(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】支持体、支持構造、及び支持構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 17/14 20060101AFI20250228BHJP
E02D 27/01 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
E04G17/14 A
E02D27/01 Z
(21)【出願番号】P 2024040415
(22)【出願日】2024-03-14
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 憲司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 広隆
(72)【発明者】
【氏名】岩田 正幸
(72)【発明者】
【氏名】八幡 一義
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実公昭63-009742(JP,Y2)
【文献】実開昭56-012652(JP,U)
【文献】特開2021-071044(JP,A)
【文献】特開平10-219706(JP,A)
【文献】実公昭54-019072(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 17/06,17/14
E02D 27/01
E04B 1/16
E04B 2/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎を構築するための支持体であって、
対向する一対の第1板状部を有する第1挟み部と、
前記第1挟み部に対向して配置される、対向する一対の第2板状部を有する第2挟み部と、
前記第1挟み部の下端部と前記第2挟み部の下端部とにそれぞれ接続され、地面に
水平姿勢で配置される底部と、
を備え、
前記一対の第1板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、
前記一対の第2板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、
前記第1挟み部の高さは、前記第2挟み部の高さよりも高い、支持体。
【請求項2】
前記一対の第1板状部のうち、一方の前記第1板状部の高さは、他方の前記第1板状部の高さとは、異なる、請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
前記一対の第1板状部のうち、前記第2挟み部に近い方の前記第1板状部の高さは、前記第2挟み部から遠い方の前記第1板状部の高さよりも低い、請求項1に記載の支持体。
【請求項4】
前記第1挟み部の幅は、前記第2挟み部の幅よりも短い、請求項1に記載の支持体。
【請求項5】
前記第1挟み部の幅方向において、前記第1挟み部の第1側の端と、前記第2挟み部の前記第1側の端とは、一致している、請求項4に記載の支持体。
【請求項6】
前記第1挟み部の幅及び前記第2挟み部の幅は、前記底部の幅にそれぞれ等しい、請求項1に記載の支持体。
【請求項7】
前記底部の少なくとも一部の幅は、前記第1挟み部及び前記第2挟み部の少なくとも一方の幅よりも長い、請求項1に記載の支持体。
【請求項8】
前記底部の幅は、前記第1挟み部の幅よりも長い、請求項1に記載の支持体。
【請求項9】
前記底部の少なくとも一部の幅は、前記第1挟み部の幅及び前記第2挟み部の幅のうち長い方よりも長い、請求項1に記載の支持体。
【請求項10】
前記一対の第1板状部及び前記一対の第2板状部のいずれか一つ、及び前記底部にそれぞれ接合された補強部材を備える、請求項1に記載の支持体。
【請求項11】
前記一対の第1板状部のそれぞれの幅、又は、前記一対の第2板状部のそれぞれの幅は、互いに等しい、請求項1に記載の支持体。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の支持体と、
前記第1挟み部に配置された第1板状体と、
前記第2挟み部に配置された第2板状体と、
を備える、支持構造。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の支持体と、
第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する型枠と、
前記第1挟み部に配置された第1板状体と、
前記第2挟み部に配置された第2板状体と、
を備え、
前記型枠は、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置されている、支持構造。
【請求項14】
前記支持体を複数、前記第1挟み部の幅方向に並べて備え、
前記複数の支持体全体としての前記幅方向の両側に、前記型枠がそれぞれ配置されている、請求項13に記載の支持構造。
【請求項15】
前記底部の一部が、前記底壁の一部で押さえられている、請求項13に記載の支持構造。
【請求項16】
前記第1壁の高さは、前記第2壁の高さよりも高く、
前記第1板状体の高さは、前記第2板状体の高さよりも高い、請求項13に記載の支持構造。
【請求項17】
前記一対の第1板状部が対向する方向において、前記第1板状体は、前記第1壁よりも前記第2壁とは反対側に配置され、前記第1壁に接触している、請求項13に記載の支持構造。
【請求項18】
請求項1から11のいずれか一項に記載の支持体を、地面に配置する支持体配置ステップと、
第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する複数の型枠を、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する対向方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置する型枠配置ステップと、
第1板状体、第2板状体を、それぞれ前記第1挟み部、前記第2挟み部に配置する板状体配置ステップと、
を備える、支持構造の施工方法。
【請求項19】
前記支持体配置ステップにおいて、複数の前記支持体を、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側が同じ向きになるように配置し、
前記型枠配置ステップにおいて、前記複数の支持体全体としての前記幅方向の両側に、複数の前記型枠を配置する、請求項18に記載の支持構造の施工方法。
【請求項20】
前記型枠配置ステップは、前記支持体配置ステップの後に実施され、
