(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】電力線保護のコンピュータ実装方法、インテリジェント電子デバイスおよび電力システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/00 20060101AFI20250228BHJP
H02H 3/34 20060101ALI20250228BHJP
H02H 3/44 20060101ALI20250228BHJP
G01R 31/08 20200101ALI20250228BHJP
【FI】
H02H3/00 Q
H02H3/34 P
H02H3/44 D
G01R31/08
(21)【出願番号】P 2023530850
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022060654
(87)【国際公開番号】W WO2022223759
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】202141018766
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイドゥ,オーディ
(72)【発明者】
【氏名】パティル,ディネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ニィートゥ
(72)【発明者】
【氏名】プラダーン,ベーダーンタ
(72)【発明者】
【氏名】マツル,スレーシュ
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-268798(JP,A)
【文献】特開2014-093823(JP,A)
【文献】特開2016-224050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0308349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/00
H02H 3/34
H02H 3/44
G01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される方法であって、前記方法は、
電力システムでの使用のために動作する信号を生成するように動作する決定ロジックを生成する際に使用するための特徴量を計算することを含み、前記特徴量を計算することは、
所与のタイプの電力システムについてサンプリングされたデータの少なくとも1つの電気特性から障害開始時間を決定することと、
少なくとも1つのサンプル時間に対する前記少なくとも1つの電気特性の変化率を示す変化率値を決定することであって、前記少なくとも1つのサンプル時間は、前記障害開始時間に依存する、決定することと、
を含む、計算することと、
前記決定ロジックを生成するために前記特徴量を使用することと、
前記信号を生成するために前記決定ロジックをインテリジェント電子デバイス(IED)に配備することと、
を含む、コンピュータにより実行される方法。
【請求項2】
前記決定ロジックを生成するために前記特徴量を使用することは、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために前記計算された特徴量を用いて機械学習(ML)モデル訓練を実行することを含む、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項3】
前記MLモデルは、前記変化率値を受信する入力層を有する、請求項2に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項4】
前記決定ロジックは、
保護機能と、
障害分類のための位相分類器と、
障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器と、
のうちの少なくとも1つであるか、またはそれを備える、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項5】
前記信号は、
回路遮断器制御信号と、
スイッチ制御信号と、
警報と、
警告と、
ステータス情報と、
ヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介して出力するための出力と、
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項6】
前記障害開始時間は、
電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの前記電圧の偏差の絶対値が位相固有の電圧閾値に達するかまたはそれを超える時間と、
電流のスライディングウィンドウ移動平均からの前記電流の偏差の絶対値が位相固有の電流閾値に達するかまたはそれを超える時間と、
のうちの早い方として識別される、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項7】
前記障害開始時間を決定することは、スライディングウィンドウ移動平均を決定することと、前記スライディングウィンドウ移動平均からの前記少なくとも1つの電気特性の偏差の絶対値を少なくとも1つの閾値と比較することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項8】
前記コンピュータに
より実行される方法は、前記少なくとも1つの電気特性のスライディングウィンドウ標準偏差を決定することをさらに含み、前記少なくとも1つの閾値は、スライディングウィンドウ標準偏差に依存し、および/または
前記障害開始時間は、
電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの前記電圧の偏差の絶対値が位相固有の電圧閾値に達するかまたはそれを超える時間と、
電流のスライディングウィンドウ移動平均からの前記電流の偏差の絶対値が位相固有の電流閾値に達するかまたはそれを超える時間と、
のうちの早い方として識別される、請求項7に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項9】
前記変化率値を決定することは、各位相について、
フィルタリングされた電圧を決定することと、
フィルタリングされた電流を決定することと、
前記フィルタリングされた電圧および前記フィルタリングされた電流から前記変化率値を計算することと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項10】
前記フィルタリングされた電圧は、前記電圧のN>1個のサンプル値を平均することによって決定され、前記フィルタリングされた電流は、前記電流のN>1個のサンプル値を平均することによって決定され、
任意選択的に、前記変化率値を計算することは、
時間kにおける前記フィルタリングされた電圧のサンプル値と時間k-Nにおける前記フィルタリングされた電圧のサンプル値との間の電圧差と、
時間kにおける前記フィルタリングされた電流のサンプル値と時間k-Nにおける前記フィルタリングされた電流のサンプル値との間の電流差と、
を決定することを含み、
さらに任意選択的に、
前記電圧の前記変化率値は、サンプル時間と前のサンプル時間との間の前記電圧差の変化として決定され、
前記電流の前記変化率値は、前記サンプル時間と前記前のサンプル時間との間の前記電流差の変化として決定される、請求項9に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項11】
前記決定ロジックを配備することは、距離保護のためにIEDによって実行するために位相分類器および/またはゾーン分類器を配備することを含む、請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項12】
前記決定ロジックを生成することは、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために前記計算された特徴量を使用することを含む、
請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項13】
前記決定ロジックを生成するために前記計算された特徴量を使用することは、アンサンブル機械学習(ML)方法を用いて、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することを含み、および/または
前記位相分類器を生成し、前記ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するために、前記計算された特徴量を用いたランダムフォレスト訓練を含み、および/または
前記位相分類器および前記ゾーン分類器の一方または両方を生成するために前記変化率値を使用することは、
前記位相分類器を生成するために、前記計算された特徴量を用いて、第1の機械学習モデルを訓練することと、
前記ゾーン分類器を生成するために、前記計算された特徴量を用いて、第2の機械学習モデルを訓練することと、
を含む、
請求項12に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項14】
前記位相分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および前記3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力し、および/または
前記ゾーン分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および前記3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力する、請求項2または請求項12に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項15】
前記位相分類器および/または前記ゾーン分類器は、自己設定方式で生成される、請求項2または請求項12のいずれか1項に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項16】
前記位相分類器および/または前記ゾーン分類器は、現場動作中に連続的に更新される、請求項2または請求項12のいずれか1項に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項17】
前記決定ロジックは、伝送線路保護のための決定ロジックであり、任意選択的に、前記伝送線路保護は、高インピーダンス障害保護を含み、および/または
前記位相分類器および/またはゾーン分類器を生成することは、いくつかの別個のソース-線路インピーダンスに対するデータを含むデータセットを用いて実行される、
請求項
2に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項18】
インテリジェント電子デバイス(IED)であって、
電力伝送線路の少なくとも1つの位相に対する電圧および/または電流を受信するためのインタフェースを備え、
前記IEDは、前記電圧の変化率および/または前記電流の変化率を決定するように、かつ前記電圧の前記決定された変化率および/または前記電流の前記決定された変化率を、前記電圧の前記決定された変化率および/または前記電流の前記決定された変化率に基づく特徴量を用いて訓練された機械学習(ML)モデルに基づく決定ロジックへの入力として入力するように動作する、IED。
【請求項19】
電力伝送線路と、
前記電力伝送線路に対する距離保護機能を実行するように動作する請求項18に記載のインテリジェント電子デバイス(IED)と、
を備える電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電力伝送システムならびに電力伝送線路を保護するためのデバイスおよび方法に関する。本発明は、特に、障害分類、ゾーン分類、および/または距離保護のうちの少なくとも1つを実行するように動作する方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
電力グリッドは、同期AC回転機械からインバータベースのリソース(IBR)技術まで、発電ミックスの著しい変化を受けている。この傾向の結果として、送電網および配電網の両方で再生可能エネルギーがより多く配備される。環境上の利点に加えて、再生可能エネルギー源の導入は、例えば慣性の減少、安定性マージンの減少、および予測不能性の増加など、電力システムの動作を変化させる。これらの再生可能技術のほとんどはインバータでインタフェースされているため、障害条件下でのそれらの挙動は従来の回転機械とは異なる。これにより、電力システム保護に新たな課題が生じる。風力および太陽光(PV)発電などのインバータベースのリソースの浸透率が高いことによる1つの問題は、パワーグリッドの障害電流レベルおよび短絡強度の低下である。
【0003】
さらに、電力システム安定性マージンは、システムの慣性に依存し、それは保護方式の所望の速度を決定する。IBRシステムは、慣性が小さいことが多く、したがって安定性マージンが小さい。安定性マージンの低下は、臨界クリア時間の低下を意味する。障害は、臨界クリア時間よりも速くクリアしなければならず、そうでなければシステムが過渡安定性を失う可能性があり、それは電力システムの停電につながる。
【0004】
距離リレーは、伝送線路の1次およびバックアップ保護を提供するように設計された保護装置である。従来の距離リレーは、システムが変化するときに自動調整するものではない。日常的な手動調整および自動化された適応性は、保護リレーにおいてある程度提供され得る。
【0005】
国際公開第2005/076428A9号は、人工ニューラルネットワーク(ANN)を使用して電力線における高インピーダンス障害(HIF)を検出するためのシステムおよび方法を開示している。この方法はウェーブレット変換ベースであり、したがって実際の用途には計算量集約的であり得る。22.06%の誤警報率で70.83%の検出率は、保護用途にとって満足のいく性能ではない可能性がある。データの3サイクル窓のスペクトルの使用は、保護用途には望ましくない場合がある。
