IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7642178掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法
<>
  • -掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法 図1
  • -掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法 図2
  • -掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-27
(45)【発行日】2025-03-07
(54)【発明の名称】掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 25/00 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
A47L25/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024569024
(86)(22)【出願日】2024-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2024036089
【審査請求日】2024-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2024072994
(32)【優先日】2024-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237422
【氏名又は名称】富士高分子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 克之
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-262988(JP,A)
【文献】特開2005-325348(JP,A)
【文献】特開2009-293039(JP,A)
【文献】特開2012-169623(JP,A)
【文献】特表2011-518894(JP,A)
【文献】特開平3-293388(JP,A)
【文献】特開平4-75084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体実装部品を清掃するための掃除用パテであって、
ミラブル型シリコーンゴム組成物を主成分とし、JIS K 6300-3:2019,ISO 2007:1991に従った可塑度が20以上80未満であり、
アルミとの接着力が0.3N以上4N以下であることを特徴とする掃除用パテ。
【請求項2】
前記掃除用パテは、アルミブロックに押し付けたのち剥離したとき、アルミブロック側に界面破壊痕が残らない請求項1に記載の掃除用パテ。
【請求項3】
前記掃除用パテは、プリント基板又はシリコーンゴムに押し付けたのち剥離し、界面破壊痕がプリント基板側には残らず、シリコーンゴム側に残る請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項4】
前記掃除用パテ100質量%に対し、前記ミラブル型シリコーンゴムは40質量%以上100質量%以下である請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項5】
前記掃除用パテには、さらにホウ酸化合物を含有するオルガノポリシロキサンを含む請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項6】
前記掃除用パテには、さらに前記ミラブル型シリコーンゴム以外のオルガノポリシロキサンを含む請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項7】
前記ミラブル型シリコーンゴム組成物は、未架橋のミラブル型シリコーンゴムを含む請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項8】
プリント基板上に液状熱伝導性シリコーン組成物の放熱材をタテ10mm、ヨコ20mm、厚さ0.3mmとなるように塗布し、質量を測定し、前記掃除用パテを押し当てて引き剥がしたとき、1回目の除去率が60質量%、2回目の除去率が85質量%以上である請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項9】
前記掃除用パテはテープ状、シート状、棒状又はブロック状に成形されている請求項に記載の掃除用パテ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の掃除用パテを使用した半導体実装部品の清掃方法であって、
シリコーン系放熱材を塗布又は付着させたプリント基板上に前記掃除用パテを押し当てて引き剥がし、半導体実装部品を清掃することを特徴とする半導体実装部品の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU(central processing unit),GPU(graphics processing unit)などの半導体素子を搭載したプリント基板製造過程においては、しばしば微細な塵埃が発生することがある。また、電子部品用の放熱材である熱伝導性グリース、熱伝導性パテを電子部品に実装する場合は、微細な塵埃が発生することがある。これらの微細な塵埃は除去しないと不合格品となり、製品歩留まりが低下する問題がある。また、これら放熱材をリペアや再塗布をする際には除去する必要があり、除去が不十分だと放熱性の低下や脱落による汚染といった問題が発生する。
特許文献1には特定のゲル分率と特定のトルエンに対する膨潤度のシリコーン系粘着剤が提案されている。特許文献2には空孔又は亀裂を有するシリコーン系粘着剤が提案されている。特許文献3には付加反応硬化型シリコーン系粘着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6626125号公報