前記型枠配置ステップにおいて、複数の前記支持体の少なくとも1つの前記底部の一部を、前記底壁の一部で押さえる、請求項18に記載の支持構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持体、支持構造、及び支持構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の基礎を構築するために、型枠の一部として、板状体が用いられている(例えば、特許文献1及び2参照)。板状体を支持するために、支持体が用いられている。支持体は、第1挟み部と、第2挟み部と、第1挟み部の下端部と第2挟み部の下端部とにそれぞれ接続された底部と、を備える。
【0003】
第1挟み部は、第1板状体を配置するための一対の第1板状部を有する。第2挟み部は、第2板状体を配置するための一対の第2板状部を有する。
例えば、第1,2挟み部の上方には、床及びドア枠等が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭57-209364号公報
【文献】特許第5805904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者等は、建築物の基礎を施工するために、第1壁、第2壁、及び底壁を有する型枠を用いることを検討している。第2壁は、第1壁に対向して配置されている。底壁は、第1壁の下端部と第2壁の下端部とにそれぞれ接続されている。
建築物の基礎を施工するために、ドア枠、シャッター等に対応しない部分にはこの型枠を配置し、これらに対応する部分には、支持体により支持された第1,2板状体を配置する。そして、型枠及び第1,2板状体により囲われた領域内にコンクリートを打設して、基礎を施工する。
【0006】
しかしながら、第1,2挟み部の高さによっては、第1,2挟み部の上方に床及びドア枠等を配置し難くなる。
【0007】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、一方の挟み部の上方に床を配置するとともに、他方の挟み部の上方にドア枠等を配置しやすくした支持体、この支持体を備える支持構造、及び支持構造の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、建築物の基礎を構築するための支持体であって、対向する一対の第1板状部を有する第1挟み部と、前記第1挟み部に対向して配置される、対向する一対の第2板状部を有する第2挟み部と、前記第1挟み部の下端部と前記第2挟み部の下端部とにそれぞれ接続され、地面に水平姿勢で配置される底部と、を備え、前記一対の第1板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、前記一対の第2板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、前記第1挟み部の高さは、前記第2挟み部の高さよりも高い、支持体である。
また、本開示は、支持体と、前記第1挟み部に配置された第1板状体と、前記第2挟み部に配置された第2板状体と、を備える、支持構造である。
【0009】
また、本開示は、支持体と、第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する型枠と、前記第1挟み部に配置された第1板状体と、前記第2挟み部に配置された第2板状体と、を備え、前記型枠は、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置されている、支持構造である。
また、本開示は、支持体を、地面に配置する支持体配置ステップと、第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する複数の型枠を、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する対向方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置する型枠配置ステップと、第1板状体、第2板状体を、それぞれ前記第1挟み部、前記第2挟み部に配置する板状体配置ステップと、を備える、支持構造の施工方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の支持体、支持構造、及び支持構造の施工方法では、一方の挟み部の上方に床を配置するとともに、他方の挟み部の上方にドア枠等を配置しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の型枠構造が用いられる建築物の要部の平面図である。
【
図3】同型枠構造における複数の支持体の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態の型枠構造の施工方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態の第1変形例の支持体の側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の第3変形例の支持体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る支持体、支持構造、及び支持構造の施工方法(以下では、単に施工方法と言う)の一実施形態を、
図1から
図6を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の型枠構造(支持構造)15は、建築物1に用いられる。なお、
図1では、一部の構成を省略して示している。
建築物1は、主柱10と、型枠構造15と、床55と、ドア構造60と、を備える。なお、型枠構造15は、建築物1の基礎である。ここで、平面視における型枠構造15の外形線L1を規定する。平面視において、外形線L1(建築物1、型枠構造15)の内側から外側に向かう向きを外側D1と規定し、外形線L1の外側から内側に向かう向きを内側D2と規定する。
【0013】
図1に示す型枠構造15(外形線L1)の形状に対応して、
図2に示すように地盤G1に窪みG2が形成されている。窪みG2の底面には、窪みG2に沿って互いに間隔を空けて複数の基礎(不図示)が埋設されている。例えば、基礎は、コンクリートで円柱状に形成されている。
例えば、主柱10は、H形鋼で構成されている。主柱10は、基礎から上方に向かって延びている。
図1及び
図2に示すように、型枠構造15は、複数(本実施形態では2つ)の支持体16A,16Bと、複数の型枠26と、第1板状体31、第2板状体36と、梁46と、を有する。
