(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20250303BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20250303BHJP
H04N 21/8405 20110101ALI20250303BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q50/10
H04N21/8405
(21)【出願番号】P 2024139435
(22)【出願日】2024-08-21
【審査請求日】2024-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524313196
【氏名又は名称】白土 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【氏名又は名称】松浦 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100180035
【氏名又は名称】生塩 智邦
(72)【発明者】
【氏名】白土 勉
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162377(JP,A)
【文献】特開2010-049372(JP,A)
【文献】特表2008-539993(JP,A)
【文献】国際公開第01/086527(WO,A1)
【文献】特開2008-052656(JP,A)
【文献】特開2024-084922(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114390218(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/0241
G06Q 50/10
H04N 21/8405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録する記憶部と、
ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記憶部から前記書籍イメージ映像を選択して送信する通信部と、を有し、
前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、
ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐
イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望
ウ)スリル、サスペンス、間一髪
エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁
オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽
カ)アクション、スポーツ、ゲーム
キ)笑い、失敗
ク)絆、家族、動物
ケ)別離、悲しみ、死
コ)感動、人生の岐路
サ)青春、友情、学校
シ)冒険、英雄、生き残り
ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史
セ)対決、戦い、ライバル
ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF
のうちの少なくとも1つを含
み、
前記書籍イメージ映像が動画サイトで公開され、
公表されているランキングのテキストデータにおける出現回数が多い順に所定の個数の単語が前記書籍イメージ映像を検索するための検索用キーワードとして用いられる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
一の前記書籍に関する一の前記書籍イメージ映像に複数の前記物語の面白さを伝える要素が含まれている、又は、一の前記書籍に関する複数の前記書籍イメージ映像の各々に前記物語の面白さを伝える要素が少なくとも1つ含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部に、一の前記書籍に関し、前記書籍イメージ映像に加えて、書籍周辺情報映像が記録され、
前記書籍周辺情報映像は、前記書籍の著者のインタビュー、前記書籍の担当編集者のインタビュー、前記書籍の作成秘話、及び前記書籍に登場する作品舞台の探訪のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記書籍イメージ映像が専用のホームページで公開される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記書籍の本文のテキストデータにおける出現回数が多い順に所定の個数の単語
も前記書籍イメージ映像を検索するための検索用キーワードとして用いられる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記書籍を扱う書店における前記書籍の在庫の情報が専用のホームページで公開される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
発行前の書籍に関する前記書籍イメージ映像が専用のホームページで公開される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
当該の情報処理装置の運営者によって前記書籍ごとに付与される第1キー、出版社によって前記書籍ごとに付与される第2キー、及び前記書籍を扱う書店によって前記書籍ごとに付与される第3キーが入力されると、前記書店における前記書籍ごとの在庫情報が編集されて前記記憶部に記録される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置によって実行される方法であり、
商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録するステップと、
ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記録した前記書籍イメージ映像を選択して送信するステップと、を有し、
前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、
ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐
イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望
ウ)スリル、サスペンス、間一髪
エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁
オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽
カ)アクション、スポーツ、ゲーム
キ)笑い、失敗
ク)絆、家族、動物
ケ)別離、悲しみ、死
コ)感動、人生の岐路
サ)青春、友情、学校
シ)冒険、英雄、生き残り
ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史
セ)対決、戦い、ライバル
ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF
のうちの少なくとも1つを含
み、
前記書籍イメージ映像が動画サイトで公開され、
公表されているランキングのテキストデータにおける出現回数が多い順に所定の個数の単語が前記書籍イメージ映像を検索するための検索用キーワードとして用いられる、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録する処理と、
ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記録した前記書籍イメージ映像を選択して送信する処理と、を情報処理装置に実行させ、
前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、
ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐
イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望
ウ)スリル、サスペンス、間一髪
エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁
オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽
カ)アクション、スポーツ、ゲーム
