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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】駆動回路および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20250303BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20250303BHJP
   G09G 3/3275 20160101ALI20250303BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20250303BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
G09G3/20 623F
G09G3/20 680G
G09G3/20 621F
G09G3/20 623R
G09G3/36
G09G3/3275
G09G3/20 623B
G09G3/20 621A
G02F1/133 550
H03F3/45
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020034072
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135465
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520333321
【氏名又は名称】深▲セン▼通鋭微電子技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金正 貴夫
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-026636(JP,A)
【文献】特開2011-151711(JP,A)
【文献】特開2014-178434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる階調値に対応した表示データに基づいて、複数の異なる階調基準電圧から一つの前記階調基準電圧を選択する選択回路と、
前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧に基づいて、前記階調値に応じた出力電圧を出力する出力回路と、を備え、
前記出力回路は、
出力端子と、
前記出力端子に接続される反転入力端子と、
前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧が入力される非反転入力端子と、
第1トランジスタおよび第2トランジスタを含む複数の差動トランジスタ対と、
前記第1トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第1接続状態と、前記第1トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続する第2接続状態と、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第3接続状態と、を切り替える接続切替部と、を有しており、
前記接続切替部は、
少なくとも1つの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態と前記第2接続状態とを切り替える一方、
少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第1接続状態から前記第2接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記階調基準電圧が変化してから前記出力電圧が安定するまでの過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第2接続状態に切り替え、
少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第2接続状態から前記第1接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第2接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第1接続状態に切り替え、
前記接続切替部は、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対を、前記第3接続状態に切り替え可能であることを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
請求項に記載の駆動回路と、
前記駆動回路によって駆動される表示パネルと、を備えていることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルを駆動する駆動回路と、駆動回路を備えた表示装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルやOLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)を備えた有機EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッセンス)パネルなどの表示用ドライバIC(駆動回路)は、近年のパネルの高精細化や倍速駆動対応などにより、出力遅延の益々の高速化が必要となっている。
【0003】
図9は、従来のソース駆動回路を示す図である。図10は、ソース駆動回路における選択回路22およびガンマ回路24の構成を示す回路図である。
【0004】
図9に示すように、従来のソース駆動回路は、DA変換器23と、ガンマ回路24と、デマルチプレクサー25とを含む。このソース駆動回路は、複数のソース線S1,…,Srを時分割で駆動するマルチプレクス駆動を行う。