【0014】
図3に示すように、支持体16Aの構成と支持体16Bの構成とは、基準面S1に対して面対称である。このため、支持体16Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。支持体16Bのうち支持体16Aに対応する構成を、支持体16Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、支持体16Aの後述する第1挟み部17Aと支持体16Bの第1挟み部17Bとは、基準面S1に対して面対称である。
【0015】
支持体16Aは、第1挟み部17Aと、第2挟み部18Aと、底部19Aと、を有する。
第1挟み部17Aは、対向方向Xに対向する一対の第1板状部17aA,17bAを有する。第2挟み部18Aは、第1挟み部17Aに対向方向Xに対向して配置される。第2挟み部18Aは、対向方向Xに対向する一対の第2板状部18aA,18bAを有する。第1板状部17aA,17bA、第2板状部18a,18b、及び底部19Aは、それぞれ平板状に形成されている。この例では、第1板状部17aA,17bA、第2板状部18a,18b、及び底部19Aは、それぞれの厚さ方向に見たときに矩形状を呈する。なお、第1板状部17aA,17bA、第2板状部18a,18b、及び底部19Aの形状は、これに限定されない。
例えば、第1板状部17aA,17bA、第2板状部18a,18b、及び底部19Aは、鋼板で形成されている。
【0016】
底部19Aは、底部19Aの厚さ方向が、上下方向Zに沿うように配置されている。ここで、対向方向X及び上下方向Z(底部19Aの厚さ方向)にそれぞれ直交する、第1挟み部17Aの幅方向Yを規定する。AがBに沿うとは、AとBとのなす角度が、30度以下であることを意味する。
底部19Aは、第1挟み部17Aの下端部と第2挟み部18Aの下端部とにそれぞれ接続されている。
第1挟み部17Aの第1板状部17aA,17bAは、底部19Aにおける対向方向Xの第1側X1(以下では、単に第1側X1と言う)の端部から、上方に向かって延びている。第1板状部17aAは、第1板状部17bAよりも第1側X1に配置されている。第1板状部17aAと第1板状部17bAとの間には、隙間が形成されている。この例では、第1板状部17aAは、底部19Aにおける第1側X1の端に配置されている。
【0017】
第2挟み部18Aの第2板状部18aA,18bAは、底部19Aにおける、対向方向Xの第1側X1とは反対側の第2側X2(以下では、単に第2側X2と言う)の端部から、上方に向かって延びている。第2板状部18aAは、第2板状部18bAよりも第1側X1に配置されている。第2板状部18aAと第2板状部18bAの間には、隙間が形成されている。この例では、第2板状部18bAは、底部19Aにおける第2側X2の端に配置されている。
【0018】
第1板状部17aAは、第1板状部17aA,17bAのうち、第2挟み部18Aから遠い方の第1板状部である。第1板状部17bAは、第1板状部17aA,17bAのうち、第2挟み部18Aに近い方の第1板状部である。第1板状部17aA,17bAのうち、第1板状部17aAの高さは、第1板状部17bAの高さとは、異なる。より具体的には、第1板状部17bAの高さは、第1板状部17aAの高さよりも低い。
ここで言う第1板状部17aAの高さとは、第1板状部17aAの上下方向Z(底部19Aの厚さ方向)の長さを意味する。第1板状部17bAの高さ、及び第2板状部18a,18bの高さ等についても、第1板状部17aAの高さと同様である。
この例では、第2板状部18aAの高さは、第2板状部18aBの高さに等しい。
なお、第1板状部17bAの高さは、第1板状部17aAの高さに等しくてもよいし、第1板状部17aAの高さよりも高くてもよい。第2板状部18aAの高さは、第2板状部18aBの高さよりも高くてもよいし、第2板状部18aBの高さよりも低くてもよい。
【0019】
第1挟み部17Aの高さは、第2挟み部18Aの高さよりも高い。
ここで言う第1挟み部17Aの高さとは、第1挟み部17Aが有する複数の第1板状部17aA,17bAのうち高い方(低くない方)の上下方向Z(底部19Aの厚さ方向)の長さを意味する。第2挟み部18Aの高さについても、第1挟み部17Aの高さと同様である。
なお、第1挟み部17Aの高さは、第2挟み部18Aの高さに等しくてもよいし、第2挟み部18Aの高さよりも低くてもよい。
第1挟み部17Aの幅は、第2挟み部18Aの幅よりも短い(小さい、狭い)。ここで言う第1挟み部17Aの幅とは、第1挟み部17Aが有する第1板状部17aA,17bA全体としての幅方向Yの長さ(第1板状部17aA,17bAを対向方向Xに投影した形状全体としての幅方向Yの長さ)を意味する。第2挟み部18Aの幅についても、第1挟み部17Aの幅と同様である。
【0020】
第1板状部17aAの幅及び第1板状部17bAの幅は、互いに等しい。第2板状部18aAの幅及び第2板状部18aAの幅は、互いに等しい。
なお、第1板状部17aAの幅及び第1板状部17bAの幅は、互いに異なっていてもよい。第2板状部18aAの幅及び第2板状部18bAの幅は、互いに異なっていてもよい。第1挟み部17Aの幅は、第2挟み部18Aの幅よりも長く(大きく、広く)てもよいし、第2挟み部18Aの幅に等しくてもよい。
【0021】
幅方向Yにおいて、第1挟み部17A全体としての第1側Y1の端の位置、第2挟み部18A全体としての第1側Y1の端の位置、及び底部19Aの第1側Y1の端の位置は、それぞれ一致している。ここで、幅方向Yにおいて、第1側Y1とは反対側を、第2側Y2と規定する。
幅方向Yにおいて、第2挟み部18A全体としての第2側Y2の端の位置、及び底部19Aの第2側Y2の端の位置は、それぞれ一致している。
底部19Aの少なくとも一部の幅は、第1挟み部17A及び第2挟み部18Aの少なくとも一方全体としての幅よりも長い。具体的には、底部19Aの幅は、第1挟み部17A全体としての幅よりも長い。
底部19Aの第2側Y2の端は、第1挟み部17Aの第2側Y2の端よりも第2側Y2に突出している。底部19Aにおける第1挟み部17Aよりも第2側Y2に突出している部分が、耳部(底部19Aの一部)21Aを構成する。
【0022】
なお、底部19Aの少なくとも一部の幅は、第1挟み部17Aの幅及び第2挟み部18Aの幅のうち長い方よりも長くてもよい。底部19Aの第1側Y1の端は、第1挟み部17Aの第1側Y1の端よりも第1側Y1に突出していてもよい。第1板状部17aAの第2側Y2の端の位置、及び底部19Aの第2側Y2の端の位置は、それぞれ一致していてもよい。
