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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
B65D47/20 111
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022515421
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2021015495
(87)【国際公開番号】W WO2021210620
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2020072310
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220206
【氏名又は名称】東京ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】植平 庄治
(72)【発明者】
【氏名】市川 悟
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/017648(WO,A1)
【文献】特開2019-142566(JP,A)
【文献】特開平8-26320(JP,A)
【文献】実開平2-102371(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0023463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填した容器の口部に嵌合されるキャップであって、
天井壁を有する円筒状外側壁部と、
前記天井壁を上下に貫通する吐出流路と、
前記円筒状外側壁部の内側に設けられ、前記天井壁から垂下された筒状壁部と、
前記筒状壁部に上下摺動自在に係合した、中心部に上下に貫通する開口を備え、かつ、前記吐出流路を下方から覆うように設けた略円盤状の弁体と、を備え、
前記弁体は、該弁体と前記筒状壁部との間に形成される第1流通路を開放及び閉塞する第1弁部と、前記弁体と前記天井壁との間に形成される第2流通路を開放及び閉塞する第2弁部とを有し、
前記筒状壁部は、前記第1弁部が着座する弁座が設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記第1弁部は、前記弁体の内周縁側の下面に設けられ、前記第2弁部は、円環状の前記弁体の外周縁側の上面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記第1弁部は、前記弁体の外周縁側の下面に設けられ、前記第2弁部は、前記弁体の内周縁側の上面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記弁体は、前記天井壁に対向する前記弁体の面に、円周方向に間隔を置いて複数個の移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記天井壁は、前記弁体に対向する前記天井壁の面に、円周方向に間隔を置いて複数個の移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記天井壁は、前記弁体を収容する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ、特に、醤油、ソース、食油等の液状内容物が充填されるスクイズ容器の口部に装着されるキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スクイズ容器は、その胴部を圧搾(圧縮)することで、スクイズ容器内の体積が減少し、スクイズ容器内の圧力が増加して、この圧力によってスクイズ容器内の内容物を外部に吐出させている。一般に、スクイズ容器は、その口部にキャップが装着されている。このキャップには、弁体が設けられているものがあり、この弁体は、スクイズ容器内の圧力に応じて開閉することで、スクイズ容器内を開封及び密封するようにして、内容物を吐出する際の、液垂れや、容器転倒時の液漏れ等を防いでいる。
【0003】
例えば、特許文献1には、キャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に結合された蓋体と、円環状の供給筒を有する中栓と、キャップ本体の天井壁と中栓の供給筒との間に配置された逆止弁とを備えた吐出キャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-167143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、キャップ本体に逆止弁を保持するために、キャップ本体の天井壁と中栓との間に逆止弁を配置して、キャップ本体の天井壁及び中栓によって、逆止弁を保持している。このため、キャップの構成部品が増え、コストがかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、キャップの弁体及びその取付け構成を簡素化することによって、生産性並びにコスト面で優れたキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、内容物を充填した容器の口部に嵌合されるキャップであって、天井壁を有する円筒状外側壁部と、前記天井壁を上下に貫通する吐出流路と、前記円筒状外側壁部の内側に設けられ、前記天井壁から垂下された筒状壁部と、前記筒状壁部に上下摺動自在に係合した、中心部に上下に貫通する開口を備え、かつ、前記吐出流路を下方から覆うように設けた略円盤状の弁体と、を備え、前記弁体は、該弁体と前記筒状壁部との間に形成される第1流通路を開放及び閉塞する第1弁部と、前記弁体と前記天井壁との間に形成される第2流通路を開放及び閉塞する第2弁部とを有し、前記筒状壁部は、前記弁体を保持すると共に、前記第1弁部が着座する弁座が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1に係るキャップは、内容物の使用時に、容器(スクイズ容器)を圧搾(圧縮)して内圧を加えることで、スクイズ容器の内圧により弁体が押上げられて弾性変形する。