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特許7642238連結具、盛土構造及び盛土構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】連結具、盛土構造及び盛土構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
E02D17/18 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022026067
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023122393
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2024-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518264055
【氏名又は名称】株式会社エンバイン
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】山下 喜央
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302953(JP,A)
【文献】特開2005-232906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00-17/20
E02D 29/02
E01D 1/00-24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3方向に隣接する盛土用の発泡樹脂ブロック同士を連結する連結具であって、
前記第3方向に交わる第1方向に離間した一対の挿入板部と、
一対の前記挿入板部を連結する連結板部と、を備え、
前記挿入板部は、
前記連結板部に沿って延びる繋ぎ板部と、
前記繋ぎ板部から前記第3方向と前記第1方向とに交わる第2方向に向けて延びる受圧板部と、
前記繋ぎ板部及び前記受圧板部の少なくとも何れかを挟んで、前記第3方向において互いに反対方向に向けて延びる第1爪部と第2爪部と、を有し、
前記連結板部は、
前記第2方向の一対の主面と、
前記第3方向の前記第1爪部側の第1端面と、
前記第3方向の前記第2爪部側の第2端面と、を有し、
前記第2爪部は、前記第3方向において前記第2端面よりも突出して形成されること
を特徴とする連結具。
【請求項2】
前記第2端面は、前記第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成されること
を特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記第2爪部は、前記第3方向に直交する面に平行な返し面が形成されること
を特徴とする請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記第2端面は、前記第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成され、
前記返し面は、前記第2平坦面と面一であること
を特徴とする請求項3記載の連結具。
【請求項5】
前記連結板部は、前記第1爪部と同一方向に向けて延びる第3爪部が形成されること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の連結具。
【請求項6】
前記連結板部は、前記第2爪部と同一方向に向けて延びる第4爪部が形成されること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の連結具。
【請求項7】
前記第1爪部の第1先端部は、前記繋ぎ板部と前記受圧板部との折り曲げ部分に形成されること
を特徴とする請求項1~6の何れか1項記載の連結具。
【請求項8】
前記連結板部は、前記第2方向に向けて曲げられて形成される曲がり部が形成されること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の連結具。
【請求項9】
前記第2爪部は、貫通孔が形成されること
を特徴とする請求項1~8の何れか1項記載の連結具。
【請求項10】
前記第1爪部は、
前記第1爪部の第1先端部から前記第3方向に対して傾斜する第1傾斜面と、
前記第1傾斜面に繋がるとともに前記第3方向に沿って延びる第1側面と、を有し、
前記第1側面は、凹凸状の第1エッジ部が形成されること
を特徴とする請求項1~9の何れか1項記載の連結具。
【請求項11】
第3方向に隣接する第1発泡樹脂ブロックと第2発泡樹脂ブロックとを、請求項1~10の何れか1項記載の連結具を用いて連結する盛土構造であって、
前記第1爪部と前記繋ぎ板部と前記受圧板部と前記連結板部は、前記第1発泡樹脂ブロックに挿入され、
前記第2爪部は、前記第2発泡樹脂ブロックに挿入されること
を特徴とする盛土構造。
【請求項12】
第3方向に隣接する第1発泡樹脂ブロックと第2発泡樹脂ブロックとを、請求項1~10の何れか1項記載の連結具を用いて連結する盛土構造の施工方法であって、
第1発泡樹脂ブロックに前記第1爪部と前記繋ぎ板部と前記受圧板部と前記連結板部とを挿入する第1爪部挿入工程と、
第2発泡樹脂ブロックに前記第2爪部を挿入する第2爪部挿入工程と、を備えること
を特徴とする盛土構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連結具、盛土構造及び盛土構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
盛土構造として、盛土用の発泡樹脂ブロック(EPSブロック)を並べて構築した軽量盛土構造が知られている。発泡樹脂ブロックを用いた盛土構造では、緊結金具を用いて発泡樹脂ブロック同士を連結する特許文献1、2が開示されている。
【0003】
特許文献1の緊結金具は、プレートの端部から上方向と下方向に折り曲げられた複数の爪を有する。しかしながら、特許文献1の緊結金具は、EPSブロックに挿入される上下の爪が左右方向又は前後方向にずれて配置される。このため、上側のEPSブロックに挿入される上側の爪と、下側のEPSブロックに挿入される下側の爪と、の一体性が低い。したがって、地震動等の外力が作用した場合、上側のEPSブロックと下側のEPSブロックが独立に挙動してしまうおそれがある。
【0004】
緊結金具の強度を上げるために、特許文献1の緊結金具のプレートの板厚を厚くしてしまうと、爪の板厚も厚くなってしまい、EPSブロックへの挿入がしにくくなる。また、特許文献1の緊結金具では、EPSブロックの間に板厚の厚いプレートが配置されることになり、プレートの上下のEPSブロック同士の隙間が増加する。したがって、特許文献1の緊結金具は、例えば0.6mm程度の薄い板厚にするほかなく、板厚を厚くすることができない。強度を上げるために爪の設置数量を増やしたとしても、地震動等の外力が作用したとき、板厚のプレートから折り曲げた爪が倒れてしまうおそれがある。