【0005】
ガンマ回路24は、256個の階調基準電圧V0~V255をそれぞれ256本の基準電源バスラインBL1~BL256を介してDA変換器23に供給する。なお、ここでの説明では、簡略化のため、「階調基準電圧」を「基準電圧」と称する。
【0006】
DA変換器23は、選択回路22と、複数のソースアンプAM1~AM171とを有している。選択回路22は、入力された画像データD1~D171の階調値の各々に基づいて、ガンマ回路24から供給される基準電圧V0~V255から一つを選択し、ソースアンプAM1~AM171の各々に供給する。
【0007】
デマルチプレクサー25は、ソースアンプAM1~AM171の各々の出力ノードQ1~Q171から出力された電圧を、セレクト信号SEL1~SEL18に基づいて時分割で、ソース線S1~S3078に分配する。
【0008】
図10は、選択回路22とガンマ回路24の構成例を示す。選択回路22の左右両側に配置されたガンマ回路24は、基準電圧V0~V255を出力するために、高電位側電圧VHと低電位側電圧VLの間を分割する、抵抗素子RA1~RA257および抵抗素子RB1~RB257を含む。抵抗素子RA1~RA257の間のノードと抵抗素子RB1~RB257の間のノードとは、共通の基準電源バスラインBL1~BL256に接続される。そして、基準電源バスラインBL1~BL256の各々には、基準電圧V0~V255が出力される。
【0009】
選択回路22は、複数のソースアンプAM1~AM171の各々と、基準電源バスラインBL1~BL256の各々との間に接続されるスイッチS1-1~S171-256を有する。スイッチS1-1~S171-256の各々は、画像データD1~D171の階調値の各々に基づいてオン・オフ制御される。例えば、画像データD171が127階調(基準電圧V127に該当)である場合には、スイッチS171-128のみがオンし、他のスイッチS171-1~S171-127・S171-129~S171-256はオフする。これにより、基準電圧V127がソースアンプAM171の入力ノードU171に供給される。
【0010】
図11図13は、図9および図10に図示した従来のソース駆動回路の問題点を説明するための図である。
【0011】
図14は、従来のソース駆動回路において、前記問題点が著しく生じる場合を説明するための図である。
【0012】
従来のソース駆動回路の場合、例えば、画像データD1~Dnの各々の階調値が全て1階調(階調基準電圧V1に該当)である場合、n個のソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Un全てが、階調基準電圧V1が出力される基準電源バスラインBL2に電気的に接続される。
【0013】
図11は、ソースアンプAMnの概略構成を示す図である。ソースアンプAMnの入力ノードUnと出力ノードQnは、ソースアンプAMn内のトランジスタである入力トランジスタMp及び出力トランジスタMmのゲートと接続されている。これにより、入力トランジスタMpのゲート容量(図中点線で図示)と出力トランジスタMmのゲート容量(図中点線で図示)とが形成される。図10に図示するように、n個のソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Un全てが、階調基準電圧V0~V255の何れか一つを出力する基準電源バスラインBL1~BL256の何れか一つ(図10の場合には、基準電源バスラインBL2)に電気的に接続される場合には、前記ゲート容量の影響により、特定の基準電源バスライン(図10の場合には、基準電源バスラインBL2)の負荷が大きくなる。すなわち、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256に電気的に接続されるソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Unの数が増加すればする程、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256の負荷が大きくなる。また、画像データD1~Dnの各々が0階調(階調基準電圧V0に該当)から255階調(階調基準電圧V255に該当)に変わる場合のように、前回入力された画像データD1~Dnの階調値と、今回入力された画像データD1~Dnの階調値との差が大きくなれば大きくなる程、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256の負荷が大きくなる。
【0014】
図12は、ある一つの基準電源バスラインBL256の負荷が最も大きい場合における前記ゲート容量の影響による基準電源バスラインBL256の出力の変動を示す図である。図12に図示するように、画像データD1~Dnの各々が0階調から255階調に変わる際には、ゲート容量に蓄えられた電荷の移動により、基準電源バスラインBL256の出力は、図中の矢印方向であるV0方向へ持ちあがる(図12に図示するようにV0>V255の場合)。すなわち、画像データD1~Dnの各々が0階調から255階調に変わる際には、基準電源バスラインBL256の出力は、V255の期待値より電圧が高くなる。なお、この持ちあがり量は、ある一つの基準電源バスラインBL1~BL256に電気的に接続されるソースアンプAM1~AMnの入力ノードU1~Unの数が増加すればする程、大きくなる。
【0015】
図13は、図12に図示するように、基準電源バスラインBL256の出力において、持ちあがりが生じた場合に、基準電源バスラインBL256に電気的に接続された複数のソースアンプAMnの各々の出力ノードQnにおけるソース出力を示す図である。図13に図示するように、画像データD1~Dnの各々が0階調から255階調に変わる際には、上述した持ちあがりの影響を受ける。これにより、ソース出力が0階調に相当するV0期待値から255階調に相当するV255期待値の近くで安定化するまでにかかる時間(セトリング時間)が長くなってしまう。このようにセトリング時間が長いソース駆動回路を備えた表示装置においては、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどが視認されてしまう場合があるので、問題である。