この弾性変形により、第1弁部が筒状壁部の弁座から離座される。その結果、第1流通路(吐出流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが連通し、スクイズ容器内に充填された内容物が外部に吐出される。
一方、スクイズ容器に対する圧搾を解除することで、スクイズ容器が復元する。これにより、スクイズ容器内が負圧となり、弁体自身の復元、及び、弁体がスクイズ容器側に引張られて、弁体が弾性変形する。その結果、第1弁部が筒状壁部の弁座に着座されると共に、第2弁部が天井壁から離座され、第2流通路(吸気流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが直接連通される。この結果、外気と共に吐出流路内に残存した内容物がスクイズ容器内に流入(吸引)される。そして、スクイズ容器内の圧力が大気圧と略同じになることで、弁体が元の状態(すなわち、第1弁部が筒状壁部の弁座に着座し、第2弁体が天井壁の下面に着座された状態)に戻り、吐出流路とスクイズ容器内との連通を遮断し、スクイズ容器内を密封状態にすることができる。
【0009】
また、請求項1に係るキャップは、弁体は、天井壁の下面から垂下された筒状壁部によって上下摺動自在に支持されているので、弁体をキャップに保持するための別部品を必要とせず、簡素化し、部品数を減らし、生産性に優れたものとすると共にコスト低減を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記第1弁部は、前記弁体の内周縁側の下面に設けられ、前記第2弁部は、前記弁体の外周縁側の上面に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、内容物の吐出時に、スクイズ容器を圧搾(圧縮)して内圧を加えることで、スクイズ容器の内圧により弁体が押上げられて弾性変形し、第1弁部が筒状壁部の弁座から離座される。これにより、第1流通路(吐出流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが連通し、スクイズ容器内に充填された内容物が弁体の中央側から外部に吐出される。
一方、スクイズ容器に対する圧搾を解除することで、スクイズ容器内が負圧となり、弁体がスクイズ容器側に引張られて、弾性変形して、第2弁部が天井壁の下面から離座される。これにより、第2流通路(吸気流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが連通して、外気と共に吐出流路内に残存した内容物が弁体の外周縁側からスクイズ容器内に流入(吸引)される。このとき、第1弁部が筒状壁部の弁座に着座されるので、第1流通路(吐出流路)は遮断されている。そして、スクイズ容器内の圧力が大気圧と略同じになることで、弁体が元の状態に戻り、吐出流路とスクイズ容器内との連通を遮断し、スクイズ容器内を密封状態にすることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記第1弁部は、前記弁体の外周縁側の下面に設けられ、前記第2弁部は、前記弁体の内周縁側の上面に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、内容物の吐出時に、スクイズ容器を圧搾(圧縮)して内圧を加えることで、スクイズ容器の内圧により弁体が押上げられて弾性変形し、第1弁部が筒状壁部の弁座から離座される。これにより、第1流通路(吐出流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが連通し、スクイズ容器内に充填された内容物が弁体の外周縁側から外部に吐出される。
一方、スクイズ容器に対する圧搾を解除することで、スクイズ容器内が負圧となり、弁体がスクイズ容器側に引張られて、弾性変形して、第2弁部が天井壁の下面から離座される。これにより、第2流通路(吸気流路)を介して、吐出流路とスクイズ容器内とが連通して、外気と共に吐出流路内に残存した内容物が弁体の中央からスクイズ容器内に流入(吸引)される。このとき、第1弁部が筒状壁部の弁座に着座されるので、第1流通路(吐出流路)は遮断されている。そして、スクイズ容器内の圧力が大気圧と略同じになることで、弁体が元の状態に戻り、吐出流路とスクイズ容器内との連通を遮断し、スクイズ容器内を密封状態にすることができる。
【0014】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載した発明において、前記弁体は、前記天井壁に対向する弁体面に、円周方向に間隔を置いて複数個の移動規制部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に係る発明は、スクイズ容器内の内容物の吐出時、移動規制部が天井壁の下面に当接することで、弁体(第1弁体)の上昇移動を規制することができる。これにより、円周方向に間隔(例えば、90°間隔)を置いて複数個設けられた移動規制部の間から内容物が流れる流路を確保することができる。これにより、第1流通路から吐出流路への経路の遮断を防ぐことができ、円滑に外部に吐出することができる。