【0005】
さらに、特許文献1の緊結金具では、EPSブロックには爪が挿入されるものの、1つの爪の主面は、左右方向及び前後方向の何れか1つの方向にしか対向しない。このため、地震動等の外力が作用した場合、爪の側面がEPSブロックを切断するように作用するおそれがある。
【0006】
これらのことから、特許文献1の緊結金具では、地震動等の外力に対して十分に抵抗することができない、という問題点がある。
【0007】
特許文献2の緊結具は、プレートを持たない帯状の形態で、帯状部と、帯状部の上方向の複数の上部突起と、帯状部の下方向の複数の下部突起と、水平突起を有する。特許文献2の緊結具を発泡樹脂ブロックに挿入する場合、上部突起や水平突起を上側から平板で押し込むことにより挿入できるとされている。
【0008】
しかしながら、特許文献2の緊結具は、下部突起が横方向に連続して配置されることから、隣接する下部突起の頂点同士の間の形状が逆V字状に形成される。このため、発泡樹脂ブロックに下部突起を挿入する際、平板で押し込むだけでは押し込む力が弱く、この逆V字状の部分で引っかかってしまい、帯状部を極めて挿入しにくい。平板で押し込む力よりも大きくなるよう例えばハンマー等の打撃手段により上部突起や水平突起を打撃した場合には、上部突起や水平突起が変形するおそれがある。したがって、特許文献2の緊結具では、ハンマー等の打撃手段で打撃することができず、発泡樹脂ブロック同士を連結する作業を容易に行うことができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-2692号公報
【文献】特開2013-117126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、地震動等の外力に対する抵抗力を向上させることが可能となり、発泡樹脂ブロックの連結作業を容易に行うことが可能となる連結具、盛土構造及び盛土構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る連結具は、第3方向に隣接する盛土用の発泡樹脂ブロック同士を連結する連結具であって、前記第3方向に交わる第1方向に離間した一対の挿入板部と、一対の前記挿入板部を連結する連結板部と、を備え、前記挿入板部は、前記連結板部に沿って延びる繋ぎ板部と、前記繋ぎ板部から前記第3方向と前記第1方向とに交わる前記第2方向に向けて延びる受圧板部と、前記繋ぎ板部及び前記受圧板部の少なくとも何れかを挟んで、前記第3方向において互いに反対方向に向けて延びる第1爪部と第2爪部と、を有し、前記連結板部は、前記第2方向の一対の主面と、前記第3方向の前記第1爪部側の第1端面と、前記第3方向の前記第2爪部側の第2端面と、を有し、前記第2爪部は、前記第3方向において前記第2端面よりも突出して形成されることを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る連結具は、第1発明において、前記第2端面は、前記第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成されることを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る連結具は、第1発明又は第2発明において、前記第2爪部は、前記第3方向に直交する面に平行な返し面が形成されることを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る連結具は、第3発明において、前記第2端面は、前記第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成され、前記返し面は、前記第2平坦面と面一であることを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る連結具は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記連結板部は、前記第1爪部と同一方向に向けて延びる第3爪部が形成されることを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る連結具は、第1発明~第5発明の何れかにおいて、前記連結板部は、前記第2爪部と同一方向に向けて延びる第4爪部が形成されることを特徴とする。
【0017】
第7発明に係る連結具は、第1発明~第6発明の何れかにおいて、前記第1爪部の第1先端部は、前記繋ぎ板部と前記受圧板部との折り曲げ部分に形成されることを特徴とする。
【0018】
第8発明に係る連結具は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記連結板部は、前記第2方向に向けて曲げられて形成される曲がり部が形成されることを特徴とする。
【0019】
第9発明に係る連結具は、第1発明~第8発明の何れかにおいて、前記第2爪部は、貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0020】
第10発明に係る連結具は、第1発明~第9発明の何れかにおいて、前記第1爪部は、前記第1爪部の第1先端部から前記第3方向に対して傾斜する第1傾斜面と、前記第1傾斜面に繋がるとともに前記第3方向に沿って延びる第1側面と、を有し、前記第1側面は、凹凸状の第1エッジ部が形成されることを特徴とする。
【0021】
第11発明に係る盛土構造は、第3方向に隣接する第1発泡樹脂ブロックと第2発泡樹脂ブロックとを、第1発明~第10発明の何れかの連結具を用いて連結する盛土構造であって、前記第1爪部と前記繋ぎ板部と前記受圧板部と前記連結板部は、前記第1発泡樹脂ブロックに挿入され、前記第2爪部は、前記第2発泡樹脂ブロックに挿入されることを特徴とする。
【0022】
第12発明に係る盛土構造の施工方法は、第3方向に隣接する第1発泡樹脂ブロックと第2発泡樹脂ブロックとを、第1発明~第10発明の何れかの連結具を用いて連結する盛土構造の施工方法であって、第1発泡樹脂ブロックに前記第1爪部と前記繋ぎ板部と前記受圧板部と前記連結板部とを挿入する第1爪部挿入工程と、第2発泡樹脂ブロックに前記第2爪部を挿入する第2爪部挿入工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
第1発明~第12発明によれば、一対の挿入板部を有し、挿入板部は、繋ぎ板部から第2方向に向けて延びる受圧板部を有する。これにより、連結板部と一対の繋ぎ板部とが第2方向の地震動等の外力に抵抗し、一対の受圧板部が第1方向の地震動等の外力に抵抗できる。このため、発泡樹脂ブロックに作用する第1方向及び第2方向の地震動等の外力に対する抵抗力を向上させることが可能となる。
【0024】
