容する移動距離に設定され得る。このように、上記の所定距離が設定されている場合、乗車希望者103の個人的な要望に合致する範囲で停車地(乗車地)が決定される。その結果、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、特に、キャンセル率が低減され、配車効率が向上する。
【0098】
また、本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、上記の所定距離は、個別の前記乗車希望者103に依らず一律に定められた移動距離に設定され得る。このように、上記の所定距離が設定されている場合、停車地(乗車地)に関する乗車希望者103の潜在的な要望を満たしやすい。その結果、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、特に、キャンセル率が低減され、配車効率が向上する。
【0099】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、許容停車時間は、停車候補地の利用予約に基づいて修正される。このため、本実施形態等に係る車両制御装置は、他のサービス等との競合により、利用不能な停車候補地を抽出してしまうことがなく、現実に即した適切な停車地を決定できる。
【0100】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、許容停車時間は、停車候補地の所有者によって予め指定された時間以下である。このように、停車候補地が私有地等であって、特別の契約により車両102の停車地として利用可能となっている場合に、その契約を確実に遵守することができる。その結果、車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、車両102の停車地として私有地等を継続的に利用可能である。これにより、乗車希望者103の利便性も向上する。
【0101】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、停車地決定部37は、待機時間が許容停車時間以下であるという条件の下で、第1移動時間が最も短い停車候補地、または、乗車希望者103との距離が最も短い停車候補地、を停車地に決定することができる。これにより、偶発的な乗車希望者103の移動時間及び/または移動距離を最小化することができ、特にユーザビリティが高いタクシーサービスが提供される。その結果、キャンセル率が低減され、配車効率も向上する。
【0102】
本実施形態等に係る車両制御装置である車両コントローラ11においては、停車地決定部37は、待機時間が許容停車時間以下であるという条件の下で、第2移動時間が最も短い停車候補地、または、車両102からの距離もしくは道のり(第2移動距離)が最も短い停車候補地、を停車地に決定することができる。これにより、車両102の移動時間及び/または移動距離を最小化できる。その結果、車両102を駆動する燃料あるいはバッテリ残量の消耗や、タイヤの消耗等を低減でき、車両102による継続的したタクシーサービス期間を長くすることができる。したがって、本実施形態に係る車両制御装置によれば、特にユーザビリティが高いタクシーサービスが提供される。
【0103】
本実施形態に係る車両制御装置である車両コントローラ11は、待機時間が許容停車時間以下となる停車地を乗車希望者103に案内する案内部(停車地案内部38)を備える。そして、車両コントローラ11は、この案内部の案内に応じて乗車希望者103が承認したときに、その停車地に車両102を移動させる。このように、偶発的な乗車希望者103を乗車させる場合であっても、その承認に基づいて、車両102を配車することにより、乗車希望者103から多少離れた位置にある停車地に車両102停車させることについても乗車希望者103の理解が得られやすい。車両制御システム100が提供するタクシーサービスにおいては、キャンセル率が低減され、配車効率が向上する。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
図1
図2
図3
図4