【0016】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載した発明において、前記天井壁は、前記弁体に対向する前記天井壁の面に、円周方向に間隔を置いて複数個の移動規制部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5に係る発明は、スクイズ容器内の内容物の吐出時、弁体が天井壁の下面に設けられた複数個の移動記載部に当接することで、弁体(第1弁体)の上昇移動を規制することができる。これにより、上述の請求項4に記載の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載した発明において、前記天井壁は、前記弁体を収容する凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項6に係る発明は、弁体が天井壁の凹部内に収納されるので、使い切り時に残存する内容物の量を減らすことができる。また、弁体が装着されたキャップを複数個カートン等に入れて搬送する際、互いのキャップによって、弁体が傷付いたり、変形する不具合を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のキャップによれば、キャップの弁体及びその取付け構成を簡素化することによって、生産性並びにコスト面で優れたキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る、スクイズ容器の口部に取付けられたキャップの断面図である。
図2図1に示すキャップ本体の吐出ノズルと、蓋体とを示し、(a)は平面図、(b)は下面図であり、(c)は図1のA-A線に沿う端面図である。
図3図1に示すキャップ本体の弁体を示し、(a)は平面図、(b)は下面図、(c)は図3(a)のB-B線に沿う断面図である。
図4図1に示すキャップの使用状態を示し、(a)は吐出時の断面図であり、(b)は吸気時の断面図である。
図5図1に示す弁体とキャップ本体との嵌合状態を示し、(a)は嵌合前の状態であり、(b)は嵌合途中の状態であり、(c)は嵌合後の状態である。
図6図1に示す筒状壁部の金型の離型工程を表す概略部分拡大図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る、スクイズ容器の口部に取付けられたキャップの断面図である。
図8図7に示すキャップ本体の吐出ノズルと、蓋体とを示し、(a)は下面図、(b)は図7のC-C線に沿う端面図である。
図9図7に示すキャップ本体の弁体を示し、(a)は平面図、(b)は下面図、(c)は図9(a)のD-D線に沿う断面図である。
図10図7に示すキャップの使用状態を示し、(a)は吐出時の断面図であり、(b)は吸気時の断面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る、スクイズ容器の口部に取付けられたキャップの断面図である。
図12図11に示すキャップ本体の吐出ノズルと、蓋体との下面図である。
図13図11に示すキャップ本体の弁体を示し、(a)は平面図、(b)は下面図、(c)は図13(a)のE-E線に沿う断面図である。
図14図11に示すキャップの使用状態を示し、(a)は吐出時の断面図、(b)は吸気時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態に係るキャップの構成を図1図5に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aは、図1に示すように、容器3(スクイズ容器)の口部5に取付けられている。キャップ1Aは、吐出ノズル37を含むキャップ本体11と、キャップ本体11にヒンジ17で連接された蓋体13と、弁体15とから概略構成されている。
【0023】
まず、キャップ1Aを被冠するスクイズ容器3について、図1を参照して説明する。
スクイズ容器3は、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂で成形され、胴部が変形又は復元し易い形状の容器であり、その内部には流動性のある内容物が充填される。この内容物は、例えば、ポン酢、醤油、食油、ソース、化粧水等が挙げられる。スクイズ容器3は、その胴部(図示せず)を圧搾(圧縮)するなどして内圧を加えることで内容物を吐出させるタイプのものである。スクイズ容器3の口部5には、その外周部に後述するキャップ本体11の突条部43と係合する、係合突条部21が形成される。さらに、口部5にキャップ1Aを上から荷重を加えて嵌め込む際、スクイズ容器3の胴部の座屈変形を防止するための受け部(保持部)となる突起部23が係合突条部21の下方に形成されている。
【0024】
次に、キャップ1Aの構成について、図1図5を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、キャップ1Aのキャップ本体11は、ポリエチレン等の合成樹脂で成形され、スクイズ容器3の口部5と嵌合される円筒状外側壁部31と、この円筒状外側壁部31の上部を塞ぐ天井壁33と、円筒状外側壁部31の内側に同心状に設けられかつ天井壁33から垂下された円筒状内側壁部35と、円筒状内側壁部35の内側の天井壁33から一体に上方に突設した吐出ノズル37と、円筒状外側壁部31及び円筒状内側壁部35の内側に設けられ、かつ、天井壁33から垂下された筒状壁部39と、から構成される。
【0025】