幅方向Yにおいて、第1挟み部17A全体としての第1側Y1の端は、第2挟み部18A全体としての第1側Y1の端よりも、第1側Y1又は第2側Y2に位置していてもよい。
第2板状部18aAは、底部19Aよりも第1側Y1又は第2側Y2に突出していてもよい。第2板状部18aBについても、第2板状部18aAと同様である。
底部19Aの幅は、第1挟み部17A全体としての幅、及び第2挟み部18A全体としての幅にそれぞれ等しくてもよい。
【0023】
例えば、第1板状部17aA,17bA、第2板状部18aA,18bA、及び底部19Aは、溶接により互いに接合されている。
図2に示すように、支持体16Aは、第1側X1が外側D1と同じ向きとなり、第2側X2が内側D2と同じ向きとなるよう配置される。
なお、第2挟み部18Aは、第1挟み部17Aに対向方向Xに対向して配置されなくてもよい。
【0024】
図3に示すように、支持体16Bは、支持体16Aの第1挟み部17A、第2挟み部18A、底部19Aとは、基準面S1に対して面対称に構成された第1挟み部17B、第2挟み部18B、底部19Bを有する。
支持体16A,16Bは、耳部21A,21Bが幅方向Yの外側になるように、幅方向Yに並べて配置されている。すなわち、支持体16Bは、支持体16Aよりも第1側Y1に配置されている。
【0025】
図1及び
図2に示すように、型枠26は、第1壁27と、第2壁28と、底壁29と、を有する。第1壁27、第2壁28、及び底壁29は、それぞれ平板状に形成されている。この例では、第1壁27、第2壁28、及び底壁29は、それぞれの厚さ方向に見たときに矩形状を呈する。
例えば、第1壁27、第2壁28、及び底壁29は、鉄筋コンクリートで形成されている。
【0026】
底壁29は、底壁29の厚さ方向が、上下方向Zに沿うように配置されている。第2壁28は、第1壁27に対して、対向方向Xに対向して配置されている。底壁29は、第1壁27の下端部と第2壁28の下端部とにそれぞれ接続されている。
第1壁27は、底壁29における第1側X1の端から、上方に向かって延びている。第2壁28は、底壁29における第2側X2の端から、上方に向かって延びている。第1壁27の高さは、第2壁28の高さよりも高い。
この例では、
図2に示す幅方向Yに見たときに、型枠26はJ字状を呈する。なお、型枠の形状は、これに限定されない。第1壁27の高さは、第2壁28の高さに等しくてもよいし、第2壁28の高さよりも低くてもよい。
【0027】
図1に示すように、複数の型枠26は、支持体16A,16B全体に対する幅方向Yの両側に配置されている。言い換えれば、型枠構造15は、複数(本実施形態では2つ)の支持体16A,16Bを、幅方向Yに並べて有している。そして、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、型枠26がそれぞれ配置されている。
ここで、複数の型枠26のうち、支持体16A,16Bよりも第2側Y2に配置された型枠26を型枠26Aとも言う。複数の型枠26のうち、支持体16A,16Bよりも第1側Y1に配置された型枠26を型枠26Bとも言う。
複数の型枠26は、対向方向Xにおいて、第2壁28に対する第1壁27側が、第2挟み部18Aに対する第1挟み部17A側となるように配置されている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、支持体16Aの耳部21Aは、型枠26Aの底壁29の一部で、耳部21Aの上方から押さえられている。同様に、支持体16Bの耳部21Bは、型枠26Bの底壁29の一部で、耳部21Bの上方から押さえられている。
【0029】
例えば、第1板状体31及び第2板状体36は、それぞれ押出し成形セメント板により平板状に形成されている。
第1板状体31は、第1板状体31の厚さ方向が対向方向Xに沿うように配置されている。
図2に示すように、第1板状体31には、第1板状体31を幅方向Yに貫通する貫通孔32が複数形成されている。複数の貫通孔32は、上下方向Zに互いに間隔を空けて配置されている。
第2板状体36は、第1板状体31と同様に構成されている。第2板状体36には、複数の貫通孔37が形成されている。
【0030】
第1板状体31の高さは、第2板状体36の高さよりも高い。
第1板状体31は、支持体16A,16Bの第1挟み部17A,17Bに配置されている。より具体的には、第1板状体31は、支持体16Aにおける底部19Aの上方であって、第1板状部17aAと第1板状部17bAとの間、支持体16Bにおける底部19Bの上方であって、第1板状部17aBと第1板状部17bBとの間にそれぞれ配置されている。
第2板状体36は、支持体16A,16Bの第2挟み部18A,18Bに配置されている。より具体的には、第2板状体36は、支持体16Aにおける底部19Aの上方であって、第2板状部18aAと第2板状部18bAとの間、支持体16Bにおける底部19Bの上方であって、第2板状部18aBと第2板状部18bBとの間にそれぞれ配置されている。
【0031】
第1板状体31の高さは、第1挟み部17Aの高さよりも高い。第2板状体36の高さは、第2挟み部18Aの高さよりも高い。
図1に示すように、第1板状体31の幅方向Yの長さは、型枠26Aと型枠26Bとの距離に等しい。
第1板状体31は、幅方向Yにおいて、型枠26Aと型枠26Bとの間に配置されている。第1板状体31の第1側X1を向く面は、複数の型枠26の第1壁27の第2側X2を向く面と略面一である。
第2板状体36の幅方向Yの長さは、型枠26Aと型枠26Bとの距離よりも長い。
第2板状体36は、第2壁28よりも第2側X2(第1壁27とは反対側)に配置されている。第2板状体36の幅方向Yの端部は、型枠26A,26Bの第2壁28に、第2壁28の第2側X2から接触している。
【0032】
図2に示すように、本実施形態では、第1板状体31に金具(付属部材)39が、複数の固定部材40及び複数の締結部材41により固定されている。なお、第1板状体31、金具39、固定部材40、及び締結部材41で、付属部材取付け構造42を構成する。
【0033】
金具39は、幅方向Yに見たときにL字状を呈する。金具39は、第1片39aと、第2片39bと、を有する。第1片39a及び第2片39bは、それぞれ平板状に形成されている。
第1片39aは、第1板状体31の上面に、この上面の上方から接触している。
第2片39bは、第1片39aにおける第2側X2の端部から下方に突出している。第2片39bは、第1板状体31における第2側X2を向く面に、この面の第2側X2から接触している。