キ)笑い、失敗
ク)絆、家族、動物
ケ)別離、悲しみ、死
コ)感動、人生の岐路
サ)青春、友情、学校
シ)冒険、英雄、生き残り
ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史
セ)対決、戦い、ライバル
ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF
のうちの少なくとも1つを含
み、
前記書籍イメージ映像が動画サイトで公開され、
公表されているランキングのテキストデータにおける出現回数が多い順に所定の個数の単語が前記書籍イメージ映像を検索するための検索用キーワードとして用いられる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍のプロモーションを行う際に用いられて好適な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
書籍を検索する従来の技術として、書籍名及び出版社識別情報を含む書籍情報を複数格納している書籍情報データベースと、検索条件として検索キーを入力する検索条件入力部と、書籍情報データベースに格納されている各書籍情報について、書籍情報に含まれる出版社識別情報により特定される出版社の所在地を取得する出版社所在地取得部と、書籍情報データベースに格納されている各書籍情報について、入力した検索キーが、書籍情報に含まれる書籍名と、取得した出版社の所在地との少なくとも一方に含まれる場合に、検索キーについて合致すると判定し、検索条件に合致する書籍情報を特定する判定部と、検索条件に合致する書籍情報に基づいて、検索結果リストを出力する検索結果リスト出力部と、を有する書籍検索システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、活字離れで書籍の読者の減少がすすみ、出版不況は社会問題として捉えられる。既存読者の活字離れがすすむ一方で新規読者が極めて少ないため、書籍の読者の減少がすすんでいる。新たな読者を増やすことができなければ、読者の減少がさらにすすむことが考えられる。したがって、既存読者の活字離れを止めるとともに、新規読者を増やすことが重要である。新規読者が既存読者の減少数を超えて増えれば、既存読者が減っても、全体として読者は増える。しかしながら、大多数の書籍のプロモーションは書店店頭でしか行われない為、書店を訪れない人々には届かず、新規読者を増やせていない。
【0005】
半年に読む本の数が1冊以下の読者層を潜在読者とすると、調査対象者の6割弱が潜在読者であるという調査結果もある(『読書に関する調査2023年』/クロス・マーケティング)。このような現状をふまえると、読書に無関心であったり食わず嫌いの苦手意識を持っていたりする人々が書籍に興味を持ち書店を訪れるようにする或いはネット書店で書籍を購入する方策を考え、また、これらの人々はどのようなセグメントに存在しどのようなアプローチが効果的であるかについて検討することは重要である。
【0006】
政府統計(総務省、令和3年版 情報通信白書)の『年齢階層別インターネット利用の目的・用途』によると、10代~30代は70%以上が動画を見ている。その一方で、20代~30代の約40%が書店を訪れる回数は半年に1回未満である(『本屋に関する調査2022年』/クロス・マーケティング)。これらの結果から、動画(具体的には、映画、ドラマ、種々の動画サイト/動画投稿サイトにおける動画など)と読書とはどちらも「娯楽」であり、また、多くの場合、「物語」を内包とするという共通項があることに鑑みると、このセグメントに潜在読者の中心があると推測される。
【0007】
現状の課題は「現在の出版市場が既存の読者のみに頼っていること」であるといえる。原因は、大多数の商業的に映像化されていない書籍は、書店の店頭でしかプロモーションされていないため、書店を訪れる習慣がない人々にとっては、読書に興味を持つ機会さえない。
【0008】
上記のような状況もふまえ、発明者は、活字離れと出版不況との負のスパイラルを解決するために、動画で書籍のプロモーションを行うことが有効であると考えた。動画による書籍のプロモーションであれば、書店を訪れない人々にプロモーションできることに加えて、映像の訴求力(即ち、視覚だけでなく聴覚にも訴え、情報量も多い。百聞は一見に如かずに譬えられる効果)を最大限に発揮することができる。さらに、前述のとおり、どちらも「娯楽」であり「物語」を内包とするという共通項もあることに加え、潜在読者の中心は動画を見慣れた人々であると考えられるので、絶大な効果が見込める。
【0009】
しかしながら、商業的に映像化(具体的には、劇場映画化、ドラマ化、配信映像化(映画、ドラマ等)など;いわゆる、メディア・ミックス)されるのは一部の書籍(作品)のみであり、そのほかの書籍(作品)は書店店頭のみでプロモーションされているにすぎない。何故なら、映像化(具体的には、劇場映画化、ドラマ化、配信映像化(映画、ドラマ等)など)されていない書籍(作品)は、動画を作成するもととなる本編映像が存在しないので、プロモーション映像は作成されず、それを中心としたプロモーションも行うことができないからである。
【0010】
そこで本発明は、1つの側面では、潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、新たな読者とすることで、書店、出版社、著者の経済状況を改善し、読書文化の再興を図ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録する記憶部と、ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記憶部から前記書籍イメージ映像を選択して送信する通信部と、を有し、前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐、イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望、ウ)スリル、サスペンス、間一髪、エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁、オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽、カ)アクション、スポーツ、ゲーム、キ)笑い、失敗、ク)絆、家族、動物、ケ)別離、悲しみ、死、コ)感動、人生の岐路、サ)青春、友情、学校、シ)冒険、英雄、生き残り、ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史、セ)対決、戦い、ライバル、ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF、のうちの少なくとも1つを含む、ようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る情報処理方法は、情報処理装置によって実行される方法であり、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録するステップと、ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記録した前記書籍イメージ映像を選択して送信するステップと、を有し、前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐、イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望、ウ)スリル、サスペンス、間一髪、エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁、オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽、カ)アクション、スポーツ、ゲーム、キ)笑い、失敗、ク)絆、家族、動物、ケ)別離、悲しみ、死、コ)感動、人生の岐路、サ)青春、友情、学校、シ)冒険、英雄、生き残り、ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史、セ)対決、戦い、ライバル、ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF、のうちの少なくとも1つを含む、ようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る情報処理プログラムは、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録する処理と、ユーザ端末からのリクエストに応じて前記記録した前記書籍イメージ映像を選択して送信する処理と、を情報処理装置に実行させ、前記書籍イメージ映像は、前記物語の面白さを伝える要素として、ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐、イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望、ウ)スリル、サスペンス、間一髪、エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁、オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽、カ)アクション、スポーツ、ゲーム、キ)笑い、失敗、ク)絆、家族、動物、ケ)別離、悲しみ、死、コ)感動、人生の岐路、サ)青春、友情、学校、シ)冒険、英雄、生き残り、ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史、セ)対決、戦い、ライバル、ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF、のうちの少なくとも1つを含む、ようにしてもよい。