【0006】
米国特許第7720619B2号は、高インピーダンス障害を検出するための方法を開示している。ニューラルネットワーク、エキスパートシステムまたは決定木などの分類およびパターン認識の人工知能(AI)方法を使用して、HIF条件をスイッチング動作およびノイズの多い負荷などの他のシステム条件と区別することができる。
【0007】
米国特許第6405184B1号は、障害の場合に障害のあるループを識別する障害分類信号を生成する方法を開示している。障害のあるループをシミュレートする入力変数を使用して訓練されたニューラルネットワークが使用される。エネルギー供給システムのループの電流および電圧から測定値が導出され、障害の場合に、訓練されたモデルによって障害分類信号が生成される。
【0008】
国際公開第1995/009465A1号は、短絡電流の方向を示す方向信号を生成する方法を開示している。方向信号は、測定点から順方向に短絡が発生したかどうかを示す。ニューラルネットワークが、電流の正規化サンプリング値を使用して形成される方向信号を生成するために使用される。
【0009】
伝送線路の3ゾーン距離保護のための人工ニューラルネットワーク(ANN)ベースの手法は、A.FeilatおよびK.Al-Tallaq、「A new approach for distance protection using artificial neural network」、第39回International Universities Power Engineering Conference、2004.UPEC2004、英国ブリストル、2004年、473~477頁、第1巻に提示されている。この技術は、距離保護の障害検出および分類の態様のみを扱う。ニューラルネットワークの入力特徴量は、離散フーリエ変換によって抽出された基本周波数電圧および電流の大きさである。したがって、この解決策は、既存のフェーザに基づく距離保護アルゴリズムの速度を改善することは期待されない。
【0010】
J.R.de Carvalhoらによる、「Development of detection and classification stages for a new distance protection approach based on cumulants and neural networks」、2011 IEEE Power and Energy Society General Meeting、米国ミシガン州デトロイト、2011年、1~7頁は、距離リレーのための人工知能(AI)の使用を提案している。障害検出および分類機能を実装することができる。
【0011】
S.R.Samantarayらによる、「Transmission line distance relaying using machine intelligence technique」、IET Generation、Transmission&Distribution、第2巻、第1号、53~61頁、2008年1月には、サポートベクターマシン(SVM)などのマシンインテリジェンス技術を用いた伝送線路の距離リレーのための手法が記載されている。障害後の電流および電圧サンプルが、SVMへの入力として使用される。障害位相選択および接地検出にかかる合計時間は、障害開始から10ms(半サイクル)である。
【0012】
従来の距離リレー動作に対する障害耐性の望ましくない影響を排除するための電力伝送線路のためのニューラルネットワークに基づくインピーダンス保護が、P.VaidyaおよびP.A.Venikar、「ANN based distance protection of long transmission lines by considering the effect of fault resistance」、IEEE-International Conference On Advances In Engineering,Science And Management(ICAESM-2012)、Nagapattinam、Tamil Nadu、2012、590~594頁、2012年に提示されている。アルゴリズムは、抵抗およびリアクタンスの大きさを入力として使用する。しかしながら、ニューラルネットワークサイズを減少させるために行われる前処理は、基本周波数成分を計算するためのDFTを含む。したがって、フェーザに基づく距離保護アルゴリズムの速度は大幅には向上しない。
【0013】
F.Rafiqueらによる、「An accurate digital distance protection scheme using neural network in UHV transmission line」、Proceedings of 2014 IEEE Chinese Guidance,Navigation and Control Conference、Yantai、1949~1954頁、2014年は、障害電流のゼロシーケンス成分を使用するANNブロックと組み合わせたインピーダンスリレーシステムを開示している。基本波成分を抽出するための高速フーリエ変換(FFT)は、速度に関して制限を導入する。また、ゼロシーケンス成分の使用は、障害が対称障害であるかまたは接地を含まない場合にさらなる制限を導入し、ゼロシーケンス量は存在しない。
【0014】
M.Oleskoviczらによる、「A complete scheme for fault detection,classification and location in transmission lines using neural networks」、Proceedings of the IEEE 7th International Conference on Developments in Power System Protection(DSP’01)、335~338頁、2001年は、距離保護の完全な方式のためのANNアプローチを提示している。提示された解決策の入力は、障害前および障害中の状態における三相電圧および電流サンプルである。しかしながら、平均応答時間は、98%の精度で13msである。
【0015】
伝送線路保護のための技術の改善が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
概要
パワーグリッドへのインバータベースのリソース(IBR)の追加は、伝送線路保護に課題をもたらす。IBRによって生成される障害電流は、大きさが低いことが多く、従来の保護方式を適用するのに十分なレベルを含まないか、または負の量を含まないことが多い。これらの負の量の欠如は、線路距離インテリジェント電子デバイス(IED)の誤った位相およびゾーン分類をもたらす可能性がある。より低い障害電流の大きさは、距離リレーの性能に影響を及ぼす可能性があり、距離保護要素の誤動作または非動作を引き起こす可能性がある。ヒューマンエキスパートベースのリレー設定によってこれらの課題を軽減する技術は、保護問題を完全に排除することができない場合がある。
【0017】
電力システム保護の改善された技術が必要とされている。電力線保護に適合した改善された技術が必要とされている。また、IBRを有するシステムを効率的に保護することができる保護機能(例えば、自律的距離保護方法)を提供することができる方法、デバイス、およびシステムも必要とされている。特に、位相分類、ゾーン分類、および/または保護機能をデータ駆動型手法を使用して生成することができるそのような方法、デバイス、およびシステムが必要とされている。位相分類、ゾーン分類、および/または保護機能を自己設定方式で決定することができるそのような方法、デバイス、およびシステムも必要とされている。特に、IBRを有する電力システムのための高速で安全な障害およびゾーン分類を提供するそのような方法、デバイス、およびシステムが必要とされている。
【0018】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、電力システム保護および/または監視のための機能の人工知能(AI)/機械学習(ML)ベースの実装を提供するように動作することができる。実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、伝送線路システムのためのAI/MLベースの位相識別(障害分類用)およびゾーン識別を提供するように動作することができる。本方法、デバイス、およびシステムは、IBRの浸透性が高い電力システムに特に適している。
【0019】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、分析手法を使用して障害開始時間検出を実行するように動作することができる。方法、デバイス、およびシステムは、少なくとも1つの電力システム特性(電流および/または電圧など)のスライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定し、スライディングウィンドウ移動平均からの偏差の絶対値を、スライディングウィンドウ標準偏差に依存する閾値と比較して、それによって障害開始時間を決定するように動作することができる。
【0020】
スライディングウィンドウ移動平均は、スライディングウィンドウにおける少なくとも1つの電力システム特性(例えば、電圧および/または電流またはいくつかの電圧および/または電流)の平均であってもよい。
【0021】
スライディングウィンドウ標準偏差は、スライディングウィンドウにおける少なくとも1つの電力システム特性(例えば、電圧および/または電流またはいくつかの電圧および/または電流)の標準偏差であってもよい。
【0022】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、精度を向上させるためにスマートトレーニングウィンドウ選択を実行するように動作することができる。方法、デバイス、およびシステムは、移動平均フィルタに使用されるサイクル当たりのサンプル数に基づいて電流および/または電圧の変化率を決定するように動作することができる。
【0023】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、人工知能(AI)/機械学習(ML)モデルを訓練および構築するためのシステムに依存しない特徴量選択を提供する。
【0024】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、IEDでの実装のために訓練されたAI/MLモデルから解釈可能なコードを生成および/または使用することであり得る。
【0025】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、伝送システムの現場動作中に位相分類、ゾーン分類、および/または保護機能を連続的に更新するように動作することができる。
【0026】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムは、インバータベース(再生可能エネルギー)リソースの浸透が高い電力システムに電力線保護を提供するように動作することができる。本方法で得られる機械学習モデルは、システムパラメータとは無関係である。それは、追加の訓練を必要とせずに任意のシステムに適用することができる。
【0027】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムでは、AI/MLモデル訓練の入力として使用される、および/または訓練された分類器または保護機能の入力として使用される特徴量が具体的に選択され得る。すなわち、3つの位相に対する電圧の変化率を示し、伝送線路の3つの位相に対する電流の変化率を示す特徴量を入力として使用することができる。これは、ランダムフォレスト(RF)訓練または他のAI/MLモデル訓練が実行され得る訓練中と、作成された決定ロジックの使用中の両方に適用され得る。
【0028】
AI/MLモデルの入力層は、1つまたはいくつかの電力システム特性の変化率(電圧および/または電流の変化率など)を示す変化率値を受信することができる。
【0029】
AI/MLモデルの出力層は、障害および/または障害のタイプおよび/または障害のゾーンを示す信号を提供することができる。
【0030】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムでは、第1の複数の決定木を有する第1のランダムフォレストを生成して、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値を入力として受信し、障害分類を実行し、障害タイプに関する情報を出力する位相分類器として動作することができる。位相分類器は、入力としての3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値の受信に応答して、障害をタイプABC、A-g、BC、CA-gのうちの1つに分類するように動作することができる。
【0031】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムでは、第2の複数の決定木を有する第2のランダムフォレストを生成して、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値を入力として受信し、ゾーン分類を実行し、ゾーンタイプに関する情報を出力するゾーン分類器として動作することができる。ゾーン分類器は、入力としての3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値の受信に応答して、障害を複数の個別のゾーン(ゾーン1、ゾーン2など)のうちの1つに分類するように動作することができる。
【0032】