吐出ノズル37は、天井壁33の下面から上面に通ずる吐出流路41を有し、その先端は基端側から先端に向かって拡径するように形成されている。また、吐出ノズル37の吐出流路41の径方向中心は、円筒状外側壁部31の径方向中心に対してヒンジ17と反対側に偏心している(図1及び図2参照)。
【0026】
円筒状外側壁部31は、その先端内周部にスクイズ容器3の口部5の係合突条部21と係合する、径方向内側に突出する環状の突条部43が形成されている。円筒状外側壁部31と円筒状内側壁部35との間には、スクイズ容器3の口部5を挿入するための空間45(図1及び図2参照)が形成されている。円筒状内側壁部35の径方向外面は、スクイズ容器3の口部5の径方向内面と密接している(図1参照)。
【0027】
天井壁33には、その下面に筒状壁部39を取り巻くように円周方向に間隔を置いて設けられた断面視略半球状の複数個の移動規制部75が設けられている。なお、本実施形態では、円周方向に90°間隔を置いて4つ設けられている。
【0028】
筒状壁部39は、その下端周縁に、弁体15を保持すると共に、弁体15(吐出弁部69)の弁座として機能する、径方向外側に延びる環状のフランジ47が設けられている。また、筒状壁部39の外周壁には、周方向に所定の間隔を置いて縦方向に延びる、弁体15を位置決めするための複数のセンタリング49(位置決め部、第1実施形態では4つ(図1及び図2(c)参照))が設けられている。筒状壁部39の基端側の外周面と天井壁33との接続面は、凹条曲面を呈している。また、筒状壁部39の外周面と環状のフランジ47の外周端面との接続面は、凹条曲面を呈している。筒状壁部39は、その肉厚寸法t(図5(c)参照)が約0.3mm~約1.0mmに設定されている。環状のフランジ47は、物流時や内容物の吐出時において弁体15がキャップ本体11から脱落しないように、所定の強度を備えつつ、所定のラップ量d(本実施形態は、約0.4mm)を有する(図5(c)参照)。環状のフランジ47は、弁体15を筒状壁部39に嵌合させやすいように、その外周面が弧状を呈し、上端面が径方向外側に向かって斜めに傾斜されている。本実施形態では、弁体15が筒状壁部39に装着されている状態時、弁体15が筒状壁部39から外れないように、環状のフランジ47の上端面の傾斜角度θ(図5(c)参照)は、約20°に設定されている。なお、上述のラップ量d及び傾斜角度θは、適宜寸法を変更してもよい。
【0029】
ここで、筒状壁部39は、その基端側の外周面及び内周面と天井壁33との接続面、及び、筒状壁部39の外周面と環状のフランジ47の外周端面との接続面を凹条曲面とすること、また、環状のフランジ47の外周面を弧状とすることで、筒状壁部39を金型40,42から取り外すとき(離型時、図6参照)、筒状壁部39の破断や、環状のフランジ47のめくれ等の離型不良を抑制することができる。また、筒状壁部39は、離型時、筒状壁部39の径方向内側に変形するが(図6(c)参照)、離型時における力(筒状壁部39の径方向内側にかかる力)が取り除かれると、自身の復元力によって、概ね元の状態に戻ることができる。
【0030】
図1及び図2に示すように、キャップ本体11に被冠される蓋体13は、吐出ノズル37の吐出流路41を開閉すると共に、キャップ本体11の上面を被覆又は開蓋するためのものである。蓋体13は、ヒンジ17を介してキャップ本体11の円筒状外側壁部31の上縁に一体的に接続されている。また、蓋体13の外周壁には、ヒンジ17の反対側に、使用者が蓋体13を開けるときに指又は爪を掛ける突起51が設けられている。さらに、蓋体13には、その下面の、キャップ本体11の上面に突設した吐出流路41に対向する位置に、吐出流路41に緊密に嵌合する円筒状栓部53が垂設される。さらに、蓋体13は、その内周面下縁に、周方向に環状に延びる突条係止部55が形成される。また、天井壁33の外周上面には、周方向に沿って環状に延びる突条係止部57が形成されており、蓋体13を天井壁33上に被覆するとき、蓋体13の突条係止部55と天井壁33の突条係止部57とが係合する。
【0031】
図1及び図3に示すように、弁体15は、中心に上下に貫通する開口を有する略円盤状をなし、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3内との間を流れる内容物及び外気の流れを連通又は遮断する弾性変形可能なものである。具体的には、弁体15は、低密度ポリエチレン等の比較的柔軟な合成樹脂から成形され、中心に上下に貫通する開口65を有する円板状底壁部61と、円板状底壁部61の外周上縁部から径方向外側に向かって斜め上方に延びる斜壁部63と、円板状底壁部61の外周下縁部から円板状底壁部61の径方向外側に延出した環状の延出部62とからなり、開口65を筒状壁部39に挿通したとき、吐出流路41を下方から覆う大きさを有する。円板状底壁部61は、その下面61aと開口65の下部内壁とが接する部位が凸状曲面を呈し、その部分が筒状壁部39の弁座、すなわち、筒状壁部39の環状のフランジ47の上端面に離着座し、弁部(吐出弁部69、第1弁部)として機能する(図4参照)。弁体15の斜壁部63の外周部先端は、取付位置と斜壁部63との大きさによって、吐出ノズル37の吐出流路41を円環状に取り巻くように設けられ、天井壁33の下面に離着座し、弁部として機能する吸気弁部73(第2弁部)として構成される。平常時、吸気弁部73は、天井壁33に接している。
【0032】