【文献】特開2004-123760号公報
【文献】特開2004-091703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の粘着剤を用いると基板やそれに配されるリードにまで粘着するため、部品が破損する恐れがあった。また、布などによるふき取りではリード間の微細な隙間を十分に掃除できず、針で掻き出す必要があるため多くの時間を要している。
【0005】
本発明は前記従来の問題を解決するため、基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぎ、さらに微細な隙間に潜り込むことができるパテ特性を付与した掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、半導体実装部品を清掃するための掃除用パテであって、ミラブル型シリコーンゴム組成物を主成分とし、JIS K 6300-3:2019,ISO 2007:1991に従った可塑度が20以上80未満であり、アルミとの接着力が0.3N以上4N以下である掃除用パテに関する。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、前記の掃除用パテを使用した半導体実装部品の清掃方法であって、シリコーン系放熱材を塗布又は付着させたプリント基板上に前記掃除用パテを押し当てて引き剥がし、半導体実装部品を清掃する半導体実装部品の清掃方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ミラブル型シリコーンゴム組成物を主成分とし、JIS K 6300-3:2019,ISO 2007:1991に従った可塑度が20以上80未満であり、アルミとの接着力が0.3N以上4N以下である掃除用パテとすることにより、基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぎ、さらに微細な隙間に潜り込むことができるパテ特性を付与することで、掃除にかかる時間、工数を大幅に削減することが可能な掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の一実施形態の半導体実装部品の模式的断面図である。
図2図2は本発明の一実施形態の掃除用パテの模式的斜視図である。
図3図3は本発明の別の実施形態の掃除用パテの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、半導体実装部品を清掃するための掃除用パテである。前記半導体実装部品は、CPU(central processing unit),GPU(graphics processing unit)などの半導体素子を搭載したプリント基板を含む。本発明の掃除用パテは、ミラブル型シリコーンゴムを主成分とする。ミラブル型シリコーンゴムとは固形タイプのシリコーンゴムであり、例えば重合度3000~10000の線状ポリマーを主成分とし、シリカ系補強性充填剤、潤滑剤、着色剤などの各種添加剤を配合したもので加硫剤を使用して加熱硬化させたタイプのシリコーンゴムであり、粘土状態である。このミラブル型シリコーンゴムを使用し、作業性に優れた可塑度、粘着性などに調整する。前記において、主成分とは掃除用パテ100質量%に対し、前記ミラブル型シリコーンゴムは40質量%以上含むことが好ましい。上限は100質量%である。前記の範囲であれば、前記ミラブル型シリコーンゴム以外のオルガノポリシロキサンを含んでもよい。また、前記ミラブル型シリコーンゴムは、未架橋のミラブル型シリコーンゴムであってもよい。
【0011】
本発明の掃除用パテは、JIS K 6300-3:2019,ISO 2007:1991に従った可塑度が20以上80未満であり、好ましくは20以上75以下であり、より好ましくは20以上70以下である。可塑度が前記の範囲であると、柔らかく、追従性が良く、微細な隙間へ潜り込みやすくなる。可塑度が20未満では柔らかすぎて千切れやすくリード間に残留し易く、可塑度が80以上であると硬くなり、リード間に潜り込みにくくなり、好ましくない。
【0012】
本発明の掃除用パテは、アルミとの接着力(タック力)が0.3N以上4N以下であり、好ましくは0.4以上3.8N以下であり、さらに好ましくは0.5以上3.6N以下である。接着力(タック力)が前記の範囲であると、基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぐことができる。また、リードなどへダメージを与えにくい。
【0013】
掃除用パテをアルミブロックに押し付けたのち剥離したとき、アルミブロック側に界面破壊痕が残らないことが好ましい。また、掃除用パテをプリント基板又はシリコーンゴムに押し付けたのち剥離し、界面破壊痕がプリント基板側には残らず、シリコーンゴム側に残ることが好ましい。これにより効率よく掃除ができる。
【0014】
掃除用パテには、さらにホウ酸化合物を含有するオルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。これにより、さらに基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぎ、微細な隙間に潜り込むことができるパテとすることができる。
【0015】
プリント基板上に液状熱伝導性シリコーン組成物の放熱材をタテ10mm、ヨコ20mm、厚さ0.3mmとなるように塗布し、質量を測定し、前記掃除用パテを押し当てて引き剥がしたとき、1回目の除去率が60質量%、2回目の除去率が85質量%以上であるのが好ましい。これにより、さらに基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぎ、微細な隙間に潜り込むことができるパテとすることができる。
