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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】スウェージングされた締結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/05 20060101AFI20250303BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20250303BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20250303BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20250303BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20250303BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20250303BHJP
   F16B 35/04 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
F16B19/05
B05D7/14 P
B05D7/24 303A
B05D7/24 303B
B05D7/24 303E
B05D3/02 Z
B05D3/00 D
B05D7/24 301M
B05D3/12 E
B05D3/12 D
F16B35/04 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021560458
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020060298
(87)【国際公開番号】W WO2020208215
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】1905043.4
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521442121
【氏名又は名称】スター ファスナーズ (ユーケー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スターバック,ダニエル,イアン
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-117714(JP,A)
【文献】特開2000-230530(JP,A)
【文献】特開2001-208032(JP,A)
【文献】特開平08-004737(JP,A)
【文献】特表平04-507278(JP,A)
【文献】特表2010-509547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297343(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0003393(US,A1)
【文献】米国特許第06425718(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/05
B05D 7/14
B05D 7/24
F16B 35/04
F16B 31/02
B05D 3/00
B05D 3/12
B05D 7/14
B05D 7/24
G08B 19/00
G08B 21/00
G01L 1/00
G01L 5/24
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スウェージングされた締結具であって、前記スウェージングされた締結具が、ピン上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラーを含み、
スウェージングされていない状態の前記コーティングされたカラーが、基板色を有する基板材料と、インジケータ色を有するインジケータ材料と、を含み、
前記インジケータ材料が、前記基板材料上に位置し、前記インジケータ色が、前記基板色とは視覚的に異なり、
前記コーティングされたカラーが、スウェージング面を含み、
前記コーティングされたカラーは、使用時に、スウェージング力が前記スウェージング面に印加され、前記カラーを前記スウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させるスウェージングプロセスを受け、
前記インジケータ材料は、前記スウェージング面の少なくとも一部を構成し、前記スウェージングプロセスが正しく実行されたときの正しくスウェージングされた状態で、前記スウェージング面を構成する前記インジケータ材料が実質的に除去されて前記基板色を露出させ、それによって、前記スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設され、