【0014】
本発明によれば、商業的に映像化されていない書籍であって、本編映像が存在しない書籍について、動画を使用して内容をイメージさせることにより、潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、新たな読者とすることが可能となる(疑似メディア・ミックス)。映像の訴求力の大きさは、商業的に映像化されたメディア・ミックス作品の数々が書店の店頭の平台で展開されている(即ち、最も目立つ場所に最も売れる書籍(作品)を置く手法が採用されている)ことを考えれば、疑う余地はない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの側面では、潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、新たな読者とすることが可能となる。
【0016】
ここで、「インターネットで動画は見るものの書籍にまだ興味がないセグメントの人々」は文字を読むことに慣れていないために文字情報を見てもそこからその面白さを想像することにまで至らないと考えられ、ただ動画で書影や文字情報だけの告知をしても、書籍への興味を惹起させるという効果は見込めないと考えられる。このため、「インターネットで動画は見るものの書籍にまだ興味がないセグメントの人々」に対して効果的にプロモーションするためには、『物語の面白さを伝える要素』を使って編集し、書籍(作品)の内容を効果的にイメージできる動画を作成して、作品の一端を具体的に見せることにより、「面白そう」と思わせないと、読書という、ほぼ初めての体験に興味を向けさせることができない。
【0017】
潜在読者は、動画即ち映像作品が好きで、見慣れている。この人々の興味を惹き、読書への興味を惹起させるためには、映像で伝え易い『物語の面白さを伝える要素』を使い、更にその書籍(作品)が持つ幾つもの要素に多方向から光を当てることで、作品への期待を膨らませることが重要である。趣味嗜好は人により異なるので、1つに絞り込まず、複数面から見せることで、その書籍(作品)にとっての潜在読者を最大化させることができる。
【0018】
書店の売上げに占める割合は一般的に新刊が3割と言われるものの、店舗に占める売り場面積(又、在庫冊数)では圧倒的に既刊が大きい。したがって、既刊の売上げを上げることができれば、大きな売上増が見込める。そして、書店に訪れる機会がほぼない潜在読者にとっては新刊も既刊も関係なく、既に読んだ書籍も少ないと推測されるため、本を読む習慣が根付きさえすれば大きな売上げが継続的に見込まれる。
【0019】
前述のとおり、現状の課題は「現在の出版市場が既存の読者のみに頼っていること」であり、原因は、大多数の商業的に映像化されていない書籍のプロモーションが限定的であるために書店を訪れない人々は読書に興味を持つ機会さえないことにある。望まれる解決法は、「読書を習慣としない人々に、様々な書籍の楽しさに触れて貰うことにより、読書は楽しいものだと思わせること(潜在読者の開拓)」である。そのための手段としての本発明の中核は、潜在読者になる可能性が高いと推測される動画視聴者層に、『物語の面白さを伝える要素』を使い編集して作成した、書籍の内容(人物、面白さ、世界観など)を具体的にイメージさせる映像を見せることであり、そこを起点として一連のプロモーションを行うことで、潜在読者から継続読者への転換を促すことである。この今までにない方法により見込める新たな効果は、「潜在読者開拓による出版不況の改善」であり、さらに、「読書の楽しさを知らなかった人々が新たな楽しみに出会うことによる日常の充実」である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態における情報処理システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の情報処理システムのサーバ及びユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の情報処理システムのサーバによって画面データが提供されてユーザ端末の表示部に表示される書籍プロモーションサイトの画面の例を示す図である。
【
図4】
図1の情報処理システムのサーバによって画面データが提供されてユーザ端末の表示部に表示される書籍プロモーションサイトの画面の例を示す図である。
【
図5】
図1の情報処理システムのサーバによって画面データが提供されてユーザ端末の表示部に表示される書籍プロモーションサイトの画面の例を示す図である。
【
図6】
図1の情報処理システムの運用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
なお、本発明における「書籍」は、小説を含むものの、特定のジャンルに限定されるものではなく、あらゆるジャンルの印刷物、出版物を含む。本発明における「書籍」は、フィクションでもノンフィクションでもよいものの、物語性を備える作品であることが好ましい。本発明における「書籍」は、また、紙媒体に印刷された書籍と電子データ化されたデジタル形式の電子書籍との両方を含む。また、本発明における「映像」は、静止画、動画を含み、さらに、静止画像を次々に切り替えて連続して表示する態様(例えば、スライドショー)も含む。また、モニター・ディスプレイ上に表示される動画のみならず、他の表示装置、例えばVR(例えば、メタバースなど)の中で表示されるものも全て含まれる。
【0023】
(全体構成)
図1は、本発明に係る情報処理装置の具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係るサーバ1を含む、実施の形態における情報処理システム100の全体構成を示す模式図である。なお、実施の形態における情報処理システム100において、本発明に係る情報処理方法が実施される。
【0024】
実施の形態に係る情報処理システム100は、サーバ1と複数のユーザ端末2とを含む。サーバ1とユーザ端末2それぞれとは、インターネット等の通信ネットワーク9を介して双方向に通信可能であるように接続されている。
【0025】
サーバ1は、種々の情報処理や情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータなどである。サーバ1は、1台のみ設けられるようにしてもよく、或いは、複数台設けられるようにしてもよい(言い換えると、本発明に係る情報処理装置は、1台のサーバ装置によって構成されてもよく、或いは、複数台のサーバ装置によって構成されてもよい)。サーバ1は、また、1台のサーバ装置内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されるようにしてもよく、或いは、クラウドサーバが用いられて実現されるようにしてもよい。
【0026】
サーバ1は、ウェブサーバの機能を有し、通信ネットワーク9経由で書籍をプロモーションする書籍プロモーションサイト8を通信ネットワーク9を介して公開している。
【0027】
サーバ1は、通信ネットワーク9経由でユーザ端末2へと書籍プロモーションサイト8の画面データを提供する処理など、種々の情報処理を行う。
【0028】
ユーザ端末2は、通信ネットワーク9を介して様々なウェブサイト(尚、書籍プロモーションサイト8を含む)を利用するユーザ側の端末であり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。