【0016】
本発明の掃除用パテはテープ状、シート状、棒状又はブロック状に成形されているのが好ましい。これにより、様々なタイプの半導体実装部品を清掃することができる。
【0017】
本発明の半導体実装部品の清掃方法は、シリコーン系放熱材を塗布又は付着させたプリント基板上に前記掃除用パテを押し当てて引き剥がし、半導体実装部品を清掃する。これにより下記の利点を有する。
(1)手に付きにくい、基板上の部品破損防止、広い面積にも対応可能といった作業性の向上により取り扱いが容易となり、狭い部分に入り込んだ材料を迅速簡便に除去できる。
(2)シリコーンとなじみが良いため、押し付けるだけで液状TIMを吸着出来る。
(3)軟性パテ状のため、リードの隙間などの1mm未満の隙間でも容易に掃除できる。
(4)広い面積に押し当てることができるため、広範囲かつ凹凸の多い電子部品を一度に掃除できる。
(5)基板の材質には粘着せずにシリコーン材のみを粘着除去できる。
【0018】
以下図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態における半導体実装部品1の模式的断面図である。この半導体実装部品1はプリント基板2の上にICチップ3が搭載され、プリント基板2とICチップ3はリード4と金ワイヤ5により電気的に接続されており、ICチップ3は封止樹脂6により封止されている。プリント基板2とリード4と封止樹脂6との間は隙間7a,7bがあり、一例としてここを掃除する。
【0019】
図2は本発明の一実施形態の掃除用パテ8の模式的斜視図である。この掃除用パテ8は、全体はテープ状であり、先端部は厚さ2mmである。図3は本発明の別の実施形態の掃除用パテ9の模式的斜視図である。この掃除用パテ9は先端部分に3本の溝10a,10b,10cを形成し、塵埃との接触面積を大きくしてある。本発明の掃除用パテは柔らかいので、これ以外にも一般的なテープ状、シート状、棒状又はブロック状など、任意の形態に成形できる。
【実施例
【0020】
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
【0021】
各種パラメーターについては下記の方法で測定した。
<硬さ(可塑度)>
硬さ(可塑度)は、JIS K 6300-3,ISO 2007:1991に従い、ウォーレス可塑度計(Wallace Rapid plastometer)を使用し、測定温度23℃において、2枚の金属プレート間に試料を一定荷重(300N),一定時間(15秒)で一定厚み(1mm)まで圧縮した後、さらに一定荷重(100N),一定時間(15秒)圧縮したあとの試料厚さ(t)を100倍した値で表す。この値が小さいほど柔軟であることを示す。
<アルミ板接着力(タック力)>
タッキネスチェッカー HTC-1(東洋精機株式会社製)を用いて測定した。下記の圧力・時間で接触子を対象物に押しつけ、引き剥がした際の応力をロードセル方式で検出した。下記の実施例においては、タッキネスチェッカー(東洋精機株式会社製)の圧力は10N、時間は6秒、接触子はアルミFリングとした。
<プリント基板及びシリコーンゴムからの界面破壊>
プリント基板材質はソルダレジスト加工された一般的なプリント基板を使用した。シリコーンゴムは厚さ1mmのシリコーンゴムシートを使用した。
測定方法
(1)各材質に試料を押し当てる。
(2)試料を引きはがし下記評価基準により判定する。
無:各材質に試料が残らない。
有(小):一部試料が残る。
有(大):試料の大部分が被着し残る。
<SPG-30B掃除試験>(SPG-30Bは富士高分子工業社製熱伝導性シリコーン製品名)
測定方法
(1)ソルダレジスト加工された一般的な基板にSPG-30Bをタテ10mm、横20mm、厚さ0.3mmとなるように塗布し、重量を測定する。
(2)SPGの上から覆うように試料を押し当てる。
(3)そのまま試料を引きはがし、SPGの残重量を測定する。(一回目)
(4)試料の新たな面を再度押し当てて、引きはがし、SPGの残重量を測定する。(二回目)
(5)初期重量からの変化率を計算し、除去率とする。
【0022】
(実施例1)
・信越化学工業社製、商品名"KE-1614H-U":ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有する未架橋のミラブル型シリコーンゴム組成物を100g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー8g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0023】
(実施例2)
・信越化学工業社製、商品名"KE-1614H-U":ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有する未架橋のミラブル型シリコーンゴム組成物を100g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー20g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0024】
(実施例3)
・信越化学工業社製、商品名"KE-1614H-U":ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有する未架橋のミラブル型シリコーンゴム組成物を100g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー37g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0025】
(実施例4)
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"DAWSIL CF 9306":オルガノポリシロキサン、シリカ、クリストバライト、クオーツ、珪藻土とを含有するミラブル型シリコーンゴム組成物100g