第1片39a及び第2片39bを有する金具39は、鋼板等で形成されている。例えば、金具39は、第1板状体31の幅方向Yの全長にわたって延びている(
図1参照)。
【0034】
固定部材40は、幅方向Yに見たときにZ字状を呈する。固定部材40は、第1腕部40aと、第2腕部40bと、を有する。第1腕部40a及び第2腕部40bは、それぞれ平板状に形成されている。
第1腕部40aは、金具39の第2片39bに、第2片39bの第2側X2から接触している。第1腕部40a及び第1板状体31は、第2片39bを対向方向Xに挟んでいる。
第2腕部40bは、第1腕部40aの下端部における第1側X1から、下方に突出している。第2腕部40bには、対向方向Xに貫通する連通孔(符号省略)が形成されている。
第2腕部40bは、第1板状体31における第2側X2を向く面に、この面の第2側X2から接触している。
複数(本実施形態では2つ)の固定部材40は、第1板状体31の幅方向Yの両端部にそれぞれ配置されている。
【0035】
締結部材41は、ナット41aと、ボルト41bと、を有する。
ナット41aは、第1板状体31の貫通孔32内に配置されている。ボルト41bの頭部(符号省略)は、固定部材40の第2腕部40bにおける第2側X2を向く面に、この面の第2側X2から接触している。ボルト41bの軸部(符号省略)は、固定部材40の連通孔、及び第1板状体31の連通孔(符号省略)を通して、ナット41aに嵌め合っている。ボルト41bの頭部及びナット41aは、固定部材40の第2腕部40b及び第1板状体31を対向方向Xに挟んでいる。
なお、付属部材取付け構造42が備える固定部材40の数及び締結部材41の数は、限定されない。
【0036】
例えば、梁46は、H形鋼で構成されている。すなわち、梁46は、一対のフランジ47,48と、フランジ47,48にそれぞれ接合されたウェブ49と、を有する。フランジ47は、フランジ48よりも上方に配置されている。梁46は、水平面に沿って幅方向Yに延びている。
梁46の幅方向Yの端部は、主柱10に接合されている。梁46は、対向方向Xにおいて、型枠26の第1壁27と第2壁28との間であって、第1板状体31と第2板状体36との間に配置されている。梁46は、型枠26の底壁29、支持体16A,16Bの底部19A,19Bよりも上方であって、型枠26の第1壁27の上端よりも下方に配置されている。
【0037】
床55は、コンクリート、木材等で構成されている。床55は、第2板状体36よりも上方であって、梁46を埋設するように打設されている。この例では、床55の上面55aは、金具39の第1片39aの上面よりも上方に配置されている。
【0038】
ドア構造60は、ドア枠61と、ドア本体62と、を有する。
ドア枠61は、額縁状に形成されている。ドア枠61は、金具39よりも上方に配置され、金具39に溶接等により固定されている。例えば、ドア枠61の下枠61aの上面は、床55の上面55aと面一である。
ドア本体62は、ドア枠61に開閉可能に接続されている。
【0039】
次に、以上のように構成された型枠構造15を施工する施工方法を、支持体16A,16B、型枠26、及び板状体31,36の施工に重点をおいて説明する。
図4は、施工方法S6を示すフローチャートである。
まず、支持体配置ステップ(
図4に示すステップS10)において、
図2に示すように、支持体16A,16Bを、地面G4(窪みG2の底面)に配置する。この際に、支持体16Aにおける第2挟み部18Aに対する第1挟み部17A側、及び支持体16Bにおける第2挟み部18Bに対する第1挟み部17B側が同じ向きになるように、支持体16A,16Bを配置する。
支持体配置ステップS10が終了すると、ステップS11に移行する。
【0040】
次に、型枠配置ステップS11において、
図1に示すように、複数の型枠26を、支持体16A,16Bに対する幅方向Yの両側に、対向方向Xにおいて、第2壁28に対する第1壁27側が、第2挟み部18A,18Bに対する第1挟み部17A,17B側となるように配置する。この際に、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、複数の型枠26を配置する。この時に、支持体16Aの耳部21Aを、型枠26Aの底壁29の一部で押さえる。支持体16Bの耳部21Bを、型枠26Bの底壁29の一部で押さえる。型枠配置ステップS11は、支持体配置ステップS10の後に実施される。
型枠配置ステップS11が終了すると、ステップS12に移行する。
【0041】
次に、板状体配置ステップS12において、第1板状体31、第2板状体36を、それぞれ第1挟み部17A,17B、第2挟み部18A,18Bに配置する。板状体配置ステップS12は、型枠配置ステップS11の後に実施される。
板状体配置ステップS12が終了すると、施工方法S6の全工程が終了し、型枠構造15が施工される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の支持体16Aでは、例えば、高さが比較的高い第1板状体31を第1挟み部17Aに配置するとともに、高さが比較的低い第2板状体36を第2挟み部18Aに配置する。そして、第2挟み部18A及び第2板状体36の上方に床55を配置するとともに、第1挟み部17A及び第1板状体31の上方にドア枠61等を配置する。従って、第2挟み部18A及び第2板状体36の上方の床55の厚さが厚くなった場合であっても、床55の上面55a及びドア枠61の下部の上面を、互いにほぼ面一になるように配置することができる。
従って、第2挟み部18Aの上方に床55を配置するとともに、第1挟み部17Aの上方にドア枠61等を配置しやすくすることができる。
【0043】
第1板状部17aAの高さは、第1板状部17bAの高さとは、異なる。このため、高さが低い第1板状部17bAの材料費を、高さが高い第1板状部17aAの材料費よりも抑えることができる。
第1板状部17bAの高さは、第1板状部17aAの高さよりも低い。例えば、第1板状部17aA,17bAのうち、第2挟み部18Aから遠い方の第1板状部17aAを、第2挟み部18Aに近い方の第1板状部17bAよりも、平面視で建築物1の型枠構造15の外形線L1の外側D1近くに配置する。外形線L1内に床55用のコンクリートを打設すると、コンクリートの側圧は、外形線L1の内側D2から外側D1に向かって作用する。
このため、第2挟み部18Aに近い方の第1板状部17bAの高さが比較的低くても、第2挟み部18Aから遠い方の第1板状部17aAの高さが比較的高いことで、コンクリートの側圧に抗して、第1板状体31を支持することができる。
【0044】