【0016】
特許文献1では、出力電圧に必要な電圧レベルの一部を補間によって生成することにより、基準電圧発生手段で発生する電圧の数を、必要とされる電圧数よりも大幅に減らすことができるDA変換器を開示している。このDA変換器は、出力回路として、3つの入力端子を持つボルテージフォロア回路(特許文献1の図2参照)によって構成されるソースアンプを備えている。このようなDA変換器は、64階調に応じた64のレベルのアナログ電圧を、6ビットの表示データに基づいて、ソースアンプを介して出力することができる。これにより、多階調化のために必要な電圧数が増加しても、回路構成素子(抵抗素子やスイッチ)の増加を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2002-43944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成の場合、ある一つの基準電源バスラインに同時に接続される複数のソースアンプの数は変わらないが、同時に接続される入力トランジスタ数が変動する。つまり、階調によりゲート容量が変化するため、階調の切り替え時に急激な電位変動が生じてしまう。このような階調に応じた電位変動の大きさの相違は、ソースアンプの出力電圧のセトリング時間のばらつきとなる。そして、このばらつきが原因となって、表示の階調逆転が視認されてしまうという問題がある。
【0019】
近年の表示パネルの高精細化などに伴い、複数のソースアンプの入力ノード側においても、ある一つの基準電源バスラインに同時に接続される複数のソースアンプの数が多いため、上述したゲート容量の影響が大きく問題である。
【0020】
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、セトリング時間(安定化時間)を短くした駆動回路と、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどを抑制した表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る駆動回路は、複数の異なる階調値に対応した表示データに基づいて、複数の異なる階調基準電圧から一つの前記階調基準電圧を選択する選択回路と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧に基づいて、前記階調値に応じた出力電圧を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、出力端子と、前記出力端子に接続される反転入力端子と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧が入力される非反転入力端子と、第1トランジスタおよび第2トランジスタを含む複数の差動トランジスタ対と、前記第1トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第1接続状態と、前記第1トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続する第2接続状態と、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第3接続状態と、を切り替える接続切替部と、を有しており、前記接続切替部は、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態と前記第2接続状態とを切り替える一方、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第1接続状態から前記第2接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記階調基準電圧が変化してから前記出力電圧が安定するまでの過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第2接続状態に切り替え、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第2接続状態から前記第1接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第2接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第1接続状態に切り替える。
【0022】
また、本発明の一態様に係る駆動回路は、複数の異なる階調値に対応した表示データに基づいて、複数の異なる階調基準電圧から一つの前記階調基準電圧を選択する選択回路と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧に基づいて、前記階調値に応じた出力電圧を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、出力端子と、前記出力端子に接続される反転入力端子と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧が入力される非反転入力端子と、第1トランジスタおよび第2トランジスタを含む複数の差動トランジスタ対と、前記出力端子から出力される出力電圧が安定しているとき、前記第1トランジスタの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するとき、前記出力電圧が安定するまでの過渡期間に、少なくとも一つの前記第1トランジスタの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、当該第1トランジスタ以外の前記第1トランジスタの制御端子を前記反転入力端子に接続する接続切替部と、を有しており、前記第2トランジスタの制御端子は、前記反転入力端子に接続されている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、安定した階調表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】各実施形態に共通する表示装置の構成を示す図である。