・信越化学工業社製、商品名"X-93-1169":ホウ酸化合物を含有するオルガノポリシロキサン添加剤5g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー20g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0026】
(実施例5)
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"XIAMETER SE 1185 U":ミラブル型シリコーンゴム組成物100gを掃除用パテとした。
【0027】
(実施例6)
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"XIAMETER SE 1185 U":ミラブル型シリコーンゴム組成物100g
・信越化学工業社製、商品名"X-93-1169":ホウ酸化合物を含有するオルガノポリシロキサン添加剤5g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0028】
(比較例1)
信越化学工業社製、商品名"KE-1614H-U":ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有する未架橋のミラブル型シリコーンゴム組成物100gを掃除用パテとした。
【0029】
(比較例2)
・信越化学工業社製、商品名"KE-1614H-U":ジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有する未架橋のミラブル型シリコーンゴム組成物を100g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー74g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0030】
(比較例3)
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"DAWSIL CF 9306":オルガノポリシロキサン、シリカ、クリストバライト、クオーツ、珪藻土を含有するミラブル型シリコーンゴム組成物100g
・東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"CF3110":ポリオルガノシロキサンベースポリマー20g
以上を均一に混合し、掃除用パテとした。
【0031】
(比較例4)
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名"DOWSIL SH 4280"(過酸化物硬化型粘着剤)を主成分とするシリコーン系粘着剤を使用して掃除用パテとした。
【0032】
(比較例5)
富士高分子工業製、商品名"SARCON NR-c":アクリル樹脂を用いたゲルシートを練り返してパテ状にしたものを使用して掃除用パテとした。
【0033】
以上の条件および結果を表1~2にまとめて示す。
【0034】


【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表1~2から次のことが明らかである。
(1)実施例1~3及び比較例1~2は硬さ(可塑度)の範囲の比較をしており、実施例1~3はいずれも好ましかったが、比較例1は硬すぎてリード間に潜り込まず、比較例2は柔らかすぎて千切れやすくリード間に残留し易かった。
(2)実施例4、6はホウ酸化合物の添加によりそれぞれ比較例3、実施例5に比べ、SPG30B掃除試験の性能が向上している。
(3)比較例4は、過酸化物硬化型粘着剤を主成分とするシリコーン系粘着剤であるが、基板及びシリコーンゴムからの界面破壊が高く、好ましくなかった。
(4)比較例5は、アクリル樹脂を用いたゲルシートを練り返してパテ状にしたものであるが、アルミとの接着力が高すぎ、ちぎれやすく、SPG30B掃除試験の性能は低かった。
また、本発明の実施例1~6の掃除用パテは、次の効果も確認できた。
(1)実施例1~6の掃除用パテは平面部分の掃除は掃除用パテを押し当てて引き剥がすだけでよく、取り扱い性と作業効率がよい。
(2)リード部分の隙間は、0.3~0.5mm位であり、従来法(例えば市販のティッシュペーパー、キンバリー・クラーク社製、商品名"キムワイプ")及び比較例1~5の掃除用パテではリード部分等に埋まったところの塵埃が取りにくく、針で取っていたが、実施例1~6の掃除用パテは狭い部分であっても押し当てて引き剥がすだけでよく、取り扱い性と作業効率がよい。
(3)リペアが必要な物は、塗布ミスや70℃程度の環境で回した後のものであるが、これらも同様に掃除用パテを押し当てて引き剥がすだけでよく、取り扱い性と作業効率がよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の掃除用パテは半導体実装部品を清掃するために好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 半導体実装部品
2 プリント基板2
3 ICチップ
4 リード線
5 金ワイヤ
6 封止樹脂
7a,7b 隙間
8,9 掃除用パテ
10a,10b,10c 溝
【要約】
半導体実装部品を清掃するための掃除用パテであり、ミラブル型シリコーンゴム組成物を主成分とし、JIS K 6300-3:2019,ISO 2007:1991に従った可塑度が20以上80未満であり、アルミとの接着力が0.3N以上4N以下である。これを用いた清掃方法は、シリコーン系放熱材を塗布又は付着させたプリント基板上に前記掃除用パテを押し当てて引き剥がし、半導体実装部品を清掃する。これにより、基板やリードに粘着せず選択的にシリコーン材と粘着することで部品の破損を防ぎ、さらに微細な隙間に潜り込むことができるパテ特性を付与した掃除用パテ及びこれを用いた半導体実装部品の清掃方法を提供する。
図1
図2
図3