一実施形態によるコンピュータ実装方法は、電力システムと共に使用するように動作する信号を生成するように動作する決定ロジックを生成する際に使用するための特徴量を計算することを含み、特徴量を計算することは、所与のタイプの電力システムについてサンプリングされたデータの少なくとも1つの電気特性から障害開始時間を決定することと、少なくとも1つのサンプル時間に対する少なくとも1つの電気特性の変化率を示す変化率値を決定することであって、少なくとも1つのサンプル時間は、障害開始時間に依存する、決定することと、を含む、計算することと、決定ロジックを生成するために特徴量を使用することと、を含む。
【0033】
本方法は、信号を生成するために決定ロジックをインテリジェント電子デバイス(IED)に配備することをさらに含むことができる。
【0034】
本方法は、インテリジェント電子デバイス(IED)によって、信号を生成するために決定ロジックを実行することをさらに含むことができる。
【0035】
本方法は、電力システム保護および/または監視のための方法であってもよい。
決定ロジックは保護ロジックであってもよい。
【0036】
決定ロジックは、距離保護機能であってもよく、または距離保護機能を実装してもよい。
【0037】
所与のタイプの電力システムは、伝送線路であってもよい。
決定ロジックは、所与のタイプの複数の電力システムを保護および/または監視するために配備され得る。
【0038】
所与のタイプの複数の電力システムは、複数の伝送線路であってもよい。
複数の伝送線路は、設置場所が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
【0039】
複数の伝送線路は、線路長が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
複数の伝送線路は、導体径が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
【0040】
本方法は、伝送線路保護のための方法であってもよい。
決定ロジックは、保護機能、障害分類のための位相分類器、障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを備えてもよい。
【0041】
信号は、回路遮断器制御信号、スイッチ制御信号、警報、警告、ステータス情報、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介して出力するための出力のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0042】
障害開始時間を決定することは、少なくとも1つの電気特性のスライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定することと、スライディングウィンドウ移動平均からの少なくとも1つの電気特性の偏差の絶対値を少なくとも1つの閾値と比較することと、を含むことができる。
【0043】
少なくとも1つの閾値は、スライディングウィンドウ標準偏差に依存し得る。
障害開始時間は、電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの電圧の偏差の絶対値が位相固有の電圧閾値に達するかまたはそれを超える時間と、電流のスライディングウィンドウ移動平均からの電流の偏差の絶対値が位相固有の電流閾値に達するかまたはそれを超える時間と、のうちの早い方として識別することができる。
【0044】
変化率値を決定することは、各位相について、フィルタリングされた電圧を決定することと、フィルタリングされた電流を決定することと、フィルタリングされた電圧およびフィルタリングされた電流から変化率値を計算することと、を含むことができる。
【0045】
フィルタリングされた電圧は、電圧のN>1個のサンプル値を平均することによって決定されてもよく、フィルタリングされた電流は、電流のN>1個のサンプル値を平均することによって決定される。
【0046】
変化率値を計算することは、時間kにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値との間の電圧差と、時間kにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値との間の電流差と、を決定することを含むことができる。
【0047】
電圧の変化率値は、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電圧差の変化として決定されてもよい。
【0048】
電流の変化率値は、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電流差の変化として決定されてもよい。
【0049】
決定ロジックを配備することは、距離保護のためにIEDによって実行するために位相分類器および/またはゾーン分類器を配備することを含むことができる。
【0050】
決定ロジックを生成することは、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために特徴量を使用することを含むことができる。
【0051】
決定ロジックを生成するために特徴量を使用することは、アンサンブル機械学習(ML)方法を用いて、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することを含むことができる。
【0052】
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するために特徴量を用いたランダムフォレスト訓練を含むことができる。
【0053】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、変化率値から選択することができる。
【0054】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧1はサンプル時間の数を示す。
【0055】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0056】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m=3は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0057】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の最大4分の1サイクルから取得されたサンプル時間から選択することができる。
【0058】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0059】
位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率値を使用することは、位相分類器を生成するために、特徴量を用いて、第1の機械学習モデルを訓練することを含むことができる。
【0060】
位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率値を使用することは、ゾーン分類器を生成するために、特徴量を用いて、第2の機械学習モデルを訓練することを含むことができる。
【0061】
位相分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力することができる。
【0062】
ゾーン分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力することができる。
【0063】
位相分類器および/またはゾーン分類器は、自己設定方式で生成することができる。
決定ロジックは、伝送線路保護のための決定ロジックであってもよい。
【0064】
伝送線路保護は、高インピーダンス障害保護を含むことができる。
位相分類器および/またはゾーン分類器を生成することは、いくつかの別個のソース-線路インピーダンスに対するデータを含むデータセットを用いて実行することができる。
【0065】
一実施形態によるコンピューティングシステムは、電力システム特性(障害のある線路の電圧および/または電流など)を示す訓練データを受信または記憶するように動作するインタフェースまたはメモリを有する。コンピューティングシステムは、電力システム保護のための決定ロジックを生成する際に使用するための特徴量を計算し、および/または電力システムと共に使用するように動作する信号を生成するように動作する決定ロジックを生成する際に使用するための特徴量を計算するように動作する少なくとも1つの集積回路を有し、特徴量を計算することは、所与のタイプの電力システムについてサンプリングされたデータの少なくとも1つの電気特性から障害開始時間を決定することと、少なくとも1つのサンプル時間に対する少なくとも1つの電気特性の変化率を示す変化率値を決定することであって、少なくとも1つのサンプル時間は、障害開始時間に依存する、決定することと、を含む、計算することと、を含む。少なくとも1つの集積回路は、決定ロジックを生成するために特徴量を使用するように動作する。
【0066】
コンピューティングシステムは、信号を生成するために決定ロジックをインテリジェント電子デバイス(IED)に配備するための出力インタフェースを有することができる。
【0067】
コンピューティングシステムは、信号を生成するために決定ロジックを実行するように動作するインテリジェント電子デバイス(IED)によってを備えることができる。
【0068】
コンピューティングシステムは、電力システム保護および/または監視のためのコンピューティングシステムであってもよい。
【0069】
決定ロジックは保護ロジックであってもよい。
決定ロジックは、距離保護機能であってもよく、または距離保護機能を実装してもよい。
【0070】
所与のタイプの電力システムは、伝送線路であってもよい。
コンピューティングシステムは、所与のタイプの複数の電力システムを保護および/または監視するための決定ロジックを配備するように動作することができる。
【0071】
所与のタイプの複数の電力システムは、複数の伝送線路であってもよい。
複数の伝送線路は、設置場所が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
【0072】
複数の伝送線路は、線路長が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
複数の伝送線路は、導体径が互いに区別される伝送線路を備えてもよい。
【0073】
コンピューティングシステムは、伝送線路保護のための決定ロジックを生成するように動作することができる。
【0074】
コンピューティングシステムは、保護機能、障害分類のための位相分類器、障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを備えてもよい決定ロジックを生成するように動作することができる。
【0075】
信号は、回路遮断器制御信号、スイッチ制御信号、警報、警告、ステータス情報、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介して出力するための出力のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0076】
コンピューティングシステムは、障害開始時間を決定することが、少なくとも1つの電気特性のスライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定することと、スライディングウィンドウ移動平均からの少なくとも1つの電気特性の偏差の絶対値を少なくとも1つの閾値と比較することと、を含むことができるように動作することができる。
【0077】
コンピューティングシステムは、少なくとも1つの閾値が、スライディングウィンドウ標準偏差に依存し得るように動作することができる。
【0078】
コンピューティングシステムは、障害開始時間が、電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの電圧の偏差の絶対値が位相固有の電圧閾値に達するかまたはそれを超える時間と、電流のスライディングウィンドウ移動平均からの電流の偏差の絶対値が位相固有の電流閾値に達するかまたはそれを超える時間と、のうちの早い方として識別することができるように動作することができる。
【0079】
コンピューティングシステムは、変化率値を決定することが、各位相について、フィルタリングされた電圧を決定することと、フィルタリングされた電流を決定することと、フィルタリングされた電圧およびフィルタリングされた電流から変化率値を計算することと、を含むことができるように動作することができる。
【0080】
コンピューティングシステムは、フィルタリングされた電圧は、電圧のN>1個のサンプル値を平均することによって決定されてもよく、フィルタリングされた電流は、電流のN>1個のサンプル値を平均することによって決定されるように動作することができる。
【0081】
コンピューティングシステムは、変化率値を計算することが、時間kにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値との間の電圧差と、時間kにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値との間の電流差と、を決定することを含むことができるように動作することができる。
【0082】
コンピューティングシステムは、電圧の変化率値が、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電圧差の変化として決定されてもよいように動作することができる。
【0083】
コンピューティングシステムは、電流の変化率値が、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電流差の変化として決定されてもよいように動作することができる。
【0084】
コンピューティングシステムは、インテリジェント電子デバイス(IED)による実行のために決定ロジックを配備するように動作することができる。