【0029】
ユーザ端末2は、通信ネットワーク9経由で様々なウェブサイト(尚、書籍プロモーションサイト8を含む)にアクセスしたりウェブサイトの画面を表示したりする処理など、種々の情報処理を行う。
【0030】
(サーバの構成)
図2は、実施の形態に係る情報処理システム100のサーバ1及びユーザ端末2の構成例を示すブロック図である。
【0031】
実施の形態に係るサーバ1は、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ『物語の面白さを伝える要素』を含む映像であるNIM(書籍イメージ映像)を記録する記憶部12と、ユーザ端末2からのリクエストに応じて記憶部12からNIM(書籍イメージ映像)を選択して送信する通信部13と、を有する、ようにしている。
【0032】
『物語の面白さを伝える要素』は、具体的にはカット、シーン、モンタージュなどである。カットは、撮影用のカメラをスタートさせてからカットするまでの映像であって映像の最小単位であり、文章における(言い換えると、文章に例えると)単語に相当する構成レベルである。シーンは、同じ場所で一連なりの時間として展開する、複数のカットで構成される塊であり、文章における文節に相当する構成レベルである。モンタージュは、映像の足し算の技法であり、映像Aと映像Bとの2つの映像各々を別々に見せたときの意味に対して、映像Aと映像Bとを繋げて見せたときに新たな意味が生まれるという技法である。
【0033】
サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び表示部15などを含み、これらの各部はバスを介して電気的に(言い換えると、信号の伝送が可能であるように)相互に接続されている。
【0034】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの1個又は複数個のプロセッサを含み、サーバ1の各部を制御する。記憶部12に記憶されている種々の制御プログラム16(尚、実施の形態に係る情報処理プログラムを含む)を制御部11が実行することにより、実施の形態に係る情報処理装置としての様々な情報処理等がサーバ1によって行われる。
【0035】
記憶部12は、記憶媒体を含んで構成されて各種データを記憶する。記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び、HDD(Hard Disk Drive)とSSD(Solid State Drive)とのうちの少なくとも一方などを含んでよい。記憶部12に、制御部11によって実行される制御プログラム16(尚、実施の形態に係る情報処理プログラムを含む)及び当該制御プログラム16の実行に必要な各種のデータ等が予め記憶される。記憶部12は、また、制御部11が制御プログラム16を実行して演算処理を行う際に生成されるデータ等を一時的に記憶する。
【0036】
記憶部12に、また、映像データが記録・蓄積されるデータベース(具体的には、NIMデータベース171、NAMデータベース172)が格納される。
【0037】
通信部13は、有線通信と無線通信とのうちの少なくとも一方によって通信ネットワーク9に接続するための通信インターフェースであり、通信ネットワーク9を介して他の装置(例えば、ユーザ端末2)との間でデータ信号等の送受信を行う。
【0038】
入力部14は、例えばマウス及びキーボードなどを含み、サーバ1を管理する管理者による操作入力を受け付け、操作入力の内容に対応した制御信号を制御部11へと出力する。
【0039】
表示部15は、例えば液晶ディスプレイであり、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。
【0040】
(ユーザ端末の構成)
ユーザ端末2は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び表示部25などを含み、これらの各部はバスを介して電気的に(言い換えると、信号の伝送が可能であるように)相互に接続されている。
【0041】
制御部21は、CPUなどの1個又は複数個のプロセッサを含み、ユーザ端末2の各部を制御する。記憶部22に記憶されている種々の制御プログラム26を制御部21が実行することにより、実施の形態に係る情報処理システム100を利用するユーザ側の端末としての様々な情報処理がユーザ端末2によって行われる。
【0042】
記憶部22は、記憶媒体を含んで構成されて各種データを記憶する。記憶部22は、例えば、RAM、ROM、HDD、及びSSDなどを含んでよい。記憶部22に、制御部21によって実行される制御プログラム26及び当該制御プログラム26の実行に必要な各種のデータ等が予め記憶される。記憶部22は、また、制御部21が制御プログラム26を実行して演算処理を行う際に生成されるデータ等を一時的に記憶する。
【0043】
ユーザ端末2は、通信ネットワーク9を介してウェブサイトの閲覧が可能であるように構成され、具体的には、ウェブサイトを閲覧するためのウェブブラウザのアプリケーションプログラム27、又は特定のウェブサイトにアクセスして閲覧するための専用アプリ(アプリケーションソフトウェア)のアプリケーションプログラム27も記憶部22に予め記憶される。
【0044】
通信部23は、有線通信と無線通信とのうちの少なくとも一方によって通信ネットワーク9に接続するための通信インターフェースであり、通信ネットワーク9を介して他の装置(例えば、サーバ1)との間でデータ信号等の送受信を行う。
【0045】
入力部24は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作入力の内容に対応した制御信号を制御部21へと出力する。入力部24は、ユーザ端末2の態様により、例えば、タッチパネルであってもよく、或いは、マウス及びキーボードなどを含んでもよい。
【0046】
表示部25は、例えば液晶ディスプレイであり、制御部21からの指示に従って各種の情報を表示する。具体的には例えば、サーバ1(具体的には、書籍プロモーションサイト8)へとアクセスして受信したデータを表示する。
【0047】
(映像データ)
本発明では、書籍(例えば、小説)に関する映像を用いたプロモーションをインターネット上で行うことにより、従来の読者(言い換えると、既存読者)とは異なる新規読者に訴求し、書籍の販売の拡大につなげることを企図する。本発明では、また、商業的に映像化された作品(具体的には、映画やドラマなどの本編映像)が存在しない書籍を対象とする。
【0048】
商業的な映像化とは、テレビ等での放送、インターネット等での配信、及び映画館等での上映などを目的として映像作品が作成されることであり、作成された映像作品自体が経済的価値を備えるもの(言い換えると、金銭的利益を生み出すもの)として映像作品が作成されることである。
【0049】
本発明では、書籍のプロモーションにおいて2種類の映像が用いられる。これら2種類の映像のうちの一方を「NIM(Novels Image Movies)」と称し、他方を「NAM(Novels Around Movies)」と称する。本発明では、NIMのことを「書籍イメージ映像」とも称し、NAMのことを「書籍周辺情報映像」とも称する。
【0050】
「NIM(Novels Image Movies)」は、書籍(例えば、小説)の内容をイメージできる映像として作成されて、書籍プロモーションサイト8や動画サイトを訪れる視聴者に訴求するための映像である。「NIM」は、商業的に映像化(具体的には、劇場映画化、ドラマ化、配信映像化(映画、ドラマ等)など;いわゆる、メディア・ミックス)されていない書籍に関する映像であり、本編映像が存在しないので、本編映像を編集した予告編ではなく、すなわち例えば書籍(作品)のあらすじに沿って作られた映像を使って書籍を紹介する映像ではなく、主に書籍(作品)のために撮影されたものではない映像を組み合わせることで、その書籍の内容(物語の人物や面白さや世界観を含む)をイメージさせる映像である。
【0051】
本発明は上述のとおり商業的に映像化された作品(本編映像)が存在しない書籍を対象としており、このため、その書籍の内容(物語の人物や面白さや世界観を含む)をイメージさせるような既存の素材(無償・有償を問わず)や新規の撮影で静止画素材や動画素材を用意し、編集して作成する(尚、既存素材と新規撮影の素材とのどちらも、実写やアニメーションを含み、また、生成AIによる作成を含む)。「NIM」はこれら静止画素材や動画素材が用いられて作成されてよい。なお、これら静止画素材や動画素材をそのまま使用するようにしてもよく、或いは、後述する合成を含む特殊効果(SFX/CGを含む)を施したうえで使用するようにしてもよい。合成とは、静止画素材同士、動画素材同士、或いは静止画素材と動画素材とを、同一のカットや同一のシーン内で組み合わせて同時に使用することである。