第1発明~第12発明によれば、繋ぎ板部及び受圧板部の少なくとも何れかを挟んで、第3方向において互いに反対方向に向けて延びる第1爪部と第2爪部と、を有する。これにより、第1爪部を第1発泡樹脂ブロックに挿入し、第2爪部を第2発泡樹脂ブロックに挿入することができ、一体性を確保することができる。加えて、第1爪部と第2爪部とについて十分な挿入深さと剛性を確保できる。このため、第1方向及び第2方向の地震動等の外力だけでなく、第3方向の地震動等の外力に対しても十分に抵抗することが可能となる。その結果、地震動が発生した場合であっても、発泡樹脂ブロックのずれや連結具の変形を防止することができる。
【0025】
第1発明~第12発明によれば、連結板部は、第2方向の一対の主面と、第3方向の第1爪部側の第1端面と、第3方向の第2爪部側の第2端面と、を有する。すなわち、連結板部の主面は、発泡樹脂ブロックの挿入面に対して交わる方向に形成される。これにより、従来のような発泡樹脂ブロックの挿入面に平行なプレート部を有しない。このため、発泡樹脂ブロックを隙間なく並べることができ、発泡樹脂ブロックのクリープを抑制することができる。その結果、地震動等の外力に対する抵抗力を向上させることが可能となる。
【0026】
第1発明~第12発明によれば、第2爪部は、第3方向において第2端面よりも突出して形成される。これにより、第1爪部と繋ぎ板部と受圧板部と連結板部を第1発泡樹脂ブロックに挿入する際に、第2端面をハンマー等の打撃手段により打撃することができる。このため、発泡樹脂ブロックの連結作業を容易に行うことが可能となる。
【0027】
特に、第2発明によれば、第2端面は、第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成される。これにより、連結板部を第1発泡樹脂ブロックに挿入した際、第2平坦面を第1発泡樹脂ブロックの挿入面と面一とすることができる。すなわち、第2平坦面は、第1発泡樹脂ブロックに挿入される第1爪部の挿入深さの目安として機能する。このため、連結具を規定の位置に配置し易くできる。
【0028】
特に、第3発明によれば、第2爪部は、第3方向に直交する面に平行な返し面が形成される。これにより、連結板部を第1発泡樹脂ブロックに挿入したとき、返し面を第1発泡樹脂ブロックに接触させることができる。このため、第2爪部が第1発泡樹脂ブロックに挿入されるのを抑制することが可能となる。
【0029】
特に、第4発明によれば、第2端面は、第3方向と直交する面に平行な第2平坦面が形成され、返し面は、第2平坦面と面一である。これにより、連結板部を第1発泡樹脂ブロックに挿入して第2平坦面を第1発泡樹脂ブロックの挿入面と面一となったとき、返し面を第1発泡樹脂ブロックに接触させることができる。このため、第2爪部が第1発泡樹脂ブロックに挿入されるのを抑制することが可能となり、連結具を規定の位置に配置し易くできる。
【0030】
特に、第5発明によれば、連結板部は、第1爪部と同一方向に延びる第3爪部が形成される。これにより、連結板部を第1発泡樹脂ブロックに容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロックの連結作業を容易に行うことができる。
【0031】
特に、第6発明によれば、連結板部は、第2爪部と同一方向に延びる第4爪部が形成される。これにより、第4爪部を第2発泡樹脂ブロックに容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロックの連結作業を容易に行うことができる。
【0032】
特に、第7発明によれば、第1爪部の第1先端部は、繋ぎ板部と受圧板部との折り曲げ部分に形成される。これにより、第1先端部が折り曲げ部分に形成されない場合よりも、第1発泡樹脂ブロックに第1爪部を容易に挿入することができる。このため、発泡樹脂ブロックの連結作業を容易に行うことができる。更に、第1爪部においても、第1方向及び第2方向の受圧面を確保することができる。このため、地震動等の外力に対する抵抗力を更に向上させることが可能となる。
【0033】
特に、第8発明によれば、連結板部は、第2方向に向けて曲げられて形成される曲がり部が形成される。これにより、発泡樹脂ブロックに作用する第1方向及び第2方向の地震動等の外力を曲がり部により吸収させることができる。このため、地震動等の外力に対する抵抗力を更に向上させることが可能となる。
【0034】
特に、第9発明によれば、第2爪部は、貫通孔が形成される。これにより、連結板部を第1発泡樹脂ブロックに挿入したとき、貫通孔は露出される。このため、貫通孔にフック等の引き抜き部材を引っ掛けて、第1発泡樹脂ブロックから連結具を取り外す作業を容易に行うことが可能となる。
【0035】
特に、第10発明によれば、第1爪部の第1側面は、凹凸状の第1エッジ部が形成される。これにより、第1爪部を第1発泡樹脂ブロックに挿入したとき、引き抜きに対する抵抗力を増加させることができる。このため、発泡樹脂ブロック同士の連結力を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、第1実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
図2図2は、第1実施形態における連結具の一例を示す斜視図である。
図3図3(a)は、第1実施形態における連結具の一例を示す正面図であり、図3(b)は、第1実施形態における連結具の一例を示す断面図である。
図4図4(a)は、第1実施形態における連結具の一例を示す底面図であり、図4(b)は、第1実施形態における連結具の一例を示す平面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
図9図9は、第3実施形態における盛土構造の一例を示す正面図である。
図10図10は、第4実施形態における盛土構造の一例を示す斜視図である。
図11図11(a)は、第4実施形態における連結具の第1例を示す底面図であり、図11(b)は、第4実施形態における連結具の第1例を示す平面図である。
図12図12(a)は、第4実施形態における連結具の第2例を示す底面図であり、図12(b)は、第4実施形態における連結具の第3例を示す底面図である。
図13図13は、第5実施形態における連結具の一例を示す斜視図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、第5実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、第5実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、第5実施形態における盛土構造の施工方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態としての連結具、盛土構造及び盛土構造の施工方法の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(第1実施形態:盛土構造100、連結具1)