前記コーティングされたカラーが、本体およびフランジを含み、前記フランジが、前記本体の一端に位置し、
前記コーティングされたカラーが、長手方向軸を有し、前記スウェージング面が、前記長手方向軸に対して横方向に(側方に)外方に方向付けられ、
前記本体が、前記スウェージング面を含むカラー本体側面を含み、前記インジケータ材料が、前記カラー本体側面の少なくとも一部を含む、締結具。
【請求項2】
前記インジケータ材料が、着色染料または顔料を含む、請求項に記載の締結具。
【請求項3】
前記インジケータ材料の色が、赤色であり、前記染料または顔料が、赤色である、請求項2に記載の締結具。
【請求項4】
前記染料が、エオシンを含み、かつ/または前記顔料が、酸化鉄を含む、請求項2または3に記載の締結具。
【請求項5】
前記基板材料が、前記基板色であり得る自己色を有し、前記基板材料が、金属であり、前記自己色が、灰色であり得る、請求項1から4のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項6】
前記インジケータ材料が、前記スウェージング面の一部分上に位置し、前記部分が、前記スウェージング面の周りに連続的に延在するバンド、または前記スウェージング面の周りに連続的に延在しないパッチもしくはスポットであり得る、請求項1から5のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項7】
前記インジケータ材料が、前記スウェージング面の実質的に全体上に位置し、前記コーティングされたカラーのすべての表面上に位置し得る、請求項1~5のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項8】
前記インジケータ材料が、コーティング液が形成されるプロセスによって形成され、前記コーティング液が、前記着色染料または顔料を含み得るインクを含む、請求項2、3、又は4に記載の締結具。
【請求項9】
前記インクが、アルコールを含み得、かつプロパン-1-オールを含み得る、担体液を含み、前記担体液が、非極性であり得る樹脂を含み得る、請求項8に記載の締結具。
【請求項10】
前記インクが、マーカーペンインクであり、永久マーカーペンインクであり得る、請求項8または9に記載の締結具。
【請求項11】
前記コーティング液が、アルコールを含み得、プロパン-1-オールを含み得、実質的にプロパン-1-オールのみを含み得る、希釈剤を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項12】
前記コーティング液が、2:1以上、および場合によっては2.5:1以上、及び、4:1以下、および場合によっては3.5:1以下のインク:希釈剤の体積比で、前記インクおよび前記希釈剤を含む、請求項11に記載の締結具。
【請求項13】
前記スウェージングされた締結具が、前記ピンを備え、使用時に、前記コーティングされたカラーが、前記スウェージングプロセスによって、前記ピンに固定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項14】
前記インジケータ材料が、前記コーティングされていないカラーに前記コーティング液を塗布して、湿式コーティングされたカラーを形成することによって、前記基板材料上に位置し、
前記湿式コーティングされたカラーが、加熱時間の間加熱され、前記加熱時間が、少なくとも60分、および場合によっては少なくとも70分であり、90分以下、および場合によっては80分以下でありえ、
前記加熱温度が、少なくとも60℃、および場合によっては少なくとも70℃であり、90℃以下、および場合によっては80℃以下であり得る、請求項8から12のいずれか一項に記載の締結具を製造する方法。
【請求項15】
締結する方法であって、スウェージングされた締結具を提供することを含み、前記スウェージングされた締結具が、ピン上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラーを含み、
スウェージングされていない状態の前記コーティングされたカラーが、基板色を有する基板材料と、インジケータ色を有するインジケータ材料と、を含み、
前記インジケータ材料が、前記基板材料上に位置し、前記インジケータ色が、前記基板色とは視覚的に異なり、
前記コーティングされたカラーが、スウェージング面を含み、
前記コーティングされたカラーは、使用時に、スウェージング力が前記スウェージング面に印加され、前記カラーを前記スウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させるスウェージングプロセスを受け、
前記インジケータ材料は、前記スウェージング面の少なくとも一部を構成し、前記スウェージングプロセスが正しく実行されたときの正しくスウェージングされた状態で、前記スウェージング面を構成する前記インジケータ材料が実質的に除去されて前記基板色を露出させ、それによって、前記スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設され、