【0052】
「NIM」は、例えば、ショート(具体的には、1~3分程度)からロング(具体的には、10分前後)までの時間長さの映像であってよい。
【0053】
「NIM」は、書籍ごとに作成され、サーバ1の記憶部12に格納されるNIMデータベース171に、書籍各々に対応づけられて記録・蓄積される。
【0054】
「NAM(Novels Around Movies)」は、書籍(例えば、小説)の周辺部情報の映像として作成されて、書籍プロモーションサイト8や動画サイトを訪れる視聴者に訴求するための映像である。書籍の周辺部情報としては、例えば、当該書籍の著者のインタビュー、担当編集者のインタビュー、当該の書籍の作成秘話、当該の書籍に登場する作品舞台の探訪、及び当該の書籍と同じジャンルの作品の紹介などが挙げられる。
【0055】
本発明は上述のとおり商業的に映像化された作品(本編映像)が存在しない書籍を対象としており、このため、既存の素材(無償・有償を問わず)や新規の撮影で静止画素材や動画素材を用意し、編集して作成する(尚、既存素材と新規撮影との素材のどちらも、実写やアニメーションを含み、また、生成AIによる作成を含む)。「NAM」は、前述の内容などに関する静止画素材や動画素材を用意し、それが用いられるとともに、前述の「NIM」の映像(一部、又は全部)も用いられて作成されてよい。
【0056】
「NAM」は、例えば、3分~30分前後までの時間長さの映像であってよい。「NAM」は、それ自体が独立した1つの番組として楽しめるものであってよい。
【0057】
「NAM」は、書籍ごとに作成され、サーバ1の記憶部12に格納されるNAMデータベース172に、書籍各々に対応づけられて記録・蓄積される。
【0058】
(NIM)
「NIM」は、潜在読者が書籍の物語の内容(人物や面白さや世界観を含む)のイメージを膨らませ、興味を持ち、書籍を手に取ることに繋げるための工夫が凝らされる。
【0059】
〈1〉NIMについての工夫/その1
NIMとして作成される全ての映像に、特に潜在読者の興味を惹起することを企図して、以下のア乃至ソの『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)のうちの少なくとも1つが必ず含められる。以下のア乃至ソの要素は映像で魅力を伝え易いので、映像作品に慣れ親しんだ人達の心に刺さると考えられる。なお、以下のア乃至ソは便宜上の区分にすぎず、以下の例えばアについては、「謎」、「犯罪」、「敵」、「悪」、「怪物」、及び「復讐」の各々が相互に独立した1つの要素である。
【0060】
ア)謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐
イ)予測不能な展開、一発逆転、絶望
ウ)スリル、サスペンス、間一髪
エ)出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁
オ)恐怖、未知の現象(心霊、UAP、UMA等を含む)、危機、切迫した状況(精神的、肉体的、人間関係等)、理不尽
カ)アクション、スポーツ、ゲーム
キ)笑い、失敗
ク)絆、家族、動物
ケ)別離、悲しみ、死
コ)感動、人生の岐路
サ)青春、友情、学校
シ)冒険、英雄、生き残り
ス)スケールの大きさ、美しい風景、歴史
セ)対決、戦い、ライバル
ソ)異世界、ファンタジー、魔法、ディストピア、SF
【0061】
〈2〉NIMについての工夫/その2
書籍の物語の魅力を立体的に引き出すことを企図して、1つの書籍の物語に対して、複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)を対応づけて提示するようにしてよい。すなわち、情報処理システム100(特に、サーバ1)によって実現され提供される、書籍のプロモーションサービスにおいて用いられるNIMは、複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)を含む映像として作成されるようにしてよい。
【0062】
複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)の提示は、1本のNIMによって行われるようにしてもよく、或いは、複数のNIMによって行われるようにしてもよい。特に複数のNIMによって書籍の物語各々に込められている複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)を提示することにより、書籍の物語が持つ幾つもの要素に様々な角度から焦点を当て、書籍の物語を立体的に浮き上がらせる(尚、実感的な意味合いであり、3Dという意味ではない)ことができる。
【0063】
1つの書籍の物語について1本のNIMによって複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)の提示が行われる場合には、例えば、1本のNIMの最初に「恋愛」(上記エ)が提示され、次に「謎」(上記ア)が提示され、次に「サスペンス」(上記ウ)が提示されるという例が挙げられる。なお、複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)は上記のア乃至ソの(便宜上の)区分に跨っている必要はなく、例えば、1本のNIMの最初に「出会い」(上記エ)が提示され、次に「恋愛」(上記エ)が提示されるようにしてもよい。
【0064】
1つの書籍の物語について複数のNIMによって複数の『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)の提示が行われる場合には、例えば、第1のNIMによって「恋愛」(上記エ)が提示され、第2のNIMによって「謎」(上記ア)が提示され、第3のNIMによって「サスペンス」(上記ウ)が提示されるという例が挙げられる。ここで言う“提示される”とは、視聴する人々に例えば前記の要素を伝えられるよう、動画素材(カット、シーン)を選び、編集して作成した動画を提供するという意味であり、必ずしも全ての静止画素材・動画素材が前記の要素に即したものであるとは限らない。
【0065】
(NIMの作成)
NIMは、商業的に映像化(具体的には、劇場映画化、ドラマ化、配信映像化(映画、ドラマ等)など)されていない、即ち本編映像が存在しないことを前提として、書籍のプロモーションに投じられる予算の規模に応じて以下の作成方針に従って作成されるようにしてよい。
【0066】
1)予算規模が小さい場合
新規の撮影は行われず、インターネットで頒布されている既存の素材(例えば、商用利用が許可されている無償・有償の映像素材;尚、実写やアニメーションを含み、また、生成AIによる作成を含む)が使用されてNIMのみ作成される(即ち、NAMは作成されない)。
【0067】
2)予算規模が中程度の場合
新規の撮影が行われ、また、インターネットで頒布されている既存の素材(例えば、商用利用が許可されている無償/有償の映像素材)が使用されてNIMが作成される(尚、既存素材と新規撮影との素材のどちらも、実写やアニメーションを含み、また、生成AIによる作成を含む)。
【0068】
また、作者のインタビュー、担当編集者のインタビューなど、短時間(具体的には、1~3分程度)且つ低予算で作成可能な映像がNAMとして作成される。
【0069】
3)予算規模が大きい場合
新規の撮影を中心としてNIMが作成される。例えば、10分前後までではあるものの、映画やドラマと同じようなクオリティの映像としてNIMが作成されるようにしてよい。
【0070】
なお、インターネットで頒布されている既存の素材は、インターネットを周期的に自動巡回しキーワードを使用して収集されるようにしてもよく、具体的には例えば、Webスクレイピングの技術が利用されて収集されるようにしてもよい。インターネットを自動巡回して既存の素材を収集する際に使用されるキーワードは、書籍の本文のテキストデータが用いられて、テキストマイニング(文章分析による情報抽出)の技術を使い、当該テキストデータにおける出現回数順に単語(尚、人物名などの固有名詞が除かれるようにしてもよい)が並べられ、出現回数が多い順に所定の個数の単語がキーワードとして用いられるようにしてもよい。
【0071】
また、或る書籍の物語のNIMを作成する際に、当該の書籍の物語の映像化にあたり独自に撮影された本編映像ではなく、当該の書籍のために撮影されたものではない既存の素材を寄せ集めることにより、当該の書籍の物語の内容を伝え、当該の書籍の物語の面白さを具体的に伝えることができるようにするために、「モンタージュ」と呼ばれる映像の技法が用いられるようにしてもよい。