図2】前記表示装置におけるソース駆動回路の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1に係るDA変換器におけるソースアンプの構成を示す回路図である。
図4】前記DA変換器に備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、前記ソースアンプから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係るDA変換器におけるソースアンプの構成を示す回路図である。
図6】前記DA変換器に備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、前記ソースアンプから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
図7】本発明の実施形態3に係るDA変換器におけるソースアンプの構成を示す回路図である。
図8】前記DA変換器に備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、前記ソースアンプから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
図9】従来のソース駆動回路を示すブロック図である。
図10】前記ソース駆動回路における選択回路およびガンマ回路の構成を示す回路図である。
図11】前記ソース駆動回路におけるソースアンプの概略構成を示す図である。
図12】前記ソース駆動回路における基準電源バスラインの出力の変動を示す図である。
図13】前記ソース駆動回路において基準電源バスラインの出力に持ちあがりが生じたときのソースアンプの各々の出力ノードにおけるソース出力を示す図である。
図14】前記ソース駆動回路の構成を示すブロック図である。
図15】従来のDA変換器におけるソースアンプの構成を示す回路図である。
図16】前記DA変換器に備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、前記ソースアンプから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔表示装置〕
本発明の各実施形態に共通する表示装置について図1に基づいて、以下に説明する。図1は、各実施形態に共通する表示装置10の構成を示す図である。
【0026】
〈表示装置10の構成〉
表示装置10は、ソース駆動回路1(駆動回路)と、ゲート駆動回路4と、表示パネル5とを備えている。ソース駆動回路1からの出力信号は、ソース線S1~Srを介して表示パネル5に供給される。ゲート駆動回路4からの出力信号は、ゲート線G1~Gmを介して表示パネル5に供給される。これにより、表示パネル5が表示を行う。
【0027】
表示パネル5は、例えば、液晶表示パネルやOLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)を備えた有機EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッセンス)パネルであってもよい。
【0028】
表示装置10は、後述する実施形態1~3において説明するように、出力電圧のセトリング時間(安定化時間)を短くしたソース駆動回路1を備えているので、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどを抑制できる。
【0029】
〈ソース駆動回路1の構成〉
図2に示すように、ソース駆動回路1は、DA変換器2と、ガンマ回路21と、デマルチプレクサー25とを備えている。このソース駆動回路は、複数のソース線S1,…,Srを時分割で駆動するマルチプレクス駆動を行う。
【0030】
ガンマ回路21は、256個の階調基準電圧V0~V255を出力する。ガンマ回路21は、基準電源バスラインBL1~BL256(配線)の各々を介して、階調基準電圧V0~V255をDA変換器2に供給する。
【0031】
なお、実施形態における以降の説明では、簡略化のため「階調基準電圧」を「基準電圧」と称する。
【0032】
DA変換器2は、選択回路22と、複数のソースアンプAM1~AMn(出力回路)とを有している。選択回路22は、入力された画像データD1~Dn(表示データ)の階調値の各々に基づいて、ガンマ回路21より供給される基準電圧V0~V255から1つを選択し、ソースアンプAM1~AMnの各々に出力する。
【0033】
ソースアンプAM1~AMnは、ボルテージフォロア回路によって構成されている。また、ソースアンプAM1~AMnは、複数の入力端子を有しており、これらの入力端子に入力される選択回路22からの基準電圧Vk(k:0~255)に基づいて、ソース線S1~Srのそれぞれに出力する階調に応じた出力電圧を出力する。
【0034】
以降の説明において、ソースアンプAM1~AMnを特定しない場合、ソースアンプAMと称する。
【0035】
なお、ソース駆動回路1は、デマルチプレクサー25を備えているが、デマルチプレクサー25を備えていなくてもよい。
【0036】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図3図4を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述した「表示装置」の説明における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0037】