前記コーティングされたカラーが、本体およびフランジを含み、前記フランジが、前記本体の一端に位置し、
前記コーティングされたカラーが、長手方向軸を有し、前記スウェージング面が、前記長手方向軸に対して横方向に(側方に)外方に方向付けられ、
前記本体が、前記スウェージング面を含むカラー本体側面を含み、前記インジケータ材料が、前記カラー本体側面の少なくとも一部を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スウェージングされた締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
スウェージングされた締結具は従来、スウェージングによって一緒に締結されるピンおよびカラーを備え、スウェージング締結工具は、スウェージング力を印加して、カラーをピン上の溝形成体に圧縮するために使用される。この締結する方法は、速く、比較的清潔であり、リスクが低く、比較的低い熟練の作業者が手動工具を用いて行うことができ、ナットおよびボルトのような従来のねじ式方法、ならびに溶接のようなより熟練した、本質的にリスクが高く、困難な方法から置き換えられつつある。
【0003】
一般的なタイプのスウェージングされた締結具では、ピンはロックボルトと称される。
【0004】
いくつかの組み立てられたアセンブリでは、複数の(時には数十または数百を含む)ピンが最初にその場に配置され、カラーのうちのすべてがスウェージングなしでピン上に位置する。スウェージング工具を使用した作業者は、その後、カラーをピンにスウェージングする。しかしながら、そのようなアセンブリにおいて、安全でない、または弱化された組み立てられたアセンブリの結果としてのリスクがある、スウェージングされていないカラーとスウェージングされたカラーとを区別することは困難である場合がある。
【0005】
いくつかのピンは、正しいスウェージング動作によって除去または変形されるように設計された犠牲的な表示器形成体を備える。しかしながら、これらは比較的小さく、見えにくく、確認するべきスウェージングされた締結具が数百個ある場合がある比較的大規模な組立物の場合は満足できるものではない。さらなる要因は、締結具が比較的アクセス不可能な場所にある可能性があり、近接チェックを困難にすることである。
【0006】
発明の説明
本発明の第1の態様によれば、スウェージング(スウェージング加工)された締結具であって、スウェージングされた締結具が、ピン上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラーを含み、
スウェージングされていない状態のコーティングされたカラーが、基板色を有する基板材料と、インジケータ色を有するインジケータ材料と、を含み、
インジケータ材料が、基板材料上に位置し、インジケータ色が、基板色とは視覚的に異なり、
コーティングされたカラーは、使用時に、スウェージング力が印加され、カラーをスウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させる、スウェージング面を含み、
インジケータ材料は、スウェージング面の少なくとも一部を構成し、スウェージングプロセスが正しく実行されたときの正しくスウェージングされた状態で、スウェージング面を構成するインジケータ材料が実質的に除去されて基板色を露出させ、それによって、スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設される、締結具が提供される。
【0007】
場合によっては、コーティングされたカラーは、本体およびフランジを含み、フランジは、本体の一端に位置する。場合によっては、カラーは、平らな(ねじなしの)ボアを画定し、このボアは、使用時に、そこを通ってピンを受容する。
【0008】
場合によっては、本体は、スウェージング面を含み得るカラー本体側面を含む。
【0009】
場合によっては、インジケータ材料は、カラー本体側面の少なくとも一部を含む。
【0010】
場合によっては、コーティングされたカラーは、長手方向軸を有する。
【0011】
場合によっては、スウェージング面は、長手方向軸に対して横方向に(側方に)外方に方向付けられる。
【0012】
場合によっては、カラー本体側面は、長手方向軸に対して横方向に(側方に)外方に方向付けられる。
【0013】
場合によっては、インジケータ材料は、着色染料または顔料を含む。
【0014】
場合によっては、インジケータ材料の色は、赤色であり、染料または顔料は、赤色である。
【0015】
染料は、エオシンを含み得る。顔料は、酸化鉄を含み得る。
【0016】
場合によっては、基板材料は、基板色であり得る自己色を有する。場合によっては、基板材料は、金属であり、自己色は、灰色であり得る。
【0017】