第1挟み部17Aの幅は、第2挟み部18Aの幅よりも短い。このため、例えば、第2挟み部18Aの幅方向Yの中心よりも、第1挟み部17Aの幅方向Yの中心に、幅方向Yから型枠26等を近づけやすくすることができる。
幅方向Yにおいて、第1挟み部17Aの第1側Y1の端、及び第2挟み部18Aの第1側Y1の端は、一致している。これにより、例えば、第1挟み部17Aの第1側Y1の端及び第2挟み部18Aの第1側Y1の端に、それぞれ平坦な面を接触させやすくすることができる。
【0045】
底部19Aの少なくとも一部の幅は、第1挟み部17A及び第2挟み部18Aの少なくとも一方全体としての幅よりも長い。従って、底部19Aにおける、第1挟み部17A及び第2挟み部18Aの少なくとも一方の幅よりも、幅が長い部分である耳部21Aを、例えば型枠26等により、耳部21Aよりも上方から押さえて、支持体16Aの位置を安定させることができる。
底部19Aの幅は、第1挟み部17Aの幅よりも長い。このため、底部19Aにおける、第1挟み部17Aの幅よりも、幅が長い部分である耳部21Aを、例えば型枠26等により、耳部21Aよりも上方から押さえて、支持体16Aの位置を安定させることができる。
【0046】
底部19Aの少なくとも一部の幅は、第1挟み部17Aの幅及び第2挟み部18Aの幅のうち長い方よりも長い場合がある。この場合には、底部19Aにおける、第1挟み部17Aの幅及び第2挟み部18Aの幅のうち長い方よりも幅が長い、底部19Aの少なくとも一部を、例えば型枠26等により、この部分よりも上方から押さえる際に、第1挟み部17A及び第2挟み部18Aが支障となるのをより確実に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態の型枠構造15は、支持体16Aと、第1板状体31と、第2板状体36と、を有する。これにより、第1挟み部17Aにより第1板状体31を支持するとともに、第2挟み部18Aにより第2板状体36を支持することができる。
型枠構造15は、支持体16A,16Bと、複数の型枠26と、第1板状体31と、第2板状体36と、を備える。従って、第1挟み部17Aにより第1板状体31を支持するとともに、第2挟み部18Aにより第2板状体36を支持することができる。そして、支持体16A,16Bに対する幅方向Yの両側に、型枠26を、対向方向Xにおいて、型枠26における第2壁28に対する第1壁27側が、支持体16Aにおける第2挟み部18Aに対する第1挟み部17A側となるように配置する。これにより、第1壁27及び第1挟み部17A、第2壁28及び第2挟み部18Aを、それぞれ対向方向Xに近づけることができる。
【0048】
支持体16A,16Bを、幅方向Yに並べて備え、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、型枠26がそれぞれ配置されている。従って、幅方向Yに並べられた支持体16A,16Bに対して、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、型枠26をそれぞれ配置することができる。
支持体16Aの底部19Aの耳部21Aが、型枠26Aの底壁29の一部で押さえられている。このため、型枠26Aの底壁29の一部により、支持体16Aの底部19Aの耳部21Aの位置を安定させることができる。
【0049】
第1壁27の高さは第2壁28の高さよりも高く、第1板状体31の高さは第2板状体36の高さよりも高い。これにより、コンクリートの側圧を、型枠26Aの第1壁27及び第1板状体31により、効率的に耐えることができる。
【0050】
また、本実施形態の施工方法S6では、支持体配置ステップS10において、支持体16A,16Bを地面G4に配置する。次に、型枠配置ステップS11において、複数の型枠26を、支持体16A,16Bに対する幅方向Yの両側に、対向方向Xにおいて、第2壁28に対する第1壁27側が、第2挟み部18A,18Bに対する第1挟み部17A,17B側となるように配置する。これにより、第1壁27及び第1挟み部17A,17B、第2壁28及び第2挟み部18A,18Bを、それぞれ対向方向Xに近づけることができる。
そして、板状体配置ステップS12において、第1板状体31、第2板状体36を、それぞれ第1挟み部17A,17B、第2挟み部18A,18Bに配置することができる。
【0051】
支持体配置ステップS10において、支持体16Aにおける第2挟み部18Aに対する第1挟み部17A側、及び支持体16Bにおける第2挟み部18Bに対する第1挟み部17B側が同じ向きになるように、支持体16A,16Bを配置する。そして、型枠配置ステップS11において、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、複数の型枠26を配置する。
従って、支持体配置ステップS10において、支持体16A,16Bを、第2挟み部18A,18Bに対する第1挟み部17A,17B側が同じ向きになるように配置して、支持体16A,16Bの向きを揃えることができる。そして、型枠配置ステップS11において、支持体16A,16B全体としての幅方向Yの両側に、複数の型枠26を配置して、複数の型枠26により複数の支持体16A,16Bを幅方向Yに挟むことができる。
【0052】
支持体16Aの耳部21Aを、型枠26Aの底壁29の一部で押さえる。従って、型枠配置ステップS11において、支持体16Aの底部19Aの耳部21Aを、型枠26Aの底壁29の一部で押さえて、支持体16Aの位置を安定させることができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0054】
(第1変形例)
例えば、前記実施形態では、
図5に示す第1変形例の支持体70Aのように、支持体16Aの各構成に加えて、補強部材としての補強リブ71Aを有してもよい。
例えば、補強リブ71Aは、幅方向Yを自身の厚さ方向とする平板状に形成されている。補強リブ71Aは、幅方向Yに見たときに台形状を呈する。補強リブ71Aは、第1板状部17bAよりも第2側X2に配置され、第1板状部17bA及び底部19Aにそれぞれ接合されている。補強リブ71Aの高さは、第2側X2に向かうに従い、漸次低くなる。
以上のように構成された第1変形例の支持体70Aでは、補強リブ71Aにより、第1板状部17bAの強度を高めることができる。
なお、補強部材の形状はこれに限定されず、例えば、第1板状部17bA及び底部19Aの間にかけ渡される直線状又は屈曲状の棒状部材でもよい。補強部材は、第1板状部17bAに代えて、第1板状部17aA、第2板状部18aA、及び第2板状部18bAのいずれか一つと接合されてもよい。補強部材は幅方向Yに互いに離間して複数配置されていても良い。