図3は、DA変換器2aにおけるソースアンプAMの構成を示す回路図である。図4は、DA変換器2aに備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、前記ソースアンプAMから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
【0038】
図3に示すように、ソースアンプAMは、出力端子と、出力端子に接続される反転入力端子と、選択回路22からの基準電圧Vkが入力される非反転入力端子を有している。
【0039】
図3に示すように、ソースアンプAMは、差動対を形成する2つのトランジスタ(以後、「差動トランジスタ対」と言う。)をn個有している。第1トランジスタMp1~Mpnと、第2トランジスタMm1~Mmnと、が各々差動トランジスタ対を形成している。
【0040】
ソースアンプAMは、スイッチSwp1+~Swpn+(接続切替部)およびスイッチSwp1-~Swpn-(接続切替部)を有している。スイッチSwp1+~Swpn+の一端は非反転入力端子に接続され、スイッチSwp1-~Swpn-の一端は反転入力端子に接続されている。スイッチSwp1+~Swpn+およびスイッチSwp1-~Swpn-の他端は、第1トランジスタMp1~Mpnのゲート(制御端子)に接続されている。第2トランジスタMm1~Mmnのゲート(制御端子)は、反転入力端子に接続されている。
【0041】
以降の説明において、第1トランジスタMp1~Mpn、および第2トランジスタMm1~Mmnを特定しない場合、第1トランジスタMp、および第2トランジスタMmと称する。
【0042】
ソースアンプAMに供給する基準電圧Vkの出力は、選択回路22内のスイッチSwk(k:0~255)をオンまたはオフすることで制御される。また、第1トランジスタMpは、スイッチSwp1+~Swpn+、およびスイッチSwp1-~Swpn-(接続切替部)でオン・オフ制御される。例えば、スイッチSwp1+~Swpn+がオンし、かつ、スイッチSwp1-~Swpn-がオフする場合、第1トランジスタMpのゲートはソースアンプAMの非反転入力端子側に接続され、基準電圧Vkが入力される。一方、スイッチSwp1+~Swpn+がオフし、かつ、スイッチSwp1-~Swpn-がオンする場合、第1トランジスタMpのゲートはソースアンプAMの反転入力端子側に接続され、基準電圧Vkは第1トランジスタMpに入力されない。
【0043】
本実施形態のソースアンプAMにおいて、出力端子から出力される出力電圧が安定しているとき、第1トランジスタMpのゲートを非反転入力端子に接続する。一方、階調基準電圧Vkが切り替わるとき、電位が遷移して出力電圧が安定するまでの過渡期間T(図4参照)に、少なくとも一つの第1トランジスタMpのゲートに非反転入力端子を接続し、当該第1トランジスタMp以外の第1トランジスタMpを反転入力端子に接続する。そして第2トランジスタMmのゲートは、反転入力端子に接続されている。
【0044】
このように、基準電圧Vkが変化するときの過渡期間Tの間、基準電圧Vkを供給する第1トランジスタMpの数を減らすことにより、ソースアンプAMのゲート容量を減少させる。これにより、ソースアンプAMの入力部における電位収束性が向上する。よって、セトリング時間を短くすることができるため、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどを抑制できる。
【0045】
ここで、基準電圧VkがV255からV0に切り替わる場合について説明する。本実施形態では、スイッチSw255をオンからオフにし、スイッチSw0をオフからオンにすることで、V255からV0に切り替える。図4に示すように、V255からV0に切り替えるのと同時に、スイッチSwp2-~Swpn-をオンにし、スイッチSwp2+~Swpn+をオフにする。これにより、第1トランジスタMp2~MpnのゲートがソースアンプAMの反転入力端子側に接続される。一方、スイッチSwp1-をオフのまま、スイッチSwp1+をオンのままにする。これにより、第1トランジスタMp1のゲートのみがソースアンプAMの非反転入力端子側に接続される。
【0046】
そして、図4で示すように、V255からV0に電位が遷移する過渡期間Tの後、スイッチSwp2-~Swpn-をオフにし、スイッチSwp2+~Swpn+をオンにすることで、ゲート容量を増加させる。
【0047】
これにより、過渡期間Tの間、基準電圧V0は第1トランジスタMp1のみに入力されるので、基準電圧V0が第1トランジスタMp1~Mpnの全てに入力される場合と比較して、ソースアンプAMのゲート容量は大幅に減少する。つまり、基準電源バスラインBL0への負荷を削減することで電位遷移速度が上がり、基準電源バスラインBL0における電位収束性を向上させることができる。したがって、ソースアンプAMの出力端子における電位収束性も向上させることができ、セトリング時間も短縮される。
【0048】
なお、上述した過渡期間Tのスイッチ制御に関しては、出力電圧をモニタするなどして、より精度よくスイッチ切り替えのタイミングを制御しても良い。
【0049】
これに対し、比較例のDA変換器2dにおけるソースアンプAMの構成を図15に示す。図16は、比較例のソースアンプAMのスイッチ制御とソースアンプAMから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
【0050】
基準電圧VkがV255からV0に切り替わる場合、ソースアンプAMの第1トランジスタMp1~Mpnの全てに基準電圧V0が入力され、ゲート容量が全て接続される。そのため、基準電源バスラインBL0への負荷も大きく、セトリング時間が長くなってしまう(図16参照)。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図5および図6を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、「表示装置」および実施形態1の説明における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0052】