ここで、弁体15は、弾性変形し易いように、斜壁部63の厚さ寸法が円板状底壁部61の厚さ寸法より小さく設定されている(本実施形態では、約0.2mm~約0.5mmに設定されている)。キャップ本体11の非装着時(図5(c)参照)における円板状底壁部61の下面61aから斜壁部63の先端までの寸法H1は、弁体15が筒状壁部39に装着するときに撓むことで、装着時の寸法H2(図5(c)参照)との寸法差が約0.1mm~約0.6mmとなるように設定されている。上述の斜壁部63の厚さ及び寸法H1と寸法H2との寸法差は、適宜変更してもよい。
【0033】
弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周部との間には、内容物の吐出時、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3内とを連通する第1流通路67(吐出流路)が形成される(図4(a)参照)。また、天井壁33の下面と弁体15の吸気弁部73との間には、内容物の吐出中止時、外気をスクイズ容器3内に導くための第2流通路79が形成されている(図4(b)参照)。吐出ノズル37は、第1流通路67が吐出ノズル37の吐出流路41に対して、軸線方向で重ならないように配置されている(図4(a)の軸線L1及びL2参照)。弁体15の開口65の内周壁部は、筒状壁部39に嵌合させやすいように、テーパ状のガイド部71が形成されている(図3(c)及び図5参照)。天井壁33の、吸気弁部73に対向する下面が弁座として機能している。
【0034】
次に、第1実施形態に係るキャップ1Aの組み立て方法について、図1及び図5を参照して説明する。
図5に示すように、まず、弁体15の吸気弁部73を天井壁33に対向させた状態で、弁体15のガイド部71を筒状壁部39のフランジ47の弧状面に当接させ、弁体15を上方に押し込む(図5(a)参照)。筒状壁部39のフランジ47の外周部と弁体15のガイド部71とを接触させたとき、筒状壁部39はその径方向内側に窄み、一方、弁体15の開口65の内周壁部は広がる(図5(b)の矢印参照)。その結果、弁体15を筒状壁部39の基端側(すなわち、上方)へ移動させることができる。そして、弁体15の円板状底壁部61の下面61aが筒状壁部39のフランジ47を超えた際、筒状壁部39及び弁体15の円板状底壁部61の開口65が復元して、弁体15の円板状底壁部61の下面と開口65の接合部位が弁部となり、筒状壁部39のフランジ47の上面に着座し、弁体15が筒状壁部39に沿って上下摺動自在に支持される(図5(c)参照)。また弁体15の吸気弁部73は、天井壁33の下面に着座される(図5(c)参照)。これにより、キャップ1Aへの弁体15の組み立てが完了する。
【0035】
次に、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aの作用を、図4を参照して説明する。
スクイズ容器3内の内容物を吐出する場合、まず、蓋体13を開いて、吐出ノズル37を外部に露出させる。このとき、スクイズ容器3は、胴部(図示せず)が圧搾(圧縮)されていないため、弁体15の吐出弁部69及び吸気弁部73は、筒状壁部39のフランジ47の上端面及び天井壁33の下面に夫々着座されたままである(図1参照)。
【0036】
そして、吐出ノズル37を下方に向けてスクイズ容器3の胴部を圧搾して、スクイズ容器3内に内圧を加える。この内圧により、内容物が弁体15の下面を押上げることにより、弁体15が弾性変形して、円板状底壁部61が筒状壁部39の外周面に沿ってセンタリング49に規制されながら上昇し、弁体15の吐出弁部69が筒状壁部39のフランジ47の上面から離座する(図4(a)参照)。このとき、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間に第1流通路67が形成されることによって、スクイズ容器3内と吐出ノズル37の吐出流路41とが連通する。また、弁体15の吸気弁部73は、内圧によって天井壁33の下面に押圧され着座されたままである。その結果、スクイズ容器3内の内容物は、第1流通路67を通り、天井壁33の下面に当たってから吐出ノズル37の吐出流路41を通って、外部に吐出される(図4(a)の矢印参照)。ここで、弁体15の円板状底壁部61の上面が天井壁33の4つの移動規制部75に当接することで、弁体15の円板状底壁部61の上面が天井壁33に対して間隔を維持して対峙し、4つの移動規制部75の間から内容物を円滑に流動させることができる。また、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間の第1流通路67の開口の面積は、流通入り口77(図4(a)参照)の面積より小さいため、第1流通路67を通過する内容物の流量が規制され、外部に吐出する量を制限することができ、適量に吐出することができる。さらに、内容物が第1流通路67を通過した際、内容物が天井壁33の下面に衝突し、進路を変えて、吐出流路41に向かう。これにより、内容物の流れの勢いが弱まり、外部へ勢いよく吐出するのを防ぐことができる。
【0037】
一方、スクイズ容器3の胴部に対する圧搾を止めることで、内容物の吐出が止まり、圧搾を開放することで、スクイズ容器3が復元する。これにより、スクイズ容器3内が負圧となり、弁体15自身の復元、及び、弁体15がスクイズ容器3側に引張られることで、弁体15が弾性変形する。その結果、弁体15の斜壁部63の外周部先端(吸気弁部73)が天井壁33の下面から離座されると共に、吐出弁部69が筒状壁部39のフランジ47の上面に着座される(図4(b)参照)。これにより、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間の第1流通路67が遮断されるが、弁体15の外周側の第2流通路79(吸気流路)が開放され、吐出流路41とスクイズ容器3内とが直接連通される(図4(b)の矢印参照)。その結果、第2流通路79を介して、外気が第2流通路79からスクイズ容器3内に流入するとき、吐出流路41内に残存した内容物が外気の流入と共に、スクイズ容器3内に流入(吸引)される。これにより、キャップ1Aの吐出流路41内に残存する内容物を減少させ、液垂れし難くすることができる。