場合によっては、インジケータ材料は、スウェージング面の一部分上に位置する。この部分は、スウェージング面の周りに連続的に延在するバンドであり得る。この部分は、スウェージング面の周りに連続的に延在しないパッチまたはスポットであり得る。場合によっては、インジケータ材料は、スウェージング面の実質的に全体上に位置する。場合によっては、インジケータ材料は、コーティングされたカラーのすべての表面に位置する。
【0018】
場合によっては、インジケータ材料は、コーティング液が形成されるプロセスによって形成される。コーティング液は、着色染料または顔料を含み得るインクを含み得る。インクは、アルコールを含み得、かつプロパン-1-オールを含み得る、担体液を含み得る。担体液は、非極性であり得る、樹脂を含み得る。インクは、マーカーペンインクであり得、永久マーカーペンインクであり得る。
【0019】
コーティング液は、アルコールを含み得、かつプロパン-1-オールを含み得る、希釈剤を含み得る。場合によっては、希釈剤は、実質的にプロパン-1-オールのみを含む。
【0020】
コーティング液は、2:1以上、場合によっては2.5:1以上、場合によっては4:1以下、および場合によっては3.5:1以下のインク:希釈剤の体積比で、インクおよび希釈剤を含み得る。
【0021】
場合によっては、インジケータ材料は、コーティングされていないカラーにコーティング液を塗布して、湿式コーティングされたカラーを形成することによって、基板材料上に位置する。
【0022】
場合によっては、湿式コーティングされたカラーは、加熱され、オーブンで加熱され得る。場合によっては、湿式コーティングされたカラーは、加熱時間の間加熱される。場合によっては、加熱時間は、少なくとも60分であり、場合によっては少なくとも70分であり、90分以下、および場合によっては80分以下であり得る。
【0023】
場合によっては、湿式コーティングされたカラーは、加熱温度で加熱される。場合によっては、加熱温度は、少なくとも60℃、場合によっては少なくとも70℃であり、90℃以下、および場合によっては80℃以下であり得る。
【0024】
場合によっては、スウェージングされた締結具は、ピンを備える。場合によっては、使用時に、コーティングされたカラーは、スウェージングプロセスによってピンに固定される。
【0025】
ピンは、ロックボルトである。場合によっては、スウェージングされた締結具は、ロックボルト締結具である。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、スウェージングされた締結具を形成する方法であって、スウェージングされた締結具が、ピン上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラーを含み、
スウェージングされていない状態のコーティングされたカラーが、基板色を有する基板材料と、インジケータ色を有するインジケータ材料と、を含み、
インジケータ材料が、基板材料上に位置し、インジケータ色が、基板色とは視覚的に異なり、
コーティングされたカラーは、使用時に、スウェージング力が印加され、カラーをスウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させる、スウェージング面を含み、
インジケータ材料は、スウェージング面の少なくとも一部を構成し、スウェージングプロセスが正しく実行されたときの正しくスウェージングされた状態で、スウェージング面を構成するインジケータ材料が実質的に除去されて基板色を露出させ、それによって、スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設される、方法が提供される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、締結する方法であって、スウェージングされた締結具を提供することを含み、スウェージングされた締結具が、ピン上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラーを含み、
スウェージングされていない状態のコーティングされたカラーが、基板色を有する基板材料と、インジケータ色を有するインジケータ材料と、を含み、
インジケータ材料が、基板材料上に位置し、インジケータ色が、基板色とは視覚的に異なり、
コーティングされたカラーは、使用時に、スウェージング力が印加され、カラーをスウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させるスウェージング面を含み、
インジケータ材料は、スウェージング面の少なくとも一部を構成し、スウェージングプロセスが正しく実行されたときのスウェージングされた状態で、スウェージング面を構成するインジケータ材料が実質的に除去されて基板色を露出させ、それによって、スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設される、方法が提供される。
【0028】