図5は、DA変換器2bにおけるソースアンプAMの構成を示す回路図である。図6は、DA変換器2bに備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、ソースアンプAMから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
【0053】
図5で示すように、本実施形態のソースアンプAMは、第1トランジスタMp1~Mpnと第2トランジスタMm1~Mmnとからなるn個の差動トランジスタ対、および第1トランジスタMpXと第2トランジスタMmXとからなる1つの差動トランジスタ対を有している。第1トランジスタMpXおよび第2トランジスタMmXは、第1トランジスタMp1~Mpnおよび第2トランジスタMm1~Mmnのゲート容量よりも、小さいゲート容量を持つ小サイズトランジスタを使用している。そのため、第1トランジスタMp1~Mpnおよび第2トランジスタMm1~Mmnは大サイズトランジスタとなる。
【0054】
また、図5で示すように、ソースアンプAMはスイッチSwpX+と、スイッチSwpX-と、を有している。スイッチSwpX+の一端は非反転入力端子に接続され、スイッチSwpX-の一端は反転入力端子に接続されている。スイッチSwpX+およびスイッチSwpX-の他端は、第1トランジスタMpXのゲートに接続されている。
【0055】
ここで、基準電圧VkがV255からV0に切り替わる場合について説明する。本実施形態では、スイッチSw255をオンからオフにし、スイッチSw0をオフからオンにすることで、V255からV0に切り替える。図6に示すようにV255からV0に切り替えるのと同時に、スイッチSwp1-~Swpn-をオンにし、スイッチSwp1+~Swpn+をオフにすることで、第1トランジスタMp1~MpnのゲートがソースアンプAMの反転入力端子側に接続される。一方、第1トランジスタMpXのスイッチSwpX-をオフのまま、スイッチSwpX+をオンのままにすることで、第1トランジスタMpXのみがソースアンプAMの非反転入力端子側に接続される。
【0056】
そして、図6で示すように、V255からV0への過渡期間Tの後、第1トランジスタMp1~MpnのスイッチSwp1-~Swpn-をオフにし、スイッチSwp1+~Swpn+をオンにすることで、ゲート容量を増加させる。
【0057】
これにより、過渡期間Tの間、基準電圧V0は第1トランジスタMpXのみに入力される。第1トランジスタMpXは小サイズトランジスタであり、他の第1トランジスタMp1~Mpnは大サイズトランジスタであるので、ソースアンプAMのゲート容量はより小さくなる。そのため、さらに基準電源バスラインBL0への負荷を削減することで電位遷移速度を向上させることができる。したがって、基準電源バスラインBL0における電位収束性を向上させ、ソースアンプAMの出力端子における電位収束性も向上させることができ、セトリング時間も短縮される。
【0058】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図7および図8を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、「表示装置」と実施形態1および2との説明における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0059】
図7は、DA変換器2cにおけるソースアンプAMの構成を示す回路図である。図8は、DA変換器2cに備えられたスイッチ素子のオン・オフタイミングと、ソースアンプAMから出力される電圧の時間的な関係を示す図である。
【0060】
図7で示すように、ソースアンプAMは差動トランジスタ対をn個有している。また、ソースアンプAMは、それぞれのトランジスタのゲートを非反転入力端子側または反転入力端子側に接続するスイッチを有した、オフセットキャンセル回路を搭載している。ここで、オフセットキャンセル回路とはソースアンプAMの非反転入力端子および反転入力端子に差動トランジスタ対の両方のトランジスタのゲートを、スイッチ制御によって繋ぎ変えることができる回路のことである。繋ぎ変える前後のソースアンプAMから出力される電圧を平均化することで、時系列にてオフセットをキャンセルすることができる。
【0061】
オフセットキャンセル回路において、第1トランジスタMpのゲートと非反転入力端子とを接続するとともに、第2トランジスタMmのゲートと反転入力端子とを接続する状態を第1接続状態とする。そして、第1トランジスタMpのゲートと反転入力端子とを接続するとともに、第2トランジスタMmのゲートと非反転入力端子とを接続する状態を第2接続状態とする。そして、第1トランジスタMpおよび第2トランジスタMmのゲートと反転入力端子とを接続する状態を第3接続状態とする。
【0062】
ここで、基準電圧VkがV255からV0に切り替わり、その後V0からV255に切り替わる場合について説明する。本実施形態では、スイッチSw255をオンからオフにし、スイッチSw0をオフからオンにすることで、V255からV0に切り替える。図8に示すようにV255からV0に切り替えるのと同時に、スイッチSwp1-~Swpn-をオンにし、スイッチSwp1+~Swpn+をオフにし、さらにスイッチSwm1-をオフにし、スイッチSwm1+をオンにする。一方、スイッチSwm2-~Swmn-をオンのまま、スイッチSwm1+~Swmn+をオフのままにする。つまり、V255からV0に切り替わる際、第1トランジスタMp1と第2トランジスタMm1とが形成する差動トランジスタ対は第1接続状態から第2接続状態に切り替わる。一方、V255からV0に切り替わる際、第1トランジスタMp2~Mpnと第2トランジスタMm2~Mmnとが形成する各々の差動トランジスタ対は第1接続状態から第3接続状態へ切り替わる。したがって、第2トランジスタMm1のみがソースアンプAMの非反転入力端子側に接続される。