図1は、第1実施形態における盛土構造100の一例を示す正面図である。図2は、第1実施形態における連結具1の一例を示す斜視図である。図3(a)は、第1実施形態における連結具1の一例を示す正面図であり、図3(b)は、第1実施形態における連結具1の一例を示す断面図である。図4(a)は、第1実施形態における連結具1の一例を示す底面図であり、図4(b)は、第1実施形態における連結具1の一例を示す平面図である。以下の実施形態では、第3方向Zが上下方向であり、第1方向Xと第2方向Yが上下方向に交わる平面方向である。第1方向Xは、左右方向であり、第2方向Yは、前後方向である。
【0039】
盛土構造100は、山の斜面、軟弱地盤等に構築される軽量盛土であり、上側に道路等の構造物が設けられる。
【0040】
図1に示すように、盛土構造100は、第3方向Zに隣接する複数の盛土用の発泡樹脂ブロック7と、発泡樹脂ブロック7同士を連結する連結具1と、を備える。
【0041】
発泡樹脂ブロック7は、盛土用の発泡樹脂ブロック(EPSブロック)である。発泡樹脂ブロック7の素材は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる発泡体を採用できる。発泡樹脂ブロック7は、直方体形状に形成される。発泡樹脂ブロック7は、上下方向及び平面方向に位置をずらして千鳥状又は格子状に複数積み上げることで施工される。発泡樹脂ブロック7は、例えば1個当たりの重量が12kg~30kgとなり、持ち運びやすく軽量盛土の施工作業の作業性に優れていることから好適に採用できる。
【0042】
発泡樹脂ブロック7は、第3方向Zに隣接する第1発泡樹脂ブロック71と、第2発泡樹脂ブロック72と、を有する。
【0043】
盛土構造100は、連結具1を用いて、第3方向Zに隣接する第1発泡樹脂ブロック71と第2発泡樹脂ブロック72とを連結する。盛土構造100は、連結具1を用いて、例えば2つの第1発泡樹脂ブロック71と、1つの第2発泡樹脂ブロック72とを連結する。
【0044】
図2に示すように、連結具1は、第3方向Zに隣接する発泡樹脂ブロック7同士を連結する金具である。連結具1は、一対の挿入板部2と、連結板部3と、を備える。連結具1は、所定の形状の1枚の板材を折り曲げて構成される。連結具1の材質は、例えば鋼製、樹脂製等である。連結具1が鋼製の場合、例えば鋼板を折り曲げて形成される。連結具1が樹脂製の場合、例えばインジェクション等の型成形により形成される。連結具1の板厚は、例えば0.6mm~1.0mm程度のものが好適に用いられるが、任意である。
【0045】
図3(a)及び図3(b)に示すように、連結板部3は、一対の挿入板部2を連結する。連結板部3は、第2方向Yの一対の主面31と、第3方向Zの第1爪部23側の第1端面32と、第3方向Zの第2爪部24側の第2端面33と、を有する。第1端面32は、第3方向Zに直交する面に平行な第1平坦面32aが形成される。第2端面33は、第3方向Zに直交する面に平行な第2平坦面33aが形成される。
【0046】
挿入板部2は、第1方向Xに離間して一対配置される。挿入板部2は、繋ぎ板部21と、受圧板部22と、第1爪部23と、第2爪部24と、を有する。なお、繋ぎ板部21と受圧板部22との少なくとも何れかを挟んで、第3方向Zにおいて互いに反対方向に延びる第1爪部23と第2爪部24とを有してもよい。
【0047】
繋ぎ板部21は、連結板部3の主面31に沿って延びる。受圧板部22は、繋ぎ板部21から第2方向Yに向けて折り曲げられて延びる。一方の受圧板部22と、他方の受圧板部22とは、同一方向に向けて折り曲げられて延びる。
【0048】
図4(a)に示すように、第1爪部23は、繋ぎ板部21と受圧板部22とに沿って形成される。第1爪部23は、第3方向Zから見て、L字状に形成される。図3(a)に示すように、第1爪部23は、第3方向Zにおいて第1端面32の第1平坦面32aよりも突出して形成される。
【0049】
第1爪部23は、1つの第1先端部23aと、2つの第1傾斜面23bと、2つの第1側面23cと、を有する。第1先端部23aは、繋ぎ板部21と受圧板部22との折り曲げ部分に形成される。これにより、第1先端部23aが折り曲げ部分に形成されない場合よりも、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入することができる。また、第1爪部23に第1方向X及び第2方向Yの受圧面を確保することができる。
【0050】
第1傾斜面23bは、第1先端部23aから第3方向Zに対して傾斜する。第1側面23cは、第1傾斜面23bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第1側面23cが形成されない場合よりも、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。
【0051】
図4(b)に示すように、第2爪部24は、繋ぎ板部21と受圧板部22とに沿って形成される。第2爪部24は、第3方向Zから見て、L字状に形成される。図3(a)に示すように、第2爪部24は、第1爪部23と反対方向に向けて突出する。第2爪部24は、第3方向Zにおいて第2端面33の第2平坦面33aよりも突出して形成される。
【0052】
第2爪部24は、貫通孔25が形成される。貫通孔25は、第1発泡樹脂ブロック71に挿入された第1爪部23を取り外す際に、フック等の引き抜き部材を引っ掛けることができる。
【0053】
第2爪部24は、1つの第2先端部24aと、2つの第2傾斜面24bと、2つの第2側面24cと、返し面24dと、を有する。第2先端部24aは、繋ぎ板部21と受圧板部22との折り曲げ部分に形成される。これにより、第2先端部24aが折り曲げ部分に形成されない場合よりも、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入することができる。
【0054】
第2傾斜面24bは、第2先端部24aから第3方向Zに対して傾斜する。第2側面24cは、第2傾斜面24bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第2側面24cが形成されない場合よりも、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入できる。また、第2爪部24に第1方向X及び第2方向Yの受圧面を確保することができる。
【0055】
図3(b)に示すように、返し面24dは、第3方向Zにおける第1爪部23側に形成され、第3方向Zに直交する面に平行に形成される。返し面24dは、第2平坦面33aと面一に形成される。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、返し面24dを第1発泡樹脂ブロック71に接触させることができる。
【0056】
盛土構造100では、第1爪部23と連結板部3は、第1発泡樹脂ブロック71に挿入され、第2爪部24は、第2発泡樹脂ブロック72に挿入される。繋ぎ板部21と受圧板部22とは、第1発泡樹脂ブロック71に挿入される。