【0072】
「モンタージュ」は、映像の足し算の技法であり、例えば、(A)「旨そうにハンバーガーを食べている青年」と(B)「不衛生な砂漠の町で母に抱えられた、やせ細った子供」という2つの映像があったとすると、それぞれを別々に見せる場合には前述したとおりの意味しか持たないが、(A)+(B)と繋げて見せることで、新たな意味として(C)「貧富の格差の残酷さ」という意味が生まれるという技法である。
【0073】
収集した多くの映像から当該の書籍の物語の魅力に合う映像を厳選し、例えば「モンタージュ」の技法を用いてそれらを繋げて新たな意味を発生させることにより、あたかも当該の書籍の物語のために撮影された映像であるかのように、当該の書籍の物語の内容の面白さをイメージさせることが可能となる。映像に加えてテロップ(字幕)を駆使することにより、当該の書籍の物語の内容の面白さをより分かり易く伝えることも可能となる。
【0074】
(NAMの作成)
NAMは、商業的に映像化(具体的には、劇場映画化、ドラマ化、配信映像化(映画、ドラマ等)など)されていない、即ち本編映像が存在しないことを前提として、書籍のプロモーションに投じられる予算の規模が大きい場合に特に、例えば、以下の作成方針に従って作成されるようにしてよい。
【0075】
NAMは、当該書籍の著者のインタビュー、担当編集者のインタビュー、当該の書籍の作成秘話、書籍に登場する作品舞台を探訪したり作品や著者に思い入れのある著名人(例えば、俳優)による企画など、テレビ番組やドキュメンタリー映画並みのクオリティの映像として作成されるようにしてよい。
【0076】
NAMは、潜在読者の作品内容への興味を膨らませて継続させるため、書籍の物語の内容だけでなく、周辺の情報(例えば、当該書籍の著者のインタビュー、担当編集者のインタビュー、当該の書籍の作成秘話、当該の書籍に登場する作品舞台の探訪、当該の書籍と同じジャンルの作品の紹介など)の映像として作成されて発信されるようにしてよい。
【0077】
NAMは、NIMの引用等を除く多くの部分が新規撮影になるものの、書籍の物語の内容をイメージさせて面白さを伝えるNIMと併用されることにより、潜在読者の興味を当該の書籍の物語に限らず、周辺部へと誘うことで、潜在読者を継続的な読者に転換させることが期待できる。
【0078】
(NIM及びNAM)
NIM及びNAMを用いた一連のプロモーション展開(具体的には、NIM及びNAMを集約する専用ホームページ、書店の在庫を照会できるシステム、各動画サイトへの投稿時に多くの人々に検索させるためのキーワード創出システムなど)を行うことにより、一層多くの潜在読者を開拓することが可能となる。
【0079】
「NIM」及び「NAM」は、サーバ1によって公開されている、書籍のプロモーション専用のホームページである書籍プロモーションサイト8に含まれるコンテンツとして公開されるようにしてよい。「NIM」及び「NAM」は、また、種々の動画サイトへと投稿されて公開されるようにしてよい。
【0080】
(書籍プロモーションサイト)
図3乃至
図5は、実施の形態に係る情報処理システム100のサーバ1によって画面データが提供されてユーザ端末2の表示部25に表示される書籍プロモーションサイト8の画面の例を示す図である。
【0081】
図3は、書籍プロモーションサイト8のトップページの例であり、書籍のタイトル(書名)がタイル状に並べられて表示される。
図3に示すように書籍のタイトルが文字(テキスト)によって表示されるようにしてもよく、或いは、書籍のタイトルが文字(テキスト)によって表示されるとともに書籍の書影(表紙)の画像(別言すると、サムネイル;図示していない)、「NIM」の静止画像(別言すると、サムネイル;図示していない)が並べられて表示されるようにしてもよい。
【0082】
書籍のタイトルは、例えば、新規掲載の順に上から並べられて表示されるようにしてよい。書籍プロモーションサイト8に登録されている書籍の数が多い場合には特に、書籍のタイトルは、五十音順に並べられて表示されるようにしてもよく、或いは、ジャンル別に表示されるようにしてもよい。また、書籍のタイトルが表示されるページに、キーワードやジャンルによる検索を行うための検索窓(別言すると、検索ボックス、検索ワード入力欄;図示していない)が設けられるようにしてもよく、或いは、ドロップダウンリストによる並べ替えや絞り込みが出来るようにしてもよい。
【0083】
図4は、
図3における[書籍タイトルA](符号81)を選択(具体的には、クリック又はタップ)したときに表示される画面の例を示す図である。
図4に例として示す画面は、書籍各々に関する固有の情報を表示する画面である。
図4に例として示す画面、すなわち書籍各々に関する固有の情報を表示する画面のことを「書籍情報画面」と称する。
【0084】
図4に示す書籍情報画面では、
図3に示す画面で選択(具体的には、クリック又はタップ)された「書籍タイトルA」の書籍に固有の情報として、「書籍タイトルA(書名)」及び「著者名」が文字により表示されるとともに、書籍の書影(表紙)が画像(符号82)として表示される。
【0085】
書籍情報画面には、「NIM」を視聴するボタン83が設けられ、このボタン83を選択(具体的には、クリック又はタップ)すると、「書籍タイトルA」の「NIM」が再生される。このボタンには、「NIM」の静止画像(別言すると、サムネイル;図示していない)が用いられてもよい。
【0086】
書籍情報画面には、ほかに、[作品データ](符号84)、[類似作・関連作 NIM](符号85)、[販売先リンク](符号86)、及び[在庫書店地図](符号87)が設けられる。なお、
図4に示す構成、項目は、
図3に示す画面における書籍タイトルA乃至Iのうちのいずれを選択しても同様である。
【0087】
[販売先リンク](符号86)が選択されると、書籍を販売しているサイト(各種インターネット書店など)が表示されるようにしてよい。
【0088】
[在庫書店地図](符号87)が選択されると、当該の書籍の在庫があるリアル書店、販売店が表示され、予め登録したユーザの住所に基づいたりユーザ端末2のGPS機能が利用されたりなどして最寄りの書店、販売店が分かるようにしてもよい。書店、販売店は、リスト(一覧)で表示されてもよく、或いは、地図上に表示されてもよい。
【0089】
[類似作・関連作 NIM](符号85)が選択されると、遷移先の画面に、類似作・関連作(同じ著者、同じジャンルなど)の「NIM」を視聴するボタンが表示される。[類似作・関連作 NIM](符号85)の「関連作」に、著作権者の許諾を得た動画作品(例えば、映画、ドラマ)が含められるようにしてよく、この場合は、[類似作・関連作 NIM]を選択したときの遷移先の画面に、「関連作」としての動画作品(例えば、映画、ドラマ)の予告編を視聴するボタンが表示されるようにしてよい。このようにすることが、よりその作品に興味を抱かせることに繋がる。
【0090】
[作品データ](符号84)が選択されると、遷移先の画面に(
図5参照)、「NAM」を視聴するボタン88が表示され、また、著者のプロフィールなど、著者や作品を深く知るための情報が記載されていたり(符号89)、そのような情報を閲覧するページへと遷移するボタン(図示していない)が表示されていたりするようにしてよい。
【0091】
なお、書籍プロモーションサイト8では、各著者について、特定の出版社によって出版されている書籍に限らず、様々な出版社によって出版されている書籍が取り扱われる。
【0092】
(システムの運用方法)
図6は、実施の形態に係る情報処理システム100の運用方法を説明する図である。
【0093】
下記の説明において、NIMとNAMとのうちの少なくとも一方のことを「NIM/NAM」と表記する(尚、具体的には例えば、NIMが作成される一方でNAMは作成されなかったり、NIMとNAMとの両方が作成されたりするようにしてよく、また、NIMが作成されない一方でNAMが作成されるようにしてもよい)。下記の説明において、また、情報処理システム100において取り扱われ、具体的には書籍プロモーションサイト8でプロモーションが行われる書籍(即ち、或る著者によって執筆され、タイトル(書名)が付与されている書籍)のことを「取扱書籍」と称する。
【0094】
情報処理システム100を運営する(或いは、サーバ1を運営管理し(即ち、サーバ1の運営者であり)、少なくとも書籍プロモーションサイト8を運営する)運営会社110は、取扱書籍に対して第1キーを付与する。第1キーは、例えば、複数桁の数字の並びとして構成されてよく、或いは、数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種を含む複数桁の符号として構成されてもよい。第1キーは、運営会社110により、取扱書籍ごとに固有の符号として付与される。