【0038】
そして、スクイズ容器3内の圧力が大気圧と略等しくなることで、弁体15が復元して、吐出弁部69及び吸気弁部73が筒状壁部39のフランジ47の上面及び天井壁33の壁面に着座して、吐出流路41とスクイズ容器3内とを遮断する(すなわち、第1流通路67及び第2流通路79が閉塞する)。そして、ヒンジ17を折り曲げて蓋体13を、キャップ本体11の上面を覆うように被せれば、蓋体13の突条係止部55が天井壁33の突条係止部57に係合すると共に、円筒状栓部53が、内容物の残存が少ない吐出ノズル37の内壁面に緊密に嵌合されるので、吐出ノズルや円筒状栓部53とその周囲とが内容物で汚れ難く、吐出流路41を密封遮断することができる(図1参照)。
【0039】
本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、キャップ1Aは、吐出ノズル37を含むキャップ本体11と、キャップ本体11に連接された蓋体13と、弁体15とから構成されており、弁体15がキャップ本体11の筒状壁部39によって支持されているので、キャップ1Aを構成する部品数を減らすことができ、キャップ1Aの構成を簡素化しつつ、生産コストを抑えることができる。
【0040】
また、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間の第1流通路67(吐出流路)の開口の面積は、流通入り口77の面積より小さいので、スクイズ容器3から流れる内容物が第1流通路67を通過する際、内容物の流量が規制され、吐出ノズル37から外部に吐出される内容物の量を抑えられて、吐出する箇所へ適量に吐出することができる。
【0041】
さらに、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間の第1流通路67と、吐出ノズル37の吐出流路41とが軸線方向で重ならないので、第1流通路67を通過した内容物が一旦天井壁33の下面に衝突し、内容物の流れの勢いを弱めつつ、吐出流路41に導かれるため、吐出される勢いを弱めることができる。
【0042】
本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、スクイズ容器3の胴部の圧搾を解除したとき、スクイズ容器3内の圧力が負圧となり、弁体15がスクイズ容器3側に引張られて弾性変形することで、吸気弁部73が天井壁33の下面から離座される。その結果、外気と共に、吐出ノズル37に残存する内容物がスクイズ容器3内に吸引されるので、再度内容物を吐出する際、液垂れし難くすることができる。
【0043】
本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、円板状底壁部61は、その下面61aと開口65の下部内壁とが接する部位が凸状曲面を呈することで、成形時におけるショートモールドが発生しにくく、筒状壁部39のフランジ47の上端面に確実に離座できるため、密封性を安定させることができる。円板状底壁部61は、その厚さ寸法が斜壁部63の厚さ寸法より大きく設定されていることで、開口65が広がりにくいため、筒状壁部39から外れにくくすることができる。さらに、弁体15は、延出部62を有することで、弁体15を金型から取り外す際(離型時)、延出部62が無理抜き部として先ずは延出部62側の金型に残るように機能するので、弁体15を金型から確実に離型させることができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係るキャップ1Bについて、図7図10を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態のキャップ1Aに対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0045】
第2実施形態に係るキャップ1Bと第1実施形態のキャップ1Aとは、キャップ本体11の天井壁33、第1実施形態の筒状壁部39に該当するキャップ本体11の筒状壁部81、及び、弁体15の構成が相違しており、他の構成は同一である。
具体的には、図7及び8を参照して説明すれば、キャップ本体11の天井壁33は、その下面が平坦面である。キャップ本体11の筒状壁部81は、円筒状内側壁部35寄りに設けられ、かつ、吐出ノズル37の吐出流路41を取り囲むように設けられている。筒状壁部81は、その先端に、後述する弁体15の段部91(吐出弁部)の弁座として機能する、径方向内側に延びる環状のフランジ83が設けられている。また、筒状壁部81の内周壁には、適宜間隔で縦方向に延びるセンタリング49が複数個設けられている(第2実施形態では4つ)。
【0046】