【0085】
コンピューティングシステムは、決定ロジックを配備することが、距離保護のためにIEDによって実行するために位相分類器および/またはゾーン分類器を配備することを含むことができるように動作することができる。
【0086】
コンピューティングシステムは、決定ロジックを生成することが、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために特徴量を使用することを含むことができるように動作することができる。
【0087】
コンピューティングシステムは、決定ロジックを生成するために特徴量を使用することが、アンサンブル機械学習(ML)方法を用いて、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することを含むことができるように動作することができる。
【0088】
コンピューティングシステムは、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するために特徴量を用いたランダムフォレスト訓練を含むことができるように動作することができる。
【0089】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、変化率値から選択することができるように動作することができる。
【0090】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧1はサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0091】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0092】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m=3は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0093】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、障害開始時間後の最大4分の1サイクルから取得されたサンプル時間から選択することができるように動作することができる。
【0094】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力ノードの特徴量が、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができるように動作することができる。
【0095】
コンピューティングシステムは、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率値を使用することは、位相分類器を生成するために、特徴量を用いて、第1の機械学習モデルを訓練することを含むことができるように動作することができる。
【0096】
コンピューティングシステムは、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率値を使用することは、ゾーン分類器を生成するために、特徴量を用いて、第2の機械学習モデルを訓練することを含むことができるように動作することができる。
【0097】
コンピューティングシステムは、位相分類器が、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力することができるように動作することができる。
【0098】
コンピューティングシステムは、ゾーン分類器が、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力することができるように動作することができる。
【0099】
コンピューティングシステムは、自己設定方式で位相分類器および/またはゾーン分類器を生成するように動作することができる。
【0100】
コンピューティングシステムは、決定ロジックが、伝送線路保護のための決定ロジックであってもよいように動作することができる。
【0101】
コンピューティングシステムは、伝送線路保護が、高インピーダンス障害保護を含むことができるように動作することができる。
【0102】
コンピューティングシステムは、位相分類器および/またはゾーン分類器を生成することが、いくつかの別個のソース-線路インピーダンスに対するデータを含むデータセットを用いて実行することができるように動作することができる。
【0103】
上述の実施形態と組み合わせてまたは独立して使用することができる実施形態によれば、電力システム保護、特に伝送線路保護のための方法は、電圧および/または電流から障害開始時間を決定することを含む。本方法は、少なくとも1つのサンプル時間に対する電圧の変化率および/または電流の変化率を示す変化率値を決定することであって、少なくとも1つのサンプル時間は障害開始時間に依存する、決定することを含む。本方法は、保護機能(保護ロジックなど)、障害分類のための位相分類器、および/または障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器を生成するために変化率値を使用することを含む。
【0104】
本方法は、コンピュータ実装方法であってもよい。
本方法は、少なくとも1つの集積回路によって自動的に実行され得る。
【0105】
少なくとも1つの集積回路は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つの集積回路であってもよい。少なくとも1つの集積回路は、インテリジェント電子デバイス(IED)の少なくとも1つの集積回路であってもよい。
【0106】
本方法は、距離保護のために、インテリジェント電子デバイスIEDによる実行のために位相分類器および/またはゾーン分類器を配備することをさらに含むことができる。
【0107】
本方法は、位相分類器およびゾーン分類器に基づいてインテリジェント電子デバイスIED決定ロジックを生成することと、実行のためにIED決定ロジックを配備することと、をさらに含むことができる。
【0108】
IED決定ロジックは決定木であってもよい。
IED決定ロジックは、解釈可能なIED決定ロジックであってもよい。
【0109】
IEDは、距離リレーであってもよい。
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、アンサンブル機械学習方法を含むことができる。
【0110】
本方法は、電圧および電流を含む訓練データから機械学習モデルを訓練するための特徴量を導出することを含むことができる。
【0111】
特徴量を導出することは、障害開始時間に依存する1つまたは複数の時間における伝送線路の複数の位相の電圧の変化率および伝送線路の複数の位相の電流の変化率を決定することを含むことができる。
【0112】
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するためのランダムフォレスト訓練を含むことができる。
【0113】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、変化率値から選択することができる。
【0114】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧1はサンプル時間の数を示す。
【0115】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0116】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m=3は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0117】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の最大4分の1サイクルから取得されたサンプル時間から選択することができる。
【0118】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0119】
ランダムフォレスト訓練は、各々が3つの位相に対する電圧および電流を含むL>1個の障害線路のデータセットを用いて実行され得る。
【0120】
位相分類器および/またはゾーン分類器を生成するために変化率値を使用することは、位相分類器を生成するために第1の機械学習モデルを訓練することと、ゾーン分類器を生成するために第2の機械学習モデルを訓練することと、を含むことができる。
【0121】
第1の機械学習モデルは、第1の複数の決定木を有する第1のランダムフォレストを備えることができ、第2の機械学習モデルは、第1の複数の決定木とは異なる第2の複数の決定木を有する第2のランダムフォレストを備える。
【0122】
第2の複数の決定木の数は、第1の複数の決定木の数を超えてもよい。
第1のランダムフォレスト内の各ツリーノードで分割するために利用可能な変数の第1の数は、第2のランダムフォレスト内の各ツリーノードで分割するために利用可能な変数の第2の数よりも大きい。
【0123】
第1の機械学習モデルは第1のランダムフォレスト分類器であってもよく、第2の機械学習モデルは第2のランダムフォレスト分類器であってもよい。
【0124】
障害開始時間を決定することは、スライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定することを含むことができる。
【0125】
障害開始時間を決定することは、スライディングウィンドウ移動平均からの偏差の絶対値を閾値と比較することを含むことができる。
【0126】
閾値は、スライディングウィンドウ標準偏差に依存し得る。
障害開始時間を決定することは、各位相について、それぞれ、電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの電圧の偏差の絶対値と、その位相に対する電圧のスライディングウィンドウ標準偏差に依存する位相固有の電圧閾値との比較と、電流のスライディングウィンドウ移動平均からの電流の偏差の絶対値と、その位相に対する電流のスライディングウィンドウ標準偏差に依存する位相固有の電流閾値との比較と、を実行することを含むことができる。任意の位相について、および電圧または電流のいずれかについて、閾値に達する最も早い時間が、障害開始時間であると決定され得る。
【0127】
変化率値を決定することは、各位相について、フィルタリングされた電圧を決定することと、フィルタリングされた電流を決定することと、フィルタリングされた電圧およびフィルタリングされた電流から変化率値を計算することと、を含むことができる。
【0128】
フィルタリングは、移動平均フィルタを適用することを含むことができる。
位相分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力することができる。
【0129】
障害タイプは、ABC、A-g、BC、CA-gからなる群から選択することができる。
【0130】
ゾーン分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力することができる。
【0131】
ゾーンは、2つのゾーンまたは3つ以上のゾーンから選択されてもよい。
本方法は、IEDの現場動作中に位相分類器、ゾーン分類器、および/または保護機能を更新することを含むことができる。
【0132】
本方法は、IEDの現場動作中に機械学習モデルを再訓練することを含むことができる。
【0133】
機械学習モデルを再訓練することは、ランダムフォレストを再訓練することを含むことができる。
【0134】
本方法は、IBRを有する電力システムの伝送線路のための、特に距離保護のための、位相分類器、ゾーン分類器、保護機能、または他の決定ロジックを生成するために使用することができる。
【0135】
位相分類器および/またはゾーン分類器は、自己設定方式で決定されてもよく、決定ロジックの自律的生成を提供する。
【0136】
伝送線路保護は、高インピーダンス障害保護を含むことができる。
位相分類器および/またはゾーン分類器を生成することは、いくつかの別個のソース-線路インピーダンスに対するデータを含むデータセットを用いて実行することができる。
【0137】
一実施形態によるコンピューティングシステムは、障害のある線路の電圧および/または電流を示す訓練データを受信または記憶するように動作するインタフェースまたはメモリを有する。コンピューティングシステムは、障害のある線路の電圧および/または電流から障害開始時間を決定し、障害開始時間に依存する少なくとも1つのサンプル時間の間の電圧の変化率を示す、および/または電流の変化率を示す、変化率値を決定し、機械学習を用いて決定ロジックを生成するために変化率値を使用するように動作する少なくとも1つの集積回路を有する。
【0138】
決定ロジックは、距離保護機能、障害分類のための位相分類器、および/または障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0139】
コンピューティングシステムは、距離保護のためのインテリジェント電子デバイスIEDであってもよい。
【0140】
コンピューティングシステムは、距離保護のために、位相分類器、ゾーン分類器、またはそれらから導出された決定ロジック(保護機能決定ロジックなど)をインテリジェント電子デバイスIEDに配備するためのインタフェースを有することができる。
【0141】
コンピューティングシステムは、位相分類器およびゾーン分類器に基づいてインテリジェント電子デバイスIED決定ロジックを生成し、実行のためにIED決定ロジックを配備するように動作することができる。
【0142】
IED決定ロジックは決定木であってもよい。
IED決定ロジックは、解釈可能なIED決定ロジックであってもよい。
【0143】
IEDは、距離リレーであってもよい。
コンピューティングシステムは、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することが、アンサンブル機械学習方法を含むように動作することができる。