場合によっては、スウェージングされた締結具は、前述の記述または以下の説明のいずれかに記載されている特徴のうちのいずれかを含む。場合によっては、この方法は、前述の記述または以下の説明のいずれかに記載されているステップのうちのいずれかを含む。
【0029】
本発明の実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】それぞれ、スウェージングされた締結具ピンの概略側面図、コーティングされたカラーの概略断面図、およびコーティングされたカラーの概略側面図である。
図1B】それぞれ、スウェージングされた締結具ピンの概略側面図、コーティングされたカラーの概略断面図、およびコーティングされたカラーの概略側面図である。
図1C】それぞれ、スウェージングされた締結具ピンの概略側面図、コーティングされたカラーの概略断面図、およびコーティングされたカラーの概略側面図である。
図2A】それぞれ、スウェージングされていない状態および正しくスウェージングされた状態で使用されているスウェージングされた締結具の概略部分断面側面図である。
図2B】それぞれ、スウェージングされていない状態および正しくスウェージングされた状態で使用されているスウェージングされた締結具の概略部分断面側面図である。
図3A】それぞれ、スウェージングされていない状態および正しくスウェージングされた状態で使用されている別のスウェージングされた締結具の概略部分断面側面図である。
図3B】それぞれ、スウェージングされていない状態および正しくスウェージングされた状態で使用されている別のスウェージングされた締結具の概略部分断面側面図である。
図4】部分的に(誤って)スウェージングされた状態にある図3Aのスウェージングされた締結具の概略部分断面側面図である。
図5】コーティングされたカラーを形成する方法におけるステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
同じまたは類似の特徴の複数のインスタンスが存在する図面では、特徴の代表的な1つまたはいくつかのインスタンスのみが、明確にするために数値参照を提供されている。
【0032】
図1および図2は、スウェージングされた締結具10を示し、スウェージングされた締結具10は、ピン14上の使用時における位置決めのためのコーティングされたカラー12を含む。スウェージングされていない状態では、コーティングされたカラー12は、基板色を有する基板材料16と、インジケータ色を有するインジケータ材料20と、を含む。インジケータ材料20は、基板材料16上に位置する。インジケータ色は、基板の色とは視覚的に異なる。
【0033】
コーティングされたカラー12は、使用時に、スウェージング力が印加され、カラー12をスウェージングされていない状態からスウェージングされた状態に移動させる、スウェージング面18を含む。
【0034】
インジケータ材料20は、スウェージング面18の少なくとも一部を構成し、正しくスウェージングされた状態で、スウェージング面18を構成するインジケータ材料20が実質的に除去されて基板色を露出させ、それによって、スウェージングプロセスが正しく実行されたことの視覚的指標を提供するように配設される。
【0035】
スウェージングされた締結具10は、ピン14を備える。
【0036】
示されている例では、ピン14は、ロックボルトであり、スウェージングされた締結具10は、ロックボルト締結具である。
【0037】
ピン14は、頭部40、本体42、および尾部46を備える。本体42は、ねじ式、環状、またはそれらの組み合わせであり得る本体溝形成体44を含む。尾部46は、ねじ式または環状であり得る尾部溝形成体48を含む。
【0038】
コーティングされたカラー12は、本体30およびフランジ32を含む。フランジ32は、本体30の一端に位置し、本体30に対して拡大された直径を有する。コーティングされたカラー12は、平らな(ねじなしの)ボア34を画定し、このボア34は、使用時に、そこを通ってピン本体42を受容する。
【0039】
本体30は、スウェージング面18を含むカラー本体側面36を含む。
【0040】
インジケータ材料20は、カラー本体側面36の少なくとも一部を含む。
【0041】
コーティングされたカラー12は、長手方向軸22を有する。
【0042】
スウェージング面18(およびカラー本体側面36)は、長手方向軸22に対して横方向に(側方に)外方に方向付けられる。
【0043】
インジケータ材料20は、着色染料または顔料62を含む。
【0044】
一実施例では、インジケータ材料20の色は赤色であり、染料または顔料62は赤色である。
【0045】
基板材料16は、基板色である自己色を有する。一実施例では、基板材料16は金属であり、自己色は灰色である。一実施例では、基板材料16は、灰色の亜鉛めっき炭素鋼であり得る。
【0046】
インジケータ材料20は、スウェージング面18の一部分28上に位置し得る。一実施例では、図1Cおよび2Aに示されるように、部分28は、スウェージング面18の周りに連続的に延在するバンド24である。他の実施例(図示せず)では、部分28は、スウェージング面18の周りに連続的に延在しないパッチまたはスポットであり得る。