図7及び図9に示すように、弁体15は、弾性変形可能な、中心に上下に貫通する開口を有する略円盤状をなし、外縁壁部85と、外縁壁部85の内周面の上部から径方向内側に向かって斜め上方に延びる斜壁部87と、斜壁部87の中央部に形成された上下に貫通する開口65と、からなる。ここで、弁体15は、弾性変形し易いように、斜壁部87の厚さ寸法が外縁壁部85の厚さ寸法より小さく設定されている。外縁壁部85は、その外周面の上部にテーパ状のガイド部89が形成され、また、外周面の下部に段部91が形成されている。段部91は、筒状壁部81の環状のフランジ83の上面に離着座し、弁部(第1弁部、吐出弁部)として機能する。斜壁部87の内周縁部の上部に設けられた開口65の周縁には、断面視略半球状の吸気弁部93(第2弁部)が設けられている。ここで、弁体15の外周部と筒状壁部81の内周部との間には、内容物の吐出時、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3内とを連通する第1流通路97(吐出流路)が形成される(図10(a)参照)。また、天井壁33の下面と弁体15の吸気弁部93との間には、内容物の吐出中止時、外気をスクイズ容器3内に導くための第2流通路99が形成される(図10(b)参照)。外縁壁部85は、その上面に、吐出ノズル37の吐出流路41を取り巻くように円周方向に間隔を置いて設けられた断面視略矩形状の複数個の移動規制部95が設けられている(第2実施形態では、円周方向に90°間隔を置いて4つ設けられている)。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態に係るキャップ1Bの作用を、図10を参照して説明する。
図10(a)に示すように、スクイズ容器3内の内容物を吐出する場合、吐出ノズル37を下方に向けてスクイズ容器3の胴部を圧搾して、スクイズ容器3内に内圧を加えた際、この内圧により、弁体15の斜壁部87及び外縁壁部85の下面を押上げる。その結果、弁体15の吸気弁部93が天井壁33に押圧されると共に、弁体15が弾性変形すると共に外縁壁部85は、筒状壁部81の内面に沿って上昇して、弁体15の外縁壁部85の段部91が筒状壁部81の環状のフランジ83から離座される。その結果、内容物は、筒状壁部81の環状のフランジ83の内周部と弁体15の外縁壁部85の外周部との間に形成される第1流通路97(吐出流路)を通過し、天井壁33の下面に当たってから吐出ノズル37の吐出流路41を通って、外部に吐出される(図10(a)の矢印参照)。
【0048】
一方、図10(b)に示すように、スクイズ容器3の胴部に対する圧搾を止めることで、内容物の吐出が止まり、圧搾を開放することで、スクイズ容器3が復元する。そして、スクイズ容器3の復元により、スクイズ容器3内の負圧となり、弁体15がスクイズ容器3側に引張られる。これにより、弁体15の外縁壁部85の段部91が筒状壁部81の環状のフランジ83の上面に着座した後、さらに弾性変形し、吸気弁部93が天井壁33の下面から離座する。これにより、筒状壁部81の環状のフランジ83の内周部と弁体15の外縁壁部85の外周部との間の第1流通路97が遮断されるが、第2流通路99(吸気流路)を介して、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3と連通させる経路が形成される。その結果、吐出流路41内に残存する内容物と共に、外気が第2流通路99を通り、スクイズ容器3内に流入(吸引)されるので(図10(b)の矢印参照)、内容物がキャップ1Bの吐出ノズル37内に残り難く、液垂れし難くすることができる。
【0049】
そして、スクイズ容器3内の圧力が大気圧と略等しくなることで、弁体15が復元して、段部91(吐出弁部)及び吸気弁部93が筒状壁部81の環状のフランジ83及び天井壁33の内壁面に着座して、吐出流路41とスクイズ容器3内との連通を遮断する。
【0050】
本発明の第2実施形態に係るキャップ1Bによると、内容物を吐出する場合、スクイズ容器3内の内容物が第1流通路97から吐出ノズル37の吐出流路41を通って、外部に吐出され、内容物の吐出を止める場合、弁体15の第2流通路99を介して、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3とを連通し、外気と共にキャップ1Bの吐出流路41内に残存した内容物はスクイズ容器3内に流入される。これにより、上述の第1実施形態に係るキャップ1Aと同様の作用効果を奏するものとなる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態に係るキャップ1Cについて、図11図14を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態のキャップ1Aに対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0052】
第3実施形態に係るキャップ1Cと第1実施形態のキャップ1Aとは、第1実施形態のキャップ本体11(天井壁33)の構成、及び、弁体15の構成が相違しており、他の構成は同一である。
具体的には、図11及び図12に示すように、キャップ本体11の天井壁33は、その内側に、弁体15を収納する凹部101が形成される。凹部101は、その底面が平坦面である。
【0053】
図13に示すように、弁体15の円板状底壁部61は、その上面に開口65を取り巻くように円周方向に間隔を置いて設けられた断面視略半球状の複数個の移動規制部76が設けられている(本実施形態では、円周方向に90°間隔を置いて4つ設けられている)。弁体15の斜壁部63の外周上縁部には、取付位置と斜壁部63との大きさによって、吐出ノズル37の吐出流路41を円環状に取り巻くように設けられた、断面視略半球状の吸気弁部73(第2弁部)が設けられている。平常時、吸気弁部73は、天井壁33の凹部101の底面に接している。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態に係るキャップ1Cの作用を、図14を参照して説明する。