【0055】
(第2変形例)
対向方向Xにおいて、第1板状体31は、第1壁27よりも第2壁28とは反対側(第1側X1)に配置され、第1壁27に、第1壁27の第1側X1から接触していてもよい。この第2変形例のように構成することにより、型枠26の第1壁27と、第1板状体31との間を、効率的に封止することができる。
【0056】
支持体16A,16B全体としての第1側Y1又は第2側Y2の型枠26は、配置されなくてもよい。
支持体16A,16Bの耳部21A,21Bを、型枠26A,26Bの底壁29の一部で押さえなくてもよい。
【0057】
(第3変形例)
図6に示す第3変形例の支持体75Aのように、第1挟み部17Aの幅及び前記第2挟み部18Aの幅は、底部19Aの幅にそれぞれ等しくてもよい。
この第3変形例の支持体75Aのように構成することにより、第1挟み部17Aの幅、第2挟み部18Aの幅、及び底部19Aの幅を、互いに一致させることができる。
【0058】
(付記)
(1)本開示の態様1は、建築物の基礎を構築するための支持体であって、対向する一対の第1板状部を有する第1挟み部と、前記第1挟み部に対向して配置される、対向する一対の第2板状部を有する第2挟み部と、前記第1挟み部の下端部と前記第2挟み部の下端部とにそれぞれ接続され、地面に水平姿勢で配置される底部と、を備え、前記一対の第1板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、前記一対の第2板状部のそれぞれは、前記底部から上方に延びる姿勢で前記底部に接続され、前記第1挟み部の高さは、前記第2挟み部の高さよりも高い、支持体である。
【0059】
この開示では、例えば、高さが比較的高い第1板状体を第1挟み部に配置するとともに、高さが比較的低い第2板状体を第2挟み部に配置する。そして、第2挟み部及び第2板状体の上方に床を配置するとともに、第1挟み部及び第1板状体の上方にドア枠等を配置する。従って、第2挟み部及び第2板状体の上方の床の厚さが厚くなった場合であっても、床の上面及びドア枠の下部の上面を、互いにほぼ面一になるように配置することができる。
従って、第2挟み部の上方に床を配置するとともに、第1挟み部の上方にドア枠等を配置しやすくすることができる。
【0060】
(2)本開示の態様2は、前記一対の第1板状部のうち、一方の前記第1板状部の高さは、他方の前記第1板状部の高さとは、異なる、(1)に記載の支持体であってもよい。
この開示では、一対の第1板状部のうち、高さが低い第1板状部の材料費を、高さが高い第1板状部の材料費よりも抑えることができる。
【0061】
(3)本開示の態様3は、前記一対の第1板状部のうち、前記第2挟み部に近い方の前記第1板状部の高さは、前記第2挟み部から遠い方の前記第1板状部の高さよりも低い、(1)又は(2)に記載の支持体であってもよい。
この開示では、例えば、一対の第1板状部のうち、第2挟み部から遠い方の第1板状部を、第2挟み部に近い方の第1板状部よりも、平面視で建築物の基礎の外形線の外側近くに配置する。前記外形線内にコンクリートを打設すると、コンクリートの側圧は、前記外形線の内側から外側に向かって作用する。
このため、第2挟み部に近い方の第1板状部の高さが比較的低くても、第2挟み部から遠い方の第1板状部の高さが比較的高いことで、コンクリートの側圧に抗して、第1板状体を支持することができる。
【0062】
(4)本開示の態様4は、前記第1挟み部の幅は、前記第2挟み部の幅よりも短い、(1)から(3)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、例えば、第2挟み部の幅方向の中心よりも、第1挟み部の幅方向の中心に、幅方向から型枠等を近づけやすくすることができる。
【0063】
(5)本開示の態様5は、前記第1挟み部の幅方向において、前記第1挟み部の第1側の端と、前記第2挟み部の前記第1側の端とは、一致している、(1)から(4)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、例えば、第1挟み部の第1側の端及び第2挟み部の第1側の端に、それぞれ平坦な面を接触させやすくすることができる。
【0064】
(6)本開示の態様6は、前記第1挟み部の幅及び前記第2挟み部の幅は、前記底部の幅にそれぞれ等しい、(1)から(5)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、第1挟み部の幅、第2挟み部の幅、及び底部の幅を、互いに一致させることができる。
【0065】
(7)本開示の態様7は、前記底部の少なくとも一部の幅は、前記第1挟み部及び前記第2挟み部の少なくとも一方の幅よりも長い、(1)から(6)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、底部における、第1挟み部及び第2挟み部の少なくとも一方の幅よりも、幅が長い部分を、例えば型枠等により、この部分よりも上方から押さえて、支持体の位置を安定させることができる。
【0066】
(8)本開示の態様8は、前記底部の幅は、前記第1挟み部の幅よりも長い、(1)から(7)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、底部における、第1挟み部の幅よりも、幅が長い部分を、例えば型枠等により、この部分よりも上方から押さえて、支持体の位置を安定させることができる。
【0067】
(9)本開示の態様9は、前記底部の少なくとも一部の幅は、前記第1挟み部の幅及び前記第2挟み部の幅のうち長い方よりも長い、(1)から(8)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、底部における、第1挟み部の幅及び第2挟み部の幅のうち長い方よりも幅が長い、底部の少なくとも一部を、例えば型枠等により、この部分よりも上方から押さえる際に、第1挟み部及び第2挟み部が支障となるのをより確実に防止することができる。
【0068】
(10)本開示の態様10は、前記一対の第1板状部及び前記一対の第2板状部のいずれか一つ、及び前記底部にそれぞれ接合された補強部材を備える、(1)から(9)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
この開示では、補強部材により、一対の第1板状部及び一対の第2板状部のいずれか一つの強度を高めることができる。