【0144】
コンピューティングシステムは、電圧および電流を含む訓練データから機械学習モデルを訓練するための特徴量を導出するように動作することができる。
【0145】
コンピューティングシステムは、特徴量を導出することが、障害開始時間に依存する1つまたは複数の時間における伝送線路の複数の位相の電圧の変化率および伝送線路の複数の位相の電流の変化率を決定することを含むことができるように動作することができる。
【0146】
コンピューティングシステムは、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するためにランダムフォレスト訓練を含むことができるように動作することができる。
【0147】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量が、変化率値から選択することができるように動作することができる。
【0148】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧1はサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0149】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0150】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量が、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m=3は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示すように動作することができる。
【0151】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の最大4分の1サイクルから取得されたサンプル時間から選択することができる。
【0152】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0153】
コンピューティングシステムは、ランダムフォレスト訓練が、各々が3つの位相に対する電圧および電流を含むL>1個の障害線路のデータセットを用いて実行されるように動作することができる。
【0154】
コンピューティングシステムは、位相分類器を生成するために第1の機械学習モデルを訓練し、ゾーン分類器を生成するために第2の機械学習モデルを訓練するように動作することができる。
【0155】
コンピューティングシステムは、第1の機械学習モデルが、第1の複数の決定木を有する第1のランダムフォレストを備え、第2の機械学習モデルが、第1の複数の決定木とは異なる第2の複数の決定木を有する第2のランダムフォレストを備えるように動作することができる。
【0156】
コンピューティングシステムは、第1の機械学習モデルが第1のランダムフォレスト分類器であってもよく、第2の機械学習モデルが第2のランダムフォレスト分類器であってもよいように動作することができる。
【0157】
コンピューティングシステムは、障害開始時間を決定することが、スライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定することを含むように動作することができる。
【0158】
コンピューティングシステムは、障害開始時間を決定することが、スライディングウィンドウ移動平均からの偏差の絶対値を閾値と比較することを含むように動作することができる。
【0159】
コンピューティングシステムは、閾値が、スライディングウィンドウ標準偏差に依存するように動作することができる。
【0160】
コンピューティングシステムは、障害開始時間を決定することが、各位相について、それぞれ、電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの電圧の偏差の絶対値と、その位相に対する電圧のスライディングウィンドウ標準偏差に依存する位相固有の電圧閾値との比較と、電流のスライディングウィンドウ移動平均からの電流の偏差の絶対値と、その位相に対する電流のスライディングウィンドウ標準偏差に依存する位相固有の電流閾値との比較と、を実行することを含むように動作することができる。任意の位相について、および電圧または電流のいずれかについて、閾値に達する最も早い時間が、障害開始時間であると決定され得る。
【0161】
コンピューティングシステムは、変化率値を決定することが、各位相について、フィルタリングされた電圧を決定することと、フィルタリングされた電流を決定することと、フィルタリングされた電圧およびフィルタリングされた電流から変化率値を計算することと、を含むように動作することができる。
【0162】
コンピューティングシステムは、位相分類器が、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力するように動作することができる。
【0163】
コンピューティングシステムは、障害タイプがABC、A-g、BC、CA-gからなる群から選択されるように動作することができる。
【0164】
コンピューティングシステムは、ゾーン分類器が、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力するように動作することができる。
【0165】
コンピューティングシステムは、ゾーンが2つのゾーンまたは3つ以上のゾーンから選択されるように動作することができる。
【0166】
コンピューティングシステムは、IEDの現場動作中に位相分類器、ゾーン分類器、および/または保護機能を更新するように動作することができる。
【0167】
コンピューティングシステムは、IEDの現場動作中に機械学習モデルを再訓練するように動作することができる。
【0168】
コンピューティングシステムは、機械学習モデルを再訓練することがランダムフォレストを再訓練することを含むように動作することができる。
【0169】
一実施形態によるインテリジェント電子デバイスIEDは、電力伝送線路の少なくとも1つの位相に対する電圧および/または電流などの電力システム特性を受信するためのインタフェースを備える。IEDは、電力システム特性の変化率(例えば、電圧の変化率および/または電流の変化率)を決定し、決定された変化率を決定ロジックへの入力として入力するように動作することができる。
【0170】
電力システムは、伝送線路であってもよく、伝送線路を備えていてもよい。
決定ロジックは、距離保護機能、障害分類のための位相分類器、障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0171】
決定ロジックは、電力伝送線路の3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信するように動作することができる。
【0172】
IEDは、電圧からフィルタリングされた電圧を決定し、電流からフィルタリングされた電流を決定し、フィルタリングされた電圧から電圧の変化率を計算し、フィルタリングされた電流から電流の変化率を計算するように動作することができる。
【0173】
位相分類器は、第1のランダムフォレストを含んでもよく、またはそれに基づいてもよい。
【0174】
ゾーン分類器は、第2のランダムフォレストを含んでもよく、またはそれに基づいてもよい。
【0175】
位相分類器は、第1の複数の決定木を含む第1のランダムフォレストを備えてもよく、またはそれに基づいてもよく、ゾーン分類器は、第2の複数の木を含む第2のランダムフォレストを含んでもよく、またはそれに基づいてもよい。
【0176】
第2の複数の決定木の数は、第1の複数の決定木の数を超えてもよい。
第1のランダムフォレスト内の各ツリーノードで分割するために利用可能な変数の第1の数は、第2のランダムフォレスト内の各ツリーノードで分割するために利用可能な変数の第2の数よりも大きい。
【0177】
IEDは、IEDの現場動作中に位相分類器、ゾーン分類器、および/または保護機能を更新するように動作することができる。
【0178】
IEDは、IEDの現場動作中に機械学習モデルを再訓練するように動作することができる。
【0179】
IEDは、機械学習モデルを再訓練することがランダムフォレストを再訓練することを含むように動作することができる。
【0180】
電力システムは、電力伝送線路と、電力伝送線路の距離保護機能を実行するように動作する一実施形態によるインテリジェント電子デバイスIEDとを備える。
【0181】
電力システムは、1つまたは複数のインバータベースのリソースをさらに備えることができる。
【0182】
インバータベースのリソースは、再生可能エネルギーリソースであってもよい。
電力システムは、障害のある線路の電圧および/または電流を示す訓練データを受信し、障害のある線路の電圧および/または電流から障害開始時間を決定し、障害開始時間に依存する少なくとも1サンプル時間の間の電圧の変化率を示す、および/または電流の変化率を示す、変化率値を決定し、機械学習を用いて距離保護機能、障害分類のための位相分類器、および/または障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つである決定ロジックを生成するために変化率値を使用し、決定ロジックをインテリジェント電子デバイスIEDに配備するように動作するコンピューティングシステムをさらに備えることができる。
【0183】
上述の実施形態と組み合わせてまたは独立して使用することができる実施形態によれば、電力システム保護を実施するためのコンピュータ実装方法は、ラベル付きデータセットから、
位相分類器を生成することと、
ゾーン分類器を生成することと、
を含む。
【0184】
本方法は、ランダムフォレスト訓練を実行することによって位相分類器およびゾーン分類器を生成することを含むことができる。
【0185】
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、機械学習(ML)モデルを訓練することを含むことができる。
【0186】
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、決定ロジックモデルを訓練するためにラベル付きデータセットから特徴量を決定することを含むことができる。決定ロジックモデルは、MLモデルを含むことができる。決定ロジックモデルは、第1および第2のMLモデルを含むことができる。
【0187】
訓練のための特徴量を決定することは、ラベル付きデータセット内の電圧および/または電流から障害開始時間を決定することと、少なくとも1つのサンプル時間に対する電圧の変化率および/または電流の変化率を示す変化率値を決定することであって、少なくとも1つのサンプル時間は障害開始時間に依存する、決定することと、を含むことができる。
【0188】
本方法は、
位相分類器と、
ゾーン分類器と、
位相分類器および/またはゾーン分類器に基づいて生成された保護機能と、
のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つのインテリジェント電子デバイス(IED)に配備することを含むことができる。
【0189】
本方法は、IEDによって、
位相分類器と、
ゾーン分類器と、
保護機能と、
のうちの少なくとも1つをIEDの現場使用において実行することを含むことができる。
【0190】
上述の実施形態と組み合わせてまたは独立して使用することができる実施形態によれば、電力システムの少なくとも1つの電気特性の変化率を示す特徴量を生成するための少なくとも1つの集積回路の使用が提供され、特徴量は、少なくとも1つの機械学習(ML)または人工知能(AI)モデルの入力層に入力され、MLまたはAIモデルは、障害および/または障害のタイプおよび/または障害のゾーンを示す信号を提供する出力層を有する。
【0191】
本使用は、信号を生成するためにMLまたはAIモデルをインテリジェント電子デバイス(IED)に配備することをさらに含むことができる。
【0192】
本使用は、インテリジェント電子デバイス(IED)によって、信号を生成するためにMLまたはAIモデルを実行することをさらに含むことができる。
【0193】
本使用は、インテリジェント電子デバイス(IED)によって、電力システム保護および/または監視のためにMLまたはAIモデルを実行することをさらに含むことができる。
【0194】
MLまたはAIモデルは、保護ロジックであってもよい。
MLまたはAIモデルは、距離保護機能であってもよく、または距離保護機能を実装してもよい。
【0195】
本使用は、伝送線路保護のためにMLまたはAIモデルを使用することを含むことができる。
【0196】
MLまたはAIモデルは、保護機能、障害分類のための位相分類器、障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを備えてもよい。
【0197】
信号は、回路遮断器制御信号、スイッチ制御信号、警報、警告、ステータス情報、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介して出力するための出力のうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0198】
本使用は、少なくとも1つの電気特性から障害開始時間を決定することを含むことができる。
【0199】
障害開始時間を決定することは、少なくとも1つの電気特性のスライディングウィンドウ移動平均を決定することと、スライディングウィンドウ移動平均からの少なくとも1つの電気特性の偏差の絶対値を少なくとも1つの閾値と比較することと、を含むことができる。
【0200】
障害開始時間を決定することは、少なくとも1つの電気特性のスライディングウィンドウ標準偏差を決定することを含むことができる。
【0201】
少なくとも1つの閾値は、スライディングウィンドウ標準偏差に依存し得る。