【0057】
盛土構造100は、返し面24dと、第2平坦面33aと、第1発泡樹脂ブロック71の挿入面と、第2発泡樹脂ブロック72の挿入面とが、面一に配置される。
【0058】
(第1実施形態:盛土構造の施工方法)
次に、盛土構造の施工方法の一例について説明する。盛土構造の施工方法は、連結具1を用いて、第3方向Zに隣接する発泡樹脂ブロック7同士を連結する。発泡樹脂ブロック7は、第1発泡樹脂ブロック71と第2発泡樹脂ブロック72とを有する。
【0059】
盛土構造の施工方法は、第1爪部挿入工程と、第2爪部挿入工程と、を備える。
【0060】
先ず、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23と繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3とを挿入する。このとき、一方の第1爪部23を一方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入し、他方の第1爪部23を他方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入する。
【0061】
詳細には、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23の第1先端部23aを接触させ、カッター等により第1発泡樹脂ブロック71に切り込みを形成する。これにより、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に挿入し易くできる。
【0062】
そして、図5(a)及び図5(b)に示すように、第1爪部挿入工程では、ハンマー等の打撃手段を用いて第2端面33を打撃し、第1発泡樹脂ブロック71に形成した切り込みに第1爪部23を挿入する。これにより、第1発泡樹脂ブロック71に第1平坦面32aが接触する。
【0063】
そして、図6(a)及び図6(b)に示すように、第1爪部挿入工程では、ハンマー等の打撃手段を用いて第2端面33を打撃し、繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3とを第1発泡樹脂ブロック71に挿入する。連結板部3は、第3方向Zに直交する面に平行な第1平坦面32aを有することにより、第2端面33を打撃したとき、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。また、第2平坦面33aが第1発泡樹脂ブロック71の挿入面と面一になるまで連結板部3を挿入する。すなわち、第2平坦面33aは、第1発泡樹脂ブロック71に挿入される第1爪部23の挿入深さの目安として機能する。このため、連結具1を規定の位置に配置し易くできる。
【0064】
第1爪部挿入工程では、第1爪部23と連結板部3とを第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、第2爪部24の返し面24dは、第1発泡樹脂ブロック71に接触する。これにより、第1発泡樹脂ブロック71に第2爪部24が挿入されるのを抑制することができる。
【0065】
このようにして、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23と繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3とを挿入する。その際、第2端面33をハンマー等の打撃手段により打撃することができる。
【0066】
また、連結板部3は、第1方向Xに隣接する2つの第1発泡樹脂ブロック71に跨って配置される。これにより、連結板部3は、2つの第1発泡樹脂ブロック71のずれ止めとして機能する。
【0067】
ここで、第1爪部23や連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、規定の位置に挿入できなかった場合、第1発泡樹脂ブロック71から連結具1を取り外し、再度挿入する。第1爪部23や連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、貫通孔25は露出される。このため、貫通孔25にフック等の引き抜き部材を引っ掛けて、第1発泡樹脂ブロック71から連結具1を取り外す作業を容易に行うことが可能となる。
【0068】
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、第2爪部挿入工程では、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に挿入する。このとき、一対の第2爪部24を1つの第2発泡樹脂ブロック72に挿入する。これにより、発泡樹脂ブロック7を千鳥状に積み上げることができる。
【0069】
以上により、盛土構造の施工方法の一例が完了する。
【0070】
本実施形態によれば、一対の挿入板部2を有し、挿入板部2は、繋ぎ板部21から第2方向Yに向けて延びる受圧板部22を有する。これにより、連結板部3と一対の繋ぎ板部21とが第2方向Yの地震動等の外力に抵抗し、一対の受圧板部22が第1方向Xの地震動等の外力に抵抗できる。このため、発泡樹脂ブロック7に作用する第1方向X及び第2方向Yの地震動等の外力に対する抵抗力を向上させることが可能となる。
【0071】
本実施形態によれば、繋ぎ板部21及び受圧板部22の少なくとも何れかを挟んで、第3方向Zにおいて互いに反対方向に向けて延びる第1爪部23と第2爪部24と、を有する。これにより、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に挿入し、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に挿入することができ、それぞれ十分な挿入深さと剛性を確保できる。このため、第1方向X及び第2方向Yの地震動等の外力だけでなく、第3方向Zの地震動等の外力に対しても十分に抵抗することが可能となる。その結果、地震動が発生した場合であっても、発泡樹脂ブロック7のずれや連結具1の変形を防止することができる。
【0072】
本実施形態によれば、連結板部3は、第2方向Yの一対の主面31と、第3方向Zの第1爪部23側の第1端面32と、第3方向Zの第2爪部24側の第2端面33と、を有する。すなわち、連結板部3の主面31は、発泡樹脂ブロック7の挿入面に対して交わる方向に形成される。これにより、従来のような発泡樹脂ブロックの挿入面に平行なプレート部を有しない。このため、発泡樹脂ブロック7を隙間なく並べることができ、発泡樹脂ブロック7のクリープを抑制することが可能となる。その結果、地震動等の外力に対する抵抗力を向上させることが可能となる。
【0073】