【0063】
そして、図8で示すように、V255からV0への過渡期間T1の後、第2トランジスタMm2~MmnのスイッチSwm2-~Swmn-をオフにし、スイッチSwm2+~Swmn+をオンにする。つまり、V255からV0への過渡期間T1の後、第1トランジスタMp2~Mpnと第2トランジスタMm2~Mmnとが形成する各々の差動トランジスタ対は第3接続状態から第2接続状態へ切り替わる。よって、全ての差動トランジスタ対が第2接続状態となるため、ゲート容量が増加する。
【0064】
これにより、V255からV0への過渡期間T1の間、基準電圧V0は第2トランジスタMm1のみに入力される。そのため、基準電圧V0が第2トランジスタMm1~Mmnの全てに入力される場合と比較して、ソースアンプAMのゲート容量は大幅に減少する。したがって、基準電源バスラインBL0への負荷を削減することで電位遷移速度が上がり、基準電源バスラインBL0における電位収束性を向上させることができる。よって、ソースアンプAMの出力端子における電位収束性も向上させることができ、セトリング時間も短縮される。
【0065】
続いて、V0からV255に切り替える。スイッチSw0をオンからオフにし、スイッチSw255をオフからオンにすることで、V0からV255に切り替える。図8に示すようにV0からV255に切り替えるのと同時に、スイッチSwm1-~Swmn-をオンにし、スイッチSwm1+~Swmn+をオフにし、さらにスイッチSwp1-をオフにし、スイッチSwp1+をオンにする。一方、スイッチSwp2-~Swpn-をオンのまま、スイッチSwp1+~Swpn+をオフのままにする。つまり、V0からV255に切り替わる際、第1トランジスタMp1と第2トランジスタMm1とが形成する差動トランジスタ対は第2接続状態から第1接続状態に切り替わる。一方、V0からV255に切り替わる際、第1トランジスタMp2~Mpnと第2トランジスタMm2~Mmnとが形成する各々の差動トランジスタ対は第2接続状態から第3接続状態へ切り替わる。したがって、第1トランジスタMp1のみがソースアンプAMの非反転入力端子側に接続される。
【0066】
そして、図8で示すように、V0からV255への過渡期間T2の後、第1トランジスタMp2~MpnのスイッチSwp2-~Swpn-をオフにし、スイッチSwp2+~Swpn+をオンにする。つまり、V0からV255への過渡期間T2の後、第1トランジスタMp2~Mpnと第2トランジスタMm2~Mmnとが形成する各々の差動トランジスタ対は第3接続状態から第1接続状態へ切り替わる。よって、全ての差動トランジスタ対が第1接続状態となるため、ゲート容量が増加する。
【0067】
これにより、V0からV255への過渡期間T2の間、基準電圧V255は第1トランジスタMp1のみに入力されるので、基準電圧V255が第1トランジスタMp1~Mpnの全てに入力される場合と比較して、ソースアンプAMのゲート容量は大幅に減少する。したがって、基準電源バスラインBL255への負荷を削減することで電位遷移速度が上がり、基準電源バスラインBL255における電位収束性を向上させることができる。よって、ソースアンプAMの出力端子における電位収束性も向上させることができ、セトリング時間も短縮される。
【0068】
このように、繋ぎ変える前後のソースアンプAMから出力される電圧を平均化することで、時系列にてオフセットをキャンセルするオフセットキャンセル回路を持つソースアンプAMにおいても、セトリング時間を短縮することができる。
【0069】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る駆動回路(ソース駆動回路1)は、複数の異なる階調値に対応した表示データに基づいて、複数の異なる階調基準電圧から一つの前記階調基準電圧を選択する選択回路と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧に基づいて、前記階調値に応じた出力電圧を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、出力端子と、前記出力端子に接続される反転入力端子と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧が入力される非反転入力端子と、第1トランジスタおよび第2トランジスタを含む複数の差動トランジスタ対と、前記第1トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第1接続状態と、前記第1トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続するとともに、前記第2トランジスタの制御端子と前記非反転入力端子とを接続する第2接続状態と、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの制御端子と前記反転入力端子とを接続する第3接続状態と、を切り替える接続切替部と、を有しており、前記接続切替部は、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態と前記第2接続状態とを切り替える一方、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第1接続状態から前記第2接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第1接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記階調基準電圧が変化してから前記出力電圧が安定するまでの過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第2接続状態に切り替え、少なくとも1つの前記差動トランジスタ対が、前記第2接続状態から前記第1接続状態に切り替えられる場合には、該残りの前記差動トランジスタ対について、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧が変化するときに、前記第2接続状態から前記第3接続状態に切り替え、前記過渡期間が経過した後に、前記第3接続状態から前記第1接続状態に切り替える。