障害開始時間は、電圧のスライディングウィンドウ移動平均からの電圧の偏差の絶対値が位相固有の電圧閾値に達するかまたはそれを超える時間と、電流のスライディングウィンドウ移動平均からの電流の偏差の絶対値が位相固有の電流閾値に達するかまたはそれを超える時間と、のうちの早い方として識別することができる。
【0202】
変化率を示す特徴量を生成することは、各位相について、フィルタリングされた電圧を決定することと、フィルタリングされた電流を決定することと、フィルタリングされた電圧およびフィルタリングされた電流から変化率値を計算することと、を含むことができる。
【0203】
フィルタリングされた電圧は、電圧のN>1個のサンプル値を平均することによって決定されてもよく、フィルタリングされた電流は、電流のN>1個のサンプル値を平均することによって決定される。
【0204】
変化率を示す特徴量を生成することは、時間kにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電圧のサンプル値との間の電圧差と、時間kにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値と時間k-Nにおけるフィルタリングされた電流のサンプル値との間の電流差と、を決定することを含むことができる。
【0205】
電圧の変化率値は、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電圧差の変化として決定されてもよい。
【0206】
電流の変化率値は、サンプル時間と前のサンプル時間との間の電流差の変化として決定されてもよい。
【0207】
本使用は、距離保護のためにIEDによって実行するために位相分類器および/またはゾーン分類器を実装するためにMLまたはAIモデルを配備することを含むことができる。
【0208】
本使用は、位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために特徴量を使用することを含むことができる。
【0209】
本使用は、アンサンブル機械学習(ML)方法を用いて、位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することを使用することを含むことができる。
【0210】
位相分類器を生成し、ゾーン分類器を生成することは、ランダムフォレストを生成するために特徴量を用いたランダムフォレスト訓練を含むことができる。
【0211】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、変化率値から選択することができる。
【0212】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧1はサンプル時間の数を示す。
【0213】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m≧2は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0214】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、電圧の変化率を示す少なくともm×n個の変化率値と、電流の変化率を示すm×n個の変化率値から選択することができ、m=3は位相の数を示し、n≧2は障害開始時間に依存するサンプル時間の数を示す。
【0215】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の最大4分の1サイクルから取得されたサンプル時間から選択することができる。
【0216】
ランダムフォレストの決定木の入力層のノードの特徴量は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0217】
位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率を示す特徴量を使用することは、位相分類器を生成するために、特徴量を用いて、第1の機械学習モデルを訓練することを含むことができる。
【0218】
位相分類器およびゾーン分類器の一方または両方を生成するために変化率を示す特徴量を使用することは、ゾーン分類器を生成するために、特徴量を用いて、第2の機械学習モデルを訓練することを含むことができる。
【0219】
位相分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、障害タイプを出力することができる。
【0220】
ゾーン分類器は、3つの位相に対する電圧の変化率および3つの位相に対する電流の変化率を入力として受信し、ゾーンを出力することができる。
【0221】
本使用は、位相分類器および/またはゾーン分類器を自己設定方式で生成することを含むことができる。
【0222】
MLまたはAIモデルは、伝送線路保護のための決定ロジックであってもよい。
伝送線路保護は、高インピーダンス障害保護を含むことができる。
【0223】
MLまたはAIモデルは、いくつかの別個のソース-線路インピーダンスに対するデータを含むデータセットを用いて位相分類器および/またはゾーン分類器を生成するために訓練され得る。
【0224】
実施形態によるデバイス、システム、および方法によって、様々な効果および利点が達成される。
【0225】
方法、デバイス、およびシステムは、位相分類、ゾーン分類、および/または保護機能がデータ駆動型手法を用いて生成されることを可能にする。方法、デバイス、およびシステムは、位相分類、ゾーン分類、および/または保護機能が自己設定方式で決定されることを可能にする。方法、デバイス、およびシステムは、IBRを有する電力システムの高速かつ安全な障害およびゾーン分類を提供する。
【0226】
方法、デバイス、およびシステムは、システムに依存せず、したがって毎回システムデータを必要としない訓練されたAI/MLモデルを提供する。
【0227】
方法、デバイス、およびシステムは、インバータベースのリソース(再生可能エネルギー)の浸透が高いシステムにおける伝送線路リレーの高速で安全な動作を提供する。
【0228】
方法、デバイス、およびシステムは、解釈可能なAI/MLモデルを提供する。例示のために、訓練されたAI/MLモデルは、人間の専門家によって解釈可能な決定木であってもよいし、そのような決定木に変換可能であってもよい。
【0229】
方法、デバイス、およびシステムは、保護ロジックをIEDに容易にインポートするために実際に配備可能なコードを生成するための技術を提供する。
【0230】
実施形態によるデバイス、方法、およびシステムは、IBRシステムに関連して使用され得るが、これに限定されない。デバイス、方法、およびシステムは、距離リレーによって実行される距離保護機能を改善するために使用され得るが、これに限定されない。
【0231】
図面の簡単な説明
本発明の主題は、添付の図面に示される好ましい例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【
図1】二重回路線路と保護デバイスとを備えるシステムの概略部分図である。
【
図4】第1および第2のランダムフォレストの概略図である。
【
図8】障害のある伝送線路の位相における電圧および電流の図である。
【
図9】障害のある伝送線路の位相における電圧および電流の図である。
【
図10】10分割交差検証における位相分類器の精度の図である。
【
図11】位相分類器の平均的な生産者の精度の図である。
【
図12】位相分類器の平均的なユーザの精度の図である。
【
図13】10分割交差検証におけるゾーン分類器の精度の図である。
【
図14】ゾーン分類器の平均的な生産者の精度の図である。
【
図15】ゾーン分類器の平均的なユーザの精度の図である。
【発明を実施するための形態】
【0233】
実施形態の詳細な説明
本発明の例示的な実施形態は、同一または類似の参照符号が同一または類似の要素を示す図面を参照して説明される。いくつかの実施形態を文脈で説明するが、以下で詳細に説明する方法およびデバイスは、多種多様なシステムで使用することができる。
【0234】
実施形態の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができる。
本発明の実施形態によれば、電力システムのための保護機能、特に距離保護機能を実行するように動作する方法、デバイス、およびシステムが提供される。本方法、デバイス、およびシステムは、再生可能エネルギーなどのインバータベースのリソースを有する電力システムの伝送線路の距離保護に使用することができる。
【0235】
本発明の実施形態によれば、距離保護のために位相分類器およびゾーン分類器を生成および/または使用するように動作するデバイス、システム、および方法が提供される。デバイス、システム、および方法は、伝送線路の3つの位相の電圧および電流から特徴量を決定することができ、特徴量は、電圧の変化率および電流の変化率を示す。特徴量は、分類器を生成するために1つまたはいくつかの機械学習モデルを訓練するため(訓練)、および/または生成された分類器に基づく決定ロジックを使用するため(インテリジェント電子デバイス(IED)のライブ動作)に使用することができる。
【0236】
特定の実施形態では、ランダムフォレストが、訓練データから導出された特徴量を用いて生成され得る。特徴量は、障害のある伝送線路の3つの位相の電圧の変化率および電流の変化率を示すことができる(訓練データは、障害の発生前および発生後の電圧および電流を包含する)。ランダムフォレストは、障害のタイプを示す位相分類器を実装する第1の決定木の第1のランダムフォレストを生成し、障害のあるゾーンを示すゾーン分類器を実装する第2の決定木の第2のランダムフォレストを生成するように訓練することができる。他の機械学習(ML)/人工知能(AI)モデルは、障害のある伝送線路の3つの位相の電圧の変化率および電流の変化率を示す特徴量を用いて訓練することができる。
【0237】
本明細書で使用される場合、「位相分類器」という用語は、障害タイプ分類を出力する分類器を指す。3相伝送線路の場合、位相分類器は、タイプABC、A-g、BC、CA-gからなる群から選択されるクラスに分類することができる。
【0238】
本明細書で使用される場合、「ゾーン分類器」という用語は、ゾーンを出力する分類器を指す。例示のために、ゾーン分類器は、2つのゾーン(ゾーン1、ゾーン2)からなる群から選択されたクラスに分類することができるが、これに限定されない。
【0239】
実施形態による方法、デバイス、およびシステムでは、第2の複数の決定木を有する第2のランダムフォレストを生成して、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値を入力として受信し、ゾーン分類を実行し、ゾーンタイプに関する情報を出力するゾーン分類器として動作することができる。ゾーン分類器は、入力としての3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値の受信に応答して、障害を複数の個別のゾーン(ゾーン1、ゾーン2など)のうちの1つに分類するように動作することができる。
【0240】
図1は、電力システム10の概略部分図である。電力システム10は、再生可能エネルギーリソースなどのインバータベースのリソースを含むソース12を有する。
【0241】
電力システムは、伝送線路11を有する。ソース12は、変成器13によって伝送線路11に結合することができる。電力システムは、二重回路伝送線路11、11’を含むことができる。
【0242】
保護デバイス20は、保護リレー、特に距離リレーとして実施することができる。保護デバイス20は、変流器14から伝送線路の電流を受け取ることができる。保護デバイス20は、保護デバイス20が設けられている伝送線路(例えば、ローカルバス)の端子における位相-接地電圧などの伝送線路の電圧測定値を受信することができる。電圧は、変圧器17から受け取ることができる。
【0243】
保護デバイス20は、距離保護機能を実行するように動作することができる。保護デバイス20は、伝送線路11のいくつかの位相の電流の変化率および電圧の変化率を入力として使用する距離保護機能などの決定ロジックを実行することができる。決定ロジックは、位相分類、ゾーン分類、またはトリッピングを実行するか否かの判定を出力する保護機能を含んでもよい。
【0244】
二重回路伝送線路11、11’を保護するために、さらなる変流器14’および変圧器17(または専用のさらなる変圧器)から電流および電圧測定値を受信するさらなる保護デバイス20’を設けることができる。さらなる保護デバイス20’の動作、構造、および機能は、保護デバイス20の動作、構造、および機能に対応することができる。したがって、以下では保護デバイス20を参照するが、本明細書に開示された技術は、いくつかの保護デバイス(すなわち、二重回路伝送線路のローカル端およびリモート端に配置された保護デバイス)の各々について、および/または保護デバイスの動作中に意思決定ロジックを生成するために適用され得ることが理解される。
【0245】
保護デバイス20によって実行される決定ロジックは、コンピューティングシステム15によって決定することができる。コンピューティングシステム15は、保護デバイス20とは別個かつ分離していてもよいが、そうである必要はない。
【0246】
コンピューティングシステム15は、データリポジトリから訓練データ16を受信し、訓練データ16を処理して、位相分類器およびゾーン分類器を生成するように動作することができる。位相およびゾーン分類器またはそれに依存する決定ロジックは、伝送線路保護を実行する際に使用するために保護デバイス20に配備することができる。
【0247】
訓練データ16は、様々な障害タイプ、障害位置、端子AおよびBにおけるソース-線路インピーダンス比、障害抵抗、および開始角度のシナリオを包含することができる。
【0248】