【0047】
使用時
図2Aおよび図2Bは、2つのアイテム56を一緒に締結するために使用されている、使用時のスウェージングされた締結具10を示す。一実施例では、アイテム56は金属で形成される。ピン14は、アイテム56によって画定される穴58を通って位置し、コーティングされたカラー12は、ピン本体42がボア34を通過するように、ピン本体42上に位置する。
【0048】
スウェージング工具38は、尾溝形成体48を把持し、長手方向固定軸22に沿って移動し、その結果、形成面68が、スウェージング面18に沿って、それにわたって移動し、コーティングされたカラー12を本体溝形成体44に圧縮するスウェージング力をそこに印加して、コーティングされたカラー12を図2Bに示されるようなスウェージングされた状態に移動させる。スウェージング力は、スウェージング面18の直径を減少させる。
【0049】
正しく実行されるとき、形成面68は、カラー本体側面36およびスウェージング面18の実質的に全体にわたって、カラーフランジ32に移動する。
【0050】
スウェージング面18上の形成面68の移動および圧力は、スウェージング面18からインジケータ材料20を除去し、スウェージング面18およびカラー本体側面36上で見られる灰色の自己色基板材料16を露出させる。
【0051】
有利には、カラー本体側面36の色の赤色から灰色への変化は、スウェージングプロセスが正しく実行されているスウェージングされた締結具10の容易な確認および識別を可能にし、スウェージングプロセスが実行されていないそれらのスウェージングされた締結具10を容易に識別することを可能にする。
【0052】
有利には、スウェージング面18の色の変化は距離から明らかであり、スウェージングされた締結具10が比較的近づくことができない場合でも観察することができるため、チェックは綿密な検査を必要としない。
【0053】
図3A図3B、および図4は、本発明の別の実施形態を示し、その多くの特徴は、図1A図1B図1C図2A、および図2Bの実施形態に関して既に説明されているものと同様である。したがって、簡潔に説明するために、以下の実施形態については、既に説明した実施形態とは異なる限り説明する。特徴が同じまたは同様である場合、同じ参照番号が使用され、特徴は再び説明されない。
【0054】
図3および図4の実施形態では、インジケータ材料20は、スウェージング面18の実質的に全体にわたって位置する。有利には、インジケータ材料20の面積が大きいということは、スウェージングされていない状態のコーティングされたカラー12と正しくスウェージングされた状態のコーティングされたカラー12との間の視覚的外観の差が大きいことを意味する。
【0055】
さらなる利点が、スウェージング工具38の形成面68は、スウェージングプロセスが不完全であるように、カラー本体側面36に沿って部分的に移動しただけである図4に示される。スウェージングされていないカラー本体側面36の一部は、依然として色付きの赤として視覚的に明らかであり、スウェージングプロセスが正しく実行されていないことの指標を提供する。
【0056】
図3および図4の実施形態では、インジケータ材料20は、カラー12の表面のうちのすべて(内部および外部の両方)上に位置し得る。図5は、カラー12の表面のうちのすべての上にインジケータ材料20が位置するためのプロセス50を示す。
【0057】
図5を参照すると、プロセス50は、インク形成装置54に着色染料または顔料62および担体液64が添加され、インク60を形成する、インク形成ステップ55を含む。
【0058】
一実施例では、担体液64は、アルコールを含み得、より具体的には、プロパン-1-オールを含み得る。
【0059】
染料は、エオシンを含み得る。顔料は酸化鉄を含み得る。
【0060】
担体液64は、非極性であり得る樹脂を含み得る。
【0061】
インク60は、マーカーペンインクであり得、永久マーカーペンインクであり得る。
【0062】
インク形成ステップ55に続いて、プロセス50は、インク60および希釈剤66がミキサ70に添加され、コーティング液52を形成する希釈ステップ71を含む。
【0063】
一実施例では、希釈剤66は、アルコールを含み得、より具体的には、プロパン-1-オールを含み得る。任意選択的には、希釈剤66は、実質的にプロパン-1-オールのみを含み得る。
【0064】
一実施例では、コーティング液52は、2:1以上、および望ましくは2.5:1以上のインク:希釈剤の体積比で、インク60および希釈剤66を含み得る。他の実施例において、インク:希釈剤比は、4:1以下、望ましくは3.5:1以下であり得る。
【0065】
一実施例では、インク:希釈剤比は、任意選択的には3:1であり得る。
【0066】
希釈ステップ71に続いて、プロセス50は、コーティング液52がコーティングされていないカラー26に塗布されて、湿式コーティングされたカラー80を形成するコーティングステップ73を含む。