図14(a)に示すように、スクイズ容器3内の内容物を吐出する場合、吐出ノズル37を下方に向けてスクイズ容器3の胴部を圧搾して、スクイズ容器3内に内圧を加えた際、この内圧により、内容物が弁体15の下面を押上げることにより、弁体15が弾性変形して、円板状底壁部61が筒状壁部39の外周面に沿ってセンタリング49に規制されながら上昇し、弁体15の吐出弁部69が筒状壁部39のフランジ47の上面から離座する。その結果、スクイズ容器3内の内容物は、第1流通路67を通り、天井壁33の凹部101の底面に当たってから吐出ノズル37の吐出流路41を通って、外部に吐出される(図14(a)の矢印参照)。ここで、弁体15の4つの移動規制部76が天井壁33の凹部101の底面に当接することで、弁体15の円板状底壁部61の上面が天井壁33に対して間隔を維持して対峙し、4つの移動規制部76の間から内容物を円滑に流動させることができる。
【0055】
次に、図14(b)に示すように、スクイズ容器3の胴部に対する圧搾を止めることで、内容物の吐出が止まり、圧搾を開放することで、スクイズ容器3が復元する。そして、スクイズ容器3の復元により、スクイズ容器3内の負圧となり、弁体15がスクイズ容器3側に引張られる。これにより、弁体15が弾性変形し、弁体15の斜壁部63の先端(吸気弁部73)が天井壁33の凹部101の底面から離座されると共に、吐出弁部69が筒状壁部39のフランジ47の上面に着座される。そして、弁体15の開口65の内周壁部と筒状壁部39の外周壁部との間の第1流通路67が遮断されるが、弁体15の外周側の第2流通路79(吸気流路)が開放され、吐出流路41とスクイズ容器3内とが直接連通される(図14(b)の矢印参照)。その結果、第2流通路79を介して、外気が第2流通路79からスクイズ容器3内に流入するとき、吐出流路41内に残存した内容物が外気の流入と共に、スクイズ容器3内に流入(吸引)される。これにより、キャップ1Cの吐出流路41内に残存する内容物を減少させ、液垂れし難くすることができる。
【0056】
そして、スクイズ容器3内の圧力が大気圧と略等しくなることで、弁体15が復元して、吐出弁部69が筒状壁部39の環状のフランジ47の上端面に着座し、吸気弁部73が天井壁33の凹部101の底面に着座して、吐出流路41とスクイズ容器3内との連通を遮断する。
【0057】
本実施形態に係るキャップ1Cによると、内容物を吐出する場合、スクイズ容器3の内容物は、第1流通路67を通り、天井壁33の凹部101の底面に当たってから吐出ノズル37の吐出流路41を通って、外部に吐出される。一方、スクイズ容器3の胴部に対する圧搾を止めることで、スクイズ容器3の内容物が第2流通路79を介して、吐出ノズル37の吐出流路41とスクイズ容器3とを連通し、外気と共にキャップ1Cの吐出流路41内に残存した内容物はスクイズ容器3内に流入される。これにより、上述の第1実施形態に係るキャップ1Aと同様の作用効果を奏するものとなる。
【0058】
また、本実施形態に係るキャップ1Cによると、弁体15が凹部101内に収納されることで、使い切り時に残存する内容物の量を減らすことができる。さらに、弁体15が装着された状態のキャップ1Cを複数個カートン等に入れて搬送する際に、互いのキャップ1Cで弁体15が傷付いたり、変形する不具合を防止することができる。
【0059】
なお、本発明の第1,第2及び第3実施形態に係るキャップ1A,1B,1Cでは、移動規制部75,76及び95は、4つ設けられているが、適宜個数を変更してもよい。また、移動規制部75及び76は、第1及び第3実施形態に係るキャップ1A,1Cでは断面視略半円形状を呈し、第2実施形態に係るキャップ1Bでは断面視矩形状を呈しているが、例えば、台形等の他の形状であってもよい。
【0060】
また、本発明の第2実施形態に係るキャップ1Bにおいて、弁体15の外縁壁部85の上面に4つの移動規制部95を設けているが、外縁壁部85の上面に対向する天井壁33の下面に移動規制部を設けるようにしてもよい。
【0061】
また、本発明の第2及び第3実施形態に係るキャップ1B,1Cでは、弁体15の吸気弁部73,93の先端は、断面視半球状をなしているが、例えば、台形等の他の形状であってもよい。本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aにおいて、弁体15の斜壁部63の外周部先端に設けられた吸気弁部73が断面視略半球状、台形等の他の形状に呈してもよい。
【0062】
本発明の第1,第2及び第3実施形態に係るキャップ1A,1B,1Cでは、キャップ本体11と蓋体13とはヒンジ17を介して一体に設けられているが、キャップ本体と蓋体とを別体にしてもよい。
【0063】
本発明の第1,第2及び第3実施形態に係るキャップ1A,1B,1Cでは、スクイズ容器3の口部5に嵌め込まれているが、ねじ篏合方法であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1A,1B,1C…キャップ、3…スクイズ容器(容器)、5…口部、15…弁体、31…円筒状外側壁部、33…天井壁、37…吐出ノズル、39…筒状壁部、41…吐出流路、47…フランジ(弁座)、61…円板状底壁部、67…第1流通路(吐出流路)、69…吐出弁部(第1弁部)、73…吸気弁部(第2弁部)、79…第2流通路(吸気流路)、81…筒状壁部、83…フランジ(弁座)、91…段部(第1弁部)、93…吸気弁部(第2弁部)、97…第1流通路(吐出流路)、99…第2流通路(吸気流路)
図1
図2
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図11
図12
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