コンピューティングシステム15は、伝送線路システムのための人工知能(AI)/機械学習(ML)ベースの位相識別(障害分類用)およびゾーン識別を提供するように動作することができる。コンピューティングシステム15は、分析手法を用いて訓練データ16内の障害開始時間検出を実行するように動作することができる。コンピューティングシステム15は、電流および/または電圧のスライディングウィンドウ移動平均およびスライディングウィンドウ標準偏差を決定し、スライディングウィンドウ移動平均からの偏差の絶対値を、スライディングウィンドウ標準偏差に依存する閾値と比較して、それにより、位相分類器およびゾーン分類器を生成するときの障害開始時間を決定するように動作することができる。コンピューティングシステム15は、訓練データ16によって表される伝送線路の3つの位相について電流の変化率および電圧の変化率を決定し、これらのデータを位相分類器およびゾーン分類器を生成するために使用するように動作することができる。
【0249】
訓練データ16は、伝送線路のいくつかの位相の電流および電圧に加えて、障害タイプに関する情報および/または障害位置に関する情報を含むラベル付き訓練データであってもよく、またはそのようなラベル付き訓練データを含んでもよい。障害タイプおよび/または障害位置に関する情報は、ML訓練を実行するときに使用することができる。あるいは、訓練データ16は、ラベルなし訓練データであってもよく、またはラベルなし訓練データを含んでもよい。専門知識が、訓練データ16を処理して位相分類器およびゾーン分類器を生成するときに使用され得る。ランダムフォレスト(RF)などの様々なML技法は、欠落データ置換を実行する能力を有する。特徴量間の相関は、データセットから決定され、しばしば反復的に、欠落データの代用値を計算するために使用される。したがって、訓練データの一部のみが電流および電圧に加えて障害タイプおよび障害位置を含む場合でも、これは、MLベースの手法を使用して自動分類器生成を実行するのに十分であり得る。
【0250】
コンピューティングシステム15は、伝送線路に関連する訓練データから、位相の電圧および/または電流から障害開始時間を決定するように動作することができる。コンピューティングシステム15は、電圧の変化率および/または電流の変化率を示す値を決定するように動作することができる。これらの値は、簡潔にするために「変化率値」と呼ばれ、通常、伝送線路のいくつかの(特に3つの)位相に対する電圧の変化率といくつかの(特に3つの)位相に対する電流の変化率の両方を含む。変化率値は、決定された障害開始時間に依存する少なくとも1つの時間に取られる。コンピューティングシステム15は、変化率値を使用して、障害分類のための位相分類器および/または障害のあるゾーン識別のためのゾーン分類器を生成するように動作することができる。コンピューティングシステム15は、データ駆動型および自己設定方式で、機械学習を用いて位相分類器およびゾーン分類器を生成することができる。
【0251】
決定ロジックを生成するために使用される変化率値は、障害開始時間の後の最大4分の1サイクルから取得されるサンプル時間から選択することができる。決定ロジックを生成するために使用される変化率値は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0252】
コンピューティングシステム15によって決定された位相分類器およびゾーン分類器に基づいて、保護機能(特に距離保護機能)のための決定ロジックを決定することができる。これは、コンピューティングシステム15によって自動的に行われてもよい。あるいは、コンピューティングシステム15は、保護デバイス20で使用するための解釈可能な分類器または決定ロジックを提供することによって、決定ロジックの設定において専門家を支援することができる。
【0253】
位相分類器、ゾーン分類器、またはそれらから生成された保護機能(特に距離保護機能)は、実行のために保護デバイス20にロードすることができる。保護デバイス20の現場動作において、保護デバイス20は、伝送線路11の位相に対する電流および電圧を受信することができ、電流および電圧を処理して特徴量(特に、電流の変化率および電圧の変化率を示す特徴量)を決定し、決定された特徴量を位相分類器、ゾーン分類器、または保護機能への入力として使用することができる。
【0254】
位相分類器、ゾーン分類器、または保護機能は、コンピューティングシステム15によって生成された訓練されたMLモデルであってもよく、またはそれに基づいてもよい。
【0255】
図2は、保護デバイス20のブロック図である。保護デバイス20は、距離リレーであってもよい。距離リレーは、IBRの浸透性が高い電力システムにおける伝送線路保護用の距離リレーであってもよい。
【0256】
保護デバイス20は、伝送線路の1つまたはいくつかの位相に対する電圧および電流を受けるためのインタフェース25を有する。保護デバイス20は、処理機能を実行する1つまたはいくつかの集積回路(IC)21を有する。1つまたはいくつかのIC21は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたはいくつかを含み得る。
【0257】
1つまたはいくつかのIC21は、位相分類器22を実行することができる。位相分類器は、伝送線路11の位相の電流および電圧に依存する特徴量に応答して、障害をタイプABC、A-g、BC、CA-gのうちの1つに分類するように動作することができる。電流および電圧からIC21によって決定され得る特徴量は、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値に依存し得る。
【0258】
1つまたはいくつかのIC21は、ゾーン分類器23を実行することができる。ゾーン分類器は、伝送線路11の位相の電流および電圧に依存する特徴量に応答して、複数の個別のゾーン(ゾーン1、ゾーン2など)のうちの1つに分類するように動作することができる。電流および電圧からIC21によって決定され得る特徴量は、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値に依存し得る。
【0259】
1つまたはいくつかのIC21は、距離保護機能を実行するために距離要素24を実行することができる。距離要素は、伝送線路11の位相の電流および電圧に依存する特徴量に応答して実行されるべき補正応答動作を決定するように動作することができる。電流および電圧からIC21によって決定され得る特徴量は、3つの位相における電圧の変化率値および3つの位相における電流の変化率値に依存し得る。
【0260】
位相分類器22、ゾーン分類器23、または距離要素24の入力として使用される特徴量は、以下に分類器訓練に関連して説明するのと同じ方法で、または同様にして、電圧および電流から決定することができる。
【0261】
位相分類器22、ゾーン分類器23、または距離要素24は、コンピューティングシステム15によって提供されるような、訓練されたMLモデルであってもよく、またはそれに基づいてもよい。
【0262】
図3は、方法30のフローチャートである。方法30は、コンピューティングシステム15によって実行することができる。方法30は、訓練データ16を処理し、それによって位相分類器およびゾーン分類器を生成するために実行され得る。
【0263】
ステップ31で、特徴量決定が実行される。特徴量決定は、訓練データ16に含まれる処理電流および電圧を含むことができる。特徴量決定は、訓練データ16内のデータによって表されるそれぞれの線路の障害開始時間またはそれに近い時間におけるいくつかの位相に対する電圧および電流の変化率を決定することを含むことができる。特徴量決定は、訓練データ16に含まれるいくつかの別個のシナリオの各々についてそれぞれ実行され得ることが理解されよう。訓練データ16は、様々な障害タイプ、障害位置、端子AおよびBにおけるソース-線路インピーダンス比、障害抵抗、および開始角度を包含することができる。
【0264】
ステップ32で、機械学習(ML)モデル訓練が実行される。MLモデル訓練は、ランダムフォレスト技術であり得るか、またはランダムフォレスト技術を含み得る。MLモデル訓練は、ステップ31で決定された特徴量に基づくことができる。MLモデル訓練は、訓練データ内のシナリオから決定される電流の変化率および電圧の変化率を示す特徴量を利用することができる。ランダムフォレスト(RF)技術が使用される場合、ステップ32は、障害のタイプを示す位相分類器を実装する第1の決定木の第1のランダムフォレストを生成し、障害のあるゾーンを示すゾーン分類器を実装する第2の決定木の第2のランダムフォレストを生成することを含み得る。第1の決定木の数は、第2の決定木の数とは異なっていてもよい。
【0265】
ステップ32で、任意選択的に、訓練後にモデル検証を実行することができる。検証に失敗した場合、方法はステップ31にループバックすることができる。
【0266】
ステップ33で、訓練されたMLモデル、または訓練されたMLモデルに基づく決定ロジック(分類器または距離保護機能など)は、伝送線路保護機能を実行するために距離リレー20または他の保護デバイス20に配備することができる。
【0267】
上記で説明したように、ML訓練は、
図4を参照して例示的に示されているように、RF技術を包含することができる。
【0268】
図4は、第1のランダムフォレスト40および第2のランダムフォレスト50を示す概略図である。第1のランダムフォレスト40は、位相分類器を実装するために生成されてもよい。第2のランダムフォレスト50は、ゾーン分類器を実装するために生成されてもよい。
【0269】
第1のランダムフォレスト40は、第1の複数の第1の決定木41、42、43を含む。各第1の決定木の葉ノード48、49は、障害タイプを示してもよい。障害タイプは、ABC、A-g、BC、CA-gからなる群から選択することができる。
【0270】
ランダムフォレスト技術により、第1のランダムフォレスト40は、そのルートノードに異なる特徴量を有し、同様にルートノードの子ノードに異なる特徴量を有するなどの木を含む。例示のために、第1の決定木41は、伝送線路11の位相における電圧VAの変化率を示す特徴量と関連付けられたルートノード45を有してもよい。他の第1の決定木42は、伝送線路11の他の位相における電圧VBの変化率を示す特徴量に関連付けられたルートノード46を有してもよい。さらに他の第1の決定木43は、伝送線路11の位相のうちの1つにおける電流ICの変化率を示す特徴量に関連付けられたルートノード47を有してもよい。同様に、決定木41~43のさらに下のノードは、ランダムフォレスト内で決定木ごとに異なり得る(ただし、すべての木について区別する必要はない)。
【0271】
第2のランダムフォレスト50は、第2の複数の第2の決定木51~54を含む。各第2の決定木の葉ノード59は、ゾーンを示すことができる。ゾーンは、ゾーン1およびゾーン2などのいくつかの別個のゾーンからなる群から選択することができる。
【0272】
ランダムフォレスト技術により、第2のランダムフォレスト50は、そのルートノードに異なる特徴量を有し、同様にルートノードの子ノードに異なる特徴量を有するなどの木を含む。例示のために、第2の決定木51は、伝送線路11の位相における電圧VAの変化率を示す特徴量と関連付けられたルートノード55を有してもよい。他の第2の決定木52は、伝送線路11の他の位相における電圧VBの変化率を示す特徴量に関連付けられたルートノード56を有してもよい。さらに他の第2の決定木53は、伝送線路11の位相のうちの1つにおける電流ICの変化率を示す特徴量に関連付けられたルートノード57を有してもよい。さらに他の第2の決定木54は、伝送線路11の位相のうちの他の1つにおける電流IAの変化率を示す特徴量に関連付けられたルートノード58を有してもよい。同様に、決定木51~54のさらに下のノードは、ランダムフォレスト内で決定木ごとに異なり得る(ただし、すべての木について区別する必要はない)。
【0273】
各ツリーノードで分割に利用可能な変数の数(すなわち、Mtryハイパーパラメータ)は、第1のランダムフォレストと第2のフォレストとで異なっていてもよい。例示のために、各ツリーノードで分割するために利用可能な変数の数は、第2のランダムフォレストよりも第1のランダムフォレストの方が多くてもよい。
【0274】
図5は、方法60のフローチャートである。方法60は、コンピューティングシステム15によって実行することができる。方法60は、訓練データ16を処理し、それによって位相分類器およびゾーン分類器を生成するために実行され得る。方法60は、方法30のステップ32におけるMLモデル訓練およびステップ33における配備を実施するために実行され得る。
【0275】
ステップ61で、訓練データから第1のランダムフォレストが生成される。第1のランダムフォレストを生成することは、
-訓練データ内の様々なシナリオについて電流の変化率および電圧の変化率を示す特徴量を使用することと、
-訓練データ内のシナリオに利用可能な障害タイプに関する情報を使用することと、
を含み得る。
【0276】
シナリオの一部について障害タイプに関する情報が利用できない場合、それらは、欠落データ(ここでは、欠落障害タイプ)の改善された推定値を反復的に提供する欠落データ置換技術を適用しながら、第1のランダムフォレストを生成する際に依然として使用され得る。第1のランダムフォレスト内の各第1の決定木は、伝送線路のいくつかの位相に対する電流の変化率および電圧の変化率にそれぞれ関連付けられた葉ノード以外のノードを含み得る。第1のランダムフォレスト内の各第1の決定木は、伝送線路のいくつかの位相に対する電流の変化率および電圧の変化率を含む任意の入力のセットについて障害タイプ(ABC、A-g、BC、CA-gからなる群から選択される障害タイプなど)を出力することができる。第1のランダムフォレストは、障害分類のための位相分類器を提供する第1のMLモデルを実装することができる。
【0277】
ステップ62で、訓練データから第2のランダムフォレストが生成される。第2のランダムフォレストを生成することは、
-訓練データ内の様々なシナリオについて電流の変化率および電圧の変化率を示す特徴量を使用することと、
-訓練データ内のシナリオに利用可能な障害位置に関する情報を使用することと、
を含み得る。