本実施形態によれば、第2爪部24は、第3方向Zにおいて第2端面33よりも突出して形成される。これにより、第1爪部23と繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入する際に、第2端面33をハンマー等の打撃手段により打撃することができる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことが可能となる。
【0074】
本実施形態によれば、第2端面33は、第3方向Zと直交する面に平行な第2平坦面33aが形成される。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入した際、第2平坦面33aを第1発泡樹脂ブロック71の挿入面と面一とすることができる。すなわち、第2平坦面33aは、第1発泡樹脂ブロック71に挿入される第1爪部23の挿入深さの目安として機能する。このため、連結具1を規定の位置に配置し易くできる。
【0075】
本実施形態によれば、第2爪部24は、第3方向Zに直交する面に平行な返し面24dが形成される。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、返し面24dを第1発泡樹脂ブロック71に接触させることができる。このため、第2爪部24が第1発泡樹脂ブロック71に挿入されるのを抑制することが可能となる。
【0076】
本実施形態によれば、第2端面33は、第3方向Zと直交する面に平行な第2平坦面33aが形成され、返し面24dは、第2平坦面33aと面一である。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入して第2平坦面33aを第1発泡樹脂ブロック71の挿入面と面一となったとき、返し面24dを第1発泡樹脂ブロック71に接触させることができる。このため、第2爪部24が第1発泡樹脂ブロック71に挿入されるのを抑制することが可能となり、連結具1を規定の位置に配置し易くできる。
【0077】
本実施形態によれば、第1爪部23の第1先端部23aは、繋ぎ板部21と受圧板部22との折り曲げ部分に形成される。これにより、第1先端部23aが折り曲げ部分に形成されない場合よりも、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23を容易に挿入することができる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。更に、第1爪部23においても、第1方向X及び第2方向Yの受圧面を確保することができる。このため、地震動等の外力に対する抵抗力を更に向上させることが可能となる。
【0078】
本実施形態によれば、第1傾斜面23bは、第1先端部23aから第3方向Zに対して傾斜し、第1側面23cは、第1傾斜面23bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第1側面23cが形成されない場合よりも、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0079】
本実施形態によれば、第2爪部24の第2先端部24aは、繋ぎ板部21と受圧板部22との折り曲げ部分に形成される。これにより、第2先端部24aが折り曲げ部分に形成されない場合よりも、第2発泡樹脂ブロック72に第2爪部24を容易に挿入することができる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。更に、第2爪部24においても、第1方向X及び第2方向Yの受圧面を確保することができる。このため、地震動等の外力に対する抵抗力を更に向上させることが可能となる。
【0080】
本実施形態によれば、第2傾斜面24bは、第2先端部24aから第3方向Zに対して傾斜し、第2側面24cは、第2傾斜面24bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第2側面24cが形成されない場合よりも、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0081】
本実施形態によれば、第2爪部24は、貫通孔25が形成される。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、貫通孔25は露出される。このため、貫通孔25にフック等の引き抜き部材を引っ掛けて、第1発泡樹脂ブロック71から連結具1を取り外す作業を容易に行うことが可能となる。
【0082】
(第2実施形態:盛土構造100、連結具1)
図8は、第2実施形態における盛土構造100の一例を示す正面図である。以下、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0083】
第2実施形態に係る連結具1では、連結板部3に第1爪部23と同一方向に延びる第3爪部34が形成される。
【0084】
第3爪部34は、第3方向Zにおいて第1平坦面32aよりも突出して形成される。第3爪部34は、第3方向Zから見て、直線状に形成される。
【0085】
第3爪部34は、1つの第3先端部34aと、2つの第3傾斜面34bと、2つの第3側面34cと、を有する。第3傾斜面34bは、第3先端部34aから第3方向Zに対して傾斜する。第3側面34cは、第3傾斜面34bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。
【0086】
本実施形態によれば、連結板部3は、第1爪部23と同一方向に延びる第3爪部34が形成される。これにより、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0087】
本実施形態によれば、第3傾斜面34bは、第3先端部34aから第3方向Zに対して傾斜し、第3側面34cは、第3傾斜面34bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第3側面34cが形成されない場合よりも、第3爪部34を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0088】
(第3実施形態:盛土構造100、連結具1)
図9は、第3実施形態における盛土構造100の一例を示す正面図である。
【0089】
第3実施形態に係る連結具1では、連結板部3に第2爪部24と同一方向に延びる第4爪部35が形成される。
【0090】
第4爪部35は、第3方向Zにおいて第2平坦面33aよりも突出して形成される。第4爪部35は、第3方向Zから見て、直線状に形成される。
【0091】
第4爪部35は、1つの第4先端部35aと、2つの第4傾斜面35bと、2つの第4側面35cと、を有する。第4傾斜面35bは、第4先端部35aから第3方向Zに対して傾斜する。第4側面35cは、第4傾斜面35bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。
【0092】