【0095】
第1キーは、例えば、出版社名イニシャル(3文字程度の英文字)と著者名イニシャル(2文字程度の英文字)とランダム符号(4~10文字程度の数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種)とが連続する形式であってよい。
【0096】
運営会社110は、取扱書籍に関する書籍情報及びNIM/NAMとともに第1キーを出版社120へと送る。書籍情報は、書籍を特定するために必要な情報であり、具体的には例えば、書籍のタイトル(書名)及び著者名、又はISBN(International Standard Book Number)であってよい。
【0097】
出版社120は、運営会社110から書籍情報及びNIM/NAMとともに第1キーが送られてきた書籍(即ち、取扱書籍)に対して第2キーを付与し、契約後の初回の出荷情報とともに第2キーを運営会社110へと送る。第2キーは、例えば、複数桁の数字の並びとして構成されてよく、或いは、数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種を含む複数桁の符号として構成されてもよい。第2キーは、出版社120により、取扱書籍ごとに固有の符号として付与される。契約後の初回の出荷情報は、具体的には例えば、出荷時期及び契約後の初回出荷受注数を含むようにしてよい。
【0098】
第2キーは、例えば、出版社各々の社内管理用品番(4~10文字程度の数字と文字とのうちの少なくとも1種)であってよく、或いは、ランダム符号(4~10文字程度の数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種)であってよい。
【0099】
取扱書籍ごとに、例えば、運営会社110と出版社120との間、又は、運営会社110と当該の取扱書籍の著者との間で、有期のプロモーション契約が締結されるようにしてよい。なお、運営会社110と著者との間で契約が締結される場合には、第2キーは著者によって付与されるようにしてよい。
【0100】
NIM/NAMの作成及び利用について、例えば、出版社120が運営会社110との間でNIM/NAMの作成及びNIM/NAMの利用に関して契約を締結するようにしてよく(この場合、運営会社110に対してNIM/NAMを作成する依頼とともにNIM/NAMを利用する許諾が与えられる)、或いは、NIM/NAMの作成は出版社120(尚、子会社の映像制作会社等への外注も含む)が行い、NIM/NAMを利用したプロモーションに関して出版社120が運営会社110との間で契約を締結するようにしてもよい(この場合、運営会社110に対してNIM/NAMを利用する許諾が与えられる)。そして、出版社120が所定の動画サイトへとNIM/NAMを登録したり(別言すると、アップしたり)、運営会社110が書籍プロモーションサイト8においてNIM/NAMを公開したりする。
【0101】
所定の動画サイト150にNIM/NAMが登録された場合に、当該NIM/NAMが検索される際の検索用キーワード(即ち、当該NIM/NAMにメタデータなどとして紐づけられるキーワード)として、書籍の本文のテキストデータが用いられて、当該テキストデータをテキストマイニングなどの技術で解析することによって得られた単語(尚、人物名などの固有名詞が除かれるようにしてもよい)が出現回数順に並べられ、出現回数が多い順に所定の個数の単語が検索用キーワードとして用いられるようにしてもよい。
【0102】
検索用キーワードとして、公開、公表されている種々のランキングデータに登場する単語が用いられるようにしてもよい。例えば、種々のランキングのテキストデータが用いられて、テキストマイニングの技術を使い、当該テキストデータにおける出現回数順に単語(尚、固有名詞が除かれるようにしてもよい)が並べられ、出現回数が多い順に所定の個数の単語がキーワードとして用いられるようにしてもよい。ランキングデータは、例えば、雑誌、専門誌などの紙媒体に掲載されているものであってもよく、また、通信ネットワーク9を介して様々なウェブサイトに掲載されているものであってもよい。具体的には例えば、紙媒体やウェブサイトに、「元気になる曲ランキング」が掲載され、当該ランキング(具体的には、曲名)に「勝つ」や「負けない」などの単語が登場する場合に、これら「勝つ」や「負けない」などの単語を、書籍の本文より抽出されたキーワードと併せて使うことにより、NIM/NAMの検索率を、より引き上げるようにしてもよい。
【0103】
運営会社110は、取扱書籍ごとの情報として、書籍情報と対応づけて、第1キー及び第2キーを管理し、また、契約後の初回・累積の出荷情報を保存する。例えば、サーバ1の記憶部12に運用管理情報データベース18が格納され、この運用管理情報データベース18に、取扱書籍ごとに、書籍情報と、第1キー及び第2キーと、契約後の初回・累積の出荷情報と、の組合せ情報が記録、蓄積されるようにしてよい。
【0104】
運営会社110は、NIMデータベース171に記録・蓄積されている各取扱書籍のNIMやNAMデータベース172に記録・蓄積されている各取扱書籍のNAMと第1キー及び第2キーとを対応づける。これにより、第1キー及び第2キーが特定されると、当該の第1キー及び第2キーに対応づけられている取扱書籍のNIM/NAMが特定されうる。
【0105】
運営会社110は、所定のSNSのチャネル160に、取扱書籍の告知を投稿し、さらに、書籍プロモーションサイト8においてNIM/NAMが公開されていることを投稿するようにしてもよい。
【0106】
出版社120は、また、第1キー及び第2キーを、当該書籍を仕入れた市中の書店130(即ち、リアルの書店)へと通知する。
【0107】
書店130は、出版社120から第1キー及び第2キーが通知されてきた書籍(即ち、取扱書籍)に対して第3キーを付与する。第3キーは、例えば、複数桁の数字の並びとして構成されてよく、或いは、数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種を含む複数桁の符号として構成されてもよい。第3キーは、書店130により、取扱書籍ごとに固有の符号として付与され、書店130にて管理される。
【0108】
第3キーは、書店130各々のパスワードとして用いられてよく、例えば、ランダム符号(4~10文字程度の数字、文字、及び記号のうちの少なくとも1種)であってよい。
【0109】
サーバ1の記憶部12に格納されている運用管理情報データベース18に、書籍情報と対応づけられて第3キーが管理されるようにしてよい。具体的には例えば、取扱書籍ごとに、書籍情報と、第1キー及び第2キーと、契約後の初回・累積出荷情報と、第3キーと、の組合せ情報が記録、蓄積されるようにしてよい。
【0110】
書籍プロモーションサイト8の中に設置された在庫店地図上に表示された店名の遷移先に、書店向けのページが準備され、出版社120から通知される第1キー及び第2キーに加えて書店130が生成した第3キーを入力すると、書籍情報が表示される。
【0111】
具体的には例えば、通信ネットワーク9を介してサーバ1と双方向に通信可能であるように接続されている書店130の端末から書籍プロモーションサイト8の書店向けページへとアクセスし、第1キー及び第2キー及び書店130が生成し登録した第3キーを入力すると、契約後の出荷データ(具体的には、初回出荷数、累計出荷数)と、契約後の累積販売数と、それらによって求められる在庫数と、が表示されるようにしてよい。
【0112】
書店130は、自店で取り扱う分の取扱書籍の冊数を出版社120に対して発注する。なお、出版社120と書店130との間に取次(図示していない)が介在し、取次が出版社120に対して当該取扱書籍をまとめて発注し、その中から書店130へと割り当てるようにしてもよく、この場合に書店130が取次に対して要望を出すようにしてもよい。
【0113】
書籍プロモーションサイト8に、書店130向けに、書店130別の、取扱書籍ごとの在庫を登録し管理するページ(「在庫管理ページ」と称する)が準備される。書籍プロモーションサイト8の在庫管理ページで、第1キー、第2キー、及び第3キーが入力されると、書店130ごとの、取扱書籍ごとの在庫が自動計算にて表示され、何らかの誤差が生じた場合は下方修正のみを行うことができるようにしてよい。なお、在庫数については、契約後のしかるべきタイミングで出版社120から運営会社110に提供された契約後の初回出荷データを運営会社110が登録し、その後の追加出荷と販売数については、各書店130の販売データ連携で取り込み、サイト内のシステムで自動計算により表示されるようにしてよい。