【0278】
シナリオの一部について障害位置に関する情報が利用できない場合、それらは、欠落データ(ここでは、欠落障害位置)の改善された推定値を反復的に提供する欠落データ置換技術を適用しながら、第2のランダムフォレストを生成する際に依然として使用され得る。第2のランダムフォレスト内の各第2の決定木は、伝送線路のいくつかの位相に対する電流の変化率および電圧の変化率にそれぞれ関連付けられた葉ノード以外のノードを含み得る。第2のランダムフォレスト内の各第2の決定木は、伝送線路のいくつかの位相に対する電流の変化率および電圧の変化率を含む任意の入力のセットについて障害ゾーン(ゾーン1、ゾーン2からなる群から選択される障害ゾーンなど)を出力することができる。第2のランダムフォレストは、障害のあるゾーン分類のためのゾーン分類器を提供する第2のMLモデルを実装することができる。
【0279】
ステップ63で、解釈可能な決定ロジック(例えば、距離保護のための解釈可能なコード)を生成し、保護デバイスに配備することができる。決定ロジックは、位相分類器および/またはゾーン分類器に依存し得る。
【0280】
図6は、位相分類器およびゾーン分類器を生成する際に、および/または保護デバイス20内の決定ロジックを使用するときに、使用され得る特徴量を決定するための方法70のフローチャートである。方法70は、コンピューティングシステム15および/または保護デバイス20によって実行することができる。
【0281】
ステップ71で、伝送線路のいくつか(例えば、3つ)の位相に対する電流および電圧から障害開始時間が決定される。
【0282】
ステップ72で、電流および電圧をフィルタリングして、平均電流および平均電圧(フィルタリングおよび平均化は、異なる位相にわたってではなく、ある時間にわたって行われることに留意されたい)を決定する。フィルタリングには移動平均フィルタを用いてもよい。
【0283】
ステップ73で、平均電流の変化率および平均電圧の変化率が計算される。平均電流の変化率および平均電圧の変化率は、決定された障害開始時間に続く少なくとも1つまたはいくつかのサンプル時間について計算することができる。各位相について、平均電圧の変化率は、第1のサンプル時間についての平均電圧の値を第2のサンプル時間についての平均電圧の値と比較する比較に基づいて計算されてもよく、第1のサンプル時間と第2のサンプル時間との間の時間差は、ステップ72でフィルタリングに使用されるサイクル当たりのサンプル数に依存する。各位相について、平均電流の変化率は、第1のサンプル時間についての平均電流の値を第2のサンプル時間についての平均電流の値と比較する比較に基づいて計算されてもよく、第1のサンプル時間と第2のサンプル時間との間の時間差は、ステップ72でフィルタリングに使用されるサイクル当たりのサンプル数に依存する。
【0284】
障害開始時間に続くサンプル時間に対する変化率は、決定ロジックの現場動作前のコンピューティングシステム15によるMLモデル訓練のために、または現場動作中に保護デバイス20によって位相分類器22、ゾーン分類器23、および/または距離要素24に入力される特徴量を決定するために使用される。
【0285】
図7は、障害開始時間を決定するための方法80のフローチャートである。方法80は、訓練データ16を処理して位相分類器およびゾーン分類器を生成するときに、訓練データ16内のシナリオに対する障害開始時間を決定するために使用することができる。方法80は、保護デバイス20で使用されて、位相分類器22、ゾーン分類器23、および/または距離要素24に入力するための特徴量を生成することができる。
【0286】
ステップ81で、電圧の移動平均が決定され、電流の移動平均が決定される。これは、訓練データ16において障害シナリオが提供される伝送線路のあらゆる位相に対して行われてもよい。スライディングウィンドウ技術を使用して、移動平均を決定することができる。
【0287】
ステップ82で、電圧の移動標準偏差が決定され、電流の移動標準偏差が決定される。これは、訓練データ16において障害シナリオが提供される伝送線路のあらゆる位相に対して行われてもよい。スライディングウィンドウ技術を使用して、移動標準偏差を決定することができる。
【0288】
ステップ83で、障害開始時間を決定するために閾値比較を実行することができる。電圧と平均電圧との間の差の絶対値が、第1の閾値と比較されてもよい。第1の閾値は、電圧の移動標準偏差の定数倍であってもよい。電流と平均電流との間の差の絶対値が、第2の閾値と比較されてもよい。第2の閾値は、電流の移動標準偏差の定数倍であってもよい。第1または第2の閾値比較が、差の絶対値が関連する閾値を超えることを示す時間のうちの早い方の時間は、障害開始点または障害開始時間とみなすことができる。
【0289】
特徴量決定
特徴量決定の詳細な実施形態を以下に示す。特徴量決定は、位相分類器およびゾーン分類器を生成する際に、および/または保護デバイス20内の決定ロジックを使用するときに、使用され得る特徴量を決定するために実行され得る。特徴量決定は、コンピューティングシステム15および/または保護デバイス20によって実行することができる。
【0290】
特徴量決定は、3相の電圧および電流信号で動作することができる。特徴量を準備する際に実行されるステップを以下に説明する。
【0291】
ステップ1:障害開始時間を決定する
線路の電圧および電流が継続的に(すなわち、継続して)監視される。線路電圧および電流は、連続的に監視することができる。訓練データ16の場合、それぞれのデータは、訓練データ内の障害シナリオで利用可能である。線路電圧および電流は、障害開始時間を決定するために処理される。これは、以下のA~Dを使用して行うことができる。
【0292】
・3相の電圧および電流信号の1サンプル差(すなわち、連続するサンプル間の差)が計算される(例えば、連続的に、様々なサンプル時間について)。
【0293】
【0294】
【0295】
・サイズwのスライディングウィンドウの移動平均および標準偏差が計算される(例えば、連続的に、各サンプル時間について)
【0296】
【0297】
【0298】
ここで、wはスライディングウィンドウサイズである。スライディングウィンドウサイズwは、訓練されたMLモデルの精度を向上させるように適合させることができる。sdは標準偏差を表す。meanは、平均値を計算するための平均関数を表す。
【0299】
・各位相の電圧および電流に対する障害開始時間は、次のときに識別される
【0300】
【0301】
【0302】
そこで、移動平均からの偏差に対して式(5)および式(6)の閾値比較を行う。閾値(式(5)および(6)の右辺)は、移動標準偏差に依存し得る。cは、式(5)と式(6)とで同じであってもよいし、式(5)と式(6)とで異なっていてもよい定数である。
【0303】
・各位相の電圧、電流の障害開始点のうち最も小さいものを障害開始点とみなす
図8および
図9は、伝送線路の位相に対する電圧91および電流92を示す。時間またはサンプル93において、電流92は閾値基準(6)を満たす。これは、この位相に対する障害開始時間を示す。
【0304】
ステップ2:移動平均フィルタ
各位相の電圧および電流は、望ましくないリップルを除去するために移動平均フィルタを通して処理される。これは、以下に従って行うことができる。
【0305】
【0306】
【0307】
ここで、Nはサイクル当たりのサンプル数であり、kはサンプル番号である。
ステップ3:変化率決定
各位相に対する電圧(ΔV)と電流(ΔI)の変化率を決定する。これは、以下の関係を用いて行うことができる。
【0308】
【0309】
【0310】
なお、式(9)および式(10)の右辺の差は、直前のフィルタリングで用いた1サイクル当たりのサンプル数Nに依存する。
【0311】
ステップ4:サンプル値
電圧の変化率(ΔVavg)および電流の変化率(ΔIavg)のいくつか(例えば、4つ)の別個のサンプル(例えば、障害開始点の後のサンプル3、5、7、9)を、ステップ1から検出された障害開始点のインスタンスから各位相について取得することができる。
【0312】
決定ロジックを生成するために使用される変化率のサンプル値は、障害開始時間の後の最大4分の1サイクルから取得されるサンプル時間から選択することができる。決定ロジックを生成するために使用される変化率のサンプル値は、障害開始時間後の4分の1サイクル後の時間から取得されないサンプル時間から選択することができる。
【0313】
ステップ5:変動計算
以下の関係を用いた各位相の電圧および電流の変動
【0314】
【0315】
【0316】
ランダムフォレストモデル訓練
上記で説明したように決定された特徴量は、ランダムフォレスト(RF)モデル訓練に使用することができる。これは、2つのRF分類モデルを開発することを含み得る。
【0317】
位相分類モデル-障害分類用
【0318】
【0319】
出力:[障害タイプ(ABC,A-g,BC,CA-g)]
ゾーン分類モデル-障害のあるゾーン識別用
【0320】
【0321】
出力:[ゾーン(ゾーン1,ゾーン2)]
ランダムフォレストモデル訓練は、上記で説明したように決定された特徴量、ならびに少なくとも、訓練データに含まれる障害タイプおよび障害のあるゾーン情報を用いて、訓練データに基づいて実行され得る。
【0322】
実施例
訓練データセット
RFモデルを訓練および検証するために、線路障害の合計9072個のシナリオが、電力システムCAD(PSCAD)/EMTDCソフトウェアを用いてシミュレートされる。これらのシナリオは、様々な負荷、故障位置、SIR、障害抵抗、開始角度に関して、線路障害の可能な組合せの範囲をカバーするようにシミュレートされる。これらの様々なシナリオの範囲を表1に要約する。
【0323】
【0324】
RFモデル訓練
9072個の障害種類をカバーする合計27216個のサンプルが訓練に使用される。第1のRFモデルおよび第2のRFモデルが訓練される。交差検証技術を使用して、両方のRF分類モデルの最良のパラメータ(ツリーの数など)を識別する。識別されたパラメータを、考慮される入力および目標と共に表2に示す。
【0325】
【0326】
Mtryは、各ツリーノードで分割可能な変数の数である。
モデル検証
適合されたRF分類器モデルの性能を検証するために、多数決技術と共にk分割交差検証が使用される。観測値のセットは、ほぼ等しいサイズのk個のグループまたはフォールドにランダムに分割される。第1のフォールドは検証セットとして扱われ、XGBoostモデルは残りのk-1個のフォールドを用いてフィッティングされる。次に、ホールドアウトされたフォールドに対して誤分類誤差が計算される。誤分類誤差を計算するために、出力は、予測された観測クラスの多数決として計算されるクラスに割り当てられる。この手順をk回を繰り返すことによって、試験誤差のk個の推定値が計算される。毎回、異なる観察セットが検証セットとして扱われる。
【0327】
位相分類モデル:障害のある位相分類ランダムフォレストモデル(すなわち、位相分類器)は、10分割交差検証で検証される。各フォールドについて得られた全分類精度を
図10に示す。各障害タイプクラスに関する平均の生産者およびユーザの精度は、それぞれ
図11および
図12に提供されている。
【0328】
ゾーン分類モデル:障害のあるゾーン分類ランダムフォレストモデル(すなわち、ゾーン分類器)は、10分割交差検証で検証される。各フォールドについて得られた全分類精度を
図13に示す。各ゾーン予測クラスに関する平均の生産者およびユーザの精度は、それぞれ
図14および
図15に提供されている。
【0329】
図10~
図12に示すように、外乱後3~5ミリ秒以内に、平均精度99.59%の障害分類を達成することができる。
図13~
図15に示すように、外乱後3~5ミリ秒以内に、平均精度99.3%の障害ゾーン識別を達成することができる。
【0330】
実施形態の技術は、解釈可能であり、以下の図に示すように保護ロジックを生成するために使用することができるML/AIベースの技術を提供する。生成された保護ロジックは、保護IEDにロードすることができる。
【0331】
実施形態による保護デバイス、方法、およびシステムは、様々な効果を提供する。障害開始時間の識別を正確に実行することができる。スマートデータウィンドウ選択(例えば、先行するフィルタリングステップで使用されるサイクル当たりのサンプル数に依存するサンプル時間の差に基づいて電圧および電流の変化率を決定することによる)は、障害のある位相およびゾーン識別の精度の向上に寄与する。
【0332】
保護デバイス、方法、およびシステムは、システムに依存せず、保護ロジックを生成するのが容易な技術を提供する。保護ロジックは解釈可能であり、IEDに実装するのが容易である。正確かつ迅速な障害およびゾーン分類を実行することができる。保護デバイス、方法、およびシステムは、IBRシステムと共に使用するのに適しているが、これに限定されない。
【0333】
実施形態によるデバイス、方法、およびシステムは、正確かつ堅牢な結果を提供する。
実施形態によるデバイス、方法、およびシステムは、再生可能エネルギー源または他のインバータベースのリソースを含む送電グリッドの伝送ネットワークに距離保護を提供するために使用することができる。
【0334】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に説明されているが、そのような説明は、例示的または例示的かつ非限定的であると見なされるべきである。開示された実施形態の変形例は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する当業者によって理解および達成され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。特定の要素またはステップが別個の特許請求の範囲に記載されているという単なる事実は、これらの要素またはステップの組合せを有利に使用することができないことを示すものではなく、具体的には、実際の特許請求の範囲の従属性に加えて、任意のさらなる意味のある特許請求の範囲の組合せが開示されていると見なされるべきである。