本実施形態によれば、連結板部3は、第2爪部24と同一方向に延びる第4爪部35が形成される。これにより、第4爪部35を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0093】
本実施形態によれば、第4傾斜面35bは、第4先端部35aから第3方向Zに対して傾斜し、第4側面35cは、第4傾斜面35bに繋がるとともに第3方向Zに沿って延びる。これにより、第4側面35cが形成されない場合よりも、第4爪部35を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入できる。このため、発泡樹脂ブロック7の連結作業を容易に行うことができる。
【0094】
(第4実施形態:盛土構造100、連結具1)
図10は、第4実施形態における盛土構造100の一例を示す斜視図である。図11(a)は、第4実施形態における連結具1の第1例を示す底面図であり、図11(b)は、第4実施形態における連結具1の第1例を示す平面図である。図12(a)は、第4実施形態における連結具1の第2例を示す底面図であり、図12(b)は、第4実施形態における連結具1の第3例を示す底面図である。
【0095】
図10に示すように、第4実施形態に係る連結具1では、連結板部3は、第2方向Yに向けて曲げられて形成される曲がり部36が形成される。曲がり部36は、第1爪部23と同一方向に延びる第3爪部34が形成される。
【0096】
図11(a)及び図11(b)に示すように、曲がり部36は、第3方向Zから見て、V字状に形成される。
【0097】
このほか、図12(a)に示すように、曲がり部36は、第3方向Zから見て、コの字状に形成されてもよい。図12(b)に示すように、曲がり部36は、第3方向Zから見て、U字状に形成されてもよい。
【0098】
本実施形態によれば、連結板部3は、第2方向Yに向けて曲げられて形成される曲がり部36が形成される。これにより、発泡樹脂ブロック7に作用する第1方向X及び第2方向Yの地震動等の外力を曲がり部36により吸収させることができる。このため、地震動等の外力に対する抵抗力を更に向上させることが可能となる。
【0099】
連結板部3は、第2方向Yに向けて曲げられて形成される曲がり部36が形成され、曲がり部36は、第1爪部23と同一方向に延びる第3爪部34が形成される。この場合、第3爪部34の第3先端部34aは、曲がり部36の折り曲げ部分に形成されることが好ましい。これにより、第3爪部34を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入することができる。
【0100】
なお、図示は省略するが、連結板部3は、第2方向Yに向けて曲げられて形成される曲がり部36が形成され、曲がり部36は、第2爪部24と同一方向に延びる第4爪部35が形成されてもよい。この場合、第4爪部35の第4先端部35aは、曲がり部36の折り曲げ部分に形成されることが好ましい。これにより、第4爪部35を第2発泡樹脂ブロック72に容易に挿入することができる。
【0101】
(第5実施形態:盛土構造100、連結具1)
図13は、第5実施形態における盛土構造100の一例を示す断面図である。
【0102】
図13に示すように、第5実施形態に係る連結具1では、第1爪部23の第1側面23cは、凹凸状に形成される第1エッジ部23dを有する。第1エッジ部23dは、第1方向Xの第1側面23cと、第2方向Yの第1側面23cと、に形成される。第1方向Xの第1側面23cに形成される第1エッジ部23dは、例えば第2方向Yから見て、矩形状に形成される。第2方向Yの第1側面23cに形成される第1エッジ部23dは、例えば第1方向Xから見て、三角形状に形成される。第1エッジ部23dは、矩形状に形成されることにより、引き抜きに対する抵抗力を更に向上させることができる。第1エッジ部23dは、三角形状に形成されることにより、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に挿入し易くできる。
【0103】
第2爪部24の第2側面24cは、凹凸状に形成される第2エッジ部24eを有する。第2エッジ部24eは、例えば第1方向Xの第2側面24cに形成される。なお、第2エッジ部24eは、第2方向Yの第2側面24cに形成されてもよい。例えば第2エッジ部24eは、第1方向X又は第2方向Yから見て、三角形状に形成される。このほか、第2エッジ部24eは、例えば第1方向X又は第2方向Yから見て、矩形状に形成されてもよい。第2エッジ部24eは、矩形状に形成されることにより、引き抜きに対する抵抗力を更に向上させることができる。第2エッジ部24eは、三角形状に形成されることにより、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に挿入し易くできる。
【0104】
受圧板部22の第5側面22aは、凹凸状に形成される第5エッジ部22bを有する。例えば第5エッジ部22bは、第1方向X又は第2方向Yから見て、三角形状に形成される。このほか、第5エッジ部22bは、例えば第1方向X又は第2方向Yから見て、矩形状に形成されてもよい。第5エッジ部22bは、矩形状に形成されることにより、引き抜きに対する抵抗力を更に向上させることができる。第5エッジ部22bは、三角形状に形成されることにより、受圧板部22を第1発泡樹脂ブロック71に挿入し易くできる。
【0105】
第2爪部24の第2先端部24aには、第2先端部24aを保護し、第2先端部24aに脱着可能な保護キャップ4が設けられる。第2爪部24の第2先端部24aには、第3方向Zに延びるスリット26が形成される。スリット26には、保護キャップ4が挿入される。保護キャップ4は、例えば断面円形状の板材であり、スリット26に嵌め込まれるスリット41が形成される。スリット26に保護キャップ4が挿入されることにより、作業者が第2先端部24aに接触するのを防止することができる。
【0106】
繋ぎ板部21は、連結板部3の主面31に沿って延びる。受圧板部22は、繋ぎ板部21から第2方向Yに向けて折り曲げられて延びる。一方の受圧板部22と、他方の受圧板部22とは、反対方向に向けて折り曲げられて延びる。これにより、例えば同一形状の複数の連結具1を運搬する際に、連結板部3の主面31同士を複数積み重ねることができる。このため、複数の連結具1を運搬し易くできる。
【0107】
(第6実施形態:盛土構造の施工方法)
次に、盛土構造の施工方法の一例について説明する。盛土構造の施工方法は、連結具1を用いて、第3方向Zに隣接する発泡樹脂ブロック7同士を連結する。発泡樹脂ブロック7は、第1発泡樹脂ブロック71と第2発泡樹脂ブロック72とを有する。
【0108】
盛土構造の施工方法は、第1爪部挿入工程と、第2爪部挿入工程と、を備える。
【0109】