(11)本開示の態様11は、前記一対の第1板状部のそれぞれの幅、又は、前記一対の第2板状部のそれぞれの幅は、互いに等しい、(1)から(10)のいずれか一に記載の支持体であってもよい。
【0069】
(12)本開示の態様11は、(1)から(11)のいずれか一に記載の支持体と、前記第1挟み部に配置された第1板状体と、前記第2挟み部に配置された第2板状体と、を備える、支持構造である。
この開示では、第1挟み部により第1板状体を支持するとともに、第2挟み部により第2板状体を支持することができる。
【0070】
(13)本開示の態様12は、(1)から(11)のいずれか一に記載の支持体と、第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する型枠と、前記第1挟み部に配置された第1板状体と、前記第2挟み部に配置された第2板状体と、を備え、前記型枠は、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置されている、支持構造である。
【0071】
この開示では、第1挟み部により第1板状体を支持するとともに、第2挟み部により第2板状体を支持することができる。そして、支持体に対する幅方向の両側に、型枠を、一対の第1板状部が対向する方向において、型枠における第2壁に対する第1壁側が、支持体における第2挟み部に対する第1挟み部側となるように配置する。これにより、第1壁及び第1挟み部、第2壁及び第2挟み部を、それぞれ前記対向する方向に近づけることができる。
【0072】
(14)本開示の態様14は、前記支持体を複数、前記第1挟み部の幅方向に並べて備え、前記複数の支持体全体としての前記幅方向の両側に、前記型枠がそれぞれ配置されている、(13)に記載の支持構造であってもよい。
この開示では、幅方向に並べられた複数の支持体に対して、複数の支持体全体としての幅方向の両側に、型枠をそれぞれ配置することができる。
【0073】
(15)本開示の態様15は、前記底部の一部が、前記底壁の一部で押さえられている、(13)又は(14)に記載の支持構造であってもよい。
この開示では、型枠の底壁の一部により、支持体の底部の一部の位置を安定させることができる。
【0074】
(16)本開示の態様16は、前記第1壁の高さは、前記第2壁の高さよりも高く、前記第1板状体の高さは、前記第2板状体の高さよりも高い、(13)から(15)のいずれか一に記載の支持構造であってもよい。
この開示では、コンクリートの側圧を、型枠の第1壁及び第1板状体により、効率的に耐えることができる。
【0075】
(17)本開示の態様17は、前記一対の第1板状部が対向する方向において、前記第1板状体は、前記第1壁よりも前記第2壁とは反対側に配置され、前記第1壁に接触している、(13)から(16)のいずれか一に記載の支持構造であってもよい。
この開示では、型枠の第1壁と、第1板状体との間を、効率的に封止することができる。
【0076】
(18)本開示の態様18は、(1)から(11)のいずれか一に記載の支持体を、地面に配置する支持体配置ステップと、第1壁、前記第1壁に対向して配置された第2壁、及び前記第1壁の下端部と前記第2壁の下端部とにそれぞれ接続された底壁を有する複数の型枠を、前記支持体に対する前記第1挟み部の幅方向の両側に、前記一対の第1板状部が対向する対向方向において、前記第2壁に対する前記第1壁側が、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側となるように配置する型枠配置ステップと、第1板状体、第2板状体を、それぞれ前記第1挟み部、前記第2挟み部に配置する板状体配置ステップと、を備える、支持構造の施工方法である。
【0077】
この開示では、支持体配置ステップにおいて、支持体を地面に配置する。次に、型枠配置ステップにおいて、複数の型枠を、支持体に対する幅方向の両側に、対向方向において、第2壁に対する第1壁側が、第2挟み部に対する第1挟み部側となるように配置する。これにより、第1壁及び第1挟み部、第2壁及び第2挟み部を、それぞれ対向方向に近づけることができる。
そして、板状体配置ステップにおいて、第1板状体、第2板状体を、それぞれ第1挟み部、第2挟み部に配置することができる。
【0078】
(19)本開示の態様19は、前記支持体配置ステップにおいて、複数の前記支持体を、前記第2挟み部に対する前記第1挟み部側が同じ向きになるように配置し、前記型枠配置ステップにおいて、前記複数の支持体全体としての前記幅方向の両側に、複数の前記型枠を配置する、(18)に記載の支持構造の施工方法であってもよい。
この開示では、支持体配置ステップにおいて、複数の支持体を、第2挟み部に対する第1挟み部側が同じ向きになるように配置して、複数の支持体の向きを揃えることができる。そして、型枠配置ステップにおいて、複数の支持体全体としての幅方向の両側に、複数の型枠を配置して、複数の型枠により複数の支持体を幅方向に挟むことができる。
【0079】
(20)本開示の態様20は、前記型枠配置ステップは、前記支持体配置ステップの後に実施され、前記型枠配置ステップにおいて、複数の前記支持体の少なくとも1つの前記底部の一部を、前記底壁の一部で押さえる、(18)又は(19)に記載の支持構造の施工方法であってもよい。
この開示では、型枠配置ステップにおいて、複数の支持体の少なくとも1つの底部の一部を、型枠の底壁の一部で押さえて、複数の支持体の少なくとも1つの位置を安定させることができる。
【符号の説明】
【0080】
15 型枠構造(支持構造)
16A,16B,70A,75A 支持体
17A,17B 第1挟み部
17aA,17bA,17aB,17bB 第1板状部
18A,18B 第2挟み部
18aA,18bA,18aB,18bB 第2板状部
19A,19B 底部
21A,21B 耳部(底部の一部)
26 型枠
27 第1壁
28 第2壁
29 底壁
31 第1板状体
36 第2板状体
G4 地面
S6 施工方法(支持構造の施工方法)
S10 支持体配置ステップ
S11 型枠配置ステップ
S12 板状体配置ステップ
X 対向方向(対向する方向)
Y 幅方向
Y1 第1側
【要約】
【課題】一方の挟み部の上方に床を配置するとともに、他方の挟み部の上方にドア枠等を配置しやすくした支持体を提供する。
【解決手段】支持体16Aは、対向する一対の第1板状部17aA,17bAを有する第1挟み部17Aと、第1挟み部に対向して配置される、対向する一対の第2板状部18aA,18bAを有する第2挟み部18Aと、第1挟み部の下端部と第2挟み部の下端部とにそれぞれ接続された底部19Aと、を備え、第1挟み部の高さは、第2挟み部の高さよりも高い。
【選択図】
図3