【0070】
前記構成によれば、階調基準電圧Vkが切り替わるときの過渡期間Tが経過した後に、第1トランジスタMpおよび第2トランジスタMmについて、第1接続状態と第2接続状態とが切り替わるので出力電圧を平均化して時系列でオフセットをキャンセルするオフセットキャンセルの効果が得られる。また、階調基準電圧Vkが切り替わるときの過渡期間Tにおいて、出力回路(ソースアンプAM)の入力容量を小さくすることができるため、出力回路(ソースアンプAM)の入力部における電位収束性を向上させることができる。
【0071】
本発明の態様2に係る駆動回路(ソース駆動回路1)は、複数の異なる階調値に対応した表示データ(画像データD1~Dn)に基づいて、複数の異なる階調基準電圧Vkから一つの前記階調基準電圧Vkを選択する選択回路22と、前記選択回路22によって選択された前記階調基準電圧Vkに基づいて、前記階調値に応じた出力電圧を出力する出力回路(ソースアンプAM)と、を備え、前記出力回路(ソースアンプAM)は、出力端子と、前記出力端子に接続される反転入力端子と、前記選択回路によって選択された前記階調基準電圧Vkが入力される非反転入力端子と、第1トランジスタMpおよび第2トランジスタMmを含む複数の差動トランジスタ対と、前記出力端子から出力される出力電圧が安定しているとき、前記第1トランジスタMpの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧Vkが変化するとき、前記出力電圧が安定するまでの過渡期間Tに、少なくとも一つの前記第1トランジスタMpの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、当該第1トランジスタMp以外の前記第1トランジスタMpの制御端子を前記反転入力端子に接続する接続切替部(スイッチ)と、を有しており、前記第2トランジスタMmの制御端子は、前記反転入力端子に接続されている。
【0072】
前記構成によれば、階調基準電圧Vkが切り替わるときの過渡期間Tに、少なくとも一部の第1トランジスタMpの制御端子が反転入力端子に接続されるので、出力回路(ソースアンプAM)の入力容量を小さくすることができる。これにより、出力回路(ソースアンプAM)の入力部における電位収束性を向上させることができる。
【0073】
本発明の態様3に係る駆動回路(ソース駆動回路1)は、前記態様2の構成に加え、前記接続切替部(スイッチ)は、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧Vkが変化するとき、過渡期間Tに、1つの前記第1トランジスタMpの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、当該第1トランジスタMpを除く他の前記第1トランジスタMpの制御端子を前記反転入力端子に接続する。
【0074】
前記構成によれば、過渡期間Tに反転入力端子に制御端子が接続される第1トランジスタMpの数が最大になるので、出力回路(ソースアンプAM)の入力容量をより小さくすることができる。これにより、出力回路(ソースアンプAM)の入力部における電位収束性を向上させることができる。
【0075】
本発明の態様4に係る駆動回路(ソース駆動回路1)は、前記態様2の構成に加え、複数の前記第1トランジスタMpは、小さいサイズに形成された少なくとも1つの小サイズトランジスタと、前記小サイズトランジスタよりもサイズの大きい大サイズトランジスタとで構成されており、前記接続切替部(スイッチ)は、前記非反転入力端子に入力される前記階調基準電圧Vkが変化するとき、過渡期間Tに、前記小サイズトランジスタの制御端子を前記非反転入力端子に接続する一方、前記大サイズトランジスタの制御端子を前記反転入力端子に接続する。
【0076】
前記構成によれば、過渡期間Tにおいて、非反転入力端子に制御端子が接続されるのは小サイズトランジスタのみとなるので、出力回路(ソースアンプAM)の入力容量をより小さくすることができる。これにより、出力回路(ソースアンプAM)の入力部における電位収束性をより一層向上させることができる。
【0077】
本発明の態様5に係る表示装置10は、前記態様1から4のいずれかの駆動回路(ソース駆動回路1)と、前記駆動回路(ソース駆動回路1)によって駆動される表示パネル5と、を備えている。
【0078】
前記構成において、セトリング時間を短くした駆動回路(ソース駆動回路1)を使用することで、表示の階調不足、表示ノイズまたは、表示ムラなどを抑制した表示装置10を実現することができる。
【0079】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ソース駆動回路(駆動回路)
2,2a,2b,2c,2d DA変換器
5 表示パネル
10 表示装置
22 選択回路
T,T1,T2 過渡期間
AM,AM1~AMn ソースアンプ(出力回路)
BL1~BL255 基準電源バスライン(配線)
D1~Dn 画像データ(表示データ)
Vk,V0~V255 階調基準電圧
Mp,Mp1~Mpn,MpX 第1トランジスタ
Mm,Mm1~Mmn,MmX 第2トランジスタ
Sw1~Sw255 スイッチ(接続切替部)
Swp1+~Swpn+,SwpX+ スイッチ(接続切替部)
Swp1-~Swpn-,SwpX- スイッチ(接続切替部)
Swm1+~Swmn+ スイッチ(接続切替部)
Swm1-~Swmn- スイッチ(接続切替部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16