【0114】
具体的には例えば、通信ネットワーク9を介してサーバ1と双方向に通信可能であるように接続されている書店130の端末から書籍プロモーションサイト8の在庫管理ページへとアクセスし、第1キー、第2キー、及び第3キーを入力すると、在庫の状況が表示され、取扱書籍ごとの在庫が自動計算にて表示され、何らかの誤差が生じた場合は下方修正のみを行うことができるようにしてよい。在庫の状況として、契約後の出荷データ(具体的には、初回出荷数、累計出荷数)と、契約後の累積販売数と、それらによって求められる在庫数と、が表示されるようにしてよい。
【0115】
なお、在庫数は、契約期間の累積出荷数から販売データ連携により取り込まれた累積販売数を引いたもので自動的に求められるが、契約前から当該書籍の在庫がある場合については、在庫管理ページからシステム上に登録できるようにすることで、在庫がマイナス表記になるのを防ぐようにしてもよい。万一、何らかの理由により在庫数との間に誤差が生じた場合、これら第1乃至第3の3つのキーを入力することで、数値の下方修正が行える。上方修正については、集客の為に在庫がない店が虚偽の修正を行うことを防ぐ為、出版社120か運営会社110経由でしか行えないようにする。
【0116】
運営会社110は、出版社120との契約後の初回出荷について、出版社120から取扱書籍の契約後の初回出荷データを取得し、取扱書籍が書店130各々に入荷される前に、書籍プロモーションサイト8の在庫管理ページで、入荷予定の取扱書籍について、在庫を有する店舗として登録する。これにより、書籍プロモーションサイト8のトップページの[在庫書店地図](
図4の符号87)が選択されると、取扱書籍の在庫を有する書店、販売店として当該の書店130が表示されるようになる。また、二回目以降の追加出荷については、取扱書籍の販売数と共に書店130各店の販売データを連携することでシステム内に取り込むこととする。
【0117】
当該の書店130に関する情報として、当該の書店130が有している、他の取扱書籍の在庫の状況が合わせて表示されるようにしてもよい。
【0118】
すなわち、実施の形態に係る情報処理システム100は、サーバ1から通信部13及び通信ネットワーク9を介して書店130の端末へとNIM(書籍イメージ映像)が送信され、また、第1キー及び第2キー並びに書店130によって取扱書籍ごとに付与される第3キーがサーバ1へと入力されると書店130における取扱書籍ごとの在庫情報が編集されて記憶部12に記録される、ようにしてよい。
【0119】
ここで、書店130各々の在庫管理ページ内に、プロモーション希望作品登録欄(尚、複数登録可)が設けられて、書名及び著者名とISBNとのうちの少なくとも一方が登録されるようにし、運営会社110が全国の登録数を集計・閲覧するようにしてもよい。これにより、書店130の意向が取り入れられる。これにより、また、プロモーション希望作品登録欄への登録数が所定の数に達した書籍について、随時、運営会社110が出版社120へとプロモーション契約を提案することができる。プロモーション契約が実際に締結された場合はいずれの書店130が登録しているかを出版社120の営業担当者に伝え、拡販の情報として利用されうる。この場合に、プロモーション希望作品登録欄に登録することができる書店を、取扱書籍を過去に発注したことがある書店に限定するようにしてもよい。これにより、実際の発注に繋がらない無責任な登録を防ぐ効果が期待される。
【0120】
(作用効果)
実施の形態に係る情報処理システム100によれば、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ『物語の面白さを伝える要素』(具体的には、カット、シーン、モンタージュなど)を含む映像であるNIMやNAMを用いて書籍のプロモーションを行うようにしているので、潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、それを受けて利用し易い在庫店を確認できるようにすることで、入手し易くなり、新たな読者とすることが可能となる。
【0121】
実施の形態に係る情報処理システム100によれば、出版社や取次に対し、具体的には例えば下記のような効果が奏される。
・潜在読者を獲得することができる。
・既刊を再活性化させることができ、延いては返品率を低下させることができる。
・知名度の低い著者の新刊を拡販して売上を増大させることができる。
・プロモーションを行うことを出版可否の社内での説得材料とすることができる。
【0122】
実施の形態に係る情報処理システム100によれば、また、書店に対し、具体的には例えば下記のような効果が奏される。
・潜在読者を獲得することができる。
・店頭のプロモーションでは不可能な、作品の魅力を伝達することができる。
・棚置きになった既刊を再活性化させて売上を増大させることができる。
・店員の拡販意欲を増大させることができる。例えば、プロモーション実施作品の出版社への提案、店頭プロモーションとの連動などを促進させることができる。
【0123】
実施の形態に係る情報処理システム100によれば、また、著者に対し、具体的には例えば下記のような効果が奏される。
・新刊の拡販により、採算を取るのが容易になるので、次の執筆機会を増大させることができる。
・既刊を再活性化させて収入を増大・安定させることができる。
・新規読者の発掘により新たなジャンルを開拓することができ、また、出版社の説得材料とすることができる。
・執筆前に読者の反応を探ることができる(執筆前にNIMを作成/この場合は、動画への反応を見て執筆可否を決め、可の場合は、発売時に出荷データ連携となる)。
【0124】
実施の形態に係る情報処理システム100によれば、また、読者に対し、具体的には例えば下記のような効果が奏される。
・(特に潜在読者が)新たな楽しみを発見することができる。
・より幅広い作品を知る機会が提供される。
・書店では手に取ることがない作品を発掘することができる。
・文字情報のみのときと比べ、作品選択の失敗を減少させることができる。
【0125】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0126】
例えば、上記の実施の形態では既に発行されている(即ち、既刊の)書籍を対象とするようにしているが、発行前の(即ち、新刊の)書籍に関するNIMやNAMが作成されて書籍プロモーションサイト8や動画サイトで公開されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る情報処理システム100は、潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、新たな読者とすることができるので、例えば、書籍のプロモーションの手法、仕組みとして有用であり、出版の分野において有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 制御プログラム
171 NIMデータベース
172 NAMデータベース
18 運用管理情報データベース
2 ユーザ端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 表示部
26 制御プログラム
27 アプリケーションプログラム
8 書籍プロモーションサイト
9 通信ネットワーク
100 情報処理システム
110 運営会社
120 出版社
130 書店
150 動画サイト
160 SNSのチャネル
【要約】 (修正有)
【課題】潜在読者に書籍(具体的には例えば、小説)への興味を惹起させ、新たな読者とすることで、書店、出版社、著者の経済状況を改善し、読書文化の再興を図る情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置としてのサーバ1は、商業的に映像化された作品が存在しない書籍に関する映像であり且つ物語の面白さを伝える要素を含む映像である書籍イメージ映像を記録する記憶部12と、ユーザ端末からのリクエストに応じて記憶部から書籍イメージ映像を選択して送信する通信部13と、を有する。書籍イメージ映像は、物語の面白さを伝える要素として、謎、犯罪、敵、悪、怪物、復讐、予測不能な展開、一発逆転、絶望、スリル、サスペンス、間一髪、出会い、恋愛、妖艶、官能、憧れ、郷愁、恐怖、未知の現象、危機、切迫した状況、理不尽、アクション、スポーツ、ゲーム、笑い、失敗、絆、家族、動物、別離、悲しみ、死、感動、人生の岐路、青春、等を含む。
【選択図】
図2