先ず、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23と連結板部3とを挿入する。このとき、一方の第1爪部23を一方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入し、他方の第1爪部23を他方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入する。
【0110】
詳細には、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23の第1先端部23aを接触させ、カッター等により第1発泡樹脂ブロック71に切り込みを形成する。これにより、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に挿入し易くできる。
【0111】
そして、第1爪部挿入工程では、第2爪部24のスリット26に挿入された保護キャップ4を取り外す。なお、保護キャップ4の取り外しは、第2爪部挿入工程の前に行われればよい。
【0112】
そして、図14(a)及び図14(b)に示すように、第1爪部挿入工程では、ハンマー等の打撃手段を用いて第2端面33を打撃し、第1発泡樹脂ブロック71に形成した切り込みに第1爪部23を挿入する。これにより、第1発泡樹脂ブロック71に第1平坦面32aが接触する。
【0113】
そして、図15(a)及び図15(b)に示すように、第1爪部挿入工程では、ハンマー等の打撃手段を用いて第2端面33を打撃し、繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3とを第1発泡樹脂ブロック71に挿入する。連結板部3は、第3方向Zに直交する面に平行な第1平坦面32aを有することにより、第2端面33を打撃したとき、連結板部3を第1発泡樹脂ブロック71に容易に挿入できる。また、受圧板部22の第5側面22aは、三角形状に形成される第5エッジ部22bを有することにより、受圧板部22を発泡樹脂ブロック7に挿入し易くできる。
【0114】
第1爪部挿入工程では、第1爪部23と連結板部3とを第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、第2爪部24の返し面24dは、第1発泡樹脂ブロック71に接触する。これにより、第1発泡樹脂ブロック71に第2爪部24が挿入されるのを抑制することができる。
【0115】
このようにして、第1爪部挿入工程では、第1発泡樹脂ブロック71に第1爪部23と繋ぎ板部21と受圧板部22と連結板部3とを挿入する。受圧板部22の第5側面22aは、凹凸状に形成される第5エッジ部22bを有することにより、受圧板部22を発泡樹脂ブロック7に挿入したとき、引き抜きに対する抵抗力を向上させることができる。
【0116】
次に、図16(a)及び図16(b)に示すように、第2爪部挿入工程では、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に挿入する。このとき、一対の第2爪部24を1つの第2発泡樹脂ブロック72に挿入する。これにより、発泡樹脂ブロック7を千鳥状に積み上げることができる。
【0117】
以上により、盛土構造の施工方法の一例が完了する。
【0118】
本実施形態によれば、第1爪部23の第1側面23cは、凹凸状の第1エッジ部23dが形成される。これにより、第1爪部23を第1発泡樹脂ブロック71に挿入したとき、引き抜きに対する抵抗力を増加させることができる。このため、発泡樹脂ブロック7同士の連結力を向上させることが可能となる。
【0119】
本実施形態によれば、第2爪部24の第2側面24cは、凹凸状の第2エッジ部24eが形成される。これにより、第2爪部24を第2発泡樹脂ブロック72に挿入したとき、引き抜きに対する抵抗力を増加させることができる。このため、発泡樹脂ブロック7同士の連結力を向上させることが可能となる。
【0120】
本実施形態によれば、第2爪部24の第2先端部24aには、脱着可能な保護キャップ4が設けられる。これにより、第2先端部24aに作業者が接触するのを防止することができる。このため、作業者が第2先端部24aに接触による怪我を防止することが可能となる。
【0121】
なお、図示は省略するが、第3爪部34の第3側面34cは、凹凸状に形成される第3エッジ部を有してもよい。第3エッジ部は、第1方向X又は第2方向Yから見て、例えば矩形状、三角形状に形成されてもよい。
【0122】
なお、図示は省略するが、連結板部3に第4爪部35が形成される場合、第4爪部35の第4側面35cは、凹凸状に形成される第4エッジ部を有してもよい。第4エッジ部は、第1方向X又は第2方向Yから見て、例えば矩形状、三角形状に形成されてもよい。
【0123】
上述した実施形態では、第3方向Zが上下方向であり、第1方向Xと第2方向Yが上下方向に交わる平面方向としたが、本発明では、第3方向Zが左右方向又は前後方向であってもよい。
【0124】
また、上述した実施形態では、連結具1により、2つの第1発泡樹脂ブロック71と、1つの第2発泡樹脂ブロック72を連結したが、本発明では、1つの第1発泡樹脂ブロック71と、1つの第2発泡樹脂ブロック72を連結してもよい。この場合、一対の第1爪部23が1つの第1発泡樹脂ブロック71に挿入され、一対の第2爪部24が1つの第2発泡樹脂ブロック72に挿入される。
【0125】
このほか、本発明では、連結具1により、2つの第1発泡樹脂ブロック71と、2つの第2発泡樹脂ブロック72を連結してもよい。この場合、一方の第1爪部23が一方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入され、他方の第1爪部23が他方の第1発泡樹脂ブロック71に挿入される。また、一方の第2爪部24が一方の第2発泡樹脂ブロック72に挿入され、他方の第2爪部24が他方の第2発泡樹脂ブロック72に挿入される。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
100 :盛土構造
1 :連結具
2 :挿入板部
21 :繋ぎ板部
22 :受圧板部
22a :第5側面
22b :第5エッジ部
23 :第1爪部
23a :第1先端部
23b :第1傾斜面
23c :第1側面
23d :第1エッジ部
24 :第2爪部
24a :第2先端部
24b :第2傾斜面
24c :第2側面
24d :返し面
24e :第2エッジ部
25 :貫通孔
26 :スリット
3 :連結板部
31 :主面
32 :第1端面
32a :第1平坦面
33 :第2端面
33a :第2平坦面
34 :第3爪部
34a :第3先端部
34b :第3傾斜面
34c :第3側面
35 :第4爪部
35a :第4先端部
35b :第4傾斜面
35c :第4側面
36 :曲がり部
4 :保護キャップ
41 :スリット
7 :発泡樹脂ブロック
71 :第1発泡樹脂ブロック
72 :第2発泡樹脂ブロック
X :第1方向
Y :第2方向
Z :第3方向
図1
図2
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