【0067】
コーティング液52は、コータ72内のコーティングされていないカラー26に塗布され得る。
【0068】
コータ72は回転ドラムを備え得、コーティングされていないカラー26がその表面のうちのすべてにコーティングされるように、コーティングされていないカラー26をドラム内のコーティング液52にタンブリングすることによってコーティング液52が塗布され得る。
【0069】
他の実施例では、コーティング液52は、塗装、散布、浸漬、ブラッシング、または任意の他の好適な方法によって塗布され得る。
【0070】
コーティングステップ73に続いて、プロセス50は、湿式コーティングされたカラー80が例えばドレナ74内の余分なコーティング液から排出される排出ステップ75を含む。
【0071】
排水ステップ75に続いて、プロセス50は、湿式コーティングされたカラー80がオーブン76内で加熱されて、コーティングされたカラー12を形成する硬化/乾燥ステップ77を含む。
【0072】
一実施例では、湿式コーティングされたカラー80は、加熱時間の間加熱され得る。加熱時間は、少なくとも60分であり得、望ましくは、少なくとも70分であり得る。一実施例では、加熱時間は90分以下であり得、望ましくは80分以下であり得る。
【0073】
一実施例では、湿式コーティングされたカラー80は、加熱温度で加熱され得る。加熱温度は、少なくとも65℃であり得、望ましくは少なくとも75℃であり得る。一実施例では、加熱温度は、95℃以下、望ましくは85℃以下であり得る。
【0074】
特定の実施例では、湿式コーティングされたカラー80は、80℃で75分間加熱される。
【0075】
硬化/乾燥ステップ77に続いて、プロセス50は、熱コーティングされたカラー12が、例えば、冷却器78内で冷却される冷却ステップ79を含む。有利には、硬化/乾燥ステップ77の比較的低い温度は、カラー12が梱包または使用の前に十分に冷却されるのに比較的短い時間しか必要としないことを意味する。
【0076】
出願人は、これらの条件で処理されると、冷却されたコーティングされたカラー12上のインジケータ材料20がわずかに粘着性または粘性を保つが、カラー12が他のカラー12または他のアイテムに付着するようにはならないことを見出した。
【0077】
使用時に、本出願人は、比較的希釈されたコーティング液52を使用するプロセス50が、必要な視覚的指標を生成するのに十分な色の深さ/強度を有するが、スウェージング工具38の有害な染色または色汚染を伴わないインジケータ材料20を生成することを見出した。
【0078】
他の修正例
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の修正を行うことができる。ピン、カラー、およびインジケータ材料は、任意の好適なサイズおよび形状であり得、(本明細書の特定の定義の範囲内で任意の好適な材料から形成され得る)。
【0079】
ピン14は、任意の好適なタイプのものであり得る。一実施例では、ピン14はロックボルトであり、「ボブテール」または「ピンテール」ピンを備え得る。いくつかの実施例では、ピン14は、設置中に破損する尾部、例えば、「ピンテール」ピンを備え得る。他の実施例では、ピン14は、設置後も所定の位置に残る尾部、例えば、「ボブテール」ピンを備え得る。
【0080】
他の実施例では、スウェージングされた締結具は、スウェージングによって締結される任意の締結具を備え得る。例えば、特定のブラインド締結具は、スウェージングによって締結される。
【0081】
いくつかの実施例では、カラー12は、異なる形状であり得、フランジレス、例えば、いわゆる「標準」カラーであり得る。
【0082】
基板材料16は、コーティング液52が塗布される表面仕上げ(図示せず)を含み得る。表面仕上げは、防食材料および/または潤滑材料を含み得る。防食材料は、亜鉛めっきを含み得る。潤滑材料は、ワックスを含み得る。スウェージング動作では、表面仕上げは、部分的または完全に除去され得る。
【0083】
基板材料は、灰色とは異なる色であり得る。インジケータ材料は、赤色とは異なる色であり得る。
【0084】
図示または記載される実施形態のいずれかの特徴またはステップのいずれも、本文書の全体的な開示の範囲内で、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0085】
したがって、従来の配設に勝るいくつかの利点を有するスウェージングされた締結具が提供される。特に、本発明のスウェージングされた締結具は、正しいスウェージングによって除去され、したがって、正しくスウェージングされた締結具および誤ってスウェージングされた締結具の容易な確認および識別を可能にするインジケータ材料でマークされたカラーを含む。チェックは、綿密な検査または接触を必要とせず、比較的熟練していない作業者によって行われ得る。
図1A-1C】
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5